歯周病(病巣疾患)

歯周病に関して

 病気の治療は原因を取り除くことです。う蝕(むし歯)、歯周病の原因の一つは細菌及び細菌バイオフィルムですので、先ずはこれらを除去・減らすことが治療の目的になります。

 歯周病は新型コロナ感染症よりも多く、それこそ地球規模で蔓延している感染症です。特効薬で治癒する?なんてことは100%ありません。

 歯周病は一般的にはいつ頃から発症するのか?

歯の生活習慣病といわれ、40~50代で急増し、50代の83%、60代の85%以上が歯周病と推定されています。
(平成23年厚労省歯科疾患実態調査)

 歯を支える組織に炎症を起こす歯周病は、歯周病菌が引き起こす感染症です。この病原体を皆様は軽く考えがちですが、歯だけでなく様々な全身の病気と関連している可能性が、最近の研究で浮かび上がってきてます。

歯周病に関して

 歯周病菌は酸素を嫌う環境で生き延びます。歯と歯肉の境目に歯肉溝があり、正しい歯ブラシの使い方ができないとそこにプラーク(歯垢)が溜まり、歯肉溝の入り口をふさぐことで歯肉溝の酸素量が減り、嫌気性菌が活性化します。歯周病菌の中でもPg菌(Porphyromonas gingivalis)は病原性が高く、歯周ポケットに存在するその細菌の菌数は歯周病の状態と相関があるとされています。

 Pg菌は栄養素として鉄分が必要なので、正しいブラッシングが習慣化されていないと歯肉の炎症が起き、歯肉の潰瘍面の毛細血管が少しの刺激で破れ出血をきたすとPg菌は血液中のヘモグロビンの鉄分を得て、数千~数十万倍に増殖します。

 感染を放置すると歯肉の炎症だけでなく歯を支える歯槽骨にまで影響が及んで骨が溶け、歯を失うことになりますが、歯周病の怖さは口腔内に限った話ではありません。前述のように歯周病が全身の病気に深くかかわっていることを裏付ける研究やデータが近年、数多く報告されています。

 口腔内の歯周病菌が心臓の内膜に付着して細菌性心内膜炎を起こしたり、糖尿病を悪化させたりすることもあります。歯周病を治療すると血糖値が低下するという結果も臨床現場から多数報告されています。

高齢者に多い誤嚥性肺炎は口腔内の細菌が肺に侵入して起こりますが、日頃から口腔内を清潔にすることでリスクが軽減します。歯磨きでは除去できない細菌バイオフィルムを定期的に歯科衛生士に破壊・除去してもらうことは健康を維持するうえでは大切なことです。

症状が出てから歯科を受診するのではなく、自分の口腔内の現状を知るために脚を運んでいただきたい。

歯周病を放置した結果‥‥

歯周病を放置した結果‥‥

「歯磨きか、死か?」十数年前、アメリカの新聞にセンセーショナルな見出しが躍った。

重い歯周病にかかると死亡する危険性が1,85倍になるという。以降、歯周病は糖尿病や心筋梗塞など様々な病気と密接に関連していることが分かってきた。

歯周病の予防と治療は、歯を守ることにとどまらず、全身の健康を保つのに欠かせない。

左側の写真は

主訴)歯が揺れてきて硬いものを咬むと痛い

ということで来院された方の右下大臼歯の歯である。数年前には反対側の奥歯も揺れてきて抜歯をしたとのこと。歯科には掛かっていたとのことであるが、ここまで歯根周囲および先端部分まで歯石・バイオフィルム(バクテリアの塊)が付着してしまうと、身体の免疫力だけではどうにもならない。また、歯石なども治療によって除去できていない。きちんとした歯周治療を受けていれば、ここまで悪くはならなかったのではないかと考えさせられるケースである。

この患者さんに必要なことは、歯周病がどのような疾患であり、糖尿病などの全身疾患とどのように関係しているのかを先ずは理解することである。歯医者、歯科衛生士が歯周病を治す‥‥のでしょうか?治療をすることで健康な元の状態にもどる訳ではありません。あくまで免疫学的に健康な状態にもどし、歯の延命を図ることが治療です。歯周病もむし歯も症状の有無で判断しないでください。

歯石とバイオフィルムの除去動画

歯周病とインフルエンザの関係

 近年の研究では、口腔内を不衛生な状態にしていると風邪やインフルエンザに罹りやすいことが分かってきています。これは歯周病の原因菌の一つグラム陰性菌がインフルエンザウイルスを口腔粘膜に侵入しやすくする酵素をだすためです。

日頃の歯磨きによるプラーク(歯垢)除去、歯科衛生士による定期的な細菌バイオフィルム除去によって口腔内の細菌数を減じ、インフルエンザ感染予防対策としても役立ててください。

歯周病のことを、しっかり知りましょう!

歯周病のことを、しっかり知りましょう!

あなたは今、歯ぐきが腫れたり血が出たりといった症状はありませんか?もしあれば、歯周病の可能性があります。歯周病は、細菌によって歯肉に炎症を起こし、進行すれば歯を支える顎の骨を溶かしてしまう怖い病気で、日本人が歯を失う原因の第一位といわれています。また、引き起こす問題はお口の中にとどまらず、心筋梗塞や脳梗塞などの全身疾患にも関係してくると言われています。

歯周病はむし歯と違って痛みがほとんどないため、知らないうちに重症化していることもあります。感染を防ぎ、できるだけ進行させないようにするためには、まず歯周病について詳しく知っておくことが大切です。

「歯肉炎」から「歯周炎」へ

歯周病の進行段階として、初期には「歯肉炎」が見られ、進行すると炎症が進んで「歯周炎」となります。


歯肉炎

歯肉炎

歯肉だけに炎症が起きている段階で、自覚症状としてはブラッシング時などに軽く出血する程度です。

歯肉炎の段階で発見して治療すれば、比較的簡単に治療を完了させることが可能です。


歯周病

歯周病

歯肉炎が進行した状態。歯ぐきが腫れたり口臭がしたりし、さらに進行すると歯を支える顎の骨が溶けてしまい、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。歯肉を切開するなど、大がかりな治療が必要になります。


進行した歯周病の治療の例

1.レントゲン診査にて歯周病による骨の吸収を認める

1.レントゲン診査にて歯周病による骨の吸収を認める

2.表面的には何の異常もないように見える。自覚症状もない。

2.表面的には何の異常もないように見える。自覚症状もない。

3.歯周病の進行程度によっては歯肉切開を行い、深い歯周ポケットの原因となる歯根表面の歯石、細菌バイオフィルムnの除去を行う。

3.歯周病の進行程度によっては歯肉切開を行い、深い歯周ポケットの原因となる歯根表面の歯石、細菌バイオフィルムnの除去を行う。


4.歯周ポケットの原因物質を除去することで、歯の周りを支えている骨(歯槽骨)の再生ができる環境をつくる。

4.歯周ポケットの原因物質を除去することで、歯の周りを支えている骨(歯槽骨)の再生ができる環境をつくる。


完治しない歯周病とはメインテナンスでうまく付き合いましょう

“点ではなく線で診る歯周病治療”にこだわります

“点ではなく線で診る歯周病治療”にこだわります

歯周病の原因を探らずに、とりあえず患部の進行を抑える治療だけで終わり、では、気付かぬうちにさらに進行してしまう可能性がありますし、別の箇所が歯周病になってしまうリスクもあります。

生活習慣・歯並び・口呼吸や歯ぎしりなどの癖……。歯周病になってしまったのには、必ず何かしらの原因があるものです。その原因をしっかり見つけることが早期の回復につながり、また、今後の歯周病予防にもつながります。当医院では、しっかり原因を追究してその対策を練り、二度と皆様が歯周病でつらい思いをしないために、最適な治療と予防ケアをご提供いたします。