院長ブログ

30年掛けて‥‥

 歯科大学生時代に学んだ幾何学的な顎の動きの授業は臨床と結びついていないこともあり全く理解が深まらず、ただ定期試験をパスするだけのための知識習得でしかなかったが、不思議なもので卒後最初に勤めた医院は院長先生が当時の顎関節症の第一人者と言われた先生であり、全国から不正咬合に起因すると疑われる不定愁訴を抱えた患者さんが多く受診されていた。新人の仕事はと言えばもっぱら患者さんの問診を行う日々であり、半年間は患者さんの口腔内を触ることすらさせてもらうことはなかった。院長先生の診査診断方法を学び、臨床の目を養う第一歩をその先生のもとで踏み出せたことが今の臨床に結びついていることは言うまでもない。それから約30年の時を経て、当時の疑問が次々と晴れていくことで患者さんへの説明に説得力が加わることになる。顎の運動をあまりにも細かく、分析的に捉える前に、人の生態学的、生物学的な視点で食べる行為や運動の仕方を認識しておくべきだったと思います。そこに気付くまで30年掛かったということなのかもしれませんが、これからの自分に期待もしております。

                   2025,6,15

猫背、クチャクチャ音は異常サイン

 歯科用CT撮影を診査に用いることで、従来では確認を出来なかったアデノイド肥大や口蓋扁桃肥大の程度を患者さんにお知らせすることが出来るようになっている。CTと聞くと放射線量を気にされる方もおられるかもしれませんが、一回の撮影当たり医科用CT撮影では5~30msVなのに対して歯科用CTは0.1~0.3msVと低く安全です。主にかみ合わせの診査と根管治療の際に撮影を行いますが、最近では子供達の咬み合わせ関連を主訴とした問い合わせが増えており、なかでも口呼吸、舌の可動域制限を抱えたお子様に口蓋扁桃肥大を認めるケースが多くなっています。扁桃肥大が存在すれば気道狭窄に繋がり呼吸はし難くなりますから気道確保のためには頭蓋を前方に傾けた姿勢、つまり猫背になるのです。付き添いでお越しになられる親御さんの中には、「子供の姿勢が悪いのでよく注意するんですけど全然気を付けないんですよ~、この子は!」と問診中に仰られる方もいますが、似たようなお子様がいらっしゃる場合には是非とも注意しないで欲しいのです。なぜならそのような姿勢をとらないとお子様は呼吸がし辛いからです。同じように食事中にクチャクチャ音をたてているお子様も、そのようにしないと食べることが出来ない舌を含めた口腔周囲筋の習癖があるからであり、それらの根本原因を取り除かない限りは本来の機能を取り戻し、正しい身体の成長発育を促すことが出来ないのです。お子様の発している異常サインを見逃さないでください。

                   2025,6,14

不定愁訴の原因はどこにある?

 待合室の椅子に座っている姿勢が既に歪んでおり、母親が問診票に記入している間は口を開けたまま母親のスマホをいじっている。最近では見慣れた光景となりつつあるが、身体の異常サインを発していることに我々歯科医療従事はいち早く気付かなければいけない。口が常に開いていることが主訴でお越しになられたお子様ですが、単なる口呼吸なのか、それとも口唇閉鎖不全によるものなのか、診査するまでもないが、何れにしても我々人間が身に付けるべき呼吸様式は鼻呼吸であり、いち早く原因を突き止め改善させることが望ましい。歯並びが悪くても生活することは出来ますし、そのような方は世の中に数えきれないほどいらっしゃいます。人によっては見た目も含めて歯並びなど気にされない方もいます。当方が訴えたいことは、歯並び、かみ合わせが悪くなった原因を改善しないまま成長すると、その代償反応が原因となって身体に様々な不定愁訴を抱えることになる可能性が高いということです。体調不良に陥り病院通いをするものの、原因不明のまま処方された薬を服用して更に具合を悪くされている方などを診ますと、身体の構造的・機能的回復をしなければ生理機能も改善しないということです。医療が進歩し、医者が溢れるほど存在するにも拘らず、医者通いの人間が減らない原因は何処にあるのか。薬で健康を取り戻すことは出来ないことに人々は早く気付くべきであり、もっと自分の身体と正直に向き合うべきと考えます。多くの原因はもしかしたら・・・。

                   2025,6,13

歯がゆい

 明らかに落ち着きがないのは普段の呼吸が苦しいからに他ならない。ではなぜ苦しいのか。それは気道が狭窄しているからであり、その気道狭窄を引き起こしている原因がどこにあるのかを母親には理解して頂きたい。数年前からお子様を定期的に連れてお越しにはなるのだが、歯並びを気にはするものの、中顔面をはじめとした顔面骨格の発育不良について指摘させて頂いても、現実を受け入れたくないのか理解しようとしないのか、頷くことがない。「姿勢が悪いんですよね~、それが気になっています。」と仰るので、改めてスライドなどを使ってプレゼンをさせて頂くも、口腔筋機能の異常発育と姿勢との関係を理解しようとしない事にはこちらは何もできない。乳歯列がそれなりに綺麗に並んでいるので問題ないと素人判断されているのだろうが、このようなケースをきちんと必要な治療へと導くことが出来なければ臨床医としての意味がない。勿論親の選択だからと言ってしまえばそれまでだが、このままでは上顎骨の劣成長を伴う反対咬合(下顎が前方に位置するかみ合わせ)となり、舌の可動域が狭いことから舌と顎の分離運動が上手くできない状態が続き、筋およびファシアの拘縮によって身体の歪みが生じやすくなると推察する。40~50年前に筋機能の改善を行っていればここまで口腔内も体幹も悪くならなかっただろうな、と思われる患者さんを嫌というほど診てきただけに、なんとも歯がゆい思いである。

                   2025,6,12

自分で取り組む

 久しぶりに競技場の外周をランニングしてみたが、梅雨の天候の影響もあるのか身体が重く感じられペースが思うように上がらない。一旦走るのをやめてストレッチなど入念に行い改めて走り始めると、前方に当方と同じくらいのペースで走るランナーがおり、一定の距離を保ってあとをついていくように走ってみると、これが思いのほかいいリズムで足が動くのである。過去のフルマラソンにおいても誰かの後ろを走ることで、自然とペースが上がり、普段とは違う走りを経験はしているが、なぜ一人の場合はしんどく感じることが多いのだろうか。トップランナーたちはラップタイムを計測することもありハイペースで走り続けるが、ペースランナーの有無によって何が違うかと言えば、目線がほぼ一定にあることで呼吸のリズムを整えやすいのかも知れない。子供達の咬み合わせトレーニングの中には呼吸トレーニングも含まれており、呼吸アプリを用いて目で画面のボールを目で追いながら理想的な呼吸リズムを身体で覚えるように指導している。目標とするところはアプリを使わなくても正しい呼吸を身に付けることであり、あくまで子供達が「自分で取り組む」までの形が出来るまでは大人がサポートをしますが、弱点補強の手段を自分で考えて行けるように、過保護にならないように徐々に干渉を緩めて自主性を促すことも子供の成長には必要です。子供達と2年間トレーニングを通して接することで、頭蓋顔面骨格の適正化と成長と共に、心身の成長を診れることは医療者冥利に尽きます。

                   2025,6,11

自学力

 “自分で課題を見つけ、自分で取り組み、そして課題克服のための手段を複数持って、自分であれこれ考えられる状態になること”を自学というならば、この自学という姿勢が身に付いていない子供達が多いように見受けられる。かみ合わせトレーニングの肝は“継続”であり、きちんとできている子供の共通点は低学年のお子様であっても自分で考え、関心をもってトレーニングに臨んでいることである。では自学を引き出す最大の仕掛人は誰かと言ったら親に決まっています。どれだけ多くの時間を使って子供の頭を掘り起こしているかが重要にはなりますが、子供が相手ともなれば単調になれば飽きてしまうのでここは難しいところでしょう。しかし我が子のことであれば、とことんお子様と向き合って様々なアプローチを仕掛けてお子様に刺激を与え一緒に時間を過ごしてください。子供の“やる気”に頼っては駄目です。少しでもやり続け、習慣化されるとやる気が出てきます。かみ合わせトレーニングを継続することで集中力も高まり、顔面骨格も改善し、さらにはやる気に左右されずに何事も習慣づけていく、これも自学する上では大事なことです。


                   2025,6,10

 “自分で課題を見つけ、自分で取り組み、そして課題克服のための手段を複数持って、自分であれこれ考えられる状態になること”を自学というならば、この自学という姿勢が身に付いていない子供達が多いように見受けられる。かみ合わせトレーニングの肝は“継続”であり、きちんとできている子供の共通点は低学年のお子様であっても自分で考え、関心をもってトレーニングに臨んでいることである。では自学を引き出す最大の仕掛人は誰かと言ったら親に決まっています。どれだけ多くの時間を使って子供の頭を掘り起こしているかが重要にはなりますが、子供が相手ともなれば単調になれば飽きてしまうのでここは難しいところでしょう。しかし我が子のことであれば、とことんお子様と向き合って様々なアプローチを仕掛けてお子様に刺激を与え一緒に時間を過ごしてください。子供の“やる気”に頼っては駄目です。少しでもやり続け、習慣化されるとやる気が出てきます。かみ合わせトレーニングを継続することで集中力も高まり、顔面骨格も改善し、さらにはやる気に左右されずに何事も習慣づけていく、これも自学する上では大事なことです。


                   2025,6,10

不正咬合の原因除去

 乳幼児の体重が増えない、おっぱいを上手く飲めていないなどの問い合わせが増えてきており、いよいよ当医院に助産師さんを向かい入れる時期が来たようである。幸いなことに当医院の診療姿勢に共感してくださる助産師さんが複数いらっしゃることから、皆さまの協力を得て乳幼児の検診も定期的に始めたいと考えている。なぜ現状のような歯科医院になって来たのか?それは純粋に求められているものを追求してきたからに過ぎない。むし歯を抱えた口腔内になりたくないから歯科医院に通っていたにも拘らず、むし歯を作って歯を削られた。自分は歯列矯正治療を経験したので子供には同じ思いはさせたくないと思って定期的に通っていたにも拘らず、そろそろ矯正治療を考えたらどうですかと提案されるのはなぜ?など患者さん側に疑問もあれば、治療する側からすると、どんなに丁寧な治療を時間をかけて行っても、必ず再治療をする時期はやってくるという何のための治療なのかというやるせない思い。それらの根本的な原因はかみ合わせにあり、そのかみ合わせが理想から遠ざかる根本原因は舌を含めた筋機能の習癖であり、そのスタートが乳幼児まで遡るということである。母乳が上手く出ない多くの原因は母親側の原因ではなく乳幼児の口唇と舌の使い方にあり、それらの診査には経験もある助産師の助けが欠かせない。当方の説明に矛盾があれば患者さんは継続してお越しになることはないはずであり、引き続き新たな領域の研鑽を積んでいく所存である。


                   2025,6,9

不正咬合の原因除去

 上顎骨が十分に前方に成長出来ていないと上顎前歯の歯列は直線的になり、場合によっては歯が重なる状態(叢生)となる。なぜそのような状態になるのかを考えずしてただワイヤー矯正やマウスピース矯正をしたところで、矯正治療が終われば後戻りが生じてくると考えるのは自然である。更には上顎骨の前方成長が抑制されたことで舌のタングスペースが狭くなり、舌が後方に位置するようになることで咽頭気道も狭くなり、呼吸障害を引き起こす環境になります。不正咬合の発生機序を辿っていくと、頭蓋骨の成長発育に問題があるからその結果として歯並びが悪くなるということが分かってきます。歯並びが良くない子に診られる共通所見に鼻詰まり、鼻閉がありますが、上顎骨を含めた鼻上顎複合体の前下方への成長発育が進まなければ、鼻骨の解剖学的な大きさも拡大されないため、鼻の通りも悪くなると考えるのは自然なことと思われます。従って、何よりもまずお子様の歯並びが気になっている親御さんに理解して頂きたいことは、下の前歯の歯並びが悪いからと言ってそこだけを問題視するのではなく、そのようになった根本原因は上顎が本来の大きさに拡大成長していないことにあり、ではなぜ上顎骨が大きく成長していないのかを考えて頂きたいのです。その原因を取り除くことこそ不正咬合治療の原因除去になるのです。

                   2025,6,8

教育の基本

 毎朝の早朝ランニングを継続していると、先週までは少し肌寒く感じる中を爽快に走っていたが、昨日ぐらいから梅雨の始まりを思わせるジメジメ感のなかを走ることになり、掻く汗の量が増えてきたことを体感する。最近は四季ではなく夏と冬の二季に移行していくと指摘する気象学者もいるが、この梅雨だけは相変わらず存在し続け日常生活を不快なものへと導いていく。道端に咲く紫陽花は梅雨の季節を彩る美しい花で、毎年足を止めスマホを向けて撮影し、オフィスのパソコン画面を飾っています。紫陽花の名前の由来や花言葉、色の変化など、興味深い話題がたくさんありますが、最近では「家族の結びつき」「団らん」といったポジティブな意味も広まっていますそうです。当医院には小さなお子様を連れてお越しになられる親御さんが増えて来てますが、待合室での親子の会話などから各ご家庭の雰囲気が伝わってきます。かみ合わせのトレーニングは毎日の継続が必ず結果として付いてくるのですが、親御さんの中にはお子様に注意を含めた指導へ上手く誘導できない方もいらっしゃいます。「先生から強く行って頂けませんか~、私の言うことは聴かないんです!」という親に決まっていうことは、「7つ、8つ、9つと“つ”の付くうちは親の言うことを聞きますから躾をするなら10歳前までが大事ですよ!」である。絆、団らんと仲良しは異なりますから、時には厳しく接することがあっても良いのではないでしょうか。教育の基本は家庭にあり!


                   2025,6,7

初診診査

 初診の方は口腔内の診査と共に口腔内写真撮影、レントゲン撮影、場合によっては嚥下の様子を動画撮影し、手際よく資料採りを行います。肉眼による視診では限界がありますのでマイクロスコープを使った口腔内診査では、詰め物や被せ物の適合状態まで確認し、歯の咬耗状態などからも現状に至った原因と予想される予後についてお話をさせて頂きます。その結果、それら資料をお見せしながら口腔内の現状をお伝えしていると、「えっ、むし歯ですか?3ヵ月ごとに検診で通っていたのに前の歯医者では何も言われませんでしたけど・・」「歯石ってそんなに直ぐに付くんですか?」「ゴムのシートを使った治療など受けたことはないですよ」などと言われることが多々ある。決して過去に治療したドクターに忖度して言葉を濁すことはせず、正しいことをお伝えしているだけではあるが、目の前に映る状態の悪さに驚きを隠せないといった方が少なくない。例えば30年以上に受けた治療であれば今とは治療技術も治療に対する考え方も異なるので致し方ない部分と、30年間症状もなく過ごされてきたという点において評価すべきと当方は判断するが、数ヵ月前に受けた処置にも拘らず、心無い治療痕を目にすると同業者としても心苦しくなる。また画像や動画を使って患者さんも確認できることは、何ら嘘偽りのないことをお伝えすることが出来るので、現状を把握して頂く上では非常に役に立つ。治療の有無も含めてどうすべきかを決めるのは歯科医師ではなく患者本人であり、素人である本人が理解できるようなプレゼンをこちら側は提供しなければならない。

                   2025,6,6

脳はアナログ

 世の中のデジタル化がさらに進んだとしても、我々の脳内システムは永遠にアナログである。しかし結論だけを早く知りたがる欲求はデジタル張りになっているようである。映画、ドラマ、アニメなどを手軽にサブスクで視聴し、早送りで観るのが当たり前のような会話を耳にする。時間を効率的に使う言わば現代の生活スタイルでもあるのかもしれないが、途中の展開をワクワクしながら過ごすこともなくいきなりメインディッシュが出てきて、それで満足できるのだろうか。治療前後の説明において、妙に納得顔で頷きながらこちらの話を聞いて下さってはいるものの、会計時の受付で、「私の説明を聞いていましたか~?」と尋ねたくなるような質問をされる方が中にはいらっしゃる。素人であるので説明全てを理解できるとは思ってはいないものの、前菜にもっと時間を掛け、お口直しをしたうえでメインディッシュの説明に誘導できれば、脳内定着率は上がるのかもしれない。セミナー同様に、演者がどれだけ素晴らしい講演をされたとしても、参加された聞き手の姿勢如何で受け止め方は様々である。アナログの良さを引き出しながら、真摯な対応に徹したい。

                   2025,6,5

乳幼児の舌小帯短縮症と上唇小帯異常

 4ヵ月の赤ちゃんなんですけど、体重がなかなか増えないんです。掛かっている医者には成長曲線の下のほうではあるけれども枠内に入っているので全く問題はないですよ!と言われています。おっぱいを上手く吸ってくれないので一度診て頂きたいのですが‥‥」と数日前にお問い合わせがあり、急遽診察をすることにした。待合室で抱っこさせて頂くと身体は反っており、口は常に開いた状態で舌は口蓋には貼り付いていない。笑って舌を前に出そうとしても舌尖が引っ張られる状態である。お母さんと膝を突き合わせた状態で赤ちゃんを寝かせて口腔内を診査すると、舌小帯の短縮と上唇小帯の高位付着を認めた。赤ちゃんが正しく哺乳するには口唇で乳輪を包み込むように咥え、乳首の先端を硬口蓋と軟口蓋の境目付近まで押し込み、舌を前後方向へ波のように伝搬する収縮運動によって哺乳を開始します。上唇小帯異常や舌小帯短縮が存在すると哺乳に不向きな所以はここにあります。従って母乳が出なかったというのは実は赤ちゃんの舌が正しく機能していなかったために哺乳が上手くできなかった可能性があり、母親には理解を深めて頂き後日ご主人様にも説明をさせて頂くこととなった。歯科臨床に携わって30年以上経ちますが、乳幼児に接する機会がなかったために赤ちゃんの哺乳がどの程度の割合で出来ていないのかは不明ですが、当医院を受診される乳幼児を診る限り舌の機能の適正化が必要な割合は高いと思われます。今後当医院では助産師さんと共に乳幼児を診ていく体制に移行することになりそうです。

                   2025,6,4

医療の質

 昨年11月に徳島で開催された睡眠歯科学会で講演された演者の先生のプレゼンの中に、「どんなに我々医師が頑張って治療をしても、良くなる人は10%ぐらいしかいない、という衝撃的な論文があるのでご紹介します」という話があったことが頭から離れないでいる。研究対象の母集団など詳細は分からないので当方が評価できるものではないが、日常臨床における感覚で言わせて頂くとすれば、歯科では歯を削った時点で生涯的には歯を失う方向へ舵を切ったことになるのは間違いのない事実であり、高額な費用を掛けてセラミック材料などで治療をされたとしても、失われた歯が元に戻ったわけではない。従って歯科で優先して考えるべきことは、如何にして歯を削らない環境を整えるかということであり、いつまでも“木を見て森を見ず”的な治療に終始していては、患者さんは歯科医院に通うたびに歯が悪くなる負のスパイラルから抜け出せなくなる。皆さんにはよく考えて頂きたい。一日の診療時間が8時間として、一人のドクターが診て治療することが出来る人数が8人の医院と、倍の16人、更にその倍の32人だった場合に、一人の患者さんへの説明と処置に要する時間はそれぞれ如何ほどになるのかを想像して頂けると、そこに日本の医療の問題点が浮かび上がってくるのである。我が国の保険制度は患者数を多く診なければ保険点数が上がらず収益が上がらない仕組みであり、結果的に一人ひとりの患者さんに割く時間が減り、結果的に医療の質の低下と医療への不信感が募ることになる。状態が悪くなってから手を施すのではなく、子供達の発している身体の異常のサインを見過ごすことがないよう注意深く観察するには、マニュアル的な診査方法では到底無理である。

                   2025,6,3

所見ファイル

 最近の診療における患者さんへの説明において、舌を含めた口腔周囲筋の機能について解説をしないことがない。なぜなら治療が必要となった歯の原因を遡って説明をするとほぼ咬み合わせに原因があり、そのかみ合わせに至った原因までを患者さんに理解して頂くには筋機能の働きについて理解が必要になるのである。当医院において治療よりも説明に時間を要する理由はここにある。説明だけではなく、患者さんの理解まで到達するにはこちらのプレゼン力が試される場面でもあり、約22年間の当院の患者さんの臨床データとその裏付けともいえる論文を揃えて提示することで、多くの方はその矛盾の無い説明に納得されているようである。但し人間たるものいつまでも記憶できる動物ではない。エビングハウスによれば、新しい情報を学んでも1時間後には約48%を忘れ、1日後には約70%が失われるということですので、当医院では2回目の来院に合わせて初診時に説明をした内容も含めた必要事項を所見ファイルとして作成してお渡ししている。後日、所見ファイルを読み込んだ患者さんから質問を受けるが、これが大事なのである。この質問を出来るぐらいご自身の口腔内に関心を持ち、治療の必要性の有無、治療内容の違いなどを文字にて記憶することで個々のデンタルIQが高まるものと確信している。

                   2025,6,2

同じことの繰り返し

 先月お越しになられた患者さんの中には、「奥歯の被せ物が2回外れて再度治療を受けているのだが、歯根にひびが入っていそうなのでこれ以上治療をすると歯が割れる可能性があると前の歯医者さんに言われた。」と問診時に述べてきた。同じ歯の治療を何度か受けている時点でなぜ?と患者さんは思わないのだろうか。それとも歯の治療なんて所詮そんなもの、と決めつけて諦めているのだろうか。被せ物が外れる原因は何か?同じ歯を何度も治療を繰り返す原因は何か?原因を突き止め改善させることが医療であるならば、問題を置き去りにして表面的な上物だけを挿げ替えても、それは臭いものに蓋をしただけである。“木を見て森を見ず”的な処置が繰り返されるのが歯科医療の現場で起きている実情だと、30年以上の臨床経験から残念だが確信している。この患者さんにも一緒に口腔内写真画像を見て頂き、説明を加えながら現状の問題点、現状に至った根本原因を理解して頂きながら、過去の治療履歴と照らし合わせて当方の説明と矛盾しないかを脳内で反芻して頂くことで、原因を改善しなければ再び同じトラブルが生じることを理解、そして納得して頂くことで、当方の説明に一点の曇りがないことを分かって頂くのである。今後必要と思われる治療を受けるかどうかは別として、素人なりに先ずは現状を受け止め理解することがなければ、ただ白衣を着た人の言いなりになるだけであり、時間が経てば不信感だけが募る経験をすることになる。

                   2025,6,1

達成感の無さ

 「全然割の合わない仕事なんですよね~!他の仕事も考えようかと思って~」と4月から新社会人として働き始めた方と美容院のスタッフさんとの会話が聞こえてきた。割が合わない・・・ということは給与が少ないと言いたいのでしょう。ここ最近の労働市場には「嫌な仕事にはいつまでも執着しない」「合わないと思ったらサッと次の仕事を探す」「転職は当たり前」といった考え方が広がっています。考え方だけではなく実際の行動としても目立つようになりました。そんな勤労者の気持ちに合わせるようにして就職斡旋業が活況を呈し、更には転職を後押しするようなサイトやCMが目白押しというような状況です。更に異常にも、退職を希望する本人に代わって勤務先に退職意向を伝えることを一つの業務として請け負う退職代行業なるものまで生まれる始末です。皆さんはこのような社会現象をどのように捉えておりますでしょうか。誰がどうみても理不尽な職場であれば問題外としても、入って直ぐに仕事や職場が自分に合っているとか合っていないとかを正しく判断することなどそもそもできないのではないでしょうか。失敗を繰り返しながらも、それを糧として何回かの成功体験をし、周囲からの賞賛や承認を受ける中で、仕事の楽しさや職場の良さを見出すことが出来るようになるものです。このお客さんのような会話を耳にすると、ちょっとしたことに対する人としての耐性の無さ、育ってきた環境の中において達成感を得るような経験が少なかった、もしくは皆無のまま社会人になったのではないかと考えさせられてしまいます。当方は経営者でもありますので、歯科医療という業務を通じて、当医院の仕事に対する考え方、目指す目標、行動規範といったものに共感、共有できる方と仕事が出来ることを望んでおります。8月からは経験豊富な看護師がスタッフとして加わることが決まっておりますが、歯科衛生士の方をもう一人募集しております。このブログに目を通されている歯科衛生士の方がいらっしゃいましたら、是非とも見学にお越しください。

                           2025,5,31

トインビーの忠告

 国連のパレスチナ代表の方が、「亡くなった我が子の前で母親が泣き崩れている姿を見てなぜ皆さんは黙って見ていられるのですか?」と涙を流し、イスラエルによるガザ地区侵攻を即座にやめるよう訴えていた。第二次世界大戦が終結後、粉争や戦争がこの地上から無くなったことはない。誰もが知るところではベトナム戦争、フォークランド紛争、アフガニスタン侵攻、湾岸戦争など枚挙にいとまがない。先日購入した1957年初版の古本A.J.トインビー著「歴史の教訓」のあるページには、“我々が歴史の教訓を学びとったというときには、それは過去に関する歴史的知識を習得するというだけではなく、そのような知識を修得してからその知識に基づいて効果的に行動するということ、すなわち、我々自身が同じ道をたどり、過去において衰亡した人々がやったのと同じ間違いを犯さずにすむように、その知識に照らして効果的に行動することを意味している。”とあり、先に購入された方が書かれたのであろう赤線が引かれている。トインビーがご存命だったら今の世界情勢を嘆くことだろう。今を生きる私たちは口にはしないものの、もし第三次世界大戦が起これば我々の文明は必ず破壊されてしまうということを知性のうえでは知っていおり、ごく一部の偏狭な考えを持った指導者たちによって平和の定義が歪められていることも理解している。過去を水に流してでもすべての争いごとを即座に止めることを望む。

                           2025,5,30

現状に至った原因を知る

 他院で数年前に歯列矯正治療をされた方が、歯並びの乱れを主訴にお越しになられた。成人矯正治療の9割が程度の差はあるにせよ後戻りすると言われている一例である。成人矯正治療であっても子供達同様に不正咬合に至った根本原因を取り除かなければ、ワイヤー装置やマウスピースを使わなくなれば筋肉の習癖によって矯正治療前の歯並びに戻るのである。長年身に付いた口腔周囲筋の筋肉パターンを変えていくのは頭で理解は出来ても実践するのを継続することが難しい。なぜならそんなことをしなくても生活の質は落ちないからである。来院された方には主訴以外にも気になっていることがあり、自分で唾を飲み込むだけでも咽ることが増えてきたとのことである。顔貌所見と問診から、この方の口腔内における舌のポジションは低位にあることが想像でき、姿勢は猫背で慢性的な首・肩凝りがある可能性があると指摘させて頂き、咽る原因についても舌の本来の動きを解説することで理解を深めて頂いた。この方がこれから先当医院で治療を望まれるかどうかは別にして、先ずは現状と、それに至った原因を本人の頭で理解することが何よりも必要であり優先されるべきことである。それ抜きにして患者さんが納得できる医療を受けることは出来ないものと確信している。

                           2025,5,29

小児の呼吸、気道を診る歯科医療

 なぜ子供達の不正咬合を改善させなければならないのか?母親は我が子の歯並びが気になって相談でお越しになられたが、父親からは「多少見た目が気になるぐらいで今は何ら困ってもいないのだから、何もワイヤーを掛けて歯列矯正をする必要はないんじゃないかと思っています。」とのこと。不思議なことですが、子供の口腔育成治療に関して反対するのは父親が多いのです。以前には、舌の可動域が狭く、舌と顎の分離運動もままならないお子様がいらっしゃいましたが、「食事も普通に食べているし運動も出来ている身体なのだから、本人が咬み合わせが気になるようだったら社会人になってから本人の意思でやったらいいんじゃないの?」とカウンセリング中に話しかけてくる始末。そういう方に共通しているのは、“歯列矯正治療=ワイヤー矯正治療もしくはマウスピース矯正で治療する”という固定概念から考え方を変えられないことです。当医院で取り組んでいる乳幼児から小児の口腔育成は歯並びが悪くなる根本原因を取り除くことであり、従って原因探しが最も重要になって来ます。合わせて親御さん一人ひとりにスライドを使用した丁寧な説明が必要であり、当たり前ではありますが以下同文のようなマニュアル的な説明とは異なります。最近分かってきたことには小児の不正咬合の症状は「小児OSA(閉塞性睡眠時無呼吸障害)」の症状と極めて近似しており、ただ不正咬合を治療するのではなく不正咬合の背後にある問題に対してもアプローチするということなのです。

                           2025,5,28

優先順位

 親は深刻である。子供の滑舌が悪いと感じ、診査を希望されてお越しになったものの、診断結果を聞くその姿に動揺の色を隠せない。無理もない、そんなことが我が子に起きていることをなぜ今まで気が付かなかったのか。今まで掛かっていた歯科では指摘をされなかったのに‥‥。結果には必ず原因があり、その原因を辿っていくと見えていなかったものが診えてくる。滑舌が悪いということは舌の可動域が狭いことを物語り、舌がきちんと挙上できなければ正しい嚥下機能が働かず、更には口蓋の理想的な拡大は望めず、案の定上顎歯列は狭窄を呈している。口蓋骨が小さければ上顎骨も本来の大きさには成長拡大することはなく、鼻上顎複合体の前下方への成長は抑制されるか後下方にのみ成長が進むことになる。口蓋が狭ければ舌は後下方に位置することとなり、気道を確保するためには姿勢は構造的に猫背になることが多い。原因をとことん突き止めると鼻閉と舌小帯の可動域制限が歯並びが悪くなる根源であることが理解でき、滑舌の悪さは舌に問題があることを理解せざるを得ないのである。原因が分かった以上はその原因を取り除くために行動に移すだけだが、塾などの習い事が多いと通院出来ないなど、身体を一番に考える環境が整わない。体幹が整わなければ机に向かっても集中力がそがれるばかりか睡眠障害も伴うことになれば成長ホルモンの分泌にも影響を及ばすことになる。心技体を整えるためにはプライオリティのトップに何が来るべきかを考えるべきである。

                           2025,5,27

読書

 待合室で待っている子供達の中で誰一人として本を読んでいる子はいない。暇な時間が出来るとスマホに手が伸び、おもむろに口を開けて瞬きもせず画面と睨めっこ。至る所で見られる現代社会の光景である。「楽しくなければテレビじゃない」とのスローガンを掲げ、ひたすら「娯楽を追求」の路線を突っ走ったテレビ局には大きなつけが回ってきた。日本は数々の内憂外患を抱えているが、その最たるものの一つが深刻な読書離れとそこに覆いかぶさってきたデジタル化の波である。教育現場においても活字を減らし、絵や写真入りの写っぺらな教科書が普及し、授業にもタブレット端末が当たり前のように導入され、文字情報を読み取ってそれを頭脳や心に焼き付けて蓄積するといった心や精神活動の源になる機会が奪われ、気付けば国際社会においても日本人の学力低下は明らかであり、それと共に国際競争力も低下の一途を辿り、国内においてはおぞましい事件事故が毎日のように発生している。政治家然り、国民受けするようなことばかり発信し続け中身も哲学もない、致命的なことにはしっかりとした国家観すらない人が選挙で選ばれる始末である。経済力が衰えるといった物質的な側面よりも、国民ひとり一人の心の衰え、向上心の欠如が今の日本の足かせであはなかろうか。今一度、幕末維新期の日本人のように読書に勤しむ姿を取り戻し、自国の歴史を学ぶ機会を国を挙げて取り組んだらどうかと提案したい。

                           2025,5,26

新患予約

 当方が歯科医院を開業した約22年前にはマイクロスコープ(実体顕微鏡)が歯科界において出回り始めたころで、根管治療をはじめとする精緻な治療はレベルを格段に上げて行えるようになった。その後それらの機器にはカメラやビデオも装着されるようになり、実際の画像や動画を使って治療内容の説明を行うことで、患者さん側にも状況は確実に伝わるようになったと確信している。我々がお世話になった諸先輩方の歯科医の先生方の時代には、インフォームドコンセントという概念もないまま治療だけを行うことも普通だったのかもしれないが、口にはしないものの治療に対する患者さんの疑問は少なからず存在したのではないか。肉眼でははっきりと見えない箇所が見えることによって治療の精度は当然向上するが、より精密な治療となるがゆえに一つひとつの治療には今まで以上に時間を要することになる。更に丁寧な説明を治療後に画像や動画を見せて行うわけで、一人の患者さんに要する時間が長くなることは容易に理解して頂けるものと考えます。となると、一人のドクターや歯科衛生士が一日の診療時間内に診れる患者数は限られてくるので、当医院では今現在大人の新規患者の受け入れを停止しています。治療枠に空きが出てくるようになればHP上でお知らせさせて頂きますので、当医院で治療、診査を希望される方は申し訳ございませんが今しばらくお待ちください。

                           2025,5,25

修正力

 MLBで活躍する大谷選手のプレーを観ていると、凡打する打席が続いたとしても必ずといっていいほど打撃フォームや打つタイミングを微妙に修正して残りの打席で結果を残す、そんなシーンを多く目にすることがある。その修正力こそが一流プレイヤーの証なのかもしれないが、修正すべきと気付く時点で非凡さを見てとれる。子供達の成長発達における身体の適正化をいつの時点で行うか、それは早ければ早いに越したことはなく、言語聴覚士のSharon moore氏によれば6歳までに少なくとも呼吸の仕方は改善すべきであると指摘する。問題は誰がそれを見抜き、指摘し、診査診断するかであり、当方の考えでは生まれたての乳幼児から歯科医が関わるべきであると考えます。なぜなら赤ちゃんが生まれた時点では頭蓋顔面の6割は完成されており、残りの中顔面、下顔面の成長発育が生後始まるからである。歯科医は口腔を診るという視点で歯並びを診てきましたが、不正咬合になる前段には顎が小さいという問題が起きており、顎が小さくなる原因には舌が口蓋に持ち上がらない、口唇が閉じられないなどがあり、さらに口唇を閉じない理由に口呼吸があり、その口呼吸の根本原因を探ると鼻閉と舌小帯、上唇小帯異常があることが分かってきているので、これらのどこに原因を抱えているかを総合的に診査診断できるのは歯科医であると思うのです。“成長発育の適正化”という視点で診査することが、子供達の将来抱える可能性が高い体幹の歪みや不定愁訴、呼吸障害による低酸素症から生じるADHDなどへのリスク低減に繋がるものと考えます。

                           2025,5,24

自己犠牲の精神

「口が常に開いているのでいつも注意するのですが、目を離すと直ぐにまた口を開けているんです。」と、お子様の咬み合わせが気になってお越し頂いたお母様の言葉。当医院に不正咬合の相談で来院される方からよく聞くフレーズですが、こちらから決まって言うことは、「そうやってお子様を注意しないでください!なぜなら口を開いていないと辛いから開けるのです。」と伝え、だからこそ口を開ける根本原因を改善させる必要があるのですと説明が続く。世の中の出来事には必ず原因が存在して結果がある。その原因にアプローチせずして表面的な部分のみ改善させても時間が経てばメッキが剝がれるようなものである。咬み合わせが悪くなる前には顎が小さいという問題が存在し、なぜ顎が小さいかと原因を辿ると舌が挙上されていないなど複数の問題が浮かび上がってくる。そのような考え方を親御さんに理解し共有して頂くためにはひとり一人向き合って話をする時間が必要であり、紋切り型の診療スタイルでは患者さん側の信頼には到達できない。日本の医療に欠けているのはこの部分であり、抜本的な改革を進めるのであれば医療現場の現実を直視すべきである。目先のこと、利害関係、肩書云々を排除し、日本の将来を案ずるならば少しは自己犠牲を払ってでも変えていく気概がなければ大きな岩はいつまで経っても動きはしない。

                           2025,5,23

スマホストレス

 通勤途中の人の中にはスマホを片手に持つだけでなく、画面を見ながら起用に障害物を避けて歩行しているの見かけるが、皆さんはどう思いますか。人に迷惑を掛けないように行動することがマナーであるならば、現代の通勤風景を見る限りマナーの存在など何処へやらといった感が否めない。前方を歩く人が遅いから右から抜こうにも対向車が来ればそうもいかず、よくよく見ればスマホ画面に気を取られるあまりの迷惑歩行である。電車の乗降時もワンテンポ遅いと気付くとスマホでゲームに夢中など、周囲を気に掛けることなど皆無の様子には唯々呆れるばかりである。四六時中完全にスマホに支配されてしまったスマホ脳では、人がもつ無限の可能性ある能力がスリープ状態になりやしないか。勿論スマホが悪なのではなく、それを使いこなす我々人間の問題なのだが、私も経験上調べものなど用が済んだら閉じれば良いものを次から次へとネットサーフィンに陥ったことはある。全くの時間の無駄であり、意味あるものは脳内には何も残らない。当医院の待合室でも幼児が騒げば直ぐにスマホを渡す親もいて、他人ながら「それでは躾にも何にもならないでしょ!」と聞こえない声で叫んでいる。便利さと引き換えに形に見えない大切なものを年々失っている日本の現状は、結果的には国力の低下につながっている。「赤信号 みんなで渡れば 怖くない」では済まされない現実を変えていくことは可能なのでしょうか!

                           2025,5,22

乳幼児の小帯リリース

 “もし間違った電車に乗ったら、最寄りの駅で降りて下さい。降りるのに時間が掛かればかかるほど、帰りの料金が高くなります”。これは先日もブログに載せましたが、電車であれば料金を払えば時間は掛かっても目的地に到着します。しかし我々の身体はそうはいかないのです。悪くなってから時間とお金を掛けても多少の症状の改善はみられたとしても元の状態には戻らないのです。健康を損なってから初めて人はこのことに気付きます。もしこのまま放置すれば健全な身体の成長発育に支障をきたすことが分かっている、もしくはその可能性が過去の臨床および文献等から高いと推測できるのであれば、医療関係者はただ様子を診るという消極的姿勢でよいのか一考すべきです。親から見せて頂いた1歳2ヵ月のお子様の就寝中の動画では、舌位は常に低位で口蓋から離れており、夜泣きも酷く毎日が大変であるとのこと。身体の反り返りも強く、普段の呼吸が苦しい状況にあることが予想される。口腔内診査では上唇小帯および舌小帯の異常を認め、ともにリリースの適応と診断し、ご両親様、そして祖母の方にも現状と予後について詳しく説明をおこなうことで理解を深めて頂き、一旦持ち帰って考えて頂いたうえでオペを希望するのであればご連絡を頂く運びとなった。そして本日、当医院にある波長2,780nmを発するEr.Cr:YSGGレーザーにて無麻酔科で処置を行い、出血することもなく無事に終えることが出来た。帰宅後も何ら痛がることもなく普段と変わりなく過ごされており、処置個所のマッサージも嫌がることなく出来ているとのご連絡を頂いた。事前の入念な診査診断が必要であることは言うまでもないが、親御さんのご自身が理解、納得するまでの時間をしっかりと待つことが何よりも大切である。

                           2025,5,21

Can a magnesium-rich diet reduce dementia risk?

 先月来日されたオーストラリアの言語聴覚士の先生のFBには最新の研究論文が頻繁に掲載されているのですが、今回のこの文献にによると、高マグネシウムの食事は脳の老化を遅らせ、認知症のリスクを低減させる可能性があるとのこと。

 オーストラリア国立大学の研究によると、マグネシウムの摂取量が増えると、年齢に応じた脳の低下から保護し、特に女性に利益をもたらす可能性があります。研究者では、40~73歳の6,000人以上の参加者からのデータを分析し、食物繊維の摂取と脳容積と白質病変への影響を追跡した結果、 毎日550 mg以上のマグネシウムを摂取している人は、摂取量が低い人に比べ、脳が55歳までにほぼ1年若く現れていました。

 更に更年期の女性が最大の神経保護効果を経験したことも明らかになり、マグネシウムの抗炎症作用によるものと考えられています。葉物野菜、豆類、ナッツ類、全粒粉などの食品に含まれるマグネシウムは、長い間健康効果で知られてきましたが、この研究では認知症予防の潜在的な役割を示しています。 認知症の治療法がない中で、専門家は脳の健康維持のための食事戦略の重要性を強調しています。

当方は普段のランニングにおいて、足がつるのを予防する意味合いでマグネシウムを多く含んだブロッコリーなどを意識して摂るようにしていますが、認知症予防にも役立っていたとは目から鱗です。

                           2025,5,20

添加物

 賞味期限切れの市販のウィンナーソーセージを使って歯科用レーザーの切削深度や切開面の確認を定期的に行うのだが、今回気になったのはレーザーではなく、賞味期限が3ヵ月も切れているにも拘らず一向に腐敗してこない肉の加工品である。加工品に含まれている防腐剤に相当する添加物がよほど含まれているのだろうか。噂では耳にしたことはあるが、日常的に我々の身体に吸収されているとしたら、生体内で何も害がないとは言い切れないのではないか。食品会社にしてみれば安全との認可を頂いているということにはなるのかもしれないが、消費者側は今一度自分の身体と相談してみては如何だろうか。念のため付け加えておくが、あくまで見た目と匂いで問題ないと判断したのであって、3ヵ月過ぎたものを口に入れたら味そのものは賞味期限内のものとは異なるのかもしれない。今の世の中、一切の添加物、人工物を口にしない日は皆無かもしれないが、短期ではなく長期的に蓄積された物質が我々の身体の細胞にどのような影響を及ぼしているのか、文献ベースで調べる価値はありそうである。

                           2025,5,19

診断力

 知人の歯科衛生士から、「私が見た感じでは口唇は閉じているのですが、その子の母親からは普段口が開いていると言われてます。以前お世話になった〇〇先生にも相談してみたのですが、特に今何かする必要はないのでは?と言われました。どうしたら良いでしょうか?」と相談の連絡を頂いた。的確な診査診断が必要な所以である。従来の子供の口腔内を診るような診査では、目の前の子供に起きている頭蓋顔面発育障害を見逃し、身体を適正化する時機を逸するのである。目の前の患者さんに起きていることを真摯に受け止め対応するのが臨床医であり、過去の知識に凝り固まっていては脳内アップデートがいつまで経っても始まらない。歯科業界も情報過多の傾向にあり、真贋で見る目を持たなければ月刊誌、オンラインセミナーなどに振り回されかねない状況である。医科で解決、改善できない問題を歯科からのアプローチでその糸口を見つけられる可能性が高まりつつある現在、今まで以上に日々の臨床の診断力を研ぎ澄ませ、向上させることが求められている。

                           2025,5,18

習慣

 “他人と自分を比べて考える習慣は、致命的な習慣である”という文言の張り紙を、立ち寄った蕎麦屋の厨房の壁で見かけた。その時は何ら気に留めることもなく注文した蕎麦を食べて店を後にしたのだが、数日後にふと頭に浮かんできたのである。日頃から時間の使い方が下手だと認識してはいるものの身に付いた長年の生活習慣を簡単に変えることはそう簡単ではなく、学会などに参加し講師の先生方のプレゼンを見るたびに、「普段の臨床もある中で、よくもそこまで資料収集や文献検索、症例作成など完璧にできるものだ」と感心していたが、それ自体が自分と向き合っていないことに気付かされた思いである。あのラッセルは『幸福論』のなかで、“他人と比べて自分には才能がない、お金がない、という思考習慣は、死に至るくらい致命的なことだ”と述べています。時間を無駄にしない生き方というのは、とにかく今やるべきことの優先順位を間違えないという、実にシンプルなことの繰り返しなのかもしれません。あの蕎麦屋の店主は60歳代後半とお見受けしたが、人生経験を重ねて思うところがあったのかもしれませんね。

                           2025,5,17

“Lack of Evidence is not Evidence.”

 専門家などで作る研究会が公表した赤ちゃんへの授乳方法の調査結果をNHKのニュース番組で放送していたが、その内容が非常に気になった。2014年と昨年を比較すると、母乳のみ、または主に母乳と回答した母親は78%から51%に減少、一方で育児用ミルクのみ、または主に育児用ミルクを与えていると回答した人は17%から29%に増加しており、授乳の仕方が大きく変化している。番組内では研究会の話として、この背景には共働き世帯の増加などが挙げられるが、10年前と比べるとミルクに対する心理的なハードルも下がっていることが考えられると述べている。ある大学の専門家は、「母乳は栄養価が高く免疫力も高めるなどの数多くのメリットがあり、そうした点を知ったうえで授乳方法を考えてほしい」と指摘されている。さらに「母乳であろうがミルクでも子供はきちんと育つ。大事なことは授乳の時間にスキンシップ、赤ちゃんとコミュニケーションをとること」と述べられていて、口腔機能に関しては一切触れられていない。栄養が取れていれば良いというのは先進諸国での話ではないと私は考える。舌を含めた口腔筋機能が低下、機能不全に陥ることで子供や高齢者、あらゆる年齢層の人々の健康が損なわれていることを認識しなければならない。哺乳瓶では、乳幼児がお母さんの乳首を口蓋に押し付けて口蓋骨に力を伝える代わりにはならない、頭蓋顔面発育障害の一つが不正咬合として現れているのであり、その原因を辿っていくと舌の機能に目を向けないわけにはいかない。“Lack of Evidence is not Evidence.”

                           2025,5,16

歯科用レーザー治療(Er.Cr:YSGGレーザー)

 2年ほど前から当医院の治療にはレーザー照射治療も導入している。HPの項目にその欄は設けていないが、先日治療を受けた患者さんからの指摘もあり、近日中に掲載することにする。お陰様で当医院には治療ではなく定期的な口腔内メンテナンス、経過写真撮影でお越しになる方が多くいらっしゃり、積極的に治療する医院から最低でも現状維持を目的とする医院への理解が浸透してきている。勿論、乳幼児、幼児、そして学童においては頭蓋顔面骨格の正常な発育を促進させるために不正咬合の芽が出始めた際には適正化に努めている。そのような中でやむを得ず治療が必要になった際には、治療の選択肢に歯科用レーザーが用いられることがある。歯科用レーザーには種類があり、Er:YAGレーザー(エルビウムヤグレーザー)、炭酸ガスレーザー、半導体レーザー、Nd:YAGレーザー(ネオジウムヤグレーザー)などが使われており、当医院では通常のエルビウムヤグレーザーの波長(2,070nm)より低い2,780nmを発するEr.Cr:YSGGレーザーため、他のレーザーよりも低い出力で高い切削力を示し、組織に含まれる水分子の瞬間微小爆発によって感染個所を取り除きます。またレーザーの熱には殺菌効果があるため、細菌を原因とする歯周病、根管治療に効果的であり、さらに治癒を促進する効果もあるので小帯切除、歯肉の切開にレーザーを使用すると短期間で治癒する傾向にあります。詳しくはHPに載せることにしますが、理想はレーザーによる治療も必要がない環境を整えることであることは言うまでもありません。

                           2025,5,15

信頼の低下

 「20数万の費用を掛けて約1年前に被せたんですよ~、被せた後からものが詰まると何回もその先生に言ったのですが、フロスと歯間ハブラシで磨けば問題ないって言われたんです。」とは初診患者さんの主訴、というよりは歯科医に対する不信感と苦情にも似た訴えである。通常の診査を実施すると、カメラによる口腔内撮影及びマイクロスコープで診るまでもないぐらい被せ物の不適合状態を確認でき、なぜこの状態で前医が良しとしたのか不思議なぐらいである。「高い費用を掛けてセラミックや白金加金のメタルを装着しても適合が悪ければ何の意味もないですよ!」としか言いようがない。このような診療が日本で行われていることは残念至極であり、歯科医師の技術力、診査診断力の問題ではなく人間性の問題でしかない。白衣を身に纏った人間であれば常に完璧を求めなければならないが、結果として力及ばずということがあったとしてもそれは人間である以上致し方ないと当方は考えるが、これは次元の異なる話である。宣伝文句のように医療機関の広告では“患者さんを家族のように思って!”などの文言を目にすることがあるが、目の前の患者さんを自分に置き換えて診査される身、治療される側に常になって接していれば、今回のようなケースはなくなるはずである。昨今どの業界においても人間力の低下は指摘されており、先ずは家庭教育、そして日本の教育を立て直すことをしなければ、この国はいよいよ立ち行かなくなるのではないでしょうか。

                           2025,5,14

海外で活躍されている方からの刺激

 当医院には海外協力隊として働きながら一時帰国時に検診にお越しになられる方が数名おり、それ以外にも海外でご活躍されている方も少なくない。把握している限りですが比率では8:2ぐらいで女性の方が多く、その方たちと話をさせて頂くと現地で起きている生の情報を耳にすることが出来るので、いつもながら治療時間を削ることになってしまう。そんな皆さんに共通している点は目が輝き、目的に向かって迷いなく仕事されている姿である。派遣された途上国では挫折感を味わう人も多いと聞くが、管理された日本の職場とは異なり、自分の判断や行動が途上国の社会的解決に繋がっていることを実感できるところに最大の魅力があるようである。ではなぜ女性が多いのかということだが、学生の留学率も女性が多いことからも、今の時代は若い女性のチャレンジ精神が高いのか、今までも女性はそうだったのだが活躍する場がなかっただけの話なのかと思わされる。当方の仕事は日々同じような診療をしているように思われるかもしれませんが未だに多くの気付きと学びがあり、臨床に関しては積み重ねてきた経験値と疑問、文献検索によるEvidennce融合、そして世界で活躍、実績を残されている先生方の生の声をオンラインで聞くことできるという刺激は、未知の領域へ誘ってくださる機会でもあり、いつの間にかベテランと言われる領域に入っておりますが、気持ちと脳内だけは若いつもりでおります。

                           2025,5,13

必要な早期治療とは

 素人的には咬み合わせに問題はないとみえる口腔内について、問題が潜んでいることを気付かせることが臨床医の務めであるならば、その説明にはそれなりの準備が普段から必要である。なぜなら説明するだけなら簡単だが、相手が理解、納得できる状況を作り出すには無駄のないプレゼンと時間が要るからである。下顎前歯部が生え変わる小学1年生から2年生の時期に、もし永久歯の萌出するスペースが無いとしたらそれはなぜか考えて頂きたい。親御さんからは、「今まで掛かっていた先生には歯が大きいと言われましたけど‥‥」、「親に似て遺伝だと思っていました」、「現代の子は顎が小さくなっているから」など様々な意見が寄せられる。説明をどこからすればよいか。人類が4足歩行から2足歩行になったことで‥‥と話を始めるときもあれば、頭蓋顔面発育障害の一部という切り口から入るときもある。上唇の裏側にある上唇小帯が上顎前歯にまで伸びていると何が良くないのか、舌小帯はなぜ存在し、それが咬み合わせとどう関係があるのか、など、そのお子様の状態とは無関係そうで実は根本原因であることをお伝えしなければならない。今はパワポや様々なツールを使ってその気になれば説明ができるが、昔の先生方は大変だったことだろう。目指すべき医療は「Health  Care=0」であり、上流の部分に問題があるならば早期に正すことを躊躇ってはならない。

                           2025,5,12

文献と臨床

 当方が大学を卒業した当時は文献を検索するとなったら大学の図書館まで行き、幾らか使用料を払って文献を探し、複写可能なものはコピーをして持ち帰っていた。しかしそれも頻繁になると段々と億劫になり、医局に残っている同級生にコピーを依頼するようになっていた。それが今では世界の論文をいとも簡単に手に入れることが出来、更には英文に行き詰まったら直ぐに翻訳機能で解釈することが可能である。最近では小児の睡眠時歯軋りについて、長年の疑問が解けたような文献に辿り着くことが出来た。具体的には、1)小児の睡眠時歯軋りは、鼻呼吸障害、舌の可動性の制限、扁桃腺の肥大と関係していた、2)舌の可動制限は小児の歯軋りの独立した危険因子であることが判明した、3)扁桃腺肥大、舌の可動制限、鼻閉は小児の歯軋りに相乗効果を及ぼす可能性がある、とのことである。文献というのは賞賛されるものがあれば反対意見を述べるものもあり、最終的にどちらの論文を選択するか、正しいと判断するかといえば、当方の臨床において起きていることを裏付けるほうである。臨床医は論文と臨床の現場で起きていることを常に照らし合わせる意識を持つべきであり、真摯に臨床と向き合ってさえいれば、自ずと結果は見えてくる。

                           2025,5,11

目覚め!

 親は子供の身体を考え不正咬合を改善させることに必死であるにもかかわらず、子供が取り組むべき毎日の咬み合わせトレーニングに向かう姿勢に真剣身が伝わってこない。理解が難しい幼児ならばいざ知らず、小学高学年ともなれば意識次第で変化を起こすことは可能な年齢である。今月も課題の達成率が6割に満たなかったら今後のトレーニングの打ち切りを提案させて頂くと、朝の院内ミィーティングで担当スタッフにも伝えた。なぜならこのまま当医院に足を運んだところで成果は上がらないだけではなく、費用を頂いているにも拘わらず結果が伴わなければトラブルの種にもなり兼ねないからである。夕方の予約時間に来院された女の子が持参した記録表には、毎日全ての項目を達成したチェックが記入されていた。“‥‥本当に?”とスタッフと私の脳裏に一瞬過った疑いは杞憂に終わった。「〇〇ちゃん、やっと目覚めたか!」の声掛けに満面の笑みで返してくれたその表情に院内は爆笑の渦に包まれ、辛抱強く我が子が行動に移すまで待たれた親には流石の思いである。「咬み合わせトレーニングは口だけではなく、子供の生活習慣の改善にも役立っています!」とのお言葉に、スタッフ一同救われた思いで一日の診療を終えることが出来き、子供達の頑張りが我々の原動力となっていると再認識させられた。

                           2025,5,10

読書量が民度を決める

 連日のように通り魔的な事件が発生し、物騒な世の中になってきたと良識ある国民は思っている。犯人に共通することは何か存在するのか、対策を取れと言ったところで何に対する対策か、このような類の事件はいつ頃から増加傾向にあるのか、など人間社会の荒廃が端的に表れてきているように思えてならない。むかし日本は読書立国と言われ、江戸末期、江戸に来たイギリス人達は、普通の庶民が本を立ち読みしている姿を見て「この国は植民地にできない」と早々に諦めたという。なぜなら、「自国を統治できない無能な人民のためには我々が代わって統治してあげる」というのが植民地主義の論理でしたが、庶民が立ち読みする光景に民度の高さを悟ったからだと言われています。年々書店の数は減り続け、年間一冊も本を読まない大学生も存在し、多くの日本人の活字離れが進んでいる。齋藤孝先生の書かれた本には、「語彙力の乏しい人には、自分の意識と言葉が自由にならないもどかしさが常にあり、どうしていいかわからず、その結果、周囲に感情をぶつけやすくなる」という一文があります。母語をしっかりと身に付ける家庭教育の見直しと学校における正しい日本語の習得、日常生活の中でストレス耐性をいかにして高めるかなどは、歴史的時間でみれば少し前の日本を取り戻せば良いだけのことであり、特別難しいことを取り入れるまでもない。「7歳児の子供達の読書量が、20年後のイギリスの立ち位置を決めることになる」と言ったブレア元首相の言葉は的を得ているとしか言えない。

                           2025,5,9

身体の異常サインを見逃すな!

 当方の拙いブログをお読みいただいている方には、“不正咬合の原因は舌にある”となんとなく頭に定着していることと存じます。低位舌は口腔発達のみならず全身発達に悪影響を与える最も大きな因子であると考えており、主に乳幼児期に生じた鼻閉塞や舌小帯短縮症、上唇小帯異常の代償として生じた現象であると捉えております。従ってそれらの要因を放置すると、口腔顔面筋機能障害を生じさせ、さらに頭蓋顔面の硬・軟組織の形成に悪影響を及ぼすことになります。身体はご存じの通り複雑な仕組みで構成されており、悪循環は順番に起きるのではなく同時に複雑に絡み合いながら進行していくため、診査は全体像を踏まえつつ整理する必要があり、医療従事者側の総合力が求められます。来院されたお子様の待合室での姿勢、口唇の開き具合、診療室に入る際の歩行姿勢などから口腔内の状態は推測可能であり、そのような普段の無意識下での状態に改善すべきポイントが多く含まれています。お子様の咬み合わせ、体調不良などでお悩みの親御様には、普段から口唇は閉じているか、上唇が富士山型を呈していないか、食事の際にクチャクチャ音を立てて食べていないか、いつもうつ伏せ寝をしていないか、など見慣れた光景の中にある将来的な身体の異常なサインを見逃さないでください。

                           2025,5,8

口腔筋機能療法だけでは・・・

 2年間の咬み合わせトレーニングを終了しても、目標としたゴールにまで辿り着く子供もいれば思うような結果にならない子供がいる。その原因は何かといえば、不正咬合に至る根本原因にアプローチ出来ていないからである。歯および顎が大きくならない原因に低位舌、お口ぽかん(口唇が閉じない状態)があるが、そのことによって何が問題になるのかを親御さんはしっかりと理解しなければいけない。いくら筋機能療法と呼ばれる治療、トレーニングを行っても、それらが生じる根本原因を正さなければ筋機能は改善しない。成果が上がらないケースの多くは鼻閉や舌小帯短縮症及び上唇小帯異常を放置したまま形だけのトレーニングを行うからである。成長途中にある子供達の不正咬合を改善させるためには、歯並びだけをワイヤーやマウスピースを使って治療を施してもほぼ後戻りが生じる。それはしつこい様だが根本原因を取り除けていないからであり、生体に起きている不自然な動き、生理反応を見逃してはならない。結果的原因は代償反応の産物であり、代償反応には必ずその原因が存在する。将来を担う子供達の健康を取り戻すためには、確かな診査診断と親の理解が不可欠である。


                           2025,5,7

変えていく勇気を!

 お子様は、普段から、またちょっとした拍子に口が開いていませんか?食事の際、クチャクチャ音を出していませんか?普段の姿勢が気になっていませんか?猫背でいることが当たり前ではないですよ!うつぶせ寝ばかりしていませんか?

                            “If you get on the wrong train, 

                                      get off at the nearest station,

                                     the longer it takes you to get off, 

                                the more expensive the return trip will be.

                           2025,5,6

Oral dysfunction as a cause of malocclusion(不正咬合の原因としての口腔機能障害)

  臨床経験を重ねるなかで、理屈ではなく現場で起きていることへの疑問が解決されないまま時が過ぎてきた感がありましたが、2019年に発表されたDr.Linda D`Onofrioの文献内容は、当方の臨床の疑問とそれを解決へ導く指南書であります。言語聴覚士である彼女は論文の中で、妊娠期母体の健康・乳幼児期における最適ではない母乳育児がOrofacial Myofunctional Disorders(OMDs):口腔顔面筋機能障害を引き起こし、その結果顎が拡がらず、歯並び、かみ合わせ状態も悪くなる、さらにその代償として咀嚼嚥下障害や睡眠時無呼吸、その先の更なる代償として心疾患、脳血管疾患などを引き起こすという、生涯にわたってのネガティブな連鎖が続くと語っています。つまり、最初は鼻づまりや舌小帯短縮などほんの小さな問題だったものが、解決されないまま雪だるま式に問題が増え大きくなり、人生の後半では歯の欠損、全身疾患の悪化、体幹の歪みなど後戻りできない状況になり対処療法を繰り返すという仕組みです。何らかの原因により引き起こされた代償は、さらに悪化させる因子になるということです。学童期以後はこのOMDが問題の最も上流にあるものとなり、持続的に影響を及ぼしていきます。従って、人生のどの時点で治療を始めたらよいかと考えて頂けたら自ずと理解して頂けると思います。

                           2025,5,5

子育てのスタイル

  耳にすることが多くなった「ダイバーシティ」「インクルーシブ」は、響き自体は新しく聞こえますが、その意味自体は広く日本でも醸成、大事にされてきたものです。当医院にお越しになられる子供達を診ていても様々であり、得意なことと苦手がある子、あまり積極的に話をしない子、そして障害のある子などがいて、子供達はいろいろな差異の中で生きているのだと気付かされます。多様性尊重が過大に叫ばれるようになった背景には、もしかしたら外国人の増加による価値観の違いもあるのかも知れません。我が子を育てるにあたって総論では多様性を尊重しつつも、いざ自分のこととなると別という方もいらっしゃるのではないでしょうか。多様よりは同質が安心という姿勢が、小学校や中学校の「お受験」を通して当方には映ってしまいます。いろいろな特徴を持った生徒と共に学び生活するからこそ、子供達は互いに様々な学びを得、違いがあるそれぞれを仲間として認め合い、ともに成長していくのです。親の許容値が狭い、価値観を押し付けるような教育では、子供達の潜在的な能力が伸びないのではないかと考えさせられる場面に遭遇することがあります。子供の成長は数値化できませんから、形に見えないと今の親御さんはどこか不安なのかもしれませんが、“余計な口は出さず、手も出さず、しかし目は離さず”というスタンスでお子様を見守る余裕が欲しいですね。

                           2025,5,4

虐待、ネグレクトと口腔機能発達不全

  子供の虐待は、虐待死の7割は3歳未満の子供に生じており、これははるかに多くの子供達が虐待の危険性にさらされていることを推察させる。虐待、ネグレクト=親の問題、と世間は受け止める傾向にあるが、子供の育てにくさからくる親のストレスの背景には、子供の口腔機能不全が関与していると診る歯科医は意外と多いのではないか。虐待の分類と定義と兆候を調べてみると、1)身体的兆候の中には栄養不良による体重増加不良、低身長、喘息などの継続管理が必要な疾患、2)多動、衝動性、愛着行動の不自然さ、3)乳児の哺乳や食事に困難があると、無理矢理飲ませる、食べさせるために損傷が起きる、他とある。舌小帯、上唇小帯の付着異常により乳幼児の舌が口蓋に上がらなければ母親の乳首を抑え込む込むことが出来ないので上手く吸啜できない状態となり、体重増加不良の一因となる。鼻呼吸をするためには同じく舌の後方が挙上して軟口蓋を塞ぐことが必要であり、それが出来なければ口呼吸が身に付くこととなり、舌圧による口蓋および上顎骨の本来の成長拡大が進まないことになり、生理学的にも十分な酸素が身体の隅々の細胞に供給されにくい状態となって注意欠如・多動症(ADHD:Attention-deficit/hyperactivity disorder)を引き起こす要因となると考えられる。人間、呼吸が上手くできなければどうなるかを想像して頂きたい。苦しくなって身体を捩じらせたりして何とか気道を確保させて空気を吸う行動にでる。それが乳幼児、幼児に起きているとしたら、夜間は夜泣きなどの症状を呈して親も満足な睡眠を得ることが出来なくなり、ストレス過多となって親自身の身体的、精神的な疲弊を来すことに繋がる。虐待に至る背景の一つには、乳幼児の舌小帯、上唇小帯への適切なアプローチが施されていないことで、子育てがし難くなっている可能性を日々の臨床現場で感じている。当方の現状における舌小帯短縮症(舌癒着症)および上唇小帯付着異常への見解としては、慎重な診査と親御さんのご理解の上、適切なリリース(切離)を行うべきと考えます。

                           2025,5,3

口腔機能の最適化をする時期はいつ?

  口腔機能の最適化を行うには当たり前のことではあるが口腔機能が正しく機能しているかどうかを診査しなければ分からない。「口腔機能発達不全症」という病名が保険収載されても一般の方にはピンとこないでしょう。公的健診の目的の一つは、罹患していないと思われる人の中から、罹患している可能性のある人を大まかに選別するスクリーニングにありますが、成長の早い乳幼児の場合は継続的な細かな診査記録を残すことで、口腔内の比較診査することが可能です。口腔の変化はまず、5~6ヵ月では授乳を受けているのでまだ歯は生えていません。口蓋は母親の乳首をくわえ込むために吸啜窩が存在します。7~8ヵ月で下顎の前歯が生えてきます。吸啜反射は終わり、離乳食の開始時期になります。9~11ヵ月では上下の前歯が生えてきて、口唇と舌の動きが分離されやすくなり、食べ物を口唇で取り込んだ後、口唇をしっかり閉じて舌で食べ物を処理するという動きが獲得されやすくなります。次に12~15ヵ月で乳臼歯が生えてきて、前歯で咬み切り、奥歯で食物をかみつぶすという歯を使った咀嚼が獲得されます。18ヵ月になると乳犬歯も生えてきて、食べられる食品の幅も広がっていきます。そしてこれらの過程における口腔内の変化をかかりつけの歯科医院で写真撮影をするだけでいいのです。歯並びは勿論、顎の大きさが適切に大きくなっているかどうかを点ではなく線で診ることで、適切な指導に役立てることが出来るのです。

                           2025,5,2

効率を求める社会

  ベテラン保育士さんから伺った話は、現代社会のどの業界においても通じる内容と思われた。経験の浅い保育士さんたちの研修において、子供を観察することや、それらをどう記録するかを講義したところ、「たくさんの記録を書くことは事務量を増やすことになり、効率が悪い」との声が上がったというのである。確かに記録を書くという作業は手間暇の掛かることであり、便利なアプリでも使えば「らしいもの」にはなるかも知れません。当方が新社会人になったころはカルテ用紙に患者さんの言葉をそのまますべて書くように院長先生に指導を受け、今でこそレセコンに変わったものの、要約ではなくそのままをすべて書くことで脳内に患者さんの主訴を焼き付けることが出来ている。その保育士さんによると、他の園ではコピペと思われる記録も出てきているという話も聞いているとのことで、事実よりも効率のほうに価値を置く社会の一端をみるようである。なにせフェイクニュースも繰り返し大合唱すれば本当になってしまう世の中である。そんな世の中で人間としてまともに生きていくには、常に自分と向き合うことが求められている。

                           2025,5,1

臨床の現場で何が起きているのか

  情報の真否を如何にして判断するか、これは専門外の人にとっては至難の業である。当医院でも必要に応じて行う「舌小帯短縮症」「舌癒着症」「舌強直症」と呼ばれる舌の可動域を拡げるオペに関しても、ネット上では様々な意見が飛び交っている。「もっと早く知っていればよかった」「手術は受けたものの、思っていたほど変化がない」など賛否もあり、舌のことで指摘を受けた方の中には何を基準にして判断したらよいのか分からなくて相談にお越しになられ方もいる。否定的な意見を持つ医療関係者に共通しているのは「エビデンス(科学的根拠)はあるのか」ということであるが、数日前のブログにも載せましたがLack of evidence is not evidence.(証拠がないことは証拠ではありません)”というのが30数年臨床の現場を診てきたものとしての率直な感想であり、それが真実でもあります。白衣を着ている人間が初めて診る患者さんを目の前にしてどれだけ注意深く全体をそして細かなところまで診査診断出来ているのか、今の医療に欠けているところはそこではないのか。持ち合わせている診断および治療の引き出しでは対応できないからと安易に「様子を診ましょう」と患者さんに言ってやしないか。分かっていないところをどうにかする目を持たなければ医療の現場は変わっていかない。誤解があるといけないので付け加えておくが、決してEvidenceを軽んじているのではない。

                           2025,4,30

関心の向いた時でないと・・・

  “嚥下(えんげ)”はあまり耳にしない言葉かもしれませんが、問診及び治療説明など行っていると患者さんから「あまり気にはしていなかったのですが、最近咽ることが多くなった気がします」「子供の頃から錠剤が上手く飲めないんです」といった声を聴く機会が増えてきた。その背景には、歯の治療をきっかけにその歯が悪くなった原因を遡て考えて頂くように解説を加えていると、ほぼ全員の方が説明が腑に落ちると仰ってくださり、今まで疑問に思っていたことを矢継ぎ早に聞いてくるのである。その過程において舌を含めた口腔周囲筋の筋肉の働きについて説明を加えると、嚥下、誤嚥、嚥下障害について深掘りした内容になるのである。多くの方は加齢とともに筋力が衰えて飲み込みにくくなると思われているが、そうではなくて元々上手く飲込み(嚥下)が出来ていない方が加齢という要素が加わることで、誤嚥しやすくなるのである。原因をさらに辿ると、ではなぜ嚥下が上手く出来ないのか?ということになる。そこで舌の可動域が問題として挙がってくるのである。人は誰しも疑問を持った時でないと真剣に考えないものであり、関心がないときにこちらがどれだけ熱弁をふるったところで心には響かない。そんな経験を多くしてきたからこそ、その経験が今生かされている。

                           2025,4,29

乳幼児の口腔機能回復

  「赤ちゃんの口が常に開いている状態は普通なのでしょうか?」と電話での問い合わせを頂いた。電話無料相談室ではないので基本的にそのような問い合わせにお答えはしないが、受診される乳幼児、およびそのような主訴で受診希望をされる親御さんが増えてきている。背景にはネットで得た情報をもとに本当のところはどうなのかを知りたいのだろうが、先ずは受診して頂き実際にお子様を診察させて頂かなければ、なぜそのような状態になるのかを説明して理解して頂けないのである。以前お越し頂いた7ヵ月の乳幼児は、当医院の待合室で眠っていたのでそっと下顎を引いて開口させてみると舌が口蓋から離れており、舌の根元を触診すると明らかに舌小帯が短く、舌小帯の拘縮による口呼吸が引き起こされている状態であった。人間は鼻呼吸する動物であり、口呼吸では本来の身体の生理的機能が働かなくなるだけではなく、舌圧による顎顔面骨格の拡大成長を抑制させてしまう結果となり、顎が小さく歯が入りきらなくなって数年後には不正咬合が出来上がるのである。ここで皆さんに伝えたいことは、歯科的な不正咬合も問題ですが、不正咬合に至る原因を遡って考えて頂くと、それらの原因一つひとつが悪い姿勢や将来的な体調不良及び不定愁訴の原因になっていることです。当医院では乳幼児の口腔機能回復のために、必要ならば舌小帯およびFasciaのリリースをご提案させて頂いております。子供達の成長は待ったなしです。“様子を診ましょう”などといって身体の成長を適正化する時期を逃さないでください。

                           2025,4,28

“The Enemy of thriving is arriving.”

  世界的に著名な耳鼻咽喉科医の講演は衝撃的な言葉から始まった。「メディカルスクールで学んだことの半分は、卒業後5年以内に完全に間違っているか、時代遅れであることが分かります」。ー“The Enemy of thriving is arriving.”‥‥20%頭の中で新しい発想があって、80%日々のルーティンをしていると、なかなか成長は出来ないーでは、これをどうやって80%New thinking、20%をExisting thinkingにできるかというマインドセットの変化が非常に重要になってくると言われているが、本日の演者は正にこの考え方を実践されている稀有な先生である。いざ自分を振り返ってみると、良くないと感じながらも日々の臨床に追われている部分が少なくなく、20%だけではないものの前者に当てはまるようである。しかし、以前であれば歯科領域ではないと決めつけていたような症例でも、歯科からのアプローチで改善の道筋を患者さんに提供できるところまで来ていることもあり、日々“New thinking”が当方の脳内を覆いつつある。ある意味では道なき道を進むようなところもあり、前進には勇気も求められるが、演者の先生には背中を押された思いである。30年以上の臨床経験を積んできても新鮮な気持ちで患者さんに向き合えることに、自分の可能性を信じたい。

                           2025,4,27

子供達の正しい成長発育を願って

  「Health care=0」を本気で目指すのであれば我々の身体に備わっている本来の機能を取り戻すべきであり、その歯車が狂い始めた初期の段階に医療関係者が必要最小限の介入で済むような医療体制に変えていかなければならない。つまり真の意味での予防である。薬を処方するのが医療ではなく、根本原因を断ち切るために結果的原因を分析し、そこまで悪くなる前には何が問題だったのかを追求する、どこまでも原因を追い求めていかなければならない。子供達の不正咬合を改善させるため、そして不正咬合にならないようにするために、徐々にすべきことが明らかになってきている。不正咬合でいえば、ワイヤーやマウスピースなどの装置を使って歯列を動かしたところで、かみ合わせが悪くなった原因がなくなったことにはならない。不正咬合の原因を探るなかで、舌の可動域、機能が呼吸、姿勢、自律神経系他多くの身体の器官、組織に主体的な影響を及ぼしていることが、一部の耳鼻咽喉科医、歯科医のあいだで共通認識となってきている。就寝中のお子様は穏やかな顔で仰向けで寝ていますか?それとも毎晩横を向いて寝ていますか?もしかして鼾(いびき)もしていませんか?それらの原因を理解できれば、お子様が健全な発育下にあるかどうかは診えてきます。お子様は身体の様々な情報を発信していますので、何か気になる点があれば、お問い合わせください。

                           2025,4,26

Lack of evidence is not evidence.(証拠がないことは証拠ではありません)”

  歳を重ねたことで健康観が変わってきたのだろうか。初診から10年以上経過した今、「最近よく咽るんだよね~、先生が以前から言っていた舌のことって、この事と関係があるのでしょうか?」と定期メンテナンスでお越しになられた方が、担当歯科衛生士に質問をしてきた。更に「膝も急に悪くなって手術しないといけないって言われているんです。」とのことである。“咽る=舌の筋機能低下”でもあるが、元々舌を含めた口腔筋機能が正常に機能していないところに加齢という要素が加味されたことで、以前の異常嚥下が嚥下障害(誤嚥)になりやすい環境になってきているのである。幼少期から舌の正しい機能が獲得され可動域が確保されていれば、頸椎の歪みや肩の歪み、そして体幹の歪みも最小限で済むところが、舌の可動域が狭いことで食べ物を上手く咀嚼することや活舌良く話をする機会も失われてきたと言えるのではないか。Lack of evidence is not evidence.(証拠がないことは証拠ではありません)”。子供の頃から一人の人間を数十年にわたって経過を追うことが難しい中で、どのようにしてEvidenceを作り上げていくか。今、歯科は変わろうとしている。歯科からのアプローチで、世の中の不定愁訴を改善できる可能性が見えてきている。週末にはアメリカから著名な耳鼻咽喉科医が舌に関する最新研究データを発表しに来日する。当医院での臨床の幅が更に拡がる機会となりそうである。

                           2025,4,25

親として

  待ちわびた高校生活での部活動に黄色信号が灯っている。子供の頃から野球が好きでよく父親とキャッチボールをして過ごしてきて、地元の少年野球チームには所属せず、テニスや陸上部で身体を鍛えてきたという。新入生の体力測定、様々な記録会においても常にトップの数字を叩き出し、周囲からは一目を置かれる存在か。そんな子供が悩んでいると、治療にお越しになられた母親が語り始めたのだ。憧れの高校に入学し、晴れやかな気分で野球部に入部したものの、部の雰囲気は毎日暗く沈滞ムードが漂い、練習及び練習試合におけるミスに対して指導者からは怒鳴り声を浴びせられるとのこと。「先輩からは、俺が一年の春に戻ったらこの部には入らないな!」と言われたそうだ。勿論詳細は知る由もないが、一昔のような理不尽な指導、根性論が蔓延るような部活であれば、生徒一人ひとりは指導者の顔色を伺いながら時間を過ごし、潜在的な能力の発揮どころか委縮しながら白球を追いかけることにもなり、心身の成長の妨げになるのではと心配至極である。親として思うところは多々あるにも関わらず余計なことは言わずに「あなたの判断をお母さんは尊重するから、急がずにこのまま続けるかどうかをしっかりと考えてごらんなさい。」とお子様に伝えたという母親からは、子供を信じる親の温かさを感じ取れた。

                           2025,4,24

フィロソフィ

  本棚に目をやると、『京セラフィロソフィ 稲盛和夫』が目に入って来た。「常に謙虚に素直な心で」「常に明るく前向きに」「真面目に一生懸命に仕事に打ち込む」「地道な努力を積み重ねる」「感謝の気持ちを持ち続ける」などといった、人としてあるべき姿、人としてなすべき「善きこと」について書かれており、更に「人生の中で一番大事なことは、世のため人のために役立つことをなすことが人間として最高の行為である」と続く。亡くなられた今でも私淑する偉大な方である。少しでも稲盛さんに近づきたい、稲盛さんのような価値観、判断基準で仕事に向き合い、経営にあたらなければならないと考える人間は少なくないはずである。医療においても同様であり、もしこれらに一つを加えるとしたら、「自己犠牲」ということになるのだろうか。形になるものだけしか評価しない世の中では、いつのまにか心が荒んでいく。個々人が軸のブレないフィロソフィをもって歩んでいくのはいつの時代においても必要である。

                           2025,4,23

適正化(optimization)

  乳幼児の舌小帯および上唇小帯が短いことが母乳哺育を難しくしている現状があるにもかかわらず、「何ら問題ないですよ!」と小児科の先生に言われたという1歳3ヵ月になるお子様を連れてお越しになられた方が以前いらした。上手く母乳が出ないから、赤ちゃんが吸ってくれないからという理由で哺乳瓶に切り替えたと仰っていたが、粉ミルクでもある程度の栄養を摂れることに間違いはないが、舌を含めた口腔機能の発育に関してはどうかという視点で捉える小児科医は果たして存在するのかと思わされるほど、舌の可動域への関心が低いようである。Lack of evidence is not evidence.(証拠がないことは証拠ではありません)”と常々思うのだが、臨床の現場で何が起きているのかをしっかりと医療関係者は診なければいけない。頭でっかちのままでは一度確立された治療法は改善されることなく提供され、真実から目を逸らすことになる。日々かみ合わせの悪い患者さんばかりを診ていれば、それが当たり前となって何の疑問も持たずに診査診断をしてはいないか。医療は健康を損ねる原因を取り除くことにあるならば、数に追われる診療をしていては、いつまでも真の気付きには到達しない。歯科からの適切なアプローチで、身体の適正化を推し進めるべきである。

                           2025,4,22

様子を診てはいけない!

  子供の咬み合わせ相談でご両親がお越しになられた。父親曰く、「歯列矯正治療は永久歯が生え揃ってからするものではないのでしょうか。私が子供の頃に掛かっていた歯列矯正の先生にそのように言われて、中学生になってからワイヤーを掛けて矯正治療を受けました。」とのこと。今でもそのように言う歯科医は多いのが現状ですが、考えてみて下さい。歯並びだけを綺麗に並べれば良いのでしょうか?なぜ歯並び、かみ合わせが正常から逸脱した状態になるのですか?歯はどこに萌出してきますか?顎顔面骨格の顎骨に歯が生えてくるのであり、その土台となる顎骨が大きく成長していないから歯が入りきらずに歯並びが乱れてくるわけです。であるならば、7歳で治療を開始せず13歳ぐらいまで何もしないで永久歯の萌出を待ったとしたら、その間に顎の骨はどうなりますか?骨は筋肉によって形作られます。従って、舌を含めた口腔周囲筋の習癖が存在するのであれば、その習癖を取り除かない限り顎骨は大きくなりませんし、結果的に歯が入りきらずに不正咬合になってしまうわけです。歯並びが悪くなった原因を取り除くことが歯列矯正治療の本来の目的であり、成長途中にある子供を何もしないで「様子を診ましょう」というのは、原因を放置するだけでなく、成長の適正化の機会を奪っていることになります。適切な対応、処置を受けるようにしてください。

                           2025,4,21

万博・iPS細胞の実用化へ

  大阪・関西万博はSNSによって来場者が増えてきているようで、当医院の患者さんの中にも「イタリア館はもう一度見に行きたいです!」と仰る方もおり、あまり関心が高まっていないというのは杞憂に終わるかも知れない。万博は将来の実用化を目指す最先端技術が多く展示されており、当方が関心を寄せているのは空飛ぶクルマiPS細胞由来の「心筋シート」である。とくにiPS細胞は、山中伸弥教授が皮膚や血液などの細胞から体の様々な組織になる性質を持つ細胞を作る方法を見つけたものであり、いよいよ臨床に応用される段階へと歩み出しています。2012年にノーベル生理・医学賞を受賞された際の会見で、「まだ誰も救っておりませんので、これからだと思います。」と述べられていた姿勢が印象的で、現在の大阪万博では、そのiPS細胞を心臓の細胞に変化させ、シート状にしたものが展示されており、脈を打つように拍動する様子が報道されています。実用化できるように国に申請も出しているということで、もし認められれば、iPS細胞を使った製品では初めてとなります(当方の知る限りでは)。尚、万博で展示されている心臓シートは期間中も培養が続けられているため、拍動が今より強くなる可能性もあるとのことですので、時間を捻出してでもこの目で確認したいものです。

                           2025,4,20

治療の考え方

  インプラント治療によると思われるしびれを訴える患者さんが友人にいると患者さんからの相談を受けた。当方が診断はしていないので確かなことはその方にも申し上げられないと断ったうえで、インプラントを埋入する前に考えなければならないことは、なぜインプラントを選択するような口腔内の環境になったのかをしっかりと理解しなければならないということをお伝えさせて頂いた。どういうことか。おそらく抜歯に至った歯は過去に何度も治療を受けたうえで最終的に抜くことになったのではないか。ならばその治療を繰り返した原因はどこにあるのか。食生活習慣にあるのであればショ糖の摂取量が原因の一つになるだろうし、機能的な咬み合わせに問題があるならば上下的な歯のあたりを改善させなければ何度も詰め物や被せものを装着しても、歯に掛かる力の外傷は変わらないので再び同箇所に問題が生じることになる。たとえそこにインプラントを埋入して被せものを装着したとしても何ら問題の解決にはつながらず、今度はインプラント補綴物もしくはインプラントの対合歯(かみ合う相手の歯)に損傷が起きる可能性があると考えるのが自然ではなかろうか。当方は決してインプラント治療を否定しているのではない。歯を失う原因を突き止めることもなく、無くなったところに義歯やインプラント補綴で欠損部を埋めるだけの考え方は目先の改善に過ぎないと申し上げたい。

                           2025,4,19

時間の余裕

  最近の高校生の部活動には親の参画も求められているようだ。お子様が高校生になった御さんが言うには、昔で言う部活の連絡網がグループLINEで作られているとのことで、半強制的に入らされることに抵抗があると仰っていた。仕方なくグループに登録したところ、今度はチャットを使って・・・とやらで、その方は普段からLINEを使用されているわけではないので、“すごくストレスなんですよねー!”と嘆いていた。まあいろいろな考え方がありますので個々人が判断すればよいことではありますが、その方は単なる連絡網として使わせて頂いて、その他の部活のことに関しては親は関知しないとの姿勢でいたいとのことでしたので、全てを周りに合わせる必要もないのではないでしょうかと当方からも話をさせて頂いた。アナログからデジタル社会になったことで最大のメリットは効率化にあることは言うまでもない。そのことで空いた時間を有効に使うことが出来るはずだったにもかかわらず、実際のところは空いた時間にさらに余計な?他の仕事などを入れて更に忙しく、自分の時間を確保できなくなってきているのが今の世の中である。時代の流れ、速さについていくことは必要ですが、時には立ち止まって時間の在り方を見つめなおす余裕も欲しいところですね。

                           2025,4,18

サブサービスの評価

  当方の開業地に以前からパン屋が多く存在すると認識していたが、今朝がたあるテレビ局で“パン屋の激戦区”として取り上げられたいた。当院にお越しになる患者さんや、仕事のサポートを依頼している助産師さんからも、「先生のお勧めのパン屋さんはどちらかありますか?」と尋ねられることがあり、その都度数店舗の候補を挙げさせてはもらっているが、正直なところどちらのお店のパンもそれぞれの特徴があって美味しいのである。約22年前にこの地に開業して以来、同業者も含めて多くのテナントの入れ替わりを見てきたものとして思うところは、“いかに求められているものに対応しているか!”という点に尽きる。飲食店であれば提供される料理の味、商品であれば物の価値、美容院であれば満足のいく髪型、ということになるのだろうが、それらはそれぞれの業種におけるコアの部分が当たり前として提供される部分であり、そのコアの価値を高めるものが敢えて言えばサブサービスであり、それはヒューマンスキルがものをいう部分であり、どんな時代であっても不変のものである。医療においても同様であり、日進月歩の医療でエビデンスは勿論、技術、診断力を高めていくことは医療従事者としては当然のことであり、その価値を評価して頂くためにも、自分自身が教養ある身だしなみ、言葉遣い、態度をとることのできる人間でいることが大切であると考えています。

                             2025,4,17

他者と比較しない

  通勤通学時間帯の電車内における高校生の会話が耳に入って来た。「部活どうする?どこに入るか決まった~?」、「野球部を考えているけど、ラグビー部もテニス部も気になっているので一応体験には行ってみようと思っている」。毎年この時期に交わされる新入生の会話にはどこか期待と不安が入り混じっていて、遥か彼方の昔の自分を思い出す時間となる。見学に行ってしまうと断り切れなくてそのまま流されて入部させられてしまう、そんな怖さにも似た緊張感が先輩後輩の関係にはあったが今はどうなのだろうか。高校進学を機にあえて中学までとは違う部活に入入り可能性の枝葉を拡げる生徒や、更に同じ競技を極めようする希望に満ちた15歳もいることだろう。切磋琢磨し、見える能力と見えない能力をそれぞれ伸ばして青年から成人への階段を自分のペースで登っていけば良い。ちょっとした躓きで自信を失うこともあるだろう。そんな時には他人と比べて、自分には才能がないなどと決して思わないことだ。ラッセルは『幸福論』のなかで、“他人と自分を比べて考える習慣は、致命的な習慣である”と述べています。自分の意志さえしっかりあれば、他人と比べない習慣を身に付けることが出来るものです。常に心の安定を保つ秘訣は、“他者と自分を比べない”ことにあるのではないでしょうか。

                             2025,4,16

成長発育の適正化

  睡眠ほど人間の身体にとって重要なものはない。子供の睡眠不足は成長ホルモンの分泌抑制に、全世代にわたっての睡眠不足は脳の老廃物アミロイドβを除去する生理学的なメカニズムにも影響を及ぼすことが分かってきている。以前当医院にお越しになられた4歳児は、毎晩12時間の睡眠をとっているとのことで時間としては十分ですが、その睡眠中に何度も寝返りをしていたとのこと。更に、時には壁を叩いて一晩中動いているような日もあったとのことです。なぜそのような行動になってしまうのでしょうか。皆さん、鼻を摘まんだ状態を維持するとどうなりますでしょうか。そうです、苦しくなるので身体を動かして何とか呼吸をしようときっとしますよね。この4歳児のお子様は先ずは呼吸が上手くできていないと診るべきなのです。呼吸が上手くできない(口呼吸になる)原因の70~80%は鼻閉にあります。10~20%は舌小帯と上唇小帯の付着異常によるそれぞれの可動制限が関係しています。残りは生活環境の変化、そして2~5%が遺伝と考えられています。歯医者なので歯並び、かみ合わせという表現をしますが、不正咬合に至った原因を探っていき、その根本原因が上記に当てはまるようであれば、治療すべき対象は歯並びではなく根本原因なのです。根本原因を解除したうえで代償性の原因を改善させ、結果的原因である不正咬合を正していくという考え方が必要なのです。子供の成長発育過程のどこの時点で適正化を図るべきか。それは年齢が低ければ根本原因を除去しやすいということになります。お子様の口は常に開いていませんか?呼吸は口唇を閉じて鼻でするものです。

                             2025,4,15

AIの有効活用

  AIやロボットは我々の仕事を完全に奪うようになってしまうのか。人間はいるのに働き手の減少が止まらない日本において、仕事はどこまで自動化が進むのだろうか。大阪万博では未来を見ることが出来るようだが、歯科医療の未来展示ブースなるものがあれば覗いてみたい。歯科の臨床現場ではCAD/CAMも導入され、技工物の設計から製造まで効率化が図れているところもあるが、ただ物を作るという視点で見た場合はある意味では自動化が導入されている。出来上がった技工物の精度という側面においてはまだまだ改良の余地が多く残されており、人間の指の熟練したレベルの器用さは機械では再現できていないというのが実感である。尚、当医院ではCAD/CAMは導入しておりません。当方の日々の臨床で難しいところは、こちらの説明を患者さんが本当に理解しているのか、わかっているフリをして本当はわかっていないのか、などを読み取るところであり、勿論こちらの人間力が試されている場面ではあるが、AIが100%の確率でそこを判断出るのであれば、患者・医療者側双方にとって間違いのない極めて有効活用できる存在となる。

                             2025,4,14

Noと言える日本人?

  街中のコーヒーショップにてLサイズのホットコーヒーを注文したところ、どうみてもRサイズと思われるカップで手渡しされたので、「あの~、Lサイズをお願いしたのですが‥‥」と店員さんに確認したところ、「ハイ、Lサイズです!」と当たり前の顔で返答があった。本当に??と固まっていると、Rサイズを受け取りに来られたお客さんが手にしたカップは何と小さいことか。世の中全ての商品が値上がりはしているものの、値段を据え置いた分、容器が小さくなったのだろうか。ならばSサイズとRサイズとメニューの表示を変更した方が親切ではないかとさえ思えてきた。賃上げしろ、備蓄米を放出しろなど御上からの要請は如何なものかと思っているが、他国の関税措置も含めて忍の字でガタガタせずにどっしりと構えてみることもあっても良いのではないでしょうか。大国のリーダーの発言に右往左往させられている我が国の在り方を見るにつけ、骨太の英知に富んだリーダー、国会議員が存在しないことに、国の威信の低下を憂慮しないわけにはいかない。良識も見識もない相手国に対して「それがどうした!」ぐらいの覚悟をもって交渉に臨むことができるかどうか。「Noと言える日本人!」を見せつけてきて欲しいものである。

                             2025,4,13

大阪万博

  大阪万博が開会し、大阪及び関西エリアは賑やかになっているのかもしれないが、当方の周りでは話題に上がることは今のところない。各国のパビリオンは資材の高騰、出店国の政情など様々な理由はあるにせよ、5ヶ国が完成出来ていないとのことで、以前であれば考えられないことである。半年間の開催期間があるので、今の時代は来場者のSNS発信などで情報は拡散され、より周知されることになるのだろうが、魅力ある先進的な各国の取り組みがどのようなものか個人的には気になるところでもある。年間約3,700万人の外国人が訪れる観光立国となりつつある我が国を他国の人はどのように評価し発信するのか。経済効果を期待して訪日客の取り込みに力を入れてきた政策の一環でも、日本の代名詞“おもてなし”を実感してもらわなければ、真の意味で日本そして日本人の奥ゆかしさを理解して頂けない。先ずは万博を訪れる人と迎い入れる人との素晴らしい出会いが生まれ、我が国の良さが世界に発信出来きれば、万博開催もより意義あるものと評価されることだろう。

                             2025,4,12

浪人時代の経験

  「雪深く路見えず、今しばし待たれし」とは、約40年前にある国立大学から送られてきた電報である。一次試験の不出来を二次試験の小論文で挽回しようと奮起したもののあえなく撃沈させられ、その後の多浪生活への入り口となった。1年目は“負けてなるものか!”との思いも強く、夏ごろまでは学力の向上を期して予備校へも休むことなく通塾したものの、数回に及ぶ模擬試験において結果が伴うことなく迷いと自信喪失によるマイナス思考が徐々に我が身を包み込むようになっていった。振り返ればメンタルの弱さが浪人生活に至った原因だったと結論付けられるが、2浪目が確定したこの時期のあまりの喪失感に何も手が付かず、日々、時間だけが過ぎていったことが昨日のことのように思い出される。自分がこんなにも思い悩み続けているにもかかわらず、世間の人は何事もなかったかのように過ごしていることがなぜか理不尽にさえ思えたこともあった。そんなある日、衝動的にローカル線に乗ってちょっとした旅に出かけてみると、会話を楽しむ人々や楽しそうな家族連れ、部活帰りの高校生、一人物思いに耽っているような中年の男性など普段であれば気にも留めない人々が目に入り、人はそれぞれだと気付かされたことで、受験の失敗などは些細なことだと思えるようになった経験がある。勿論親の支えがあっての浪人生活ではあったが、人生はちょっとした切っ掛けで一歩踏み出すことが出来るものだと知り得た貴重な時間だった。

                             2025,4,11

歯並び相談の急増はなぜ?

  歯並び相談の親子が後を絶たない。もしも当方のブログを見ている方の中にお子様の歯並び、かみ合わせ、そしてお子様が落ち着きがない、口が開いているなどで気になっている方がおられたら、先ずは不正咬合はなぜ生じたのかを順を追って考えて頂きたい。身体の成長を歯車に例えて考えると、様々な歯車が組み合わさって我々の身体は出来上がることになる。歯並びが良くないということは、どんな歯車が上手く機能しなくなったのかと考えて頂くと、顎という歯車が大きくならなかったからということになる。次に顎が大きくならなかった原因の歯車として低位舌とお口ぽかん(口唇が閉じていない)が挙げられる。舌が口蓋につくことで上顎骨は拡大するのであって、低位舌では拡大にはつながらない。そしてこの低位舌とお口ぽかんの状態では、正しく嚥下(飲み込むこと)が出来ないので表情筋や口輪筋、頤筋など本来は動かさない筋肉を使って嚥下するようになるので、余計な力が顎骨及び歯列に掛かることになり、様々な歯並びが生じることになる。ではなぜ低位舌とお口ぽかんになるのかと考えると、そこには口呼吸という間違った呼吸様式が存在するのである。まとめると、これら低位舌、お口ぽかん、異常嚥下、口呼吸が存在すると、正しく口腔機能が働かない状態となるので、今では口腔筋機能療法がおこなわれるようになっているのである。しかし、これら4つが身に付いてしまう根本原因を正さない限り、口腔筋機能療法だけを行っても思うような効果は出ないのが現実である。では何が根本原因として挙げられるのかと言えば、1)上唇小帯異常、舌小帯異常、2)アレルギーによる鼻閉、3)生活習慣、4)遺伝、なのである。このなかで歯科でアプローチできるのは1)と3)であり、2)に関しては耳鼻咽喉科領域となる。お越し頂いた親御様には上記の内容を説明させて頂いたうえで、気道狭窄、睡眠障害、発達障害へと繋がる考え方を詳しく説明させて頂いている。そのうえで、今後何をどのように進めていくのかを一緒に考え、その考え方を共有できた時点で、かみ合わせのトレーニングを始めることになる。

                             2025,4,10

吉田松陰の言葉

  幕末の志士、長州藩の吉田松陰の名言に、“夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし、故に、夢なき者に成功なし”という言葉があります。成功する人に夢や理想があることは間違いありませんが、夢があれば必ず成功するわけではなく努力が必要であることも事実です。右も左も分からない歯科業界に飛び込んで約31年が過ぎようとしていますが、むし歯を見付けてはきちん治療を行うことに全力を傾けていた時代から、いまや如何にして歯を削らないで保存できるかという真の意味で予防が叫ばれるようになり、う蝕罹患率も極めて低くなっている。一方で、咬み合わせが良くない不正咬合は年々増加しており、5人いれば4人が歯並びが悪い状況にまでなってきている。今更夢なんて・・・という年齢かも知れませんが、もし松陰先生に夢を語れと言われたら何と答えるか。今の言えることは、「頭蓋顔面発育障害をなくして子供達の成長軌道を適正化し、心身ともに健全な身体にする。それが出来るのは歯科医師である。」ということになる。“Health care=0”、世の中から医者がいなくても困らない世界実現に向けて、誰も通っていない道を進むだけである。

                             2025,4,9

-最も困難な道に挑戦せよ-

 「Always do what you are afraid to do-最も困難な道に挑戦せよ-」を合言葉として、伝統として「学習活動」、「学校行事」、「部活動」のすべてに全力で取り組んでいる高校がある。この三つの教育活動のスパイラルな展開を経験することで、生徒たちは「見える学力」と「見えない学力」の双方を向上させ、極めて高いレベルの文武両道を実現させることが出来ている。それは卒業生の社会に出てからの活躍ぶり、社会貢献度をみれば証明されているといえよう。この-最も困難な道に挑戦せよ-に今の当方は背中を押される思いである。日本のガイドラインでは、母乳哺育と舌小帯との関連は否定され、早期アプローチは奨励されていない。しかし、亡くなられたある耳鼻咽喉科医のもとには母乳育児が上手くいかず、しかるべき処置を希望して多くの母親、乳幼児が日本だけではなく世界から来院されていた。術後にこれだけ劇的に変わるオペは世の中に存在しないと感じたあの真実の瞬間を正義感だけで安易に取り入れることは出来ない。必要なのは、学びと経験と環境と、そして覚悟。放置すれば成長発育の適正化が行われないまま子供達の身体は望まない方向へと進んでいく。今ここで何とかしなければ。

                             2025,4,8

舌小帯の拘縮と脳の機能異常

 当医院において乳幼児の母乳の哺育状態を診察するようになってからというもの、なぜ舌小帯への関心が医療関係者の中で重要視されていないのかが不思議である。高齢ではあるが現役の小児科医の言葉では、昔は赤ちゃんが生まれたその場で舌小帯が短ければ切離していたが、1970年以降急速に世の中に粉ミルクが普及し始めて(粉ミルクはそれ以前から存在)からは、母乳哺育が出来なくても栄養面の心配はないということで舌小帯のリリースをする必要性がないと言われ始め、それ以来オペはしない方向にあるとのことである。栄養面では・・・というのはある程度理解できるが、舌の機能に関しての考察はどうなってしまったのかという疑問が残る。約20年後の1990年以降、不正咬合を抱えた人が増えてきたという実態は、舌小帯リリースの機会が減ったことによる機能異常と何らかの関係があると診るべきではないのか。また、脳の機能異常と言われている発達障害、自閉症スペクトラム症の患者さんはいつ頃から増えてきているのか。もしも1970年以降増加傾向にあるとしたら、呼吸器官である舌との関係は無視できないのではないか。あくまでごく普通の歯科医が日常臨床で経験していることからの推測であることを付け加えておく。

                             2025,4,7

歯の再治療は必要か?

 これだけ世の中に情報があふれている中で、未だに加齢で歯が悪くなったと思い込んでいる方がいるのは意外である。口腔ケアに関して国民のデンタルIQは30年前に比べたら雲泥の差があり、来院時にネット情報が正しいのかどうかを確認したいと質問してくる方もおられるぐらいである。「歯は毎日磨いているんだけどね~?」と言いながら歯の痛みを訴える患者さんに多く診られるのは、歯磨きをしていても歯をきちんと磨けていない、ただ歯ブラシを動かしているだけのケースである。むし歯でもないのに歯が痛いと訴える方の多くは、咬み合わせによる外傷(咬合性外傷)がらみの疼痛の発現であり、根本的には咬み合わせを改善させなければ症状は繰り返すことになる。理想的な歯並び、上下顎的にも安定した咬み合わせ、口腔ケアも行き届いていれば、たとえ食いしばりや歯軋りが発現したとしても歯を失うほどのトラブルにはつながらない。しかし、どれだけ丁寧に写真やスライドを使って時間を割いて説明を行ったとしても、患者さんの理解度を推し量ることは出来ないのが臨床である。1~2カ所のほどの治療箇所であればまだしも、複数歯の治療を要する歯がある際に、個々の説明ごとに承諾のサインを頂くのは、如何なものかと常に頭をよぎる。歯の治療は決して元の状態に戻ることはないという大前提を理解して頂いた上で、そのまま放置するよりは然るべき処置を行うことで歯の延命が図れる可能性がある場合のみ治療を受ける、ということを理解しなければいけない。

                             2025,4,6

授業に集中せよ!

 せっかく第一志望の高校に合格が決まり塾から解放されたと思いきや、「高校の数学に付いていけるか不安なので引き続き塾に通う予定なんです。」とは、なんとも勉強熱心なお子様なのか。先取りの勉強をすることになるのかもしれないが、今どきの高校生は塾や予備校通いをしながら高校生活を送るのがごく普通なのだろうか。当方の高校時代とは違うとはいえ、何か違和感を覚える。高校そして大学に行く目的は何か。“学び方を学ぶ”のが学生のあるべき姿勢であり、それは古今東西、どんな時代においても変わらないもではないか。だから教員の資質が問われるのであり、同窓のカラーというものが有形無形に子供達の内面の成長に影響を及ぼすのである。決して放課後の塾通いを否定するものではないが、高校生活を過ごしていく中でしっかりと自分と向き合い、それからどうしても外部の力を借りたいという判断に至るのであれば、それから塾なりを選択しても良いのではないか。何でも予防線を張って生きていくことは、心や精神が逞しく育つ機会を逸してしまうように思えてならない。先ずは高校の授業に100%集中し、授業中にすべてを理解できるような環境づくりをすべきと提案したい。

                             2025,4,5

成長発育の適正化

 原因不明の症状を抱えた方への問診から診えてくるものは、既存の治療法では一向に改善されていないことである。原因が掴めていないにもかかわらずとりあえず薬を処方して様子を診ることが医療の現場では行われていることが多い。勿論薬の副作用などを患者サイドにも理解して頂いた上での治療とはなるのだろうが、それでも期待するような結果が伴うことがなければ患者さん、そして親御さんは落胆の繰り返しとなる。約15,000ほどの病名の付かない疾患があると言われる今、やむを得ない部分もあるのかもしれないが、可能性のある治療に関してはたとえEvidenceが確立されていなくても一歩踏む出すことも必要なのではないか。自閉スペクトラム症はこれまでのところ確実にそれと断定されている原因はないが、先天的な脳の機能異常により引き起こされていると考えられています。この考えられているという表現は絶対ではないのであり、なぜ脳の機能異常が起きるのか、脳への酸素供給量が低下した状態で成長が進んだらどうなるかと想像してみることは果たして無駄なことなのか。常に口呼吸が身に付いている人は身体に必要量のCO2を貯蔵できないために、血中の酸化ヘモグロビンが身体の各組織の細胞に酸素を供給しにくい状態が継続し、それが脳で慢性的に起きていると仮定したらどうなるかと想像して頂きたい。不正咬合になる根本原因を辿っていくと歯ではなく舌の可動域、舌を含めた口腔周囲筋の習癖改善、頭蓋顔面発育の成長、呼吸、そして生理学的なメカニズムの適正化が避けられないことが分かってくる。子供達の身体の機能の適正化に医療従事者はフォーカスすべきであり、そこに薬の処方は必要ない。

                             2025,4,4

終わりのない旅

「専門家は専門能力があるからといって無教養だったり、もろもろの事柄に無知だったりしていいのか」との文言が痛切に私の心に響いてくる。なぜなら日々教養の無さを嘆いているからである。教養とは決して知識の多寡のことではないが、この年齢になっても知らないことが多いと気付かされることが少なくない。本日の日経新聞には、日本アスペン研究所の3代目理事長の紹介文に経済界や政官界の指導層たるものは古典、歴史、哲学、宗教、文化芸術、自然科学、なかんずくリベラルアーツの素養を身につける。これを実践する研究所を率いる。」とある。このリベラルアーツを身に付けることはある一時のことではなく、生涯を通じて求めていかなければ人間力は高まらず、仕事に必要な左脳だけでなく、右脳を全開にして新しいものに出合う機会すら手放すことになる。自分を掘り下げて謙虚に向き合うことで、先々すべきことが見えてくるというものか。人生は終わりのない旅である。

                             2025,4,3

想像力

人間の身体の正しい成長発育を先ずは医療関係者が学び直さなければならないのではないか。そんなことを考えさせられるようなお子様の受診が相次いだ。親御さんは我が子の健やかな成長を願い、毎朝元気な声で「おはようございます!」という第一声で子供が起きてくる、そんな当たり前の日常生活を送りたいだけである。そんな日々の中で子供のちょっとした体調の変化や所作の違いに戸惑いを覚え、もしかしたらと不安を抱えて医療機関を受診する。何でもないことを願いながらも、頭の隅には稀な疾患でも見つかるのではないかと気が気ではないはずである。そんな時に、「まだ成長途中にありますから、暫く様子を診ながら過ごしてみてはどうでしょうか?」と医者が言おうものなら、その様子を診ている期間は身体が適正化されないまま成長が進むことになる。外傷を受けて患部が治癒するのを経過観るのとは異なり、診断が出来ずに「様子を診る」という医師の言葉ほど見過ごすことは出来ない。勿論原因不明の疾患は多々存在し、医師が絶対ではないことは誰もが知っていることではある。我々の知識には限界がある以上、臨床医は想像力をもって診断にあたらなければならないのではないでしょうか。

                             2025,4,2

読書

ネットの普及に伴い、現代人は今や様々な情報に瞬時にアクセスできるようになりましたが、反比例する形で読書をする時間が減ってはいませんでしょうか。かつては電車の中で読書をしている人を必ず見かけたものですが、今ではスマホの画面に釘付けという方が非常に多いです。また書店では“なぜ働いていると本が読めなくなるのか”というタイトルの本が売れているそうです。決してスマホが“悪”で読書が“善”なわけではありませんが、スマホを片時も手放さない人が多すぎるのが気になります。診療室で治療を受けている時でさえ手にスマホを握っていて、口をゆすぐ際に必ず画面をチェックするのです。そんなこと別にどうでもいいだろと言われればそれまでですが、常にどこかとコミュニケーションの形が継続されていることで、自分自身に向き合ったり、自分自身を掘り下げて考える時間が足りなくなっているのではないかと危惧してしまいます。それに対して読書は著者との対話、思考を深める時間ではないでしょうか。読書を通じて様々なことを理解する読解力を身に付け、得た情報や思考を咀嚼し、自分を創り上げていく一つの作業でもあると思います。年度も変わり新たなことに挑戦を始める方も多くおられるのかもしれませんが、今一度“読書”と向き合う時間を日常生活に取り戻してみませんか!

                             2025,4,1

誤嚥を防ぐための手引き??

こども家庭庁が保育所や幼稚園など向けに、乳幼児の食べ物の誤嚥を防ぐためイラスト付きの手引をまとめたと今朝の新聞に掲載されている。使用を避ける食材として粘着性が高くて飲みにくいもの、球型や大きさから気道に入りやすく詰まりやすい、弾力性があり噛み切り難いものなどを挙げている。更に食事の際は、水分でのどを潤す必要性を指摘している。いやはや困ったものである。乳幼児を預かる側の万が一を避けるためにリスクを考慮してのことだと理解はするが、誤嚥はなぜ起きるのかを根本的に考えないといけない。ブログでも再三述べさせて頂いているが、舌の可動域制限があり、舌を口蓋に張り付けることが出来なければ正しい嚥下は出来ないのであり、先ずは乳幼児、幼児たちの口腔機能の診査を優先させるべきであり、どこの組織機関がこのような働きかけを国にしたのかは知る由もないが、全くの的外れな指導手引きには呆れるばかりである。国の手引きに沿えば、ジェル状の流動食でも摂っていれば栄養は摂れて誤嚥をすることはないと解釈もできる。毎食ジェル状のもので過ごすことになれば、口腔機能はどうなるかを想像して頂きたい。舌を使って食塊を丸めることも左右に寄せる必要もなくなり、口蓋に這わせて舌を挙上して口腔咽頭へ送る必要もなくなり、益々機能低下が促進されることにもなろう。どんなものでもしっかりと食べ、正しく嚥下が出来るように指導するのは歯科医療関係者である。身体の健康は口からというのは栄養だけではなく機能も含めてのことであること理解して頂きたい。


                             2025,3,31

頭蓋顔面発育の適正化

子供の歯並びを気にされている親御さんからの質問で多い項目の一つに歯の抜歯がある。「今まで掛かっていた歯医者さんでは歯を抜いてから矯正治療をしないと歯は揃わないですよって言われたのですが、こちらでは抜かなくても出来るって聞いたものですから一度お話を伺いたいと思いまして・・」という方が今月もお越しになられた。歯列矯正治療というと未だに審美的な改善を目的とした治療と受け止めている方が多いようだが、不正咬合に至った原因に身体の機能的な問題が潜んでいるのであって、そのまま放置したら成人になってから様々な不定愁訴を抱えることになるので、その原因を取り除きましょうというのが当医院で行っている子供達の機能的歯列矯正治療の考え方であり、行っていることである。永久歯が生えてからでも歯列矯正治療は出来ると考える歯科医師は多いが、そこまで放置した場合に子供達の顎の成長はどうなるのかを考えなければいけない。なぜ口が開いているのか?なぜ活舌が悪いのか?なぜ落ち着きがないのか?なぜいびきをするのか?頭蓋顔面発育障害の一つに不正咬合が認められるのであり、子供達の頭蓋顔面の成長を適正化することが全ての症状を改善させることに繋がるのである。


                             2025,3,30

Health care=0のために

「Health care=0」が医療関係者の願うところである。どういうことか。身体の不調を訴えてから医療機関に掛る今の医療の在り方ではなく、将来的に内科的疾患、体幹を含めた歪みなどの兆候を認めたのであれば、その時点で予防策を講じ、患者本人もきちんと理解したうえで身体を正していく努力をする。そうすることで医療費の削減は勿論、当の本人にとってもっとも幸せな環境を作ることが出来るのである。現在の医療現場では医師、歯科医師の診査診断によって病名がついてはじめて保険請求できる仕組みだが、病名が付かない疾患が約15,000ほどあるとの指摘もある。当方の歯科医療においても「〇〇の疑い」と診断することが少なくはなく、主訴に対する診断のためには患部だけの問題ではないことが多い。症状が発現するに至った原因を遡ると過去のある時点において然るべき予防策を講じることが出来てさえいれば、ここまで酷くなることはなかったのではないかと考えさせられる場面に遭遇すると、症状の有無だけで身体の問題を判断してはならないと感じている。今の医療現場に足りないのは一人の患者さんに割く時間であり、「20~30年前に比べたらそれでも良くなった」では駄目なのである。とことん患者さんと向き合う中で主訴以外の問題が浮き出てくることは多々あり、潜在的な問題が枝葉のように広がることもある。主訴を抱えた患者さんの問題をクリアにすることは勿論であり、それに加えて20~30年後に大人になる今の子供達の健康維持のために、歯科の医療現場で出来る予防策が多々あることを実感する日々である。


                             2025,3,29

You tube!

春休みに入り、多くの子供達が定期検診で来院される。「〇〇君こんにちは!休み中は何処かに行ったりするのか?」と尋ねてみると、「どこにも出かけないよ。だいたい家でYou tube!」と答えが返ってくる子供が多い。外で汗をかいて遊ぶなどという子は誰一人としていない。親御さんに話を聞くと、「先生、5~6時間なんてもんじゃないですよ!朝の9時過ぎから夕食前まで部屋に閉じ籠ってばかりですよ。変ですよね~。このままで大丈夫なのかが気掛かりです。」とのこと。当方の感覚からすると極めて異常であり異質な世界にいるとしか見えないし、アップル社の創業者である故スティーブ・ジョブズ氏は、決して自分の子供にipadを与えることはなかったことから推察すると、動物である人間がモニターの前で長時間過ごすことの弊害を分かっていたはずである。脳の専門医でもない当方が脳について述べることは些か気が引けますが、一般的に思考や記憶などを司る前頭葉のピークは12歳頃で、その後は脳の神経シナプスは減っていくと言われています。社会人のコミュニケーション力不足が指摘される背景には、このような他者との関わりを避ける環境下で自分の世界だけに没頭することが大きく影響しているように思えてならない。便利さと引き換えに、何かを失いつつなければよいのだが・・・。


                             2025,3,28

組織としての成長を!

時代の波に左右されずに成長発展を続ける企業、会社組織というのは、そこで働く個人、社員との間にお互いが信頼し合い、貢献し合い、そして成長し合う横の関係が成り立っている。一方で、従来型の組織と個人の“ロイヤルティ関係”では、あえて言うならば、封建時代の君主と家来の関係に似ており、個人は組織に対して忠誠心をもって働く駒のような縦の関係にある。今の時代、どちらが生きがいを持って働くことが出来るかと問われれば言わずもがなである。組織である以上は規律を遵守することは当然であるが、たとえ末端の社員であったとしても自分がトップの経営者だと思って会社を支える、コントロールしていると思えるようでなければ活力ある現在進行形の組織とはならない。つまり、給料を貰っている立場なのでというサラリーマン意識ではなく、自分がこの組織を成り立たせているぐらいに思っていなければ、責任あるは任せてもらえないでしょう。それは当医院のような小さな組織であっても同様であり、実際にスタッフが全てを決めることはありませんが、“自分の働きが医院の業績を左右する”くらいの高い貢献意識を持って皆さんが働いて下さっています。この度、看護師さんの採用が新たに決まり、当医院の診療の中身にさらなる厚みが出てくるものと思います。皆様の健康維持のお役に立てるよう精進してまいります。

                             2025,3,27

全ての価値向上のために

時々ではあるが、当医院のHPにある通院患者専用「お問い合わフォーム」に、当医院とは関係のない方から様々な質問を投げかけてくる方がいる。業者関係者の売り込み、現在通院中の医院で受けた治療に関する質問、治療に使う材料についての問い合わせ、その他であるが、そもそも『通院患者専用』と記載しているにも拘らず、それを無視して更に必要事項も入力せずの問い合わせには辟易する。勿論返信することはないのだが、顔を突き合わせて話をすることが少なくなっている現代社会においてはこのようなケース、要は相手のことは考えず自分本位の発言、主張を何の悪気もないのかも知れないが平然とされる方がいる。そこには日本の伝統的な礼儀作法に基づいた対人応対力、品格ある人間としての在り様の欠片は微塵も感じません。そんな場面に遭遇することは、拙い当方のブログを読んでくださっている方々のなかにもいらっしゃると思います。日常のそのようなちょっとしたことでも人は気分を悪くするものであり、改めて人としての礼儀には気を付けたいと気付かされます。電話の受け答え一つで人の印象、会社組織の雰囲気は伝わるものです。“相手に対する敬意の最高表現は、自分自身が教養ある身だしなみ、言葉遣い、態度をとることのできる人間でいることに尽きる”と当医院では開業以来徹底して意識し、当医院にお越しになられる方には接しております。本来であれば足を運びたくない歯科医院ではありますが、お越し頂いて良かったと思っていただけるように、治療技術の向上に努める機能的価値と、人間力の向上に繋がる情緒的価値をさらに高めていきたいと思っております。


                             2025,3,26

医療の質

“おもてなし”という言葉は医療現場には必要ないかもしれないが、“患者に寄り添う”という意味では、医療現場で働く関係者には潜在的に持っていて欲しい心である。以前は大学病院などでは「3時間待ちの3分診療」などと揶揄された時代がありましたが、そこには多くの「患者さんを診る」というよりは結果的に「患者を捌く」ということで、医療収入は上がるものの患者サイドからは医療不信、不満に繋がる要因の一つでもありました。昨今の人件費も含めた社会全体の物価高は、大規模病院、個人医院に限らず、原価経費の増加分を価格に転嫁することが困難な保険診療中心の医療機関全体の収益悪化を招いています。となると、収益改善のために出来ることといえば、以前のように患者数を効率よく捌く診療システムを構築するか、医療の質を維持、向上させるために一人当たりの単価を上げ、一人のドクターの診察、治療に掛ける時間を充実したものにするかの二つに一つしかないのではないでしょうか。残念なことではありますが、当医院で診させて頂く患者さんの口腔内からは、もう少し心ある治療を提供できなかったのか、と思われる方が多く来院されます。患者さんの主訴、今までの治療履歴を含めた現状に至った原因、これからの予後についてお話をさせて頂く中で、当医院で治療を検討されるかどうかを時間をかけて考えて頂くことが、一人ひとりにとって価値あるものに繋がると確信しております。

                             2025,3,25

鼻閉は鼻だけの問題ではない

鼻閉があると呼吸をしづらいのでどうしても口呼吸になる。花粉が飛散するこの時期になると夜間口テープを貼って寝ることが難しい子供が急増する。既製の咬み合わせトレーニング用のアプライアンスを装着して寝る際に口テープを貼っているのだが、この時期は難しくなる。そもそもアレルギー性鼻炎になる前に、不正咬合を抱えたお子様たちに共通することは口蓋が狭く、深いことが多い。それはなぜか?ブログでも載せているが、普段の舌のポスチャーが口蓋に位置しておらず低位舌にあると、口蓋骨が前方、側方に拡大せず、骨の形態に沿ったトライアングル型やスクウェア型の歯列弓形態になる。鼻骨は上顎骨に含まれる(鼻上顎複合体)ため、口蓋骨が拡大しなければその上の上顎骨及び鼻骨は拡がらず、鼻気道も狭くなるのである。従ってお子様の場合には何よりもまず舌の挙上が出来たうえで舌を口蓋に触れた状態にしておくことが必要である。子供達の成長は大人とは違い日々進んでおり、不正咬合の予防、口腔機能回復は時間との勝負である。

                             2025,3,24

論文検索から見えてきたこと

当方が歯科医師として働き始めた約30数年前は、文献検索は大学の図書室まで脚を運び書棚から探し出してコピーをして持ち帰っていた。それが今ではネット環境さえあればキーワードを入力するだけで瞬時に目にすることが出来る。なかにはフルセンテンスまでを閲覧することが出来ないものも含まれているが、目的と結果、結論までは見ることが可能である。昨日に続き文献の話題になるが、睡眠医学界でリードするスタンフォード大学が中心となった閉塞性睡眠時無呼吸と口腔顔面筋機能療法との関りを示す論文からは、双方の関連性を示す多くの証拠から口腔顔面筋機能療法の有効性を証明しています。臨床現場では筋機能療法が重要視されない今日ではありますが、小児へのアプローチだけではなく成人期から老年期までの継続した効果のある非常に有用な治療法であることが分かってきています。口腔のみならず全身まで包括した治療として、今後より重要視されるべきと考えます。

                             2025,3,23

Critical role of myofascial reeducation in pediatric sleep-disordered breathing

睡眠呼吸障害(SDB)は小児における病的状態として認識されつつあり、その有病率は最大約25%です。睡眠医学の権威であるスタンフォード大学の故Christian Guilleminault は睡眠医学の父とも呼ばれる存在であり、睡眠時無呼吸に関する様々な研究と治療を行い、睡眠医学の発展に貢献されてきました。そのGuilleminault先生の論文の一つである「Critical role of myofascial reeducation in pediatric sleep-disordered breathing」では、限定的な研究ではあるがと前置きはあるものの、我々歯科医がSDBを有する子供達の治療に積極的に関与すべき内容となっています。SDBの原因のひとつである腺扁桃摘出した群および歯科矯正を終えた群の睡眠検査では正常であったグループに対して筋機能療法を22~50ヵ月行ったところ、24ヵ月間の筋機能再教育を完了した11人は全員健康的な結果を示したとの報告です。これは、口腔筋機能療法を行わないとSDBが再発する可能性があることを示唆しています。従って、当医院における子供達の咬み合わせトレーニングが歯並びだけではなく、良い睡眠に繋がるということがご理解して頂ける内容となっています。

                             2025,3,22

多職種連携の歯科医院とは

以前こちらのブログでも載せましたが、舌小帯およびその奥に存在するFasciaをリリースすることで頭蓋を常に傾げた子供達の姿勢が改善し、それに続く呼吸・口腔周囲筋のトレーニングを継続することで6ヵ月もすると目に見える形で歯列の形態が変化してきています。子供達のトレーニングで難しいことは何と言っても飽きさせないで毎日欠かさず継続させることで、年齢にもよりますがご両親様の協力が欠かせないのはこの点です。親に言われてする勉強ほど嫌なものはありませんが、「これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。」のごとく、楽しまないと続かないのです。当医院でも飽きさせないトレーニングを試行錯誤しながら取り入れておりますが、子供目線で考えるのは保育園や幼稚園の先生方の方がよりプロフェッショナルであり、未就学児の指導、対応には多職種連携の観点からも欠かせない存在です。そう遠くない将来、当医院には助産師、スポーツトレーナー、理学療法士、そして保育士が常勤できる体制が構築できると、ワンストップで一人の子供を診ていく理想的な歯科医院となります。ご興味ある方はコンタクトあれ!   

                             2025,3,21

治療レベルの向上

根拠のない思い付きでことを進めるのは至って危険であるが、数十年の経験から身に付けた匠の技のように、臨床医であれば長年の経験値というものが確かな臨床診断に導くことを経験しているはずである。当医院では、過去には3人の歯科医から揃って抜いてインプラントしかないと診断を受け、患者本人もその選択しかないと思いつつも最後に藁をもつかむ思いでお越しになられた方がいた。具体的には左上の小臼歯2本に不良補綴物(被せ物に隙間がある状態)が装着され根管内の感染も進み、歯根の健全歯質も薄いため感染根管治療そのものが可能かどうかという臨床判断を迫られるケースがあった。抜歯してからインプラント埋入という治療判断は当方に言わせれば簡単なことである。但しそこには患者の心理までを含めた臨床判断には至っていないことが大きな問題であり、更には悪くなった根本原因を取り除く説明が一切ないことがインフォームドコンセントとしては不十分である。形に見えるものの評価は医療以外でも比較的分かりやすいものだが、“Yes or No”だけではなく中庸をとる、そしてこの方のような場合はEvidenceを軽視するつもりは毛頭ないが、とことん最後まで歯の保存にトライする姿勢が白衣を身に纏ったものの役目であると信じて疑わない。以前であれば保存不可能であった歯でも、医療機器・器具の進歩によって格段に治療レベルが向上し、奇跡と思われるケースが度々起きている現実からは、〇〇ありきの診断はすべきでないと声を大にして叫びたい。因みにこの方の歯は約8年経過した今でも何の問題もなく機能している。       

                             2025,3,20

知性の必要性

昨今は超大国と呼ばれる国のリーダーや、我が国における政治家の一部および選挙立候補者の発言、主張からは、正義は必ず自分たちの側にあり、異なる意見をするものは不正を働いたり、悪であるといった偏った考えを持っている傾向にあるように映る。昔からそのような人間は存在し、今はSNSなどで彼らの言動が世間に周知されやすくなっただけのことかも知れないが、歴史を遡れば常識や良識を懐疑し、倫理観や論理性に欠けた議論に欠け、感情的な好き嫌いでそのような指導者を選ぶ人間が多くなってきている社会そのものが大変危険である。確かな情報かどうかを吟味することもなく全てを鵜呑みにしてしまう背景には、問題解決の際に求められる個々人の知性の欠如しかないのではないか。知識ばかりを詰め込んだものの、それらを考える力に繋ぐことが出来ずに右往左往している間に刺激的な言説に出会うと信じ込んでしまう、要は深く考えることが出来ない人間が社会に増殖してきるいる感がある。教育の基本は家庭にあることはどんな時代であっても不変だが、その家庭が崩壊してしまえばその先の学校教育も成り立たないのではないか。世界が崩壊する前に人間社会である以上、心の荒廃を何とかして止めなくてはならない。 

                        2025,3,19

不正咬合と高血圧

 勤務医時代に原因不明と言われている本態性高血圧の患者さんを治療させて頂く機会があり、臨床経験が浅い当方にとっては普段よりも緊張しながら処置に入った記憶がある。それから約30年は経過しているが、未だに本態性高血圧と問診表に記入される患者さんを診ていると、当方が診てきた限られた患者数ではあるが、皆さん共通して顎位が悪い不正咬合を有している。高血圧と咬み合わせが関係しているとは誰も思わないのだが、見た目の咬み合わせではなく骨格的な不正咬合にまで発展すると、頭蓋を支えている第二頸椎への重心軸が傾くことから頸椎周りの筋肉が拘縮(緊張)し続けることになり、太い動脈である椎骨動脈が長時間圧迫を受ける状態となる。皆さん想像して頂きたい。水の通っているホースを途中で踏んだりして凹ませるとどうなるか。難しい話ではなく、構造的に同部位が圧迫を受けることでホースの内圧が高まることは容易に理解できるのではないか。ホースであれば物理的な障壁を取り除けば直ぐに内圧を開放できるが、身体の場合はそう簡単ではない。その方の生きてきた年数を掛けて動脈が徐々に圧迫を受けてきたとするならば、その圧を構造的に解除する必要がある。当方には勤務医時代と開業後を含めてミニスプリント(口腔内に装着する部分的な装置)を用いて患者さんが服用されていた降圧剤の量を減らすことが出来た方が数名いる。そのうち2名の方は機能的歯列矯正治療まで行い、血圧と腕のしびれの改善に至った。不正咬合と血圧との関係をEvidenceで示せと言われるかもしれないが、臨床においては後戻りできる治療の中で状態、症状の変化をつぶさに診ながら進めていくことで、改善に至るケースは多々存在する。但し、そこには薬を飲んで劇的に変化するような即効性はないだけに、患者さんがこちら側の説明と今まで受けてきた様々な科の治療履歴を振り返って考える時間が必要である。本態性高血圧の多くは不正咬合に発する体幹の歪み、特に頭頚部の筋肉の拘縮から来ているとしたら、降圧剤で治すのではなく、高血圧患者さんを歯科で治していく、そんな時代になってきているのかも知れない。

                         2025,3,18

不正咬合の原因を取り除く(1)

 お子様の咬み合わせ相談でお越しになられた方が、友人の方にも話を聞いて理解してほしいとのことでお二人でお越しになられた。主訴は、11歳の男の子の出っ歯が気になる、ということだが、素人的には出っ歯に見えるが、実際には下顎が後方に下がっているために上顎の前歯が出ているように見えるのである。ではなぜ下顎が下がっているのか?ということになる。水を飲む際に撮影した動画を観て頂くと何かがおかしいのだが、お二人は全く気が付かない。3回繰り返し観て頂いても、モニターとにらめっこ状態である。母親からしてみれば毎日目にしている我が子の水飲み風景なので、異常な動きに気付かなくても致し方ない。指摘した点の一つは、嚥下(飲み込み)の瞬間に首を垂れる癖があるのと同時に目を閉じることである。嚥下するには口腔内を陰圧にする必要があり、本来であれば口唇を閉じて奥歯を軽くかんだ状態で舌が自然と口蓋に触れることで嚥下反射が起きるのである。この一連の動きがスムースに進まないと身体の適応と代償反応が生じ、あるべき機能が働かなくなり、適切な力が顎顔面骨格に働かなくなるので顎骨の成長抑制が起き、歯が並ぶスペースが出来ないのである。矯正治療は小さな顎に無理やり歯を並べようとするが、小さな顎になる根本原因を取り除くことが当医院で子供たちに行っている咬み合わせの治療・トレーニングなのである。

                         2025,3,17

受験から見えてくるもの

 中学を卒業されたと思われる子供達が受験結果について話している会話が気になった。「高校受験では〇〇くんに負けたけど、大学受験では頑張るよ!」。エッ、受験は勝ち負けなの?、生徒同士が競うものなのか、と心の中で反芻して電車の座席シートに座りながら、目を閉じて立ち話を聞き入った。福沢諭吉の『学問のすすめ』には、“人間は様々な悪徳を持っている存在だが、その中で最も有害なのは、人の成功を羨む気持ちである”といっています。つまり、自分が持っていない他人の能力を羨むこと、また他人がその能力の結果として成功するのを羨むことなのです。これは裏を返せば、自分の能力や自分にできることが何であるかを問うことにもなります。高校に進学する意味は?大学を受験する意義は?など深く考えてはいないのでしょう。合格することが難しい大学に受かったら、何か人生の成功保証でも手に入るわけでもありません。学歴ではなく、“何が何でもやり遂げる”という不退転の決意をもって学び、そうした学びから見えない物が見えてくることで、気付くとそれが自分の軸となっていくのだと思います。高校は大学受験のための予備校ではありません。物事の判断を下すにあたって、判断の基準を他人に依存することなく、すべてを自分自身で整理し順序立てる、そんな姿勢を高校生活で身に付けることが出来たら良いですね。

                         2025,3,16

知性の力

 「私が子供の頃はもっと情緒豊かな社会だったように思います。今はなんだか人間関係が殺伐としていませんか・・・」とは、治療の麻酔が効くまでの時間に患者が話してきた会話である。昔は何でも良かったとは言いませんが、ノスタルジックに思い出しているうちはとてもいい時代に思えるものです。例えば昔のライフスタイルに戻りたいかと問われれば、利便性や高度なサービスに慣れた現代の生活からタイムスリップするのは望まないと思います。一度覚えた快適さを捨てられないのが大方のヒトではないでしょうか。また、昔を懐かしむ人に共通した点は、急激な時代の変化についていけてないことが事実としてあるようにも思います。ダーウィンは『種の起源』において、自然淘汰がこの世界の原理であり、自然の変化に適応できた種だけが生き残ることを示しています。適応出来なければ極論ではありますが滅んでしまうのです。現代は間違いなく物凄いスピードですべてが変化し続けており、その変化だけを追い求めていくと自分を失いかけることにも成り兼ねません。常に立ち止まって考える時間を取り、困難や厳しい現実に直面した時にその原因が何かを見極め、社会から求められていることに対応していくには、今まで以上に知性の力が必要とされている。単なる物知りではない知性を鍛えることで、普遍的な考え方を維持したいものである。

                         2025,3,15

Evidence(科学的根拠)

 いつまでも当医院で治療および定期メンテナンスを受けたいと仰って頂けることは有難いことですが、最近は「先生はいつまでお仕事をされるつもりですか?」と尋ねられることが少なくない。俺はそんなに老けたのか(笑)と心で受け止めつつも、当方の恩師は80歳を過ぎた今も現役で臨床をされている姿を見ても、体力が続く限りは年齢は関係なく仕事は出来ると思っている。一般社会では58歳ともなれば定年が頭を過るのかもしれないが、臨床現場で働く身としては今までの経験値と昨今のデータベース、文献検索のしやすさも相まって、臨床の中身がより充実するとともに、真の健康のために歯科医療従事者が果たす役目が大きくなってきている実感があり、日々の仕事は充実度が増すことはあってもストレスが溜まることも飽きることもない。新型コロナ以上の“不正咬合パンデミック”が1990年以降急速に先進諸国で起きていることは単なる偶然ではなく、その原因を探ることで口腔だけではなく全身疾患、体幹の歪みなどとの関連性も多く指摘されるようになってきている。Evidence(科学的根拠)を待つだけではなく、現在はそれを創り上げていく段階にいるのだと日々の臨床でひしひしと感じている。

                         2025,3,14

筋機能の適正化

 構造的に問題のある車が走行を続けたらどうなるか。ねん挫した状態で競技を続けたら身体はどうなるか。何れも結果は言わずもがなである。咬み合わせが構造的に狂い始めたらどうなるか。咬み合わせの影響は上記2例とは異なり直ぐには結果として現れてこない。極めて当たり前のことだが、子供の不正咬合を放置すればそのまま成人期における不正咬合となり、身体の成長に合わせて様々な問題を引き起こすことに繋がる。しかし全身の不調、不定愁訴がまさか咬み合わせからきていると考える人は未だ少なく、歯科医師ですらそのような目で診査診断をしているとは限らない。不正咬合自体も問題ですが、皆さまにお伝えしたいのは、構造的な問題は代償反応の結果であり、なぜそのようになってしまったかということです。むし歯の処置に例えるなら、歯を削って詰め物や被せものを接着したとしても、それは構造(形態)的な問題を表面的に回復させただけであり、むし歯に至った原因を取り除いたわけではありません。不正咬合は歯列矯正治療を行うことで見た目(構造的)は回復するが、不正咬合を引き起こした機能回復には至っていない。成人矯正治療の多くが後戻りするのは、この機能回復に割く時間を省いているからである。とにかく子供であれば口腔筋機能の適正化、成人であっても毎日の習慣化によって筋肉パターンを変えていくことで機能の改善を行うことが重要です。

                         2025,3,13

いびきと咬み合わせ

 「主人にいびきがうるさいって言われることがあるんです・・、ちょっとした悩みなんですけど何科で診てもらえば良いのですかね?」と相談を受けた。然るべき医療機関にご紹介は出来るが、なぜいびきをするのか理解して頂くことが大事である。当医院に10年近く定期的に通われている方なので、折に触れて咬み合わせと睡眠障害の関連性を説明はしてきたが、人は自分の関心事でないことを指摘されても記憶の定着までにはならないものである。埋伏歯と言って本来歯列に並ぶべき歯が顎骨の中に潜ったまま萌出してこなかったので、歯列のアーチが小さくなっている。この説明も正しくは“顎骨が大きく成長発育しなかったことで歯が萌出できるスペースがなくなった”というべきであり、その顎骨が大きくならなった根本原因がいびきと関係しているのである。つまりは“低位舌”、舌のポスチャーが口蓋に触れていないので睡眠時には舌根が咽頭壁を塞ぐようなポジションになるので人によっては口蓋垂が振動することでいびきが生じる。こういう方は仰向けから横向きに体制を変えると気道が拡がることで一時的に空気の通りがよくなりいびきも治まる。構造的に舌を口蓋に張り付けにくい、もしくは舌が持ち上がらない場合には嚥下時に誤嚥する可能性高まると考えられるので、やはり舌の機能改善が急がれる。尚、いびきといってもどこの個所が振動しているのかによっていびき音も異なるので、症状の程度によっては睡眠外来の受診も勧めております。

                         2025,3,12

不正咬合と脊柱管狭窄症

 「咬み合わせが脊柱管狭窄症と関係しているんですか?」と不思議がられることが不思議である。John Mew先生の“全てのことには原因がある”という視点で不正咬合の成り立ちから体幹の歪みを捉えると疑う余地はない。ただそこにEvidence(科学的根拠)を示すだけの資料の積み重ねがないので、経験値だけで語られても説得力に欠けると、口腔内しか診ていないドクターには言われることが多々ある。ならばということで、21年の患者データを分析してみると、舌の可動域が狭くなるほど不正咬合の度合いはひどくなり、その割合は約7割にも及ぶ。では残りの3割の方は理想的な咬み合わせをされているかというと決してそうではなく、不正咬合に至った原因そのものが顎関節に影響を及ぼし続けた結果、口の最大開口量が小さい(顎関節の器質変化が生じている)が為に相対的に舌の可動域制限が少ない結果となっているだけのことであり、当医院の全患者数の約9割の方が舌の可動域と不正咬合の間に何らかの関係性を有していると確信している。そしてその9割の中で体幹の歪みのある割合のデータを得ることが出来れば、舌の可動域制限ー不正咬合ー脊柱管狭窄症の関連性を数値的に示すことが可能である。先日の言語聴覚士・シャロンムーア先生の講演の中で多職種連携の必要性が語られていたのは、極めて自然なことであると認識させられる。

                         2025,3,11

歯の移植

 過去にむし歯の治療を繰り返し、歯の神経まで抜いてセラミック冠を被せてある歯の歯根が破折し、抜歯してインプラント治療をするしかないと言われたという患者さんがお越しになられた。抜歯⇒インプラント、とは昨今歯医者が安易に患者さんに説明をする際に使う文言のように聞こえてしまうのは当方だけか。抜歯する前に、なぜその歯の治療を繰り返してきたのか。歯医者通いをしてきて歯が良くなっているのか?などを患者さんはしっかりと立ち止まって考えて頂きたい。治療を繰り返した根本原因が咬み合わせにあるのなら、先ずは咬み合わせを改善させることを優先させるべきであり、インプラント治療を受けたからといって歯が再生されたことにはならない。ちなみにこの方には健全な智歯(親知らず)が存在するので、当医院での治療の第1選択は歯の移植である。親知らずの移植は当医院では比較的多く実施しており、過去には4本移植を行い、15年以上問題なく過ごされている方もいらっしゃいます。インプラント治療を否定はしませんが、なぜ歯を失う状況になったのかをしっかりと考え、同じ繰り返しを経験しないためにも担当する歯科医によく質問をし、納得できる説明を受けてから治療を受けることを勧めます。

                         2025,3,10

15の春

 私立高校の無償化云々が騒がれていましたが、当医院にお越しになられる方々との会話から高校からではなく中学から私立を受験させるご家庭が多いことに以前から驚きと違和感を感じております。私立であろうと公立であろうと通うのは親ではなく本人であり、“所詮本人次第でしょ!”というのが当方の思いですが、日本みたいに「決まった日に受験する」ような形はアメリカやカナダには存在しない。中学に限らず大学でもSATという共通テストの結果に、高校の成績、芸術が得意、部活動に熱心、地域ボランティア活動しているーなどの取り組みを総合的に判断して合否を決めるとのこと。今は筆記試験で問われるような暗記型の能力は、人間よりもAIの方が上であり、先進諸国ではかなり前から筆記試験だけを重視する受験は減ってきているそうです。かわって暗記よりも探求する力を育む教育が求められている背景があります。当医院に通う中学生の中には志望する高校に合格できなかった方がいます。不合格という結果に落胆する気持ちは、複数回大学受験に失敗した経験のある当方にはよく分かります。しかしここでの躓きはマラソンに例えたら42,195Kmの1Km地点での順位でしかありません。ゆっくり自分のペースで順位を上げてけば良いだけのことですと、受験で結果を出せなかった諸君に伝えたい。

                         2025,3,9

モスクワ

 学生時代のバックパックを背負って“ヨーロッパ2ヵ月個人旅行”は今となっては貴重な体験であった。家庭教師のアルバイトをして貯めた資金をすべて投入しユーレイルパスを購入したり、当時はまだネットで宿の予約などは出来る時代ではなかったのでFAXを送信して主要な都市だけは渡航前に宿泊場所を確保しながらの旅であった。当然各社の格安航空券を比較し、帰国日も決めずにオープンチケットを購入して最初に降り立った地は、なんとモスクワである。トランジットホテルといっても軍の施設内の宿泊施設に空港から連行されるようにバスで移動させられ、着いた先では片言の日本語を喋る怪しい女性が1,500円でモスクワ市内を闇案内すると声を掛けられた。いったいここはどんな国なんだと思いつつも好奇心から日本円を支払い赤の広場などの案内を受けた。今であれば日本人であるだけで危険な目に合うのではないかと想像してしまうが、当時のモスクワではお金や煙草をワンカートンを渡せば何でもできる闇世界が存在していた。日本人のように勤勉に働く国民性ではなないように当方の目には映ったが、先進諸国からの制裁を上手く逃れている今のロシア・モスクワの市民生活は如何なものか訪ロしてみたいものである。

                         2025,3,8

睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群)

 「だから初診時から〇〇さんの咬み合わせであれば、いつ睡眠時無呼吸の疑いがあると言われても不思議ではないですよって言ってきたじゃないですか~。」とは、70歳を超えた男性患者さんとの会話である。10年以上治療から定期メンテナンスで通われている方ですが、これまでに歯根破折で複数本抜歯を行い、被せ物が外れては再治療となり、兎に角治療の終わりがない。根本的な原因は、骨格的な不正咬合と睡眠時の歯ぎしりによる咬合性外傷であるので、機能的歯列矯正治療と舌を含めた口腔筋機能訓練を徹底的にするしかないと提案はしてきたものの、聞く耳を持たないのか、理解は出来ても治療自体が嫌なのか、かみ合わせと睡眠障害が関係あるなんて聞いたことがないということで、なんでもかみ合わせの原因にするなと思っていたのかも知れない。しかし、今日ばかりは当方の説明に真剣に耳を傾けて聞いていた。おそらく医者に睡眠時無呼吸と言われたからである。かみ合わせが関係していることは間違いないと確信しているが、正確には現状の咬み合わせに至った原因が睡眠時無呼吸と関係しているのである。歯列矯正治療と聞くと未だに見た目、審美的な改善を目的とした治療という認識が多いようだが、この方のように機能的な問題が時間をかけて命にかかわる問題にまで発展していることは、決して珍しくないというのが30年以上の臨床経験から言えることである。

                         2025,3,7

救え、子供達の身体を!

 なぜ口腔機能の適正化が求められるのか?乳幼児、幼児であれば、これから身体が出来上がっていく初期の段階で筋肉、軟組織が正しく機能することで本来のあるべき骨格、頭蓋顔面発育の成長が進み、成人であれば長年身に付いた間違った習癖を正すことで誤嚥を防ぐ一番の予防手段となる。正しい機能獲得が出来なかったとしても我々の身体には適応反応と言って他の器官が代わりに働くことで、一見すると何の問題もなく生活が送れているように見えてしまう。しかし、適応の裏には代償という結果が待っており、それが口腔、頭蓋顔面で起きれば頭蓋顔面発育障害という形で現れ、顎が発育していないので歯が入りきらなくなるのである。つまり不正咬合を有しているということは、口腔周囲の筋機能が正常に働いていないことの裏返しであり、頭蓋を支える第二頚椎への負担から側湾症、脊柱管狭窄症へとつながる体幹の歪み、更に将来的には病院などの診査検査では異常は見つからないものの本人の不定愁訴だけは依然として残り、何で体調が悪いのかという周囲にも理解してもらえない状況に追い込まれて精神的にも追いつめられる方も少なくない。20~30年、それ以上の年月をかけて体調不良に陥るその入り口で機能の適正化を図ることが出来れば今の子供達の健康を将来にわたり守ることが出来ると思えるからこそ、診療システムを変えてまで早急に子供達のトレーニングを行う意味はそこにある。

                         2025,3,6

歯列矯正治療をする目的は何ですか?

 お子様の不正咬合が気になって受診される親御さんは当然歯並びを改善させたくてお越しになるのだが、歯並びを改善させる目的は何かを初診時に問うようにしている。それは未だに歯列矯正治療を審美目的としか捉えていない方が多く、また残念ではあるが歯科医側からもそのような説明に終始している先生がいる現実があり、不正咬合治療の概念を変えていく必要があるからである。「歯並びが悪いのは、小さな顎に大きな歯が入りきらないからであり、小臼歯を抜いてスペースを確保してそこに重なった歯を移動させて歯列を整えたら綺麗に収まりますよ。」といった説明を受けた方はいらっしゃらないだろうか。実際に当方が診査診断を行ったわけではないので、仮にそのような説明をドクターから受けたとしてもご本人が納得されたのであればとやかく言う必要はないかも知れない。但し、矯正治療を受けたにもかかわらずあまりにも酷い結果になって相談にお越しになる方を診ていると、やはり矯正治療に対する考え方の違いを説明しなければならないという責任感に駆られてしまう。重要なことは「なぜ顎が小さいのか?」を真剣に考えて頂くことであり、長期的な視野に立った時に、顎が本来の大きさに成長発育しないことで身体にどんな問題が生じる可能性があり、実際に顎顔面発育障害のまま成長した子供たちが成人になって不定愁訴を抱えている現実があることを抑えておかなければならない。不正咬合は歯の問題ではないのです。

                         2025,3,5

安易にインプラントを選択?

 「右下の奥歯の根元が腫れてきたので近くに歯医者で診てもらったら、根っこが特殊な形態をしているから抜歯してインプラントするしかないかな・・・って言われたので不安になって来ました。」という方がお越しになられた。患者さんの言うことですので診察したドクターの言葉をそのまま正しく再現できているかどうかは分かりませんが、抜歯⇒インプラントのように方程式のような治療の進め方は一度立ち止まって考えて下さい。なぜ抜歯するほどその歯が悪くなったのでしょうか?その原因を取り除くことが医療であり、インプラント治療を受けたとしても歯が悪くなった原因は残されたままなのです。見た目ではなく機能的に上下の歯が機能しているかどうか重要なポイントであり、咬んだ状態で下顎を左右に動かした際に奥歯がいつまでも上下で当たるようであれば、それは夜間の無意識時の歯ぎしりによって歯の堅い組織にかみ合わせによる外傷(咬合性外傷)が生じ、エナメル質や象牙質、場合によっては歯根までひびが入ることで歯の歯髄組織(神経と血管の組織)が感染し症状が発現することになります。従ってこの方のように抜歯せざるを得ない歯の場合、かみ合わせが原因で治療を繰り返した挙句抜歯に至るケースでは、その後抜歯窩にインプラント補綴をしてもかみ合わせが変わっていないのだからインプラントもしくは咬み合う相手の予後においてトラブルが生じる可能性が高いことは容易に想像できるというものだ。目先の結果だけを求めようとすればするほど治療を延々と繰り返し、歯医者に行くことで更に歯を削られて健康な歯が失われていくことに、どこかの時点で気付かなければいけない。機能的歯列矯正治療の需要が当医院で高まっている背景には、このような要因が考えられる。なんでもそうですが、治療を受けるまでにはしっかりじっくり考えて、先のことを考えるべきであり、白衣を身に纏った人の言うことが必ずしも正しいと決め込むことは避けて頂きたい。

                         2025,3,4

慢性炎症の全身への波及

 口腔内しか診察をしない、出来ない歯科医でよいのだろうか?眼科、耳鼻咽喉科、整形外科など医療は多くの科に分かれているが、人の身体は都合よく分かれているものではない。人が勝手に細分化しただけであり、どの科の医療従事者であっても全身の中での専門科という認識が備わっていなければならない。「原因不明の頭痛に何年も悩まされていて脳神経外科でも調べてもらったが問題はないと言われた」というご婦人が以前お越しになられた。機能的な咬み合わせに問題を認め、過去に複数の神経を抜く処置を受けている歯が存在し、何れの根管治療も満足のいく治療レベルではなく、根管内の腐敗及び感染が根尖性の歯周炎を引き起こし、炎症性サイトカインによって局所的に骨細胞も溶かされ、結果的には感染根管が離れた組織のトラブルを引き起こしている可能性があることから、根尖病巣を認める歯の再根管治療をするに至った。すると何が起きたか。嘘のように頭痛がなくなったと複数回の根管治療後に仰ってきたのである。これはよく診られることであり、口腔や上咽頭の慢性炎症は全身に波及していることを物語っており、根本原因を改善させなければ薬で対処してもそれは典型的な対処療法ということである。この方も、機能的な咬み合わせに問題がなければ、個々の歯の神経を抜くような処置には至らなかったと思われるだけに、幼少期からの舌を含めた正しい口腔機能の獲得が如何に重要かを思い知らされるケースでもある。

                         2025,3,3

口腔機能適正化の時期

 子供達の正しい口腔育成を構築するためには全身との関係を視野に診査診断することが求められます。先日の講演会では多職種の関係者の出席が多数あり、これまでの歯科学会ではないほどの盛り上がりを見せ、何が求められているのかを直に感じる時間となりました。「呼吸」「姿勢」に焦点を当てれば理学療法士の先生方の教えが必要であり、顎の発達や歯列形成にも大きな影響を与える重要な要素です。全身の発達の成り立ちを診れば、赤ちゃんがお母さんのおっぱいを吸うところからの診査介入も必要であり、当医院でも生後1,5ヵ月の赤ちゃんを哺乳状態を助産師立会いのもと診るようになってきました。現状で起きている問題を見つけ出し、そのまま放置したら将来的のどのような問題が起こり得るのか推察し、現に放置されたまま成長発達が進んだことで大人たちの身体に様々な不定愁訴、不具合が生じていることを診れば、子供達の口腔内及び体幹の適正化は待ったなしの喫緊の課題です。あなたの傍にいる小さなお子様は夜中にいびきをしていませんか?子供はいびきをするものでしょうか?落ち着きがないのは子供の性格なのでしょうか?身体の異常も日々のこととなると慣れてしまうものですが、子供達はSOSを発信しています。決して“様子を診ましょう”などといって、身体の適正化する時期を逃さないでください。


                         2025,3,2

睡眠は「生活必需品」

 Sharon Moore先生は著書の中で、子供の健康にとって睡眠が「生活必需品」であることを強く訴え、特に睡眠関連呼吸障害(SDB)の影響とその対策について述べられています。近年、子供の睡眠不足が世界的な健康問題となっており、多くの子供達が生活習慣の乱れや睡眠障害に悩まされています。特に未治療のSDBは睡眠を断片化し睡眠効率を低下させることで、脳の成熟、身体の成長、免疫機能、社会的・精神的・情熱的な発達に悪影響を及ぼし、将来の健康や生活の質にも深刻な影響を与える可能性があります。先日のご講演では、睡眠を健康の重要な柱として捉え、子供の成長と発達において適切な睡眠と呼吸が果たす役割について述べられ、特に「6歳までに修正する(Fix Before6)」という理念に基づき、SDBのリスク要因を早期に特定し、3~6歳という「スイートスポット」での適切な介入が必要で、睡眠呼吸障害の構造的、機能的リスクを可能な限り早期に見極め、顎顔面系の成長を促し、上気道の開存性を維持するための実践的な手法について具体的に解説してくださいました。現代の医療システムが疾病治療に偏りがちな中で、「健康中心」の視点を持つことが重要です。当医院を受診される年齢層も近年は幼児、そして今年に入ってからは乳幼児もお越しになられるようになっています。睡眠と気道の健康スクリーニング、タイムリーな治療、保護者への教育を通じた予防的アプローチによって、子供達の長期的な健康と発達を支える方法を、当医院においても早急に構築することが求められています。


                         2025,3,1

納得いく治療説明とは

 「歯が凍みる!」という主訴でお越しになられた方の口腔内診査を行うと上下奥歯の強い干渉を認め、明らかに不正咬合と夜中の歯ぎしりがリンクして歯に不正な力が掛かり、歯の根元の硬組織が抉られるように楔状になっていることから、咬合性外傷を取り除かなければ程度の差はあるにしても日によって症状が発現することは十分に考えられるとプレゼン、説明をさせて頂いた。このようなケースで患者さんからよく聞かれることとしては、「マウスピースでも装着した方が良いですか?」である。その目的を尋ねると、「歯軋りを防止したいから・・・」という返答が多いが、マウスピースを装着したところで歯軋りは止まりませんし、止める必要もないとお伝えしている。なぜなら歯軋りは生体が必要があって行う反応、大脳新皮質のストレスを開放するための生理的な反応であり、仲良く付き合っていく必要がある。となると、歯ぎしりをしても問題がないような咬み合わせを構築するという考えが出てくる。子供であれば口腔筋機能の働きを改善させることで顎骨、頭蓋顔面骨格の適正化を成長に合わせて行うことが可能だが、成人の場合は成長が終わっているためにワイヤーなどのメカニカルフォースによって歯を動かし、並行して舌を含めた筋機能を適正化(習癖の改善)を行うことで、誤嚥などになるリスクを下げるという考え方が必要である。また一口に歯列矯正治療と言っても矯正治療の考え方・治療法もドクターによって異なるので患者サイドとしては何を信じたらよいのか分からなくなるのである。そんな時には目の前のドクターに、「私と似たようなケースがあれば写真で見せて頂けませんか?」と尋ねてみたらよい。今はデジタルカメラで記録写真を簡単に保存できるわけだから、そのぐらいは何の手間にもなるまい。自分の身体のことを治療してもらうわけだから、患者さん自身でドクターの診断をしてみたらよい。


                         2025,2,28

医療を変える

 時代は急速に変わっている。敷居の高かった学会も、運営者側の考え方ひとつでこうも変わるものかと実感させれた二日間であり、新たな知見も瞬く間にSNSにて世界に広まっていく。あとは聴講した関係者たちが日々の臨床でどのように活用し、社会に還元できるかということだろう。なぜ歯医者が睡眠なのか?簡単に言えば不正咬合になる原因を掘り下げて探っていったらそこまで辿り着いたということであり、科学の進歩によりCBCTによって頭蓋顔面の状態が確認できるようになったことで、不正咬合を有する子供達の舌位、気道の状態を視覚的に確認できることに尽きる。子供の早い時期に睡眠と気道の健康が最適化できれば、子供の発達のあらゆる領域において、良い睡眠と呼吸がもたらす恩恵を享受できる絶好の機会が到来している。優れた睡眠と呼吸のための最良の機会を提供することで、仮に問題があったとしてもすぐに修正することが可能になってきたと実感しております。Evidence(科学的根拠)がないからと言って、このまま放置すれば先々生きづらくなることが分かっている子供達に対して“様子を診ましょう”というのは余りにも無責任ではないでしょうか。原因が分からないものに対して“とりあえず薬を飲んで”と当たり前のように処方するのは果たしてどうなのでしょうか。薬で根本解決出来ているのなら、医者も歯医者も今ほどの数は要らないはずです。日本の医療を変えていきましょう。

                         2025,2,27

眠りで子供は変わる

 先日のSharon Moore先生の講演内容を思い出すと再び熱いものが蘇ってくる、今までにそんな講演会はあっただろうか。悶々として形に見えない漠然とした問題点を見事に言語化されていた。睡眠には生物学的必要性があり、脳の早期成熟、身体的成長、免疫、及び社会的・精神的・情動的発達(発育)を促し、子供の健康にとって非常に重要な側面を持っている。睡眠障害の原因が何であれ、それを放置すれば不十分な睡眠が子供の日々の生活の質や将来に悪影響を及ぼします。今日の世界では、医療は“病気”の治療に向けられていますが、「健康に焦点をあてた」視点を持つことにより、私たち医療従事者は幼児の睡眠と気道の健康を作り出し、生涯に亘り効果をもたらすことが出来ると確信しています。今、目の前にいる子供達を診ると何か様子が違う、変な状態があるなと気付いているんだけれども、それを「様子を診ましょう!もう少し大人になってからでも良いんじゃないですか?」などと言って本当に良いのでしょうか。実はそこにかなり深い問題が隠れているということに医者も歯医者も、そして医療にかかわるすべての人が気付かなければ駄目なんです。子供達の成長は待ったなしです。“Now or never”

                         2025,2,26

睡眠の質

 寝息が荒い、いびきをかく。寝相が悪い、おねしょが続く。寝起きが悪い、口が開いたまま。口が乾燥する、口臭が気になる。歯並びが悪い。これらの原因はそれぞれが異なるのでしょうか?うちの子供はずっとそうだから気にしていないでは済まされません。子供達の正しい成長、我々の身体に起きている異常について理解が必要です。子供達の口腔機能の改善に取り組んでいる同僚の歯科医師のところに通院されている保育園児の一人は、お昼寝のために医者に処方された睡眠薬を服用し、小学生のなかには落ち着きを保つために精神安定剤を服用しているお子様がいるという。発達障害が増えていると言われる今、その多くが「睡眠障害」による症状と酷似している可能性がある。昨年11月に徳島で開催された睡眠歯科学会における専門医の発表内容、先日の日本小児口腔発達学会における言語聴覚士Sharon Moore先生の講演内容は、顎の発育不良、頭蓋顔面発育障害に至った原因がまさに当てはまる内容であり、歯科にお越しになられる子供達の睡眠障害の可能性をスクリーニングにて調べるべきであると感じている。因みに当院では昨年からスクリーニングを実施しており、その中から程度の違いはあるものの睡眠障害の可能性がある数名を睡眠外来に紹介させて頂いている。睡眠の質は成長ホルモンの分泌に大きく影響を与えるので、早寝早起きは言い得て妙である。

                         2025,2,25

Sharon Moore(言語聴覚士)に感謝!(2)

 2日間の学会講演が終わり、言葉にするのが難しいほどの、熱量と学びの詰まった時間だったと実感している。普段の臨床で感じている漠然とした疑問、違和感は当方だけではなく会員の皆さんも共有していることが分かった。知識が更新される瞬間、常識が覆る瞬間、未来が見えた瞬間。この学会に参加したすべてに人は、知ってしまった以上は行動に移すしかない、そんな思いで家路に着いたことだろう。不正咬合に至る根本原因を突き詰めていくことで見えてきた全身への影響。もはや目の前の患者さんは歯科医だけで抱え込むのではなく、多職種連携を真剣に考える時を迎えている。全ては子供達の正しい口腔機能の発達、成長の適正化を図るためであり、原因の本質に迫る医療である。世間的にもかみ合わせの悪い子供達が増えてきているとの認識は拡がっており、歯科医師も歯列矯正の必要性を説いているが、そこで終わってはいけない。歯列矯正治療も所詮対処療法なのである。歯並びが悪くなる原因を取り除くという考え方、視点が重要なのであり、顎が小さいから歯が並びきらないと考えているようでは不正咬合の原因は取り除けない。なぜ顎が小さいのか、その原因は何なのか。そしてその原因は身体にどんな影響を及ぼしているのかを紐解いて患者さんに伝えていかねばならない。改めてSharon Moore先生に感謝である!


                         2025,2,24

Sharon Moore(言語聴覚士)に感謝!(1)

 「小児の睡眠呼吸障害(SDB)や長期の鼻呼吸障害では睡眠中の努力性呼吸・日中の鼻閉や開口習慣が後天的要因として上顎と下顎の劣成長を引き起こす」と提言したのは故Dr.Christian Guilleminaultである。一見すると睡眠と呼吸は単純なことのように思えますが、睡眠関連疾患や呼吸障害を抱えたお子様の機能障害、発達への影響、何もしないことがもたらす結果について、オーストラリアのSharon Moore先生の講演を拝聴する機会を得た。言語聴覚士である彼女は、子供の睡眠を改善するために、子供の日課や環境を最適化する行動学的アプローチをとっており、そして、健康な気道を作るために口腔筋機能療法が果たす役割の重要性を説いています。これは非常に重要なトピックであり、科学的根拠に基づいたデータにおいても、閉塞性睡眠時無呼吸の治療において口腔筋機能療法は気道を広げるうえで非常に重要な役割を果たすと述べられていました。実際に当医院において子供達の睡眠呼吸障害(SDB)のスクリーニングは行っており、かみ合わせのトレーニングプログラムを開始する前に中等度以上の睡眠障害が疑われるお子様については然るべき睡眠外来を紹介している。皆様も睡眠の重要性はご理解されていると思いますが、運動、栄養摂取、ストレスマネジメントの面においても満足のいく睡眠は確保されなければならないのです。子供達の身体は待ってくれません。根拠なき“様子を診る”は、傷口が広がるのを待つだけだということになりませんか。


                         2025,2,23

食事に飲み物は必要ですか?

 子供達に「トレーニングの4つの目標は何だっけ?」と尋ねてみると、「・・・唇を閉じる。舌を上に持ち上げる。鼻で呼吸をする。・・・きちんと飲み込みが出来るようにする」と、何とか答えが返ってくる小学生もいれば、「えっ?覚えていな~い!」と平気で答える子もいる。目的をもってトレーニングに励んでいる子供の口腔内は当然目に見えて変化し、トレーニングが日常生活の一部となっている。一方で、親には子供を良くしてあげたいという強い思いがあるにもかかわらず、当の本人が出された課題をきちんと実施してこないとなれば結果の差は歴然であり、場合によっては治療(トレーニングのプログラム)の継続を断らざるを得ないこともある。また、決められた回数、課題をきちんと熟していても普段の日常生活の中で改善されていなければ、改善の度合いは遅くなる。例えば、舌を口蓋に張り付ける練習が出来ているにも拘わらず、食事の際に必ずコップに水が用意されているようでは食塊を流し込んでいることが予想されるため、舌の貼り付けも練習のための練習となっている。正しい咀嚼が出来るためには正しい舌の動きが出来ていなければならず、間違った日常の何気ない習慣を改善させなければならない意味はここにある。因みにですが、当医院の咬み合わせトレーニングを希望されているお子様の9割以上は食卓に飲み物が用意されている。全く必要がないにも拘わらずである。


                         2025,2,22

機能的歯列矯正治療の目的

 大人の機能的歯列矯正治療は装置を外して保定装置を装着しただけでは多くは後戻りをする。それはなぜか?不正咬合に至った根本原因が取り除かれていないからである。当方のブログを見てくださっている方であればその理由をお分かりかと存じますが、口腔周囲筋の習癖を残したままでは不正な力が歯および顎骨に掛かり続けるため元の状態に戻ろうとするのである。現在矯正治療中の方の舌のポスチャーが正しいかどうかを確認するために、「普段、舌はどこにありますか?」と尋ねてみると、「エッ??」の反応である。本来舌は・・・と説明を行い、矯正治療に入る前のCT画像にて確認をしていただくと舌は口蓋からかなり離れており、普段から低位舌であることが疑われ、幼少期からの舌の正しくないポスチャーが不正咬合に至った原因だと改めて説明をさせて頂いた。矯正治療に入る前の診査診断時に説明を行うも、全てを理解し記憶している方など皆無と言っても過言ではない。当方が他科に掛かって説明を受けた場合を想定すれば言わずもがなである。機能的歯列矯正治療を行い、そこに至った根本原因を改善することで代償反応もなくなれば、理論的には体幹は改善される方向に向かい生理的な機能も改善されるので、原因不明の不定愁訴で悩まれている方にも笑顔が戻ってくるのである。但し、この治療、考え方には即効性がないことを忘れてはいけない。

                         2025,2,21

歯医者の仕事は何??

 当医院にお越しになられた患者さんが偶々そうなだけだと信じたいが、まったく抜歯する必要もない歯を抜いてインプラントを勧められたという患者さんが年明けから数人いらっしゃる。“抜歯する必要もない歯”とは、当方の診査診断では通法通りの根管治療を行い補綴(被せる治療のこと)治療まで行えるという意味であり、もしも予後に不安が残るようであれば最終的な被せ物を被せるのではなく、精密な暫間的補綴物を接着して数ヵ月~数年経過を診ればよいのである。治療の目的が白くて綺麗なセラミック冠(クラウン)を被せたいのか、それとも理想はセラミックだが抜くことよりは歯を保存できた方が良いと考えるのかによって、治療のアプローチの仕方が異なるのである。もっとも一番考えなければならないことは、なぜその歯がそこまで悪くなってしまったのかということであり、治療履歴を遡って原因を探す必要がある。仮に抜歯してからインプラントを埋入した場合、天然の歯が抜歯するに至った根本原因を取り除かないまま欠損部にインプラント補綴をしても、抜歯した歯と置かれた環境は同じであり、インプラント補綴物や対合歯(インプラント補綴物と咬み合う相手の歯)の破損、もしくはインプラント周囲の支持骨がダメージを受けやすくなることは容易に分かるようなことである。“抜歯=インプラント埋入”がともすると方程式のように当て嵌めようとする治療を目にすることがあるが、“抜歯にならないように先ずは全力で歯の保存に取り掛かる”ことが歯医者の仕事ではないのだろうか。誤解しないで欲しいのだが、インプラント治療を決して否定しているのではなく、“インプラントありき”の診断では、患者からの信頼を得ることも、期待に応えることも出来ないのではないでしょうか。

                         2025,2,20

舌小帯と成長発育障害

 ここ最近、乳幼児や幼児の舌の形が気になるとの問い合わせが増えてきている。「助産院では舌のマッサージだけでは良くならないかもしれないと言われたのですが、どこで診てもらったらいいのか分からなくて・・。こちらのホームページを見てご連絡をさせて頂きました。」など、どこの診療科を受診されたら良いか分からない、迷っている親御さんからの問い合わせである。“舌小帯短縮症”というキーワードで検索すると、様々な意見、感想が載せられていることから、何を信じたらよいのかも分からないというのである。情報過多で頭でっかちでお越しになられた親御さんに必要なことは、当医院で行われている実際の情報と、何もしない現状のままで様子を診ることをした場合にお子様の身体にどのようなデメリットが生じる可能性があるのかを理解して頂くことである。説明には当然時間を要するが、そこは避けて通れない。仮に舌小帯短縮症であったとしても命にかかわる問題ではないので、親御さんによっては気にされない方もいらっしゃるかも知れない(そういう方にはお目に掛ったことは今までのところないが)。しかし、身体の成長が進むにつれて、機能障害、機能不全という目に見える形で周囲の子供達との違いを感じ取ることになる。小さな異常も早期に改善できれば、将来的に医療機関に足を運ぶ機会も少なくなるに違いない。子供達の健康阻害を防ぐためには、如何にして頭蓋顔面発育障害を予防するかという点に尽きる。

                         2025,2,19

医療は方程式ではない

 子供達の健康が守られない。なぜ歯医者は歯および歯並びしか診ないのか。むし歯なら処置をすればそれで問題は解決したと言えるのか。歯並びが悪ければ、装置を付けて力ずくで歯を綺麗に並べたらそれで問題はなくなったと言えるのか。“健康=Health careゼロ(医者がいなくても困らない)”が医療の目指す究極の目的であることが頭にあれば、原因を取り除くことをしなければならない。むし歯になった原因は何?不正咬合になった原因を取り除かなければ、装置を外したらどうなるかは言わずもがなである。唾の飲み込みを診れば、口腔内に隠れている歯並びがどのようになっているか想像がつく。子供達は日々サインを出しているにも拘らず、親や医療関係者がそれに気付いていないだけであり、世の中に将来の体調不良予備軍が溢れている。不定愁訴を抱えた大人たちはあちこち病院を変えては医者の悪口を言い、次から次へドクターショッピングを繰り返す、それが表には出てこないが現状である。原因不明の体調不良に薬で対応できるのか?「とりあえず飲んでみて下さい」というのは診断が付かないからであり、その根本原因は遡れば鼻腔、咽頭、口腔内にあることは多々あると思われる。一度確立された治療法を変えていくにはエネルギーを要するが、目の前の患者さんを時間をかけて診査すれば見えないものが診えてくることが歯科に関してはまだまだ存在する。小さな子供達の歯に方程式のようにワイヤーを掛けるのを、立ち止まって考えてみませんか?

                         2025,2,18

自己の考え

 自分の考えを持つことが難しい世の中になってきているのかも知れない。先日のセミナー後の懇親会で、ある先生が「○○がこう言っているああいっているという話ばかりで本人の意見が全くない人が結構いませんか?」と喋り始めた。周囲の反応は「そうですね、もっともらしいことを言っていると思って聞いていると、○○にそんなようなことが書かれていたので‥‥なんてことを言う人もいますね」との声に頷く面々。あまりの情報の多さに取捨選択するでもなく鵜呑みにしていると、うわついたものにいつの間にか流されてそれが当たり前になってしまっているのか。当方が漠然と感じている今の世の中は、なにか人の繋がりがバラバラになってきており、その原因の根底には日本人が築き上げてきた教養や修養といった共通の知的基盤がなくなってきたことに起因するのではないだろうか。教養と修養は、人が人として生きていくためには理屈抜きに不可欠であり、そこがおろそかにされてきたこ結果、日本だけではなく世界的に道理の通らないことがまかり通ったりして世の中が何か悪い方向に向かっているような空気が漂っているように感じている。しかしそんな時こそ自分と向き合い、自分を俯瞰し続けることで、軸のブレない考えを身に付けられるのではないでしょうか。

                         2025,2,17

脳の機能

 子供達の咬み合わせのトレーニングを行っていると、こちらの指示を落ち着いて聞いていられないお子様が中にはいる。要は集中していられないので、こちらの情報をしっかりとキャッチできないのだ。母親に家庭での様子を伺うと、見たことは比較的覚えているような傾向があるとのことなので、目からの情報であれば集中力も持続できるものと判断し、ビジョントレーニングを取り入れることにしてみた。これは感覚統合という考え方に則った身体の育て方の一環でもあり、ピラミッドの基礎部分が揃っていなければてっぺんの部分まで満足に整う(成長する)ことはないのである。永六輔さんはその著書「伝言」に「聴覚は人間の五感のうち、胎内からご臨終まで、いちばん長く働いています」「ラジオのおもしろいところは、ここです」と記している。当方は子供の頃、母親が台所でラジオを聴きながら食事の用意をしていたことを記憶しているが、人によっては五感の中でも得意とする感覚は違うのかも知れない。複数の感覚を整理したりまとめたりする脳の機能は、乳幼児期の発達において特に重要であり、発達の土台となっています。学習面において思うように学力が伸びないと感じている親御さんは、学習内容について反復練習をするのではなく、難しさの要因つまりピラミッドの下の段階である、認知機能や運動、感覚機能にアプローチすることで「学習」に良い影響を与えると考えることは非常に重要であると思います。

                         2025,2,16

15の春

 受験真っ只中のこの時期に、なんとも遊び心のある応援メッセージが神奈川県のある県立高校の校庭に書かれていた。受験日当日に書かれたその文字は、校庭に「入試」とかけて「バレンタインデー」ととく。そのこころは「義理(ギリ)でもOK」。さて受験生たちは、校庭にまで目を行き渡らせる心の余裕はあったのだろうか。当方の高校受験当日の心境はどうだったかのか思い出せないぐらい遠い昔のことであり、第一志望はランク的にはリスクが高いと担任の先生に諭され止む無く志望校を変更したことだけは記憶している。結果的には定員割れの受験生全員が合格したとかしないとか。今となっては、行ける高校よりも行きたい高校に挑戦すべきだったとの思いが数十年時が経った今でも思う。さて、校庭に書かれた「義理でもOK」は、受験を終えた生徒たちには「義理でも合格」と思いたかったのではないだろうか。試験と聞くとフリーズしてしまう私の脳みそは、トラウマとなっていつまでも身体に宿っている。言うのは簡単だが、苦手克服というのはメンタルの部分が原因の大半を占めており、受験生には自分の弱さとも向き合って成長していって欲しい。皆さんが素敵な15の春を迎えられますように!

                         2025,2,15

永久歯に生え変わってからの矯正治療で良いのでしょうか?

 通院中の患者様から、『2年生の子供なんですけど、今掛かっている歯医者さんに「下の前歯が隠れているから咬み合わせが深いね~。永久歯に生え変わったら矯正治療が必要かもね。」と言われんですけど、そのまま何もしなくても良いのでしょうか?』と相談を受けた。実際にそのお子様を診察したわけではないのではっきりとしたことは申し上げられないが、永久歯に生え変わるまでただ待っているということは、その間顎を含めた顎顔面骨格の成長はどうなるのか?という考察が欠けていると言わざるを得ない。なぜ咬み合わせが深いのか、そのようになった原因を取り除くことが不正咬合を改善させることになり、その原因を取り除かないまま成長すると身体にどのような弊害が起きるのかを考えなければいけない。「様子を診ましょう!」というほど無責任な診査診断はない。咬み合わせが深い=頭蓋が前方に位置している=猫背になってい=頬の張り出しが弱い、などの所見があるはずであり、睡眠障害も例外ではない。口腔内の問題が将来的に全身の問題を引き起こすとの認識のもと、歯科医の診断力を上げていかなければならない。

                         2025,2,14

内政問題

 「高額療養費の引き上げ」と「高校の授業料無償化」が与野党にて議論されているが、率直な感想として、無償化をする財源があるならそれを限りある命の治療のために何とか治療費を捻出されている患者さんのために充てたらどうかと思うのだが、そのような思考回路は国会議員の先生方にはないのだろうか。子育て世代の経済負担を軽減させるという名目は悪くはないが、優先順位というものがあるのではないでしょうか。家族構成、所得格差など様々なケースが考えられるが、無償化という響きは良いがその付けは必ず今の子供たち世代が追うことになり、1300兆円を超える国の借金を抱える中で、無償化を急ぐ意味はあるのか疑問である。それは誰だって“お金がかからない”ことに越したことはないと頭のどこかでは思うものでしょう。“財布の紐を締める”なんて言葉もあまり耳にしなくなってきたが、国が破綻する前に議員バッジを付けた先生方には国民受けをする政策だけでなく、20年,30年先を見据えた軸のぶれない骨太の方針を示してほしい。“103万の壁”の178万円への壁引き上げに伴う税収減は、7~8兆円とも試算されているが、減収分はどうされるのかはっきりしていない。そもそもこれを提言された議員の方は品格のない方だったように思いますが、そのような方が国をリードしている時点で国会議員の資質は問われなくなっているのですかね。話が脱線しましたが、国力の低下に伴い内政問題がいろいろと浮き彫りになってきましたね!

                         2025,2,13

健康になるために

 口呼吸と歯列不正がどのように関係しているのか、ブログでもその関係性を説明してきましたが、文章であるがゆえにイメージが湧きにくいかも知れません。当医院の患者さんの治療前後の写真を掲載できればより詳しく解説も出来るのですが、ホームページ上に載せることは法的にできないとの事なので、当医院にお越しになられたときに皆様には自前のプレゼンもさせて頂き、ご理解して頂いております。そうはいっても口呼吸がなぜ良くないかを今日は改めて述べさせて頂きたいと思います。本来我々人間の生理的な呼吸は鼻呼吸です。鼻呼吸をすると、鼻腔内の構造によって空気が浄化されます。そのため、鼻と口腔咽頭に入る空気は、喉のアデノイドと扁桃腺のリンパ組織に大きな影響を与えません。アデノイドと扁桃腺は、空気が肺に到達する前に空気中の有害な粒子を捕らえる最後のバリアです。従って浄化された空気が肺に入りやすくなり、呼吸器系の感染を防ぎます。一方口呼吸ではアデノイドと扁桃腺がある喉に直接空気が入ります。そのため、口から体内に入る空気は事前に浄化されておらず、アデノイドと扁桃腺のリンパ組織が空気中に含まれる有害な粒子に対する最初の防御バリアになります。そのため口呼吸の子供に多いのは扁桃腺を腫らして発熱することで、年に2~3回繰り返すようであれば外科的に切除することが望ましいと以前は考えられていました(口腔機能の視点からは切除が望ましいケースが多いと感じておりますが、現在は薬で散らす考えが主流のようです)。口呼吸になっている=舌が下がっている(低位舌)、ということでもあり、舌尖が下の前歯の後ろを押すようにもなり、同時に舌が口蓋に張り付いていない状態でもあります。口蓋・上顎骨は舌が口蓋に張り付く力で拡大するので、舌が常に下がっていると頬の力に押されて形態がV字形になり、歯が並ぶスペースが狭くなり、上顎が内側に押されるため顎骨の成長と発達に影響を及ぼします。代償反応の結果出来上がった狭い口蓋によって舌は更に口蓋に張り付くことはなくなり、1日に2000回前後の嚥下をする度に舌は口蓋を押すことなく他の代償機能を使って口腔内を陰圧にして嚥下するようになります。これが異常嚥下が身に付いてしまうメカニズムです。繰り返しますが、こうした機能障害、口呼吸、舌の誤った姿勢、口を開けたままの姿勢、誤った嚥下などは、上顎と下顎の成長と発達に影響を及ぼし続け、その結果、歯のためのスペースが少なくなり、歯列が曲がってしまいます。鼻は呼吸するためのもので、口は食べるためのものであることを忘れないでください。鼻で呼吸し、口唇を閉じて口を保つことは、上顎と下顎の成長と発達を促進しますが、さらに重要なのは健康になることです。

                         2025,2,12

錠剤を上手く飲めない?

  錠剤の薬を飲みやすくするため砕いて粉にする便利グッズについての記事がネットに載っている。薬によっては砕いてはいけない錠剤もあるので注意を促す内容だが、当方が気になったのは、「錠剤を飲み込むのが苦手な人のほか、飲み込む力が衰えた高齢者や錠剤に慣れない子どもなどが対象になっている」という箇所である。“飲み込むことが苦手”というのは正しい嚥下(飲み込み)が機能として身に付いていないからであり、“飲み込む力が衰えた高齢者”というのも、もともと異常嚥下で過ごされてきた方が高齢になって筋力が衰えたことで、より誤嚥になりやすくなっていると理解しなければならない。普段から食事の時に咽たりすることがある人も同様であり、正しい嚥下が出来ていないのであればなぜ出来ないのかを真剣に考えて頂きたい。“そんなこと気にしなくても食事はできるし飲むことにも不自由はしていないから大丈夫!”という方は、それらの機能を他の器官を使う“代償反応”によって適応しているだけであり、それらがいずれは時間の経過とともに身体全体、つまりは体幹の歪みへとつながり、50歳代前後になると不定愁訴を訴えるようになるのである。皆さんは舌全体(舌の後方も含めて)を口蓋に張り付けることが出来ますか?張り付けた時の開口量(上下前歯の切端距離)は何ミリぐらいありますでしょうか?まさか20mm以下ではないですよね。

                         2025,2,11

口が開いているのはなぜ?

 「口が開いていて舌が見えているんです。何件か歯医者さんにも診てもらったのですが、下顎が出ているから矯正装置を付けて治療をした方が良いとか、歯が生えてくるスペースがないから装置で歯並びを拡げることをしたら舌も見えなくなる、とか言われて、なんか違う気がして・・・」と、9歳の女の子を連れてお越しになられたお母様が語り始めた。問診をしている傍から女の子は口唇が開いており、明らかに鼻閉が不正咬合を引き起こしている大きな原因の一つであると推測できる状況にあった。口腔内及び全身写真撮影、口腔機能の動画撮影診査を済ませ、親御さんにも一緒に状態を診て頂きながら、何が良くないかを考えて頂いた。先ずは水を飲む様子を診て頂くと、口に含んだ水を一旦口唇周りに行き渡らせてから口唇及びオトガイ筋を緊張させて飲み込み(嚥下)をしているのである。これは飲む瞬間に口腔内を陰圧にするための代償反応であり、本来であれば舌が口蓋に張り付いてゴックンと飲み込むので口唇はもちろん口角周りやオトガイ筋、表情筋は一切動かないのである。従ってこのお子様は無意識に唾を飲み込むときにも同様の飲み込み方をしているので、約1800~2000回/(日)唾を嚥下する際に間違った力の作用が顎骨に働くことで顎顔面骨格(特に中顔面)の成長抑制が起き、結果的に歯が並ぶスペースがないので不正咬合になるのである。ではなぜ異常嚥下が起きるのかということに話は続く。皆さん何故だと思いますか?その原因を取り除くことがこの女の子と親御さんの主訴に対する解決方法なのです。

                         2025,2,10

平和を実感

 今回の講師はイスラエルからお越しになられており、懇親会の席において自国の状況について説明し始めた。だれも望んでいることではないことが現在進行形で起きており、先のことは全く分からないが一刻も早く平和が訪れて欲しいとセミナーの時とは違い、うつむき加減で一点を見つめていた。海に囲まれた島国で育った日本人には、国境を挟んだ民族、宗教観の相違からくる理屈では分かり合えない感覚は理解しようにも想像の域を超えている。決して語学が達者ではない当方にとって安易な声掛けも出来る雰囲気ではなかったが、セミナーについての質問をすると熱く語りはじめ、時には冗談交じりに笑いを誘っていた。またイスラエルのワインは品質も良く評価が高いにもかかわらず、多くが自国で消費されてしまい外国にはほとんど輸出されていないことを振ってみると、なんでそんなことを知っているのかと驚きながらも誇らしげにイスラエルワインのレクチャーが始まった。明日からは京都への観光も予定されているとのことで、束の間の平和かも知れないが日本の“ライスワイン”も是非と勧めさせて頂いた。

                         2025,2,9

年齢には関係なく

 「1916年、アルバート・アインシュタイン博士が自著“量子論”でエネルギーの自然/誘導放出の基礎理論を発表。後にデンマークのボア博士の“ボアのモデル”でレーザー理論の基礎が確立される」と、この週末に参加したセミナーの最初の講義で紹介があった。まるで物理学の授業が始まったかのような出だしであり、当方の脳内にて歯科臨床とリンクさせることに時間が掛かりそうな予感がした。なにせ理系に進んだにもかかわらず物理はどうも好きになれなかった科目であり、まさか卒後30年以上も経って量子論を学ばなければならないのかと、内心うんざりであった。歯科におけるレーザー治療は未だ普及しているとは言えないが、レーザーにも種類があり、歯の硬組織(エナメル質、象牙質など)や軟組織(歯肉)、骨などの治療に応用されており、レーザーの出力、波長、振幅の調整によって最小限の侵襲によってむし歯の治療も行うことが出来る。但し、基礎理論が分かったうえでの臨床応用であるので不足している知識のアップデートに時間を割かないわけにはいかないが、セミナー参加者の中には80歳になられる著名な先生の姿もあり、いつまでもご自身のアップデートに余念がないことに学びを得た思いである。

                         2025,2,8

舌のポスチャーは正しいですか?

 子供達の不正咬合を改善させるには、歯だけを診ていてもその不正咬合に至った根本原因は診えてこない。鼻閉があれば口を開けて口呼吸となって舌は口蓋から離れ低位舌となる。また舌小帯もしくはオトガイ舌筋周りのFasciaが邪魔をして舌の可動域が狭いようであれば、同じように舌が口蓋に貼り付くことはないため,静的なポスチャーとしての舌の正しい機能が営めなくなる。“舌は呼吸器官である”と言われた東京科学大学の小野教授の言葉が意味するところは正にここである。舌のポスチャーが頭蓋顔面の発育に関わっているとブログでも述べさせて頂いているが、皆さんの舌の動きはきちんと機能していますでしょうか?一度口を開けて頂き、今度は唇を閉じてみて下さい。その状態で舌を口蓋に張り付けてみると瞬間的(反射的)に嚥下(飲み込み)が起きませんか?この時に口腔内は陰圧になり、上下の奥歯が咬みこんで上下の顎の位置が維持されるのです。従って、常に舌のポスチャーが正しくないとこの一連の動きが出来ないために、本来は動かす必要のない表情筋やオトガイ筋などを使って口腔内を陰圧にして嚥下するために、異常嚥下という動きが確立されてしまいます。それは原因に対する代償反応であり、早い段階で原因を取り除かなければ一生その嚥下が身に付くこととなり、異常嚥下から始まる体幹への歪みと繋がります。感覚統合の視点で捉えれば、姿勢を維持出来なければ勉強はじめ物事に集中できなくなるのは言わずもがなであり、塾通いする前にすべきことがあるのではないでしょうかと多くの親御さんには声を大にして言いたい。

                         2025,2,7

耐用年数

 道路陥没事故によるトラック運転手の救出活動にに消防、自衛隊はじめ多くの関係者が24時間通しで急いでいる。戦後約80年が経過し、インフラの耐用年数を超えているところも多くあり、国土が狭く建造物に多く囲まれた日本は地震立国でもあるがゆえに特有のリスクが潜んでいる。高速道路のトンネル崩落事故、橋梁の取り換え工事、水道管、今回の事故現場からは普段目にすることのない地下にも日常生活を円滑に営むために造った技術者達の構造物が埋設されている。どんなに頑丈に、精巧に造られたものであっても半永久的に保存、維持できるものではない。それも常に過酷な環境下に置かれていればなおさらである。歯科治療とて同様であり、どんなに精密な治療を終えたとしても、飾り物ではなく機能している構造物である限り、必ずやり替えの時期が来る。それも不正咬合、歯並びの悪いことが原因でう蝕(むし歯)が出来たのであれば、根本的な原因である咬み合わせを改善させなければ再治療に至る期間は短くなると考えるのが自然である。また歯や歯肉だけではなく、顎骨、顎顔面骨格、体幹という視点で診ていくと、特に永久歯の治療を繰り返し受けている方の場合は適応の裏には代償反応があり、必ずその代償の結果がその後の人生の中で不定愁訴という形で発現すると認識しておくべきである。たまたま片頭痛がある、肩凝りがひどいのではなく、その原因はどこにあるのか過去を遡って考えて頂ければ解決策は見えてくるはずである。

                         2025,2,6

バージョンアップ

 全国的に大寒波の襲来で広範囲にわたって積雪による交通障害や被害に見舞われているようで、関東地方は降雪はないものの冷え込みが一段と厳しくなってきている。あまりの寒さに早朝の走り込みもここ数日はご無沙汰しており、月間の目標走行距離数には早くも黄色信号が点滅している。そんな中、先日の別府マラソンで山中伸弥先生がなんと3時間20分で完走したことを知り、タイムもさることながら35キロ過ぎから足が痛くて走れなくなったと語っていたことに、サブ4を達成できていない当方にとっては気持ちを再起動させられた思いである。走れない?走らない?言い訳をすれば幾らでも出てくるものだが、幸いなことに仕事の充実ぶりに反比例するかのように睡眠時間が削られて起床時間が遅くなることが続いており、このままでは“睡眠負債”から脱却できなくなりそうでもあり、頭のCPUの性能を高めなければならない。年明けに入れ替えた診療室のPCの動きは至ってスムースであり、人間も都合よく部分的にでも入れ替えが出来たら処理能力も上がるだろうにとしょうもないことが頭をよぎった。山中先生の足元にも及ばない歯医者の端くれだが、そんな当方でも頼ってお越しくださる方々のために、常にバージョンアップだけは心掛けたい!

                         2025,2,5

難しいのは・・・

 ブログに小児の咬み合わせと全身との関りを載せている影響かも知れないが、問い合わせが増えてきている。新規の予約は約1年先までお待ち頂いている状況だが、お子様の場合はその限りではない。なぜなら子供の成長は待ってくれないからであり、不正咬合があるということは後天性の頭蓋顔面発育障害を有していることにもなり、その影響は口腔内に止まらないから一刻も早い治療、対応が必要とされる。不正咬合の患者の共通項は口呼吸であり、上唇の形態が富士山型を呈していることが多い。口呼吸であれば舌は自然と口蓋から離れた低位舌となり、その状態で唾を無意識に飲み込もうとすると舌のポスチャーが正しくないので異常嚥下となり、不必要な口腔周囲筋も動かすこととなり、負の連鎖の始まりとなる。不思議なことだが、ご両親で子供の咬み合わせの相談に来られると、よく理解し早く治療を受けさせたいというのは大概母親であり、父親が言うのは決まって「今は普通に生活も出来ているのになぜ咬み合わせのためにトレーニングをする必要があるのか?」と聞いてくる。内心こちらの説明の何を聞いているんだ?と聞き返したくなる気持ちを抑え、「今は勿論、将来にわたる体調不良、体幹の歪み、そして機能不全に陥らないようにするために子供のうちにその芽を摘むことが必要なんです!」と言わせて頂いている。参考までに、「何パーセントぐらいのお子様が良くなっていますか?」と尋ねてきた親御さんは数人いらしたが、何れもその後はお越しになられていない。難しいのは子供の治療、トレーニングではなく、理解しようとせず他人任せにするモンスター〇〇〇であるのはどこでも同じようである。

                         2025,2,4

紛失物

 診療後に掛かってきた受話器を取ると、「あっ、先程治療をして頂いた〇〇ですけど、そちらにスマホを忘れていませんでしょうか?」と、慌てた様子で話をしてきた。スタッフとあらゆるところを探してはみたものの見付からず、無い旨を伝えると消え入るような声で、「お騒がせして申し訳ありませんでした。」と電話を切られた。その後のことが気になっていたのだが、本日治療にお越しになられた際に、「申し訳ありませんでした。あの後ダメもとで駅前の交番に行ってみたら、ちょうど拾って届けて下さった方がいらしたんです!」とのこと。「いやいや日本もまだ捨てたものではありませんね!」と会話が弾み、当方が過去に拾った財布を交番に届けた際にも偶然落とし主が現れ、なんとも似たようなことがあるものだとお互いに感心した。日本を訪れた外国人の中には、ホテルや旅館の部屋のセキュリティボックスを使わなくても日本は安全だから大丈夫だという方もいるらしいが、いつまでもそのように思われるような国民性やお国柄であり続けたいものである。さらに付け加えるとしたら今なら“楽しい日本”ということにもなるのかも知れませんね!

                         2025,2,3

ファシア(Fascia)

 ファシア(Fascia) をネット検索すると「全身にある臓器を覆い、接続し、情報伝達を担う線維性の立体網目状組織。臓器の動きを滑らかにし、これを支え、保護して位置を保つシステム」とある。不正咬合と体幹の歪みは非常に関連があると言わざるを得ませんが、その際のキーとなるものがこのFasciaであると考えます。全身の筋肉はそれぞれ単独ではなく、複数の筋肉が連動しコネクションを形成し、一つの線として存在します。全身に張り巡らされた数種類の中でもDeep Front Lineと呼ばれるものは、口腔発達と関連がある舌に始まり、呼吸と関連する横隔膜、姿勢と関連する大腰筋・腸骨筋、そして足の指先まで繋がっています。従ってこのFasciaに緊張が掛かり続けた場合、口腔、呼吸、姿勢にも関係してくることは容易に理解できるわけで、昨日のブログで述べたお子様の姿勢が改善されたケースは、舌周りのFasciの緊張が取り除かれたことで呼吸と姿勢に良い影響が及んだものと考えられます。数年前に亡くなられたある耳鼻咽喉科医の先生がなさっていた舌の手術を受けた方々の術後の感想の中に、「呼吸が楽になった」、「空気がスーと入ってくるようになった」、「慢性的な首や肩の凝りが嘘のように無くなった」という表現が多く見られたのは、このようなことだったのかと実感している。

                         2025,2,2

口腔機能発達不全症と体幹の歪み

 2018年に「口腔機能発達不全症」が保険導入さたこともあってなのか、不正咬合を抱えた子供達にファンクショナルアプライアンスを装着する歯科医院が増えてきたようである。大事なのはなぜ不正咬合が生じたのかという原因を正すことであり、現症のみを改善させるだけでは不十分であり、不正咬合に至った背景にある根本原因が身体に及ぼす影響までを理解する必要がある。普段から姿勢が悪いのは果たして姿勢だけの問題なのか。食事の際にクチャクチャ音をたてるのは単なる癖で、気を付ければ改善できるものなのか。夜寝つきが悪く、朝も起きられないことと咬み合わせが関係しているとは誰も思わないかもしれないが、不正咬合に至った原因と密接に関係している可能性を示す文献を目にする機会も増えており、我々歯科医が子供達の不定愁訴を取り除くべき役割を担っていると実感する日々である。数か月前に舌の可動域が狭い低学年の女の子のオペを実施し、その後頭蓋を常に傾げていた姿勢が自然と改善されてきている姿を見ると、もしも何もしないで過ごしていたら、このお子様は頭蓋の傾きから始まる体幹の歪みを成長と共に大きくするだけだったのはないかと推察することができる。老齢期に「オーラルフレイル」という状態に陥らないためにも、小さな子供のうちに悪くなる芽を摘むことが必要である。 

                         2025,2,1

白衣がなんぼのものや

 小児の咬み合わせ治療における資料採りで撮影したレントゲン診査では、重度の慢性副鼻腔炎を発症していると思われる不透過像(当方は耳鼻咽喉科医ではない)を認めたため、以前からお世話になっている耳鼻咽喉科の専門病院を紹介し、やはり慢性副鼻腔炎との診断であった。但し通院となると小さな子供達を連れて長時間移動するのは大変だということから、居住地に近い総合病院をそちらから紹介された。しかしである。慢性副鼻腔炎と診断が下った副鼻腔の炎症に対する新たな紹介先での診断は、「全く問題ないですよ!」とのことで、薬すら処方されずに帰ってきたと連絡を頂いた。当方の専門領域ではないが、2件の耳鼻科での診断がここまで異なるとなった場合、次の一手が出てこない。歯科においてもドクターによって診断がことなることは多々ある(困ったことではあるが)のだが、なぜこのようなことが起きるのか?学術的な勉強不足、目の前の患者に起きている症状に対する洞察力不足、経験不足、思い込み。何れにしても、相手(患者)が納得できる説明を出来ないのであれば、言葉を濁したりするのではなく、他のドクターの力を借りるなどして患者一番の対応を望みたい。白衣を身にまとっていても、白衣を脱げばただのヒトであり、問われるのは人間性でしかない。  

                         2025,1,31

日本語

 日本語の上手な外国人がいる一方で、聞くに堪えないほど乱れた母語を喋っている人の会話を電車内で耳にした。他人事と言えばそれまでだが、日本語が置かれた状況は大丈夫かと心配である。「阿吽の呼吸」、「わびさび」などの感性は日本人独特のものであり、Google翻訳でさえ適切な表現はないのではないか。明治大学教授の齋藤孝さんは「日本人は日本語を母語として育つ中で、日本人的な思考や感性を身に付けてきた。私たちが個人的な考えや感情と勘違いしているものの多くは、脈々と継承されてきた精神に他なりません。」と述べています。ネット社会、一人一つのスマホ時代にあえて紙媒体の書籍を手に取って時には素読をしてみると目の前がパッと開くような、子供なら尚更ですが成人になってからでも言葉を身体に刻むことで海馬が活性化され、思考がクリアになるものです。新聞も電子版になるといつでもどこでも読めると思うからなのか、以前よりも目を通す時間が減ってしまったことは想定外であった。新鮮な活字に触れ語彙を身に付け母語を大切にし、いつまでも美しい日本語を誇りに思えるよう過ごしていきたい。   

                         2025,1,30

感覚統合と不正咬合

 「発達障害および発達障害のような子供達、気管支喘息及び気管支喘息のような子供達が先進諸国において増えてきている」と5~6年前にイギリスからお越しになったDr.John Flutter先生が講演会で述べられていたが、当医院にもそのようなお子様が増えてきている。いったいその背景には何があるのでしょうか?以前、歯並びが良くないことを主訴として来院された4年生の男子は、診査時から落ち着きがなく、診ようによっては挙動不審でもあった。当時は直感的に歯並びが良くないのは単に舌を含めた口腔顔面筋機能障害があるからではなく、感覚統合が上手く発達していないことに起因しているのではないかと察したが、歯科医院で感覚統合が上手く発達していない子供に対して何ができるのかと試行錯誤しながら治療に取り組むしかなかった。2年間通い続けた中で取り組んだことは、先ずは正しい呼吸が出来るように仰向けになってお腹を膨らますところから始まった。四肢の動きにも不自然さがあり、身体を触ると全身に緊張があることが分かり、身体をくすぐるなりしてほぐすことも徹底的に行い、その後水を口に含んで正しく飲み込む練習、目のトレーニング、筋機能装置を夜間装着して朝まで口テープを張って寝るなど継続すること1年が過ぎたころ、学校の担任から、「家で何かされているのでしょうか?」と、その子の行動の変化に驚いた様子だった。我々には聴覚、視覚、嗅覚、触覚などだくさんの感覚がありますが、その時々に必要な感覚に絞って意識を向けることが出来ますが、この感覚を整理する能力が弱いと、本来集中すべきもの以外のことにも気になってしまい、落ち着かなかったり、集中することが難しくなったりします。この子の場合は本来であれば幼少期の頃に身に付いているべき正しい呼吸の仕方をこのタイミングで獲得したことで、感覚統合でいう土台の部分が出来上がり、感覚や動きの改善へとつながったものと考えられます。     

                         2025,1,29

歯の移植

 「銀歯の被さっている歯の歯肉が腫れてきました。痛くはないです。悪くなっているんですよね~?」と半年ぐらい前にお越しになられた方の歯は、過去に歯髄組織(歯の神経と血管の組織)が腐敗して根管の中を掃除する処置を受けた痕がレントゲン画像で確認できたが、その根管治療自体が雑な治療をされてしまったようで、冠を除去すると歯根の腐敗は進んでおり、抜歯以外の選択肢ななかった。通常抜歯後は欠損箇所に何らかの補綴処置が行われるが、選択肢としては義歯、ブリッジ、インプラントがある。ここで考えなければならないのは、なぜ抜歯せざるを得ない状況になったのかであり、その原因(病因)を改善しないまま対処療法を繰り返しても、同じことを繰り返すということを患者サイドで理解することである。多くは咬み合わせが遠因としてありかみ合わせを改善させる必要があるのだが、簡単に歯列矯正治療までを決断は出来ないので、問題個所のみの治療で終わるケースが多い。この方の場合は上記の選択肢のほかに智歯(親知らず)が残存していたので、智歯の抜歯窩への移植を提案させて頂き実施するに至った。移植後の経過も順調であり、先日最終的な処置まで終え定期メンテナンスに移行となった。当医院では歯の移植術は積極的に行っており、過去には智歯4本を悪くなった奥歯4か所に移植したこともあり、20年近く経過した現在でも問題なく過ごされている。何事も原因があるから結果があるのであり、治療にばかり関心が行くかもしれないが、当該箇所が悪くなった直接の原因とそこに至った遠因をしっかりと医療者側は説明し、患者サイドは理解することが必要である。なぜならどんな医療であっても“絶対”などは存在しないのだから。           

                         2025,1,28

貴方のお子様は大丈夫ですか?

 最近つくづく名言だと思っているのが次の言葉です。「天下の難事、必ず易きより作り、天下の大事、必ず細より作る」老子の言葉です。あの時にしておけばよかった・・・とは、ある程度人生を歩んだ方であればそんな経験の一つや二つはあるのではないでしょうか。物事は育ち、大きくなり、そして厄介になるとは実に的を得た表現ではないでしょうか。小児の咬み合わせ治療の目的は、まさに身体の成長が始まる初期の段階でちょっとした習癖を取りのぞいて改善し、正しい成長発育軌道に戻すことにあります。歯医者の「様子を診ましょう」は、良くなるどころか成長抑制を加速させてしまう極めて危険な診断と思わされるケースに遭遇します。小児の不正咬合といっても、乳歯列期、混合歯列期、永久歯列期とあり、それぞれの段階に応じた適切な対応が求められるのであり、どの段階であっても不正咬合に至った根本原因を取り除くことに主眼があれば、自ずとどのような処置、指導をすべきか診えてきます。子供達の成長は待ってくれません。理想的な咬み合わせをされているお子様で姿勢の悪い子供は当医院においては一人もいません。不正咬合=体幹の歪みと言っても過言ではありません。姿勢が悪いのは身体の代償反応であり、重要なのはその原因(病因)を考え、直ぐに解決することです。           

                         2025,1,27

口腔顔面筋機能療法(OMT)

 最近は以前から定期メンテナンスで通われている方への説明のなかでも口腔機能について時間を割くことが多くなってきている。口腔顔面筋機能療法(OMT:Orofacial Myofunctional Therapy)の概念は遡ること100年以上前に、歯科医であれば誰もが知っているEdward Angle先生が筋機能の重要性を世間に知らしめた。つまり「調和のとれた歯の位置と歯列弓の大きさは、筋肉の力によって決定されてくる。」とすでに述べていたのだ。この数年でOMTに取り組む歯科医院が増えてきているようだが、裏を返せばそれだけ機能に関しては臨床現場において注目されることはなかったということでもある。歯列の形態、舌の可動域、歯の咬耗状態、左右の歯冠距離などから食事の際に咽る可能性が高かったり、睡眠障害のスクリーニングを行い、予後について説明をさせて頂いている。「歳のせいかよく咽るんですよ~」と言われることも多くなり、決して加齢で咽るのではなく、もともと正しい嚥下が出来ていないところに筋力の低下が起きるとより嚥下しにくくなるという現象が起きているのである。何事も原因があるから結果があるのであり、患者と医療従事者の考え方が供用されてはじめていい結果に結びつく。理解の先には実践があり、頭で理解できても必要なトレーニングを僅かな時間だけでも日々継続することはなかなか難しい。むし歯がないから歯医者に掛からないという時代はとうに過ぎており、心当たりのある方は口腔顔面筋機能療法を積極的に実践することを勧めます。

                         2025,1,26

保険診療とは

7~8年ぐらい前に手にした「The Cause and Cure of Malocclusion」(John Mew著)には、「There is a reason for everything.

(すべての事には原因がある)」と著者のフィロソフィーが論じられており、医療の原点である“原因をなくす”ことにも通じている。また、日本の歯科医療の発展に寄与されたDr.Daryl Raymond Beachは「Health Care=0」という概念を提唱し、「医療の究極の目標は健康管理の必要性がなくなること」であると述べられていた。これらの素晴らしい考え方を臨床現場で医師、歯科医師を含めた医療関係者全員が実践できているのであれば、医療に対する信頼はもっと高まっていてもよいと思うのだが、来院される初診患者さんの口から語られる言葉には未だに不満が少なくない。共通して感じることは、医療者と患者側とのコミュニケーション不足であり、時間と患者数に追われる診療をして居る限り、この溝はいつまで経っても変わることはあるまい。一人ひとりの説明に割く時間を掛けても請求できる保険点数は何もないとなれば、経営を考えたら時間を端折ることにもなるだろう。国民皆保険という世界にも誇れる保険制度ではあるが、2年に1回の保険点数の改定は行われているものの、医療の本質を高める、改善させることには繋がっていないというのが私見である。

                         2025,1,25

医療の盲点

口蓋扁桃肥大が明らかに呼吸抑制を引き起こしているにも拘らず、ガイドラインに沿っての判断なのかもしれないが摘出手術の適応ではないと紹介先の耳鼻咽喉科から返されてきた。2年前に亡くなられたある耳鼻咽喉科医であれば、独自に考案した手術方法でアデノイド肥大及び口蓋扁桃肥大も必要とあらば摘出してくださっていた。耳鼻科にはそれなりの見解があることは理解できるが、子供達の機能発達という観点から今一度ガイドラインの再考を願いたい。口呼吸、扁桃肥大、Tongue-tiedを有しているお子様で理想的な咬み合わせ、歯並びをされている子は少なくとも当医院にお越し頂いている中では皆無である。先日いらした小学生の男子も、常に頭蓋を前方に傾け猫背であり、水を口に含んで嚥下する際にはオトガイ筋の緊張、頬筋の強い緊張、そして瞬間的に下を向かなければ上手く飲めないのである。2002年に掲載された論文には、「健康関連の行動や社会的・環境的要因が生存率に影響する割合は40~60%、医療の有効性や質に起因する10%よりも大きい」とある。つまり医療者がどんなに頑張っても10%しかよくならないのだと。果たして本当にそうなのだろうか?傷口が小さなうちに身体の成長プログラムを最適化するすることで健全な身体に育ち、成人になってからも医療に頼る機会を減らすことができるのではないか。発達障害の疑いと診断を受けたお子様が、2年かけて口腔顔面筋機能療法を実施したことで途中から通常クラスに入り、その後中学に進学しテニス部で活躍している姿を見ると、医療の盲点があるように思えてならない。

                         2025,1,24

イチローさん

米国野球殿堂入りのメンバーは過去にMLBで活躍した選手の実に1.3%だけしかいないというから、そこに選ばれたイチローさんの快挙は偉業と言われるに相応しい。日本球界では入団当初は独特の打撃ファームでは打てないとコーチに言われ二軍での修正を命じられたというが、自分の信念を貫いて好成績を残し、初の200安打も記録した。「遠回りすることが一番の近道だと思ってやってきている」との言葉に膝を叩いて勇気づけられた諸氏もいることでしょう。イチローと一緒にプレーをしたMLBの選手たちの評価は、「彼の試合に臨む前の準備はいつだって学ぶべきものが多い」と口を揃えて言う。当方にはイチローさんとのエピソードが一つあり、事前に予約をしていた店の女将から「金澤さんの予約が先に入っているのですが、どうしても個室で予約を取りたいという方がおりまして、金澤様が宜しければ今回だけお譲りして頂けないでしょうか?」と連絡を頂いたことがある。因みに、どんな方がお越しになられるのか尋ねてみると、「なんか、イチローとかいう方なんですけど・・・」との返答があった。当日知人と会食をしていると、二階の部屋から彼の高笑いが聞こえてきたのが今となっては懐かしい。これからも野球界の宝として、子供達の目指す人として輝き続けて頂きたい。

                         2025,1,23

医者である前に・・・

何処に行くにも親が一緒だった小さな頃、親は自分を守ってくれる絶対的存在であったし、人混みで親を見失い迷子になった時の涙が自然と出てきたあの不安に駆られた心理状態を誰もが経験済みではなかろうか。同じように言葉にはできない身体の不調を抱えた子供達は、どこかで親が何とかしてくれると思っているに違いない。医者はそんな声なき声を聴き、出来る限りのベストを尽くそうと日々研鑽を積んでいるのではないか。紹介先のある耳鼻咽喉科医が、「ここはなぁ、どこに行っても良くならない患者が来るんだよ!何で他の耳鼻科にもかからないでうちに来たんだ?」と信じられない暴言を親子に吐いた。父親は「金澤先生、気を悪くしないでくださいね。俺、本気でその医者をぶん殴ろうかと思いましたよ!」と後日言われ、学会で登壇して発表しているからと言って心ある医者だとは限らないのだと、まさかの思いである。白衣を着ていれば患者さんからは先生と言われるが、白衣を脱げばただのヒトであるというのが持論であり、国会議員も議員バッジを外せばただのヒトであるのと同じである。医者を志した動機は何だったのか。先生先生とチヤホヤされていい気になってしまったのだろうか。スポーツ選手、芸能人、政治家、そして医者、歯医者も含めて人間性を問われるような事柄が年々増加しているように思うのは私だけか。人は謙虚に謙虚に生きて行くべきではないですかね。

                            2025,1,22

頼りになる仲間たち

半年に一回ぐらいの頻度で気の合う仲間と会食を共にしているが、それぞれの職種が異なることで知らない情報交換の場と定着しつつある。私以外の4人は当方よりも年上で人生の先輩でもあり、国際政治や業界の難しい話をしていたかと思えば記憶にも残らないようなくだらない話まで、脳内をリフレッシュさせてくれる貴重な友人たちである。今回は当医院の人材不足を話題にすると、「もっと早く言ってよ!私のところのスタッフが先生の所ならお手伝いに行くっていうに違いないから聞いてみるね!」とのこと。皆さん仕事がある中で時間を見つけて応援に駆けつけてくださるというその心遣いに不覚にも涙腺が緩んだ。翌日さっそく連絡を頂き、4月までの仕事の空き日にお越し頂けるとのことである。どこの業界も人手不足ということだが、会食したところのお手洗いにも求人募集の張り紙がされており、高額な時給に二度見してしまった。大手企業の大卒初任給が先日話題になっていたが、今さら言うのもなんだがお金だけが注目される世の中では大事なものが失われてしまわないか気がかりである。そのお金の新一万円札の肖像となった渋沢栄一は「論語と算盤」で、道徳と経済という異質なものをつなぎ合わせ、新たな価値を作ろうとした。そこに必要なのは、物事を俯瞰する目とそのベースとなる好奇心と想像力であり、当方を支えてくれているこの仲間たちには気付くとそれらが備わっている。まさに「財産は人」であると実感する時間であった。

                            2025,1,21

口腔顔面筋機能の最適化

 子供達の不正咬合の診査診断を行い、それに基づく治療計画を立てたとしても、計画通りに進むかどうかは患者である子供の取り組み姿勢や親の理解度、協力度、生活スタイルによって変わってくる。今までの歯列矯正治療の概念では、定期的に歯科医師が装置やワイヤーを調整することで歯並びを改善させてく治療でしたが、当医院で行う子供達の矯正治療は根本原因の一つでもある口呼吸を鼻呼吸に変える、いわば機能の習癖を改善させることにあり、日々の徹底したトレーニングを実践するための指導となります。6~7歳でトレーニングを開始する場合は本人の理解が追い付いてこないので親が付きっ切りでないと実践はできませんし、自我が出てくる10歳前後では本人の本気度に左右されるところが多分にありますので意識づけが重要となります。子供の成長は待ってくれません。頭蓋顔面発育障害の一つの表れが不正咬合であると考えていますので、特に中顔面(鼻上顎複合体)は学童期の段階で発育がかなり進んでしまいます。歯並びだけの問題ではないとの認識を持っていただき、望ましくない方向に発育が進まないよう口腔顔面筋機能の最適化を行っていきましょう。

                            2025,1,20

耳垂れと咬み合わせ

中耳炎によくなるというお子様の咬み合わせ、嚥下の仕方を診てみると、下顎は後方に下がり上下前歯部には叢生(歯の重なり)があり、コップの水を飲み込む際にはオトガイ部、口唇周り及び表情筋すべてに瞬間的な緊張がある。「耳と咬み合わせは関係あるのですか?」という親御さんの質問に対して、「咬み合わせがというよりも、今の咬み合わせになった根本原因の舌を含めた口腔周囲筋の間違った動きにある可能性がある」と説明をさせて頂いた。勿論口頭だけでは理解できないでしょうから自前のプレゼンでその関係性をお伝えさせて頂いたが、「原因は分からないけれども耳垂れが続くのは良くないですから手術をしましょうと耳鼻科の先生には言われています。」とのことである。耳鼻科医の診断であるので当方がそれに関して口を挟むことは差し控えたが、舌根部周囲の咽頭収縮筋は耳管とも関係しており、正しく嚥下できていないことから先ずは口腔機能の改善が優先されるべきではないかと所見を述べさせて頂いた。しかし、「原因が分からないから手術をする・・・」というのは如何なものかと思うのだが、素人の患者さんの言葉でもあるので正確なドクターの言葉かどうかは分からない。それにしても口腔機能が正しく獲得されていない子供の多さには驚くばかりである。

                            2025,1,19

一緒に働きませんか!

当医院のスタッフを募集しているのだが、思うようには声が掛からなくて苦慮しています。歯科衛生士は勿論ですが、アシスタント兼受付も急簿です。このブログを見ている方の中で仕事探しをされている方がおりましたら是非ともお声がけ下さい。アシスタント業務は単なるお手伝い的な仕事ではなく、患者応対から子供達のトレーニング指導まで幅広く活躍できる職種です。当医院の未来展望としては、この2~3年以内に乳幼児~10歳前後までの患者層が50%、10歳代が30%ぐらいに推移すると思われます。なぜなら世の中には医者にかかっても原因が分からない疾患、不定愁訴が溢れており、そのような方の口腔内を診査すると不正咬合に端を発した咬み合わせの崩壊が起きているケースが多くあり、根本原因を遡ると幼少期における正しい口腔筋機能の獲得が出来ていないことにあります。体調不良は身体の免疫力の低下によるものであり、その免疫力の低下はなぜ起きるのか?口呼吸を鼻呼吸へ、舌を口蓋に張り付ける、口唇閉鎖、そして正しい嚥下が出来るようになってこれらが定着すると身体の各器官の細胞は適正量の酸素を供給されるようにもなりますし、構造医学的には中顔面が後下方ではなく前下方に大きく成長することで鼻上顎複合体が理想的に成長し、鼻腔口腔だけではなく気道が本来あるべき容積に発育します。今の子供達が20年後、30年後に医者に極力掛からないような身体にするためには生理学的な機能が本来あるべき状態になることが優先されるべきであり、我々歯科医療従事者はその環境づくりが出来るのです。ご興味のある方は、働ける時間帯も含めてお問い合わせください。

                            2025,1,18

大いなる決断

成人女性の大いなる決断である。子供の頃から歯並びが良くないことは気になっていたが、歯列矯正治療まではする気にはなれなかった。しかし御自身のお子様の不正咬合を改善するにあたり、なぜ不正咬合に至ったのか?その原因を放置すると後天的に身体にどのような問題が生じる可能性があるのかを知り、普段の食事において咽ることが多いこととも関係していることを理解したことで、将来を見据えた時に筋肉の動きも含めて歯列を改善する決断に至った。初診来院時から6年の月日が経っている。人は痛いなどの症状がなければ身体の異常に気付くことはまずない。人間ドックなどで検査数値が標準値から逸脱していると、医師の指摘で人によっては何とかしないといけないと初めて行動に移すぐらいである。しかし、不定愁訴を訴える方の異常所見は検査数値で現れないことがほとんどであり、原因が特定できないまま「様子を診ましょう」となるケースが多いのではないでしょうか。本当に様子をみていいのでしょうか?身体が構造的に無理が生じてくるとどんな症状が起きてきますか?それを放置していたらどうなりますか?誰かと似たような症状であっても、一人ひとりの身体は異なります。情報過多の今の世の中で何を信じればよいのか分からなくなることも多いと思いますが、治療を受ける際には現状に至った原因を理解することが先決であり、なぜその治療を受けるのかをきちんと納得してから受けることが基本です。

                            2025,1,17

健康管理

冷蔵庫を開けた時のような空気の冷たさを感じる今朝、耳当て、ネックウォーマー、手袋など完全装備で早朝ランニングに出かけたが、それでも身体が温まるまでは時間が掛かる。ランニングを始めた約11年前のこの時期に、まだ陽も登らない時間帯の大男のランニング姿はパトロール中の警察官には不審者にしか見えなかったのだろう。ヘッドライトをパッシングしながら走っている当方に近づき、助手席から降りてくると職務質問をし始めた。「こんな時間に何している?」と聞かれても見ての通り「ランニングをしています」としか答えようがない。続けて「身分証明書は?」と尋ねられてもランニングをするのに身分証明書などを携帯するはずもなく、住所氏名年齢を口頭で伝える羽目になった。なんとも気分の冴えない早朝だったが、今ではちょっとした笑い話として機会があるごとに使わせて頂いている。走り始めた切っ掛けは、締まりのない身体になってきた自分が許せなくなり、可能な限り引き締まった体形に戻したいという一念であった。その甲斐あって最初の一年間で約10キロは減量に成功し、体脂肪率も標準値以下まで下がり、人間ドックでは内臓脂肪も劇的に減ったことから、「何かお薬でも飲まれていますか?」と看護師から指摘されたほどである。職業柄、人の身体を健康にする仕事なゆえに自身の健康管理が成っていなければ説得力もないというものだ。但し走り始めから11年経った今、11年歳をとったという現実を受け入れながらも無理をしない範囲で体調管理には留意したいものである。

                            2025,1,16

不正咬合を放置するな!

「子供が朝起きれないんです。ですので毎日学校へは遅刻していくか休むことになってしまって・・・」と親の心配、悩みは深刻であり、その原因を学校関係者はじめ周囲の人々が良く理解できない、本気で理解しようとしないことが親子を孤立させてしまう、極めて由々しきことが子供達の身体に起きている。姿勢が悪いのはなぜか真剣に考えてみてください。理想とされる姿勢ではその子は辛いのでじっとしていられないのです。なぜ辛いのか?呼吸が苦しいから辛いのです。生き物である以上人間も呼吸をしなければ生命維持は出来ず、何よりも優先して呼吸ができるように気道確保に自律神経系は働きかけます。その結果、頭蓋を前方に傾け気道を広げ、スウェイバック姿勢になるのであり、口蓋扁桃肥大が存在すればより気道は狭窄し、呼吸がし難くなるのは明らかです。口腔内所見から子供達の睡眠障害のスクリーニングを行い、中等度以上のスコアが記録されればしかるべき医療機関にて診査診断、処置が必要になるかも知れませんが、当医院においては今のところ正常咬合のお子様で睡眠障害の疑い、ADHDのような症状のある方はおりません。つまり、不正咬合を抱えたお子様の中には既存の医療機関の診査・検査では異常は認められないものの、上記のような不定愁訴を抱えた体調不良児が潜在的に多くいる可能性が高いのです。そのようなお子様がいらっしゃる方は是非とも歯科にて口腔内の状態を確認して頂きたいと思います。

                            2025,1,15

確かな診査診断

皆さんが歯科医院に掛かる目的は何でしょうか?歯が痛くなった時に症状を取りたい、夜中の歯ぎしりが強くて顎が痛くなるからマウスピースを作りたい、歯石を取りたい、定期検診とクリーニングなど様々な理由があると思いますが、歯科医院ではどのような診査を受けますでしょうか?レントゲン診査、歯周組織検査は必須ですが、動的診査を受けられていますでしょうか?歯の咬耗、摩耗状態を診るのは静的な状態ですが、それは原因に対する結果としての代償です。顎を上下左右動かしたときの細かな歯の接触状態、歯の咬耗面が合わさるときの顎の位置はどうなっていますか?つばを飲み込むときの口の動きは?鼻で呼吸が出来ていますか?舌の位置は普段どこにありますか?動的な状態に問題があるにもかかわらず、静的な状態での診査しか行わなければ、問題の確信部分は見過ごされてしまいます。見当違いの診断をされて、治療後に???なんてことはありませんでしたか。時間に追われるような診療をしていては、理想的な医療は提供できません。

                            2025,1,14

正しい機能獲得への取り組み

臨床にまつわる内容が続きますが、正しい嚥下(飲み込み)が出来ているかどうかは皆さん分かりますでしょうか?かみ合わせ云々を考える前にこの基本的な機能が正常に働いていなければ、その後の口腔内に生じるトラブルに対してどのような処置をしたとしてもそれは対処療法でしかなく、根本解決には繋がらない。「一旦口を開けて、それから唇を閉じて舌を口蓋に張り付けて下さい。その瞬間に反射的にごっくんと嚥下が起きませんか?この動きによって食塊や空気が咽頭壁に押し込まれ、口の中が陰圧(真空状態)になります。その結果、上下の歯が軽く当たって最小限の咀嚼筋の筋活動によって口を閉じることが出来るのです」と親御さんや患者さんに説明をさせて頂いている。上下顎骨、頭蓋顔面骨の成長発育が筋機能の働きが大きく関与している理由はここにあり、正しい機能獲得を妨げている因子があるならば、早期に取り除かなければならない。従って、不正咬合を改善させるためには不正咬合の裏に隠れている原因を探し出す必要があり、従来のような評価や臨床における取り組みだけでは不十分である。当医院では現時点で考えられるアプローチをさせて頂いているが、この領域は日々のアップデートが欠かせない。

                            2025,1,13

鼻呼吸の大切さ

“お口ぽかん”状態の子供達の共通して診られる所見は中顔面の発育不良である。オギャーと生れた時点で上顔面の60%は出来上がっており、その後の成長発育の中心は中顔面、下顔面となってくる。我々の上顎骨は一枚の骨で構成されているのではなく、複数の骨が合わさる縫合性の成長をして大きくなっていき、正常に発育すると前下方へと平行に進みます。この上顎部の成長は主に鼻呼吸によって促進されるため、何らかの原因で鼻閉があると、下鼻道を拡大させることが出来なくなります。不正咬合を抱えた子供達は鼻閉を伴っている割合が非常に高く、歯科医院でありながら鼻閉の改善に取り組むことが優先される理由はここにあります。口腔内所見及び歯科用CT撮影によってアデノイド肥大や口蓋扁桃肥大によって気道が極めて狭くなっている場合には耳鼻咽喉科にて摘出手術を依頼することになりますが、昨今の耳鼻科におけるガイドラインでは、よほどの気道閉塞状態になっていないと摘出手術までは行わず、投薬にて肥大が縮小するのを待つ傾向にあります。しかし、子供達の成長は刻一刻と進みますので、機能回復という視点ではとにかく扁桃摘出を行って頂きたいものです。当方が耳鼻咽喉科医とのダブルライセンスの資格を持っていればより理想的なアプローチが出来るのにと思う所以です。知り合いの歯科医師の仲間には昨年から医学部に進学し、将来的に口腔と鼻腔の両面からの診察治療に備える人も現れました。今まで以上に歯科から子供達、そして成人の身体を守るアプローチが出来ることを確信しています。

                            2025,1,12

正しい口腔機能の獲得

毎年正月三が日に餅などをのどに詰まらせて救急搬送される事案が後を絶たないが、中でも高齢者の誤嚥は要注意である。加齢と共に筋力が衰え、正しい嚥下様式が以前から獲得されていない場合には、咽る回数が増えたり咳払いも強くできなくなってくる。唾や水を口に含んで嚥下して頂く診査をすると、子供だけではなく不正咬合を抱えたほとんどの大人たちは口唇周りや頤筋、頬筋に異常な力を入れて嚥下している。痛いなどの症状もなければ医療機関に掛かることもなく、何の疑問も持たずに日常生活を送っている人達である。身体の本来の機能が失われていても他の器官による代償反応によって我々は一見すると問題なく生きている。但し、正常な機能の働き、動きから遠ざかるほど、時間の経過とともにそのしわ寄せは生じるのであり、中年と言われる年代になると原因不明の首肩凝りや腕のしびれ(頚腕症候群)、腰痛に悩まされるようになる。ストレッチやマッサージをすることで一時的な回復をみるものの、2~3日もすれば辛い状態が戻ってくる。根本的な原因が改善されずに残っている証拠である。話を元に戻すと、誤嚥は正に幼少期、若い頃からの正しい口腔機能が獲得されてこなかったことによる結果そして弊害であり、年齢に拘わらず気付いた時から舌をはじめとした口腔周囲筋のトレーニングを始めることを勧めたい。

                            2025,1,11

睡眠歯科

「眠りが浅いことと咬み合わせは関係があるのでしょうか?」と定期メンテナンスでお越し頂いている方からの質問である。この方には10年以上前の初診時から、かみ合わせが全身とどのようにかかわっているのかを機会があることにお話をさせて頂いてきたが、その蒔いてきた種がやっと実る時期が来たようである。本人の自覚がないものに対していくら懇切丁寧に将来の身体に生じる可能性がある問題点を指摘したところで、身を入れて聞くことはない。まあ逆の立場になって考えてみれば分かることだが、蓄積された予備知識があったからこそご自身で身体の異変を“もしかしたらかみ合わせから・・・?”と考えるに至ったと語っていた。本人は年々かみ合わせが変化してきていることにも気付いており、就寝中は口が開いていびきもしていると家族にも指摘され、最近はものすごく精神的にも凹んで過ごしているとのことである。この方の質問に対する答えとしては、「不正咬合に至った原因そのものがある種の睡眠障害(全ての睡眠障害と関係があるとまでは言えない)と関係があり、口呼吸であるなら口呼吸になる原因が関係しているとも言える。」と説明をさせて頂いた。ところで皆さん、睡眠の役割って何でしょうか?また睡眠は長ければよいというわけではなく、質とリズムも重要で、睡眠で休養がとれている感覚が大切です。近年睡眠医学では、歯科からの改善アプローチも求められており、睡眠へのフォーカスが一気に高まってきている。

                            2025,1,10

医療の可能性

“人生が変わる日”になってほしいと親御さんは思っているに違いない。よく眠れない、夜中に目を覚ます、など睡眠障害を抱える子供が増えている。全ての結果には原因があり、原因があるから結果がある。舌小帯の可動域が視診では明らかに狭く、計測値においても本来の1/4程度までしか動かないとなれば、普段から口蓋に舌が持ち上がることもなく口呼吸であることは容易に推察され、正しい嚥下機能も望めない。そのまま成長が進めばこの子の身体にどのような代償反応が起き、将来的に様々な機能障害が生じる可能性は、今を生きる大人たちの不正咬合と体幹の悪さ、不定愁訴を抱えながらドクターショッピングしている人の多さを見れば予想がつく。出生時の様子、哺乳の仕方、アレルギーの有無など様々な問診、診査を経て、3か月に及ぶオペ前舌トレーニングを行い、いよいよ舌小帯及びオトガイ舌筋周りのFaciaをリリースする手術を行うに至った。本人と親の協力のもと、オペ後のトレーニングをしっかりと継続することで正しい機能獲得が出来るようになり、呼吸の改善、体幹の歪み、姿勢の改善に繋がることになる。「The Case For More Active Policy Attention To Health Promotion」には、“健康関連の行動や社会的、環境的要因が生存率に影響する割合は40~60%、医療の有効性や質に起因する10%よりも大きい”と、医療関係者を落胆させるレポートが出されている。つまり、我々医療従事者がどんなに頑張っても不調を抱えた人の10%ほどしか改善させることが出来ないと言っているのである。果たして本当にそうなのだろうか?今まではそうだったのかも知れないが、今後10年、20年、そして30年経ったときには、異なるレポートがパブリッシュされていることだろう。

                            2025,1,9

受験の在り方

今月18日19日に大学入学共通テストを控える中、大学受験予備校が「破産申立て」をしたとの報道があるが、頼りにしていた受験生たちの精神状態は大丈夫か気になるところである。勉強は本人がするものだから、予備校云々に左右されているようではそもそも勉強が足りていないのではないかという厳しい意見を述べている方がいたが、それはそれとして予備校経営者の無責任さには呆れてしまう。当方も大学受験は複数回、しかも複数年に亘って経験をした身ではあるので、この時期のあの何とも言えない妙な緊張感をもった毎日を過ごす時間は早く過ぎ去ってほしいものだ。受験と言えば2月には県立高校の試験もあるが、驚いたことに年明けから中学校を欠席して朝の9時から高校受験予備校に足を運んで受験対策をしている生徒が少なくないとのこと。愚息のクラスも数人の生徒が地元の予備校・塾で缶詰状態で勉強をしているらしいと学校から帰宅して喋っていた。予備校や塾の指導の在り方も問題だが、それを容認している親がいること自体が家庭教育の問題ではないかと思えてならない。学校の存在意義は?学校は何を学ぶところなのでしょうか。因みに当方の中学3年生は、「そんな奴らに負けてたまるか」と闘志を燃やしている。世の受験生よ、もう少しだ!最後の最後まで自分を信じて頑張れ!

                            2025,1,8

継続することの大切さ

何事も上手くなりたいなら練習が必要であり、周りよりもより上手くなりたいなら人の2倍、3倍の努力、練習の積み重ねが欠かせないことは言うまでもない。しかし、そのような経験をしてきたことがない子供達にとって単調なトレーニングを毎日継続することは、面白くなければ辛いだけであり、積極的に取り組むことを期待するのは難しい。子供達の口腔筋機能療法の目的は、口、顔、のどの筋肉を意識し、コントロールできるようになることで、目標は、呼吸、嚥下(飲み込み)、咀嚼の際の正しい筋肉の動かし方の習慣を身に付け、それが自然にできるように筋肉を訓練することにあります。ほとんどのエクササイズは簡単なものですが、毎日の習慣化が難しいようです。新しいスキルは、一夜にして身に付くものではありません。親御さんには是非ともこの機会に、継続することの大切さを子供たちに教えて頂きたい。

                            2025,1,7

不正咬合の根本原因を取り除く

 不正咬合を抱えた子供達の治療をする際に、単に歯並びを改善させる治療だけでは表面的な問題を改善したに過ぎず、そこに至った原因を取り除くことが真の意味における歯列矯正治療と言えるのではないか。ブログでも再三述べさせて頂いてますが、口腔及び頭蓋顔面の構造的な問題は、口腔を取り巻く筋機能が本来の働きをしていないことから生じており、これは子供だけの問題ではなく成人では未成熟な機能であっても身体の代償反応によってそれなりに日常生活を送ることが出来てしまうが、そのまま年齢を重ねると正常な機能を獲得した生体と比較すると必ずと言っていいほど体幹に歪みが生じ、リハビリが必要になるケースが多いと思われる。従って子供達の不正咬合を改善させるための治療プログラムは決して子供だけに適用されるべきではなく、全世代の人達にとって取り入れられるべきトレーニングであると考えている。睡眠障害、学力低下、注意欠陥多動性障害(ADHD)、キレやすい、などが口腔機能発達不全に至った根本原因と深く関係していると診るのか診ないのか。歯科的なアプローチから原因不明の諸症状が改善される日がそう遠くないと確信している。

                            2025,1,6

睡眠時間

 年末年始を規則正しい生活で過ごされた方はどのくらいいらっしゃいますか。日頃の睡眠不足をここぞとばかりに寝だめをされた方もいるのではないでしょうか。人生の約1/3を費やしているとされる「睡眠」ですが、現代医学のブラックボックスと呼ばれるほど不明なことが多く、多くの研究者の方がその実態解明に取り組んでいます。昨年11月に徳島で行われた「睡眠歯科学会」において千葉伸太郎先生から、「日本人の睡眠時間は世界で最も少なく、1964年の東京オリンピック以降、就寝時間が遅くなってきた」との発表がありました。その背景には生活スタイルの変化があり、世の中にテレビが普及し始めたことで夜遅くまで家庭で観る時間が多くなったことがあるとのことです。今はネット、スマホによてその頃とは比較にならないぐらい睡眠の重要性の認識が薄れて来ているようにも見られます。「国民健康・栄養調査」によると、現在は20~59歳の各世代において、睡眠時間が6時間未満の割合が約30~50%を占めていますが、睡眠時間が6時間未満になると死亡リスクが有意に高くなるとされており、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では少なくとも6時間以上確保するよう推奨しています。因みに小学生は9~12時間、中学・高校生は8~10時間を参考に睡眠時間を確保するよう勧められており、必要な睡眠時間をしっかりとることによって成長ホルモンの分泌も促されることになります。記憶の定着のためには睡眠が必要であり、受験生も含め睡眠時間の確保に努めて下さい。

                            2025,1,5

「・・とか」

「待ち合わせの時間は10時とかでいい?」、「会食は中華とかで良いですか?」と耳にすることがある。意味は通じるが、何となくしっくりとしないのは私だけか。世間では「とか弁」とも呼ばれているようだが、はっきりとさせない曖昧表現を用いることで、相手を尊重する、強制的な物言いをしたくない思いが背景にはあるらしい。「私的には・・・」なども、意味をぼかすという意味で自信のない表れのようである。いつ頃からこのような言葉を使う人達が増えてきたのか。少なくとも当方の世代ではそのような表現は用いていないので、今の40代以下なのか。相手への配慮は必要だが、公の場で使うと責任回避や優柔不断と受け止められやしないか。人である以上は意見が異なるのも不思議ではなく、相手を尊重するのであれば普段の会話から相手の心理状態を理解して言葉を使う気遣いをし、表現の仕方に磨きを掛けたいものである。そんな私は日頃のボキャ貧に悩まされている。

                            2025,1,4

インフルエンザ感染予防

年末年始、寒くて完走した日が続いていますが、体調を崩されていませんか?昨年の12月下旬には、風邪、インフルエンザに感染して当医院でもキャンセルの方が相次ぎました。どうにかして感染を予防できないものか。当方も所属している日本病巣疾患研究会の今井一彰先生から耳寄りな情報が寄せられました。

鼻の粘膜はウィルス、菌、花粉などをブロックして身体を守る優秀な機能があります。この鼻の粘膜が乾燥するとバリア機能が低下して感染症、風邪、インフルエンザ、コロナに罹りやすくなります。花粉症などのアレルギーの悪化を招くこともあります。乾燥した部屋で過ごす人、寝る時に口を開けて口呼吸になっている人は鼻や口の粘膜が渇いてバリア機能が下がって、弱くなってしまいます。ですので乾燥させないことがとにかく大事です。手軽な方法で鼻の粘膜を潤す方法が0.9%生理食塩水による点鼻です。部屋に加湿器を置かれている方も多いと思いますが、鼻を乾燥させないことが一番なんです。鼻のバリア機能を強化して、インフルエンザや風邪の予防になり、もしも感染したとしても回復するのが早くなると、医学雑誌のLancetに掲載されました。論文では、感染症の治療として使われる点鼻のお薬と生理食塩水の点鼻の効果がほとんど同じだったということです。これは今からでもすぐにできる風邪やインフルエンザ予防に使えると思います。(Nasal sprays and behavioural interventions compared with usual care for acute respiratory illness in primary care: a randomised, controlled, open-label, parallel-group trial)

                            2025,1,3

挑戦

 当方が子供の頃は大晦日と言えば家族そろって紅白歌合戦を炬燵に入って観るのが定番であったが、いつ頃からか過ごし方も多様化し、家族揃ってテレビの前で過ごすなんて光景は近年はない。約30年ぐらい前には「最近の若い人たちの歌はどこがいいのかよく分からん」と親父が言っていたが、今では歌どころか歌手すら分からなくなっている。不勉強と言われればそれまでだが、昭和の歌謡曲全盛時代に育った世代には、紅白で初めて知る楽曲も多いのではないでしょうか。大晦日に発表されるレコード大賞はストリーミング大賞と命名してもよさそうですし、レコード、カセットテープレコーダーなどはZ世代には無縁でしょうし、ストリーミングやライブ配信で好きな曲を聴き、共感はSNSで広がる、そういう時代である。世の中の様々な変化に適応していくのは人によっては容易なことではない部分もあるが、未知の領域に踏み出すというと大げさかもしれないが、知らないことを知る機会を放棄するのは自ら成長を止めるようなものである。巳年の今年はヘビは脱皮を繰り返し成長することから「復活・再生」の象徴ともされる。いったいどんな年になるのか、吉兆を信じて自分の可能性に挑戦していきましょう。

                            2025,1,2

備え

 新年あけましておめでとうございます!🎍

石川県能登地方を震源とする地震が起きてからちょうど一年が経ちますが、現地では未だ復興が進まず、不自由な生活が余儀なくされています。当時幹線道路も寸断されて救助活動は難航し、建物の崩壊による避難所生活による疲労や精神的なストレスによってその後亡くなられた方もおりました。家屋には辛うじて住めるものの地質移動などによって従来の生活が営めないなど、平時では想定できなかったことが現状を好転させられない要因となっています。東日本大震災を経験した我々は、日頃からの防災への意識を高めていたはずですが、想定を上回る被害が出るのが自然災害です。逃げようにも逃げ場もない地震立国日本では、いつどこで誰が同じような被災者になるかも知れません。自助は勿論のことではありますが、いざという時には公助、普段は会話もすることのないご近所さんかもしれませんが、皆さんで助け合いながら生活を送れる、そんな社会でありたいものです。南海トラフ地震は30年以内に70~80%の確率で起きるとされています。日頃からの地震への備えを年初に再確認しておきましょう。

                            2025,1,1

歯科医師減少

 昨日の日経新聞には国内の歯科医師の数が初めて減少に転じたと報じられている。歯科医院は「コンビニよりも多い」と揶揄されることがあるが、地方と都市部の偏在に課題があることは以前から指摘されていることであり、それに加えて提供される歯科医療の「質」の評価も欠かせない。歯科医師の診断力、技術力、そして総合的な人間力なるものが備わっていなければ、来院患者さんから信頼を得ることはありえない。歯が痛いから、むし歯になっているから直ぐに歯を削る、歯並びが良くないから直ぐに歯列矯正治療を勧めたりしているようでは、歯科医療そのものの在り方が問われることにも成り兼ねない。全ての結果には原因があり、その原因を取り除くことが医療の本質であり、世の中から歯医者がいなくなっても困らない世の中にするには本当の意味での予防が求められている。そのためには治療に要する時間よりも、歯を失うことによる全身への影響などを患者さんが理解できるまで寄り添う時間を確保する必要がある。本年のブログでは、子供達の不正咬合を正すには舌を含めた口腔筋機能の正しい機能獲得が重要であると述べてきましたが、舌の動きは呼吸とも密接に関係していますので、成人から高齢者の方までも含めた全世代の方々にも必要な知識でもあります。歯科医師数だけに目を向ければコンビニエンスストアよりも多いですが、患者さんが求めている歯科医師数はそれほど多くはないと察しています。懇切丁寧に、辛抱強く、来年も当医院を受診される方々に満足以上の喜びを提供できるようスタッフ一同バージョンアップして参ります。皆さま、良い年をお迎えください!

                            2024,12,31

星評価

 一年の終わりに行きつけのBarのマスターにご挨拶もかねて伺うと、「来年で40周年を迎えます。今後ともご愛顧のほど宜しくお願い致します!」と着座すると同時にご挨拶を受けた。当方は開業してから来年で22年目を迎えることから、個人経営で40年継続することは正に偉業と言えると心の底から思えてきた。先客が店から出ていくと、丁寧にカウンターテーブルと椅子を拭きながら磨き上げる姿に、ただ商売をしているだけではない矜持を見て取れた。他の客がいなくなると毎度のことだが様々な話題で会話が盛り上がり、今回は「粉骨砕身」というテーマでマスターが語り始めた。“骨身に沁みる、骨身にこたえる、といった言葉もありますが、何をするにも「骨格」が重要なんですよ。金澤さんもよく咬み合わせが骨格に影響すると話されていますよね~”と饒舌である。約40年間、客の求めに応じてウィスキーを提供するだけであれば、それほどの常連客は定着しなかったと思われるが、マスターが経験してきたことで身につけた自分の中にある知識がまさに骨にまで達したからこそどんな客が来店しても、咄嗟に素晴らしい応対ができ、その振る舞いに客は居心地の良さを感じているのだろう。同じウィスキーでも誰と飲むか、どこで頂くかによって、美味しさの星の数は異なるのである。

                            2024,12,30

「威」の力

 『君主論』を書いたマキャベリは著書の中で「君主たるものは愛されるよりも、恐れられる存在になるべきだ」と述べていますが、もしも現代においてもこのような考えのもと組織を率いているリーダーがいたとしたら、果たして人はついていくでしょうか。他国に目を向ければ“恐怖”を国民に植え付け“怖さ”によって国を治めている国のリーダーが存在しますが、そのような人の末路は長い歴史が既に証明しています。組織の大小に拘わらずリーダーが備えるべき資質は「威」の力ではないでしょうか。社長や監督の考え方に共感共鳴するからこそ、「あの人のために何としてでも役に立ちたい」と思えるのであり、この人のためにという気持ちが新たな力や発想を生み、組織の力になっていくのは、どんな時代になろうとも不変なものです。我々医療人も同様であり、目の前の患者さんの主訴に対して院長はじめスタッフ全員が同じ気持ちを共有できる組織は正にチーム一丸となってその方のために時間を割き、労力を惜しまないものです。時代の流れというものはひしひしと感じてはいますが、「この仕事は自己犠牲という精神がどこかで伴わないと務まりませんよ。」と言った当医院のスタッフは医療人の鑑です。当方は決して威厳のあるような人間ではありませんが、自分の世界を持ち、自分の価値判断基準を持っている人、つまり自分を持っている人を見ると若い人であっても「威があるな」と感じます。エネルギーをかけて何かに打ち込んでいる人は、業種を問わず「威」が生まれるのですね。

                            2024,12,29

関心ごと

 10月末の横浜マラソンから約2ヵ月が過ぎ、スポーツトレーナーのお陰もあり痛めた足首周りもいまだ回復途上ではあるが7~8割まで戻り、身体がランを欲してきている。この年末年始の長期休暇は時間の縛りがないことから普段できないことに取り組むには丁度良く、新たな走行ルート開拓にはもってこいである。普段使用している計測アプリでは、昨年の総走行距離は約800キロであり、目標としている月平均100キロには程遠いが、ランニングを始めた当初の走るわくわく感が薄れてきているのも原因の一つである。好奇心、探求心なるものが消えていくときに人の成長は止まるとあるランナーが語っていたが、学会発表されている諸先輩方の姿を見ていると、臨床医そして医学者としての視点の在り方には、いつも感心させられる。日頃の歯科臨床において難しい問題は、症状の無い患者に対して予後に予想される咬み合わせの変化から生じる体幹への影響、口腔筋機能が正しく働かないことによる睡眠障害、嚥下障害への理解を深めて頂くことであり、例えそこにエビデンスが存在したとしても万人に当てはまるわけではないことである。以前お越しになられた不正咬合を有する小中学生の兄弟は、明らかな異常嚥下と体幹の歪みがあるにもかかわらず、不正咬合に至った原因との関係性を理解しようとしない親御さんの姿勢には辟易した。なぜなら、「今まで掛かっていた歯科ではそのようなことを指摘されたことがない」と言われたからである。しかし、知らないことを気付かせることが医療に携わるものとしての使命でもあるので、ほどほどの距離感を保ちつつ、患者さんが離れていかない限りは寄り添っていきたいものである。

                            2024,12,28

データ重視のあまり・・

 今日が仕事納めの職場も多いのではないでしょうか。当医院も診療は午前中までとさせて頂き、その後は大掃除と普段手が回らない資料整理の予定で、帰宅時間が何時になることやら朝から気が重たくなる。一年を振り返れば診療の幅が今まで以上に拡がった充実した年でもあり、来年以降も新たな領域への取り組みに自分自身が期待している。勤務医時代に恩師に言われた、「患者さんが一番の教科書であり、患者の訴えに嘘はない。我々は歯を診ているのではなく人を診ているのだ。」との言葉は金言であり、卒後30数年、開業して21年も過ぎれば、自分でしか感じることが出来ない経験値による診断力がそれなりに備わり、若い頃とは違い同僚歯科医と意見がことなろうとも自分の診断には自信が伴うというものだ。やはり長い時間軸を通して患者さんとお付き合いをさせて頂くと、そこにはエビデンス以上の真実が診えてくるものがある。現代はスポーツはじめ様々な分野においてデータ重視の傾向にあるが、臨床医にはデータ分析以前に患者から求められているもの、言葉には表せない内面まで洞察する能力が優先されるのではないでしょうか。ご献体の前でピース写真を撮る人間が医師免許の資格を自ら返上しない時点で、医師としてではなく人としての資質に問題ありと自ら宣言しているようだ。果たしてこの医師は“人を診る”のではなく何を診てきたのだろうか。類似した人種が現れぬよう、どのような教育環境でこの人が育ったのかをデータ分析してみてはどうか。

                            2024,12,27

不正咬合と原因除去

 子供の不正咬合が気になり、診断および歯列矯正治療の相談でお越しになられる方が増えている。歯科医であるので現状の歯並び、かみ合わせについて診査診断はするが、不正咬合に至った原因について説明をするとなると、呼吸、鼻閉、扁桃肥大、舌の可動域制限、嚥下障害、中顔面の発育不全、さらには体幹の歪みとの関係性までを解説しなければ、患者サイドの理解までには到達しない。問診を進めていくと、朝起きられない、学校を休むことが頻繁にある、夜中に目を覚ますことが多いなど、日常生活を送れていないと思われるケースが珍しくない。特に睡眠関連呼吸障害は子供の成績と行動にも影響しており、20数年前の文献では幼少時(2~6歳)のひどいいびきが中学生の成績に影響するとの指摘もある。当医院の子供達を診ていても、この口腔内の状態を放置したまま塾通いを続けるよりも、不正咬合に至った根本原因を取り除き、口腔機能を改善させることで物事に取り組む際の集中力向上に繋がるに違いないと思わされることが多々ある。ワイヤー矯正治療、マウスピース矯正治療を行ったとしても、不正咬合に至った原因は取り除かれていないことを親御さんたちにはしっかりと理解して頂きたい。

                            2024,12,26

データ破損

 先日の診療室のPC入れ替えに伴い、開業以来保存してきた膨大な写真、動画の外付けハードディスク内のデータを新規のSSDに転送し、二重のバックアップ体制が整った数時間後に、なんと元の外付けハードディスクから異音が聞こえてきた。明らかに故障というよりも内部の破損が考えられる音がしており、PCに詳しい知人に見てもらうと、「あっ、壊れましたね!」の一言。約21年間蓄積してきた来院患者さんのデータが一瞬にして消えてしまう、まさに目を疑うような出来事が起き、もしもデータの移行が済んでいなかったらと考えると、何も手に付かない状況に陥っていたのである。勿論データ復旧業者なるものは存在し、最悪高額の修復費用を支払えば復旧も可能なのかもしれないが、アナログではなくデジタルの怖さを思い知らされた。クラウドに保存をすれば今回のようなリスクはないのかも知れないが、100%情報漏洩はないともいわれると一歩踏み出せないでいる。小さな組織ではあっても、アウトソーシングできるところは任せるようにすれば本業への影響は必要最小限ですみ、仕事の効率も上がるのかも知れない。こんなトラブルも、見方を変えれば知らないことを知り得るいい機会だと思えなくもない。

                            2024,12,25

歯の痛みと歯列矯正治療

 「奥歯が痛くて・・、冷たいものは顔をしかめたくなるほどツーンとしみて・・。知覚過敏ではないのですか?」とは10年以上メンテナンスで通われている患者さんである。初診時から上下の咬み合わせが原因で奥歯が強く干渉するので、スライドを使い何度も繰り返しレクチャーをしてきても本人は理解しようとしないのか分からないのか、兎に角機能的歯列矯正治療を行い咬合性外傷を取るようにしなければ症状が無くならないだけではなく、最悪の場合は歯が割れることもあり得ると10年以上言い続けてきた。本人も対処療法では何ら改善しないことを悟ったのであろう、先月から遂に歯列矯正治療を行うことになった。今更ではあるが、治療で大事なことは本人が理解をし、納得をしてから治療を受けることであり、この方の場合には約10年の歳月が必要だったということになる。矯正装置装着後1ヵ月が過ぎ、最初の調整にお越し頂いた際には、「左奥歯のしみる症状は如何ですか?」と聞いてみると、「えっ?アッそうでしたね。そういえば全くしみなくなりました!」とのお言葉が返ってきた。皆さん、そういうことなんですよ。歯がしみるからといってむし歯でもなく、歯ブラシの当て過ぎによる知覚過敏でもないことが多いのです。咬み合わせが原因で歯のエナメル質にクラックが入り、そこからバクテリアの感染が進めばどうなるか想像できますよね。外傷が原因で症状のある歯に対して“削る”という処置は避けるべきであり、何ら原因を取り除いたことにはなりません。因みにこの方は、「歯が動いて食事はし難いけれども、凍みないので食事も快適です!」とのことです。沢山歯の治療を繰り返している方は、咬み合わせに問題はありませんか?

                            2024,12,24

考える時間

 かの中曾根康弘元総理大臣は、どんなに公務で忙しくても、首脳会談の前日でさえも執務室に最低でも30分は籠って自分の時間を確保し、多くは古典など書物を読んで、考えを深めていたと聞く。ビル・ゲイツ氏も、1980年代から1週間の「考える週」を定期的にとって、じっくりものを考え、本を読むための時間を大切にしているという。要は二人とも落ち着いて考える時間を確保しているのであり、集中するためには集中せざるを得ない状況に自分を置いているのである。誰もが経験している集中力の欠如は、まともにものが考えられなくなり、学生であれば成績に、社会人であれば業績に数字となって表れることとなる。皆さんはどうでしょうか。一日の中で、誰にも干渉されない自分だけの時間を30分とはいかないまでも10分ぐらいでも確保できていますか。情報、刺激過多の時代にあって、考える時間を持つのは至難の業となりつつあります。スマホやパソコンの画面で退屈しのぎが増えたかもしれませんが、退屈を駆逐した結果、考えるための時間さえ奪われていることに、そろそろ気付く時かも知れません。

                            2024,12,23

決断

 亡くなられたある耳鼻咽喉科医は、独自に発案した方法で口蓋扁桃、アデノイドの摘出手術を行い、子供を含む多くの患者さんを日頃の体調不良や呼吸障害から救ってきたが、その名医がこの世を去ってから紹介先の複数の耳鼻咽喉科からは、手術の適応ではないとの返信が送られてくる。ガイドラインに沿った方針であるとのことだが、目の前の子供達の苦しむ現状を直視しているのか疑問の念が湧いてくる。子供達の1ヵ月は大人とは違い常に成長している。世の中はどの業界も、何事もリスクは最小限に抑え、よりスマートにという傾向にあるように見て取れる。医療であるから一か八かといったリスクは論外であるが、あまりに委縮して可能性を伸ばすことを忘れてしまったら、医療者自身の成長が望めない。効率よく対処することが大事であることは認めつつ、効率重視では患者の主訴にたいして理解と安心を決して与えることが出来ない部分があることを医療者は認識すべきであり、たとえ周囲とは異なったとしても自分の強烈までに信じる方法、信念があるのであれば、その思いを抱きつつ一歩踏みだすべきではないだろうか。


                            2024,12,22

17年経って・・

 約5~6年前に治療した歯に違和感があると、定期検診でお越しになられた方の訴えである。17前に初めてお越し頂いた時から、かみ合わせを改善させなければどの歯も治療を繰り返すリスクが非常に高いと説明をしてきたが、歯列矯正治療までは考えていないと複数回言われたので、最近はこちらから不正咬合との関係については語らないようにしていた。しかし、今回の主訴について所見を述べるにあたり、不正咬合との関係性について詳細を説明しなければ、一度治療した歯がなぜ再治療が必要になるかを理解して頂くことは出来ない。しかも再治療ともなれば、歯の健全歯質は少なくなることから、健全な歯と比べれば同じ条件であれば予後は確約できない。この方に限らず不正咬合を改善させず定期メンテナンスに通われていても、かみ合わせによる歯を失うリスクを軽減させることは出来ないわけで、歯根破折や抜髄(歯の神経を取る処置)に至ってからでは遅いのである。しかし人は症状もなく日常生活を送れてさえいれば、敢えて歯列矯正などしなくても問題ないと考えるもので、ある意味それは仕方がないのかも知れない。それでも定期メンテナンスにお越しになられる方には、その都度かみ合わせの重要性を伝え続けることで、今回の方のように歯にトラブルが生じた際に、ご自身で悪くなった根本原因を理解、体感できるような環境づくりをしておく必要がある。この方は初診から17年を経過して機能的歯列矯正治療を受けたいと、申し出るに至った。


                            2024,12,21

心の荒廃

 金属の価格高騰にともない金属泥棒が増加しているとは、いったい世の中どうなっているんだ。太陽光発電所の送電用銅線ケーブルが切断されて盗まれたり、マンホールのふた、そして寺院の半鐘までもが盗品の対象になっているから世も末である。当方が子供の頃とは異なり情報が直ぐに入るからなのか、耳を疑うような事件、毎日のように報道される殺人事件、闇バイト、公職にある人の情けない犯罪など、全てにおいて心の荒廃が透けて見える。オギャーと生まれた時からの悪人はいないと信じたい。どこかで何かが間違って罰当たりな人生を歩んでしまう人間に必要なのは、周囲の優しさなのかもしれない。コミュニケーションは苦手という人は、孤独でいることが決して好きなわけではない。罪人が独房に送られるのは、誰とも会話のできない環境が人間にとっては一番辛いからであり、長期拘留ともなれば精神に異常をきたすことにもなる。日頃から自分の殻に閉じこもるのではなく、社会、周囲との関わりを常に持って生きていくことが、普通に生きていくために必要なのであり、道を踏み外す前に、スマホばかりに頼るのではなく人の温もりに触れてみては如何だろうか。


                            2024,12,20

役割

肩をある方向に動かすと何となく関節周囲が痛くなるので気にはなっていたが、ランニングをしていても痛くはないのでそのうちに治るだろうと高を括っていたが、若い頃とは違い回復に時間が掛かっている。ネット検索でキーワードを入力すれば、これでもかというぐらい多くの方が独自の改善方法をアップしているが、自己診断が正しい保障などどこにもなく、餅屋は餅屋で専門医なりスポーツトレーナーに診てもらうのが安心である。なぜ痛くなったのか、症状が出る引き金(トリガー)となったものは何が考えられるのか、このままにしておくと将来的にどうなる可能性が高いのか、などを説明してくださると、患者の身としては全幅の信頼を寄せたくなる。職業柄、頸部から肩周囲、胸郭部分までは説明を受けると分かる範囲でもあるが、複雑な構造まで説明を受けると聞いていても理解までは到達しない。当方が患者さんの主訴に対する所見説明をする際に最も気を配るところはまさにここであり、本人がご自身の頭でしっかりと理解できなければ、その先の治療なりメンテナンスに移行はしない。治療を受けに足を運んでいれば身体が良くなるなんてことはない。自転車の両輪と同じで医療者側と患者サイドの役割がきちんと遂行されたときに、最高の結果となるのである。

                            2024,12,19

診療時間の変更

人員不足を察してか、「私でもよければ受付業務しましょうか?」とは定期メンテナンスで10年以上通われている患者さんからの冗談交じりの声掛けである。電話が掛かってきても延々と呼び出しが鳴り続き、遂には切れてしまうなんてことも最近は慣れてしまった。歯科医療サービスという観点では全くなっていないとしか言えず、スタッフ採用は喫緊の課題である。当医院は8時からの診療なのでスタッフの出勤する時間は早く、患者としてお越しになる子供達は夕方以降でなければ通院できないことから、就業拘束時間が長いのがネックである。シフト制という考えもないわけではないが、全スタッフが全患者さんに寄り添うことを診療の柱に据えている以上、現体制を変えることに躊躇していたが、そろそろ限界に来たようである。求められていることに対応すると、口腔機能発達不全を抱えた幼児、学童期の子供達が増加していることから、必然的に患者層としては子供たち中心に診ていくことになりつつある。HPのトップページにも掲載させて頂いたが、来年4月以降の診療時間を変更させていただく。皆様のご理解を賜りたい。

                            2024,12,18

パソコン設定

患者説明に使用しているメインのパソコンが如何せん動きが悪く、遂に入れ替えを行った。院内ネットワークの再構築ぐらいであれば当方でもできる範囲であるが、それ以外の動作環境設定となると手に負えない。いつも個人的な付き合いということで頼りにしている助っ人がいるのだが、今回もまるで頭にマニュアルが埋め込まれているかの如く、マウスをカチカチ操作させながら意味不明の画面を見ながら全てのPCとの連携を完了させてくださった。一度使えるようになるとこれほど便利な文明の利器はないのだが、これらの設定が難しくて未だにパソコンから距離を置く中高年以上の方もいるかと思えば、長年仕事で使い慣れてきたのか専門用語が次から次と出てきて、こちらが付いていけないぐらいの高齢の達人もいらっしゃる。必要に迫られての事とはいえ、関心を持ち続けられること、常に好奇心に満たされている方というのは、先進的なことに積極的であり、一緒にいるだけでこちらも前向きな気持ちにさせられるものである。義理の父は80代になってもパソコンは勿論、スマホを操作してインスタ、FBなどを閲覧しているというから、年齢ではなく気持ち、心の在り方、そして考え方が、ヒトの魅力を創り上げているのだと思わされる。当方の頭から、面倒だという文字を削除しなければいけない。

                            2024,12,17

発達障害と口腔機能

集中しなくてはならないのに、余念が紛れ込む。物事を同時進行で処置、解決する際に焦りが出るとそのような状況に陥りやすいのはヒトであれば誰でもそうなのか。いつでも泰然自若としていられるほど当方は人間が出来ておらず、作業能率が低下しているときは往々にして脳裏で複数のタブが開いている。パソコンでに例えたら、メモリーの容量不足といったところか。歯科の仕事に約30年従事していれば少しは空き時間も作れるものかと期待したものの、仕事の課題は雨のように降ってきて、まるで自分がどこまで対応できるのかと試されているようでもある。最近のテーマは発達障害及び発達障害のような子供達と口腔機能発達との関係であり、エビデンスレベルの話ではなく臨床現場で実際に起きている変化を発信していきたい。そもそもヒトは鼻で呼吸する動物であり、嚥下時には舌が口蓋に貼り付いていることが正しいにも拘らず、この基本的な機能が身に付かないまま成長すれば、機能不全が生じても不思議ではあるい。それに伴う生理学的な機能も本来とはかけ離れた状態にあるとしたら、酸化ヘモグロビンによって運ばれた酸素ですら身体の各細胞に酸素を供給できなくなるのである。乳幼児は上顔面の60%が出来上がっており、その後中顔面、下顔面が垂直方向に成長する。発達障害と決めつける前に先ずはは正しい口腔機能が獲得されているかを診査をすべきである。

                            2024,12,16

筋機能療法(MT)の重要性

舌を含めた口腔筋機能療法は、歯列不正を抱えた子供達の治療に効果を発揮していますが、同時に筋機能療法(MT)が睡眠呼吸障害(SDB)の子供の治療に役割を果たすことができる可能性があることを示唆する文献が増えてきています。昨今はネット検索で瞬時に文献検索することも可能であり、先日目にした文献では筋機能療法(MT)は、経口呼吸を減少させ、正常な舌安静位置を回復し、平均舌筋力、舌のピーク圧、および持久力を大幅に増加させたとあり、さらに、筋機能療法(MT)後、平均酸素飽和度は増加し、酸素飽和度低下指数は減少したと記されています。本来機能すべき筋機能が働き始めることで、顎顔面骨格が正しい成長軌道に誘導され、顎骨の拡大に伴い窮屈だった歯列も改善し、鼻腔が拡大されることで上気道の通りも改善されるものと考えられます。子供達は症状を訴えることなく成長していきますが、機能障害の芽は幼少期更には乳幼児期に既にあるものと捉え、早期に発見することが必要です。

                            2024,12,15

呼吸と姿勢、集中力

仕事、勉強、スポーツなどあらゆることにおいて、成果を上げるうえで最も求められるものは集中力である。一点集中する際に誰もがすることと言えば呼吸を整えることになろう。ラグビーのペナルティーキックをける際に、ルーティンのポーズをとって呼吸を整え、野球であれば勝負の一球前にバッターボックスを外して深呼吸をしてから臨む、試験で配られた答案用紙を前にして深呼吸をした記憶のある方もいらっしゃることと思います。それぐらい呼吸は大事な機能であるにもかかわらず、正しい呼吸に関心が向かないのはなぜなのか。風邪をひいたり身体のどこかを痛めたりした際には健康でいることの有難さが身に染みるものだが、何ら症状もなく日常生活が送れている状態で正しく機能していないと指摘を受けても、人はなかなか受け入れ難いものである。患者指導で難しいところはここであり、“気付き”を与えられるかどうかは将来的な不定愁訴を抱えるような身体にしないためにも避けては通れない。自律神経系は何があっても呼吸を確保するように体に働きかけをするので、その代償反応として下顎を後方に引いたような猫背にもなるのである。「この子は小さな頃から姿勢が悪かったです!」と言って姿勢を正そうとしても、それは姿勢を崩す原因である呼吸を改善させなければ無理であることはお分かりになるでしょうか。塾通いをしても成績が思うように伸びないのであれば、集中力の欠如が原因ではないかと疑い、不正咬合の疑いが強い場合には早急にその原因を取り除くことに努めて頂きたい。


                            2024,12,14

多角的なアプローチ

枝葉のところをいくら改善させようとも、幹の部分がしっかりと安定しなければ、トータルでどうなるかは言わずもがなである。歯並びが悪いから歯を抜いて歯列を綺麗にするという考え方は、果たして医療なのでしょうか。複雑なものを単純化する、ガチャガチャな並びをストレートにすることで根本的な原因を除去したことになるのでしょうか。姿勢の良くない子供達、落ち着きのない子供達に共通して診られる不正咬合は、いったい何を物語っているのか考えて頂きたい。自閉症、発達障害及びそれらのような症状をもつ学童が増えてきていると発達支援に携わる方々からの声も届いており、頭蓋顔面発育障害の枝葉の一つが不正咬合であるだけであり、慢性鼻炎、気道閉塞、睡眠時無呼吸、態癖、嚥下障害などの根本原因はすべて共通しているとの認識を持つことが医療関係者には求められていると臨床現場で強く感じている。従って、口腔内を診る歯科医療現場には、歯科医療従事者だけではなく、作業療法士(OT)、理学療法士(PT)、言語聴覚士(ST)、筋機能療法士、管理栄養士が常に勤務し、多角的なアプローチを子供達に提供できるようになることが、将来的にではなく早急に整備されるべきと考えている。

                            2024,12,13

HavingよりもBeing

「日本は平和になっていますか?良くなっていますか?」と特攻隊員の手書きの最期の手紙を見たことがあるという話を治療にお越しになられた方から伺った。国のために、それこそ命をかけて開聞岳を眼下に知覧を飛び立ったその隊員が今の日本の現状をどう思うだろうかとその方は嘆いていた。誹謗中傷が絶えない社会、国会議員は批判することが正義とばかりに中身も軽薄な口調が目立ち、真っ当な人の意見が反映されにくい現状は、民度の低下を物語ってはいないか。昭和、平成、そして令和と時代は凄まじい変化を遂げているが、ヒトはどのように変わってしまったのだろうか。アメリカの精神分析者であり、かつ社会心理学者である、エーリッヒ・フロム氏は次のような言葉を残しています。「人間はしばしば、どうあるかということよりも、どうもつかということに心を奪われる」。故人である日野原重明先生は、「私たちはもともと何も持たずにこの世に生まれ、そしてまた、何も持たずにこの世を旅立ちます。だから重要なのは、もつことではなく、人としてどうあるかということ。Havingよりも、Beingに心を傾けるべきなのです」と語っています。「もつ」ことを巡って、無意味な戦いは今も世界で現在進行形です。人類は、フロムの言葉を今こそ胸に刻む時なのです。

                            2024,12,12

睡眠との関連

昨今、以前よりは睡眠に関心が寄せられるようになったと感じているが、医療レベルで睡眠の重要性を認識するレベルまでには至っていないのではないか。脳はエネルギー消費が膨大なだけでなく、非常に繊細で脆弱な臓器なため、約16時間にわたって連続稼働すると、酒気帯び運転状態と同じくらい機能低下すると言われている。従ってその機能を回復させるためには脳を休ませる必要があり、十分な睡眠が必要になる。また睡眠時間が長ければよいわけでもなく、一般のヒトも含めて国民レベルで睡眠についての理解が求められると考えている。因みに50歳または60歳の時点で睡眠時間が6時間以下の人は認知症になる人が高く、中高年期に時点で睡眠時間が常に短い人は、認知症のリスクが30%高かったと報告されている(Association of sleep duration in middle and old age with incidence of dementia.2021)。歯科からのアプローチは出来ることが限られているものの、睡眠時無呼吸、睡眠時ブラキシズムについての理解を高め、ご自身の病歴との関連、歯並びとの関連も無関係でないことを知って頂きたい。

                            2024,12,11

マイナ保険証

 マイナ保険証の10月の利用率は15,67%にとどまり、医療現場のマイナトラブルも未だ解消されていないとの報道を目にする。当医院のような小規模医療機関では今のところ問題は起きていないが、年配の方の中には「何をどうしたら良いのか分からない」との声も聞く。マイナンバーカードによって行政機関における各種手続きは格段に楽になったことは間違いないが、それとて時代の流れに乗れない方にとっては便利であるものが不便となってしまっている。様々なことの過渡期とでもいううのか、ものすごいスピードで世の中が変化している。知人のドクターの中にはいまだにメール添付ではなくFAXでお願いしますという方から、LINEで送ってくれたら助かるという方までおり、混乱が起きているのは医療機関だけとは限らない。マイナンバーカードを持ちたくない方の一番の理由は個人情報の漏洩であり、デジタル社会、ネット社会の脆さは既に表面化しており、中には凶悪事件にまで発展している。マイナ保険証に関しては、既存の保険証に比べ手間もトラブルも多いからマイナ保険証の利用率が向上しないのであり、少なくとも保険証を残し、任意のマイナ保険証と並存させるべきと考える。

                            2024,12,10

納得のいく治療

 「インプラントだけはしたくないので何とか歯を抜かないで治療できないでしょうか?」という主訴を抱えた患者さんの来院が増えている。10年ほど前には、静岡のかかりつけの医院で「これはもうどうにもならないから抜歯して義歯かインプラントしかないね。これを残せる歯医者はいないよ。残そうとする歯医者がいたら会ってみたいね!」とまで言われたという患者さんがお越しになり、抜歯も視野にダメもとで治療に入った方もいた。その方の覚悟と術前術後の予想されること全てを想定して理解して頂き、これでもかというぐらい限界に近い治療になったが、幸いにして今もその歯は問題なく機能している。医療にはエビデンス、ガイドラインが存在し、それらに沿った治療を行うことは大前提であるが、歯の場合は抜歯しかないと診断したとしても、患者さんが諦めきれないのであれば、先ずは保存させるための最善で最後の処置を施すべきと考えている。セカンドオピニオンで来院される方の口腔内を診査させて頂くと、残せる歯を安易に抜歯してインプラントを勧める歯科医師が少なくないと日頃から感じている。勿論、残せたとしてその歯がどこまで機能するかの予後は分からない。しかし、その「分からない」という現実を患者さんが一緒に共有できた時には、先々抜歯になったとしても初めて納得するのである。全ての治療は、理解と納得がなければ行うべきではない。

                            2024,12,9

横浜

 晴天の日曜日とあって横浜界隈は大勢の人出があり、日本大通りや山下公園には黄葉の銀杏並木を足を休めてスマホで撮影する老若男女で賑わいをみせていた。先日はある研究会の講演会が100年以上前に造られた横浜市開港記念会館で開催され、建造物のもつ歴史と当時の世相や人々の思いを想像しながら建物に見入ってしまったが、横浜には他に和洋折衷の神奈川県庁本庁舎、様々な西欧建築様式が混在したエキゾチックなたたずまいが特徴の横浜税関本関庁舎が存在する。ちょっとした異国情緒を味わうなら、これら横浜三塔をめぐる散策はお勧めのコースである。少し足を延ばせば横浜中華街、元町もあり、今日のような休日は非日常を満喫できよう。先週は26年ぶりに日本一になったベイスターズの優勝パレードもあり、今年の横浜は未だ熱い!

                            2024,12,8

星評価?

 必要書類を作成しに行った役所帰りに目にしたこじんまりとしたワインハウスの存在が気になり、数日後にネット検索でその店のHPを覗いてみると、脇道を入ったところにある目立たないお店の存在が、常連さんが集まる雰囲気を醸し出していた。席数も十数席と少ないところがアットホームな店らしく、気の合う知人との食事で早速予約し伺ってみた。男性2人が切り盛りする珍しい?というより人出不足なのか、それでもきさくで丁寧な応対は、この店を選んで良かったと安心感と満足感が出てくるメニューへの期待値を高めた。最近の飲食店はQRコードを読み取るメニュー選択のところが多く、従来のような捲るページも全てが電子化されている。年配の方の中には操作が分からず助けを借りる場面に遭遇することもあるが、保険証のマイナンバーカードへの移行をみても、ハード面の時代の変化は早まる一方である。店の予約、メニューの注文、そして会計までも自動化となると、店の誰とも会話もなく退店するなんてこともあるのだろうか。ヒトは声を発しコミュニケーションをとることで五感も働き神経シナプスも活性化している。「大変美味しい料理でした。ご馳走様です!また足を運ばせて頂きます。」なんて感想も、直接の声掛けではなく、星評価をしてコメントを載せることがこれからのマナーになったりするのでしょうか。因みにこちらの店の熟成肉は格別美味しく、マスターから「如何でしたでしょうか?」との言葉には「星五つ!」と言って店を後にしました。

                            2024,12,7

ダブルライセンス

 口蓋扁桃肥大、アデノイド扁桃肥大が明らかにあり、以前であれば信頼する耳鼻咽喉科医を紹介させて頂き摘出手術を行っていたのだが、約年前にその先生がお亡くなりになってからというもの、どこの耳鼻咽喉科を紹介してもオペ対象ではないと返されてくる。ガイドラインに沿っての判断なのかもしれないが、そのガイドラインそのものが口腔機能の発達を考慮したものではないと、紹介患者が戻ってくるたびに考えさせられる。今回のケースは私が知りうる範囲ではオペ対象になりると考えていただけに、これで摘出手術をされないのであれば、気道を完全に塞ぐぐらいの扁桃肥大でない限りは薬で散らすことになるのだと、考えを改めざるを得ない。しかし子供たちの身体は日々成長しているのであり、呼吸がし難くても身体の代償反応が起きることで気道は確保されるのだが、本来使われるべき舌を含めた口腔周囲筋が機能するのではなく筋機能の間違った動きが獲得されてしまい、その結果として顎骨の成長抑制が行われることとなり、顎が小さくなって全ての歯が入りきらなくなる不正咬合が出来上がるのである。歯科用CT撮影にて扁桃肥大まで確認できることは、子供達の不正咬合との関係を説明する上では有益なものであるが、その先適切な処置が施されない現状には辟易する。そんな状況に痺れを切らした知人の歯科医師は、この春ダブルライセンス取得のため医学部に入学し、現状打破に向けた行動に出た。臨床現場で何が起きているかを、医療関係者はもっと真摯に向き合うべきではなかろうか。

                            2024,12,6

顎関節症

 「顎関節症って言われたことがあるのですが、大丈夫でしょうか?」と質問を受けることが少なくない。先日お越しになられた女性の方には、前医が何をもって顎関節症と診断されたのかは分からないが、なぜ顎に症状が出るようになるのか、その原因を理解して頂きたいと申し上げた。交通事故などで外傷を受けた場合を除いて、顎関節の器質変化、症状の有無は、上下顎の咬み合わせに原因があり、乳歯から永久歯に生え変わる頃の咬み合わせ、更には乳歯の状態まで遡って説明をさせて頂かなければ、辻褄が合う説明には至らない。顎が痛いから、口が開きにくいからマウスピースを入れるという方程式のような診療では、いつまで経っても根本解決には至らない。腸腰筋が硬くて腰痛を引き起こしている場合は筋肉の緊張を緩めることが必要なように、顎ズレが起きているのであればなぜ歪んでいるのかを理解し、それを正すように治療を進めていかなくてはならない。当方の見立てでは、顎関節症予備軍は来院患者の半数以上にはなると思われるが、症状がない状態で顎関節症の説明をしたところで誰も関心をもって聞くことはない。身体の成長過程を追って考えれば、新生児から歯の萌出に従って下顎が前下方に誘導され上顎に適応する反応系であることが理解できていれば、7歳前後までに骨格的な位置関係を正常にコントロールすることで、顎関節症及びその予備軍になる確率も下がるものと考えている。

                            2024,12,5

ハッピーホルモン

 生後1,5ヵ月で初めて当医院にお越しになられた乳幼児が、3,5ヵ月検診と口腔内の型どりで再来院された。祖母の方が助産師さんということもあり、母親の抱っこの仕方が実に自然体であり、理想的な抱き方はこういうものかと毎回教えられるのだが、赤ちゃんの姿勢を正しく守ることは体幹だけではなく、脳の順調な発育を育む上でも重要です。ヒトの性格傾向を決める遺伝子は脳に存在していて、脳内物質のセロトニンの働きが良いとイライラや不安などを鎮め、心が安定してきます。セロトニンが不足してくると不安が強まり、その状態が長く続くとうつ病などを引き起こすと言われています。子供の不登校や行動・情緒の問題は、家庭における生活のリズムを整え、決まった時間に寝て、決まった時間に起きることで生活の軸が出来、ハッピーホルモンであるセロトニンの分泌が良くなることで自律神経のバランスも良くなります。赤ちゃんの表情、ちょっとした仕草には何らかの意味が含まれていますので、若いお母さんには常にスマホではなく我が子に目を向けていて欲しいと切に願います。

                            2024,12,4

説明不足

 「前歯に違和感があるので前の歯医者で診てもらったら、歯の神経が壊死しているので根の治療が必要だと言われました。何で神経が壊死したのか具体的な説明がなかったのでこちらで診て頂きたいと思ってきました」という主訴で来院された30台後半の男性。もっともな質問であり、そこに至った考えうる原因説明をするのがドクターの役目である。本人が納得しない状態で治療に入ること自体、到底あり得ないことですが、どうも歯医者主導で治療が進められていたのではないかと思わされるケースを見かけることが多い。それは、多くの歯を治療されたヒトほどその傾向が強い(あくまで私見ですが)。この方の場合、主訴の部位だけ診ていても問題の把握はできず、全体のかみ合わせ、顎を前後左右に動かした際の個々の歯の接触、干渉状態を何度も確認し、歯の咬耗の有無、マイクロスコープを用いてエナメル質のひび割れの有無まで最低限診査しなければ、神経が壊死した原因までは辿り着かないのである。それらを患者さんと共有したうえで治療の進め方について相談し、主訴以外についても本人がしっかりと理解することが必要なのである。時間に追われるような診療システムは、結果的にその付けは患者に形となって残っている。

                            2024,12,3

事故

 「先生、先日の帰りに私、車にぶつけられたんです!一歩間違えばあの世でした!」と診療台に座るなり興奮気味に語りかけてきた。話を聞けば、横断歩道を自転車で渡ろうとしたところ、右折してきた車がドスンとぶつかってきたとのこと。近くの歩行者の方が救助してくれたそうだが、同じような事故が以前から頻繁に起きている場所とのこと。現場検証に来た警察関係者は事故処理をしたのち、事務的な手続きをして帰っていったらしいが、運転手は80代男性の高齢者で、アクセルとブレーキを踏み間違えでもしていたら、転倒による打撲では済まされなかった事故である。昨今は高齢者ドライバーによる死傷事故が急増しているが、今回のケースは事故多発地点にも拘らず、地元警察署が何の対策もとっていないことが問題なんですと近隣住民の方は憤っている。地形、立地的に死角のあることが繰り返される事故の原因であるならば、行政側にも早急な対応を望むところだが、年齢を問わずハンドルを握るものには細心の注意が求められよう。

                            2024,12,2

舌の可動域診査から診えてくるもの

 「先生のブログに舌小帯のことが書かれていましたが、私の舌はどうでしょうか?」と来院された方から質問を受けた。この方の口腔内には多数の治療履歴があり、子供の時からを含めると同じ歯を何度も治療を繰り返されているとのこと。所見としては上下顎歯列弓はトライアングル型を呈しており、低位舌でもある。従って、安静時に理想とされている舌のポジションである口蓋への貼り付けがし難い状態(ほとんど付いていないと思われる)であり、舌の力による口蓋骨の拡大がされないまま現在に至ったと推測された。舌の可動域診査を行うと、それを裏付けるような結果となり、日常的な、そして将来的な誤嚥防止の為にも舌の可動域を拡げるトレーニング、更には舌小帯の切離およびファシアの剥離が必要と説明をさせて頂いた。先日も活舌が悪く、ら行を上手く発音できないのでよく聞き返されるという方が舌の診査希望で来院されたが、潜在的な舌の可動域が狭いスクリーニングを行うと、相当数の方を識別できるのではないかと日常臨床で感じている。約半年間の来院患者の舌の可動域と不正咬合の関係を調べてみると、可動域制限が中等度以上の方の特異度と陽性的中率は100%である。学校検診に舌小帯可動域診査項目を追加することで、小児~学童期の不正咬合、口呼吸、更にはADHD、睡眠呼吸障害(SDB)との関連がよりはっきりしてくるものと考えられる。

                            2024,12,1

気温差と体調管理

 春夏秋冬とはいうもの、近年の季節は夏冬は長く秋春は極めて短い二季性になりつつある。師走を目前に控え、朝晩は冷え込む日も出てきてたが、今日の昼間はぽかぽか陽気で来院される方の服装もまちまちである。気象予報士によると、首都圏などの気温はまだ例年より高めだが、日中と夜間の気温差が大きくなり、イチョウなどの黄葉が進んでいるとのこと。本日、今年のプロ野球日本一に輝いた“横浜ベイスターズ”の優勝パレードが地元で行われ、沿道には大勢のベイファンが押し寄せ、その映像に映し出された選手の後ろには、見ごろとなったイチョウ並木が見て取れ、季節が急に進んでいることを実感させられる。晴天で日較差が大きいことは、黄葉・紅葉が進む重要な条件のようだが、都内でも場所によるばらつきはあるが見頃を迎えている。例年であればカエデなどの紅葉はイチョウなどの黄葉よりも後に進むが、異常気象の影響で今までの自然現象にも変化が現れるかも知れない。手肌の乾燥も急に気になるようになり、薬局では乾燥肌向けの商品がズラリと並ぶようにもなった。気象状況に振り回される毎日だが、これからの季節は一年の中でも特に体調管理に気を付ける時期でもある。できれば保険証やマイナンバーカードを提示する機会が無いように過ごしたい。

                            2024,11,30

30キロの壁

 約1ヵ月前の横浜マラソンに出場したにも拘わらず途中棄権を余儀なくされたという知人がいた。過去に複数回出場し、完走どころか当方が目標にしているサブ4を達成している50代の方であるが、今年は22~23度という走るには高温だったこともあり、脱水症状からくる両足の痙攣と痛みで初めてリタイアを経験されたとのことだ。例年の完走率は97%なのに対して今年は91%と回収バスのお世話になる方が増えたことも、市民ランナーにとっては厳しい条件だったと言えるのかも知れない。当方は3年連続で完走はしているものの目標達成には程遠く、それでも毎年自分なりに研究を重ねてタイムを縮めてはいるが、「30キロの壁」が立ちはだかっている。おそらくサブ4のランナーレベルであれば歩くこともなくゴールまで到達するのだろうが、そこを目指すランナーにとっては給水所=休憩所的な役目もあり、30キロを過ぎてからの一回における休憩タイムがどんどん加算されていく。そのうえ身体の各所の悲鳴が上がるのが30キロ過ぎなのである。若い頃から走っているヒトであれば50代でもサブ4は可能なのかもしれないが、残念なことに、いくら調整しても今の自分には4時間を切ることは無理かもしれないと、体力の衰えを如実に感じた。但し、走ることに関してプライドも何もない当方にとっては、淡々と目標達成に向けてのトレーニングを積むだけであり、そのなかで巡り合える新たな発見に出会う楽しみは、年齢を重ねても新鮮である。

                            2024,11,29

フレイル

 フレイル対策はされていますか?と尋ねたところで、自覚がないものに対して準備をするのはハードルが高いかもしれない。中高年(40歳以上)でも50歳代に入ると筋力の衰えや、それまでとは違う身体の違和感、異変を感じる方も少なくないのではないでしょうか。口腔領域では正しい嚥下(飲み込み)様式が身に付いていないと加齢による筋力低下に伴い誤嚥の確立が上がってきます。また重力の影響を受け、加齢により舌骨や甲状軟骨の位置も下がってきます。食事の際に咽ることが頻繁にある方は一度歯科医院にて嚥下の状態を診査してもらい、正しく機能していない場合には然るべきトレーニング指導を受けることをお勧めいたします。フレイルの怖いところは、変化が徐々に起こるところです。否定的な見方を決してするわけではありませんが、私たちはつねにフレイルや介護状態に向かって生きているともいえるのではないでしょうか。日頃から身体の機能を高め、生活のリズムを崩さないよう心掛けましょう!

                            2024,11,28

不正咬合の原因除去

 歯並びを良くしたいと思われている方には是非考えて頂きたいのだが、なぜ歯並びがわるくなったのか。歯を抜いて歯を揃えることで、歯並びが悪くなった原因がなくなるのでしょうか。ブログにも再三載せていますが、頭蓋顔面発育障害の一つが不正咬合であるという捉え方が必要であり、不正咬合を有している方には子供であれば口呼吸、慢性鼻炎、集中力の欠如、成人であれば片頭痛、慢性的な首肩凝り、加齢に伴い原因不明の頚腕症候群などが診られます。現代社会の傾向として、生活習慣を改善せずに、健康上の問題は手術や薬で治療することが当然のようになっていますが、果たしてそれでいいのでしょうか。“乳歯の時は歯並びが綺麗だったのに、こんなに悪くなるなんて・・”では遅いのです。良好な咬み合わせの獲得、本来の健康を維持する為には、歯科的なアプローチの考え方は“機能”をはじめに“歯”は最後なんです。“上顎の拡大は歯ではなく舌のために”一旦上顎が十分に拡大されれば、舌を訓練することで上顎アーチをサポートできます。筋機能歯列矯正治療の鍵は、原因を両親が理解し、親子の協力を得ることです。医院に足を運べば良くなるのではなく、毎日どのようなことを改善し、習癖をなくすためのトレーニングを継続できるかが結果を左右します。

                            2024,11,27

発達障害

 発達障害ではないものの、発達障害のような児童が先進諸国において増えてきていると、5年前の来日講演でDr.John Flutterが語っていたが、日本においても例外ではないようである。発達障害の発見が遅れてしまう傾向があるということで、「5歳児健診」を全国で拡大していく方針がこども家庭庁から発表されました。当医院を訪れるお子様を診ていても、じっと待合室の椅子に座っていられない、診療室内をふらつく、診療台の機器を勝手に触りだす、などADHDを疑わせる子供が増えている。そのような子供達に共通して診られることは口唇が開いて口呼吸状態、椅子に座る姿勢は手を太ももの下に潜り込ませて背中が丸まっている、常に上向き加減、唾の飲み込み方は異常嚥下など、多くは口腔周囲筋の正しい機能が獲得できていないことです。不正咬合は頭蓋顔面発育障害の一つの現れであり、舌が口蓋に張り付けることが出来なければ本来の大きさに口蓋骨は拡がらず、乳歯列期は歯並びが良くても混合歯列期以降は歯並びがガタガタになるのは当然の結果と言える。扁桃肥大があれば呼吸は苦しくなるが、自律神経系は呼吸を確保するように身体に働きかけるので姿勢を崩して息をするようになる。その結果幼少期から体幹の歪みが始まり、身体にとっての負のスパイラルから抜け出せなくなり、子供の時から整体治療院、鍼灸院に通う子供も増えてきているの日本の現状である。口腔機能異常を早期に発見し、親御さんも含めて気付きを与えることが、今の歯科医療機関には求められている。

                            2024,11,26

主体的に生きるとは

  ネットで様々な意見が飛び交う今、知らないうちに人の意見に流されていないか。倉本聰さんが、社会への憤りを率直に語る倉本節は今も健在である。「ミシュランの3つ星だから店がはやるという風潮はとっても嫌だ。なぜそんなにうまいと思う、全世界の人が認めないといけないのか。そんなことよりもそこらのラーメン屋で実に旨いと感じるものもあるし・・」。およそ60年前に鎌倉時代のものとして重要文化財に指定されていた陶器が贋作だとして発覚し世間を騒がした。この時、強い衝撃と違和感を覚えたという。「その物の美しさは変わらないはずなのに、どうして世の中はそのことに一斉にそっぽを向いてしまうのか。それを昨日まで認めていた鑑定士とか識者とか、どうしてそんなに気が変わってしまうのか。美ってそんなものなんだろうか」。私たちは他人の評価ばかりを気にしているのではないか。本当に自分の心に付き合わせて、自分が好きなものを声高に言える人ってなかなかいない。支持する声が少ないものをなかなか好きだと言えない。自信を持って自分の心の中を覗いたことがあるかなと。今は電子機器で偽物、フェイクを作ることが可能である。皆主体的に生きていない。誰かが綺麗だからというから人気が出る。ですから昔に比べると人間の美意識は衰えてきていると言えるのではないか。89歳になる倉本さんの言葉は今を生きる人間の本質を突いていると思わされた。

                            2024,11,25

呼称

  皆さんの職場では、呼称をどうされていますか。昭和の時代は上司は肩書、部下に向かっては呼び捨て、あるいは「くん」「さん」とバラバラだったところが多かったのではないでしょうか。時代の変化に伴い、今では上下関係を問わず「さん」付けのところが多いと聞きます。その背景には、“これまでにない製品やサービスを生み出すには組織を逆ピラミッドやフラットにする必要がある”とある企業の方は語っています。またパワハラ防止法施行などを機に、部下とのコミュニケーションのやり方も変わり、“個人を尊重する”という姿勢の表れでもあるのでしょう。教育現場においてもジェンダー中立性が重視され、小学校などで「くん」をやめて「さん」に統一する取り組みも広がっているとのこと。呼称は決めるものではなく、相手との関係性を考えて使い分ければよいと考えますが、そこには個々人の常識、良識、そして見識が問われることにもなりますから、やはり普段の過ごし方がその人の姿勢になってくるのでしょうね。

                            2024,11,24

スイスワイン

  息を吞むほど雄大なスイスアルプスに魅せられてから約33年が過ぎ、当時宿泊した木造の伝統的な家屋のホテルが偶然BS放送に映し出されていた。当時はネットもなく、事前に電話で宿泊予約をするか当日空いていれば宿泊するという旅のスタイルで、ハラハラドキドキしながら安宿を探したものだ。スイスと言えば、『アルプスの少女ハイジ』で描かれた牧歌的な風景がそのまま広がっており、ホルンの音色が聞こえてきた方角に目を向けると、カウベルを付けた牛がいるなんてことも珍しくはなかった。スイス国内で生産されたワインは多くが国内で消費されており、海外に輸出される割合は少ないのだが、この時期は新種のワインが出回り、旗が上がっているワイナリーでは地元の人は勿論、観光客も口にすることが出来るワイン好きには堪らないシーズンである。ブドウの生産も温暖化の影響を少なからず受けており、年々生産量が減っている地域もあるとのこと。年末にかけてアルコールを嗜む機会が増えそうでもあるが、久しぶりにミネラル感が豊富でフレッシュ感のある懐かしいワインで喉を潤してみたい。

                               2024,11,23

グミ消費量とむし歯の関係は?

  当医院を受診される子供達の主訴は「歯並びを治したい」「口呼吸が気になる」などがほとんどであり、「むし歯を治したい」はいないのだが、不正咬合を有している口腔内には親御さんも気付いていないむし歯が存在するケースは増えているように感じています。実際のDMFT指数(むし歯を経験した歯の数)は、歯科疾患実態調査では15歳以上の過去の調査と比較すると、若年者において減少が見られるだけでなく、35歳以上でも緩やかに減少する傾向を示していますが、臨床現場では緩やかに増加傾向に転じているのではないかと実感させられます。不正咬合は生活環境とも密接に関係していることから様々なアンケート内容をご記入いただきますが、最近の傾向として“グミ”を食べるお子様たちが増えており、ガムのように捨て紙が必要ないことから各メーカーもグミの生産販売に力を入れており、更にはコンビニエンスストアの子供達でも手の届く陳列棚にもグミが陳列されていることなども、手軽に購入できるなどの理由が背景にはあります。グミの主成分は砂糖で出来ており、いつまでも口腔内に留めて咬んでいる環境は、今更ですが歯の硬組織を溶かす主因となりますから、出来れば避けて頂きたい食品の一つに挙げられます。今一度“むし歯の原因”とでもネット検索して知識のアップデートをお願い致します。

                               2024,11,22

整理整頓

  「部屋の乱れは心の乱れ」とは、約10年前にある甲子園球児が寮生活を送る中で監督に指摘された言葉である。的を得た表現であり、当方の机周りは時間が経つと積読状態になったり、すぐに使わないものが散らかり始めたりと、歳を重ねても根本的には改善されていない。更に、その監督の言葉を証明するかのように、毎日向き合うデスクトップのアイコンまでもが無秩序に並び始めたりもするから困ったものである。頭の整理整頓が出来なければ演算処理能力も上がらないといったところか・・・。同時進行ですべてをそつなく熟せるタイプではないにも拘らず、優先順位ぐらいは考えて仕事をすればいいものを、なぜか欲張ってしまうのは愚の骨頂である。子供の頃に、「あなたは要領がいいほうではないから・・・」と亡き母に言われたことが昨日のことのように思い出される。親は自分の子供のことをよくわかっているものだと感心させられるが、果たして親となった今、親と同じように子供のことが分かっているのかと、時には頭と心を整理整頓してみる必要があるかも知れない。

                               2024,11,21

大人の定義

  会話をしているとこちらの脳がいつも以上に冴えてくる感覚がある方がいるが、それはその方の考え方に共感共鳴しているからなのだろうか。内田樹さんの書かれた本には、「その人がいるおかげで、周りの人たちの知性が活性化し、感情が豊かになり、ものの考え方が深まるような人」が大人であるとの表現がある。当方もそんな大人でありたいと願う一人ですが、今晩は毎年恒例となっている勤務医時代からお世話になっている人生の先輩との会食があり、その方がまさに私にとってはその「大人」になる方であり、初めてお会いした時からの尊敬の念は今も変わらない。世の中には、社会的地位があったり物知りでも、その人がいるせいで周りの雰囲気が冷めたり脳の成熟が阻害されるような人間がいて、そういう人は身体は大人でも中身は子供であり、昨今はそのような輩が増えてきているように思われる。要は知的成熟度が低いとでも言ったらいいのだろうか、難しい話をシンプルに話をすることが大人だと思い込んでいるのか、野党が政府を批判する仕方などを見ていても、いい大人が表現するような言い回しではなく、日本から大人が消えていっている場面が映し出されているようにさえ思えてくる。他人のことはともかく、自分と向き合い、深く掘り下げて考える習慣を国民レベルで身に付けていかなければ民度はさらに下がり、やがては国が亡びることになるのは、世界の歴史を振り返れば明らかなことである。しかし今の日本では、誰もそんなことを考えも求めてもいないのかも知れない。

                               2024,11,20

臨床の奥深さ

  100年も前に考案された診断基準を現代においても当たり前のように何の疑いもなく用いて良いものか?約30年この仕事に従事してくるとそんな場面に遭遇することがある。経験値が浅い頃ならば先人のしてきたことを鵜吞みにしていたこともあったが、考えに考えを重ねてくると矛盾点が浮き彫りになってくることがある。すべてを否定するわけではないが、この先の考え方は変更すべきではないか?のように心と頭が何かを変えるように働きかけてくる。臨床である以上はエビデンス(科学的根拠)があれば心強いが、積み重ねから見えてきた経験値を基にした臨床は、決して適当や無謀でもない。米国のある耳鼻咽喉科医は次のようなことを述べている。ー「すべての真実は3つの段階を経る。第一に、嘲笑されます。第二に、激しく反対されます。第三に、自明のものとして受け入れられます。」ー不正咬合への治療の仕方、不正咬合に至った根本原因の考え方に大きなうねりが来ていると感じざるを得ない。今や文献検索もネットですぐにできる時代であり、わざわざ母校の図書館まで足を運んだあの時に比べたら、時間の使い方次第でどこまでも追求できることが明日の臨床へのエンジンとなっている。

                               2024,11,19

医療の本質に迫る

  高齢者に限らず体調を崩して医療機関に掛かっている方の中には、複数の飲みクスリを服用されている方がいらっしゃる。それで身体が回復傾向にある、もしくは維持されているのであれば良しとする向きもあるが、世の中に薬があふれ、医療従事者が多くいるのも拘わらず病気、疾患が増え続けている医療は、何かが間違っているのではないかとの思いが強くある。昨日のブログにも記載させて頂きましたが、医療の本質は何かという原点に立ち返る必要がある。医療の最終受益者は患者さんであり、製薬企業や医療メーカーではない。この最終受益者にとって一番有益なことは何かを考えると、医科歯科の各科の垣根を越えて病気の本質を改善させなければならない。医療の進歩、発展に寄与した企業の業績は尊重しつつも、医療の本質、病気の本質に迫らなければ根本的なところでは良くはならない。症状のあるものに対して対処療法にて急性症状を抑えたとしても、生体の免疫機能、症状の発現機序を理解した医療が提供されなければ、最終的な受益者は患者であるとの理念は達成されることはないだろう。

                               2024,11,18

薬を使わない医療

  当医院に通う20代の青年が起立性調節障害との診断を受け、当時通っていた大学を休学していたことがあった。一般的には治療法はないようであるが、病巣疾患の考え方から診ると、これは迷走神経の炎症であり、延髄の孤束核に向かう迷走神経(求心性迷走神経)が炎症を起こすと、延髄からさらに大脳の視床下部や大脳辺縁系にまで炎症が広がり、その結果としてめまいなどの自律神経系の障害や頭痛、倦怠感、疲労感、集中力の低下、記憶力の低下などが引き起こされます。では迷走神経の炎症が始まる火種がつくられる場所は場所は何処なのでしょうか。日本病巣疾患研究会を2013年に立ち上げた堀田修先生によると、鼻の奥にある「上咽頭」は鼻腔から入った空気が肺に向かって下方に方向を変える箇所であり、ウイルス、細菌、粉塵などが付着しやすく、この場所こそが炎症の元と説明をされています。さらに上咽頭に迷走神経と共に分布している舌咽神経は、迷走神経と同様に感覚神経としてのシグナルが延髄の孤束核に伝達されるので、上咽頭に分布する舌咽神経の末端で生じた炎症刺激も迷走神経と同じ経路で孤束核に伝わり、脳を混乱状態にしてしまいます。従って慢性炎症のもとである上咽頭を正常な状態に戻すことで自律神経のバランスが整い、上記のような症状が軽減、消失するに至ります。この治療(EAT)は薬の服用は必要なく進められますので、不定愁訴を抱え悩み続けている方は、是非とも治療を受けて頂くことをお勧めいたします。尚、起立性調節障害の青年は健康を取り戻し、無事就職されて意欲的に働いているとの報告がご両親から届きました。

                               2024,11,17

口腔領域の変化

  ここ数日は歯科に関連するブログの内容になっておりますが、口腔領域への意識の差が歯の予後を左右する決定的な因子であると思わされる方がお越しになられた。奥歯の根元が歯根の破折によって炎症を起こして腫れているのだが、本人は「痛くないからこのままでは駄目でしょうか?」というのである。最終的にどのようにするかは患者さんの選択に任せるしかないが、所見として必要なことは伝えなければならない。口腔内ではなく、目に見える手のひらなどが同じように腫れていたとしてもこの方は放置したいと思うのだろうか。見えない箇所だから、痛いなどの症状はないから、などの理由で処置を拒むのであれば、何をしにお越しになられたのだろうか。まあ、状態を知りたいだけだったのかも知れませんが、口腔領域への関心が高くない方ほど定期的な検診に足を運ぶことはなく、何か自覚症状が発現した時のみ急な受診を希望される傾向がある。継続的な経過観察のなかで咬み合わせや歯肉の状態変化を追いながら患者さんご自身が口腔内の変化を把握し、定期管理していくことで良好な予後を築くことが可能な時代である。当医院は定期管理型の診療システムを約21年続けてきたことで、Evidenceにもない生体としての口腔内の変化を記録し続けている。蓄積された生きた情報から目の前の患者さんの予後を推測して説明できることは、様々な文献よりも説得力があると自負するところである。

                               2024,11,16

抜歯矯正?? 本当にいいの??

  「なぜ健康な歯を抜かないと歯列矯正治療が出来ないのですか?」という疑問をもたれた方がお越しになられた。矯正専門医を受診したところ、「歯を並べるスペースが無いので抜くしかない。顎が小さいから歯がはみ出しているのですよ!」と言われたが、腑に落ちないのでいろいろとネット検索をして当医院を選んだということらしい。当方は矯正専門医ではないにも拘わらずである。一通りの初診診査を行い不正咬合の状態を確認したところ、智歯(親知らず)の抜歯は必要であっても手前の歯を抜く必要は全くないケースであり、歯列矯正治療の考え方の違いかもしれないが、小臼歯抜歯を行って歯列を整えたところで不正咬合に至った原因がなくなるわけではない。ブログでも再三述べてきたが、大事なことは不正咬合に至った原因を放置することによる隠れた疾患、不定愁訴などの発症であり、患者さんにはここのところをご理解して頂く必要がある。勿論主訴が歯列矯正であるので治療の進め方についてはカウンセリングはさせて頂きましたが、原因があるので歯列不正になったのであり、その原因除去は歯を抜くことではない。口腔周囲筋の習癖を改善させ、舌の可動域を拡げ、口呼吸を鼻呼吸にし、正しい咀嚼パターンを身に付けつつ機能的歯列矯正治療を進めることで、治療の終了時には正しい筋肉パターンのもと、口唇での捕食、舌での食塊形成、そして正しい咀嚼嚥下が出来るようになる。それにしても不正咬合に関するお問い合わせが増えてきている背景には、患者さんに満足のいくカウンセリングが提供できていない医院が多いことを想起させられる。

                               2024,11,15

口腔機能の健全な発育とは

  当医院の診療枠の中でなぜ乳幼児を診察するに至ったかを述べさせて頂くと、臨床医として約30年多くの患者さんの口腔内を診査、治療をさせて頂いてきたが、治療痕の多い方の共通項は咬み合わせが良くない、そして舌の可動域が狭いということであり、それらの多くは口腔機能に関連した問題を含んでいるからである。口腔機能は胎児からすでに動いており、乳幼児の吸啜動作(乳児型嚥下)が成人型嚥下にうまく移行できなかった場合には正しい機能獲得が出来ない状態で成長が進むことになり、口腔内を陰圧にして嚥下する際の舌の口蓋への貼り付けがなければ舌圧による口蓋、上顎骨の拡大成長に繋がらず、その結果歯列が顎に入りきらず不正咬合を引き起こすことになる。我々は離乳食期や乳幼児期を経て成人型嚥下を習得し、口唇での捕食、舌での食塊形成、歯芽での咀嚼が出来るようになるのであり、不正咬合という形態だけを診て診断をするのではなく、機能的な問題点を見つけ出す診断が今まで以上に求められている。

                               2024,11,14

舌は呼吸器官

  行きつけの散髪屋で隣客と店主が話している内容を聞きたいわけではなかったが、聞かずにはいられなかった。その方の長男が高校を中退し、ダンスを学びに韓国に渡ったものの現実の厳しさを目の当たりにしてその道に進むのを諦めて帰国し、その後はアルバイトを転々として生活をされているとのことだが、最近はそのバイトすら長く勤めることが出来ないという。職場で仕事の内容などを指導してもらうだけで、出来ない自分がいじめられているように感じてその場にいることに耐えられないとのこと。当医院に通院中の患者さんとの会話の中でも、「最近の若い人たちを注意することすら躊躇してしまいますよ。」と仰る方もいて、その人のためを思って良かれと行動していることが理解されない、由々しき世代が跋扈している。自分を深く掘り下げて自己と向き合うことが出来ていない以前に、生理学的に生体がきちんと機能していないがために集中することができない身体になっていることが背景にはあるのではないか。口呼吸に伴う異常嚥下、睡眠障害に共通して診られる舌の可動域制限をこのまま放置していては、未病から健康を取り戻す機会を失っているとしか思えない。不定主訴を抱えている方、落ち着きのないお子様の行動などが気になる親御さんは、舌が呼吸器官であるという認識を持ち、今一度口腔機能の重要性を考えて頂きたい。

                               2024,11,13

顎関節症

  顎が痛いからと言ってマウスピースを装着すればよいわけではない。診査診断をしっかりと行ったうえで顎関節症と診断を受け、マウスピース治療を受けたという方が以前来院されたのだが、そのマウスピースをいつまで装着し、その後の経過を追うという指示は一切なかったという説明には耳を疑った。顎関節症は急に進む症状ではなく、顎関節に力の負担が不自然にかかり続けた結果、組織の器質変化が進み、症状として現れた時にはある程度進行していることが多く、ひどいときには開口障害を伴うことさえある。ここで考えなければならないのは、痛みの急性症状を取り除く方法と、顎関節症に至った根本原因を分けて考えることである。顎関節の構造、機能的な咬み合わせとはどういう状態のことをいうのか、それらのことを先ずは患者さんご自身が理解する必要があり、それなくして根本的な治癒、ゴールに近づくことはないと考えます。なぜなら口腔周囲筋の筋機能をただす必要があるからであり、日々のトレーニングが欠かせないからです。もっとも年齢によってはゴールのハードルを下げなければならないケースもありますが、いずれにしても一日二日で症状の改善はみられたとしても根本原因を取り除くことはできません。他の疾患同様に、病態を理解しながら治療を受けて頂きたい。

                               2024,11,12

オーラルフレイルの低年齢化(2)

  顎を動かしてくださいと患者さんに指示をすると、「顎って上の顎ですか、下の顎を動かすのですか?」と返ってくることがある。勿論動かすのは下顎のことであり、上顎は動かすことは出来ない。口腔機能の食べる、話す行為は下顎を動かしますが、その下顎は頭蓋にぶら下がっており、その頭蓋は背骨の上に乗っているに過ぎません。下顎を正しい位置でしっかり機能させるためには、まず頭部を背骨でしっかり支えることが出来て、顎位が安定できる体幹を育成する必要があり、そのためには、赤ちゃんの正しい抱っこの仕方、座骨座りでのお座り、はいはいの推奨など、口腔機能に結び付く身体の基盤づくりが不可欠です。当医院では助産師の協力にもと、乳幼児の授乳の仕方、舌小帯の可動域診査などを行い、口蓋の成長具合を模型に起こしながら診査し始めています。健全な口腔機能が育成されればむし歯、歯周病は勿論、不正咬合が世の中から激減し、壮年期以降の不定愁訴でドクターショッピングすることも減ることでしょう。子供達のADHD(注意欠陥・多動症)の増加と、口呼吸、不正咬合を有している子供達の増加との関連は疑う余地はないのではないでしょうか。

                               2024,11,12

オーラルフレイルの低年齢化(1)

  超高齢化社会の日本では、加齢や疾患によって身体的・精神的なさまざまな機能が徐々に衰え、心身のストレスに脆弱になったフレイル状態の方が増えていますが、オーラルフレイル予防に関しては、高齢者に限ったことではありません。成人期以降における口腔機能の低下だけではなく、乳幼児期・学童期における正常な発達を促し、各ライフステージにおける健全な口腔機能を営めるように管理していくことが求められます。当医院にお越しになる子供達の口腔機能検査を実施すると、チューインガムでフーセンをつくることが出来ない子や、口唇閉鎖力の検査値が年齢の基準値に達しない児童が見受けられます。給食に出された白玉を喉に詰まらせて窒息死した子供がいましたが、まさに正しい口腔機能が身に付いていないことによる事故だと思われます。口腔機能発達不全症は、明らかな摂食機能障害の原因疾患を有さず、口腔機能の定型発達において個人因子あるいは環境因子に専門的関与が必要な状態と定義されています。咀嚼や嚥下の異常、構音障害、口唇閉鎖不全、口呼吸が疑われる場合は、しかるべき歯科医院にて診査を受けることをお勧めいたします。尚、当医院の初診受付は約1年先となりますが、成長期における子供達の機能改善は急ぐ必要があるため、未就学児~学童期のお子様たちの場合は比較的早く優先して承るようにしております。

                               2024,11,11

進むべき道

  先知先哲の言葉には考えさせられることが多いが、当方も歯科医院を開院してからというもの、ことあるごとに医院のあるべき方向性に間違いはないかを自問自答する際には金言を胸にしまってきた。阪急グループの創業者、小林一三氏の「金があったらできるという人は金があっても出来ない人である」などはその一つであり、まさに的を得た言葉である。経営者としての経験の有無によってその言葉の響きは異なるものであり、世の中には生き方のヒントに溢れているが、自分の生き方にアンテナを張っていなければどんなヒントがあってもつかみ取ることも実行することも出来ない。時代の要請なのだろうか、かみ合わせ相談で当医院を受診される子供達が急増している。就学児の来院可能な時間は早くても夕16時以降となり、予約枠が既にいっぱいである。求められていることに対応するには診療時間の変更も検討せざるを得ないが、当医院の始業時間を現状の8時を堅持しつつも就業時間を遅くするとなると、時代に逆行する就業体制となる。一人ひとりの来院者としっかり向き合うためにはパートタイム制の導入は考えにくく、悩ましい問題である。「制限の中において初めて名人はその腕を示すー(ゲーテ)」、物事をなす原点は古今東西不変である。

                               2024,11,10

前進あるのみ

  マラソン大会出場に向けた日々のトレーニングは、無理のない範囲であれば健康維持のためにはお勧めである。そもそも当方がランニングを始めた切っ掛けは、約10年前に思いもよらぬ内臓脂肪の増加を人間ドックで指摘された為であり、ベスト体重からも増えていたことから有酸素運動を始めたことにある。走り始めの1年間は雨の日も冬の極寒の日も欠かさず毎日走り続けた結果、医者も驚くほどの数値の改善があり、スーツはすべて作り替えという体形にまで身体も絞られた。その後はいつまでも新調したスーツを着ることが出来るように、マイペースでのランニングを継続しているが、先日の横浜マラソン完走後は体幹の歪みからだろうか、左足首の回復具合が思わしくなく、今までの経験値からリハビリの時間を長く取るようにしている。それにしてもフルマラソン完走後は毎回思うのだが、完走そのものは身体をボロボロにし、寿命すら短くしているのではないかと思うほどである。ではなぜそんな思いまでして走るのか?毎回タイムを更新していることと、走り方を自分なりに考え研究することで、更に早く走ることが出来るのではないかと可能性を感じているからに他ならない。足に起きるトラブルを改善するための方法を調べることで、知らない世界を広げていくと考えれば、これまた前進したことにもなろう。常に前向きでいることが何よりも大切である。


                               2024,11,9

しっかり考えて!

  「子供の出っ歯が気になっている。矯正専門医に掛かっていたが、抜歯してから矯正治療が必要でしょう。と言われたので、それはどうなのかな?と思っていたので相談を兼ねてこちらを受診しました。」最近はこのような相談件数が増えてきていますが、歯並びが良くない原因はどこにあるのか?なぜ歯が並びきらないのか?歯を抜いて歯列矯正治療を受けたら不正咬合になった原因はなくなるのか?という素朴な疑問をきちんと解決できていますかと親御さんには問いたい。本当に上の前歯が出ているだけなのか、いやいや下顎が後下方に後方回転した結果相対的に上顎前歯部が前方に突き出ているように見えているのであれば、ドクターの診断によって治療方針は全く異なる結果となる。素人だから分からないではなく、専門医の言うことだから正しいと思い込むのではなく、歯科医師の説明が腑に落ちないようであれば一旦保留するのが正しい選択でもある。当医院の診察時間が長い理由はなぜか。原因から現状に至った経緯を説明するだけではなく、納得して頂くまでディスカッションしているからであり、聞き手一方では分かったつもりで終始することが少なくないことを臨床経験から分かったことでもある。

                               2024,11,8

発達障害との関係を・・・

  今年1年間の出生数が初めて70万人を割る公算が大きくなったと厚生労働省が発表しましたが、我が国の少子化が進む一方で、不登校や引きこもり、また闇バイトにみる少年による凶悪な犯罪など、21世紀日本の最大の社会的課題の一つは子どものこころの問題であるといっても過言ではありません。とりわけ、自閉スペクトラム症、注意欠如/多動性障害 (ADHD)等の発達障害を持つこどもは、近年その頻度が高いことがわかってきたと、大阪大学大学院・子供の心の分子統御機構研究センターが報告しています。当医院に通う子供達を診ていても、じっと座っていられない、落ち着きがないなどADHDを疑わせる症状をもつ幼児・学童は少なくなく、このような子供達に共通していることは口呼吸であり、すでに不正咬合を有していることです。過去には通常の授業には付いていけないとのことで特殊学級で学校生活をされていたお子様がいましたが、辛抱強く身体のこわばりを取るトレーニングや口腔周囲筋のマッサージ、それから舌の口蓋への貼り付け(舌の挙上)などを2年間継続していく中で、担任の先生から「何かご家庭で変わったことでもありましたか?」と尋ねられるぐらい落ち着いて人の話を聞くようにもなり、診療台でも他のお子様たちと変わらない行動をとれるようになったことで、普通学級で授業を受けることが出来るようになった例があります。未だ発達障害の病因に関してはまだ不明の点が多く、生物学的指標もないことが、教育・療育上の大きな支障となっておりますが、臨床現場に携わるものとして、口腔機能の発育不全、ひいては頭蓋顔面発育障害の根本原因の一つである舌の可動域制限が大きなカギを握っているものと確信しております。大学病院などの大きな医療機関ではありませんが、一人ひとりとしっかり向き合うことで、見えないものが診えてくる臨床をこれからも続け、Evidence baseまでもっていきたいと考えています。

                               2024,11,7

急募

  世間は業種を問わず人手不足と耳にするが、当医院とて他人ごとではなく猫の手も借りたいぐらいである。但し誰でも良いというわけにもいかず、頭が痛い。ブログで募集を掛けるのは初めてだが、働く気がある方は是非ともご連絡を頂きたい。現状3人体制で働いているものの、歯科衛生士が担当する患者の治療、当方が患者の処置に入ってアシスタントが付くとなると受付業務がその間出来なくなり、電話すら出られない状況となり、初診患者のみならず皆様にご迷惑を掛けていることをこの場を借りてお詫びしたい。国家資格が必要な歯科衛生士でなければ口腔内の処置まではできないが、受付兼アシスタントはしっかりとしたコミュニケーション能力があればどなたでも活躍できる職種である。アシスタントのことを当医院ではエデュケーターとも呼んであり、子供たちの口腔機能改善のために行うトレーニング業務をドクターの指示のもと子供とマンツーマンで行っている。これは自分の指導の仕方一つで徐々に子供たちの咬み合わせ、姿勢、呼吸が改善していくことで、エデュケーターの遣り甲斐となってきている。環境の変化によって子供たちの呼吸、咬み合わせ、口腔機能の発育不全が増加傾向にある中、エデュケーターの果たす役割は重要である。歯科医院の在り方を根本的に変えていく一翼を担っていきませんか!因みに、歯科衛生士も大歓迎です!ご興味のある方は先ずは見学にお越しください。(お問い合わせは電話かHP内のお問い合わせメールでお願い致します)

                               2024,11,6

医科歯科連携

  日常臨床に携わっていると、鼻呼吸障害、特にアレルギー性鼻炎を有している子供達が年々増えてきているようである。耳鼻咽喉科領域のことに関しては専門領域ではないが、口腔機能の健全な発達のためには耳鼻科領域のコントロールが必要であり、舌下免疫療法はある年齢になるまで開始できないことから、それまで鼻閉のある乳幼児は必然的に口呼吸となり、正しい咀嚼・嚥下機能が働かないことになる。すると顎骨の形態は筋肉によって出来上がるので、本来の大きさに顎骨が発育しなければ当然歯列弓は小さい、もしくは歯が入りきらない叢生状態となり、更には気道の適切な発達を担保することが出来なくなる。先日の睡眠歯科学会のテーマであった“小児の閉塞性睡眠時無呼吸”に関する先生方の発表の中で、昨年11年ぶりに母子手帳の改定が行われ、成長発達の目安の質問事項に、睡眠に関する質問事項が追加になったとあり、睡眠障害への認識が高まりつつあることを感じた。鼻閉、口呼吸、頭蓋顔面発育障害、睡眠障害に対する取り組みには医科歯科連携の充実がカギを握っており、引き続き不正咬合を引き起こす根本原因の裏に隠れている疾患についての啓蒙をしていく必要がある。

                               2024,11,5

ニーチェの言葉

  機内で読む本を空港の書店で物色していたところ、手にした本を開いたページに“君は君の友のために、自分をどんなに美しく装っても、装いすぎるということはない。なぜなら、君は友にとって、超人を目指して飛ぶ一本の矢、憧れの熱意であるべきだから。”という、ニーチェの『ツァラトゥストラ』の一節が目に入り、脳裏から離れない。あのイチロー選手が引退会見で述べた「自分の限界を超えながらちょっと超えていくということを繰り返していく。そうすると、今のような自分になった。」というフレーズと、意味するところが似ている。つまり、人は今の自分を超えていくためには向上心を持ち続けることが必要であり、そこに年齢は関係ない。定年は周囲の環境が決めたことであり、人としての定年は存在しない。常に周りに関心を持ち、知的好奇心を持ち続ければ、知らない世界は広がっていきます。“今汝は画れり”ではなく、自分の殻を破って生きることが、永遠に輝き、美しく生きる秘訣ではないでしょうか。

                               2024,11,4

睡眠障害

  昨年同様、睡眠歯科学会における講演内容は日頃の先生方の研究内容をする知る機会であり、海外における睡眠医学の現状を把握する意味でも非常に実りの多い学会である。当医院の臨床現場でも本人の自覚はないものの、かみ合わせ、顎位、舌位などから診断すると、就寝時の睡眠時無呼吸(OSA)を併発しているとおもわれる方は少なくない。患者本人の自覚がないところでOSAの説明をしても大概は関心を示さず、日本における睡眠と健康との関係性が広く知られていない現状を示している。Sleep Healthはいまだ定義されたものではありませんが、われわれの健康状態(生存率、循環器系疾患、メタボ、うつなど)は、睡眠時間だけではなく、睡眠の質、リズム、眠気、睡眠の満足度など様々な睡眠の状態に影響されています。昔から寝る子は育つと言われますが、寝ない子供は一体どうなるのでしょうか?不正咬合は頭蓋顔面発育障害の一部分の問題であり、その発育障害の大きな原因の一つに睡眠が関与していることは間違いありません。子供達の成長発育を最適化し、心身ともに健康な状態を維持する為にも普段の睡眠にもっと関心を寄せて頂きたいと思います。

                               2024,11,3

乱気流

  徳島大学で行われる睡眠歯科学会に参加のため羽田空港を夕方に発ったのですが、あいにくの悪天候に見舞われ場合によっては羽田に引き返すという条件付きでの離陸となった。スマホで天気状況を確認する限り天候は回復傾向にあるので現地到着には何の支障もないと踏んでいたところ、離陸直後から途切れることのない強風による機体の揺れに機内の空気は凍り付き、「気分の悪い方はお手元にある‥‥」とCAによるアナウンスが流れるほどである。過去には気流の関係で機体の揺れ自体は何度も経験はあるものの、名古屋上空まで、時間にすると30分近くも上下左右に身体をコントロールできない状態は初めてであり、当たり前だが航空会社の判断にはそれなりの理由があるのだと考えさせられた。到着地までの飛行時間は75分と短かったものの半分近い時間は足元を踏ん張ったりしていたためか、乗降後には到着ロビーで座り込んでいる乗客が数人見かけられた。どんなに機体が揺れたとしても、子供ではないので“もしかして・・・”なんてことが頭を過ることはないのだが、できればあまり遭遇はしたくないものです。

                               2024,11,2

グミの消費増加

  毎日おやつにグミを食べているという子供に「どのくらい砂糖が含まれているか知っている?」と尋ねたところで答えられる子など一人もいない。そこで親御さんに聞いてみると、「考えたこともない」「砂糖って身体に悪いのですか」などの質問を受けることがある。一日の糖質摂取量の目安は50gであり、食事に含まれる量が25g前後だとすると、おやつで許容される砂糖の量は25gぐらいということになり、包みが小さいからといってグミを一袋も食べていたら糖質の過剰摂取になるのである。日本に観光で来る外国人にとってはコンビニエンスストアの少量で売っているお菓子が美味しく沢山の種類を購入できるので好評らしいが、レジで並ぶ横の棚に陳列されたすぐ手に取ることが出来る菓子類は、身体とくに成長途中の子供達にとっては目の毒となる存在である。捨て紙が必要なガムの不人気さからグミの需要がここ数年で増加しているが、このままではせっかく減少したう蝕罹患率も増加に転じるのではないかと懸念される。現に予防先進国であるスウェーデンではう蝕ゼロは昔の話となっており、世代交代にともなう認識不足を我が国も早急に改める必要に迫られている。

                               2024,11,1

気道確保とスタミナ向上

  先日の横浜マラソンを走るにあたり、気道を拡げて走ることを試してみたところ、30キロ地点までは昨年よりも約40分早く通過していたことが、大会の公式記録で判明した。気道を拡げることが可能なのかと疑問に思われるかもしれないが、頭蓋に対して骨格的に下顎が後方に下がって咬んでいる傾向にある人の場合は、下顎を前方に誘導すると舌も前上方に位置するので咽頭腔が広がり、呼吸がしやすくなるのを体感する。しかし30キロ地点まで意識して下顎を前方に位置付けさせることなど無理であり、オーダーメイドのスプリントを装着して走り始めると普段よりも目線が前上方にあり、明らかに姿勢も起き上がっているのである。このことから長距離を走ると疲れて下を向き加減で走り続けることが多かったが、実際のところは下顎が後方に下がった状態で走っていると気道が狭くなり、結果的に浅い呼吸となってスタミナ切れになることを実感するに至った。過去の名ランナーを思い起こせば瀬古利彦さんのフォームは常に前方を見据え、いくら走っても呼吸が乱れているようには見えなかったのは、もしかすると気道が最大に拡がった状態を維持出来ていたのかも知れない。

                               2024,10,31

子供の原因不明の頭痛

  「娘の頭痛が治らなくて脳外科に行ったんですけど、特に問題はないと言われました。ストレートネックにはなっているようで、スマホの長時間利用が原因の可能性があり、今の若者に多く診られる症状ですね。」と言われたと、知人との会食での会話です。今の若者・・・。皆さん、スマホが原因だと思いますか。頸椎に何らかの負担が掛かるから本来の構造とは異なる形で成長が進み、身体の適応と代償という見方をすると、体幹の適応範囲を超えた時に症状が発現し、それが頭蓋・四肢・腰などに繋がる神経を圧迫してしびれが生じたり、痛み、疼痛として発現するのです。では頸椎はなぜ歪むのか?安静時に舌が口蓋に張り付くことがない場合は低位舌となって下顎が舌の挙上によって前上方に誘導されにくくなり、下顎が後方に下がることで構造的に頭蓋は前方に位置されることになります。バランスの取れた体幹を維持する為には舌のポジションが重要であり、口呼吸であれば口唇が開くことで下顎は後退し、舌小帯が短ければ舌の可動域が狭いので舌の挙上が妨げられて下顎が後方に位置することになります。各科の診査では問題は見つからないけれども不定愁訴が改善されない場合は先ずは体幹の歪み、そしてその歪みは頭蓋顔面発育を司る舌のポジション、機能に問題があるのではと疑ってみることが必要です。

                               2024,10,30

読解力低下

  日本人の読解力が落ちている?という話題は数年前から耳に入るようになってきたが、遂に「国語塾」なる看板がこの界隈で見かけるようになった。国語を塾で教わる?詳細は分かりませんが、なんでも教えられないと学ぶことが出来ないのかと憂いてしまう。都内の公立小学校で教諭をされている方が、「子供達の中には教科書の内容を読み取れないために科目の内容を理解できず、計算が出来ないのではなく数学の問題が解けないんです。」と語っていた方がおられるが、生徒たちの読解力は壊滅的であるようである。なぜ読解力が落ちているか。言うまでもないことだが、本を読む習慣が減っている、もしくは全くないことが原因であろう。ネット内を駆け巡る文章は人目を惹き付けるためにも短文であることが多く、本や新聞を手に取って読むことをしなければ、まとまった文章を読むことがない。読解力は何も本を読むことだけを意味するものではなく、文章を正確に読み取れないと、人の意見を理解することも出来なくなり、会話が成り立たなくなることにも繋がる。そのような経験をされた方も多いのではないでしょうか。しかし教育現場では、教科書の文字を大きくし図版が増え、文字による情報を減らして分かりやすくなっているという。これでは子供達の読解力向上は望むべくもなく、更なる学力低下は避けられない。世間の悍ましい事件が頻繁に起きている原因の背景には、ここ数十年の日本人の活字離れ、あらゆることを読み取ることが出来ない思考停止が無関係ではあるまい。

                               2024,10,29

自己修養

  都心から離れること車で約2時間30分に距離に、風の音しか聞こえてこない心身ともに癒される場所がある。10月末のこの時期には紅葉も始まり、例年一足先に秋の自然を堪能させてもらう。そこに滞在する時間は極めて短いが、草木の香り、落ち葉に隠れた土の匂い、広葉樹の落葉と常緑のコントラストが目に優しく観察しているだけで五感が研ぎ澄まされ、滞在時間以上の充実感を形に見えないお土産として持ち帰ってくる。私の仕事がリモートでも今以上の成果を出せるのであれば、移住とまでは言わないまでも生活スタイルを変えてみたくもなるものだ。大谷翔平選手のワールドシリーズ、衆議院選挙の結果、闇バイトなど、あらゆる情報から1日解放されるだけで我々は普段とは違う自分、つまりは素の自分と向き合い自分を見つめ直す時間が出来る。あの“政界の風見鶏”といわれた昭和の宰相中曽根康弘総理は総理在任中にどんなに忙しくても毎日30分は総理執務室で自分一人の時間を作っていた。総理の功績を知る上では、総理のそのような姿勢から我々は学ぶべきものがあるのではないか。日々の忙しさにかまけて、読書すらする時間もないのでは、自己修養はいつしているのでしょうか。

                               2024,10,28

横浜マラソン2024

  横浜ランドマークタワー前を8:30スタートした今年の横浜マラソンには約28,000人が参加し、フルマラソンは91,3%の完走率と例年よりは低くなりましたが、沿道からは地元の方や観光客からの応援の声を沢山頂き、当方も3年続けて無事ゴールまで辿り着くことが出来ました。過去2回の経験からペース配分にも幾らか余裕?があったのか、30キロ過ぎまではあわよくばサブ4を狙えるか、という走りでしたが、その後は左足首の痛みに耐えるレース運びとなり、給水所のスポーツドリンクや地元の協賛各社の差し入れを摂取するも、終わってみれば昨年よりは良かったかレベルでの完走となりました。当マラソンは公式記録としては残らないので来年は東京マラソンへの応募を検討しますが、完走が目的とならぬよう体力アップ、ランニングフォームの修正など、改善に向けた研究が求められます。当医院の患者様で私と同年齢の方のなかには、今年の大阪マラソンに出場され、「3時間を切れなかった!」とかなり悔しそうに語っていた人もいますが、やはり人はそれぞれ自分と向き合い、マイペースで前進していくことが、長く続けていく秘訣なのかもしれませんね。それにしてもフルマラソンに向けた日々のトレーニングは健康維持のために良いと思いますが、フルマラソンそのものは身体がボロボロになります(笑)。

                               2024,10,27

スクリーニング

  当医院では、昨今の子供達の不正咬合を有している割合の多さから、全ての小児初診患者に対して潜在的な睡眠呼吸障害(SDB)のスクリーニングを行っています。近年、SDBの早期診断に役立つ機能的気道スクリーニングツール(FAIREST-6)が開発され、歯科医療現場でSDBのスクリーニングが可能となりました。故Christian Guilleminault先生は、小児のSDBは口腔機能発育不全が関係しており、これは頭蓋顔面の発育に影響を及ぼすと述べています。また、小児の口腔育成に多大な貢献をされているJohn Mew先生は頭蓋顔面発育障害の指標として、鼻の先端と上顎前歯の先端を結んだ線であるインジケーターラインの長さと上顎6歳臼歯間距離を挙げています。これらの診査を行うことで、不正咬合の裏に隠れている疾患の一つである睡眠呼吸障害の重症度が高いと疑われる患者を識別できる可能性が非常に高いのです。スクリーニングとは、罹患していないと思われる人の中から罹患している可能性のある人を大まかに選別することですので、確定的な診断にはなりませんが、仮に睡眠呼吸障害を有する疑いが高い場合には、睡眠導入後の成長ホルモンの分泌量にも影響を及ぼすことになりますので、頭蓋の顔面発育を本来の成長軌道に誘導することが歯科臨床の重要な役目となってきます。

                               2024,10,26

歯の治療を繰り返すのはなぜ?

  「歯医者通いを真面目にしていたのに、なぜ歯が良くならないのかがよく分かりました。」と仰ってくださる患者さんは残念ながら後を絶たない。皆さんに歯の治療履歴を振り返って考えて頂くことが先ずは必要であり、なぜ同じ歯を数年おきに治療を繰り返してきたのかを疑問に思っていただきたいのである。決して難しいことではなく、ご自身の口腔内写真を見て上下左右に下顎を動かした際の上下の歯の干渉の仕方を確認して頂くと、「えっ、私ってこんなふうに咬んでいるんですか??」と驚かれる方が大半であり、その不自然な歯の当たりが硬い組織である歯に外傷として働くことで歯が痛くなるのである。この外傷によって疼痛が生じた場合は歯の神経を取る根管治療を行うことで痛みは一時的には消失するが、痛くなった根本原因を取り除いたことにはなりません。なぜなら不正咬合が原因で歯の外傷が生じているのであり、機能的歯列矯正治療を行って咬合性外傷を取り除くことが原因を取り除くことになるからです。従って、かみ合わせをこのタイミングで改善させない場合は処置済みの歯であっても被せ物が欠けたり割れたりするのです。文字列では分かりにくいですが、当医院では自前のスライド、動画などをお見せして理解して頂くように努めています。治療も大事ですが、治療しなければならなくなった原因を知ることが先ずは必要ではないでしょうか。

                               2024,10,25

歯の治療による負のスパイラル

  歯科治療に不信感を持たれている患者さんに共通していることは、治療を受ければ歯が良くなるとどこかで思っていることか。保険診療で治療を受けてきたら銀歯を詰められたので白い詰め物に変えたいなどという主訴も同様で、何かしっかりとした治療を受けたら今よりも良くなると思い込んでいる節がある。毎度のことであるが、同じ歯を何度も治療を繰り返しているのは、歯にトラブルを引き起こす根本原因を取り除かないまま対処療法を繰り返しているからであり、そういう方に限って歯を抜歯する必要に迫られると決まってインプラントにはしたくないという。当方はインプラントを勧めることも当医院で治療することもしませんが、決してインプラント治療を完全否定している訳ではありません。歯失う根本原因を残したまま歯があったところにインプラントを埋入したらどうなりますか?ということを考えて頂きたいのです。決して一生使えることを保証する治療法ではありませんし、所詮生体にとっては異物であることを認識してください。先日の新規患者さんのケースでも、すでに4本を喪失していて更に奥歯の歯根に破折の疑いがある状態である。にも拘らず、歯を失ってきた原因を考えることもなく、抜歯したらどうするのか?などと、自分の口腔内と全く向き合っていないのである。この“向き合う”時間を取らないまま治療に入るから、治療の「負のスパイラル」に陥るのである。たくさん治療を受けてきた人ほど自分の治療履歴を辿って頂き、そこにかみ合わせの問題が潜んでいないかを、かみ合わせが分かる歯科医師に診て頂くことをお勧めいたします。

                               2024,10,24

歯科医院の在り方

  ランニング中はSNSやあらゆる情報から離れ、自分とじっくりと向き合っている時間であり、閃いたことがあったり、頭で考えていた答えが浮かんだりと、まるで馬上・枕上・厠上のごとく、いいアイデアが生まれてくる。しかし、当医院の人出不足解消につながる名案だけは今もって出てこない。当医院の特徴の一つは朝8時からの診療にあり、そのためには結構早く出勤する必要があるのと拘束時間が長いことにある。週の労働時間を週休2,5~3,0日体制で守り、年間の休暇取得も160日前後あるので、労働時間としては決して悪くはないと当医院で働くスタッフは申しております。歯科衛生士も担当制ですので、担当患者さんとは長きに亘り信頼関係を構築していくことになりますので、知識、技術だけではなく、見聞を広め人間力を高めなければ仕事が務まりません。当面は歯科衛生士と子供達を指導するエデュケーターを募集しており、興味関心のある方はご連絡を頂きたい。今後当医院では子供達の受け入れが多くなる傾向にあり、生後1か月の乳幼児からの診察も始めており、歯科医院の在り方を徐々に変えていく予定です。将来的には助産師、理学療法士、管理栄養士も参画した歯科医院になります。

                               2024,10,23

仕事への情熱

  診療中の姿勢には気を付けてはいるものの、背もたれを倒せない患者さんの場合には無理な姿勢で治療をせざるを得ない。しかもその無理な姿勢でマイクロスコープを使用するとなると、長時間態勢を維持させることに集中力を削がれてしまい、体力が奪われるだけではなく決まって腰を痛めることになるのだが、先日も案の定腰を伸ばす格好となり、午後の診察・治療の際にはコルセットのお世話になる羽目となった。しかし他に治療の仕方がないだけに、腰が痛くなるからこの辺で治療を終わりにするなどというような無責任なことが出来るわけでもなく、そのような患者さんの場合には文字通り身体を犠牲にしてでも診療を進めなければならない。歯科治療は針の穴を通すレベルの治療精度が求められるのであり、残念ではあるが目を疑いたくなるような詰め物や被せ物が装着されているケースは少なくない。人間であれば絶対ということはないかも知れないが、最善を尽くすことは心ひとつあればできないことではない。誠心誠意治療をすれば患者さんにはこちらの思い、熱意が伝わるものであり、業種は違えど仕事への情熱が目の前の仕事を首尾よく終わらせる秘訣である。

                               2024,10,22

衆議院選挙

  衆議院選挙の投票日を控え各候補者たちは懸命の訴えをしているが、日本を取り巻く外交問題について意見を述べている候補者は果たして何人くらいいるのかいないのか。自民党の総裁選挙においても誰一人としてウクライナ侵攻、中東で起きているイスラエル・パレスチナ問題をテーマにするものはいなかった。他国に侵攻されたら選挙どころではないにも拘らず、平和ボケと言ってしまえばそれまでだが、国を預かろうとしているものがこの体たらくでは、誰が政治家になったとしても、国家としての軸は細るばかりではないか。他党の批判、所得倍増、社会保障の充実、庶民に優しい政治を、などキャッチフレーズはいくらでも掲げることはできるが、地方選挙ではなく国政選挙である以上は国家観をしっかりと提示でき、信念だけではなく今までの実績を踏まえた政治家を有権者は選ばなければならない。国会議員たるものは地方議員とは異なるのであり、己の発言行動そのものが国の行く末に直結していることを自覚して頂きたい。命がけで国を案じている政治家を見定めようではありませんか。

                               2024,10,21

口腔機能の重要性

  “歯並びは歯の問題ではない”と認識させられるお子様の受診が増えてきている。親御さんから、「子供が歯並びが良くないことを気にしているので歯列矯正を考えているのですが、今から治療をすると期間はどのくらい掛かりますでしょうか?」と質問されることが多い。ブログで何度も述べさせて頂いていますが、歯並びが悪くなるのは舌を含めた筋機能の習癖が問題であり、筋肉が顎骨の形態、大きさを決定していくので、歯だけを診ていても何の問題解決には至りません。従って、ワイヤー矯正治療や今流行りのマウスピース矯正を行ったとしても、筋肉の習癖が改善されないまま矯正装置が外されたら必ずと言ってもいいほど後戻りが起きます。当医院で歯列矯正治療を検討される方には咀嚼、嚥下の様子もビデオ撮影させて頂き、機能的に問題のない動きをされているかどうかも診査いたします。一人として正しい、理想的な咀嚼嚥下パターンを示す子供、大人がいないことには驚かされます。診査を受けた方の中には食事中に度々お腹が痛くなることがあり、トイレに駆け込むこともありますという方がいて、どこかの消化器科内科で診てもらうべきでしょうか、という方もいる。何か薬を処方されたら安心するのでしょうか。問題は咀嚼の仕方にあり、食物を細かくしてから嚥下することが出来ずにいるので消化吸収が出来ないためにお腹が緩くなることは明白です。更には常時口呼吸でいる為に、血中CO2濃度が低く平滑筋の痙攣が起きやすい体質になっていることが状態を悪くしています。原因があるから結果があるのであり、このようなケースに薬は不要ですし、身体の持つ免疫力を高める為に口腔機能の改善が必要なのです。不定愁訴を抱えて病院通い、ドクターショッピングを繰り返している方の多くは口腔機能が正しく働いていないものと思われます。

                               2024,10,20

想像力の欠如

  インターネットやSNSの魅力は欲しい情報を直ぐに手に入れることが出来ることであり、効率面では無駄を省くことが出来るが、その情報源の正確性、信憑性という点では“フェイク”と言われるように、一般人には確認のしようがない。スマホを手に取るようになってからというもの、辞書代わりに使用する機会も多く、国語辞典や英和辞典ですらオブジェとなっている。これは当方だけなのかもしれないが、紙媒体の本を読んでいる際には、文章を目で追いながら場面を想像したり思い描いたりしていたものが、ネット情報を観ている際には想像力が働くことはないに等しく、情報をそのまま受け入れているだけに過ぎないことに気付かされる。もし考える、想像することがなければ人は思考停止状態にあるとするならば、これだけ多くの人間がスマホと睨めっこをしている現代は、思考を深めたり、想像力を拡げる機会を自ら断っていると言えはしないか。AIが世の中を変えようとしている今こそ、一人ひとりが自分と向き合って深く掘り下げて見つめ直す時間が必要ではないでしょうか。

                               2024,10,19

口腔は健康への入り口

  歯のことで苦労したり悩んだことがない人にとっては興味のない話題にはなるが、長年歯医者通いをされている皆さんにはちょっと考えて頂きたい。上下前歯には治療痕はないにも拘らず奥歯だけはほとんど治療を受けており、中には同じ歯を何度も治療を受けている。何度も・・・?歯の治療を受けることで歯は良くなるのでしょうか?歯科医師の診断そして治療技術に問題がないという前提で話を進めますが、何事においても結果に対しては必ず原因が存在します。同じ個所の歯を数年おきに治療を繰り返しているとしたら、そこには原因が残されていると考えるのが自然ではないでしょうか。卒後約30年、開業して21年目を迎え、その臨床経験から診えてくる口腔内のトラブルの共通点は、個々の歯に掛かる不正な力の存在です。なぜ歯並びが乱れるのでしょうか?なぜ骨格的な咬み合わせに大きなずれが生じるのでしょうか?そしてそれらが歯の疾患とどのように結びつき、不正咬合の裏に潜む口腔以外の全身疾患、不定愁訴、体幹とどう関係しているのかを理解する必要があります。明治時代よりも約30年平均寿命が延びた現代では、50歳前後から身体の不調を訴え病院通いをする方が増えています。先ずは体調不良の原因を知り、納得したうえで必要な改善方法に取り組むことが健康を取り戻し、元気溌剌でいられる秘訣ではないでしょうか。

                               2024,10,18

歯並びが悪いということは・・・

  子供達の歯列矯正治療をいつ頃から始めたらよいかという質問に対する答えは、親御さんにもしっかりと考えて頂く必要があるので、「体全体の中で、最も早く発達するのが上顎骨であり、6歳臼歯が萌出するまでには上顎骨の80%以上の成長が終わっています。その後発育するのが中顔面、下顔面ですので、これらの成長発育は遺伝というよりは環境による影響が大きいのです。」ということになります。昨日のブログの延長にもなりますが、歯並びは歯の問題ではないのです。従って、治療のコンセプトは、「歯並びよりも機能の改善を優先させる」ことになり、筋機能矯正治療を直ぐにでも行い、不正咬合の原因である外的要因を取り除く必要があるのです。従来(今でも多くの歯列矯正治療)の歯列矯正治療は毎月診療室にワイヤーの交換や調整のために通院が必要でしたが、筋機能矯正治療は自宅で毎日トレーニングを行い、学校の授業中などにも舌のポジションを意識して過ごすなど、親と子供達の協力がなければ結果は伴いません。当医院での子供達を観察していると、小学1年生以下の場合は本人の理解までは難しく、親が付き添う形でトレーニングを継続できなければ望むような結果には辿り着けません。不正咬合を有していることは正常な頭蓋顔面発育をしていないことの表れであり、その原因を取り除かなければ一つの問題から連鎖反応が起き、更なる頭蓋顔面発育障害が進むことになり、睡眠呼吸障害、顎関節症、全身の歪みへと繋がっていくのです。


                               2024,10,17

口呼吸を鼻呼吸にする意義

  7月末に舌の可動域を拡げる為に舌小帯リリース(オペ)を行った中学生の朝起きてきた時の表情が以前とは全く違うと母親からの報告があった。更に「疲れた~」「何だかだるい」といったことも言わなくなりましたとのことである。舌の裏にある舌小帯が短いと舌を口蓋に張り付けることが出来ないので常に低位舌となり、無意識下では口呼吸になることが多く、正しい口腔育成の観点からは舌の力によって口蓋が広がらないので歯列の狭窄が生じやすくなり、舌を口蓋に張り付けて嚥下することも出来ないので異常嚥下、更には誤嚥を引き起こしやすくなります。生理学的には常時口呼吸になることで交感神経優位になり、免疫細胞の一つである白血球中の顆粒球の割合が多くなることで免疫力が低下します。当方は歯科医師であるので不正咬合予防の視点でアプローチしていますが、“上顎の拡大は歯ではなく舌のために”、そして一旦上顎が十分に拡大されれば、舌を訓練することで上顎歯列弓をサポートでき、舌が挙上できることで口呼吸を鼻呼吸に改善させることで交感神経のバランスが整い、アレルギー体質も改善に向かうということが起きるのです。(※アレルギー体質を全て改善できるということではないですが、抗ヒスタミン剤、ステロイド剤などを使うまえに、身体の生理学的な改善を考えるべきではないでしょうか)


                               2024,10,16

子供の歯列矯正治療

  通院中の方から、「孫の歯並びが良くないのが気になっているのですが、歯列矯正はいつ頃から始めるのが良いのでしょうか?」と質問を受けたが、とても一言で「〇歳ぐらいからですかね~」と答えられる訳はない。素人の方であるので歯並びを治すという考えになるのは致し方ないが、不正咬合を引き起こす原因の裏にある問題を理解して頂かなければならない。歯並び相談のなかでよく聞かれる内容の一つに、「矯正専門医に診てもらったら、小さな顎に大きな歯が入りきれていないので、真ん中の歯を抜いて歯並びを整えましょうと言われました。でも抜くことにはちょっと抵抗があったので、こちらに相談に来ました」ということがある。小さな顎に・・・、ここで考えなければならないことは、なぜ顎が小さいかということである。決してこれは小顔のことを示しているのではない。当医院で子供達に行う矯正治療方法は筋機能療法であり、この考え方のベースにあるのは、「口呼吸、不正嚥下などの不正な口腔習癖を是正することが重要であり、そうすることで不正咬合を予防できる。」ということです。このコンセプト自体は古くから存在しましたが、現代矯正治療の中でこれを適切に治療するツールがなかったのでなおざりにされていた背景があると思われます。どんな治療においても原因を知り、理解することなくして良き結果は得られません。


                               2024,10,15

臨床医に求められるものとは

  臨床医として常に心に留めるべきことは、「患者は嘘は言わない」と卒後直ぐ恩師に教えられた。社会人、そして臨床医として経験のない自分にとっては、何を当たり前のことを言っているのだろうぐらいで真剣に気に留めることもなったが、今にして思えば、いかに当時は表層部分しか患者を診ていなかったのかと反省すると同時に自分とも向き合っていなかったのではないかと、改めて人としての未熟さを認識させられている。専門職でもあるので知識、技術力を身に付け、それを臨床に生かすことが仕事であることに間違いはないのだが、患者と向き合う際には予め詰め込んだ知識でああだ、こうだと考えていては、相手と心を通わせることはできないということを30年の臨床から学んでいる。つまりは、目には見えない、形あるものの向こう側にある大切なものを見抜けなければ、誰からも信頼される臨床医にはなれないのである。歯科医は口腔内を診て問題を解決する仕事ではあるが、「群盲像を評す」のごとく、人の全体像、場合によっては心の軋みから口腔に問題が生じているのかも知れないという視点も持ち合わせなければならない。


                               2024,10,14

秋晴れと目標設定

  久しぶりに早朝から秋晴れの天気にランニングのペースも上がるというものか。人間も動物であるので気温、気候によって身体の生理反応も異なり、普段なら呼吸も乱れてくる辺りでも、気温18度ぐらいで爽やかな風を受けながら走れる今日のような日は、心身ともになんとも清々しい気分である。横浜マラソンを2週間後に控え、約20キロを快調に走り切ったことは順調な仕上がりと言えるところだが、走った後の疲労感が残ってしまうことは仕方のないことなのか、何か改善策があるのであればどなたか教えて頂きたい(笑)。当方の日々のランニングの目的は健康維持の為でもあるが、一応目標として挙げているのが70歳でボストンマラソンを完走することでもあるので、まだ大分先のことではあるがこのまま継続していきたいと思っている。また70歳で・・の理由に特別なことはなく、以前君原健二さんが70歳を超えて苦しそうな表情もせず完走していた映像を目にしたからであり、走りのプロと比較するのはどうかとも思うが少しは高い目標を掲げていた方が、絶えず自制することにも繋がるのではないかと思うからです。


                               2024,10,13

歯科医療の現実

  日本の医療、とくに歯科の臨床現場に足りないものは何かと問われたら、「一人ひとりの患者と向き合う時間」と迷わず答える。医院にお越しになる患者ひとり一人は異なる主訴を抱えており、似たような症状であっても決して同じではなく、主訴が発現した原因、理由をただ説明するだけではなく、患者さん本人が理解できるまで説明をしなければならない。となれば、一人ひとりに割く時間をしっかりと確保しなければならず、一日の労働時間が8時間だとすると、1人のドクターが診れる患者数は自ずと限られてくる。まさか15人、いやそれ以上を診ている医院があるとすれば、当方に言わせてもらうとそれは「患者を捌く」だけの診療であり、信頼のおける医療ではない。国民皆保険制度は世界に類を見ない素晴らしい制度であることは間違いないが、極めて低い点数で先生方がある部分奉仕の精神で仕事をしているから成り立っているように見えるのであり、保険点数を上げる為に患者数を多く診ることで説明を含めた医療の質が伴わない現状を抜本的に変えなければ、その付けは今後も患者の口腔内に残されることになる。歯を良くするために歯科治療を受けたにもかかわらず、歯医者に行けば行くほど歯が悪くなる経験をされた方がどれだけ多くいることか。そんなことに疑問を持たれた患者さんが当医院には多くお越しになられている。因みに当方な単なる町医者でしかない。


                               2024,10,12

舌の可動域の全身への影響

  舌の可動域が狭いことが原因で低位舌をになり、そのことが口呼吸を引き起こし、正しい嚥下が出来ない状態へと繋がっていく。この負の連鎖を断ち切らない限り、子供達の頭蓋顔面発育障害を改善させることはできない。100年以上前に矯正歯科医の大家が「咬み合わせが悪くなる根本原因は筋肉の習癖にある」と述べていたにも拘らず、歯科医は挙ってワイヤー矯正やマウスピース矯正といった力ずくで歯並びを整えようとしている。でも考えて頂きたい。不正咬合の原因が筋肉にあるのであれば、数年かけて歯列矯正治療を行ったとしても筋肉の習癖が残っていることで、矯正装置が外れた後はどうなるかを想像して頂きたい。そうです、後戻りが生じます。従って身体の成長途中にあり、上下顎の骨の成長が最も進む時期に舌を含めた口腔周囲筋の習癖を改善させることが出来れば、顎骨が本来の成長軌道に戻ることで顎が大きくなり、結果的に歯が生え揃うようになるのである。話を戻すが舌の可動域が狭く、舌小帯が短縮している方は、舌小帯及びファシアと呼ばれる組織を剥離することで舌の動きが改善され、舌の口蓋への貼り付けも可能になる。舌は呼吸器官と捉えており、可動域が広がることで呼吸の改善、睡眠の質の改善、いびき、歯軋りや食いしばりの程度の改善等の論文報告も出てきていることから、舌の機能改善は子供達の健全な成長発育に欠かせないと同時に、検査では異常はないにもかかわらず不定愁訴を抱えた成人に福音をもたらすと確信している。

                                 2024,10,11

日頃の危機管理

  通勤電車の車内は半袖にジャケットを手にする方、長袖シャツを着て腕まくりをされている人、中には短パンT-シャツ姿の方と様々である。いったい今の季節はいつですか?と尋ねたくなるほど日々の気温の高低差に、クローゼットを眺める時間が長くなる。10月と言えば衣替えの時期であり、中高生の頃にはガクランを着て登校していたころが今となっては懐かしい。ある気象学者が「日本の四季はなくなり、これからは二季になっていきます。」と解説されていたが、毎年続く異常な暑さや夏日をこれだけ過ごせば納得せざるを得ないというものか。能登地方を襲った線状降水帯、米国の200人を超す死者を出したハリケーン、ヨーロッパやアジア各地の洪水など、自然災害が当たり前のように報道されることで、我々の脳内は無意識のうちに災害慣れを起こしそうである。しかし、いつ自分が当事者になるかもしれない今、人は何の備えもなく切迫した状況に放り込まれれば、正しい選択をすることは困難を極めるものだ。日頃の危機管理はと問われれば、「想像と準備」、これに尽きるのではないだろうか。

                                 2024,10,10

舌を鍛える理由は?

  『高齢になると、かみ砕く力や飲み込む力が衰え、食べ物を喉に詰まらせたり、誤って気管に入る「誤嚥(ごえん)」が起こりやすくなったりする。症状が悪化すれば、嚥下障害に至る。』と本日の日経新聞に載っていた。内容自体に間違いはないが、正しく嚥下するには舌が口蓋に張り付く力が必要であることを理解して頂きたい。不正咬合(歯並び、かみ合わせが良くないこと)は、舌小帯が短いなどの理由で舌の可動域が狭く、舌が口蓋に余裕をもって張り付くことが出来なければ口蓋骨及び上顎骨が拡大成長しないために歯が入りきらずに生じる。誤嚥は高齢者だけに起きるのではなく、白玉をのどに詰まらせて死亡する小学生がいるなど、どの年齢層でも起こりうる要注意事項である。舌の筋肉を鍛えること、正しく動かすことは乳幼児から10代の若者であれば不正咬合の予防、改善に大きな役割を果たしており、成人であれば誤嚥防止の為にも舌に対する意識を高める必要がある。今現在高齢で誤嚥の可能性がある方には嚥下食なるものも提供されており、調理方法を工夫することで料理を安心して食べるが出来る。歯科へ定期的に掛かられている方は、舌のトレーニングを教わるようにして頂きたい。

                                 2024,10,9

教育問題

  当方が大学受験の頃は大手予備校が幅を利かせていた記憶があるが、今は塾、予備校に通う子供達の低年齢化が進んでいるのだろうか。なぜなら中学受験だけではなく有名私立小学校受験対策なる広告を目にするからである。ここまでくると教育とは何ぞや?とそこに通わせる親に尋ねてみたくなる。各科目を教え、教えられることが教育の目的ならば、極端な言い方をすれば予備校の講師を義務教育の現場に派遣すればよいということになりはしないか。教育の本質は何かと問われたら皆さんならなんと答えるか。「昔の塾は塾生が塾長よりものを教わること以外に、塾長の私生活に日夜ふれてその影響を享けたことが甚大であったに違いない」とあの白洲次郎が“プリンシプルのない日本”の中で書かれている。今、教育が良くないと声高に叫んでいる財界指導者や政治家の中で、私生活を共にして感化を与えるような人士がはたしているだろうか。教育問題をあげつらう人ほど、およそ教育者に不適格な人が多いと思ってしまうのは私の偏見だろうか。いつの時代も、教育問題は存在し、答えがないのが現実ではある。

                                 2024,10,8

他人の目

  大学で教鞭をとられている方と話をしていると、「今の学生はとにかく他人や友人からどのように思われているか、見られているかということを気にし過ぎて自分と向き合う時間が足りていないと思います」との意見があった。年齢的に他人の目が気になり始める年代でもありますが、我々の若い頃とは違い、ネットを通じて自分がどう評価されているかといったことが常に脳を支配しているというのです。既読、いいね!を確認することで本人は意識していないまでも潜在的な承認欲求が満たされ、それがないともはや自分を確認できないのかも知れません。若い時は何事においても経験を積む大事な時期であり、失敗をして凹むこともありますが、それを糧として前進できるかどうかは本人が主体的に歩んでいこうとするのか他人の評価を気にし過ぎるのかによって大きな分かれ道になるのではないでしょうか。時には自分で自分を認め評価して「我が道を行く」ことも必要であり、ネットやSNSは、簡単に評価や賞賛を得やすいだけに、それに依存してしまうと自分で自分を認める力が育ちにくい。自分の評価を他人に委ねる人生は、ある程度年齢を重ねてきたときに、何もない時分に気付くのではないでしょうか。

                                 2024,10,7

不正咬合の裏に潜む問題は?

  やはり都会の子供たちは身体を動かす機会が圧倒的に少ないと言わざるを得ない。咬み合わせが悪くなる根本原因は舌を含めた口腔周囲筋の習癖にあると再三ブログで述べさせて頂いてますが、正しい呼吸が出来ていないと嚥下が上手く出来ないので、その際に筋肉が異常な動きをして顎骨の正しい成長発育を阻害、妨げることになる。当医院の子供たちのバランスボールを使用した運動前後の血中CO2濃度の変化を見ると、運動後の数値は理想値、もしくは正常値に近くなることから、普段から全身運動が行われないことで胸郭が本来の動きをせず、浅い呼吸が常に行われていると考えられる。子供の咬み合わせが気になっている親御さんに考えて頂きたいことはただ一つ。不正咬合(歯並びが悪いこと)の裏にはどんな全身的な問題が潜んでいるかということです。夜中の睡眠中に目が覚めるのは異常な生理反応であり、それは何が原因で引き起こされているのかを理解しなければなりません。今、子供たちの身体に様々な問題が起きています。うちの子は元気で生活できているから関係ない?では済まされないのです。食事の際にクチャクチャ音を立てて食べていませんか?集中して机に向かうことは出来ていますか?何回も転んでケガをしたりしませんか?おねしょはしていませんか?これらのことが不正咬合と関係しているとは思わないでしょうね。ですから理解して頂くことに時間が掛かるのです。

                                 2024,10,6

達成感

  “好き嫌い、損得勘定で人生を歩んでいる人間に魅力はない”と、NHKの番組『プロジェクトX』を観て心が高ぶった。「プノンペンの軌跡」という文言を以前耳にしたことがあったが、実際に事業に携わった人たちの生の声、目から伝わってくる熱量に、いつのまにか番組に引き込まれていた。ポルポト政権下における知識人などの大量虐殺が行われ、内戦後の国の復興もままならない状況下で、日々の水汲みのため子供達は勉強をしたくてもできない状況下にあった。清潔な飲用水など手にすることもできず、コレラなどの感染症も蔓延することが当たり前の国情で、アジアの最貧国とも言われた国である。半年間、腰掛的に仕事をすれば帰国できると思って現地に赴いた日本の水道局の職員は、現地の職員による質問攻めに「彼らの目から炎が出ていた」と表現するほど、母国のために懸命に働く情熱に心が動かされたという。番組では水道の普及によって子供に教育の機会を与える、水道の普及によって女性の社会進出の機会を与える。そんな壮大な事業になるとは思っていませんでしたし、カンボジアの経験をさせてもらって、水道は人間にとってものすごく壮大な事業なんだなと勉強させてもらった」と語っていた。自分の携わった仕事が、国の更なる発展に寄与しているという達成感は、いつまでたっても心を豊かに満たすに違いない。

                                 2024,10,5

全てに原因がある

  時間にルーズな人は、たとえ仕事が出来たとしても信頼を失うことになりますし、遅刻する人は決まって毎回遅刻する。その人の習慣だからしょうがないと言ってしまえばそれまでだが、世の中は社会を構成している一人ひとりが秩序を守ることによって成り立っているのであり、その歯車を狂わせてしまう原因があれば、それは改善しなければならない。口腔機能発育不全の子供達の根本原因を探っていくと、様々な歯車がかみ合って回ることで正しく機能し発育すべきものが、一つの歯車が動かなくなることでその先の歯車が機能しなくなり、代償反応として顎顔面骨格の発育不全が生じ、その発育不全の小さな顎に歯が並びきらなくて不正咬合へとなっていく。原因があるから結果があるのであり、原因が分かったからには医療であればそれを取り除くことが治療の目的となる。では人の習慣はどうすれば改善できるのか。成人であれば本人の意識、自覚を促す以外方法はない。残念だが、30分近く予約時間より遅れてお越しになられた方を診るわけにはいかない。

                                 2024,10,4

周産期口腔管理の有効性

  妊婦さんの場合、生まれてくるお子様のお口を守るむし歯予防として何をしたら効果的なのか、よく聞かれる質問です。日常の臨床現場で判断基準にするべきなのは、複数の研究によって支持された良質な科学的根拠(エビデンス)です。昨今はネットにて瞬時に医学論文を検索することが可能なので、論文の読み方さえ身に付けておけば臨床における説明にも大変役に立ちます。妊婦さんに聞かれることで比較的多い質問事項はキシリトールガムについてです。キシリトール配合ガムのミュータンス菌(MS菌)伝播予防効果は、キシリトール配合ガムを噛んだ群の子供におけるMS菌陽性率は、噛まなかった群と比べ、生後数カ月経っても減少しており、60ヶ月後でも39%減との報告があります。同様の報告は複数の論文で報告されていることから、今更ではありますが母親のキシリトール摂取は子供へのMS菌伝播を予防方法として有効であると言えます。ここ数日、乳幼児や幼児の歯科とのかかわりについてブログに載せていますが、歯の治療は決して歯が良くなることにはならないとの思いが強いからであり、知識を深めて頂きたいからです。今後もブログで発信を続けてまいりますが、ある患者さんからは「先生、インスタやってくださいよ~」と言われた経緯もあり、今後検討したいと思います。

                                 2024,10,3

「学ぶ」と「分かる」

  人は経験から沢山のことを学びますが、意識して覚えることはしません。しかし同様のことを繰り返し経験すると、いつの間にか脳の中には共通する規則がひとりでに生まれてくるのでしょう。赤ちゃんの動きを観察しているとそのようなことを気付かされます。ここ数か月で生後1,5ヵ月から5ヵ月になる赤ちゃんの診察をさせて頂いていますが、赤ちゃんの頭蓋の形の違い、母親の抱き方によって表情が違うこと、ハイハイによって動きが出てくると気になる対象物がどのように見えているのかなど、いろいろと考えさせられます。例えば頭蓋の形に左右差があれば片側の側頭骨が前方方向にでて顎関節にも影響が及び、顎顔面骨格の歪みのスタートポイントになるのではないか。視界に入っているものにハイハイで近づくことで、小さいものがだんだん大きくなり、算数でいう相似、比例などということを考えずして脳の中にある規則が出来上がっていくのか、などということを赤ちゃんだけを診ていると学びがあり、これが“The 臨床!”を感じる瞬間でもある。「学ぶ」というのは、セミナーに出席したり、椅子に座って難しい問題を解いたり、教科書・テキストを読んだり、先生の話を聞くことだけではなく、「分かる」に至る基礎の部分と言えるのではないでしょうか。


                                 2024,10,2

歯科医師のあるべき姿

  生後三か月の赤ちゃんが歯科医院に検診でお越しになりましたが、単に口腔内の診査だけではなく、正しい哺育の有無、身体の強張りはないか、ずりばりがきちんと出来ているかを当医院で診ていくことが今後は当たり前となっていく、そんな予感がしてきた。むし歯をはじめとした口腔のトラブル、疾患の原因を突き詰めると、正しい口腔機能の獲得がないまま成長したことにより機能の代償反応が起き、咀嚼、嚥下(飲み込むこと)の際に本来動くべきでない筋肉の反応が起き、それが長年継続して機能定着することで体幹の歪み、身体の可動域の制限へと繋がっていくことを、日々の臨床で経験していることである。歯科医師、歯科医療機関の果たすべき役目は、目の前の口腔トラブルばかりを治療することに専念してしまうと、本来すべき予防、“医は医なきを期す”という、世の中から歯医者がいなくなっても誰も困らない世の中を創り上げるという理想に近づくことが出来ない。自院の患者層の割合を徐々に乳幼児、子供へとシフトさせ、10年後、20年後、そして30年後に成人となった子供達が口腔のみならず全身の健康をご自身で守れる、維持できるようになった時に、歯科医師は本当の意味で世間から感謝される存在になるのではないだろうか。

                                  2024,10,1

いびき・睡眠呼吸障害

  「いびき防止の為にマウスピースを装着したいのですが、どんなもんですか?」と知人からの相談である。かかりつけの歯科医にマウスピース装着を勧められたとのことで、相談を兼ねての問い合わせではあるが、安易にマウスピースを装着すればよいというものではない。なぜいびきをするのか?いびきをしていると何が問題なのか?このままにしていたら身体にとって何か不都合が生じるのか?などを理解しなければならない。当医院で同様の質問があればスライドを使ったプレゼンで説明をさせて頂くが、歯科が行える簡易検査、医科における終夜睡眠ポリグラフ検査なども、症状の程度によっては行う必要がある。マウスピースの装着によって顎関節のポジションは少なからず変わるので、非生理的な顎の位置(その方の状態にもよるが)に誘導することのデメリットも存在することも忘れてはならない。いびきがあるということは気道の問題として捉える必要があり、必ずしも下顎を前方に出せばいびきがとまる、睡眠時無呼吸が劇的に改善するわけでもない(必ずしもAHIが減るわけではない)。いびきのある方は睡眠呼吸障害を併発している可能性もあり、その場合は睡眠呼吸外来の受診をしたうえで医科と歯科の連携による治療効果の判定が欠かせなくなる。※只今、当医院のHPにおける睡眠歯科の項目の編集を行っている途中です。

                                  2024,9,30

価値観の差

  常に先を見据えて目の前の仕事に全力投球している人には勢いがある。今日はそんな仲間達が長年お世話になってきた方の会社創立25周年を記念した祝賀パーティーに集った。その方の記念講演のタイトルは『強くて美しい組織としての歯科医院』とあり、「歯科医療サービスは単なる物品販売というモノの価値とは異なり、ヒトの手による役務の価値の取引であり、役務の提供側と受け手側の間には態度、表情、言葉、といった“人間業”を通しての信頼や愛情や共感が生じなければ価値が生まれず、モノ的な結果をただやり取りするだけとなってしまう」というお話を頂いた。これは当医院が開業以来基本にしてきたことであり、“歯ではなく人を診る、価値ある時間を提供する”というミッションと合致する。歯科医療に携わる者として日々の技術習得、診断レベルを向上させることは言うまでもないが、形に見えない大切なものを如何に育てていくかということは、歯科業界のみならずどの業種においても必要なことであるが、このような考え方を共有する若手の歯科医師の参加者が少なかったことは気になるところであり、若い世代との価値観の差を感じる場ともなった。

                                  2024,9,29

気が散るのはなぜ

  いつもこれぐらい集中出来たら良いのだが‥‥、と思うことがないわけではない。集中力を削ぐものは概してつまらぬことであったりもするもので、「つまらぬことが我々の気を散らし、そらせる。というのも、そういう小さなことが我々を押さえるからだ」とモンテーニュは随想録に残している。小さなことでも心に掛かると、他の大事なことが出来なくなってしまうという、人間の心理を洞察した言葉であり、些細なことに係うことがいかに危険であるかということだが、私たちは意外と知らずにいる。受験生であれば入学試験の結果を案ずるばかりに目の前の勉強に集中できなくなったり、社会人であれば業績やノルマを気にするあまり持ち合わせている能力を発揮できなかったりすることなども良い例である。ではどのようにしたら集中できるのかということになるが、短くても構わないのですべてを忘れて無心で関心あることに集中する時間をとることではないか。参考までに、ピアノを弾くには気が散っていては決して鍵盤を上手く叩くことは出来ず、ピアノを弾いている間は神経が研ぎ済ませれている感覚がある。因みに、「スマホの電源をオフにすると気が散らないですよ」という患者さんがいらっしゃいましたが、出勤時にスマホを家に忘れた日の時間の進み方が違うように感じたのは、スマホに気が散っていたことの証ですかね。スマホ脳からの脱却が潜在能力を引き出す一番の近道かも知れません。

                                  2024,9,28

保険点数

  『原因があるから結果がある』。これはすべての事柄に言えることであり、総裁選で選ばれなかったことにも、プロ野球で優勝できないことにも、大谷選手が超人的な活躍をすることにも、“There is a reason for everything!”という、Jhon Mew先生の言葉そのものである。初診でお越しになられた方の主訴は、「右下奥歯が痛い(凍みるような感じ)時があり、よく見ると歯肉が下がってきている。このままで大丈夫なのでしょうか?」とのこと。通常通り30数枚の口腔内写真撮影、マイクロスコープによる動画撮影、そして全顎のレントゲン撮影と資料を採り、残りの限られた時間で主訴に対するプレゼンを行うことになる。主訴の歯が、下顎を側方に動かす際に常に上下で干渉していることを先ずはモニターで確認して頂き、それが痛みを引き起こす原因であることを作成してある資料をもとに解説を加えていく。何ら特別なことをしているわけではなく、あるがままの現象を患者さんに理解して頂くだけのことである。しかし、多くの来院者はそのような説明を今まで掛かってきた歯科では聞いたことがないという。そこが日本の歯科医療現場の問題点であり、患者さんの理解を深めたうえで必要な治療に進むということが出来ていないのである。なぜか?患者さんを捌かなければ保険点数を上げることに繋がらないからであり、説明する時間を長く取るほどマイナスに傾くことになるのである。保険のルールを守ることは大事だが、主訴を抱えてお越しになられた方の疑問を解き、最善の治療を提供することが本来の医療のあるべき姿であることに異論はあるまい。しかし、最善の治療内容の意味合いが時には医師、患者によって異なるが為に、結果に対して医療不信が生じることにもなる。因みに、この患者さんに要した時間は90分余りであり、その内容に見合った正当な保険点数は何点なのか、良識ある保険制度改革を促したい。

                                  2024,9,27

歯科の多様性

  ブログでも舌の可動域が狭いと口蓋骨を含めた顎顔面骨格の成長発育に影響を及ぼし、結果的に歯並び、咬み合わせが理想の状態から遠のいていくことを載せていますが、可動域という観点から体幹を眺めた場合、身体の各所においても同様のことが言えるのではないでしょうか。腰痛になる原因の一つに腸腰筋の緊張があり、その緊張は股関節周りが硬い、可動域が狭くなることから起きることからも分かるように、現代人は子供から大人まで全身運動をする機会が減ったことによって体幹の動き、可動域が制限されたことからくる身体の不調を感じている人が非常に多いと思われます。口呼吸を鼻呼吸へ、そのためには舌を含めた口腔周囲筋の習癖を取りのぞくことが不可欠ですが、それだけでは“木を見て森を見ず”で終わってしまい、口腔周囲筋が動くには実は全身の姿勢、動きから整えることが求められます。体幹トレーニングと言いましても、当医院で子供達が行うメニューは特別なことではなく、例えばバランスボールに乗って手足を挙げ伸ばししたり、ラジオ体操で身体を動かすような動きをきちんと回数をこなすことをします。すると普段から運動をされていないお子様たちにとってはそれだけでも息切れをしたりするので、昭和世代の人間からすると、子供達の体力低下を実感するとともに、動物としての機能が活性化されていないことを気付かされる瞬間でもあります。歯医者は“歯だけを診る”時代は疾うに過ぎており、理学療法士、言語聴覚士、助産師、管理栄養士などが歯科医院で共に働く、そんな時代が到来しています。

                                  2024,9,26

赤ちゃんの口腔内診査

  喜ばしいことに赤ちゃんの受診が増えてきた。来院理由は今のところ1)母乳が上手く吸えていない?、2)舌の筋は問題ないか?、3)乳首が痛くなってくるのは仕方がないのか?などであるが、それにしても乳幼児の顎はあたりまえだが非常に小さく、口腔内診査にもこちら側が慣れなければ手こずる羽目になる。大人の受診者と何が違うかと聞かれれば、間違いなく“癒し”である。とにかくにっこりこちらを見つめる目が愛らしい。母子ともに幸せのオーラに包まれており、待合室の方々もつられるように表情が緩む光景は、赤ちゃんの放つ魔法の力以外の何物でもない。幸いにして今のところ舌小帯をリリースをす必要とするようなケースはないが、歯が生える前から口腔機能診査が当たり前に行われるようになれば、不正咬合の原因の芽を摘むことができ、口腔だけではなく全身の健康にとってよりよい環境を整えることができると確信している。なぜなら同じ歯の治療を繰り返す多くの成人の口腔内には不正咬合が存在しており、首肩凝り、頚腕症候群、体幹の歪み、脊柱管狭窄症などの根本原因を辿ると咬み合わせの乱れ、骨格的な上下顎の歪みに行きつくからである。但し未だに説得力に欠けるのは、一人の身体を数十年にもわたって経過を追うことが出来ていないからであり、世の中に絶対はないことからあくまで可能性があるという表現に留めたほうが良いのかもしれない。

                                  2024,9,25

百年の孤独

  ノーベル文学賞作家ガルシア・マルケスが1967年に発表した「百年の孤独」が30万部を超える空前のヒット本と報道されており、仕事帰りに書店に寄ってみるとそのコーナーが設置されていた。通常海外文学では3万部を超えると売れ筋といわれるそうなので、異例の売上となっているとのこと。もう既に読まれた方もいらっしゃるかも知れませんが、手に取って立ち読みしてみると、ある一族の隆盛と滅亡までを100年にわたって描いており、登場人物の名前や関係性が複雑なうえ、現実と幻想が織り交ざる奇想天外な展開に戸惑う読者も多く、難解な小説の代名詞とされてきたと、紹介されている。先日の新聞には毎月の読書量がゼロ冊という人が約6割もいるとあったが、読書離れが進む一方で、この本を購入する年代と性別は幅広い傾向があるそうで、そもそも本を買って読んでみるという体験そのものがレクリエーション、おもしろさがあるんだ、難しい本にチャレンジするという体験自体の価値を知らしめてくれる本という見方もできると、評論家の一人は述べている。当方の読書歴の中では、あまりにも難解な進み方をする本は途中で挫折しお蔵入りすることが多々あるのだが、ここまで売れているとなれば読んでみようかとも思うものである。

                                  2024,9,24

数値化できない部分の評価

  小学生からの塾通いの目的は何?本当に塾や予備校は必要なのか?子供の学力は塾や予備校に行けば伸びるのでしょうか?今の子供達は数値化された成績に翻弄されているようで、もっと興味や関心、そして探求心を伸ばすような環境つくり、いわば数値化困難な力、評価を重視する教育に親、教育関係者は目を向けるべきではないでしょうか。山形県立山形東高校は県内一の進学校ですが、10年ぐらい前から実験や発表を伴う学習にじっくり取り組む教育課程を実施してきたところ、難関大学といわれる大学の合格者が1,5倍に増加したとのことである。日経新聞の記事によると、『「探究が先か学力が先か」の判定は難しいが、探究により爆発的に学力が伸びる生徒がいるのは確かだ。興味関心の高まり、将来ビジョンの明確化などが要因として考えられるが、探究で身につけた理論構築、モデル化などのスキルもプラスに働いていると思われる。」』とある。これは学力低下を単にゆとり教育の失敗だと片付けるのではなく、徳性あっての才能とする観点が欠落しているという見方と共通しており、探求心があり、志を抱くような人物は成長するといった教育の基本姿勢を示しているのではないでしょうか。配布されたテキストを解くことが真の学力の向上とはならない所以がここにあると思います。

                                  2024,9,23

実践と読書

  普段は仕事に忙殺されてゆっくり本と向き合うことがなかなかできないが、連休で特別予定もなければ読書しながら沈潜することができ、日頃溜まった脳の老廃物を処理することが出来る。私淑する故稲盛和夫さんは以前、「皆さんが仕事で苦労し、その実践の中で自分を磨き、勝ち得たものが一番重要なのですが、それに加えて読書で、自分が経験していないことを吸収し、経験したことを整理していくことが重要です。」と語っていた。実践と読書が人を作っていく。どちらが欠けても人は成長できない。時代を遡れば『実語教』のなかに、「人は学ばなければ、智はない。智のないものは愚かな人である」と書かれている。ただ難しい字を知って、文章を読むのではなく、あくまで実生活に役立つ実学を学ぶのである。先日の新聞に、1ヵ月に読む本がゼロ冊という人が6割に達すると載っていたが、日本人の識字率はどのくらいなのか気になるところである。

                                  2024,9,22

あっぱれ

  40-40の達成をサヨナラ満塁ホームランで飾った大谷選手が今度は50-50を3打席連続ホームランで達成するという偉業を成し遂げた。野球に関心のない人さえも巻き込んでしまう大谷選手の凄さ、魅力は計り知れないものがある。野茂英雄選手が海を渡って約30年が過ぎ、イチロー選手、松井秀喜選手をはじめとした多くの日本人選手がMLBで活躍してきたが、その彼らの活躍、功績が霞むかのような活躍に毎日話題が途切れない。現地の実況中継で「オーマイガー!」を何度耳にしたことか。アナウンサーですらもう形容する言葉が無いようである。彼がホームランを打ってダイヤモンドを一周する姿を目で追う相手チームの投手や野手の手を付けられないといった表情も今シーズンは印象的であり、まさに野球界だけではなくスポーツ界のスーパースターにのぼりつめた。大記録の掛かった試合でホームランを打たれた敵将は「なぜ敬遠をしなかったのか」という記者の質問に、「かまうもんか!俺はこいつをとてつもなく尊敬しているんだ。歩かせる(勝負しない)なんてバカなことが出来るか」と言い、さらに「今日は自らのチームにとってはダメージだが、野球界にとっては大きな価値を与えた試合だった」と締めくくった。MLB、そしてアメリカの懐の深さを魅せられた一日である。

                                  2024,9,21

対話(コミュニケーション)

  数週間前のことだが、「月末から海外に赴任するのでむし歯を治したいのですがお願いできませんか?」と飛び込みでお越しになられた方のコメントである。当医院は予約制であり、直ぐの予約は承れない旨伝えるも、そこを何とかならないかと無理を言ってくる始末。定期的に通われている方ならまだしも自分のことしか頭にない、いわば自己中な人というのは困ったものである。百歩譲って当日のキャンセル枠で応急処置でもできるものなら診察もしたいとは思うものの、昼休みですらカウンセリング等で埋まっている状況をお伝えしても無理を言い通そうとする姿勢には呆れると同時に腹立たしくもなり、気分の悪い一日となる。痛いのに診ないのか、何でそんなに予約が先になるのか、という質問に丁寧に事情をお伝えするもご理解を頂けない方というのはコミュニケーションが取れない方でもあるので、信頼関係を構築するのは難しいというより無理でる。将棋界には「棋は対話なり」という言葉があるが、盤を挟んで向き合えば、勝敗を超えて心が通うという意味であり、そこには思いやりや礼儀も生まれ良好な人間関係が結ばれるという。どんな時代になろうとも、人と人の良い関係を増すものがコミュニケーションであることを示唆する文言である。

                                  2024,9,20

公衆道徳の欠如

  いつの頃からだろうか、電車内で化粧をする女を見かけるようになったのは。更にはスカートを履いたままジャージを履く女子高生、鼻毛を切るおっさんなど、廉恥心の欠片もない老若男女には呆れるばかりであるが、ついにカミソリで産毛を剃りだす女を目撃した。座席シートに座って親書に目を通していると、停車駅で降りた人の席に入れ替わりで身なりのきちんとした方が座ったまでは何の気にすることもなかったのだが、そのうち化粧の七つ道具なのかいろいろと取り出して作業が始まり、終わったかと思いきやカミソリの登場である。人間ウオッチをするつもりはなかったものの座席で不自然な動きをしていれば視界に入ってくるものである。さすがに周りの乗客たちもチラリと視線を送り、なかには怪訝そうな表情で凝視するひとの姿もあった。公衆の面前で化粧をしようと誰にも迷惑を掛けていないと当の本人は思っているのかいないのかは分かりませんが、公衆道徳の欠如は民度の低下の表れであり、家庭における躾、徳性を高める教育、今でいう人間力を磨く教育が求められていると思わざるを得ません

                                  2024,9,19

舌と嚥下障害

  お子様の口腔内及び不正咬合の分析結果についてお伝えするためにご両親にお越し頂き説明を始めると、「わしもよく咽るけど、先生、俺の咬み合わせもそうなんか?」と親父さんから一言。かみ合わせは遺伝はしないが、筋肉パターンが遺伝するので結果的にかみ合わせが遺伝するようにみられることが多いですが、咽るというのは舌の正しい動きが出来ていないことの表れであり、嚥下時に奥舌が口蓋に張り付くことが出来ないまま飲み込んでいる可能性がある。舌に関して注目されることはあまりないが舌は筋肉の塊であり、その人のこぶし大ぐらいの大きさをしていて、いびき、睡眠時無呼吸とも当然ながら関係しており、顎顔面骨格を正しく成長発育させる上での極めて重要な器官であり、舌は呼吸器であると言われる所以である。舌の機能が正しく働かなくても普通に生活を送れていると思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、人の身体では適応と代償ということが行われており、上手く嚥下できていない場合には咽頭壁を前方に近づけるように頭蓋が前方に傾いています。食事の際に喉にモノがつかえる方や咳き込むことがある方は、嚥下機能が上手く働いていないと捉えて頂き、歯科医院にて診査することをお勧めいたします。決して加齢で嚥下障害が起きるのではなく、元々うまく嚥下が出来ていない方が加齢による筋力低下で更に嚥下が難しくなるということになります。

                                  2024,9,18

臨床医とは

  「奥歯で咬むと痛くて咬めない」という主訴に対して保存が不可能であることを告げる際に、どれだけ患者さんが納得できる説明をすることができるか。レントゲン診査は勿論であるが、痛みのある歯の状態画像、口腔内の全体画像、そして顎を動かした際の歯の干渉状態を撮影してお見せし、過去の治療履歴と合わせて解説することで、なんとか本人も理解納得となる。決して難しいことをしているわけではないが、時間に追われた診療をしていると、このようなちょっとした手間のかかる作業を飛ばして口頭だけで説明をすることになり、患者の真の理解までには繋がらない。新規の患者さんの問診をしていると、「・・・と言われて抜かれた!」「レントゲンを撮って説明は受けたが抜く必要が本当にあったか今となっては疑問が残っている。」などの声を聴くことがある。これはまさに医療者側が説明はしているものの患者の理解、納得するまで待たずに処置(抜歯など)していることの表れであり、未だに日本の歯科医療現場ではこのようなことが行われているところが少なくない。臨床の最前線で働く臨床医は、目の前の患者にとって何が最善であるかを先ずは感じ取り、症状の緩解に努めると同時に患者心理を汲み取れなければ臨床医とは言えまい。

                                  2024,9,17

人間として何が正しいのか

  車庫入れの際にブレーキとアクセルを踏み間違えて斜向かいの家に突っ込み、ガレージと車を壊す事故を起こしたにも拘らず、被害者に頭を下げて詫びるどころか謝りにも行かない人がいたと、通院中の方から話を聞いた。全ては保険で解決したから問題ないというのが当事者の言い分だったらしいが、聞いて呆れる話である。今は年金生活者とのことだが現役時代はそれなりの肩書で仕事をされていたそうで、そんな人が自分のミスを認めず屁理屈や言い逃れに終始していたかと想像すると、人が成長する上では修養ということを忘れてはならないと改めて考えさせられる。私淑する故稲盛和夫さんは会社経営をする上で、「人間として何が正しいのか」と自らに問い、正しいことを正しいままに貫いていくことに徹したひとである。誰もが子供の頃に、学校の先生や親から教えられ、良く知っている、プリミティブな倫理観があるはずです。「人を騙してはいけない」「欲張るな」「嘘を言うな」「正直であれ」といった教えです。そのような普遍的な倫理観に基づいて全てのことを判断することが身に付いていれば、社会の風紀を乱すような輩も現れないはずですが、今となっては特別なことなのでしょうかね。

                                  2024,9,16

正しい呼吸の重要性

  食事中に決まってお腹が痛くなりトイレに行くという子供の親御さんに、先ずは呼吸の改善をしてみませんか?と提案させて頂き、口呼吸を鼻呼吸に、胸郭を拡げるストレッチ、そして血中CO2濃度を高めるトレーニングを1ヵ月行って頂くと、「よく噛むようになったせいか、お腹が痛いと言わなくなりました。」とのこと。少なくとも今の都会の子供達は外遊びをしなくなり、全身を使った運動をする機会が少なくなったことで身体の生理機能が活性化しておらず、子供にも拘らず不定愁訴を抱えていることが多い。医者に掛かったところで原因不明であり、服用する必要もない薬を処方されているケースもある。子供も大人も現代人は体調不良が続くと対処療法的に薬に頼る傾向があるが、本来身体に備わっている機能を改善させる意識を持てないものだろうか。薬を複数服用すれば副作用で調子が悪くなることもあり、更に長期服用ともなれば知らずしらずに自律神経系に影響が及ぶことすら珍しくはない。受験などに追われ、とかく幼いときから遊びやスポーツを制限されがちな子供達にとって必要なことは、それらの制限を取り除き、思う存分身体を使って遊ぶことであると声を大にして言いたい。勉強ももちろん重要だけれど基礎さえ押さえておけば、あとで取り返しはきくでしょ!

                                  2024,9,15

教育現場に求められるもの

  教育関係の場で働く人から伺った話では、ある子供が10時間でできる内容でも30時間かけなければいけないのが日本の教育現場で行われている実態とのことである。これを履修主義というらしいが、本来は一人ひとりの個性的な学びが必要であり、すべての子が金太郎あめのように同じ知識を持つ必要はないのではないでしょうか。できる子もできない子もいるなかで、同じ授業を同時に一緒に受けるという我々世代が受けてきた教育と全く同じというのは如何なものか。教育は多くの人々を悩ませる課題ですが、「いくら才があろうと徳がなければ活かすことはできない」との安岡正篤先生の教えは、いつの時代も子供を教育する上での基本姿勢であると思います。学びを教材から受動的ではなく、内発的な探求へ転換できるように、互いを尊重する優しい学びのコミュニティの形成が教育現場には求められているのではないでしょうか。学歴重視の社会構造は、正解のない課題に右往左往しているばかりで問題の先送りをする屁理屈ばかりが責任ある人の口から出てきます。前例に倣うのではなく、問いを立てて自ら解を創り出す力が国を再興する原動力となる。

                                  2024,9,14

想いやり

  子供の頃から野球を行っていた当方にとって、たとえ話に野球の話題を持ち出すことが多いのだが、野球というのは一人だけが活躍しても勝てるスポーツではありません。MLBの大谷選手が二刀流としてどんなに活躍しても一人では勝てず、打つ、投げる、走る、守る、それぞれ役目があり、選手全員が勝利という目標に向かって思いが共有され一つになることで強いチームが創られる。確固たる目標があるからこそ、その都度の結果で一喜一憂せず前進できるのであり、リーダーは泰然自若としていればよい。規模の大小にかかわらず組織で動く以上は考え方は同じであり、軸がブレないことは大前提であり、そうはいっても人は弱い生き物であるので、トップの役目はチーム・組織の隅々まで目を光らせて選手や社員に言葉を掛けることで更なるモチベーションアップをはかることにある。人は心ある動物であり、心が動くから感動するのであり、涙するのである。AIが人に癒しをくれるのか、デジタルのように人は動くのか。いつの時代も相手に対する想いやりをもって接することが一番大事な所以はここにある。

                                  2024,9,13

肩書?愚直?

  肩書のある人の勘違いほど見苦しいものはない。組織で働くと何かポジションを与えられるが、それは権限を得ただけで、権威まで頂いているわけではない。権威は自分で創り出すものであり、下の者が付いてきてくれるかどうかは、その人の言葉遣い、行動、姿勢の如何によるのである。大人になれば自然と誰もが尊敬される対象になるわけではなく、日頃から自分の弱さに向き合って人間力を鍛える努力をしなければ、大人にはなるかもしれないが成人にはならない。相手を敬う謙虚な心、思いやり、やる気、熱意・・・そういった目に見えないものが人間力であり、特別なものではない。県知事という立場で様々な件で批判を受けながらも職を辞することのない方の心の在り方は如何に。あのような方が県政のトップに推薦され当選してしまう構図は、国政と同じか。経歴では人の内面までを知りうることはできないが、学歴ではなく愚直であっても精一杯生きている人が輝くことのできる社会が再構築されたとき、日本は復活すると信じたい。

                                  2024,9,12

残暑

  厳しい残暑が続いておりますが、それでも陽暮れが近づいてきますと風の涼しさをいくらか感じるようになってきたように思えます。中学、高校と野球部の練習で汗を流した当方のこの時期の思い出としては、ユニホームを脱いで着替えるときの身体に当たる風が涼しく感じたものですが、今では涼風に心和むことのできない蒸し風呂のような耐え難い日が多々あります。練習終了後にグラウンドに一礼し、部室横の芝生の上で気分よく天空を見上げた青春時代が懐かしいです。高温多湿の異常気象はプロ野球のナイター試合をしている選手にも影響を及ばしており、熱中症による痙攣、吐き気などで途中交代する姿も見られます。大谷選手の活躍するドジャーススタジアムの昼間のゲームでは、あまりの暑さに観客が集まらなったなどということまで起きています。世界は温暖化を通り過ぎて沸騰していると国連の事務総長が以前述べていましたが、沸騰のまま時が過ぎるとどうなってしまうのか、想像したくないですね。

                                  2024,9,11

心の動く瞬間

  臨床の現場で最も大事にしていることは何かと問われれば、「患者さんと向き合うことではなく、真剣にとことん向き合うことである」と断言する。それは問診から始まり、治療、予後、そして時にはプライベートな相談までも。それは臨床というのは患者の主訴だけを改善すれば良いわけではなく、主訴に至った根本原因を取り除く必要があり、そのためには人間である“ヒト”を観察、診断しなければならないのである。治療のハウツーを身に付けただけで患者満足が得られるのであれば、余程不器用でなければそれも可能なのかもしれないが、心あるヒトに満足以上の喜びを感じてもらい、そして信頼を寄せてもらうには、心が動く瞬間が必ずあるはずである。残念なことに、歯を良くしたい思いで歯科治療を受けたにも拘らず、治療を繰り返すことで歯を悪くされている方を診ることがあります。そういう方の再治療は咬み合わせを含めた精密な総合治療となりますので、時間も費用もそれなりに要することとなり、そこで小細工は効かないのです。どんな世界でも、いまは答えをすぐに求める、答えを出そうとするのが流行りのようですが、答えを出すまでの過程で努力することが重要なのです。小細工をしたりすぐに答えを求めたりしていては、結果的には本物に手が届かなくなり、質の低下へと繋がります。吉田茂の「日本には資源はないが、勤勉さを持ち合わせた人材がある」との言葉を今一度思い出してみませんか。

                                  2024,9,10

舌の可動域の重要性

  粉ミルクが普及し始めた1970年から赤ちゃんはお母さんの母乳を上手く吸うすることが出来なくても哺乳瓶で栄養を摂ることが可能になった。栄養学的には問題なく成長することになるが、一方で母乳哺育が出来ないということは赤ちゃんの舌を含めた口腔機能がきちんと働いていないことになる。舌が母親の乳首を口蓋に強く押し当てることで口蓋骨の成長発育は促されるのであり、しっかりと吸啜が出来ているかどうかを新生児期に産科医もしくは歯科医師が診査すべきと強く思わされる。舌の働きについてはブログにて記載をしてきていますが、舌が口蓋に貼り付く動きが上手くできないと異常嚥下となって飲み込む際に口唇周りやオトガイ部が緊張し、下顎が後方に引かれて骨格的な咬み合わせが理想の状態から遠のいていく。加齢とともに誤嚥性肺炎が増えるのは、もともと舌の正しい筋機能が働いていない状態で筋力が衰えるので誤嚥し易くなるのであり、何もお年寄りだけでなく学校給食の白玉を誤嚥して窒息、死亡したケースもある。日頃の食事で頻繁にむせることがある方は、舌の可動制限があると疑ってみるべきであり、必要ならしかるべき処置を早いうちにすべきである。

                                  2024,9,9

疾風に勁草を知る

  「ほら、すぐ勉強しなさい!」とは、診療室から待合室に戻ってきた子供に掛けた父親の言葉ですが、その父親は待っている間中スマホ画面と睨めっこである。人が何をしようが関係ない話ではありますが、子供には「勉強しろ」と言うくせに、自分では全く学ばなくなてしまったのが今の大人たちです。子供が子供らしく生活できる環境をなぜ親は整えてあげないのか。小学生のうちから塾を含めた習い事を1週間に7つもこなしていることを異常と思わない親が心配である。時代がどんなに変わろうとも、人の成長の仕方、身体や脳の発達の仕方、そして心の成長はアナログでありデジタルではない。子供のやる気・内発力を引き出してあげなければ本当の学力が伸びるわけもなく、どこまでも親が子供のいく先に線路を引くような教育の仕方には精神的にもひ弱な子供、大人を社会に排出することになりはしないか。人と人との繋がりが絶たれ、自殺者、うつ病、引きこもりといった、自信や希望を持てない人が急増している背景には、そのような育った教育環境が影響している部分もあるのではないでしょうか。“疾風に勁草を知る”という言葉があるが、困難に打ち勝てるような人間になる基本は学校教育ではなく家庭の躾・教育にあることに異論はあるまい。

                                  2024,9,8

新時代をどう切り開く

  朝晩は幾分秋めいてきたと思いきや、再び猛暑の気配である。今年の夏は・・と言いたいところですが、ここ数年はこの蒸し暑い日々が夏から秋にかけて続いている。今更言うまでもありませんが異常気象であり、世界中で山火事化発生し、海水温の上昇によって台風もただならぬ様相を呈するようになり、海流の変化によって日本近海で獲れる魚の種類にも変化が現れ、それまで当たり前に食卓に上がっていた魚の漁獲量も最盛期の1/10~1/100にまで減ったものまであるとのことである。当方が子供の頃はクーラーなどなくても扇風機と窓を全開にして過ごすことができる時代でしたが、今は気付いてみると冷房施設がなければ夜は眠れないだけではなく命の危険に晒されてしまいます。“生き残るのは一番強い種族でも一番賢い種族でもない。変化に適応する能力が一番高い種族が生き残る。”とはダーウィンの残した言葉ですが、この高温多湿の状況に人間は適応していけるのでしょうか。都会のオフィス街のビルや病院施設、当医院においても冷気がなければ仕事にならないどころではなくて熱中症になるのは間違いないでしょう。ということはすでに適応できていないのでは。新時代をどう切り開いていくのか、リーダー一人だけではなく、全国民の課題です。

                                  2024,9,7

赤ちゃんの口腔内

  生後1,5か月の赤ちゃんの口腔内の型どりを人生で初めて行った。いったい何のために?と思われるかも知れませんが、人間の口腔内の成長過程の記録と模型を採りながら、出来るだけ長期データを採取し、不正咬合と口蓋の大きさ・形態、吸啜反応の強さとの関係をより明確にすることで、不正咬合の予防に役立てようとするものである。この赤ちゃんの祖母が助産師をされており、助産師の立場からも舌や口腔周囲筋の働きがどのように頭蓋顔面骨格の成長発育と結びつき、歯科の臨床現場でどのようなことがされていて、今後どのような連携が出来るのか相談をしたいということもあり、今日の様な機会を設けることが出来たのである。勿論知識として赤ちゃんの吸啜反応がどのようなものであるかは理解しているものの、実際に吸啜する力までは知ることが出来なかった。当方にも子供はいますが既に大きくなっており、その子供達が生まれたころには吸啜反応や哺乳の仕方などには目は向いておらず、今となっては貴重な経験と資料を得ることが出来なかったことが残念でならない。今日の赤ちゃんは100%と言っても良いぐらい正しく母乳を吸えており、哺乳後の母親の乳首の形も理想の状態であると助産師さんから説明を頂いた。まさに百聞は一見に如かずであり、口腔に携わる仕事をしておきながら今まで何をしていたのかと、少し自責の念に駆られた思いである。

                                  2024,9,6

対処療法の繰り返し

  病院における診療科は20~30年前に比べると細分化され、より専門領域を深く掘り下げて研究されていることもあり、医療技術の発展が人々の健康回復、延命に貢献していることは喜ばしい限りである。一方で、人間の身体は複雑であり、頭が痛いからと言って頭痛薬を服用すると胃が痛くなり、今度は胃が痛いと言って胃薬を飲んだら別のところの調子が悪くなったというように、副作用なく全部一度に効いていくというようにはなかなか上手くはいかないことがある。要は身体を部分的に診断し、症状として出てきたところだけに対処療法に徹するという形では本質的な治療には繋がらないのである。“医は医なきを期す”が医療に携わる人の最終目的であるならば、生まれ持っている免疫力や治癒力を如何に高め活性化できるか、ということを医療人は常に気に留めなければならない。体調を崩した原因が過労、睡眠不足、栄養の偏り、更には体幹の歪みから来ているとした場合、舌を含めた口腔周囲筋の筋機能の異常にフォーカスを当てた医療はされていないのが現状である。舌の正しい動きをされている割合は、当医院の少ない患者データだけでも驚くほど少ない。ということは、一日三食の咀嚼の際に、悪い習癖が繰り返されることになり、そのように至った根本原因を取り除かない限り、永遠と代償反応が身体に身に付くこととなり、加齢と共に自律神経系、内分泌系、体幹を含めた身体の全てのバランスが乱れることになる。それを薬でコントロールするのが医療だと考えているようでは、どんなに医者が増えても患者は減ることはないだろう。

                                  2024,9,5

エアコン修理から・・・

  天井に取り付けてある業務用エアコンから排水が上手くされていないと思われる水の流れる音がしてきた為、メーカーの修理担当の方が連絡から約2週間してお越しになられた。その方が言うにはエアコン設置の際のホースの取り付けに問題があるとのことで、それ自体は部品の交換で済むとのことだが、業務用エアコンの室外機が近年の異常な温度上昇によって10年以上前のものでは室内を本来の設定温度まで下げることが出来なくなってきているとの説明があった。従って当医院のエアコンも耐用年数からするとあと3~4年で交換時期が来るとのことで、それに向けた準備をして頂きたいとご助言を頂いた。またメーカー側の人手不足もあり、修理に掛ける時間を短縮して次のところに出向かなければならない苦しい事情もあるとのこと。担当者の方が言うには、「修理に掛ける時間に余裕がないということは質の低下につながるのでお客様の満足に応えれないのではないかと心配している」とのことだ。遂、当方の仕事目線で話を伺ってしまったが、1日に診るべき患者数が多ければ一人に割く時間は当然少なくなり、治療及び説明の質、内容の充実からは程遠い結果となることが皆様にも分かって頂けるのではないでしょうか。むし歯の治療で歯は元には戻りません。むし歯にならないようにするには食生活だけ気を付ければよいのではなく、それ以上に咬み合わせと歯に掛かる力をコントロールする必要があることは、このブログの欄でも繰り返し述べさせて頂いております。エアコンは取り換えればほぼ元の状態を回復できますが、歯はどうでしょうか。良く考えてみてください!

                                  2024,9,4

定期検診で何を診る?

  定期検診の意義は何か。問題の有無だけを知るのであれば、決められた診査方法をルーティンで行い、その結果について伝えればよい。人間ドックはまさにその典型であり、悪玉コレステロール値が高ければ食生活習慣の改善や処方薬の服用を指示されることになろう。しかし、検査結果に一喜一憂するのではなく、異常はないけれども現状から読み取れる予後に起こりうる疾患の可能性や症状などについても知ることが出来れば、人は自分の身体の健康維持に、より積極的に取り組めるのではないだろうか。当医院における定期検診では1年おきに必ず全顎記録写真を撮影(30枚前後)し、歯の咬耗状態、歯列及び咬み合わせの変化、歯肉の色の変化、舌の状態などを比較するようにしている。実際に前歯の開き具合が大きくなり奥歯への力の負担(干渉)が増えることで歯が破折したり、咬む面の亀裂線が大きくなり始めた時点で歯の破折リスクを軽減するために被せる補綴処置をしたケースもある。経過観察という言い方をする場合、ただ診るのではなく、虫の目のになったぐらいの観察眼で細かく診ていかなければ少しの変化を見落とすことになる。生体は常に変化し続けていることを念頭に置き、新たな発見があるかも知れないという慎重な姿勢が医療者側には求められる。

                                  2024,9,3

民度の低下

  与野党ともに党首を誰にするかで躍起になっているが、全国民による直接選挙ではないのでメディアが勝手に騒いでる感がないわけでもないと当方は冷めた目で見ている。国を率いるリーダーに求められる資質は何かと問われたら、それは“創造力”である。5年先、10年先、さらにその先までのビジョンを明確に示し、国民の誰もが実現可能だと思えるようなものでなければならない。しかし現役の国会議員を見ていると、経歴だけは御立派だが、人間的に肝が据わっていない、幹が細い輩がほとんどではないだろうか。異色な議員の中には、牢屋暮らしを数年したのち再度選挙で選ばれ、どこの党にも属することなく北方領土問題を生涯のテーマとして取り組まれている方もいる。今の議員はマスコミ受けがないと票に繋がらないというなんとも情けないご事情があるようだが、そんな議員を選んでいる選挙民である我々に一番の問題があることに気付かなければならない。民度が下がれば選ばれた政治家の質が低下するのは当然のことであり、ひいては国の衰退に繋がるのである。過去の言動、行動などにブレがなく、国のことが常に優先される思考でいる政治家は果たしてだれか。言い訳だけに終始しているある県知事などを見ていると、日本人の質の劣化を感じずにはいられない。

                                  2024,9,2

歯科医療の価値とは

  電話による問い合わせの中で、「セラミックで治療をすると費用はどのくらいかかりますか?」と聞かれることがある。こういう質問をされる方には、被せ物がいくら?というまるで物品販売という物の価値の取引の延長で考えている背景があるのではないかと考えさせられることがある。電話口で内容についてお答えすることはないのだが、単に白い被せ物を装着したい、見た目を綺麗にしたいという本来の医療とは異なる次元の話をされる方の受診は受け付けていない。なぜならモノ的な結果のやり取りだけで終わってはならないのが当医院の目指す歯科医療であり、開業以来継続してきていることである。自分の口腔内の状態だけではなく、自分の生活習慣や職業上の特定行動、家庭環境、自分の性格、趣味といったことまでよく聴いてくれ、それらを含んで自分のことを理解し、承認し、受け入れていくことで受診者と医療従事者の信頼関係は深まっていくものと、臨床経験から学ばせて頂いている。当方の考え方の中心には歯科医療はサービス業であり、それはハイレベルな歯科医療サービスでなければならないというものがある。サービス業のあるべき姿はヒトの手による役務の価値の取引ですので、役務の医療提供者側と受け手の受診者の間には態度、表情、言葉、といった“人間業”を通しての信頼や愛情や共感が生じなければ価値が生まれず、モノ的な結果をただやり取りするだけとなってしまうのです。従って我々医療従事者は誰よりも人間力を高める努力を継続できなければ、お越しになる方とは上辺だけの付き合いとなってしまい、結果的に価値あるものが提供できなくなるのです。

                                  2024,9,1

不正咬合の根本原因を取り除け

  咬み合わせの相談でお越しになられた女の子は問診の間も口唇は開いたままであり、上唇も富士山型を呈していることから普段も口呼吸であることが分かる。なぜ口呼吸になるのか?原因の多くは1)鼻閉、2)舌小帯短縮(舌の可動制限)であり、口唇を閉じて舌が口蓋に触れていなければ鼻呼吸は出来ないのである。約100年前にDr Harvoldはサルを使った実験で、口呼吸が不正咬合を引き起こすことを示している。今では許されない動物実験ではあるが、猿の鼻にコルクを詰めて数か月口呼吸で生活をさせた結果、骨格的にロングフェースを引き起こし、口唇は閉じれなくなって前歯が開いて開口となった。つまり不正咬合があって鼻閉があるのであれば先ずは耳鼻咽喉科の協力を得る必要があり、そのことを具体的に親御さんには説明をして理解して頂く必要がある。耳鼻科では何らかの薬を処方されるかもしれませんが、たとえ子供に薬を服用させたくはないということであっても一時的には鼻閉を改善させるためには避けて通れません。子供の身体は成人とは異なり毎日に成長しているのです。一日でも早く身体の各器官、組織が正しい成長軌道に戻るよう我々はサポートする必要があります。また舌小帯の可動制限がある場合には舌が口蓋に付かないことで口呼吸になるので、舌小帯のリリース(切離)が必要となります。当医院における舌小帯リリースのケースは増えており、子供達だけではなく成人においても身体の機能を改善させる上では投薬ではなく、舌の可動域を本来あるべき動きに戻すことが優先されるべきと考えております。

                                  2024,8,31

歯の破折

  10年以上にわたり定期メンテナンスに通われている50代の男性から、「左上の奥歯で焼き鳥を食べていたらバキッと音がして少し歯が痛かった。そのうち治るかと思って様子をみていたのですが段々と痛くなってきたので急遽見て頂けませんか?」とご連絡を頂いた。毎年、口腔内全体の状態を写真撮影して記録として保存しているが、年々歯の咬合面(上下のかみ合わさる面)の咬耗が進み、箇所によっては細かなクラック線を認めるようになってきていた。このようなケースで起きてほしくないのは歯が破折することである。キャンセル枠が出た為お越し頂き診察をすると、肉眼では診えないけれどもマイクロスコープ(実体顕微鏡)で覗くと僅かに咬合面が頬舌に開くのが確認できる。歯の破折である。更に治療を進めると、破折は上部の歯冠だけではなく歯根にかけて認められ、保存はかなり難しい状況ではあるが出来る限りの最善を尽くさせて頂いた。次回来るまでに問題が生じなければなんとか歯の延命が出来ることになる。結果論からいうと、歯冠をメタルでカバーしてさえいれば今回のようなケースは防げたかもしれないが、むし歯でもない健康な歯を削ることは勇気のいることである。世間では食いしばりや歯ぎしりが強い人の場合にはマウスピース装着を勧める歯科医も多く、上下の歯がこすり合わさることはないかもしれないが、顎関節のポジションが非生理的に誘導されることもないわけではない。何れにしてもドクターと患者さんの信頼関係が構築されている中であれば、起きたことには常に最善のことが提供されることは間違いないと言える。

                                  2024,8,30

都会の子供たちは大丈夫か?

  自由が丘界隈を歩いていると飲食店の数の多さに目が行くが、歯科医院、美容院そして学習塾、予備校も数だけは負けじとある。開業して3年目に2週間ほど医院を休診にした際には、向かいのマンションに住む方から、「金澤さんでも駄目だったかと思ったよ!」と真顔で言われたことは忘れない。当医院で子供たちの咬み合わせトレーニングを行う場合には必ず呼吸数、血中CO2濃度を計測するのだが、本来子供は外遊びをすることで身体の生理的な機能は整っていたものだ。Dr Jhon Flutterが講演で述べておられた「この30~40年において先進諸国における気管支喘息及び気管支喘息のような症状を呈する子供たちが増えてきた。」は、まさに血中の二酸化炭素濃度が体内に必要量が蓄えられないことを示すものであり、体内の酸素飽和度が高くても血中CO2濃度が低ければ肝心の酸素を酸化ヘモグロビンが手放すことが出来なくなり、必要量の酸素が身体の各細胞に供給されない状態となる。従って集中力の欠如、睡眠時間はとっても起床時に頭がボーっとする、などは典型的な症状と言える。院内でトランポリンやライトエクササイズを息が苦しくなる一歩手前まで行わせると、呼吸の計測値はともに改善する。冗談ではなく、志望校に受かりたいなら塾通いもよいが、とにかく運動しなさいと親御さん、子供達には伝えたい。そんな子供たちを待ってましたとばかりに最近では、跳び箱まで用意している子供のトレーニングジムがオープンした。机上の勉強だけでなく身体の動かし方までインストラクターが付かないと分からない、そんな子供たちが将来物事をまともに判断できるようになるのかと、都会の子育て環境が不憫でならない。

                                  2024,8,29

オンラインセミナーの在り方

  新型コロナ感染拡大を機に歯科業界ではオンラインセミナーを主催する運営会社が複数立ち上がり、会場まで出かける手間が省け診療後に学べるメリットもあり、それなりに役立つ存在になってきた。日常臨床では幅広い対応が迫られるのだが、ドクターであれば自分の得意とする分野、長年テーマとして追い続けている領域から患者の問題を捉える傾向が多少なりともあるものである。そんな偏りを解消する上でも違った切り口から自分の臨床を見直すいい機会としてオンラインセミナーを受講してきたが、最近では主催者側も演者探しに苦労されているのか、セミナーにするほどの内容でないものや、高額ではないにしても受講料をお支払いした割にはそれに見合うような基礎・臨床内容ではないものも散見されるようになってきた。臨床経験の浅い先生であれば、セミナーをするぐらいの先生の話の内容であれば間違いない、取り入れてみようと思う部分もあるかも知れないが、これは危険なことであり、著名な先生であったとしても批判的な目で内容を吟味する眼力が求められる。本日も最近臨床現場で話題になっていることについてベテランの先生が講師としてプレゼンをされていたが、臨床手技が古すぎるだけではなく、極めて基本的な外科手技がおろそかにされていることに驚きを覚えた次第である。会場開催であれば質疑応答も可能だが、本日のセミナーは一方通行であったためにそれすらできないことに、オンラインセミナーの在り方を再考すべきではないかとさえ思ったほどである。

                                  2024,8,28

すべては勝利のために?

  ロシアとウクライナ、イスラエルとパレスチナの報道は毎日のようにされているが、世界では至る所で紛争が勃発、そして継続している。国と国の争いごとではあるが、決してすべての国民が他国への侵攻、戦争を支持しているわけではない。いつの時代も一握りの時の権力者たちによって市井の人々が苦しめられる構図は変わらない。勿論平和な国で安穏と暮らしている我々日本人に彼らの歴史的、文化的そして宗教的な違いによる対立の感情まで理解が及ばない。しかしである。国籍を選んで生まれてくる人は誰一人いない。どこの国で生まれようと地球で生活、生きていることには変わりはなく、人として生きる権利は憲法や法律の有無に拘わらず平等である。自国ファーストを念頭に一国のリーダーが国の在り方を模索、牽引していくから軋轢が生じるのであり、お互いを尊重し、違いを共有する人間的な器の大きさが今の大国と呼ばれる首長にはない。自然環境が世界規模で破壊されつつある今、世界が手を取り合わなければ誰一人としてこの地球上で生き残ることはできない。数年ぶりにロシアに一時帰国された方から頂いたお土産袋にはロシア語で“すべては勝利のために”と印字されていたが、何をもって勝利というのかあの人に問うてみたい。

                                  2024,8,27

歯科のこれから果たすべき役割

  卒後約30年が経とうとしているが、新卒当時は歯、歯肉、顎関節などの疾患を診査診断し治療技術を習得することに必死であり、兎に角より良い治療を提供することで、患者さんの口腔内の問題が解決されると信じて疑わなかった。しかし結果はどうか?歯は削れば失われ、欠損部を代替修復物や補綴物で形態を回復したところで数年もすれば再びやり替えることの繰り返しである。それはなぜか?悪くなった原因を取り除くこともせずにただ対処療法の繰り返しを行っているからであり、不正咬合が原因であれば筋機能の改善と並行してワイヤー矯正などのメカニカルな方法で咬み合わせを改善させなければ、守れる歯も最終的には失う羽目になるのである。アメリカの耳鼻咽喉科医の論文の中には、舌小帯の短縮(可動制限)がある場合には、くいしばり、歯軋りの程度が強くなり、いびきもする傾向があると述べられているものもある。つまり、歯医者が歯だけを診ていればよいという時代はとうに過ぎており、いまや睡眠障害、閉塞性睡眠時無呼吸、呼吸、頭蓋顔面発育障害との関連から診査診断しなければ、口腔内の諸問題を解決できないことが診えつつある(当方の臨床経験からはほぼ間違いない)。それらのことを患者さんに説明をするだけでなく、患者さんが納得できるまで時間をかけて待つことが出来るのか、臨床現場で足りないものは今も昔も一人ひとりに掛ける診療及び説明に要する時間である。形式だけの説明で治療を受けるのと、時間も費用も掛かるかも知れないがきちんとした丁寧な説明を受けて納得のいく治療を受けるのと、皆さんならどちらを選びますでしょうか。セカンドオピニオンでお越しになられる方の多くは、ここの違いが分かっていないことが非常に多いように感じます。

                                  2024,8,26

日本再浮上

  日本は技術立国から観光立国へ向かっているのか、果たしてそれで国が隆盛を極めることが出来るのか。先日、国産の液晶パネルの生産が終了するとの報道を目にし、“Made in Japan”が誇らしかった時代を知る者にとってはまた一つ、国の衰退を受け入れざるを得ないのかと残念な思いである。あの青色発光ダイオード(LED)の研究でノーベル物理学賞を受賞したカリフォルニア大サンタバーバラ校の中村修二教授は、研究者の起業こそが、日本再浮上の処方箋だと新聞紙上で述べている。教授によると、アメリカの工学部の教授は起業をしたことがある人がほとんどで、1人の教授が5社ほど創業していることも珍しくないという。一方で日本の教授は論文の知識を学生に教えているだけで、それは歴史を教えているに過ぎないという。教授が大学の外に出たことも起業した経験もないので、学生も起業の知識を得られないし、その道があることにも気がつかない。これでは大学で実学を学べていないので、いつまで経っても学生達によるスタートアップが出てこないのも無理もない。日本の政治が変わろうとしている今、保守的な考え方が多い日本で本当に変えなければならないのは実績や、年齢、企業の規模などで評価されることはない独創的なアイデアを生み出す環境を整備することである。日本の学生、若者は今も昔も優秀であり、その持っている才能を開花させた時こそ日本が再浮上する時でもある。

                                  2024,8,25

タフなCAさん!

  客室乗務員の患者さんの仕事のスケジュールを次回の予約を取る際にお尋ねしていると、なんとタフな仕事なのだろうと改めて思わされた。ほぼ毎日決まった時間に起床し朝のルーティンを済ませて仕事に入る当方の生活スタイルとは全く真逆の生活で、どこで睡眠時間をしっかりとっているのかと聞いてみると、「私は何処でも眠れるんです!隙間時間によく眠っていますよう~✌」とのこと。長年身に付いた習慣とはいえ、身体が丈夫、頑丈でなければ務まる仕事ではない。聞けば我儘な乗客はいつもではないまでもいることが当たり前らしく、路線によってはその頻度も多いというから国民性もあるのだろうか。日本人の感覚ではゴミを機内の床に捨てるなどというのは以ての外だが、あるアジア系の航空会社を利用した際には新聞紙から紙コップ、食べ残しのあるお菓子の入った袋まで捨てている乗客を目にしたこともあり、乗降するときには狭い通路はゴミだらけだったことがある。先日はキャビネットから荷物を取り出す際にある外国人の人が大きな水筒を真下に座っている方の膝上に落としたにもかかわらず謝りもせずに足早に機外へと出て行ったそうで、そのような常識も良識も違う人間を扱う仕事は、身体だけではなくメンタルも頑丈でなければストレスを常に抱え込むことになろう。いろんな意味で過労死にならぬよう気を付けて下さいと伝えると、「一人生き残るタイプですから大丈夫で~す!」とVサイン!CAさん、素晴らしい!


                                  2024,8,24

舌小帯短縮症&リリース

  「今は症状もなく、何ら日常生活に困っていることはないのに何でそのような手術が必要なのでしょうか?」という意見はご夫婦でも男性親に多く聞かれる意見である。事前にお子様と母親に口腔内診査を行った結果をお伝えし、その上で「念のためご主人様にも説明をさせて頂きますのでいったん家に持ち帰ってご主人様と相談なさってください」と説明を加えさせていただいている。“なぜ症状もないのに?普通に生活しているのに?”という質問、疑問は御尤もである。なぜなら身体に異常、辛い症状が発現してから医療機関に掛るのが今までの、そして今もあり続ける医療へのかかわり方であるからだ。子供達は生まれてこの方鼻詰まりがあっても、呼吸が苦しくても、咀嚼が上手くできなくてもその状態しか知らないからそれが当たり前だと身体が認識しているのである。しかし、鼻詰まりがあれば口で呼吸をするので窒息することはないが、代償反応として舌を含めた口腔周囲筋の間違った習癖が身に付くことで正しい筋機能が働かなくなり、その結果顎顔面骨格の発育障害が生じ、10歳を過ぎることになると永久歯列が乱れてきたのを機に、「咬み合わせが良くないので診てほしい」という主訴でお越しになられるケースが多いのが現状である。歯並び、かみ合わせだけを見た目よく改善させるのであれば成人になってからでも可能である。但しそれでは成人になるまでの間、顎を含めた顎顔面骨格は本来の成長発育がなされないのであり、神経筋機構、内分泌系、ホルモン、体幹などあらゆる身体の組織に影響が及び、なにも改善されなければそれらの代償反応の結果が成人になったときに結果的原因として様々な異常や検査では表れない不定愁訴として大人を苦しめるようになるのである。このブログの欄でも舌小帯短縮症(舌の可動制限があること)について数回にわたり述べさせていただいてますが、表面上の小帯を切離するだけではなく、ファシアと呼ばれる組織までしっかりと切離することで鎖が解かれたように舌が動き、術後のトレーニングを欠かさないことで本来の舌の動きが取り戻されることで、嚥下機能が回復し、時には中耳炎も改善し、舌が持ち上がることで口唇閉鎖もしやすくなるのは、その方の健康が取り戻される原点のようにさえ思えてくる。今月末には生後1ヵ月の赤ちゃんの受診予約が入っているが、乳幼児における舌小帯の診査診断は生後直ぐに行われるべきではないかと考察している。


                                  2024,8,23

医は医なきを期す

  「医は医なきを期す」との思いが全ての医療関係者にあれば、これだけ医療が進化し、医者も歯医者も多くいるにもかかわらず疾患が減らないのは不思議である。歯科に限って言えば本来歯を失わないような環境整備をすることが歯科医療関係者の務めであるはずだが、年々インプラント市場が拡大している現状は理想とは真逆の方向に進んでいると言わざるを得ない。インプラント治療云々をとやかく言うのではなく、歯を失う原因の多くは根本的にはかみ合わせが関与しており、乳幼児、幼児の頃から不正咬合の原因の芽を摘むようなことを各歯科医院で行われなければ、いつもで経っても日本人の歯を失うことから守ることはできない。夏休みということもあり、子供のかみ合わせ相談件数が多く寄せられたが、その中には現在掛かっている歯科があるにも関わらず咬み合わせを診てほしいというものだ。世の中デジタル、AIなどと人の手間が掛からない時代になってきているが、効率ばかりに目を奪われシステム化すれば無駄を省き利潤を追求することができるとの考え方が医療にも及んできてはいないか。確かに病院、小規模医院であっても新しい機器などに投資をする上ではある程度の利益を出すことは求められる。しかし、相手は心ある人間であり、主訴である症状だけではなく、その裏に隠されている問題点までも洞察する目が医師には求められており、目の前の患者としっかり向き合うことがなければ、それは結果として患者の数を捌くだけということになる。予後が悪そうだという利用だけでインプラントを勧めるのではなく、なぜその歯が悪くなったのか原因を追究し、少しでも長く自分の歯で過ごしたいという患者さんの声にならない心の願いを受け止めることが、治療前に歯科医師がとるべき姿である。20年後には歯科医師数が今の1/10、50年後には「昔は歯医者という職業もあったらしよ!」なんて会話がされていたら、歯医者は世の中に貢献したと言われるのかも知れない。

                                  2024,8,22

44歳と60歳頃の変化とは

  中高年の皆様、スタンフォード大学の研究報告をご覧になりましたか(https://www.nature.com/articles/s43587-024-00692-2)。人間は一定の割合で徐々に老いるのではなく、人生で急激に老化が進むポイントが2回存在する」という研究結果を発表しました。加齢と共に老化が進むと思っていただけに興味深い内容です。特に顕著な変化は44歳と60歳頃に集中しているようで、44歳頃ではカフェイン、アルコール、脂質の代謝や心血管疾患に関連する大きな変化が見られたとのこと。また、60歳頃には免疫、炭水化物代謝、腎機能に関わる変化が現れ、さらには皮膚や筋肉の加齢に関連する分子については、44歳頃と60歳頃の両方で変化が観察されたということです。当方が健康維持のためにマラソンを始めたのが47歳ですから、それまでとは何かが違う自分の身体を感じ取っていたのだと思います。幸いにしてアルコールの代謝は昔も今も良好なので安心はしているものの、年齢と向き合って無理のない日常生活を・・・と言うべきなのかも知れませんが、よりアグレッシブに毎日を過ごしていきたいものです。「先生はお若いですね~!」とは決して若い先生には言わないですから、決して嬉しくはないですよね。少しひねくれていますかね(笑)

                                  2024,8,21

なぜ活舌が悪い?

  「活舌が悪いのは歯並びが原因ですか?」とある患者さんからの質問である。現在の活舌の悪さの原因は上下前歯の歯軸の内側への傾斜ということにはなるが、そこに至った原因は何かといえば口唇癖と舌の可動域が狭いことが大きな要因となる。ではなぜ舌の可動域に制限があるかというと舌下面にある舌小帯が短いからであり、活舌を改善するのであればそれらの原因を順番に取り除くことになろう。最近のブログでは舌の可動域のことを多く載せさせて頂いているが、これは嚥下、呼吸と密接に関係しており、咀嚼したものを飲み込む際に間違って気管に送り込まれないように喉頭蓋が閉鎖できるのは舌がしっかりと挙上されているからであり、咽頭収縮筋が本来の動きをしなければ鼻腔における空気の換気量も低下するので呼吸自体も浅くなり、呼吸数が増えることに繋がってくる。「えっ、私はきちんと飲み込みが出来ていないのですか?」と質問を受けることがありますが、身体には代償反応という動きがあり、舌が動かない分を口腔周囲筋によって口腔内を陰圧にしたり、頭蓋骨を前方に傾けて嚥下しやすくすることで一応機能できるようにはなるのです。しかしその反面、代償反応が改善されないまま成長すると身体の他の部位、器官に影響が及び、不定愁訴となって症状が発現することが臨床現場では多く診られます。従って、今は問題ないから、今は何の症状もないから大丈夫なのではなく、現時点で機能的な問題があるのであれば未然に対応していきましょうというのが当医院で勧めている治療、トレーニングの考え方です。書き出しの主訴を改善させるには、現状に至った根本原因を取り除く舌小帯切離、代償反応を放置したことによって出来上がった結果的原因の不正咬合を筋機能トレーニングを併用しながら機能的歯列矯正治療を行うことになる。以上のことを患者本人が先ずは理解することが必要であり、そのためには時間も必要であろう。

                           2024,8,20

不正咬合はなぜ生じる?

  咬み合わせの相談にお越しになられる方が後を絶たないが、見た目の歯並びを揃えたいのであれば小臼歯抜歯を行い、抜歯したことで空いたスペースに歯を寄せて並びを揃えればよいでしょう(注:当医院ではそのような歯列矯正治療は100%行いません)。歯列矯正治療をお考えの方に考えて頂きたいことは、なぜ不正咬合になったのか。不正咬合の裏に隠されている将来的に身体に及ぼすであろう症状にはどのようなことが存在し、現在不正咬合で過ごされている40代、50代以上の口腔内には共通してどのようなトラブルが生じ、体幹的な歪みもどれくらいの確立で生じているかなどです。ご本人の自覚がないまま長年過ごされていると、異常であることが異常だとは気が付かないので、先ずは何が正常であるかないかを理解することから説明をさせて頂いております。“There is a reason for everything!”とは、不正咬合の概念を変えて下さったJohn Mew先生のお言葉です。原因が分かればその原因を取り除くことを行っていけば良いわけであり、ドクターの洞察力、観察力が試されるところでもあります。本来は不正咬合など存在しないはずにも拘らず、不正咬合だらけの世の中に慣れてしまった歯科医師が先ずは目を覚まさなければ、根本的な原因除去に目が届くことはないでしょう。

                           2024,8,19

口腔機能発育不全の症状

  常に首を傾げている女の子の口腔内はどうなっているかと診査をすると、案の定上下顎の歯列弓は歪んでおり、舌の持ち上げも儘ならないほど舌の可動域が狭い。親御さんはこちらが指摘するまで姿勢が悪いことにも気付かず、このまま放置すると将来的に心配な要素が複数あることをお伝えした。現状に至った原因をしっかりと理解して頂き、今は何ら困ることなく生活は出来ているにも拘らず咬み合わせのトレーニング、更には舌小帯およびファシアの切離がなぜ必要なのかも納得して頂いた。術前の舌の可動域を拡げるためのトレーニングをこちらの指示通りにこなしていることを確認し、通法に則って舌小帯の切離を実施し、術後のトレーニングも欠かさず行った結果舌の動きもスムーズになり、立位では頭蓋の傾きも改善されるに至った。もしこの子が何もせず成長したらどのようなことが身体に症状として表れてくるか想像してみて下さい。症状が出る前に、間違った身体の成長発育軌道にある子供達を救わなければなりません。口腔機能発育不全は喫緊の課題です。歯科領域からのアプローチで改善できる多くの不定愁訴、未病を防ぐことが可能になりつつありますが、欠けているのはエビデンスです。しかし、子供達の身体は日々成長しています。親御さんとの密な治療相談が欠かせないのはそのためです。不正咬合は勿論、夜中によく目を覚ますなどの睡眠障害、落ち着きがない、食事の際クチャクチャ音を出しながら食べているなどは、口腔機能発育不全の症状です。お子様に該当する症状がある場合には、早めに歯科を受診されることを勧めます。

                       2024,8,18

子供達の正しい口腔筋機能の習得

  不正咬合の子供達を治療するにあたり、当医院では診査診断において気道体積の計測は必ず行います。なぜなら気道の健全な発達(ひいては健全な睡眠)は、筋肉を正しく使うことと密接に関係しているからです。咀嚼は筋機能の発達の鍵であり、しっかり咀嚼する、正しく嚥下(飲み込み)することは、筋肉が付着している骨に対して動きを生み出し、顔や頭蓋骨のほぼすべての骨に影響を与え、その動きが成長を促します。当方が卒後間もない頃、勤務医先の患者さんから、「先生、咬み方によって顔の形が変わる感じがあるけど、そんなことってあるのかしら?」と聞かれたことを覚えています。骨折の回復期や骨粗鬆症の人に運動が勧められるのと同じように、咀嚼は顎や顔、頭蓋骨の骨の健康に影響するのです。不正咬合のある方子供に共通しているのは上顎の骨幅の狭いことです。子供達が幼少期に正しい咀嚼の仕方を獲得しないまま成長すると、筋肉の間違った習癖が身に付きます。さらにやわらかい食事は筋肉を必要としないため、上下顎が小さくなって歯列弓が乱れ、上気道の健康が損なわれることにも繋がります。乳幼児、幼児期の正しい口腔周囲筋の動きを習得することは、頭蓋顔面発育障害を未然に防ぐことになるのです。

                         2024,8,17

メッキが剥がれる

  パリオリンピックで金メダルを獲得したある国の選手のSNSへの投稿が話題になっている。東京オリンピックとパリの金メダルを並べ、パリのメダルが早くもくすんで見えるが、3年経った東京のメダルは黄金の輝きを保っていると。品質の良さが日本製品の強みであるので内心誇らしい気持ちはあるものの、メダルを獲得した選手の心情を察するとなんとも虚しくなる。オリンピックのメダルの素材には規定があり、金メダルは銀製で金メッキを施す加工をするとのことだから、製作工程で何か問題があったのかも知れない。歯科材料においてもこの金属は??と目を疑うような変色、酸化をしているものを見かけることがある。あってはならないことではあるが、歯科技工師が金属を鋳造する過程において何か手を加えたりすれば出来上がりは本来のものとは異なるものが完成品となる。人柄が信頼できなければ全ての仕事は満足に繋がらない所以である。日本製のメダルは未だにメッキは剥がれていないようであるが、我々一個人もその場を取り繕うような生き方、仕事の仕方は必要ない。岸田さんの総裁選への不出馬によって後継争いが活発化しているようだが、政治家として私利私欲は論外であるが、日本を立ち直らせる舵取りの出来る筋のある政治家は出てくるのか。まさかメッキを施して数年後には剥がれてきたなんてことがないようにしてもらいたい。

                         2024,8,16

口腔機能発達不全

  頭蓋顔面発育障害の子供達が増えていることをこのブログでも度々載せていますが、なぜそのようになってしまうのか、そのままでは何が問題になってくるのか、ここの部分をお越し頂く親御さんに理解して頂くには到底数分の説明などで済む話ではないが、治療以上にここをしっかりと理解して頂いたうえで子供達の咬み合わせトレーニングに入って頂かないと、途中で治療の目的がぼやけてしまって不安になる方がいらっしゃる。先日遠方からお越し頂いたお子様(7歳)は、受け口になっているのが気になって歯列矯正専門で診察を受けたところ、永久歯が生えるのを待ってから小臼歯を抜歯して矯正装置を装着しましょうと言われたとのこと。当医院でも診査をさせて頂いたが、永久歯が生えるまで待っていたら更に受け口傾向が大きくなるだけであり、そもそも受け口傾向にある根本原因を取り除くという考え方が欠如しているのである。受け口というと下顎が前方に出ていると思われがちだが、実際には上顎の発育が劣成長であることが多くあり、中顔面の発育を促進させることを優先させなければならない。ではどうやって中顔面の発育を促すのか。できるだけ6歳~8歳までのうちに嚥下を含めた口腔周囲筋の習癖を改善させることで、本来の顎骨の成長発育を促す。但しトレーニングがきちんと実施できていなければ望むべき結果には繋がらず、ここは親の協力が必要になってくる。似たようなケースはあっても当たり前ではあるがひとり一人は異なり、性格も含めた診査診断は欠かせない。

                         2024,8,15

オリンピック選手のように

  11日に閉幕したパリオリンピックでは、日本選手の活躍が目立ちました。金メダル獲得数ではアメリカ、中国の40個に次ぐ20個で、多くの国民の予想をいい意味で裏切ったのではないでしょうか。柔道、レスリング、体操と言ったいわば「お家芸」に加えて、これまであまり存在感を示せていなかった競技でも、「日本勢初」という枕詞が付く偉業がたくさん見られました。特にフェンシング強豪国となった今回の躍進には、これからのチームジャパンの強化の鍵があるようにも思えます。もともと剣先を突いて得点となる「有効面」が胴体だけのフルーレは、小柄な体格の日本選手でも強豪国と渡り合えると考えられたいたそうですが、頭からつま先まで全身が有効面のエペでは不利だったようです。そこで強豪国のウクライナからコーチを招聘し、技術の向上のみならず、流行の戦術について他国と情報交換できたり、強豪選手と練習する機会が得られたことで、どこの国の選手とも自信を持って対戦できるようになったとのことです。他の競技、種目でも海外の知見を取り入れたり、チェコに移り住んで練習に取り組んでいる女子やり投げの北口榛花選手などのように、積極的に海外との関りを築くことで、日本人の潜在的な能力が開花したオリンピックだったのではないでしょうか。全く分野は異なりますが、当方の歯科医療においても海外のドクターとオンラインでやり取りができる今の時代は臨床の疑問を解決する手段が以前とは比較にはならず、本人が一歩踏み出すかどうかの心の在り方次第でどこまでも成長できるように感じます。日本選手の活躍に肖るように、歯科と医科の未踏峰領域の研究、臨床応用を地道に進めて参りましょう。

                         2024,8,14

夏の甲子園から見えてくるもの

  夏の全国高校野球選手権大会が甲子園球場で行われていますが、49都道府県の予選における出場校数の違いには毎年のことではありますがどうにか改善に向けた取り組みが出来ないものかと不思議でなりません。ある県では22高の出場数に対して首都圏の都府県は100高どころか200高に近い出場校もあり、選挙における一票の格差ではありませんが到底公平な代表争いとは言い難いものです。今までの慣例を踏襲してなにも改善しないというのは日本の多くの組織にみられることではありますが、世の中の変化に対応しつつ、より良いものに作り替えていく発想は決して躊躇すべきではないと思います。変化を嫌う、恐れる体質が、日本が世界の潮流から取り残された要因の一つでもあるでしょう。改革を進めるうえでは維持すべきこと、新しく始めるべきこと、やめるべきことをきちんと整理する必要があます。この猛暑のなかで行われる熱戦も、精神論、気合などと時代遅れのことを言っているようでは選手や審判、応援席の観客も命の危険が迫ってきます。3日間のみ開始時間を変更する試みがあったようですが、4日目以降は灼熱の太陽のもとで試合が行われています。11時~16時までは予選も含めて試合は行わないなど、大胆な提言そして実行をどなたかできないものでしょうか。それによって夏の高校野球の本質が何ら変わるものではないと思いますが、皆さんはどのように思われますでしょうか。

                         2024,8,13

教育の在り方

  今の教育に欠けているのは何かと問われたら迷わず“徳”と答える。ゆとり教育が導入されて以降学力の低下が指摘され、昨今ではそのゆとり教育の見直しが教育現場では行われているが、果たして本当にゆとり教育が原因だったのでしょうか。学力の評価の仕方に問題はないのか。読み書きの出来具合を点数で視覚化し、それをもって一喜一憂しているような教育では子供達の潜在的な能力は伸びるものではない。塾通いをし、知識を詰め込む、回答のテクニックを学べば当座の問題を解決し、希望する学校に合格できるかもしれない。難関校と言われるところに何名合格と塾や予備校は大々的に宣伝し実績を公表することで生徒の集客に繋げようとするが、それは本来の教育からはかけ離れてはいないかと一歩引いて考えてみる必要がある。「いくら才があろうと徳がなければ活かすことはできない」と語ったのは安岡正篤である。また、女子教育の先駆者である下田歌子にしても、技術よりも徳性を先んじていた。ところが今の教育はこの点が逆転しており、才能を伸ばすことが先で徳性を育むことが蔑ろにされている。したがって学力低下の要因はゆとり教育を含めた教育の在り方であり、徳性あっての才能とする観点が欠落していることが大きな問題なのである。ではなぜ徳性、道徳を育むことが重要視されないかと考えてみると、これは数値化できないからではないか。数値で示さないと安心できないように育てられた今の大人たちが、抽象的な徳性に目を向けるようになるのは、如何に徳を積んでいないかということに気付くしかない。子供達の徳性を育めば、おのずから志を抱く人物に成長するでしょう。志に向かって生きようとすれば、それに伴う技能の必要性を実感し、望んで飽くなき学びの道へと進むようになり、結果として学力が向上するという道が開かれます。子供にある潜在能力が開花するまで親が待てるかどうか、そこも大きな課題かもしれません。

                         2024,8,12

厳しさの意味

  「社員教育をするにあたり、今は叱られることに慣れていないから、ちょっと厳しく言ったらすぐにパワハラになってしまう」と当医院に通院中の会社経営者が嘆いていた。そのような話は昨今他でも耳にするようになったが、パワハラ自体はよくないけれどもひとり一人の耐性がないとでも言ったらよいのか、何もできない、右左も分からないにも拘らず注意しただけで切れてしまう人間すらいる時代である。人が成長するためには時に厳しさも必要であり、子供の時に親から甘やかされて本気で叱られた経験がなけい子供は可愛そうである。真剣に子育てに向き合うからこそ厳しくなるのであり、子供がハッとするぐらいの気付きを与えられる親でなければ本当の愛情は子供に伝わらないのではないか。子供と親の関係は友達ではないので言葉遣い一つとっても言い方がある。子供達の不正咬合には必ず原因があるのと同様に、子供が不満を抱く、社会生活に適応できないのであれば、必ず原因があるはずである。待合室での親子の会話のやり取りからも、子供の現在そして将来が懸念される要因は診えてくることもあるが、そこから先はこちらも介入は出来ないのである。


                         2024,8,11

見えていない光景

  新一万円札の肖像になった実業家、渋沢栄一の「論語と算盤」は会社経営者などの多くのリーダーが読み、大事にしている本ですが、当方ももれなくその一人です。渋沢さんから学ぶべき考え方は多々ありますが、新たな取り組みをする際の目指すものが、「誰にも見えていない光景」であることに共感を覚えます。当医院で行っている子供達の咬み合わせ改善プログラムもまさに過去の治療法から離れ、不正咬合に至った根本原因を探り、その原因によって生じた代償反応の結果が今ある状態であることを先ずは親御さんにしっかりと理解して頂き、その原因を取り除くことを身体の成長途中の早い段階で行うことです。100年以上前から歯科矯正学の大家であるアングル先生は、「不正咬合の原因は筋肉の異常な動きにある」と言われていたので、まさにそこにフォーカスを当てた治療を実践しているだけであり、特別新しいことを行っているわけではありません。歯の並びをワイヤーや透明のマウスピースで力ずくで改善させたところで筋肉の習癖が改善されていなければ、装置を外した後から歯並びはどうなるかは想像がつくと思います。しかし最も重要なことは、不正咬合に至った根本原因の裏に隠されている身体の生理的、機能的、体幹の問題があるということです。子供達はすでに症状を抱えているにも拘らず、医療従事者たちがその原因が分からないために「様子を診ましょう」と問題の解決を先送りしていることで子供達の健康が損なわれていく、その臨床現場を変えていかなければならないのです。


                         2024,8,10

口腔筋機能療法の有効性

  当医院で子供達に行っているかみ合わせのトレーニング(口腔筋機能療法)は不正咬合のある大人にも効果が出始めている。ここ最近ではいびきのひどい男性から、「いびきで起こされることがなくなったよ!」って奥さんに言われましたとご報告があった。複数の研究でも、正しい口と喉の奥に対するエクササイズは舌の位置を正し、閉塞性睡眠時無呼吸(SDB)の症状や口呼吸を減少させるとともに、呼吸における酸素飽和度の向上に有効だとする論文も2017年に発表されています。この口腔筋機能療法は完全に確立された学問分野ではなく、言ってみれば新興の分野であり、医療として実践できる範囲や、その役割を明確にするためには、さらなる研究が必要です。エビデンスがなければ治療が出来ないなどと言っていては、成長途中にある子供達の健康悪化をただ診ているだけになります。慎重に不正咬合、呼吸の数値、姿勢などの変化を数値化し、改善傾向を確認しながら治療を進めることで、貴重なデータを積み重ねることに繋がります。舌小帯短縮症のオペを終えた子供達の舌の可動域の増加には親御さんも驚く結果が示されています。口腔筋機能療法は、いざという時に医療処置の代わりになるものではありませんが、医科や歯科の治療と並行して口腔の健康を強化、リハビリテーション、維持するために用いる最適な治療法です。


                         2024,8,9

ランニングマシンの活用

  流石にこれだけ蒸し暑い日々が続くと早朝ランニングにしたところで気分爽快とはならない。10月末の横浜マラソン・サブ4を目指すものとしてはそろそろトレーニングペースを上げたいところだが、これぐらいの暑さ続きとなると、どんな暑さ対策を講じても屋外でのランニング自体が危険になってくる。同年代の患者さんからは、「先生、あまり無理しないで室内のランニングマシンを使ってみたら・・。涼しいし、マシンの設定を変えれば負荷をかけることも簡単だし、心肺機能を鍛えるにはお勧めですよ!」とご提案があった。スポーツジムのランニングマシンを使ったことはないが、風を切って走る感覚はないのと景色が変わらないことに違和感があり、今までは試す気にもなれなかった。しかし、熱中症警戒アラートが毎日のように発令されるようでは走る距離も制限する必要があり、脚筋肉の強化には繋がらない。ネットで調べた範囲では、ジムにあるランニングマシンは坂道のように傾斜を付けることもでき、そこで20~30分走ると平地とは異なる筋肉を使うので脚筋肉の使用幅が広がるとある。2年続けて30キロ過ぎると脚が思うように動かなくなったことを教訓とするならば、新たなトレーニング方法を取り入れることに迷う理由はなさそうだ。

                         2024,8,8

医は医なきを期す

  すべての歯科医師が尊敬されるとしたら、それは歯医者が存在しなくても誰一人困らない、そんな世の中を作り上げた時かもしれないが、所詮無理だと多くの人は鼻で笑い、歯科医師であれば聞く耳さえもたないだろう。しかし医師と呼ばれる人間の務め何かを考えてもらいたい。医学の究極の目的は、誰もが健康になり、医学や医者が不要になる社会を築くことである。現状の歯科医療の現場で起きていることと言えば、年々インプラント市場は拡大しており、それは歯の欠損が進んでいることの裏返しとも言える。先日お問い合わせのあった患者さんの主訴は、「現在掛かっている歯科で治療をしているのだが、ひびが入っているので歯が割れるまでこのまま使いましょうと言われた。何とかならないか診てほしい。」というものであった。勿論、診査診断をしたわけではないので何とも言えないが、仮にひびが入っていたとして、そのような状態になった根本原因は何か。その原因を取り除くことが医療ではないのか。歯が割れるまで待って抜歯したら方程式のようにインプラントを勧めるという歯科医療の進め方には大いに疑問を感じる。そのような患者さんから歯科医師が学ぶべきこと、考えるべきことは、20年後、30年後にはそのような口腔内のトラブルを抱えた患者さんをゼロにするということであり、今の乳幼児、幼児を含めた子供達の口腔内の健全化を急ぐ必要がある。そのような視点で歯科医療を進めてきたことで、当医院は年々子供達の咬み合わせ相談が増えており、そのうち成人の治療枠がなくなるような事態になるのではないかとそれはそれで危惧している。

                         2024,8,7

舌小帯短縮症と機能障害・顎骨の成長発育不全

  オリンピックに出場するぐらいの選手だから身体の機能性には全く問題はないというわけではない。試合後のインタビューを聞いていると舌足らずで活舌の良くない選手がおり、高い確率で舌小帯が短く舌の可動域が狭いのではないかと推察できる。仮にそうであれば、きちんと診査診断を行ったうえで適切な舌小帯リリース(切離)を行うことで呼吸の改善にもつながり、スタミナの向上にも繋がると思われる。但し、リリースするだけではなく、術前術後の舌のトレーニングを継続して行わなければ再癒着ということが軟組織である以上は生じるので、正しく理解することは欠かせない。知人のドクターが以前同様の手術を行った患者さんがいたが、手術後新型コロナウィルス感染拡大によって外出を控える羽目になり、術後トレーニングの確認が長期にわたって出来なかったことで再癒着したことがあったと漏らしていた。このようなケースは例外的ではあるが、舌小帯リリースは決して難しいものではないものの、リリース(切離)すればとにかく諸症状が良くなるというものではなく、あくまで筋肉の動きを正常に戻すための手術であるので、特に術後の正しいトレーニングを毎日複数回行うことが成功の鍵となる。一般的に小帯付着異常が問題となり治療が必要となる場合は年齢との関係が深く、乳幼児、小児期では舌小帯短縮症により哺乳障害、構音障害、発育障害、咀嚼嚥下障害を生じるだけでなく、顎骨の成長発育不全へと繋がるため、出来るだけ早期の処置が望ましい。

                         2024,8,6

舌小帯異常と根本原因

  2年前の夏休みに舌小帯の切離を行った中学生が定期検診でお越しになられた。術後直ぐに親御様から顔の表情が変わった、朝は自分から起きてくるようになった、テニスの練習時の汗の掻き方が明らかに違う、などのご報告を受け、舌の可動域と呼吸との関係は密接に関係していることを実感したと同時に、なぜこのような手術が世の中に広まらないのか不思議であった。その後、文献を探したり小児科の先生を尋ねたりする中で、粉ミルクが世の中に普及し始めた1970年頃に、母乳哺育ではなく粉ミルクでも十分栄養は摂ることが出来ることから、舌小帯異常があったとしても粉ミルクで育てればよいという考え方が広まっていったことを知るに至った。確かに栄養を摂るという点では粉ミルクでも補うことは出来るかも知れないが、舌の機能発育という点では全く受け入れることはできない。なぜなら赤ちゃんの舌がお母さんの乳首を口蓋に押し当てることによって口蓋骨は刺激を受け成長発育していくのであり、そのスタートの時点で舌が動かなければその後の顎顔面骨格の成長がどのようになるかは言わずもがなである。その結果、すべての歯が顎骨に入りきらなくなる不正咬合へと移行するのであり、理想的な成長発育が進まない状態では必ず代償反応が身体の各所に現れてくる。小児矯正治療に拘わらず、むし歯一つとっても現状に至った根本原因を理解することがなければ、真の予防は出来るはずもない。

                         2024,8,5

エスカレーターは片側通行??

  いつ頃からエスカレーターの片側を開けて歩行するようになったのでしょうか。そもそもエスカレーターは階段ではないので歩くことは禁じられているはずですし、「歩かないで!」などの表示も掲示されています。利用客の多い駅のエスカレーターでは、片側だけに人が寄るのでエスカレーターに乗る人の渋滞をよく見かけます。両側に並んで乗る方が輸送効率が上がるのではないかとさえ思うくらいです。また関東と関西では歩けるように開ける左右も違いますし、どうでもいいことかも知れませんがなんとも不思議です。因みに当方は渋滞している列に並ぶのが嫌なので右側の開いている側に立っていたことがありますが、後ろから来た変な輩に咳ばらいをされた経験があります。まあ今のご時世、ちょっとしたことで逆切れに合うこともありますので、ルールを守りつつも身の安全も守ることが求められますから、余計なところで気を遣うようになりました。因みにこの8月は、JR各社など全国の鉄道事業者や空港施設、自治体などは共同で「歩かず立ち止まろう」キャンペーンを実施しているそうですが、皆さんはご存じでしたか?

                         2024,8,4

人間社会のいびつさ

  「カブトムシを捕まえたことはある?」と夏休みに入った小学生の男の子に聞いてみると「・・・・・?」。どうも意味が伝わらなかったらしい。掴んだことはあるけれども捕まえに行ったことはないないし、カブトムシを捕まえることって出来るんですか?と逆に質問をされた。その子が言うにはホームセンターに行くとカブトムシが売られていて、それを飼ったことはあるというのだ。無理もない話かもしれない。コンクリートで固められた家に住み、路を歩き、森どころか林もない生活圏に住んでいたら、自然と触れ合うことはないわけだから。朝早く起きて出かけ、クヌギの木の根元を探してカブトムシを見つけた時のあの興奮は今でも鮮明に覚えている。指で角を掴むもカブトムシの力も強く、なかなか木の皮から離すことが出来なかったあの感覚も子供には新鮮であり五感が働く瞬間でもある。同じように季節によって柿、栗、野苺、アケビなど野にある実をもいで食べる喜びも今の都会の子供達にはないだろう。頭でっかちな人間よりも、感性豊かに育った方が人間味のある健やかな人になると世の中は証明しているのに、子供達が窮屈な環境にさらされていることに人間社会のいびつさを感じずにはいられない。

                         2024,8,3

生きていけない時代に

  「いや~、暑いですね!半端ないですよ~。私が子供の頃は30度を超えたら異常に暑いね~なんてことを言ってたと思いますけど・・」と、昼前にお越しになられたご婦人の言葉である。外気のあまりの暑さに診療室の窓際は熱がこもり、天井からの冷気では部屋の温度が思うように下がらなくなってきた。まさに異常な暑さである。全国では歩行中の方が熱中症で倒れ、そのまま亡くなるケースも出始めている。「冷房に当たっていると身体が冷えすぎるのであまり良くない」なんて一昔前は言っていたが、今ではとんでもない、冷房がなければ命を守れない時代である。もしも広域停電が長時間発生したら、我々はどうやってこの暑さから逃げればよいのか。ある中学校では夏休みの間だけ部活終了後に子供達にプールに入って身体を冷やしてから帰宅することを奨励しているぐらいですから、これだけの猛暑が続くと一般家庭でも水風呂に浸かった方が身体と脳にはよさそうである。以前、国連事務総長が「地球は沸騰している」と語っていたが、エアコンがなければ生存できない時点でもう人間はこの地球で生きていけないのではないでしょうか。

                         2024,8,2

パリ五輪

  パリ五輪が始まり、各競技で手に汗握る熱戦が繰り広げられている。4年に1度のスポーツの祭典はアマチュア選手の目指す最高の舞台でもあり、限界を超えるようなトレーニングを積んできていることは想像に難くない。競技である以上は必ず勝者が生まれる一方で敗者も生まれる。全力を出し切れた選手もいれば調子が上がらないまま消化不良でパリを去るものもいる。自国選手の応援に当然力が入るが、選手の努力に水を差すような判定が競技によっては複数みられるようである。今回の五輪は時差の関係もありLiveでは観ていないが、複数回目の五輪出場選手には、それだけで敬服する思いである。トップであり続けるには技術は言うまでもないが、モチベーションの維持、魂が燃え上がるような高揚感を持ち続けることの難しさをどのように克服しているのか知りたいところである。ただそれらはオリンピック選手だけではなく、我々のように仕事をしている人にとっても共通していることであり、体力や精神面での好不調を抱えながらもそれを乗り越えることで幹が太くなっていくことに繋がる。以前のように結果がでないと感じる時こそ人間的な成長が出来るときと前向きに捉えることが大切だ。

                         2024,8,1

舌小帯短縮症の手術

  「ハイ、では舌の先端を上の前歯の根元付近に付けてみましょう!・・・では今度は舌の奥も含めて舌全体を口蓋にベタっと張り付けて3分間続けましょう!」といったトレーニングを毎日約2か月間行い、舌小帯短縮状態を改善するための手術が行われた。当医院としては特別な手術ではないが、術前のトレーニングがしっかりと行われないと手術の効果が結果として表れてこないので、たとえ舌小帯短縮症の診断結果で手術を患者さんが希望をされても、当医院では手術は行わない方針である。また、診査診断、術前トレーニング、舌小帯のリリース、そして術後のトレーニングまでがワンセットであり、患者さんおよびご家族のご理解とご協力がなければ同様である。舌小帯短縮症の手術は表面上の小帯をリリースするのではなく、小帯リリース後のファシアと呼ばれる筋膜組織の剥離が重要なポイントになってくる。決して筋肉を切離しているわけではない。すべての処置に言えることだが、きちんと結果を残すには十分な診査と丁寧な処置・技術が求められる。本日の2人のお子様たちはオペ前後の舌の可動域を比較すると明らかな改善(30%以上)がみられ、不正咬合の根本原因を取り除くことに成功したと言える。かみ合わせ相談にお越しになられる幼児から大人に共通していることは舌の可動域が極めて悪いことであり、これは嚥下障害を起こしていることも意味しているので、誤嚥を防ぐうえでも舌小帯短縮症の場合には早期のリリース(切離)が望ましいと思われる。

                         2024,7,31

潜在能力

  世の中には失敗が続くと自信を無くし、自分には無理なのかとマイナス思考に陥る人がいる一方で、失敗しても止まらず前に進み続けるタイプの人がいる。当方のこれまでの人生を振り返ると「なんでもっとこんな風にできなかったのか」、「思った通りに実行すれば良かっただけだった」なんてことが人並みにある。やはり失敗をどこかで恐れ、心配してたからそのような行動になったのだということになるのだろう。スポーツ脳科学者の林成之さんの著書にはまさに自分の過去を知っていたかのような解説がある。-脳が挑戦することで得られる報酬よりも失敗への恐怖などに支配されると、文字通り「現状維持は衰退の始まり」の状態に陥ってきますー林先生によると、脳はいくつかの本能を持っていて、中でも強い影響力を持つものが「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」「伝えたい」「自分を守りたい」の5つがあるそうですが、5つ目の「自分を守りたい」という自己保存の本能が、往々にしてマイナスに働き、嘘をつく、失敗を隠す、言い訳をするなどの態度に現れます。この自分を守りたいという意識が強すぎると自分の潜在能力を発揮する機会を奪うことになっているのだと思います。従って常にプラス思考に考えるということは、自分の気付いていない潜在能力が動き出すスタートになるとも言えるのではないでしょうか。

                         2024,7,30

歯列矯正治療の納得いく説明を・・・

  当方は歯科矯正専門医ではないが、子供から大人までの機能的歯列矯正治療を約18年行わせて頂いている。開業当初は近隣の専門医に依頼していたが、矯正治療の考え方も様々であり、当方の思い描いたような咬み合わせで戻ってくることは残念ながらなく、その後自ら学びなおしをして現在に至っている。小臼歯を抜歯して空いたスペースに歯を寄せる歯列矯正治療で見た目がなんとなく改善することはよく見られることだが、小臼歯を抜歯することで不正咬合に至った根本原因がなくなるのだろうか、という素朴な疑問を患者さんには考えて頂きたい。勿論、症例によっては小臼歯抜歯をせざるを得ない(当医院では今のところ一つもない)ケースもあるのかもしれないが、それでも抜歯矯正によるデメリットは何かを担当医は患者様に納得できる説明をしなければならない。先日札幌からお越しになられた40代の方は、地元の矯正専門医を2医院受診したものの、それぞれのドクターから小臼歯4本の抜歯を勧められたとのこと。「抜歯矯正をしたら口呼吸が治りますか?」との質問にドクターからは「それは分からない。」との返答があり、矯正治療に踏み切れなかったとわざわざ遠路お越しいただいた理由を話された。歯並びさえ揃えばそれでいいわけではない。不正咬合の裏に隠されている全身との問題、つまり体幹の歪み、腕のしびれ、片頭痛、鼻詰まり、睡眠障害など枚挙にいとまがない。また不正咬合に至った原因も当然理解する必要があり、それらを総合的に把握してご自身の頭で整理をしたうえで、納得のいく説明を受けた先生の治療を受けるということが自然の流れであると考えるが皆さんはどのように思われますか。

                         2024,7,29

自修自得

  あの松下幸之助さんが立ち上げた松下政経塾の理念に「自修自得」という言葉があるが、そこには自ら問いを発し、自ら答えを掴んでほしいという塾生への願いが込められていたという。さらに「大事なことは教えても教えられない」といい、これはまさに非認知の勉強をしなさいということだったのだとかつての塾生が語っている。要は自主性をもって勉強にも日常生活にも取り組みなさいということであり、嫌々塾に行かされている子供達の姿を見ると、家庭教育における子供達の内発力を伸ばすような発想が欠けているように思えてくる。夏休みに入り普段とは違う日常生活を送る中で、ボーとする時間や子供なりに沈潜する時間をとり、目的をもって過ごしてもらいたいものである。何よりも大事なことは、すべては自分のことであり、自分で考えてやったことしか、失敗した時にプラスにならないということを知ること。身体を動かす習慣と同様に、考え方の習慣化も子供の成長には欠かせない。

                         2024,7,28

炎天下の高校野球開催でいいのか?

  高校野球の甲子園出場を目指し全国各地で地方予選が開催されており、都道府県によっては決勝戦が行われている。先日は神奈川県の代表の座をかけて東海大相模と横浜が熱い戦いを繰り広げていたが、危険な蒸し暑さの中、午後の14:00からプレイボールをしなければならない決まりでもあるのかと疑問すら感じた方もおられたのではないでしょうか。日本の組織らしいと言えばそれまでだが、一度決められたことは何か大きな問題が起きない限りは周囲の批判を受けても継続し続ける典型であると当方には映ってしまう。高校野球であれば、熱中症で意識不明になる生徒が出て救急搬送されるようなことが続かない限り、早朝もしくは夕方からの試合開始に変更するということは行われないであろう。なんでもそうだが、前例がないから、今まで問題はないから、などという責任回避しか考えていない組織の長では、先進的な発想は生まれるべきもなく、いつまでも旧態依然のままである。昨今の世界的な異常気象のなかで、今まで通りの炎天下の中での高校野球の開催で良いのか、選手の身体を守ることを最優先事項として考えれば答えは出ているはずである。今週は40度に迫る日が続くとの予報である。大会関係者の勇気ある英断を希望する。

                         2024,7,27

心無い治療

  心無い治療とでもいうのでしょうか、歯科医師としての、いや人としての誠意を感じない治療痕を目の当たりにすると、患者さんへの現状説明に気が引けることが残念だが多々ある。勿論新米の歯科医師であればベテランの医師よりも診断に時間を要したり、治療そのものにも四苦八苦することはないわけではない。しかし患者さんの何とかして歯を残したい、痛みの原因を取り除きたいなどの思いを慮ることが出来れば、一生懸命治療に取り組むのが人としての役目であり、歯科医師としての使命でもある。治療技術云々の前に問われるべき事案が日本の歯科医療現場には蔓延していないか。患者さんに提案するその治療法を自分の歯であっても選択するのか、そのような治療レベルの根管治療を自分の歯にも行うのか、自分の歯であったとしても抜歯を行いインプラントを埋入するのか。あまりにも無責任、良心の欠片もない治療は歯科治療である以上は必ず形として残り、言い逃れはできない。但し歯科医師と言えども絶対的な存在ではなく、最善を尽くしたものの患者さんの希望に沿う結果にならないこともあることは事実である。忘れてはならないのは“一期一会”の思いであり、“歯を診るのではなく、人を診よ”という当たり前のことでしかない。

                         2024,7,26

マナー違反

  通勤電車の車内にて、優先席に手荷物を置いて我が物顔で座っている大柄な男がいた。荷物は一人分のスペースを占領しており、各駅で乗降客が入れ替わるたびに人が来ては荷物があるために座らずに立っている。当の本人にしたら、“声を掛けてくれたら荷物はどかします”、ぐらいのつもりかもしれないが、結局優先席は3人掛けにも拘らず誰も座らず仕舞いであった。こういう人間に遭遇すると不快以外の何物でもなく、マナーや常識、他人に対する配慮が全くできない欠陥人間でしかない。そんな人間のような顔を動物を注意したところで言葉の意味が伝わるべくもなく、こんなご時世でもあるので拘わらないでやり過ごすことが最善なのか。他人を慮る姿勢は教えてできることではない。幼少の頃の親の躾云々もあるのかも知れないが、それなりの年齢になれば長年の自己修養の有無が日常の生活態度、発言に現れるのもである。そういえば、以前路上駐車の車内にいる運転手に、「ここに止めたらそこの角を他の車が通れませんよ!」と指摘したら逆切れに会ったことを思い出した。警察を呼んで事なきを得たのだが、その際警官に言われたことは、「下手に注意すると何をされるか分かりませんので、お気持ちは察しますがすぐに警察にご連絡をください!」とのことだった。そういうものですかね??

                         2024,7,25

創作イタリア料理

  どんなに手を加えても食材の本来の味を引き出すシェフの料理には唯々感心するばかりである。知人の誘いで訪ねた創作イタリア料理のシェフの腕捌きは無駄な動きもなく繊細であり、多くの来店客の食のペースも自身で把握しながら皿への盛り付けのタイミングも計っている。口コミなどの評価やコメントは閲覧していないが、本来の口コミだけでも十分お客さんが足を運び満足される、そんなお店は決して高額ではないことにも驚かされる。五感を働かせ、経験値と豊富なアイディアから生み出される食感と何種類もの味のハーモニーに形容する言葉を探せない。まさに職人中の職人である。下積み時代をどのように過ごされたのかは知りえないが、若手スタッフと一緒に当然のように食器を洗う姿からは、料理人としての誇りと初心を忘れないおもてなしの心に満ちた方であると推察した。職業柄、腰に負担のかかる姿勢で何時間も立つことから腰痛対策も入念にされているとのこと。次回は迷惑にならない程度の会話を楽しみながら、至福の時間を過ごさせて頂きたい。

                         2024,7,24

舌小帯短縮症

  “舌小帯短縮症”の患者さんに共通していることは、成人であれば見た目ではなく機能的な咬み合わせが良くない不正咬合を呈しており、幼児から10歳前後までの子供であれば永久歯の生え揃うスペースがない、言わば“口腔機能発達不全”の現在進行形である。そして大人も子供も口呼吸であり、唾の飲み込みも何かがおかしく異常嚥下を呈している。スタンフォード大学の睡眠歯科のチームは、舌の可動域が狭い子供は歯軋りも頻繁にしているという報告もしており、舌小帯短縮症を有している方は、きちんとした診査のうえで小帯のリリース(切離)をされることを積極的に勧めたい。当医院での症例数も年々増えてきており、舌小帯短縮症を有する潜在患者は想像以上に多いと思われる。口腔領域の問題は大脳皮質、自律神経系とも当然ではあるが密接に関係しており、ファシアという膜のような存在は体幹とも関係が深く、不定愁訴を抱えている方々の原因を探っていくと、舌小帯に辿り着くケースも少なくはないのではないだろうか。臨床的に因果関係を立証するにはまだまだ先の遠い話になるかも知れないが、舌小帯リリースによって姿勢の改善や口呼吸から鼻呼吸への変化を診れば、長期的なデータを積み上げることで小さな歯科医院でも世間に役立つことが出来そうである。

                         2024,7,23

抜歯してインプラントを勧める前に・・・

  「左下の奥歯を抜いて早くインプラントにした方が良いと言われたのですが、やはり抜歯しかなのでしょうか?」とはセカンドオピニオンを求めてお越しになられた方の主訴である。問診を進めていくと、問題の歯は数年おきに何度も治療を繰り返しているとのこと。口腔内診査前ではあるが、不正咬合と夜間の無意識時の歯ぎしりが原因で歯の外傷が疑われる内容である。上下の歯が不自然に干渉する外傷が存在すると、硬いエナメル質であってもクラックが入りそこから細菌感染が起きむし歯が進行する、もしくは細菌の感染はないまでも繰り返し自分の体重と同じか1,5倍の力が掛かることで歯の神経が興奮し、疼く症状が生じるようになる。仮に抜歯を行い同部位にインプラントを埋入したらどうなるかを考えて頂きたい。勿論食べ物を咬める状態にはなりますが、デメリットはどのようなことが考えられるのか。かみ合わせが変わっていないのだから天然歯と同様のことが起きても不思議ではないと考えるのが自然であり、そのリスクを下げる為インプラント補綴の形態を小さくしたりはするが、歯が悪くなった根本原因は残ったままである。一方で、抜く必要があると言われた歯であるが神経を抜く治療を受けている歯であり、レントゲン診査では不良根管治療が疑われ、患者さんへのインタビューでは過去の根管治療時に無菌処置を受けていないとのことであった。従ってインプラント云々を話題にする前に、何とかその歯を残すように再根管治療をドクターは試みるべきであり、現状に至った原因を類推して誠心誠意患者さんには納得のいく説明を行うべきである。保険診療ではそこまで説明する時間を確保できないという開業医の声を聴くことがあるが、保険のルールを守るのか、患者の歯を守るのか、判断は患者さんにしてもらえば良いというのが私の考えである。

                         2024,7,22

大谷翔平選手からの学び

  明治の作家・斎藤緑雨(りょくう)という人の言葉に、「拍手喝采は人を愚かにする道なり」とあり、決して自惚れずに自分を律する必要性を教えられた思いである。MLBで活躍している大谷選手は、同僚たちは勿論、他球団の選手や監督たちもその人柄、人間性の良さに魅せられており、ご両親がどのような子育てをされたのか気になるところでもあるが、大谷選手の恩師にもあたる栗山監督は、「自分で考えて自分で答えを出してきたのが大谷翔平だ。」とある雑誌の取材で述べていた。自分で考えてやったことしか、失敗した時にプラスにならないというのは人生経験を積んできた人間であれば分かることでもある。人から言われたことを鵜吞みにしてやっていると、上手くいかなくなったときに本質的に自分のせいにならないので、進み方が遅いのである。従って、常に自分で考えて自分でやってきた習慣が、今の大谷選手を作り上げたのであり、どんなにスーパースターになっても変わらぬ態度でいられる姿からは学ぶべきことが多い。

                         2024,7,21

水が飲めない?

  「水を飲めない子供たちがいるって先生聞いたことありますか?」と朝のミーティングでスタッフに聞かれた。当医院の不正咬合の改善トレーニングをする際の診査においても異常嚥下をする子供達を多く診ているので何を今更聞いてくるのかと思いきや、「先生、そうではなくて水は味がしないので飲めないってお子さんがいるという話です」っていうから当方の頭は???。味がしないから飲めない・・・ということは普段から何を飲んでいるのか。喉の渇きをその都度ジュースやスポーツドリンクで潤しているとしたら糖分の過剰摂取のみならず、口腔衛生予防的にも全く勧められる話ではありません。3歳未満のうちに甘い物を口にすると子供は甘いものを欲するようになりますので、幼児がいらっしゃるご家庭では気を付けて頂きたい。食事の際に飲み物を用意すると、口に入れたものをしっかりと咀嚼するまえに飲み物と一緒に流し込む習慣が身に付いてしまうお子様も見受けられます。それは異常嚥下を引き起こす原因の一つにも成り兼ねますので正しい口腔機能の獲得という点では要注意であり、何度も咀嚼することで唾液もたくさん出てきますので、食事中は食卓にコップの用意は必要ありません。喉が渇いて飲みたいのであれば、食事の前後に摂らせるようにしてください。冷蔵庫の扉にジュースが当たり前に揃っているなんてことはありませんか。一日に必要な砂糖の摂取量をご存じであれば、食生活習慣は自ずと改善されます。

                         2024,7,20

抜歯したら良くなりますか?

  「出っ歯だから真ん中の歯を左右一本づつ抜いて歯列を整えれば出っ歯は引っ込みますよ。と掛った2人の歯医者さんで言われたのですが、抜くしかないのでしょうか?とは、4年生の女の子の咬み合わせが心配でお越しになられた親御さんの主訴である。外見的には間違いなく出っ歯であるが、そのようになった原因は何か?中間の歯を抜いて前歯を後ろに引っ込めたら見た目は出っ歯ではなくなるかもしれないが、出っ歯になった原因が解除、改善されたことになるのでしょうか。口腔内写真撮影、口、表情筋、嚥下の動きを動画撮影することで、出っ歯になった原因が診えてくる。不正咬合の裏に隠れている問題を親御さんには理解して頂かなければならない。ブログの欄で咬み合わせ、不正咬合のことについては繰り返し述べてきているが、歯が萌出する顎骨は舌を含めた口腔周囲筋によって形作られる。筋肉の習癖が存在すれば、その習癖こそが顎の成長発育を抑制しているのであり、鼻詰まりや舌小帯が短ければ舌が口蓋を押す時間が一日を通してほとんどんなく口蓋骨は側方拡大することなく下方へ成長することになり、それに適応するために下顎は後下方に回転し、下顎は上顎に対して下がった格好となり出っ歯のように見えてくるのである。原因が分かればその原因を除去、改善するように子供達が無理なくトレーニングを出来るように我々歯科医療従事者がサポートするだけである。発語障害、構音障害、気道閉塞、猫背、睡眠呼吸障害、気管支喘息及び気管支喘息のような状態と口腔周囲筋の習癖は密接に関係しており、我々はそのような視点で子供達を診ていかなければならない。

                         2024,7,19

観察眼

  「左下奥から2番目の奥歯(6歳臼歯)を抜いてインプラントにしてから左側で咬みにくくなった。それ以前には一番奥の歯(7番目)を抜いて、親知らずを抜いたところに動かして使っている」と患者さんの説明。臨床医はこの説明からこの方の口腔内の状態、現状に至った経緯を類推できなければならない。なぜ左下の一番奥の歯を抜くことになったのか。更にその数年後には、その手前の6歳臼歯までも抜く状況になったということは、抜歯に至る根本原因がこの患者さんの口腔内もしくは顎顔面骨格にあると思考回路が働かなければ問題解決には繋がるまい。大概は問診時の患者さんの表情、しぐさを診ているとそこに問題解決の糸口がある。口唇、表情筋、舌そして唾を飲みこむ嚥下に長年身に付いた習癖がある。骨は筋肉によって形ができ、その顎骨の上に歯が並ぶので、骨が大きくなければ歯は並びきらず叢生(重なること)になり、自分ではコントロールできない睡眠時のブラキシズムによって不正咬合のある歯には不自然な力の干渉が生じて歯が欠ける、割れるということが起きる。そもそも不正咬合が当たり前に起きている現象を疑問に思わない歯科医が多すぎること自体が問題であり、歯を抜歯したらインプラントを埋入すれば問題が解決すると思い込んでいるようでは、いつまでたってもインプラント市場は拡大するばかりであり、一生涯自分の歯で過ごしたいと願っている患者さんの真の期待に応えることは出来ないだろう。


                         2024,7,18

超サプライズ

  歯列矯正治療でお越しになられている本日最後の患者様と年齢の話になり、「〇〇さん、そういえば今日で私の年輪が増えましたよ~!」なんて会話をしながら治療が終わり、受付での会計も終わってお帰りになったのですが、掃除をして入り口のシャッターを閉めていたら、「先生~、おめでとうございます!」と言ってその方がケーキを片手に診療室の戻ってくるではありませんか。スタッフ一同超サプライズで、更には“お誕生日おめでとうございます!”の襷のおまけつきと来たから一同大爆笑!毎月の矯正治療も大変なはずなのに、そんなお心遣いに私たちスタッフの心は幸福感に満たされました。日頃から患者さんとの出会いを“一期一会”の思いで接してきたこと、“歯ではなく人を診る診療”を継続してきた思いが、患者さんにも伝わっていたのかなと思わされた瞬間でもあった。患者さんと一緒に笑える、笑顔でいられることは、医療に携わる人間としてこの上ない喜びであり、心の奥底までその余韻が残こる。歯科医療人としてはまだまだ発展途上の身であるだけに、少しでも多くの方の悩み、不定愁訴を改善できるよう、これを励みに更に精進に努めたい。


                         2024,7,17

歯科医療の質

  歯科医療はいつから「木を見て森を見ず」になってしまったのか。それとも何十年も前から日本の歯科医療は「歯と歯肉」しか診ようとしてこなかったのか。そんな疑問を投げかけられるような初診患者が続くのは、やはり日本の歯科保険制度、歯科医療の在り方を根本的に改善すべき時に来ているのではないでしょうか。「歯医者に掛かるほど口腔内の状態が悪くなっていく。」と実感されている患者さんは少なくない。“う蝕の洪水”と言われた昭和30年代~40年代時代は、ある意味歯科治療は質よりも量をこなさざるを得ない背景もあったのかも知れないが、現代においても数を捌かなければ保険点数を上げられないなどという考えが歯科医にあるとすれば、それはモラルの問題以外の何物でもないと言っても過言ではない。主訴を抱えた患者の問題解決に必要なことは、治療を施す前になぜそのような状態になったのかを患者が分かるように説明をするのは当たり前だが、患者本人がご自身で説明できるぐらいまで理解するのを待つことである。その過程がないまま治療に入るから歯医者不信が募るのであり、納得のいく説明が出来ないのであれば治療をすべきではない。従って一人ひとりに割く時間は十分必要になり、治療においても極めて精密な治療を提供するのであればそれなりの時間を確保する必要がある。となれば一人の歯科医が1日に診察できる患者数は自ずと限られてくるわけで、健全な医院経営を成り立たせるためには自由診療に移行せざるを得なくなるのは当然の成り行きではないだろうか。例えば上限1日8人の患者数を診る歯科医院と、20人診る歯科医院があったとする。労働時間が同じであれば一人の患者に割く時間はどうなるか、考えて頂ければ答えは出てくるはずである。抜歯が必要と診断された歯でも、丁寧な診査診断、時間をかけた精密な治療によって救われた歯は数多い。人間同様に質が問われている。


                         2024,7,16

治療を繰り返す原因は?

  先日お越しになられた方の悩みは「今まで歯にはお金をかけて治してきたが、いつまで経っても歯医者通いが終わらない。奥歯のセラミックは何度やり替えたか分からない。有名な先生と言われるところでも治療を受けたが、それでも被せ物が何度も外れてくる。」という内容であった。問診では身体の不調を訴える様々な症状があり、経験則ではあるが不正咬合由来の全身症状の疑いが非常に高い。通常通り口腔内写真撮影、歯周組織検査、マイクロスコープを使った個々の歯の診査、レントゲン診査、そして舌の可動域診査まで行い、診断内容と現状に至った原因をスライドも用いて説明をさせて頂いた。決して難しい説明ではなく、なぜ不正咬合になったのか、歯軋りはなぜしてしまうのか、奥歯の治療は繰り返し行うけれども前歯の治療痕がないのはなぜなのかを、順序立てて話をさせて頂くだけである。その中で腕がしびれる、片頭痛が起きる、首肩凝りがひどくなる原因を頭蓋顔面発育障害との関連から解いていくと、患者さんの今までの疑問がクリアされ、「なぜ今まではそのような診方をする歯医者さんに巡り合わなかったのか?」と言葉を発するようになる。そこから先、当医院で治療を受けるかどうかは次のステージの話であり、先ずは原因、もしくは原因と思われることをご自身でしっかりと理解することである。治療の目的が元通りにするということであれば、当医院では承ることは出来ない。現状よりも悪くなる速度を遅くし、出来るだけ予後が良くなる治療を望むのであれば、何度も治療の進め方を確認したうえで先に進めるようにするだけである。

                         2024,7,15

日頃の言動と行動

  咬み合わせトレーニングにお越しになられる親子の待合室での会話ほど、普段の親子関係が見えてくるものはない。「両親の人格は、行動を通じて子供の人格に反映する。日々示される両親の愛情や規律、勤勉や自制心などは、耳から学んだ知識を忘れ去った後も子供の心に生き、その行動を決定する。親の無言のふるまいや無意識のまなざしでさえ、時には子供の性格に一生ぬぐいがたい印象を植え付ける。すばらしい両親の生き方を思い出して悪の誘惑を断ち切った人間は多いはずだ。彼らはおそらく、恥知らずな行動に走ったりいやらしい考えにふけったりすれば、両親の美しい思い出を汚すことになると悟ったに違いない。」ーサミュエル・スマイルズ著の中の一文であるが、親に限らず人間の言動は、あとあとまで何らかの形で他人に波及していくのであり、我々の生活に多少とも感化を及ぼし、知らずしらずのうちに影響を与えている。社会はお互いが持ちつ持たれつの関係にあること捉えると、各人の行動の善し悪しが、現在はおろか将来の国民の幸福感、社会の繁栄を左右していくと考え、常日頃から言動、行動には気を付けたいものである。

                         2024,7,14

都知事選から見えてくるもの

  先日の都知事選はメディアの影響もあってか投票率は2012年以来の60%越えとなり、報道によれば無党派層や若い世代の投票率が伸びたとのことである。各候補者も一昔前のような選挙カーに乗って声を張り上げて名前を連呼するといった光景はあまり見られず、ネット、AI、そしてyou tubeなどに誘導して有権者に自身の考えを訴える新しいスタイル形式に変わってきている。特に20代、30代ではyou tubeによる視聴が40%以上もあり、選挙である以上は候補者の政策マニュフェストが重要であることは勿論であるが、情報の発信力も票の獲得を大きく左右する要因になってきている。今の世の中は変化の速度が速く、そこに適応出来なければ進化論的には衰退するのみであり、失われた30年と言われてきたが、この選挙をみても、今まで同様に維持すべきこと、新しく取り入れる・始めるべきこと、やめるべきことの整理・断捨離が上手く進まないようでは、有権者には考えも思いも伝わらないようである。年齢に関係なく柔軟な思考、先進的な捉え方を意識して生きているかどうかが自身を輝かせる要因でもあるようだ。

                         2024,7,13

歯の移植

  「引っ越し先の歯科医院で診てもらったら、抜いてインプラントを考えた方がいいと思いますよ。入れ歯は嫌でしょ?と言われたのですが、他に方法はないのか、抜歯は避けられないのか、セカンドオピニオンで診て頂けないでしょうか?」という以前問い合わせを頂いた方の歯の移植手術が無事終了した。抜歯したらインプラントをする?まるで方程式のような考え方が歯科界に蔓延してはいないか。当方の感覚では安易に抜歯をしてしまい、何とか歯を保存するといった熱意をもって最後の最後まで歯の保存、延命に時間をかける診療が行われなくなっているように思えてならない。インプラント治療を否定するつもりは毛頭ないが、インプラントが歯と全く同じ機能をすると思ったら間違いであり、インプラントを選択する場合のメリット、デメリットをしっかりと担当ドクターから説明を受けて頂きたい。天然の歯との違いは人工物であるので感覚受容器が備わっているわけではないので、嚙めるけれども違和感がある、という患者さんの声は少なくない。智歯(親知らず)が残っていれば抜歯する歯にもよるが、移植することで十分な機能回復をされている方が当医院にも多くいらっしゃる。統計をとっているわけではないが、開業以来20ケース以上は行っており、残念ながら予後において抜歯せざるを得なくなった移植歯は1本だけである。当医院の症例からも歯の移植は欠損部位を補う有効な治療法であり、是非インプラントの前に可能であれば検討して頂きたい。但し理解して頂きたいことは、抜歯する歯のそこまで悪くなった根本原因は何かを先ずは理解する必要があり、かみ合わせが主因であるならば、移植歯であってもかみ合わせを変えない限り、歯を失うリスクは残存することになる。

                         2024,7,12

美しさとは

  立ち居振る舞いの素敵な方を前にすると、こちらも背筋が伸びるような心持になるものである。“美しい”という表現は実に素晴らしく、先日のブログにも載せましたが、「物事の判断をするときに、その決断に至った最後の判断を美しいか美しくないかの切り口でもう一度考えてみると間違いはない。」というのは実感であり、この品を感じる“美しい”に勝る言葉が見つからない。4月にシンポジウム参加のためソウルを訪ねた時、街中の美容に関係する看板やショップの多さに驚いたが、人は外見も大事だが中身、内面が美しくなければ真の美しさを感じることは出来ない。美しい容貌が強調されるクレオパトラも、人を虜にする本当の魅力は知性や社交性にあったという。外見だけでなく、やはり目に見えない内面の美しさを磨くことが大事であることの証でもあろう。化粧は簡単にできたとしても、内面を化粧することは出来ない。自分と向き合い、自分を深く掘り下げなければ内面の輝きは相手には伝わらない。日頃から美意識に基づいた行動規範があるかどうか、確認されたい。

                         2024,7,11

求人募集

  診療時間中にも拘らず「〇〇という求人を扱っている会社なんですが、今現在歯科衛生士、助手などの方を募集されていますでしょうか?」などのしょうもない問い合わせが後を絶たない。こういった背景には、人の採用がうまくいっていない歯科医院が多くなってきていることがあるのでしょう。これは歯科医院に限ったことではなく、現代の日本社会が抱える構造的な問題が様々な業種の多くの企業や医院に投げかけている現象とも見て取れます。郵便受けには、「あなたに合った仕事や職場が必ず見つかります」などの転職を奨励するかのようなチラシが配布されたり、ネット上にもその類のサイトがみられます。では理想とする職場環境はいかなるものでしょうか。大企業、零細企業問わず、組織である以上は人間の集団ですので、組織に属する人間が共通の美意識を持ち、それを高めようとしない限り、ビジョンだけが独り歩きしても全く意味を成しません。働く人々の価値観の重なり部分を如何にして大きくし、且つその純度を高めていくことをすることで、経営者も従業員も満足する職場になるものと考えます。例えば最先端のIT関連の仕事に就き、業績向上に貢献できてさえいれば良いのでしょうか。社会人としての礼節に欠けていたり、品格のある行動がとれていなかったりといった、人間としての基本ができていなければ、少なくとも日本社会の中では評価されないのではないでしょうか。日本社会がいびつになってきた原因が、人材採用にまで影響を及ぼしている。

                         2024,7,10

脱プラから

  軽食を食べに入った店で出された器はすべて“脱プラ”ということで“紙パルプ”から作られた食器であり、スプーンやフォークも木製のもので統一されていた。紙や木製であればCO2対策にもなるのか・・・。木材の伐採に繋がることを考えたら脱プラのために何をしているのかという話にはならないか。エネルギー、環境、食糧など世界が共通して抱える問題を、社会の末端で生きている我々にできることは地道にゴミを減らすことであり、再生エネルギーを有効活用することになろう。便利な世の中になったことは、時間の有効活用などあらゆる面でプラスに作用することは間違いないが、取り返しのつかない地球環境破壊が進み、毎年のように異常気象が観測されている。国連事務総長の“地球が沸騰している”との言葉の重みとは裏腹に、全世界でCO2削減に向けた動きが鈍っている。アメリカの大統領候補の一方の方は、気候変動問題など存在しないという有様ですから、世界が一つになれるのは、常識、良識、そして見識が備わっていることである。

                         2024,7,9

道半ば・・

  先日友人からドジャースの大谷選手がホームラン(27号)を打った瞬間の写真が添付して送られてきた。少し鮮明さに欠けていたので、なぜテレビ画面を撮影しているのか不思議だったが、いやいや彼はドジャースタジアムに赴いて生でビッグフライを観ていたのだ。早めの夏休みをとって観戦しているとのことで、当方の学生時代の頃を思えばMLBも随分と身近な存在になったものだと思わされた。社会人一年目の年に野茂英雄投手がドジャースに入団してトルネード旋風を起こしてから約30年が経過した。当時の野茂投手のコメントに“Challenge yourself.

Otherwise, you can not accomplish anything ! ”とあり、社会経験のない自分に重ね合わせて業種は違えど理想とする歯科医師になるためには一切妥協は許さないと誓ったものだ。日本人初のメジャーリーガーは村上雅則さんと記憶しているが、その後の日本人選手のMLBでの活躍を見れば、野茂さんが海を渡らなければ今の大谷選手の活躍する姿はなかったかもしれない。一度出来上がったシステムなり治療法を変えていくにはエネルギーと信念が求められる。日本の歯科医療は変革期にあり、目指すは8020(80歳で20本歯を残す)ではなく8028である。当医院はその形が出来つつあるが道半ばでもある。

                         2024,7,8

常識、良識、見識

  英国で14年ぶりの政権交代が起き、新首相のスターマー氏は「パフォーマンスだけの政治は終わりにしよう。先ず第一に考えるべきことは国の在り方であり、党のことではない。」との名言とも言える決意を表明した。どこかの国の政治家諸君に聞かせたい。都知事選の候補者たちの演説は今夜20時で終わるが、中身のある実現可能な政策を訴えることは出来たのか。また有権者たちの選択基準は何処にあり、何をもって候補者たちの品定めをするのだろうか。今の世の中、自己アピールの上手い方や、兎に角目立てば何をやってもいいという良識の欠片もない輩の立候補者を目にすると、幼少期の躾はどうだったのか、教育の荒廃が国の荒廃に繋がることを示しているように私の目には映ってくる。パフォーマンスが良くても実行が全く伴わない無責任な政治家も多く見てきた。常識、良識、そして見識のある方が東京都の顔としてメトロポリタンを導いてくれるはずであり、選ぶ側にも常識、良識そして見識を求めたい。

                         2024,7,7

他科との連携

  鼻閉があれば口呼吸になり、舌は口蓋から常に離れてしまうので舌圧による口蓋骨の拡大、上顎骨の前上方への成長が抑制され、結果的に頭蓋顔面骨格の発育障害が生じることになる。従って、歯並びが悪くて歯列矯正治療を考えている親御さんには先ずお子様の鼻詰まりが日常的にないか確認して頂きたい。歯列不正の原因は口腔内にあるのではないという視点で考える必要もあり、全身発育の中の口腔育成という当たり前の考え方が重要である。扁桃肥大があるので摘出手術の可否を紹介先の耳鼻咽喉科にて診てもらったところ、アレルギー性鼻炎があるので先ずはそちらを優先しましょうということになり治療を始めたところ、鼻の通りが改善したことで口唇を閉じられるようになり、舌の貼り付けも難なくでき、前のめりの姿勢も改善し始めている。鼻閉が改善されれば鼻を通る気流も変わり、扁桃肥大も刺激が軽減されることで縮小することはスタンフォード大学の睡眠歯科学のグループが論文ベースで発表している。不正咬合の改善には耳鼻咽喉科との連携が益々欠かせなくなってきた。

                         2024,7,6

抜歯矯正?

  「9歳の子供なんですが、歯を抜いて歯列矯正するしかないと言われんですが‥‥。歯並びを改善するには他に方法がないのか診て頂きたいのですが?」という問い合わせが本日も2件あった。最近はこのような問い合わせが多く、通常の初診受付は1年近くお待ち頂いているのだが、子供の場合は成長が進んでしまうので先ずは優先的に診察をさせて頂くようにしている。歯並びが良くないから歯並びを改善させたいという気持ちはよく分かるが、並びだけ揃えるのであれば方法論はどうあれ綺麗に並べさえすればそれで良いということになるが、果たしてそうだろうか。親御さんに考えて頂きたいことは、なぜ歯並びが良くないのか?なぜ歯が顎に入りきらないのか?不正咬合の原因は何処にあり、そのまま放置したら何が問題になるのかを先ずは理解して頂きたい。簡単に説明をすると、9歳ぐらいまでに下顎の前歯4本は乳歯から永久歯に生えかわるが、永久歯は乳前歯の2倍ぐらいの大きさをしているので、顎が大きく成長発育していなければ永久歯4本は入りきらないのである。つまり、前歯の叢生(歯の重なりのこと)がある場合には、顎顔面発育障害(顎の発育不全)が起きていると考えるべきであり、抜歯したところで顎が小さくなった原因がなくなるわけではない。口呼吸、小児の睡眠障害、ADHD、成人になってからの腕のしびれ、腰痛、脊柱管狭窄症などの原因と不正咬合が関係しているという目で診断、洞察するのとしないのとでは、治療に対する考え方が異なるのも当然の結果かもしれない。治療に限らず何事も決めつけてしまうことは視野を狭くすることになる。なぜ、なぜの疑問がなくなった時には世の中から歯医者が必要とされなくなる時でもある。

                         2024,7,5

43年の月日

  当方が中学生時代に不安な気持ちしかない状態で成田空港から一人でアメリカに飛び立ってから43年が過ぎた。当時夏休みの2週間をウィスコンシン大学に留学中であったご夫婦にお世話になったのだが、昨晩はそれ以来の再会となる感動的な時間を過ごさせて頂いた。数日前から妙な緊張感を覚え、アルバムに保存されている写真を見ては当時を思い出し、貴重な体験をさせて頂いたことに改めて感謝の思いが込み上げてきた。待ち合わせ場所には予定よりも早く到着し、その場で待っている時間が長く感じられたため一旦その場を離れ、改めて戻るとご夫婦が・・。涙腺崩壊となるかもの心配をよそに満面の笑顔で対面できたことに安堵し、43年の年月を感じつつも人生の年輪を重ねることは感情と想いを豊かにすると実感した。ご夫婦は重たいにも拘らず当時のアルバムを持参してくださり、記憶の奥底からお互いが忘れていたシーンが映画のように蘇り、あの時のあの言葉、ガス欠でガソリンスタンドまで歩いた思い出話などで、耳にしたことのある懐かしい笑い声と語りで私の心は満たされた。余韻に浸りつつも、今後は人生の先輩としてご指導を頂きたいと願うばかりである。

                         2024,7,4

診査診断

  「なんで今まで掛かっていた先生はそこまで説明をしてくれなかったのですかね?何も言われなければ患者は分からないですよね・・・」。歯が頻繁に欠けるのでかかりつけの歯科に掛かって治療をしてもらっていたが、同じところが2週間もするとまた欠けるということを繰り返していたというのである。“There is a reason for everything!”の教えの通り、必ず原因があるのである。きちんと診査診断さえすればその解は必ずあり、それをしっかりと患者さんが分かるように説明を先ずはしなければならない。なんら特別な技術が必要なわけではない。しかしひとり一人の患者さんと向き合ってプレゼンをする時間が多くの歯科医療現場では省かれており、保険診療の枠の中で医院経営を成り立たせるためには結果的に患者数を捌くということが行われているのが実情ではないだろうか。1日5~6人の診療時間枠を設けて診察、診療を行う医院と、20人を診る医院であれば、ひとりの患者さんに割く時間がどうなるかは言わずもがなである。歯科医療の予防先進国であるスウェーデンでは、一人のドクターが1日に診察する患者数は4~5人と数年前に受講したセミナーでは聞いたことがある。15年ぐらい前の院内視察旅行で伺ったドイツの歯科医院でも、一人のドクターが診る患者さんは限られていた。すべての患者さんから尊敬されるようなっ歯科医療従事者になるためには、世の中から歯医者がいなくなっても誰も困らないような環境を整備することであり、はじめから無理と思って笑っているような歯科医師とは目指す方向性はいつまで経っても平行線のままである。

                         2024,7,3

紙幣

  買い物時のキャッシュレス化に伴い現金の取り扱う機会が減っては来ていますが、釣銭を新札で頂けたときにはなんとなく気持ちも綺麗になったような気になりますよね。当医院も開業以来釣銭は新札を用意しておりますが、20年ぶりの新紙幣発行に伴い、ここ数日前から銀行窓口での新札への両替が出来なくなっています。今日明日の用意はあるのでなんとかなりそうですが、明日、実業家であり近代日本社会の創造者と呼ばれた渋沢栄一、女性の地位向上と女子高等教育に尽力した津田梅子、そして近代日本医学の父である細菌学者の北里柴三郎の肖像が印刷された新紙幣が発行されます。過去に二度の新札発行を経験していますが、当方が子供の頃の一万円札は聖徳太子が印刷された今より一回り大きい紙幣でしたし、500円札も出回っていました。さすがに100円札は使ったことはありませんでしたが、地方では100円札が流通していたところもあり、4歳年上の兄が修学旅行先でお土産を購入したお釣りの中に100札が混ざっていて、帰宅後見せてもらった記憶があります。世の中のキャッシュレス化の流れは加速するのでしょうが、今から20年後にはまた新紙幣が発行されるのかどうか、紙幣そのものの存在がガラパゴス化と言われてしまうのか、20年先は全く予測もできないですね。

                         2024,7,2

時間と真実の瞬間

  今更ですが、時間の使い方次第で物事の捗り具合が異なると最近実感した。当方が大学を卒業したころに英語の文献を手に入れるには大学の図書室まで行き、その文献があればコピーをして持ち帰るしか方法がなかったが、今では複数の医学論文検索サイトがあり、ネットさえ繋がればどこにいても瞬時に目的の論文に辿り着くことが出来き、通勤電車の中でさえスマホで簡単に検索することも簡単である。ある講師の方は30分の移動時間があれば2~3件の文献に目を通し、日常の臨床の疑問をそこで解決することも可能であるとさえ言いきっている。さすがに小生にはそれほどの能力は備わってはいないが、通勤時間の文献探しは非常に有効である。なにせ降車駅までの限られた時間内での文献抄読は集中力が違う。臨床医である以上はエビデンス(科学的根拠)に沿った治療をするのは勿論であるが、エビデンスがなければ臨床が出来ないというものではない。臨床とエビデンスの間に存在するのは経験値であり、3つが上手くリンクして機能した時には良好な結果が得られている。臨床に携わって約30年が経過するが、これからの臨床が今まで以上に充実したものになる予感がするのは一人ひとりと真摯に向き合ってきたからに違いない。経験値をフィードバックして次に生かすことで、真実の瞬間の階段を登り続けることが出来るのである。

                         2024,7,1

インソール

  体幹の歪みが数年~数十年をかけて腕のしびれ、側弯、腰痛、さらには脊椎管狭窄症まで引き起こしていることは、体調を崩した経験のある方であれば頭ではなく身体で理解できるのではないでしょうか。その体幹の歪みの有無を知る簡単な方法は、普段履いている靴の踵(かかと)の擦り減りの左右差である。勿論、完璧な体幹を維持されている人がどれぐらいいるのかという話になるかも知れないが、不正咬合同様に若い10代、20代の頃に歪みを発見できれば、今であればプロのトレーナーの指導によって本人の意欲次第で身体の補正が可能である。その一助になるのが靴に敷くインソールであり、このインソールも市販のものではなくパーソナルに作製したものでなければ求めるものまでは得られないことは言わずもがなである。20年ほど前に「足病学」という活字を目にし気にはなっていたが、当時は歯科医学とは無縁との認識でしかなかった。米国の数少ない理学療法士の資格を持ち、都内でインソール作製を行う当医院の患者様でもある方のオフィスを尋ねた。約2時間かけてインソール作製希望をされた方の脚の動き、足裏の特徴、腰の動きなどを細かくチェックし、脚の各所にテーピングを貼っては歩行を繰り返すといった一見すると地味な作業を何度も行う徹底ぶりである。そこまでしなければ本来の正しい脚の付き方を補正できないのかと考えさせられたが、裏を返せば現代人はあまりにも脚そして体幹について無頓着、無関心過ぎるとも思えた。毎日酷使している足腰を労わると同時に、普段履いている靴を手に取りインソールが必要と思われる方は一度お試しあれ。


                         2024,6,30

自動音声

  電話の自動音声にはどうも慣れない。以前であれば、「大変お待たせしました。・・・」と係の方が電話口で対応していたものが、世の中の流れ、悪質なハラスメントが増えたからなのか、全く心のない機械応答にストレスを感じる。我々人間がAIに馴染む必要があるのか、AIがより進化して人の心情まで読めるようになるのか。企業や一般家庭にPCが普及し始めて約30年、あらゆる業種で効率化が進み生産性も産業革命の頃とは雲泥の差であり、人間社会にデジタル、AIがもたらしている恩恵は否定しない。ではその裏で失われたものはないか?我々は普段の生活で決断の連続を送っているが、最終的に物事を決める時には理論ではなく心で決めている。その心は心でしか動かない。人との触れ合いが五感を働かし、いつまでも人を若々しくする秘訣でもある。ならば心をどのように豊かにしていくかを、全世代にわたって真剣に考える時機が来ているように思えてならない。

                         2024,6,29

目指せ70代ランナー

 「先生、何だかお痩せになりましたか?」と定期メンテナンスでお越しになられる方に立続けに尋ねられた。実際に痩せたわけではないが、10月末の横浜マラソンに向けて走るだけではなくインナーマッスル強化も行っているからだろうか。スポーツトレーナーからトレーニング用のゴムチューブを使った筋トレの仕方を教えて頂き、普段使わない筋肉を鍛え始めている。フルマラソン完走後は毎回足首や股関節回りが詰まった感じとでもいうのか、これ以上無理すると走るどころか歩くことすら辛くなり、関節周りの筋肉を労わりながら強化しなければ70歳でボストンマラソン完走の目標は達成できなくなってしまう危機感がある。なぜ70歳で?以前、君原健二さんが70歳を超えてボストンを完走したのを観たのが切っ掛けで数年前に目標に据えた。プロトレイルランナーの鏑木毅さんによると、最近は高齢のランナーも増えていて、いったい何が秘訣なのかわからないけれど、いずれの人も自分なりの確固たる走力維持の方法を確立して、自分なりに無理なく強くなるすべを会得しているのかも知れないとのこと。学生時代は走り方など考えたこともなかったが、今では着地の際の足裏の付き方や、ランニング中の姿勢などを意識して走っている。その探求心が失せてきたときには年齢を意識せざるを得ないのかも知れませんね。


                         2024,6,28

小児矯正治療の目的は?

 小児歯列矯正治療の目的は歯並びを綺麗にすることですか?いつ頃からそのような概念で治療をするようになったのか。また、治療を受ける側もなぜ審美的なことしか気にしないのか。歯並びが乱れている、上下顎骨のかみ合わせが不自然である場合、まず考えなければならないのはなぜそのようになったのか、そのまま放置したら何が良くないかを理解することである。John Mew先生の“There is a reason for everything!”、Edward Angle先生のHarmony in the positions of teeth And in the sizes and relations of the arches is further assisted by Another force-namely,muscular pressure.”の言葉にすべての答えが集約されていると言っても過言ではない。不正咬合は顎顔面骨格発育障害の一つの表れであり、顎の発育不全が起きているのである。10歳未満及び前後のお子様は骨格の成長のピークを迎えており、この時期に歯に固定式の装置を装着しワイヤーにて無理やり歯を動かすことは、果たして不正咬合になった根本原因を取り除くことになっているのかを考えて頂きたい。誰々先生がこう言ったから、矯正専門医が・・と言ったから、私は30年前に抜歯矯正治療をしたので‥‥、などお子様の歯列不正を改善させるために迷っている親御様も多いことでしょう。先ずはしっかりと考える時間をとってください!


                         2024,6,27

暑熱順化

 熱中症のリスクを示す「暑さ指数」は気温や日差しの強さに加え湿度も合わせて出されますが、この梅雨時の熱中症は進行の早い真夏とは違い、じわじわと進むのが特徴です。近年の線状降水帯による災害だけではなく、この梅雨型熱中症によって命の危険に晒される方も報告されていますから、注意が必要です。梅雨の時期は洗濯物が乾きにくいのと同じで、汗が蒸発しにくく体温が下がりにくくなります。我々の身体は「暑熱順化」といって、暑さに慣れる為に汗をかく必要があるのですが、普段から運動をして身体を動かしていないと、この暑熱順化に時間(日数)が掛かり、体調を崩しやすくなるのです。小生はランニング歴10年を超えますが、この時期も出勤前の軽いランのお蔭で体調はすこぶる快調であり、汗をかくことの効能が結果として表れているように感じられます。しかし、今日は休診日だったこともあり長めのランに出かけたものの、あまりの高温多湿にペースアップとはなりませんでした。皆さんも日頃から無理のない範囲で運動を行い、この時期はとくに水分補給をこまめに行い、余裕があれば筋肉強化のために良質なたんぱく質を摂るように心掛けてください。


                         2024,6,26

世界の歴史の常識

 1492年にコロンブスがアメリカ大陸を発見したと理解していると、今回のような問題が今後も起きる可能性がある。ある人気バンドが作成したミュージックビデオが差別だと問題になり、公開中止となった件である。コロンブスがアメリカ大陸に到着した時には現地の人が住んでいたわけで、表現するのであれば「アメリカ大陸に到着した」が正しいと池上彰さんも指摘されている。そしてコロンブスは現地の人たちを虐殺して植民地化しているので、現代の世界の歴史の常識としてはコロンブスは非難される存在なので、その人物の名を曲名にした段階で、このグループは国際的な常識がないと思われているのです。業種を問わず世の中がグローバルになってきている現代では、世界史の上でどのように考えられているのかを知らないと、今回のようなとんでもないことになってしまうという教訓にしなければならないでしょう。当方は世界どころか日本の歴史でさえしっかりと把握できていない不勉強ものですから、まだまだ学ぶべきことが山積しているということになりますかね。

                         2024,6,25

自分をもっと深く掘れ

 一昨年だったか、特殊メイクで2度アカデミー賞のメーキャップ&ヘアスタイリング賞を受賞したカズ・ヒロさんの特集番組が放映されていたのを思い出した。名女優オードリーヘップバーンの美しい目元の写真がアップされ、そこからカメラが引いて彼女の顔貌全体を映し出すと、それは写真ではなく彼が創り上げた彫刻作品であり、皺ひとつ、皮膚の下に浮き出る血管までも再現された、観るものに何かを考えさせる作品となっていた。彫刻はオードリーヘップバーンの美しい若き顔と慈善事業に尽くした晩年の顔を再現しており、ヒロさんの言葉では、「顔にはその人の考え、意志、内面的な葛藤が浮き出てくる。その人になり切れないと観る人に語り掛けるような作品は出来ない」とのことであった。私の中では非常に示唆に富む言葉であり、医療に携わる人間としては、症状を抱えてくる患者さんは勿論主訴の改善を目的として受診されるわけだが、薬の処方だけで構わないのであればAIドクターで構わないのである。人には相手の心理まで深く洞察する力が潜在的にあるはずで、それを発揮出来ないようでは温もりのある医療は提供できないばかりか、人間社会が荒んでいくようにするら思えてしまう。自分の生い立ちも含め、何事も深く掘り下げて人生を歩んでいくことが納得のいく人生になるのだと考えさせられた。新渡戸稲造の「自分をもっと深く掘れ」を40年ぶりに目を通してみるか。

                         2024,6,24

不正咬合の原因に潜む問題

 子供の不正咬合は歯並びが悪いのではなく、歯が萌出する顎の発育不全が起きているから全ての歯が顎に入りきらないのであり、不正咬合を改善させるためには歯ではなく顎の成長軌道を本来の状態に戻すことである。先日お越しになられた親御さんからは、「子供の歯が大きいから歯が入りきらない。乳歯から永久歯に生え変わる時期を待って、小臼歯を抜いて歯並びを整えましょうと今掛かっている先生に言われました。それでは駄目なのでしょうか?」と質問を受けた。繰り返しますが、不正咬合の原因は顎の発育不全であり、頭蓋顔面発育障害の一つに不正咬合があるのであり、不正咬合に至った根本原因を放置すると歯並びだけではなく全身への影響が懸念されるのです。歯科領域でいえば顎関節症、全身では頸椎、側弯症、更には放置したことによる成人になってからの脊椎管狭窄症、昨今フォーカスされている睡眠障害とも頭蓋顔面発育障害は密接に関係しています。永久歯が生え変わるころまで待つということは、その間は顎顔面骨格の成長を抑制することになるのです。不正咬合は口腔内の見た目の問題ではないという認識を強く持ってください。

                         2024,6,23

スマホとの向き合い方

 中学生のお子様がいらっしゃる母親から、スマホとの向き合い方に困っていると話を振られた。高校に行くまではスマホを持たせたくなかったが、友達や部活の連絡などもメールやLINEで行われているので渋々持たせるようにしたと。お子様にスマホを持たせると何が不安なのか尋ねると、「けじめなく動画視聴したり、だらだらネットを見てしまうのではないかと思って心配なのです。」との返事。「それがなぜ良くないのですか?」と続けて聞いてみると「・・・?勉強しなくなりそうで・・」。果たしてそうなのでしょうか。当方も経験がありますが、調べものをするつもりが、つい表示されたニュースを読んでしまい、関連するページに進んでいき、気が付くと最初の目的とは全く違うサイトを開いたりします。そして思った以上に時間が過ぎている。ネットの世界にいると、どんどん新しい情報が手に入る気がしますが、時間が経つと頭の中にほとんど内容が残っていないことが多くあります。つまり、ただ何となく情報に触れているからで、自分の頭で考える作業をしていない、つまり受け身なのです。スマホが駄目、ネットが良くないのではなく、この自分で考えることをしないことが大人や子供にとって良くないのですから、お子様にはその点をしっかりと理解させることが必要だと思います。ネットに「使われている」状態ではなく、辞書と同じように「使う」ものとして活用すれば良いのです。

                         2024,6,22

読書から

 知的好奇心が失われない限り人は成長し続ける。1日24時間は誰にも平等に与えられており、それをどのように過ごすかはその人次第である。言えることは「人生は投じたものしか返ってこない」ということであり、そのことにいつ本人が気付き、本気になるかということである。その知的好奇心を満たす一つのツールが本であり、書店である。しかし昨今はそもそも本を読む習慣がなくなりつつあり、ネットの広がりによって断片的な情報のみを抱え、人によっては物事を深く理解する習慣すらなくなりつつあるのではないか。日本の誇るべき教育水準の高さが失われていると同時にあらゆる分野の国際競争力は比例するように失速している。そう日本社会から「大人」が消えつつあるのである。その人がいるお陰で周りの人たちの知性が活性化し、感情が豊かになり、物の考え方が深まるような人はいますか。都知事選の立候補者を目にすると、掲げる政策云々は大事だが、常識、良識、そして見識の有無も選択する側からすれば判断材料になろう。日頃どのような本を好んで読まれているのか、その感想も含めて尋ねてみたら人柄が見えてくるかも知れない。

                         2024,6,21

木鶏

 プロゴルフの中継を観ていると、打つべき目標を定めたら軽く素振りをしてアドレスに入り、迷うことなくクラブを振りぬく選手がいれば、目標を一瞥するもの、ショットを打つまで時間を要する選手もいる。そんな姿からは選手の性格が表れているようにも見えるが、先日の全米女子オープンから帰国したある選手のコメントの中に、「時間をかけると迷うからチャッチャと打ちます。上手くいかなくてもあまり気にしないし、人生そんなもんかなって切り替えちゃうので」というのがあり、若くして木鶏のような境地に近い場所にいるように見えた。多くの選手にみられるガッツポーズや短いパットを外して天を仰ぐこともない。どんな状況も受け入れ、淡々と変わらない姿からは学ぶところが多い。意識してメンタルをコントロールしているのか、またそのようなことが出来るものなのか。大金を稼ぐようになっても「出られる試合には感謝を忘れずすべて出たい」という姿勢には、人を成長させるハングリー精神が見え隠れするようである。

                         2024,6,20

ポプラ綿毛の会

 ポプラの綿毛が芝生一面を覆う初めて見る光景に出くわした。昨年に続き札幌・北大キャンパスをジョギング中、ふわふわ舞う綿毛のようなものが目の前に現れ、地上にソフトランディングするのである。渡辺淳一の「リラ冷えの街」にもそのような描写があったと記憶しているが、なんとも優雅に舞っている。北の大地に足を踏み入れるだけで都会の喧騒から離れ、広い道をただ歩くだけでも解放感に浸れることが最大の魅力であり、白樺の幹は本州で目にする木々よりも太く、ポプラ並木同様に風格すら漂っている。学生時代に戻れるものならキャンパスのない学生生活を過ごした当方にとっては、エール大学を彷彿とさせるような北大キャンパスは憧れでもある。座学だけが学びではないことは、人生経験を積み重ねるほど痛感するものであり、友との語らいや感性豊かな時期の経験は無限の可能性を引き出す切っ掛けにもなろう。20数年来の仕事仲間との年に一度の「ポプラ綿毛の会」は、深夜遅くまで盛り上がった。


                         2024,6,19

気候変動

 当方が子供の頃は天気予報を観てから折り畳み傘を携帯するか判断していたが、今はもっぱらスマホの雨雲レーダーで確認している。随分と便利にはなったが、今日の予報では電車も計画運休をするほどの降雨が予想されている。皆さんもお気付きのことと思いますが、最近は雨の降る様が以前と比べて随分と変わってきた。梅雨といえば関東地方であれば遅くても6月中旬には1週間ぐらいの長雨と肌がべたつく蒸し暑さに不快な日々を過ごしていたが、梅雨入り前に真夏日を迎えたり、線状降水帯による数年に一度と形容されるような局所的に異常な量の雨が降ることが珍しくない。地球温暖化の影響が一因であることは間違いないと思われるが、この異常さに慣れることなく記録的な気候変動に耐え生活していくためには、我々にできる小さなことから変えていく必要もある。世界規模の話を小さな島国だけで何とかなる話ではないが、未来を驚かす温暖化に急ブレーキを掛けなければ、誰も過去を語れなくなるかもしれない。


                         2024,6,18

安易に考え過ぎでは?

 抜歯したら方程式のようにインプラントを勧める歯科医がなんと多いことか。「インプラントを勧められたのですがセカンドオピニオンで予約を取って頂くことは可能でしょうか?」という類の問い合わせが増えてきている。私見ではありますが、インプラント補綴(被せること)をされたからといって、抜歯に至った原因がなくなったわけではありません。歯を一本でも失ったことのある方は今一度立ち止まって考えて頂きたい。なぜ歯を抜くことになったのか。抜いたところにインプラントを入れたら予後においてどのようなことがリスクとして考えられるのか。インプラント補綴物と咬み合う相手方の歯は問題なく維持できますか?インプラント補綴物が装着された前後の歯への力の負担は?歯を失ったあとの機能リカバリーとしてはインプラント、義歯、ブリッジ、場合によっては何も入れないなどが治療の選択肢として挙げられますが、理解すべきことはメリットだけではなく、その方のかみ合わせの場合の考えられるデメリットも理解することです。そして歯を抜くということは一大事でありますから安易に考えないで頂きたい。

                          2024,6,17

人生のスパイス

 「20年ぶりに寄らせていただきましたよ!以前は上司に連れてきてもらったけど、今は自分も年金生活で、このような素敵なBarには相応しい客ではありませんな、( ̄∇ ̄;)ハッハッハ!」と元気に店をあとにされた紳士はなんと88歳とのこと。Barでは客とマスターの会話が弾むと他の客もその話題に加わって盛り上がることがある。話の内容から大手ビールメーカーの役員までされた方と推測したが、畑の違う方の社会経験話はそれだけで知らない世界の一部分を垣間見ることが出来ると同時に、専門職である当方にとっては改めて視野の狭い世界で生きていると実感させられる時間でもある。また、2年間の海外勤務を終えてメンテナンスにお越しになられた方の話からも、現地でしか知りえない情報だったり体験談も聞かせて頂き、そのようなちょっとした人との触れ合いは、その日一日を充実させてくれるスパイスみたいな存在である。

                          2024,6,16

漱石と・・

 夏目漱石の「門」のなかに、「山門に入ると、左右には大きな杉があって、高く空を遮っているために、路が急に暗くなった。その陰気な空気に触れた時・・・」というくだりがあります。約130年前の鎌倉・円覚寺の様子を描写していますが、一世紀以上経っても木々に覆われた境内がひんやりと感じられるのは今も同じです。紫陽花のピークを迎えたこの時期は観光客も多く、昔とは人の様子も山門周辺の風景も変わっているはずですが、時空を超えて漱石と同じ場所に居ると思えることは、心を豊かにしてくれる瞬間です。読書の醍醐味はこのように脳裏に残っている想像で描いたシーンを蘇らせるところにもあり、今でいえば映画で舞台になったところに足を運びたくなるようなものと言えるかもしれませんね。まあ漱石の「三四郎」「それから」「門」の三部作はそれぞれが男女の裏に潜む罪?を描いたような小説でもありますから、何となく記憶に残りやすかっただけかも知れません。

                          2024,6,15

心のバックボーン

 「1ヶ月前に被せてもらったばかりなのに、なんで?しかも○○ぐらい費用かけて治療しなんですよ!信頼していたのにすごくショックです!」とは、妹さんの紹介で当院にお越しになられた方の診察後のコメントである。通常の初診診査であるレントゲン撮影、口腔内写真撮影、歯周組織検査を行い、状態を正確にお伝えする中で、明らかに被せものの不適が見つかり指摘させていただいただけである。当医院にお越しになられた主訴は、「被せものをが装着されたときに違和感がありその旨先生に伝えたが、むし歯が深いので削る形に限界があり仕方がないと言われた。でもフロスも引っかかるしどうも納得がいかなかったので・・・」というもの。このような治療、応対をしているようでは歯科医療現場の信頼は揺らぎ、尊敬どころか信頼を失うばかりである。なぜこのようなことが起きるのか?患者のことを他人事として診ている、いわば倫理観のない仕事をしていることが背景にあるのではないか。当方とて完璧な人間ではないので治療のやり直しをさせて頂くことはある。適合の悪い被せものが装着されると予後においてどのようなことが起きるのか想像して頂きたい。家に例えるなら梁のずれた家屋のまま過ごすようなものであり、時間の経過とともに雨漏りが生じることになる。仕事に限らず生きていくうえでは倫理観というものを見失ってしまったら世の中は混乱することは歴史が証明するところであり、ウクライナ侵攻やガザ侵攻をみても倫理観の欠如が背景にあると言えないだろうか。今の日本に求められているのは確固たる心のバックボーンに基づいた教育、躾であり、人間性を高めることにある。経済優先主義の付けが社会の隅々まで影響してきていることを実感する。

                          2024,6,14

異常嚥下になっていませんか?

 皆さんの嚥下(飲み込み)の仕方は問題ないでしょうか?ブログでも度々不正咬合の原因は舌を含めた口腔周囲筋の習癖にあると述べていますが、不正咬合のある大人も子供も嚥下診査を行うと、上手く唾を飲むことが出来ないケースが多く診られます。中には飲み込む瞬間に顎を下にひいて嚥下する方もおり、大人であれば「最近、何となく物が上手く飲み込めなくて・・・」と自己申告される方もいらっしゃる。スライドを用いて咀嚼から嚥下をする際の正しい動きを見て頂くと、「えっ、私上顎(口蓋)に舌なんて全くついていないですけど・・・」と驚かれる方も珍しくない。正しい嚥下様式が身に付いていないと子供であれば顎が本来の大きさに発育せず、歯が入りきらない不正咬合になり、更には奥舌が口蓋に張り付かないことで誤嚥を引き起こす要因にもなりやすい。加齢とともに誤嚥性肺炎が増えるのは、正しい嚥下が出来ないうえに加齢によって筋力低下することが大きな要因と考えられる。構造的に舌小帯が短いのであれば小帯をリリースしたうえでトレーニングをする必要もある。先ずはご自身の口腔内の状態をしっかりと把握し、舌を含めた筋肉の習癖がないかどうかの診査をかかりつけの歯科医院で受けることをお勧めいたします。

                          2024,6,13

子供の不正咬合

 歯並びが悪いことを主訴としてお越しになるお子様が増えている。一昔前であれば見た目が良くないので子供の歯並びを改善したいという親御さんが多かったが、不正咬合による全身への影響などの情報もネットから得ていると思われるが、姿勢が悪い、口が開いているなどの理由で受診される方が大半である。歯列矯正治療というとワイヤー矯正やマウスピース矯正を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、考えて頂きたいのはなぜ歯並びが悪くなったのかという原因です。不正咬合のお子様は顎顔面骨格が本来の大きさに成長していないことが共通項であり、根本原因にアプローチすることで中顔面、下顔面が適切に成長発育篩顎顔面全体が大きくなることで歯列も改善され、それにともない歯の後方に位置する気導も必然と成長発達するのです。ワイヤーなどのメカニカルフォースで歯を動かすのでは、ワイヤーが除去されたらどうなるでしょうか?治療をすればよいと考えるのではなく、なぜ悪くなったのかを理解することから始めてください。当医院の予約は4~5カ月はお待ちいただきますが、お子様の場合は日々成長してますので、できるだけ早く診査するように致しております。睡眠時に口が開いている、いびきをする、食べるのが遅い、くちゃくちゃ音を立てて食べるなどは、舌のポジション及び舌の可動制限がある表れであり、早期に治療を開始されることを勧めます。

                          2024,6,12

大丈夫ですか?

 米国のある文筆家が残した言葉がスポーツやビジネス界で時々引用されるようである。「凡庸な教師はただしゃべる。良い教師は説明をする。優れた教師は自らやってみせる。そして、偉大な教師は心に火をつける」。中身のない話をもっともらしく話されている政治家はいませんか。言葉巧みに説明する人を見かけませんか。相手の心を動かすには、話し方や伝える内容に知恵を絞る必要はあるが、そこに情熱がなければ本物ではない。広く浅く過ごす生活習慣では、何かを極めるところまでは到達しないことは、凡人であれば分かることであり、何か職業に就いたのであれば、「石の上にも三年」のごとく、脇目も触れず夢中になるぐらいの熱意が欲しい。経験不足から分からないことがあるのは当たり前であるが、考えることなくして質問ばかりをしてくる若者にはどうも辟易してしまう。それが白衣を着た新人であればなおさらのこと。なぜ、どうして、の疑問を真剣に解く姿勢を見たい。

                          2024,6,11

不正はなぜ起きる

 「ブルータス、おまえもかという感じ」という豊田会長の言葉はどこかひとごとのようにも聞こえたが、偽らざる本音だったのだろう。日本を代表する自動車メーカー5社によるいわゆる“不正”は、規定の試験より難易度が高い内容を自ら設定しクリアしており、品質そのものに問題はないとのことだが、事前に定められた基準とは異なるため不正になるとのことだ。悪質な不正ではないことに安堵はするが、信用を売りにする日本企業のデータ改ざんなどの“不正”はなぜ後を絶たないのだろうか。あの渋沢栄一は、何か迷いが生じる度に『論語』を紐解いてそうですが、人は生きていくうえで必ず精神的支柱なるものが必要になってくる。そんな時に求められるのは偏った思想ではなく普遍性のある考え方であろう。以前ブログにも載せましたが、物事を判断するとき、私たちは損得や好き嫌いで決めることが多いが、最後にその判断に基づく選択は美しいのか美しくないのかという切り口でもう一度考えてみた方がいい。美しいと思える選択を行って間違うことはない。

                          2024,6,10

コミュニケーションが希薄になると

 コロナ禍以降、人との非接触が推奨されるようになったことで買い物の際のセルフレジが当たり前になり、飲食店においてもタッチパネルで注文をする形態が増えている。ことはそれで済むので何ら問題はないが、人とのコミュニケーションは社会全体において希薄になってきている傾向にあるように思えてならない。道を行く人はスマホ歩き、隙間時間があればスマホとにらめっこ、何をするにも対人間よりも対スマホの時間が多くなってきているのが現代社会で生きる人の姿であり、当方にとっては非常に違和感のある慣れない社会現象である。アップルの創業者である故スティーブジョブズ氏が、自分の子供には決してipadを使わせなかった話は有名であるがそれはなぜか。ネット社会前後の社会環境と人間の内面の変化を詳細に分析してみればそこに答えが見えてくる。すでに脳科学者たちは早い段階からスマホの低年齢児への影響を指摘してあり、人間は人との関わりの中でしか精神の健全な発達はないものと今一度立ち止まって考えてみる必要があるのではないでしょうか。

                          2024,6,9

不正咬合は成長発育不全の現れ

 “舌は呼吸器官である”とある大学の臨床教授が述べられていたが、当医院においてもお子様の舌小帯短縮症の切離術を行うことで深い睡眠をとれるようになったという親御さんがいる。朝は起こしに行かなければ決して自分から起きてくることはなかったが、今では“おはようございます!”と言って起きてくるようになったのと、テニススクールで準備運動をしているだけで冬でも脂汗を直ぐに掻いていたのにそれもなくなったとのことである。正しい口腔育成のためには舌が口蓋に張り付くことが大前提にあり、舌小帯異常があると舌の可動域制限が起きて顎骨が本来の大きさに成長しないので、結果として顎顔面発育障害へとつながる。睡眠医学の大家である故ギルミノー先生は、“顎顔面発育障害は睡眠呼吸障害を引き起こす”と述べており、正しい睡眠がとれなければ子供にとってひつような成長ホルモンも分泌されなくなることから、舌小帯異常(短縮症)⇒頭蓋顔面発育障害⇒睡眠呼吸障害⇒成長発育不全、の構図が出来上がる。従って、不正咬合を有しているお子様は、見た目の歯並び云々が問題なのではなく、成長発育不全を起こしている可能性が大いにあるので、不正咬合及びそれに至った根本原因、および代償性原因を取り除くことが求められている。

                          2024,6,8

正しい口腔機能の獲得と改善を!

 お子様の姿勢が悪いから注意する、食事をする際にクチャクチャ音をたてて食べるから注意する、よく転んでけがをする、などは決してお子様が悪いのではありません。そのようになる原因があるからなるのであり、それが身体の機能の問題であるならば、出来るだけ早期に改善しなければ身体がその状態に適応し、その代償反応としてさらなる体幹の歪み、自律神経系の乱れに繋がることは、成人のかみ合わせの悪さと諸症状の現れを診ることで容易に推測できる。但し、そのような診断の目を持たなければ目の前の問題を見過ごすだけでなく、臨床の幅が広がることもない。歯科は新たなフェーズに突入していると実感している歯科医師仲間は増えており、エビデンスがないからと立ち止まっているべきではない。普段からお口を閉じて鼻で呼吸が出来ていますか?舌は口蓋に付いていますか?唾を飲み込む際に、頬や口唇周りが緊張していませんか?お子様だけでなく、成人の方でも咬み合わせの良くない方は、上記に挙げたことが共通して診られることが多くあります。舌が持ち上がらなければ誤嚥にも繋がり、命に係わる問題です。口腔機能が正しく機能しているかどうか、お近くの歯科医院でチェックを受けることをお勧めいたします。

                          2024,6,7

健康体の維持

 早朝5時頃は涼しくランニングをする者にとってはベストな気候になってきた。約11年、最近は毎朝とはいかなくなったが毎月80~100km走行をノルマに挙げて何とか継続中ではあるが、足底腱膜炎、股関節の違和感など身体の各所が悲鳴を上げている。身体のメンテナンスも欠かすことはできないが、それはそれでスポーツトレーナーなどプロの力も借りるが自分なりにストレッチや筋膜リリースなど若い頃には考えたこともないことを学ぶ機会を得たと前向きに捉えている。それにしても50歳を境に身体の変調は来るものだとつくづく実感するが、開業20年を過ぎると当医院の顧客でもあるメインテナンスでお越しになられる方々もそれなりのいいお歳になり、歯のメンテナンスにも拘らず身体のメンテナンスの話で盛り上がっているから歳を取るのも悪くはない。脳の老廃物であるアミロイドβは十分な睡眠によって除去し、運動後はすみやかにタンパク質、炭水化物を摂取することで筋損傷を修復できれば、理論上はそれなりに健康を維持できそうなものだが、そうは上手くいかないのが人の身体である。

                          2024,6,6

乳幼児の舌小帯短縮症

 歯科医院を受診する生後間もない乳幼児はほとんどいないが、生後1週間ぐらいで歯科医師による舌小帯、上唇小帯の診査診断を真剣に考える時期に来ているのではないか。赤ちゃんが母親のおっぱいを吸えているから問題ないわけではなく、きちんとした吸啜、乳児嚥下が出来て始めて正しい口腔機能が働くのであり、舌を含めた口腔周囲筋が顎顔面骨格を形成することは、以前からブログにも載せてきた。赤ちゃんの体重が増加しない、浅飲みになっている、乳腺炎を繰り返す、などが見られる場合には、舌の裏側(舌下面)にある舌小帯が短く舌の可動域が制限されていることに原因があることが多い。その場合には通法に従って舌小帯の膜(筋肉ではない)を切離することで、締め付けられたような舌の状態を開放することが出来る。乳幼児に限らず国民の多くにみられる口呼吸、いわゆる“お口ぽかん”の原因の一つは舌小帯短縮にあり、睡眠呼吸障害とも深く関係していることが分かっている。また舌の可動制限がある人ほど夜中の歯ぎしりが強い傾向にあることも、睡眠歯科学のAudrey yonn先生が来日された講演の中で述べておられた。これだけ舌小帯短縮症による身体への影響が分かっているのであれば、この現状を国民に周知していく義務が医療に携わる者にはあると考えるが、なぜかハードルが高いのが現実であり不思議でならない。

                          2024,6,5

原因の追究こそ

 8か月前から原因不明の腕のしびれに悩まされていたご婦人が紹介でお越しになられた。整形外科では頚腕症候群と診断を受け定期的にリハビリに通うものの良くなる傾向はなく、次第に片頭痛にも悩まされるようになり脳神経外科を受診するも特に異常はないとの診断を受けたとのこと。診療室に入室してくる歩き姿勢から体幹の悪さはすでにあり、顔貌所見からも気道確保のための下顎の後退が見て取れる状態である。人の身体は適応と代償という関係で診ていくと、50歳前後までは体幹の歪みが存在しても身体のフレキシブルさもあってそれなりに適応できているが、ある限界を超えると身体が悲鳴を上げて症状となって表れてくる。それがまさに根本原因を放置していたことによる代償反応であり、その原因が口腔内、つまり不正咬合・かみ合わせにある場合がほとんどではないかと思わされるぐらいである。歯科医師として咬み合わせが全身に影響を及ぼす過程を患者さんの現状に至った経緯を推測しながら説明をさせて頂き、患者さん自身がご自身の治療履歴と照らし合わせて当方の説明とオーバーラップすることで、初めて診断内容に納得するものである。ドクターの見立てに疑問が残るのであれば、そこで治療を受けるべきではなく他を探すことになろう。かみ合わせが悪くなる根本原因を残したまま成長発育したことで身体の各所に代償的反応が生じ、その結果が結果的原因となってこの患者様のように腕がしびれたりするようになるのである。“全ての結果には原因がある”という視点で原因を探らなければ、良くなるものも改善はしないのは当たり前である。因みにこの患者さんの整形外科的な症状は快方に向かいつつあることを付記しておく。

                          2024,6,4

美しいか美しくないか

 「思いやりと礼節に富んだ日本人の美徳はどこへ行ってしまったのか。日本人が日本人でなくなってしまうとこの国はどうなってしまうのでしょうね?」。当医院にお越しになられている80代紳士が治療の合間の会話で漏らした言葉である。現役時代は大手企業にお勤めになり、海外勤務も長くされていたこともあり、外から見た日本の素晴らしさが誇らしかったとのこと。引退後はボランティア活動に精を出し、スリランカの教育活動にも携われ、年に数回は山道を数時間歩いて田舎の学校にも足を運んだものの、さすがに年齢的に体力がきつくなり、今年を最後にするそうである。その方から、「今は日本よりもアジア各国の方が昔の日本のような情を感じることが多い」との話もあり、初代米国総領事として通商条約を締結したタウンゼント・ハリスの話を思い出した。-下は一般庶民から上は江戸城内で謁見した将軍に至るまで、人々は衣食住において満ち足りており、生活は質素である。殊に城内において武士たちの礼儀正しく、美しい立居振舞を見て、「私は日本を開国して外国の影響を受けさせることが、果たしてこの人々の普遍的な幸福を増進する所以であるかどうか、疑わしくなる」ーと書き残している。世界に目を転じれば、情報統制やらフェイクなど、人間不信を創り出すような環境が広がりつつあり、人として生きていく中で常に判断基準を“美しいか美しくないか”に基づけば間違いはないものと確信している。

                          2024,6,3

成長はアナログ

 待合室での親子の会話にほのぼのとした気分にさせられる時もあれば、子供の母親への口の利き方に首を傾げたくなる場面や子供の言葉を封じるような親の言葉に驚かされる時がある。「あなたも大人になればわかる」などという言い方は決して褒められるものではないが、聞いた覚えがある方も多いのではないか。そんなことを親に言われたら子供は何も言えなくなるばかりでなく、親とはいえ威圧的な態度に理不尽さを感じるものである。親子のコミュニケーションが上手く取れているご家庭のお子様は、共通して挨拶がきちんとできているが、待合室で親子の会話もなくそれぞれスマホを操作している子供は診療室に入っても挨拶どころか治療にも協力的でない傾向があるようである。会話が出来ない、電話を取りたくない新社会人が増えている今のご時世の様だが、家庭での躾がしっかりとできてスマホが存在し無くなれば、理解に苦しむような大人は減るのだろうか。情報は増えても人間の脳の処理能力はパソコンのように年々高機能にはならないのである。なにか地に足を付けた人生を送れていない人間が増えているように思えるのは、大人も子供も自分と向き合って掘り下げて考える時間がないことに原因があるのではないか。人の成長はデジタルではなくアナログであることをお忘れなく。

                          2024,6,2

経験値の重要性

 「先生~、前回メンテナンスに来た半年ぐらい前から身体のあちこちに不調を来して、もう嫌になっちゃうわ!」とは50代のご婦人のお言葉である。50代である当方も身体にガタが来ており、それなりに若いころとは違う身体の感覚は共有できるので、その方の悩み相談に乗ることは出来たが、その表現しにくい身体の不定愁訴というのは若い頃には知識として理解はしていても、患者さんの症状を自分事のように受け止めてまで咀嚼できていなかったと痛感する。白衣を着て仕事に従事しているものとしては、専門知識を詰め込む、理解すること以前に人の心情を汲み取ることが出来るかどうかが求められていることを認識しなければならない。私の恩師の言葉に「歯科の本義は人を好きになることである」とあり、それ以来臨床現場に臨む私の中には“一期一会”が臨床姿勢であり、そのご縁を大事にしてくださる方が長年メンテナンスにお越し頂いている。この6月で開業21年目を迎えることになりますが、21年間記録を取り続けたことから見えてくる臨床の変化、エビデンスが必ずしも当てはまらないケースなど、臨床とエビデンスの間を埋める経験値が多くの患者様の主訴の解決に役立っているものと実感しております。今後も細かな口腔内の変化に対応すべく記録を継続し、一人ひとりにあった指導説明を行って参ります。

                          2024,6,1

人間の顔をした人

 成績不振のチームが指導者、監督が代わることで見違えるような結果を残すことを目にすることがあるが、同じように企業のトップに就く人次第で社員の働きぶりが変化し、数年後には右肩上がりの業績を残すことがある。そこに共通するのは「考え方」であり、How toではない。トップの考え方に共感、共鳴する人たちが集い、その集団の雰囲気を作り上げ、社風なりが出来上がる。組織と人の成長を持続するためには、環境を整える側が成長しないとチームは停滞する。目の前に起きている事象に対処する最善の方法は何かをどこまでも真剣に取り組むと必ず知恵が生まれるものだが、中途半端な取り組みでは愚痴しか出てこないのが世の常である。真剣に取り組むには、想定外のことにも対処するために常に考え、人によってはルーティンで身に付けていく努力も必要である。しかし、こういったことが理解できない、理解しようとしない人間の顔をした人たちが増えていると、会社経営者の方が仰っていた。なんとも難しい世の中に生きていると言わざるを得ない。腰を据えて‥‥、辛抱する、などという言葉は死語となりつつあるのか。

                          2024,5,31

摩天楼がみえるか

 「将来的に当医院の患者層は乳幼児から幼児、そして10歳前後の子供達で占められることになると思います」と、ある通院患者さんの質問への答えである。長年それなりに誠心誠意出来る限りの治療をさせて頂いてきたつもりですが、歯を健康な状態で保存できない根本原因が不正咬合にあることが分かりつつある今、乳幼児の時からその根本原因を取り除くことに治療の舵を切らなければ、いつまでたっても歯医者は対処療法をくり返すことになる。10年後、20年後もインプラント治療が幅を利かせているようでは世間からの歯科への信頼は寄せられないのではないかとさえ思ってしまう。ブログで何度も記載させて頂いてますが、歯が並びきらない不正咬合は顎の発育不全が原因であり、早期にその原因を取り除かなければ代償性原因が発生し、口腔内だけではなく全身への影響が発生します。従って、10年後、20年後、そして30年後の国民の不正咬合が激減すれば、病院では異常が認められないものの不定愁訴を抱えて苦しんでいる患者さんの割合も減じることが可能であるとのビジョンを描くことが出来ます。そんなことは無理だという同業者は多くいますが、現実に拘泥することなく子供達の健やかな身体の成長のために、くじけることなく前進していく所存です。

                          2024,5,30

銀行にて

 お釣りを頂く際に新券(新札)で返ってくると何となく気分が良くなりませんか。当医院でも開業以来新券を用意しているので先日も最寄りの取引先銀行にて旧札を交換しに両替機で操作したのですが、出てきたお札はすべて旧札でした。以前から両替機はすべて新券でのお返しになりますのでということだったにも拘らずなぜ?ということで店員の方に確認すると、「7月の紙幣交換にともない新札への交換は窓口のみになっております」と事務的な返事が返ってきた。「‥‥。ならば自動両替機に張り紙をするなり知らせて頂きたいですね。」と口から出そうになりましたが、最近の銀行の窓口は事前予約しないと長い時間待たされるので引き返せざるを得なかった。せこい話ではありますが、自動両替機も手数料が掛かっているので新券が発行されない時点で返されるべきでは‥なんて思ったりもしましたが面倒ですしね。銀行も人手不足なのかどうかは分かりませんが、もう少し目配り、気配り、心配りもあってほしいものですね。それにしても窓口が予約制というのは利用者側からすると不便でしかありません。

                          2024,5,29

美意識に基づく

 来院される患者さんが歯科医院に求めているものは何かと問われれば主訴の改善であり、検診希望の方であれば口腔内の問題の有無を知ることであろう。しかしそれらは極めて当たり前のことであり、医院が高い評価を受けるとしたら、そこの医院に存在する“美意識”に共感して頂けるかどうかに大きな分岐点があるように思います。IT技術の発達により合理的価値に差異が生じない標準化現象が起きている中で、「この歯科医院なら自分の健康を維持できる」とお越しになられる方が心底から信頼を寄せて頂けるかどうか。国家資格のある者としての務めは勿論ですが、一人の人間として信頼に値する人であるかどうかが評価されるうえでの分かれ目であると思います。歯医者に掛かれば治療を繰り返すことで自分の健康な歯がなくなっていることに気付いていただくことも、人によっては価値あることであり、その根本原因を理解して頂くことも重要です。更にはそこから健康を取り戻す、いわば自己実現的価値を満たすことに大きな期待と信頼を寄せて頂けるような医院組織であるためには、我々医療従事者たちの“態度、行動、言葉使い”が共通した美意識に基づいているかどうかということになります。専門職だから専門知識だけ詰込み現場で発揮すれば良い医療を提供できるなどと考えているようでは人は成長しませんし、来院者の期待、満足度を上げることにも繋がりません。当医院のミッションである「価値ある時間を提供する」には開業以来、そのような経営方針を貫いています。

                          2024,5,28

舌小帯の可動域制限

 赤ちゃんは母乳保育が出来ているから安心なのではなく、正しく哺乳できているかどうかを見極めることが重要なのであり、体重が増えているから正しい哺乳が出来ているとは限らない。健康な口腔育成を育むには、赤ちゃんの時から舌の正しい動き、つまり舌を使って母親の乳首を口蓋に押し付けることが必要なのであり、口蓋に舌を張り付けることが出来ないのであればその原因を取り除かなければならない。生後1年までの期間であれば、舌小帯および上唇小帯の切除を行うことで、本来の機能を取り戻すことが可能な場合が多くある。当医院にお越しになる方々の口腔内を診察していると、不正咬合を引き起こす根本原因を取り除けてさえいればここまでは悪くならなかっただろうにと考えさせられるケースが非常に多くある。舌小帯の可動制限が将来的な身体の不調を引き起こす根本原因の一つであることは間違いなく、歯科医師が新生児の口腔内を診察できるような環境を整えるべきである。

                          2024,5,27

子供達の健康を取り戻せ

 拡大床という取り外し式の矯正治療装置によって上顎歯列及び口蓋を拡げる治療を続けてこられたお子様が、母親とともに治療の相談でお越しになられた。先日治療は終わったということだが、お子様は問診をしている間中口唇が開いたままのお口ぽかん状態であり、背中を丸めて座ってる。明らかに口腔機能発育障害であり、睡眠時のいびきやうつぶせ寝もあるとのことである。医療とは、悪くなった根本原因を取り除くことであり、必ず原因があるという目をドクターは忘れてはならない。歯医者は歯だけを診ていればよいという時代ではなく、子供達が自分では口にできない不定愁訴を抱えている原因を取り除いてあげなければならない。うつぶせ寝をしている原因は何かと問われれば、仰向けで寝ると咽頭気道が塞がるので気道を確保するためにうつぶせ寝をするのであり、舌の機能異常が疑われる。お口ぽかんは鼻呼吸が出来ていない表れであり、その原因は鼻づまりか舌小帯異常が疑われる。現状に至った根本原因を探り、その原因が改善されないまま成長したことで代償原因が生じ、その結果生じた現在の状態ですらも結果的原因として残っている訳である。子供達の成長過程においてできるだけ早期に正しい成長軌道に戻してあげることで、成人における体調不良を未然に防ぐことが可能になると確信している。

                          2024,5,26

リスク回避?

 お子様のかみ合わせが気になって相談にお越しになる親子が増加傾向にあるが、当医院での対応枠にキャパの限界があるのも事実である。子供達の不正咬合から診えてくるのは口腔機能発育不全であり、しばらく様子をみましょうという診断は取り返しのつかない不可逆性の原因を残すことになる。なぜ咬み合わせが悪くなるのかを先ずは歯科医師が根本から理解しなければ、10年後、20年後、そして30年後であっても不正咬合の患者数は増えることはあっても減ることはあるまい。なぜ口呼吸をしているのか?鼻づまり、アデノイドや扁桃組織の炎症があれば口呼吸になるのは当然であり、ならば耳鼻科での処置が急がれるが、診断の診る視点が異なれば処置方針も異なるのが医療現場の実態である。投薬で炎症を抑えるのでは根本原因を除去することにはならず、機能の改善にはつながらない。先日のお子様では明らかなアデノイド肥大を認めるにも拘らず、紹介先の耳鼻咽喉科では摘出の必要はないとの返信を頂いた。医科歯科連携を謳いながらリスクを避ける医療機関の対応には反省を促したい。

                          2024,5,25

自分の頭で

 「効率的」を優先するあまり、すぐに役立つスキルを身に付けなければ、こんなことに時間を掛けていられない、などといった切迫感が人々にストレスを掛けているのではないか。協調性を気にし過ぎて自分を見失い、複雑な人間関係にストレスを抱えて精神科のお世話になる人が年々増えているとの報道を目にする機会も増えている。一方で、あえて時間をかけて、自分の人生や社会との関りをじっくり考える。そんな大人ならではの「学び」を実践する人が増えている。座学で知識を詰め込むのではなく、非日常のなかで他者との対話から得られる気付きこそ、豊かな時間をもたらしてくれる、言ってみればスローな学びから“自分の頭で考える”ことの大切さに気付く時間である。誰もが自分の哲学を持って生きているものの、自分の頭で考え続けるためには間違えた時に訂正できる勇気、訂正を確認し合える場所、対話の場が必要である。人生はいつでも学びであり、学びの旅でもある。当方などは極めて狭い専門職であるがゆえに、人一倍柔軟な頭と他人の話を聞く時間を確保したいものである。

                          2024,5,24

最近の若い人‥‥

 「最近の若い人たちは‥‥」というセリフはいつの時代も年長者が語るものなのか。患者さんとの会話の中で、「最近の新入社員は仕事に対する考え方が私たちの時とは違いますね~。自分の思ったような仕事が出来なければ転職すればいいかのようなやる気のなさというか、目の前の仕事に真剣に取り組む意気込みを感じない方が結構いるんですよね~」との発言があった。仕事に限らず一歩踏み出すことで見えないものが見えてくる楽しみがあると思うのですが、そこに到達する前に諦めてしまうといった粘り強さがない、頭で考えて結論を出してしまう傾向があるように思えてなりません。以前ブログにも載せたかもしれませんが、仕事というのは好きな仕事に就くか、就いた仕事を好きになるかの二つに一つだと思います。そんな考え方自体が時代に合わないという声もあるかもしれませんが、情報過多にある時代のなかで表面的な知識ばかりを追いかけていても何も身に付きません。自分の時間をしっかりとって己を掘り下げて見つめることで自分に足りないものが見えてくる。何のために仕事をするのか、何のために生きているのかをど真剣に考えて、軸の太い人生を過ごしてほしいと思います。

                          2024,5,23

本物志向

 お世話になった耳鼻咽喉科医の恩師を尋ねると、必ずコーヒー豆を挽いてその場で淹れて下さり、それはただ美味しいのではなく、いつも変わらぬ美味しさなのである。フィルターも紙ではなく布フィルターを使う徹底ぶりであり、そのこだわりとルーティンが80歳過ぎてもオペが出来る秘訣だったのかもしれない。気が付けば当方も朝のミーティング前にコーヒーを淹れることが習慣となっており、せめて恩師のルーティンだけでも肖りたいものである。特別豆へのこだわりはないが、やはり飲み慣れたものが美味しく感じられ、それも淹れたては香りも口当たりも最高であるが、さすがに診療前は優雅に時間を過ごすことなど出来るはずもなく、マグカップの飲み残しは時間が経つと香りはなく味も変わってしまう。もっと時間に余裕をもつような診療体系を構築しなければならないのかも知れないが、だからと言って時間節約のためにインスタントコーヒーを頂こうとは思わない。なぜならコーヒーはなんといってもその周辺に「くつろぎ」「コミュニケーション」といった文化も形成されるので、せっかくなら本物志向でありたいし、人間も本物を追求したい。

                          2024,5,22

華がある

 「あの人には華がある」とは言い誉め言葉である。垢抜けていたり、人を惹き付ける魅力を持っている人に対して使う非常に素敵な言葉であると思う。先日数年ぶりに大学の友人と食事をした際に出てきた言葉であったが、何か言葉で上手く表現できないけれどもいい人だなと思う場面で感じるのは大方この表現に集約されるのではないか。育った環境によるのか、その人の感性なのか、教えて身に付くようなものではなく、極めて自然体で湧き出てくるものである。そして「物事を判断するとき、私たちは損得や好き嫌いで決めることが多いが、最後にその判断に基づく選択は美しいのか美しくないのかという切り口でもう一度考えてみた方がよい。私のこれまでの人生を振り返った時、美しいと思える選択を行った場合はまず間違いがなかった」と語ったある企業の会長職を務められた方こそ華がある。世の中、多様性の意味を取り違えているような輩も散見するが、態度、行動、言葉遣いに美しさを伴う人に、華がない人はいないと思われるが皆さんは如何でしょうか。

                          2024,5,21

環境適応

 ロシアによるウクライナ侵攻で日本へ避難してきた人たちも大勢いますが、その後日本の生活に馴染むことが出来ているのか、ある家族を追いかけている報道番組が紹介されていた。来日当初は「ウクライナに帰りたい」と泣いていた10歳の男の子は2年間の生活の中で日本人の友達とサッカーボールを追いかけるようになり、母国語を忘れつつあるとのこと。日本の生活に適応し環境にも慣れてきたことは私たち日本人にとっても喜ばしいことではありますが、祖国を追われた当人たちの心境を察すると複雑な思いに包まれます。最近になって日本での勉強を優先するためウクライナの小学校からメールで宿題を送ってもらうのをやめたそうです。子供は「日本語よりウクライナ語を話す方が難しくなった」というぐらい日本語も上達し、そんな姿からご両親のウクライナに帰るという心境にも変化が表れているとのこと。言葉や文化は違えど同じ地球に住む人間同士が殺し合うなど何をやっているんだと世界の良識人は共通認識でいる。自分の人生を他人に踏みにじられることなどあってはならない。

                          2024,5,20

名言

 子供達が日々咬み合わせのトレーニングを継続できれば顎の成長発育不全を改善して本来の成長軌道に戻すことができることを、きちんとまじめにトレーニングを2年間続けた小学生が証明している。しかし、そんなトレーニングをしなくても痛くもない、食事が出来ないわけでもないから課題を出されても継続することが難しい。だからこそ親のサポートが必要不可欠なのだが‥‥。大人になって振り返るとあの時にこんなことをしていれば、あの時から継続できていれば‥‥などのたらればを語りたくなる経験は凡人であれば経験済みのことであろう。目標達成に向けて努力を続けることが出来るのは、誰もが持っているわけではない大きな才能であり、挫折を知っている者には共感し、頷いていただけるのではないでしょうか。「努力したものが成功するとは限らない。しかし、成功するものは皆努力している」とはベートーヴェンの名言である。

                          2024,5,19

臨床的な発見に‥‥

 20年近く定期検診にお越しになられている女性の患者さんに、「先生、今度仕事でジブチに行くのですが、気温何度だと思いますか?73度ですって!信じられますか??」と、困惑した表情で話しかけてきた。73度‥‥ちょっと想像できない気温ですし、人が生活できる環境ではないことは確かなので、いったい何の仕事で行くのか不思議である。年に複数回海外出張があるようで、診療室で尋ねようものなら海外での出来事をいつまでも語ってくださるまるで旅先案内人である。一日中診療室にいる私たちにとっては外界の話題は新鮮であり、ついつい話に聞き入ってしまうが「他人の畑は良く見える」とは上手く言ったものだ。そんな彼女の口腔内は20年経って多少の歯の咬耗は進んではいるものの至って健康であり、セルフケアとプロフェッショナルケアの両輪が長く機能することで、ここまで良好な状態を維持できることを示してくださっている。う蝕があったとしても感染の程度によっては歯を削ることなく経過を追うことが、結果的には歯の予後を良くすることに繋がる。73度の国では不正咬合とむし歯(う蝕)の罹患状況はどうなのか、ちょっと覗いてみたくもなるが、何か臨床的な発見があるのかもしれない。

                          2024,5,18

今の歯列矯正治療は・・・

「今は昔みたいにワイヤーを使って歯列矯正はしないのですか?」と小学2年生のお父様からの質問です。歯科医院ですから歯並びを改善させること・・であることに間違いはないのですが、歯列を揃えることを当医院ではしているのではありません。なぜ歯が重なって萌出してくるのか?歯並びが悪いことでどんな問題が身体に引き起こされる可能性があるのか、子供の歯列不正の裏側には何が隠されているのか、などを先ずはご理解して頂き、歯が並ばないのは本来の顎の成長発育がない口腔機能発育不全の表れだということ。従って顎の成長を正しい成長軌道に戻すことを目的としており、顎骨が大きくなれば自然と歯は定位置に生え揃います。口蓋が舌圧によって広がることで鼻腔底も広がり、鼻腔、副鼻腔の気流が緩やかになることでリンパ系組織への刺激も減り、身体の免疫を高め細菌を殺菌する働きを持つ一酸化窒素の産生量も増加するので、頭蓋顔面発育障害による体調不良を起こしているお子様たちの体調は改善方向に向かいます。当医院では歯並びが良くないからと言って小臼歯を抜いて歯列矯正治療を行うことなどしておりません。あくまで不正咬合を引き起こした根本原因を取り除く医療を提供しているだけです。

                          2024,5,17

睡眠の質と量の向上を!

 睡眠は身体にとって欠かせないものですが、その理由は?と聞かれると何とお答えになりますか。私たちは夜眠りにつくと同時に脳も休むと考えられていましたが、実際にはその逆で、睡眠中の脳の働きについて最新の科学では全く異なる見解が示されています。身体の老廃物はリンパ管によって運ばれますが、脳に関してはそのリンパ管がないので脳細胞の老廃物はどのように除去されているのかが脳科学者たちの中では謎でした。私たちの脳の広範囲に存在する血液系に類似した「巨大な夜間の流通ネットワーク」がある研究で発見され、脳細胞と脳脊髄液の間では、多くの化学物質やホルモンの交換が睡眠の各ステージで行われているのです。老廃物の除去に関していうと、このシステムによってアミロイドβという脳内の有害な老廃物を素早く取り除くことが出来ます。。従って睡眠の質と量の悪化が脳内に蓄積されるアミロイドβの量と関係していることから、グリンパティックシステムの低下は、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患とかかわっていると考えられています。週末に寝だめをすればいいのではなく、普段の睡眠サイクルを守ることが健康を守る秘訣の理由となります。

                          2024,5,16

小児睡眠障害(SDB)のスクリーニング

 3月末にスタンフォード大学の睡眠歯科学の第一人者であるAudrey yoon先生の講演を聴講し、小児における睡眠障害の現状を知る貴重な機会を得た。通常、睡眠障害の疑いがある場合に行うPSG検査(終夜睡眠ポリグラフ検査)は、膨大な時間、費用、労力を必要とするため、特異度の高いスクリーニングを行うことで、重症度が高いと疑われる患者さんを識別できることが可能性が示唆されました。先ずスクリーニングは、罹患していないと思われる人の中から、罹患している可能性の高い人を大まかに選別するプロセスです。近年、SDB(睡眠呼吸障害)の早期診断に役立つ機能的気道スクリーニングツール(FAIREST-6)が研究者によって開発され、歯科医療現場でSDBのスクリーニングが可能となりました。また、睡眠医学の故Christian Guilleminault先生は、小児のSDBは口腔筋機能発達不全が関係しており、これは頭蓋顔面の発育に影響を及ぼすと述べています。さらに、94歳になられるJohn Mew先生は頭蓋顔面発育障害の指標として、鼻の頭と上の前歯の切端を結んだ線であるインジケーターライン「IL」の長さと上顎第一大臼歯間距離(「6-6間距離」)を挙げています。以上のことから、SDBと頭蓋顔面発育は関係していると考えられます。従って当医院では、FAIREST-6の1)口呼吸,2)頤(オトガイ)の緊張,3)口蓋扁桃肥大,4)舌小帯異常Tongue-tie,5)歯の咬耗,6)口蓋の狭窄、の有用性を確認しつつ、頭蓋顔面発育障害の前後的な指標であるILと左右対称的な指標である上顎6-6(E-E)間距離を調べることで、小児のSDBのスクリーニングをより簡便に行い、SDBの疑いが高い場合には早急にかみ合わせトレーニングを行うことを勧めています。

                          2024,5,15

鮭と人間

 日本では明治時代から鮭の孵化事業が行われているが、水産試験場のデータから産卵された卵の大きさが小さくなっていることが判明しており、世界の研究者からは、孵化事業そのものが鮭の生態系に影響を及ぼしているとの声も上がっていると以前報道されていた。孵化事業によって育てられている間は外敵は存在せず、自らエサを取りに行く必要もなければ想像するに、鮭としての本能そのものが天然育ちに比べると失われていても不思議ではない。では人間様に置き換えて考えてみたらどうなるか。自宅から駅までのちょっとした距離でさえ車で送られ、学校から帰宅後は外で遊ぶことなく塾通い。小腹が空いたらスナック菓子と糖質入りの飲み物で落ち着かせる。学童期前後にそのような環境で育った子供が心身ともに本来の人間、人として育つのだろうか。ろくに歩くことすらしなければ脚力も心肺能力も下がることはあっても高まることはない。外遊びも運動もしなければ、身体に必要な二酸化炭素も体内に蓄えることが出来ず、酸化ヘモグロビンの細胞への酸素供給も減り集中力も高まらない。体調不良になると薬を飲めばいい。これでは健康な身体つくりは程遠く、真の健康とは何かを親御さんには考えて頂きたい。人間が本来の姿から遠ざかっていることを鮭が教えてくれている。

                          2024,5,14

真の健康

 咬み合わせのトレーニングを継続中の男の子から、「鼻が詰まりにくくなった気がする」と嬉しい報告があった。年齢的に7~8歳頃は上顎骨が大きく成長する時期であり、舌を口蓋に貼り付ける習慣を身に付け舌圧で口蓋が拡大されると解剖学的に鼻腔底が広がり上気道の通りが良くなる。鼻閉のある口呼吸(習慣性口呼吸)のお子様であっても、少しづつ鼻腔が通るように根気よくトレーニングを継続することの必要性を改めて考えさせられた。口呼吸であると普段は鼻気道が正常に機能していないことを意味しており、使われていない機能を徐々に活性化していくには、先ずは少しの時間だけでも口を閉じて鼻呼吸をしてみることである。その時間が10秒であっても構わないのであり、鼻気道自体が働き始めるまで、辛抱強く待つことが求められる。診療室で出来たことが自宅で出来ないはずがない。子供であっても身体の歪みや咬み合わせを本気で良くしたいと思えるように誘導してあげることが我々歯科医療従事者の役目であり、ある意味忍耐力も求められよう。どういう形であっても子供達の真の健康にかかわることが出来ることは医療従事者冥利に尽きる。

                          2024,5,13

オーバーツーリズム

 GW中に京都に行かれた患者さんから、「先生が仰っていた意味が分かりました。路線バスは勿論、どこに行っても京都市内はヒト、ヒト、ヒトでした」ということで、食事も予約していないと1時間以上待ちましたとの報告がありました。まさに“オーバーツーリズム”であり、全国各地で観光客が多すぎて、住民の生活に支障が出たり、地域の環境が悪化したりしています。2010年に日本政府は“観光立国戦略”を打ち出し、外国人観光客を増やして経済を活性化させる方針に出ましたが、いい加減何らかの対策を講じる時期に来ているのではないでしょうか。“インバウンド価格!”と言われるような法外な値段で商品が売られたり、地元名物のメニュー価格を二度見したりなんてことがあるようです。また、外国人だとは限りませんが、ごみのポイ捨てを含めたマナー違反もあちことで見受けられ、せっかくの連休を行楽地で過ごされた方の中には嫌な思いをされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。すべては「ちょっとぐらい」という気持ちから始まります。自分の行動で困る人はいないのか、立ち止まって考えるようにしたいものです。

                          2024,5,12

煙草の販売禁止?

 当方が子供の頃のは、街中は勿論のこと駅のホームなど公共の施設でも喫煙は当たり前の光景であった。40年ぐらい前のことではあるが、国鉄時代の車内には吸い殻入れがあり、ある地方のローカル線の運転席では喫煙しながら運転をする運転士もいたほどである。今では喫煙所なるところが所狭しと設置され、囲まれたスペースでたばこの煙に燻されながら喫煙しているようである。ところ変わってイギリスでは、議会の下院で「たばこ販売禁止法案」が可決され、成立されると2009年以降に生まれた人はすべて、死ぬまでたばこを買うことが出来ない、という内容です。たばこの煙には約200種類の身体に害のある物質が確認されており、たばこを吸わない人でも副流煙をの影響はあると言われています。ニコチンには依存性がありますから、イギリスの規制が実現すれば、今の若い人たちは「たばこに触れない世代」になり、やがては誰も吸わなくなる時代が到来することになります。しばらくはイギリス議会から目を離せないですかね。

                          2024,5,11

セカンドオピニオン

 セカンドオピニオンを求めて当医院にお越しになられる方が増えている。当方はただの町医者であり、特別な資格を持った専門医ではないにも拘らずである。例えば「前医で10本の歯を削って詰め物をされた方がいいと言われたのですが、やはり処置が必要なのでしょうか?」などである。ドクターによって診断レベルは異なるものだが、仮に処置が必要なケースであっても、そのような状況に至った根本原因を説明し、患者さんが理解納得できなければ臨床医であり続ける意味がない。“悪くなったから処置をする”を繰り返しているようでは、治療することで健康な歯を失っているようなものであり、何年も、何十年も治療で歯医者通いをされている方は、根本原因を放置したまま表面的なトラブルのみを繰り返し対処療法をしているに過ぎない。歯科治療においては治療することばかりを考えるのではなく、なぜそのようになったのかを考えて頂きたい。しかし、素人である患者さんが分かるわけもないので、それを分かるように時系列で更にはスライド症例なども含めて解説する時間が必ず必要であり、時間が足りなければ診療時間外を使って解説すればいいだけの話である。形式的な説明で満足のいく歯科医療を提供できるほど臨床現場はあまくない。説明が出来ないのであれば、ドクターの診断力不足、勉強不足を露呈しているようなものであり、納得いく説明を受けてから治療を受けるのは、患者さんの責任でもある。歯を削られる前にもう一考!

                          2024,5,10

何だそれ?

 「何だそれ?」って思わされる出来事が皆さんの周りにもありませんか?SNSの出現によって本来の口コミはとは違う次元で情報が拡散され、外国人も含めた不特定多数の人が同じものを求めるといった行動に出る、「何だそれ?」を見受けたり耳にすることがあります。最近では山梨県の富士河口湖町にあるコンビニ店とセットになったかのような富士山の話題があります。何でそんな風景に人が集まるのか不思議ではありませんか。誰かが「バエる」ってことでネットにアップしたことが事の始まりなのでしょうが、当方には全く魅力を感じませんし、暇な人間がいるものだと呆れてしまいます。まあ、そんな感覚では今の時代に取り残されると言われてしまうかもしれませんが、常識、良識、そして見識があって人なのであり、何か大事なものを失っていくような気がしてなりません。ダメを押すような話をもう一つ。履歴書に貼る顔写真のところに風景写真を張り付けてきた応募者がいたという話があります。何か意味があったのでしょうか?どうしてしまったのでしょうか日本社会は、と嘆きたくなります。

                          2024,5,9

睡眠

 GW明けの朝で、よほど眠たかっただろうか?通勤電車の座席に座っていた社会人と思われる若者が何度も隣の女性に寄り掛かってきていた。視界に入る範囲では、はじめは頭を傾げるぐらいだったが徐々に肩から身を預けるようになり、仕舞には上半身が斜め45度ぐらい倒れ掛かるまでになってきた。女性も身をよじるようにしてスマホを操作していたが、さすがにスマホめがけて他人の頭が突撃してきたときには「キャッ!」と声を上げて「ちょっといい加減にしてください!!」と堪忍袋の緒が切れた。眠い男性のどうにも身体を制御できない状態も、勘弁してほしくなる女性の気持ちも分らんでもない。睡眠医学の世界では、成人であれば8~9時間の睡眠は必要とされている。週末の寝だめでは睡眠負債の解消にはならず、逆に普段の生活リズムを壊すので脳内リズムも狂うという。あの大谷選手は睡眠には子供の頃から注意を払ってきたというから、今の大谷選手の活躍ぶりを見ればその重要性はエビデンスが示すまでもない。長時間の通勤通学に掛かる時間、生活費のための残業やアルバイトなどやむを得ない事情を抱えてはいても、生活環境を整えていく意識だけは持ち続けたい。

                          2024,5,8

匂い

 道路まではみ出していた我が家の庭木を剪定すると、どこかの森林を散策しているかのような木と空気が合体したような匂いがしてきた。匂いというのは過去の記憶を呼び起こしてくれるものでもあり、夕方にどこかのご家庭から魚を焼いている匂いだったり、キンモクセイや薔薇などであっても当方には子供の頃の決まった記憶が蘇ってくる。夏のラベンダーであれば北海道・富良野の風景が浮かんでくると同時に、子供が小さい頃に写真を撮った場所などが脳裏に投影される。GW中にそんな思い出になるような時間を過ごせた人は幸せであるが、世界に目を向けると他国からの侵略や紛争に巻き込まれている地域が後を絶たない。同じ地球に住んでいるにもかかわらず、なぜ幸せを共有できないのか。人間の愚かさを思い知らされる毎日の報道である。火薬のにおいで呼び起こされるのが花火ではなく砲弾だとしたら、あまりにも理不尽である。

                          2024,5,7

空き家からみえてくること

 職場や自宅近くにある明らかに人が住んでいないと思われる空き家が目についていたが、全国で約900万件あるとの報道である。人の手入れがない庭は雑草が生い茂り、木の枝は道路に迫り出し電線にも引っ掛かり、今にも崩れ落ちそうな家も少なくない。普段のランニングコースにある空き家前の道路には、雨上がりとなるとミミズが大量に発生し、近隣住民も困惑していることと思われる。それぞれ事情はあろうが放置されたままでは、地域の景観、防犯上も問題である。人口が劇的に減る中、今後は取り壊し、撤去、管理の在り方が問われることになろう。何か問題が生じると政治家からは早急に法整備を行ってという声が上がってくるが、実施に至るまでの時間が掛かり過ぎるのがこの国の行政のフットワークの悪いところである。民間の発想も取り入れた柔軟な公共の仕事運びを期待したい。

                                  2024,5,6

子供の睡眠呼吸障害(SDB)

 今や睡眠呼吸障害(SDB)は小児における病的状態として認識すべきであり、その有病率は最大25%です。当医院にお越しになる子供達の睡眠時の様子を親御さんから伺うと、唇は開いている、呼吸が苦しそう、いびきがあるなどの声を多く聞きます。データとして評価したものではないが、睡眠時無呼吸を疑わせるお子様がいるなど、子供達の成長と発達に大きな影響を与えている可能性があるり、更には、いびきをかいているだけで睡眠時無呼吸の患者さんに認められるようなADHD(注意欠陥・多動性障害)様所見や行動障害を引き起こす可能性があるともいわれています。故Christian Guilleminault先生は、小児のSDBは口腔機能発達不全が関係しており、これは頭蓋顔面の発育に影響を及ぼすと述べています。歯科でいう不正咬合とは本来生えるべきところに歯が入りきらないこと、上下顎骨の位置関係が正常な状態からずれていることを意味しますが、顎の発育不全が不正咬合の根本原因であることから不正咬合を単に歯科的な問題として捉えるのではなく、集中力の低下などを引き起こす睡眠呼吸障害(SDB)の予防及び改善処置として不正咬合を改善する必要があります。お子様の成長速度は大人とは違います。落ち着きがないのは子供の性格ではない、大きないびきで寝ているのは成長している証ではないという認識のもと、早めの口腔内診査を勧めます。

                                  2024,5,5

大人の定義

 日本社会から「大人」が消えつつあると思想家でもある内田樹さんが著書の中で述べていて、内田さんのいう大人の定義は「子供達の知性的・感情的な成熟を支援できる人」とあり、結果的に「大人」を創り出してくれるのが「大人」だということになる。当方が勤務医時代からお世話になっている年配の方はまさにそのような方であり、その方と話をしていると自分を含めた周りの人たちの知性が活性化し、感情が豊かになり、ものの考え方が深まるのである。しかし世の中の求めている大人像はそうではなく、複雑な現実をシンプルな話に落とし込んで説明してくれる人を賢い魅力的な人として捉え、自分たちの知的負荷を軽減してくれるのだから、ありがたい存在となっているようだ。世の中にスマホが普及するにつれて、一つのことを深く考える機会が少なくなってきているとある脳科学者の方が語っていたが、深堀して考える習慣を子供の時から奪われるような環境では、考えるどころか思考停止の大人になってしまわないか。社会はいつの時代も複雑でしかないので、シンプル思考で社会に羽ばたいた時には現実との乖離に苦しむだけであり、鬱(うつ)症状を訴える人の増加とも無縁ではあるまい。


                                  2024,5,4

気付き

 職業に拘わらずサービスの基本は顧客がまだ気付いていない価値に気付いてもらうことであり、顧客の期待に応えることでおもてなすことができていると考えるのは間違いである。ソニーの「ウォークマン」という画期的なポータブル音楽プレイヤーが生まれ世界中で大ヒットした背景には市場調査を行ったわけでもなく、共同経営者である井深大が海外出張の際に、機内で音楽を聴くための小型・高品質のカセットプレイヤーが欲しいという個人的な欲求から始まったそうである。マーケティングの世界ではレッドオーシャン、ブルーオーシャン戦略といわれるらしいが、それ以前に自分たちが行っている価値に気付いてほしいと強く思い、それを伝えなければ真の顧客は増えることはないという良い例ではないか。それは歯科医療の現場でも共通して言えることであり、目の前の患者さんのことを如何に自分事として捉えることが出来るか。そんな視点が常になければ医者といえども期待以上の満足を提供することは出来ない。


                                  2024,5,3

美意識

 セカンドオピニオンを求めてお越しになられた患者さんが言うには、「掛かっていた歯科医院は患者さんが多くて、先生が私の治療をしながら女性スタッフに指示を出すような忙しいところだったので、先生としっかり話が出来なかったんですよ」とのこと。日本の歯科医療現場の問題点をこの患者さんが言っているようなのもです。当医院も忙しくないわけではありません。お問い合わせ頂く患者さんを全て受け入れていたら、おそらく当医院もそのような診療風景になることでしょう。多くの来院患者さんがいるということは、一人ひとりに割く時間を削るか、一日の診療時間を果てしなく延長するしかないのです。歯科業界以外に目を向けると、威信のかけらもない国会議員の有様、後を絶たない大企業によるデータ改ざん、様々のことに誹謗中傷をする風潮など、時代が進むに従い日本社会の風土、文化の劣化が進んでいるように思えてなりません。そこから見えてくる共通項は“美意識”の欠如ではないでしょうか。以前、「痛くない注射針」で有名なテルモの会長職を務めておられた和知孝さんが講演の中でお話しされていた言葉が強烈に印象に残っています。『物事を判断するとき、私たちは損得や好き嫌いで決めることが多いが、最後にその判断に基づく選択は美しいのか美しくないのかという切り口でもう一度もう一度考えてみた方がよい。私のこれまでの人生を振り返った時、美しいと思える選択を行った場合はまず間違いがなかった』。美しく生きることを全てにおいて判断基準として持っていれば、仕事・人生において間違いのないことは、歴史を振り返ると分かることではないでしょうか。


                                  2024,5,2

なぜすぐ抜歯

 『「ブリッジの歯が悪くなったので抜いてインプラントにしたらどうですか?」と掛り付けの先生に言われたのですが、抜かないと駄目でしょうか?抜歯したらインプラントがベストなのでしょうか?』とお越しになられた患者さんの主訴である。抜歯したらインプラント、歯のないところにインプラント、ということをまるで方程式のように考えている歯科医師が多いのかどうかは分かりかねるが、このような相談でお越しになられる患者さんが年々多くなっている。先ず考えて頂きたいのは、なぜ抜歯せざるを得ないような状況になったのかということです。本来は我々はいくつになっても28本の歯で咀嚼、口腔機能を維持させなければならないのです。8020運動と言って80歳で20本の歯を残しましょう、ではダメなのであり、28本残すにはどうすべきかを考えるべきなのです。歯の歯根には歯根膜という感覚受容器があり、硬いもの軟らかいもの、髪の毛一本すら敏感に感じ取る機能が備わっています。当たり前ですがインプラントや義歯ではその代わりは果たせません。最後の最後まで何とかして歯を残すトライをドクターは行うべきであり、かみ合わせが原因で歯の保存が難しくなっているのであれば、何よりも優先してかみ合わせを改善させなければならないのです。更にはなぜかみ合わせが悪い不正咬合になったのか。その原因まで遡って改善させなければ根本的には改善しません。歯を守るには、正しい口腔機能を維持させるには、理解と治療にかかる時間そして本気で良くしたいという強い意志が求められるのです。


                                  2024,5,1

勤勉

 どこまで進む円安、遂に1ドル160円ではないですか!当方が新婚旅行でヨーロッパ各地を巡ったころは1ドル89円時代であり、その頃より約70円も円安が進んだということは、当時が異常に安く海外旅行に行けたというべきなのか、今が高すぎると思うべきなのか。今はハワイでハンバーガーとビールを頼むと日本円で約5,000円と聞くので異常に高いとしか言えない。また日本を訪れている外国人客は、数千円もする海鮮丼などに「安い」と舌鼓を打ち、我々に日本人は海鮮丼を横目にコンビニおにぎりなどを食べたりしている。これでは元気を出せと言われても、“ジャパンアズナンバーワン!”と言われた時代を知るものとしては寂しい限りであり、為替だけではなく論文数や研究成果などあらゆる分野においても日本の凋落ぶりは際立ち、唯一メジャーリーグの日本人の活躍だけが誇りであり、支えでもある。国際競争力を独自の手法で高めなければ、G7と呼ばれるのも名ばかりとなる日もそう遠くはあるまい。我々が20年、30年先を見通してできることは何か。いつの時代もコツコツと真面目に仕事に励むことだけであり、“勤勉”が日本人の財産であることを忘れてはならない。


                                  2024,4,30

アフターコロナ?

 一部では「コロナが収束し‥」などと言われていますが、新型コロナ感染者は以前存在し、都市部では微増傾向にあるとのこと。我々は報道されなければ関心を寄せることもありませんが、当医院の予約患者のキャンセルにはコロナ感染によるものがこの2週間に複数出てきています。喉元過ぎれば熱さを忘れるではありませんが、今一度感染予防には気を付けて頂きたいと思います。以前こちらのブログにも載せましたが、コロナ後遺症で悩まされている方の中には感染前から「慢性上咽頭炎」を患っている方が多く、上咽頭後方には副交感神経の一部である迷走神経が張り巡らされており、迷走神経がダメージを受けると身体全体を司っている自律神経の不調をきたすことから、全身的なだるさに繋がるようになります。具体的にどこが悪いというより、自分が自分でないような違和感が続いている場合には、ぜひ一度上咽頭の炎症の有無を調べて頂きたいと思います。残念ながら歯科では鼻からファイバースコープを通して鼻の奥の診査は出来ませんので耳鼻咽喉科にてお願い致します。

                                  2024,4,29

睡眠

 通勤中の電車内で本を手にして読んでいると、いつしかページを開いたまま眠っている、なんて経験をされた方もいらっしゃると思いますが、当方は2日続けて眠りについてしまった。疲れが溜まって‥‥とは認めたくないが、週末になると寝込んでいることが多いようである。電車の適度の揺れが心地よくなるのか車内で眠りに付く方も少なくなく、手元からスマホを落としたり、急に目を覚まして手すりに傘を置いたまま降車される方を見かけることもある。日本人は先進諸国の中で最も睡眠時間が短いと数年前から言われているが、 睡眠の質と量も身体の健康維持には欠かせない。睡眠負債ともいわれる慢性睡眠不足は脳の老廃物であるアミロイドベータを処理できなくなる要因の一つでもあり、国民の将来的な痴呆予防のために普段から改善を心掛ける必要がある。世の中デジタル化が進んで仕事は楽になっているはずなのに、一向に早く帰宅できないのは空いた時間に他の仕事を入れてしまうことが原因なのか、単に効率的に仕事が出来ていないだけなのか。先ずは連休中は身体を休めることにしたい。

                                  2024,4,28

自律神経の乱れ

 「あのとき、こうしていたら」「ああしていたら」、2人は今こうなっていたかもしれない、という現実には実現しなかった光景の数々が映し出される。映画「ラ・ラ・ランド」をご覧になった方であればお判りでしょう。映画で象徴的に描かれている道路の分かれ道のように、人は常にどちらを選ぶか岐路に立たされているのです。セミナー会場まではJRを使うか私鉄を使うか、コンビニでの買い物は現金にするかICカードにするか、そうした日常の小さなことから、人生の一大事である就職や結婚に至るまで、まさに人生は選択の連続です。そして現代はネット環境の充実化によって情報が溢れ、選択肢が多くなっていることで迷いが生じ、迷うと無意識に決めなければならないという行為がストレスになって、交感神経が優位になって自律神経のバランスが崩れるという現象が起きています。先日訪韓した際にソウル地下鉄でも乗客のほとんどがスマホ片手に多くの情報に触れていた光景を目にすると、全世界的に自律神経に乱れをきたす環境が増えていることで、それが人間の行動に影響を及ぼしているとも言えるのではないでしょうか。興奮した精神を休めるためにも思い切ってGW期間中は思い切ってネット断ちしてみては如何でしょうか。

                                  2024,4,27

何様のつもり

 臨床医は主訴を抱えて来院された患者さんの診査診断を的確に行い、その結果について丁寧に解説説明を行うことが使命であり義務でもある。では患者さんに説明を行う際に、通り一辺倒に語りかえればよいのだろうか。紹介状を持参した先方の医院にて、担当医の説明のしかたに問題があったのか実際のところは分かりかねるが、ドクターと患者でもめ事に発展した事案があり、二度と紹介をしなくていいと担当医から直接電話がかかってきた。紹介した手前、嫌な気分にさせてしまったことについてこちらも平謝りをしたものの、冷静に考えてみると当方に非があるわけではない。しかも「患者は探してくるから紹介しなくていいから、ガチャ!」と電話を切るなど非常に大人げない横柄な振る舞いに、今まで紹介させて頂いた患者様に申し訳ない気持ちにさせられた。医者としての診断能力は優れているのかもしれないが、人としてはどうなのかと考えさせられ、たとえ医者であっても白衣を脱げばただの人なんだと伝えたいぐらいである。日頃から「先生、センセイ!」と言われ続けているうちにお山の大将になっているドクターを今も昔も見かけるが、尊敬したくなる紳士的な医師、歯科医師がいることも付け加えておく。


                                  2024,4,26

挨拶

 「第一印象は数秒で決まる」と言われるが、新年度に入り入社式や入学式を終えて新たな生活のスタートを切った新人たちの挨拶ぶりは如何だろうか。職場近くのコンビニエンスストアの店長は、いつ行っても元気に声掛けをしてくるのだが、先日は新人のアルバイト店員と思われる方に「おはようございます!いつもありがとうございます!」と挨拶を受け、当方はそれほど頻繁にその店を使うわけではないが、勢いに押されて「おはようございます!」と挨拶をさせて頂いた。昔はご近所のお店であれば顔なじみということもあり当たり前に挨拶をしたものだが、昨今のようにレジですら自動精算機になっているコンビニでは、店員との挨拶は皆無に近いのではないでしょうか。レジ清算後には「ありがとうございました。またのご利用をお待ちしております!」とどこでも聞くようなセリフでしたが、言葉を言い終わった後に会釈ではなくお辞儀をされるではありませんか。ハキハキ、笑顔で、などが基本のマナーと言われますが、当たり前のようにされていたその振る舞いに、その人の気品すら感じられました。挨拶は誰でもできる最低限の礼儀です。その気さえあればいつからでも始められます。一日を清々しく過ごす意味でも気持ちのいい挨拶を心掛けたいものです。


                                  2024,4,25

口呼吸が引き起こすもの

 「パパはいびきがすごいのでママとは別に寝ているよ!」と話してくる子供もいれば、「そんな遠くではないけど出かけるよ。マレーシアだけど!」とGWの予定を聞いてもいないのに教えてくれる小学生もいる。いびきは原因があるだけに放置すると将来的には命にもかかわってくるので母親に説明せずにはいられない。マレーシアはそんなに遠くないと言われたら、どこなら遠いとこの子は思うのか聞いてみたいが大人げないか。診療室で子供達の話し方を診ていると喋り終わっても口唇を閉じない子がほとんどであり、普段から口呼吸をしている証である。口呼吸をしていると舌は口蓋に触れていることはまずないので上顎骨が拡大せずに歯の叢生が生じる原因となり、その叢生ですら結果的原因として舌の口蓋への貼り付けをさらに難しくしてしまう。身体の機能を幼少期に正さなければ生体は適応するように成長するが、代償反応として必ず身体に歪みを生じることになる。症状が無いから、問題なく食事は出来ているから大丈夫なのではなく、正しい口腔機能の動きをしているかどうかをしかるべき医院で診て頂きたい。口呼吸は国民病と言えるぐらい蔓延しており、あらゆる疾患の根本原因となっている可能性すら疑われている。エビデンスも必要だが、口を常に閉じるぐらいのことはやってみたらどうでしょうか。


                                  2024,4,24

ストレッチから見えてくるもの

 気の合う仲間と年一回の会食が今夜開催され、お互いの情報交換の場としても年々役立つ会となってきている。但し近年は参加者の高齢化も進み、もっぱらどこの治療整体院に通っているのか、良いスポーツトレーナーを紹介してくれないか、などの話題が多くなってきている。情けない話だが皆さん真剣なのである(笑)。そんな中で交わされた会話の中で、「ストレッチは良くないって知っているか?」と発言したもの者に注目が集まり、その理由を聞いてみた。そもそも何で身体が凝るのかという話になり、真っすぐ正しい姿勢で立っている時は身体の筋肉はすべて弛緩していてどこも緊張していないと指摘を受けた。なるほど‥‥。従って筋肉が凝るというのは体幹が悪いので、バランスのずれを正すことを継続できれば筋肉に緊張は起きないというのだ。さらにその方が通われている先生の話では、筋肉は伸び縮みはしないとのことであり、当方の整体トレーニングのアプローチの仕方では筋肉の緊張を起こしているだけであり、股関節回りなどにその代償反応が出てきても不思議ではないとのことである。一度確立された治療法を見直し、身体を悪くしないための先進的な治療法を取り入れるにはエビデンスが欲しいところではあるが、これからエビデンスを築いていこうとする姿勢はあって然るべきところは歯科でも同様である。


                                  2024,4,23

デジタルと五感

 「行ってきまーす!」と言って家の外に出ると鳥たちのさえずりが聞こえ、いつもこんなに聞こえていたかなと思えるほど今朝は賑やかであった。それもそのはず、普段はイヤホンを装着して最寄り駅まで歩いていくので外界の音すら耳に入れていなかったことに気付き、風音、バイクや道を行き交う車など当たり前の音を耳にしていなかったことに、違和感を覚えた次第である。便利さと時間を有効に使うつもりでデジタル機器などを使用はしているが、何か大切なものを失ってしまっている部分もあるのかもしれない。人が自然体で生活するとはどういうことか。五感を働かせて生きているはずが、少しの時間とはいえ自らそれを断ち切っているとすれば、精密機器以上の人間のきめ細やかな部分に何か影響を及ぼすことが出てくることはないか。ましてやそれが幼少期から日常的に行われているとしたら。当医院の待合室でも幼児が機嫌を損ねると直ぐにスマホを見せてゲームやら何かをさせて時間をやり過ごす親を見かけるが、非常に気になるところである。パソコンが一般家庭に普及しはじめてから約35年、スマホに至っては2007年のiPhoneがはじめてですから人類の歴史から見れば点にもならない期間であるが、それらが引き起こしている社会の変化がどのように人間に影響しているかは今後の研究と時間が解き明かすことになる。


                                  2024,4,22

睡眠障害とグリンパティックシステム

 睡眠障害、睡眠負債という活字を目にすることが多くなってきましたが、質の良い睡眠が出来ないと身体にどんな不都合が起きるのでしょうか。脳の老廃物をどのように処理しているかは脳科学者及び医療関係者の長年の謎でしたが、数年前に「グリンパティックシステム」と言われる脳の広範囲に存在する血液系に類似した「巨大な夜間の流通ネットワーク」が発見され、我々が眠っている間にあるチャンネルが開閉し、脳細胞と脳脊髄液の間で多くの化学物質やホルモンの交換が睡眠の各ステージで行われ、これが脳の健康維持に不可欠と考えられるようになりました。老廃物の除去に関していうと、このシステムによってアルツハイマー病に関係するアミロイドベータという脳内の有害な老廃物を素早く取り除くことができ、睡眠の質と量の悪化が脳内に蓄積されるアミロイドベータと関連していることから、グリンパティック機能の低下は、アルツハイマー病やパーキンソン病、脳卒中にも関わっていると考えられています。従って、慢性的な寝不足による睡眠負債、睡眠障害による睡眠の質の低下は脳細胞の健全な働きを阻害するため、何よりも優先して改善すべき事項であると考えています。口呼吸、低位舌は呼吸障害とも密接な関係があるため、幼児から成人に至るまで口腔機能の正常な機能獲得・改善が必要不可欠となります。当医院では投薬による睡眠改善ではなく、口腔機能の正常化によって睡眠障害を改善する視点が重要であると考えております。


                                  2024,4,21

子供のサイン

 初診の問い合わせを頂いても直ぐに承れない状況であることを心苦しく思っておりますが、一人ひとりとしっかり向き合った診察、治療を心掛けておりますので多くの方を一度にお受けできません。申し訳ありません。但しお子様の不正咬合、噛み癖、口呼吸、落ち着きがないなどの相談、診察を希望される方の場合は、その限りではありません。なぜならお子様の一日は我々大人と違って日々成長しているからです。口呼吸、異常嚥下などの習癖を早く取り除かなければ口蓋骨、上顎骨の正しい成長が促されず、頭蓋顔面骨格の発育不全を起こし、その影響が全身に及ぶからであり、成人になってからの歯科治療は対処療法であり、疾患に至った根本原因を取り除くまでには至っておりません。“There is a reason for everything!”のフィロソフィーに沿った歯科医療を提供するためには既成概念を変えていく必要があり、そのためには皆様のご理解も必要となります。ADHD(注意欠陥多動性障害)の原因については現時点では明らかになっていませんが、疑われる要因には、何らかの遺伝的な要素、妊娠期間中における喫煙やアルコール摂取‥‥などと言われておりますが、医科にてADHD様症状と疑われた小学生が当医院にてトレーニングを通じて舌を含めた口腔周囲筋の習癖除去、口呼吸から鼻呼吸への改善を行ったことで、学級担任から「ご家庭で何か行っていますか?」と尋ねられるぐらい落ち着きがみられるなどの変化を診れば、如何に頭蓋顔面骨格の発育不全が見逃されているかを思い知らされる次第です。塾通いしても成績が上がらないお子様は口呼吸になっていませんか?普段から呼吸が苦しくて落ち着きがないのではありませんか?お子様が発しているサインを親は見落とさないでください!


                                  2024,4,20

世界共通の幸福感

 今回のシンポジウムでお会いした韓国人の歯科医師の方々、市内で買い物、食事をした際の店員とのやり取り、タクシードライバーの片言の日本語アドバイスなどから受け取れる対日本人への印象は概ね良いと思われ、親切、丁寧であり、にこやかに応対してくださるところは今の日本社会よりも居心地がいいのかもしれないと感じたほどである。政治観レベルでの難しさは過去の歴史から未だに払拭されていないが、未来志向で両国の関係を発展させていくには、国民同士の交流を質・量ともに増やしていくことに尽きるのではないでしょうか。風土、文化においては似た環境にあり、相互理解が深まり「対立」から「友好」そして「相互依存」となれば、意識のなかで国境をを消すことは可能である。“人は鏡。自分が怒れば、相手も怒る。自分が笑えば、相手も笑う。自分が変われば、相手も変わるか。” 言葉が通じなくても心が通じた時の幸福感は世界共通である。円安で訪日外国人が増加傾向にありますが、日本でしか味わえない貴重な良い経験のお土産を沢山持ち帰って頂きたいものですね。

                                  2024,4,19

根本原因を取り除け!

 国際学会特有の華やかな雰囲気のなか、94歳になられるJohn Mew先生から頭蓋顔面発育におけるかみ合わせの考え方についてのフィロソフィーが語られた。現代歯列矯正治療の問題、改善すべき考え方を数十年前から世界各国を回って講演しており、当方がはじめてその話を聴講できたのは8年前であり、それまでの臨床の根本的な疑問が晴れた瞬間でもあった。むし歯、歯周病、顎関節症、出っ歯や叢生(歯の重なり)は診断をすれば何かしらの診断名を付けることにはなるが、それぞれは単独で悪くなったのか。今はそれぞれの専門、いわば歯周病専門医、矯正専門医なるものが(他の専門医も含めて)存在するが、全身を診たうえでの診査診断が出来なければ“木を見て森を見ず”であり、結果的には対処療法の繰り返しとなる。誕生してから人生を全うするうえで一番欠かせない機能は呼吸であり、正しい呼吸が出来なければ様々な器官が本来あるべき正常な機能を果たせなくなり、適応と代償という生きていくための反応が全身レベルで起きることになる。人は適応できている間は医者いらずであっても、代償の対価が大きくなって症状が出始めると多くの医療機関の診察カードが財布に収まるようになってくる。身体の不調を抱えている方には先ずは正しい呼吸・鼻呼吸が出来ているのか医療機関で確認をして頂きたい。そして、不正咬合に至った根本原因を理解し、その原因が存在し続けることで全身にどのような悪影響が及んでくるのかを理解さえすれば、その先何をすれば良いのかをご自身で決められるはずである。身体の不調を医者は治せません。正すのはご自身であることを忘れずに!

                                  2024,4,18

アニョハセヨ

 約30年ぶりのソウル訪問。金浦空港から市内へのアクセスは地下鉄が網の目のように張り巡らされ、車内も日本の地下鉄よりも広く設計されており快適である。地下鉄のホーム、階段、そして地上に出てから目にする表記はハングルだが、日本語に置き換えれば異国にいる違和感は全くないと言えるほど外国気分ではない。韓国にお越しになられた方であれば現金を持たなくても済む社会であることを実感されているのではないでしょうか。シンポジウム参加のための来韓ではあるが、今日の午後だけはフリーのため効率よく市内観光をする予定を立て、地下鉄、路線バス、タクシー、そして徒歩とフルに動き回った。患者さんから教えて頂いた情報をもとに由緒ある寺院、インスタ映えする各所も観て回り、絶対に外すことは出来ない夕食で入ったお店で美味しい食事に辿り着けたのは満点であった。在日の方には日本で食べるキムチは美味しくないと聞かされていたが、こちらの本物を口にしたらその意味が分かった次第である。味の異なる辛さとでもいうのか、辛いけれども美味しいのでまた口に運びたくなる旨味のある辛さである。明日はいよいよ不正咬合を予防するためには何をどうすべきかについて、世界から第一線で活躍しているスピーカーが集う話が聞ける貴重な機会である。目指す方法、フィロソフィーは同じであり、アプローチの仕方の違いについて理解を深める場にしたい。

                                  2024,4,17

舌筋と舌の可動域

 「先生、私の歯がなくなった原因はかみ合わせにあると仰ったでしょ!そのかみ合わせが悪くなったのは舌の動き(可動域)が悪いからだと。でもね先生、この歳だから今更舌の動きをどうこうしたってどうにもならないでしょ?歯並びが良くなることはないでしょ?」と年齢を感じさせない80歳のご婦人からの質問である。成人になってから不正咬合を改善させるにはメカニカルな力を必要としますが、舌の正しい動き、つまりは舌を口蓋に張り付けることが常に出来る状態でないと、咀嚼したものを嚥下する際に奥舌が持ち上がらなくなると誤嚥が生じやすくなります。少し専門的になりますが、食べたものが気道に入らないようにする喉頭蓋は舌の奥が持ち上がることによってパタンと蓋を閉じるので、年齢を問わず舌の筋肉を鍛える必要があります。また舌の可動制限が診られる子供達も増えており、舌圧による口蓋骨の拡大が進まないので上顎骨は小さなままで歯が生え変わると当然歯がすべて顎骨に並ばなくなります。これが不正咬合の成り立ちであり、子供達の顎の発育不全が非常に多く診られます。従って生涯を通じて我々人間は舌の動きを意識し、正しく機能するように心がける必要があります。

                                  2024,4,16

キーボード

 なんとも情けないことに、仕事の効率が上がらない理由の一つにキーボードのブラインドタッチが出来ないことにある。我流でそれなりにこなしてきたことは何も自慢できることではないが、先日の講演会にてノートに書き込むことからパソコンに打ち込もうとトライしたものの、あえなく断念する羽目になった。長年の課題を放置してきたことが結果的には仕事の遅延、ストレスを溜め込む一因なっており、自助努力してこの状況を打破しなければならない。振り返ると学生時代に友人の住むアパートで初めてパソコンを目にし、訳も分からず使ってみたものが今では皆さんご存じのようにパソコンを目にしない日はない。これ以上の仕事と人間脳の停滞は許されるはずもなく、今日この時からキーボード入力の入力は手元を見ないようにしている。が、文章がハチャメチャである(笑)。意味合いは異なるかもしれないが、私にとっての“学びなおし”はキーボード操作になるのかもしれない。

                                  2024,4,15

リスキリング

 学びなおし、リスキリングの活字をよく見るようになったが、効率的に勉強し、すぐに役立つスキルを身に付けなければ‥と切迫感が高まる昨今。あえて時間をかけて、自分の人生や社会との関りをじっくり考える、そんな「学び」を実践する人が増えているという。「学ぶ」とは何も座学だけを示すのではなく、体験で得たもの、人との会話から得られる気付きこそ生きた学びであろう。一日スマホを持たずに過ごすことで得られるものは何か。ちょっと調べものと思って手を伸ばしたその先にあるネットサーフィンの罠。スマホが悪いのではなくそれを扱う我々の意識が重要であり、「自分の頭で考える」という極めて基本的なことが難しくなってきている。短時間の効率的な学びだけに終始するようでは、浅瀬を泳ぐ魚と同じで深く潜ることが出来ず、自分を掘り下げて振り返ることはない。アップルの創業者であるスティーブジョブズ氏が自分の子供にipadを使わせなかったことは有名な話であり、訳があったのだろう。

                                  2024,4,14

体力強化

 山道を走るトレイルランニングをされている方から、「これからの季節はマラソンよりもトレイルランが気持ちいいですし、脚力アップにも良いですよ!」と声を掛けられた。ジョギングであればいつでも直ぐに出かけられるが、トレイルランとなればちょっと出かけて‥‥というのが正直面倒で試したことが今までなかった。その方に言わせると、たとえゆっくりでも山を走ると、軟らかい地面や起伏に富んだ地形を踏みしめるうちに様々な筋肉を駆使し、筋力全体のバランスが整えられるとのことで、なんとなく経験的に分かる部分はあり頷ける。プロトレイルランナーの鏑木毅さんは、身体に負担を掛けないようにゆっくりと、長時間走り続けると毛細血管を伸長させ持久力を向上させることができるという。当方も50代後半を迎え身体のフレキシブルさを失いつつあり、毎朝起床後のストレッチが欠かせない。先日「2024年横浜マラソン」のエントリー受付が始まり、サブ4を目指して先ずは申し込みを済ませたところだ。今までの経験値と経験豊富な方々のご意見を取り入れながら、自分に合った体力強化法を探っていくとしよう。

                                  2024,4,13

真の歯科医療を提供するとき

 「咬み合わせが悪いのは顎の成長発育不全が原因なので、歯を抜いて矯正治療を行っても原因が取り除かれたことにはなりませんよ!」と小学3年生の親御さんに説明をすると、「矯正治療専門医で歯を抜かないと歯が並ばないと言われたのですが‥‥」との返答に、自前のスライドを使って更に詳しく解説を加えさせていただいた。医療で重要なことは、患者さん自身がご自分で理解したうえで適切な医療を受けることであり、白衣を着た人の言うことだから間違いないと思い込むのは如何なものか。一度確立された治療法をその後の研究や臨床実績によって変更することはあってしかるべきことであるが、それが出来るかどうかは医療者の“真の健康”を提供する使命感の有無でしかない。歯科医療の現場では大きな変化の波が起きていると当方は感じている。不正咬合から見えてくる頭蓋顔面発育障害、歯軋り、睡眠呼吸障害、顎関節症などの根本原因を正す、取り除くことが真の歯科医療であり、今はそれが可能になりつつある。30年近く携わってきた臨床経験が、これからの真の歯科医療に役立つ時が来たと思える今にエキサイティングしている。

                                  2024,4,12

なぜ辞める

 今年は桜の開花が遅くなったこともあり、入社式や入学式に彩が添えられたのではないでしょうか。新たな道に向かって一歩を踏み出す勇気と不安の中で、経験を積みながら成長をしていく自分の姿に期待してほしい。そんな前向きな人ばかりであれば嬉しいのだが、入社したその日に退職したという新入社員がいるというではありませんか。耳を疑います。仕事は“好きな仕事に就く”か“就いた仕事を好きになる”の二つに一つが当方の持論であり、実質一日も勤務しないで辞めるとは理解不能です。「どこかに『好きな仕事』や『向いている仕事』があると思うからおかしくなる。自分がある仕事とかかわり、向き合い、葛藤し、その後、成功や感動を体験することによって、それが『好きな仕事』や『向いている仕事』になるのである。仕事と積極的に関わろうとしない人間は、ないものねだりをしているだけだ。」とは川北義則氏の『一流の働き方』の一説です。直ぐに結果を求められる今の世の中ではありますが、物事を考える前にネットに手が伸びるような習慣はできるだけ遠ざけ、常に周りとではなく自分と向きあい、感動のある生き方、感動できるような仕事の仕方をしていただきたい。

                                  2024,4,11

脳科学

 今年のMLBは開幕からLos angeles Dodgersの大谷翔平選手の話題で持ちきりだが、MVPトリオの一人ベッツ選手の活躍は群を抜いている。身長も175cmそこそこにも拘らず身体能力の高さに当時のRed Soxが目をつけ、大学進学を決めていた彼をドラフトで指名し獲得した。その頃レッドソックスは地元の脳科学研究所に依頼し、脳が野球に与える影響を調査していて、そこでベッツ選手に脳科学のテストを受けさせたところ、信じられないような数字をたたき出したという。どんな内容であったかは明らかにされていないが、脳科学のスタートアップ企業の話では、「の時点で脳がストライク、ボールを判断しているのか。脳が打つという指令を出したとき、始動までの反応時間はどれくらいなのか。そんなデータを収集し、それを訓練で高める取り組みを研究している」と本日の日経新聞に掲載されている。脳の働きが打撃にどのように影響しているかは明らかにはなっていないが、現代スポーツの進化にはあらゆるテクノロジーを駆使した研究が常に行われている。当方が子供の頃には練習中に水分を補給することなどもってのほかと指導されたことを思い出すと、同じ野球と言えども異次元のレベルで行われている球技になっており、あらゆるスポーツ種目の進化にどこまで人間が付いていけるのか、期待よりも不安さえ覚えるのは私だけだろうか。

                                  2024,4,10

一流大学とは

 大学受験を終え、無事に合格したのでこの4月から通い始めた学生さんに「合格おめでとう!良かったな!」と祝福の言葉を掛けたがあまり嬉しそうではない。以前から思うことではあるが、世間で言う一流大学に入学できないと、このような学生さんたちは嬉しくはないのだろうか。どこの大学に合格されたのかまでは尋ねてはいないが、幼少のころから偏差値が脳内に埋め込まれた教育を受けてきた弊害なのではないか。そもそも大学には一流も二流もない。何かを学ぼうとする意欲を持った学生が多ければ、それが一流大学である。ですので、他人から見れば三流大学でしかなくても意欲のある学生にとっては、それは一流大学になるのである。「みずから学ぼうとしない人間に教えることは出来ない。」という言葉があるが、実に的を得た言葉ではないか。如何に大学の設備が整っていようと、教えることの出来なくなった先生と、学ぶ意欲を失った学生が集まった大学は三流大学であり、そのような環境から巣立った人間が構築していく社会が健全になるとは思えない。たとえ第一志望の大学ではなかったとしても、4年後にどこかの大学をもう一度選ぶ機会を得たとしたら、今度は自分の意志でこの大学を選びたくなるような、そんな大学生活を送ってもらいたいものである。

                                  2024,4,9

症状の慢性化

 先週開催された「幼児から成人まで睡眠呼吸障害のある患者に対する頭蓋顔面の最適化プロトコール」という演題の講演会は、最新のオックスフォード大学における研究内容を知ることが出来る貴重な機会で、今後の当医院の臨床プログラムにも取り入れる切っ掛けとなったが、最前列に近いところで聴講したためか週明けから頸椎周りが痛くなり、加齢による身体の衰え、フレキシビリティの低下を実感した次第である。寝違えで首を痛めた経験はあるものの、その痛みとは明らかに場所も程度も異なるだけに対処の仕方に参っている。普段の臨床で咬み合わせと体幹の歪みを診査診断している身としては、頸椎を直接痛めたのではなく、肩甲骨から頭蓋底にかけての筋肉の緊張が間接的に頸椎周りに痛みを引き起こしていると診断はしたものの、手の届かない筋肉のほぐしをするのは容易ではない。身体の不調を抱えている方は、このような状態を改善させることなく身体の他の器官が代償的に働くことで症状は一時的に消退し日々過ごすことになり、その結果慢性的な不調を継続するようになる。身体が大事なことは分かっているけど仕事を優先させなければ‥‥と仕事優先で退職を迎えた時には身体の可逆性は失われ、加齢もあって回復は思うようにはいかず、人によっては「歳だからしょうがないと!」と諦めの境地に至る。当方は患者さんに「会社、職場の人が貴方の健康を取り戻してくれますか?」と問いかけをすることがある。それは適切な時期に適切な治療を受ければここまで悪くはならなかったと考えさせられる患者を多く診てきたからである。

                                  2024,4,8

才能

 子供の頃から絵を描くセンスも観る目もなく育った当方にとって、頭に浮かんだそのままを紙一枚に表現できるイラストレーターは才能の塊に映る。スマホに収めた当方が飼っているダックスフンドを見せたところ、「わ~可愛い、ちょっといいですか!」と言いながら会計を済ませると受付のメモ用紙にスラスラと描き始めるではありませんか。ものの数分で特徴を掴んだダックスを描くそのペン先は、まるで魔法使いのようである。教養がないと言われればそれまでだが、学生時代にバックパックを背負って大英博物館、ルーブル美術館、オルセー美術館など巡った際にも有名な絵画ですら知らず、ガイドブックを片手にうんちくを詰め込んでも興味が沸かないものは財産としては残っていない。なぜ?どうして?という疑問、好奇心が人を成長させるものだとすれば、絵から学び得たものはあったのか。中学時代の美術で「5」の成績を頂いた時には模写の授業があり、ただ真似るだけだったのでそれだけは上手く描けたが、今思えば何ら独創性のない輝くものではなかったと思えてきた。努力を続けられることが才能だと言った方がいるが、才能を努力で超えることが出来るのか。

                                  2024,4,7

真の医療改革を

 むし歯が出来たから歯医者に行く、歯が痛くなったから歯医者に行く。皆さんも一度ぐらいは歯科医院を受診されたことはあると思いますが、なぜむし歯になったのか、なぜ痛くなったのか、先生からの説明を聞くだけではなく自分の中で理解、説明内容をしっかりと咀嚼するところまで出来たうえで治療を受けてきたでしょうか。“先生が忙しそうだから質問は出来なかった”といった類のことを当医院にお越し頂く方から伺うことがありますが、なぜ医者、歯医者に遠慮して尋ねたいことを聞かないのでしょうか。私なら患者の質問を煙たがるような白衣を着た人であれば、その場で席を立つと思います。患者さんが沢山いるので一人ひとりに説明する時間が足りないというのであれば、受ける患者の数を制限すればよいのです。広く浅く的な医療を続けているから患者さんとしっかり向き合うことのない医療になっているのであり、ベルトコンベアー式の医療になっているのです。日本の医療の何が問題かと言えば、しっかりと目の前の患者さんを向き合っていないことであり、その背景には患者を沢山“捌く”ことをしないと保険点数が上がらなという事情が今も昔もあることです。本気で制度改革をするのであれば、20歳未満は歯科保険制度で適応、20歳以上は保険適応は無し、ぐらいの思い切ったことをしなければ、歯科医療従事者側も国民も意識は変わらないのではないでしょうか。本日も治療相談、説明に約1時間掛かりましたが、歯科保険制度内では何の請求も出来ません。これが日本の歯科医療制度の現状であり、政治家の体たらくはこんなところでも見受けられるのではないでしょうか。

                                  2024,4,6

健康改革

 二年半の咬み合わせトレーニングが無事終了し、呼吸、体幹、そして咬み合わせも安定した状態を維持出来ていることに親御さんだけではなく我々サポーターも嬉しい限りである。成長途中にある子供達の不正咬合は、そこに至った根本原因を取り除くことさえできれば顎の発育不全を改善し、正しい顎の成長誘導を促進させることが出来る。その結果上下的な顎骨の位置関係も補正され、個々の歯が顎骨内に収まるスペースも確保され、永久歯列が機能的に問題なく並ぶことで脳頭蓋の荷重が強くかかる第二頸椎へのバランスも整い、側弯症そして長期的には脊柱管狭窄症などによる痛み違和感を経験することなく過ごせることでしょう。世の中に医者、歯医者、鍼灸マッサージ、整体院など数多くの医療施設が存在するが、それらに共通することは悪くなってから治療、それも対処療法を行っている点であり、根本的な原因を改善は出来ていない。国民の健康を取り戻すだけではなく、健康を崩さないためには乳幼児から学童期にかけての子供達の身体の成長を正しい方向に導く必要があり、医療関係者は本来そこに介入すべきである。健康サプリメントが市場に溢れ、病院施設も全国に存在しているにも拘らず、健康な国民の割合は決して増加しているとは言えない。20年、30年先の国民の健康を確保するためには、各医療現場における意識改革だけではなく、視点改革が必要である。

                                  2024,4,5

政治家の器量

 二日続けての政治ネタになります。政治資金パーティーの裏金事件をめぐり自民党が関係議員の処分を決めましたが、問われているのは国会議員としての資質であり裏金の使われ方であるので、党の内輪の処分などどうでもいいと国民は思っていることに先生方は本当に気付かれていないのでしょうか。それにしても窮地に立たされた時に人の本当の姿というものが見えてくるのですね。昭和のよど号ハイジャック事件では、乗客の身代わりに飛行機に乗り込んでいった山村新治郎代議士がいましたが、裏金問題で責任を取って議員辞職する気もない政治家を見ていると、政治家としての潔さ、プライドもなく、腹が座っていないと映っても仕方がない。それだけ器量の大きな志を持った政治家がいなくなったということなのでしょうか。記者からの出処進退について問われると、「後援会とも話をしなければ簡単には決められない」と言っている時点で国を導く器ではないと察しないのか。こういう人達を見ていてつくづく実感するのは、筋を通すことが出来ない人は政治家だけではなく業種に拘わらず駄目な人だということですね。

                                  2024,4,4

先生!

 ブログに政治ネタは載せないと決めていたが、これほどまでに呆れた国会議員が多くなると黙ってもいられなくなる。国民の多くはなぜキックバック議員が自ら職を辞することをしないのか不思議に思っているのではないだろうか。あるいはどうでもいいと関心すら寄せていないのかもしれない。国会議員の先生方が間違ったことをしていないと声を大にして言えるのであれば、議員を辞めて補欠選挙に再度臨んで国民に信を問えばいいだけの話である。選挙となれば余計な税金が使われることにもなるが、キックバックされた還付金を充当してもらうぐらいのことはしてもらってもいいのではないか。組織が大きくなれば一人ひとりを把握することは無理であり、会社であれば経営方針、理念に沿った働きが出来なければ個人の業績云々ではなく歯車が合わないわけだから組織を去らざるを得ない。党員であれば党是に従ってという話にはなるが、それ以前に国民に選ばれたということをお忘れでないか問いただしてみたい。議員バッジに余程未練があるのか何でも許される特権でもあるのか、あんな人達が「先生!」と言われ続けていたら、国語辞典の先生の意味すら変えなければならなくなる。新一年生に嘘を言わずに胸を張れるのであれば職務を全うすればよい。

                                  2024,4,3

自助論

 「どんなに高尚な学問を追求する際にも、常識や集中力、勤勉、忍耐のような平凡な資質がいちばん役に立つ。そこには天賦の才など必要とされないのかもしれない。たとえ天才であろうと、このような当たり前の資質を決して軽んじたりはしない」。これはサミュエル・スマイルズの“自助論”の一文ですが、当方が若いころ躓いて何事にも前向きに取り組むことが出来ないときに手にした本であり、久しぶりに再読してみると、書かれている内容は変わらないのに人生経験の有無によって入ってくる文字の響きが全く違うと思わされた。読書の魅力を感じるのはそんな一瞬ではないだろうか。これから知識も技術も身に付けていこうとする時期に、その世界で活躍する人を目の当たりにした時の自分との距離感、雲の上のような存在は目標にはなるものの、受け止め方ひとつで無力感にもなる。人の心の動きは繊細であり、自分を信じることが出来なければ成長の階段を登ることが出来ない。“大学受験に失敗したぐらいで”と今だからこそ当方が昔味わった同じ境遇にいる若者に声掛けをすることはできるが、当の本人にとっては先の見えない大きな不安の壁が立ちはだかっているようにしか見えないだろう。「失敗の原因はどこにあったのか。自分としっかりと向き合って!」と今年の大学新浪人生に伝えたい。

                                  2024,4,2

適応の限界

 根本原因を放置したために他の器官がそこを補うように働く代償反応が起き我々の身体は適応していくが、寿命が延びた分加齢とともに代償の付けが体幹の歪みを引き起こし、各箇所に凝り、痺れ、関節の可動域の制限などが顕在化してくる。ではその根本の原因はどこかと考えると、遡ると口腔内のバランスの悪さ、つまり不正咬合になるのではないか。そしてその不正咬合を引き起こした根本原因は舌を含めた口腔周囲筋の習癖であり、その習癖は何によって引き起こされたかと問われれば多くは口呼吸と鼻詰まり、さらにそれらの原因を探っていくと舌小帯の短縮によって舌の可動域が狭くなり、舌圧による口蓋の拡大が抑制されたために引き起こされた上顎骨の狭小化によって歯の萌出スペース不足が生じ、結果的原因として不正咬合が出来上がる。口腔内の不調和から生じるトラブルはむし歯、歯周病のみにあらず、顎関節症、片頭痛、側湾症、長期的には脊柱管狭窄症にまで及ぶケースもみられる。痛みがあるのは何かのサインであり、鎮痛剤を飲んで症状が消退したとしても根本的な原因を取り除いたわけではないことを理解すべきであり、身体が悲鳴を上げる前に適切な処置を受けられることを強く勧めたい。


                                  2024,4,1

睡眠医学・顎の成長不全

 日本において睡眠歯科医学は極めて一部の先生方が治療・研究に携わってきているものの一般臨床歯科医には浸透していない分野である。皆さんは歯科医院、そして歯医者に対するイメージはどのようなものでしょうか。未だに痛くなったら行くところと考えておられるかたもいるかも知れませんが、そのような歯科への掛かり方では真の健康を取り戻すことは永遠にできません。特にお子様の場合は顎の成長不全によって歯が並ばないだけではなく、舌が後方の気道を閉塞させる原因にもなりますので睡眠時無呼吸とも密接な関係があります。症状が無いから問題はないということではなく、現状のまま成長発育したら身体にどのような影響を及ぼすことが想定されるのかを知る必要があるのではないでしょうか。例えば口蓋が狭小化すると上顎骨の成長は抑制され鼻腔底も狭くなり、上気道の空気抵抗も強くなることから咽頭扁桃(アデノイド)、口蓋扁桃の炎症が生じやすくなります。ではなぜ口蓋が狭小化するのでしょうか。全てのことには理由があります(There is a reason for everything!)。放置すれば悪くなることが分かっているにも拘らず様子を見ましょうとただ時が過ぎるのを待っている間に子供達の健康は蝕まれていきます。乳幼児であればお母さんのおっぱいをきちんと咥えて飲めていますか?お子様は口を開けて寝ていませんか?食事の際にクチャクチャ音を立てて食べていませんか?全てには原因があります。根本原因を取り除くことが医療であり、それが出来なければ代償的な結果が待っているだけで、その結果成人になってから対処療法を永遠と繰り返しているのが今の日本人の口腔内環境です。睡眠、顎の成長不全を予防する取り組みを今後も積極的に取り組んでいく所存です。


                                  2024,3,31

睡眠医学

 歯科の臨床に携わって約30年が過ぎようとしているが、満足できる臨床領域に入って来たかと言われるとそれはなく、次から次へと疑問、気付きに出くわすのでゴールの見えない長距離ランナーのように走り続けているのが偽らざる心境であり現状である。勿論臨床に真摯に向き合ってきたからこそ見えていなかったことが視野に入ってくるのだとは思いますが、そういう意味ではこれからの自分の歯科人生に期待をしたい。本日は睡眠医学の第一人者であるスタンフォード大学の臨床医の話を伺える機会を得て、新たな景色を見ることが出来るのではないかと気分が高揚している。近年は睡眠への関心も高まりつつあり、書店やアマゾンランキングでもその分野の出版物を目にする機会も多く、健康機能食品でも睡眠サプリメントや飲料メーカーの宣伝広告も見られるが、情報過多の傾向もあることから一般人は頭でっかちになりがちである。正しい情報を共有する意味でもエビデンスに基づいた話、この先の課題などの貴重な話を今後の臨床に取り入れる切っ掛けとなる一日になりそうである。


                                  2024,3,30

当たり前ではない不正咬合

 このブログのなかでも咬み合わせの重要性を何度となく述べてきましたが、不正咬合を伴う外傷による歯の硬組織疾患(歯が欠ける、割れる、歯根破折など)で失った箇所に対して対処療法を繰り返したらどうなりますか?と患者さんに質問すると「同じ歯もしくは詰め物が同じように欠けるのでは?」という答えが返ってきます。その通りです。不正咬合が原因で歯を失った箇所にインプラントを埋入したらどういうことが予後において考えられますか?と尋ねると「インプラントも悪くなるのですか?」「インプラントと咬み合う歯は問題は起きないのでしょうか?」と逆に質問を受けることになる。決して難しい問題ではなく、ご本人の歯型模型、口腔内写真、レントゲン画像を見せながらカウンセリング相談をしていると、今まで掛かってきた歯科における疑問が次から次と溢れ出してくるから不思議である。なぜそんなに疑問があるにも拘わらず治療を受けたのか、患者さんサイドとしても考えなければならないであろう。それと不正咬合に対する歯科医の問題意識のあまさには愕然とするしかない。なぜなら乳幼児期から成人期へと成長するにつれて様々な成長パターンを伴い変化する歯列や頭蓋顔面複合体に対して我々歯科医師は適切な時期を逃さずに何を治療すべきかを矯正歯科医でなくとも考えなければならないはずである。なぜなら患者の年齢に応じて頭蓋顎顔面の成長パターンをコントロールし、良い方向へ導くことが出来るのは歯科医師だけだからです。“木を見て森を見ず”診療はいい加減やめませんか、と声を上げたい。


                                  2024,3,29

久しぶりのソウル

 来月ソウルで開催されるシンポジウムに参加するため休診日を頂くので治療でお越しになられた方にお伝えすると、「ソウルの美味しいお店の詳しい情報をメールで送りますね!」と仰って下さり、ガイドブックよりも細かい店案内を送ってくださった。バックパックを背負ってヨーロッパ各地を旅して安宿で一緒になった韓国人学生の実家に呼ばれたのが30数年前なのでそれ以来の韓国訪問である。当時はデパートの崩壊、漢江に掛かるソウル市内の橋が崩落するなどインフラにも課題、欠陥が多くみられた国であったが、今は国民の相互交流も盛んになり、近くて遠い国ではなくなっている。情報をくださったCAの方は仕事柄お客様のことを常に考えているからか、店に行くための道案内を地下鉄出口まで詳細に教えて下さる徹底ぶりで、お人柄が伝わってくる。この方以外にも情報を寄せて下さる患者さんもいらっしゃり、皆様には感謝である。せっかくなので観光もしたいところだが、ゆっくりする時間はないので夕食選びを慎重にしたいところだ。また1月に鎌倉で出会ったソウルの韓国人学生からもインスタでお声がけを頂いているのでそれも楽しみの一つである。今更ハングルを勉強したところでどうにもならないのでが、先日立ち寄った書店でハングルのテキストに手を伸ばしている自分に笑ってしまった(笑)。


                                  2024,3,28

有意注意

 一寸先は闇とは上手く言ったものだ。長年空気のような存在でプライベートも含め全幅の信頼を寄せていた人に裏切られ、お金もいつの間にか勝手に口座から無くなっている。健康維持のためにサプリメントを毎日摂取していたら、それが原因で死に至った疑いがあると世間を騒がしている。船は橋を潜って通り過ぎるものかと思っていたら橋脚に衝突して橋が崩落する。何れも、“まさか?”であろう。すべては他人事ではなく自分事として捉えることで被害者の気持ちに寄り添うことが出来るかも知れないが、心配すればキリがないことでもあるからこそ“今”をより充実した時間として過ごす教訓としたい。時間‥‥、誰にも平等に与えられた一日二十四時間をどのように過ごすか。時間割によってルーティンを守れば願うようなところに辿り着くものでもない。私の中でのキーワードは何かと問われたら“意識”であり、どんな環境でも、どんな些細なことであっても気を込めて取り組まなければなりません。稲盛和夫さんはこのことを“有意注意”といい、これが習慣になってくると、何か問題が起きても、すぐに核心をつかみ、解決が出来るようになると仰っておられました。


                                  2024,3,27

歯科治療で歯は良くなる??

 「歯医者さんの治療で痛くないのは初めてです!」とは顔を腫らして来院された著名人である。今のご時世、マスクを装着しているので何ら不思議がられることはないので職場でも外見的には問題ないとのことでしたが、その方のホームページにある店主の顔ではなかった。口腔内診査では沢山の治療痕があり治療内容的にも満足できるようなレベルではないことから、痛くなる度に歯医者に駆け込みそれなりの治療を受けて痛くなくなればその後は再び症状がでるまでは医者には行かないという典型的な歯医者嫌いである。皆さんは歯の治療を受けることで歯が良くなるとお考えですか?また、歯の治療で痛くなることは先ずありません。なぜなら神経のある歯に対しては局所麻酔を致しますので基本的には痛くありません。「いやいや先生、麻酔が効かないまま治療することだってあるでしょ?」と聞かれることも稀にありますが、そのような歯科治療を行っている医院で治療を受けるから痛くなるのですよと私は言いたい。歯は何本もあるから一本ぐらい抜いても支障ないなどと思われている方はいないと信じたいですが、28本それぞれ役目が異なりますので一本抜けたら長期的には一本抜けただけの話ではなくなることをご理解して頂きたい。抜いてインプラント治療をすることが歯医者の仕事と思われている歯科医師も多いようですが、そのようにならないような環境づくりをすることが本来の歯科医のすべきことであるのは今更言うまでもありません。


                                  2024,3,26

動機・経験・言葉

 歯列矯正治療で毎月お越しになられる都内の大学に通う学生さんから、サークル活動の内容について詳しく話を伺う時間となった。アシスタントスタッフと会話が盛り上がっているところに当方が現れたものだから一旦会話は途切れたのだが、「何のはなし?」と尋ねたところからさらに話が盛り上がり、サークルに入った切っ掛けが語学を生かしたいという動機からだったとの説明を受けた。興味のあることに夢中になれることは素晴らしいことであり、知らないことを知り視野を広げる充実感を今はあるとのこと。子供の頃から検診にお越しになられているので15年以上の付き合いにはなり、話をしていても親目線で話をしてしまうのだが‥‥。「動機よりもその後の学びや体験のほうがよほど大切であり、未熟な経験でも絶対粗末にしてはいけないですよ!」などと堅苦しいことを述べてしまった。口から出る言葉といえば“昭和”を感じさせるおっさん言葉になっているので、時代に合わせた表現もできるような今どきのおっさんを目指さないと駄目ですね!


                                  2024,3,25

自立心

 「父親を早くなくして母親が女で一つで私たちを育ててくれたので‥‥」と患者さんからお話を伺った際に、当方の同級生にも同じような境遇の女子がいたことを思い出し、その後国立大学を卒業して今では地方銀行のCEOの重責を務めるまでになった背景には、育った境遇の中で自立心が芽生え、誰も頼りにできない、自分で生きていかなきゃいけないという粘り強さが子供の頃から養われていたのかと考えさせられた。ある年齢まで生きてくると誰もが感じ取ることかもしれないが、限りある時間の過ごし方によって人生の在り方は大きく異なり、伸びていく人は影日向なく努力しているものである。その同級生とは同窓会でお会いして以来ご無沙汰しているが、年齢を重ねるごとに益々魅力ある仕事ぶりをされていることだろう。当方もどこかでそんな存在でありたいものですが、人間的にはまだまだ成熟域には到底達していませんね。


                                  2024,3,24

名医とは

   20数年に亘り有名な歯科医師に治療を受けていた方が不信感を募らせて相談にいらした。主治医は治療には絶対の自信があり、自分以上に得意分野における学び研究をしている歯科医師は他にはいないと言い切るとのこと。口腔内診査をさせて頂くとご自身の歯はほとんどなく、多くのインプラントが埋入されており、他にも首を傾げたくなるような被せ物が装着されている。他の歯科医が診査診断したことをとやかく言うつもりはないが、患者さんがハッピーではない現状を目の当たりにすると、学術的な方法論、あるいは時の治療法を選択し当て嵌めた治療を行っているだけで、患者の言葉や内面に真摯に向き合ってきたようには到底思えない。歯科医師である前に人として一歩引いて考察する謙虚さを備えていれば、絶対的な自信があるなどという気持ちにはなれないし、言葉にするなど当方には到底考えられないことである。どんな職業分野であろうと常に研究を進めていく中で今までの方法論を変更しより良いものに改善していくことが結果的に世の中に為になっているのだが、忘れてはならないのは医療の場合は対人間であり、心と身体は常に一体であり別物ではないということだ。“心技体”のバランスが崩れてしまっては医者も患者も不幸になるだけだが、そのバランスを崩すことに医者が手を染めているとしても、高額な対価があるとそれに気付かないか、気付こうとしていないのかもしれない。


                                  2024,3,23

マナーの悪さ

   日本人のマナーの良さは世界に誇れる文化でもあったはずだが今は見る影もない。今朝の通勤電車に乗る際には乗降口付近にホームに背を向けて避けようともせずスマホ操作に夢中になっているOLと思しき女性が立っているではありませんか。最近では電車に乗る際によく見かける光景ではありますが、人の迷惑にならないような行動を執るという躾、教育が全くなされていない証と当方は捉えていますが、皆様はどのようにお考えでしょうか。帰宅時の電車に乗る際には乗降口の両サイドにやはりスマホをいじっている男性が立っており、すると乗降でき人数は一人に限られ、スムーズな乗り降りが妨げられることになります。そんなことに腹を立てることなく待てばいいのではと自分に言い聞かせはするものの、気分の良いものではありません。「通れないんだよ!お前ら少しは周囲の迷惑を考えたらどうなんだ、いい歳をしてそんなことも分からんのか!」とは私ではなく同じタイミングで電車に乗り込もうとした乗客の方が怒り心頭で声を上げた時には心の中で「そうだそうだ、何考えているるんだ!」と叫んでおりました。以前駐車違反しているドライバーに、交通渋滞を引き起こしているから移動をお願いしたら逆切れにあったこともあり、警察からは「いろんな方がいるので不用意に注意しない方が安全です。そのような時は私たちまで連絡を頂ければ対応しますので‥」と言われたこともあり、インフラの劣化以上に日本人の精神構造が崩壊してきていることを危惧する毎日です。


                                  2024,3,22

伝え方

   「雪深く 路見えず 今しばし待たれし」。これは当方が約40年前に受験した国立大学からの合否通知を知らせる電報の文面である。覚えるつもりは全くなかったが、この時期になると毎年記憶が蘇ってきたために結果的に記憶の上塗りをされて今に至っている。今朝の日経新聞には就活における通知は電子メールが主流となり、不採用の定型文として「今後のご活躍を‥‥」などが多く「お祈りメール」と呼ばれていると載っている。メールのやり取りは手間を省けるメリットはあるものの、機械的で冷たく学生には不人気とのこと。不採用になった学生のなかには、お祈りメールで受けた企業を嫌いになって、その会社の製品を使わなくなったなどの声もあるという。伝える言葉や姿勢は誠実か。なんとも難しい世の中ですが、断り方ひとつでイメージアップに繋げることも可能であり、どんな場面でも相手を慮り、内面にまで入って行動を執ることが出来る人でありたいものです。 


                                  2024,3,21

季節感

   三寒四温とは上手く表現したものだと感心する。3月に入ってからというもの日中の気温の寒暖差に合わせ服装選びに悩む方も多いのではないでしょうか。当方が家を出る6時過ぎには未だに冬のような寒さが残るかと思えば日中には日差しも強く汗ばむぐらいの時もあり、気候変動の影響もあり人間様の体調管理にも今まで以上に注意が必要なようである。今日に至っては関東地方で急な突風や雷雨、雹に見舞われたところもあり、走行中のトレーラーの横転まで起きている。春夏秋冬の四季が俳句和歌などに詠まれるなど日本には欠かせない存在であったが、年々季節感が薄らいできて衣替えという響きさえなくなってしまうのでは。人も生きていく上ではけじめが大事であり節目というものが必ず存在するものだが、多様性という意味を拡大解釈してはいないかと思われるような物言い、行い、社会の風潮が蔓延り始めているようで危惧の念を抱いてしまう。経験値だけで価値判断するのではなく先人から受け継がれた良書を読み、実生活に落とし込んで常識、良識を身に付け、自己の季節感を育てていく生き方が出来ている人は美しく映りますし、素敵だと思います。


                                  2024,3,20

懲りない政治家の面々

   センバツ高校野球でロシア人の両親を持つ選手が出場し見事な活躍をされている。誰もが国籍を選んでこの世に生まれてくるわけではないが、ロシアによるウクライナ侵攻によって善良なロシア国籍の方々が肩身の狭い思いをされているのではないかと気になるところである。先日乳幼児の舌小帯手術を長年されている御年80歳の小児科医を尋ね見学をさせて頂いた際にもロシア人ご夫婦が来院されており、赤ちゃんの体重が増えないことが心配とのことだったがベテラン医師の的確な説明に安堵の表情をされ、当方にも流暢な日本語で話しかけてこられた。どこの国籍であろうと同じ地球上に生きる人間同士、基本的に初めから敵対することなどないはずであり、時の異質な思想を持った指導者が国を治めている間は国民は犠牲を強いられることになるのは歴史がすでに証明している。権力を持てば暗殺すら秘密裏に行われてしまう恐ろしい状況では、自由な発言すら国民は控え、生き延びるためにはどうすべきかを選択することであろう。地政学的にも対峙する我が国において、常識、良識が通じない国の指導者に対して、いつまで内向きのどうしようもない政治をしているのか。政治家は自分が正しいと思っているにもかかわらず批判されているのであれば、議員を辞して再度選挙で選ばれたら良いのではないでしょうか。そんな誰もが分かることを先生方は何をゴタゴタ言って議員バッジに未練を持たれているのか情けない限りである。甲子園球児のように白黒ハッキリさせましょうよ!


                                   2024,3,19

新規相談

   最近新規の問い合わせが多く、なかでも小さなお子様の相談件数が増えている。未就学児の姿勢が良くないのはかみ合わせと関係があるのか、口が開いていることが多く注意しても閉じようとしないのは出来ないからなのか、など当医院のかみ合わせの治療をされている子供達にも初めの頃に診られた所見と似たような主訴である。おそらく当医院だけではなく他の歯科医院においても同様の相談で受診される親御さんが増えているのではないかと推察するが、明らかに不正咬合の子供達は私が歯科医師になった約30年前よりも増加しており、知人の先生が調べた歯科疾患実態調査の記録からも1999年以降は増加の幅が急激に上がっているとのことである。いったい背景には何があるのか突き止めたいものだが、先進諸国の子供達にみられる共通項であり、世界中で“不正咬合のパンデミック”が起きているのである。不正咬合とは顎に歯がすべて入りきらないことにより起こるケースと、口蓋骨が舌圧による支えがなく下方に下がってくると下顎が後方回転して上顎に適応しようとしても骨格的に上下が合わなくなって生じるケースと大きく2つに分けて考えると比較的分かりやすい。当院では子供達の歯並びを治すことが目的ではなく、顎の発育不全を改善させるためのお手伝いをしているに過ぎず、子供達の顎の成長が本来の軌道に戻れば顎骨は大きくなり歯も生えるスペースが確保でき、歯並びは自然と理想に近づくことが出来るのである。


                                   2024,3,18

新たな旅

   BS放送にてスイスアルプスの特集番組を観た際に、学生時代に歩いたクライネシャイデックの風景が遂この前のように思い出し、ハイキング前にスーパーMigrosで購入した菓子や100%果汁ジュース、地元のクラフトビールまで鮮明に蘇ってきた。アイガー、メンヒ、ユングフラウの三山を目の前に雲の流れをただ眺めていたあの時間は、今となってはなんと贅沢で豊かな時間だったのかと思う。宿泊した宿のダイニングルームで手紙を書いていると、他国のバックパッカーに日本のことや私の旅の行程などを聞かれ、もっと流暢に英語を喋れたら良かったのにと少し後悔したのも今となっては忘れられない思い出であるが、そんなバックパッカーのひとりと今も交流が途切れることがないのは旅の宝であり、来月シンポジウムでソウルに訪れる際に合うことが出来れば30年ぶりとなるが、都合がつくかどうか今から気になるところである。旅に限らず人との出会いは新たな発見との出会いでもあり、自分の知らない世界を知る切っ掛けともなる。今から一人旅とは取り巻く環境が許さないが、留学も含めて諦めることなく新たな旅をしてみたいと思う今日この頃です。


                                   2024,3,17

卒業式

   卒業式を明日に控えた6年生が咬み合わせの定期検診でお越しになり、「なんだか不思議な気分です~」と一言。当方の小学校卒業式のことは記憶の彼方のことではっきりと思い出せないが、なにか開放感があったようにような気はする。毎年この時期になると日照時間も長くなり、気候も暖かくなるので気持ちもどことなく前向きになる。しかい年明けの能登半島地震で被災した方々にとっては季節が変わろうとも一向に先が見えない日々で、春の陽気からも取り残された状態のままである。北陸支援割と銘打って政府は支援キャンペーンを早々と決め、北陸地方の宿泊施設は予約が順調に入っているようだが、果たして被災した当事者たちの支援に結びついているのか、何か一部の旅行業者だけが賑わっているようにしか見えないのは当方の偏った見方なのか。自然災害など予期せぬ事象によって日常生活を送れなくなる不自由さは経験した人でなければ分からないが、せめて気持ちだけでも常に寄り添っていたいものである。「能登の被災した6年生は無事に卒業式を迎えられるか心配ですね」との女の子の優しい言葉に、素晴らしい成長の階段を登っていると気付かされた思いです。


                                   2024,3,16

懐かしさと共に

   高校時代にお世話になった野球部の監督が千葉県の公立高校の名門野球部の監督になっていたことを先日知り、当方が母校で練習に明け暮れていたころの監督から言われた言葉がふと頭に浮かんできた。「練習を練習だと思っていたらいつまで経っても上手くはならん。常に上を目指し考えながら、且つ無心で取り組め!いいか、無心でだぞ!」。紅白戦も出来ない部員数の弱小野球部で、日曜日となればどこかしらの高校まで出向き練習試合を行うものの勝つ喜びも数えることが出来るほどしかなく、弱いチームほど練習時間が長いなどと他の部活動の仲間から揶揄されたりもしていたチームで“無心”と言われてもピンとくるものは全くなかった記憶しかない。そんな私でも人生経験を重ねてくると、これと決めたことについては結果がどうなるかなど考えず、ただ無心に取り組むことによって何かものにするものがあるということが少しは分かってきた気がする。つまり、「これを学べばこうなる」「この努力を積み重ねれば」などという思いを捨て去り、ただただ目の前のことに無心で取り組むことで結果が付いてくる。結果を先に求めては駄目なんですね。しかし今の時代は結果を気にし過ぎるばかりに行動に移す前に頭で考え結論をだす傾向が有りはしないか。

                                   2024,3,15

人間社会

   「希望する高校には受かったのかな?」との声掛けに「ハイ!合格しました!」と満面の笑みが返ってきた。まさに15の春であり、その返事の爽やかさに医院の雰囲気も明るくなったが、昨今はこのような問いかけすら「〇〇ハラ」と言われてしまう可能性もあり、会話一つにしても注意が求められる。心に浮かんだことを表現するのが言葉であり、その言葉を相手がどのように受け止めるかといった配慮、慮る気持ちが欠落していることが面倒な世の中を作り出しているのであり、人間学の学びがこれからの時代は必要なのではないか。以前であれば子供達も年齢にあった外遊びなどをする中でコミュニケーション能力を自然と身に付けていただろうに、今は遊びですら対人間ではなくスマホなどの画面になりつつある。画面向こうの心の動きなどは考えることはなく、ただ目で追って指を動かすだけでは情緒も五感も育つわけがないと決めつけてはいけないか。どんなにAIが普及し効率化が図られたとしても、人間社会は心が通う世界でなければ成り立たない。AIがMLBの大谷選手にとってかわることが出来たとしたら、人は今ほど彼の動向に注目を寄せるだろうか。人間を人間たらしめているものは何か、今一度考えてみる時間が必要ではありませんか。

                                   2024,3,14

師弟とは

   先日のブログに載せた内容に、中学受験を控え風邪などに罹ったら大変だから小学校への登校を控えさせる親がいる、ということを書きましたが、それを見た患者さんから、「今の家庭教育はどうなっているのかしらね??」というご感想を頂いた。英数国理社などの教科をただ教えるのが小学教師の役目であれば、何も教員資格のある人が教壇に立つ必要はない。白洲次郎は以前次のようなことを述べている。「昔の塾は塾生が塾長よりものを教わること以外に、塾長の私生活に日夜ふれてその影響を受けたことが甚大であったに違いない」と。今の時代、教師の私生活に触れるとまではいかないまでも、毎日顔を合わす先生からの話、立ち居振る舞いなど一挙手一投足から学ぶことが学校教育の根底にあるものと当方は考えているが、昨今の親御さんが受けてきた教育の中にはそのような影響を受けた教師がいなかったが為に学校教育に対する考え方が大きく異なるのだろうか。そもそも学校教育の前に家庭教育があるべきだが、そこの部分欠落に気付いていない親が年々多くなってきて、しまいにはモンスターペアレンツなどと言われてしまっている。しかるに、今日の教育界の大きな欠点は、教師と生徒のあいだに昔のような師弟間の情誼、恩愛がないことであると言えないだろうか。

                                   2024,3,13

不正咬合の全身への影響

   歯科医師の仕事は従来からのむし歯や歯周病を治療するといった極めて基本的なことから今は生理学的、内科的、そして体幹まで含めた健康に直接かかわる領域にまで及んでいることを認識しなければならない時代になってきた。先日も脊柱管狭窄症の診断を受けたという70歳代の方がお越しになられたが、同診断名を受けられた方の中に理想的な咬み合わせ、いわゆる正常咬合をされている方を診たことがない。平成7年に某国立大学歯学部の同窓会誌に不正咬合が及ぼす全身への影響について貴重な論文が掲載されていたので、歯科界から世の中にそのような情報が発信されていくものだと思っていたが未だにそのような兆候はない。体幹の歪みによって体調の不調を感じている方であればお分かりかと思うが、整体師やスポーツトレーナーに治療を施していただいても数日後には元の状態になってしまうことを経験されているはずである。脊柱管狭窄症に急になるのではなく、長年の体幹の歪みの積み重ねによってコップの淵から水が溢れ出したときに症状が発現しただけであって、痛みの根本原因を探っていくと多くは幼少期からの不正咬合、不正咬合を引き起こした舌の可動制限、口腔領域の筋機能が正常に働いていないこと、更には正しい呼吸、嚥下が出来ていないことに辿り着く。原因不明の本態性高血圧でさえ、不正咬合による咀嚼筋群の緊張から引き起こされる椎骨動脈の圧迫によって引き起こされることは容易に分かるようなものであり、世の中の原因不明の症状に悩まされている方には是非ともご自身のかみ合わせを疑ってみて頂きたい。原因があるから結果があるのであり、結果があるのは必ず原因があるのである。


                                   2024,3,12

国政の停滞

   今日この日を迎えると、毎年あの13年前を思い出す。突然襲った経験したことのない強い揺れ。頑丈な鉄筋コンクリートの建物に亀裂が入り、まさか崩れやしないか、このまま下敷きになるのか、と頭をよぎった方は多かったはず。命からがら逃げだせたものは幸いだが、恐怖におびえながら絶命した人、いまだ行方不明の方がいらっしゃるなど、13年の月日は昨日のことのように思い出される。福島第一原発事故による放射能漏れによって他府県に移住された方も多いと聞く。黒い雨ならぬ放射能の雨風に不安な日常生活を続けるしかできなかった我々に、原発とのかかわり方を真剣に考えるきっかけとなったが、エネルギー資源のない日本にとって脱原発は掛け声だけが先行しており、代替エネルギーへの道筋ははっきりとしない。問題解決は常に先送りが日本の政治の在り方であり、責任を取ろうとしない姿勢そのものが昨今の国政の停滞を招いているといっても過言ではない。「政治家は政治家の人格を持って評価する」となれば、現役国会議員の多くは議員バッジを返納することになるのではないか。少なくとも5人衆と呼ばれている先生方は早々と退場させられることだろう。常識、良識、そして見識を兼ね備えた人物こそが、国のビジョンを示し力強いリーダーシップで国民を正しい方向に導いてくれることを期待したい。

                                   2024,3,11

災害への備え

   東京湾アクアラインを走行していると「ここは海底から50m」の表示が目に入り、今地殻変動を起こすような地震が起きたらさすがにこのトンネルも海水が一気に流入するだろうな‥‥なんて不安を覚えながらハンドルを握っていた。明日で東日本大震災から13年が経ち、その後も熊本地震、能登地震などによる災害が後を絶たず、我々日本人は地震難民としてその都度教訓を生かして備えを強化してきているが、地震という自然の脅威には勝つことが出来ずにいる。万が一に備えて、水や食料、懐中電灯、モバイルバッテリーなど必要最低限は揃えているつもりだが、賞味期限切れだったりバッテリーが消耗していたら全く意味もなく、日頃からの確認が欠かせない。ここ数カ月、千葉県沖を震源とする中規模程度の地震が続いており、揺れが来るたびに身構えるのは当方だけではないだろう。海岸線では津波、都心部では高層ビルの崩壊など心配したらキリがないが、災害はいつ、どこで起きるかは予測は不可能。地震に対する慣れだけは避け、もしもに備え、もしもの時も、お互いが助け合い、前進するしかない。

                                   2024,3,10

不正咬合治療

   「娘のかみ合わせが悪いのが気になっています。このままでいいのでしょうか?」「子供の姿勢が気になっています。口も開いていますし‥‥」。このような相談でお越しになられる親子が続き、この先も似たような相談で初診の予約が埋まっている。歯並びが良くないことを不正咬合と呼びますが、顎が小さいから歯を間引いて(抜いて)歯列矯正治療を行ったら不正咬合になった原因はなくなるのでしょうか。当医院にお越しになられる親御さんの多くは他院にて抜歯矯正を勧められ、健康な歯を抜くことに抵抗を感じてセカンドオピニオンを求めていらっしゃいます。歯並びが悪くなるのは顎の成長不全が起きているからであり、親御さんにはそこの部分をよく理解して頂きたい。そのためのプレゼンはしっかりとさせて頂いておりますが、人の身体の成長を理解しなければ不正咬合の改善の道筋が見えてきません。日本の歯科医療では小臼歯抜歯を行ったうえで歯列矯正治療を行うケースが多いですが、一度確立された治療法はなかなか変えることが難しいように感じております。ですので治療に対する考え方を理解することが重要であり、治療を受けることによるメリット、デメリットも整理しておくことが求められます。当医院は昨年の6月で開業20年を迎えましたが、小臼歯抜歯症例は一つもありません。最近では不正咬合と睡眠障害との関係についての研究も進んでいますので、当ホームページでも関連する内容の更新に努めてまいります。

                                   2024,3,9

子供達よ、運動せよ!

   「私立中学を受験するためにコロナや風邪をひいたら大変だから1月はほとんど学校に行かなかったよ」と平然と言う小学6年生に唖然とし、更に「私だけでなくクラスの友達はみんなそうっだたと思うよ!」と続けて言うことに、子供だけでなく親の教育の在り方に呆れる次第である。小学校の存在意義は?お受験が将来の何を保証するのでしょうか。他人様のことですから外野がとやかく言う話ではありませんが、そんな子供たちの10年後、20年後を見てみたいものである。塾には通うが挨拶一つしっかりとできない子供達はいったい塾で何を学んでいるのか。昨日のブログに載せたように、身体を動かさなければ脳は活性化しないのであり、週3回、4回塾に通うぐらいなら、昔の子供たちのように外遊びをしたうえで家で勉強すれば集中力も高まり沈潜する時間も確保でき、間違いなく学力は向上するはずである。周囲が塾通いしていることで親の不安解消のために我が子を入塾させるようでは、教育としては本末転倒ではないかと常々思っている。子供の頃から時間に追われるような生活習慣では、アナログでしか成長できない人間には気付かないうちにストレスを抱え込んでいるのであり、失敗を繰り返しながら幹を太くする成長とはかけ離れていくようである。落ち着きのない子供たちが増えているの背景には、運動量が減ったことで血中の二酸化炭素が減り、酸化ヘモグロビンが身体の各細胞に酸素を手放しにくい状態を作り出していることとも無縁ではないだろう。

                                   2024,3,8

脳内活性化のためには

   ランニングなど運動を行うと頭がスッキリする感覚は皆さんもご経験のあることでしょう。脳は前頭葉、側頭葉などの脳内連携が活性化し、およそ1000憶の細胞がそれぞれ何万個もの細胞とつながっていると言われている。精神科医のアンダース・ハンセンによると、私たち人類は12,000年前から身体の機能は、頭からつま先まで何一つ変わらず、認知機能や感情も、そっくり同じものが備わっているという。もちろん、話す言葉や経験したことはことなるが、彼らが一生かけて出会う人間の数に私たちはたった1週間で出会っているかもしれない。そして何よりも生活習慣はどうかと言えば、原始時代は身体を動かさなければ食料を手に入れることも、生き延びることもできなかったが、現代に生きる我々はものに囲まれて快適に暮らし、テクノロジーを駆使した生活をしている。要は私たちの身体は動くのに適したつくりに本来なっているのに、今は身体を使わなくなってきているために脳も敏感に反応しなくなってきているというのだ。動物実験ではケージで飼育されているマウスでは、回し車をこいだマウスは脳の老化が遅いことが分かっている。数式を解いたり高度な技術を身に付けたりするには脳の働きが重要であるが、人類の進化の過程をたどれば、脳トレをするよりも12,000年前と同様にとは言わないまでも、動物の人間としての本来備わっている脳の働きを活性化させるためには身体を動かす運動が必要だということになる。


                                   2024,3,7

鼻呼吸

   通勤電車の混雑ぶりはコロナ以前と同様になり、座席にはスマホ操作に夢中な人か爆睡されている方の光景があたりまえになっている。マスク装着率は花粉症の時期にも拘わらず3割程度とみられ、感染症への関心離れも進んでいるように見受けられる。皆さんは普段どのように呼吸をされていますでしょうか。意識されたことはないかもしれませんが、呼吸とは鼻で行うものであり、「唇を閉じて舌を口蓋に当てて鼻で呼吸をする」のが正しい呼吸です。少しでも口唇が開いた状態というのは口呼吸になっていて、舌は口蓋から離れることになるので、今度は正しい嚥下も出来ないという連鎖が起きています。無意識に我々は唾を嚥下(飲み込むこと)していますが、口が開いていると口腔内を陰圧にするために本来は使わない頤筋、口輪筋などを使って不自然な嚥下様式が出来上がってしまい、そのことが正しい顎骨の成長発育を抑制することに繋がり、歯が並ばない、あるいは上下顎骨の位置が合わない不正咬合となっていきます。難しいことは分からなくても構いませんが、「口唇を閉じて舌を口蓋に当てて鼻で呼吸をする」ことを、いつ何時でも意識してください。それが出来ない方は大人も子供も口腔筋機能の習癖を取り除く必要がありますので、かかりつけの歯科医院にて指導を受けるようにしてください。


                                   2024,3,6

乳幼児健診

   見た目のかみ合わせと機能的な咬み合わせの良さの違いを素人の方が判断できるとは思いませんが、日々の臨床で目にする患者さんの不正咬合の多さには驚く次第です。知人のドクターが調べた文献には、1999年以降不正咬合の割合が急激に増えてきているとの報告もあり、その背景に何があるのか更に深堀をしていきたいところですが、舌小帯の可動域が狭い方でかみ合わせが良好な方は先ずいないというのは当医院の統計でも明らかであり、乳幼児、幼児期の口腔内の検診では舌小帯及び上唇小帯の付着状況を確認する必要があると思われます。但し歯科医師が乳幼児に接する機会は実際には無いに等しく、早くても1歳半検診でお目に掛るのがはじめてのようです。乳幼児で母乳保育が上手くできない場合、赤ちゃんが乳首を舌で口蓋に押し当てることが出来ないのか、乳首を口唇でしっかりとくわえることが出来ないのか、いずれかのケースが考えられます。16世紀の西洋の医学書にはお産婆さんが赤ちゃんの舌小帯を爪先で切除していたと記載されていることからも、小帯の可動域が制限されている場合には筋肉が本来の動きが出来ないために顎骨の成長発育が抑制され、結果的に歯が生え揃うスペースが確保できずに歯が重なってくることに繋がります。当医院では乳幼児の口腔内診査を積極的に行っていますので、心配な親御様はご連絡ください。



                                   2024,3,5

木を見て森を見ず

   検診希望で来院された20代の青年は、今まで掛かっていた歯科医院が遠くになったのでこちらで診てほしいとのこと。気になるところもないのでということだったが、口腔内撮影、レントゲン撮影を進めていくと内在する問題が複数あり、まずは現状をしっかりと把握していただくことに徹した。一方的な説明ではなく患者さんに問いかけるような質問形式で尋ねていくと、考えてこちらの説明を聞くようになるので理解が定着しやすいようである。既に4本の歯の神経を取る処置をされており、本人は治療を受けて良くなったと思われているのだが、それは良くなったわけではないということに気付いて頂かなければいけないのである。口腔ケアが悪いわけではないのになぜ神経を取る状況になったのか。上下の歯列弓の歪み、歯の重なり、奥歯の極端なすり減り、そして舌の可動域の狭さなどから口呼吸と低位舌による顎の発育不全による不正咬合が奥歯の上下的な干渉を引き起こし、歯冠に亀裂が入り同じ歯を繰り返し治療した挙句に神経まで取る羽目になったのである。これからの長い人生を考えると、現状に至った根本原因である不正咬合を引き起こした原因を取り除くことが望ましいのであり、問題のある歯のみを診て診断・治療することは、まさに“木を見て森を見ず”である。


                                   2024,3,4

人間性の崩壊

   セキュリティーを搔い潜って覚えのない相手からメールが届くことが珍しくなくなってきたのは当方だけではなく、勉強会に出席された方からも同様の話題が出た。所持していないカード会社から更新手続きを促すメールが届くなど、こういうのを特殊詐欺、フィッシング詐欺とでもいうのか困ったものである。スマホにおいても不明な差出人フォルダに身の覚えのないメールが届くこともあり、怪しいと察したものは即座に削除しているのだが、先日はうっかり大事なメールまでまとめて削除してしまった。私のミスではあるが、なんとも面倒な世の中になってきたと実感されている方は他にも多くいらっしゃることだろう。SNSによる誹謗中傷の被害も多く存在し、モラルの低下、人間力の欠如をこのまま放置すれば世の中は益々荒んだ社会となり、取り返しのつかないことになりはしないかと危惧せざるを得ない。人は本来顔を突き合わせてコミュニケーションをとる生き物であり、SNSやオンラインのやり取りがすべてを代行できるわけではない。誤解、意見の食い違いを防止する唯一の方法は同じ空気を吸いながらの「Face to Face」であることは、いつの時代も変わらないものであると言えないだろうか。効率化、採算性を高めた裏では人間性の崩壊が始まっているとは言い過ぎか。せめて今の子供たちが安心して社会生活を送れるような環境を整えてあげたいものである。


                                   2024,3,3

政治家とは

   「多くは語らず」を美学とでも思っているのですか、と問いかけたくなる党の5人衆と呼ばれる面々の弁明には呆れてしまう。しかも総理が出席するなら出ないわけにはいかないとばかりに渋々顔を出すようでは情けないだけではなくみっともない。今まで支援してきた地元民でさえこのような先生の姿を見れば、次回の選挙では良識ある行動をとると信じたい。しかし、代わりになる政治家がいなければ選べないというのが今の日本の政治状況であり、消去法で選択するようでは本来の選挙の意味がなく、こんな時は何の地盤がなくても立候補する気概のある人が出てきてほしいものだ。「今後も引き続き説明責任を果たす」とは不祥事を起こした政治家の常套句であり、これまで説明責任を果たされた政治家はいましたかと問いたい。国民の疑念に真摯に向き合う態度からはほど遠い印象しか残らず、政治家の前に人としてどうかと疑いたくなるのは私だけか。国民の手本となるような政治家になれとは言わないが、自己犠牲どころか自己保身にはしる姿からは国民を馬鹿にしているとしか映らない。議員バッジがなければただの人であることをお忘れではないですか。日本の行く末を案じた泉下の政治家は今の政治をどう見ているのか尋ねてみたい。

                                   2024,3,2

働きがい

   「働き方改革」ではなく「働きがい改革」が日本社会には必要なのであり、働きに応じて報酬を支払うことにすれば残業時間があっても問題にすることではないと考えることは時代に沿っていないのか。「○○過ぎ」が響きとしては良くは捉えられない傾向にあり、過労死などの問題もあることから働き方の在り方には職場によって議論が必要であり、雇用者も含めて全社員の賛成、同意を得ることが基本となるのは言うまでもない。場合によってはやる気を削ぐような給与体系を抜本的に見直す必要もあろう。高卒から働き始めて10年近く経ったにも拘らず新卒の新入社員と給与がほとんど変わらなければ働いてきたことが人によっては評価されていないと受け止めても仕方がない。学歴もある程度人材採用においては参考資料になるのかもしれないが、高学歴であっても発想力や内発力を持ち合わせている保証はない。人それぞれ得意分野、性格的な向き不向きもあり、その人にしかない才能を伸ばせるような職場環境があるのであれば、時間的な制約に縛られることなく仕事をすればよいのではないでしょうか。〇〇してもどうせ‥‥のような雰囲気が蔓延するような社会からはいい加減脱皮しなければ国は衰退するばかりである。

                                   2024,3,1

政治家の体たらくぶり

   政治家というのは威厳があり、人格的にも一目される存在ではなかったか。だから先生と言われてきたのであって、今の国会議員の体たらくを見ていると与党も野党も関係なくとても「先生」と呼ぶに相応しくないのではないでしょうか。時代を遡れば明治維新の頃、日本の近代化に情熱を傾けていた志士たちは、人に指摘されるまでもなく筋の通らぬことはせず、ただひたすら青空に浮かぶ坂の上の一朶の雲を目指して一心不乱に国のために尽くしたのではないか。それに比べ今の国会議員さんたちは、国の将来や夢を語ることもなくどうやって議員生活を続けるべきかばかりを思案していると言われてもい方がない、そんな輩の集まりの集団にすら見えてくる。命を賭してでも国を守るなんて気概は微塵も見られないのは、選挙民の一人として情けない。ダメな政治家を選んでいるのは国民であり、結果的には国民の民度が下がってきたから政治家の質が低下してきたのであり、我々ひとり一人が自分を掘り下げ、謙虚になって自己のことより国のためにできることをそれぞれの持ち場で行うことが、長期的な視点にたてば国が再興することになるのではないでしょうか。現状に甘んじているような政治家は必要ないでしょう。可能であれば、国会議員ひとり一人に国家ビジョンを尋ねてみたいものだ。


                                   2024,2,29

正しい口腔機能とは

   ことの詳細を知っているわけではないので意見を述べる立場にはないのだが、うずらの卵をのどに詰まらせて窒息死とは何とも痛ましい事故が起きてしまったのか。このような事故が起きるたびに口腔機能に問題はなかったのか、具体的には舌の挙上は普段から問題なく出来ていたのか、正しい嚥下が身に付いていたのかなど気になるところである。なぜなら当医院にお越しになる子供たちだけを診ていても、低位舌で異常嚥下をされて過ごされている方が多いからであり、歯並びが悪くなるのではなく顎の成長不全が起き、歯が顎骨に並ばなくなってきていることで歯が重なり、その結果舌を口蓋に挙上させようにもスペース不足で舌の置き場所がなく、食べたものを上手く食塊として食道に送り込めなくなっているのである。そのような子供に共通しているのは嚥下時に頷くように頭を前方に傾げる動きをすることである。食塊が間違って気管に入らないように食道と気管を分ける喉頭蓋があるのだが、舌骨の正しい動きが出来ていないために頭を動かす代償反応によって喉頭蓋を閉じているのである。間違った筋肉パターンを改善するには年齢が低いに越したことはない。お子様の咀嚼、発音、構音、嚥下などにおいて気になることがある場合には早めの診査を勧めます。


                                   2024,2,28

多言語

   中学、高校、そして大学ですら英語学習をしてきたにも拘らず、英語で日常会話すら満足にできないのが多くの日本人のであり、我々世代でもある。そもそも外国語を学ぶ以前に母語である日本語は大丈夫なのかと首を傾げたくなる場面に出会うことも珍しくないが、中にはバイリンガルどころか多言語を操る方もあり、同じ人間でもどこがどう違うのかと教えてもらいたいぐらいであるが、そんな疑問に答えるかのような発見を東京大などのチームが発見したと昨日の日経新聞に掲載されている。それによると言語を習得する際に活発に働く脳の領域は決まっていて、学んできた言語のリスニング能力が高い人ほど、新しい言語の音声を聞いている際にこの領域が活発化して文法の理解が早くなり、複数の言語を習得すると効果が蓄積し、次の言語の習得もより容易になるというのだ。つまり言語を学ぶ上ではまず音から入るのが基本であり、生まれた赤ちゃんのことを考えればリスニングから入るのが当然なのかもしれませんね。先ずは第2言語をしっかり身に付ければ、段階を踏んで第3言語以降も習得できるような気になってきましたか。


                                   2024,2,27

金言

   初診の予約を連絡もなく無断キャンセルする輩が未だにいることが信じられない。欧米の歯科クリニックでは予約時にキャッシュカードの番号を控え、キャンセル料を請求できるのが当たり前と聞く。飲食店の予約でも当日キャンセルは100%のチャージが掛かるのが当たり前になりつつある今、日本人のモラルがこれ以上低下するようでは医療機関といえどもキャンセル料を請求すべきではないか。1時間枠がスッポリ空きになるわけですから、事前に分かっていれば他の患者さんにお越しいただくことも可能ですし、余計な準備などする必要もないわけです。我々は一期一会の思いで来院される方をお待ちしていますし、誠心誠意の思いを踏みねじられると人として気持ちが離れていく、そんなものではないでしょうか。口腔内の状態を本気で良くしたい、これ以上悪くしたくない、どうしたら治療を受けないで済むような歯にすることが出来るのか、など患者さんの本気度と歯科医療従事者側のその期待に応えようとする熱量が等しくならなければ、お互いが満足する結果にはならないのです。自己中な人間が増え思い通りにならないと直ぐに切れたり、相手の心情を慮ることのない対応ではとても心を交わすことはできない。長いこと臨床経験を積むと、本当に難しいのは治療ではなく「人」であることに気付かされる。「病気を診るのではなく、人を診よ!」とは恩師の金言である。


                                   2024,2,26

舌小帯短縮症

   「舌小帯短縮症」って素人の方は耳にされたことはないでしょうね。同義語には舌癒着症、舌強直症などがあり、英語ではTongue-tieとAnkyloglossiaが用いられることが多い。なぜこんなことをブログに載せたかというと、歯医者及び小児科医及び内科医は乳幼児、幼児の舌小帯異常にもっと関心をもって臨床にあたるべきではないかと感じるに至ったからであり、不定愁訴を抱えた方の口腔内は共通して何らかの不正咬合を含有しており、それらの多くには制限的な舌小帯によって引き起こされる舌の可動制限が認められるからである。舌小帯の定義は「舌下面と口腔底間の正中線上に存在する胎児性遺残膜によって舌の動きが制限された状態」(伊藤康雄先生)とあり、哺乳障害、咀嚼・嚥下障害、構音障害、呼吸、その他社会的活動に障害をもたらす疾患ということができる。当医院の患者さんの不正咬合の根本原因を探っていくと、もっと早い時期に、もっと幼少の時に舌の可動制限を解除できていれば顎骨も大きくなり歯の叢生は防げたのではないかというケースは実に多い。また本人や治療をしてきた歯医者も気付いていない同じ歯の治療の繰り返しの根本原因も不正咬合によるところが多く、更にその根本は舌というところに辿り着くとの思いがここ数年の臨床を通じて痛感している。100年以上前から骨は筋肉によって形作られると言われているのだから、呼吸器官である「舌」への診断をもっとしっかりすべきである。


                                   2024,2,25

異次元とマイペース

   季節外れの暖かさを体感した身体には今日のような冷え込みは、例年と同じ気温でもより寒くそして空気も冷たく感じられる。早朝のランニングには手袋、ヘアバンド、マスクが欠かせないが、10年前とは違い、家から出るまでになぜか時間を要している。床暖のうえでランニングウェアに着替えストレッチをしていると、足元には愛犬のハッチがまとわりついてくるではないか。そんな癒しをくれるワン公と戯れている方が心も身体もストレスフリーなのは分かっているが、あくまで体力維持と日常の体調チェックのために軽めであっても一汗掻くことは継続し続けたい。何年も同じコースを走り続けていると飽きも来るのだが、道端で咲く花々や神社の境内にある木々の色の変化で季節感を味わうことが出来るのはちょっとした愉しみになっているかもしれない。先週お越し内なられた患者さんが明日の大阪マラソンに出走するとのことで、目標タイムはSub3とのこと。誕生日が2日違いの私にとっては異次元の体力をお持ちの方であり、そんな方には花など目にも入らぬ速さで通り過ぎていくことだろう。何事も人生はその人のマイペースでいくしかないか。

                                   2024,2,24

愚直なまでに

   昨日の来院患者さんの正常咬合(理想的な咬み合わせ)率はなんと0%です。これは見た目ではなく機能的な咬み合わせをされているかどうかという診断結果であり、上下奥歯が1歯対2歯で咬んでいて、犬歯、前歯部が顎を誘導するガイドとしての機能を有しているかなどを診断基準にします。勿論上下歯列弓の形態なども加味しますが、なぜ不正咬合になっているのかを歯科医師はきちんと患者さんに説明を行い、患者側も理解することが必要です。この正しい説明と納得する理解がないまま治療が進められるとどういうことになるでしょうか。不正咬合のある口腔内に共通して言えることは、数年おきに同じ歯を繰り返し治療をすることが多いということです。それはなぜか?問題を起こす歯に不自然な力が繰り返し掛かることでセラミック割れたり天然の歯にクラックが入り感染が進む、ひどい場合には歯冠や歯根が破折したりします。かみ合わせの重要性を歯科医師はもっと認識すべきであり、患者理解がないと見受けられた場合には説明は何も伝えていないことと一緒だと思わなければいけません。ではどうしたらよいか。何度も何度も説明し続けるしかないのであり、限られた診療時間内では時間がないというのであれば昼休みなどを使って労を惜しまず繰り返し愚直に言い続けるしかないのだと思います。日本の歯科医療の過去から現在に至るまでもっとも欠落している部分はここではないでしょうか。こちら側の説明が腑に落ちない場合は、患者さんは当医院では治療を受けないようにすればよいのです。

                                   2024,2,23

環境

   「心の食べ物は言葉です。人は昔から言葉を心の糧として生きてきました。よい言葉を食べていると心は生き生きとして元気が出てきますが、悪い言葉ばかり食していると病んできます。私たちはできるだけ良い言葉良い教えにふれ、それを糧とすべく心術の工夫をしていかねばなりません。」ある月刊誌の付録にこのような文言が記載されており、まさにその通りであると感じ入ったと同時に、メディアを通して乱れた日本語が発信されていることに辟易する。皆が使っている言葉だから問題ないということではなく、「全然大丈夫!」と何のためらいもなく当たり前に喋っている大人を見ると、間違った日本語の使い方も数の論理でそのうち「全然オッケー!」になってしまうのか。日頃無意識に使っている言葉の意味を今一度確かめてみることも必要であろう。ネット画面を開いている間は考えているようで脳の活性化はされておらず、思考停止状態に近い。

                                   2024,2,22

環境

   季節外れの暑さと言いたいが、昨今の異常気象で以前のような季節感すら薄れてしまいそうな気候が毎年続いている。衣替えという言葉もそのうち使われなくなるのか、スキーなどのウィンタースポーツは北海道以外ではできなくなるのではないか、日本近海での漁獲量の変化はすでに起きており、陸においてはクマの体内時計にも狂いが生じているのか冬眠中のはずが町中を歩いているなど地球温暖化の影響以外は考えられまい。人間社会においてはネット環境が整備し始めてからというもの、便利さと引き換えにいつの間にかに脳内ストレスを溜め込む人間が増え、人間の持つ本能にまで影響を与えつつあるというのが一部の脳科学者たちの意見である。子供たちの身体の成長発育と精神の健全な発達には安らかな環境が必要なはずだが、余裕のない競争社会、すべてにおいて結果を求めようとする非人間的な社会構造が改善されない限り、自然環境と人間らしく生きていく環境は永遠に望むべき方向には進まないのではないか。ネット社会が貢献したことの一つには、人間の愚かさを世界が瞬時に分かるようになったことでもある。将来に向けて子供たちが夢を描けるような世の中を本気で考えている人は、世界人口の何パーセントなのか知りたいものである。

                                   2024,2,21

ONIGIRI

   日本のおにぎりが海外進出を加速させていると日経新聞に掲載されている。キッチンカーによるテスト販売で握りたてのおにぎりが好評だったのを踏まえ、現地の飲食店と協力して店舗展開を始めているという。欧米人には海苔が今一つ口に合わないと聞いたことがあったが近年では海苔を巻かないおにぎりも巷には流通しており、ロサンゼルスの店舗では照り焼きやマヨネーズなど現地の嗜好に合わせたメニューも用意するとのことで、ONIGIRIが世界で共有されことになれば、寿司、天婦羅よりも手軽なファストフードとして定着するかもしれない。コメの国内市場は減少傾向だが、ONIGIRIは国内産の米でなければ美味しくは頂けまい。米農家の販路拡大にもつながるONIGIRIの世界進出から暫くは目が離せない。

                                   2024,2,20

真の健康

   世の中には原因は特定できないが辛い症状を抱えている患者さんが多くいると思われ、そのような方は病院を変えては似たような検査を繰り返すドクターショッピングをされている。会計時に複数の医療機関の診察券を受付で見せられた時には、医療はまだまだ発展途上であり絶対がないとも感じている。悪性腫瘍にならないための予防策は今のところ見付からず、早期発見早期治療が叫ばれて結構な月日が経過するが、不正咬合から生じる体幹の歪みによる身体のしびれ、鼻の奥の慢性上咽頭炎からくる体調不良などは、しかるべき医療機関で診査をすれば改善回復することが分かってきている。上記二つに関しては薬の摂取は全く必要はなく、医療従事者の助け、サポートを得ながらトレーニング及び治療を受けることになるわけだが、良好な治療結果が出るには時間と患者さんの気力も必要となる。医者に掛かって薬を頂くことで健康が回復されたと思っている方もいるわけだが、果たしてそうなのだろうか。歯を削って被せ物を装着したら、歯は治ったと言えるのか?健康を取り戻したと言えるのか。真の健康の在り方を今一度考えて頂きたい。

                                   2024,2,19

不正咬合の諸悪の根源

   赤ちゃんはお母さんの乳首に舌を絡ませてミルクを吸っています。しかし舌の動きが本来の動きをしない、つまり舌小帯の異常などがあるとうまく吸うことが出来ないために上下の顎堤に(上下の歯肉に)乳首を挟むようにして吸引しますので乳首が傷つき乳腺炎になりやすくなります。したがって乳腺炎を起こしている場合には先ず赤ちゃんの舌を診査する必要があるということになります。例えば舌小帯短縮症であれば小帯切除することで母乳をうまく吸えるようになりますが、処置せずそのまま放置した場合には代償反応として口蓋骨・上顎骨が大きく成長しないために鼻気道も広がらず鼻が詰まりやすくなることが予想され、鼻が詰まれば口で呼吸するという代償的結果が生まれます。その後も口呼吸での生活が続けば舌が口蓋に貼り付くことはないので口蓋骨が拡大されず、幼稚園の頃には上下の歯が狭窄したり重なったりして舌を挙上しようにも舌を収めるスペースがなく、結果ですら予後を悪くする原因となってしまうため結果的原因として残り続け、顎の成長発育不全が進んでしまいます。このようにして不正咬合に至った原因を遡って考えると、不正咬合の諸悪の原因は何?ってことになり、鼻詰まり、舌小帯異常(短縮症、舌癒着症)が多くの場合は当てはまるのではないでしょうか。お子様の成長は早いですので、低年齢のうちに口腔周囲筋の習癖を取り除くように致しましょう。

                                   2024,2,18

顎の成長不全を予防する

   食事の際にお子様はくちゃくちゃ鳴らして食べていませんか?会話も舌足らずで会話が遅いなんてことはありませんか?昨日のブログにも載せましたが睡眠はとれていますか?うまく眠れていないと成長ホルモンの分泌が悪くなるので身体が小さいままになってしまっている、脳への低酸素状態が続くことでADHDのような症状を示すことが見られるようになってきている。さらに全身の姿勢も悪くなってきているということが起きてきており、猫背で場合によっては顎関節症まで伴うことまで起きてきている。ということは、やはり歯並びが悪いということとこれらのことには相関関係、因果関係が存在しているということまで考えていくと、歯並びは全身の健康と大きく関係しているのです。ですので当医院にお越しになられる不正咬合のお子様には歯並びを治したほうがいいですよと提案させて頂いています。そこでカギになるので歯並びを治すのではなくで顎の成長不全を予防するという考え方に辿り着くのです。どうしたら顎の成長不全を防げるのか?続きは明日のブログで・・・

                                   2024,2,17

不正咬合は美容の問題??

   歯並びが悪い子供たちに共通して診られる所見として、問診時に落ち着きがない、太ももの下に手を入れて背中を丸めている、上手く喋れないなどがあり、母親からは「夜中にぐっすりと眠れていないようです」ということを耳にすることが多い。ということは、歯並びが悪いということは単に美容の問題ではなくて全身の健康と密接に関係していると捉えなければいけないのではないでしょうか。不正咬合を歯医者はワイヤーや透明なマウスピースを使って矯正力を掛けて無理やり力で歯列を整えようとしていますが、それは対処療法であり歯並びが悪くなった根本原因を取り除いているわけではないことに気づいて頂きたい。過去に歯科医はむし歯や歯周病を治すということからあるていど予防できるということになったのであれば、これからの時代は何が求められるかというと同じように歯並びを治すのではなくて予防できないかということ考えることが大切なのであり、そこにいち早く歯科医は気付く必要がある。歯並びを美容の問題だと考えているようでは後回しにされてしまいますが、美容の問題だけではないことを一般の方にも分かって頂きたい。

                                   2024,2,16

顎の成長不全

   4月から1年生になるお子様の歯並びが悪いので診て頂きたいとの問い合わせを頂いた。数件の矯正専門医を訪ねたが、あまりにも歯が重なっているので数本抜歯して行う歯列矯正しかないと言われたそうである。口腔内診査を行っていないので電話口では詳しくお伝え出来なかったが、不正咬合のお子様を診たときに先ずは歯科医がどのように治療すべきかと思うのか、なぜ現状のようなかみ合わせになったのか原因を考えるのか、によって説明の仕方及び治療方針が大きく異なるということである。大概は上下小臼歯4本を抜くことが多いが、それで歯並びが悪くなった原因を取り除けるのだろうか。芸術品のように見た目だけを綺麗にするのであれば方法論は必要あるまい。生えてきた永久歯をなぜ安易に抜くことに疑問を持たない歯科医が多いのか。仮にそのように教育を受けていたとしても生身の生体と相対して疑問を持たないことは危険である。臨床は常に疑問を持ち、なぜなぜの連続の中から解を見出すことが必要であり、不正咬合であれば歯並びを治すのではなく、歯が収まらない顎の成長不全を改善させることを優先させなければならないのであり、そのためには何をしなければいけないのかを親御さんにも考えて頂く時間が必要である。

                                   2024,2,15

バレンタインデー

   当方が中学生の頃にバレンタインデーと巷で騒がれはじめ、教室の机に正体不明の箱が重なるように入っていて教科書をしまえなかった記憶は未だに消えない。自慢することでもないが、頂いた手作りチョコレートはもったいなくて食べる気にはならなかったものである。当時は翌月のホワイトデーなどは存在せず、どちらも洋菓子業界のキャンペーンなどが功を奏し日本全国に広まったという。職場においては“義理チョコ”などが渡されていたが、それも今は昔ということか。それにしてもチョコレートの味も種類も格段と上品になり、ちょっと名の売れた店では考えられない値段で売られたりしている。店のチョコの売上は一年を通して今日がピークだとしたら、明日は余りものが店頭で売られているのだろうか。一日で味が変わるものでなければ一日遅れの“マイチョコ”を買ってコーヒーを片手につまむのでも今の私は十分満足である。

                                   2024,2,14

受験シーズン

   受験シーズンになると、大学受験の壁に何度も跳ね返され自信を失っていった頃の自分を思い出してしまう。失敗の連鎖とでもいうのか、入試問題を見ると結果ばかりが気になり普段の自分を見失い全く集中できなかったのは一言でいえばメンタルの弱さでしかない。自分のすべきことに全力投球をすればいいだけなのになぜか外野のことが気になっていた。いつからどこの歯車が狂い始めたのか、原因を突き止めるまでに長い年月が掛ったが、人生は一度きりであり時間を取り戻すことが出来ない。目標を立て、それに向かって突き進むには近道はなく、愚直に地道に一歩一歩進むだけである。通り過ぎてしまえば何とでも言えることだが、苦労や困難は、その後の自分を成長させる糧となることは間違いない。「攻撃は最大の防御である」のごとく、与えられた試練から逃げることなく、今まで蓄えてきた実力を十分に発揮して、満開の桜を咲かせましょう。

                                   2024,2,13

地方都市

  京都市内は外国からの観光客の流入、つまりオーバーツーリズムによって市民生活に影響を及ぼすぐらいの交通渋滞が日常的に発生しており、先月新幹線にて名古屋に向かう際、車内電光掲示に「京都市内の観光について‥‥」と市内の移動についてお知らせが表示されるなど異常な状態のようである。ここ数年The New York Timesは世界の旅行先から選ぶ場所で日本の地方都市を上位のランクで紹介しており、今年は山口市を「京都よりも観光公害が少ない『コンパクトシティー』だ」として評価している。またThe Washington Postは、「人混みを避けて2024年に旅すべき場所」として福井県を紹介していて、その内容が「日本の最もスピリチュアルな地域」として永平寺を挙げている。行かれたことのある方であれば頷けると思うが、海外の視点が地方都市の歴史や風土、文化、暮らしに着目することで、我々日本人が地方の魅力を再発見するきっかけにもなりそうです。スマホ片手に何でも検索すると情報が出に入る世の中ですが、食べログに載っていないから美味しい店ではない、口コミが少ないから魅力がないなんてことは決してないわけで、旅行を検討する際には事前にすべてを決めることなく未知との遭遇を愉しんでもいいのではないでしょうか。これからは地方都市が日本を元気にしていきますよ!

                                   2024,2,12

沈潜する

  以前このブログにも載せましたが、中曾根康弘元総理はどんなに公務に忙しくても、日米首脳会談を控えた前日であっても必ず30分は執務室に籠って自分の時間を確保し読書をされていた。旧制高校の学生たちが使った言葉に「沈潜する」というものがありましたが、今にして思うと元総理は忙しい毎日に流され浮遊することがないように、自己研鑽するためにこの「沈潜する」時間を欠かさなかったのではないでしょうか。歴史上の人物と一対一で対話する、作品の深い部分や心の奥底に沈んで潜っていく感覚を常に持ち合わせ、日本人としてのあるべき姿、国の先行きを決める為に真贋を見極める目を養っていたに違いない。今の時代は祝祭日、休日、平日の夜であろうとプライベートの時間に他人が土足で平気で入り込んでくる。そんな毎日では知らずしらずに心と精神の休まる時間が無くなり、気付けば鬱などを患うことになっている人が出てきても全く不思議ではない。自分の無意識の世界、内面の世界と向き合うために、「沈潜する時間」を毎日確保しませんか。

                                   2024,2,11

バイタリティのある方

  「先生、テイラー・スウィフトを観に行ってきたで!しかもVIP席で!見てみぃ、この近さ、目の前やろ!彼女の歌声は凄いな~!」と、治療に大阪からお越しになられた60代後半の紳士がスマホに収めた動画を見せてくれた。いつも年齢を感じさせないバイタリティのある方ですが、年に何回もコンサートに出掛けるとのことで更に驚かされた。20年近く定期的にメンテナンスで通われており「歯の治療はホンマに嫌やわ~」と呟くように言うのが恒例である。わざわざ東京まで来なくても大阪には有名な歯科医もいるのでそちらを勧めたりもしたが、「わしの話をきちんと聞いてくれる先生は先生だけや!」とまで言って足を運んでくださる。有難い限りである。遠方からいらっしゃることもあり、治療時間は長く確保するのだが、最初の20~30分は世間話や情報交換のためにあるようなもので、治療のたびに漫才のような会話が飛び交っている。仕事、子育て、教育、海外情報、そして政治など多岐にわたって会話が途切れないのだから余程波長が合うのか当方に合わせてくださっているのか、いずれにしても毎回時間が足りなくなるから不思議である。歯科医師である前に人として認めてくださっていることに感謝しかない。

                                   2024,2,10

セルフ化の弊害は

  ガソリンスタンドの給油をセルフでするようになったのはいつ頃から始まったのか覚えていますか?今となっては車が停車すると同時に店員が窓越しに聞いてきた「レギュラーですか?、ハイオクですか?」の声掛けが懐かしくもなる。今はコンビニやスーパーのレジでもセルフが導入されて人を通しての支払い業務がなくなり、どこに行っても機器と対面することになる。電話が鳴って受話器をとれば、「RDD方式のよる‥‥」などとこれまた聞きたくない機械音声が流れてくるし、荷物の集荷依頼でも人と喋ることはなくなった。当方にとってはこのような人の介在しないやり取りには違和感を覚え、時代の流れなのかもしれないがどこまでも人との接触を避け効率を求めることが果たして人類の目指していることなのかと考えさせられる。親について買い物に行くと、魚屋、肉屋、八百屋の威勢のいい声が聞こえ、支払いをしながら店主と親が会話していたシーンなどが思い出される。店が閉まる間際に行こうものなら余りそうな魚を一緒に新聞紙に包んでくれたりと、人のぬくもりを感じたものだったが、そのようなコミュニティの消失とともに心の病を抱える人が増えてきたのは全くの無関係なのだろうか。人間があふれているにも拘らずコミュニケーションの場が減っていることは、他者とのかかわりを更に難しくしているようにしか思えない。

                                   2024,2,9

無断キャンセルから見えてくるもの

  これから開業を控えている歯科医師の方が見学にお越しになり、当医院で参考になるかどうかは分からないが、当方に出来ることはお伝えをさせて頂いた。一番の心配事は歯科衛生士の方が見つかるかどうかとのことでしたが、「先生の考え方、ミッションに共感共鳴してくださる方でなければ長く一緒に仕事は出来ないでしょう」と極めて当たり前のことをお伝えし、歯科医師としての診断力、技術力はもちろん必要ではあるが、何よりもまず“人”が相手であるので、人の心を瞬時に掴むことが出来なければ全幅の信頼を得て治療をさせて頂くことは出来ないと、開業20年を振り返って語らせてもらった。基本は信頼関係であり、業種、年齢を問わず世の中はすべて信頼の上に成り立っている。新規の患者さん2人の予約が入っていたが、一人の方は時間になっても来院しないためこちらから確認の電話をするも、留守番電話に切り替わるだけでその後も連絡はない。1時間枠がぽっかり空いてしまうわけで、無断キャンセルをなんとも思わない良識のない輩を診なければいけないリスクが医院側にも出てくる。子供も診てほしいと言っていただけに、そんな方が親で大丈夫なのかと余計なお世話かも知れないが、せめて不快な気持ちにだけはさせないで頂きたい。


                                   2024,2,8

睡眠の質の向上

  睡眠改善関連の市場が右肩上がりで拡大しており、人々の睡眠への関心の高さが窺える。睡眠不足が日中の集中力、パフォーマンスを低下させることは誰もが経験していることと思われますが、睡眠の質という点では今一つ改善の方法が分からないのではないでしょうか。スーパーなどに陳列されている睡眠の質の向上をうたう乳酸飲料などはそれなりの効果があるのかも知れませんが、根本的な改善には程遠いのではないでしょうか。寝具メーカーによるマットレス、枕などは人間工学的に研究されて睡眠の質の向上に効果があると、あの大谷選手もこだわりを持って使っているようですが、歯科的な視点で意見を述べさせていただくと、普段の舌位が本来のあるべきところに位置しているかどうかが睡眠時の気道を確保する重要な要因となり、舌が正しく機能していない習癖が長年続いていた場合には、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を引き起こすリスクが高くなり、睡眠の質を低下させるだけではなく心臓などにも負担を掛けることとなり、放置することは健康上好ましくはありません。就寝中のいびきはその一つのサインであり、家族からいびきを指摘されている方は先ずは睡眠外来にて診査診断を受け、結果次第では歯科的なアプローチによる治療をお勧めいたします。


                                   2024,2,7

日本再生

  年末年始にベトナムを旅行した際に売店で目にした“たい焼きアイス”が気になっていたが、今東南アジアでは日本のアイス人気が高まっていると本日の日経新聞に掲載されている。記事によると、餅のような食感といった日本で培った独特な味わいなどが、現地の消費者の心をつかんでいるらしい。地理的に1年を通して温暖、どちらかというと暑い日が多いだけに、日本以上にアイスの需要があると思われたが、今までは冷凍物流網が整備されていなかったことが背景にあって販売には力を入れていなかったそうである。昨今は冷凍技術の向上もあり、魚においても朝の豊洲市場のマグロが午後には香港などの寿司屋で握られている。人口減少、労働力不足など経済大国だった過去の日本を知る人にとっては日本の衰退は受け入れたくはないが、日本人の知恵、高みを目指す飽くなき努力による技術によって活路はいかようにも広がることを証明している。同じものでも品質の良さが日本ブランドであることを日本の経済成長を支えた先輩たちが世界に示してくれた。それが忘れられないうちに日本再生をなし遂げようではありませんか。

                                   2024,2,6

心は無限大

  降雪時の外気はやはり通常の寒さとは違う冷たさを感じる。午後の診療室から見える窓の景色は朝からの低温で車の通りが少ない路面は徐々に白さが濃くなり、暫くするとチェーンを巻いた車の音が聞こえてきた。まるで雪国の冬の始まりの様である。気象予報の精度の向上によって時間ごとの天候が把握できるので傘の用意や服の装いなどでは大変な助けになりますが、当方が子供の頃の「朝起きたら沢山積もっているのかな?」と期待とも楽しみとも言えるワクワク感をもって眠りにつくことは今の子供達にはないのかも知れませんね。但し情緒を育み、心が成長する瞬間はそのような時でもあるのではないでしょうか。年齢の低い子供達にスマホを持たせない、セット漬けにさせないことの理由の一つはこんなことにもあると思います。心豊かな、無限大の発想力を我々人間は含有しているのですから、眠っている才能を活性化させるためにも物事に沈潜する時間を確保したいものです。

                                   2024,2,5

寒い🥶

  今日は朝から深々と冷え込み小雨も降り、気象予報は聞いていないが今年一番の冷え込みではないだろうか。我が家の一階は床暖房で素足でも暖かいものの、二階はただのフローリングなのでスリッパを履いていないと足裏を浮かせたいぐらいである。天候の回復を待って日曜日10kmランニングは継続するも、耳当て、マスク、ネックウォーマーとなんだかスキー場にでもいるかのようで格好はランナーではない。明日の午後から降雪の可能性があると報じられており、首都圏は数センチの積雪で大騒ぎとなるから堪ったものではない。もう10年近く前になるだろうか、新潟六日町でのスキーを終え帰途につく際、関越トンネルを抜けたところから高速道路が通行止めとなり、13時間掛けて帰宅したことがある。下道は過去に例がないぐらいの渋滞となり、その原因が同時多発的に生じたノーマルタイヤ車の路面スリップにあったのだが、なぜ冬場になってもスタッドレスタイヤに交換せず乗り続けるのか。渋滞の原因を作り出し多くの方に迷惑をかけること、望むべくもない事故を引き起こし多額の費用が出ていくことを考えれば、冬場のタイヤ交換はシーズン前に必ず行うべきであり、それが出来ないのであれば車に乗らなければいいだけの話である。暖冬といっても雪が降らないわけではないので、せめてチェーンの携行だけはするようにしましょう。       

                                   2024,2,4

根本原因を取り除く

  大手自動車メーカー子会社による検査不正、一流企業の粉飾決済、国会議員の責任所在を明らかにしない体質、その他今の日本における不祥事の多さは国の信頼を揺るがす問題であり、その発生数の増加と反比例する形であらゆる分野における日本の国際競争力が数字上でも低下してきている。“日本に資源はないが、勤勉という人材資源がある”と語った吉田茂の言葉が空しく響く。世の中は様々な歯車がかみ合って構成され、伝統の上に技術だけではなく精神文化も継承され続けることで日本らしさを維持してきたのではないか。寸分の狂いもなく精巧な製品を作り上げる技術の裏にはその仕事に携わる技術者たちのプライドがあったはずである。核家族、共働き、小中学校からのお受験、受験産業に翻弄される親や教育現場、薬漬けの医療現場、成果主義、国家ビジョンのない国会議員の集まり、我々は何を目指して日々を過ごしているのでしょうか。一度狂った歯車のどこをどうやって改善させるのか。歯科医療の現場ではその歯車の根本原因を取り除くところにアプローチ出来つつあると確信しています。近日中にHPにその項目をアップさせていただきます。         

                                   2024,2,3

人格

  日々ブログを更新はしているものの語彙力のなさに呆れる毎日ですが、我が家のソファーに子供が読みかけの本が置いてあったので手に取ってみると夏目漱石の“私の個人主義”であり、久しぶりに漱石の精神に触れたと同時に漱石の言葉が心に響いてくるではありませんか。明治時代はとにかく文明開化、西洋の文化が絶対的であったなかで漱石は、「お仕着せの知識を身にまとい、西欧のものに軽々しく尻馬に乗って騒ぐのはやめよう。日本人としてのアイデンティティを大切にして、自分の感覚、感性を中心に判断しよう」という意識でもやもやした苦悩から抜け出したとある。一人の人間が一生のうちに出会うことのできる人は限られているのであって、様々な良書を読み作者と対話することを通して豊かな感情、知性、意志を感じ取ることで、人格が形成されていく部分もある。ネットによる情報収集では人間力は陶冶されず、私たちが取り入れるべきは人格という有機質なのではないでしょうか。          

                                   2024,2,2

SNSの弊害

  SNS時代と言っても過言ではない今日この頃ですが、ネットが世の中に出現してから約20年が経とうとしています。情報交換、収集においては便利になりましたが、人間らしい生活を営む上での弊害も明らかになってきているようです。皆さんにとってSNSはストレスを減らすか増やすかどちらの存在になりますか?私はメールやLINEにしても直ぐに返信をするわけではないのでレスポンスが悪いと相手に思われているかもしれませんが、緊急を要することはほとんどないのでそれで不便を感じることはありません。但し人によっては“いいね!”がなかったり、返信がすぐに来ないと落ち着かないという方もいるようですね。SNSは自分の時間に土足で入り込んでくるようで、それにいちいち対応していたら物事に集中できませんよ、というのが私なりの感想ですが、それが出来ない人にとっては精神的な負担になって場合によっては自分を追い込んでしまうのではないでしょうか。特に10代の若者には注意が必要かと思います。喫煙や飲酒が20歳以上と定められているのは嗜好性、常習性があるからであり、ネットの世界も同様に考えるべき時期に来ているのではないでしょうか。通勤時の電車内で本と向き合っている方を見かけるとなぜか安心してしまいます。

                      2024,2,1

真の健康とは

  3日続けて臨床的な話にはなりますが、むし歯の治療を受ければむし歯が治ったということにはなりません。これは極めて当たり前のことですが、この事実を歯科医療従事者も国民もよく理解していないのではないでしょうか。むし歯が出来た、詰め物が取れた、被せ物が取れた、歯の神経を取られた、歯を抜かれた、などと主訴を抱えてお越しになられる方が未だにおられますが、それらの根本原因を取り除くことまで考える患者さんはいないのが現状です。そんなこと出来るのか?口腔内の細菌をゼロにすることは出来ませんが細菌数を減らすようにコントロールすることは可能であり、同様に個々の歯に不正な力が掛からないように改善させることも可能です。但しそのようなことに時間を割かなくても日常生活は遅れるだけに、大きな問題に発展し日常生活に支障をきたすようにならない限り、臨床的な問題点を指摘、お伝えしても心に響かないのだと思います。歯医者の使命はこの世の中から歯医者がいなくても困らないような環境を作ることだとすれば、今の10歳未満のお子様たちの正しい口腔育成に時間を割くべきであり、そのためには正しい頭蓋顔面成長発育という観点でどの歯科医師も口腔を診るべきであり、いつまでも被せたりインプラント治療に力点を置いているようでは、国民の真の健康はいつまでたっても得られないだろう。

                      2024,1,31

歯列矯正は対処療法、根本原因は?

  当医院で機能的歯列矯正治療をされている成人女性の方から、「私ってなんで歯並びが悪くなったんですかね?もしかして先生から説明をして頂いたような気もしますが‥‥」と質問をお受けした。歯列矯正治療に入る前にはどなたにも現状説明と分析結果、そして不正咬合に至った根本原因を必ず説明をさせて頂いてますが、その説明をしっかりと理解しいつまでも記憶されている方は先ずはいらっしゃらないのではないでしょうか。素人の方ですから無理もないです。原因と言っても根本的原因、代償的原因、そして結果的原因と分けて考えると、現状の不正咬合は結果的原因であり、それに対してワイヤー矯正治療もしくはマウスピース矯正(当医院では行わないが)を行ったとしてもそれは対処療法であり、根本的原因を取り除かなければ後戻りが生じると考えるのが自然であり、実際にはそうなることが世間では多いようである。では根本的な原因とはなにか?これは人によって様々であり、共通して多い要因としては口唇閉鎖不全、口呼吸、舌を含めた口腔周囲筋の習癖、異常嚥下がある。歯科医師の責務として、結果的原因の不正咬合を改善させる役目と、そのような状態を作り出さないようにするために乳幼児を含めた子供たちへの介入が必要である。昨日のブログにも載せましたが、1999年以降あらゆる形態の不正咬合が増えてきている現状は放置できるものではなく、歯列矯正という概念から離れ、子供達の正常な頭蓋顔面発育を促す環境作りをするための低年齢児からの口腔育成に重心を移した医院システム構築を急がねばならない。

                      2024,1,30

お子様の頭蓋顔面発育障害

  当医院に機能的歯列矯正治療を受けられる方が年々増えていることは喜ばしいことなのか、憂うべきことなのか。卒後30年近く経過し、振り返ってみると不正咬合の子供、そして乳幼児が増えてきている感覚はある。不正咬合について信頼のおける文献検索をされた歯科医師の話では、1999年以降あらゆる形の不正咬合が増えてきていると多くの文献でも示されているとのことである。歯科医であるので歯列不正を改善するという表現を使いたくなるのだが、頭蓋顔面発育障害によって顎骨が本来の大きさに成長しないから歯が入りきらないのであって、不正咬合にならないための根本原因である頭蓋顔面骨格を本来の成長軌道に誘導させることが歯科医として課せられた役目であり使命です。もしこのブログを読まれている方の中に小学1年生前後で歯並びが気になる、口がぽかんと開いている、姿勢が悪い、などで気になっている親御様がいらっしゃいましたら、なぜそのような状態になったのか、その原因を掴みにお越しいただければと存じます。ワイヤー矯正、マウスピース矯正治療を行えばそれなりに見た目は綺麗に並ぶことでしょう。但しそれでは不正咬合に至った根本原因を取り除いたことにはならず、高い確率で後戻りが生じます。また、頭蓋顔面発育障害をそのまま放置した場合、その後の全身の健康への悪影響が懸念されるところであり、実際に多くのお子様にその兆候が表れているのではないでしょうか。先ず知ることから始めませんか?

                      2024,1,29

やさしい日本語

  「日本の方ですか?私は埼玉の〇〇に行きたいのですが、切符の買い方がわかりません。教えていただけますか?」と駅の切符売り場で声を掛けられた。緊張した面持ちで尋ねてくる来るその人に、「もしかしてベトナムの方ですか?」とお聞きすると、急に顔が柔和になり「ハイ!」との返事が返ってきて、当方がベトナムに行って新年を過ごしてきたことを伝えると満面の笑みで更に嬉しそうに話しかけてきた。異国の地で相当に不安だったのでしょう。この方が旅行者なのか日本在住なのかまでは尋ねませんでしたが、日本の人口の約2,5%の約320万人が外国人です。都会だけではなく地方でも働き手として地元経済を支えており、今回の地震の被害が大きかった石川県にも約18,000人の外国人がいるとの報道を目にしました。その方たちにとっての日本語はやはり難しい存在であり、普段の役所での手続きや防災や減災の情報、新型コロナの情報、そして法律などのルールに関しても言葉の壁が立ちはだかっています。皆さん、「やさしい日本語」ってご存じでしょうか。1995年の阪神淡路大震災をきっかけに、外国人被災者にも情報が伝わるように漢字の単語をひらがなで分かりやすい言葉に置き換えたり、漢字に読み仮名をつけたり、一文を短くしたりといった工夫がされています。外国人に出会わない日がないくらいの日常の中で、すべての人に優しく接したいものですね。

                      2024,1,28

時の流れ

  同学年の方が定期検診でお越しになられると、診察とは別に声を掛けたくなる。「〇〇さん、我々もいつの間にか歳を取りましたね~。もう少しで○○ですよ(笑)」、「先生ホントですよね、どうしましょ!」。その方にとって十数年ぶりの同窓会が今年はあるとのことで、久しぶりに会う楽しみと、皆さんどうされているのか少し不安な気持ちもありますとのことである。当方にとっての同窓会は数年前にあり、約6割ぐらいの出席率だったかと記憶しているが、随分と長い間顔を合わせていなかったのにすぐに学生時代と同じ距離感に戻れたのが同窓生の良さである。小中学校、高校大学と通っていたころは、環境や生活サイクルに共通点が多かったけれど、今は仕事も家族構成も異なります。住んでいる場所も全国、人によっては外国に広がり、それぞれの時間を積み重ねてきたことが分かります。年齢を重ねると月日の流れを早く感じる“ジャネーの法則”が知られていますが、誰にとっても時間は同じスピードで進むはずなのに、不思議なものです。ここ数年は一年があっという間に過ぎてしまうように感じるのは、それだけ歳をとったという証なのでしょうね。

                      2024,1,27

有意注意

  毎朝ほぼ同じ時間の同じ場所にごみ収集車が到着し、駅に向かういつもの道で犬の散歩途中のご夫婦とすれ違う。日々規則正しく仕事そして日常生活を送っている印であり、出会うことがないと赤の他人なのに気になってしまうのが不思議である。朝の時間帯は多くの方が毎日同じ行動をとっているので駅のホームにしても同じ人が、電車に乗っても数人は同じ顔ぶれである。以前見かけていた方が1週間そして1ヵ月と会うことがなければ職場が変わったのか、引っ越しでもされたのかなどと当方とは全く関係がないにも拘わらずいつもの通勤風景を見ながら思ったりもする。もう一つ不思議なことは、そうやって出会う人達の顔をしっかりと見たことはなく、背格好や歩き方などが背景とセットで記憶されているので、どこかの街中で出会ったとしても分からないだろうということである。有意注意とはこれらとは真逆のことであり、仕事も人生も目的意識をしっかりもってどんな環境でも、どんな些細なことであっても気を込めて取り組まなければ物事は達成されないのであり、ただ漫然と日々をやり過ごすのではなく、真剣に注意を向ける習慣を身につけなければなりません。

                      2024,1,26

根本原因を取り除く

  今日のブログも真の健康について述べさせていただく。朝の通勤電車内では7割以上の方がスマホを覗き込み、その2~3割の方は口唇を閉じることなく画面に夢中になっていて、座席に目をやると上を向いて大きな口を開いて熟睡されている方も時々見かける。こういう方々は明らかな“口呼吸”であり、人間本来の正しい“鼻呼吸”が出来ていないことになる。だから何だと思わないで頂きたい。なぜ口呼吸になっているのか?口呼吸は口腔にとって、また全身にとっても何がどのように悪影響を及ぼすのか。これらのことが理解されない限り、国民病ともいえる口呼吸民族の体幹の歪み、全身の不定愁訴なるものが今後も増え続けることと推察する。小児のころから口呼吸が定着すると口蓋が舌によって拡大することがないため上顎骨の理想的な成長拡大が望めず、結果的に顎が大きくならずに歯が入りきらないということが生じる。むし歯、歯周病がある程度予防可能になった今、不正咬合の予防として考えるべきは不正咬合になる原因を取り除くということである。装置を使って歯並びを改善することは手段であり、装置で原因が取り除かれるわけではない。なぜ口が開いているのか、どうして鼻が詰まるのか、などを根本から改善することが結果的には不正咬合の予防になる。その他関連することに関しては医院にてご説明させていただきます。

                      2024,1,25

真の健康とは

  歯科医療の現場の多くは日々対処療法を行っているといっても過言ではないが、医科ではどうなのか?医療とは「真の健康を取り戻すこと」と定義するのであれば、むし歯になって悪いところを取り除き、何かの材料で歯を修復もしくは補綴したとして、それは健康を取り戻したとは言えない。むし歯になった原因を取り除いてはじめて「真の健康」と言えるのであり、医科においても薬を服用して症状が無くなったとしても、疾患に至った根本原因を取り除くことが出来なければ「真の健康」を取り戻したとは言えまい。真の健康を追求していくと、医療従事者は発想の転換を余儀なくされているともいえる。歯列矯正は未だに美容、審美を求めて行う治療と世間では思われている割合が高いようだが、子供であれば歯並びが悪くなる根本原因を取り除くこと【呼吸の改善(口呼吸から鼻呼吸へ)、口唇閉鎖、舌の口蓋への貼り付け、正しい飲み込み(嚥下)】で顎骨を拡げ頭蓋顔面発育障害を予防することになり、将来的な閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の予防にも繋がる。もう少し付け加えさせていただくと、マウスピース矯正治療、ワイヤー矯正治療にしてもメカニカルなアプローチで歯を動かしているのであり、歯並び咬み合わせが悪くなった原因にはアプローチしていない。原因があるから結果があり、結果があるから原因がある。医療を受ける前に先ずは何をどうすべきかを考えて頂きたい。

                      2024,1,24

ポジティブに!

  何があっても、どんな状況下においても、人はそれをネガティブに捉えるかポジティブに捉えるかで自身の成長の幅が変わってくるのではないでしょうか。但しもって生まれた性格に起因することもありますし、なんでもポジティブと言われてもそれは・・・と思われる方もいらっしゃる事かと存じます。こんなことを書いている私こそ大学受験に複数回失敗した際には行き場もなく、親にも申し訳なく思うだけでどうすることも出来ず、そんな状況下で失敗をこれからの糧にしろなどと言われても所詮無理な話であった記憶が蘇ります。若さというのは経験値がなくともチャレンジ精神で結果を恐れず前に突き進んで行けばよいと思うのですが、時として目の前の困難に対し、今おかれている状況で、今あるもので、何ができるかを常に頭を柔らかくして考え、臨機応変に対応していくことで、思いもよらぬ結果が生まれることもあることでしょう。ネット検索などで分かったような気になるのではなく、柔軟に頭を使い創意工夫をすることで物事の解決策を探る習慣を身に付けて頂きたいものです。何せ可能性は誰にも平等に拡がっているわけですから!


                      2024,1,23

奇跡

  新年早々の羽田空港での飛行機事故では奇跡の救出劇と報道されているが、能登半島地震で救援物資を積んで被災地方面に向かう隊員が亡くなられており、やりきれない気持である。改めて亡くなられた方々に心より哀悼の意を表したい。当医院にお越しになられているCAの方からも、日航機のクルーの取った行動は素晴らしく、自分に状況を重ね合わせると瞬時の判断が出来たどうか分からないと言われている。これも来院されている方から伺った内容ですが、機長は最前列から最後尾に至るまで懐中電灯で乗客の有無を確認し、途中うずくまって動けないでいる乗客を救いだし、最後に最後尾のシューターで地上に降りたそうである。日頃の訓練と仕事への使命感がクルーの冷静な判断とプロフェッショナルな対応につながったことは言うまでもない。本日の日経新聞には、外部があれだけ燃えているにもかかわらず、飛行機内部が持ち堪(こた)えられたのはカーボンファイバーの複合材が重要な役割を果たしと報じている。亡くなられている方がいるだけに奇跡という表現は適切ではないかもしれないが、航空機機材の改良も人命救出に大きく貢献しており、様々な人の力の結集が奇跡を起こしたと言える。

                      2024,1,22

想像力のないやつに、翼は持てない

  物事を考えることは想像力を働かすことでもあり、いつも「?」を持ち続けていると気付かないうちに脳内シナプスが活発にやり取りをしていることにはならないだろうか。想像力は得た知識、経験値、そして潜在意識に働きかけることで無限大に広がっていく能力であり、誰からも与えられるものでも借りられるものでもない。「想像力のないやつに、翼は持てない」と言ったのは、元プロボクサーのモハメドアリであり、物事の捉え方を広げるきっかけとなる言葉である。日常生活の中にインターネット、スマホの存在が当たり前になり、疑問があればAIが答えてくれる時代でもあるが、「なぜ?」と思った瞬間に考える、想像力を働かすこともなく直ぐに答えに辿り着くことは効率を上げることにはなるが脳の活性化には繋がらず、そのような行動形式、思考回路で長い人生を過ごすことになると、想像力が低下することはあっても豊かになることはないのではないでしょうか。自分の中にある想像力を成長させていくと、世の中の違和感だったり不都合も見えてくるものであり、孤独の中で差別や戦争と向き合ってきたモハメドアリの言葉には、世界の戦争、紛争を目の当たりにした今、誰もがしっかりと向き合うべきである。

                      2024,1,21

アニョハセヨ!

  公私にわたり20年以上お世話になっている方との宴席は、慣れ親しむ時間であっても常に背筋の伸びる思いがする。鎌倉の隠れ家的な小料理屋で、毎年恒例となりつつある新年会をひっそりと始めていると、二人の若者がスマホを見ながら入店してきた。女将の「お二人ですか?」の問いかけに、ちょっとイントネーションの違う「はい、そうです。」が聞こえた。カウンターの隣席が空いており、着座すると同時に不安そうにメニューを覗き始め、どうみても迷っている。救いの手を差し伸べて声をかけてみると、韓国から1週間の予定で旅行をしている好青年の学生さんである。日本語のヒヤリングは出来るようだが会話が今一つと自己申告あり。しかしそこは今の時代である。彼らは素早くスマホを操作し、すぐに自動翻訳して難なくコミュニケーションをとるではありませんか。当方が学生時代に異国を旅した時の様なカタコト言語で会話がつまずくこともなくスムースなコミュケが出来ることに、海外旅行の言葉の壁はほとんどないと感じた瞬間である。18ヵ月の徴兵義務を終えての旅行ということもあり、アルバイトで貯めたお金をつぎ込んで日本を旅行している若者を何だか支援したくなった当方は気前よく一緒に会計を済ませ、次の店に誘って国際親善の時間を過ごさせていただいた。日本での思い出が、彼らの心を少しでも豊かにするものであれば嬉しい限りである。

                      2024,1,20

諭吉への教育

  お子様の不正咬合でお悩みの親御さんには是非とも理解して頂きたいことがあります。それは頭蓋顎顔面の成長は6歳で約90%終了し10歳過ぎ頃がピークであるとされているので、永久歯に生え変わるまで待ってから歯列矯正治療を行うことは治療を難しくするだけではなく、良い結果が得難くなるということです。顎顔面骨格が大きくならないから歯が入りきらないのであり、その顎顔面骨格を本来の成長軌道に戻すことが子供たちの不正咬合を治す目的です。先日お越し頂いた親子にも説明をさせて頂きましたが、歯並びは何のために改善させるのか。見た目だけの話ではないのです。今では睡眠障害とも密接に関係していることが明らかになってきてますので、顔面骨格が大きく成長するためには顎骨の形態を作り上げる筋肉、軟組織の習癖を取り除く必要があるのです。当医院ではお子様が待合室にいるところから椅子に座っている姿勢、口唇周りの動きを観察し、日頃無意識に動かしている習癖をチェックさせて頂いてます。もちろん口唇閉鎖が出来ているがなども要チェック項目です。口腔顔面構造の機能を鑑み、その結果として歯並びが良くなるという考え方が大切なのです。

                      2024,1,19

  お子様の不正咬合でお悩みの親御さんには是非とも理解して頂きたいことがあります。それは頭蓋顎顔面の成長は6歳で約90%終了し10歳過ぎ頃がピークであるとされているので、永久歯に生え変わるまで待ってから歯列矯正治療を行うことは治療を難しくするだけではなく、良い結果が得難くなるということです。顎顔面骨格が大きくならないから歯が入りきらないのであり、その顎顔面骨格を本来の成長軌道に戻すことが子供たちの不正咬合を治す目的です。先日お越し頂いた親子にも説明をさせて頂きましたが、歯並びは何のために改善させるのか。見た目だけの話ではないのです。今では睡眠障害とも密接に関係していることが明らかになってきてますので、顔面骨格が大きく成長するためには顎骨の形態を作り上げる筋肉、軟組織の習癖を取り除く必要があるのです。当医院ではお子様が待合室にいるところから椅子に座っている姿勢、口唇周りの動きを観察し、日頃無意識に動かしている習癖をチェックさせて頂いてます。もちろん口唇閉鎖が出来ているがなども要チェック項目です。口腔顔面構造の機能を鑑み、その結果として歯並びが良くなるという考え方が大切なのです。

                      2024,1,19

諭吉への教育

  福沢諭吉の生い立ちを知ると、母親からの愛情のある躾が彼のその後の人生に大きな影響を及ぼしたのではないかと知りうることが出来る。早くして父親を亡くし、一家は極貧の中でくらすことになるも、母親は近所の身寄りのない女性が来るたびに握り飯を与え、髪のシラミを取ってやったそうです。そのシラミを石で潰すのが、幼い頃の諭吉の役目だったそうですが、ある時その役目をさぼったとのこと。その時諭吉にかけた母親の言葉。「彼女は自分でシラミをとることが出来ないのですよ。できる人が出来ない人のためにしてあげる、それが人として当たり前だと思うのだけれど・・・」。感銘を受けませんか、皆さん。「人に優しくしなさい」と道徳を押し付けるのではなく、「人に優しくするのが当たり前」と諭すように教える。教育で大事なことは、子供にとっての当たり前の基準値を作ってやることだと教えられた思いです。良いことをしても「してやったんだ」という意識の人と、「それが当たり前なんだ」という意識の人では、行動が同じでも人格に差が出るということですね。人生のスタート時点で親からの躾がいかに大事なのかを物語っているエピソードだと思います。

                      2024,1,18

分かりやすさ

  初めて「福翁自伝」を読み衝撃と感動を覚えたのが大学浪人生活時代であり、その後再読すると非常に分かりやすい文章であるので極めて親近感を感じる本である。なぜ分かりやすいかというと、諭吉が書いた文章をお手伝いさんに読んでもらい、意味が分かるかどうかを確認していたというから、「わかりやすさ」へのこだわりは強かったようである。偉人伝の中には言い回しが難しく(当方の読解力がないだけかも知れないが)、完読することなく挫折するほんも当方にはあるが、どんな名文でも相手に伝わらなかったら意味がない。当医院ではひとり一人の新規患者さんに初診時の診査診断結果を所見ファイルとして分厚い冊子でお渡ししているが、素人の方が理解しやすくというのは意外と難しいと感じている。なにぜ専門用語が通用しないのは当たり前であり、口腔への関心がそれほど高くない方が多い中で、現状の把握と歯科治療は所詮対処療法であることへの真の理解へと導くことは簡単ではないのである。う蝕(むし歯)と歯周病は予防可能であることが分かってきた今、不正咬合の予防に向けた取り組みと、不正咬合の改善が今後の歯科が担うべき主題であることは間違いない。

                      2024,1,17

信頼を得るために

  日本の歯科医療の現場で欠けているものは何か。やはり患者が納得できるような説明と質問をしっかりと聞く場、時間がないのではないでしょうか。当医院にお越しになられた方からよく聞かれることに、「なんで同じところの詰め物が何度もとれるのですか?」「一度被せたのになぜ悪くなるのですか?」「えっ、その被せ物は3ヶ月前に○○万ぐらい費用かけて治療したところですよ。適合が悪いのは私の咬みかたがよくないのかしら?」など他多数あり。先ずは治療に入る前のご本人様の口腔内状態を画像や動画でしっかりと見て確認していただき、こちらの説明に納得していただけるかどうか。過去の治療に至った根本原因を追究していく中で、こちらが(ドクター側)一方的に喋るのではなく、患者さんの理解度に合わせて分かるように伝えることが基本であり、次の患者さんが控えているからと言って時間に追われるような説明、診療を行っているようでは、これから治療を受けるかどうか検討されている人からの信頼は得られまい。口腔内はご本人では確認のできない箇所であり、ドクターを信頼するしかないのが患者さんの心理ではあるが、結果的に裏切られたような気持になられている方が多くいるのが日本の歯科医療の現場ではないでしょうか。新しく取り入れるべきこと、維持すべきこと、そして捨て去ること。これらは組織を成長させる際には常に念頭に入れるべきことではあるが、治療を行う一人のドクターとして意識レベルで同じことも言えよう。すべては目の前におられる方が長期的に満足する結果を得るためには、ドクターとして、人としてどうあるべきかが問われている。

                      2024,1,16

納得解を求めて

  答えのない問い」と向き合うのが社会人であり、詰込み型の教育で育ってきた若者にとってはマニュアルさえもなければ戸惑うばかりである。当方の学生時代はまさに詰込み型教育の真っただ中にあって、とにかく覚えることが授業の中心的な位置づけだったのではないか。マークシートを埋める大学入試センター試験などは正解が分からなくても消去法で回答を導き出せてしまうなど、言ってみれば受験テクニックを教え込まれて志望校に合格した者も多くいたと思われる。そうした世代が世の中に輩出されるようになって聞かれるようになったことが“指示がないと全く動かない”と職場の上司の言葉である。そうしたことを経て、今の教育現場では生徒自身で問いを見つけ、課題を設定し試行錯誤し納得解を導き出すような取り組みが進められている。必然と自己の内面と向き合うことが求められるため、上辺だけ取り繕うようなことでは先に進むことも結果も出てこない。前例のない取り組みには勇気と根拠が求められるが、時代の変遷を冷静に分析し考察しているのであれば自ずとすべきことが見えてくるというものだ。 

                      2024,1,15

立志

  「利益の追求よりも社員の人間的成長を願う経営者が増えてきたようにも感じる」と毎月購読している月刊誌に載っていた。そんなことは経営者であれば当然のことと思っていた当方にとっては驚きを禁じ得ないのだが、利益追求を第一としてきた日本企業に起きている不祥事や競争力の低下、優秀な人材の海外流出などは、背景には人としての働き甲斐を感じる場がないことなどがあるのではないでしょうか。考えてみていただきたい。利益を出すことは企業を存続させていく上では必要だが、お金を求めている者にとってそのお金が無くなったら一体その人には何が残るのか。日本のあらゆる分野における競争力、地位の低下はこの30年間で目を覆いたくなるほどであり、経済力がついて国が豊かになった成功体験にいまだに浸っていて、子供から大人まで国をよくするという立志、志を立てることを失ってしまっている。孟子の言葉に「人恒の言あり、皆曰く、天下国家と。天下の本は国にあり。国の本は家にあり。家の本は身にあり」とある。誇れる国にしたいのであれば、まずは修身、自分の身を修めねばならないということである。

                       2024,1,14

音読の勧め

  「先生から朝の音読を勧められたからやってみたわよ!そしたら何だか頭の回転が朝からよくなったような気がしたわ。」とは当医院に通院中のご婦人の言葉である。音読が脳の活性化に役立つという説は、広く知られていると思います。機器の名前は忘れましたが、装置を使っていろんな状況下で脳の酸素含有量や血流量を測定した結果、黙読より音読の方が脳は広範囲に活性化されていることが実証されています。我々の記憶情報は海馬に一時的に保管されますが、睡眠中に大脳新皮質へ運ばれて一度リセットされます。従って、起床後の脳は新たな情報を収納する準備が出来ているので、何か新しいことを始めるには最高の時間帯なのです。当方もそのようなことを学生時代に知りえていれば、夜型から朝方に変えてもう少し良い成績を修めることが出来ただろうにと後悔しています。優秀だった同級生が朝起きてから勉強すると言っていたのは理にかなっていたのですね。また音読は、高齢になると、舌(特に奥舌)や口腔周囲筋の筋肉が弱まることによる誤嚥の防止にもつながるので是非とも毎日のルーティンとして行って頂くことをお勧めします。

                       2024,1,13

機能的歯列矯正治療の勧め

  一昨年ぐらいから以前にもましてかみ合わせの相談件数が増え、その後機能的歯列矯正治療を始める方も増えてきている。歯科矯正治療と言うと、未だに見た目の歯並びを良くするために治療をすると思われている方が多いようだが、当医院では見た目は勿論ですが不正咬合によって引き起こされている歯が欠ける、むし歯になる、原因不明の頭痛がある、首肩の凝りがひどい、姿勢が悪いなど様々な症状に対して原因の主因がかみ合わせと思われる場合には、よくよく理解していただいたうえで機能的歯列矯正治療を受けることを勧めている。但し、成人の矯正治療はむし歯の治療と同様に対処療法であり、歯並び・かみ合わせが悪くなった根本原因を取り除く訳ではなく、あくまで強制力を掛けて歯列、顎位を改善させているのであり、並行して舌や口腔周囲筋の習癖を取り除く筋トレを行わなければ必ずと言ってよいほど後戻りが生じる。そもそも歯並びが悪くなる根本原因は口呼吸であり異常嚥下であることは以前からこちらのブログでも述べていることですが、それらのコメントが少しずつ浸透してきた結果なのか幼児から成人まで年齢に関係なくかみ合わせへの関心が高まってきている感がある。10年以上前から診ているある人は、このままでは脊柱管狭窄症になってしまうのではないかと思われるほどの不正咬合とそれを引き起こしたと思われる習癖が顔面の表情筋からも窺えたが、悪い予想が当たってしまい手術する羽目になった。不正咬合を放っておくと脊柱管狭窄症にまでなる可能性が〇〇%あるとのエビデンスがあれば、かみ合わせと体幹の歪みまでの説明により説得力があるのかもしれないが、私の知る限りでは見当たらない。が、臨床経験値からは高い確率で関係していると言えると確信している。今年も引き続き、かみ合わせと体幹の歪みの関係が当方の臨床テーマとなり続けることは間違いない。

                       2024,1,12

家庭の教育

  朝の自由が丘駅南口には余程遠くから来るのか、改札口の目の前に車を乗りつけて子供を降ろす親や、自転車の後ろに子供を乗せてホームに電車が入線してくる直前まで行き交う人の迷惑も顧みず通行を妨げるように居続ける輩が後を絶たない。雨降りの日などはその数が増え、駅前の通りを車が占領することさえある。当方の感覚では極めて異様なお見送りであり、過保護を通り越した呆れた子育て風景である。通学ぐらい自分の脚で歩くことをなぜさせないのか。そういう親に限って運動不足だとか言って子どもをバレエ教室やダンススクールに通わせているとなれば、身体のバランス、体幹だけではなく、自らの意思を育てる土壌すら無いに等しいのではないでしょうか。他人様のことだから周りがどうこう言う筋合いはないので当人にとっては余計なお世話でしょうが、大人の考える枠に当て嵌めるかのような子育てぶりには辟易する。朝起きたら先ずは親に元気な声で「おはようございます!」が言え、名前を呼ばれたら「ハイ!」と返事ができ、家に上がるときには靴をそろえてから入るぐらいのことが出来ていれば、世間に迷惑を掛けるような人にはならないでしょう。今はそんな基本的な躾も出来ない親が学校や塾の先生に責任転嫁しているとしか思えないような事案も多くみられるようである。教育現場における教職員の疲弊の根本原因は家庭にあることに、良識のある人は気付いている。

                       2024,1,11

一日を大事に

  能登地震による倒壊した家屋、寸断された道、避難生活を送る被災者たちの映像を目にするたびに、自然の脅威の恐ろしさと何もできない無力感に覆われる。あれだけ太くしっかりした柱によって何十年もの間に亘って各家庭を支えてきたにも拘らず、一瞬にして瓦礫と化してしまうのが地震の恐ろしさであり、日本に住んでいる我々の宿命なのだろうか。災害が起きるたびに、日頃からの備えを万全にして‥‥とは言われ続けているが、備えだけではどうにもならないのが現実であり、逃げ場がない。関東大震災は教科書で習う歴史上の出来事であったが、阪神淡路大震災以来、毎年日本列島が大きく揺れているようにさえ感じる。一寸先は闇でもあるがゆえに、日々を大事に過ごさねばなるまい。“一日自分の勉強と仕事を怠れば、その分日本の進歩が遅れる”とは秋山真之の言葉である。帰宅中の電車内でスマホのゲームに興じているスーツ姿の大人を見ると、仮に仕事の出来る方であったとしても何か足りていないのではないでしょうか?と思ってしまう当方は、もうすでに古い、時代に追い付いていけてない人種なのだろうか。

                       2024,1,10

医学とは

  世の中には自覚症状はあるのに病名がはっきりしなかったり、病名はついても治療法の決め手がない病気が存在する。分かりやすいところでは頭痛、肩こり、めまい、食欲不振などが挙げられ、自律神経失調症などは後者に相当する。当医院にお越しになられる患者さんの中にも様々な病院への通院履歴のある方も少なくない。医者も手をこまねいているわけではないだろうが、一番苦しんでいるのは患者さんであり、言うに言えぬ苦痛を抱え、ドクターショッピングを繰り返している人は医療が進んだ現在でも多く存在する。歯科医療に身を置くものとして、また卒後約30年を臨床医として働いてきて痛感することは、歯科に関してはむし歯も歯周病もある程度予防できることが分かっているのだから、そろそろ対処療法の繰り返しをやめて、本来医療のあるべき原因を取り除く診療体系にしていきませんか、ということである。例えば歯列矯正治療であれば、マウスピース矯正にしてもワイヤー矯正治療でも、歯並び・かみ合わせが悪くなった原因を取り除いているのではないという点では対処療法である。ならば、歯並びが悪くなる原因除去に介入することが本来の歯科医がすべき仕事である。そもそも医学とは何のためにあるのか。いうまでもなく、病気を予防し、治すためである。ところが現代の医学はその通りの方向に向かって進んでいるのとは言い難いのではないか。あまりにも細分化された専門領域に閉じこもり、他を顧みようとしない弊害が出てはいないか。先ずは人間の全体像を診る目を持ったうえでの専門域であることを常に忘れてはならない。

                       2024,1,9

新成人

  今日は全国各地で“二十歳の集い”が執り行われているが、能登地震の現場では自衛隊、警察、消防関係者によって命をつなぐ懸命の救助作業が続いており、ところによっては式典どころではないであろう。今年の新成人は幼児のころには東日本大震災を経験し、高校から大学にかけての約3年間は新型コロナの影響を受けて本来の学校生活を送れなかった時期を過ごし、なかには家族や親戚を失い辛い思いを経験したものや、精神的にダメージを受けて周りからのサポートを必要とされている者もいるかもしれない。どんな境遇にあっても一度きりの人生であるからすべてを受け止め心の糧として、高志を抱いて失敗を恐れず逞しく前進していって欲しい。人生は本人にその意志さえあれば何歳になっても挑戦できる。物事がうまく運ばない時期には、楽しいことを求めるだけではなく自分のしていることが社会の役に立つことかどうかという視点で振り返って考えてみることも大事である。能力の差はそんなにない。考え方と熱意の差が人生の成功不成功を左右すると言えるのではないか。今の閉塞した日本社会を打破していくには良識とバイタリティを持った君たちの力が必要とされている。少なくとも不祥事を起こして逃げ隠れする国会議員のような恥ずかしい人間にはならないように。肩書よりも大切なのは自己修養だと政治家が身をもって教えてくれている。

                       2024,1,8

心が動くとき

  先月、歯科医療関係者を前に講演をさせて頂く機会を頂き、その後の懇親会にて講演内容を深堀した話を聞きたいとのお声や、どうしたら自信をもって仕事に向き合うことが出来るようになるのかなどの相談を受けた。聞き手に少しでも参考になる、また心に響く言葉が残っていたとしたら幸いである。当方は学者ではないのでデータに基づいた話やエビデンス的なことを述べる立場にはなく、あくまで臨床医として経験してきたことに基づく話しかできない。歯科保険制度の枠の中で、一人ひとりの患者さん全てに満足のいく説明、治療を提供できているのであれば悩みもそう多くはないであろう。しかしコンビニエンスストアよりも歯科医院は多くあると揶揄されることもある今の時代において、どこの歯科医院に掛かったら良い分からないという歯科難民が実に多いことには驚きを覚える。暮にも立ち寄った飲み屋で、他の客から治療相談を受けたことなどいい例かもしれない。医療人であれば技術を向上させることは生涯にわたって求められることであるが、技術があるからといって患者満足につながるかと問われればそれはノーである。大事なことは、語り方が下手でも上手でも、診査診断に基づく説明の中で、患者の心に響く言葉が潜んでいるかどうかである。それは考えて出てくるものではなく、目の前に患者さんを本気で何とかしてあげたいと心底思えるかどうかに尽きる。患者さんのこの先生に任せたいと思う熱量と、歯科医師の患者の役に立ちたいという熱量が等しければ、結果は自ずと付いてくるものである。つまり、物事が動くときは心が動くときであるということを私は強く伝えたい。


                       2024,1,7

治療説明と患者の理解度

  歯医者の仕事はむし歯になった歯を削ることではなく、むし歯にならないようにひとり一人の患者さんが理解できるように説明し、患者さん自身がご自分でも説明できるようにすること、これに尽きる。新年最初の治療ケースでまさにそのような場面に出くわした。一眼レフカメラで撮影した画像、マイクロスコープ下の撮影動画をモニターでお見せしながらむし歯の状態を確認していただき、なぜそのような状態になったのかを8年前の初診時の写真と比較しながら解説を加えていく。初診時からむし歯の疑いのある歯ではあったが、唾液検査の結果ではカリエスリスクは低く、定期的な検診にはお越しいただいているので、経過を見る中で必要な時期が来たら処置をするというスタンスで経過管理していたのである。この方の場合も多くの方と同様に機能的なかみ合わせが良くはなく、当該歯のクラック線がう蝕領域に伸びていることから、上下の歯の外傷から引き起こされたむし歯の可能性が高いとお伝えした。その後も患者さんからの質問は続き、治療後のやり取りだけで20分以上は要したことになる。但し、この時間を省いては患者さんがしっかりとむし歯になった原因を理解できないのであり、理解がなければ今後の予防という段階に進めないのである。日本の歯科保険制度においてはどれだけ説明に時間を割いてもその部分は点数加算できない部分であり、保険診療で歯科医院経営を成り立たせていく場合には余程の聖人君子でもなければこの説明時間を省きたくなるのが多くの歯科医師の本音であり、またそこまで深く考えていないドクターが多いのが実情ではないだろうか。日本には立派な志を持った歯科医師がいるにも関わらず、歯科保険制度の枠によって本来の望むべき診療体系を築けていない医院が多くあるように思えてならないのは残念である。なお、以上は当方の私見であり、日本全国津々浦々までの歯科医院の現状を見て回ったわけではないことを付け加えていくことにする。

                       2024,1,6

ベトナム・ハノイ

  新年おめでとうございます!本年も宜しくお願い致します。

 当方は年末年始をベトナム・ハノイで過ごし、普段とは異なる文化に触れ、脳内が相当リフレッシュされた状態で帰国しました。ベトナムの感想を一言で表すと、「生きてますね~!」がぴったり当てはまります。先ずはノイバイ国際空港を外に出た途端から途切れることなく聞こえてくるバイクと車のクラクションの音。駐停車禁止エリアもあるのかどうか分かりませんが、とにかく車が遠慮することなく道の真ん中で停車している状態。そして車やバイクが走行していても何の躊躇することもなく道を横断し始め、またその人達を車やバイクも絶妙なタイミングで避けて行く光景は、仮に交通ルールが存在しなかったとしてもドライバーと歩行者がまさに阿吽の呼吸で分かり合えている高度な交通文化が出来上がっていると言えるのではないだろうか。日本でいえば車線を守り、信号機の表示を守り、最高速度を守ることがドライバーには求められる義務であるが、ベトナム・ハノイでは誰もが常に五感を働かせて生活をすることが余儀なくされているので、外国人の我々もその五感を働かせざるを得なくなることが「生きてますね~!」という実感に繋がってくるのである。クラクションをならすのは自分の存在を伝える意味であり、決して苛立っているのではなく、ベトナム国民の人柄は、自己主張を強く表さないところなどは日本人とも通ずるところがありそうである。“郷に入れば、郷に従え”とは言うが、当方にとってベトナム・ハノイはインフラなどの遅れはあるものの過ごしやすい街であり、早くも恋しくなって来ている。これから海外旅行を検討されている方には是非ともお勧めしたい国である。

                       2024,1,5

 2023.12.28~2024.1.4までブログの更新はお休みいたします。

皆様、佳いお年をお迎えください🎍

原因を取り除く医療とは

  機能的矯正治療を始めた20歳の学生が10ヵ月の治療期間を終え、無事年内に矯正装置を外すことになった。治療予定期間よりも約半年早く治療が終了したことは喜ばしいのだが、治療前の診査診断結果よりも大幅に治療期間が短縮したことは考察が必要である。ワイヤー矯正治療、マウスピース矯正(当医院では行っていない)であっても対処療法であることには変わりはなく、歯並び・かみ合わせが悪くなった根本原因が筋機能、呼吸、嚥下にあることに立ち返れば、患者さんはこれから口腔習癖を取り除く口腔周囲筋のトレーニングが欠かせない。しかし成人矯正治療を終えた多くの方は保定装置と呼ばれる着脱式の装置を付けていれば歯並びは乱れないと思い込んでいるので面倒なトレーニングをほとんどされていないのが実情である。また治療を行った主治医からもトレーニングの必要性を強くは指導されていないか、まったく指導を受けていないこともあると聞く。悪くなったのは原因があるからであり、原因があるから結果がある。まずはこの当たり前の事柄を患者さんだけではなく医療者側もきちんと認識し、それを臨床の現場でどのような形で周知していくのか。悪くなる原因を取り除くのが医療であることを忘れてはいけない。

                       2023,12,27

愛犬

  犬も身体をシャンプーしてもらうと気持ちがいいのだろう。我が家のカニンヘンダックスくんはシャワーをする時には尻尾を振りながら自らお風呂場に出向き、あったかいお湯を浴びるのを待っている。口周りがどうしても匂ってくるので先ずは洗顔から始めるのだが、これが気持ちよさそうに目を細めている。続けて頭、特別長い胴、そして格別短い脚を洗い、肉球周りを歯ブラシで仕上げて一段落。ドライヤーでふさふさになった後は、なぜか家の中を走り回る。それもものすごい勢いで!ひと運動済ませた後は定位置のソファを占領して我が物顔でクッションに顔をのせて休んでいるが、なんとも平和で癒される時間であり、そんな彼も我が家に来てから3年が過ぎ、自分が犬であることを知らぬかのような振る舞いぶりである。家族の朝一番の“おはよう~”は誰もが彼への挨拶から始まり、存在感は高まるばかりだ。子供達に生き物を飼うことで命の尊さや思いやりを持ってもらいたくて飼い始めたワンコは、私の想像以上の貢献をしてくれている。

                       2023,12,26

放散痛

  レントゲン撮影で問題はなし。なのに左肩が痛い(>_<)。これは当医院のある患者さんの体験談ですが、湿布を貼って気にしないようにしていたが、思い出したように痛くなったりするので整形外科を受診したところ、筋肉疲労でしょうと言われ手持ちの湿布で様子をみるように言われたという。そして「もしいつまでも続くようなら放散痛を疑ってみる必要があります。」ということで不安になってきたとのことです。どういうことか。左肩痛の場合は同じ身体の左側にある心臓の疾患かも知れないということです。例えば冷たいカキ氷を食べた時に頭がキーンとするのは、喉の神経が刺激されたことを脳が間違って後頭部やこめかみに伝えているのであり、いわば脳の勘違い。この身体のある部分の痛みが異なる部分の痛みと脳が勘違いして発生するのが関連痛と呼ばれるものです。この関連痛のうち、病気の原因と全く違う部分に現れる痛みで、広く外側へ散らばるような痛みとなるのが放散痛で、もし心臓が原因であれば、狭心症や心筋梗塞で起きた歯隙が心臓だけにとどまらないで周囲に散らばり、奥歯やのど、過多、腕などに痛みを感じたり、肩凝りとして症状が出ることもあるのです。まさか自分が‥‥と思わずに、何か似たような症状がある場合には早めにしかるべき医療機関で診てもらうようにしましょう。

                       2023,12,25

舌小帯異常が引き起こす問題

  歯科治療ほど対処療法を繰り返している医療はないと断言できる。開業20年が経つが、当医院のミッションである「皆様に価値ある時間を提供する」には、歯を削って治療をしても元には戻らないですよ、高いお金を払ってセラミックを被せても一生維持できるわけではないすよ、とその理由説明に時間を割いてきた。そもそも甘いものを食べ過ぎてむし歯になると未だに考えている歯科医療従事者がいる時点でアウトである。歯並び、かみ合わせ、無意識下の歯ぎしり食いしばりによる歯の硬組織に生じる物質疲労からくるクラック、ひび割れとの関係が理解されなければむし歯、さらには治療した歯が再び治療が必要になる説明ができない。学生実習においてインストラクターから言われた言葉、「臨床の現場にでたら、この模型のようなきれいな歯並びをした患者はほとんどいないのだから、せめて模型上ではきちんと歯を削れるようにしておけよ!」。歯科大学の教育的立場にある歯科医師が、不正咬合が当たり前と思っていたら、いつまで経っても国民の歯は良くならないのではないでしょうか。不正咬合になる根本原因を取り除く、そこにアプローチすることになぜ真剣に取り組まないのか不思議でならない。ワイヤー矯正治療、マウスピース矯正といっても所詮対処療法である。これからの歯科医療は乳幼児の正しい母乳保育から積極的に立ち会うべきであり、うまく哺乳が出来ないのであればその原因はどこにあり、舌小帯の異常によるものであれば積極的に切除することも文献考察からも必要であると考えている。

                       2023,12,24

紅茶の香り

  昼休みにはコーヒー豆をミルで挽き、熱いお湯を注ぐとスタッフルームに香りが充満するあの一時が休息を実感できる時間である。もっぱら当方の毎日のルーティンになっているのだが、今日は頂いた紅茶をせっかくなので皆で頂くことにしてみたところ、女性陣からはいつも以上に好評であった。紅茶といえば外国産と決めつけていたが、最近では世界に誇れる国産紅茶が増えていると聞く。口にした紅茶は長崎産で、商品説明には「茶葉の柔らかいところを丁寧に手摘みして原料としていて、フレッシュな味わいが特徴。発酵しすぎないようにして、香りを出すことを重視していて、あとからふわっとくるエレガントな香り。」とある。「先生、お味は如何ですか~?お口に合いますか~?」との声掛けに、「‥‥‥ん~、俺が知っている紅茶とは違うね」ぐらいの返答しかできない自分に、普段から味そして香りを楽しむことすらしていないつまらない人間に思えてしまった。もう少し時間に余裕をもって、より感性を働かせて時間を過ごすことが職場でも必要なのかな。

                       2023,12,23

加齢による気付き

  「犬の散歩に出かけた時に右腕を強く持っていかれたんですけど、その時に右腕の関節付近を痛めたみたいで捻ると痛いんです。このままにしていても良くならないかしら~?」とは50代のご婦人の第一声である。若い頃には他人事のように聞こえていた身体各所のトラブルに、50歳を境に何かしらの症状を抱えることを加齢は教えてくれる。しかしである、その故障を切っ掛けに今ではネット検索で改善のためのHow toを調べたり、本を購入してトレーニングを始めたりと、“禍を転じて福と為す”の如く、体力強化に時間を割く中高年が増加しているとのことである。ランニングを継続する中で足底腱膜炎を患い、さらには種子骨炎なるものまで経験したものとしては、その都度自分を鍛え上げるためのヒントを与えられたようなものとして前向きに捉えている。“継続は力なり”は子供の頃から耳には入ってきたが、行動・実践・振り返りのない生活をしていては、どんな名言、格言であっても馬耳東風であり、物事に真剣に向き合わなければ何も見えてこない。タラレバのない人生を送れている人はいるのだろうか。

                       2023,12,22

ハンドル操作の在り方

  信号が黄色になった瞬間にアクセルを踏み込んで停止線を猛スピードで過ぎていく車や、横断歩道の手前で停止も減速もする気配もなく平然とハンドルを握るドライバーがなんて多いことか。これだけ世の中にスマホが普及しているのだから、違反車を動画撮影し検挙することが出来るように法改正でも行ったらどれだけ交通事故が減ることに繋がるだろうかと、帰宅時に交差点を信号無視した違反車のナンバーに目が行った。誰もが運転免許取得の際には教習所にて運転ルールは勿論、危険を予測することが常に大事であり、ちょっとした気の緩みが取り返しのつかない事故を引き起こすと指導を受けているはずである。にも拘らず、悪質ドライバーは増加傾向にあるように思われ、その根本原因はやはり人間力のなさであり、教育、躾が行き届いていないことに尽きるのではないでしょうか。「俺は大丈夫!」の過信が人を巻き込む人身事故を引き起こし、「俺がルールだ!」のような根拠のない自信が他人だけではなく自分をも含めた一生の後悔につながる。ハンドル操作を誤れば車はただの凶器となることは昨今の事故を目にすれば言わずもがなであり、心のハンドル操作を教習していただけるところも今の時代は必要である。

                       2023,12,21

起立性調節障害と歯科の関わり

  以前起立性調節障害と診断され、いつも元気がなくモヤモヤした様子のあった若者が、親さえも信じられないぐらい表情が明るくなり、積極的な行動がみられるようになってきたと親御さんから報告があった。「まさか歯医者さんで起立性調節障害のことで改善するきっかけを頂けるとは思っていなかったので、本当に主人共々先生には感謝しかありません。ありがとうございました!」。まさに当医院のミッション“価値ある時間を提供する”を行った結果であり、日頃から来院される方とのコミュニケーションに時間を割いているからこそ細部まで診ることが出来るのであり、医療現場における“人ではなく症状のみ診る診療”では、このような方の場合は薬を処方されるだけの診療になる。医科は治療、処方はするけれども予防はできない。しかし歯科だけは予防的なアプローチが可能であり、口腔の問題を抱えた方がお越しになられるところではあるが、当医院では常に全身疾患との関わりの中で診ている。起立性調節障害は迷走神経とのかかわりが深く、しかるべき処置が行われれば体調が改善させることが多いと経験している。歯医者がう蝕(むし歯)と歯周病だけを診ていればよい時代はとうの昔に終わっている。歯科から健康を取り戻すきっかけは多数あると実感している。

                       2023,12,20

不定愁訴の改善

  18世紀後半の産業革命は世界に大きな変化をもたらし、日本においても明治維新が起こりました。21世紀のデジタル・IT革命は産業革命以上の革命であるとも言われますが、それを思えば私たちは一大転換期に生きていて、その変化に必死に適応しようとしているのではないでしょうか。スマホ脳の著者は、たかだか100年の内に社会が変化し人間の脳が適応できるのか?と問いかけていますが、身体はいつの時代もアナログでありデジタル化はされません。にも拘らず、精神的な充実よりも実績重視、効率重視の社会化が進んでおり、人が生きていく上で大切なものを置き去りにされているように思えてなりません。何のために仕事をしているのか、一旦立ち止まって考えてみたことはありますでしょうか。仕事の先、子供達の学びの先には失われた佳き国柄を取り戻し、その伝統を後世に繋いでいくことにあると思います。医療の立場から国民の健康を守り、疾病をなくすには薬では根本解決は図れません。不定愁訴を抱えた方の口腔内にはある共通した所見が診られますが、Evidenceがなければ説得力に欠けると一蹴されるのがこの世界の現状であり、いつの時代も抵抗勢力が存在します。志を共有する仲間ほど心強いものはなく、歯科からの可能性を追求していく所存です。

                       2023,12,19

口だけの世界平和

  “ガラスのうさぎ”“黒い雨”などは小学生の頃の推薦図書だった記憶があるが、今はどうなのだろうか。ウクライナ、パレスチナのガザにて起きていることは、人が人を殺戮するという映画ではなく現実である。学生時代にバックパッカーでヨーロッパを旅した際に、ミュンヘン郊外にあるDachau収容所を訪れたことがあるが、そこに立つだけで戦争の悲惨さ、無慈悲さを感じたものだ。博物館内の展示物には、同じ人間がそこまで残忍になれるものかと来館者は皆思っていたことだろう。「戦争は二度としてはいけない」と子供のころから当たり前に耳にしてきたが、昨今の世界情勢及び我が国を取り巻く環境は緊迫の度を増してきている。田中芳樹さんの「銀河英雄伝説」には、“人間の社会には思想の潮流が二つある。命以上の価値が存在する、という説と、命に勝るものはない、という説と。人は戦いを始めるときには前者を口実にし、戦いをやめるときには後者を理由にする。それを何百年、何千年も続けてきた・・・この先、何千年もそうなんだろうか”とある。世界各国の首脳たちにこの件を読ませたい。

                       2023,12,18

本義とは

  遂に始まりました『歯科医院経営の本義』セミナー。臨床の技術論を学ぶのではなく、歯科医療従事者としての心構えはどうあるべきかを語らうセミナーであり、3人の演者が荒波を乗り越えてきた経験談は聴講された方々の胸にどのように響くのか気になるところである。どんなに素晴らしい講演でも、聞き手の受け止め方次第で賛否は分かれるところでもある。が、今回の演者は私も含めて熱く語る3人なので、聴講される方の中には感激して涙する人もいるかも知れない。物事が動くときに必要なのは理論も大事ですが、それ以上に感動であり感化なのです。若い時にはそれが正しい方向だと分かっていても、石橋を叩いて渡る性格の人にとってはなかなか一歩を踏み出せない。そんな時に自分を奮い立たせてくれるのが偉人たちの教え、考え方であり、内村鑑三、福澤諭吉、渋沢栄一他手本となる先達が大勢いる。「日本には資源はないが、人材という立派な資源がある。」とは吉田茂の言葉である。その資源が日本から枯渇しようとしている今、我々は歯科医療の立場から立て直すチャンスでもある。歯科医院は治療のみをするところではなく、歪んだ考えを正す、そんな存在であっても良いのではないでしょうか。

                       2023,12,17

人間学の習得を

  明日は久しぶりに演者として参加させていただくセミナーがあり、今夜は他の演者との前夜祭となった。テーマが「歯科の本義」という少々お堅い題目であるため、出席される歯科関係者がどれほどいるのか気になるところではあるが、私を含めた3人の歯科医師は診療・経営スタイルこそ違えどこだわりを持ち、筋を通す点においては共通項があり、私にとっては学び多い一日となりそうである。講演会に合わせてのプレゼン作成は簡単ではないが日頃の自分さらには過去の仕事を振り返る良い機会となり、演者が一番収穫が多いものである。どんなことにも言えることだが、本で得た知識やセミナーなどで習ったことは、行動・実践・振り返りがなければ、自覚ある本当の力は身につかない。そのために常に意識すべきことは人になるための成人学であり、本学である人間学と末学の時務学ということになり、明日はこの点を強く伝えていきたいと思っている。我々の歯科医療に携わる者は決して理系ではなく、あえて言えば人文科学、自然科学の学びが極めて少ないのが現状であり、人間学の習得こそが急がれるべきであると考えている。

                       2023,12,16

忙しい現代人

  前日の懇親会は日頃の臨床の相談、情報交換も兼ねて盛り上がり、翌朝8:30スタートのセミナーに時間通り全員が出席できるかと心配されたが杞憂に終わった。当方にとって土地勘のないところを早朝走ることは旅先の空気感を感じる一つ楽しみであり、短時間ではあるが地元の人に溶け込めたような新鮮さがたまらなく心地よい。更に地方や田舎に行くと旅の解放感もさることながら、生活の不便さをはるかに上回る豊かさを実感できる自然環境や、人とのつながりを謳歌する移住者を目にすることがあり、駅のベンチで語らう地元人の言葉訛りには、過ぎゆく時間もゆっくりと感じられるものである。世の中アナログからデジタル化によって時間に余裕ができるはずだったにも拘らず、気付けば空いた時間に他の用事を入れて益々忙しくなっている現代人である。たまには雲の流れをゆっくり眺めるぐらいの余裕があってもいいのではないでしょうか。

                       2023,12,15

新たな領域

  「やることの後悔よりも、やらないことによる後悔のほうが大きいようだったら、行動するようにする。たとえ時機が完璧でなく、見切り発車になったとしても、後悔のない方を選ぶ。」今回のセミナーで得た最大の収穫はこの思いである。勿論臨床医であるから、臨床の現場で見切り発車をするということではなく、あらゆる準備をしても不安がゼロになるわけではないということであり、本で得た知識やセミナーなどで習ったことは、行動と実践と振り返りを経なければ、自覚できる力として身に付くことはない。しかしここに来るまでに時間が掛かり過ぎたというのも正直な実感であり、10年ぐらい人生を巻き戻せるものなら‥‥。タラレバを言ってはきりがなく、全ての経験が糧になっていることも事実であり、物の見方捉え方次第で人は幾らでも成長できるし、いつまでも成長し続けることが可能である。この世を去った一人の耳鼻咽喉科医の代わりにはなれないが、歯科医師の立場から乳幼児の健康に直接かかわることのできる喜びは、歯科医師冥利に尽きる。来年は当医院にとって新たな領域に一歩を踏み出す一年となることは間違いない。


                       2023,12,14

先入観は‥‥

  「先入観は可能を不可能にする」とは大谷選手の座右の銘となっている高校恩師の言葉と新聞に掲載されていた。どんなに名言であっても、たとえ著名な講師のセミナーに出席しようとも、聞き手の心が受け止めなければ馬の耳に念仏である。歯科医療の疑問を感じながら考え方、情報を共有できていなかった25名の有志の集まったセミナーが本日行われ、疾病に対する治療ではなく、疾病に至る根本原因を改善する取り除くには、医科ではなく歯科が関われる可能性を熱く語りあう場となった。オギャーとこの世に生まれてお母さんのおっぱいをうまく吸えない乳幼児がどれだけ多いのかは世間ではあまり知られていない。しかもその原因の多くが乳幼児の舌にあることは、一部の医療関係者には知られている事実ではあるが、Evidenceがないとして市民権を得るには至っていない。この春、一人の耳鼻咽喉科医がこの世を去った。日本だけではなく世界から多くの患者がそのドクターの診査診断、そして処置を求めて足を運んだ実績があるにもかかわらず、その手技・効果は疑われ続けた。なぜならEvidennceがないからという理由で、約38,000人の患者が現代医療において改善しなかった症状が改善したにも関わらずである。現代医療は真の意味での予防にはなっていない現実があるのではないでしょうか。薬を服用して健康が取り戻されましたか?我々は健康を損なう根本原因を取り除くために一歩を踏み出しました。何のために歯科医師になったのか、深く考えさせられる2日間になりそうです。



                       2023,12,13

経験値

  長年の臨床の疑問点が解けたかもしれないという瞬間は、目の前の患者さんの治療途中であろうが文献抄読の最中であろうが真摯に仕事に向き合ってきて良かったと思える瞬間でもある。臨床経験が少ない時分には治療に至った歯の根本原因の仮説を立てることが出来ず、通法通りの治療をすることで処置は完了するのだが、仮説を立てることが出来るようになってくると、治療およびカウンセリングのクオリティそのものが自然と高まってくる感覚というものがある。エビデンス(科学的根拠)が重要なことは言うまでもないが、それと臨床の間に存在するのが真摯に臨床に向き合ってきた経験値であると言えはしないか。臨床医は目の前の患者を自分の目および感性を働かせてどのように診断するか、言い方を変えるとどのように感じるか、という部分は大事にしないといけない。感性というのは良い意味での勘でもあり、過去があって今があり、そしてこの先未来があるので、むし歯一つとってもその流れの中で予後を読むことが求められる。今の世の中、情報に頼りすぎると知識ばかりに囲まれて、時間をかけて深く推察、熟考することが軽視されているように思えてならない。20年間の開業経験値はこれからさらに役立つことと確信している。


                       2023,12,12

爽やかさ

  20代の若さにで誰もが認める手本のようなスポーツマンである。勿論大谷翔平選手のことであり、世界中の野球ファンを虜にしている。WBC決勝戦における「今日は相手へのあこがれは捨てましょう。憧れていては乗り越えられませんから!」の声掛けは、純粋に野球を楽しむ少年のような思いから発せられたのだろう。「知る者は好む者に及ばず、好む者は楽しむ者に及ばず。」の論語の教えを体現している。世界的にスポーツ選手の年俸や契約金の高騰に違和感を感じている当方にとっては、契約金につられて自らの処遇を決めるような選手ではないことに、彼の清々しさを感じる。一方で、相変わらず政治資金の取り扱いで疑念を持たれる議員が後を絶たないことに、どのような志をもって政治家を目指したのかを一人ひとり問いただしてみたいものである。人格的に素晴らしく、誰からも尊敬されるような議員であれば清廉潔白なわけですから堂々としていればいいわけだが、マイクを向けられると背を向けて逃げる姿からは、犯罪者同様に映ってくる。政治家を選んでいるのは我々国民ですから、政治家を批判するまえに先ずは我が身に一点の曇りもない生き方をしているかどうか向き合ってみましょう。“Shohei OOtaniさん”のように常に爽やかに生きようではありませんか!


                       2023,12,11

アテローム性動脈硬化と歯周病

  定期的に口腔内のメンテナンス・クリーニングにお越し頂いても普段のセルフケアが確立されていなければ、3~4ヶ月ごとの検診すら意味をなさない。歯周病の恐ろしさを初診時から機会あるごとにお伝えしても、本人にその自覚がなければその都度初めて聞くかのようである。航空機に乗ると心臓付近が締め付けられるように痛くなることが時々あるということで、歯周病菌の関与が疑われる心筋梗塞の疑いもあるので早く病院を受診するように勧めた方が、ついに緊急で入院することとなった。改めて本人の口腔清掃状態を動画で撮影してお見せすると、「超音波ハブラシで磨いているのに全く磨けてない。えっ、超音波や電動歯ブラシはでは磨けないのですか?」と以前に何回も会話したことを繰り返し聞いてくるではありませんか。今回ばかりは身に染みたのか、プラークが紙面にべったり付着した画像を食い入るように観察し、「これ、スマホで撮影してもいいですか?」と心を入れ替える決心をされたようである。口腔内の歯面プラークが慢性的に付着していれば、いくらステントを入れようが、その内面にも細菌バイオフィルムが形成されることは10数年まえから分かっている。我々の説明の仕方、伝え方も改善の余地はあるかも知れないが、いい歳になった大人を子供のように課題を出すわけにはいかない。自分の身体は自分で守るしかないのですよ!と声を大にして叫びたい。


                       2023,12,10

政治家としてではなく人としてどうか

  政治資金規正法やら法律を作ったところで抜け道は残るということを今の政治が証明している。もっともらしいことをまことしやかに語り、国民の支持を得たと勘違いされている国会議員の先生方があまりにも多すぎませんか。国を治める立場にいる方々ですから、人格的にも素晴らしい方々でなければ務まらない仕事のはずですが、どうも昨今の政治家を見ていると、批判はするけれども国家のビジョンを語ることのできないサラリーマン的な政治屋と、政治家の仮面を被った悪代官が居座っているようにしか見えてこない。そもそも政治家としての考え、思いを的確に言語化し、実践していただかなければ国は前には進みません。勝利は不可能と思われていた日露戦争の日本海海戦において、戦略を立てそれを実行した秋山真之は、「一日自分の勉強仕事を怠れば、一日国家の進歩が遅れる」との思いで日々過ごされていたという。それだけの信念、危機感を抱いて国政に携わっている国会議員は与野党を含めてどれだけいるのかいないのか。政治家に限らず人として大事なことは、誰に対しても態度を変えず、正直で裏表のない人間でいることではないでしょうか。自分は何がしたいのか、それはどうしてなのかを考えなさいと事あるごとに親から言われたものです。戦後の教育が間違っていたことを政治家の皆さんの姿を拝見していて改めて感じざるを得ません。


                       2023,12,9

仕事への感動

  開業20年を振り返ると、全ては当医院のミッションである「患者様に価値ある時間を提供する」に共感共鳴してくださるスタッフ採用から始まったことが懐かしく思い出される。当時は紙媒体の募集で新規開業ということもあり47名の方が応募してくださり、面接時間をしっかりとるために開業を週間延期した。面接は採用する側とされる側との行ってみれば人の品定めの場であり、双方とも立場は対等である。歯科衛生士の方が7名お越しになられ、本来であれば即戦力として直ぐに採用したいところであったが、この方々から歯科衛生士のライセンスを取ったら受付もしくはアシスタントとして採用するか自分の問いかけをした結果、人柄重視で全くの素人の方2人を採用して開院するに至った。物事が動くということは、人の心が動くということです。心は心によって動きます。私の仕事に対する考え方、熱意に感動してくださった2人は、その後私が指示を出さなくても自身で考え判断し、患者さんとの会話は勿論、ドクターの動きを先読みして仕事が滞ることのないよう率先して働いて下さった。つまり仕事する人達である。しかしスタッフ問題を抱えている職場には、仕事をする人と、作業をする人がいるという。要は、自分の役割は会社が決めるが、その役割を自分がどう働くかは決めてくれない。大事なことは、仕事にどう感動を生み出すかということである。当医院のミッションはまさにこの実践であり、スタッフにその意識がなければ働かされているだけとなり、組織が輝くことはない。全ては組織の長の問題であり、今の政治に感動はない。

                       2023,12,8

コンサルタントに機微まで‥‥

  コンサルタントの仕事は顧客のニーズに応えることにあるが、目的達成のためであれば倫理観、道徳的なことは二の次でもよいのだろうか。業務を円滑に運ぶためにシステムを作り、スタッフが入れ替わっても上質なサービスを提供し続けることは、無駄を省くうえでも業種によっては取り入れられるべきかもしれないが、医療現場においては如何なものか。大学病院における診療体制と一般開業医におけるそれとの比較を論じることに意味はないが、どちらにおいても患者ひとり一人と向き合うことに関しては共通項であり、もしもシステムを優先的に活用した場合には、惻隠の情ともいうべき患者に寄り添う時間が形骸化するのではないか。医者たるものは症状を診るだけではなく、患者その人を観察し診ることが本来求められているはずである。どうも昨今の医療は効率化の名目のもと、患者とのコミュニケーションを減らす傾向にあるように見受けられる場面を耳にする。ネットですべてを済ませることが出来るのは商品購入だけであり、仮にオンライン通話であったとしても人の繊細な機微までを感じ取ることはできない。歯ブラシ指導も形式だけであればZoomで済むのだろうが、手取り足取りしなければ伝わらないようなことは、効率重視でみる目の人間には無駄に映るようである。現場のことは現場をよく知る人間でなければ分からない。


                       2023,12,7

「徳」の重要性

  「いくら才があろうと徳がなければ活かすことはできない」との安岡正篤の教えを文部大臣はじめ教育関係者は肝に銘じるべきである。政府は大学の無償化に向けて検討に入ったようだが、子供たちが学びたいと心の底から思わなければ、無償化にしたところで無駄な制度にしかならないでしょう。戦後の日本の教育においては「徳」の重要性が認識されていないのではないでしょうか。徳性あっての才能とする視点が家庭においても教育現場でも欠落しているために、子供たちの志が芽生える環境が出来ていないのです。挨拶もろくにできない小学生が週に4,5回塾通いをして何を学んでいるのでしょうか。ペーパー試験の点数を上げることがそんなに重要なのでしょうか。日本には生き方を学ぶには最高の教材となる歴史上の人物・偉人が沢山おられます。先ずは毎日読書を心掛け、数分だけでも素読を継続すれば、子供たちの内面が変化していることに親が気付くことでしょう。塾から押し付けられる課題をこなす勉強ではなく、志を持って目標に向かう態勢を整えることが、周りに左右されることも迷いもなく勉学ができる環境づくりとなるのではないでしょうか。子供の成長はアナログでありデジタルではありません。個人差もあるでしょう。子供の成長を懐深くもって待つ覚悟が親・教育現場には必要なのではないでしょうか。


                       2023,12,6

ラーメン🍜

  「先生はラーメンを食べに行くことありますか?」との患者さんからの質問に、「最近は行ってませんが、この時期になると食べに行きたくなりますね~!」と会話が続き、どんなラーメンが好みなのかなどラーメンおたくと言わんばかりのラーメン通であることが判明した。豚骨系と魚介系、澄んだスープ、張りのある麺、ちぢれ麵など意識して食べに行くことは今までなく、美味しければそれだけでいいぐらいの当方にとっては、行列をなす店に食べに行くことなど若い時ならいざ知らず、お勧めの店を紹介されても「あっそうなんですね。ありがとうございます。」で終わってしまう。今の時代、お客様が写真をアップすることで店の紹介、宣伝が瞬く間に拡散されていくが、先日も30人ぐらい並んでいる店の前を通りががった際、さっと見る限りにおいては若者だけである。とても1時間近くも待って食べるだけの時間と気力はさすがにないが、行列がなければ「はい、いらっしゃいませ~!」の声もたまには聴いてみたいものである。


                       2023,12,5

冬の早朝ラン

  今朝の冷え込みは今季一番か?と感じるぐらい空気が冷たく、早朝のランニングには厳しい季節となってきた。と言っても師走ですから、従来であれば霜が降り、池の水面に氷が張ることがあっても不思議ではないのである。当方が早朝ランを始めて約10年が経ちますが、冬の5時過ぎは未だ暗闇であり、過去には不審者と間違えられてパトカーの警察官から職務質問を受けたこともある。黒のトレーニングウエアに手袋、ヘアバンド、ネックウォーマーを身に付けていたら、怪しいと思われても仕方がないかもしれませんが、暗いところから朝日が昇り始める朝焼けの空は、一日の始まりを体感することが出来る素晴らしい瞬間なのです。人間も動物ですから、朝日と共に活動し始めると身体も頭も朝一から快調ですし、心技体いづれもバランスが整う感覚が生まれます。国の指針では中高年の週に3~4回の有酸素運動が推奨されていますから、日頃運動不足の方は一念発起して早朝ランを始めてみませんか?

                       2023,12,4

人類破滅

  地球の温暖化に歯止めがかからない。インドではエアコンの普及率が約7%であるが、今後の経済成長に合わせて更なる普及が進めば人口数からすると掛かる消費エネルギーは想像だにしたくない。南極海の非常に大きな氷山も陸から離岸したとのこと。先日も世界各国が提出した温暖化ガス削減目標をでは、全部を合わせても気温上昇を目標の1.5度に抑えるのは困難、との見通しが公表されている。会議ばかりを繰り返していても実行が共わなければ全くの時間の無駄であり、人類は自らの手で破滅の方向に向かっているとさえ思えてくる。核兵器の保有、核開発などに掛かる費用を温暖化対策に投資すれば、終末時計の進みを遅くすることは可能であろう。全ての不幸の源は人間不信である。大国のリーダーだと自負したのであれば、脅しではなく自ら手本を見せてみてはどうだ。

                       2023,12,3

乳幼児から始まる不正咬合の芽

  仕事をしながらふと頭に浮かんだ疑問がある。歯科学生時代の臨床実習に入る前には顎模型を使って歯を削る練習なりポジショニングを覚えるトレーニングを行ったが、その際口腔内に見立てた模型はすべて正常咬合であり、実習担当の指導医からも、「こんなに綺麗な歯並びをした人は、実際の臨床に出たら先ずいないから、まあ今のうちに‥‥」と言われた記憶がある。そもそも不正咬合が当たり前になっていることに疑問を持たない歯科医ばかりであれば、不正咬合をこの世の中からなくそうなんてことは幻想で終わることにもなろう。しかし当方の臨床経験から考えさせられることは、う蝕(むし歯)を含めた口腔領域の疾患および顎関節症を引き起こしている主因は不正咬合であり、不正咬合になる根本原因を取り除くことに視点を移さなければ、いつまで経っても歯科医療は修理屋的に思われてしまうことになるのではないか。不正咬合は歯列矯正治療である程度は改善されるが、決して理想的なもとの状態に100%戻るわけではない。不正咬合の原因は生まれた直後の母乳の吸い方から始まっているといっても過言ではないが、歯科医師がその場面に立ち会う機会はほとんどないのが現状である。当医院でも来年度以降は乳幼児の検診に積極的に取り組む体制を整えたいが、如何せん人手が足りない。当医院に関心のある歯科衛生士さんがいらっしゃれば、ぜひご一報を頂きたい。

                       2023,12,2

急患対応

  「さあ今年も1ヵ月を切りました。いつも通り気持ちよく仕事をしていきましょう」と朝礼の締めの言葉と同時に診療室の電話が鳴った。こんな朝早くから……?。案の定、歯の激しい痛みが引かないと初診の方からの問い合わせである。受診を希望されている皆様には申し訳ないのですが、当医院は新規の受付を約1年ほどお待ち頂いている状況なので、直ぐに承ることができない。しかし、歯科医師として痛みのある患者さんからの問い合わせを無碍にも断れない。以前は全ての問い合わせに応えるべくスタッフも増やして対応していたが、それは当医院の理念である「価値あるものを提供する」からは逸脱したものであり、一人ひとりの患者としっかり向き合う医療からは程遠いものとなった。予防先進国であるスウェーデンやフィンランドでは、一人の歯科医師が一日に診る患者数は4~5人なのに対して日本ではどうか。国民皆保険制度は世界に誇れるものである?あった?かも知れないが、患者の満足に見合った医療を提供できているのか疑わしい。保険診療主体で医院経営を成り立たせるためには増患しなければ保険点数を上げられない現状があり、痛くなった歯の原因説明、必要な治療内容説明、そして予後についてはどうかなど、素人を相手に懇切丁寧なプレゼンは避けて通れない。当医院では、保険診療、自費診療云々を説明させて頂く前に、その方にとって必要な治療、予防の考え方を伝えさせて頂いている。そのうえで、部分的に費用は掛かる場合もあるかも知れないが、治療内容そして当方を含めた医院スタッフから感じとるもの、全ての総合評価をして頂いたうえで、当医院で治療を希望されるかどうかを判断して頂いている。朝一番での問い合わせのあった方に関しては、本日のキャンセル枠で急患対応として承ることにした。

                       2023,12,1

人生の轍

  来月は久しぶりに歯科医療関係者を前に講演する機会を頂いた。開業20年が経過し、歯科医師人生も約30年となった今年は、歩んできた道を振り返るいい機会でもあり、記憶のなかの「轍(わだち)」を眺めながら仕事、そして人生において大事にしてきたことを述べたいと構想を練っている。複数年の浪人生活で両親に先の見えない不安と心配をかけ、さらには経済的な負担もかけたことから、歯科医師国家試験に合格した際の喜びは今も鮮明に脳裏に焼き付いている。卒後最初に勤めた、今となっては恩師にあたる先生のもとで半年間患者さんの治療には参加させてもらえず、ひたすら問診そしてカルテ書き、院長先生のアシスタント業務に追われていた。「患者さんの仰ることを、一語一句そのままカルテ用紙に書きなさい。患者さんは嘘は言わない、辛い症状なり悩み事を打ち明けて聞いてほしくて来院されている方もいる。歯医者だから歯を診ればいいのではないですよ。歯を診る前に人を診なさい。」恩師からの言葉に私の歯科医師人生の方向性が定まった瞬間であった。診療終了後には院内技工士さんから補綴物の製作過程から出来上がるまでを勉強させていただき、時には義歯の製作まで携わらせて頂いたことが、その後に臨床経験に役立ったことは言うまでもない。すべては一期一会であり、それを生かすかどうかは本人次第。私の目指す歯科医療はまだまだ道半ばである。

                       2023,11,30

物価高騰

  毎月29日は『肉』の日というのは初めて知ったが、いろいろな語呂合わせで「〇〇の日」が最近は多くなったのか、当方が知らなかっただけなのか。職場近くの精肉店では「本日に限り〇〇を30%引き!」との知らせに、店の外まで人の行列ができていた。買う予定もないので通り過ぎたが、今度は今月初旬にオープンした「豚まん」屋にも列が出来ていた。大阪にある名物店の東京版らしく(詳細は存じ上げない)、患者さんからの情報では、本家よりも脂ぎっていなく、肉も上質なものを使っているので比較的あっさりとした食感で食べやすいとのことである。しかし食材、食品、外食も含めてすべての価格が高騰している。100円の自動販売機ですら、原材料費の高騰で値上げせざるを得ない状況にあるとのことですから、すべての業界、業種において、耐え忍ぶ時期にあるのは確かである。医療においても診療報酬を上げる要望書も提出されたが、診療実態に合っていない点数改定もしくは廃止も含めた改善も検討されたい。

                       2023,11,29

運動

  本日の日経の夕刊に、「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」を国が取りまとめたと報じられている。運動することが身体によいことは誰もが知っていることだが、ちょっとした運動ですら頭では理解していても一歩を踏み出せないのが人間である。そんな人間の特性?を上手く利用したのか、大手のスポーツジムが普段着のままちょっとだけ立ち寄って、ちょっとだけ身体を動かすトレーニングジムを数ヶ月前に立ち上げた。便利な所にあれば使ってみようとも思うのかもしれないが、普段の生活圏内になければ多くの出不精組は動かずじまいのことでしょう。因みに新聞では、筋力トレーニングは死亡リスクを軽減するとの研究結果を踏まえ、週2,3回実施することが望ましいとのことです。普段全く運動をされていない方は、運動後の爽快感を感じてみれば、自ら身体を動かしたくなるはずです。なんでもそうですが、やらないで後悔するよりはやって後悔する方が糧にはなると思いますが皆さんは如何に?

                       2023,11,28

リーダーのあるべき姿

  当方は日本大学歯学部の出身ですが、昨今の母校本部の失態には辟易している。伝統ある大学の名が廃れてしまうと多くの卒業生であれば同じ思いであろう。しかし今の日大は伝統しかないと言われても仕方がない。大学だけではなく会社や組織には絶対に守るべき理念があるはずです。その理念を守りつつ、変えるべきところを変えていかないと、組織の中で同質化が進んでしまい、新しい発想や視点をもつといった新しいアプローチを取ることが出来なくなる。日本大学は自らそれを証明しているのだから、在学生に生きる教材として採用して頂きたい。「リーダーは自然体(増田弥生著)」のなかで、著者の増田さんは次のように述べています。「組織には、維持すべきこと、新しく始めるべきことと、やめるべきことがある。どんな会社にも、維持しなくてはならないことは必ずあります。組織の価値観や理念、それを取ったらその会社ではなくなるというものは守らなくてはなりません。」日本大学の教育理念は何だったのか。組織はリーダーの器を超えない。大学で起きていることの全ては時のリーダーにありと言っても過言ではないでしょう。泉下の稲盛さんだったらどのような改革をされたのか尋ねてみたい。

                       2023,11,27

頭痛・腕の痺れと咬み合せ

  以前、偏頭痛が続いてその後首筋が死ぬほど痛くなり、更に腕がしびれてきたので心配になり脳外科を受診されたという方がお越しになられた。脳の検査では異常は見当たらず、首の凝りが和らぐような薬を処方されたが症状に変化はなく辛いとのこと。当医院における通常の診査診断を行ったところ、見た目の歯並びは一見すると気にはならない範囲だが乱れはあり、動的診査においては案の定上下奥歯の強い干渉を認めた。右側がみによる下顎の右側偏位も認めた為、上顎右側小臼歯部に着脱式のプラスチック(レジン)プレートを数日使って頂くと、1週間後には頭痛や腕の痺れが消失していた。患者さんからは「正直こんなもんで治るんか~?と思いました」と言われましたが、嘘のように症状が取れたので信じられないぐらいと仰っていた。これは偶然ではなく、偏咀嚼の噛み癖側の後上方に、下顎骨は舌骨と共に偏位するので、それとともに胸鎖乳突筋、僧帽筋、中斜角筋、前斜角筋などが一緒に引っ張られて拘縮し、それによってC5~C7が三次元的に偏位して、腋窩神経、筋皮神経を圧迫するためと考えられる。長期間に亘り、整形外科、鍼灸院などに通ってはいるものの2,3日したら元の症状が発現する方は、一度咬み合せの診査を受けられることをお勧めいたします。

                       2023,11,26

読書はどちら派?

  一人の人間が影響を受ける人の数は高が知れている。それを補うのが本であり、良書である。子供であれば読書から空想される世界を想い描くことで情緒が豊かに育まれる。同じ本でも読む人によって評価が変わり、同じ人でも本人の成長に従って読むたびに響くところが変わってくるものだ。ところが最近は本棚がないご家庭も増えてきているというが本当なのだろうか。本もデジタル化されており、ネット環境さえ整っていれば読むことは可能である。しかし本棚にある本の良さは、背表紙に目が移った時に、「あっ、あの本には‥‥が書いてあったな」と思い出した時に手を伸ばすことが出来ることである。デジタル本はスマホでもアプリさえ開けばどこでも読むことが出来る便利さはあるが、当方にとっては目が疲れるのと、慣れていないからなのか紙媒体のような読後感が残らない。情報のやりとりを飛躍的に拡大したネットという文明の利器を、副作用を最小限に抑えながら実生活の中でバランスよくいかに活用すべきか、本を手にしながらふと考えてしまった。

                       2023,11,25

医者の役目とは

  顎がガクガクする、大きく口を開けにくくなってきた、などの症状を訴えてお越しになられた患者さんが偶然続いた。身体の各所に症状がでるのは外傷でもない限り、長年蓄積された負荷による組織の器質変化が原因である場合が多い。根本的な原因を一から全て取り除けたとしても、器質変化した組織の修復度合いは年齢やトレーニングの有無に左右されるところが多分にある。先ずは患者さんの不安を取り除くことが優先されるため、症状に至った原因説明をスライドや動画を用いて行い、それからご本人の写真、レントゲンなどを用いて素人でも分かるような説明に移る。ここの説明に要する時間が非常に重要であり、説明をしたからいいのではなく、目の前の方がご自身の頭で理解し説明できるぐらいの理解度迄もっていくことが必要である。日本の医療に足りないのは、この「患者さんが理解できるまで付き合う」ことであり、これがなければせっかくセミナーなどで修得した高い技術があっても患者さんの信頼は得られないのである。世の中コミュレス化しているが、医者までが多くの患者を診ることを口実に目の前の患者とのコミュニケーションに割く時間をさくことがないように願いたい。

                       2023,11,24

勝海舟からの学び

  「政治家の評価は後世が判断すること。支持率云々を気にしていては国家の長期展望を語ることすらできない」とは中曾根康弘元総理大臣が語っていたが、おそらく骨太の政治家であれば似たようなことをご自身の言葉で発信されていたことでしょう。時代を遡れば幕末維新を経験した人物は、「一流の人物はすべて幕末に死んでしまった」と口にしたという。1853年浦賀に黒船が来航した時、31歳の勝海舟は「時代を作る大人物の多くは、すぐには評価されるものではなく、後世の人間が見出すものである」としています。つまるところ海舟は「評価を今現在に求めるな」ということが言いたかったのです。そこで現在に目を向けると日本はどういう状況でしょうか。政治家においては選挙民の支持を得ようと目先の政策ばかりに議論が集中し、国家百年の計、遠大な事業をなしとげようという気概をもった方はいるでしょうか。政治家ばかりに求めても何も変わらないでしょう。我々国民も長期的な視点に立ったものの考え方、伝統を重んじ和を貴ぶ国民性を取り戻し、二代、三代掛かって志を成し遂げる、そのような意識を持つべきではないでしょうか。

                       2023,11,23

冬支度

  「日本では四季がなくなり二季になる。」とどちらかの大学教授が語っていたが、今年はまさに秋めいた陽気は今月初旬の数日ぐらいで、急に冬支度に追われるような季節の移り変わりである。毎年冬タイヤに交換するタイミングに迷い、早めの準備に越したことはないのだが、スタッドレスタイヤは塗装路面での摩耗が進みやすく、夏用タイヤと比べて寿命が短いのが難である。乾燥路面での制動距離もタイヤの構造上ノーマルタイヤよりも伸び、雨天時は滑りやすいことも運転には注意が必要となる。しかし、冬場のスリップ事故や近年の異常気象による突然の大雪に見舞われる可能性を考慮すれば、雪国以外でも早く履き替えることはすべきであろう。以前高速隊の方も言っていたように、「スキーにお金を掛けているのだから、安全にもケチらないで」ということだ。

                       2023,11,22

歯科とのかかわり方

  教科書通りに診査し、全てにおいて完璧な診断治療ができると思ったら大間違いである。30年近く臨床に携わらせて頂き、経験から来る正直な当方の感想である。現在の症状の緩解に努め、その原因を突き止め、再発を防ぐことが医療の役目であり、歯科の場合には口腔内にその痕跡が残っているので臨床医の経験値に基ずく慎重な推察が予後を左右すると思われる。そのためには執拗なまでに口腔内の観察、顎の動き、表情筋を含めた口腔周囲筋の可動域まで診たうえでの診査、問診が必要となる。「先生、ここ最近左上の奥歯で舌をよく噛むようになってしまって‥。何だか咬み合わせが変わってきた気がするんです。」とは1年ぶりにお越しになられたご婦人の訴えです。舌の動きに偏りがあり、口蓋にも舌が挙がらないことに気付いて頂き、如何に今までが異常な嚥下様式をされていたかを理解して頂くことで、本人の不安は取り除くことが出来たのです。口腔機能の正しい動きを理解されていない方が非常に多くいらっしゃいます。舌の動きが制限されていることで鼾(いびき)、睡眠時無呼吸症候群を引き起こしていることも多く見受けられます。歯科への関わり方も従来とは意識を変えていく必要があると思われます。

                       2023,11,21

鼻閉の改善を

  「口唇を閉じて舌を口蓋に付け‥‥」と子供達に咬み合せのトレーニングをさせようにも鼻詰まりが酷くてそれどこではない。親御さんに尋ねると、「耳鼻科には掛かっているので‥‥」とのこと。晩年のGuilleminault博士は、「鼻呼吸の獲得がその後の健康的な生活を送る鍵になる」として、小児期の顎顔面の成長が最重要であるとしていました。口腔顔面の成長がもっとも大きいのは2歳までの期間であり、6歳までに成人の顔の約6割が形成されるので、就学前までの鼻呼吸の獲得が急がれます。慢性的に口呼吸のお子様の上唇は富士山型になっており、口唇を閉じる力も弱く、口輪筋を含む口腔周囲筋の動きが弱い傾向にあります。従って子供のうちに筋肉が正しく機能することで顎顔面骨格が本来の成長軌道に拡大誘導されることを理解し、短時間でも出来る範囲でトレーニングを積む必要があります。上唇の内側に親指を入れ、鼻翼付近から眼窩付近までマッサージすることで鼻の通りが良くなることはありますので、慢性的な鼻閉で困っている方は先ずはお試しあれ。

                       2023,11,20

謙虚さと不誠実さ

  日本人は謙虚さを表す際に「私はまだまだです」と言うことがありますが、いつになったら自信をもって「もう大丈夫」と言えるのでしょうか。そんなことを漠然と考えてみたことはありませんか。まだまだという背景には、自分に求められるものに対して何が足りないのかを具体的に理解しているのでしょうか。理解したうえで成長に向かって努力しているのであれば、「まだまだ」という謙虚な自覚には価値があるでしょう。けれども、現状に甘んじてそこから一歩も努力していなければ、その自覚は謙虚なものとは言えません。失敗を恐れるあまり、会社や組織に対して貢献しようと思わない人は、自分の可能性を出し尽くしていないわけですから、結果的に自分に対しても不誠実な態度をとっていることになります。仕事や人生の成功不成功は、ここの差が大きく関わってくるのではないでしょうか。人生には、時には見切り発車をすることも必要であり、自分に足りないものを埋めようと努力することで成長していきます。出来ない自分を受け入れる、その勇気を持てるかどうか、自分を深く掘り下げて見つめ直してみる時間は必要です。

                       2023,11,19

お誘い

  車で通るたびに店の前に発泡スチロールが積み重なっているので魚屋なのかと気にはなっていたが、建物はいつも真っ暗であり人の気配もないので買い物客もなく、不気味な存在の店がある。治療にお越しになられた方から偶然にもその店の話があり、「先生は〇〇をご存知でしょうか?格別美味しいお魚屋さんなんですよ!」とのこと。通常の鮮魚店とは異なり刺身専門の店であり、注文を受けてから刺身を用意して宅配するという、刺身オーダーメイドの魚屋だったのです。それも江戸時代から続く老舗で、兎に角美味しいらしい。そんなことを伺ったら食したくなるものですが、週の営業日は3日で営業時間も短いので仕事終わりに立ち寄ることも出来なく諦めて話を聞いていたら、「先生、よかったら皆さんで家にお越しになりませんか?私がお刺身を用意して場所を提供しますので!」と仰るではありませんか。予想だにしていないお誘いに唯々感謝する気持ちで胸が熱くなり、一期一会の思いで診療に従事してきたことは間違いではなかったと確信した瞬間であった。

                       2023,11,18

熊よけ商品

 今年は市街地における熊の出没、人身事故が全国的に相次いでいます。当方は親戚が所有する秋田県の山林でキノコ狩りをしたことがありますが、その際に熊の足跡を確認したことがあり、姿を見たことも遭遇したことはないものの、ここで熊と鉢合わせでもしたらどう行動をとったらいいのかと不安を覚えた記憶があります。クマよけのためには鈴を携行することを以前から言われていますが、相次ぐ熊出没情報に携帯ラジオや防犯用アラームを買い求める人が少なくないとのこと。更に爆竹は、激しい音が鳴って熊を追い払う効果が期待されているようですが、クマが近づいてきてから鳴らすまでに時間を要するので逆に危険です。そこで今注目されているのが、当方も子供の頃に遊んだおもちゃの火薬銃なのです。気になりネット検索してみると、流石に火薬銃も進化しており懐かしいデザインのものは見当たりませんでしたが、子供の頃はあの火薬が爆発した後の匂いがなんとも言えない、スティーブマックイーンのようなガンマンになった気分に浸っていたものです。

                       2023,11,17

限りある時間

 約2週間ほどホームページリニューアル作成のためブログの更新を停止していましたが、本日から再開させて頂きます。

 当医院では治療の合間に来院された方と長話になってしまうことが多々あるのですが、先日は大学に通われているご子息がとにかく勉強をしないでスマホばかり観ていると嘆かれているご婦人が「どうしたものでしょうか?」と相談のように話を振ってこられた。スマホは日常生活に欠かせないものになりつつありますが、スマホの使い方、スマホとの向き合い方が問題なのであり、何目的でスマホに手を伸ばしてしまうのかを考えてみる必要があるのではないでしょうか。当医院ではお子様の治療トレーニングをお待ちになられている親御さんのなかには、読書をする方、居眠りをされる方、そして手持ち無沙汰にネットサーフィンをされているように見受けられる方などいらっしゃいます。一日は二十四時間しかありません。時間は誰にも等しく与えられており、増やすことも借りることもできず、有効に利用するしかないのです。「少年老い易く学成り難し、一寸の光陰軽んずべからず」の金言を学生のみならず、それぞれの立場でいま一度噛み締め、時間を大事にしたいものです。

                       2023,11,16

思考を整理

 本棚にふと目をやると、読め!と呼びかけるかのようにこちらを向いている本がある。外山滋比古さんの「思考の整理学」である。20代後半に友人に勧められ、立ち寄った書店で引き込まれるように無心で読んでいた記憶が蘇ってきた。自らの頭で考えることの大切さ、ど真剣に考えればアイディアも生まれるものだと教えられた本である。それから約30年の月日が経ち、子供の読書感想文すらAIが綴ってしまう時代である。ノーベル物理学賞を受賞された故湯川秀樹博士は、「人間は脳細胞の3%しか使っていない」とも語っていて、我々の脳は皆が思っている以上の潜在能力があると訴えていたのかもしれない。そして現代人は情報に追われて思考を整理する時間すらなく、自分と向き合う時間もままならないが、目を閉じて一日を振り返る時間を少し取るだけで、気付いていない自分が見えてきますよ。一息入れませんか。

                       2023,11,1

自転車専用道路

 車道を拡幅することもなくただ路面に自転車専用レーンの表示を示されても、同じレーンを自転車と車が共用する従来の形と何ら変わらないのではないかと疑問を抱きませんか。お役所仕事と言えばそれまでですが、自転車を守ろうとするのであれば物理的に専用道路を設ける必要があり、拡幅できないのであれば時間帯を決めて自動車レーンを自転車専用レーンとして使うなど出来ないものだろうか。現状のままではサイクリストもドライバーもストレスと事故のリスクを抱えながら狭い道路を使用することになり、大事故でも発生しないと行政が動かない典型的なケースにならなければよいと願うばかりである。

                       2023,10,31

渋滞表示の在り方

 高速道路の渋滞表示はもう少し改善できないものだろうか。「事故渋滞」にも3車線を塞ぐような大事故から単独事故で路側帯に車が停車している場合など様々であり、事故内容の詳細を後続を走るドライバーが知ることが出来れば迂回の判断をそれぞれが出来るようになり、横断道などを利用することで長時間の渋滞に巻き込まれるケースも減り、無用なストレスを溜めることも減ることでしょう。SNSなどで直ぐに渋滞情報を得られないわけでもないが、ドライバーひとりの場合は運転しながらのスマホ操作は行えないため、電光掲示への詳しい情報表示が待たれます。因みに東名高速道路では昨日から集中工事が行われている為大渋滞が発生しています。ご利用予定の方は事前に情報収集に努めてください。

                       2023,10,30

2023横浜マラソン

 本日は昨年に続けて横浜マラソンに出場し、サブ4の達成は今後の課題と残れたものの、無事2年続けて完走を出来たことは素直に喜びたい。8:30のスタート時には本降りの雨となり身体も冷えたうえでの出走となったが、25キロまではラップタイムも29分台と自分の走りが出来ていたものの、高速道路上で脚が攣り始めてからは一気にペースダウンとなり、35キロ過ぎからはラン&ウオークという屈辱的な内容になってしまい、沿道からの声援には励まされたが如何せん脚が動かなくなり、こればっかりはどうにもならないと体感させられた。サブ4を狙えただけに残念な結果に終わってしまったが、それにしても内転筋の攣りを取ろうとすれば他の箇所が攣り始め、更には両脚が動かなくなるという経験はもう懲り懲りである。AI機能に「脚の攣らない方法」でも尋ねてみるか。

                       2023,10,29

国家戦略

 新型コロナウィルス感染拡大が完全に収束したわけではないが、世間はコロナ禍以前の社会生活を取り戻している。来院されている患者さんからも海外出張の話を聞く機会が多くなり、先日もインド・パキスタンへ10日間の日程で4年ぶりに現地スタッフとお逢いしてきたと興奮気味に話をされていた。気になるのはその方も仰っていましたが、コロナ前よりも円が安くなっており、「ジャパン アズ ナンバーワン!」と言われていた頃を知っている者にとっては、日本の勢いを全く感じなくなってきたということである。留学先のオーストラリアから一時帰国した学生からは、現地の飲食店のアルバイトでも日本で働くよりも4~5倍は稼げると伺うと、日本再生には当分時間は掛ると思わされると同時に、芯のある、歴史観のあるリーダーが不在のままで日本は大丈夫なのだろうかと展望が開けない。人口数で日本より少ないドイツにいよいよGDPでも抜かれるという有様である。何度もこのブログ欄でも載せましたが、国会議員には20年、30年先を見据えた国家戦略を真剣に考えて頂きたい。

                       2023,10,28

修養

 「修養なんて言葉は久しぶりにお聞きしましたわ!」と治療でお越しになられたご婦人のお言葉です。その方は子供の頃は母親からよく聞かされていたとのこと。治療前にちょっとした世間話をしていた際に、以前教壇に立たれていたということで教育の話題を振ったところ、学校教育は勿論ですが家庭教育の荒廃が目に余ると仰られたので、当方から修養という概念が世の中から消えつつあるのが問題と口にしたところ驚かれたという経緯である。今の日本はもしかしたら識字率が下がってきてはいないか、と疑いたくなるほど活字を読めない子供が増えてきているとのご指摘もあり、子供達がもっと子供らしく伸び伸びと日常生活を送れる環境をつくれないものかという点でその方とは意見が一致した。教えられる環境だらけでは自発的にゆっくりと考える、自分を掘り下げて振り返ってみるということさえできない環境下にあるのではないか。家庭教育があった上での学校教育であるので、先ずは親の指導からしなければならない時代のようである。


                       2023,10,27

呆れた国会議員と人間学の重要性

 国民から先生と言われている人が何たるざまでしょうか。報道されていることが事実とするならば、妻子持ちの国会議員が人としてあまりにも情けない、弁解の余地もない議員という仮面を被った愚人である。昨今の地位ある立場の人達のこのような話題は枚挙に暇がないのはなぜなのか。女性問題、汚職、不正などいつの時代も存在するものかもしれないが、このような問題の根っこにあるものは共通しており、人間の顔はしているが人ではないということである。どういうことか。成人式は人生の節目の行事であり、読んで字のごとく、「人に成る」ということである。しかし、ご飯を食べて身体は大きくなってもそれだけでは人にはならない。成人になるには学びが必要であり、敢えて言えば“人間学”と“時務学”の両輪が身に付いてはじめて人に成るのである。ところが戦後の教育は才能を伸ばすことばかりを教育の中心に置いた為に、特性を伸ばすということがあらゆる場面で後回しにされてきた。その結果どうなったか。理性を制御できない輩が至る所に溢れ、自己中心的なものの考え方をする人間が当たり前のように社会生活を営むようになってしまった。質が悪いのは、そういう人種の一部の人間に肩書が付いていることである。経済よりも人間を人に育てる教育が必要だという根拠がここにある。

                       2023,10,26

上咽頭擦過療法(EAT)

 「先生、私喉の奥から鼻水が時々流れてくるのですが、これって普通ですか?もしかして咬み合わせと関係ありますか?」。患者さんからの質問ですがおそらくかみ合わせとは関係ないと思われます。但し全身の倦怠感や片頭痛が時々あるとのことですので、鼻の奥の炎症・慢性上咽頭炎の疑いがあると思われます。ブログには以前載せさせて頂きましたが、鼻の奥の上咽頭は副交感神経の多くを占める迷走神経が多く走行していますので、上咽頭に強い炎症があると炎症による刺激が迷走神経の感覚神経を介して脳に伝わり、自律神経の中枢、視床下部にまで影響を及ぼします。視床下部は全身の内分泌系をコントロールしている脳下垂体に指令を出しますから、上咽頭が慢性炎症を起こし、自律神経の中枢に強い刺激を受け続けていると、過剰な自律神経の反応を引き起こし、全身の臓器にトラブルが引き起こされてしまいます。従って、上咽頭の炎症が常態化すると自律神経のバランスがくずれ、倦怠感などの不定愁訴が長引くと考えられます。当医院では慢性上咽頭炎の疑いのある患者さんは提携先の耳鼻咽喉科を紹介させて頂き、紹介先の先生の診断のもと上咽頭擦過療法(EAT)にて症状の改善を行っております。


                       2023,10,25

言語化

 一日を振り返る意味でも日記を書き続けることが自分の為になることは毎日実践されている方であれば言わずもがなである。「国語塾」なるものが世間では見受けられるようになってきたが、母国語まで塾通いしなければ学ぶことが出来ないとはなんとも嘆かわしい。子供達の学力を伸ばす前に先ずすべきことは自分の考えを的確に言語化することであり、これは一朝一夕にできない。国民性なのかもしれないが、大人になるほど見えない同調圧力なるものを感じて積極的な発言を控える傾向にある。日常から言語化の意識を高めるためにはとにかく日々感じたこと、考えたことを形にすることであり、誰でも取り掛かることが出来る日記の継続は直ぐにでも取り入れるべきである。


                       2023,10,24

大局観

 「経済、経済、経済」と連呼したところでこの国の将来は見えてこない。なぜ急場をしのぐような政策しか提言できないのか。こういうところに政治家一人ひとりの歴史観、国家観の有無が現れているように思えてならない。なにも岸田さんに限ったことではない。所信表明に対する野党党首の感想をにしても同様である。大手製薬会社の治療薬検査の長年の不正も明らかになり経営陣が頭を垂れて記者会見に応じていたが、政治家や経営者の多くにみられるのは大局観がないことである。なぜ大局観がないのか。一言で言えば教養がないのでしょう。文学とか歴史、思想、芸術など実利とは縁遠い役にも立たないような精神性が育たないまま歳をとっているから大局観が磨かれない。危機にあって長期的な展望に立った手が打てないのです。それが今の日本の国際的地位が低下してきている原因なのではないでしょうか。若い世代の人達は、これら大人たちを反面教師として20年、30年後の日本再生を信じて今の苦境を乗り越えて頂きたいものです。

                       2023,10,23

スマホの大罪

 朝起きたらまず何をしますか?洗面所に行って顔を洗うのであれば安心ですが、先ずはスマホを手に取るということであれば、朝一からスマホ脳になっていると言わざるを得ません。そういう方はご自身ではお気付きではないと思いますが、一日のちょっとした隙間時間には必ずと言っていいほどスマホを手に取っていることでしょう。だから何?と思われるかもしれませんが、貴重な隙間時間をスマホに支配されているとしたら、一日の中で物思いに耽る時間や考え事、そして読書はいつされているのでしょうか。電車を待つ駅のホームだけでなく道行く人でさえ多くの方がスマホを覗きながら歩いている姿は数年前と比較しても異様な光景である。情報が欲しくてスマホを手にするのかもしれませんが、スマホの大罪は我々から孤独になる時間を奪っていることです。想いを寄せる人のことを考える時間や、本来読書に割くべき時間をLINE・ネットサーフィンなどにとられているとしたら、一度しかない大事な人生の時間を無駄にしているとしか思えません。スマホとの向き合い方を考えてみませんか。

                       2023,10,22

羅針盤

 「2月に中学を受験するのですが、塾のテキスト以外本を読むことが全くないんです。塾から帰宅するとyoutubeですよ~ 。そんなんで良いのですかね?」とは、会計時の親御さんの嘆きである。あくまで当方の持論ですが、受験なんてのは高校と大学を受ける時だけでは駄目なのでしょうか。塾通いなど辞めて良書を読む時間にでも充てた方がよっぽど情操教育のうえでも役立つと思います。自ら考え、行動するようになって子供ながらに自立心が育つというものです。兎に角今の学校教育では紙媒体の活字に接する時間が質的にも量的にも足りていないのではないでしょうか。徳を高めて志を持てば、自ずと目標に向かって必要な学びを教えなくてもする習得していく、それが教育というものでしょう。偉人たちの本から何かを感じ取り、それを生活を通して実践し経験値を高めることが自信となっていく。羅針盤のない人生では行き当たりばったりになってしまうことを子供達には伝えて頂きたいものです。

                       2023,10,21

不定愁訴

 以前左足首付近を痛め、このまま走り続けることは関節にも負荷をかけることにもなると自己診断したものの一応整形外科を受診したことがある。方向を変えてレントゲン撮影を受け、きれいなデジタルレントゲン画像の所見を担当医から説明を受けた際、「特に異常はないがレントゲンでは判断できないことはあるので経過を診させてください」と言われたことがある。異常がないことに一安心はしたものの、不安が払拭されたわけではない。当方が歯科医であることを意識されてのことかもしれないが、レントゲン撮影をするにも病名が必要であり、「一応〇〇ということにしておきますね。」と言われた。診断名を付けられない所見は存在するものであり、〇〇の疑いとはできないものなのか。因みに歯科では疑い病名は存在する。悪性腫瘍などではなくても身体の不定愁訴を抱えた方々は多く存在する。治療が必要になる一歩手前の医療を充実させたいものである。

                       2023,10,20

上咽頭の洗浄を!

 インフルエンザの感染が小学校で急拡大する様相を呈してきている。昨日もお子様の予約のキャンセルが相次ぎ、通っている学校で学級閉鎖が相次いでいるとのこと。これも新型コロナによる国民の免疫力低下が一因なのか。症状の程度に違いはあるもののコロナ後遺症で悩まれている方も多くいて、中には後遺症との自覚がないまま過ごされている方もいる。倦怠感から来る集中力の低下、以前にはなかった通勤時の息切れ、味覚嗅覚障害など症状は様々だが、疑いのある方はしかるべき医療機関にて検査を受けられることを勧めたい。以前ブログで鼻うがいの重要性をお伝えさせて頂きましたが、上咽頭は鼻から入った空気が直角に曲がるところでもあるのでウィルスや様々な細菌が溜まる場所でもあります。従って普段からうがいではなく鼻うがいにて上咽頭の洗浄を継続することは、身体を感染から守る大切な予防法でもあるので、先ずはお試しいただきたい。

                       2023,10,19

ポップコーンが危険なの?

 「ポップコーンによる子供の窒息 学会が注意」とネットニュースに載っているが、これではポップコーンを食べることを注意してくださいのように受け取られないだろうか。当医院で咬み合せのトレーニングを行っている子供達に共通していることは舌を含めた口腔周囲筋の習癖があり、正しくつばを飲み込む嚥下が出来ないお子様もいる。皆さんは舌を口蓋に持ち上げて1分間貼り付けることが出来ますか?この動きを問題なく出来ていれば心配ないのですが、舌が持ち上がらない場合は低位舌である可能性があり、場合によっては舌小帯が短いために動きが制限されていることもあり、適切な処置が求められます。誤嚥(誤えん)は奥舌の力が弱くなることで喉頭蓋が本来の動きをしにくくなり、食塊を上手く気道と食道に振り分けられないときに発生します。正しい咀嚼、嚥下、呼吸が出来ているかどうか、かかりつけの歯科医院で診てもらってください。

                       2023,10,18

抜歯が必要な理由は?

   当医院は矯正専門医ではないが、年々お子様の歯並び・咬み合わせが気になるので受診したいとの問い合わせが増えてきている。本日も同様の問い合わせを受けたが、この方に限っては現在矯正専門医に掛かっていて治療中であるにもかかわらず診て欲しいとのことである。親御さんが以前抜歯矯正治療を経験されているので子供には同じような思いをさせたくないとのことで低学年のころから矯正医に掛かっていたとのことであるが、中学生になった時点で8本の抜歯を勧められたとのことである。当方がそのお子様をまだ診察していので詳細は分からないが、この方の話を伺う限りにおいては抜歯にならないように低学年の頃から口腔ケア・管理をしていたのではないかと推察されるのだが、なぜ健康な歯を抜かなくて済むような顎顔面骨格の成長誘導が出来なかったのか、それとも抜歯ありきの考え方しかなかったのか、何れにしても患者さんが納得できる説明ができない以上信頼を得ることはないのではないか。中学生の未来に光がさすことを望みたい。

                       2023,10,17

睡眠時間

   今日は久しぶりに「ショートスリーパー」になり一日過ごすのがしんどかったが、ショートスリーパーとは一日およそ5時間以下の睡眠時間で問題のない人のことを言うので、当方は正しくは当てはまらないことになる。逆にアインシュタイン博士は一日10時間ほど寝たロングスリーパーだったと言われているが、どちらも身体のメカニズムからすると勧められるような睡眠時間ではない。治療でお越しになられた女医さんは「朝方四時まで学会の資料作りで起きてました~!」と診療室に入ってきましたが、根管治療するなりイビキと爆睡状態となり、職業に拘わらず規則正しい生活習慣と睡眠時間が健康を維持する一番の予防法であると伝えた次第です。因みに皆さん、イビキはなぜ起きるのかご存知でしょうか。閉塞性睡眠時無呼吸とも密接に関係することになりますので、頻繁にイビキを指摘される方は検査を受けることをお勧めいたします。 

                       2023,10,16

新型コロナ後遺症への光明

   新型コロナ後遺症に悩まされている人が増加する中、スタンフォード大学の岩崎明子教授らの研究チームが、症状が長引く人ではストレス反応に関わるホルモンが減少するなど、血液中の物質に特定の変化がみられるとする研究成果を科学雑誌「ネイチャー」で発表したと報道されている。後遺症がある人では、体の状態を一定に保ちストレス反応に関わる「コルチゾール」というホルモンの量が、後遺症がない人や感染しなかった人と比べ、半減しているということで、こうした変化を指標にすることで、新型コロナの後遺症の正確な診断や、治療法の開発につながるとしています。コロナ後遺症は見た目では分かりづらく、ひどい状態になると何もやる気がしなくなり、食器を洗う事すらしんどくなります。後遺症の程度を判断するPS(パフォーマンスステイタス)には、一日中ほぼ寝たきりという項目もあり、一刻も早い改善方法が待たれています。

                       2023,10,15

目を覚ませ

   ロシアによるウクライナ侵攻が継続される中、今度は中東の火薬庫イスラエルとパレスチナの戦争が勃発した。世界中の紛争当事国が即時停戦をしない限り、無意味に人々の人生が終焉を迎えることになる。日本とて対岸の火事ではない。海を隔てて3つの核保有国と対峙し、何れの指導者も我々の常識、良識は通じない相手であり、いつ不測の事態が起きるとも限らない。日米安保条約に基づいて、有事の際はアメリカ軍に助けてもらうことになっており、在日米軍の存在が日本に対する侵略を抑止する力になっているが、現実に日本が他国の攻撃を受けた時に、果たしてアメリカ軍が助けてくれるかどうかは疑問と言われている。なぜならアメリカがその国と全面戦争になるからだ。また近年は武力を用いない侵略の危険性も取り沙汰されている。欧米諸国ではありえないことだが、日本では外国人も自由に土地を購入できることから、日本を仮想敵国とする外国人も大規模に土地を買収して水源の確保などを進めている。国会議員の体たらくには呆れるばかりだが、他国に支配される前に目を覚まして欲しいものである。

                       2023,10,14

憧れのスタンフォード大

   先日京都で行われた学会は、歯科領域と医科の連携について多くの演者の話を聴講できる貴重な機会となった。なかでも京大医学部卒のスタンフォード大学・神経内科の先生の講演では、アメリカにおける専門医制度の在り方と免許を更新する困難さにおいては日本とは比較にならない知識の豊富さが求められることを痛感させられた。日常臨床の忙しさにかまけて基礎医学の習熟を怠っているわけではないが、日々の時間の過ごし方を見つめ直す良い機会になっただけではなく、歯科がもっと医科に踏み込むことで、今まで医科と歯科の狭間で見落とされてきた領域の研究が進む可能性を示唆する会でもあった。臨床経験をそれなりに積んだうえでこのような学会に参加することは、演者の発表内容を聞きながら過去の自分の臨床を振り返る大変貴重な時間でもあり、これからのステップアップへの布石ともなる。今まで活性化していなかった領域の当方の脳細胞が起動し始めた瞬間かも知れない。

                       2023,10,13

教育

   “十年樹木、百年樹人”という諺を知り、先日もある国会議員のことについて意見を述べさせていただきましたが、今の国会議員の中には地方議員と変わらない地元や隣近所の出来事、そして陳情にいらした方々の意見は聞いても、国家百年の計を論じる人がいないことに気付かされた思いです。国政を担う立場のある人や総理大臣までもが野党からのどうでもいいような質問に汲々とし、国家的な視点を失っているようでは、とても国の舵取りなどは任せられないと思うのですが、そのような議員を選挙で選んでいるのは国民であるので、結局は国民の民度が下がってきた結果といえるのではないでしょうか。ではどうしたら骨太の人間を育てることが出来るのか。やはり教育でしかないと思うのです。今の子供達も数十年後にはこの国を支えていく人材となります。知識ばかりを詰め込む学習指導ではなく、人格を養う徳育に教育の視点を移すべきです。なにも学校教育だけが問題なのではなく、義務教育前の家庭における躾がより大切なのは言うまでもなく、風呂の掃除、床の拭き掃除、玄関先の掃き掃除などを日課としてやらせ、塾通いする前に読書に親しむ環境をご家庭で作ればよいのです。子供の教育を破棄していることに親が気付くべきではないでしょうか。

                       2023,10,12

メンテナンス

   記録的な猛暑日が続いた夏が過ぎ、早朝のランニングが少し肌寒く感じるぐらいの秋を感じる季節です。当方にとってこの月末は、昨年に続き“横浜マラソン”が控えており、ベストなコンディションでサブ4を目指す最後の追い込み期間でもあります。若い頃であれば‥‥と走っていて思いたくなるスタミナ切れを感じるあの瞬間を何度もメンタルで持ち堪えてきたものの、今度は身体の各所が悲鳴を上げてきている。これ以上無理するなと言われているのか、そうではなく上手くそれらと付き合っていけとのサインなのか。年々運動前後のストレッチなどに要する時間も長くなってはいるが、何事もメンテナンスは欠かせられない。機械のメンテナンスで異常があれば修理交換で済む話だが、生身の身体は交換ができず、総合的には劣化の一途を辿るのみである。限界、無理、負担、などマイナス的な表現を、健康、前進、充実などに変えていける今は、意外と人生の中で良い時期を過ごしているのかも知れない。

                       2023,10,11

政治家と国家観

   ロシアのウクライナ侵攻に非難が高まっている中で、ある国会議員の行動と言動が問題視され、所属政党から除名相当処分を受ける前に離党という形で自ら身を引いた議員がいる。あえて名前は出さないが誰のことを示しているのかは大方の方はお察しであろう。非難することは簡単であるが、一般国民が政治家の活動を判断するもとになっている材料は一体何か。マスメディアしかないとするならばこれは極めて危険ではないか、と当方は考える。政治家が身に付けるべきものは先ず第一に国の歴史観であり、これなくして政策論争、外交政策などは語る資格はないのではないか。国民受けするような上手い語り口で人気を取り、イケメンだからとチヤホヤされて当選するような議員はいったい今まで国のために何かをされてきたのだろうか。杉原千畝さんの外交官としての名誉回復を働きかけ実行した国会議員は誰ですか。一切自分の残した功績を口にすることなく、手柄は世話になった方々のお陰であるという一人の人間としての生き方は、もっと国民から支持されてもよいのではないでしょうか。切り貼りされた言葉尻だけを聞かされて洗脳されるような国民であってはならないと思います。

                       2023,10,10

書店の閉店

  最寄りの書店に立ち寄ったところ、先月末で閉店しましたとの掲示がされていた。ネット通販も普及し内容も充実してきているだけに、地元では最も大きな書店の「〇〇堂」でも時代の波には勝てなかったのか、と思わずにはいられない。どんな理由があるのかは知り得ないが、全国に22店舗展開している大型店で立地、品揃えも良かっただけに、まさかなくなるとは想像だにしていなかった。昔は探している本が書店になければ取り寄せをお願いし、数日後に取りにいくということが当たり前であった。お目当ての本を探しながら気になる本に手を伸ばして立ち読みをする、いわばネット通販では得難い偶然の出会いがあった。また書店が閉店する一方で、古い図書館を改築してカフェを併設するなど、読書目的だけではない人も集まれる魅力的な空間も生み出されつつある。コアサービスを引き立てるのがサブサービスであるのはどの業界にも通じる考え方であり、我々の感性をもっと働かせてみれば、今は無理と思われることでも数年後にはスタンダードになっていることも十分に考えられるだけに、閉店以外の選択肢はなかったのかと残念である。

                       2023,10,9

睡眠時無呼吸

  以前このブログにも載せましたが、皆さんは睡眠時無呼吸をご存知でしょうか。2003年6月に800名を乗せた新幹線が、運転手が眠ったまま時速270kmで8分間走行、岡山駅100m手前で自動列車制御装置が作動し停車、車掌が揺り起こすまで運転手は熟睡していたのです。日本ではこのことが切っ掛けとなり、睡眠時無呼吸とくに閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)が社会問題化となりました。OSAは睡眠中の上気道狭窄によって、いびきや無呼吸・低呼吸を生じる疾患であり、生活習慣病・心疾患・脳疾患などを合併することが知られています。症状としては日中の眠気、疲労感、寝起きが悪い、熟睡感欠如、集中力低下などがあり、原因としては肥満、小顎があげられ、顎顔面骨格の大きさと上気道周囲の軟組織量のバランスを適正に保つことが重要とされています。歯科において現時点では診断は出来ないので、必ず医科において診査診断を受けていただき、担当医の紹介状を頂いてからでないと歯科的対応はできません。日本国内では約500万人の潜在患者さんが存在すると言われています。上記に記した症状のある方は、睡眠の質を向上させる意味においても早めの医科への受診を勧めます。

                       2023,10,8

医療人としての気概

  「独立の気概がないものは、必ず人に頼ることになる。」ということを人は教わらなくても生きていく過程で気付くものだろうか。日本の国力の低下をあらゆる方面で見て取れると記載されている紙面を目にしたが、国を構成するのが国民である以上、一人ひとりの他人に依存しない心、内発力を高める意識が行き渡らなければ、自分自身で物事の正しい正しくないを判断して、間違いのない対応が出来るようにはならないだろう。何事も結果を気にして躊躇するのではなく、頭と体、そして自分の感性を信じて前に一歩踏み出す勇気が必要だ。とは言え前例のないことに足を踏み入れることは未踏峰にチャレンジするようなものである。歯科医療の世界であれば決してミスが許されないだけにエビデンスは重要であるが、エビデンスがないから手を出せないということになれば、原因不明の目の前の患者の悩み、苦しみを解放することが出来ないケースもあるのではないか。地道な研究、臨床の積み重ねの裏には、医療人としての目指すべき信念と気概が求められている。

                       2023,10,7

治療とは、原因をなくすこと!

  初診でお越しになられた方が最初に口にしたのは、「先生、私は子供の頃から歯医者通いが途絶えないのです。もう少しで60歳になりますが、私の長い悩みは歯のことなんですよ。どうして治療をしてもまた治療をしないといけなくなるのでしょうか?」。患者さんの率直な気持ちの表れである。通常の初診診査を行い、口腔内写真も30数枚撮影したうえでカウンセリングを行ったわけだが、ご自身の口腔内の状態を初めて画像で見て愕然とされていた表情が忘れられない。治療を受けていない歯は数本しかなく、他は抜歯も含めてほぼ補綴物(被せ物)が装着されている。対処療法を繰り返す典型的な症例であり、日本の歯科治療の問題点を抱え込んでいると言っても過言ではない。ファインダー越しに診る上下歯列弓の歪み、不正咬合を放置したままの個々の歯の治療の繰り返しである。理想的な歯並び、上下的な咬み合わせの関係、奥歯・前歯の役割など一つひとつ詳しく説明を進める中で、患者さんは自分が受けてきた治療履歴を振り返りながら何が良くなかったのかをご自身で理解できるようになっていく。素人だから専門的なことを説明しても分からないだろうと決めつけるのではなく、現状に至った原因・現在の状況・予後に予想されること、などを患者さんの理解度に合わせた極めて丁寧な説明を提供できさえすれば、多くの患者さんは納得するものである。仮にこれから治療(人によっては再治療になるかも知れないが)が必要だとしても、それは後の話である。『治療とは、原因を無くすこと、減らすことである。』この大前提を忘れてはならない。

                       2023,10,6

修養のある人とない人との相違

 「世の人は、何か目立ったこと、非凡なこと、人を驚かすようなドラマチックを喜ぶから、平凡なる日々の修養を軽視する風がある。しかしこれはむしろ未熟な思想である。」とは、新渡戸稲造の“修養”に出てくる一文である。明治の人も今を生きる人も、同じような人間はいるものなのかと思わされた。近年は政治、教育、そして日常の社会生活においても以前では考えられないような問題が起きているが、その度に漠然と感じていた空虚感なるものが、この“修養の有無”であると私の中では気付かされた思いである。普段から修養の心掛けなくして生きている人間は、大胆であって素人目には豪傑風に見えるのだが、何となく空虚なところを感じるのは私だけではあるまい。「日々の平凡な務めを満足に行い続けさえすれば、一生に一度あるか、なしかの大問題が起こるとも、これを解決するのは容易である。ただ日々の平凡の務めを怠るものは、かかる大問題に出会うと、ははだしく狼狽し、策の出ずるところを失う。ゆえに日々の平凡の務めを成し遂げることが大切だ」とも述べている。死語になりつつある“修養”について考えてみませんか。

                       2023,10,5

信号無視

 高校生の頃、硬式野球の試合が終わりバス停まで歩いていく途中に横断歩道があったのだが、直線道路で左右どちらからも車が来ないのを確認して赤信号を無視して渡ったところ、笛を吹きながら警察官が走り寄ってきた経験がある。信号無視はどんな理由があろうとも許されはしないのだが、どうみても車は来ないのだから渡ってもいいでしょ、ぐらいの感覚で平然と渡ってしまったのである。また運が悪いことに、その横断歩道は地元の警察署のすぐ横にあったのもばつが悪かった。いまでも通勤時間帯の赤信号が遠くから見えると手前のところでショートカットしたくなる時が多々ある。時間に余裕をもって家を出ればよいのだが‥。先日、目の前を歩いていた年配の男性が突然車道を横切ったのだが、私の感覚では車が接近していたので“(´・ω`・)エッ?”と思ったのだが、案の定クラクションを鳴らされていた。もしかしたらであるが、その方の感覚では行けると思ったのだろうが、思いのほか足が動かなったのではないだろうか。おかしい、もっとササッと走れるはずなのにとか。向こうの車がどんどん近づいて来る!車の人身事故ではドライバー側の責任だけが問われがちだが、実際のところはより検証が必要なのかもしれない。

                       2023,10,4

あの~

 「あの~、親知らずを抜いてもらえますか~?」。当医院は8時から診察を始めますので7時過ぎには医院に入り当日の準備を行いますが、朝の診療時間外に電話が鳴ったので受話器を取ってみると、冒頭のように聞いてくるではありませんか。全くの初診で時間外であることなどを考慮出来れば、ものの尋ねかたというものがあるのではないでしょうか。最近はこのような電話を受けることも少なくない。家庭電話を使わなくなった子供達は電話をするのが苦手と聞いたことがあるが、そういうことではないのではないでしょうか。家庭での躾けが出来ていないの一言に尽きると当方は考えますが皆様のご意見は如何に。改めて躾けなどと言わなくても家庭内での会話、親子間でのコミュニケーションが日頃からあるご家庭で育ったお子様であれば、相手の顔が見えなくても不躾な物言いなど先ずはしない。結局は親、大人の問題が子供に反映されているだけのことであり、今を生きる大人が良識をもって行動するしかない。それにしてもコミュニケーション能力に欠ける輩が多いことで行く末にあるのは不安でしかない。

                       2023,10,3

交通事故防止

 記録的な蒸し暑い日がいつまで続くのかと気を揉んでいるうちに、いつの間にか日没が早くなっていたと思いませんか。車を運転される方であればお分かりと存じますが、この時期の夕暮れ時は通勤・通学の時間とも重なり、運転にはかなり気を遣う時間帯です。実際に9月から年末にかけて交通事故の割合が増加するとのことです。交通事故=ドライバーの過失であることは間違いありませんが、歩行者もドライバーに自分の存在を早く気付かせるように反射材を鞄や身に付け、身の安全を確保できるように努めましょう。当方は夕方や夜間にランニングをするさいには、点滅式の身に付けるライトのほかに手首に反射材を装着して走るようにしています。また街中を見る限りでは自転車利用者のヘルメット装着率は極めて低そうですが、4月の改正道交法ではヘルメット着用が努力義務となっています。事故を起こそうとして事故に遭う人など誰もいません。先ずは出来ることから取り入れてみませんか。

                       2023,10,2

閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)における歯科の役割

 今週末、京都にて日本睡眠歯科学会が開催されますが、世間においても年々閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)への関心も高まりつつあり、歯科からの発信もさらに広げていく必要があると考えています。当医院のHPにおいてOSAの項目を追加作製中ですが、今年に入って他科からの紹介も増えてきております。歯科医師はOSA治療の中でOral appliance therapy(OA)治療を行いますが、その適応症例は医科の診査において診断基準となる無呼吸低呼吸歯数(AHI)が15回/時間未満の軽症症例、CPAPが適応とならないAHIが20回/時間未満の中等度症例、CPAP継続使用困難な中等度以上の症例など適応範囲は広く、潜在的な睡眠時無呼吸症候群患者さんにとっては是非とも足を運んで頂きたいと思います。尚、OSAについては近日中にHPにアップいたしますが、ネット検索して頂けると概略はつかめると思いますので、睡眠時のいびき、家族から呼吸が止まっているなどと指摘を受けた経験のある方は、しかるべき医療機関にて先ずは睡眠検査を受けることをお勧めいたします。

                       2023,10,1

衣替え

 私が高校2年生の時、明日から衣替えという9/30にクリーニング店に学生服を取りに行くのを忘れていて、営業時間を1時間以上も過ぎていたにも拘らず、店主の方がシャッターを半分だけ開けて待っていてくださったことがあった。自分一人だけ上着がないまま登校するのが恥ずかしいので何とかしなければと思っただけに忘れられない思い出である。それから30年近くが過ぎ、衣替えを前に上着を着て出勤することがアブノーマルになりそうな蒸し暑さである。環境省が設定するクールビスが今日で終わり、週明けからはネクタイ姿を多く目にすることになるのだろうか。通勤・通学スタイルも気候変動に対応した良識のある範囲で柔軟に形を変えていくことが求められよう。何事も前例に囚われることなく判断していく社会になっていく時期が来ている。

                       2023,9,30

不定愁訴に振り回される

 鼻づまり傾向が以前からあり、コロナ感染後嗅覚障害に悩まされている患者さんが以前お越しになられた。季節の変わり目には咳き込むことがあり、喘息もあるのではないかと大学病院でもいろいろな検査を受けたが問題はないと診断されたという。白衣を着た医者にそう言われたら患者はどうしたらよいのか。世の中には不定愁訴を抱えたままドクターショッピングをする人たちが右往左往している。当医院で連携を取らせて頂いている耳鼻咽喉科医にその方の診査診断を依頼したところ、慢性上咽頭炎及び気管支喘息との診断を受け、しかるべき処置を受けたことでNOも低下し、喘息症状も軽減してきたとのことである。大学病院にて原因が分からないにも拘わらず薬を処方すること自体如何なものかと思うわけだが、薬を服用したとしても根本原因をなくしたことにはならない。“原因があるから結果がある。結果があるから原因がある”。臨床にはこれまで以上に真摯に向き合いたい。

                       2023,9,29

政治について

 日本の国の舵取りは誰がするのか。政治家を選ぶ選挙において、投票率の低下は何を物語っているのか。私たちは義務教育を通して様々な事柄を学んできてはいるが、基本的には受けみの教育であり、自分で考え、それを表現することは苦手である。ある政治家が20歳の成人式の際に地元の広報誌に載せた政治にたいする思いを描いた文章を目にした。「現在、社会構造の変化に伴い主体性の欠如した人たちがあまりにも多いと思うのであります。日常テレビや新聞で、この日本に何が起こっているかということを知ってはいるが、それについて自分の頭で考えた、たとえ幼稚でもいい、自分自身の判断というものをもっていない。だから、この日本では、ことあるごとに一部の反対意見がクローズアップされ、それを傍観するだけである。いまだに討論するという習慣を身に付けられずにいるといった状態です。」55年前の若き政治家を目指した青年の主張である。いつの時代にも明治維新の時のような若い志士たちの、お茶を吞みながらの腹をわった討論が必要である。

                       2023,9,28

視察旅行とは

 日本とスイス、ドイツなどのヨーロッパ各国の公共交通機関のあり方を比較すると、人口密度の違いがあるので致し方ない部分はあるが、明らかに後者の方が利用者にとっては快適である。日本で生活をしているだけであれば日常が当たり前であるので不便と考えることもないかも知れないが、もし電車に自転車を載せることが出来て市内をトラムが走行していれば移動効率は非常に高くなり、車一台でひと一人が移動のような無駄も省けることになると同時にヘルシーな街づくりが可能となる。「そんなこと日本では無理だよ!」という声が聞こえてきそうだが、始めから無理だと決めつけていては現状は何も変わらない。昨今政治家の間では「痛みを伴う改革」などと掛け声ばかりで数年経っても何も変わらないのが日本の現状である。この夏、女性議員グループがフランスを視察旅行してネットに挙げた写真で炎上していたが、肝心の視察の成果はあったのか、その後が全く分からない。フィンランドの人口約66万人の小さな首都ヘルシンキでは港町の風情と最先端スマートシティの表情を肌で感じながら過ごすことができる。国民に選ばれた女性国会議員さんたちは、エッフェル塔をバックに肌で何を感じてどう今後の政治活動に役立てるのだろうか。お手並み拝見といったところか。

                       2023,9,27

テーマパークはまだ必要か?

 神奈川県横浜市では今月、アメリカ軍の上瀬谷通信施設の跡地にテーマパークを中心とした集客施設をつくり街づくりをするための業者選定をすると発表しましたが、全国各地に点在する同様の施設をさらに増やす必要はあるのでしょうか。同施設を大手の企業体が開発したとして、一時的な経済効果を地元が受けることがあったとしても、それは経済を軸にした考え方を推し進める見方であり、果たして地域の形には見えない文化度に貢献するものなのでしょうか。東京ドーム52個分の敷地があり、TDLと同じ規模の娯楽施設、アニメや漫画、ゲーム、最先端の技術を活用した施設にする計画とのことですが、広大な土地を利用した緑の植樹、草花や森に囲まれた世界規模の蔵書を揃えた図書館、様々なアスリートたちがいつでも通う、集うことが出来るトレーニング施設、地産地消型の地元業者だけが参入できる公募制などで今までの発想とは違う街づくりをすることは出来ないものなのでしょうか。前例に倣った考え方しかできない人が責任ある立場にいることが、今のような閉塞感のある社会、一歩踏み出すことを恐れる若者、夢見ることが出来ない人、可能性にトライすることをためらう人を作り出している要因の背景にあるように思えてならない。

                       2023,9,26

慢性上咽頭炎とコロナ後遺症

 当医院にお越しになられている方の中には、コロナ後遺症と思われる症状で悩まれている方が少なくない。本人にその自覚はないようでも話を伺っているとまさにコロナ後遺症であり、その特徴は慢性上咽頭炎の症状と似ている。鼻の奥の「上咽頭」と呼ばれる部分は、気道の一部を構成しており、鼻から吸った空気は上咽頭で下方向へと向きを変えて中咽頭へと流れます。つまり構造的に体内に取り入れられた空気の最初の通り道であるとともに、空気の流れの向きが変わる場所にあるため、空気中のウィルスや細菌がもっとも付着しやすく、慢性的に炎症を起こしやすい宿命にあるのです。ここに炎症が生じていると、炎症による刺激が迷走神経の感覚神経を介して脳に伝わり、自律神経の中枢すなわち視床下部にまで影響が及び、全身の内分泌系をコントロールしている脳下垂体にまで影響が出るという構図になります。従って、慢性の上咽頭炎があるところにコロナ感染が起きると、更に自律神経のバランスがくずれ、様々なストレスに耐え切れなくなる悪循環を引き起こすことになります。コロナ感染後にひどい倦怠感、嗅覚障害などが長引いている方は、しかるべき耳鼻咽喉科への受診を勧めます。

                       2023,9,25

Tongue Tied Release

 ここ数日朝晩は過ごしやすい平年並みの気温に戻り、ランナーにとっては走りやすい季節になってきた。今朝も幾つかある定番コースの一つ、みなとみらい・横浜中華街に抜けるランを行い、体感だけでなく計測タイムでもスピードアップしていることが判明した。やはり高温多湿だった異常な夏が過ぎ、体力の回復とともに地道に継続してきたインナーマッスル強化の効果が表れてきたのだろうか。10~15分の短い時間であっても、毎日ルーティンで時間を確保するのは簡単なようでなかなか難しいものだ。年齢を考慮すれば身体への無理はできないが、ある程度の負荷も必要であり、筋力を維持強化する必要はある。約1か月後に迫った横浜マラソンでは、昨年の25キロ地点で起きた両足が攣(つ)る事態だけは避けたい。本業の歯科において、来年以降新たに取り組む「Tongue Tied Release」の準備も着々と進んでおり、気力・体力・精神力のバランスを取りつつ、マラソン同様に長距離の道のりをたとえ躓くことはあっても乳幼児の哺乳障害を取り除き、成人であれば検査では異常が無いにも拘わらず不定愁訴に悩まされている方々の健康を取り戻すために全力で取り組んでいきたい。

                       2023,9,24

姿勢の悪さが気になる

 「子供の姿勢が良くない。どんどん下顎が前に出てきていませんか?」と、機能的歯列矯正治療中の母親が心配でお越しになられた。母親が指摘されるようにそのお子様は明らかに下顎が突出しているようには見えるが、実際には上顎の劣勢長が原因で相対的に下顎が出ているように見えるのである。ではなぜ上顎が劣勢長なのか。唇が常に開いた状態で低位舌であることで本来の正しい嚥下(飲み込むこと)が行われなくなり(異常嚥下)、代償反応として嚥下時に頭蓋を下げて嚥下するという間違った筋機能が働くことになる。舌が口蓋から離れていることで口蓋の拡がりがなく、口蓋骨及び上顎骨の拡大成長が抑制されてしまうのである。母親からは、乳児のときに母乳哺育が上手くできなかったと追加説明があったが、恐らくそれは母乳が出なかったのではなく、赤ちゃんの舌小帯の動きの制限があったために赤ちゃんが上手く母乳を吸えなかったということと、食事の際にも喉に食べ物を詰まらせることがよくあったとのことなので、嚥下時に舌が持ち上がらないために食道と器官に振り分ける喉頭蓋の蓋が上手く閉じられなかったのであろう。不正咬合に至る原因を理解することが治療よりも優先されるべきである。

                       2023,9,23

坂の上の雲を目指して

 今の日本は坂道を駆け上がろうとしているのか、それともずり落ちようとしているのか。その答えは、外国への日本人留学生の減少、国政選挙の際の投票率の低さ、そして長期的に続いている円安状態などから判断すれば、明らかに後者であろう。その原因たるものは決して形に見えるものではなく、国民一人ひとりが自分の興味のあること以外に関心を示さないことにあり、更には日本を強い国、良くしたいと心に思う志の欠如にあるように思えてならない。歴史を遡れば明治期に坂の上の雲を目指して先人たちが頑張った時は、誰かが号令を掛けて国民がそれに従ったわけではなく、各自がそういう自覚をして自ら駆け上がったわけです。それを促したのは、欧米列強の支配から逃れる危機意識があったからであり、立派な国づくりへの志だったはずです。誰かが何とかしてくれるのを待つのではなく、自らが直ぐやる、必ずやる、といった気概が老若男女、業種は関係なく、現代を生きる日本人には必要でしょう。

                       2023,9,22

眠りで子どもは変わる

 皆さん、是非『眠りで子どもは変わる』([著]Sharon Moore)を直ぐに購入して読んでください。未来の世代が出来る限り健康になるための指針が掲載されています。今まで、そして現代社会においても医療は原因ではなく症状を治療しているに過ぎません。根本原因に介入出来ていないのです。今年のノーベル賞候補の一人に睡眠学の柳沢正史先生が挙げられていますが、子供の適切な成長と発達、そして健康のあらゆる側面における睡眠の重要性を軽視してはいけません。当医院では子供達の睡眠関連疾患にも積極的に取り組んでおり、これらの問題の多くに効果的な治療法は、身体の正常な機能や発達を妨げる口腔習癖を取り除き、適切な呼吸や咀嚼、嚥下を身に付けることに他なりません。

                       2023,9,21

読書時間

 私が子供の頃にくらべると、今の子供達は常に時間に追われた生活をしているように思えてならない。月一回の咬み合せトレーニングの予約を取る際にも、塾や他の習い事が多すぎてこちらの計画通りには進まないことが多々ある。当方の立場からすれば、不正咬合を引き起こしている口呼吸、舌の習癖などが改善されなければ机に向かったところで集中力も高まらず、効率の悪い時間を過ごしていることになる。子供達と話をしていると、毎日のように学校から帰宅して鞄を置いたらすぐに塾に出掛けるなどゆっくりとした親子の会話すらない状態で日々を過ごしているお子さんもいる。塾のテキストに毎日目を通すことはあっても想像力を育む読書時間を確保しているご家庭は少ないように推察される。決して数値で計れるものではないが、想像力は相手を思いやる気持ち、人の気持ちを理解することに繋がり、変化が激しく効率重視の現代社会に欠けている相手を慮る心を養う上でも培っていく必要がある。あの中曾根康弘元総理でさえ、どんなに激務の中にあっても毎日欠かさず30分は読書をする時間をとっていたという。自分と向き合う時間を確保する意味でもスマホではなく読書に時間を割きませんか。

                       2023,9,20

納得のいく治療とは

 遥々遠くの他府県からお越しになられた患者さんには頭の下がる思いです。当医院はごく普通の町医者であり、ごく当たり前の診察・診療を行っているだけの歯科医院です。敢えて当医院の特徴を紹介させて頂くならば、お越し頂いた方の主訴に対して納得のいく説明が伝わるまでお付き合いさせて頂くということでしょうか。よくある例で申し上げると、以前根の治療(根管治療)をした歯の根元が膿んできて歯肉が腫れてきたといった場合ですと、前医で根管治療を受けるに至った原因は何でしたかと患者さんにお尋ねします。多くは「むし歯が大きくなって神経を抜かれました」という返答がくるのですが、重要なのは「なぜむし歯になったのか?」というところです。普段の食生活習慣においてショ糖の摂取量が多い、う蝕(むし歯)に関与する常在菌が多い、あるいは不正咬合による上下の歯の強い干渉(外傷)によって歯の硬い組織にひびが入ってそこから感染が進んだなどが考えられます。治療の目的は“原因をなくすこと”であり、その原因にアプローチするかどうかの問題です。対処療法を患者さんが望むにしても、先ずは今までの治療履歴を遡って、治療を受けたことで本当に歯が良くなったのかをご自身で吟味してみることを勧めます。

                       2023,9,19

One Team

 祝日とは言えいつも通り5時前には起床し、ひと汗かきに出掛けるつもりがスイッチを入れたテレビの前から動けなくなった。イングランド13-12日本のスコアで応援しないわけにはいかない。結果論としては私が応援し始めてから風向きがイングランドにいったようで、アンラッキーなトライまで相手に献上してしまった。スクラムを組んでも相手の重量フォワードに一歩も引けを取らない桜ジャージの選手たちからは、如何にこの一戦に向けた練習の質・量とも高めてきたのかが伝わってくると同時に、相手の選手および戦術の研究まで入念に行われてきたことが、実況の豊原アナウンサーを通して分かってきた。余談だが、豊原アナと言えば神奈川県立湘南高校ラグビー部出身、早稲田大学ラグビー部を経た経歴をもち、これ以上の適任はいない実況だと当方は勝手に思い込んでいる。日本ラグビーの実力は今や世界が認めるところとなり、たとえ強豪国を倒したとしても奇跡とはもう言われないだろうし、我々も言うつもりはない。立ちはだかる壁がどんなに高くても、同じ人間である以上は対等である。WBC、男女のバスケットボール、男子バレーボールの近年の躍進ぶり同様にジャパンラグビーは飛躍している。残りのサモア、アルゼンチンとの戦いに勝ち、前回以上の成績ではなく優勝を目指して突き進んで頂きたい。

                       2023,9,18

由々しき‥

 東日本大震災の際、被災者の秩序正しい行動が世界から驚きをもって称賛を集めたことは、悲しい状況の中にあっても日本人として誇らしく思えたものです。私が幼少の頃、“お茶碗に付いたご飯粒ひとつ残してはいけませんよ”と母親から躾けられたことを記憶していますが、それは祖母の時代は一つのおにぎりを分け合って食べたことがあったと母親が伝え聞いていたからにほかなりません。まさにあの震災の時、たった1個のおにぎりをもらうのに、あの寒い中で秩序良く行列をつくって何時間も待ち続け、やっともらった1個のおにぎりを分け合って食べていたという被災者のコメントを目にした時に、私の心に浮かんだ文字は“惻隠の心”、つまり本当の思いやりです。なぜこのようなことを今日のブログに載せたかと言いますと、朝のランニング中に道端に捨てられたコンビニおにぎりを目にし、どのような理由があったのかは存じ上げませんが、米粒一つ口に入るまでの手間ひま、米を育てた農家の人たちの思いなど全く考えたこともなく育った人の仕業なのかと思うだけで、家庭教育・躾をされていない輩が増殖していると察したからであり、日本人の素晴らしい徳性が失われつつあるとすれば由々しきことであります。全世代を挙げて人間学を学ぶ必要があるのではないでしょうか。

                       2023,9,17

エリートとは

 「あの人はエリートだから・・・」という表現からどのような印象を受けますか?私の中で一つは、いわゆる出世思考のエリートで、一流と言われる大学を卒業し、頭の回転が速く俗に言う優秀で、それなりの肩書が付いて昇進欲の強い人です。あくまでイメージですが、このようなタイプに見受けられるのが他人の意見を聞かなかったり尊大な態度をとることです。もう一つは、同じように一流大学を卒業して頭も抜群によいのに、少しもそれを鼻に掛けず自然体で誰とも接することの出来る人です。このタイプの人は、社会奉仕、自己犠牲の精神にあふれ、当然人間性や人柄もよく、しっかりとした倫理観や国家観もあり、いざという時には先頭に立って動く、いわばノーブレス・オブリージュの精神が身に付いている人です。今の日本社会において、政治家、企業経営者、そして医療現場の責任ある人のあるべき姿は、どちらのタイプが多いでしょうか。日本の国力低下の原因は、この真のエリートを育てられていないことにあると思いますが、皆さんはどのようにお考えになりますでしょうか。

                       2023,9,16

歯科医院の在り方

 先日の民放のニュース番組で、100歳以上で働いている現役の方が約400人いると放送していた。その番組を注視していたわけではないので全国でその人数なのかは定かではないが、取材を受けられていた薬剤師で100歳の方は年齢を感じさせない喋り方をされており、拝見できる範囲では非常に健康な歯を維持されているように見受けられた。人生100年時代と言われる今、これからの医療とくに歯科医院に求められることは、口腔内の疾患を治すことだけでなく妊産婦から乳幼児、そしてそこから患者さんの人生に寄り添いながら、高齢者にいたるまでを見守り続けることにあるのではないでしょうか。定期通院が当たり前になりつつある歯科医院には生涯一人の患者様に携わることのできる連続性が存在する。未病の段階でも歯科医院に定期通院されている方であれば、医院側がアンテナを張れば患者様の健康にもっともっと寄り添えるのではないか。良質な医科歯科連携を築くことで、患者様への貢献の仕方も変わっていくことでしょう。

                       2023,9,15

口唇閉鎖力

 小児の口唇閉鎖、口呼吸に関連する論文の投稿が増えてきている。不正咬合をワイヤー矯正力、マウスピース矯正によって改善できたとしても、不正咬合に至った根本原因を正さなければそれは言わずもがなである。幼児、小児の口呼吸と密接に関連する因子として、鼻の疾患、口唇閉鎖力の低下、嚥下・咀嚼障害、飲食習慣などが挙げられるが、口唇閉鎖力は口呼吸と最も密接に関連した因子でもあるので、普段からリップシール(口唇閉鎖)が出来ていないお子様がいるご家庭では、是非とも歯科医院にて口唇閉鎖力の診査、そしてトレーニングを早急に始めることを勧めたい。

                       2023,9,14

気候変動に対応

 朝夕は陽が照っていなければ幾分秋の気配を感じる季節になってきましたが、日中は相変わらずの蒸し暑さが続いている。女性が日傘をさす姿は見慣れたものですが、昨今の焼けるような陽射しを避けるために男性用の日傘も店頭で見かけるようになってきた。当方はどうかと言えば、日傘は使わないまでも毎日サングラスのお世話にはなっている。9月も中旬を迎え、来月からは例年であれば衣替えとなるが、学校及び社会人の服装は如何に。異常気象を感じる理由に事欠かないご時世ですが、日本から四季がなくなるかのような気候変動による影響は増えることはあっても減ることはなさそうである。四季から二季に変わっていくと指摘する気象学に詳しい専門家もいるぐらいですから、我々の意識、社会インフラ、制度等々、さまざまなことがスピード感をもって対応できる体制が必要となっている。

                       2023,9,13

睡眠障害

 先日も睡眠についてブログをアップさせて頂きましたが、通院中の方から睡眠不足による体調不良の相談を受けた。ご本人の咬み合せから推測して口呼吸による睡眠障害の疑いがあると初診時には説明をしていたが、歯科医の説明する睡眠関連の話題が頭に入らなかったのか当方の説明が良くなかったのかは分かりませんが、一年を通して深い眠りに付けないとのこと。90分の治療予約時間の半分を睡眠障害についての説明講義に費やすこととなった。睡眠時無呼吸の疫学について睡眠歯科の専門家の話では、睡眠時無呼吸の潜在患者は約500万人、うち受診患者は約50万人と述べています。一般に言われている睡眠時無呼吸症は閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)のことであり、上気道に空気が通る十分なスペースがなくなって呼吸が止まってしまうタイプのことで、9割程度がこれに該当するとのことです。来月には睡眠歯科学会が行われる予定で当方も出席しますが、歯科から睡眠障害についての発信が急がれます。

                       2023,9,12

One Team

 ラグビーW杯が開幕した。前回の我が国におけるW杯は日本のベス8入りという大躍進もあり、国民をも巻き込む最高の盛り上がりとなったが、国民性なのだろうか。各競技のW杯になると普段は関心のない人々も夢中になって応援はするが、代表の試合が終わると同時に熱も冷め始める。サッカーJリーグの観客動員数は横ばいか減少傾向にあるとのこと。今春のWBC世界一で湧いた野球に関してはどうか。巨人戦のテレビ中継を見る限りでは以前のような満員御礼ではないが、大谷選手の所属チームの中継はほぼ行われていることからすると、一個人への関心は集まっていても野球界全体の底上げになるような野球熱はそれほどでもないようである。昭和の頃とは違い、娯楽を含めた様々なスポーツが存在することが人々の関心事を多種多様なものへと移し、一つの競技だけが注目を浴び続けることのない要因なのかもしれない。但し、そうであったとしても代表チームの活躍が各競技の再燃には欠かせない。チリ戦に勝った勢いそのままに「One team」には勝ち進んで頂きたい。

                       2023,9,11

ブレインフォグ(倦怠感・思考力低下)と慢性上咽頭炎

 昨日に引き続き11回日本病巣疾患研究会の2日目のシンポジウムが開催され、慢性上咽頭炎が様々な疾患を引き起こしている可能性を示す症例発表が医科、歯科の先生方から行われた。COVID-19に感染したことで倦怠感・思考力低下に悩まされている多くの患者さんたちの現状、同じくワクチン後遺症で苦しまれている方々の様子も、現場の第一線でご活躍されている先生方からお話を伺く事が出来たのは貴重な時間であり、普段知ることのない医科情報を得たことも、同じ医療に携わる者としては歯科から情報発信をするうえでも有意義であった。私のブログを読んでくださっている方の中で、普段から身体がすっきりしない、睡眠をしっかりとっても倦怠感が抜けない、いろいろな病院で様々な検査を受けても異常はないと診断はされるものの不定愁訴は変わらない、などの症状でお悩みの方がおられましたら、提携する耳鼻咽喉科をご紹介させて頂きますので、ご用命ください。

                       2023,9,10

日本病巣疾患研究会(JFIR)

 Evidence Based Medicine(EBM)全盛の時代において、エビデンスの議論はそれぞれの既存の学会に任せておけばいいのであり、臨床医である我々は、目の前の患者さんに日々真剣に向き合い、そして寄り添う中でちょっとした気付きを得ながら未来のエビデンスを積み上げていくことを忘れてはいけません。本日、第11回日本病巣疾患研究会が開催され、理事長である堀田修先生の挨拶のなかで語られていた「最終受益は患者さんであることを忘れないでください」というお言葉が、深く心に染み渡りました。対症治療一辺倒の現代医療に、疾患の根本原因を探り、それに対処する根本治療も医療に取り入れる「木を見て森を見る医療の実践」を合言葉に設立された本研究会(JFIR)のミッションは本当に素晴らしいです。今日の特別公演された二人の演者の先生方からも大変有益なお話を伺うことが出来、早速明日の臨床から患者さんに還元していきます。

                       2023,9,9

プラス思考

 “これで良いと満足することはないし、結局は満足した時点で自分の成長が止まる”。起業家、医師、スポーツ選手その他職業に関係なく第一線で活躍されている方に共通している考え方である。当の本人たちはそのような意識はないのかも知れませんが、傍から見ているとそのように意識する暇もないぐらい常に前向きである。今春のWBCにおいては大谷翔平選手の活躍が目立ちましたが、栗山監督の話では、普通の選手では追い込まれた状況に直面すると、プラスとマイナスのイメージがどちらも頭に浮かぶものだが、大谷選手の場合、「もし駄目だったら」というマイナス思考が浮かんでいるようには見えないそうです。プラスになるんだって100%信じて行動する。自分ができないと思われることにチャレンジすると、達成できてもできなくても自分のレベルが引きあがる、能力が高まるということを彼は知っているのだろうと。よく“プラス思考で”、という言い方をしますが、プラス思考の深さの違いを感じさせられた思いです。

                       2023,9,8

舌は呼吸器

 歯科医療が変わり始めている。昭和30,40年代のむし歯の洪水と呼ばれた歯を削合する時代から、当方が開業した約20年前頃には、う蝕、歯周病の予防に歯科が取り組み始め、現在は全身疾患との関わり、睡眠障害、子供達の口呼吸・異常嚥下と多岐に亘っている。思い起こせば卒後直ぐにお世話になった歯科医院にて、「院長先生、苦しいんです~」と診療室に入って来るなり床に寝転んだご婦人がいた。院長先生は当時、“顎関節症の第一人者”と言われていて、全国各地から患者さんがお越しになられていたこともあり、待合室には予約制であるにもかかわらず、椅子に座れないほど人が溢れていた。新人歯科医師の仕事は専ら主訴を伺うことであり、カルテ用紙2~3ページは患者さんの言葉で埋め尽くされるほど様々な症状を抱えている方が多かった。それから約30年の月日が経ち臨床経験の積み重ね、各種のセミナー、文献考察などから、苦しいと診療室に倒れ込んできた方の所見は「低位舌に伴う気道閉塞」だったのではないかと考えるようになった。「舌は呼吸器である」とはある歯科医師の言葉であるが、まさにそのことに新人歯科医師として私は立ち会っていたのだ。

                       2023,9,7

トリチウム

 皆さん、福島の水産物を召し上がっていますか。福島沖の“メヒカリ”は見た目に反し、淡泊な白身とふんわりした食感が美味しい魚です。特に福島県産は、脂ののりもよく、干物や唐揚げ、天麩羅に加え刺身でも食べられます。先月末から処理水の海洋放出が始まりましたが、日経新聞によると、ALPSで取り除けないトリチウムは安全基準の40分の1未満まで薄めており、実際のトリチウム濃度は、安全基準の3~4百分の1近くまで希釈されていることが確認されているとのことです。これは放出された水を毎日2L飲み続けても年間の被ばく量は自然被爆(約2,1msV)の千分の1余りですので、全く問題にはなりません。因みに当医院で扱うデジタルレントゲンの被ばく量は0,008msVですので、こちらも全く問題ありません(参考までに)。一方で、我が国の水産物を全面輸入禁止した独裁国家の原発は大量のトリチウムを海洋放出しています。具体的な数値まで報告されていますから、日本政府は世界に向けて正しい情報発信をこれまで以上に行い、良識ある国家との友好関係を拡げていく良い機会にして頂きたい。

                       2023,9,6

幸福感

 人それぞれの価値観が異なるように幸福感も様々なのだろうと、帰宅途中の電車内の他人の会話が聞こえてきて考えさせられた。近年多くなっている線状降水帯の停滞によって局所的な水害が発生しているが、会話をされている方の話では、どうも実家が壊滅的な被害を受けたようである。幸いにしてご家族は無事であったようでしたが、その後の生活の目途が立っていないという。全国的には同様の境遇におられる方々も多いことでしょう。普段と変わらぬ通勤生活が出来ていることに感謝せざるをえない。人間が幸せであると感じるための条件があるとすればそれはなにか。それは「将来に希望が持てること」に他ならない。地位や財産があったとしても、前記が充たされなければ本当の幸せとは言えないのではないか。日々目的をもって主体的に生きてこそ、遣り甲斐もあるというものだ。このことに気が付かず、他のことに目が移り過ぎて、イライラしたり漠然とした不安感を抱いて過ごしてはいませんか。

                       2023,9,5

本気度

 その場しのぎの処置だけで良いのか?新規でお越しになられた方の主訴は「奥歯が痛い」である。本人曰く、「歯が欠けて痛いのですが、その歯は今までも何度も治療をしているんです。なぜ度々悪くなるのか知りたいです。」。初診時の診査、診断、そして説明には要領よく端的に説明するように心掛けているが、人によっては過去の治療履歴を遡って推察し、原因と結果を結び付けるストーリーが必要となる。勿論一方的な説明では素人の患者さんには理解できるはずもなく、パワポを用いながら、例え話を加えながら話を続けることでこちらの意図していることが何とか伝わるのである。医療であるので極めて当たり前のことではありますが、患者さんご本人が主訴の原因をしっかりと理解したうえで治療に入ることが何より重要であり、そこには十分に時間を割く必要がある。過去には治療に入るまでに3回診療室にお越し頂き、合計3時間以上の治療相談を受けたこともある。但しこちらの本気度が伝われば、患者の気付き、理解度が深まることは間違いなく、根気強く寄り添う姿勢が医療者には求められよう。

                       2023,9,4

伸びしろ

 横浜マラソンまで2ヶ月を切り、休日に走る距離を延伸しはじめているのだが、相変わらずの残暑には体力の消耗が激しく、50代の身体にはかなり堪える。極力無駄なエネルギーを使わないようにマラソンランナーの動画を見ながら足の運び方などを参考にして実際に取り入れてみると、全く同じようには出来ないものの、今までとは違う感覚で走ることが出来る。この検索してネットで情報が手に入るのは、今更ながら便利であり、独学するうえでも役に立つことこの上ない。当方の高校時代を振り返ると、理想のピッチングフォームを求めて体育館の大きな窓ガラスに向かってシャドーイングを行い、ガラスに映った姿で試行錯誤しながらフォーム固めをしていた。それが今は、さまざまな情報をスマホひとつで得て、自分の動きを動画で撮影でき、本人の意思と信念があれば、指導者に頼らなくても高みを目指す環境を整えることが出来る。将来的に70歳でボストンマラソン完走を目指す昔の高校球児にとっても、まだまだ成長の伸びしろはあると信じたい。

                       2023,9,3

驚き

 関東大震災の当時を振り返る動画を紹介している小学校の教室がニュース映像で映し出されていた。火災の様子に児童は驚いていたが、その児童たちの姿勢のあまりの悪さに私は驚かされた。頬杖を突き背中を歪ませている、背もたれに完全に身体を預けている、そして何より上唇が富士山型を呈した口呼吸をしていると思われる子供が多数いたことである。なぜを姿勢を正すことを学校は指導しないのか。10歳前後の子供達の身体の成長の早さは皆さんもご存知の通りであり、この時期に体幹の歪みに繋がる口呼吸を舌と口腔周囲筋の習癖を取り除くことで鼻呼吸に改善し、正しい嚥下が出来るように働きかけることによって、将来にわたる子供達の健康を守ることが出来ることが分かってきている。健康を害してから医療機関で治療を受けるのではなく、日常生活の中でその芽を摘むことが必要である。因みに皆さん、唐揚げを正しく咀嚼できますか?

                       2023,9,2

臨界点

 防災の日、あの関東大震災から100年である。阪神淡路大地震、東日本大震災をはじめ毎年のように自然災害に幾度となく叩きのめされながらも復興をあきらめることなく日本は立ち上がってきた。国民の相互扶助の精神はどこの国にも負けない素晴らしいDNAであり、未来永劫引き継いでいただきたい。しかし今の世の中は、思いだけではどうにもならない方向に進んでいる。世界各地の山火事、豪雨災害の激甚化、民主国家への許されない侵略、もはや人類の存亡の機について議論している時間はない。不利益を伴うことを承知のうえで化石燃料の使用停止、自国勢力拡大の企てを行っている世界の当事国に無条件で止めさせる、これらが即刻行われなければ、この美しい地球で誰一人暮らすどころか生き残ることさえできなくなる現実が目の前にある。新聞に記載されていた文言を拝借すれば、地球環境の安定と復元力が永久に失われる臨界点が迫っているということである。

                       2023,9,1

ヒューマンエラー

  なぜ人はミス、失敗をするのか。銀行のATMを使うのにいつもの財布にカードを入れていない、駅の改札機にかざしても交通系カードが入っていない、間違い電話をする、ブレーキとアクセルを一瞬だけでも踏み間違える、など枚挙に暇がない。ミスの内容にもよるが、たまたま大事に至るようなことでなければ、ミスであると認識すらすることはない。しかし、人命に関わるような重大事故に繋がるミスは、ちょっとした気の緩みや日頃のルーティンが守られていないなど、防げる事故もあるはずだ。このヒューマンエラーを無くすことは可能なのか。今までの人間の仕事をAIに任せたところで、それを扱うのは人間である限り、エラーはゼロにはならないと考えるべきなのか。事故から学び、再発防止に向けた予防策は行われてきたにもかかわらず、いつの時代になってもヒューマンエラーは指摘され続けている。因みに、向かいの家の方の車の庫入れで、家の側壁に車体を擦るのを見たことが、このブログの切っ掛けである。

                       2023,8,31

睡眠歯科

  書店の一角に、睡眠に関する一般向けの本が数種類並べられていた。健康を維持する基本に立ち返れば、睡眠が大切であることは改めて言うことでもないが、数年前からは睡眠時無呼吸症候群が注目されるようになったことも、国民の意識に変化が現れたのかも知れない。当医院においても睡眠呼吸専門医からの紹介患者を受け入れており、口腔内アプライアンスを作製する機会が増えている。そもそも閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)とはなにか。ネット検索すれば概要は理解して頂けますが、歯科医師が診断できるものではありません。軟組織が咽頭壁を塞ぐことにより無呼吸、低呼吸になるので、原因として顎下軟組織の過多、首が太い、下顎が小さい、口蓋扁桃が大きい、などがあり、本人が自覚できる日中の症状としては、毎日の眠気、疲労感、寝起きが悪い、熟睡感の欠如などが挙げられます。心当たりのある方は医科にてPSG検査を受けられることをお勧めいたします。当医院でも紹介先をお伝えさせて頂いておりますので、遠慮なくお問い合わせください。また、近日中に当医院のHPに「睡眠歯科」の項目を追加いたします。

                       2023,8,30

白馬の魅力

  ここ数年はトレッキングに出掛けていないなぁ~と漠然と思っていたら、通院中の方から「来週白馬に行ってきます。先生は行かれたことはありますか?」と尋ねられた。2歳の次男をリュックに背負って八方池まで家族で言ったのが12年前であり、途中ニッコウキスゲなどの珍しい高山植物が目を楽しませてくれ、絶景の白馬三山にも魅せられたことが思い出された。都会では味わうことのできない森林に囲まれた中をマイナスイオンを浴びながら歩き、ある所からは整備された木道を、その先は岩っぽいところもありと変化にとんだ登山道を進んだ。まさに非日常であり、八方池を見下ろしながら食べたランチは格別であり、さらに山頂部にある丸山ケルンまで行くと遮るもののない青空の下、どこまでも拡がる雲海まで見れたのは幸運であった。因みに患者さんとの会話が弾み診療時間が短くなってしまったことは毎度のことである。

                       2023,8,29

処理水

  福島第一原発の処理水の海洋放出が始まり、地元漁業関係者はじめ多くの国民は安全であることを願っている。現代の科学技術を結集して精製した安全な処理水とはいえ、心情的には大丈夫かと思う部分がないと言えば嘘になる。それでも透明性のある検査を通じて公表される数値に異常がなければ信用することになろう。にもかかわらず、相変わらずの日本たたきをする恥ずかしき国家がある。処理水を核汚染水と敢えて呼び、内外で声高に喧伝している。科学的根拠を無視して外交手段の切り札として一歩通行の物言いを続ける姿は、今に始まったことではない。ごく一握りの政治家の発言によって嘘が真実となる今の世の中で、常識、良識を持った両国民だけが誠の友好関係を築くことが出来る。歴史を遡れば関東大震災の際、デマによって多くの外国人が犠牲になったことがある。国籍は問わず、他人を慮ることが難しくなった今の時代だからこそ、人の生き方が問われている。


                       2023,8,28

テクノロジーとの共生

  MLBで活躍する大谷選手がホームランを打つと、すぐに打球の速度や角度、飛距離がテレビ画面に表示され、投球であれば球速だけでなく、ボールの回転数や軌道まで正確に映し出される。まさに最新テクノロジーのスポーツ現場での活用であり、アウト、セーフの判定まで任せる時がすぐそこまで来ていると感じさせられる。今夏の高校野球神奈川県大会決勝において、微妙な判定がネットで話題になった。なぜビデオ判定が導入されていないのか。勝敗を左右したプレーだっただけに、プロ野球同様にリクエストが行われていたら、夏の甲子園の顔ぶれは変わっていたかも知れない。両校の選手、監督、応援するスタンドのファン、そして審判にとっても後味のスッキリしない結果となってしまった。しかし、人間のすることにミスや判定の間違いは起こりうるものであり、それも包括したうえでスポーツ観戦を楽しむ心の余裕は欲しいものだ。審判のいないロボット判定を全ての競技に導入されたとしたら、我々は満足するのだろうか。どこか人間臭いファジーな側面があるから納得する時もあれば受け入れられないと抗議して選手とファンが一体となって熱くなれる部分もある。これからもテクノロジーの進化、変化を受け入れ適応しながら上手くやっていくのはなにもスポーツだけではない。


                       2023,8,27

ポルシェ

  高速道路の右車線を走行していると、後方から急接近してくる車がある。ルームミラーに写るその走りからしてポルシェに間違いない。左にウィンカーを点滅させて車線を譲ると、彼は氷上を滑るかのように車体を揺らすことなく追い越していく。法定速度をオーバーしているにも拘らず、なぜか許したくなる車である。ドライバーの皆さんは、そのような経験はありませんか。一度は運転してみたい車でもあり、あの余裕のある走りに憧れているのかも知れない。実績を挙げ続けている企業のトップに共通していることは、社員に多くを委ねつつも、本業のコアの部分では揺るぎない自信、誰にも負けない力を持っていることだ。それはまるでポルシェの走りのように、普段は気配を消していても、その存在感は隠せない。時速300キロを出せる車が60キロで走っているような余裕というか迫力は、意識して醸し出せるものではない。ポルシェが似合う器にいつかはなりたいものだ。


                       2023,8,26

笑えない失敗談

  本当なのだろうか。新社会人の武勇伝が紹介されている記事を読まれた患者さんから伺った話ではありますが、電話を取って「何様ですか」。取引先を「弊社」と呼んだ。トイレに行く際に手を上げて「トイレに行ってもいいですか」。など枚挙にいとまがないそうだ。いくら新人とはいえ、社会人以前の話ではないかと思うのは私だけか。花壇への水やりも新人の仕事だと上司に言われたから台風で大雨が降っているにも拘わらずやっているという話も聞いたことがある。考えるということをしない人間なのか。そういう感覚で日常生活を送っている方々には周りが指摘したところで本人には響かないのではないか。立派な学歴をお持ちの方だから常識、良識、そして見識があるとは限らないのが今の世の中である。失敗のない人生などあるわけないが、失敗の内容が問題であろう。未知との遭遇による失敗は仕方がない部分はあるにせよ、怠慢による失敗はその経験が次へは繋がらない。何ごとにも意欲を持たなければ前向きにはなれないが、他人の内面までは分からないところが難しいところか。


                       2023,8,25

エンジョイ ベイスボール

  第105回夏の高校野球大会は慶應義塾高校の優勝で幕を閉じた。神奈川県大会において東海大相模高校にコールド勝ち、決勝戦では横浜高校に9回の土壇場で逆転スリーランホームランが飛び出すなど、まぐれではない強さを発揮したそのままの力を甲子園でも見せてくれた。監督の指導方針もメディアで取り上げられ、野球関係者以外の人にとっても勉強になることを述べられている。「指導者は常に勉強して新しいものを取り入れ、自ら新しいことに挑戦する姿を選手に見せていく。これまでとは異なる歴史を作っていく。これが指導者の目指すものであり、この向上心を失っているのであれば退場して、新しい世代に席を譲るべきなのです。」スポーツに限らず経営者、指導的立場にある人々にとっては胸に響く言葉ではないでしょうか。エンジョイベイスボール、シンキングベイスボール、野球は愉しいことを示してくれた森林監督には感謝したい。


                       2023,8,24

改善には時間が要る

  自分では真っ直ぐに立っているつもりでも、スポーツトレーナーにチェックして頂くと、背中が反って身体を回旋させているとの指摘を受けた。仕事柄姿勢の偏りがあるのかもしれないが、身体の局所的な凝りの原因はその箇所ではなく離れた部位にあるというのは経験上分かることでもある。子供達の姿勢と咬み合せの関係を診ているにも拘らず、まさか自分の体幹に大きな歪みが生じていることに気が付かないとは情けない。医者の不養生とはまさにこのことか。成長途中の子供達と違い、出来上がった身体を改善させるのは容易ではない。何か悪い方向にもっていくのは簡単だが、良い方向に持っていくには時間や労力が要る。子供、大人を問わず、自分の能力を向上させるには継続的な努力が必要である。小さな変化を馬鹿にすることなく地道に改善させるしかない。


                       2023,8,23

非常食から見えてくるもの

  ご家庭において 消味期限の過ぎた食品を口にすることは先ずないと思いますが、非常用に保管しておいた缶詰やレトルト食品、飲用水が数ヶ月過ぎた時点で飲食するのは良くないのでしょうか。当方は開封してみて味、匂いに異常がなければ食べたこともありますし、自分の味覚を頼りに判断していますが皆さんは如何ですか。東日本大震災以来、非常時の備えへの意識も変わりましたが、いつのまにかすぐに取り出せるところから奥の方に押しやられているのが我が家の非常用備品の有様です。非常時への意識が薄くなっているということかもしれませんが、世界に目を移せば至る所で山火事が発生し消火活動が追い付かない現状では、世界全体が非常事態であり、地球上の生き物はあと何年生存できるのかという話になっても不思議ではないでしょう。限りある資源を我々は共有しているという認識を持たなければ、明日という日が来なくなるかもしれません。

                       2023,8,22

自然との戯れ

  昆虫採集に出掛けたと思われる親子が網をもって楽しそうに話をしながら歩いている。最近はあまり見かけない光景であるがなんとも微笑ましい。セミ、蝶、カブトムシ、バッタ‥‥、夏は多くの昆虫を見ることが出来る季節であり、昔は子供達だけで捕まえに出掛けたものだ。セミなどは捕まえて帰ったところで翌日には死んでしまったりして、子供ながらに可哀そうなことをしたと涙したこともある。しかし子供はそういう経験を通して命の大切さを学ぶものであり、塾通いよりも自然と戯れて学ぶ夏休みを過ごしてみては如何でしょうか。都会育ちの子供の中には、カブトムシは飼うものではなくて買うものとだと思っている子もいるというから、それだけ自然が失われコンクリートに囲まれた世界で過ごしているということにもなろう。頭でっかちな人間ではなく常に五感を働かせられる人間であるには、幼少期の過ごし方がの影響していることは間違いないであろう。

                       2023,8,21

集中力

  “事を成し遂げる秘訣は集中である”。先日入った地元の中華料理店の壁に貼ってあったカレンダーに書かれていた文言が気になっていた。アンデシュ・ハンセン著の「スマホ脳」にも集中力の低下について書かれていたからである。現在のデジタルライフではスマホの存在は欠かせなくなっているが、休日にスマホに全く触れない一日を過ごしてみると、なんとなく普段の頭“脳”とは違う状態を実感できる。仕事上の問い合わせメールの有無、LINEその他SNSが気になり、数秒も要しないスマホチェックに気を留めることもなく手を伸ばすこと自体、脳の集中力が一時的に途切れるのである。私は大丈夫と多くの方は思うかもしれないが、スマホ脳には、複数のことを同時にやろうとしているマルチタスク派の人は集中が苦手だという研究結果が載せられている。脳には、膨大な数の手順を同時に処置するという能力があるが、集中に関しては違う。集中する先を切り替えた後、再び元の作業に100%集中できるまでには数分も数時間も掛かるというのだ。経験上分かるような気がするのは私だけでしょうか。


                       2023,8,20

なぜ受験

  「先生のお子様は中学受験されないのですか?えっ、どうして受験しないのですか?」と数年前になるが患者さんから言われたことがある。別の患者さんからは、「金沢から引っ越してきたのですが、塾に行かせないと友達が出来ないって言うんです。先生~、東京ってそういうところなんですか?」。受験戦争と言われ始めたのはいつ頃からでしょうか。当方にとって子供の中学受験などは全く関心が無いことであり、なぜ受験させないのかと聞かれた時には逆に“何で受験させるのですか?”と聞き返したほどである。そもそも小学生が自分の意志で中学受験をしたいと言うのでしょうか。まあ様々な理由があって公立ではなく私立に進学されたいのだろうから他人がとやかく言うことではないが、親が勝手に創り出した子供の幸せ路線に子供が乗せられたとしたら、それは子供の意思が働いていないのだから、親の勝手な自己満足としか思えない。子供が集中して勉強に取り組む際に最大限のエンジンが掛るようにしておくことがベストであろう!


                       2023,8,19

日米の親子関係

  ご主人がアメリカ人の患者さんから、「日本とアメリカでは親子関係のあり方が違いますよね~」と言われ、どのように違うのか尋ねてみた。その方が言うには、日本では親子の一体感のような感情に重きをおいているのに対して、アメリカでは個人対個人の人間関係を親子関係の場合も重要視しているとのことである。アメリカでは10代の若者でさえ自分の意見をしっかり言える背景には、親が子供を個人として育てることに早くから心を遣ってしつけていることがあるのだろう。決してどちらが良いということではないが、子供を大事に育てるという共通認識に立てば、日本流もアメリカ流もバランスよく取り入れればよいだけのことであり、そこに優劣は存在しない。日本人のDNAともいえる奥ゆかしさと、オブラートに包むことなくストレートに表現しがちな(あくまでも当方の感想)アメリカ人とでは対照的ではあるが、それぞれの微妙な塩梅が良いことが何よりである。


                       2023,8,18

大渋滞

  日本の交通の大動脈である東海道新幹線、東名高速、新東名高速道路が寸断された。当方も京都からの帰路に新清水ー新富士間の通行止めで静岡市内で身動きの取れない状態となり、結局10時間以上の長旅となった。高速が駄目なら下道でと思い国道に降りるも考えることは皆同じで、長い駐車場がどんどん伸びていくだけとなった。迂回路を探すもどうにもならず、1時間以上もパーキングブレーキが入りっぱなしというのは初めての経験である。奏効している間に更なる大雨と雷、そして街灯も点灯され、車内ストレスも限界に近づいてくる。ここで数年前に中部縦断道が開通したことを思い出しスマホナビで検索すると、新清水が終点(起点)となっていることが判明し、急遽方向転換し、一路三角形の2辺を行くことにはなるが中央道を通って帰ることとなった。遠回りではあるが、動かぬ車で過ごすよりは車内の会話も弾み、途中どこかの花火大会で打ち上げられている大花火も観賞できるおまけもついた。当方家族は日を跨ぐことなく帰宅できたが、あの渋滞の列から逃れられない方々はどうなったのか。数年先にはドローン車が開発されて、鴈の編隊飛行のように空で車が連なっているようになっているのだろうか。科学技術の発達には恩恵も受けるが、どこか窮屈さも伴うようである。


                       2023,8,17

オンラインセミナー

  コロナ禍にすっかり定着した感のあるオンラインセミナーですが、当方にとっては今まで比較的時間を割くことが出来なかった基礎系を学ぶ非常に良いきっかけとなっている。常に気に掛けながらも日々の臨床に追われて結果的に後回しにしてきた弱点であり、今までの臨床の疑問を解くうえでは文献検索も含めて役立っている。臨床家にとってEvidence(科学的根拠)は欠かせないものだが、Evidenceがないのであれば臨床ができないというのであれば、実際の臨床は行えない。臨床とEvidenceの間に存在するのが経験値であり、一人ひとりの患者と真摯に向き合ってきた積み重ねがあるからこそ診えてくるものがあり、臨床医はそれをしっかりと目の前の患者に伝えることに責任がある。学生時代に基礎系を苦手としていたこともあるが、臨床経験が浅い時点では臨床と基礎を結び付けることに難儀していた自分がいた。が、今ではその基礎系を学びたいと身体が反応しているのだから、私もまだまだ伸びしろがある証拠か(笑)。今後もオンラインセミナーの予定が入っており、復習も兼ねて学び続けたい。

                       2023,8,16

スマホの存在

  台風の余波で日本の大動脈が大混乱である。前日の山陽・東海道新幹線の運休に続き、本日も大幅な遅延が起き、一部では3時間以上も車内で閉じこめられている。当方も新名神・新東名を通って帰ってきたが、途中静岡県の新清水ー新富士間の通行止めに遭い国道に迂回するもバイパス含め全ての下道が昇り方面は1時間経っても1っも動かない、まるで全ての道が駐車場と化した様相であった。京都から新清水まですでに6時間も経過しており、当方の腰にも違和感が出始め焦燥感も漂ってきた時、何年か前に開通した中部縦断道の存在が頭に浮かんだ。もしかしたら・・・、ここで文明の利器が威力を発揮する。距離的には三角形の2辺を移動することにはなるが、スマホナビ使って甲府経由で経路探索すると、約3時間で帰宅できることに。全く動かない車にいるよりは、地獄の渋滞を脱出することに家族も迷いはなかった。東海道から甲斐路を目指すことになるが、道中ある街の打ち上げ花火を車中から観賞できる偶然にもあい、一気に渋滞ストレスは解消に向かう。スマホがなければ道路探索も儘ならずにひたすら渋滞が解消するのを待つしかなかったことを思えば、手のひらサイズの頭脳には恐れ入るしかない。但し、迂回路選択では今回のコースは挙がってこなかったということは、その選択をするのは人間であり、最終的にスマホが決めるのではなく人間であるということを付け加えたい。

                       2023,8,15

心の貧困

  食材を買いにスーパーに出掛けると美味しそうな総菜から弁当など豊富に取り揃えてあり、全く料理などしなくてもお腹を満たすことが出来る時代である。夫婦共働きも当たり前の世の中で、男性が厨房に立つことも珍しくはない。SNSでは「グルメ」志向の人たちが、あちらこちらのお店や隠れ家をアップして、食の感想を述べたりもしている。少なくとも日本においては食で困ることはなさそうである。しかし、食べることに不自由はなくても「食生活は貧困状態です」と指摘する料理研究家がいる。どういうことか。ここで食生活が貧困だというのは、栄養が悪いということではない。心のこもった味わいのある食事を食べる機会が少ない、ということなのである。つまり、栄養には心掛けているにしても、微妙な味のために、心を使う、時間を使うということがなされていないというのだ。ものが豊かになったために全てが大味になり、心のこまやかさを忘れてしまって物事を落ち着いて味わうことを忘れてしまっていることを気付かされる指摘ではないか。飽食とは量のことであり、心のあり方という点ではむしろ貧困になりつつあるのがこの国の現状ではないでしょうか。

                       2023,8,14

子供の意思

  「まだ宿題を終わらせていないの!旅行に来たって塾のテキストは復習しなさいよ。何でいつも同じことを言わせるのよ!そんなんでは〇〇中学には入れないよ、まったくもう!」。先日立ち寄った喫茶店の中で聞こえてきたある親子の会話である、というよりも一方的な母親のヒステリックな口攻撃と言ったらよいのか。旅行先に来てまで親にそんな言い方をされたらせっかくの旅行もたのしくないだろうな。会話からすると子供の意思で中学受験をしたいと思っているようではないようである。他人様のことをとやかく言う資格は当方には無いことを承知の上で申し上げると、このような場面に遭遇すると、親として子供の幸せのためにと願ってしていることは、ほんとうに子供の幸せのためになっているのだろうか、と考えさせられる。なぜなら子供であっても人間として自分の意思を無視して押し付けられることは一番の苦痛であると思うからであり、親の考える価値観なり単純な幸福観を押し付けるのは如何なものかと考えてしまう。子供がその子なりに学んで成長していく姿を、そのまま受け止めていこうとする気持ちになること、待つということも親には必要ではないかと心に期するものがあるが、これも十人十色か。

                       2023,8,14

地球温暖化

  とにかく蒸し暑いとブログでも再三載せていますが、今年の夏ほど日陰を意識して歩いていることはない。それは外国人旅行者も同じようで、街中で見かける欧米人の方々は、顔を赤く火照らし玉のような汗を流して団扇を扇ぎながら建物の陰に隠れるように観光している。車に乗れば車載メーターの温度計は遂に40℃越えを表示していた。街中、海水浴場、近隣の公園など陽が降り注ぐところでは人出も少なく、今までの夏の光景とは明らかに異なる。今更言うことではないが、このよう状況に至った原因は地球温暖化以外の何物でもない。カナダでは今年だけで日本の国土の1/3に相当する山火事が起きており、制御不能状態で自然鎮火を待つしかないところもあるとのこと。火災による二酸化炭素も桁違いに発生していることが容易に想像できますから、まさに温暖化に拍車がかかる負の連鎖に繋がっている。野外で遊ぶことが危険な夏休みがこれからのニューノーマルになってしまうのか。世界中で議論などしている時間はない。行動あるのみでしょう。

                       2023,8,13

野球人口

  夏の甲子園球場が高校球児の全力プレーで盛り上がっているが、世間では子供達の野球離れに歯止めがかからないと日経新聞に掲載されている。当方の少年時代にはスポーツ店に入れば野球用品が売り場面積の半分を占めていたものだが、先日ランニングシューズの購入目的て寄った近くのスポーツ用品店では店の片隅で肩身の狭い思いをしていた。習い事や他のスポーツを選ぶ機会が昔よりも多くあることも大きな要因ではあろう。ただWBCの日本代表の活躍を見て野球を始めようにも、キャッチボールの出来る場所の確保もままならない都会では、草野球すら満足にできない。小学校の放課後にグラウンドを開放しているところはあるのか知り得ないが、良き指導者のもと厳しい練習だけではなく、楽しんで野球をするという時代に合わせた指導方法も求められてもいよう。あの孔子でさえ、“好む者は楽しむ者にしかず”と言っているわけですから。

                       2023,8,12

ネット情報

  日々ネット検索にいそしんでいたのだろうか。現在他の歯科医院で治療中なのだが、受けている治療に疑問があるので教えて頂きたいという問い合わせである。勿論お断りさせて頂いたが、歯科の専門用語を羅列してくるので正直辟易した。情報化が進む現代社会では、もはや表面知識を詰め込むことで物知りになったような気分にでもなるのだろうか。それ以前に疑問があるならなぜ治療を受けているドクターに尋ねないのかが当方には理解できない。あくまで想像ではあるが、質問も受け付けないような担当医であるならば、そのような先生に治療を任せた本人にも問題はあるのだろう。ネット社会では、ものによっては実体験もないままバーチャルリアリティーを体験することも出来るが、五感を働かせて生きてる社会とは同等ではない。生身の人間は、“Face to Face”の関係が基本であることは、時代がどう変化しようとも不変であるというのが私の意見である。

                       2023,8,11

故障

  突然我が家のエアコンから異音が聞こえたので念のためフィルター掃除を行うも改善はみられず、メーカーの診断を受けると原因ははっきりはしないとのこと。購入から15年は経過していることから、そろそろ買い替えをされてはどうかと提案を受けることに。因みにメーカー保証は10年までなので、10年を過ぎると部品交換もできなくなる可能性があるのと、電気系統に発火の可能性が出てくるとの指摘も受ける。この夏の異常な蒸し暑さはエアコンなしでは到底生活を送れないことを考慮すると、運転停止する前に新しく購入することを決断し、最寄りの量販店に行くことにした。店員からは展示されているエアコンは殆どが省エネタイプとの説明を受けるも、少なくとも15年前のエアコンよりは全ての商品が省エネになっていますと言われ、妙に納得した。形あるものはいつかは故障するものだが、何の前触れもなく動かなくなるのだけは避けたいものである。

                       2023,8,10

まさかの資金難

  国立科学博物館が資金難に陥ったというニュースに驚かれた方も多かったのではないでしょうか。クラウドファンディングで目標額の1億円が一日で集まったことにも驚いたが、そもそも国の文化施設保存に対する認識はあまりにも低すぎるとしか思えない。国の政策において、とにかく結果を求めるような姿勢が気になる。国立大学の学部においても文系より理工系学部の増設を行い、低迷する科学技術立国を再興させるという名のもと、経済力と結びつく分野を強化させたいという思惑なのだろう。但しよく考えてもらいたい。教育現場では子供達の国語力が低下の一途を辿っている。先ずは興味、関心を寄せることのきっかけとなる施設に足を運び、そこから学びの芽が出ることもあろう。すぐに金にならない文化や研究を軽んずる政府の姿勢に、ノーベル賞受賞者からも再三批判が出ている。20年、30年先の日本が国としてしっかり存続するために今やるべきことはなにか、国会議員及び官僚の皆さん方には、これ以上国民が自分の脚を食う羽目にならぬよう頭ではなく心を動かして頂きたい。

                        2023,8,9

コミュニケーション

  人は言語的なやりとりだけではなく、言葉では伝えられない微妙なニュアンスを、表情や目の動き、身振り、声のトーンといった非言語的なやりとりでコミュニケーションをとり、それを正確に読みとることで、相手の気持ちや意図が分かる。そこにペーパー試験で高得点を取る能力などは関係はなく、偏差値が高いからと言って社会的コミュニケーション能力が高いとは限らない。以前法務大臣を務めた国会議員がいたが、質疑応答においてピント外れの答弁しかできず、それも官僚の用意された文面を読むことしかできない、なぜ大臣になったのか首をかしげたくなる方がいた。このような方は全くと言っていいほど社会的コミュニケーション能力が欠如していると私には映った。チームで仕事をする場合にこの社会的コミュニケーション能力は重要であり、これがなければ一緒に何かをしようとしたり、同じような気持ちになったりすることは無理ではないかと思うのだが、この能力は意識して鍛えることが出来るものなのだろうか。

                        2023,8,8

あきれた政治屋

  贈収賄疑いでまたもや国会議員が叩かれているが相変わらずの癒着の構図である。どんな志をもって国会議員になったのか尋ねてみたい。報道されていることが事実だとすれば、国民の信頼を食い物にする相当な悪代官だろう。このような事案が報道されるたびに思うことは、自己修養とかけ離れた人間がなぜ議員に選ばれてしまうのかという疑問である。結局は議員だけではなく選挙民である我々の問題でもあろう。議員を選ぶ選考基準をどこに置いているのか。国は民度が下がれば滅びるだけである。そんな危機感が今の日本人にはない。疑惑を持たれている議員はお金になると考え風力発電に係る法案の修正を迫ったのだろうか。環境にも優しい、明るい未来の礎になるなどと心にもないことを議員バッジを付けてよくも言えたもんだ。国会議員を先生と呼ぶことに違和感はあるが、仮にも先生と言われるのであれば、どの議員さんにも先ずは身を正すことから始めて頂きたい。

                        2023,8,7

スマホの功罪

  以前トレッキングをした際に目にする高山植物の名前が分からず地元の人に尋ねたこともあったが、今ならスマホさえあれば「グーグルレンズ」で分かってしまう。このようにITのお陰で疑問が浮かんだらネットにさえ繋がれば、直ぐに調べて解決が出来てしまう。外国語にしても分厚い辞書を持ち歩かなくてもスマホで事が足りてしまう。何せスマホで読み取れば翻訳までしてくれるのだから、非常に効率は良いはずである。一方で簡単に分かりすぎて身に付かないのではという心配もあるが、それは本人次第というところか。朝起きたら新聞よりスマホ、昼食前にスマホ、移動中にスマホという方も多いことでしょう。便利さのあまり、スマホに支配されてしまわぬよう心掛けなければなるまい。

                        2023,8,6

失敗は成功の基

  世界の誰もやったことがない目標に挑戦する心意気をもった人たちのスタートアップ企業に魅力を感じる。失敗をしてもそこまでの過程を分析し、次につながる失敗であればそれは決して失敗ではない。今の日本に必要なのは、失敗が許される社会、失敗を受け止める社会の寛容さではないか。東京大学の柳川範之教授(経済学)は「失敗を奨励する文化が必要だ」と述べている。スポーツにおいても無謀なトライは許されないが、積極的なプレーに出たうえでの失敗は評価される場合が多い。常に正しい答えが出せて間違えない人間ばかりを求めていては、独創性に富んだ人間は潰されてしまう。時代は変わりつつある。完成は成長ではなく停滞の始まりかもしれない。成就しないことが人を前進させる。他人が決めたことではなく自分で決めたからこそ挑戦も出来るし失敗も受け止めることが出来るというものだ。大小含めて日々決断の連続である。老若男女問わず常にチャレンジ精神を持ち続けようではありませんか。

                        2023,8,5

仕事とは

  仕事は何のためにするのですか?この素朴な質問に皆さんはどのように答えますか?今の私は歯科医として遣り甲斐を感じて仕事に従事させて頂いていますが、歯科医療に携わる仕事をしたくて歯科医師になったわけではありません。医療には関心をもっておりましたが、膝の違和感を抱えながら整形外科に通院するものの、決して良くなるわけでもなくそのまま中学、高校時代を過ごしたことが漠然と医者にでもなってみるかという動機になった程度のものでした。人生の折り返し地点を過ぎたものとして思うことは、仕事というのは「好きな仕事に就く」か「就いた仕事を好きになる」の二つに一つしかないということです。そして仕事に対する熱意、熱量の大きさが仕事の充実度に繋がるのでしょう。スポーツ選手にしても、アーティスト、経営者、学者などにしてもそうだと思うのですが、一流と呼ばれる人は、持って生まれた資質と、超人的なものすごいトレーニング、鍛錬を経て、強さと同時に高い人格を併せ持っている。そうすると、仕事は仕事を通して人格を高めるということになりますかね!

                        2023,8,4

リーダー論

  仕事をするうえでリーダーはどうあるべきか。高度経済成長期が終焉し、失われた20年、30年と言われ始めてから経営者、トップに立つべき人とは、などをテーマにした記事や書籍を目にする機会が多くありました。当方も開業して20年が経過しますので、臨床とは別に経営者としてあるべき姿は常に模索しており、未だその解はありません。あるがままの自分で、自然体でここまで歯科医療に身を投じてきたというのが本当のところです。歯科臨床は先達の教えから学んだこと、論文から得た知識を現場(臨床)で発揮して初めて役立つものであり、そこは真摯に取り組まなければなりません。同時にスタッフとのチーム医療でもありますので、スタッフ教育も欠かせません。では何を当方は教育してきたか。振り返ると特別なことはしておらず、あえて言えばコミュニケーションを取ることを重視してきました。そこには人生観や趣味の話を交えて、なるべくユーモラスな語り口を心掛けています。なぜなら胸襟を開いて話が出来るスタッフでないと、仕事に本気で向き合えないからでしょう。これが自然体という私なりのリーダー論かも知れません。

                        2023,8,3

人間ドック

  明日は年に一回の人間ドックを受ける日であり、前回よりも数値がより良くなっているかどうか楽しみでもある。毎年標準値内の結果ではあるものの、少し高めの結果があると自分としては納得がいかない部分と、今後の体調管理を行う上ではモチベーションアップにもつながると、前向きに受け止めるようにしている。患者さんにお伝えすることでもあるが、健康を維持する一番の方法は規則正しい生活習慣とバランスのとれた食生活習慣であり、本人にとっては今まで当たり前のことであったとしても、調べてみるとかなりの偏食だったということは珍しくない。そもそも身体にとって不必要なものを摂らなければ食事で不健康にはなるまい。先ずは明日、一年間の健康管理の通知表を頂くような心持で行ってきます。

                        2023,8,2

日々の感染予防は?

  人の意識はそんなものか。当医院の入り口に設置してある手指消毒剤の残量がほとんど変わらない。コロナ禍の時の感染対策は全て人々の意識から解除されてしまったようである。銀行や店舗の入り口にも手指消毒剤は置いてあるものの、多くの方は素通りしているのを見かける。5類への移行、そしてこの猛暑の影響もあって電車内や人込みでもマスクの装着率は軒並み低下しているが、東京都が公表した都内のコロナの感染状況を評価するモニタリング分析によると感染者数は増加しており、専門家も「患者報告数は引き続き緩やかに増加しており、今後の動向に十分な注意が必要」と分析している。再びコロナ禍のような状況に陥らないためにも、日頃の感染予防には格段の注意を払いましょう!

                        2023,8,1

連日の猛暑

  全国各地で威勢よく花火が打ち上げられて夏本番を感じると言いたいところだが、今年の夏はすでに昼も夜も出口のないサウナにいるようである。福島県では夏を彩る伝統の祭り「相馬野馬追」が行われていたが、あまりの暑さに今後の開催時期を検討し始めるとのことである。旗をなびかせ颯爽と駆け抜ける騎馬武者を演じる方、それを観戦する観客の方々も皆茹で上がっているようである。恐ろしいのはまだ7月で、最も暑い8月は明日から始まることだろう。猛暑に慣れてくると、気温30度ぐらいでもそれ程暑くないと暑さに麻痺するような感覚が芽生えてくるから危険である。年齢に関係なく連日死者も出ていることから、自分は大丈夫という過信は禁物である。神戸では散水車が六甲の水を市内の道路に撒いて、路面温度を下げる取り組みをされている。各家庭で日本の伝統でもある打ち水を行ってみては如何でしょうか。


                        2023,7,31

沸騰する時代

  朝から外気の湿気と25度を超えている状態はもう珍しいことではなくなるのか。国連のグテレス事務総長は「地球温暖化の時代は終わり、地球が沸騰する時代が来た」と述べた。欧州や北米を熱波が襲い、カナダやギリシャでは記録的な山火事が現在進行形で続いており、日本でも連日の猛暑日で小学校のプールを開放できないところが続出している。ここ数年は世界各地で気象災害が頻発しており、コントロール不能な自然現象に人間は無能である。10年に一度の災害から50年、100年に一度の災害になる恐れがあるなどと、気象予報で使われる表現も短い期間で変化してきており、既に異常気象がニューノーマルになってしまっている。各国の思惑もあり遅々として進まない地球温暖化対策は、声明だけを読み上げる掛け声倒れになっている。明日以降も全国各地で今年の最高気温を更新するのではないかと報道されてあり、外出するだけで命の心配をしなければならない映画“復活の日”が現実味を帯びてきたか。


                        2023,7,30

世間の評価

  「歯医者はむし歯が減って収入源がないからインプラントやする必要もない歯列矯正を勧めるんだよね~。どこの歯医者も一緒だよ!」とは、お世話になっている方との会食で入った店にいた客の会話である。世間話で歯医者が話題になっていい話というのはあまり聞かないような気がするが、当医院にお越しになられる方のお話を伺っていると、それも致し方がないのかもしれないと思わされる場面が多い。「左下の奥歯を抜かれた!」「抜いてインプラントを勧められた」「希望もしていないのに高いセラミックの被せ物を勧められた」などの患者さんの言葉には、治療を受けたドクターへの不信感しか伝わってこない。説明が足りない?質問をしにくい?自費の治療だと悪くならないの?歯医者も患者も治療のことばかり考えて、なぜそのような状況になってしまったのかという原因にフォーカスを当てることをしないのか不思議である。過ぎてしまったことを知ったところでどうにもならないとでも思うのだろうか。原因があるから結果があり、逆も然りである。先ずは現状と、現在に至った考えられる原因を突き止めなければ、いくら治療を受けても同じことが繰り返されるのは至極当然ではないでしょうか。治療をするための歯科医院通いではなく、治療を受けなくても済むような歯科医院に通うべきである。


                        2023,7,29

好む人より楽しむ人に

  「オオタニサン、ワオ!」。毎日と言ってもいいほどMLB大谷選手の活躍がニュースで報道されている。今日はダブルヘッダーの第一試合で1安打初完投、初完封、続く第二試合では2打席連続ホームランという離れ業を当たり前のようにやってのけている。これだけ二刀流で活躍すると、彼が躍動すればするほど他の選手の価値を下げてしまうのではないかと妙な心配をしてしまう。ヤンキースでワールドシリーズMVPを獲得した松井秀喜選手や、262本の最多安打を記録したイチロー選手の功績も霞んでしまいそうである。日本人離れした立派な体格も然る事ながら食事を含めた徹底した体調管理は、一般人の我々でも見習うべきところは多くありそうである。WBCの試合中もそうだったが、とにかく野球を楽しんでプレーしている姿が印象的であり、知ることよりも好む人の方が、そして好む人よりも楽しむ人の方が人は才能を発揮することが出来るといった論語の教えを体現しているようである。子供だけでなく我々大人も日々成長するように精進しなければなりませんね。


                        2023,7,28

カブトムシ

  最近の都会の小学生はカブトムシやクワガタを捕まえたことがあるのだろうか?この時期はクヌギの木の根元付近や緑のある公園の街灯下の草むらなどにいるものである。我が家では子供が小学生の頃には夏休みになるとカブトムシがいる秘密の森まで早朝に出掛け、捕まえた番いを飼って成虫まで育てさせ、翌年クヌギの木があるところまでに放しに行った。子供にとって卵が孵化して幼虫になり、成虫になるまで観察することは、教科書やYou tubeでは得られない驚き、感動、喜びがある。6月ぐらいには成虫になったカブトムシが飼っている容器のふたを開けてしまうぐらい力強い動きをするようになる。ある日には、家の中で奇妙な音がするので静かに廊下に出てみると、フローリングの上でひっくり返っているメスのカブトムシがいるではありませんか。何をしているのかと観察していると、床で滑って状態を立て直すことが出来ずにもがいている。そんなカブトムシを優しく掴んで愛おしく見ていた子供達もいつの間にか大きくなってしまって‥‥。なぜかちょっとしたノスタルジアに浸ってしまった。


                        2023,7,27

良識ある行動を

  当方の両親が秋田県出身であることもあり、幼少の頃から東北方面に行く機会に恵まれ、この時期には仙台の七夕祭りなども数回出掛けたことがある。秋田の竿灯まつり、青森ねぶた祭、弘前ねぷた祭の知名度は全国区でもあり、インターネットポータルサイトによる行ってみたい日本の夏祭りランキングでは、いずれも上位を占めたそうだ。今夏はどこの観光地も人が溢れ嬉しい悲鳴のようだが、新型コロナは未だに健在であり、危険との隣り合わせの夏の風物詩である。当医院においてもコロナに感染したことによる当日キャンセルが出てきており、猛暑日の続く毎日では免疫力も低下し感染しやすい状態の方もおられよう。海外脱出組も含めてコロナ禍以前の当たり前がよみがえる今年の夏は、各個人の良識ある行動にコロナ対策が委ねられている。

                        2023,7,26

夏の甲子園

  夏の高校野球の予選が各地で繰り広げられているが、猛暑による影響を伝える報道が目立つようになってきた。そんな中、過去に夏の甲子園で勝負を避けられ5打席連続敬遠を経験している松井秀喜さんが、あるスポーツ紙のインタビュー企画で高校野球改革に言及していた。当方の高校は甲子園に手の届くようなチームではなかったが、それでも2試合連続の練習試合で連投などすると、肩やひじに違和感や痛みを覚え、それを監督に言えずに無理しながら投球をしていた記憶がある。今の時代とは違い根性論が当たり前の中での部活動でもあったので、我慢、弱音を吐くな、1000回素振りを終えた者から練習は終わりだ、などと言われてもそれに従って夜遅くまで居残り練習もしたものだった。松井さんは、「地方予選は6月から」、「夏の甲子園は2部制に」などと、酷暑と選手を守るための大胆な日程変更の提言をされている。大いに賛成であり、このような方が旗振り役で改革を進めて頂かなければ、日本の組織の特徴である、何か大ごとが起きてからでない重たいと腰を上げないのではないでしょうか。今年の夏は今まで以上に異常な猛暑日が続いており、選手の命を守る行動が求められている。

                        2023,7,25

新社会人

  人として発展途上にある当方が、人を指導することなどできるのかと常に自問自答している。当医院には4月から新卒の歯科衛生士が勤め始めたが、彼女にとっては社会人としての第一歩が当医院になるわけで、ここでの学びが彼女の人生の礎になると考えるのは大げさかもしれないが、毎日の接し方は真剣勝負である。親子ほどの年齢差のある若者に、社会人として最低限のマナーを身に付けることは仕事だけではなく、これから先の人生においても避けては通れない。本来ならば、挨拶、返事、ほう・れん・そう(報告・連絡・相談)などは職場で躾けるものではないと当方は以前から思っているが、今の新社会人にとっては電話一つきちんと受け答えをすることが儘ならないと聞く。声を出して意思表示するよりも、文字を打ち込んでやり取りする方が、相手の顔が見えない分気楽なのだろうか。人は常に五感を働かせて生きている動物であり、日頃から内省し自分を掘り下げて考える習慣の有無が、人としての成長の差になって表れているように思えてならない。

                        2023,7,24

電子書籍

  本を読むのは紙媒体がやはり良いなどと思っていたが、ある新聞のコラムを見てハッとさせられた。障害があり、読みたい本のページをめくることが困難な人にとって電子書籍は活字文化を享受できる唯一の媒体であることを恥ずかしながら知らされた。誰一人として好んで障害のある体になったのではない。また今は健常者であっても、いつ同じような境遇にならないとも限らない。芥川賞を受賞された市川さんの指摘は鋭い。目が見える、本が持てる、ページがめくれる、読書姿勢が保てる、書店へ自由に買いに行ける、などは健常者の特権であるという。障害のある人たちが求めるものは制度や法律よりも身近な人の寄り添う心の在り方であり、健常者を前提とした社会の仕組みも更なる改善が求められよう。

                        2023,7,23

脚力アップ

  猛暑の中、無理のない範囲で出勤前の20分だけのジョギングでも汗をかくと爽快な気分になるが、日曜祝日と違うのは時間を気にしながら走ることであり、それが返ってペースアップになることもある。昨年から傷めている種子骨炎は仲良く付き合っていくしかないようで、これが完治したら・・・などのたらればを言っても仕方がない。スポーツトレーナーからはランニングの中で短距離のダッシュを組み入れて、高負荷トレーニングにて脚力を補うことを勧められている。しかしランニングに必要な脚力はおおむね50代中盤を境に大きな変化があるようで、この年齢からはどれほど鍛えても脚力の維持はかなり難しくなるとも言われている。ただ同学年のカズこと三浦知良選手はポルトガルのチームとの契約が更新され、戦力として活躍が期待されているところをみると、走力を維持する秘密の方法でもあるのだろうか。プロトレイルランナーの鏑木毅さんの記事では、鍛錬のやり方次第で、毛細血管や脂肪燃焼効率などの発達で補完し、走力を維持できるとの希望の持てることが記載されている。加齢により脚力が衰え、回復力が遅くなってもレベルアップできる効率的なトレーニングメソッドを追い求めることが、今は楽しみとなっている。

                        2023,7,22

時の流れ

  来院する子供たちが皆笑顔である。なぜなら夏休みが始まったからだ。「〇〇から広島のおじいちゃんのところに行くんだ~!」、「友達と波のプールがあるところに行く予定です!」などと元気な声を聞くと、当方も小学生の頃はそうやって夏休みを楽しみにしていたな~なんて一瞬タイムスリップしている。大人の方であれば誰もが経験しているであろう子供の時の時間の流れがゆっくりだったことを。大分遠い記憶で定かではないが、小学一年生の時の夏休みが振り返ってみると毎日が長かったように思う。以前ある国立大学の学長が入学式のあいさつの中で、「周りの世界が見慣れたものになってくると、時間が早く過ぎ去っていくように感じられる」と語っていた。学長が新入生に伝えたかったことは、常に新しいことに興味を持ち、新しいことを学び続けることで見慣れた世界ではなく、創造的な思考を育てることに繋げてほしいということである。SNS,スマホに大事な時間を奪われることなく、自分で時の流れを遅くしてみる夏休みの過ごし方は如何でしょうか。

                        2023,7,21

寛容の精神

  「愛というのは、その人の過ちや自分との意見の対立を許してあげられること」ー。クリミア戦争で多くの命を救ったナイチンゲールは、こう書き記している。今この瞬間もウクライナでは無意味な戦闘が起き、国民は無慈悲な仕打ちを受けている。同じ人間がどうしたらあのようなミサイルや爆弾を人がいるところを狙って打てるのか。人の死を何と思っているのか。「私は地獄を見た。私は決して忘れない」。白衣の天使の言葉である。我々は国を選んで生まれてくるのではない。同じ地球上に住む者同士、なぜ争いごとをしなければならないのか。メディアを統制し、嘘も隠し通せると思いこんだ愚かな指導者たちに共通していることはエゴであり、寛容の精神を説く看護師とは対極にある。ナショナリズムとポピュリズムが世界にあふれ、平和と安定を考え抜く政治家はどこにいるのかいないのか。ナイチンゲールを知らない政治家はいるまい。彼女の言葉を今一度思い出していただきたい。

                        2023,7,20

溌剌颯爽

  組織の大小にかかわらず、そこで働く人間は常に“溌剌颯爽”であることが求められる。いつも気持ちをさわやかにしておく、爽やかな気分でいることで、心の雑草を抜き取り、心に花を咲かせる。そういう人たちの集まる職場は笑顔が絶えない。これは家庭でも同様であり、朝から挨拶もなく、親子の会話もないような家庭からは何が生れるのか。先日来院した小学生に「こんにちは!」とこちらから声掛けをするも「‥‥‥」。「〇〇ちゃんは挨拶もできないのかな?」の問い掛けにも「‥‥‥」。トレーニングが終了して母親の待つ待合室に行くも、母親から話しかけるわけでもなく子供も黙ったままである。余計なお世話かも知れないが、お子様からは子供らしい表情の豊かさは伝わってこず、靴下のあまりの汚れ具合も気になるところだ。プライベートな問題には我々が介入できるものではないが、暗い表情からは何も生まれず、何も変わらない。せめて子供の前では、負のオーラをまき散らすことだけは親として止めてもらいたい。心田を耕すためにもこの親子には“溌剌颯爽”の境地が求められよう。

                        2023,7,19

高学歴とは

  高学歴にも拘わらず、社会に出てから周りが期待したような働き方をしていない人は意外と多くいると聞く。そもそも高学歴は何かを保証するものなのか、高学歴でないと何か不都合でもあるのか、という疑問は皆さんありませんか。巷で言われる高学歴とは、俗にいう偏差値が高い高校、大学を卒業していることを示すものと理解しているが、ペーパー試験を上手く潜り抜けてきた集団とみると語弊があるだろうか。兎に角内容を覚え、それを何かに活用するのではなく、ただ試験をパスすることのみに集中している言わば「うわべだけの学習者」では、社会で対応を求められる想定外の出来事などに出くわすと、創造力や発想力を働かすことに不慣れで、その方自身がフリーズ状態になってしまうのではないか、などと考えてしまう。勿論一括りにはするつもりは毛頭ないが、社会生活を営む上で大切なことは、学歴の有無ではなく、想像力豊かな柔軟性をもった学ぶ姿勢ではなかろうか。人は誰でも“面白い”と感じる疑問や問題に取り組むときに、深い学びを感じるものであり、そのような経験を積むことが長期的な人間の成長には欠かせないのであり、家庭や教育現場でも子供達の内発力が芽生える環境づくり、待つという時間も必要だろう。

                        2023,7,18

海外旅行

  当医院にお越しになられる方と話をしていると、この夏に海外旅行に出掛ける方が結構いらっしゃる。ある方は、「行き付けのイタリア料理店のマスターからトスカーナ地方のワイナリー巡りのお誘いを受け、ちょっと費用は掛かるのですがコロナ中に海外に行けなかったのでその分だと思っていいかなあということで2週間行ってきます」とのこと。他の方もこの3,4年は海外に行けなかったのでという理由が多い。今は円安の影響をまともに受けることもあり、円が強かった時を知る人にとってはため息が出るに違いない。当方が結婚した頃は1ドル89円であり、“ジャパン アズ ナンバーワン”と言われた時代である。今朝も横浜界隈を走ってきたが、海沿いを散策する外国人観光客と思しき家族や、朝から開いているレストランが外国人で埋まっている光景を目にした。当方も夏の欧州に久しぶりに出掛けたいものだが、当分は我慢の時期が続きそうである。

                        2023,7,17

体年齢とランニング

  早朝6時過ぎであれば暑さもそれほどではないと侮ってはいけなかった。連休でもあるのでいつもとはコースを変えてランニングに出掛けたが、ストレッチを行っている時点で汗ばみ、約1キロ過ぎたあたりで玉のような汗が早くも頬を伝って来た。横浜港、赤レンガ倉庫付近までは約10キロの距離にあり、当方にとっては60分を目安に走るコースではあるが、途中歩くランナーを何人も見かけるほど容赦ない日差しがペースアップを阻むこととなった。無理は危険だと承知はしているものの、体力の消耗は自分の感じる範囲では無かったので、目的地まではウォーキングに切り替えることなく辿り着いた。走り終えればいつものように達成感と爽快感に満たされ、水道の蛇口をひねることで今日のトレーニングが完結する。脚の状態は万全ではないものの、うまく付き合いながら過ごすことをこの年齢になると学んでいる。最近の体重計は各社メーカーともBMIや体脂肪、体年齢なども表示され、ランニング継続の一つのモチベーションにはなっている。但しどこまで数値を信用して良いものか、さすがに体年齢が39歳と表示されると自慢ではないが疑いたくもなる。

                        2023,7,16

栄冠は君に輝く

  猛暑が続くなか、当医院まで足を運んでくださる皆様には“本当にお疲れ様です”と申し上げたい。室内のエアコンの設定温度を下げてはみるものの、あまりの外気の暑さと日当たりの良さが災いして冷えるという室温までにはならないが、汗をかくことにはならないので先ずはご容赦願いたい。暑さと言えば、全国各地で繰り広げられている夏の高校野球地方予選は熱気を帯びてきており、強豪校の敗退が早くも報じられている。本日お越しになられた方のご子息はその強豪校の一つである野球部の選手であり、親御さんが言うにはあと2回勝てばもしかしたら・・・という可能性もあるような話しぶりであった。当方も高校までは硬式野球を続けてきたので、この時期の高校球児の話題になると熱く語ってしまい、治療時間が短くなってしまうこともないわけではない。本日最後のお越しになられたご婦人は、高校時代は野球部のマネージャーをされていたというのでこれまた昔話も含めて話が盛り上がってしまった。甲子園を目指した青春時代から30数年が過ぎようとしているが、想いと心は直ぐにでもあのグラウンドに戻ることが出来る。栄冠は全国の高校球児に輝く!選手の皆さん、一球入魂!ファイト!

                        2023,7,15

プレゼンテーション

  久しぶりに講演の依頼を頂き、今まで私が辿ってきた歯科医療と経営について話をして欲しいとの趣旨である。近頃はプレゼンテーションも魅せるプレゼンを良しとする演者もいるが、スライドに気を取られるあまり肝心の要点がボケたりする講演内容だったりすることもないわけではない。話の内容にメリハリがあり、聴衆を惹きつける語りができれば、そもそもスライドなんてなくてもいいわけである。世の中にPower pointが出現するまではホワイトボードが主役だったのであり、身振り手振りも交えて語ったこともある。当方は学生時代のノートの取り方が得意ではなく、振り返ると聞き逃すまいと全てを書き取ろうとしていたきらいがあり、その結果要点を絞れずにテスト前には要領の悪い勉強の仕方を余儀なくされた。あの外山滋比古先生は次のように語っている。「講演のノートを取るというのは、まことに愚かなことですよ」つまり、読んだものや聴いたもののうち、自分に必要なものは自然に頭に残るというわけです。話し手が本当に伝えたい大事な話はスライドを使わなくても伝わるし、ノートを取らなくても理解できるのです。そうでなければ大事な話にはならない。さて今度の講演では、果たして何枚のスライドを作成することになるのだろうか。


                        2023,7,14

セキュリティ対策が必要のない社会に

  職場の周囲を歩いていると、セキュリティ対策がされてると思われるステッカーが貼られている家が多いことに気付かされる。セキュリティ対策をしなければ安心して住めない国になってしまった日本よ、本当にこのままでいいのか。犯罪件数が増え、凶悪犯罪が当たり前のように報道されている現状を目の当たりにして思うことは、罰則を強化したところで犯罪が減るわけではないということ。犯罪を犯すような人間を世の中に創り出さないために先ずすべきことは、教育の立て直しであろう。本来教育とは学校で躾けるものではなく、各家庭の躾によって生き方の基本が沁み込まされるものである。家の玄関から周囲を取り囲むように監視カメラが設置され、街中の電柱にも最近では設置されるところが多くなっている。これではまるで監視国家であり、某国のようではありませんか。20年、30年掛けてでも、失われた日本人の心を取り戻し、向こう三軒両隣、多少の失敗ぐらいは許せる寛容の心をもって子供達を社会全体で見守り育てる環境を作り、利他の為に働くことが自分を成長させることになるという当たり前のことが分かる社会にしなければならないでしょう。

                        2023,7,13

無料塾

  経済的な理由で塾に通うことが難しい子供達を対象に、無料で勉強を教える「無料塾」の取り組みが注目を集めている。NPO法人などの団体が運営し、「親世代の収入格差を次世代の学力格差にしないためにも、子供達に寄り添って勉強を教えてあげたい」との思いで、社会人や学生がボランティアで講師を務めるという。人の善意が集まることで、学習意欲はあっても家庭の事情で塾に通えない子供達の可能性を伸ばすことが出来る素晴らしい取り組みだ。行政からの補助金などは受けずに企業や個人から寄付を募って運営しているという。思いはあってもなかなか出来ることではあるまい。塾通いの有無だけが未来の学力格差と関係しているとは思わないが、子供の勉強する意欲を引き出す切っ掛けにもなる話題だけに、何らかの形で協力していきたい。

                        2023,7,12

命名

  皆さんはご自身の名前の謂れはご存知ですか。最近のお子様達の名前の読み方が難しいのでフリガナがないとお呼びできないことがあるなど対応に困る場面が当医院ではあるのですが、学校の先生方も間違って名前を呼んでしまうことなどないのでしょうかね。愚息の中学の部活仲間の名簿を見たところ、間違わずに読めた名前は約1/3しかなく、私の語彙力が無いことを差し引いても非常に読み難いし凝り過ぎているとしか私には思えない。子供が生まれて親の思いを込めて命名するにも、敢えて人名事典などから探すようでは如何なものかと当方は考えてしまう。相方とそれぞれが歩んできた人生経験の中から浮かんできた名前を付けるから名前の謂れ、意味があるわけで、まさか今ではネットで人名を探すなんてことになっていないか。まあ人様のことだから当方には関係のないことではありますが、子供の名前ぐらいはじっくりと自分を掘り下げて考えるぐらいの余裕が欲しいものです。


                        2023,7,11

代表的日本人

  「士は以て、弘毅ならざるべからず。人重くして道遠し。人以て己の任と為す、また重からずや。死して後やむ、また遠からずや」。ちょっと難しいですが、これは約2,500年前の孔子の晩年の高弟である曽子の言葉であり、大意は「人の道のを求めるという志のある者の見識や努力は大きく、特にその意志は強固でなければならない。その負担は重く、達成までの道程は遠く、時間がかかるからだ。ことに仁の実現、これは実に重い。死ぬまで続くのだ。これほど遠い道があるだろうか(致知出版社より)」です。先日久しぶりに書棚にある「代表的日本人」を手に取り読んでみた。以前ブログのも載せましたが、ケネディ大統領は大統領就任時の各国記者団との会見で、日本人記者からの「日本で尊敬する政治家は誰か?」との質問に、「Yozan Uesugi」と答えています。それは曽子が孔子について述べた前述のことがそのまま当てはまる上杉鷹山の一生に、ケネディは感動したと言われています。内村鑑三が日本と日本人について世界の人々に正しく理解してもらいたいと考え書いた『代表的日本人』を是非とも皆様にも目を通して頂きたいと存じます。

                        2023,7,10

ゲノム医療

  ゲノム医療法が今年の通常国会で成立したことで、情報の管理や使い方について国がルールや基本計画を作り、安心して医療が受けられるように形式的には成りました。敢えて形式的としたのは、情報漏れは世の中のセキュリティ対策がどんなに進んでも起きているからであり、100%守り通すことには限界があるのではないでしょうか。そもそもゲノムとは何なのか。ネット検索すれば直ぐに調べることが出来ることかも知れませんが、私たちの身体の中では2万から3万個ある遺伝子が働いており、その遺伝子は我々の身体が健康を維持できるように必要なたんぱく質を作る設計図となります。また病気にもかかわってきて、癌は遺伝子に傷がついて正しく働かなくなった細胞から発症します。従って、遺伝子の傷を治したり、必要な機能を加えたりすることが出来れば、癌の治療に繋がり、このような診断・治療を行うことをゲノム医療と呼んでいて、実際に治療が始まっています。未知の領域が分かってくることは医療にとっては画期的な進歩ではありますが、道徳・倫理の問題も今後起きてくることは十分に予想されることです。社会全体が情報に支配されている中において、我々には休息と人としての時間を確保することが必要です。


                        2023,7,9

分解の醍醐味

  知人が動かなくなったドラム式の洗濯機を分解し、壊れたパーツをAmazonで取り寄せして修理した画像をFacebookにアップしていたことがあり、よくもそこまで一人で出来るものだと感心したことがあるが、最近はスマートフォンやパソコンなど身近なデジタル機器の分解や、内部にある部品の観賞を楽しむ人が増えているそうだ。思い起こせば当方も子供の頃に壊れた時計やテレビなどの電化製品を分解して、中にある強力な磁石を取り出したりしたことがあったので、デジタルネーティブ世代の若者にとってはアナログ機器がデジタル機器に変わっただけのことかも知れない。全く関心のない方にとっては時間の無駄になるようなことであっても、「ブラックボックス」の中を覗いてみたいという好奇心があるところに私は二重丸を与えたい。そういえば、職場に複数あるプリンターの一台がインク漏れを起こしており、時間のある時に購入先に修理に持ち込む予定にしているが、ここはひとつ分解をしてみるか?とはならないのは好奇心が衰えてきたのか、それともただの面倒くさがり屋だけのことか。どなたか分解修理してみますか??


                        2023,7,8

治療嫌いとカウンセリング

  数年ぶりの歯科治療に緊張した面持ちでお越しになられたご婦人がいらっしゃる。「緊張します。わたし、歯の治療が本当に嫌なんです。痛くないですよね~??」、「〇〇さん、歯の治療を楽しみにしてくる人なんて一人もいませんよ!麻酔しますから痛くありません。もしも途中で痛みを感じるようでしたら何かサインを下さい。痛みがあるのを我慢する必要は全くありませんので‥‥」。この方の表情からは、歯科治療を怖がるような雰囲気は全くないのだが、過去の治療のトラウマがあるのだろうか。いざ治療を始めると想定外に感染歯質が深くまで認められ、神経ギリギリのラインまで削合する必要のある状態であった。治療後には治療途中に撮影した画像をお見せしながら治療内容の説明をさせて頂き、次回以降の治療の進め方の説明となる。咬み合せが原因で奥歯の治療を繰り返す方が多いと当方は診査診断する機会が多いのですが、素人にとって咬み合せ云々は非常に分かりずらい。ですから当医院では、治療に入る前のカウンセリング時に、ありとあらゆるスライドを用いて説明させて頂いて入る。治療も大事だが、患者自身が自分の口腔内の状況をきちんと把握することが何よりも優先されるべきである。


                        2023,7,7

海外留学の心意気

  当医院で機能的歯列矯正治療を終了した大学生が留学のため来月フランスへ向けて旅立つ。多くを語ることはない若者であるが、何か内に秘めた強い意志を持っていそうである。親御さんも当医院の古い患者でもあり、息子さんのことでは頭が痛いと嘆いていたが、今の時代目的があって留学をされるのだから頼もしい限りである。日本人の海外への留学は減少傾向にあると以前報道されていたが、環境が許されるのであれば、若い時には“単純に乗せられて乗ってみる”ぐらいのことが20代の時期には大事ではないだろうか。乗った後で、「思ったほどよくないな」とか「何か違うな」と感じれば、そこからまた軌道修正していけばよいだけのことである。最も忌むべきは、変に利口になって、何も行動せずに頭で判断して結果を出してしまうこと。何事もまずは一歩を踏み出してみて挑戦すること。失敗のない人生は、見方を変えれば何も踏み出さなかっただけのことであり、何の自慢にもならない。会社組織においても、一人ひとりに挑戦する気概がなければ組織の成長は望めない。失敗から何を学び、次に生かすことが出来るかが、ただの失敗に終わるのか、財産になるのかの分岐点になろう。

                        2023,7,6

人より猫がまし

  子供達も成長するにつれ、親父が帰宅したからといって喜ぶことはない。ぶっきらぼうに「あっ、お帰り~!」ぐらいなものである。笑顔で寄ってくるときは何か魂胆がある時で、「あの~、〇〇でいくら必要なんだけど~」のような類の話がある時である。いつも全身で帰宅を喜んでくれるのは私の奥様、ではなく(笑)、この夏で我が家にきて3年目を迎えるカニンヘンダックスフンドの“ハッチくん”だけである。ドアのカギ穴に鍵が入っただけで私の帰宅に気付いてワンワン声高に吠え始めるのである。そして私が家に入ると玄関まで必ず走ってきて、足元で寝転がって愛嬌を振りまくのである。もう最高に癒される瞬間であり、我が家の宝物の最高位に君臨している。言葉を発することが出来ないだけに、家族が彼の思いを察してあげなければ彼の心を満たしてあげることは出来ないが、言葉を喋ることが出来るのに、コミュニケーションを上手く取ることが出来ない人がいる人間社会では、SNSがコミュニケーションのツールとなっている。そのうち目の前にいる人とのやり取りを、喋るのが苦手なのでスマホの画面で良いでしょうか?なんて輩が出てきませんよね?以前、親交のある歯科医が、「人手が足りなくて猫の手も借りたい状況だったので、応募してお越しになられた方を採用したのですが、猫の方が良かった。」なんて笑い話をされていましたが、今の世の中笑えなくなってきたように思える今日この頃です。

                        2023,7,5

抜歯が必要ですか?

  「下の奥歯が歯周病だと言われ何件もの歯科に掛ったが、どちらの先生も抜歯が必要だね、と言われて‥‥。大学病院にも行き手術も受けましたが‥‥」。これは問診時の患者さんの言葉であり、抜歯だけは避けたいとの思いが痛いほど伝わってくる。複数の歯科医が抜歯が必要だと診断したのであれば、やはり抜歯が必要な状況なのであり、素人である患者さんの理解不足が何件もの歯科医院巡りをするドクターショッピングの原因なのではないかと問診時には当方もどこかで感じていた。通常通り初診時の診査を行い、レントゲンや口腔内写真などの資料を採取すると、要抜歯と言われてきた歯の箇所は特定できた。このような時、ドクターとして先ず頭に浮かぶことは何かと言われれば、“抜歯はあくまで最後の手段”ということである。レントゲンに写る透過像だけでは間違いなく要抜歯の対象にはなる。問題はなぜその歯だけが局所的に問題を抱えるようになったのか。その疑問が解けなければ果たして抜歯をしたところで、この方の口腔内の問題の根本解決には至らない。抜歯してからそこにインプラントを埋入したら問題は解決しますか?ということである。咬み合わせ、上下の顎の動き、上下の歯の干渉具合、噛み癖などを連続的に口腔内写真で撮影するだけで、見えないものが診えてきます。エビデンスは勿論必要であり重要ですが、臨床医は目の前の臨床に真摯に取り組むことで診えてくるものがあります。このかたの治療はこれからですが、患者さん自身にも治療履歴を振り返って頂き、納得できる治療方針を提示できればと思っています。

                        2023,7,4

恩師の言葉

  蒸し暑いこの季節、水分補給は欠かせない。当方が子供の頃、少年野球の練習中に水分補給が出来るのは決められた休憩時間のみであり、如何にして水道の蛇口に近づこうかと直射日光を浴びながらグラウンド上で考えていたものだ。しかし昨今の日中の暑さは30年以上前とは比較にはならないほど危険であり、昔で言う根性論は危険であろう。全国の高校球児にとっては夢の甲子園出場に向けた予選がいよいよ始まり、3年生にとっては一日一日が忘れられない日々となり、普段とは違う特別な時間を過ごすことになる。自分を振り返れば、3年生最後の試合よりも、母校のグラウンドでの厳しい練習、雨の日の10キロランニングなど、辛かったことが記憶として蘇ってくる。そして監督からのお言葉。「君たちを希望するところまで導けなかったことを申し訳なく思う。弱音を吐くことなく、私の考える練習についてきてくれたことに感謝したい。ありがとう!」。監督は新卒で着任された新米監督だった。今でこそ、監督の心の内を少しは理解できるようになってきたが、生徒を指導するにも不安があったことだろう。その恩師の今は、千葉の名門高校の野球部の顧問をされている。大分ご無沙汰しているが、夏の大会が終わった頃にでも、ひょっこり尋ねてみたい。

                        2023,7,3

咬み合せの悩み

  咬み合わせで悩んでいる患者さんが非常に多いことに、ここ数年感じさせられることが多い。「抜歯してからインプラントを複数本入れる治療を受けたが、それから何となく顎や首回りが凝ってきた」というのは以前お越し頂いた方の主訴である。この言葉だけを聴くと、インプラント治療を受けたことが良くなかったように思われる方がいらっしゃるかもしれないが、そうではない。私がこの方にも伝えたのは、インプラント治療をする前には抜歯をされており、抜歯した歯は過去に何度も治療を繰り返しているはずであり、ではなぜ治療を繰り返しているにも拘らず歯は良くなっていないのか、ということである。キーワードは“咬み合せと歯ぎしり・食いしばり”である。歯ぎしり・食いしばりは果たして生体にとって悪者なのでしょうか。歯ぎしりするからマウスピースを使いましょう、なんてことは当医院では勧めません。とてもブログでは伝えきれないので、咬み合わせでお困りの方はお問い合わせください。歯を失わないようにするには咬み合わせをどのように捉えたらよいのでしょうか?

                        2023,7,2

薩摩の教え

  普段からお世話になってる方のレポートに、『薩摩の教え 男の順序』という薩摩藩時代から鹿児島に伝わる6段階評価が紹介されていました。

1番 何かに挑戦し成功した者

2番 何かに挑戦したが失敗した者

3番 自ら挑戦しなかったが、挑戦した人の手伝いをした者

4番 何もしなかった者

5番 何もせず、批判だけしている者

6番 何もせずに批判するだけではなく、足を引っ張る者

『男の順序』とはなっていますが、男女を問わず人間の生き方としての心得を説いたもので、どの時代であっても失敗を恐れずに挑戦する、或いはそれを助ける人間でありたいものです。

                        2023,7,1

タイピング練習

  パソコンのキーボード入力を我流で行ってきたために、情けないが素早くタイピングすることが出来ないでいる。これが当方の仕事効率を下げている一つの要因であることは分かっているのだが、長年これで資料作成などもこなしてきたので急に神の手に変えることが出来ない。子供達の正しい口腔育成のためのトレーニングを毎日行うように指導しておきながら、自分のクセを改善しないでいることが恥ずかしい。特別な技術を要することでもないので、要は本人が本気で直す気があるかどうかという点では子供達と同じであり、違うとすれば技を習得する速さなのか。先日何年かぶりにピアノの鍵盤を叩いてみたが、指の動きに違和感はなく、楽譜さえ読めれば昔のように弾くことが出来そうな錯覚に陥った。あまり深く考えすぎずにトレーニング感覚でPC指トレを開始してみるか。そういえば先日お越しになられた昔CAをされていた同年代のご婦人が、「娘にパソコンぐらい使えるようになったら!」と言われてパソコン教室に通い始めたと仰っていた。まあ、その方と競うレベルにはないと思いますが‥‥(笑)。

                        2023,6,30

子育てしやすい社会とは

  空港で飛行機に搭乗する際、2歳児未満のお子様がいる場合の優先搭乗がいつからか行われるようになっている。機内の狭い通路を通るにも子供は時間が掛かることもあることからの配慮かもしれないが、雨の日にバスやタクシー乗り場で小さな子供と保護者が並んでいても、今の日本では「子連れの人は優先、周囲は譲って当たり前」とはならないだろう。子育てがし難い世の中とは制度だけではなく、世間のこういった場面、つまり誰かが声掛けをして助け合うという文化が廃れてきているところにあるように思う。私が子供の頃であれば向こう三軒両隣で親の留守時に子供を預かったりしてくれたものだが、今はご近所とのつながりが極端に少ない。岸田総理が子育て支援の政策を掲げているが、社会全体でこれからの日本を支える子供達を支援、指導、そして助言までするぐらいの考え、思いが拡がらなければ、子供だけではなく子育て世代の孤立が進んでしまう懸念すらあるのではないでしょうか。困った時のちょっとしたサポートに助けられたことは誰もが経験しているはず。スマホばかり見ないで周囲にもっと目配り、気配りができる社会にしませんか。

                        2023,6,29

積極的な失敗

  人は誰しも失敗はしたくない。しかし、失敗から学び、それを次に生かそうとするかしないかが成長の差となる。ふと書棚に目をやると、「失敗学のすゝめ(畑村洋太郎著」の背表紙が見える。本の解説にも、恥や減点の対象ではなく、肯定的に利用することが、失敗を生かすコツとある。まさにその通りであり、恥をかいたり、失敗したりするのは裏を返せばチャレンジした証である。恥、失敗をしないようにと思っていると保守的になり、新たな発想どころか伸び伸びと仕事ができなくなる。風通しの良い理想的な職場は、積極的な失敗を許す文化が醸成されている環境であり、無知だとか無能、邪魔、ネガティブといった周囲の評価を恐れてしまうと決して新たなシナジーは生まれなくなる。先ずは思ったことを積極的に自分の言葉で述べることが、組織及び自らを前進させることになろう。

                        2023,6,28

発達障害なの??

  落ち着きのない子供が増えてきていると実感するが、発達障害の疑いがあると他科で診断されたお子様が、口腔機能育成の為の呼吸改善のトレーニング、舌及び口腔筋機能トレーニング、そして血中の二酸化炭素濃度を上げるための全身運動などを毎日懸命に継続して行ってきたことで、学級担任からも「最近は落ち着きがあるように見えますが、ご家庭でなにかありましたか?」と聞かれるまでになってきた。歯並びも気になっていたので当医院を受診されたわけですが、「不正咬合は顎顔面発育障害の一つの表れである」という説明に親御さんが“ハッ”と関心を抱いてくれたことが、この子の改善への道が開かれたと言っても過言ではない。決して魔法のような治療法が存在するわけではない。小さな変化を見逃すことなく、努力している姿勢を称えつつ、スタッフも一緒に係ることが、子供たちにとっては一番のサポートであり、数値には現れないエビデンスである。

                        2023,6,27

挨拶から

  ある勉強会に参加した時の先生たちの会話が気になった。「新人のスタッフがね~、どうもこうも挨拶一つしっかりと出来ないことには参ったよ!だって挨拶だよ!」。すると他の先生からは、「〇〇先生、今は挨拶ができないことがノーマルな時代みたいですよ!」と言っているではありませんか。言葉を失うとはこのことか。この4月からの新社会人は、コロナ禍で過ごしたという特殊事情はあるかも知れないが、挨拶、電話応対、ホウ・レン・ソウぐらは出来るようになって世の中で働き始めたのではないのか。家庭での躾けはどうなっているのか。同年代の人とのコミュニケーションはLINEで簡単に済ませる習慣が身に付いたために、歳の差がある人とのFace to Faceでは、どのように会話、振舞ったら良いかが分からないらしい。彼らにとっても可哀そうなことではあるにしても、本人の意識しだいで如何様にも自分を変えていくことが出来るだろうに、と考えてしまう経営者は今の時代は失格なのか。何度も繰り返して申し訳ないが、挨拶のできない人に何ができるのだろうか。

                        2023,6,26

素晴らしい講演会

  94歳で世界中を講演で周られているJohn Mew先生の貴重な講演会が都内で行われ、従来の矯正治療とは考え方を異にする素晴らしい講演内容であった。当医院でも5年前から子供達の治療にMew先生の考え方をベースに取り入れ、それなりの結果が出てきている。年齢や重症度にもよるが、小児から若年成人までの前方顔面成長を目指すことを目的としている。これにより、睡眠時無呼吸症候群や顎関節症を予防することができ、多くの耳鼻咽喉科の問題を防ぐことが出来る可能性があるとのことである。また、32本の歯が入るスペースを確保し、魅力的な顔立ちを作ることが出来る。治療では、とにかく上顎を前方に拡大し、舌のスペースを確保するために、いくつかの装置を組み合わせていく。その後、下顎を前方に移動させ、患者さんの無意識のうちに口腔内の姿勢を正すように指導させて頂く。従来の矯正歯科の研究では、2~3mm以上の前方成長を達成することは不可能とされていたが、Mew先生のプレゼンでは20mm~30mmの前方成長が診られたケースもあった。今日のブログは少し専門的になったが、講演内容を全て書き加えたいぐらいである。一般的に組織開発の世界では、組織には、維持すべきこと、新しく始めるべきことと、やめるべきことがあると言われる。我々の歯科医療に照らし合わせても、過去の治療法から変えていくべきものは、根拠となる裏図けをもとに一歩踏み出す勇気が必要である。

                        2023,6,25

気持ち一杯の花

  治療を終えて待合室にお入りになった患者さんが、「先生、ちょっとよろしいでしょうか?」。患者さんから呼び止められるということは滅多にないことなので、治療で何か気になることでも・・・。「先週お世話になった時に、開業20周年という写真立てを見てたので、気持ちだけですけどおめでとうございます!」と、大変立派なお花を頂いた。10年以上、治療とメンテナンスでお越し頂いている気さくで人柄の素敵な方で、まさかこのようなサプライズがあるとは予想だにしていなかったので、不覚にも涙腺が緩んでしまった。治療をさせて頂くなかで、患者さんの口腔内しか診ていなければ、このような出来事はなかったであろう。スタッフからも、「〇〇さんも、先生に出会えて心から良かったと思ってくださったと思います。先生は歯だけを診ているのではなく、人を診てるという気持ちが〇〇さんに通じたのだと思います。」と言われ、信念を持って仕事に向き合ってきたことが報われた瞬間であった。但し、世の中には歯科治療や咬み合わせなどで多くの悩みを抱えておられる方が沢山いらっしゃいます。せめて当医院にお越し頂く皆様には、満足以上の喜びを感じ取って頂けるように、これからも精進してまいります。

                        2023,6,24

インソールの勧め

  もっと早く装着していれば・・・。ランニング後の筋肉の張りは当然起きるものではなく、走り方、体幹のバランスが理想形から離れているから生じるものだということを、シューズに敷いた新しいインソールで実感した。走らないまでも、日本人の1日あたりの平均歩数は6,342歩とインソールメーカーが説明書に記載している。以前スポーツトレーナーからもインソールの取り換えを提案されていたが、歩くときに地面に足がつかない「浮き足」になっていると、指の付け根・かかとに重心が偏り、肩凝りや腰痛、足の痛みの一因になるとのことである。そこでその人に合ったインソールを使うと、足の中で核となる「立方骨」を押し上げ指先を正しく使えるようになることで、足がもつ本来の運動性と安定性を引き出して、身体の重心を適切な位置に戻しバランスが整い、足に起因する体の不調が軽減、改善するということになる。4ヶ月後のフルマラソンに向けて、心強い援軍を得た気分である。

                        2023,6,23

リーダーとリーダシップ

  リーダーというと肩書や立場を指すことが多いが、そこには権限などが付随することがあり、真のリーダーとは異なる。一方でリーダーシップとなると、これは発揮するものであり、行動の形、存在の仕方である。従ってリーダーが凄いのではなく、リーダーシップを発揮すれば、誰でも凄いことが出来るのである。今年のWBCで侍ジャパンは世界一になったが、栗山監督はあえてキャプテンを置かなかった。それは「全員がキャプテン」という意識を持って欲しいという首脳陣の狙いがあった。まさに個性豊かな一流選手がリーダーシップを発揮した結果、世界一というゴールを共有したことで、最高の結末を迎えることが出来たと言えるだろう。マウンドに立てばそこにいるピッチャーが、塁上にランナーとしての残ればその人が、打席に立てば当然その瞬間はそのバッターがリーダーである。当方は当医院のリーダーにはなるのだろうが、支えてくれるフォロワーがいなければ何もできない弱いリーダーである。が、結局のところ、正確な自己理解と自己受容が出来るかどうかの度合いは、リーダーとしての器次第ということになろう。

                        2023,6,22

情熱

  アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズ氏は、かつて製品を創るにあたり「市場調査などは必要ない」と語っていた。一般的に起業する際には同業他社の市場調査を行うものかもしれないが、ジョブズ氏に言わせると、新しいビジネス・プロジェクトに乗り出す時には予期しなかった難問、難題が出てくるかもしれないが、それを成功させるには自分を信じることであり、創造の世界を司るのは統計や数字ではなく、それを造り出す人間の情熱と意志である、ということだ。歴史を遡れば、兎に角日本の近代化を成し遂げるというのが明治維新の目的であって、その高揚感に国民は期待を寄せていたはずである。ことを成すのに必要なことは何事も情熱であり、私の仕事においても同様である。歯科用機器もデジタル化し、ひと昔前に比べればその進化は目覚ましいものがあるが、ハード面が良くなれば提供される歯科医療の内容が良くなるというものではない。何のためにそれらの機器が使われるのか。機器を扱う前に、歯科医療従事者の目の前の患者さんを救いたいという熱いものがなければ、見掛け倒しの高額医療機器となろう。

                        2023,6,21

一期一会

  「後期高齢者になってから出歩く機会が減ってしまってね~、でも今日は本当に楽しい有意義な時間でした。ありがとうございました。」とは、私どもスタッフと是非とも食事をご一緒したいとお誘い頂いた77歳になられた紳士からのお言葉です。この方は数年前に古い被せ物を再治療されて以来定期的にメンテナンスにお越しになっれていますが、そのことについても嬉しいことを仰ってくださいました。「とにかく先生の所に来るのが楽しみで、皆さんとの会話が好きなので、私はあの待合室が本当に居心地がいいのです。歯医者に行くのが待ち遠しいなんて思える歯科医院はなかなかないでしょ!」とまで語ってくださり、こちらこそ我々の知らない機知に富んだ話を交えて伺えて、勉強にもなり、ますます仕事に意欲が湧いてくるようなお言葉まで頂けたことは励みになり、人との出会いに感謝するばかりでした。我々のミッションである『価値ある時間を提供する』がひとつの形になった日でもあります。全ては一期一会、それがたまたま歯科治療が切っ掛けだっただけのことです。

                        2023,6,20

人間ではなく人

  人を不愉快にさせるとはどういう人か。初診でお越しになられた方の問診をしていると、話し方からその方の人となりが見えてくる。普段の仕事でも、偉そうに話をしているのだろうか。他人を見下すような人やあつかましい人、態度が尊大な人というのは患者であっても正直嫌な相手である。最近はそのような方に遭遇することはないが、以前は問診中に足を組んでのけぞったり、スマホに掛かってきた電話を断りもなく平然とでる輩もいた。そのような方々とその後の信頼関係を築けたかと聞かれれば勿論“N0!”である。私から言わせて頂くと、たとえ仕事や勉強で成果を出していたとしても、このような人たちは人としてのマナーが欠如しており、生き方としては二流、三流である。そして何より謙虚さがない。育ちといえばそれまでかも知れないが、生まれた時に人生が決まっているわけではありませんから、日々の心掛け次第で人間は人になっていくものだと思います。

                        2023,6,19

視力を守れ

  マイクロスコープの長時間使用が原因なのか、それとも単なる加齢による眼精疲労か、それとも何か心配になるような疾患が進んでいるのか、など不安を抱えながら数年ぶりに眼科を受診した。様々な検査をして頂き、結果としては綺麗な眼をされているとのことで全く問題はなく、目を休めることも意識しながら様子を診るという診断で、先ずは一安心であった。近年、生活環境の変化によってゲーム、パソコン、スマホといった電子機器を使う機会が増えたことで、視力が低い、つまり「近視」の方が増えているとのこと。近視が進むと目の病気になる可能性が高くなるとのことですので、緑内障や失明に至らぬよう普段から注意が必要です。電子機器の画面から30cmは目を離す、30分に1回は遠くを見て目を休める、目が乾かないように瞬きをする、などで目を労わることが大事だそうです。また、屋外の遊びやスポーツも視力低下防止には効果的で、小学校で1日2時間の外遊びに取り組んだところ、近視になる子供が半分に減ったとの報告が台湾ではあるそうです。従って、視力を守るには、目を休めることが何よりも重要だということです。

                        2023,6,18

富士山

  富士山の山開きを控え、山小屋の宿泊予約がすでに満員に近くなっており、コロナ禍明けによる登山客の急増によって登山道の渋滞も懸念されている。当方は富士山頂までは2度登った経験があり、五合目からの岩と砂利、小石ばかりの味わいのない道は非日常を感じるには十分であり、森林限界を超えた世界からの風景、生き物のように流れる雲海には感動を覚えたものだ。いにしえより単なる山という存在を超越し、あがめられてきたこの霊峰富士には人知を超えた何かが存在する、そんな神聖な気持ちになるから不思議である。ここ数年は遠くから眺めることしかできていないが、麓の森林樹海のマイナスイオンを浴びるだけでも巨大なエネルギーを頂けそうな気分にさせてくれる富士山は、いつの時代も我々の誇りであり心のふるさとである。

                        2023,6,17

アクセル?それともブレーキ?

  ドライバーの皆さん、停止線前で信号機が黄色に変わったら、アクセルを強く踏み込みますか、それともブレーキをゆっくり踏みますか。道路交通法では勿論踏むのはブレーキです。但し、信号が変わる間際にもの凄いスピードで加速してくる車が後を絶ちません。今の時代、多くの方がスマホを手にしているので、その瞬間を動画撮影して警察に通報することで検挙に繋がるなどの法改正を行ったら、違反だけではなく防げる事故も激減するのではないでしょうか。しかし根本はドライバーのモラルの問題ですから、やはり子供の頃からの家庭教育における躾ということになってくる。教育というと何かを教えると考えがちですが、自分の頭で考える、善悪を判断することがでいるような指導、環境づくりが求められているようにも思います。ルール違反がまかり通る世の中になってしまっては世も末です。車も人生も、アクセルとブレーキの踏むタイミングを間違えないようにしたいものです。

                        2023,6,16

睡眠とゆとり

  今更ではあるが、日々の生活になかで寝不足回避だけは守るように心掛けている。まあ年相応に体力回復には時間を要し、睡眠不足の翌日は明らかに頭の冴え、回転がわるく、生活リズムにゆとりがないことに気付かされる。集中力欠如は全ての効率を下げ、結果的に仕事のパフォーマンスも下がることに繋がり、目に見える形では分からないものの、無駄な時間を増やしていることになる。先日、本屋のレジ横に「限りある時間の使い方」というタイトルの本が目に入り、何となく気になっている。表紙には小さな文字で「人生は『4000週間』限られた時間をどうすごすか」ともあった。4000週間‥‥ということは。当方は人生の折り返し時点を過ぎているので残り何週間なのか。残りの時間を計算して人生を過ごすなんてことは毛頭するつもりはないが、仕事、学問、生き方など全てにおいて「睡眠とゆとり」の確保は、一番の優先事項である。

                        2023,6,15

痛ましい事件

  「その人を殺すつもりはなかった」とはどういうことか。実弾の入った自動小銃の銃口を人に向けて引き金を引いたらどうなるかぐらい、自衛官候補生でなくても分かる。国土防衛のため誰よりも責任感の強い教官ら二人の隊員が18歳の若造に打たれるという痛ましい事件が起きた。18歳であれば体格的には立派な大人であるが、心の成長は年相応に養われてきたのか。事件の背景を知り由もないが、どういう経緯で自衛官を目指すことになったのか。また、防衛省の人材確保の選定に問題はないのか。この4月からは一般社会でも新人教育が行われ使用期間中のところもあろう。電話の受け答え一つから教えなければ何もできない若者が多いと聞く。以前は家庭で躾けられていたものを学校や就職先で指導するような時代であるが、歴史を遡れば藩校に行く子供はそれなりの躾がされていなければ入れるところではなかった。候補生の入隊式では「服務の宣誓」があると聞く。常に徳操を養い、人格を尊重し‥‥、どこで心の歯車が狂ったのか、今の日本社会に巣くう由々しき問題である。


                        2023,6,14

講演依頼

  お世話になっている方から講演の依頼を受けた。テーマは「歯科医院経営の本義」とあるのだが、経営のことであれば当方が適任者だとは思えないが、私に語らせるということはHow toではなく、形には見えないものの考え方、言ってみれば20年の医院経営のブレない軸、奥義を伝えて欲しいということと理解した。我が医院のミッションは、「価値あるものを提供する」であり、これは患者だけではなく従業員に対しても同様である。世の中には腕の立つ歯医者、口の達者な歯医者は多く存在するが、患者の求めに真摯に対応できる歯科医院は果たしてどのくらい存在するのか。何も患者の要望通りに治療を進めることが必ずしも患者利益になるとは限らない。高い治療費を掛ければ満足のいく結果が得られるのか。決してそうではない。治療の前に患者自身が現状を把握し、なぜそのような状況になったのか、そのまま放置したらどのような問題が起きると想定されるのか、治療をする場合にはどのような治療法があり、そのメリット、デメリットは。歯医者任せではなく、自分で考えられる環境を医院側が提供するにはどうすべきか。フォーカスすべきはむし歯ではなく人間そのものである。


                        2023,6,13

人間力が資本

  日本国内への外国人観光客の入国が増加傾向にあり、都内を歩いていてもコロナ前と変わらないぐらいの欧米人、アジア系の方々を見かける。世界の旅行業界では「いいものを安く」から「いいものだから高く」という高付加価値化が進んでいるとのことだが、国内のホテルの宿泊料金の高騰ぶりには驚きを通り越して呆れてしまう。ホテルに宿泊する目的にもよるのかもしれないが、ホテルにおける高付加価値とは何?まさか備え付けのアメニティなどということはあるまい。「100のニーズに対し、100のサービスで応える。客に不満はない。しかし、そこに感動はあるか」。感動が生み出すサービスを超える瞬間、リッツカールトンのサービスを越えていく方程式に学ぶべきところは多い。業種が何であろうとも、人が相手の仕事は人間力がものをいうことは共通項である。仮説を立て、想像力を発揮して、目の前にいるお客・患者さんに関心を持つことからすべては始まる。いつの時代も最後は人間が資本だ。


                        2023,6,12

人生哲学

  ブログやHPの咬み合わせの項目において、不正咬合の原因は間違った呼吸(口呼吸)と間違った嚥下(異常嚥下)にあり、顎顔面発育障害の一部が咬み合わせの乱れとして表面化しているだけであると述べさせて頂いているが、心の成長においても幼少期から学童期の過ごし方が、成人になってからの行動規範の判断基準となる倫理、モラルをつくりだしていることに疑う余地はない。日本だけではなく世界的なレベルで経済的にも政治的にも大きな変動が起こり続け、現在は混迷の時代と呼ばれているが、なぜそのような社会になってしまったのか。そもそも人類は生きるための判断基準として自然を崇めたりする宗教的な規範、倫理観を持っていたものが、近代文明が発達するにつれ無神論的なものがもてはやされるようになってきた部分があり、多くの人は何を基準として判断すればよいのか分からなくなっているところに、将来に対する不安や現象面の変化に迷わされてしまう事象が出てきているのではないでしょうか。時代がどのように変化しようとも、古い新しいではなく、「人として何が正しいのか」を日々考え、日常生活に落とし込んでいくなかで自分の哲学を作り上げていくことが、真っ当な世の中を取り戻すことに繋がると信じています。


                        2023,6,11

タウリン

  昨日の日経新聞に以下のことが掲載されていた。ー『人や動物の体内にあるアミノ酸「タウリン」は加齢とともに減るが、中年期の動物に毎日摂取させると長生きし、健康的になるとの研究結果を、米コロンビア大学などのチームが、米科学誌サイエンス発表した』-。人に補った場合の効果は未解明とのことだが、血中のタウリン濃度が高いと肥満や糖尿病が少なかっとのたデータは存在する。さらに人間の45歳前後に相当するマウスを使った実験では、寿命が10~12%、人間の7~8年分延びたとの研究報告である。タウリンと言えば“ファイト!一発!”の某ドリンク剤のCMが頭に浮かんでくるが、この記事を読む限りでは、健康維持、健康寿命を延ばす奇跡のドリンク?となるのか。


                        2023,6,10

健康維持のためのトレーニング?

  中学高校時代は野球部に所属して、とにかくグラウンドを走る?走らされる?ことが嫌でしょうがなかった私が、健康維持を目的にランニングを始めてから約10年が経過し、昨年初のフルマラソンを完走したことは快挙である。但し、完走をした率直な感想は、マラソン大会へ向けてのトレーニングや体力維持などを目的としたランニングは勧めるが、フルマラソンそのものは身体に負担が大きく誰にでも勧められるものではない。足底腱膜炎、股関節痛など日常生活にも影響を及ぼしかねないことにもなれば、何のためのランニングなのか本末転倒である。身体の各所に微妙な違和感を抱いていても、経験的に走り始めて筋温が上がると気にならなくなることがあるが、これは治ったのではなく、違和感から痛みへ移行するサインであると自覚すべきである。昔を思い出して無理をしたくなるところを、ほどほどにが宜しいのかもしれない。

                        2023,6,9

有機フッ素化合物による汚染

  東京の多摩地域で水源となる井戸水が有機フッ素化合物で汚染されていることが明らかになり、環境汚染に不安が広がっているとの報道である。車の洗車で使われる撥水剤の処理はどのようにされているのか疑問であったが、まさか垂れ流しのまま未処理ではあるまい。汚染源は、工場、軍事基地や民間空港で使われる消火剤、ごみ廃棄場、排水処理場などと考えられているが、包装・容器からの曝露もあるあるとされ、最終的には人間の問題ということか。経済優先で社会構造が構築されている限り、身体の健康被害への程度などは、いつの時代も取り返しが付かなくなってから問題視される。政府が力を入れる半導体製造などには新たな有機フッ素化合物が使用されるはずである。国民の生命と健康を守るのが政治の役目であるならば、何が優先されるべきかは子供でも分かる話である。

                        2023,6,8

札幌

  仕事でお世話になっている歯科技工所を尋ねに札幌に強行日程を組んで来た。千歳空港から市内へ向かう電車の車窓からは、北海道ならではの太い白樺林を見ることが出来き、北の大地に来たことを実感する。札幌市内はアスファルトと鉄筋コンクリート造の建物が林立しているが、近隣の茂る緑の多さが都内の空気感とは全く違うものを作りだしている。夜の会食までの限られた時間ではあるが、早々にチェックインを済ませて北大構内から大通公園を通って円山公園まで走ってみると、構内はまるでエール大学を彷彿とさせるような広さと緑に囲まれ、走るにはベストの環境であるが、市内は碁盤の目のように道が出来ているので、少し走ると赤信号待ちの繰り返しで、汗はかくものの今一つランニングをした気分にはなれない。また途中の円山公園内には北海道神宮があるのでお参りにも寄ったが、最近は札幌市内でも熊の出没あるとのことで、太い大木に囲まれた境内であるだけに、熊の存在を身近に感じながらの参拝となったが、非日常を味わうには充分である。

                        2023,6,7

花粉症対策を強化

  先月末、国民病とも言われる花粉症対策の強化に向け、30年後に花粉の発生量の半減を目指すなどの、健康被害を抑えるための対策が政府から公表された。対策の柱は、花粉の少ない杉への植え替えや、治療法の普及とあるが、改良杉への植え替えはかなり以前から進められていたのではなかったのか、と思った次第である。新聞によると、少花粉杉や無花粉杉の品種開発は進み、こうした苗木の生産自体は増え、今では杉苗木全体の年間生産量の約5割を占めるまでになったとのこと。但し、肝心の植え替えは、これらの苗木が従来の苗木と同じように成長するかどうか森林所有者の不安があるのと、林業の担い手不足があり、思うように進んでいないとのことである。冬場のスキー場のリフトに乗って見える杉の木には、花粉が今にも飛散しそうな状態で身構えているが、出来ることならお目に掛かりたくないものである。

                        2023,6,6

常識の変化?

  当医院の新規の予約は電話にて取るようにお願いしているのですが、時々メールでの問い合わせを頂くことがある。また他院で治療を受けていることに関する質問を受けることもあるが、診査診断もせず適当なことも言えないので返信はお断りさせて頂いている。これらのメールの内容にいつも違和感を覚える。メールのやり取りであるが、新規の予約について一方的に「私が空いているのはこの日の何時です」とくることがあり困惑してしまう。当方の常識では、依頼する側が相手の予定を先ず聞くのが礼儀であり、効率主義なのか利己主義なのか分からないが、自己中的な人間に思えてしまう。とはいえ、常識というものは時代と共に変化していくものと捉え、甘んじて受け入れていくべきなのだろうか。そもそもメールの問い合わせは受け入れていないのだから、それ以前の話だが。

                        2023,6,5

啓発録

  毎年行われる成人式を皆さんはどのように思われますか。ド派手な格好をしたり、飲酒で暴れた様子などが報道され、一部の人間ではあるかも知れませんが嘆かわしい限りです。僅か150数年前の日本の若者は、ともかくも近代国家を作り上げるという維新成立の大目的を持って自己修養に励み、成人した際には元服という儀式がありました。それは、一人前の人間として世間からみられるという、自覚を促すためのものでした。それが今では形式ばかりの成人式であり、大人になる覚悟を定めるという意識があまり伝わってこないように思いませんか。その原因は、家庭教育の崩壊・躾の無さが根底にあると当方は考えますが、日本全体が甘えの構造に支配されているということでもあります。日本を立て直すには、先ずは一人ひとりの自分を律するという意識が芽生えなければなりません。橋本左内が「啓発録」に綴った決意の中でも“去稚心(甘えを捨て、独立独歩の心を起こす)」”は、大変重要なことです。お時間のある方は、「啓発録」を一読あれ。

                        2023,6,4

  新規でお越しになられる方のなかにはネットで多くの歯科医院を検索され、キーワードを入力して表面的な知識を詰め込んで、自分の状態を説明してくる方がいる。これだけ世の中に情報が溢れていれば、とりあえずはネット検索するのが今のご時世かも知れませんが、一般的に、知識や情報を得ても思考しなければまとまらず、どうして生かせばいいのか分からない。逆に、思考するばかりで知識や情報がなければ一方的になり、独善的になってしまう。頭の中を整理できないばかりに発言を求められても自分の意見ではなく、ネットからの情報をそのまま述べている、なんてことも起きかねない社会である。人として生きていく上で必要なものは知識ではなく、志を持って主体的に物事を考える習慣を身に付けているかどうかではないでしょうか。高学歴でそれなりの肩書のある方の不祥事が報道されるたびに私が思うところは、志のないところの知識というのは有害でしかないということだ。

                        2023,6,3

自分さえよければ?

  一人ひとりが同じ目標に向かって動く組織には、決して不要な人などは存在しない。時計のように様々な歯車が関わり合って一つの集合体として機能しており、一つの歯車でも不備が生じれば時計全体が止まってしまう。これは組織の規模に関わらずである。それぞれの役割は違えど果たす役目は同等であり、組織の方向性を示すのがリーダーであるだけで、トップにいるから偉いわけでも尊敬されるわけでもない。常に高みを目指す集合体には組織文化が宿り、志が共有されている。時代を遡れば、明治維新とは、国家予算がないにもかかわらず、ともかくも近代国家を作り上げようというのがもともとの維新成立の大目的であったし、維新後の新国民たちの少年のような希望であった。今の日本社会においては、個の考え方が優先されるあまり、国のことを第一に考える機会が減ったばかりでなく、自分さえよければという空気が蔓延しつつあるように思えてならない。死語になりつつある自己犠牲という献身的な姿勢が、結局は自分を豊かにする、自分の為になっていることを分かるような社会にしていかねばならない。

                        2023,6,2

20年間の積み重ね

  この6月で当医院は開院20周年を迎えます。理想の歯科医療、当医院のミッションである「価値ある時間を提供する」を実施、実行してくるにあたり紆余曲折はありましたが、よくぞ潰れることなく存続出来ていると思います。振り返ると、開院当初は説明に使う満足な資料もなく、口頭説明と撮影したばかりの口腔内写真をモニターに映し出し、兎に角現状を理解して頂くことに時間を割いていた。その後は各患者さんごとの資料が増えるに従い、治療することだけではなく、なぜ治療が必要な状況を作りだしてしまうのか、患者さんご自身が理解しなければ、口腔の予防は出来ないということを粘り強く一人ひとりに伝えてきた次第である。20年近く定期的のお越しになられている方は3割近くに上る。臨床で大事なことは疾患を未然に防ぐこと、および進行させないことであり、継続して資料(レントゲン、口腔内写真など)を取り続ける中で、変化があれば直ぐに対応することである。どんな文献よりも、20年間の記録は臨床を続ける上では何物にも代え難い教科書である。未だに掛かりつけの歯科医院を探せないでおられる方は、早くご自身の口腔内状態を記録・保存してくださる医院探しされることを勧めたい。

                        2023,6,1

学び続ける

  年齢を重ねても若々しい方の共通点は、好奇心が衰えないことかもしれない。子供だった頃には大人になれば知識も増えて、世の中のことが分かるようになるものかと漠然と思っていたこともあったが、大学に入れば人生が幸せになる、なんてことはない。世間でいう学歴の有無が人生の幸福度を決めるものではなく、自分にとっての学びを生涯続けることが、充実した人生を送るイロハであろう。義務教育を終え、人によっては高校、大学と進学もする。しかしその後の人生の方がずっと長い。人との比較ではなく自分と向き合い、好奇心と問題意識を持ち続けることで、更なる飛躍につながるというものだ。学び始め、学び直しに遅すぎるということはない。ダボス会議で「リスキリング革命」が発表されたこともあり、社会は学びに対して前向きである。


                        2023,5,31

慣れと改善

  私鉄各線の乗り入れによって乗り換えることなく目的の駅まで行く幅が広がったものの、どこかしらで何らかのトラブルが生じると、それに伴う遅延が乗り入れている全線に波及することになる。東急東横線に限って言わせて頂くと、渋谷~桜木町で営業されていた頃には遅延などはほぼ無く、ストレスを感じることは皆無であった。東横線沿線にお住まいの方であれば、同様にお感じになられている方は多いのではないでしょうか。ところが今は、駅の電光時刻版の列車到着時刻は示してはいても、肝心の電車が入線してこないということが珍しくない。慣れと言うものは怖いもので、それが当たり前のようになってくると、さほど気にならなくなってきたから不思議である。自分ではどうすることも出来ないことへの諦めなのか。日々の生活における改善点も、気が付いたらすぐに取り掛からないと同じことであり、臨床においてはこれで良いという着地点がなく、どこまでも極める姿勢が求められている。

                        2023,5,30

一朶の白い雲

  私淑する根管治療専門医がエジプトにて講演を行い、その後の懇親会にて治療内容の説明攻めにあったと伺った。大変向学心の高い先生方の集まりであると感じ入ったそうだが、ある先生からは、「エジプトではそのような年齢では歯を残す前に死んでいるよ。」と言われたそうである。なるほど、ところ変われば‥‥なのか。歯の延命を図るための根管治療なのだが、その前に歯ではなく患者自身の寿命が来てしまう。世界を知らないとはこのことか。歯科という言ってみれば特殊な領域の仕事に従事していると、余程意識して視野を広めるよう意識しなければ、専門外は何も知らない世間知らずになってしまう。ここ数日でお越しになられた二人の男子学生が、この夏からフランスとアメリカ・ロスに留学するとのこと。内向き傾向にある日本の若者の中にあって頼もしいではありませんか。サントリーHDの新浪剛史さんがインドの若者について、「彼らと話をしていると、自分たちも勉強すれば世界で活躍できるという希望に満ち溢れている」と新聞紙上で語っている。そしてその希望が社会を前に進めるとも。彼らが登っていく坂の上の青い天に、もし一朶の白い雲が輝いているとしたら、それのみを見つめて坂を上っていって欲しい。

                        2023,5,29

人とのふれあい

  もうすぐ80歳を迎えようとしているとは思えない大変元気で気品のあるご婦人がお越しになられた。15年以上当医院に掛られているのだが、本当にいつも若々しい。当医院にはこの方以外にも80歳を過ぎた方が数名お越しになられているが、その方たちと会話をしていて感じることは、皆さん前向きであるということ。「この先どこまでも出来ることはやってみたいわ」、「今度孫が来るのだけれども、勿論嬉しいわよ。でもね先生、私も忙しいのよ!」とは、疲れを知らないのかこの人は、と言いたくなるぐらいである。そしてある方が仰っていたことが印象的である。「歳をとってからの一番の問題は対人関係が少なくなってしまうことよ。だから私ね、去年から教室を開いているのよ。はじめは一人しか生徒さんがいなかったけど、今は10人よ。皆さんと話をするだけで楽しくてね~。先生もよかったら加わって(笑)」。老化の防止は、耳と口を鍛えて、多くの人々と会話を楽しむことだということをこの方は証明されている。デジタルでもAIでもない、生身の人間同士の触れ合いが人には必要だということでしょう。

                        2023,5,28

筋機能トレーニングの重要性

  子供たちの咬み合わせのトレーニングを実施していると、慢性的に鼻が詰まっている、もしくは鼻が詰まりやすい子供を見かけます。なぜ鼻が詰まりやすいのでしょうか。慢性アレルギー性鼻炎だから?ではなぜアレルギー性鼻炎になるのでしょうか?当方は耳鼻咽喉科医ではありませんからその分野においては耳鼻咽喉科医に任せることになりますが、トレーニングによって口蓋が広がり上顎骨が前方に拡大してくるにしたがって、鼻の通りが良くなる子供たちがいます。鼻骨は上顎骨の拡大に伴って大きくなり、解剖学的に鼻の通りが良くなると考えることに何ら疑問はないと思われます。AJO-DOの2018年の論文では、頭蓋顔面の成長と咬合は呼吸によって影響を受けるとしています。鼻閉などが原因で舌が低位になり、口呼吸になると下顎が後退することで気道が狭くなる。気道を開いて呼吸するための代償作用として前方頭位を取らなければいけなくなる。呼吸と筋機能の問題が不正咬合を引き起こす。その根本原因を取り除かなければ症状が悪くなってしまうので、習癖が確認された時点で口腔周囲の筋機能トレーニングを行うべきであり、「呼吸→舌→嚥下(飲み込み)→口唇」の順番で改善をさせることが子供達には必要である。 

                        2023,5,27

なぜ同じ歯を何度も治療を繰り返すのか?

  「奥歯の詰め物が直ぐに取れてしまうので前の歯医者さんでセラミックの被せ物を入れたのですが、半年も経たないうちに割れてしまいました。私の咬み方が悪いのでしょうか?先生には歯ぎしりが強いからだね~と言われました。」とは、初診でお越しになられた方の主訴である。このような経験をされた方はもしかしたら他にもいらっしゃるかも知れませんね。先ず考えて頂きたいのは、なぜ詰め物が直ぐに取れてしまうのか。余程ドクターや歯科技工士の技術が未熟でなければ、短期間で脱離することは考えられません。それから、この先生の言い方では、歯ぎしりをすること自体が良くないことだと聞こえてきます。果たしてそうなのでしょうか。世の中には様々な考え方や正解が存在します。エビデンスとしての文献を調べることも以前よりは簡単に出来るようになってきています。ストレス医学という観点から考える必要があるのではないでしょうか。身近な例では、犬が嚙むという行為は、恐怖、不安ストレスに対する攻撃性の行動です。この攻撃によってストレスを発散していると考えられています。人間の場合、他の動物にみられるような攻撃性は大脳新皮質(理性脳)によって抑制され、情動ストレスは体内にストレス応答として蓄積されることが分かっています。しかしこのストレスは、人間の身体に多くの問題を生み出しており、このストレスを発散するために夜間睡眠中に歯ぎしりや食いしばりを行っていると考えると、歯ぎしりなどを行っても咀嚼筋の筋活動が異常に緊張することがない、上下奥歯の強いの干渉がない咬み合わせを構築することが重要になってきます。従って、この患者さんの主訴に対する必要な処置は、治療の繰り返しを受けている歯の治療だけではなく、上下顎を動かしたときの不自然な歯の干渉を取り除く、機能的歯列矯正治療が必要となります。間違っても干渉する歯を削るなどという処置は行うべきではないでしょう。

                         2023,5,26

連携

  野球で言う5-4-3のダブルプレーとは、内野ゴロをサードの選手が取ってセカンドに送り、セカンドからファーストに投げて成立する2つ同時にアウトカウントを取ることを言いますが、どの選手もミスなくプレーが出来てはじめて連係プレイが確立されます。「スマホ脳」の著者であるアンデシュ・ハンセンの書かれた「運動脳」には、運動によって脳の働きが良くなる理由が書かれているので、皆さんにも是非とも読んで頂きたい。ノーベル物理学賞を受賞された湯川秀樹博士は、「人間は脳細胞の3%しか使っていない」と言われているが、アンデシュ・ハンセンは脳細胞の多さが頭の働きを良くするわけではなく、機能的に優れた脳とは、前頭葉や頭頂葉などの各領域がしっかりと連携している脳だと言い切っている。そして身体を活発に動かせばその連携を強化できるというのだ。海馬が大きくなる人、小さくなる人はどんな人なのか気になりませんか。スウェーデンの歴史的ベストセラーを一読あれ。

                         2023,5,25

貪欲に

  約30年前になるだろうか、「料理の鉄人」という人気番組が放映されていた。和食、フレンチ、中華の達人が挑戦者の料理人と料理の出来栄え、味を競うというものだ。限られた時間内で手際よく食材を捌いていく行く様は、まさに芸術的でもあった。和食の鉄人、道場六三郎さんは、冷蔵庫のちょっとした開閉時間も無駄にしないように、普段から食材のある場所を常にインプットし、包丁捌きも誰よりも早く使いこなせるように、ネギも3~4本を同時に刻めるように工夫を重ねて練習に時間を割いたそうである。世界8ヵ国で33のレストランを経営するアラン・デュカスさんは、飛行機事故でまさに九死に一生を得るという壮絶な体験を経て、新しいシェフのあり方に辿り着いたそうである。その信念は、「心身健常であれば、どんな問題も必ず解決策はみつかる」。食の全てを知り、その神髄を極める料理人たちは、専門の域を超えた自由なありを探求する、言わば未踏峰へ臨む挑戦者のようでもあり、目の前の課題に正面から真摯に取り組む姿勢は、誰もが学ぶべきである。

                         2023,5,24

一歩踏み出す時

  昨年末、恩師である一人の耳鼻咽喉科医がこの世を去った。歯科医師となって30年近く経つが、若い勤務医の頃の忘れられない患者さんがいる。診療室に入ってくるなり、「院長先生、なんだか呼吸が苦しく感じるんですよ。私の咬み合わせが良くないのでしょうか?」と言いながら、「こうなると楽なんです」と言って床に仰向けに寝て顎を突き出したのである。歯科医師国家資格を取って間もない若造には、突然歯科診療室の床に寝転がる姿に、驚きと同時に呆れてしまったことを鮮明に記憶している。そして心のどこかで、“この方は精神的に病んでいる”と感じていた。その後、臨床経験を積む中で診えてきたことは、不正咬合の原因は口呼吸であり、舌の位置、口腔周囲筋の習癖であることである。要は舌の正常な動き、機能が働いていなければ気道は狭くなり、呼吸がし難くなる。従って、自律神経は気道を確保するために頭蓋・顎の位置を前方に誘導し、呼吸をしやすい体勢をとるのである。舌の付け根にある小帯の付着異常を改善させることで乳幼児の哺乳は改善し、呼吸及び健全な口腔育成に繋がることを提唱し実践してこられた恩師の意思に報いる意味でも、行動に移す時が来ている。

                         2023,5,23

人間=人ではない

  以前よりは少なくなったとはいえ、以前歯の神経を抜く根管治療を受けたにも拘らず不適切な治療によって根管内の感染が広がり、歯の歯質そのものが脆弱になって予後不良となっている歯を目にすることがある。歯が痛くなってので歯科に掛り治療を受けたにも拘わらず歯が悪くなるとはどういうことか。ドクターも人間である以上、全てにおいて完璧ということはありえないが、誠意ある治療は最低限すべきであり、何よりもまず治療前後の患者さんが分かるきちんとした説明を行うべきであろう。当方が他科を受診して説明を受けたとしても専門的なことは門外漢であり、多少理解に苦しむこともないわけではない。そんな時、患者の質問に対して嫌な顔せず丁寧に改めて説明をして下さる先生には、患者心理としては信頼を寄せるものである。患者に寄り添うとはどういうことかは歯科大学では教えてはくれない。教わらなかったからできない、では人間ではあるが人ではない。歯科医師である前に、良識、常識、見識のある一人の人間として生きていく志ぐらいは心に秘めてもらいたいものである。

                         2023,5,22

ロシア人の流出

  長引くロシアによるウクライナ侵攻は、双方の国民と世界の人々にとって損失であり、何の利益も生み出していない。ロシアのIT産業の中核を担ってきた技術者たち約16,000人が国外に流出し、その行先はIT整備が脆弱である小さな国からアメリカなどのIT技術の中心地まで幅広く渡っているとの報道番組を視聴した。生まれ育った国を捨て、生きていくため、それぞれの夢に向かって日々の生活を過ごしている質素な生活からは、物質的な裕福さではなく抑圧のない自分の人生を切り開いていこうとする芯の強さと自信を垣間見た気がする。優秀な技術者を求める企業の争奪戦にもなっており、ロシア人IT技術者たちの評価は高い。特にスタートアップ企業にとっては、今までにないものを世の中に創り出していく性質上、高学歴だけではなく、試行錯誤の繰り返し、粘り強さのある人材を求める傾向にあるとのこと。じっくりと腰を据えて未来と向き合っているロシア人からは、強く生き抜く術を教わったような心境である。

                         2023,5,21

便利?不便?

  ちょっと美味しい物でも食べて帰ろうかとお店に立ち寄っても、コロナ明けの影響なのかどこのお店も満席である。日を改めて予約してから訪れようとネット検索するも、今度は予約も数週間先まで埋まっている状況である。ネット予約も便利なようで、入力項目が多くあるとこれまた面倒に感じる。宅配物の再配達に至っては、ほぼ全てが自動音声による対応であり、聞こえてくるAI音声及び番号選択などを訊いていると、今までの電話応対の方が早く済んだように思えるのは私だけだろうか。AI、デジタル化、ネット環境が整備されたことで、あらゆることが昭和の時代とは比較にならない速度で進展している。その一方で、人との関わりが少なくなり、人情が薄れ、ものごとの詫び寂びを感じ取る余裕もなくなってきてはいないかと心配である。便利になった世の中で、不便さを感じるこの矛盾をどう咀嚼したらよいのだろうか。

                         2023,5,20

怪我の功名

  「先生!、最近も走り続けているのですか?」、「勿論ランニングは継続していますよ~。ただ月に走るキロ数は以前よりは減らしていますけどね!」と半年検診でお越しになられた方との第一声である。今年10/29(日)の横浜マラソンへの参加も先日決まり、昨年の不甲斐ないタイムを大幅に更新することにモチベーションを高めている当方である。但しここ数年は、足底筋膜炎に始まり足首や股関節など何かしらの症状を抱えたままの状態が続いている。毎月スポーツトレーナーのお世話になってはいるものの、自分の身体を一番よく理解しているのは自分であり、専門書やネットから体幹を整える方法を探っているが、怪我の功名とはこのことか、と思える自分に合ったトレーニング方法が身に付いてきたのである。不健康になるのは簡単だが、健康になるのは難しい。勉強にしろ運動にしろ、自分の能力を向上させるには継続的な努力が必要であることは経験則で分かっている。何事も、右肩上がりに直ぐに良くなり続けることはない。良い変化を早く得ようと急ぐあまり反動が来ても困るものである。凝りや違和感が消失、和らいでいるときは調子に乗って張り切り過ぎて、医者の世話にならぬよう気を付けたい。

                         2023,5,19

心ない治療痕

  私も人間である以上仕事において100%成功するとは限らないが、100%を目指さなければ良い結果を生むことはできないが、先日初診でお越し頂いた方の口腔内診査では、治療痕の多さと、ドクターの誠意が見られない処置内容に言葉を失った。歯の神経を抜く処置(抜髄根管治療)は、余程のことがなければ行うべきではないが(状態にもよります)、根管治療の技術レベルの低さと手抜きと思えるようなレントゲンに映し出された画像では、ありのままを目の前の患者さんに伝えることすら躊躇してしまうほどである。根の先端に炎症が起きている箇所が複数個所あり、歯肉が3か所も腫れている。身体の組織から常に数か所で膿が出続けている状態は、当たり前ではありますが生体にとって放置して良いわけがなく、早急なきちんとした無菌根管処置が求められます。問診を続ける中で、CRPの数値が高く、肝臓や腎臓の数値も良くないとのこと。慢性上咽頭炎がIGE腎症の原因の一つであることを紹介し、口腔の慢性炎症も全身とかかわっていることを理解して頂く必要があると強く感じたケースである。

                         2023,5,18

舌の研究

  睡眠呼吸障害を訴える患者さんが最近増えてきている。睡眠時無呼吸障害などの診査診断は、歯科医師が行う領域ではないが、そこに至る原因と考えられることについて説明させて頂くことはできる。勿論、人によって睡眠障害の程度も異なり、原因の全てが同じであるということではない。昨年お亡くなりになられたGuilleminault先生の論文からは、舌小帯がさまざまな原因の根源であること考えさせられることが多い。英文を読みなれているわけではないので、翻訳のお世話になりながら悪戦苦闘している当方ではありますが、睡眠障害と不正咬合に至る原因の根源は舌小帯にあるとの認識は間違いではなさそうであり、舌小帯の付着異常→舌の位置→口呼吸→睡眠時無呼吸との仮説は、臨床現場では現実のものとなってきている。歯科の立場からは、睡眠時無呼吸を念頭に置きながらも健全な口腔育成という視点から舌について観察、研究を進めていく必要に迫られている。

                         2023,5,17

ランドセル

  昨日の体幹の歪みとも関係していると思われる子供達のランドセルですが、新一年生の背中がすべて隠れてしまう児童の姿を見ることがある。子供が小さいこともあるが、ランドセルが大きくなっているのではと思うことがありましたが、2022年の民間企業の調べでは、ランドセルの平均の重さは昨年より約0,3キログラム増え、3割弱の子供達が体に痛みを感じているとのことです。さらに分かりやすさを重要視するため教科書のページ数が増え、サイズも大型化しています。中身を入れた状態のランドセルの重さは平均4,28キロクラムにもなるそうです。教科書を全て持ち帰るのではなく、家庭学習で使わないものは学校に置いて帰る「置き勉」も始められているとのこと。時代に合わせた対応も必要ですね。

                         2023,5,16

子供達の体幹の歪み

  本人の自覚はないものの、立ち姿勢を診ると明らかに頭蓋、両肩、体幹の歪みを認める。咬み合せが気になるということでお越しになられた3年生の体格の良い男の子である。体幹の歪みの根本原因は?いつから歪んでいるの?このまま成長することで、将来身体にどんな不具合・不調を及ぼす可能性があるのか。年齢を重ねることで誰もが40肩、50肩、頚腕症候群等を患うわけではない。50歳以降でみられることが事が多い脊柱管狭窄症もしかりである。更年期以降に現れる不定愁訴の根源は、幼少の頃からの体幹の歪みが原因で各神経叢を圧迫する、筋肉が凝り固まって血流が悪くなるなどと考えることに不自然さはない。本人はもとより親御さんの理解、小児科医、整形外科医、校医、スポーツトレーナーなどの関係者の共通理解が求められる。先ずは歯科からの発信に努めたい。

                         2023,5,15

論語の教え

 善悪の判断はどのようにしていますか?という質問に対してある方が次のように答えられていました。「そのことを親兄弟に言えるかどうか。もし言えないことなら、やってはいけないということを自分の不文律にしたんです。これは『論語』を読んで最初に得た気づきでした。」と。当方が論語を始めて手にしたのは医院を開業してからのこと。歯科医療を真っ当に努めていれば、経営のことなど敢えて考えなくても関係ない。そんな思いで20年前に開業はしたものの、親、知人、業者の人から言われることは、歯科医療の内容ではなく、「経営は上手くいっているか」と経営に関わることばかり。経験の積み重ねがなければ信念はあってもどこかで心がぐらつくもの。俺の生き方は正しいのか‥‥。人は誰しも生きていく上で拠り所を宗教に見出す人もいれば、自分の両親から教わったこと、恩師からならったこと。哲学や歴史の書物から学んだことなどを拠り所にするのでしょう。二宮尊徳、上杉鷹山、中江藤樹、現代の経営者であれば故稲盛和夫さんなど多くの先人から学ぶべき事柄は沢山あります。生涯、人間修養を怠らない姿勢は古今東西あるべきです。

                         2023,5,14

子供の健康

  2年間プログラムの3/4が終了時点で、呼吸トレーニングの成果が上がってこないお子様がいる。不正咬合の根本原因は「口呼吸と異常嚥下」にあり、血中の二酸化炭素濃度を高め、呼吸数もコントロールすることが求められる。トレーニング自体は当院で考案した内容の項目を個人に合わせて行って頂くことになるが、毎日きちんと出来ているかどうかの確認ができない。言ってみれば、歯を磨いているのと磨けているのとは意味が違うというところか。そこで、診療室にて今までにはないハードな全身運動を取り入れてみたところ、求めていた数値の改善が続けて記録され、本人も満足そうな笑みを浮かべていた。当人の身体も大きく成長していることも改善された要因の一つかもしれないが、本人なりにトレーニングを継続できていることで、体力的にも負荷に対して耐性が出来てきたことを示している。また、10歳前後のお子様にとっては、継続したことの結果が付いてきたことで、何よりも自信になることが大きな収穫である。親御さんからは、「学年が変わってからは、なんとなく集中力が付いてきたように感じます。学校での体力測定でも、シャトルランの回数が劇的に増えて、クラスで2番でした。」との報告まで頂けました。歯科医療の果たすべき役割は、以前とは大きく異なってきています。

                         2023,5,13

ウィスキーに学べ

  小樽のニッカウヰスキー蒸留所を見学してからというもの、ウィスキーの味わい方が私の中で変わった。蒸留したばかりの透明の原液は、数年、数十年と樽の中で眠りにつく。原酒を仕込む人にとって、ウィスキーの姿になって飲んで頂けるのは、引退してからかも知れない。それでも丹精を込めて原酒を仕込み、個性的な琥珀色したしずくの出来上がりに誇りを持って仕事に取り組む姿勢は、人生そのものである。そのしずくが未来の空気に触れた時、ウィスキー愛好家の評価が高くても、直ぐには増産は出来ない。人が進む道にリハーサルはない。数十年後のために種まきが必要なのは、教育、企業経営、医療、政治などすべてに共通する。品質の高い“人創り”には時間と忍耐も求められよう。結果を急ぐ現代社会には、熟成という概念が欠けている気がしてならない。

                         2023,5,12

揺れる日本列島

  早朝4:17に突然大きな揺れに襲われ、我が家の中古木造住宅はミシミシと泣き始めたが(´;ω;`)、ここ最近は日本各地で大きな揺れが観測されており、地震列島であることを思い知らされる日々である。どんな自然災害であれ、できれば経験したくはないものだが、地震に関しては日本に生まれ育った以上運命だと思って付き合っていくしかあるまい。但し度重なる大きな揺れに、建物自体がどこまで耐震出来るのか不安は尽きず、地震ばかりは慣れるということはない。学童期に関東大震災について教科書で知った際には、歴史上の大きな震災であり、大きな災害の教訓とすることはあっても、実際に体験することはないと心のどこかで思っていたものである。それが阪神淡路大震災、東日本大震災を筆頭に、沢山の犠牲者がでる地震が半世紀もしないうちに頻発している。“備えあれば患いなし”とはいうものの、自然と共存しながら生きていることを鑑みれば、普段の何気ない生活に感謝すべきと気付かされる。

                         2023,5,11

こどもロコモ

  当医院の咬み合わせトレーニングの中で全身運動も重要な位置づけとしているのだが、片足立ちができない、かかとを付けてしゃがむと後ろに転ぶ、などの子供を時々見かける事例があった。やはりそうだったのか、ということが、NHKニュースで取り上げられていた。“こどもロコモ”である。そもそも“ロコモティブシンドローム”とは、加齢などが原因で骨や筋肉などが衰え、歩行する機能が低下することを指すが、最近は運動の基本的な動作が出来ない子供達が増え、ちょっと転んで骨折したり、受け身を取れない子供がいるとのことである。“こどもロコモ”など、当方の感覚では考えられないことである。根本原因は外遊びをしてこなかったことが背景にあるのではないでしょうか。世の中には様々な考え方、価値観が存在しますが、幼少期から英語塾、学習塾通いさせている時点で“こどもロコモ予備軍”を作りだしていると思いませんか。兎に角子供の外遊びができる環境を取り戻すことが、長期的には体力も学力も伸びる源泉になると考えるのは私ぐらいなのでしょうか。

                         2023,5,10

何のための予約制

  「こちらの医院は予約時間通りに診て頂けますので、それだけでも私は驚いています。」とある患者さんが受付での会計時にスタッフに話しかけていた。当医院としては予約制であるので当然のことと思いきや、その方が通院されている眼科では予約は形式上で、予約前に行ったところで30分以上は必ず待たされるとのこと。更に、診察を終えて会計に呼ばれるまで、これまた30分以上掛かるとのことである。今は殆どの医療機関で電子カルテ化されているので、事務的なトラブルがない限りは会計で長時間待たされることはないと思うのだが、科が違うだけに詳細は分からない。但し、その方の話を伺う限りでは、患者を待たせることにスタッフは慣れ切っているようで、「会計まであと何分ぐらい掛かりますでしょうか?」と尋ねた際には、「一旦どちらかに行かれますか?」と呆れるような対応をされたそうである。皆さん、そんな対応されたらどうされますか?遅れているならその理由を説明して頂きたいですよね。“人の振り見て我が振り直せ”。絶対とは言えないまでも、時間厳守を心掛けたいものです。

                         2023,5,9

やるな!息子よ!

  中学に通う愚息の陸上競技の記録会が、朝から気温も上がらず肌寒い、そして時折雨と突風が吹く最悪のコンディションのなか行われた。GW最終日ということもあり、観戦に出掛けようと用意したものの、息子からは「今日の競技会は観戦できないよ!」とのこと。もっと早く言ってよ!と言いたくもなったが、雨交じりでは一眼レフカメラを持ち出すのも気が重く、一転今回は家の掃除清掃、整理整頓に徹することにした。その甲斐もあって私の部屋を筆頭にリビングもスッキリとして、いつもながら、もっと早くこまめに整理すべきだと思い知らされた。そんな綺麗になった我が家にびしょ濡れになって帰ってきたのが競技会を終えた息子であり、兎に角寒いとお風呂に直行である。話を聞くと、競技場には屋根がないので雨を避ける場所がなく、各校で設営するテントが頼みなのだが、雨と強風では全くテントの意味を成しておらず、同級生が震えている姿を見て、思わず着ていたレインコートを脱いで貸してあげたというのだ。その友達には感謝されたそうだが、その後風雨が強まり自分の身体が冷えてきてしまったというのだ。優しい心をもった息子が愛おしく思えた夕食時の親子会話である。

                         2023,5,8

読書の仕方

  この連休中は遠出をすることもなく、朝のランニングを終えた後はルーティンのストレッチと体幹トレを済ませ、少しずつ部屋の掃除と整理整頓、数年ぶりの配置換えを行った。数年前に読んで本棚の奥に仕舞い込んであった懐かしい本を手に取りパラパラとページをめくると、当時感銘を受けたところに栞が挟まっており、時を経て改めて目を通すと、その時から少しは人間的に成長したのかも知れないと、何度も読み返していた。諭吉が「机上の学問ではなく、実社会で役立つ実学でなければ学問の意味をなさん」と記されていたことに、当時はもっと早く“学問のすゝめ”を読んでいれば良かったと、良書からの学びを認識したものだ。今は保存さえしておけばスマホやタブレット型端末でどこでも読書が出来て便利であるが、紙媒体で読むのが当方には合っているし読みやすい。もし本棚の蔵書が全て端末に収めることが出来たとしたら、本棚の部屋になって背表紙を見ることもなくなってしまうのか。当方にとっては手の届くところに書籍があるほうが、何となく落ち着くというものではあるが‥‥。

                         2023,5,7

患者満足とは

  コンビニエンスストア以上に多いといわれる歯科医院ですが、皆様に満足いただける診察、治療を提供できている医院は果たしてそのうち何パーセントあるのだろうか、という疑問を勤務医時代から常に抱いている。提供する歯科医療の質の評価という点に関しては、何をもって評価するかによって異なるので一概に食べログのようにはいかないと当方は考えるが、中心にあるのは患者さんであり、来院された方の主訴だけではなく、健康を維持する上での口腔管理、自分の歯を一生守りたいという思いを歯科医療提供者側がしっかりと受け止めて共有できているかどうかにあるのは言うまでもない。人は誰もが歩んできた人生は十人十色であり、歯科医院に求めるものも様々であろう。当医院のミッションである“価値あるものを提供する”とは治療だけを意味しているのではない。私たちスタッフは、歯科医療を通じて一期一会を大切にし、それを体現しているに過ぎません。原因を知り、これから先の予後を考え最善のことを一緒に考える。必要なことは治療ではなくコミュニケーションであり、それが出来ていない歯科医院であれば数だけ増えても破壊者が増えるだけに過ぎないというのは言い過ぎだろうか。

                         2023,5,6

チラシ

  新聞のチラシの中に畳の張替え広告があり、特に必要はないので他のチラシと避けようとしたのだが、その裏紙に「家族で挑戦、視力検査」と畳とは一切関係のない、あの眼科で検査する検査表があった。視力には自信のあった吾輩ではあるが、ここ数年は診療におけるマイクロスコープの長時間使用も影響してるのか、視力の低下を実感している。幸いにして眼鏡の使用までには至っていないが、久しぶりにこの検査表を使って指示通り3m離れて計測してみたところ、自然と目を細めて見ようとしている自分にハッとした。人間ドックで診査した時以来ではあるが、感覚的には自分の想像していた以上に目の疲労が進んでいると思われる。歯の定期健診同様に、目の検診も定期的に受診しなければと気づかされた一枚のチラシでした。

                         2023,5,5

サザエさん症候群

  今年のGWは今のところ全国的にお天気にも恵まれ、観光各地に向かう高速道路や交通機関は、コロナ禍以前以上の混雑となっているところが多いようです。ところで皆さん、「サザエさん症候群」という言い方をご存知でしょうか。1980年代末の日曜日の夕方、アニメの「サザエさん」が放送される頃、「明日からまた会社だ」と、憂鬱になった気持ちを言います。私は仕事が嫌になることは一切ないので、社会人になってからこのような気持ちになったことはありませんが、子供の頃には、「明日の授業はなんだっけ」、「そろそろ宿題を終わらせないと‥‥」と思うことは人並みにありましたね。「今日の日曜も、のんびりしたお天気も、もうすでにおしまいだと思うと、少しはかないようなまた淋しいような一種の気分が起こってきた」と、夏目漱石の「門」の主人公も気持ちを表現しています。休日の最終日は、そのように誰もが感じる時間帯というのがあるのですね。連休最終日のことを今から考える必要はありませんが、いつ何時でも時間を大事に過ごすことを心掛けたいものですね。

                         2023,5,4

健康管理

  朝から快晴の爽快な気分の一日の始まりである。例年この時期になると冬眠中だったランナー達も走り始めると思われ、いつものランニングコースに久しぶりの面々が集まってくる。言葉を交わすことはないものの、多少恰幅が良くなったオジさんから軽く会釈されることもあり、広義の意味ではランナー仲間である。ランキング頻度にもよるがシューズ底の擦り減り方を見ていると、当方の場合は左足底の外側の減りが早く、理想的な脚の運びが出来ていない証拠である。以前専門店で脚のサイズを計測した際に、インナーソールの使用を勧められたことを思い出し、昨日から使用を始めてみたが、これがなかなかいいではありませんか。ランニング後の筋肉の凝り加減が想像以上に減っており、普段感じていない体幹の歪みを実感することになった。年齢を重ねてくると、何かを悪い方向に持っていくのは簡単だが、良い方向にもっていくには時間や労力が要ることを知る。不健康になるのは簡単たが、健康になるのは難しい。何事も右肩上がりに良くなるとは限らないが、何事も“継続は力なり”を信じて、体調管理に励むことにする。

                         2023,5,3

料理

  独身時代は仕事を終えて帰宅すると自分で料理をしたものだったが、結婚してからというもの見事なまでにキッチンに立たなくなった。特別理由があるわけではないが、敢えて言えば奥様の料理が美味いからということにしておこう。毎日料理をしている時は今思えば買う食材からいろいろと考えていたものであり、珍しい魚など見かけると魚屋の店主に料理の仕方などを訊き、チャレンジするのも楽しみの一つであった。その頃の経験が今に役立っているのは、鰺釣りに出掛け沢山の釣果があった時には三枚におろすのがそれなりに早いことかもしれない。包丁の使い方は、カウンターで料理人の手捌きをみることができる際に、こっそりと盗むようにして覚えたこともある。最近は奥様の負担軽減のために休日ぐらいは手料理を振舞ってみようかと空想はするものの、実現には至っていない。子供達からも、父親は料理は何もできないと思われている節があるので、ここは一丁サプライズで男料理でもトライするGWをにしてみるか!

                         2023,5,2

マーロウのセリフ

  「強くなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない」。米作家レイモンド・チャンドラーによる探偵小説の主人公、フィリップ・マーロウの有名なせりふである。治療中の患者さんとの会話の中で、「男の人って優しいだけでは駄目よね」とご婦人から言われ、とっさに出てきたのがマーロウの言葉だ。以前ブログに挙げたかもしれないが、30代の頃に世界的な企業経営者の方と会食する機会を頂き、その時に教えて頂いたのが「PLAY BACK」であり、その方に少しでも近づきたい思いで辞書を片手に必死に読破した。If I wasn't hard, I wouldn't be alive.If I couldn't ever be gentle. I wouldn't deserve to be alive.今も私の座右の銘となっている。思いも知識も実践が伴ってはじめて生かされるものであり、何でも頭で判断して結論を出すようでは、経験が積み重ならない。スマートに生きる人生よりも、愚直に生きる人生が当方には合っているようだ。

                         2023,5,1

自分ごと

  仕事をするうえで大切なことは、何事も「自分ごと」として受け止める責任と能力ではなかろうか。常にその意識さえ持ち合わせていれば、「手抜き」などということは起きないはずである。「日本は資源も何もない国だが、勤勉さという財産がある」と語ったのは吉田茂であるが、その勤勉さが軽視される世の中になってきてはいないか危惧するところである。当方は歯科医療に従事するものであるが、あまりにも心のこもっていない治療痕を目にすることが残念ではあるが多々ある。一方では、数十年前の治療としては精一杯出来る限りのことをされたと思われる年季の入った被せ物なども拝見することもある。この違いは何処から生じるかといえば歯科医師の意識でしかなく、技術論はその後の話である。患者さんは歯を良くしたくて歯医者通いを子供の頃からしているにも拘らず、40数年後には人工物だらけの口腔内でいる方も多くいらっしゃる。当方が決して完璧な歯科医師とは言えないかも知れないが、目の前の患者さんの悩みを「自分ごと」として受け止めて説明、治療をさせて頂いていることだけは申し上げておきたい。

                         2023,4,30

20周年

  当医院はお陰様で今年の6月に開業20周年を迎え、開業当時からのミッションとして「お越し頂く方に価値ある時間を提供する」を掲げてきましたが、その方針は全くブレることなく現在に至っております。また20年前と比較すると、診療内容の変化を見ることが出来ます。具体的には、開業当初は世界基準の歯科医療を提供することを目的とし、きちんとした治療を行うことに主眼を置いておりましたが、現在においては治療ではなく、治療が必要とならないようにするための時間を多く割くことになってきています。言い方を変えると今までにも増してコンサルテーションの時間が非常に重要で、子供に至っては親子の教育指導、ディスカッションに多くは時間を割かれます。歯科医師の仕事は歯の治療をすることではなく、不正咬合になった歯列を矯正することではなく、そのような状況を招かないようにすることが本来の仕事であるならば、根本原因を追究しつつ、患者さんのデンタルIQを高めていくことにあります。因みにですが、子供達の不正咬合の原因を探っていくと、母乳哺育まで歯科医療従事者が関わる必要があることが分かってきているので、数年後には当医院には助産師さんが勤務することになりそうです。

                         2023,4,29

一生の思い出

  当医院のお子様が、WBC対チェコ戦の先週入場のエスコートキッズとして登場していた。お姉さんが村上選手、弟くんがヌートバー選手と手をつないでにこやかな表情で入場してきている様子を当医院のスタッフが見つけた。後日お越し頂いた際にご両親に確認してみたところ、当日球場関係者から声を掛けられて急遽参加することになったとのことで、一生の記念になりましたと興奮気味にお話をして下さいました。野球少年だった当方にしてみれば、あの選手達とあの距離であの場所に立っていることに嫉妬すら覚えるほどの出来事であり、少年野球時代にプロ野球選手達に憧れていた頃を思い出している自分がいた。いつの時代もプロスポーツ選手は子供達の夢でもあり、世界で活躍する日本人選手が実に誇らしい。

                         2023,4,28

見慣れない新聞

  知人から送られてきたパッションフルーツを包んでいた新聞に目が留まった。“いざ決戦、猛牛激突”。先月の琉球新報の一面には弥生闘牛ダービーの組み合わせが載せてあり、出場予定である巨漢牛の特徴の詳細まで紹介されている。「隙を突き、相手の懐に飛び込むスピード感ある攻撃が持ち味だ。かけ技からの押し込みの強さにも定評がある。」まるで大相撲の解説のようではありませんか。第七回とあるので歴史はまだ浅いようだが、地元の風物詩なのでしょう。飼育されている家族と子供達の写真も掲載されており、闘牛文化を継承していくとの組合長のコメントからも、地元文化への愛着を感じ取ることが出来る。送って頂いたフルーツは美味しく頂くとして、珍しいご当地新聞を目にしたことで、ちょっとした旅空間を楽しませていただきました。

                         2023,4,27

成長の最適化

  咬み合わせのトレーニングで通院中の子供達と接していると、子供には発達段階に応じた働きかけが大切であることを我々スタッフは実感する。小学生であれば学習塾通いで宿題などに追われるよりは、友達と外遊びをする、興味あることを追求したり本を読んで空想を膨らませたりすることで、脳を成長させていく時期である。それらが満たされることで脳へのストレスも少なくなり、夜の睡眠も深くなるというものである。当医院のトレーニングを行っている子供達のほぼ全員が塾通いしているが、週の通塾回数が多い、もしくは長時間になっている子供ほど、落ち着きのなさを感じるのは単なる偶然なのか気になるところである。当方が育った時代と違うと言われるかもしれないが、子供の身体や脳の成長過程は時代によって変わるものではなく、生活環境の変化が子供達の正しい成長を阻んでいることにエビデンスは必要あるまい。子供達の成長の最適化が急がれるところである。

                         2023,4,26

不快な輩

  BS放送番組の「駅ピアノ」「空港ピアノ」などは短い時間であるが、観ていて微笑ましい。通りがかりの人や空港使用の人が、思い出の曲や自作の曲を披露して、満足そうに席を立つ瞬間の顔が素敵である。周囲の人も曲の音色に引かれて足を止めて聴いたりして、数分間は即席のミニコンサートである。そんな素敵な空間が日本の駅でも見られるようになってきたが、その駅ピアノの設置を今月いっぱいで止める駅がある。その理由が、決められた演奏時間を守らない人や、一人で独占して弾き続けるなど、ここでもマナーを守らない周囲を不快にさせる輩がいることにあるという。常識、良識のある日本人はどこにいってしまったのだろうか。極めて一部の人間の行為によって大勢が迷惑、被害を受ける構図は、ここ数年で急増している。そうなった社会を嘆くよりも、そのような大人にならない家庭教育の躾が急務である。

                         2023,4,25

不信感

  「通っていた歯科医院があるのですが、治療途中からでも診て頂けますでしょうか?」との問い合わせを頂いた。生憎直ぐには承れない旨を伝えると、どちらかの歯科を紹介して欲しいと何とも悩ましい相談を受けた。昼休みということもあり、歯科医院を変える理由を尋ねると、「沢山先生やスタッフさんがいて行くたびに担当する先生が違うので、治療がきちんとされているのか不安なんです。」ということである。患者目線で捉えると、診査診断をされた先生が治療を継続して頂けるものと当然思うわけであり、行くたびに前回と違う先生が口腔内を処置するとなると、そこの医院に対して疑問を抱くのも不思議ではない。医院側目線で捉えると、シフトによって空き時間を作らないように先生を配置しているのかもしれないが、物品販売、製造業などの仕事ならまだしも、生身の身体を治療する仕事であることを考えれば、自ずとあるべき診療体制は構築されるはずである。世の中、効率化やデジタル、AIなど、人の心の動き、あり方を重要視しない方向に進んではいないか。そのうち“阿吽の呼吸”など死語になる日がやってくるのではないか。

                         2023,4,24

スマホの功罪

   久しぶりに中2の息子のキャッチボールの相手を務め、以前にもまして彼の投げたボールの勢いと遠投の距離が伸びていることに、日々成長していることを実感した。投球フォームもそれなりに形になっているので本人にも確認させるつもりでスマホ動画撮影を行ったのだが、再生して確認できたのは彼のフォームだけではなく、当方が返球する際の身体の硬そうな投げ方であり、妻には「記念試合の始球式で投げている元野球人みたい(笑)」とまで言われる始末。年齢的にも柔軟性が無くなってきているのは自覚し、日々走るだけでなくそれなりにセルフトレーニングを積んでいただけに、自分の今日の姿には愕然としてしまった。但し、始球式でみられるような山なりボールではなく、ストレートも息子には負けていない?ようなので、今後は体幹の動き回旋トレを組み入れることで、少しは身体の動きに柔らかさが出てくるのではないかと期待している。

                         2023,4,23

習慣

   「毎朝起床したら1Lのコーヒーを淹れて飲むのが私の朝食です」と、先日夕食をご一緒させて頂いた外国人の会社経営者の方。昼食と夕食はそれなりに摂ると仰っていたが、それ以外に“おやつ”の量が半端ではないと奥様の弁。生活習慣、食生活習慣の違いなのかもしれないが、栄養学的にもあまり宜しくないのは言うまでもなく、ご本人の自覚もあるにはあるとのことである。一度身に付いた習慣は良くも悪くもなかなか変えられないものであり、それが出来れば苦労はないというのが凡人の嘆きかも知れません。子供達の咬み合わせのトレーニングは、まさに習癖の改善であり、人間の細胞は90日間で入れ替わる(表現は正しくないかも知れません)特徴を生かし、この間集中して呼吸トレーニングすることで、口呼吸を鼻呼吸に変えていきます。ある程度人生を歩んだ大人であれば、子供の頃の習慣がそのまま身に付いている、引きずっていることを実感されるのではないでしょうか。新年度を迎えて、何かを変えようと思われる方、先ずは一歩を踏み出して3か月間頑張ってみては如何でしょうか。因みに私は今までの継続に徹しています。


                         2023,4,22

15年かけて・・・

   かれこれ15年来、当医院にメンテナンスで継続してお越し頂いている方の左下奥歯にひびが入り、痛みが強くなってきたとのことで急遽診察することになった。この方の他の奥歯には歯根破折の履歴があり、むし歯のみならず、口腔内のトラブルが生じる根本原因は歯並びの乱れ、不正咬合を伴う食いしばりや歯ぎしりにあると繰り返し説明を行ってきた。これ以上歯を悪くしたくない、一生自分の歯で過ごしたいと本気で考えるのであれば、機能的歯列矯正治療を考えるべきであると機会のあるごとにスライドを使ってプレゼンをしてきただけに、今回は敢えて何も言わないことにしたところ、ご本人から「先生、やっぱり咬み合わせですよね~?、今の年齢からでも矯正治療は可能ですか?」と訊いてくるではありませんか。15年掛かって口腔内の現実を理解出来るようになったのか、理解はされていたが自分のこととして受け止めることが出来ていなかっただけなのか、何れにしても本人にとって最善の選択をされることを願うばかりである。


                         2023,4,21

治療に対する理解度

   朝晩は少し肌寒く感じるものの、日中は初夏の暖かさというよりも暑いこの2日間である。診療室の空調も冷房に切り替えることになるのだが、GW前に冷風を流すとは、ここでも地球温暖化を意識させられてしまう。前日との気温差で体調を崩され治療予約のキャンセルも数件頂いたが、その電話一つでもその方の人柄というものが伝わってくるものである。体調不良となれば直前のキャンセルも致し方ないことであり、我々からも「お大事になさってください。」ということになるわけだが、以前はキャンセルの常習者がいたことで、その日一日を不快な気持ちで過ごすということもあった。こちらからそのような方の治療はお断りすることになるが、8回の予約のうち7回もキャンセルされては7時間の無駄な時間が出来るわけで、今考えると医院の営業妨害をされたようなものである。先日も、数年前に無断キャンセルをしたままお越しにならなくなった方からの問い合わせを頂いたが、反省の弁があるどころか当たり前に治療の予約を取りたいとのことであり、ただただ呆れるばかりである。歯科の治療はその方の口腔内の状態にもよりますが、複数回足を運んでいただくことになるケースが多くあり、お互いの信頼関係が構築され、治療に対する考え方が共有されなければ治療結果は決して満足のいくものではなくなります。付け加えると、歯の治療は決して元の良い状態に戻ることはなく、延命処置をしているだけであり、その内容を如何に理解できるかが予後の在り方を左右することになります。


                         2023,4,20

問われる人間性

   残業を終え帰り支度をしている際に鳴った電話の受話器を手に取ると、「あっ〇〇ですけど‥‥、右上の奥歯が昨日から痛み出して夜も眠れない状態なんです。診て頂けないでしょうか?」との問い合わせである。この方は、他院にて神経を抜く根管治療を複数本受けておられるのだが、それらすべての歯がレントゲン診査にて問題のあることが判明しており、順次当医院で再治療を行っているのだが、あまりに質の悪い治療痕に同業者として本当に申し訳なくなるほどである。どうしたらこんなに心無い治療が出来てしまうのか、臨床実習生でさえもう少しまともな治療が行えると思えるレベルである。当方の予定もあり、夕方の限られた時間に急遽診察をさせて頂くことになったが、医院に到着すると痛みと睡眠不足で表情はぐったりされている。早速治療に入ると想定外の目を覆いたくなるほどの不良根管治療であり、前医への怒りの感情が湧いてきたと同時に、このような治療でドクターと呼ばれているようでは、何のための歯科医師国家資格なのかと考えさせられた次第である。治療経験が浅ければ、診査診断、治療にも時間を要することは当方も経験上分かり得ることである。しかし、このようなケースで問われるべきは、ドクターとしての人間性であり、モラルの問題でしかない。医師の診査診断力の向上に欠かせないのは、何よりもまず人間学の向上であろう。


                         2023,4,19

某国大統領の不甲斐なさ

   先進7カ国外相会合に出席したドイツのベアボック外相の歯切れのよいコメントが素晴らしい。ある国に対して、「国際法違反に対して欧州は見てみぬふりをしてはならないことをここで明確に指摘しておく」と述べ、更に欧州諸国は自らの平和秩序だけを守るために「カタツムリの殻に閉じこもっていてはならない」と語っている。一方で、国賓で格別のおもてなしを受けた欧州のある国の大統領は、人権侵害を続けるその大国を擁護するようなコメントが、おもてなし以後多く見られる。まるで飼いならされた犬のようで、品格すら失ってしまったかのように当方には映る。国として、人として、守るべきものは経済的なことなのでしょうか。政治家であろうと職人であろうと、生き方の中心には哲学がなければ人は付いてこない。周りも大事だが、先ずはビジョンあるメッセージを各政治家は示して頂きたい。

                         2023,4,18

常識・良識のある行動

   マスクの着用が個人の判断に委ねられることになり、野外ではマスクなしの方も多くなってきた。通勤時に以前当医院で咬み合せの改善を目的に機能的歯列矯正治療を行った高校生を見かけたが、口唇が開いた状態のお口ポカンで歩いているではありませんか。ワイヤー矯正治療で歯列、咬み合わせを改善させたとしても、日頃の習癖を取り除くことが継続されていなければ、後戻りが生じてしまう。成人矯正では筋機能の改善を並行して行うことが重要であり、そのためには歯並び及び咬み合わせが悪くなった根本原因を患者自身が理解することが必須であり、そのための時間を医院側は提供する義務がある。分かったつもりと理解したとでは全く意味合いは異なり、そのまま治療に移行したならば、場合によっては医療トラブルを引き起こしかねない。お越し頂いた方が例え矯正治療を望まれていたとしても、治療に対する考え方の相違があれば勿論お受けすることはないが、こちら任せの治療スタイルでも当医院では承ることは出来ません。最近はネットであらゆる情報収集をされ、ネット知識で問い合わせをされてくる方も多くなっている。本人の口腔内も見ずして答えろと言うのは、如何なものでしょうか。常識・良識が問われる場面に遭遇することが多いと感じる今日この頃です。

                         2023,4,17

ゆがんだ人間

   毎年行われていた近所の「八重桜まつり」がコロナ禍の影響で2年続けて延期されていたが、今年は3年ぶりに開催となった。温暖化の影響で主役の八重桜が散り始め、期待した景色とはならないけれども、出店も揃って人の活気が完全に戻ってきている。日曜日で晴天ともなれば家族連れも多く、いかに3年近く我々が籠っていたかを実感するまつりである。どの人も笑顔があり、小さな子供は走り回り、犬の散歩で立ち寄った人も普段とは違う丘の賑やかさにどことなく嬉しそうである。そんな人たちの自然な姿はごく普通であるにもかかわらず、なぜか貴重に思えてしまうのは、世の中を覆っている平和にへの不安感からだろうか。ロシアによるウクライナ侵攻、中国による台湾への威嚇、そして昨日起きた岸田総理を狙った爆発事件。日本そして世界に存在する展望の見えない人生への苛立ちなどを持った人間が、ゆがんだ正義感を膨らませているとしても、そこに条理はない。

                         2023,4,16

子供から見えてくるもの

   「毎日寝ていると夜中に目が覚めるんだよね~、それからしばらくは布団の中でボーっとしているんだ。そうするとまた眠くなるから」。これは当医院に月一で通院中の小学生が担当の歯科衛生士に漏らした言葉です。初診時の問診時には親からもそのような話はなかったが、歯科衛生士に信頼感を抱いてくると、子供達は普段親にも言えないようなことを語ってくる。一週間に5つの習い事を好んでしているのか、させられているのかは定かではないが、子供からの話を聞く限りでは、親の言いなりになっているとしか思えない日常生活である。精神的な抑圧は子供の成長発育にマイナスになることはあっても、自主性を伸ばすことには繋がるまい。躓いたっていいじゃないですか、失敗することがなぜ悪いのですか、周りの子供と比較してどうするのですか、親が敷いたレールを子供が歩まないとあなたは気が済まないのですか。そんなことを親に尋ねたくなることが多々ある日常臨床に、日本の家庭教育の在り方に危うさを感じている今日この頃です。

                         2023,4,15

便利と効率化

   世の中にコンビニエンスストアが出現したのが今から約50年前。24時間買い物ができるようになったのは画期的であり、コンビニと言われるだけあり便利な存在となった。そのコンビニでも昨今は自動精算機となり、更なる効率化が図られている。いまや時間と手間を省くための商品やサービスは、様々な業界で大きな利益を生んでいるが、そのことで我々は本当に幸せに、豊かになっているのでしょうか。効率化によって時間に余裕が出来るはずが、気付くと楽になるよりも更に忙しくなっている、なんてことがありませんか。買い物の際に交わされるちょっとした会話で気分が明るくなったりする経験からは、生身の人間は五感が働いてこそ人間であることを実感する。人間にとって便利なことが常に最善であるとは限らない。手間暇かけることに、形には見えない価値があることに本当は我々は気付いているはずだ。テクノロジーの進化と引き換えに、人が人間性を維持できなくならぬよう願いたい。

                         2023,4,14

アルバイト

   学生時代にアルバイトをする目的は小遣い稼ぎ、生活費、学費を賄うためなど様々あると思いますが、ちょと知らない世界を覗いてみる好奇心から一歩踏む出してみるのもいいのでは。今朝の通勤電車で新入生と思われる学生同士の会話を聞いていると、バイト探しで迷っている様子。当方の学生時代を振り返ると、家庭教師、夏季休暇中の宅配のバイトを4年間続けて、貯めた資金を2ヶ月のヨーロッパバックパッカーの旅と冬のスキー合宿に投資した。税金が掛かるわけでもなく、自分なりに満足のいく充実したアルバイト生活をさせてもらい、その経験は社会人となってから役立つことになる。長い人生を振り返ることになっても、2ヶ月の旅ができる時間をとることはそう簡単ではない。アルバイト一つとっても何のためにするのか目的をしっかりと定めることが重要であり、ただお金欲しさで時間を費やすのはもったいないと言いたい。時にはスマホを置いて、全ての情報をシャットアウトして自分と向き合っていろいろな考えを張り巡らしてみては如何だろうか。

                         2023,4,13

お口ポカンについて

   先日のブログで「お口ポカン」について述べさせていただきましたが、今日のネットニュースに大きく報じられています。世間ではまだ広く認識されていないのですが、口呼吸によって本来の舌と口腔周囲筋の働きが失われることで不正咬合を引き起こし、上咽頭の慢性炎症、鼻炎や睡眠障害に伴う集中力の低下なども確認されています。また長期的には、身体に慢性炎症が継続して残ることで、内臓疾患、高血圧なども関係していると考えられています。当方が子供の頃には親に「口を閉じなさい!」と言われた記憶がある。今となっては健康を守る上で、実に的を得た言い方であり、小学校の教壇に立つ先生方には授業中に「お口ポカン」の生徒が3割以上はいるので、是非とも注意指導を行って頂きたい。またお子様が「お口ポカン」になっているようであれば、先ずは歯並びを確認して頂き、すでに永久歯が歯列に入りきらないようであればただ様子を見るのではなく、早く然るべき歯科を受診し、適切な治療プログラムを実施すべきです。なぜならお子様の骨格の成長は日々進んであり、一日も早く本来の成長軌道に戻すことが重要だからです。

                         2023,4,12

新社会人

   新年度が始まり、期待と不安が入り混じりながら新しい環境で学び、働き始めた方々も多いことでしょう。当医院でも新人の歯科衛生士が働き始め、院内に新しい風が吹き始めた。小学生の頃に検診で母親に連れられて来たのが切っ掛けで、その後も定期検診で当医院に掛り続けた彼女がこの春から勤めることになるとはまさかの展開であるが、これほど喜ばしいことはない。「仕事の完成ではなく、仕事をする人の完成。」とスペインのことわざにあるように、人はなかなか思うような自分に到達できない。心にフォーカスを当てた経営を行ってきたあの稲盛和夫さんは、「何よりもまず心を高めなければならない、心を美しくしなければならないと思わなければならないのです。」とよく語っておられた。さらに続けて「そうは言っても、我々は煩悩、欲にまみれた人間ですから、なかなかそうはなれない。なれないけれども『ならなければならない』と思って反省する。この反省があるから、努力をしようと心掛ける。このことが人生にとっては大切なのです。」と。昨今は修身という文字を見かけることも聞くこともなくなりましたが、仕事も人生も、気付くと心を美しくするための修業の場であると言えるのではないでしょうか。新社会人にとって、各職場が人間向上のスタート台になっている。

                         2023,4,11

電動アシスト自転車

   近頃は自転車を立ちこぎをする姿をほとんど見ない。当方の住んでいるエリアはアップダウンが多くあり、自転車の利用は敬遠されそうなものだが、最近は「eバイク」というのだろうか、子供でもマウンテンバイクに電動アシスト機能が付いている高機能な自転車に乗り、上り坂でも涼しい顔で進んで行く。近隣の新築マンションの売出しの際に、電動アシスト付自転車が契約者にプレゼントの広告もあったぐらいである。また昔話になってしまうが、私が子供の頃は立ちこぎをしてチェーンが外れるとペダルを踏み外して脛を強打し、かなり痛い思いをしたものであり、昭和生まれの方であればそんな同じ経験をお持ちではないでしょうか。外れたチェーンをギアに戻すと指がチェーンの油で真っ黒になり、楽しいはずの自転車の乗りが一瞬にしてつまらなくなったりもした。幼少期から外遊びをしない、歩かない、運動しない、自転車に乗ってもアシスト付となれば、身体の体幹が良くはならなくても不思議ではない。不自由のない社会と引き換えに、子供達の健全な成長発育が蝕まれてはいないだろうか。

                         2023,4,10

世の中の変化

   電気量販店の一眼レフカメラの展示コーナーは、以前の1/3ぐらいまでに縮小しているようだ。スマホカメラの解像度、機能性の向上などから大きなカメラがなくても不自由はないどころか、撮影した写真の編集まで出来て直ぐに共有出来たりすれば、これも時代の流れなのかもしれない。久しぶりに対面式のセミナーに参加してきたが、演者の歯科医師は治療中の口腔内をiphoneにてスタッフに撮影をさせて、その動画を治療終了後に患者さんに見せていることを既にされていた。当方もマイクロスコープで撮影した動画や画像は以前から使用しているが、スマホがここまで進化すれば、やはり一眼レフの肩身が狭くなるのも致し方がない。また世の中の様々な変化のスピードはとにかく速い。4月は何かと支払いが多い月でもあるが、税金ももPayPayで支払いが出来るようになり、以前であれば銀行窓口で支払う、もしくはATMまで足を運ぶ必要があったが、家に居ながらにして済ませることが出来るとなれば、いよいよ金融機関の在り方も大きく変わっていくのだろうか。

                        2023,4,9

お口ポカンと不正咬合

   「子供の前歯が直ぐに着色するので何とかなりませんか?」とは、小学生の女の子に付き添ってこられた母親からの質問である。口腔内写真に続いて立位の写真撮影を行う間、女の子はお口ポカン状態である。お口ポカンとは口唇が閉じない口唇閉鎖不全のことであるが、母親の目には歯面の着色は気になってもお口ポカンは気になっていない様子である。改めて撮影した写真をモニター画面に映し出し、なぜ歯面が着色するのかを考えて頂き、お子様の顔面の特徴を尋ねたところで初めて上下の口唇が開いていることに気付かれた。全国の小学生の約30%はお口ポカン状態で過ごしているという論文もあるぐらい口の開いていることが珍しくない世の中になりつつあるが、これは健康を維持するうえでは大問題であり、そもそも呼吸は鼻でするものであるということを気付かせなければならない、そのような次元で話をしている時点で異常である。今日本では不正咬合のパンデミックが起きており、子供が口呼吸をするには理由があり、顎顔面骨格の正しい成長発育はどのように進むのかなどを親御さんには理解して頂けなければ、例え咬み合わせと呼吸のトレーニングをただ行っても、望むような結果は付いてこない。


                        2023,4,8

選挙

   地元で馴染みの顔が最寄り駅にて通勤客に挨拶をする姿は、選挙期間中に日本各地で見られる光景である。勿論新顔の登場もあるにはあるが、筋の通った骨太の政治家を目指す候補者というよりも、受けの良い政策を訴える方が目に付く。市会議員、県議会議員、国会議員など議員と呼ばれる方々は有権者から先生と言われるのはなぜなのか。軽々しい物言いはやめて、実行可能なことと真摯に向き合って欲しい。また我々有権者はとにかく投票に行きましょう。国政選挙における投票率の低さには目を覆いたくなる。いまは期日前投票の会場も以前より多く設置されており、選択の機会を逃すことなく有権者としての意思表明をすべきであると私は考えますが皆さんは如何でしょうか。投票にも行かず政治に不満を言うのは無責任の極みでしかない。


                        2023,4,7

見聞を広める

   浪人生活を経て晴れて大学生になった方から、ユーレイルパスを使ったバックパッカー旅行について質問を受けた。以前私が学生時代に経験した旅話の内容に興味があったらしく、大学生になったらヨーロッパ一人旅に出掛けてみたいと言うのだ。そもそも今もユーレイルパスが存在するのかさえ分からずネット検索してみたところ、あるどころではなく全てがペーパーレス化されていて、スマホがなければバックパッカーにもなれないような時代のようだ。約30年前はトーマスクックの分厚い時刻表を持ち歩き、翌日どこに行くのかを決めたり、宿泊代を浮かすために長距離列車で国境を越えたりするのが当たり前のバックパッカーだったが、以前よりは軽量化で旅を出来そうである。日本の若者の内向き志向もあり海外への留学生は年々減少傾向にあるようだが、若い時に大海を実際に目にすることは、画面を通して知った気分になるのとは全く異なるものであり、全てを五感で感じて比較対象を増やす意味でも世界へ一歩を踏み出して欲しいものである。


                        2023,4,6

親のありがたさ

   プロ野球観戦の帰りと思われる親子が車内で楽しそうに試合内容を振り返るように会話をされていた。小学3年生ぐらいだろうか、贔屓チームの応援タオルを首に巻き、メガホンを両手に握って軽く叩いている姿がなんとも子供らしく可愛らしい。ご両親のお子様への優しい眼差しに、小生が子供の頃も親にこうやって野球に連れて行ってもらったのかと感傷的になってしまった。その親父も疾うに後期高齢者となり、久しぶりに会うたびに身体が小さくなっていくようで、今は元気でいてくれるだけでありがたい思いである。先日お越しになられた方のスマホの待ち受け画面には、施設でお世話になられているお母様が表示されていて、それだけでその方の親を想う感謝の念が伝わってきた。世の中には様々な親子関係が存在するが、親があっての子であることはいつの時代も変わることはなく、そのことを子供が胸に刻むだけでもりっぱな教育であり、それが出来ている世の中であれば、敢えて叫ばなくとも人の絆は深まっていく。

                        2023,4,5

脳の最適化

   ワーキングメモリというと、どこかで聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。コンピューターに詳しい方ならお分かりになるでしょうが、人間のワーキングメモリは人によって、そして年齢によっても異なるのでしょうか。この人って頭が切れるよなって思われる方は常に頭の回転が速いように見え、脳の作業台の広さやRAMの容量が同じ人間なのに途轍もなく大きいなと感じることはありませんか。経験の差と言ってしまえばそれまでかも知れませんが、やはり脳の働き方、働かせ方の違いなのでしょうか。数十年前の大学の生理学講座にて前頭葉、頭頂葉、側頭葉、そして後頭葉と大脳には大きな4つの部屋があり、それぞれが多種多様な機能を担っていることを学びましたが、どのようにしたら脳の働きが良くなるのかといった疑問を抱くことはないまま過ごしてまいりました。物忘れが酷くなったわけではありませんが、書店に並ぶ「脳トレ‥‥」類の本が気になり始めた今日この頃です。パソコンの最適化を常に行うように、自身の脳の最適化もコンスタントに行う必要がありますね。

                        2023,4,4

新社会人

   新社会人として旅立つ人々にとって、今日はどのような日になるのだろうか。将来の自分に向かっての第一歩、期待と不安が入り混じる忘れられない一日となることだろう。一足飛びにWBCで活躍した選手たちのようになれるものではなく、誰もが地道に積み上げてきた結果がどこかで花が咲くわけであり、先ずは自分の足元を見つめて、出来るところからこつこつと始め、なりたい自分への道を切り拓いていくよう頑張って頂きたい。小生を振り返ってみると、卒後最初に勤めた歯科医院では、半年間は患者さんの口腔内を触らせてもらうことは出来なかった。何のためにこの医院に勤めたのか、と院長に対する不信感も抱き始めた頃にハッと気付いた診療場面が今も忘れられない。院長先生が患者の訴え、悩みをしっかりと受け止め、カルテ用紙3枚に、患者さんの言葉を要約することなくそのまま全てを記入していた。当たり前と言えばそれまでだが、一日の診療後に院長から言われた言葉、「歯を診るのではなく、人を診なさい。医者は病気を診るのではなく、人を診るのですよ。」これが私の原点である。

                        2023,4,3

性分

   4月2日が誕生日の方は、学年でもっとも早い生まれだ。当方の同級生にもこの日に生れた方がいたが、誰よりも早く生まれてきた為か頭もよく、しっかりものであった。もっとも生まれた時期と学業の成績が関係するとは思っていないが、当方は何かといつもその彼女の後塵を拝していた記憶がある。では4月1日生まれの方はどうなのか。上記に記した理論で行けば365日分遅れていることになり、とてもその彼女には太刀打ちできないことになる。同級生であっても卒後40年ともなれば、皆がどうしているのかは知り得ないが、人生はその人の心がけ次第だということが、この齢になってくると見えてくるものだ。大人になっても子供の頃の性分は変わっていないものであり、それゆえに今の子供達には幼少期の過ごし方、家族との時間などを大事にして欲しいものである。

                        2023,4,2

診査診断に必要なことは‥‥

   20~30年以上前の歯科医療では今のようにデジタルカメラなどは存在しないので、記録写真となるとフィルムカメラで撮影し、現像に数日時間を要するといったことが当たり前であった。それでも撮影しないよりは経過を診る上で貴重な資料であり、年単位で経過を追っていくと、文献では得られない気付きが自分の診断力の向上へと繋がっていった。しかし、その場で目の前の患者さんにお見せすることができないので、口腔内の問題点、主訴に対する説明は口頭に限られ、おそらく患者さん側の理解度は低かったと思われる。今では瞬時にカメラで撮影、記録することで、初診の方であればその画像をもとに主訴の現状、そこに至った原因説明を行うことが可能であり、疑問を解くうえでは欠かせない機器である。更にマイクロスコープの画像ともなると、まるで“ミクロの決死隊”(これが分かる方は50代以上かな?)になったかのように、細い血管まで見えてくる。歯ブラシの毛先が届かないところの歯面に付着しているプラーク画像などを見た患者さんは、ほぼ皆さん“汚い!”の一言が出る。“百聞は一見に如かず”であり、余計な説明は不要となる。治療の精度を上げるには精密機器も必要だが、確実な診査診断を行える環境作りが何よりも優先されることは言うまでもない。

                        2023,4,1

治安レベルと民度

   「フランスとイギリスに旅行に行ったのですが、パリで財布を掏られてお金がないんです!」とは、治療にお越しになられた20代の女性の言葉。折角の楽しい記念となるはずの旅行先での出来事に、約30年前の自分を思い出した。バックパッカーとしてヨーロッパを一人旅している途中のマドリードで、満員の地下鉄で胸の内ポケットから現金とカード入りの財布を盗まれた。掏りに合うとしたら、こういう満員電車内かも知れないと用心していたにも拘らず、電車のブレーキで身近にいた人たちが身体を持たれかけてきた瞬間があった。目的地に着いてホームに降りると、乗車前に間違いなく締めたことを確認した内ポケットのファスナーが開いているではないか。あまりの完璧な掏られ方にホームで暫く呆然とするしかなかった。地元警察署に届けを出すと、「掏られた瞬間に気付かなくて良かったですね」と窓口の係官に言われたことを覚えている。どういうことか。「もし気付いていたら、犯人を追いかけ取っ組み合いになって、場合によっては凶器で危険な目に合っていたかも知れませんよ」ということらしい。何とも治安の悪い国だと感じたものだが、それから30年経った我が国における治安は決して自慢できるレベルではない。日本は安全な国、というのは日本人の民度が高かったころの話であり、治安に限らずマナー違反も至る所で目にするようになるとは、なんとも嘆かわしい国になってしまったのか。

                        2023,3,31

外国語の習得には‥‥

   日本人の英語を学ぶ時間は通算にするとどれくらいになるのでしょうか。私は中学一年の時に英語のテキストを初めて手に取り、音読暗唱を繰り返してとにかく覚えることに徹していた。余程外国語が好きだったのか、少しでも横文字を語ることが出来ればそれだけで自分の世界が広がる。決して勉強をしている感覚ではなく、抑揚をつけながら外国人になり切った気分で発音することが楽しく思えていた時期である。最近では、語学習得は低年齢のうちから始めることが‥‥と一部の幼児教育に取り組む傾向があるが、果たしてそこまでする必要があるのでしょうか。教育産業に乗せられていると言っては言い過ぎか。母語である日本語の習得もままならないうちから他国の言語を学ぶとは本末転倒であろう。藤原正彦氏、昨年亡くなられた渡部昇一さんなどは、小学生は国語をしっかりやり、論理的思考を養い、情緒を豊かにすべきであり、英語は中学から学んでも決して遅くないと著書などで述べられている。先ずは日本語をしっかりと使えるようにすることが何よりも優先されるべきであり、その後実用できる外国語の習得に時間を掛けることで十分であると声を大にして言いたい。

                        2023,3,30

三つの原則

   物の見方には三つの原則があると、若い頃に親父に言われたことがあったが、安岡正篤師の著書にその内容が記されていたことを先ごろ知った。どのような状況、例え難しい場面であっても、第一に、決して目先に捉われないで、出来るだけ長い目で見るということ。第二に、物の一面にこだわらず、出来るだけ多面的に、全体的に考えるということ。第三に、物事の枝葉末節ではなく根本的に考察すること。仕事、人生において、実に含蓄のある文面である。人を、ほんのその場の一面だけを見て、その人の枝葉末節を取り上げて、あれはこうだというのと、その方の生活・行動を長い目で見て、いろいろの面を観察して、心の持ち方などを深く掘り下げて人を評価するのとでは、全く違ってくる。成果主義、結果優先が重要視される時代ではあるが、この三原則から逸脱しているようでは長期的な成長、そして成功は望むべくもない。

                        2023,3,29

共通のミッション

   目標に向かって迷わず仕事をされているというのは会話をしていても勢いを感じるものだ。数年ぶりに酒を飲み交わした彼の約20年前からのミッションは、「世の中からむし歯を無くす!」であり、当初は「そんなこと歯医者だったら当たり前だろ?」と思ったものだが、当方も開業20年が経ち、気付くと医院のミッションが彼と同じ方向に向いていた。どういうことか。むし歯になった歯の治療を行っても歯は元に戻らないばかりではなく、治療することで歯の寿命は短くなる。ならば、むし歯にならないような環境を作り上げることが歯医者に課せられた義務であり、そこにはむし歯の原因論、不正咬合のある歯の外傷によるむし歯、不正咬合の原因を突き詰めると乳幼児の母乳哺育まで遡るに至ることなどが見えてきた。この当たり前のことに辿り着くまでに時間は要したが、歯医者として進むべき方向性に迷いはない。今の時代はいかに正しい情報発信を可能にするかが課題の一つでもあり、当医院の力不足の部分でもある。システムの構築なども重要ではあるが、「人が人を診る」仕事である以上、更なる人間力の向上は欠かせない。4月からは新人の歯科衛生士の採用も決まり、更なるバージョンアップに努めて参ります。

                        2023,3,28

啓発録

   橋本佐内の「啓発録」を読んでみて、15歳の子供が一人前の大人になるためには自分自身がこれからの日常生活においてどのような心掛けで日々過ごすかの覚悟、決意をしたとは思えないような内容に驚くばかりである。中学生、高校生の頃と言えば人生に対して思い悩む時期でもあり、自分を振り返ってみても勉強や友達、周りの環境など様々なことで悩んだものです。そんな思い、悩みを抱えている中高生には、是非ともこの「啓発録」を今のタイミングで読み、佐内が記した大事な5項目を胸に刻んで学生生活を過ごしていただきたい。現代はあらゆる手段で情報を即座に入手することが可能ですが、決して知識の詰込みが人間を人として成長させるものではなく、時には自分と向き合う時間をしっかりとることで、自分の進むべき道、自分の姿が見えてくる、そんなことを考えさせられる本でもあります。人生の目標はなにか、子供も大人も日々考えて過ごしていますでしょうか。

                        2023,3,27

アレルギー症状の背景

 今の時期、花粉で悩まされている方は多いことでしょう。当方もその一人でありますが、数日前までは花粉症特有の症状もなく、今年は花粉の量が多いと聞いていた割には大したことはないと高を括っておりましたが、今はポケットティッシュを手放せなくなるぐらい、酷い鼻の症状に襲われています。鼻が詰まる、鼻水が出るといった状態は完全に集中力が削がれるので、花粉の時期だけで済む私のような人間はまだしも、年中鼻炎、鼻のアレルギー症状で悩まされている子供達は、授業にも集中できない状態であろうと容易に想像が出来ます。国民的アレルギー症状となりつつある花粉症をはじめ、各種のアレルギー疾患の背景には何があるのか。先進諸国において増加傾向にあることが分かっている以上、環境の変化であることは間違いありません。であるならば、各分野において対策を講じることは不可能でなく、地球破壊の速度を遅延、もしくは止める働きかけを、日本から発信、実行へと移せないものでしょうか。

                        2023,3,26

不正咬合と現代社会

   癖、習慣というものは、一度身に付いてしまったら改善するのが難しく、幼少期、できれば10歳前後までには修正させたいものである。それは身体の習癖だけでなく、考え方や生活習慣までも含めてのことであり、日々子供と向き合っていなければ見えていることであっても気付かないまま時間は過ぎるであろう。人類の長い歴史で捉えると、産業革命以後の人類の生活環境は劇的に変化しており、さらにこの10数年におけるデジタル、AI社会はスピード感において人間の追いつく能力を完全に凌駕している。しかし、人間の成長はアナログであり、情緒豊かに試行錯誤を重ねながら成長する動物である。子供達の一日における心身の成長は、心安らぐ環境と親の愛情があってこそ得られるものであり、周りとの比較や急かされるような日常生活では、子供自身が自分と向き合う時間もなく、心身に変調をもたらすストレスしか蓄積されない。子供達の不正咬合の根本原因の背景からは、現代社会の抱える問題点が見え隠れする。

                        2023,3,25

郵便局

   知人への届け物を普通郵便でお願いしたところ、「土日を挟むので少し日数を頂きます」と窓口で言われ、急ぎではないので問題は無かったがうっかりしていた。仕事で宅配便を利用する機会は多くあるが、最近は郵便局まで行くことはめっきり減っていた。封書一つ出すにしてもスタッフが何かの序でに一緒に投函してくれるので、切手の料金すら幾ら掛かるのか把握していない。近頃は頂き物の礼状にしても、普段お付き合いある方であればメールでなんてことも増えてきて、手紙をしたためることも減ってきたが、目上の方となればメールでは失礼になるとの思いからペンを執ることにはなる。ただ世の中の流れとして、手紙特に便箋での礼状書きの場面は減ってきているのかも知れない。子供の頃、親が万年筆で縦書きの礼状をすらすらと書き終えた後、切手を貼って近くの郵便局に投函しに行くのが私の楽しみだったが、今では縁遠くなってしまった。

                    2023,3,24

無気力・無関心

   コンビニエンスストアで会計を済ませたら、会計時に立てかけた傘を忘れて店を出たことに帰宅してから気付いたので翌日店員の方に尋ねたところ、素っ気なく「あっ、無いです」と言われた。傘の特徴を伝えても、店の奥を調べるでも他の店員に聞くでもなく、全くこちらの気持ちを察するような姿勢は伺えなかった。近頃はこういう無表情・無反応な人間が増えたと思う。目からして生気がないとでもいうのでしょうか、身体ばかりデカく育っても中身は子供以下のような大人である。結局この時は店長らしき人が現れて保管してくださっていた傘を渡してくださった。忘れた張本人が一番いけないのだが、人とのコミュニケーション能力に乏しい人間、全てにおいてやる気のない人間を見ていると、何のために働いているのかと尋ねてみたくもなるが無駄なことであろう。都会には人間という動物は沢山生きているが、意思のある人は果たしてそのうち何パーセントいるのだろうか。世の中の何かが狂い始めている。

                    2023,3,23

子供のストレス

   今の子供達は習い事が多くてストレスを抱え過ぎていると、当医院に来院される子供達を診ていると考えさせられる。サッカーは好きだから練習は楽しいけど、バイオリン、習字、そろばん、塾、そして合気道は行かないと親に怒られるから行っていると、こともが呟いている。いったい親は子供をどのように育てたいのだろうか。家でボーっとしている時間など許されないのかもしれない。他の子供は遂に英語塾を辞めたと言っていた。辞めた理由は、他の塾の宿題が終わらないからだという。他人のご家庭のことですから余計なお世話ですが、子供はもっと子供らしくのびのびと好きなことに夢中になる時間が必要ではないのか。敢えて言わせてもらうと、塾なんか行かずに読書に没頭する時間があったり、友達と外遊びに明け暮れて帰る時間を忘れていたなんてことがあっても良いのではないでしょうか。塾に行かないと友達ができないなどというのは本末転倒、家庭教育が全くなっていないと声を大にして言いたい。

                    2023,3,22

準決勝

   WBCネタはもういらないかも知れないが、触れないわけにはいかないだろう。メキシコ戦の劣勢をひっくり返したあの底力を我々は信じ願い、国民の祈りが結実した瞬間は目頭が熱くなった方も多かったはずである。1点ビハインドの攻撃でバッターボックスには大谷翔平、誰もがドラマの筋書きを語り始めた。そして3三振の村上様に打順が回り、ここで一発が出れば‥‥。役者がそろったサヨナラのホームは走りのスペシャリスト周東選手。前走の大谷選手を抜くかのようなその快速ぶりに、スタンドの観客は勿論地元の実況アナウンサーも大興奮状態。春分の日の午前中とも重なり、今日の視聴率はどこまで行くのか気になるところでもある。さあ、明日はいよいよアメリカとの決勝戦。相手に不足はあるまい。新たな景色を見ようではありませんか。


                    2023,3,21

傘寿でも

   長いこと定期メンテナンスでお越しになられている方が傘寿を迎えられた。全く年齢を感じさせない身体の動き、姿勢の良さ、滑舌の良さは健康そのものである。第一線を退いたものの、コンビニでアルバイトをしながら生活のリズムを保っているという。ご本人の後悔事はただ一つ、歯の手入れをきちんとしなかったこと。本人曰く、歯は悪くなって抜けていくものだと勝手に思っていたので、むし歯になろうと歯茎が腫れようと、そういうものだと自分の中で理解していたらしい。歯を失えば入歯を装着することで、食事はできると。多くの方は治療に伴う痛みへのトラウマがあるので、歯の治療は誰もが経験したくない筆頭であることは間違いない。この方のように後悔してからでは遅く、なぜむし歯になるのか、なぜ歯周病になるのか、不正咬合のまま過ごすと何が問題になるのか、などを先ずは理解することが歯を守る一番の方策である。加えてもう一つ。歯を治療したところで元には戻らないことも忘れずに!

                    2023,3,20

視力の衰え

   もうすぐ還暦を迎えられる方との会話のなかで、「いや~、さすがに歳をとると視力がね~」と言われたのでどの程度の視力になってきたのかお尋ねすると、「1,2と1,0になってしまってショックです!」と返答あり。当方も数年前までは1,5をキープできていたが、ここ1年ぐらい前から仕事帰りの駅ホームの電光掲示が霞むようになってきた。以前極めて視力が良かった人にとっては、少しの視力低下もショックなのだろう。やはり50代になると身体の各所に変調をきたし始めるのは誰もが同じなのか。CMなどの健康サプリメントに少し敏感になり始めたような、あえて気にしないようにしているだけなのか。そんなもので身体が良くなるなら医者いらずだと言い聞かせる自分がいる。健康を守る仕事に従事している者として、自分が健康でいることは勿論のこと、不調を抱えた方の気持ちが分かる人間でありたい。今朝は早朝から春の陽ざしが眩しいぐらいに燦燦とさしている。緑を眺めに久しぶりに長距離ランにでも出掛けるとするか!

                    2023,3,19

咀嚼の重要性

   咀嚼することと脳の活性化との間にはどのような関係があるのでしょうか。咀嚼している時には歯を使い、頬を使い、舌を使い、筋肉をコントロールするといった非常に高度な機能が営まれています。脳神経の中でも歯根の周りに存在する歯根膜につながる三叉神経は、咀嚼と脳をつなぐ重要な働きをしています。咀嚼すると歯根膜から刺激が伝わり、大脳の感覚野、運動野、前頭前野、海馬が活性化し、運動・感覚・情動・記憶が覚醒し始めます。口のなかに髪の毛一本入っただけですぐに取り出したくなるあの嫌な感覚は、このような伝わり方をしているわけです。ですから、歯が悪くなったからといって安易に抜歯してインプラントにするということは、形態的には改善するでしょうが、この大事な感覚機能までは回復しません。総入れ歯の人には歯根膜は存在しませんが、口の中の粘膜などのセンサーが歯根膜の代用として働き、老化などで衰えていた運動感覚、情動記憶を蘇らせる効果があると考えられています。身体に存在する代償作用と考えることも出来るのではないでしょうか。皆さん、当たり前ではありますが、一本たりとも歯を失ってはいけませんよ。

                    2023,3,18

サブ4

   ランナーであれば一度は達せしたいサブ4。フルマラソンに参戦にするまでは、それほどの壁と認識はなかったが甘かった。4時間ギリギリのタイムであれば、歩くことなく走破しているランナーと思われるが、5時間前後であれば、途中で休憩もしくはウォーキング走行も加わっているはずである。当方は昨秋、横浜マラソンを気温17度、快晴という絶好のマラソン日和のなかで完走、完歩(笑)したが、それでもサブ4には遠かった。50代ともなれば若い頃とは違い身体のコンディションを整えることにも時間と慎重さが求められる。過度のトレーニングは関節や筋肉を傷め、回復にも時間を要することになり、足底腱膜炎でもなると通常の歩行でさえままならなくなる。しかし“サブ4”は、フルマラソン完走者上位25%に該当すると聞けば無理をしたくもなる。例年であれば、今の時期から5月前半は「暑くも寒くもない」ため、気候的にもトレーニングに適した時期である。フルマラソン完走の達成感プラスワンを求めて、少しギアチェンジをしながら風を切る走りに出掛けることにしよう。

                    2023,3,17

筋トレ

   機能的歯列矯正治療が進むにつれて、「仰向けで寝ることが出来るようになってきた!」と高校生の弁である。出っ歯を主訴に来院された高校生だが、前歯が出ているのではなく、上顎に対して下顎が後方に下がって咬むように身体が適応してしまったために、相対的に上の前歯が突出しているように見えるのである。ではなぜそのような骨格になるのか。よく見られるケースでは口腔周囲筋の習癖であり、下口唇を前歯の間に巻き込ませるような動きを無意識で行っていると、頬筋が下顎自体を後方に引き下げるように動くことで上下前歯が開くような開咬とよばれる咬み合せになる。この高校生のようにワイヤー矯正治療によって顎位が改善されてくると舌骨の位置も改善してくるので、舌のポジションも前方に誘導されやすくなる。舌が本来の動き、安静時にも正しい位置に誘導されることで咽頭気導は確保されるようになり、呼吸だけではなく、仰向けでも寝ることが出来るようになるのである。したがって、舌を含めた口腔周囲筋のトレーニングは、症状の有無に拘わらずどの世代においても行うことが望ましいと考えられる。

                    2023,3,16

恩師の存在

   恩師の訃報に接し、もっと教えを乞うべきだったと後悔するしかない。日本中、そして世界中から赤ちゃんの哺乳の改善を求めて手術を受けに来られた方は約5万人以上。それでも成人の不定愁訴、睡眠障害の改善にもつながるオペは、ある学会からは必要のない手術と問題視された。手術直後にこれほど劇的に症状の改善がみられるのになぜ世間では認められないのか、当方が手術の見学に立ち会った時の率直な感想であった。チアノーゼを呈する乳幼児が術後15~30分もすると、浮き出ていた血管が消えていくのが分かる。苦しそうにしていた呼吸音が明らかに正常な赤ちゃんの元気な鳴き声に変わる。冷え性で悩んでいたご婦人の術後1ヶ月検診における信じられないような喜びの表情など、医師としては最高の遣り甲斐を感じながら死の直前までオペに臨んでいた。本当に尊敬の念しかない。オペそのものは歯科医師である当方も可能であり、更なる研鑽を積みながら、オペを求める患者がいる限り、態勢を整え恩師の意思を引き継いでいきたい。

                    2023,3,15

個人の判断

   マスク着用は本日から「個人の判断」に委ねられることになった。皆さんはどうされますでしょうか。コロナ禍において、研究者がシミュレーションで明らかにしたくしゃみをした際の飛沫の拡がる範囲を知ったものであれば、人込みでマスクは外したくないし、外してほしくないと思う方が多いのではないでしょうか。一方で、マスク装着時の息苦しさから解放されたいという方も多いはずである。我々日本人の気質からすれば、個人の自由と言われても、公共の場でもマスク不要と強くアナウンスがなければコロナ禍以前のようには戻れまい。本来身を守るためのマスク着用が、思わぬトラブルの種にならぬよう皆さん気を付けましょう!

                    2023,3,14

スマホ依存症

   帰宅時のホームで電車を待つ人々の姿は、ほぼ全員が“頭を垂れてスマホかな”である。極めて異常な風景ですが、今ではその異常性にも疑問を感じることすらなくなってきているようです。歯科治療でお越しになられている方の中には、治療中もスマホを握り、口をゆすぐ度にスマホ画面を確認する人さえいる有様である。完全にスマホ依存、スマホ脳であり、常に情報に接しようと行動するように改造されてしまっている。世の中からスマホが消えたらどうなるのでしょうか。イライラする人間が増えるのか減るのか、異常な事件事故が減る、塾通いの子供達の成績が急に伸びるようになる、うつ病が世の中から減る、などスマホによってもたらされている害に、やっと気付くかもしれませんね。世界的に進められているデジタル化に抗うことは無意味でしょうが、人間らしく生きるためには、スマホ習慣を必要最低限に抑えることが大事であることは、間違いないことでしょう。スティーブ・ジョブズが子供にスマホを与えなかった話は有名ですよね。なぜならスマホの害を彼は知っていたからです。

                    2023,3,13

健全な成長発育を求めて

   お子様の歯並び、咬み合わせが気になる親御さんには是非とも子供達の普段の何気ない口の動き、口唇の動きを見て頂きたい。一例として、下口唇を上下前歯の間に巻き込む動きを無意識にしていると、同じ動作は一日で果たして何回行われることになるでしょうか。下口唇を巻き込む=下顎を後方に引き下げる動き、となって上顎に対して下顎は後方位置するようになり、そこで咬むことが習慣化してしまうと、骨格的な成長が本来あるべきポジションではなく、前歯が開口するような咬み合わせになりやすい。不正咬合は日々のちょっとした習癖の積み重ねが原因であり、年齢が若い時には諸症状に悩まされることがない方でも、ある年齢になると体幹のねじれや様々な不定愁訴を抱えることになる。身体の適応と代償の関係で診れば、当然の結果であろう。症状が無いから大丈夫なのではなく、子供達のより良い成長発育を促すためにはどうしたらよいかという視点で診査診断することは極めて重要であり、医科的な症状が出てから対処するようでは遅い。子供の身体は待ってくれないのであり、“今”が勝負なのである。

                    2023,3,12

集中力欠如

   学習塾に通う小学生は多く、当医院に通う子供達の100%は塾と習い事で放課後の予定は埋まっている。外遊びをすることもなく、なんとも窮屈な日々を送っているのかと心配したくもなるが、余計なお世話といわれそうである。そもそも小学校の授業内容をきちんと理解し、課題宿題なども難なく熟したうえでの塾通いなのだろうか。昨日のブログにも載せましたが、集中力のない日常生活を送っている子供達だとすれば、先ずはなぜ物事に集中できないのか、その原因を改善することが優先されるべきではないかと当方は考えてしまう。集中力欠如のまま塾通いをしたところで、果たして望むべき成果はあがるのか。兎に角今の子供達の口呼吸に伴う不正咬合は、いわばパンデミックであると言っても過言ではない。理想的な咬み合わせをされているお子様に出会うことがないのである。不正咬合と口呼吸、気道閉塞、異常嚥下、鼻詰まり、睡眠障害などの関わりを示す論文も増えてきており、歯科からの情報発信は急がれる時期にいている。

                    2023,3,11

注意欠陥多動症(ADHD)の様な症状と歯科との関連

   一年生の女の子が言うには、クラスの男の子が授業中に騒いだり席を立って歩き回るので、授業に集中できなくてクラスを変えて欲しいとのことだ。しかもいつも一人ではなく、決まった複数の男の子が同時多発的に落ち着きなく何かしらの行動を執るというのだ。一年生の子供が言うことだから、言葉をすべて鵜呑みにしてしまうのも如何なものかとは思うが、さらに驚いたことには、この一年間に担任の先生が5人も代わったというからただ事ではない。以前当医院にお越しになられた公立小学校の教諭と話をした際に、授業中に生徒が立ち上がって歩き出すのは珍しいことではない、と語っていた記憶が蘇る。当医院を受診されるお子様の主訴の中には、とにかく落ち着きがない、と問診票に親御さんが記入されることが今までに複数回あり、お子様達に共通していることは何かと聞かれれば、迷わず「口呼吸と間違った嚥下様式」であると答えている。注意欠陥多動症(ADHD)及びADHDの様な症状と呼吸、睡眠との関係は研究途上ではあるが、臨床現場で診ている限り、深く関わっていることは疑いの余地がないのではないか、と考えている。

                    2023,3,10

歯列矯正‥

   歯列矯正治療の相談でお越しになられる方の中には、治療期間をできるだけ短く済ませたいので治療期間を知りたいと無理を言ってくる人がいる。なぜ無理なのか。成人矯正治療を行う前には診断するための資料を採得しなければならず、その資料もとらずに経験と勘で大体の治療期間を申し上げるわけにはいかない。「何件か矯正専門医に診てもらったが‥‥と言われた」、「上下4本抜いて矯正する必要があると言われたが、抜くものなのか?」など、患者としてはドクターによって説明が異なればどうしたものかとなるのも当然であろう。大事なことは、来院される方の主訴に対して所見を述べることは歯科医師の務めであるが、主訴のみを改善すれば良いのではなく、その治療に伴う予後予測も含めて考えて頂くカウンセリングが求められている。歯科矯正治療をまるでファッション感覚で捉えているような患者や歯科医師を耳にすることもあるが、極めて危険であり、医療の体をなしていないと言わざるを得ない。

                    2023,3,9

三叉神経痛

   右上の奥歯が痛いと来院された50代の女性は、しきりに奥歯を指さしして痛みを訴えるが、痛みが発現するような所見は見当たらず、三叉神経痛ではないかと説明をするが納得がいかない様子。勿論確定診断には至らないが,三叉神経痛の80%以上の方は最初に歯科を受診されるとの報告がある。さらに初診時の誤診率は42,1%で、初診時に正しく診断されたのは17,6%に過ぎず、正しく診断されるまで平均7ヶ月掛かっているという報告がある。来院された方には、口腔内の所見と三叉神経痛の原因について丁寧に説明をさせて頂き、症状の発現の仕方が三叉神経痛特有の症状であることを資料をお見せしながらご理解して頂いた。当医院には他にも同様の症状で辛い生活を余儀なくされている方がいらっしゃる。加齢に伴う身体の不調は誰もが通る道なのだろうか。日頃から食生活、睡眠も含めた正しい生活習慣を送ることは、健康であり続けるための必要条件である。

                    2023,3,8

サーカディアンリズム

   早朝ランニングで爽快な気分になるのは単に身体を動かすからだけではなく、太陽から強い光を浴びることで体内時計がリセットされるからである。我々の身体にはサーカディアンリズムという一定のリズムに従って、体温やホルモン分泌がコントロールされており、睡眠障害があると入眠後分泌される成長ホルモンが抑制されてしまう。子供達に口呼吸に伴う睡眠障害が起きているとしたら・・・。トレーニングでお越しのお子様達の就寝中の姿を目にすることが出来ないので、最近は親御さんにスマホで動画撮影をお願いすることもある。口呼吸、いびき、咽頭気道閉塞、日中の集中力欠如などは全てが関係していると診るのか、全く無関係と診断するのとでは、子供達の将来への影響は計り知れない。


                    2023,3,7

合否判定

   ご子息が国公立大学を受験された方が本日お越しになり、「今日これから発表なんですよ。息子は共通テストが思ったように点数が取れなかったと言ってましたから・・・」と少し緊張の面持ちで話し掛けてきた。合格という結果に辿り着ければ何も言うことはないが、本人の中で満足のいく勉強が出来たかどうか、私はそちらが気になる。とことんやり尽くしたと言えるぐらい勉強をしたにも拘わらず、思うような結果にならなかった時には悔しさもこみあげてくるだろうが、受かれば良いなぁ~ぐらいの心構えで受験をされた方であれば、結果に拘わらず受験から得るものは差ほどないに違いない。どんな時でも当人の本気度の違いが行動力の違いとなって現れてくる。それは本気になったものにしか分からないことであり、本気で取り組んだからこそ次につながるのである。「失敗は成功の基」というが、失敗も成功するまで行えば失敗で無くなるとは松下翁の言葉でもあり、大学の合否だけが人生ではないことは今更言うまでもない。

                    2023,3,6

合否判定

   ご子息が国公立大学を受験された方が本日お越しになり、「今日これから発表なんですよ。息子は共通テストが思ったように点数が取れなかったと言ってましたから・・・」と少し緊張の面持ちで話し掛けてきた。合格という結果に辿り着ければ何も言うことはないが、本人の中で満足のいく勉強が出来たかどうか、私はそちらが気になる。とことんやり尽くしたと言えるぐらい勉強をしたにも拘わらず、思うような結果にならなかった時には悔しさもこみあげてくるだろうが、受かれば良いなぁ~ぐらいの心構えで受験をされた方であれば、結果に拘わらず受験から得るものは差ほどないに違いない。どんな時でも当人の本気度の違いが行動力の違いとなって現れてくる。それは本気になったものにしか分からないことであり、本気で取り組んだからこそ次につながるのである。「失敗は成功の基」というが、失敗も成功するまで行えば失敗で無くなるとは松下翁の言葉でもあり、大学の合否だけが人生ではないことは今更言うまでもない。

                    2023,3,6

成長の最適化(Optimization)

   風船を口から息を吐きだして膨らますことが出来ない子供達がいる、これが今の子供達の現状である。このような書き出しをすると問題かもしれませんが、普段から正しい呼吸が身に付いていない、口唇の力も弱いので上下唇で風船を挟んで膨らますことも出来ないのです。身体の機能が上手く働いていない、体幹の連動性がない、分離運動ができない、目を疑うようなことが診療室で日常的に見られるようになってくると、現代の子供達の何割が本来の機能を獲得し、正常な成長発達をしているのだろうかと心配である。親御さんの中にはお子様の問題点を指摘させて頂いても、普段の生活で何ら困っていないのだから、なんでそんなトレーニングや小帯を切除したりしないといけないのか理解しようとしない方もおられる。現時点で機能異常があるだけでなく、このまま身体の成長を本来の成長軌道に戻す最適化させないことは、今の大人たちのように将来病院通い、不定愁訴を抱えないようにするためにも必要なことである。

                    2023,3,5

歯科から診えてくる疾患

   ここ数日、咬み合わせのことをアップさせて頂きますが、初診患者さんの主訴に占める割合で多くなってきているのが「咬み合わせが気になる」ことです。審美的な理由よりは、身体の不調と関わっているのではないかという悩みを解決したいことが挙げられます。皆さんネット検索で様々な情報を詰め込み、仕舞にはどうしたらよいか分からなくなり、とりあえず歯科に掛ってみたものの、自分で得た知識以上のものが得られなかった、一般論ではなく私の場合はどうなのかという説明が聞きたかった、そのような経緯を経て当医院にお越しになられる方が増えてきています。以前“いびき外来”を受診された方がお越しになられ、「いびきと咬み合わせがどのように関係しているのかが分かっただけで救われた思いです」と語っていたことが印象的です。当方は歯科に従事する者ですが、睡眠歯科学会に所属させて頂きながら、OSA(閉塞性睡眠時無呼吸)などに対するいわば睡眠医療は、学際的な分野で集学的な治療が必要であり、他の診療科との連携が必要と考えており、歯科を受診されることで来院者が気付いていない疾患の掘り起こしも今まで以上に増えてくるのではないかと日々感じております。

                    2023,3,4

正しい咀嚼機能の獲得を目指して

   小学生の咬み合わせトレーニングを始めるに際して、普段の食事風景を親御さんにインタビューを行っている。舌を含めた口腔周囲筋の機能改善を行うことがトレーニングの目的であり、約2年間のプログラムを組んで実施しているが、毎月の課題をこなしているいるにも拘わらず、こちらが想定するような口腔内、顎顔面骨格の目に見える効果の出ていないお子様が以前おられた。原因は普段の食事の仕方にあったのである。皆さん、例えば小さめの唐揚げを食べる時に、箸でつかんで一口でお口の中へ運ぶ、なんてことをされていませんか。先ずは前歯でかじり取り、かじり取った部分を左右どちらかに舌で寄せて咀嚼する。ある程度小さくなったら反対側に舌で運んで更に細かく咀嚼し、その後舌背で口蓋に這わせて後方に送って飲み込む。この一連の動きが正しくできるためには、連動する舌を含めた口腔周囲筋の正しい機能が獲得されていないと良くないのです。しかし、子供だけではなく親御さんも含めて正しく咀嚼出来ている方は少なくないようです。

                    2023,3,3

歳だから矯正治療は‥‥

   「咬み合わせが良くないから歯列矯正を受けたいとずっと思っていたけど、前の歯医者に『もう歳だから今から矯正治療だなんて考えるものじゃない!』と言われた」。これは以前当医院にお越しになられた方の言葉である。歳だから・・・。口腔内を診査させて頂くと、上下奥歯だけ治療痕があり、それ以外は健康な歯である。更にレントゲン診査を行うと、大臼歯3本は神経を抜く処置までされている。少し専門的になるかも知れませんが、前歯、小臼歯はいたって健康な歯で、大臼歯だけ治療をしている。それも同じ歯を何度も治療を繰り返し、3本の歯に関しては神経を取る羽目になっている。定期的に歯科医院に掛かっていたにも拘わらずである。もしも、セルフケアに改善の余地があり、砂糖の摂取量が多いなど生活習慣の問題があるのであれば、口腔内の歯は場所に限らず均等にむし歯が生じるはずです。上下奥歯に掛る不自然な力の干渉が歯の硬組織に細かな亀裂線を引き起こし、そこから細菌感染が生じてむし歯を繰り返すからこそ、同じ歯を何度も治療することになるのです。この方はすでに歯根破折で奥歯を1本失っています。不正咬合が引き起こす問題を理解し、なぜ不正咬合になるのかまでを理解し、そのような視点で口腔内を診査することが必要です。


                    2023,3,2

愛犬の癒し

   出勤時には玄関まで見送りに来てくれて、帰宅した際にはドアを開錠する音に吠えて迎えてくれる可愛い我が家のハッチくん。八戸生まれで安易にハッチと名付けたカニンヘンダックスフンドである。彼の家での居場所はゲージ、ソファー、お気に入りのバスタオルの上、そして床暖房の効いた温かい床である。性格はとても優しく典型的な内弁慶である。散歩途中にワンちゃんと出会うと寄っていくどころがそそくさと足早に通り過ぎようとするが、車内や家の中にいる時に外に犬がいようものならすごい剣幕て吠えたてる。子供達にとっては弟のような存在であり、机で勉強中は暖かさを求めてか、足元に寄り添う姿が度々見受けられる。家族の会話をどの程度理解しているのか分からないが、ほぼ決まった時間の家族の行動様式は理解しているようであり、会話ができない分だけこちらが彼の気持ちを察してあげることで、いつも沢山の癒しの時間を頂いている。そんな彼も夜遅くなると眠くなり、なんとか起きていようとしながらも瞼を閉じ始め、眠くなる表情が何とも愛おしい。

                    2023,3,1

テクノロジーの変化

   ホームページの編集にあまり時間を割くことが出来ないので、HPの活用の仕方についてその方面に詳しい知人に相談してみたところ、テクノロジーの進化が激しすぎて、ちょっと前まで当たり前の常識がどんどん変わって、何もしない選択=退化、という図式が最近顕著に表れていると指摘を受けた。なるほど、人生と同じか。おっちゃんになっても常に環境に合わせて変化して、必要な部分は自分を変えていかないといけないということか。業種は違えど人生哲学において共感・共有できる人間とは、話をしていても時間の過ぎるのがはやい。以前であれば何処かで待ち合わせをするなどして直接会う事が出会うことの常識であったが、今はオンラインというまさに現代文明の利器がある。但し、お互いの人間性が分かった上でのオンラインであれば対面同様に役立つものと考えるが、そうでなければ信憑性に欠ける部分も出てくるのではないかと思ってしまうのだが、これは当方が変化について行けてない証拠なのだろうか。


                    2023,2,28

トンネル

   「トンネルを抜けるとそこは雪国だった」を私が初めて体験したのは学生時代に三国トンネルを車で通り抜けたときだった。山越えをすると景色は一変し、小さな子供のように眼前に広がる雪の壁に興奮した。明後日から弥生、春が兆し始めた土地もあれば、冬なお去りがたい地域もあり、冬と春の境目の季節である。関東育ちの当方にとっては自然の四季の変化を身近に感じとれる環境は羨ましいが、雪国で暮らす人にとっては一日でも早く燦燦と輝く太陽の陽を浴びたいところか。春の訪れとともにやって来るのがスギ花粉である。当医院にお越しになられる方の中には酷い花粉アレルギー症状に悩まされている大人や子供がいるが、先進諸国においてアレルギーを抱える人口割合がここ数年で急増しているとの報道も目にする(論文等で直接確認はしていない)。以前よりもアレルギー検査を実施する人が増えたことにより、潜在アレルギー患者が表面化しただけなのか、世界的な感染症・パンデミックのように蔓延しているのか。世の中を覆っている得体のしれないトンネルから抜け出し、世界中の人々が健康で幸せな暮らしが一日も早く来ることを願う。


                    2023,2,27

正しい食べ方とは

   咬み合わせトレーニングの課題を毎月しっかりこなしてくるのだが、思うように結果が付いてこないお子様がいる。「〇〇くん、唐揚げは好きですか?お箸でつかんだら、もしかして一口で口の中にいれてませんか?」と尋ねてみると、「えっ、いつもひとくちだけど!」。身体の成長過程において、どのステージで間違った口腔機能を獲得してしまったのかまでを把握することは出来ないが、正しい機能を身に付けなければ適応と代償という関係で考えると、不自然な舌の動かし方、使わなくてもよい表情筋を終始使って咀嚼するようになってしまう。その結果、本来歯の萌出スペースがあるはずの顎骨の成長が抑制され、筋肉の過緊張状態が部分的に常時起こることで、体幹の歪みへと繋がってくる。因みに、唐揚げを正しく食べるには、先ず前歯でかじり取り、かじり取ったものを片側の奥歯でかみ砕き、舌を使って反対側に送ってさらに小さくなるまで咬み、最後は細かくなった食塊を舌背にのせて喉の奥に送り込む一連の動きが必要となる。一口で唐揚げを口腔内に入れてしまうと舌房が狭くなり、舌の動きが制限されてしまいます。このブログをお読みの方は、正しい食べ方を普段からされているかどうか確認してみて下さい。

                    2023,2,26

旅程

   客室乗務員の話では、海外路線はほぼ満席状態が続いているとのことで、一気にコロナ禍以前に戻ったような忙しさに追われているとのこと。例年であれば2月のヨーロッパ線は閑散期に相当する時期になるらしいが、燃料サーチャージによる航空券の値上がりにも拘わらず旅行客が多く見られるとのことである。海外旅行‥‥バックパックを背負って旅をした若い頃は、ヨーロッパであればトーマスクックの時刻表を片手に旅程を決めないあてのない旅、未知なる世界に遭遇したミャンマーの人々や遺跡の数々など、予測できないことが起きる、それが旅行ではなく旅の充実感となった。その点今では何でも情報が手に入ることで、旅程の無駄を省き効率よくルートをまわる、言ってみれば事前の情報を確認するような旅行になっている。要は旅ではなく旅行ではあるのだが、その旅行にも余白がないのである。せっかく非日常を満喫しに行くのであれば、偶然性を楽しめるような旅程に私ならするだろう。

                    2023,2,25

ウクライナ侵攻から1年

 ロシアによるウクライナ侵攻から一年が経ち、世界の人々はプーチンによる蛮行を黙って見ていることしかできない日々を空虚に送っている。一発のミサイルが平和に暮らす都市のど真ん中に打ち込まれ、ウクライナ国民は勿論、世界中が戦争は過去のものではないと悟った瞬間であった。地政学的な問題も含み、当事者間でなければ歴史的な背景もありお互い相容れない部分はあるのだろうが、理由はどうあれ尊い人の命を他人が殺めて許される理由などどこにもない。ところ変わってフランス南東部のニースには、冬の寒さを避け、海辺の長期滞在をしているロシア語を話すロシアとウクライナの裕福な市民が少なからず滞在している。この人たちにとって祖国とはどのような存在なのか、そしてどのような国になって欲しいと考えているのか尋ねてみたい。

                    2023,2,24

無知への気付き

 「学べば学ぶほど、自分がどれほど無知であるか思い知らされる。自分の無知に気付けば気づくほど、より一層学びたくなる」とはアインシュタインの名言であるが、ここ数年はこの言葉が心に響いている。一言加えさせて頂くと、学びに終わりがないということだ。当方は子供の頃から決して頭の切れるタイプではなく、親からは要領が悪いと言われ、自分でもウサギではなくカメのような歩み方をすると勝手に思い込んだこともあったくらいだ。ならばウサギになれるように発奮するか、と言えば決してそうではなく平々凡々と人生を過ごしてきている。しかし遅まきながら、仕事を通じて何かが変わってきてるようだ。皆さんもそのような経験をお持ちではありませんか。今までの経験値と雑念が無くなることで、この先取り組むべきことにより集中できる感覚とでもいうのでしょうか。歯科とは一見関係のないと思われていた分野の学問でも、取り組んでみると見えなかったものがはっきりと目の前に現れてくる。子供のころから知識を増やしたり物を考える習慣をもっとつけておけば、より人生は豊かになっていただろうになんて思ったりした一日でした。


                    2023,2,23

十人十色

 臨床の難しいところは、人それぞれ似たような症状、状態であっても一人ひとりは異なるという当たり前のことである。にも拘わらず、通り一遍の治療しか提供でいない、説明できないとしたら、患者の身になったら堪ったものではない。There is a reason for everything. むし歯の治療を希望されて来院された患者さんの本当の主訴は、子供の頃から歯医者に通い続けているのに歯が良くならないこと。治療の繰り返しで気が付いたら歯には人工の詰め物や被せ物だらけの現状に本人は愕然とするしかない。一緒に過去を遡って考えてみましょう、ということから対話が始まり、むし歯になる原因は様々であり、呼吸、歯並び、咬み合わせ、免疫など初診時の1時間はあっという間に過ぎ、説明が更に必要な場合は後日時間外でお越し頂くことになる。そこまでしてやっとご自身の口腔内が悪くなった原因を理科することが出来る。日本の歯科医療の現場では、時間を十分にとって説明ではなく患者と会話する時間がないがために、患者サイドからすると満足のいく治療が受けられていないのではないでしょうか。治療を受ける前に、現状に至った原因を知ることは、治療以上に大切なことです。


                    2023,2,22

慢性上咽頭炎

 複数の病院で検査をしても異常が認められず、不定愁訴の原因が分からないまま過ごされている方が世 の中には多くいらっしゃるのではないか。そのような方に共通していることは、処方されたお薬を長期間飲み続けていることだ。身体の不調はどこから来るのか。皆さん、“慢性上咽頭炎”という病名を覚えてください。鼻の奥のことで、体内に取り入れられた空気の最初の通り道であるとともに。空気の流れの向きが変わる場所にあるため、空気中のウィルスや細菌が最も付着しやすく、慢性的に炎症を起こしやすい箇所なのです。コロナのPCR検査で鼻の奥まで長い綿栓を挿入するのは、そこにウィルスが溜まりやすいからです。上咽頭は副交感神経の主体を成す迷走神経が広く分布しており、炎症が慢性的に生じていると自律神経の中枢である視床下部まで影響することが分かっています。当院のHPにリンクしてあります日本病巣疾患研究会のHPにて慢性上咽頭炎が引き起こすと考えられている身体の症状を確認して頂き、もしも該当するようであれば、しかるべき機関への受診をお勧めいたします。


                    2023,2,21

逆切れの世の中

 世の中“逆切れ”という言葉が当たり前のように使われている感があるが、私が子供の頃には聞いたことがなかっただけなのか、聞いた記憶がない。ドキュメント番組や民放のニュースなどで見かける暴走車の運転手の逆切れ映像などを見ると、まるで違法薬物でも常用しているかのような威嚇までしている。日本では義務教育を受けているわけですから、少なくとも中学までは机を並べて学んできているはずである。なぜこのような輩が増殖してくるのか。何をどう是正していけば正論・常識が通る社会になるのか。しかしである。政治家になるような人間は万国共通でそれなりの学歴を積んできていると思われるが、偵察気球騒ぎでは、「米国の気球が違法に中国の領空を飛行した。米国は世界最大のスパイ常習犯だ」と、自国の国際法違反を正当化するための嘘までつく、中国外務省の報道官の逆切れ会見には呆れてしまう。己の非を認めず正当化するためのウソを一国のリーダーが平気でするような時代である。実直が国民性でもある日本人にとって、ミサイルや核兵器で脅してくるような輩たちと平和外交を築いていけるのだろうか。


                    2023,2,20

時の流れ

 浪人生活で予備校を共に過ごした仲間が、福島県の某総合病院の病院長になっているのを偶然見かけることがあった。予備校時代には彼から教えてもらうことは合っても、こちらに何かを尋ねてくることはなかった。それだけ彼は当時優秀であって、なぜ浪人したんだろうね、と仲間と話題にしたくらいの人だった。彼が医者を目指した切っ掛けが、無医村で働く医者の姿に影響を受けたと語っていたが、正義感も強く、頭の回転も速く、まさに医者になるべき素養もあり、そのまま真っすぐに理想の医療を築き上げてきた結果が今の肩書となっているのだろう。子供の頃の性根は大人になっても変わらないものである。古き友の活躍は嬉しくもあり、久しぶりに声でも聞いてみたくなったが、今の時代であれば電話ではなくLINEなりSNSでということになるのか。果たして突然の連絡に、「誰?」なんてことになったらどうするか。なにせ約30年ぶりである。


                    2023,2,19

老害

 年齢によってその人の何を判断してしまうのか。経験値、固定観念、固執。先日のトヨタ自動車の豊田章男社長の退任劇には驚いた方も多いのではないでしょうか。まだ66歳である、いやもう66歳なのか。プロトレイルランナーの鏑木毅さんも新聞紙上で、「年齢を重ねていけば地位は上がるものの、時勢に思考が追い付かなくなる。それが社会や組織にマイナスの影響を及ぼす老害という言葉について考えさせられた」と述べている。以前は10年先を見通して長期戦略を立てるなどと言われた時代もあったが、今では1年先すら先行きが見通せない時代である。自分の成長と学業、職業の成長を重ねられる人生は幸福感に満たされるものであり、そのために必要なことは常にアップデートされることである。社会全体が高齢化する現状では、先輩たちの豊かな経験の学びを社会としてすくい上げていくこともより大切であり、ベテランであっても常に新たなものや情報を取り入れる心掛けが老害を避ける近道である。


                    2023,2,18

鼾(いびき)と歯並び・咬み合せ

 「先生、来週いびき外来に行くんです。私、いびきが酷いみたいなんですよ~」と当医院に来院中の患者さんから言われた。初診時に、この方の歯並び、咬み合せから推察すると、いびきがあるとお伝えしていたが、その時には本人は気になっていなかったらしく、言われたことを全く覚えていないとのこと。まあ、多くの方の受け止め方はその程度のもので、その後も機会を見つけては必要なタイミングで伝えるようにはしている。なぜ歯並びといびきが関係しているのか。このあたりのことはHPに新たな項目ページを作成してアップするようにするが、歯並び、咬み合せが悪くなる根本原因を理解すれば、身体の構造的にいびきをかくようになることが分かる。閉塞性睡眠時無呼吸、子供達の睡眠障害との関係もしかりであり、Evidenceの確立が急がれる。日本だけでなく世界で起きている“子供達の不正咬合パンデミック”を抑制しなければ、人の健康被害、不定愁訴は増えるばかりだろう。


                    2023,2,17

ライフステージに沿う歯科医療の提供

 歯科医院で咬み合わせトレーニングの仕方を指導させて頂いても、小さなお子様の場合は親のサポート、協力を得られなければ、目指すべきゴールまでは到達出来ない。なぜ咬み合わせが悪くなってきたのか?どうしてこのままの咬み合わせでは駄目なのか?「There is a reason for everything.」これは子供達の咬み合わせおよび成人の口腔周囲筋の習癖を取り除く必要性を気付かせて頂いたJohn Mew先生の言葉である。歯を良くするために患者さんは歯医者通いを続けたにも拘わらず、気付けば口腔内は人工物だらけ。歯医者も患者さんの主訴を解決するために歯磨き指導から始まり歯石除去、クリーニング、むし歯に至っては丁寧に治療を済ませても、何年か経てば時には処置した歯の再治療が行われてきた。治療に至る根本原因を無くすことをしてきたのか。むし歯、歯周病はある程度予防することが出来るようになってきた。ここで浮き彫りになってきたのが不正咬合であり、歯に掛かる力の問題である。ではなぜ不正咬合、咬み合わせが悪くなるのか。原因を突き詰めていくと、舌や口腔周囲筋の習癖であり、舌のポジションが低位になれば咽頭気道が狭くなり呼吸がしずらくなる。呼吸が苦しければ深い眠りにつくことが出来ない睡眠障害が生じることになる。オギャーと生まれてからそれぞれの成長のステージにおいて口腔機能の異常・習癖・何らかの問題を見つけ適切な介入が出来れば、不正咬合になるリスクを下げ、身体の健康維持に繋がることになる。ライフステージによって提供される医療は異なり、年齢が高くなれば専門性が高くなり、医療的介入が多くなってくる。乳幼児から低学年のお子様の場合は特に予防や健康増進をベースにした摂食の仕方に注意が必要である。


                    2023,2,16

小児の不正咬合から診えてくるもの

 真っすぐに立つことも出来ない子供がいる、と言ったら皆さんの頭の中では???ではないでしょうか。お口の機能回復、歯科的に言えば機能矯正治療を行うにあたり術前診査を行うわけだが、正しく立つことが出来ず、反り腰にして手を後ろで組む姿勢が本人にとっての真っすぐな姿勢なのである。なぜ姿勢が悪くなるのか?歯科医療の現場に身に置くものとしては、「事件は現場で起きているんだ!」と叫びたくなる。普段何気なく食べ物を口に運んで咀嚼しているその動きが既に異常なのである。ある程度の大きさの物であれば前歯で嚙みちぎり、それを舌で左右どちらかの奥歯に運んで咀嚼するものだが、一口で口の中に入れてしまっては口腔容積が狭くなり、正しい舌の動かし方が出来なくなる。すると代償反応として咀嚼筋以外の筋肉を緊張、働かせて咀嚼・嚥下をするようになり、間違った機能が獲得されてしまう。そしてそのまま成長が進むと身体は体幹を含めてどうなることが推測できますでしょうか。口腔周囲筋の間違った働きの代償反応が頸椎、肩回りに現れ、時間が経つと姿勢にまで影響が及ぶことになるのです。いつまでも治療に専念するのではなく、歯を含めた口腔周囲筋、顎顔面骨格の正しい成長を促すために、悪くなる根本原因、代償による原因、そして結果に対する原因を子供の時に取り除くようなアプローチが必要です。当医院では約4年前から根本原因にアプローチする治療を行っており、今では睡眠障害もしくは睡眠障害のような症状を抱えるお子様達の治療を検討する段階に入ってきています。実感として、歯科だけでは対応が限られている部分があり、小児科を含めた他業種の協力が子供達の健康に大きくかかわっているものと思われます。

                    2023,2,15

バレンタインデー

 「掃除のおばちゃんからチョコレートをもらってさ、でも来月お返しをしないといけないからね~」とは、治療にお越しになられた男性の弁。「頂けるだけ良いじゃないですか~!」と返事をしたものの、今日がバレンタインデーだとその時に気付いた。当方が中学生の頃、2月になるとやたらとアイドルが起用されたチョコレートのCMが流れていて、その頃から2/14に向けた各企業の宣伝が本格化したと記憶している。時が過ぎること約40十数年、コロナ禍もあってチョコレートの盛り上がりはいまひとつらしい。多様性の波はチョコレートにも波及しているのか。本命チョコから義理チョコ、今では友チョコや自分への褒美チョコとしてお気に入りを買い求める女性が多くなっているそうだ。日頃からチョコを口にする機会はないのだが、毎年この日は頂いた“超義理チョコ”で抗酸化作用が高いポリフェノールを摂取して、職場でリラックスしたりしていたが、今年は今のところその“超義理”までもないようだ。期待するものではないが、なんとなく寂しいものかもしれない(笑)。

                    2023,2,14

木登り

 咬み合わせのトレーニングに来院した小学5年生の男の子が、「木登りはしたことがない。危なくないの?」と言ってきたことに私は唖然とした。当方が子供の頃は学校から家に帰ると鞄を置き、必ずと言っていいほど外に出掛け、その季節になると果実の実った木に上って枝を揺すったりしたものだった。それ以外でもこれ以上はいけないというところで、枝の又に落ち着ける場所を探して一息をついて、高いところからの眺めを楽しんでいた。柿の木の枝が折れやすいのは、経験的に知っているからであり、ときに落ちそうになる危険を感じながら、身体の全神経を次に枝を掴む動きに集中させる。そうやって人の身体は鍛えられ、整えられていくものではないだろうか。木登りなんてしなくても生きていけるが、塾の階段を登るよりも心と身体に豊かな記憶が刻まれていく。いろいろと体験することが少ないまま、あるいは殆どないまま頭でっかちに育ってしまっては、バランスのとれた人、人間として成長できないように私は思う。しかし職場近くの環境では、そもそも木登りの出来るような木がないので、木登りという発想すら湧かないのかも知れない。

                    2023,2,13

セミナー

 この時期になると以前は新聞の積雪量のチェックをし、学生時代にはアルバイトで貯めたお金を投入して積雪の深い妙高や志賀高原、東北は安比高原までスキーに出掛けた。関東で育った私にとって雪は身近なものではなかったが、中学のスキースクールで出掛けた時のあの雪面を滑る感覚が堪らなく新鮮で非日常であり、シーンと静まりかえった林間コースを滑走する際の冷え切った空気感も冬山でしか得られない初体験だった。早朝の雪面にはうさぎの足跡らしきものもあり、2泊3日の日程が終わり帰りのバスに乗り込んだ際にはまたここに来たいと強く思ったものだった。この連休はセミナーにて雪山を滑ることは叶わなかったが、スキーでも得られないぐらいの心を揺さぶられる、そしてこれからの歯科の在り方を確認できた素晴らしいセミナーを受講できたことは、私の臨床をより豊かなものに出来ると確信できた2日間であった。


                    2023,2,12

小児の睡眠障害

 今、多くの子供達が睡眠に問題を抱えています。しかし、その問題に気付かれないことも少なくありません。睡眠は、子供の身体や脳の成長、健康、学習などへの影響が大きく、子供の将来を左右するといっても過言ではありません。睡眠始めの90分間に成長ホルモンが分泌されることを知れば、睡眠障害のある子供達の成長がどうなるか想像してみて下さい。寝ながら指を喉の奥まで咥えて寝ていませんか?それはなぜですか?閉塞性睡眠障害は不正咬合とどう関係しているのか。日本小児口腔発達学会(NPD)の仲間が研究を重ね、症例を持ち寄り、Evidenceとして世に発信できるよう日々の臨床の忙しさに追われながらも使命感を持って行動を起こしています。歯科は大きく変わろうとしています。当医院もその一翼を担えるよう、更なる研鑽を積んでまいります。

                    2023,2,11

歯科の果たすべき役割果

 先進諸国において、気管支喘息及び気管支喘息のような症状の子供達が、発達障害及び発達障害のようなお子様が増えてきていると、海外の歯科医師がオンラインの講演で述べてた。歯科とどのように関係しているのかと思われる方も居られるかもしれませんが、呼吸の生理学と舌位の観点から口腔発達を考えると極めて密接な関係があり、定期検診で歯科を訪れる機会が多いお子様たちを診る歯科の役割は、子供達の口腔だけではなく全身の健康を守る上でも非常に大きな役目、役割を課されている。30~40年前の日本人の口腔内環境はう蝕(むし歯)の洪水と言われるほど当たり前のようにむし歯があり、歯を失う一番の疾患は歯周病であった。それが今ではう蝕も歯周病も劇的に減ったにもかかわらず、学校検診などでは30~40年前とほとんど同じ内容の検査を未だに行っている。睡眠障害、口呼吸、不正咬合などは個別の問題として捉えるのではなくリンクして関係性を探り、共通する根本原因を解決するようなアプローチを直ぐにしていかなければ、治せる身体の異常も治せなくなる。大人と子供の違いは、大人の症状は待つことが出来ても、成長途中にある子供達の身体は今が大事なのであり、治療を待つことは身体に代償作用を身に付けさせてしまうことにもなります。そしてそのまま大人になると、様々な不定愁訴を抱えるようになり、直ぐには体調を整えることが難しくなるのではないでしょうか。


                    2023,2,10

芸術のセンス

 子供の頃から絵のセンスは全くないと断言できる。絵を描くのが嫌いなわけではなく、脳裏に浮かんだとおりに指先が描いてくれないことに腹が立つのだ。それでも美術の成績は「5」の評価を受けていたので、下手であったわけではないのかもしれない。授業で好きな画家の作品を模写する課題があり、私はピカソの絵を選んだ。模写であるので要は真似事であり、センスの有無は関係ないので誰でもそれなりに描くことはできる。先日BSNHKで贋作を扱うドキュメンタリー番組を観たのだが、なるほど本物と変わらぬ出来栄えに目が離せなくなった。当の本人は趣味で始めたにも拘わらず取り巻きが悪く、高値で売買されるなどして懲役刑に処されてしまった。逮捕に繋げた警察の人からは、刑期を終えたら贋作ではなく自分の才能を信じて自分の作品を世に出したらどうかと勧められ、出所後最初にその警官の家族の絵を描いたのは恩人への感謝の気持ちか。ゴッホは日本の浮世絵を見て、浮世絵画家たちの独創的な構図、鮮やかな色づかいに驚愕し心酔したそうだ。感性の違いといってしまえばそれまでだが、ルーブル美術館、オルセー美術館などを見学しても観光気分でしか観れなかった自分は、観る価値無しでしかないのか。


                    2023,2,9

方言と中庸

 私の予備校時代に知り合った友人には、北は青森から南は沖縄まで地方色が強い。なかでも東北出身者とは今も連絡を取り合う中であり、かれこれ40年近くの付き合いになる。当方の両親及び親戚一同は秋田県出身なので、自然と東北出の言葉には敏感に反応し、初対面で「出身は米沢?」などと尋ねたりしたものだった。方言があるのは都会で育った人間にとっては羨ましくもあり、薩摩弁と津軽弁で会話が成立していた時には英語よりも難しく感じたほどである。訛りならまだしも、単語がそっくり変わってしまうと電話での会話は難しくなり、そうなるとゆっくり喋られても意味不明となり、ただ相槌を打つだけなんてこともあったような記憶がある。そんな日本は南北に長く、方言だけではなく気温からして全てが違い、地域差をもちながら一つの国家として長い歴史を積み重ねてきた。外国からは日本人には個性がないなどと言われることがあるが、様々な違いを調和させながら中庸のとれた社会、文化を作れるのが日本人の素晴らしいところのように思いますが、如何でしょうか。


                    2023,2,8

瓶中のリンゴ

 ワインボトルやブランデーの中に小さなリンゴが入っているのを見たことがありますでしょうか。恥ずかしながら瓶の中にどうやってリンゴを‥‥と不思議に思ってから10数年が経ち、Barのマスターに尋ねたことがある。返ってきた答えは「‥‥‥ヒントは花の受粉です」と言われ、なるほどと感心したものである。皆さん、お判りでしょうか?当方の祖父は秋田でリンゴを栽培していたこともあり、子供の頃にはリンゴの花を受粉させた後、紙袋をかぶせるのを手伝った思い出があります。要はそれと同じで、ワインボトルを被せるということなのです。リンゴが瓶のなかで育つという事なんですね。それにしてもその発想を最初にした人は何を思ってそんなことをしたのでしょうね。人間の頭は考えるだけではなく発想力も豊かです。スマホに脳が支配されて、AIにも勝る自分の脳の働きを停止させないように、デジタル社会で上手く生きていきましょう。


                    2023,2,7

ウィスキーと人

 長いこと通い続けているBarのマスターが10年前に小樽で原酒を仕込んだ蒸留酒がウィスキーの姿になってボトリングされていた。貴重なシングルモルトであり、これこそ数に限りのある限定品である。サントリーHD社長新浪剛史さんの言葉を借りると、「琥珀の色と熟成香の個性をもたらす時を重ねた原酒は眠りから目覚め、未来の空気に触れる。」その瞬間に立ち会うことが出来た。仕込んだ原酒が10年、20年、そして30年と月日が経つと、まるで歳を重ねて角が取れた人のように喉を通る時のアルコールのきつさも取れ、芳醇な香りとともに身体に滲み込んでいく。今や日本のウィスキーは世界を魅了しており、手元に置くことさえ困難である。良質なものだからこそ評価されるのであり、そこには匠である職人の技術と年月を要している。人間は栄養を摂れていれば大人にはなるが、それだけでは人にはなれない。人になるには学びが必要であり、謙虚さの上に修養を身に付け、あらゆる出来事を経験としてブレンドしながら熟成させることが求められよう。

                    2023,2,6

親の関わり方

 お子様の咬み合わせを診て欲しいという問い合わせが、この2,3年で急に増えてきている。以前であれば歯並びを綺麗にしたいという主訴で矯正治療専門医を受診される方が大部分を占めていたと思いますが、当医院を受診希望されるお子様の主訴で多いのが、

1)耳鼻科に通っていても鼻の通りが良くならない

2)姿勢が悪い

3)とにかく落ち着きがない

4)口呼吸をしているようなので‥‥

などである。歯列矯正治療を受けられる場合に先ず考えて頂きたいのが、なぜそのような症状をお子様が呈しているのかということです。人の身体のことですから、絶対的な正しい診断を下すことは難しいですが、現症と過去の症状、普段の生活習慣など総合的にリンクして分析していくと、口腔周囲筋の習癖・機能異常、そしてオーラルポスチャーに辿り着きます。更に今はお子様の咽頭気道の状態まで診査することで、今まで見逃されていた原因まで診えてくることがあります。全身に影響を及ぼす不正咬合を引き起こしている根本原因にどこまでアプローチできるか。歯科には不正咬合、不定愁訴を改善できる可能性が沢山秘められている。

                    2023,2,5

親の関わり方

 咬み合わせのトレーニングで通院中のお子様で、「うちの子供は他のお子様と比較してどうでしょうか?」と親御さんから質問を受けたことがある。お子様の咬み合わせ、身体のことが心配なのか、周りの目が気になるのか、当方の考えすぎかもしれないが、親のその様な子供への接し方、関わり方が子供の無意識下の緊張を作りだし、浅い呼吸やチック症状なども引き起こしているのではないだろうか。子供は親を喜ばせようと、親から良く見て欲しいので、ストレスを感じながらも塾にも通い、学校での成績も気にするようになる。もっと自分で考える時間を与えたらどうですか?と親御さんに話しかけたい。子供の感じたままに、気の向くままに行動させてあげることに不安が付きまとうのだろうか。親の言うことを何でも素直に聞く子供はいい子?なのでしょうか。子供よりも親が難しいと感じることが多くなってきたのは気のせいだろうか。

                    2023,2,4

心に残る言葉

 人間の可能性は無限にあると思うか、思わないか。私が中学生の時に、理科を担当されていた先生が授業前に話をされたことがあった。「湯川秀樹博士が言うには、人間は実に脳細胞の3%しか使っていない。残りの97%は使われないままでいる。」とのこと。子供ながらに、人はそんなに頭を使わないで生きているのかと思った次第である。それから40年以上生きてきて、果たして私の脳細胞は何%が使われているのだろうか。当時の先生は続けて次のように言っていた。「ある有名な画家は誰がみても決して優秀ではない。しかし、絵を描くということに関しては全神経を集中して取り組むことが出来るので、誰も真似が出来ないような芸術的な作品を作ることができる。」。興味があること、関心が傾いたことに関しては、深堀をすることによって知識を深めることが出来る。どのような境遇、環境にあっても、大きな志を持って歩むことを忘れなければ、無理だと思ったことでも乗り越えることが出来ると先生は伝えたかったのでしょう。歩む道を照らしてくれるのは、そんな恩師の言葉かもしれない。

                    2023,2,3

異なる視点

 「技術というのは本来人を幸せにするものでなければいけない」と誰が言ったのか失念してしまったが、日本の高い技術力が戦後の日本を支えてきたのは誰もが認めるところでしょう。以前NHKの「映像の世紀」で、零戦開発の技術者たちのことが取り上げられていました。13ミリ機銃の設計に従事した杉浦氏は、戦後オリンパス光学工業に勤め、胃カメラの開発に成功し、現在の内視鏡へと繋がる基礎を作りました。また他の海軍技術将校の設計者は、戦後日本国有鉄道に迎えられ、東海道新幹線の車体の空気抵抗を少なくする設計に携わったそうです。異分野ではあるものの、それであるがゆえに幅広い視点で、違った角度からのアイディアが思わぬ発見や発明をもたらすいい例です。どのような分野においても、多くの問題を抱え、閉塞感が漂っている組織では、どこかで“やらされている感”があるのではないでしょうか。人は働かされたくない、自ら働きたいのです。行き詰ったと感じた時には、視点を立体交差させて前向きに思考回路を構築しましょう。

                    2023,2,2

久しぶりの再会

 大学時代の友人と久しぶりの会食である。遡ること10年前、オスロの大学に留学中の彼がトランジットで寄ったアムステルダム空港のある売店で、こちらも家族旅行で立ち寄った際にドリンクを購入しにたまたま入ったその売店で、偶然出会ったのである。思わず店内で彼の名前を叫んでしまった。日本にいながら連絡を取り合うものの合うこともなかったにもかかわらず、世界広しと言えども時と場所が数秒でも異なっていたらその偶然もないと考えると不思議な縁である。お互いいい歳になり、大学時代の話から近況を語り合った時間は時空を超えてこれから進む道を確認出来た時間でもあった。芯のある、筋の通った人間との語らいは、年輪の如く私の身体に刻まれていく。成長し、貫禄の出てきた友人のように、私も映っていたか気になるところである。


                    2023,2,1

健康寿命を延伸するには‥‥

 開業してから20年が経過し、お母さんに連れられてお越しになっていたお子様たちも立派な大人になってきた。当医院には子供から高齢の方まで幅広く長くお越し頂いていることで、貴重な資料が膨大に蓄積されている。口腔内所見に問題の無い方でも20年近く経過するとどのように変化していくのか。写真が何よりも全てを語っている。歯の咬耗が進み、前歯の形態が変化するのも生理的な変化の一つとして捉えれば、何ら治療は必要ない。不正咬合が歯の予後とどのように関わってくるのか。子供達が高齢者になるまで、少なくとも80~100年は必要で、Prospective Study(前向きの研究)は不可能な話である。そのため、Retrospective Study(後向き研究)的な手法、すなわち現在通院中、の大人、高齢者の咬み合わせなどのデータを参考にして、成人期から、さらに乳幼児・学齢期に遡って、どのような口腔内をしていたかを推測し、今の子供や比較的年齢の若い人たちの予後に生じうる可能性をお伝えすることが出来るようになってきた。歯の喪失数が多いほど、認知度、心血管疾患、脳卒中リスクは比例増加し、QOLは下がるというのは歯科では周知の事実である。ただ寿命を延ばすのではなく、健康寿命を延ばすためには歯の残存数がカギを握っている。


                    2023,1,31

癒しのワン公

 毎朝同じ時間に通勤をしていると、ほぼ同時刻・同地点ですれ違う犬の散歩をされている職場近くの住民の方に合う。全くの他人であり、当医院の患者でもないので挨拶をすることもないのだが、ミニチュアダックスとゴールデンレトリバーという対照的なワンちゃんの組み合わせが何とも微笑ましい。大股で歩く一方で、短い脚を素早く動かしながら同じペースで歩く姿をいつも凝視してしまう。犬好きの私にとってはちょっとした癒しの瞬間でもある。当方も出勤支度をしていると、出掛ける気配を察した愛犬がそわそわしだして玄関までお見送りをしてくれるのだが、毎日同じ時間に行動していることが犬にとっても生活のリズムが取れて良いことなのかもしれない。ただ困るのは、休日の同じ時間に私が廊下に出ると、早く仕事に行けとでも言うかのように尻尾を振って玄関で待っていることである。ご主人様にも休みを下さいな。


                    2023,1,30

チョコレート

 店の陳列棚にチョコレートが目立つ時期になりました。当方が中学生の頃からバレンタインデーとCMでも宣伝されるようになり、企業戦略に乗せられてチョコレートを購入する女性が増え、その後はホワイトデーのお返しを購入するなんてことが一部の男性の中ではあるようです。今日の本題はチョコレートなのですが、カカオ豆の生産地・西アフリカでは、栽培のために貴重な森林が急速に失われ、その面積はこの20年間で東京都の10倍以上と言われています。森林破壊も問題ですが、一番の問題は学校にも行けない多くの子供達が生産現場で働かされているという実態です。チョコレートの消費量が一番多いのはEU諸国では、生産地の農園で児童が働かされているなどの実態が明らかになった場合には、そこの豆はEUのなかでは販売できない法律を作ることになったとのことです。法律は出来ても抜け穴があるのが世の中の実態でもあり、どこまで実用性のある決め事になるのかは経過をみなければ分かりませんが、チョコレートを消費する量を減らせば農園を拡大する必要はないわけであり、結局のところ他の産業同様に先進諸国が引き起こした問題であるとも言えます。甘くて美味しいチョコですが、口にしなくて困るものではありません。バレンタインデーと騒ぐ必要もないと思いませんか。


                    2023,1,29

国枝慎吾は偉大なり

 「生涯グランドスラム」を達成した国枝慎吾さんが先日現役引退を表明されました。以前日本人記者がロジャー・フェデラー選手へのインタビューのなかで、「日本人選手はどうしたらグランドスラムで優勝できると思いますか?」と質問した際に、「君は何を言っているんだい。Shingo Kuniedaがいるではないか!」と語っていたのを私は強烈に覚えています。国枝選手は障害者スポーツの魅力を広く社会に浸透させた第一人者であることは誰もが認めるところでしょう。そして彼が語っていることでもありますが、「テニスはどの競技よりも健常者との垣根が低いスポーツ」とも言えるようです。そのような環境を作ってきた国枝さんには学ぶところが多くあります。「1分たりとも無駄にしない生活を送ることができた」とのコメントに全てが凝縮されています。自分にもっと厳しくありたいと思わされた私はまだまだ未完成な人間だ。


                    2023,1,28

鼻うがい

 皆さんは「鼻うがい」をされたことがありますでしょうか?当医院では年間を通じて体調の優れない方や、病院の検査では異常は認められないものの不定愁訴を抱えている方などに、鼻うがいを積極的に勧めています。慢性上咽頭炎といって鼻腔の奥の上咽頭付近に炎症があると、迷走神経が刺激されることによって身体に様々な症状が引き起こされるという仕組みです。先日は咬み合わせのトレーニングにお越しになられている小学3年生の男の子が家で鼻うがいをするようになったら、「鼻の通りがよくなっただけではなく、気持ちがいいから積極的に家の中で動くようになった」と母親が嬉しそうに語り掛けてきました。鼻うがいで上咽頭の炎症が軽減するだけで気持ちが良くなる、これは実際に行ってみないと分からない感覚です。そもそも自分の上咽頭に炎症があることすら認識されていない方が多いのが現状でしょう。子供において鼻閉の影響で鼻腔が狭窄したままになり、口呼吸が癖として残ってしまうことだけは避けなければなりません。咬み合わせが悪くなることの根本原因にアプローチする治療が求められています。


                    2023,1,27

お口ポカン・口唇閉鎖不全

 日本全国における成長期の口唇閉鎖不全の有病率を調べた横断研究では、子供達の30,7%が日常的なお口ポカンを示し、年齢と共に増加しているという結果が出ている。お口ポカンの状態は、言ってみれば口呼吸になっているということで、不正咬合の一番の原因である。なぜお口ポカンになるのでしょうか。世間では年々アレルギー疾患が増加してきており、アレルギー性鼻炎があると鼻閉が生じ、上気道抵抗が定期的に起きることに繋がる。すると口唇が開いた「お口ポカン」状態となり口呼吸を余儀なくされ、定期的な鼻呼吸障害を引き起こすことになり、口呼吸が定着することになる。これからの時期、花粉症で鼻がよく詰まる方もいらっしゃいますが、ある時期を過ぎれば見た目は改善しますが鼻閉の影響で鼻腔は狭窄したままになり、口呼吸が癖として残ってしまいます。また鼻腔が狭窄ということは鼻中隔の下支えの役目をする上顎骨が拡がらないことでもあり、上顎歯列弓が乱れる要因にもなります。従いまして、子供達の不正咬合を治療するには、口唇閉鎖不全を早い時期に改善させることが重要になってくるのです。

                    2023,1,26

1日30分、週5日以上の運動

 健康に携わる仕事に就いているにも拘わらず、身体の締まりがなくなってきた自分に嫌気がさしたのが約10年前。そこから一念発起して仕事前にほぼ365日毎日30分を走るようになり、体重、体脂肪率、BMIは納得できる数値となっている。但し昨年は足裏を傷めたこともあり、毎日の日課から週5ぐらいにペースは落としているものの、スーツなどのサイズアップには繋がっていないので、先ずは安心というところか。世界保健機関(WHO)や米国のガイドラインでも、1日30分、週5日以上の運動を推奨しているので、コロナ禍で自宅に籠りがちな方や、長時間椅子に座る機会が多い方などは、積極的に身体を動かすことを心掛けてみてはどうでしょうか。歯の定期検診に継続して何年もお越しになられる方は、普段から口腔ケアに時間を割かれていることが分かります。同じように、全身のメンテナンスは欠かせません。年齢と共に筋力低下は避けられませんが、その速度を極力遅め、体力を維持しながらケアを欠かさないことが、健康寿命を延ばす秘訣であることは間違いありません。医者いらずの身体を目指して、先ずは出来ることから始めましょう。

                    2023,1,25

クマネズミ

 我が家の2歳になるカニンヘン・ダックスフンドが昨年末ぐらいから台所の通気口とリビングのコンセントの差込口付近をクンクンと度々嗅ぐようになってきた。犬の嗅覚は人間の百万倍鋭いと言われるから、さては何か隠れてもいるのかと注意深く観察していたのだが、先日になって何か小動物の足音らしきものが聞こえてきた。ダックスは壁向こうに向かって猛烈に吠え始め、何かがいることは間違いないようであった。害虫駆除業者に問い合わせしてみると、恐らくクマネズミではないかとのこと。クマネズミ‥‥。後日その業者に状況を把握しにお越し頂くことになったのだが、話を聴く限りではネズミは単に暖をとっているだけで住みついているわけではないようである。ここ数日の寒波でネズミくんたちも寒いのか、なんて思うと、特別害がなければ暖をとらせてあげても良いのか、なんて思ったりもするが、そんなことを思うのは家族では私だけであり、侵入経路を断ち、糞の除去と消毒を依頼することになるであろう。暖をとれなくなったクマネズミは今度はどちらに行くのか。当方が心配することではないが、彼らも生きるのが大変なのかもしれない。

                    2023,1,24

電子本と紙媒体

 世の中に電子書籍が現れてどのくらい経ちますでしょうか。当方は紙媒体の書籍を従来と変わらない形で読む人間ですが、移動時などに本を持ち合わせていない時などには、スマホで書籍を読むこともある。どちらが良いということではなく、その時々で使い分けをしている。しかし、家にいて電子版を目にすることはない。なぜなら、読みかけの本は直ぐに開けるし、読みたい本が本棚にあれば直ぐに手に取ることが出来るのが、紙媒体の便利なところであり、電子本には形や色がないから、気に入った本を再度探すにもちょっと時間を要する。齋藤孝さんの書かれた本などには、3色ペンで傍線を引きながら読むことなども勧めているが、当方もペンで本にチェックを入れてながら読むことが多いこともあり、電子書籍に惹かれない要因の一つでもある。但し、持ち歩くには重く嵩張る本に関しては電子書籍であれば便利かと思うのだが、そういった本の電子本は無いのが現状であもある。スマホ脳の著者アンデシュ・ハンセンが指摘されているように、デジタル化による負の影響が我々に出てくるのかはまだ分かっていない部分でもあり、急速度で進む社会環境の変化には適応も大事だが、その代償がどのように出てくるかは長期経過を経なければ分からないことでもある。

                    2023,1,23

寒波

 最大級の寒波が押し寄せてきていると天気予報などで報道されているが、例年1月下旬は寒さが厳しくなり、この寒暖差でヒートショックによって命を落とす方がおられる。自分は大丈夫と思われている中高年以上の方や持病を抱えている方は要注意であろう。ランニングも途中で歩いたりすると汗が急に冷えてしまうので長くインターバルは取れないが、どんなに寒くなっても早朝ランナーはいるものである。明日あたりは公園の池にも氷が張って、視覚的にも冬を感じることになるのか。ここ数年は、本格的な冬の寒さに見舞われていなかっただけに、今回の寒波は久しぶりに堪えそうでもある。夕刻のランニングでは夕食支度の各家庭の匂いが漂ってくることも多く、今日はすき焼き鍋でもするのかと想像を掻き立てるシーンもあり、コロナやインフルに罹ることなくモリモリ食べて、体調を崩すことなく冬を乗り切りたいものである。

                    2023,1,22

鮭から見えてくる生態学的変化

 イクラの醤油漬けはぷりぷりして好きな人には堪らない美味しさですが、そのイクラが年々軽量化、粒が小さくなっているという研究結果が1994年から2010年までの3万引きの調査から出ていると、国の研究機関が発表しています。一方で産卵数は増えているとのこと。原因は研究機関で調査中とのことですが、研究グループでは鮭の生態に何らかの変化が起きているのではないかと考えています。明治時代から行われているイクラの人工ふ化が要因の一つではないかと考えられ、主任研究員の話では、ふ化場の中だと餌も十分に与えられ外敵もいないので小さく生まれても大丈夫、卵がどんどん変わってきたのだと仰っている。世界の研究者からも、ふ化放流が鮭の生態を変化させていると指摘もされているそうです。研究機関では科学的に立証できないか、ふ化した稚魚を自然の川とふ化場に見立てた池で飼育し、育った環境によって遺伝子の働き方などに違いが出ないかを分析を始めたとのことです。ここから見えてくるものは、生き物の生態の変化は時間が経過しないと分からないということです。我々人間に置き換えてみたらどうでしょうか。当医院で行っている子供達の咬み合わせのトレーニングは口腔内だけに留まらず、体幹の歪み、呼吸の改善、睡眠障害の改善など、気が付くと不正咬合を引き起こしたと考えられる根本原因に介入し始めています。明治以降の人々の生活様式、生活習慣、産業の変化、社会環境の変化などあらゆる変化が子供達、そして我々の生態の変化に関係していると考えるべきです。大人も子供も、体調不良を引き起こしている原因は薬では改善できない、機能を改善させる必要があることにそろそろ気付く時期ではないでしょうか。 

                    2023,1,21

素晴らしい学会の発足

 「子供達が持つ余計な苦労を取払い、心身の健やかな発達をサポートし、今という大切な時間を笑顔で過ごせるように」、地位、名誉、利権やしがらみ、恨み嫉みに目もくれずに純粋に学び高め合ってきた仲間が集まり作ってきた勉強会がついに学会になる、なんて素晴らしいことか。大人になって体調不良、不定愁訴を抱えるようになった方は、もしかしたら子供の時にその原因があったのではないか。検診で数値などの問題は見つからなかったものの、身体をより良くするためのアプローチが無かったがために、成長のあるステージで徐々に問題が拡がり、気が付いたら不眠や凝り、その他の症状で病院を転々と彷徨うドクターショッピングをするようになっている。そんな人に子供達がならないように、守り育てていくのが医療に携わる人の役目であり、歯科は大いにその活躍の場がある。ただそのことに気付いてない歯科医療従事者が沢山いることも事実である。2/11にはその学会がスタートする。子供達の未来をより良くするために、時間を惜しんではいられない。    

                    2023,1,20

一歩を踏み出す勇気

 「あの時に一歩踏み出せていたら‥‥」、「今更そんなこと言ってみたってしょうがないでしょ!」。電車内で聞こえてきた、あるご夫婦とおぼしき二人の会話である。どんな事情なのかは勿論存じ上げないが、「あの時‥‥」は当方も振り返ってみると、若い時に失敗を恐れずにもっと勇気をもって前進していればと後悔する場面が出てくる。経験がないから自信がないのか、自信がないから経験することがなかったのか。どちらにも言えることは、失敗したらどうしようというネガティブ思考を捨てきれなかったことである。人生経験を積んで分かってくることは、何事も最初の一歩を踏み出さない限り、次の一歩は出てこないということ。開業して20年が経つ今年は、積み重ねた経験値から見えてきたものを前進させる、飛躍の年となるかどうか。沸々と熱いものが年明けから続いている。Evidenceがなければ一歩を踏み出せないようでは、新しい景色は見えてこないのではないか。自問自答の日々がもう少し続くのかも知れない。     

                    2023,1,19

低下する子供達の咬む力

 ブログでも呼吸について何度か取り上げさせて頂いていますが、呼吸筋というものが存在するのではなく、体幹を使って筋肉が連動して呼吸をしているのです。当医院で咬み合わせのトレーニング中のお子様において、一向に血中二酸化炭素濃度が上がらない子がいました。舌の位置、お腹の使い方など一連のトレーニングを行っても結果が伴わないのです。母親に普段の食事内容、お子様が好んで食べる食べ物を改めてインタビューしてみたところ、やはり咀嚼回数、そして咬む力をそれほど必要としない物を好んでいたのです。夕食の際には必ず大きめのコップに水が入れてあり、咀嚼したものを水で流し込んでいるのです。ここから見えてくるものは、咬む力(交合力)の低下です。この子にトレーニング用の口腔内装置を装着して奥歯で強く咬ませた状態で改めて呼吸の状態を計測したところ、血中二酸化炭素濃度も急上昇し、毎回の診査時よりも落ち着いて椅子に座っていることが出来たのです。兎に角、咬む力の弱いお子様が多いことには驚かされている日々の臨床です。普段から落ち着活きのないお子様は、もしかしたらそれなりの原因があるのではないでしょうか。

                         

                    2023,1,18

体育嫌い

 この時期の小中高の体育の時間は、1000m,1500m走などの持久走をさせられた記憶がある。敢えて「させられた」と書いたのは、当方が走ることが嫌だったからである。小学4年生から少年野球チームに所属して、きつい練習であっても野球は上手くなりたかったので必死に頑張れたが、ボールを使った練習を離れると、決まってベースランとグランドの周回りがあり、競争ではないものの、競争意識を駆り立てられたのが非常に嫌で、それ以来走ることに抵抗感を持つようになってしまった。今でこそ、自分のペースで健康を考えて走ることに夢中になっているが、子供の頃に植え付けられた苦手意識というのは出来れば無いに越したことはない。文部科学省の学習指導要領には、小学校の体育では全体の目的として、心や体の健康のためにスポーツを学ぶことなどが挙げられており、高学年では「無理のない速さで5~6分程度の持久走をする」とあり、子供に苦しい思いをさせるとかは書かれていません。体を動かすことは楽しく、運動後は爽快な気分になるものです。体育の授業が切っ掛けで運動が嫌いになってしまっては本末転倒です。詳しい今の教育現場の状況は分かりませんが、個々に合わせたペースの選択も、これからは必要になるでしょう。

                         

                    2023,1,17

多数の犠牲者

 国家試験をまじかに控えた28年前の1/17、朝の報道番組は信じ難い映像をお茶の間に届けていた。傾いて倒れている高速道路、倒壊した家屋から上がる火の手、模型の電車が脱線したかのような電車の映像。阪神淡路大震災である。関東地方では揺れを感じなかっただけに、逃げ惑う人々の姿、泣き叫ぶ家族の声からは、とんでもない震災が起きてしまったと、試験勉強どころではなかった。時間の経過とともに被害状況はひどくなるばかりで、まるで戦争による焼き野原、廃墟のようになってしまったところもあった。巨大地震・災害には人の力では抗えないが、北の遠い国では人間が同じ人間を苦しめている。集合住宅へのミサイル攻撃で多数の住民がまたしても犠牲になっている。一人ひとりに歴史があり、人の人生を勝手に他人が終わらせていいわけがない。歴史的、地政学的にお互い相容れない部分があるにせよ、誰一人として国籍を選んで生まれてくることはできない。お互いに信じあうことから始めなければ、永遠に平和など来るわけがない。あと何人が犠牲になれば、モスクワの人間は納得できるのだろうか。

                         

                    2023,1,16

口呼吸の弊害

 「鼻で空気を吸って口から吐くものと思っていました」とはある患者さんの言葉です。皆さんは正しい呼吸、鼻呼吸は出来ていますか?生まれて此の方正しい呼吸を誰一人教わったことはないでしょう。正しい呼吸をしなくても、それなりに過ごすことはできます。では、正しい呼吸が出来ていないと何が問題なのでしょうか。当医院に来院されるお子様の多くは口呼吸が習慣化されており、子供によっては口唇閉鎖不全といって常に“お口ポカン”状態にあります。つまり、唇にしまりがない、鼻が詰まる、音を立てて食べる、などはお口ポカンの特徴です。口呼吸から口腔、鼻腔の局所の炎症が起き、扁桃肥大、そして上気道抵抗が増加することで異常な顎顔面骨格の成長が進むことが仮説ではありますが、Dr,ギルミノーによって筋骨格型に生じる問題とされています。鼻が詰まるから口呼吸になるのか、口蓋が大きく成長しないから鼻腔が拡大せず鼻が詰まりやすくなるのか。口呼吸と閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)との関係も明らかになってきており、小児のOSAでは早期のアプローチにより鼻呼吸を恒久化させ、上気道の閉塞を予防することが可能であるとの文献もある。歯科医療の携わる領域は、医科で不定愁訴を抱えた患者さんの症状を取り除く最も近いところにあるのかもしれない。

                         

                    2023,1,15

学び直し

 大学4年生の夏休みに約2か月間、ヨーロッパ各地をバックパッカーで旅をしたが、当時英仏海峡は船で行き来をしていたので当方もイギリスからフランスに渡航する際にフェリーを利用した。船内には旅行中の人、帰国する人など多くの乗客で賑わっていたが、私の隣席の男性のことが今でも忘れられない。折角の機会だからと拙い英語力で話しかけてみたのだが、イギリスでの仕事を一旦やめてフランスの大学に入学するとのことだった。年齢は30歳前後というところか。社会人が就いた仕事を辞めて大学で学び直すとは勇気のいることでもあり、経済的な問題もクリアーしなければそう簡単に出来るものではない。日本では、高校から大学にそのまま進むことが理想のルートとされ、踏み外すと落伍者のように見られる傾向が少なくない。今でこそリスキリングが注目されるようになったが、高校卒業時に将来自分の進みたい道が定まっている人は果たしてどのくらいいるのだろうか。今日明日、共通テストが行われているが、本来大学には学問を学びたくて行くところであり、本人がその気になるまで待つ寛容さが日本社会に育ってもよいのではないでしょうか。勿論大学に進学してから目覚める学生もおられるでしょうが、いろいろな社会経験を積んでから学び直す道が広く拓かれれば、より人生は豊かに、そしてより多様性のある社会へと変わっていくことでしょう。                           

                    2023,1,14

共通テスト

 毎年この時期になると実施される大学共通テスト。当方は共通一次テストから大学入試センター試験へと呼び名が変わった頃に受験した世代である。試験が好きだったわけではないが、複数回受ける経験をさせてもらった。二次試験で挽回を狙うも足切りラインまで得点が伸びず、出願願書の提出先の大学を変更せざるを得なくなり、ランクを下げて二次試験を受けるも国立大学の壁に阻まれ、吉報を待つ電報に印字されていたのは「雪深く 路見えず 今暫し待たれし」。大学入試の方式も私の時代とは大きく様変わりしたようで、受験生の前で親の昔話は禁句のようである。受験生は日頃の勉強の成果を発揮できるよう、今日ぐらいは睡眠時間をしっかりとり、明日の問題に一喜一憂することなく、最後まで自分の力を出しきることに集中して欲しい。そして春には“新しい景色”を見ようではありませんか。

                                   

                    2023,1,13

東京大改造とノスタルジー

 東京大改造に伴い、渋谷駅周辺及び渋谷駅そのものが大きな変化を遂げている。東横線のホームが地下に潜ってからというもの、地下を歩いていると自分がどちら方面に向かっているのか分からなくなるぐらい迷路化している。ここ数年は普請中であり、先日も丸2日間山手線を止めての大工事が行われた。高層ビル群も建設中であるが、地震の多い日本は災害に対して高い安全性を示せなければ、外資企業には敬遠されつつあり、シンガポールや上海に東京に代わる地位を譲り渡すことになってしまう、あるいは既にその地位を失っているに等しいとある経済アナリストが語っている。大地震となればインフラへの影響は避けられないが、大手建設会社が手掛けている高層ビルでは非常電源に大型のガスタービンを設置することで電力供給への不安をなくし、すでに多くの企業から問い合わせが来ているとのこと。都市の発展が経済の発展へと繋がれば喜ばしいことではありますが、その陰ではかつて存在した美しい情景や、慣れ親しんだ街並み、フランクなコミュニケーションが活性化していた風景などが消えて行ってしまう寂しさも禁じ得ません。さてはノスタルジーになっているのは齢を重ねた証拠か。

                                   

                    2023,1,12

人の評価

 2000年に発生したアラスカ航空261便墜落事故を扱った番組が放映されていた。水平安定板の故障により機種を上げることが出来なくなり、海面に墜落した事故である。高度にIT化された航空機でなぜこのような事故が起きるのか。番組では水平安定板を維持するためのネジとナットの摩耗を防ぐグリス(潤滑油)がなかったことから急激にナットが摩耗して引きちぎられたネジ山がアクメねじに巻き、事故に繋がったとの結論である。要は、不適切なメンテナンスが招いた事故である。事故調査委員会の調査で更に明らかになったことは、整備士がグリスを注入するも、確実にグリスが行き渡っているかを全く確認していなかったというお粗末さである。コーヒー一杯にも満たない材料費であるグリス不足が招いた人災である。最終的には人の問題であり、社員教育と叫んだところで人間の内面までは分からない。日頃の言動、行動から言行一致しているかどうか、人を評価する一つの重要な基準にはなろう。

                                   

                    2023,1,11

歯科医療の問題

 「長いことお世話になっている歯科医院があるのだが、いよいよ前歯を抜いてインプラントか両隣の歯を使ってブリッジにされたほうが良いと言われている。どうしてもこれ以上歯を抜きたくないのだが、他に手立てはないものかセカンドオピニオンとしてご意見を伺いたい」。これは以前、当医院にお越しになられた方の主訴である。口腔内を診査すると、複数本の歯を抜歯しており、被せ物及びブリッジにて咀嚼機能回復をされている。丁寧な治療を受けられているのは処置歯をみれば一目瞭然であり、施術された先生には感謝ですね、とお伝えしたことを記憶している。しかい30年近く臨床に向き合ってくると、様々な疑問が湧いてくる。端的に言えば、個々の質の高い治療を受けていたとしても、同じ歯の再治療を繰り返すことが多いということである。当方の見解としては、不正咬合を放置したままむし歯の治療を行ったとしても、咬み合わせから来る歯に掛かる不正な力を防ぐことは出来ず、結果的に歯の硬い組織にクラックが入り、そこから細菌感染が生じてむし歯になり、更には神経を取る根管治療を受けるケースが多いということである。但し、この流れを歯を治療したいと強く思っている人に説明をしたとしても、全体像として捉えることが難しく、多くの患者さんは症状のある歯の処置説明だけしか頭に残らないようである。ここが、歯科医療の難しいところであり、口腔内に内在する問題が多い方の場合には、治療に入るまでに理解する時間がより多く必要である。

                                   

                    2023,1,10

鰺つり

 神奈川県の走水沖の鰺は殆どが35cm越えの大物である。2年ぶりぐらいの海釣りに出掛けたが、やはり今回も期待を裏切らない釣果と共に、釣り竿を引き上げる際のあの引きの強さに耐える時間は何とも言えない至福の時でもある。時折鯛も仕掛けに掛かるようだが、未だそのような機会には遭遇していないものの、鯛にも勝るほどの大きさと肉厚の鰺は、店頭では見かけることはない。船には常連客が多く、行く度に何かと世話になるのだが、今回もちょっとしたアドバイスを頂いてからコンスタントにあたりがでるようになり、同じ釣りでも違うものだと今後の参考になった。因みに釣果は4時間で鰺23匹、イシモチ2匹、鯖2匹である。刺身、塩焼き、アジフライ、なめろう、そして干物と暫くは漁師飯になりそうである。

                                   

                    2023,1,9

 今よりはるかに大きな変化に見舞われた激動の時代を生き抜いた渋沢栄一、昭和の名経営者である松下幸之助さんなど、大きな功績を遺した人の下には必ず志があり、それを実現させるだけの能力と実行力があった。今の時代を生きる人たちが学ぶべきは方法論ではなく、こうした偉人、先哲の志を持つ姿勢ではないだろうか。何よりもまず志があれば、それを実現するためにすべきことが目の前に広がってきて、自然と行動に移るものである。上からの指示待ちの仕事で満足している人、私利私欲で日々時間を過ごしている人間にとっては無縁の話になるかも知れませんが、渋沢翁の「論語講義」からは情熱と品格を備えていることに、憧れさえ感じるものです。知識、技能の習得は評価しやすいものですが、品格、思考力、洞察力などは一律には評価されにくく、蔑ろにされやすい部分であるかも知れません。しかし、本来評価されるべきものは、そのような形には見えない部分であるはずで、目先の成果ばかりを追い求めることは、泉下の偉人達も望んでいないはずである。                                   

                    2023,1,8

決断の積み重ね

 “人生は様々な決断の連続である”とどなたか仰っていたが、齢を重ねると実感として湧いてくる。その決断の判断基準をどこに定めるかによって、人の歩む方向性に違いが出てくるのでしょう。未知の領域にと言うと大袈裟になるが、その人にとって最初の一歩を踏み出す勇気の有無は、何が左右するのか。失敗したらどうしようとネガティブになれば前進することはなく、あらゆる可能性を秘めた挑戦だと捉えることが出来ればポジティブに事は運ぶであろう。ではその差は何がそうさせるのか。性格か、学びか、情熱か。それぞれがリンクし合い人間が形成されていくとは思うが、その成長を妨げるのが人との比較ではないでしょうか。自分を深く掘り下げる時間よりも他人との差に気を取られてしまっては、主体性のある人生が遠のいてしまわないか。我が身を振り返れば、当方も大分遠回りをして現在地に到達している。これからも常に一歩を踏み出すことを忘れずに、恐れずに進んでいきたい。                                        

                    2023,1,7

オーラルフレイル

 新型コロナウィルス感染症が日本国内で広がり始め、1月で丸3年を迎えようとしているが、この間、「ソーシャルディスタンス」「三密回避」「リモートワーク」など、外出や人と人との接触を控える行動が強く推奨された結果として、多くの人の身体機能やストレス耐性の低下などといった健康上の問題が生じている。口腔機能に携わる仕事をしている身としては、身体の機能低下、いわゆる「フレイル」の予防の前に、口腔機能が低下しないように心がけて頂きたい。舌を含めた口腔周囲筋は筋肉であり、鍛えなければ筋力は衰え、咀嚼機能は勿論、嚥下機能低下による誤嚥の心配が出てくる。当医院では子供から大人、年配の方まで口腔トレーニングを勧めており、咬み合せトレーニング中の子供であれば、奥歯で正しく強く咬む習慣を身に付けることで咀嚼筋群の向上に伴い、連動して呼吸の改善に結びついている。今井一彰先生が教育現場でも広めている「あいうべ体操」は、ネットで検索して頂ければ直ぐに実践することができ、鼻呼吸の確立だけではなく、口腔周囲筋、表情筋のトレーニングとしても適している。どの年齢のステージにおいてもトレーニングは必要であり可能である。俺は大丈夫、私は問題ないと思う方こそ是非行って頂きたい。

                                          

                    2023,1,6

達筆

 達筆の年賀状を頂くたびに、美しい字から目を離せなくなる。それも筆でしたためられた個性あふれる字からは、書き手の顔が見え、声も聞こえるような気がする。一方で、年賀状仕舞いの知らせを頂いた方には今年から賀状を出さないことしたが、賀状の名簿にチェックを入れるのは、縁が切れるわけではないが何か寂しさを感じるものである。筆ペンを手に取り書き始めると、日頃の筆不精が証明されるかのように満足のいく筆跡にはならず、書き損じのはがきが増えていく。子供の頃には筆を持つ楽しみもあり、書初めなどは得意になって墨をすって冬休み期間中は毎日書いた記憶があるが、昨今は冠婚葬祭と年賀状の時にしか筆を使わなくなった。あのまま筆を使い続けていたら‥‥。何事も続けることが一番難しい。少し気が早いが、来年の年賀状は、受け取った方に“素敵な字だね”と思われるような字を書きたいと一念発起はするのだが、さてどうなることやら。

                                          

                    2023,1,5

日本再生

 日本の抱える問題の一つである少子化、いや超少子化にたいして政府はやっと本腰になったのか。岸田総理は今年4月にこども家庭庁の発足に向け、児童手当を中心に経済的支援を強化するなどサービス、制度の拡充を挙げた。人口減の歯止めとして安い労働力として移民を受け入れているが、本質的な解決にはなっていない。安心して子育てをしやすい環境を整えるのは政府だけの問題ではないが、フランスのように高校までの学費を原則無料にするとか、子供のいる世帯には所得税減税を施すなど大胆な政策によって出生率の回復に繋げなければ、このままではある学者が言っているように移民国家になってしまうでしょう。数だけではなく教育の質の問題も残りますが、20年、30年先の根拠ある国家像をしっかりと示し、ブレない国家戦略を政治家には期待したい。

                                          

                    2023,1,4

豊かな国とは

 私が学生だった30年ぐらい前は、電車に乗ると新聞や本を読んでいる人が多くいた。ところが最近はほとんど全員がスマホを見ている。視界に入るので覗いてみると、中高校生から中高年の人までゲームをしている。他人のことだからとやかく言う必要はないが、完全にスマホに脳も精神も奪われているように私には映ってしまう。何とも情けない。「一億総白痴化」と言われたのはテレビが普及し始めた頃なのだろうか。詳細は省くが、子供の頃にそれこそ“くだらない”番組を見ていると、親にテレビのスイッチを消され、「本でも読みなさい!」と叱られた記憶がある。今となっては親に感謝しているが、子供を躾ける親が今はスマホ漬けにっている家庭も多いのではないか。子供を看るよりスマホを見る。日本の国際的な地位の低下と日本人の学力低下が比例していることは以前から指摘されていることであり、その背景には読書文化と活字文化の衰退があるのは明白であろう。数学が苦手な子供は計算が出来ないのではなく、問われている内容が正しく把握できないのだという。由々しきことであり、国を挙げて本気で母国語を学ぶ教育改革に取り掛からないと、思考能力すら伸び悩む民族になってしまう。豊かな国というのは経済力があることをいうのでしょうか。何が国を豊かにするのか、一人ひとり、あらゆる分野において真剣に考える問題である。

                                          

                    2023,1,3

歯科領域の可能性

 咬み合わせの異常(不正咬合)が成長発育とともに体幹の歪みを引き起こし、そのまま大人になり40~50代を迎えるころに様々な不定愁訴を抱え、病院通いするようになる。不定愁訴とは、本人は身体の不調を訴え病院で検査を受けるものの、検査結果では異状がないというもの。何も異常がないことに安堵はするものの、ではなぜ体の具合が良くならないのかと新たな不安に駆られ、次なる病院にて更に検査を繰り返す。世の中にはこのようにドクターショッピングをする方が実に多くいる。当医院にお越しの方にも、財布の中に複数枚の診察券を入れている方をお見受けすることがある。「歳をとると毎日病院のはしごですよ!」なんてことを耳にする機会もある。歳をとると‥‥?。明治の頃は平均寿命が50歳そこそこでしたから、身体の不調が現れた頃には天寿を全うすることになったのでしょう。今は平均寿命で30年は伸びているわけですから、不定愁訴を抱えている方が増加しても不思議はないと私は考えています。そこで突き止めたいのが、不正咬合と不定愁訴の関係です。腕、脚が痺れる、腰が痛くて長く歩けない、深い呼吸が出来ていない、いびきが凄い、その他症状は多種多様ですが、体幹の連動性が悪い状態のまま何年も放置すれば、身体の動きが制限され、動かしやすいところだけ無意識に酷使することになり、筋肉、筋膜、筋の緊張による神経の圧迫などが起きてきます。但し、一人の人間を長期にわたって記録を取り続けることができない中で、不正咬合と全身の歪み・全身疾患との関連性をEvidenceとして明らかにすることには高い壁が立ちはだかります。来院患者さんの年代別の不正咬合の種類、全身症状(不定愁訴を含む)、生活習慣の記録から今年はEvidence(科学的根拠)への糸口が見えてくる、今年はそんな年になりそうです。医科で改善できない症状を歯科で治す、口腔領域には未病を防ぐ多くの可能性が潜んでいることは間違いなく、当方も含めて歯科医がどこまで踏み込んでいけるか、探求は続きます。

                                          

                    2023,1,2

謹賀新年

 関東地方は晴天の元旦を迎えています!皆さん、新年あけましておめでとうございます🎍本年も宜しくお願い致します!

 年が改まると、新たなことに取り組む、挑戦するといった心持になる方も多くいらっしゃるかと思いますが、仕事も人生も今までの積み重ねの上に成り立っていることを考えると、今までの延長線上で幹を太くしていくことが大切であると思います。

「過去とは未来への踏み台である」とは、年末に適当に入った飲食店の壁に貼ってあった今年のカレンダーの1月分に書かれていた文である。結果が出ないとこのままで良いのかと不安に駆られることもありますが、意固地になるわけではなく、筋の通る、社会のために役に立つことであれば間違ってはいないので、自分を信じて前進あるのみでしょう。ウサギはおとなしく穏やかな反面、元気に飛び跳ね「飛躍」「向上」の象徴とされていますが、飛躍する人に干支は関係ないでしょう。陽が昇るように、一人ひとりが輝いて生きていけますように!

 

                    2023,1,1                


これからの歯科医療

 当医院の一年の総括をするとしたら・・・。日々の臨床において、子供達の正常咬合に出くわすことがほとんどない一年であった、ということが出来るのではないか。不正咬合に至る原因の奥深くにあるのも、それは呼吸であり、舌であり、気道である、というところまで分かってきた。来年はこの3つについて更に掘り下げて研究、文献検索に時間を割くことになりそうである。不正咬合をワイヤー、マウスピースにて整えるのは対処療法であり、根本原因を無くしたわけではない。成人矯正後の後戻りはなぜ起きるのか。それは不正咬合を引き起こした機能の改善が行われていないからであり、矯正装置が取れたと同時に歯列矯正治療が終わったと患者自身も思ってしまうことにある。無意識のうちに長年続けてきた「姿勢」や「動作」のいわゆる「癖(クセ)」が深くかかわっている。従って、10歳前後の子供達であれば顎顔面骨格も成長途中であるので、口腔習癖を取り除き、体幹の連動性がある動きが出来るようにすることで、歯ではなく歯が萌出する土台である顎顔面骨格の本来の成長軌道に戻してあげることによって、結果的に歯並び、咬み合わせが良くなる。そのような子供達が大人になれば、歯だけではなく体幹も整い、生活習慣さえ問題がなければ生涯健康な身体で過ごすことが出来る、それを成し遂げることが、これからの歯科医に課された使命であろう。

                                          

                    2022,12,31

自己修養

 停止線を超える前に信号が黄色になったらブレーキを踏みますか、それともアクセルを強く踏みますか。私が見る限りにおいては後者のドライバーがそこそこいるようである。近所の交差点では停止線から横断歩道までの距離があるために、本来停車すべき停止線で止まらない車は歩行者が横断歩道を渡り始めるタイミングで横断歩道に差し掛かり、急ブレーキを掛けたり、以前には歩行者を撥ねたりする事故も起きている。当方の車にはドラレコと連動した自動車保険のプランがあるということで、数年前からドライブレコーダーを設置している。自分が事故を起こすことよりも、こちらの過失がないことを証明するために映像で録画しておくことで、面倒なことにならなくて済むのではないかと考えたのが、ドラレコを取り付けた一番の理由である。煽り運転が横行するなど今の世の中、常識、良識が通用しない異常な社会になっている。防犯カメラ、ドラレコなどは本来日本には不必要なものである。人の心に余裕がない、荒んでいくことで社会が荒廃し、国が沈んでいく。日本の立て直しは政治家には出来ない。子供から大人まで、特に政治家も含めて一人ひとりが自己修養を心掛ける以外に道はない。

                                          

                    2022,12,30

アナログ

 気忙しい年の瀬を迎えたが、昨年あたりから年賀状仕舞いの知らせを頂くこともあり、年々こちらから出す枚数も減ってきている。年越しと同時にスマホに年賀状が届くようにもなり、これも時代の変化と受け止めてはいるが、当方としては年に一度ぐらい久しくお会いしていない方の顔を思い浮かべながらペンを執る時間を大事にしたい。子供の頃は芋ハンコで裏面を作成したりもしたが、今の子供達にとっては時間の無駄と捉えられてしまうのか。PCやスマホで写真を挿入し、デザインを凝らしてセンス良く仕上げる楽しみも今の年賀状にはある。アナログとデジタルの融合などというと大袈裟になるが、AIの「2045年問題」なるものが提起されていると、お恥ずかしながら先日知った。人間が作ったコンピューターに人間が支配されていくというものだ。すでにデジタル情報革命によって記憶力で言えば、すでに人間はコンピューターに凌駕されているのは誰もが認めるところでしょう。AIを制御できなくなった場合、考えたくもないが今のロシアとウクライナ情勢はどのような展開になるのだろうか。世の中は人間社会であり、アナログを決して軽視してはならない。なぜなら人の成長は今も昔もアナログでしかない。

                                          

                    2022,12,29

音読の効果

 子供の頃に音読して覚えた言葉、文章を、大人になってからでも諳んじることが出来る、そんな経験をお持ちの方はいらっしゃいますよね。音読が脳の活性化に役立つという説は、広く知られるようになっており、一部小学校などでは朝の時間に取り入れているところもあります。医学博士の藤原佳典さんによると、黙読の場合には、脳が文字を視覚的に捉えてインプットし、言葉の意味を理解するために処理するが、音読ではそれらに加えて運動言語野にアウトプットされて音声に変換され、再び感覚言語野で音声認識されるということです。つまり、音読ではインプットとアウトプットを繰り返し行う高度な知的活動が行われており、脳に定着しやすということです。歯科的な立場では、口腔機能を維持するうえで舌や咀嚼筋を含む口腔周囲筋のトレーニングにもなりますので、高齢者だけではなく、壮年期を迎えた頃から咀嚼・嚥下機能を維持するためにも音読の習慣を取り入れて頂くことをお勧めいたします。

                                          

                    2022,12,28

外遊び

 息を吸う時にお腹は膨らみますか、それとも凹みますか?口腔周囲筋の習癖を取り除くにあたり、正しい呼吸が出来ているかどうかを確認するのは重要な診査項目になり、肩や胸で呼吸をする子供の多くは血中二酸化濃度が低い(当医院の子供達のデータ)。呼吸の整理学の話をしなければならなくなるが、血中二酸化炭素濃度の低い子供達に共通して見られる現象は、落ち着きがないことである。15秒すら椅子に正しい姿勢で触っていることもできず、太ももの下に手を入れて上体を支えるようにして座るようになる。なぜこのような子供達が増えているのか。一言で言えば、正しい運動習慣がないことではないかと推察している。幼児期の「外遊び」の時間が6~10歳の運動能力を左右すると言われているが、現実は子供の外遊びの時間が減っているどころか全く外で遊ばない子供が増えている。呼吸の改善ではスポーツトレーナーの先生のご協力も頂いて治療をおこなっているが、「全身の筋肉を使うボール遊びがお勧め」だという。柔らかいボールなどで、投げる、掴む、捕るなどの動作を取り入れるで、全身運動に役立つどいうことだが、歯科医院で身体の動かし方まで指導する時代になろうとは大学卒業時には露にも思わなかった。やはり世の中、何かが可笑しくなってきていますよね。

                                          

                    2022,12,27

優先順位

 「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」というフレーズは、誰もがそらんじることができる。その“学問のすゝめ”を久しぶりに手に取ってみた。「学び続ける精神」「学問の本趣旨は読書のみにあらずして精神の働きにあり」などは、いつ読んでも心に響き、己を高みに導いてくれる言葉である。本書の中に記されているが、役に立つ学問とは何か。お受験と揶揄される環境下で塾通いされている子供達は学問を身に付けに言っているのか、ペーパー試験を通るためのテクニックを習得しに行っているのか。「子供がご飯も食べられないぐらい歯茎が痛いと言っているので診て頂けませんか?」という問い合わせがあり、当医院の予約状況をお伝えしたうえで、隙間時間に診察できる旨伝えると、「その時間帯は塾があって‥‥」。他の時間も尋ねてみたものの、塾が優先されるようで。ご飯が食べられないぐらい痛いのに、塾には行けるのか?何か優先順位が違うのでは、などと当方は考えてしまうのだが、まあ我が子の人生を塾に委ねている親ならば仕方あるまい。そのような親には是非とも諭吉の本を熟読して頂きたいものである。

                                          

                    2022,12,26

ヨーロッパの歴史

 20代でヨーロッパ各地を旅した際、各国の歴史的背景や建造物の成り立ちを学んでいれば、より充実した時間を過ごすことが出来たと後悔したものだ。1992年にベルリンを訪れた際、テレビ塔から見えた景色は、旧東ドイツのグレーを基調としたような単調な建物と、一方旧西ドイツ側の様々に彩られたデザイン性のある建造物を対比することができた。壁崩壊後まだ間もないこともあり、旧東ドイツを象徴する車トラバントも当時は走っており、興味深く近くまで寄って車内を覗かせて頂いた思いでもある。同じ空気を吸っていても、壁一つで分断させられてしまうのが人間社会であり、一人の指導者によって国の行く末が決まってしまう。考えてみればヨーロッパ各国は、どの国も侵略、制圧の歴史を辿ってきた。他国と陸続きのヨーロッパの国々はずっとそうだったのだ。島国育ちの日本人には、彼らに内在する歴史として積み重ねてきたあり方までの思いを汲み取ることは難しい。

                                          

                    2022,12,25

我々にできること

 「先生方も、良いお年をお迎えください!」と、治療を終えてお帰りになる方から声を掛けられる機会が増えてきた。今年も残すところあと僅か。コロナ禍は終息する気配がないまま3年目に突入しようとしているが、敵はウィルスだけではなく、暴君と言わざるを得ない常任理事国の一国のリーダーになるとは誰が予想しただろうか。インフラ施設を破壊され、暖を取ることすら儘ならないウクライナ国民が一体何をしたというのだ。陸続きである隣国は、地政学的、歴史的な背景も含めて複雑な問題が絡み合っていることは理解できるとしても、無差別的なミサイル、爆弾による民間人の殺害は許されるものではない。何千人、何万人死亡などの報道を見ていると、ひとり一人には人生があり、その人生が理不尽にも終わらされてしまう無念さを、今を生きる我々はしっかりと考えなければならない。一人ひとりの集合体をあまりにも大きな括りで捉えすぎている。コロナ慣れ同様にウクライナ馴れ、ウクライナ疲れが世界には出てきており、世界平和のために一人ひとりが出来ることを考え行動することは、いつどのような状況下でも変わらない。ウクライナ国民を想うと同時に、善良なロシア国民も心を傷めていることを忘れてはならない。

                                          

                    2022,12,24

救急車をタクシーに?

 昨日の夕刊に、救急車をまるでタクシー代わりに使用した研修医がいたとの記事が掲載されていた。救急車に同乗して別の病院に患者を送った帰りに、友人との食事会の予定があるので、最寄りの駅まで送って欲しいと救急隊員に願い出たということである。こういった良識の無い人間に医師免許が与えられてしまう世の中である。研修医が医師を目指した動機や生い立ちは存じ上げないが、私にはこの感覚が分からない。物事の良否を判断できないのか、自己中心的な生き方をされているので何が間違いなのかさえ分からないのか。このような研修医がオペをする立場になった時、自分の都合で手抜きをしたりすることはないのか。与えられたものを上手に熟して傍から見れば羨ましがられるような職業に就いたのかもしれないが、何においてもバランスというものが大事であり、日頃の心掛けの有無が見て取れるようである。勤務先の病院の聞き取りには、「救急隊には快諾してもらった」と述べたという。まるで悪いのは自分だけではないとでも言いたいのだろうか。なんとも無駄な時間をブログに割いてしまった。

                                          

                    2022,12,23

企画倒れ

当方は投資話には全くもって興味はないのだが、政府は先月、少額投資非課税制度(NISA)の拡充を柱とする資産所得倍増プランを正式に決めた。そもそも貯蓄に余裕のある方であれば所得倍増の文言に興味も引かれるのかもしれないが、金融投資とは無縁の現預金に余裕のない人たちにとっては、全くどうでもよい話にしか聞こえないのではないか。国民全体でみれば、そのような人が多いのではないでしょうか。将来への期待を説いたところで現状生活の満足が得られなければ、所得倍増どころではない。昨今の政治家は、‥‥プラン、‥‥宣言など、国内だけではなく国際会議においても決め事ばかりで実効性が伴っていない。国民も、今の政府、政治家に何かを期待する面は昔ほどないと思われる。昔というのは明治の頃をいうのだが、当時は国家の運営を官主導で進める必要があった側面もあったが、当時も現代も不確実な世の中を生きている点では共通項であり、今は民間の力、発想力は明らかに国家主導よりも先を行っている。国会議員、国会の威厳も地に落ちたような感がある今、明治維新の志士たちのようなサムライは何処に居るのか。


                                          

                    2022,12,22

小児科医からのご意見

先日参加させて頂いた小児歯科関係の学会において、公立病院の小児科部長の方から「歯科とのかかわり方」についてご意見を頂いた。その小児科医のところには、呼吸の改善が必要と思われるお子様から発達障害の疑いがある子供が歯科から紹介されてくるとのこと。診査、診断の上、継続的な処置を行い、症状の改善が診られると、紹介元の歯科医に戻すわけだが、その際、小児科の先生が口腔内を診ても明らかに咬み合わせが良くないので、歯科の先生に咬み合わせのことも訊いてみて下さいと親御さんに伝えると、「歯科の先生からは永久歯が生え揃ってから矯正治療を受ければ問題はないと言われています。」とのこと。はたしてそうなのでしょうか。見た目の歯並びだけの改善で良ければ、そのようなことも治療の選択肢の一つかもしれませんが、舌を含めた口腔機能の働きとしては正しい動きは獲得できていません。小児科の先生曰く、「歯科医の先生方の考え方がドクターによって違い過ぎるので、小児科からの紹介先には非常に困っております。」とのこと。一度確立された治療法を組み直すには、非常にエネルギーを要します。但し、何が正しい治療法なのかは、徐々にではありますが同志の先生方の医院で子供達が結果を出してきています。以前はは10年ひと昔と言われていましたが、今は1年どころか半年先の状況も掴めないような時代です。世界が激しく変容していて、自ら進んで学ばないと、どの分野でも社会に置いていかれるのは同じでしょうね。

                                          

                    2022,12,21

緩み

マイクロスコープ(実態顕微鏡)のネジが緩むと締りがなくなり、静止が効かなくなる。勿論調整をすることで診療には問題はないのだが、精密機器であればあるほど微調整が必要であり、臨床レベルにも影響してくる。機器の発達によって今まで見落とされていたかもしれない感染歯質の取り残しや根管内の組織まではっきりと見え、まるでミクロの決死隊の世界である。さて人間の場合、ネジが緩むとどうなるか。そもそもネジが緩んでいることすら気付かないのでは話にならん。自己修正力を身に付けているかどうかで、人生は左右されるのではないでしょうか。何ごとも小さなことの積み重ねであり、右肩上がりで上手くいくことなどそうはないと思っていた方が賢明であり、自惚れることなく謙虚でありたいものだ。3割打てば一流のプロ野球選手と言われるが、7割は失敗している。サッカーのメッシ選手でさえ、全てのシュートでゴールネットを揺らすことはできない。診療前のマイクロスコープの点検において見つけたネジの緩みだったが、いろいろと気付かされたことがあった一日である。

                                          

                    2022,12,20

スマホパンデミック

「横断歩道を歩く時ぐらいスマホを見なくてもいいんじゃないですか?」と言いたくなるぐらい、信号が青になると周囲を確認することもなくスマホを見ながら歩きだす歩行者に私は辟易する。それも一人二人ではなく、まっすぐ前を見て歩く人がいない?とさえ思える光景を目にすることもある。スマホ依存症であり、これほど人間の脳を支配することが出来るものは今まではなかった。スマホ歩きをしてホームから転落する事故もを起きており、転落防止のために鉄道会社側がホームドアを設置する事態にまでなっている。何かがおかしくないでしょうか。まるでスマホに世の中が支配されているようではありませんか。実際、シリコンバレーの巨人たちは、自社の製品への後悔の念を露わにしており、ある経営者は「SNSが人々に与えた影響を悔いている」とさえ発言した。FBの初代CEOを務めたショーン・パーカーも、同社が人間の心の脆弱性を利用したと明言している。利便性が良いだけに手元に置きたくなるスマホであるが、すでにその考え方が、スマホに支配されてしまっている。なんて代物が地球上に現れたのだろうか。世界中がスマホパンデミックである。試しにスマホを手にしない一日を体験してみると、普段よりも物事への集中力が高まる感覚はある。皆さん、これからスマホをどのように使っていきますか?

                                          

                    2022,12,19

政治家の品性

またしても国会議員の不祥事か。千葉5区から選出されている自民党の国会議員が、金にまつわる問題で東京地検特捜部の取り調べを任意で受けたとのことである。新聞記事を全て鵜吞みにするつもりはないが銀座の高級バーで豪遊していたとの報道もあり、世間から先生と言われる人として品性に掛ける政治家のように映る。この手の問題が浮き彫りになるたびに、そもそも国会議員、政治家を志した動機は何だったのかを問いただしたくなるのは私だけか。ロシアによるウクライナ侵攻が、いつ我が国に降りかかるかも知れないこの国難にある時に、この議員は国民からの税金で夜の帝王気取りだったのか。今では修養という言葉は死語になりつつあるが、今一度我が身を振り返ってみて、今ある自分の姿、生き方と向き合ってみては如何か。以前このブログにも挙げさせて頂いたが中曽根康弘元総理は、どんなに公務に忙しくても、米国大統領と会談をする前日であっても、首相官邸の執務室で必ず30分は自分の時間をとって修養の時間に充てていた。あの中曽根さんがですよ。今の日本の芯の無い、哲学もない仮面政治家たちを見たら、泉下の総理はどんなに嘆いていることか。“政治家の仕事は先見性と大局観をもって未来を作ること。そのために過去を知らなければならない。歴史を勉強しなさい”とは後輩に向けた言葉である。

                                          

                    2022,12,18

親の教育

今の小学生は全員が塾通いをしているのか、と思いたくなるほど塾、習い事が多過ぎる。全国平均ではなく私の職場エリアだけの、そして当医院にお越しになる子供達の話から聞く限りの判断材料でしかないが、常に子供達は疲れているようである。ある人の言葉を借りれば、「常に大人が用意したプログラムに縛られ、評価されている」。子供の頃から数字を意識させられ、親の価値観の元で育てられてしまう子供達の将来はどうなるのだろうか。塾、塾、塾と、自分の意志で塾に行きたいと思っている子供なのか甚だ疑問であり、時にはボーとする時間だったり、読書に耽ったり、友達と暗くなるまで外で遊ぶことで、身体も心もバランスよく育つのではないでしょうか。小学生から中学受験の塾通いをさせられ、その後いわゆる高学歴を積んだ子供達は、どのような人生を歩んでいるのでしょうか。義務教育しか受けられなくても立派な人生を送っている人、高卒でも社会貢献する素晴らしい道に進んで活躍の場を広げている方など、生き方は様々である。芯の強い、情緒豊かな、そして誰からも好かれるような人間は、学歴だけでは評価できない。挨拶ひとつ出来ない子供の塾通いに親は何を期待するのか。教育の在り方の基本は家庭であり、子供の躾けは親がするものであり、だれも異論はあるまい。どのような状況下であっても、逞しく生きていける人間に育って欲しいものである。

                    2022,12,17

芹鍋

芹といえば宮城県名取市と秋田県湯沢市が産地どころなのでしょうか。先日知人に連れて行って頂いたお店で、人生初めて芹鍋を頂いた。私は“七草がゆ”や“きりたんぽ鍋”に添える程度の芹しか知らなかったが、なんとも立派な芹で、根の部分が美味しいこと。女将には、新鮮な芹なのでこのまま食べても美味しいですよと勧められた。試しに生のまま頂いてみたが、茎の太さ、根っこの太さで、微妙に味が違い、食感もシャキッとした歯ざわりで、比内地鶏と共に幸せな時間を過ごさせて頂いた。世に中には人が手を加えなくても美味しいものが沢山ありますね。当方が子供の頃には、道端のヨモギを取って帰り、ヨモギ餅にして食べていたことを思い出します。昨今はそのヨモギを見ることがなく、自然の恵みが近くからなくなっていることを実感せざるを得ません。つくし、アケビ、ザクロなどはよく採っていましたけどね。春には山菜採りにでも行ってみましょうか。

                    2022,12,16

睡眠負債

朝の通勤電車では、スマホを握ったまま寝ている人、口を開けて上を向きながら寝ている人などを見かけることがあるが、何れも睡眠不足なのだろうか?皆さん、身体にとって必要な睡眠時間はどのくらいかご存知でしょうか?また睡眠不足は身体にとって何が悪いのでしょうか?睡眠歯科を研究されている先生の講演の中で、恐怖や怒りといった情動変化が睡眠不足によって起こりやすくなることは大人も子供も同じである、ということを以前述べられていたことを思い出します。慢性的な睡眠不足を睡眠負債という言い方もあるようですが、東北大学では平均睡眠時間が6時間以下の人は、7時間寝ている人に対して乳ガンのリスクがおよそ1,6倍になるという追跡調査の結果を出しています。免疫力を高めるという点では気が付かないうちに睡眠負債が増していくことは避けなければなりませんが、健康である=丈夫な身体、ではないことを認識することも必要です。睡眠に関しては後日HPの項目に追加したいと考えています。

                    2022,12,15

不正咬合パンデミック

所属する歯科の勉強会では、「不正咬合パンデミック・呼吸障害パンデミック」と言われ始めるぐらい、小児の呼吸障害、睡眠障害と歯列不正との関連を研究している。当医院でも小児の不正咬合は頭蓋顔面発育障害の一つの現われとして捉え、咬み合わせのみならず、姿勢が悪い、口が開いている、落ち着きがないなどの主訴を抱えてお越しになられる親御さんには、お子様の現状に至った原因を丁寧に説明させて頂いている。この5年ぐらいの間にお越しになられたお子様の主訴の多くはむし歯ではない。今世の中で何が起きているのか。環境の変化が子供達の成長発育を歪めていることは以前から言われていることだが、扁桃肥大、気道狭窄、不正咬合をリンクして診断する目がなければ、成長途中の子供達が本来の正しい成長軌道に戻る時期を逸してしまうことが起きている。成長発育において、小児の一日は成人の一日とは意味合いが異なる。歯科からのEvidenceの発信が出来るよう、データの蓄積が待たれるとことである。

                    2022,12,14

発達障害、小中学生8,8%か

今朝の日経新聞に、「発達障害、小中学生8,8%か 文科省調査」との見出しがあり、私はハッとした。普段の臨床現場において、子供達の咬み合わせの治療の一環として体幹トレーニング、呼吸の改善を行っているのだが、治療に入る前の一連の診査において、多くの子供達は正しい呼吸が出来ておらず、共通して落ち着きがない。正しい呼吸が出来ていない、つまり口呼吸になっていると血中の必要二酸化炭素濃度が高まらず、例え酸素飽和度が高くても酸化ヘモグロビンが酸素を手放しにくい状態となり、身体の各器官の細胞にに適量の酸素が供給できなくなる。二酸化炭素というと悪者のイメージがあるけれども、生命を維持するうえでは体内に必要量の二酸化炭素は確保しなければならない。しかし、常に口呼吸で生活をされていると、二酸化炭素も多く吐き出されるために、結果的に脳細胞への酸素供給量が少なくなり、集中力の欠如へとつながることが考えられる。十分な睡眠時間を取ったとしても、起床時に頭がボーっとしていることがある人は、就寝中に口呼吸であることが疑われる。当医院で加療中の小学生は、とにかく落ち着きがなく、5秒すら同じ態勢でいられなかったけれども、トレーニングの甲斐あり、口唇を閉じて鼻呼吸がしっかりできるようになってきたころから椅子にじっと座っていられるようになってきている。小学校の面談においても担任の先生から、「最近は授業も落ち着いて聞いていますよ。何かありましたか?」と質問を受けたそうである。歯並び、咬み合わせが悪くなるのは、顎顔面骨格の発育障害の一つと捉え、子供達の持っている治癒力を生かして本来の成長軌道に戻してあげることが治療の目的である。落ち着きがない原因はなぜか、本当に発達障害なのか、発達障害のような症状を呈しているだけなのではないか。一人ひとりを注意深く観察することで、見えないものが見えてくることがある。

                    2022,12,13

サステナブルな服装

服には無頓着で、気に入ったものを着続けるタイプである。といっても毎日着るのではなく、何年も大事に着続けるという意味である。20代の頃、バックパックを背負って旅をしたスイスの山麓に宿泊した際に、あまりの寒さに購入したセーターを30年たった今でも毎年着ているが、特にデザインを気にすることもなく、サイズが合っていたのでその場しのぎで買ったものだが、妙に愛着があり、大変気に入っている。最近は、環境問題への配慮から、店頭での回収やリサイクルも増えてきており、スーツなどでも下取り値引きなども行われている。ファストファッション、低価格化は商品を手軽に購入しやすくなった反面、簡単に捨てるようにもなった一因であろう。普段から物を大事に丁寧に使う習慣を身に付けていれば、商業ペースに乗って衝動買いすることもあるまい。まあそうは言っても買い物は楽しいものだ。外気の冷え込みも強くなってきたが、まずは必要以上は購入せず、今ある服を長く楽しみましょう。

                    2022,12,12

知ること

ギニアは水源が豊富でお米がよく穫れることを中学生から聞いて初めて知り、知っているようで知らないことが多いものだと気付かされた。その中学生が言うには、「アフリカの国=どこも砂漠だらけ」みたいな勝手な思い込みがあったそうで、自分で反省したとのこと。現地の人の話を聴く、その国の文化に触れる、などの経験があって初めて、その国のことを「知る」のだなと実感したそうです。なかなかしっかりした中学生ではありませんか。当方が中学生の頃はカンボジア難民が問題になっていて、戦争などを除けば初めて国際問題に関心を持った出来事だったように思い出します。まだ読んではいないのですが、「JK、インドで常識ぶっ壊される」という本の著者は、親の海外赴任で突然インドに住むことになった現役の女子高生で、インド、インド人への思い込みをことごとく打ち破られた体験談をもとに成長していく実話で、出版された時には話題になったのかも知れません。なんでもネットで情報が手に入るご時世ですが、実体験に勝る「知ることの大切さ」はありませんね。

                    2022,12,11

隠れ炎症を無くせ

コロナ禍の今、コロナ後遺症に悩まされている方が多い。当方が所属している病巣疾患研究会の耳鼻咽喉科医、内科医の先生からは、倦怠感や集中力の低下などが続くブレインフォグなどの相談が増えているとのこと。世の中にはコロナ以前から身体の不調を訴えてドクターショッピング、言わば沢山の病院を受診する患者さんが存在していた。不定愁訴があるので検査を受けるわけだが、数値結果や画像診断の結果は特に問題なし。問題がないことに安堵はするものの、誰にも分かってもらえない辛い症状の原因は何なのか、と悩みが解消されないまま病院の診察券だけが増えていく。同じ悩みを抱えている方には是非とも病巣疾患研究会のHPをご覧いただきたい。もしあなたに「原因不明の不調」があるならば、あなたのやる気や体力を奪っている真犯人は、「からだの中の炎症」にあるかも知れません。関節リュウマチの患者さんには歯周病の進行を認めることが多いことや、鼻の奥の上咽頭炎が腎臓の病気の一つの原因であることも分かっています。この“隠れた炎症”があらゆる病気の引き金になっている可能性が高く、世界的にも研究が行われています。日常生活で出来ることとして、正しい歯磨きに加えて是非とも鼻うがいをして頂きたいと思います。

                    2022,12,10

和菓子

先日お越しになられた方から、「京都に行ってきたので気持ちだけですけど皆さんで召し上がって!」と和菓子を頂いた。私も京都には年に数回は行くのだが、立ち寄るお店はいつも決まっており、そろそろ新しいお店を開拓しようと思っていた旨をその方に話をすると、「先生、このお店はまだ新しいお店なんですけど、和菓子の良さを生かしつつ、洋風なデザインも取り入れている飽きないお店なの。是非いかれてみて!」と仰って下さった。時代の変化に合わせるように、京都の菓子職人も変わりつつあるようだ。老舗の“のれん”に隠れていた和菓子職人が、自分の感性を頼りに独立し、個性的な和菓子を作り始めている。京都は不思議なところで、メイン通りから離れた路地裏でも常連客だけで成り立っている喫茶店やお菓子屋さんが至る所にある。私が行き付けのコーヒー店も目立たないところにある昔ながらの喫茶店である。日本人は“伝統”という言葉に弱い。「昨日までと同じことをやって次代にバトンを渡すことが『伝統を守る』こと」ではあるが、大切なものを継承しつつ新種のものを取り入れていく勇気が今は求められている時代である。頂いた和菓子屋店主のバックグラウンドが気になる。


                    2022,12,9

指導のありかた

サッカーW杯で活躍した4人の日本人選手が所属していたサッカークラブへの問い合わせが例年の10倍に達しているそうだ。子供がサッカーを習うなら、W杯にでるような選手に育てるなら、どうせするなら実績のあるクラブが良いということなのだろうか。「教えないスキル」の著者である佐伯夕利子さんは以前、「サッカーは正解のないスポーツであり、動くか、動かないかというアクション一つ一つを選手がその場で自己決定するスポーツです」、と述べている。佐伯さんが所属するビリャレアルは育成力に定評のあるクラブで、サッカーの技術論を離れて、「対人支援・人を大切にする」という視点から指導者のあり方を考えている。指導者のあるべき姿は何か。教えるのではなく“Educate”、その子の持っている能力を引き出してあげることだ。あらゆるスポーツの指導的立場にある方の考え方も変わりつつある。プロまで辿り着ける子供達は一握りであり、選手ではなくなった将来にも目を向けた指導の在り方も考える必要があるのではないか。活躍した選手たちでさえ、まだ成長途中である。


                    2022,12,8

ルーティンを

霜柱を見るくらい朝晩の冷え込みが急に厳しくなってきて、早朝ランニングに出掛ける時間が少しばかり遅くなってきた。「若くないのだから朝から無理しないほうが良いよ!」と家族に言われるが、本人は何も無理をして走っているのではなく、体調の維持管理のためにルーティンを守っているだけのこと。この時期の早朝は暗く、数年前にはパトカーが寄ってきて職務質問を受けたことがあったくらいである。耳が赤くなるのでスキー用の耳当てバンドを装着し、喉を守るためにマスクの着用、黒のネックウォーマー、そして黒の上下ランニングウェアという出で立ちでは如何にも怪しいか。走るコースの公園には池があるのだが、この2,3年は結氷することもなく、これも温暖化の影響であろう。日本から遠く離れたウクライナでは、人々はこの冬をどのようにして過ごされているのだろうか。理不尽な侵略、攻撃を受け、ただただ耐え忍ぶしかない民間人は、インフラの復旧もないままに、暗闇のなか寒さに震えているのだろうか。今夜も熱狂の渦にあるカタールとのあまりの落差に愕然とするしかない。どうやらウクライナがロシア国内の基地を攻撃したとの情報もあり、先行きの不安定要因が増えただけで、和平など考えられない状況が現在進行形で進んでいる。毎日のルーティンを継続できる環境には感謝しかない。

                    2022,12,7

PK戦

「我が巨人軍は永久に不滅です!」とは言わずと知れた現役を引退するセレモニーで長嶋茂雄さんが語った名文句であり、ある年代以上の方であればご記憶にあるはず。当方はサッカー日本代表の試合は応援したくなる俄かサッカーファンでしかないが、サッカー界の神様ペレさんの言葉を知り、惜しくもPK戦の末敗れたサムライブルー達に改めて拍手を送りたくなった。「ペナルティーを蹴るものだけが、それを外すことが出来る」。6年前の南米選手権でアルゼンチン代表のメッシ選手がPKに失敗し、代表引退を表明した時に述べたそうだ。「偉大な選手もミスをする。忘れるべきだ」。メッシ選手は引退を撤回し、昨年の南米選手権で優勝し、今回のW杯も優勝へ向けて準備を重ねてきたと言っている。観るものを魅了するドリブル突破はそれだけでスタジアム中が総立ちになる。クロアチアには勝負では負けたが、クループリーグであれば勝ち点1で引き分けだ。優勝経験国のドイツと無敵艦隊スペインを下したグループリーグ1位は素晴らしいではありませんか。合言葉にもなっていた「新しい景色」を見ることはできなかったが、国民を一つにすることが出来るのは、今は君たちしかいない。負けたら意味がないなどとは言わずに、更なる期待を我々にさせてくれ。

                    2022,12,6

時間

7分間を短いと感じるのか、長すぎると思うのか。私の普段のランニングでは約1,4Kmを走る時間に相当するが、42,195Kmの前半であればあっという間の7分間であり、後半の35Kmを過ぎてからの7分間であれば30分以上にも体感する時間でもある。そう考えると時間というのは不思議な存在である。今行われているサッカーW杯において、日本はドイツ戦とスペイン戦ともにアディショナルタイム7分を戦った。誰もが祈るような思いで、呼吸が止まったかのような状態でテレビやスマホの画面に釘付けとなったはずである。大学受験を控えた高校生や高卒生にとっては、約1か月後に迫った共通テストまでの時間をどう感じているのだろうか。不安と向き合いながら日々を過ごすよりは、自分を信じて残された時間をサムライブルー達のように我武者羅に自分のゴールを目指して駆け上がって欲しい。ゾーンに入れば時間が過ぎゆくことも忘れるものだ。大事なことは、脇目も触れず目標に立ち向かう勇気である。受験させてもらえることに感謝しながら自分で結果をつかみ取れ!

                    2022,12,5

サブスクリプション

よく使う職場近くの「24時間コインパーキング」には、結構な数のカーシェアリング車が駐車しており、最近はそのスペースがさらに2台増えたようである。これも時代の変化、価値観の変化なのだろうか。車を所有していると何かと出費が掛かることは否定しないが、乗りたいときに直ぐに乗れるのは魅力であり、車にも自分なりの癖が付いてくるので、長く乗っていると愛着も湧いてくる。音楽配信などではサブスクリプション型のサービスが定着してきているが、利用に応じて費用を支払うという点ではカーシェアリングも考え方は同じと捉えても良いのかも知れない。昨日の日経新聞に、原材料費の高騰や円安などでスポーツ用具の世界でもサブスクリプションが人気を集めているとの記事が掲載されていて、とくに身体の成長に応じて変更できるため、子供や中高生の親御さんにとっては恩恵があるようだ。諸々の事情はあるだろうが、私などは高校時代に使っていたバットと皮グローブを大事にとっているが、借り物となってしまうと将来ノスタルジアに浸ることもなくなるような気がして、昭和を知る人にとっては少し寂しいようにも感じる。

                    2022,12,4

デジタル社会の象徴

日本における電子マネーの普及率、利用率はどのくらいあるのでしょうか。当方はスマホにチャージはしていますが買い物では未だ利用したことがなく、支払いはほぼすべて現金かキャッシュカードです。ところ変わってケニアでは、経済的には日本よりも貧しい国ですが、スマホで使える電子マネー「M-PESA(エムペサ)」が大人気とのこと。なんと自分の携帯電話番号がそのまま口座番号になるということで、銀行に口座を持っていなくても簡単に送金や支払いができることが評判となり、出稼ぎにきた人たちの間で一気に広まったそうです。知人の銀行マンが数年前に、「通帳や印鑑が要らなくなる時代がすぐそこまで来ている」と言っていたことを思い出しました。それにしても世界中、スマホを所持していることが前提で社会活動が営まれていくのでしょうか。私の周りには一人だけ今もスマホではなく携帯電話も所持しない人がいます。アンデシュ・ハンセンの「スマホ脳」を読んだものとしては、スマホだけではなくデジタル社会の数年後の人間そのものが心配でもあります。

                    2022,12,3

インフラの老朽化

道路や橋、公園など、暮らしを支えるインフラが古くなっており、建設から50年以上も経つ道路橋は全国の約39%、トンネルは約27%になるという。中央道の笹子トンネル事故から10年が過ぎ、当時の事故の教訓から補修・点検の在り方がハイテクを駆使して行うなど徐々に変わりつつある。トンネルの壁は打診が主な診査方法であったが、トラックに搭載したレーザーを壁に照射しながらデータを採得し、疑わしき個所を集中的に検査・補修できるなど、仕事の効率化も進んでいる。その一方で、インフラの不具合を把握したものの、各自治体では予算不足で事後保全すらできないところも出てきている。高度経済成長期に整備された施設を、全て残したり、作り替えたりするのは難しい現状が浮かび上がっている。今後はインフラのトリアージも必要になってくるのか。

                    2022,12,2

徹底した感染対策を

新型コロナウイルス第8波の感染拡大が北海道で急拡大した背景には、寒さによる換気が不十分だという見立てが当初はありましたが、エビデンス的にはどうなのでしょうか。勤務医時代の職場の同僚の一人が北海道出身で、一人暮らしのアパートを訪ねた際に、真冬にも拘らず室内にてTシャツで過ごしているのに驚いたことがある。彼に言わせると、「北海道では冬は部屋をとにかく暖かくして過ごすので、Tシャツで過ごすことは珍しいことではないですよ!」とのことでしたが、窓を開けて換気を全くしていなければ室内の空気が循環するだけで、ウィルスが持ち込まれれば集団感染が起きることも容易に想像できよう。とはいえ道内の寒さは都内の比ではない。当医院の窓も、心なしか開閉幅が狭くなってきた気もする。コロナだけではなくあらゆるウィルスの滞留を許さないためにも、新型コロナウイルスの感染が始まった頃の緊張感を取り戻して再度感染対策を徹底することにする。


                    2022,12,1

ノーブレス・オブリージュ

新型コロナウイルス感染再拡大の様相を呈してきていますが、未知のウィルスへの恐怖心は無くならないものの、日常の生活、社会活動はコロナ以前にかなり戻りつつあります。航空機の利用客数も満席状況が続いていると通院中の客室乗務員の方から伺っており、約2年半の低迷した経済も回復基調になればと願うところであります。久しく飛行機を利用する機会がありませんが、皆さん飛行機の離発着の時にはいささか不安を感じませんか。特に、駐機場から滑走路に向かう移動の時に感じるあの少し祈るような気持ち。そんな不安感を晴らしてくれるのはパイロットに対する信頼や、C.Aの気配りもありますが、駐機場を離れ滑走路に向かう飛行機に手を振って見送る作業服姿の整備士を窓越しに見た時、私は大きな安心感を覚えます。それは、彼らの仕事に就く者としての責任感と誇りを感じるからだろうと思います。これこそが“ノーブレス・オブリージュ=高貴なる職業の責任”なのではないでしょうか。どんな職業に就いていようとも、この“高貴なる”を強く意識し続けることが、お客様に接するうえでは最高の敬意を表すことになろうかと思います。


                    2022,11,30

誤嚥の原因は?

歯科治療中に診療台で咽てしまう方に、「舌を口蓋(上顎)に持ち上げてみてください」とお願いしてみると、舌を上げられないではありませんか。皆さん、何もしていない安静時に舌はどこのポジションにありますか?子供達の咬み合せの改善と顎の発達を促すための治療として、正しい呼吸の仕方、舌を含めた口腔周囲筋のトレーニングを行っていますが、これは子供に限らずどの年代の人にも正しい口腔機能を獲得、維持させる上では欠かせないことです。そもそもご年配の方になぜ誤嚥が起きやすいのでしょうか。食事中に舌やほほの内側を咬んだり、水やお茶を飲んでいて急にむせることがあるかたは気を付けて頂きたい。舌は拳より少し小さいぐらいの筋肉の塊であり、普段から正しく機能していないと動きが衰えてくることが考えられます。試しに舌を口蓋に1分間、大きく口を開けた状態で貼り付けてみてください。上手くできない方は舌の筋トレを今から始めましょう。


                    2022,11,29

時間の感じ方

年齢を重ねると、一年が短く感じることを中年以降の方は経験されていると思いますが、よく言われるのが10歳の子供にとっての1年は、人生の1/10の時間ですが、60歳の人にとっての一年は、1/60だからです、というもの。一見すると、なるほどと思いますが、人によっては小学生時代よりも、10代後半や20代の時代が一番長かったと感じる人は少なくないのではないでしょうか。この時間の感覚について。作家の百田尚樹さんが著書のなかで、「過去の時間の体感は、感動と記憶にあるのではないか」と述べられています。そして「楽しい時間は過ぎ去ってしまうと、その人の人生の中に大きな時間として残ります。なぜなら楽しい時間は、心の中に感動や驚きや喜びを沢山残すからです。素敵な思い出を回想する時、これらの経験は長い時間の感覚として蘇るというわけです。」と書かれています。要は、感情の鈍麻は人生を短く感じさせてしまうということでしょう。仕事も人生も“熱く”日々の時間を過ごすことで、人は豊かになるのでしょう。


                    2022,11,28

森保監督に見習え

3日連続のサッカーワールドカップの話題でブログを始めさせて頂きます。さあ今日の19:00~決勝トーナメント進出に向けたカウントダウンがスタートです。キックオフ前に夕食を済ませるか、いやいや祝杯を挙げながら最高のディナーにするのかは各御家庭によって様々でしょうが、師走を目の前にして今年一番の盛り上がりになることは間違いなさそうです。楽しい話題に水を差すつもりはありませんが、戦術通りに選手交代が嵌まると結果が付いてくる良いお手本を森保監督が示してくれました。政治の舞台ではどうでしょうか。国務大臣の相次ぐ辞任、更迭によって内閣の支持率はサムライブルーとは反比例するかのように下降線を辿っています。しがらみの少ないスポーツと政治の世界は違うとはいえ、選手起用の手腕を総理は同郷の森保監督から教わってみてはどうか。「攻撃は最大の防御である」と言われることがあるが、党内の派閥力学、実力者と言われる重鎮を大事にするあまり、自分の目指す政策を前面に出せないでいるのではないか。あくまで攻めの政策でリーダーシップを執り、再び日本を成長軌道に戻す足掛かりを作って頂きたい。


                    2022,11,27

ゴミ拾い

ネットでは連日サッカーワールドカップの話題が取り上げられているが、なかでも日本サポーターによるゴミ拾いが今大会でも称賛されていることは非常に喜ばしいことではないでしょうか。ブラジル大会ぐらいからでしょうか、日本人の清掃の仕方に世界が注目するようになったのは。「部屋の乱れは心の乱れ」とある高校球児が語っていましたが、整理整頓、きれいにするのは日本人にとっては当たり前のことと教えられて育ってきていますよね。スタンドのごみ拾いをされては、ごみ清掃業者の仕事がなくなるといった声も聞いたことがありますが、サポーターがスタンドを綺麗にすれば、業者が普段のルーティンでは行き届かないところの清掃をすることが出来るわけで、決して人の仕事を奪っていることにはならないと思います。それにしても世界から賞賛される日本人のマナーの良さは、どこか爽やかな風に心が晴れやかになる、誇らしい文化ですね。

                    2022,11,26

ドーハの歓喜

“One team”で日本中が熱狂に包まれたラグビーワールドカップに続き、日本男子サッカーが熱い!先日は大方の予想を裏切り、日本が優勝経験国であるドイツに逆転勝ちを収めた。新聞各紙でも取り上げられているが、29年前を知る当方にとっても「ドーハの悲劇」のあの相手ボールがゴールネットを揺らした瞬間は脳裏に焼き付いている。カズ、ゴン中山、ラモス、井原、柱谷、北澤、都並、そして森保監督。野球人間である私でさえも当時のメンバーが浮かんでくる。今回のW杯を迎えるにあたり、森保監督の決意を新聞で目にした。「ドーハの悲劇の地から、歓喜に変える」。ドーハの悔しさをしまい込み、今日この日に向けてサッカー人生を掛けてきたといっても過言ではあるまい。守りに入って負けたあの経験が、果敢な攻撃に打って出た戦術に繋がったのだろうか。サムライ・ブルーの躍動はまだ始まったばかりである。

                    2022,11,25

コロナ、インフルそしてリーダーシップ

新型コロナウィルス感染拡大の第8波入りが取り沙汰されているが、地元の中学校では3年生の複数クラスで十数人以上の感染者が確認され、学級閉鎖、短縮授業などの対応が取られ始めている。今までの経験からすると、子供がウィルスに感染するとかなりの高い確率で親にまで感染は広がっている。基礎疾患などがあると対応が難しくなるが、今は時期的にインフルエンザとの同時流行が懸念されている。コロナとインフルの両方を同時に検査できるキットの市販も検討中とのことだが、出来るだけ急いで頂きたい。医療逼迫防止対策は各都道府県に任されることになったようですが、首相の低い支持率との関係はないのでしょうか。一国の首相の役目は国民の命を守ること。しっかりとした強いリーダーシップをどんな場面でも発揮して頂きたい。

                    2022,11,24

リスキリング

世の中のデジタル化と同時に生まれる新しい職業や、仕事の進め方が大幅に変わるであろう職業に就くためのスキルを習得するリスキリングが浸透し始めている。先日あるテレビ局で紹介されていた粘着剤を作る会社に勤めている30代の男性は、今後いつまでこの仕事を続けていられるのか真剣に考えた結果、勤務時間の2割を使ってリスキリングに取り組むことを会社が奨励していることにも背中を押され、AI関係の資格を多数習得し、実際に今の職場にて新たな技術を導入することに貢献しているとのこと。大学は文系の出なのでITなどとは無縁だったが、オンラインで学ぶことで無駄な時間を掛けずに基礎から学ぶことが出来るようになったことが、リスキリングに取り組めた要因だと語っていた。ダボス会議でも「2030年までに全世界で10億人をリスキングする」と宣言し、「第四次産業革命により、数年で8000万件の仕事が消失する一方で9700万件の新たな仕事が生れる」とも語られていた。将来を保証されている仕事など一つもあるまい。護送船団方式で進むような時代ではないのだから、目先のことだけではなく、全てを俯瞰する目を養いながら、自分なりの進路を開拓していく時代になってきている。

                    2022,11,23

腰痛

今日は体幹の歪みを実感する一日となった。数日前から腰の違和感を覚えていたが、忙しさにかまけて身体のメンテナンス、トレーニングを怠っていた付けが来てしまったようである。若い頃とは違い、一度痛めると回復に時間が掛かるのが年齢を重ねた証拠でもあり仲良く付き合うしかないのだが、腰は身体を支える支点でもあり、直接的な原因がなくても間接的な原因を積み重ねた結果が引き起こしたと自己診断をしている。かかりつけのスポーツトレーナーからは常に身体の動きの癖を指摘されており、長年の習癖をそう簡単には改善できないことを実感している。当医院に通院中の子供達には、不正咬合に由来する体幹の歪みを無くすべくトレーニングに励んでもらっているが、難しいことをするのではなく、先ずは正しい呼吸を身に付けることに重点を置いている。当方の腰痛も呼吸が浅くなっていることが原因の一つであり、身体の不調を自分で調整、改善できるようにできれば医者いらずである。

                    2022,11,22

旅の思いで

バックパックを背負って海外を旅した時の愉しみは、振り返ってみると一つは人間観察だったかも知れない。ヨーロッパ各地の国境を越えて旅をすると、昔は両替所で通貨を交換する必要があり、その都度自分が外国にいる実感をもったものである。ユーレイルパスを使って宿泊代を浮かせながら移動すると、現地には朝早くその国の主要駅に到着することが多く、朝の通勤風景やカフェでの朝食姿などを観察することが、観光エリアを回ることよりもその国の生活が見えてきて、旅を充実感で満たす存在であった。ガイドブックを片手に歩き回るのは少しにして、自分の足でごく普通の道や市場に行ってみると、目に入ってくるもの全てが新鮮で、今で言えば旅フォルダにどれだけ記念になるマイファイルを仕舞えたのかと思い出している。自分への土産はコーヒーについてくる洒落た絵柄の砂糖であり、今でも大事に保管してある30年前の代物は、自分にとってのプレミアムである。当時のカフェはまだ存在するのか訪ねてみたい。

                    2022,11,21

丈夫な身体

50歳を過ぎるとスタミナ不足というよりも、速筋の急激な衰えのためにランニングスピードが低下、パフォーマンスに大きく響いてくると、プロトレイルランナーの鏑木毅さんが新聞に寄稿している。当方もランニングのペースを上げたくても体力は残っているのだが、脚が思うように動かなくなってくることを経験している。先日の横浜マラソンがまさにそうであった。普段からお世話になっているスポーツトレーナーにも提案されたことであるが、速筋を鍛えて維持するには、短時間で高い負荷を掛ける練習が良いそうである。またトレーニング、身体を鍛えるとなると、量をこなすことが一つの目標となりがちであるが、関節や靱帯を痛めてしまうと50代以降では身体の修復も思うようには進まず、現状を維持するのにも逆効果となる。サプリメントなどに頼らずに、身体を労わりながら、自分の年齢に見合った練習方法を見つけ出し、いつまでも丈夫な身体でありたいものです。

                    2022,11,20

地球の存続

早朝のランニングには手袋が必要なぐらい冷え込んできた。それもそのはず、11月も下旬である。やはり温暖化現象なのでしょうか、厚手のコートを着るまでには至っていない。寒いのが好きなわけではないが、四季のある日本で季節の変わり目が以前ほどはっきりとしなくなっていることが気掛かりである。光熱費が高騰しているなかで暖房器具を使用する時間が少なくなるのは家計的には助かるが、世界規模の温暖化対策を宣言ばかりではなく行動に移さなければ、人類が生存できる環境さえなくなりかねない。年単位で起きる異常気象の災害は地球に対する警告である。国と国が争っている場合ではないことぐらい、世界の首脳は何故分からんのか。地球の問題を解決もせず宇宙開発に野心を燃やす国があることには呆れるしかない。

                    2022,11,19

情報の偏り

世の中にはあらゆる情報が溢れており、注目度が上がると情報の根拠の有無にかかわらずネットを通して拡散してしまう。フェイクかどうかを見抜くすべもなければ鵜呑みにしてしまう恐ろしさがネット社会にはある。政治家の発言においても一部を切り取り報道されることで、その政治家の本意とは全く異なる内容が発信されていることが多く見られる。ウクライナ侵攻について、兎に角停戦が必要だと訴えている政治家がいる。多くの国民は、一方的に攻め入られているウクライナにとって停戦とはどういうことかと思うであろう。政治家にとって一番の仕事は世界平和、戦争を起こさないこととその政治家ははっきりと発言しているが、メディアは一切報道しない。さらに、「77年前の日本を思い出して欲しい。半年早く日本が降伏していれば、東京大空襲、沖縄戦、広島長崎への原爆投下もなかったのではないか。国民の犠牲を少なくすることができたのではないか。」と述べている。決してロシアの行いを正当化することは出来ないが、考え方の一つとして命を守るという点においてはその政治家の言わんとすることは伝わってくる。報道の仕方次第で世論まで左右してしまうことを思えば、偏りのない情報発信を関係者には願いたい。

                    2022,11,18

再拡大

新型コロナウィルス感染者が再びじわじわ拡大している。北海道における感染者数の急激な増加が今までとは違い気になるところだが、一部で言われている寒冷地の窓の開閉が行われていないことが原因なのか。当医院においても喚起には十分に気を付けてはいるが、空気の乾燥と冷気には換気の程度も考えたくなるものだ。世間を見渡すと、訪日客と思われる外国人を多く見るようになったが、なぜ彼らは電車内でマスクを装着しないのだろうか。“郷に入れば郷に従え”とはまさにこのことで、欧米各国がノーマスクになろうとも、我が国においては屋内の公共施設ではマスク装着を推奨している。先日も電車内で大声で笑っているノーマスク人に遭遇し、不愉快そのものである。外国人観光客の受け入れとコロナ対策はアクセルとブレーキの関係と例えられているが、せめてエンジンブレーキだけでも掛けられないものか。

                    2022,11,17

厄介な敵

毎年この時期になると鳥インフルエンザに罹患した鳥のニュースが耳に入ってくる。先日も和歌山のアドベンチャーワールドにおいて感染が確認され、エミューやダチョウなども含めて多くの鳥たちが殺処分されている。法律に従っての処置であるので致し方ないが、飼育員の心情を慮るとやりきれない気持ちになる。致死性の高い鳥インフルエンザはいつ頃から存在し、猛威を振るうようになってきたのだろうか。私が小学校でお世話になった担任が新潟県の海沿いの出身で、冬になるとシベリアから渡り鳥がやってきて羽を休めていると聞いた内容を今も覚えている。クラスで各家庭のお茶の出がらしの葉を持ち寄り、新潟に送ってその渡り鳥の餌にするといったことに協力した。その頃にも伝染性の鳥インフルエンザは存在していたのかもしれないが、今ほどの情報社会ではなかったがために知られていなかったのかもしれない。コロナ、インフルエンザなど目に見えない敵には現代の科学技術をもってしても征服することが出来ていない。人間でも意思疎通を意図的に遮断する世界の指導者もいるが、どちらの敵も平和を驚かす点では共通項である。

                    2022,11,16

Whisky

ウィスキーはハイボール需要の高まりもあって売り上げが伸びているようだ。当方も10数年前からウィスキーの魅力に憑りつかれた一人である。それ以前は消毒液のような飲み物を人はなぜ好んで飲むのだろうかと敬遠していたが、シェリーカスクに出会ってからというもの、ウィスキーの奥深さを知りたくなった。風土がつくるシングルモルトと違ってブレンデッドは人がつくる、いわばアートとしてのブレンデッドの美味しさ、楽しさがあり、人がつくるが故のストーリーがある。他科の専門医に誘われて食事をご一緒させて頂いたときのことである。Ballantine's30yearsを初めて口にした時のあの驚きΣ(・□・;)。まるで蜂蜜のように甘い、リッチで深みがあるとでもいうのでしょうか。消毒液とは言わせない格別なものであった。我がジャパニーズウィスキーはどうかといえば、こちらも手に入れることが出来ないほど世界中で評価が高い。最近では牡蠣の産地である北海道・厚岸にある蒸留所のブレンデッドウイスキーが世界のウィスキー愛好家の注目を浴びている。評価が良いのは嬉しくもあるが、口にする前に完売なんてことにならぬよう願いたい。

                    2022,11,15

サービスの軸

コロナウイルス禍で苦しんだ利用急減を教訓に高速・大量輸送で日本経済を支えてきた日本の新幹線が変わり始めた。輸送力より移動の価値提供を重視するサービスに舵を切った。スカンジナビア航空を蘇らせた経営者ヤン・カールソンは約20年前に次のようなことを言っている。「私たちはあまりにも長い間、生産中心でやってきた。飛行機を飛ばすというありきたりのことばかりに注意し、顧客の印象といった質の面にあまり注意してこなかった。いま、私達は注意の対象を移す時期に来ている。私達の仕事は飛行機を飛ばすことではなく、人々のニーズに奉仕することだ」。実に示唆に富む言葉ではありませんか。JR東日本は11年に東北新幹線に「グランクラス」を設け、JR東海は先日、グリーン車よりもさらに上級クラスの車両の新設を検討すると明らかにし、多様なニーズに応じて高付加価値なサービスを提供すべく取り組むと宣言した。我々が見習うべきは、世の中のニーズをキャッチし、需要の浮き沈みに左右されにくいサービスの軸を確立することである。


                    2022,11,14

ファンタジスタ

 サッカーワールドカップが21日からカタールのドーハで開催されるが、ドーハといえば29年前のあの“ドーハの悲劇”が思い出される。初の本戦出場に大手をかけていたイラク戦に臨んだ代表チームは、試合終了間際まで2-1でリードしていながら、ロスタイムにイラク代表に同点ゴールを決められ、一転して予選敗退となった。相手のヘディングシュートがゴールに吸い込まれた瞬間にゴン中山はじめイレブンがピッチに崩れ落ちたシーンは忘れられない。当時の代表チームの背番号11は三浦知良の代名詞であり、日本サッカー界のスーパースターである。そのカズが、昨日豪快ダイビングヘッドを決めた。29年前のエースストライカーは日本代表にこそ名を連ねることはないが、その存在感はサッカー界だけではなく、55歳の年齢であの体力、心肺能力を維持し続ける姿勢に同世代のおっちゃんたちの鑑となっている。ゴール後の“カズダンス”を見て兄の三浦監督はすこしあきれたように「60歳までやるんじゃないか」と言い、当の本人は「僕自身は70歳までかな」と笑っている。同学年の私もいつまでもファンタジスタでありたいものだ。


                    2022,11,13

オーロラに魅せられて

 漆黒の闇の中、見上げた星空に白い光の帯がうっすら浮かび上がると、帯は一気に広がり緑のカーテンとなり夜空にらめくー。オーロラを観た人は予想を超えた美しさに圧倒されるという。20代の頃にBS放送で観たカナダ・イエローナイフからのオーロラの生中継が忘れられない。フィンランドのラップランド地方と合わせていつかは生のオーロラをこの目で確かめたい。北米路線を行き来する客室乗務員の方にその話をすると、航空機から見えるオーロラも幻想的だという。あたり一面真っ暗な世界、空気の澄んだ夜空。ホットワインでも飲んで身体を温めながらオーロラの出現を待つ。そんな贅沢な時間を取れるような余裕は全くないが、オーロラだけではなく、現地の文化に触れ先住民の方々と触れ合うことができれば、先住民が自然や動物とどう向き合い共生してきたかを体感できるに違いない。自然とはかけ離れた都会で働く人間にとっては、ネット空間から離れ、感性を研ぎ澄ます貴重な時間を過ごせるかと思うと、行く予定もないのになぜかワクワクしてきた。


                    2022,11,12

スマートウォッチ

 スマートウォッチを身に付けた患者さんを見かける機会が増えてきた。決して安い代物ではないが、日々の健康管理や生活をサポートしてくれる機能が付いており、身体を気遣う人にとっては気になる一品ではあろう。当方も量販店で目にはしていたが、ランニングの際にだけ使うのであれば多機能である必要性をあまり感じず、特別興味を引く存在ではなかった。ただ世の中に出回って数年が経ち、その多機能も精度が上がってきているとのこと。ある患者さんは、就寝中も身に付けることで、睡眠状態や心拍数、血中酸素濃度を計測して健康管理に役立てていると仰っていた。また駅の改札口でもスマートウォッチを翳して通る人を見かけるが、Suicaなどに対応しているものであれば、いちいち定期券やスマホを取り出さなくても済むわけだ。スマホで全てが済むような時代と思っていたら、手首のスマートウォッチだけで過ごせる時代が到来していた。世の中のあらゆる変化の速さ、進化に置いてきぼりにされないようにしなければ‥‥。


                    2022,11,11

生き抜く力

 政府は社会に出て即戦力となるような学生を輩出できるような大学の教育システムを構築しようとしているが、米マサチューセッツ工科大学(MIT)では、「学生には最先端のことなど教えない。むしろ社会に出てから最先端の技術や知識をつくり出す力をつける必要がある」と教えている。要は、最先端のことは数年も経てば陳腐化してしまうので、一見、何の役に立つか分からないことを学んでおくことが、後になって実を結ぶことがあるということのようだ。専門家と話をする際に、その分野のことしか知らないようでは面白くないし、私はそういう人に魅力を感じない。社会で活躍されているリーダーと呼ばれる方は、ご自身の実体験も含めて実にユーモアを交えて講演をされることがある。経験から得た英知と、豊富な読書から得た知識を合わせもつことで、自分なりの思索をめぐらし、新たな発想が生まれるというものか。目先の結果ではなく、興味が湧くことがあれば、面白いと思うことがあれば、とことん突き詰めてみることが、社会で役立つ本物の力になることは間違いないだろう。


                    2022,11,10

心の余裕

 今の世の中、効率主義、時短主義、結果至上主義に偏り過ぎて、心の余裕を持てない人が多くなっていませんか。そんなことを言っている私も、久しぶりにテレビで映画を観ていると、早送りしたくなっている自分にハッとしたことがある。職場近くの個人経営のコーヒー店では今どき豆を焙煎し、布フィルターで淹れているので店内はいい薫りが充満している。ここで飲むコーヒーは、味は勿論だが世間の喧騒から隔絶された時間がここの客には癒しである。丁寧に作られたものを、時間をかけてきちんと味わいたい。そうした消費の広がりを最近は目にする。スマホを取り出して何かをチェックするなんて野暮なことはせず、小説を読むなり、積読状態の資料を読み込むなど、時間にしたら30分程度かもしれないが副交感神経が優位に働く時間でもある。“そんな時間など普段から取れないよ”と聞こえてきそうだが、たまにはそんな時間を取って自己を見つめ直す時間が現代人には必要であると気付いて欲しい。

                    2022,11,9

舌の働き

 舌の働き・機能について皆さんはどのくらいご存知であろうか。以前ブログに載せたかもしれませんが、“お口ポカン”は舌が口蓋から離れた状態であり、これでは正しい嚥下(飲み込むこと)は出来なくなり、本来の舌の動きはしない。そして舌の機能を代償する形で表情筋など口腔周囲筋、および首、肩まわりの筋肉が働き、長期的には舌から離れた身体の各器官で機能障害が生じても不思議ではない状況になる。さらに舌の一部である舌小帯が短いと、赤ちゃんは母乳が吸えなくなり乳供給量の減少をもたらす。舌の状態診査を行っていると、舌小帯短縮による舌の可動制限が見られる方が意外と多いことに気付かされます。舌小帯の長さではなく機能制限と、それに伴う代償症状(嚥下異常、頤の緊張、頭蓋の前方偏位など他)がある場合には、先ずは筋機能訓練が優先され、それでも改善困難な症状が残る場合には、舌小帯を伸ばすリリース(機能的形成外科処置)を検討することが望ましいケースがあります。皆様には、舌の機能異常によって将来的に引き起こされる全身への影響の疑いを知り、健康を守る視点で口腔内に関心を持っていただきたいと存じます。

                    2022,11,8

医療の要諦

 「かかりつけの先生には抜くしかないと言われているのですが、何とかなりませんか?」と初診でお越しになられた方からの質問である。レントゲン診査では抜歯?になるような所見はなく、前医が何を持って抜くと診断されたのかは不明である。患者さんにとっては歯を失わないための最後の砦が歯科医であり、藁をもすがる思いで受診されているに違いない。例え抜く可能性があったとしても、最後の最後まで手を尽くしたのか、難しい処置だからと安易に抜歯を勧めたのであれば言語道断。ある脳外科医が言う。ひと昔前には、脳の手術後に亡くなる方が多かったが、顕微鏡やCTという診断器機少が生まれ、どんどん助かるようになっていった。ところが今は、カテーテルの時代になり、手術できる人が少なくなっている。カテーテルで対処できない症例は簡単に無理だと放り投げてしまうと。さらに、自分がやれるものだけを選ぶずるい医者が増えていると語っている。このようなリスクを避ける傾向は何も医療界だけではなく、どの分野においても根付いてしまってはいないか。科学的根拠は大事ではあるが、それだけでは解決できない問題も世の中には存在する。医療においては、技術論は言うまでもないが、施術する側がどこまで患者の内面部分を共有できるかが、本気度を左右することに違いない。

                    2022,11,7

世の中の変化

 駐車料金の支払いに500円玉を投入したら釣銭口にそのまま出てきた。擦り減って認識できないのかと思い再度投入するも同じことの繰り返し。どうやら新しい500円硬貨に機器が未対応のようである。2024年には新紙幣が市場に出回る予定ですから、このような自動支払機はすべて交換となり、当該事業者にとっては新たな出費となろう。世間ではキャッシュレス決済も進んでおり、コロナ禍の影響もあり昨年は32,5%までその比率も高まっている。一部には給与のデジタル払いも現実味を帯びてきており、数年後には財布から現金を出すこと自体が憚られることにもなりそうである。親父の汚れた手で触った新札を子供が受け取るシーンが以前テレビドラマであったが、紙幣に残った指紋を見て親の思いを感じ取るなんてノスタルジックなことは、デジタル社会には存在しなくなるのか。世の中のあらゆる変化の速さに、意味をもって適応していきたいものである。

                    2022,11,6

変わるスポーツの指導法

 小学4年生から地元の少年野球チームに所属し、メンバーにも恵まれたこともありチームは強く、市内で優勝、その後県大会にも混成チームながら参加して優勝を経験させてもらった。試合である以上は勝負事であるので勝ちにこだわる必要はあるとは思うが、所詮小学生の野球である。負け方が悪いからという理由で家までスパイクのまま長距離を歩かされて帰った記憶があるが、今の時代であれば親からの苦情がありそうなものだ。日経新聞の夕刊に、“変わる子供のスポーツ”というタイトルで、子供のスポーツ指導の現場で怒声を排除する試みが広がっていると掲載されている。当方の体験談ではあるが、少年野球の監督は厳しいだけではなく、ファーボールを続けてしまったりするとベンチで鬼の形相でこちらを睨みつけてくることもあった。それでは子供はプレーに集中するどころか委縮してしまい、満足なプレーなど余計に出来なくなるものだ。新聞では、「じっくり見ると、その子なりのいいところがある。それを一人ひとりに伝えると、うれし涙を流す子もいた。」とバレーボールチーム監督のコメントが紹介されている。高校野球でも投手の球数制限を設け、肩肘の故障に繋がらないような配慮がされ始めている。長時間練習は目先の勝利には繋がるかも知れないが、故障や燃え尽きなどで好きなスポーツを辞めてしまっては本末転倒であろう。子供の健全な成長には勉強や家族と過ごす時間も大切である。スポーツに限らず、人が努力を継続するモチベーションは基本的には第三者にはコントロール出来ないというのがコーチング学の世界では常識だそうだ。

                    2022,11,5

関心を持つ

 約30年前にバブル時代が終焉し、失われた20年などと言われてきた日本。その後の日本社会のさまざまな現象を俯瞰したとき、日本に覇気がない、日本人が幼くなっているように感じることはありませんか。都会では外遊びもしないで塾通いを優先させるあまり、体幹の悪い子供が増え、子供がヨガや整体院に通うなどひと昔前では考えられなかったことが当たり前になっている。本末転倒だろう。大人はどうかといえば、忍耐力の低下、人を思いやる力が弱くなり、相手を受け止める、相手に関心を持つ力も弱くなってきている。情報は多く手に入れているにも拘らず、人のために役立てるという意識が薄いのでは。総じて自分と関わりのある人への関心が希薄になってしまうと、優しい社会を築くことが出来なくなり、何事も他人事になってしまう。向こう三軒両隣とまではいかなくても、常に周囲に関心と気配りの出来る社会を取り戻せないものか。

                    2022,11,4

国会議員の器

 文化の日の朝、テレビ画面が突然「国民を守るための緊急情報」に切り替わった。北朝鮮のミサイル発射によるJ-アラートである。日本列島を超え太平洋沖に飛翔との報道であったが、実際には日本海に落下したとのこと。日本政府のコメントは「暴挙であり、あらゆるルートを通じて強く抗議する」と、毎度同じである。先日は、日本防衛をするためのミサイル、弾薬不足の恐れがあると一部の新聞報道があったが、ロシアによるウクライナ侵攻を目の当たりにした今、国の危機管理はあまりにもお粗末ではないか。随分前の話にはなるが、防衛費が国家予算の1%を超える、超えないなどと言う次元の低い議論が国会でされていた。防衛費増額に断固反対してきた野党の責任は極めて大きく、未だに外交ルートを通じて話し合いを持って問題を解決することが求められているなどと、寝ぼけたことを恥ずかしくもなく述べている。国会議員なるもの、自分の命を賭してでも国を守るという覚悟が伝わってこないのが情けない。弁論に長けている政治家、言い訳に終始している国会議員には退場願いたい。

                    2022,11,3

落ち葉

 山々が紅葉し始め、見事なコントラストをなしている八ヶ岳付近の映像がテレビに流れていた。都心にいると重なり合った落ち葉を踏みしめることもなく、自然を通して四季を感じる機会は田舎ほどはないだけに、どこでもドアで直ぐにでも現地に飛び降りたくなった。番組では都心での生活を捨て移住してきた人達を取り上げていたが、なかには魅力的なスーパーの存在が移住の大きなきっかけとなったご夫婦もいた。そんなことで移住してしまうの?と最初は当方も思ってしまったのだが、どれだけ魅力的なスーパーのか、自分の目で確かめてみたい心境にもなる。コロナ禍で職種によってはオンラインによる仕事が可能となり、子育てや老後を地方で過ごし始めるご家庭も増えている。都会にいれば不便はなくても足りないものがある。デジタル、IT社会に恩恵を受けながらも、人間にとってアナログ的な時間が成長と癒しにためには欠かせない証であろう。

                    2022,11,2

無意識の差別

 “男のくせに、女なのに”、“男だったら‥‥”今の時代このような表現の仕方はジェンダーギャップと言われ、あらゆる場面で問題視され始めています。約30年前に男女雇用機会均等法が施行された頃から社会の意識は変わり始めたものの、未だに経済分野では大きな差が残っているのではないでしょうか。管理職に女性が少ない、賃金においても男女差があるところではある、など無意識の差別が存在しているのです。最近の研究で分かった、“無意識の差別”では、ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団の取り組みが有名です。楽団員を選ぶのに、性別や人種で差別せず実力で選んでいたにもかかわらず、一向に女性や有色人種の楽団員が増えなかったそうです。そこで審査員の前に一枚のカーテンを引いて審査したところ、見た目が分からなくなり、演奏の実力だけで選べるようになり、現在の構成になったとのことです。同じようなことが私達の日常生活にも存在しているのでしょう。肌の色、年齢、性別など関係なく触れ合うことが、同じ地球上で生きていく上では必要であることを自分事として考え、社会に発信していくことが求められている。

                    2022,11,1

エネルギー政策

 ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、世界の電力供給への不安が起きている。福島第一原発事故を受けて今年末までに国内の全原発を止める予定だったドイツは、ロシアからの天然ガスが供給されなくなり、原発三基の運転延長を決めている。我が国においては、原発事故で原発の再稼働には多くの反対意見は存在するものの、それに代わる温暖化対策を進めるエネルギー政策の進展は見られないどころか、石炭火力の発電の割合が電力全体の30%以上を占めている。一時期脚光を浴びた太陽光エネルギーは設備の維持費が課題となり、10年~15年で撤退する企業が現れている。エネルギーに関してはどこの国も、皆が納得するような正解を見出せないでいるのが現状のようである。

                    2022,10,31

横浜マラソン

  “横浜を走る、世界が変わる”を合言葉に横浜マラソンが本日開催された。暑くも寒くもなく、絶好のマラソン日和であり、ランナーは好タイムを狙って走ったのではないだろうか。当方も初のフルマラソン参戦となり、サブ4を目指してスタートラインに立った。10kmまでは前のランナーを抜くことはあっても抜かれることはほとんどない良いペースで快走し続けたものの、20km前後では給水ポイントでラン&ウォークとなり、意に反して横浜の景色をゆっくり観る時間となってしまった。さて21kmポイント付近からは横浜マラソン名物の“首都高速道路ラン!”となり、普段は決して経験することの出来ないどこまでも伸びる直線道路や傾斜付きの緩やかなカーブを走りることになった。路側帯では脚を伸ばしてマッサージをするランナーも出始め、チェックポイントの関門時間の表示にも意識がいくようになり、徐々に脚の疲労だけでなくメンタル的にも厳しい時間帯に入ってきた。30km表示板には“心で走れ”との文句が書かれており、横の計測タイムは“4:13:19”と、この時点でサブ4どころの話ではなくなった。普段渋滞表示などを示す電光表示には“目指せゴール!ラスト8km”と粋な応援メッセージが表示され、折れそうな心も残りの距離数で再び再起動。しかし、脚が思うように動かない(笑)。いつしか目標ラインは完走することにまで下がり、日曜日の山下公園や赤レンガ倉庫付近の観光客に励まされながら最後はゴールに辿り着いた。一度はフルマラソンを走破してみたいとの願望は叶ったものの、このままでは終われない課題が残された。幾つになっても新たな発見は自分を成長させる最大の原動力となる。


                    2022,10,30

小型端末の使い方

  居場所がリアルタイムでわかる通信機器付きの小型端末が、子供のいるご家庭で広がっている。昭和世代の私が子供の頃はIT(情報技術)など一般家庭には存在せず、子供達の安全は地域の人々が担っていたが、現代では共働きや核家族化が進み、地域内での結びつきも弱くなっている。凶悪犯罪の増加も背景にあるのだろう。親御さんの不安を取り除く、子供の安全確保にITが一役買っている。しかし、私が子供頃は、親には内緒で自転車で普段はいけないところまで友達と出掛けたりして、ちょっとした子供ながらの冒険心をワクワクしながら楽しんでいたものだ。居場所が特定されてしまうのは、子供にとっては窮屈感も持ち合わせることになりはしないか。子供が犯罪に遭いやすいのは朝と放課後の登下校中ということであれば、通学時だけ持たせるのは賛成である。もっとも近頃は、お互いに小型端末を持ち合わせた方が相手の居場所が特定できて、要らぬ心配をしないで済むご夫婦が増えてきているような気もするのは、社会が荒廃してきたからか。

                    2022,10,29

ノーブレス・オブリージュ

  車は横断歩道を渡ろうとする人がいれば停車しなければなりませんが、全ての車が停車しているかといわれたらNOだと思われます。横断歩道で一時停止をすることすら覚えていないドライバーもいるのではないでしょうか。法律に触れるから仕方なく停まるのではなく、車に対して人間は弱い存在ですので、弱い人を守るために義務感を持って停まるのではないでしょうか。「ノーブレス・オブリージュ」まさに“高貴なる者の責任”です。一方で、横断歩道を渡るときの歩行者の態度に“イラッ?”としたことはありませんか?最近ではスマホを見ながら悠然と歩く態度に、何か違うのではないかと。やはり車を待たせて渡っているという意識が存在すれば、歩行者にもそれにこたえる精神や姿が欲しいものです。

                    2022,10,28

記憶にございません

  学生時代に議員会館にてある国会議員のお茶くみをさせて頂きながら、政治家の働きぶりを傍で勉強する機会を頂いたことがある。陳情でお越しになられる方々も多く、順番で分刻みに面会をしている最中にも議員あての電話が入ると受話器を取り、細かな打ち合わせなどを済ませていた光景を思い出す。形式的な顔合わせかと思いきや、数年前にある場所であったことがある方のことなどその国会議員はよく覚えており、人の顔と名前は一度会ったら絶対に忘れないことを心掛けていると語っていた。しかし同じ国会議員でも、物覚えが良くない方もいるようである。こればっかりは個人的なことでもあるから比較することではないが、質問に対する答弁が「記憶にございません」では話が先に進まない。若年性健忘症などの心配はないのだろうか。健忘症の定義は、「体験の一部を思い出せない」とある。冗談ではなく身体のことであるので、国を預かる立場におられる方であればなおさら精密検査を受けられてはどうか。

                    2022,10,27

行動様式の変更

  当医院で定期的な口腔メンテナンスで通われている方は、口腔内の状態にもよりますが4~6ヶ月間隔でお越しになられる方が多い。テレワークや在宅勤務が増え、行動様式の変化による運動不足から体形が変化し、自己申告される方も中にはいらっしゃる。肥満による生活習慣病リスクを増大させないためにも、日頃からの運動が大事なことは誰もが知っているが、在宅になったからといって筋トレやランニングを皆が始めるわけではない。そこで提案であるが、発想を変えてみてはどうか。高齢になっても元気に自立して生きていくだけの体力を保つために、筋肉の衰え(筋肉量の減少と筋力の低下)を防ぐために運動をすると。2013年の日本人男性の平均寿命は80.2年、健康寿命は71,2年と9年の開きがあります。この9年間を健康でない期間と捉えれば、要介護のリスクは高まり、掛かる医療費も大きくなるばかりです。国だけに社会保障の充実を求めるのではなく、我々個人、一人ひとりがまずは日頃出来ることから医療費削減に繋げる行動様式をとってみてはどうでしょうか。

                    2022,10,26

防衛力

  隣国の独裁政治が更に5年続くことになりそうだ。裸の王様の行く末は歴史が証明しているにも拘らず、人間とは愚かなもので自分だけは違うと思いあがってしまうのか。自称大国のもう一人のリーダーは他国を平然と侵略し、過去の皇帝に自分を准えるかのような言動からは、理性的な対話どころか行き詰った人間の恐怖から逃れようとする往生際の醜い支配者にしか映らない。そして相変わらずミサイル発射を繰り返している哀れな大将も、瘦せ細る国民には目もくれず、無駄な軍事力の増強に励んでいるようだ。これら独裁3国家に隣接する日本は、どのように国を守っていくのか。国民に防衛力増強の機運が高まらないのが不思議でならない。

                    2022,10,25

読書時間

  ネット環境が整い、小学校でもタブレット端末導入が既定路線となる今、便利さと引き換えに子供達の心身の成長とネットの使い方による弊害も真剣に議論されるべき課題であろう。ネット環境に触れる時間が多くあるということは、それまで何かに要していた時間が削られるということでもあり、本を手にして読書をする機会が更に減るのではないかと懸念される。人は思いも寄らない考えや知識に触れると興味が拡がったり、新たな気付きを得られたりするもので、ネットからのからの情報で十分という声もあるが、子供達には是非ともページを繰りながら活字に親しむし時間をとらせたい。本を読まなくても何かを感じることはできるものの、読まなかったら感じないことは沢山あると、ある作家が指摘していた。知らない世界に入り込み、ページを行きつ戻りつしながらじっくりと読み、時間をかけることが心の成長を促し、創造力を豊かにすることに繋がり、人生の糧になることは間違いない。


                    2022,10,24

スマホ故障

  携帯電話、スマホに頼り切っている現代人にとって突然の故障にはお手上げ状態である。スケジュール帳、アドレス等の連絡先が全て使えなくなると、どうしたらよいのか?先日、知人から「申し訳ない、携帯が壊れて修理に出していたのでメールチェックが出来なくて、今の返事になってしまった」とのこと。急を要するメール内容ではなかったので、双方とも何ら問題はなかったのだが、メールはPCでも確認できるように、その他のデータなども他でバックアップをきちんと済ませておかないと、いざという時には途方に暮れることにもなろう。スマホには様々な機能が組み込まれており、スマホが故障したばかりに歩数計が使えなくなり歩数を稼ぐ意欲がすっかり薄れてしまい、ウォーキングも毎日は行かなくなったという方もいる。スマホはあくまで都合よく使う機器であり、スマホに行動を左右されることがないようにしなければならない。

                    2022,10,23

日本再生

 G7先進国首脳会議に参加する各国のリーダー‥‥という表現を毎年、いや年に何度か耳にしますが、我々は潜在意識の中で“日本はいつまでも先進国”と思っているのではないか。先進国の定義は何か。ネット検索してみると、「経済発展によって経済が世界でも「先進」的な水準に達している国」とある。今の日本はどうだろうか。豊かさの目安の一つ、1人当たりの名目国内総生産(GDP)は伸び悩み、経済協力開発機構(OECD)加盟国で中位に後退。いずれ韓国、台湾に抜かれるとの見方もある。政治家、企業経営者など社会に影響を及ぼす立場にある人は、慢心、おごりを捨て、現実を見詰め将来を模索する姿勢が問われている。そこに気付き、改善(KAIZEN)出来なければ、日本の再浮上は永遠に叶えられないだろう。

                    2022,10,22

無責任?

ホームページの編集と更新が出来なくなると情報発信が出来なくなるので非常に困るのだが、当医院のHP10/20から更新不可能であり、今のブログ内容は当日の書置きをアップしている。HPの保守管理は業者が行うのだが、顧客の問題を解決できないまま週末の休みに入るとの連絡には呆れてしまった。仕事ってそんなものでしょうか。社員を束ねている上司、そしてトップの考え方が社員に反映されているとすれば、この会社のミッションは何なのか尋ねてみたい。就業時間は終わったのだから退社しても構わない、残業は行わないというのも考え方の一つではあるが、顧客の立場に立って行動を執る意識が徹底されていれば、違った対処の仕方があるのではと当方は思ってしまうのだが‥‥。

                    2022,10,21

寿司ネタ

行き付けの寿司屋の大将は変わりネタを握るのが趣味のようで、毎回新たな発見がある。知人の紹介で最初に伺った際には、「オオカミ魚です!何もつけずにこのままお召し上がりください!」と言われ、オオカミ魚?スマホで検索‥‥と頭を過った瞬間に、「お調べになるのであれば召し上がってからが宜しいかと思います!」と大将の一言。味は白身の魚で勿論美味しく、頭のモヤモヤは杞憂に終わった。先日は、「岩手の〇〇というキノコです。わさび醬油でお召し上がりください。」と、また珍しいものを口にすることが出来た。ネタは独自の購入ルートで仕入れているそうで、全国各地から届けられている。毎年この時期は毒キノコを間違えて食べて食中毒になる方が現れる。珍しいものばかりを追いかけて、病院のお世話になることだけは是非とも避けたい。

                    2022,10,20

ゲーム障害が提起するもの

WHO(世界保健機構)が定義している「ゲーム障害」の主な症状に、1)ゲームのプレー時間などのコントロールが出来ない、2)日常生活や他の関心事よりゲームを優先する、3)(人間関係や健康などで)問題が起きてもゲームを止めない、などがあり、これらの症状が1年以上継続または繰り返されるとゲーム障害と診断されます。WHOはこのゲーム障害をアルコール依存症やギャンブル依存症と同じように病気だと位置づけており、成長途中の子供達がゲーム障害になると脳が刺激を受け、大人よりも依存のスピードが速くて、回復しにくいと言われています。先日当医院にお越しになられた1歳6ヶ月の子供はタブレットを触って声を出していましたが、果たして親御さんは何の疑問も持たずタブレットを与えているのでしょうか。スマホ脳の著者アンデッシュ・ハンセンさんも本のに書かれていましたが、人間の脳はデジタル社会には適応していないのです。スウェーデンでは大人の9人に1人以上が抗うつ剤を服用していて、同様の統計は多くの国で見られているということです。良い暮らしが出来るようになったのにむしろ不健康な状態を作りだしているというこの矛盾に気付き、社会全体で改善していく思考が必要ではないでしょうか。

                    2022,10,19

オンラインセミナー

怪我の功名とはこのことかとばかりにオンラインセミナーが盛況である。コロナ禍以前は歯科セミナーが行われる場合は大きな会場にて対面式で行われていたが、今では対面式とオンラインの同時セミナーの形で開催されることが多いようである。オンラインであれば遠距離でも関係なくセミナー受講できるメリットがあり、学習意欲の高い受講者にとっては貴重な機会である。先日の名古屋で行われた講演会もオンラインで配信されていたが、オンラインの場合は会場の空気感、講師の息遣いまでは伝わらない。新しい知識の習得という点では現地参加もオンライン受講者も同じかもしれないが、Face to faceでなければ伝わりにくいものは当然ある。特に演者の研究テーマに対する情熱、意気込みは、PC画面からの伝わりは弱い。そうは言っても当方も診療後に行われるオンラインセミナーには、興味深いものに関しては参加するようにしている。各分野のトップランナーと言われる方の話をエビデンスレベルで聞ける時間は貴重である。能力の問題かもしれないが、一日の過ぎる時間が早すぎると感じるのは私だけだろうか。

                    2022,10,18

ランニングフォーム

残り2週間を切った横浜マラソンを前に、なかなか状態が上がらないのか、これが今の自分に合ったペースなのか、スマホに表示されるラップタイムに納得がいかない。言い訳はしたくないが、足裏の怪我の影響から暫く走ることが出来なかったことも影響しているのだろうか。長距離を無事走るには、省エネ走法なるものがあると来院されている方から伺ったが、今までの走り方をそう簡単に変えることなど出来ないと思いませんか。不思議なものである。そんなことを考えながらいつも通り走っていると、前方をランしている女性の走り方がなんとも軽やかで、無駄のないとでも言うのでしょうか、この走り方なら俺でもできる?なんて思ったりして、見様見真似でフォーム修正して走ってみると、身体の上下動は少なく、足の運びも心なしか今までよりも軽く感じるではありませんか。あとからスマホでペース履歴を確認すると、新しいランニングフォームの方がタイムは短くなっており、今後も試す価値は大いにありそうである。但し今まで使われていなかった筋肉が働いた為か、若干の筋肉の張りがある。本番に向けて凶と出るか、吉と出るか、自分に合った走り方を今からでも身に付けたい。

                    2022,10,17

組織改革

マンネリ化は組織の循環を悪くするだけでなく、個々人の感性を鈍化させ、閃く機会をも奪ってしまっている。組織は一人ひとりの集合体であり、そこにどのような人間が集まるかによって如何様にも変わることが出来るし、変えることが出来る。その組織の方向性を決めるのがトップの役割であり、上に立つ人の心の有り様が成功不成功を決めていることは歴史が証明しているところでしょう。組織の大小に拘わらず、責任ある立場にいる人の日々の判断が組織の性格を決定し、リーダーの判断がスタッフ、社員の心の動きを方向づけ、彼らの心の集合体が会社、組織の雰囲気を決めている。企業経営、プロ野球、学校の先生などでもトップが変わると短期間で雰囲気は変わり、結果が好転することはよくあることである。不況にある時、苦境にいる時ほど最後のより所になるのは自身の心である。日頃から自己修養に努めることが、トップの多くに求められている。

                    2022,10,16

新鮮なこと

折角来たのだから名古屋城まで走ってみるか、ということで宿泊したホテルを出て名古屋城まで軽くジョギングを行い、落ち葉が目立ち始めた城廻を走って市内を散策がてら1時間ほど汗を流した。知らない土地は目に入るものが新鮮であり、自分の脚で巡ると位置関係が掴めて記憶にもしっかりと残るものだ。二日間セミナーの内容は濃縮されており、頭の整理に少し時間が必要かもしれないが、同じ歯科医師として先を進む先生からの刺激は、もしかしたら私の今後の臨床の一つの分岐点になるような予感がする。それは、沸々と感じていた方向性に間違いないと背中を押された思いがあるからだ。当方の勉強不足だけかも知れないが、臨床の疑問は常に尽きない。これ以上はもういいだろうということが決してない。また新しいことを推し進めていくには困難が付きまとうことも避けられないだろう。知らない土地も、未知の領域も、共通して言えることは新鮮であることだ。常に新鮮さを感じられる環境でいることは、この上なく幸せなことでもある。

                    2022,10,15

エビデンス

昨晩の懇親会につづく二次会でも活発な意見交換が行われ、この二日間セミナーに参加した関係者の意識の高さを知る良い機会となった。未知の分野に一歩踏み出す勇気は、子供達の健康を守るという使命感によって支えられているといっても過言ではない。「今までそのようなことを掛かった先生からは指摘されたことがない。」、「何でも問題があるような言い方は良くないですよ。」とは、ある行政機関の検診の際にサポートを担当していた看護師に言われた言葉だと、セミナーに参加されていた先生から聞いた話である。今は症状はないかも知れないが、この状態のまま成長すると‥‥のようなことが身体に起こり、体幹の崩れ、顎顔面骨格の劣勢長が放置された状態になり易いと伝えるも、親御さんの理解を得るまでは簡単なことではない。何せ絶対的な保証があるわけではなく、エビデンスを創り上げていっている最中だからである。

                    2022,10,14

講演会

今日から二日間、舌と気道における世界のトップランナーであるDr Yueの講演会に参加する機会を頂いたので、究極の学びを得る濃縮の二日間にしたいと思います。日頃の臨床でも、5,6年前から舌の正しい動きが出来ているかどうかを診るようになり、舌の機能が身体の不調と何らかの関係があることを感覚的には掴んできましたが、エビデンスベースとしての裏付けまでには到達出来ていません。以前から分かっていることは、不正咬合(歯並びが悪くなること、上下の咬み合わせが良くないこと)は舌を含めた口腔周囲筋の習癖によって引き起こされることであり、舌の口蓋への貼り付けが常に出来ていないと口蓋骨、上顎骨は本来の大きさまで成長拡大しないということ。ではなぜ舌が上手く口蓋に挙上させることが出来ないかというと、今度は呼吸との関係を考えなければならない。二日間で得られた新たな知見を少しでも早く、そして正確に臨床にフィードバックさせていきます。

                    2022,10,13

ロボット化される社会構造

旧聞に属する話ですが、冬季北京オリンピックが開催された選手村や報道関係者向けの食堂では、注文から配膳まで全てがオートメーション化され、ロボットカーがうろうろして食事を運んでいる様子も映し出されていましたが、私の目には人の温かみもない殺風景は食堂にしか見えませんでした。将来的にはそのような光景が当たり前になる社会になるのかと思うと、その流れにどこか抗いたい自分がいます。コンビニやスーパーの自動精算機も嫌ですね。日常生活の中でこれから更に対面の場面が減り、メタバースなどが日常化していくと、便利さと引き換えに人間としての感覚や思考が失われ、物事を創造的に考える機会が減るのではないでしょうか。人間らしさを失わないためにはより良く考えること、一つの正解を求めるのではなく、自分と他の人とは異なる考えをもち、他人の考え方からも学びとるという柔軟な考え方や捉え方を持ち合わせる習慣が大切なように思います。受験教育の欠陥は、正解を求めさせることであり、それは社会では通用しないことを成人になる頃には分かっておきたいものです。

                    2022,10,12

謙虚さがあって‥‥

「先生、私大変なことになってしまって‥‥、レスリング耳ってご存知ですか?」と治療前に患者さんの訴えを聞いていると、その方が皮膚科を受診されたものの、「先生が私の訴えを聞いているんだか聞いていないんだか全く目を見て話しをしてくれないのです。しかも耳をちらっと診て、『あ~、レスリング耳だね~。処置の仕方には〇〇などがあるけどあなたが決めてくれる?』って私に向かって言うんですよ。信じられますか?」。余程診察した先生の態度に腹が立ったのだろう。患者さんの話では、一方的に先生の所見だけを意味も分からない単語も交えて喋るものだから、患者の気持ちなんて全く気にしない、お構いなしって感じだったとのこと。私は歯科医師ですのでう蝕(むし歯)をはじめとした口腔内の疾患を診るわけでありますが、それ以前に人を診ています。患者は主訴を抱えて来院をされますが、心のどこかで主訴以外に悪いところはないか、歯の治療は本当に嫌なんですという気持ちを分かってください、という思いでお越しになられている。そんな内面的な部分を察することが出来なくて医者が務まりますかとその先生には問いかけたい。“木を見て森を見ず”では人間社会は上手くやっていけません。謙虚な態度で全体を俯瞰する目を持つことが、職業を問わず求められていることではないでしょうか。

                    2022,10,11

鉄道開業150年

日本の鉄道の歴史は遡ること150年前、品川―横浜(現・桜木町)間の仮開業に続き、1872年10月14日、新橋―横浜間で本開業を迎えたと朝のNHKニュースで取り上げられていた。横浜線の小机駅には硬券に日付を印字していた機器を期間限定で展示するという。鉄道マニアには手に取ってみたい貴重な代物なのかもしれない。当方の高校通学時代は自動改札機が導入し始めた頃であり、まだ改札口では駅員さんが手際よく硬券に刻みを入れて乗客を捌いていた。今でこそ列車は冷房完備されているが、当時のローカル線では扇風機が使用されており、停車中の車内には窓から虫が入ってくるのも珍しくなった。それだけに、新幹線などに乗り換えた時の乗り心地の良さは、子供ながらにして非日常的な高級に心を躍らせた記憶がある。歌謡曲でも旅立ちや別れの象徴として歌われたのも鉄道だった。SL、電気鉄道、新幹線、そしてリニアモーターカーと科学技術の進歩は凄い。節目の年を迎え、鉄道の在り方は今後どのように変わっていくのだろうか。

                    2022,10,10

政治家の資質とは

国政に携わる昨今の政治家の中に、与野党を問わず国のために命がけで政治に関わっている人は果たしているのだろうか。この1週間だけでも北朝鮮から日本に向けて、日本上空を超えて発射されたミサイルが何発あったことか。そのうち一つでも核ミサイルが日本に着弾していたとしたら、国会で議論など出来ずに皆さん国民共々あの世に行ってますよ、と私は問いかけたい。国が存亡の危機にあるとの危機感が国会議員にはまるで無いようにしか私には映らない。「厳重に抗議したい」「全くもって遺憾である」などのコメントであれば、私にだって言えること。そんなことよりも、ある宗教団体との繋がりを魔女狩りのごとく執拗にいつもの如く責め立てる野党の皆さんたち。与党は与党である大臣に至っては「明確には覚えていないが、報道を見る限り出席したと考えるのが自然だと思う」。唖然としてしまう。仮にも先生と言われる立場の方々ですから、お手本になるような姿を見せて欲しいとまでは求めませんが、人として恥ずかしくない、後ろめたさのない正々堂々とした発言、行動を執って頂きたい。未来を背負って立つ子供達も見てますよ!

                    2022,10,9

疲れの原因は

過度の負荷を身体にかけて運動をしたり、長い間身体を動かさなかった人が運動を始めると、息が荒くなってスタミナ切れとなり、翌日まで疲れが残ることがあります。多くの方は経験していることと思われますが、そんな時によく言われてきたのが「乳酸が身体に溜まってきた!」ではありませんでしたか。身体のエネルギーを作りだす解糖系と代謝における一連の過程において乳酸が作り出されるわけですが、最近の研究では乳酸の濃度が高くなっても筋肉のパフォーマンスの低下が見られない動物もいるということで、乳酸が疲労の直接の原因であるというエビデンスには繋がらないそうです。では疲れて身体が動かなくなるのはなぜか。「体力の正体は筋肉(樋口満著)」によると、筋肉そのものが疲れているだけでなく、活性酸素によって攻撃された脳の疲労によるものだという説が提唱されているとのこと。当方が知らなかっただけのことかも知れませんが、興味深い内容でしたのでブログに挙げさせて頂きました。

                    2022,10,8

記憶

子供の頃、外遊びを終えて家に帰る道すがら、各家庭から漏れてくる夕食支度の匂いで焼き魚や焼き肉、カレーなど、いろいろと想像しながら家の玄関ドアを開けると、我が家の夕食料理の匂いが充満していた。先日の仕事帰りには、久しぶりに秋刀魚を焼く匂いがある方面から漂ってきて、季節も秋めいてきたと感じ入ったものである。ふと嗅いだ匂いや香りが、以前自分が体験、経験した出来事、思い出を手繰り寄せてくるなんてことを経験することがあると思います。あっ、この香りは何処どこを旅行した際のあの角にあったお店の匂いと同じ、のように。月日が経っても思い出すことがあるのは素晴らしいことだと思いませんか。政府の旅行支援キャンペーンが行われるようですが、旅行業だけなぜ支援?と当方は考えてしまうのですが、まあまあ旅行に出掛けられるようになっきた明るい兆しと受け止めて、美味しい物でも食べて、一緒に食べた人との記憶が幸せなものとして残ったらいいですね!

                    2022,10,7

お米に感じる自然の恵み

美味しいお米は冷めても美味い。皆さんは好みの産地、銘柄のお米を口にしているのでしょうか。それとも近くのスーパーなどで比較的リーゾナブルなお米を購入されていますか。今は何でもネット注文が出来ますので、こだわりのある方であれば米に限らずお取り寄せが出来る時代です。先日、知人から送って頂いた長野県飯山産のお米「かまくらの里こしひかり」が格別に美味しく、飯山市民の方には申し訳ないが、期待以上の満足感を得たお米です。美味しい味の秘密は、例年3mを超す山の積雪が数百年かけて地下水となって平地を潤し、豪雪の下で微生物が活発に活動するために、ミネラル成分を多く含む土壌と豊富な湧水が、とびきり美味しいお米を育むとのことです。全国各地の農家では、温暖化に対応した品種改良などで商品開発を進めたり、以前であれば7月に収穫していた枝豆を5月に収穫できるように春先に種を蒔くなどの試みもされています。地球温暖化を嘆くだけでなく、温暖化を止める努力をしながら環境に適した生き方を模索していく逞しい姿が農家の方々にはみられます。長い歴史によって形成された土地の特徴を生かし、自然の恵みを頂ける幸せを日々感謝しなければいけませんね。

                    2022,10,6

同じ一年なのに

神無月とはいえ、衣替えをするには気温の高い日が続くのでまだ早いにでは‥‥そんな考えを改めさせるように今日の昼過ぎには20度を割り込んだ。天気予報もスマホでリアルタイムで確認できる時代にあって、その日の服装も合わせやすくなったものの、あまりの寒暖の差には体調も崩しやすくなる。当医院でも発熱やガラガラ声で当日予約のキャンセルが入ることも増えてきた。このまま季節の歩みは加速するのか。夕方の診療も17時を過ぎると外は暗くなり、気温の変化だけでなく四季の移り変わりを肌で感じる。今年も気が付けば残り3ヶ月余り。まだ一年を振り返るには早いが、やり残したことがないように、年頭の自身の目標達成に向けて、やるべきことを淡々とこなしていきたい。それにしても年々一年が短くなっていくように感じるのは、生きた年齢分の一年だからなのだろうか。

                    2022,10,5

名将とは

球界のスーパースター遂に現る。プロ野球ヤクルトスワローズの村上宗隆選手が日本人にとって巨大な壁であり、目標であった王貞治選手の日本人最多記録を超えた。それもペナントレース最終戦の最終打席での快挙であり、球場のファンのみならず、多くのファンにとってはこれ以上ないドラマチックな締めくくりとなった。55本を打ってからタイミングが合わなくなり、13試合ホームランが打てなくなった状況を見て、前日の試合を気分転換も兼ねて休ませた高津臣吾監督の選手起用法に私は賛辞を贈りたい。技術的な問題よりも、選手のちょっとしたメンタル的な部分まで把握できる指揮官は、恩師野村克也さんからの教えを忠実に守っているのかもしれない。今シーズンを最後にユニフォームを脱ぐ3人のベテラン選手にも心を揺さぶる言葉で送り出した。なかでも東日本大震災の年に優勝し、楽天から移籍してきた嶋選手に掛けた言葉には、思わずぐっと来るものがあった。「野村監督も星野監督もいま天国から心からあなたに拍手を送っていると思います。嶋、みんな見てましたよ。あなたの底力を。本当にお疲れ様でした」。高津監督の選手掌握術は実に素晴らしい。

                    2022,10,4

聞く力

一度出来上がった治療法を変えるには大変なエネルギーを要するのか。医療である以上は全ての医療行為はエビデンスに基づいて行われるべきではあるが、エビデンスがなければ治療が出来ないということでは臨床医は務まらない。患者の訴えは似たようであっても一人ひとりは異なる人間である。確立された治療法に当てはめるような臨床では、症状の改善がみられる方もおられるかも知れないが、臨床医の洞察力は一向に育たない。見えないところを診るのが臨床にであり、患者の訴えに耳を傾け謙虚に、そして真摯な態度で人として向き合う。患者の主訴を自分事として受け止められる心を持ち合わせていなければ、どんなに優秀な成績で大学を卒業しようと、どれだけ長く経験だけ積んでいたとしても、患者さんからの信頼は得られまい。電子カルテ、デジタルレントゲンなどを見ることも重要だが、患者さんの話を聞く姿勢が何よりも基本であり、首相同様に“聞く力”が問われている。

                    2022,10,3

アントニオ猪木さん逝く

少年野球チームに入り、チームメイトにも恵まれ市内大会で優勝、続く県大会でも優勝し、千葉県代表で関東大会に出場した頃は、振り返ってみると野球人口が最も多い時代だったようだ。中学時代にはプロ野球では原辰徳選手が巨人に、石毛宏典選手が常勝球団西武に入団し、それぞれ新人王となり野球界は盛況だった。そのプロ野球の人気に割って入ってきたのが金曜日の夜8時から放送されていた新日本プロレスだ。プロレスには全く関心のなかった私だが、猪木、藤波、長州力といったレスラーを毎週見るのが楽しみになり、登校すると先ずは前日のプロレスの試合の話になり、昼食後の昼休みに体育館のマットを勝手に引っ張り出して、プロレス技を友達同士で掛け合ったりしていた。そんなプロレスブームを牽引したアントニオ猪木さんが亡くなった。ここ最近のやせ衰えた姿からは「燃える闘魂」も弱々しく、なかなか厳しいものがあると覚悟はしていたが、巨星がまた去ってしまった。異種格闘技の先駆者でもあり、既成概念を打ち破った闘魂の日々は素晴らしかったの一言に尽きる。

                    2022,10,2

パン職人

最近のパン職人がつくるパンはただ美味しいだけではなく、食感、香り、そして何と言ってもオンリーオンのパン屋が多い。職場界隈にも複数のパン屋があり、言ってみれば激戦区なのかもしれないが、どのお店も常に混雑している。先日遠くからお越しになられた方は、「自宅近くのパン屋さんのパンが兎に角美味しいからおやつにでも食べてみて!」とわざわざ買って来てくださった。診療後に頂いてみると抜群に旨い。フォカッチャは随分とオリーブオイルが入っているのだろうか、これはワインに合いそうだと女性スタッフも大喜び。パン生地もきめ細かく、パン職人の原材料へのこだわりもさることながら、説明書きを見ると改良を加えながらより美味しいパンを地域の方に提供したいという思いが伝わってくる。早速ネットで調べてみると、こじんまりとした店内ではあるが、人気商品は無くなり次第終了とのことで、人気の高さが窺えた。そちらのパン屋は職場からは遠いのでちょっと立ち寄ることはできないが、行ってみたくなる気にさせるところが素晴らしい。

                    2022,10,1

お役所仕事

都内の幹線道路を走行していると、自転車優先道路の表示が道路に表示されているところがある。車を運転される方であればお気付きかと思いますが、自転車用の新たな専用道路が敷設されたわけではなく、既存の走行車線内に表示があるので、車も走行しているのです。これは危険極まりない、全く無茶苦茶な表示としか私には思えてなりません。よくサイクリングをされる当医院にお越しの方と話をした際には、「あんな表示は全く無意味です。所詮幹線道路は自転車にとっては危険な道路でしかないので、多くのサイクリストは使っていませんよ」とのこと。一個人の意見ではありますが、多くの方が同じように思われているのではないでしょうか。これがお役所仕事とでも言うのでしょうか。現場を見ないで、現場を知らないで決め事だけを策定する。責任を問われると責任の所在があやふやになる。お役人を一括りにして評価するつもりはないが、もっとフットワークよく、マンネリ化した組織を改革して頂きたい。

                    2022,9,30

秋の交通安全週間

秋の交通安全週間が明日まで行われるが、警察には点数稼ぎの為の切符切りだけは止めて頂きたいと思うと同時に、違反を待つかのような取り締まりも慎んで頂きたい。一時停止をしたつもりのドライバーに対して、「運転手さんは停止はしていませんでした、あれは徐行です!」と捕まえるくらいなら、停止線のところに見えるように立ってドライバーが気付くように注意喚起をしたらどうだと言いたくなる。私がそうだったということではありませんが。高速道路でよく目にするのは覆面パトカーが走行車線を走行し、追い越し車線のスピードを上げてくる車を待ち構えているニヒルな警察の取り締まり方である。スピード違反が危ないのだから、赤色灯を回して走行していれば、スピード超過を抑止できるのではないでしょうか。違反者が出ないように指導する強化週間がこの交通安全週間の意味合いなのではないでしょうか。特にスピード違反に関しては、制限速度以上にスピードが出ないように各自動車メーカーに対して規制するのが一番間違いない交通安全に繋がると思います。但し根本はドライバーのモラルの問題であることを忘れてはいけません。

                    2022,9,29

進化する医療機器

19年間使い続けたマイクロスコープ(実体顕微鏡)を他社の新しい物に入れ替えた。使い慣れた機器に問題があったわけではないが、20年近くも経てば機器のレンズ、照明輝度、撮影機器なども当然進化しており、当日の治療過程をより詳細に撮影画像・動画を使って説明を出来るようになった。肉眼では見えているようでも確認も兼ねてマイクロスコープで覗いてみると、取り残したセメントを隣接する歯の間に認めたりすることがある。実際に初診患者さんの口腔内診査において残存セメント(接着剤)を見つけることは少なくなく、それが原因で歯肉に炎症が引き起こされていることがある。言ってみれば医原性の疾患であり、決して許されることではない。歯科治療は全てが精密治療であり、時間に追われた診療時間では理想とする治療および説明は提供できない。例えマイクロスコープが医院に存在しても、オブジェとしてあるだけでは何の意味もない。日本の全ての歯科治療にマイクロスコープの導入が望ましいと思われるが、それ以上に大切なことは治療に対する考え方であることは言うまでもない。

                    2022,9,28

先生とは

歯科業界のセミナー、勉強会などに出席すると、あちこちで〇〇先生、△△先生と耳に胼胝ができるぐらい先生が飛び交う。先生であることに間違いではないのだが、勤務医時代から違和感を覚える呼称である。なぜ〇〇さんと呼ばないのか。先生と呼ばれないと気が済まない輩の集団なのか。なかにはどう見ても先生とは呼びたくない品のない御仁もいる。同じように国会議員や地方議員も先生と呼ばれているが、当選したと同時に偉くなったと勘違いする先生もいて、選挙前後で言葉遣いも変わったりする。そんな中、大阪府議会の議長が、議員を「先生」ではなく「さん」付けで呼ぶことを提案したとのこと。大賛成である。汗水垂らして国民のために必死に働いている議員さんであれば、呼ぶ側がおのずと敬意を払い自然と〇〇先生と呼ぶことでしょう。当方も白衣を脱げばただの人であり、謙虚に修養を重ね、先生と言われるに値する人間に磨き上げていきたい。

                    2022,9,27

夜行列車が復活

学生時代にバックパッカーでヨーロッパ各地を旅した際に、宿泊代を浮かせる目的で夜行列車を何度も利用したが、その後格安航空会社に乗客が流れたことで姿を消していました。当時はユーレイルパスを使い、プラハ~ドレスデン、パリ~ベルリンなどトーマスクックの時刻表を見て、翌日行く場所を探したりしていたものです。その夜行列車が復活という知らせです。その理由の一つが地球温暖化への取り組みで、時間がかかってとしても二酸化炭素の排出量が飛行機の50分の1となるので、鉄道の良さが見直されてきているのです。各国の鉄道会社が連携し、2024年にかけて主要な都市を結ぶ夜行列車のネットワークが出来上がります。一度は衰退したものが復活するとは先のことは分からないものだと思いませんか。旅客機なら2時間で着くところも鉄道であれば10時間かけて目的地を目指す。時間に追われた生活を離れ、ノスタルジーに浸りながら旅をする。私には高級ホテルの宿泊やドレスコードのある食事は性に合わないようである。

                    2022,9,26

理不尽

  独裁者の間違った軍事行動に抗議の声を上げただけで拘束され、そのまま召集令状を渡される。そんな理不尽な仕打ちがロシアでは起きている。国境を接するゲートには、国を脱出する車の車列が数キロに渡って見られ、同じように国外脱出を試みる片道切符の航空券も完売とのことである。冷戦崩壊後、旧ソ連諸国のEU加盟が相次ぎ、自称大国ロシアがNATOの脅威にさらされていると妄想めいた被害者意識を国民に植え付け、人々を先の見えない暗い道に導いているのは誰か。独裁者の末路は歴史が証明している。生まれながらにしての悪党はいない。他国への特別軍事作戦ではなく、自国の一部勢力に向けた特別軍事作戦を軍内部から起こし、ロシアにも真っ当な人間、軍人がいることを示して欲しい。自分の人生を、他人に牛耳られるほど無駄な時間はない。このままでは善良なロシア国民までもがクレムリンの犠牲者になってしまう。

                    2022,9,25

長距離トレーニング

  NHKBS放送ではトレイルラン、サイクリング、山の縦走番組など、自然の中を走破する番組を最近ではよく見かける。普段から何か運動をされている方であれば、一つハードルを上げてトライしてみようかと思う方もおられるのではないでしょうか。風光明媚な眺めもさることながら、完走する達成感がアスリートたちを夢中にさせるようだ。コロナ禍であっても感染のリスクは極めて低く、運動不足の解消にもつながる。知人にも、三浦半島を一周サイクリングしてきましたよ、浅間山の周囲を周ってきました、などと当たり前のように言うサイクリストがいる。当方はもっぱらランニングのみであるが、普段走るコースにも随分前から飽きが来ているのが正直なところである。二輪の力を借りて遠方まで足を延ばすのは、ちょっとした新たな挑戦でもあり、発見もあることだろう。ロードバイクに乗り慣れた頃にはトレイルラン、その先はトライアスロンへの挑戦か?身体を労わることも必要ですね。

                    2022,9,24

再起動の秋

  秋分の日の今日は台風の影響もあり関東地方は曇り時々雨の天気予報であった。世間では3連休の初日になるご家庭も多いのでしょう。あいにくの天候にも拘わらず行楽地に向かう高速道路では渋滞が発生し、人々の活動に長く我慢を強いてきたコロナ禍から少しずつ人々の行動にも変化が現れてきたようである。近くの運動場にも家族連れが多く訪れ、ノーマスクでミニサッカーやテニス、キャッチボールなどをする姿が見られた。新型コロナウィルス新規感染者数の減少傾向もあり、このまま終息することを願いつつもインフルエンザのように付き合っていくことになるのではないかという空気が世間には漂い始めている。全てがコロナ以前に戻ることはないかも知れないが、最低限の感染対策を講じながら、心の奥にしまっていた何かを始めるにはこの秋からがよいかもしれない。

                    2022,9,23

脳の老化

  最近は睡眠時間が短くても若い時と同じように動けている、働いているからまだまだ体力には自信があるなんて方は要注意です。歳をとると睡眠時間が短くなるのは脳の老化現象のひとつであると、脳科学者の西剛志さんが著書のなかで述べています。実際に睡眠時間は10歳毎に10分短くなるそうで、20歳よりも70歳のほうが50分ほど睡眠時間が短くなるそうです。これは脳から分泌される睡眠物質メラトニンが加齢によって減るからだそうで、メラトニンがたくさん分泌されるほど長い時間眠れることになります。このメラトニンは思春期の頃から徐々に減ってきて、歳とともに減少するので、睡眠時間が少しずつ短くなるのは仕方のないことのようです。それでも朝から昼にかけて日光を浴びると、脳の松果体でメラトニンができるので、寝付きがよくなったり、睡眠の質の改善につながることになります。従って、日頃から運動をするだけではなく、陽を浴びながら身体を動かすことが、脳の老化を防ぐことに繋がっています。

                    2022,9,22

機知に富んだ言葉

  機知に富んだ方との語らいは、時間が経つのも忘れてしまうぐらい話に夢中になってしまい、人生経験が豊富な方の語りであれば、人生訓を聞けたりもする貴重な時間である。以前サッカーの日本代表監督をされた故イビチャ・オシムさんが、怪我をする選手が多いことを捉えて、「ライオンに追われたウサギが逃げる時に肉離れしますか?準備が足りない。」とあるインタビューに答えていたが、この例え話が私の頭から離れない。私が理想とする歯科医療を提供するために歯科医院を開業したのが約20年前になるが、決して順風満帆ではなかった。スタッフ採用においても、当医院の掲げるミッションに共感できない人は決して採用はせず、治療・説明においても妥協は許されなかった。しかし、理想論ばかりでは折角来院された患者さんはお越しにならなくなり、経営は行き詰まり、歯科医師としてよりも経営者としての判断を迫られることもあった。そんな時、「朝陽の昇らない夜は来ない」と励ましてくださった私淑する人生の先輩と今晩は久しぶりに盃を交わした。人生というのは振り返れば必ず逢うべき人に遇うのだと実感した。それも一瞬たりとも早過ぎず、そして遅すぎないタイミングで。

                    2022,9,21

物事を良く見る習慣

  世の中の出来事において真実はひとつしかないにも拘らず、評価が分かれることが多くある。正しい判断を行うためには状況に対する正しい認識が出来なければならない。但しその認識は、人の持つ心のフィルターを通して見られるので、同じ事実が禅にも悪にも解釈されてしまう。日常生活における身近な出来事の真実、世界各地の紛争の切っ掛けになった真実、あらゆる事実が心のフィルターで漉しとられる。歴史認識に至っては学識者の様々な意見があるために、真実に辿り着いているのかさえ本当のところは分からない。最終的に一人ひとりの主観にされるのであれば、稲盛さんが語っていたように、普段から人の善意を信じ、物事を善に見ていく習慣をつけるべきで、否定的なものの見方は、人を成長させることはないでしょう。

                    2022,9,20

氷河解けが意味するところは

  今年の北半球の夏は記録的な暑さに見舞われ、北海道より緯度の高いイギリスでは40度を超える気温が初めて観測され、線路が歪んで列車が運休する騒ぎも起きました。パキスタンで国土の多くが水没する事態にもなっており、地球温暖化対策の実施は待ったなしの状況と誰もが認識していることでしょう。約30年前に、アルプス山脈で最も大きいスイスのアレッチ氷河を尾根から見たことがありますが、山肌にはかつて氷河に覆われていた線がくっきりと残って、年々その線の位置するところが低くなるスピードが加速しているのではないかと気になります。実際その氷河では、50年以上前に墜落した飛行機が見つかったりもしています。またヨーロッパ各地の河川の水位が低下したことで、水没していた遺跡が現れたりもしているとの報道も目にします。日本列島を襲う台風の勢力が年々大きくなっていることなども、気候変動の影響を実感させられます。「命を守る行動を‥‥」と頻繁に耳にするような時が来るとは、30年前には考えたこともなかったことであり、そのうち災害に合わないことだけを祈るような時代になってしまうのではと危惧してしまいます。

                    2022,9,19

インソールの必要性

  ランニング時の足裏への負担を軽減する目的でインソールのオーダーメイドを検討している。不正咬合による脳頭蓋を支える頸椎への負担、バランスが崩れることが体幹への歪みに繋がっていることは長期的な時間軸で診るとほぼ間違いないことであるが、身体全体を支える土台(足部アライメント)が崩れると、足首、膝、さらには背中や首まで連なる全体のバランスに影響を及ぼすことは広く世間では知られている。一説には75%以上の人に何らかのバランスの崩れがあると言われている。足裏を痛めた原因の一つが足部アライメント異常にあるかも知れず、先ずは専用の機器で足部全体を計測し、足の自然な動きを読み取ることで足部全体の剛性を高めたしっかりとした足になるオーダーメイドのインソール試してみようというものだ。以前スキーブーツを購入する際にも足首周りから足底全体までを陰圧にして型を取り、自分の足に合ったものを店員の方が用意してくださったことがある。勿論ぴったりフィットし、雪面滑走時の足の遊びが無くなった。若い時には気にもしなかった身体のマネージメントには、ちょっとした修正の積み重ねが必要であると感じる今日この頃である。

 

                    2022,9,18

プレゼンの仕方

  内輪の勉強会でのプレゼンとはいえ人前で話をする以上はしっかりとした準備をするのが礼儀である。なぜなら自分の考えを発表するというのは他人の貴重な時間を奪うことであり、事前に決められた時間枠でのプレゼンであれば時間配分などは調整すべきで、聴講する側の関心をいかに引き出すかという意識の有無は、プレゼン内容の質にも関わってくる。それが研究会や学会など規模が大きくなれば、後に続く演者に迷惑が掛からぬように事前にシミュレーションをするなり準備に時間を割くものだ。ところが、有名無名に関わらず、自分の考えを要領も得ないままタイムベルを鳴らされても蕩々としゃべる全てに無頓着な人が時々現れる。あの感覚は私には理解不能であり、日頃一緒に仕事をされている方々のご苦労の

                    2022,9,17

大学受験浪人生活

   9月中旬ともなれば、大学受験を控えたご家庭では例年とは違う雰囲気が漂い始めるころだろうか。浪人生を抱えた母親との会話では、子供を温かく見守りつつも厳しさをもって接しなければという思いも伝わってくる。規則正しい生活を送っていた高校生とは違い、不規則になりがちな生活リズムの乱れからメンタルにも影響を及ぼし、いつの間にか勉強への意欲も低下するなんてことも珍しいことではない。浪人生活は勉強をする時間が十分にあるので‥‥と思いがちだが、夏休みを過ぎたこの時期になっても期待したほど成績が伸びていないと焦りも出てくる。視野が狭くなることで自分の内面に余裕がなくなり、先の結果ばかりを気にするようになると何も手につかなくなってくる。受験に限らず余裕がないというのはそういうことだと社会経験を積んだ大人であれば分かることでも、モラトリアム期間にある若者の耳にはなかなか届かないものだ。浪人生活中の受験生には、兎に角がむしゃらに、愚直に目の前の課題に取り組むことだけに集中し、目標に向かって前進することが、自分の成長に繋がると信じて頑張って欲しい。

                    2022,9,16

放置自転車

   皆様がお住いの地域では放置自転車を見かけますでしょうか。都市部では駅周辺に自転車専用駐輪場が設けられたこともあり、以前のように車の走行を邪魔するような自転車の放置は見られなくなりましたが、全くなくなったわけではありません。自由が丘界隈では放置自転車は直ぐに回収車に積まれ、所定の場所に保管されます。回収された自転車を持ち主は引き取りに行っているのか気になります。なぜなら常に保管場所の空きスペースがなく、かといって日々多くの自転車が回収されているとも思えないのです。どちらかに寄付されるのであれば未だしも、スクラップなり廃棄されているのであれば考えものでしょう。そもそも駅まで徒歩圏内ではないのかという疑問があります。何れにしても周囲の迷惑を考えない輩の行為であり、物を大事に使うと同時に公共のルールを守る最低限のマナーを身に付けて頂きたいものです。

                    2022,9,15

村上宗隆選手

   プロ野球ヤクルト球団の村上宗隆選手が王貞治さんの年間ホームラン数55本に並んだ。怪我など余程のアクシデントがなければ60本以上も可能と思わせるような安定した見事なバッティングが今年は続いている。当方が小学生の頃、夏休み期間中に王選手が当時の世界記録756本を打つのではないかと期待され、8月最後に後楽園球場に観に行ったことを思い出した。結果的に新記録は9月に入ってから達成されたのだが、王選手がそのホームランを打った直後に控えめに両手を挙げた姿が王さんの人柄が出ていたと、数年後にある解説者が語っていた。真剣勝負で投げてきた相手投手にたいする敬意の表れが見て取れたというのだ。村上選手の55本目はその試合で2本目のホームランだったのだが、テレビに映し出された表情には笑顔一つなかった。試合に負けたために勝利に貢献できなかった悔しさなのだろう。チームの勝利を何よりも優先する素晴らしい22歳の青年ではありませんか。久しくプロ野球界に存在しなかった心技体の揃ったスーパースターになりつつある逸材に、多くのプロ野球ファンが声援を送っている。

                    2022,9,14

学び

   中高生にとっては定期試験の時期になるのか、電車内で必死にマーカーが引かれた教科書をのぞき込んでいる学生がいる。試験ギリギリまで復習する学生、泰然自若と構えて余裕の雰囲気を醸し出して試験に臨むタイプなど、自分を振り返ってみても試験という響きは好きには慣れなかったものだ。受けるだけなら未だしも数日後には合計得点と学年内順位を渡されるのが嫌だった。普段から地道に勉強を積み重ねていれば試験前だからと言って慌てる必要はないのだが、分かっていても出来ないのが凡人であり、その凡人は大人になり自己修養の日々である。習慣というものは恐ろしいもので、良きにつけ悪しきにつけなかなか変えられないが、変えられるものでもある。興味あること、好奇心の湧くことに早く巡り合い、自分が心の底から実現したいことや自分が達成すべき目標、それを周りから与えられるのを待つのではなく、自分から追いかけていくと、人生はもっと開けていく。そんなことを学生たちには心で感じて欲しい。

                    2022,9,13

年代に合ったトレーニング

   子供達の不正咬合の改善トレーニングを行う中で、柔らかいボールを使った全身運動を取り入れているが、本来であれば子供は外遊びの中で身体を思う存分動かして、遊びながらにして体幹を鍛えてきたはずである。身体の全身運動をする機会が減ってきていることが身体の柔軟性だけではなく、正しい深い鼻呼吸が出来ない要因の一つでもある。歯科医院に大きな柔らかい大きなボールがあるだけで子供達は興味を示し、「何であるの?」と尋ねてくる子もいれば、何も言わずにボールにのってジャンピングし始める子供もいるが、投げる、捕る、蹴るなどのちょっとした全身運動には大きな柔らかいボールは使い勝手がいい。子供であれば兎に角身体を動かすことが大事である。では中高年の場合はどうであろうか。無理に身体を酷使すると必ず付けが回ってくるのは、昭和40年代生まれ以前の方であれば経験済みであろう。ある整形外科医は「骨や筋肉は新陳代謝も高いため傷害を受けても回復するが、関節の軟骨、椎間板は組織修復力がないため少しずつ損傷が拡大する」と指摘している。「昔とったきねづか」と過信しないで、年齢に合わせた運動の質・量のマネジメントが必要だ。

                    2022,9,12

秋の観光シーズン

   長野県の美ヶ原は標高約2,000mに位置する高原で、山頂付近には駐車場もあるので非日常を感じるには車で出かけたいところの一つである。15年程前には満天の星を観ることが出来ると聞き出掛けてみたが、この時期の夜はちょっとした防寒着があれば、澄んだ空気は勿論異空間に入り込むことが出来るまさに天然プラネタリウムである。乗鞍スカイラインに行かれたことがある方からも同様の感想を伺ったことがあるが、秋の空気が澄んだ時期であれば日本中どこでも標高のあるところでは絶景の夜空を満喫できるのではないでしょうか。本場オーストリアのグロースグロックナー・アルプス山岳道路は標高2,400mを走行できる中央ヨーロッパを通り抜ける道路で、かつては登山家しか見ることの出来なかった高山の自然を、誰もが満喫できるように整備されたという。オクトーバーフェストが行われているミュンヘンに立ち寄り、大きなジョッキでビールを頂き、翌日ザルツブルクに向けてドライブに出掛けるなんてこともしてみたいですね!

                    2022,9,11

FDの存在

   院内の改装前に整理していたところ、開業時に使用していたFD(フロッピーディスク)が棚の奥底から現れた。懐かしいというよりも、こんなのもあったね~というスタッフの声に、「〇〇さんも知ってるの?」と化石時代の代物を見つけたような(ちょっと大袈裟ですが)驚きの声を上げてしまった。記憶媒体として世界のSonyが開発し、世界中のパソコンに用いられる国際標準となり、日本の科学技術が隆盛を極め始めた頃だ。今では様々な記憶媒体が存在し、保存できる容量もFDとは比較にならない。コロナ禍において役所への報告などが未だにFAXでやり取りされていると以前問題になったが、行政手続きではFDやCDでの提出を定めている法令があるとのことで、河野デジタル担当大臣も「今頃FDはどこで買えるのか?」と呆れている。世の中の変化を読み取れていないわけではあるまい。旧態依然とした体制を変えようとしない悪しき文化が日本には蔓延っている。まぁいっか~ではなく、一人ひとりの思い立ったら直ぐの行動が組織を変えていく。日本の地盤沈下を止めるには、“唯一生き残るのは変化できる者である”を知っているかどうかである。

                    2022,9,10

フレイル

   朝晩は過ごしやすくなってきたものの相変わらずの多湿には参ってしまうが、軽いジョグでもしっかりトレーニングをしたかのように汗をかくのは充分に運動した気分になるのでお得感はある。来月の横浜マラソンに向けてランニングのペースを上げたいところで種子骨炎と上手く付き合いながらのランはなかなか思い描いたようには走れないが、専門医の勧めで使い始めたオーダーメイドインソールを使うことでバランスの補正が効いているのか、ここ数日はランニング後の筋肉の張りが軽減している。本来であれば精密機械のように機能するはずの身体の各器官が、長年の体幹の歪みから程度の差はあるものの故障し始めている。診療室においても定期的なメインテナンスで長年お越しになられている方で、うがいでむせるようになってくる高齢者の方がおられる。長年のお付き合いから「明らかに以前とは違う」と感じる場面は、その方の健康状態が分かる瞬間である。できれば高齢者になる前に、フレイル防止に向けた歯科から勧めるトレーニングを継続して頂きたい。

                    2022,9,9

時代の変遷

   私が学生時代に格安航空券を購入してヨーロッパ各地をバックパックを背負って旅をした話をしたところ、“羨ましい~!”と40代の女性患者さんの声。その方は海外には一度だけ行かれたことがあるそうだが、若い時には時間があったのでもっと行けばよかったと少し後悔の念があると仰っていた。会話の中で、トランジットで立ち寄ったモスクワの当時の感想を語っていると、「えっ、先生がいかれた頃はまだソ連でしたか?」と言われてしまった。そんなに古くないよと笑って答えたが、振り返ってみると壁崩壊が1989年でしたから、あながち的外れの質問でもなかったですよと診療後にスタッフに笑われる始末。当時は大きな無線機のような携帯電話が世の中に出始めた頃で、外出先からの電話の主流は公衆電話である。海外への通話ではコレクトコールなるものが存在し、東欧諸国から日本への電話ではボキャ貧もあり大変難儀した記憶がある。電話も幾多の変遷を経て今日に至っているが、赤電話に10円玉を投入したことのある世代は50歳以上になるのだろうか。10円玉、100円玉、テレフォンカード、その後は急速な携帯電話に普及によって公衆電話もすっかり姿を消した。電話一つとっても約30年でこれだけの変化、進化である。今後30年で世の中はどれだけ変わるのか、どこか末恐ろしい時代を生きている気がする。

                    2022,9,8

平和ボケ

   昨日の日経新聞の電子版には目を疑うような記事が掲載されていた。嘘ではないだろうから、これが本当ならば、日本の国土防衛力は殆どないに等しいということになる。どういうことか。自衛隊には「共食い」という言葉があるそうだ。予算が足りないために、戦闘機の予備の部品がないために、応急的に同型機から部品を外して流用するとのこと。過去の戦時中のことではなく今現在のことである。日本は米軍が助けてくれることを前提に基礎的防衛力を整備してきているが、これではアメリカにそっぽを向かれたらどうなるか自明の理である。与党も野党もない、ロシアによるウクライナ侵攻から日本が学ぶべきことは誰も口にはしないが分かっている。国が存在しての与党であり、野党である。コロナに感染しないためには先ずは免疫力を高めることである。他国に侵略されないために我々はいい加減平和ボケから目を覚ます時ではありませんか。

                    2022,9,7

自転車

   坂道を難なく登っていく自転車を見ると、電動アシストの付きであることが多い。私の居住地域は道のアップダウンが多く、ジョギングをするには適度な負荷が掛かって有難いのだが、高温多湿の今のような天候が続く時には避けて通りたい存在でしかない。電動アシスト車に乗ったことがないのでどの程度の補助力になっているのか実感としては分からないのだが、立ち漕ぎをしていないところから察すると、ちょっとした原付バイク並みなのかと想像してしまう。以前であれば、ギアーを軽くし回転数を回して汗しながら坂を上ったものです。負荷を掛け過ぎると錆びたチェーンが切れて、そのはずみでペダルが脚の脛に当たって目頭を押さえたりした記憶があります。コロナ禍以降、密になりがちな電車やバスを避け、自転車で通勤する需要が高まっているそうです。そして電動アシスト車はバッテリーの素材がニッケル水素からリチウムイオンに変わってから、走行距離も倍に達する商品も出てきているとのこと。日本で販売されている自転車の国内生産比率は1割ほどで、円安の煽りを受けて自転車の価格も高騰中ですが、当分自転車を購入する予定がない方でも、最近の自転車はスタイリッシュなものも多くあり、移動手段の一つとして検討の価値があるかも知れませんよ。

                    2022,9,6

記憶力と健康寿命

   インプットだけでは記憶として定着しにくいので、学びを結果に変えるアウトプットが大事であると本屋で立ち読みをした本に載っていた。社会人の方は日々の仕事の中でプレゼンなり現場で指導するなり立場にもよるが痛感するのではないでしょうか。しかしである。インプットしたものが出てこない、思い出せないではアウトプットまで辿り着けないではないか。スマホなどの情報通信機器に頼るあまり、記憶力の衰えが加速したような気がすることがある。私のなかで一番厄介なのがパスワードである。本人確認のために安全なパスワードを作成したものの、パスワードの数も多くなれば私の記憶力では到底すべては覚えていられない。単なる老化現象なのか。亡くなった祖母などは都合が悪くなると忘れたふりをしていたが、そこまで頭の回転がしっかりしたお年寄りならばある意味安心である。今購読中の“LIFE SPAN”を是非皆さんにもお読みいただきたい。何せ120歳まで人間は生きることが出来るというのだ。どの年代の方も、記憶力を高め、健康寿命を延ばしましょう。

                    2022,9,5

善き指導者とは

   今年の夏の甲子園は東北勢が初優勝し、深紅の大優勝旗の“白河の関越え”の合言葉がやっと実を結び、仙台駅では選手たちの凱旋を多くの県民が温かい拍手で出迎えていた。帰りの新幹線内でも車掌の粋なアナウンスがあったと訊く。優勝校のみが県予選から始まった数多くの試合で勝ち続けた唯一の負け知らずの高校であり、多くの高校球児が甲子園出場の夢を砕かれたのである。優勝した仙台育英の監督の言葉に、私は心を揺さぶられました。コロナ禍で満足に練習が行えない全国の高校生の思いに触れ、「僕たちだけではなくて、全国の高校生の皆がよくやってくれて。すべての高校生の努力の賜が、ただただ最後、僕たちがここに立っただけなので、ぜひ全国の高校生に拍手してもらえたらと思います」と述べられていた。監督の日頃の思い、人柄がにじみ出ている素晴らしい指導者ではありませんか。今後のこの監督のさらなる活躍を期してエールを送りたい。

                    2022,9,4

子供の不正咬合治療

   診療室に入ってくる子供の歩き方がどうも普通ではない。足を引きずる?いや股関節が上手く動いていないのか?当医院は歯科医院であるので、親御さんはお子様の咬み合わせが気になってお越しになられたのだが、普段から歩き方は気になっているとのこと。当医院のお子様を診ていると、身体の動かし方、要は体幹のバランスの良くない子供で歯並び、咬み合わせに問題がないという例は今のところ見当たらない。このお子様には先ずはヨガマットの上に横になって頂き、全身のほぐしから始め脱力をさせてから室内を歩かせてみると、親も驚くように歩くではないですか。これは身体の各部位の筋肉の緊張、過緊張状態が続くことによって身体の各器官の本来の動きが制限されていることを示しており、同様のことが口腔機能でも起きているので、顎顔面骨格が本来の成長軌道にのらず、上下顎骨の成長が筋肉の習癖によって抑制され、結果的に歯の萌出するスペースがなくて不正咬合を引き起こしているのである。従ってこのような子供へのアプローチとしては普段の習癖の把握と改善に努め、親御さんは不正咬合の成因をしっかりと理解することである。我々歯科医療従事者ができることはそのサポートであり、不正咬合を治すのはお子様本人である。

                    2022,9,3

クリーンエネルギーの在り方

   山梨に別荘を所有されている方が、別荘周囲の太陽光パネルの設置の多さに苦情を訴えている。以前私も中央道を走行していて山の斜面を覆うようにそれらが敷き詰められている光景を目にした時に、何か異様な風景に見えた記憶がある。クリーンな再生可能エネルギーとしての役割が大きいことは理解しているが、自然の力を借りるメリットだけではなく、自然を失うデメリットについても十分な議論が尽くされるべきと考える。風力発電にしても然りである。新東名高速道路にも突如の山々の間からそれらが現れる場所があるが、騒音問題や風車が電波障害の原因になるとの指摘もある。ロシアによるウクライナ侵攻後は、それ以前よりもエネルギー供給は喫緊の問題となっているが、自然破壊を推し進めて良い利用はどこにもない。自然との共存の中でどの程度ならば自然の力を借りられるのか、開発ありきではなく、あらゆる分野の専門家の意見も取り入れて、日本の国土を無節操な開発から守っていくべきである。

                    2022,9,2

生き方

   ー仕事というのは好きな仕事に就くか、就いた仕事を好きになるかのどちらかでしかない。ー 長年同じ仕事に従事している方であれば実感するところではないでしょうか。稲盛さんは何と言っていたか。「多くの人は、たまたま今の仕事に就くことになったわけです。そうであるなら、その仕事を心から好きになるように、自分自身で努力するしか方法はありません。それが一つのことを長く継続していくために一番大事なことなのです。」まさに地味ではあるが、一歩一歩の努力を重ねてこられた稲盛さんの含蓄のある言葉である。稲盛さんに関する書籍を拝読していると、思いは必ず実現するという熱いものが伝わってくる。そして考え方、熱意、能力の掛け算が人生と仕事を幸せに導く方程式であると証明されている。何事においても人のために働くという信念は、我々日本人の鑑である。

                    2022,9,1

稲盛和夫さん

   日本の多くの経営者の方々が昨日の訃報に言葉を失ったはずである。現代の経営の神様、京セラの稲盛和夫さんがお亡くなりになった。働く業界は違えどその生き方、働き方の考え方に多くを学ばせて頂いた。日本企業が世界を席巻している時代に、世界に及ぼす影響というものが従来と違って格段に大きくなってきて、日本の経営者の責任が地球大に大きくなっていると仰っていた。そのような環境の中で正しい判断をしていくには、経営者自身の心を磨き、精神を高めるよう努力する以外に道はないと説き、私の歯科医院経営のバックボーンとなった。人生の成功不成功のみならず、経営の成功不成功を決めるのも人の心。京セラ創業直後から人の心が経営を決めることに気付かれ、それ以来、心をベースとした経営方針を貫かれてきた。今の日本に欠けているものそのものではないだろうか。稲盛さんのような利他の心を大事にして、引き続き精進していきたい。

                    2022,8,31

戒めと修養

   ネット画面が表示されていると、自分の関心のないことまで気を取られて無駄な時間を過ごしてしまうことはありませんか。最初はちょっとした時間だからと気にしていなくても、いつの間にかネットに誘導されて自分の意思とは関係ない、本当に無意味な時間が過ぎてしまう。それが毎日の積み重ねになったらどうなるでしょうか。学童期の子供、中高生は自分の心をコントロールするのが難しい時期でもあります。モンテーニュの“つまらぬことが我々の気を散らし、そらせる。というのも、そういう小さなことが我々を抑えるからだ。”という言葉に考えさせられます。人間には頭を休める時間も必要であり、また自問自答する時間が必ず必要です。ところが現代では、大人も子供もそいう作業を省略して直ぐに拡散するという由々しき問題が生じています。私は大丈夫と思う前に、今一度自分の行動を振り返ってみませんか。普段から自分を戒める、修養ということが大事なのは言うまでもありません。

                    2022,8,30

マラソン

院長ブログ

   普段からお世話になっている方が先日の北海道マラソンに参加し、自己ワーストながら完走してきたとメールで連絡を頂いた。大会約一ヶ月ほど前に新型コロナ陽性反応となり、準備期間も十分とは言えない状態でのフルマラソンは、今までは感じたことがない呼吸の息苦しさを抱えての札幌ランだったようだ。当方も10月末の横浜マラソンに向けて準備に入りたいが、種子骨炎の回復が思わしくなく、気持ちばかりが焦り出している。健康管理の一環で10年前の朝のジョギングから始め、今ではランナーズハイを楽しむ快感を覚えてしまった中年ランナーだが、フルマラソンを出走する以上は成績にもこだわりたい。サブ4は最低ラインとしてどこまで記録を縮めることができるか、残り2ヶ月は怪我の状態と向き合いながらうまく身体をマネジメントしていかなければならない。

                    2022,8,29

 

Boys, be ambitious! 

   歯科医療に携わる仕事に就き、日々の臨床に追われているなかで漠然と基礎歯科学を学びにスウェーデン、アメリカなど留学してみたいと心に過ったことがある。経済的な理由、時間的な余裕の無さなど理由を挙げればきりがないかもしれないが、結果として思いは叶わなかった。「臨床医は日々の患者さんから学ぶことが一番ある。真摯に向き合いなさい。」とは恩師の言葉であるが、一歩踏み出せなかった自分に後悔の念がないと言えば噓になる。ここ数年、若者の内向き志向が強くなり海外への日本人留学生が減りアジアの中でも国際社会との交流に後れをとっているとの指摘がある。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われたのは今から25年以上も前のことであり、過去の栄光は捨て置き、一人ひとりが国のために出来ることを地道に取り組むしかない。日本の地盤沈下を止めるには海外との差を肌で知り、可能性を追求する姿に感化される、海外留学はその最良の手段の一つだ。Boys, be ambitious! 

                    2022,8,28

核不拡散

   「ドイツまで遠かったですね~」と久しぶりにご主人の実家に戻られた方との会話である。シベリア上空を飛行できないため、ヨーロッパ各地に行くにはアンカレッジ経由か南回りとなり、米ソ冷戦時代に逆戻りの飛行ルートとなる。ここ数年は海外に出掛けることもないが、飛行機がどのあたりを飛んでいるのかを表示する機内のディスプレイは、旅の始まりには気分の高揚感を、帰国の際には旅の余韻に浸る時間を示してくれる。異国情緒に触れるあの時間をそろそろ味わいたい。SNSを通じて海外に赴任された当医院の患者さんからも写真添付されたメッセージが届く。夏の初めにはデンマークから、夏至の日を祝うSank Hansという炎の塔が送られてきた。地元では18時ぐらいからビール片手に談笑しているというから羨ましい限りである。一方で、5年に1度、核軍縮の進展などを議論する再検討会議が行われたが、ロシア一国による反対によって最終文書を採択できず決裂し、核拡散、核使用の危険が現実味を帯びてきている。全世界で談笑できる日が来るには、一刻の猶予もないのが世界の現実である。


                    2022,8,27

京都のカフェ

   京都には魅力的なカフェが多い。それも、とびきり魅力的なカフェが。京都を訪れるたびにイノダコーヒーと寺町のスマートコーヒーには寄らないと京都に来た気がしないほどである。それにしても京都は不思議な所である。一度訪れた人を何度でも呼び寄せてしまう吸引力とでもいうのか、京都のカフェも同様である。朝7:00からオープンするところも珍しくはなく、有名無名に拘わらず地元の人は行き付けのカフェに足を運び、我が家に居るかのようにかろやかに新聞を広げる。案の定、京都市ではコーヒーの支出額が全国トップと新聞の見出しである。豆の好みも様々あろうが、布フィルターにバリスタが淹れるコーヒーの香りほど朝の私を満足させてくれるものはない。今度の京都散策では新たなカフェを探すとするか。

                    2022,8,26

独裁者の末路

   ロシアによるウクライナ侵攻が始まって半年が経つと、各報道機関が報じている。我々が最初に目にした映像はキーウのテレビ塔へのミサイル攻撃だった。主権国家に対して白昼堂々とミサイルを撃ち込むなど、20世紀の悲しい時代へと引き戻す愚か者の仕業であり、どんな理由があろうと許されるものではない。ロシアの500人を超すジャーナリストは国外へ脱出し、ネオナチからの解放のための進軍だと聞かされて侵攻に参加した兵士の中には、上層部の言っていることと現地の情勢が全く異なることに戸惑いを覚え、意を決して軍を脱走し真実を訴え始める兵士が現れている。彼らの身の安全を祈る思いだが、善良なロシア国民がどのような形で独裁者を追い詰め裁きにかけるのか、独裁者の末路は歴史が証明済みである。

                    2022,8,25

適度なストレス

   「LIFE SPAN 老いなき世界」・ハーバード大学で遺伝学の教授をされている先生の本を読んだ。日本人の平均寿命は男女ともに80歳以上だが、我々はもっと生きることが出来るようだ。長寿に関わる遺伝子が我々の体内には存在し、これらの遺伝子は適度なストレスが掛かることによってより良く働かせることが可能というもの。この適度なストレスというものだが、世間でも良いとされている適度な運動、低たんぱく質の食事、そしてたまに行う絶食も身体に刺激効果を与えることになるそうである。知人の中には月一ぐらいで絶食をされている方がいるが、これらのことが分かった上で行っているとしたら、いつそのようなことを知り得たのか聞いてみたい。その方はいつも健康的であり、ヨガも10年以上取り入れているというから、私もこの本に書かれている120歳まで生きることを目指すのであれば、適度なストレス負荷を取り入れなければならない。

                    2022,8,24

精密度

   歯の治療に際して、詰め物や被せ物をする必要がある場合には事前に材質の違い、当医院における保険治療と保険外治療の違いなどについて説明をさせて頂き、その方の所見なども記載した“治療・所見ファイル”を皆様にお渡ししている。後日、資料をお読みいただいた上で治療の進め方を相談させて頂くのだが、歯科治療は極めて高い精密度を求められる外科治療であることが、こちらが求めるほど伝わっていないと感じることが多々ある。見た目に綺麗なセラミックを被せたい、奥歯だから見えないけど長持ちする物を被せたいということから白金加金の材質を選ばれる方が多いのだが、材質が保険外の物であっても適合度(精密度)が悪ければ、それはただの高価な異物でしかないのである。精度を上げるためには肉眼レベルではなく実態顕微鏡(マイクロスコープ)の使用が不可欠であり、補綴物を作製する技工師も同等のレベルが求められる。自分では確認できない口腔内のであるだけに、術前、術後において納得できる医院探しには時間をかけるべきである。

                    2022,8,23

甲子園と金属バット

   私が夏の甲子園を目指していた頃は、徳島の池田高校が蔦監督のもと“やまびこ打線”と言われ、大阪のPL学園としのぎを削っていた。両校の活躍によって当時の高校野球ではウェイトトレーニングを取り入れる学校も積極的みられるようになり、我が野球部にもベンチプレスなるものが導入された記憶がある。今ではトレーニングに対する考え方も様々で、成長期の高校生の身体に負荷を掛け過ぎないようにとの配慮もからインナーマッスルを鍛えたり、野球以外の運動を取り入れたりと、指導者の生徒たちへの接し方もご苦労が多いようだが、現在開催されている甲子園球児たちを観ていて考えさせられるのは、金属バットの在り方である。トレーニングの成果で昔と比べて体格は格段に良くなっているのだから、そろそろ木製バットに移行する、戻してもいいのでは。金属バットは球を芯で捉えなくてもある程度飛んでいくが、木製では芯を外すとそうはいかない。バットに亀裂が入ったり折れたりしてするのでコスト面では負担増になるが、打球の速さや強さを見ても金属バットは危険と隣り合わせの部分がありすぎるように思えてならない。炎天下での試合の在り方と共に、用具についても高野連の改革を進めて頂きたい。

                    2022,8,22

一人の時間

   電車の駅と駅の間隔が短くなる、照明が多くなる、すれ違う人の数が圧倒的に多いなどから連想されるのは田舎ではなく都会である。地下鉄の駅から地上に出れば、高層ビル群の隙間に立っている自分がいて、排気ガスをまき散らしながら様々な化石燃料モービル車が通り過ぎていく。清流や森のマイナスイオンを浴びる高原の澄んだ空気が身体の隅々までしみわたる自然の世界とは別世界。好き好んで非人間的な環境で過ごしているわけではないが、それぞれの理由で生きていくための選択の結果、‥‥しやすい環境を選んでいる。ネットも通じない、コンビニもない、街灯もない、喧騒から離れたい、そんな背景からソロキャンプの需要が伸びているのだろうか。求めているのは何か。一人だけの時間、ひとり物思いに耽る時間。時間に追われる人生にお疲れの人たちが、何かを変えようとしている。

                    2022,8,21

勝利至上主義

   甲子園では連日炎天下のもと高校野球の熱戦が繰り広げられていますが、勝利至上主義を前面に出すようなスポーツの在り方はどうなのでしょうかと、野球に限らずアマチュアスポーツ全般に疑問を抱いております。だからと言って、小学校の運動会にて順位付けをしないでゴールする徒競走などは、もはやスポーツとは呼べないでしょう。当方は幼少の頃から野球に専念し、小学生時代は千葉県代表、中学生時代もメンバーに恵まれそれなりに試合を勝ち進むことができ、比較的楽しみながら野球生活を送れた一人です。但し振り返ってみると、理不尽な練習がなかったわけでもなく、肩肘が痛くても我慢しながら投球を続けた結果、回復まで時間を要することになり、高校では3年間を通して怪我の繰り返しで満足できるような部活動生活を送れなかった経験がある。今では練習時から球数制限を設けるところもあるようですが、中学、高校という身体の成長期、身体の変化が大きい時の運動の練習量の在り方は、指導的立場にある方がもっと注意を払ってあるべきと強く思います。スポーツは結果も大事ですが、そこに至るまでのプロセスが子供達の成長過程においては重要なのであり、勝利至上主義を求めすぎると、それを目指す際のプロセスを覆い隠す危険が潜んでいると感じています。

                    2022,8,20

何も出来ない休暇

   職場の自由が丘界隈は再開発によって、マンションの取り壊し、古い店舗が多く入ったビルの建て替えなどのラッシュの様相を呈してきた。地上7階建ての建物が無くなると見晴らしも良くなり、このまま何も建たなければ解放感もあっていいのになぁ~なんて勝手なことを思ったりしてしまうのだが、我々は知らず知らずのうちに建物に囲まれた閉塞感を身体が抱え込んでいるのだろう。就業中にそのようなことを意識する間はないが、建造物のない緑に囲まれた自然や水平線の見える海などに出掛けたくなるのは、ごく自然な行動なのだろう。SNSを通じて友人や知人がこの盆休みに出掛けた先から写真をアップしているのを観ていると、自宅療養せざるを得なくなったこの10日間を悔やむしかない。予約変更に応じて頂いた患者様には本当に申し訳ございません。

                    2022,8,19

地道な成長

   「めったに起きないような大きな幸運で、人間が幸せになることはほとんどない。幸せは日々の小さな前進が運んできてくれるのである」。ベンジャミン・フランクリンの有名な言葉ですね。何かうまく事が運ばなくなると、自分を疑ったりして自信をなくすこともあります。そんな時、自分の中に大事にしてきている軸の有無がその先の方向を決める大きな要因になると思いますが、洋の東西を問わず、人の生き方や仕事の行方を決めるのは、毎日繰り返される地道な努力であると歴史上の偉人が云っています。毎日継続されていることはありますか。玉石混交の情報が溢れ、情報の取捨選択すら難しい時代をしっかりと生き抜いていくには、感性のアンテナを高く上げ、自分を見失わないことに尽きると思います。

                    2022,8,18

夏休み

    当方が子供の頃は、夏休みの宿題を早く終わらせようと計画は立てるものの、気が付けば夏休み後半になって読書感想文に四苦八苦していた記憶がある。「今日はやる。今日こそやる。」と決意はするのだが‥。最近の子供達は賢いのか要領が良いのか、通院中の子供達は「もう終わったよ!」。そして続きが、「だって塾の宿題があるから学校のは早く終わらせないと‥‥」。今の子供達は大人が思う以上に忙しい?のか。せっかくの長期休暇、普段できない何か夢中になることを見つけて取り組んでみるような体験はしているのだろうか。親に内緒で友達と自転車で遠出をしてみるなんてことも、ちょっとした冒険心も擽ってドキドキする思い出になったりするものですよね。好奇心旺盛に夏休み後半を過ごしてください。

                    2022,8,17

全数把握

    政府は新型コロナウイルス対応をめぐり、やっと感染者の全数把握を見直す方向で検討に入った。盆休み期間中は地域の基幹病院、かかりつけの医院でさえ電話が通じず、子供に39℃越えの発熱があったとしても基礎疾患がない限りは医療機関では診てもらえない状況である。都道府県の療養サポートにアクセスして指示を待つだけの何とも不安な医療体制であり、日本の安心な医療システムは既に破綻していると実感せざるを得ない。現場の医師たちは診断した感染者をすべて保健所に報告しており、感染者の急増で負担が重くなっているのも現実である。未曾有の感染症に対して、今まで政府は批判を受けながらもよくやってきていると私はトータルでは合格点を与えたい。PCR検査一つとっても、検査に必要な機器、保健所スタッフなど必要なリソースがないにも拘らず当初はその時点での能力に合わせて最大限すべきことをされてきたと思います。感染症に備えてそれだけのことをしてこなかったことは事実だとしても、医療現場の人たちの使命感のお陰で何とか凌いできているのが現状です。しかし、もう限界でしょう。今後は政府、役人の方々がそれこそ使命感にかけて、無駄のない現状に即した医療体制を構築して頂きたい。      

                    2022,8,16

働きがい改革

    国家公務員の家庭に育った私にとって、国のために仕事をするのは人としての務めと親から教育を受けてきた。その国家公務員の境遇が一向に改善されていないと日経新聞に掲載されている。自衛隊員や裁判官を除く一般職の国家公務員は42万人超で、うち37,2%の15万9千人を非常勤が占めているという。非常勤に問題があるわけではないが、世界的に見て日本の雇用者全体に占める国家公務員の比率が5.9%で、OECD平均(17,9%)と比べても極めて少ないのが問題だ。仕事である以上公務員、民間問わず次から次と雨のように降ってくるものであると私は思っているが、本来志した仕事に仕えられるか分からず働くことほど働きがいのないことはない。人員が多過ぎる、無駄を省けなどと公務員に対する辛口意見は多いが、一番大切な資産は「人」であることに立ち戻れば、働き方改革ではなく、働きがい改革を官邸主導で行ってみなさいと提言したい。                 


                    2022,8,15

個の時間

   約40年前、中学卒業を記念して同級生3人で当時の国鉄の周遊券を使って京都、金沢、長野を旅行したことがある。当時の学生が泊まる安宿の定番はユースホステルであり、京都では蹴上近くの路面電車沿いの建物に、金沢では少し高台にある能登半島方面を展望できるところだったと記憶している。何れも今は存在しないが、当時は宿泊すると夕食後に宿泊者が集って何かを語ったり、流行りの歌を全員で歌ったりして、全く他人の大学生との交流が新鮮で、何か恥ずかしい気持ちも直ぐに打ち解けた思い出がある。時は流れ今は「個の時間」を大事にする風潮になってきている。人に気を遣うぐらいなら自分一人が楽だということなのだろうか。コロナ禍も関係しているのか「ソロキャンプ」なるものが流行ってきている。私など一人で火を焚いたりするなど寂しくてたまらん、と言いたくなるが、これも価値観の多様化ということなのだろうか。ただ人は、人との関わりの中で生きているのだから、「個」ばかりを求めすぎるのは人の温かみに触れる機会を逸していることにもならないだろうか。そうは言っても現代社会、ギスギスしている環境にいれば一人にもなりたくなるものか。                             


                    2022,8,14

咬み合わせと脊柱管狭窄症

   当医院に通院中の方で昨年脊柱管狭窄症の手術を受けられた方が続けて二人おり、親戚にも同様の病名で手術を検討されている方がいる。世間では、「脊柱管狭窄症は手術を受けないと治らない病気」と半ば諦めている、常識的に考えている人が多いようですが本当にそうなのでしょうか。門外漢の私が感じるのは、急に神経が強く圧迫される状態になることはなく、長年の体幹の歪みの積み重ねが引き起こしているのであれば、早い段階からスポーツトレーナーの指導を受け、自分の身体の状態をしっかりと把握し、しかるべき予防対策を継続できれば、手術を回避できるであろうということです。そして、私の知る限りでは、理想的な咬み合わせをされている方が脊柱管狭窄症を発症されているケースは診ていません。当医院の少ない患者母集団で統計学的なことは申し上げられませんが、当医院の子供達の咬み合わせの改善、舌を含めた口腔周囲筋の働きを改善させることで歩行姿勢が変わることを目の当たりにしますと、咬み合わせの診断は、将来的な脊柱管狭窄症まで繋がっていることが高い確率で予想されると考えています。今後は資料の分析、積み重ねが待たれるところです。                               


                    2022,8,13

備え

 3年ぶりの墓参りになるのか、実家近くの市営霊園ではあちこちで線香の香りが漂い、家族連れが墓前に手を合わせていた。今年の夏は行動制限もないので行楽地だけではなく、先祖のお参りも多くの人出が予想される。しかしその先祖が眠るお墓も豪雨による被災で近づけないところが各地で相次いでいる。週末にかけては関東地方に台風が直撃する予報が出ており、東海地方では台風上陸前から線状降水帯の停滞が懸念されている。突然の雨に備えて折りたたみ傘を携帯しているものの、その傘が全く役に立たないほどの突然の豪雨に見舞われることが珍しくない今日この頃である。毎年の自然災害で日本の地形が変わり復興支援も追いつかない状況では、安全な場所はないと認識したうえで、各自が万が一に備えてシュミレーションをしておく必要があるところまで求められている。あれこれ嘆きたくもなるが、先ずは出来ることをするしかない。

                                                        2022,8,12

リフレッシュ

 富士山に初めて登った時には台風の接近していたことが影響して8合目で引き返すことになったが、火山を意識させる特有の軽石が強風で登山者の行く手を拒み、目を開けられないどころかもの危険すら感じた記憶がある。その数年後に再度、比較的天候の恵まれた日に再登山をし、5合目から4時間ぐらいは掛かっただろうか雲海を超え、富士山頂まで辿り着いた。山の日の今日も多くの登山客が富士山はじめ全国の山々を登っていることだろう。日ごろ鍛えた健脚を誇る人から運動不足解消も兼ねてトレッキングをされている方など様々かもしれないが、高山植物を鑑賞しながら、マイナスイオンを浴びながら非日常を満喫できる時間は貴重である。ウィルス感染が止まない下界を離れ自然の中に身を置くことで、身も心もリフレッシュしたいものである。

                                                        2022,8,11

読書

 「子供が本を読まないので‥‥、読書が嫌いなんですよね~」と嘆く親御さん。小学生の夏休みの宿題の定番は読書感想文である。私も本を好んで読むタイプではなかったが、読書好きになる切っ掛けがあれば自然と書物が身の回りにある生活習慣になっていたというのが私の読書スタイルだったので、読書によって自分の知らない世界を知る喜びを本嫌いのお子さんには知ってもらいたい。私が若い頃から世間では読書離れと言われ続け、その後30年以上経過し、月に1冊も本を読まない大学生が少なくないという数字も上がっている。本を読まなければ読解力を養うことが出来ないばかりではなく、物事を深く考える習慣から縁遠くなることが懸念される。理屈ではなく、そこに本があり、ページを捲ればその分視野が広がる、そんな体験をこの夏休みにアンチ読書の子供達にはしてもらいたい。


                                                        2022,8,10

命を守る行動を

 線状降水帯が今度は東北地方で暴れている。山間部の多い秋田・青森は土砂災害の危険個所が多いと聞く。先日の豪雨で小坂町の県道が土砂に埋まっているところが映し出されていたが、以前は川の色がオレンジ色になるほど銅の採掘場として栄えた小坂鉱山の街である。急峻な坂道を超えて十和田湖へ抜ける道は時にはクマに遭遇することもある自然豊かな十和田八幡平エリアである。奥入瀬もこの尋常ではない雨量で景色が一変しているのではないか。弘前ねぷた、青森ねぶた祭りが3年ぶりに開催された津軽地方の状況も心配である。線状降水帯に睨まれると逃げようがない。本降りになって短時間で普段使っている道路が川のように様変わりする様子を、今では誰もが映像で観たことがあるのではないか。河川が氾濫すれば、普段の常識は通用しない。過去に経験のないような雨に遭遇した際には、これからは誰もが命を守る行動をとる備えが求められる時代に突入したようである。


                                                        2022,8,9

LED

 子供の頃、夏休みになると朝早く起床してカブトムシを捕まえに自転車で出掛け、一度に複数のカブトムシを見つけた時には家に帰って得意げに親に話をしたものだ。「何匹捕まえたら気が済むの!」と言われたのが今となっては懐かしい思い出だ。当方が親になり、子供たちが幼少の頃には一緒にカブトムシを探しに行き、夜であれば水銀灯の周りの枯葉の下に隠れているところを捕まえさせたものだが、最近はその灯がLEDに取って代わり、昆虫も寄ってこないそうである。温暖化によって昆虫たちの生育環境も変わってくるかも知れないが、虫が寄り付かないLEDは我々人間にとって無害なのでしょうか。先日、実態顕微鏡(マイクロスコープ)を最新のものに取り換えましたが光源はLEDである。まだ使い慣れていないことが影響しているのか、目の奥が重く疲れたように感じるのはLEDが原因か、それとも老化によるものか。最新科学の発達は我々の日常生活に多くの恩恵をもたらしているが、長期的な弊害の有無は、今の子供たちが我々ぐらいの年齢になった時に判明するのかもしれない。

                                                        2022,8,8

一期一会

 治療前の患者さんとのちょっとした会話がちょっとで終わらなくなり、治療予定時間の大半を使ってしまうことが度々ある。なんとも困った歯科医院である。だが視点を変えてみると、会話も碌に出来ないコミュニケーションをしっかりと取れていない状態で治療に入ることほど双方にとって危険なことはない。コロナ禍にあってテレワークの方も多くおられることから対面で話をする機会が少なくなったと嘆く方もいる。そのせいもあってか私やスタッフとの会話が長くなる傾向がみられる。新鮮な話題を提供されるとこちらも興味津々と内容を知りたくなるあまり、治療に入るタイミングを逸してしまう。さらにユーモアたっぷりに話をされてしまうと診療室が笑いの渦に巻き込まれ、診療モードに戻れない。患者さんではあっても一期一会の思いで接していると伝わるものである。日々の臨床は生身の人間を診ているのであり、歯医者は歯だけを診ていればよいというものではない。

                                                        2022,8,7

8月6日

 77年前の今日午前8時15分、広島に人類史上初めて原子爆弾が投下された。遠い昔の話ではない。長崎市の田上富久市長は核拡散防止条約(NPT)再検討会議で「広島は最初の被爆地として歴史に残るが、長崎が最後の被爆地となるかどうかは私たちがつくっていく未来によって決まる」と述べられた。相手を威嚇するために核を保有する国のリーダー達の耳に果たして届いているだろうか。広島の松井市長は「戦争と平和」で知られるロシアの文豪トルストイの言葉も引用し「他人の不幸の上に自分の幸福を築いてはならない」と強調。そんな文豪が生まれ育ったロシアから、ウクライナを不幸のどん底に陥れるテロリストの首謀者が生れたとは、さぞかし嘆いていることだろう。原爆を投下したアメリカからは以前オバマ大統領が広島の慰霊碑に献花し、被爆者の手を握って「核なき世界に向けて頑張ろう」と話しかけたのが記憶に新しい。核廃絶への動きが今度こそは始まるかと期待も高まったが、世界の終末時計の針は現在進行形である。“人類破滅まであと何日”とカウントが始まらぬよう、全人類が異なる意見を乗り越えて協力しなければ、残された時間は極めて少ない。

                                                        2022,8,6

天災

 線状降水帯による被害が各地で起きており、避難する間もなく水かさが増す恐怖に多くの被災者が遭われている。積乱雲が連続発生し、風に吹かれて連なることで同じ地域に強い雨が降り続けるので一気に水量が増加する。毎年同じような自然災害が繰り返されており、大雨に関する情報もより詳細に伝えられているものの、いざという時に経験したことがない行動にはなかなか直ぐには移れないのではないか。なぜなら“まさか?”と自分は大丈夫という正常バイアスが働いてしまうからである。これからは各自治体のハザードマップを必ず平時から確認を怠らぬようにしなければなるまい。天災ばかりはどんな科学の力を持っても、今現在は太刀打ちできない。

                                                        2022,8,5

子供達のお手本に‥‥

 宗教と政治、何の共鳴、考えもなく、付和雷同的に加わった大勢の政治家に責任が大きいことは、先の大戦が教えるところである。全くもって大人社会はどうなっているんだと子供達に笑われるぞ。政治家と言えば昔はもっと風格もあり、人間的な器も大きく子供の手本になるような人物であったはずではなかったか。それが今ではなりたくない職業の上位にランクされてしまう始末である。記者の質問にはしどろもどろ、その場しのぎの発言で言い訳が達者な人の集まりが永田町には多いようである。学歴はあっても教養も修養もない人間集団と一括りにしては良くないが、筋の通った骨太の政治家が極めて少ない。常識も良識もない政治家は論じるに足らないが、当選したにも拘わらず国会に登院することを拒んでいる理解不能な輩もいる。国を守る覚悟をもって国政に出てきているのか先ずは尋ねてみたい。ただ、もっとも不安な材料は、そういった人を選んでしまう国民がいることである。このまま国が衰退していくのだけは何とかしたいものである。

                                                        2022,8,4

料理の鉄人

 料理職人の食材選びは何を見て質の良し悪しを見極めているのか、先日伺った天麩羅料理の大将に仕事の邪魔にならない範囲で尋ねてみた。車海老の場合は脱皮して間もないものであれば殻も比較的柔らかく味も甘く、天麩羅にすると何もつけなくても自然の塩味が効いて美味いとのこと。沢山並んだ海老の中から脱皮云々、カルシウムを多く含んでいるかどうかなどは若い頃には意識したことがなかったそうである。アスパラガスに至っては、一本を丸ごと揚げて先のほうから食べていくと、根元を口にする頃には余熱が回って繊維質のところもホクホクするということで言われるままに頂いてみたところ、目隠しをして食べたら何か違う食べ物と勘違いしてしまぐらいの食感と旨味であった。食材の隠れた魅力を引き出すプロの腕前と、客の波長に合わせた語り口には満足以上の喜びを頂いた時間であり、オンラインでは決して得られないものがそこにはある。

                                                        2022,8,3

夏祭り

 夏祭り到来である。東北青森では弘前の“ねぷた祭り”に続き青森の“ねぶた祭り”が始まり、秋田では“竿燈祭り”、そして仙台では通常規模の七夕祭りが予定されている。そもそも、疫病や風水害など災難が起きやすいため、怨霊や疫神を鎮めはらうのが夏祭りともされる。先月の京都祇園祭においては新型コロナ感染が拡大しているなかでの開催であったが、山鉾が通る沿道では大勢の観光客で溢れていた。どこの祭りも感染対策は万全であるとはいえ安心はできない。この異常な暑さの中では、感染対策だけではなく熱中症対策もしなければならず、せっかくの祭りも以前のような解放感に浸るまでにはならないか。ウィズコロナの響きは耳障りだが、見えない相手を怖がらず、自分だけは大丈夫という正常バイアスには気を付けてこの夏を乗り切りたい。

                                                        2022,8,2

温もり

 夏の風物詩の一つが各地で行われる花火大会であり、老若男女問わず愉しい時間を過ごすごとが出来る。多くの方がそれぞれの花火の思い出を語ることが出来るのではないでしょうか。幼少の頃は親に手を引かれながら付いていき、人の多さに圧倒されて迷子にならないように親が手を強く握りしめてくれた。友達と行ける年齢になると、好きな子も誘って出掛ける口実が花火だったりもした。自分が親になり、今度は子供の柔らかな小さな手を握りしめていた。人には温もりが必要である。花火は太平の世といわれる江戸時代に大衆文化となったと聞くが、今ウクライナでは「落ちてくる花火」に怯えている子供たちがいる。同じ地球上でなぜ平和に暮らすことが出来ないのか、あまりにも理不尽である。1900年には78か国あった国が2000年には190カ国にもなっていることからも、世界では常に領土争いが絶えないのである。平穏に暮らせる幸せに感謝しつつも、核兵器の先には何の温もりもないことをならず者国家のリーダーに分からせたい。

                                                        2022,8,1

ファン付きマスク

 当医院のある自由が丘界隈では駅周辺の再開発にともない大型ビル、マンションンの建設ラッシュが始まっており、現場作業員の方々がこの猛暑の中汗だくで仕事に取り組んでいるが、ほぼ全員の方がファンの付いた作業着を着用している。効果のほどを知りたいと思っていたが、当医院の機械室改装工事を請け負ってくださった方々も着用していたので感想を聞いてみたところ、服の中は涼しいとのことである。原理は外気を吸い込み汗を蒸発させる仕組みらしいが、この暖気を吸い込んでも涼しいのであれば、なかなかの優れものである。さて次は、ファン付きの立体型マスクをどこかのメーカーが開発するのではないかと期待をしてしまうのだが、吸引するだけではなくウィルス除去と空気清浄も求められるとなれば精巧な技術も求められよう。顔面に熱気がこもり、気分ももやもやする3度目の夏だが、技術立国日本と言われた復権をかけて、職人さんたちの腕自慢を待ちたい。

                                                        2022,7,31

猛暑と風鈴

 猛暑日の続くここ数日は、早朝6時前からジョギングをする人や犬の散歩のをする方が増えている。8時を過ぎれば温度計も32℃を超え、暑さの表現も“熱さ”とするのが合っているのではとさえ思えてくる。我が家は最近の家屋ではないので、冷房の効いた部屋から廊下に出ると全くの別世界ともいえる南国の暑さというよりサウナ風呂のような熱気が充満している。以前であれば窓を開ければ多少は涼しくもあったが、今は明けた窓から暖気が入ってくる始末である。さらに私たちの生命力を試すような炎暑本番はこれからだ。家そのものが毎年続くこの暑さに耐えられるのか不安にさえなる。陽も陰れば夕涼みとなるのだろうが、屋内も屋外も逃げ場がない。畳の上で、風鈴の“チリーン”と鳴るを聞きながら昼寝ができた時代が懐かしい。

                                                        2022,7,30

夏休み

 子供達にとっての夏休みは今も昔も待ちに待った休みなのだろうか。低学年の頃から塾の夏期講習に行かされ、塾から帰宅すれば学校の宿題に取り組み、読書の苦手な子にとっては苦痛でもある読書感想文の課題まである長期休みである。当方が子供の頃の夏の天候とは違い、命の危険さえ感じる連日の猛暑日では外遊びもままならない。生活習慣を整え自己管理が出来るようになるのは高学年になってからぐらいか。朝のラジオ体操に間に合うように起床し近所の公園で眠い目を擦りながら体操していた頃は、その日を誰と遊ぼうかと思案しながらろくに集中もしないで机に向かって宿題をしていた。今ではLINEで連絡を取り合うようだが、当時は電話を掛けるか自宅まで出掛けて“ピンポーン!”と鳴らしたものだ。新規感染者が増加中であるが、塾では得られない外遊びの愉しい時を思う存分過ごしてほしい。

                                                        2022,7,29

感染症の怖さ

 “全国で確認された感染者が23万3072人、1日の感染者数として初めて23万人を上回り、2日連続で過去最多の感染となっている”と報道されている。東京都に至っては初めて4万人を上回り、医療の逼迫は日に日に増している。感染者の急増に当方は結構危機感を強めているが、新型コロナウイルスが初めて感染された当初の危機感・警戒感が社会にはあるだろうか。ウィルスの感染力も増しており決して油断は出来ない緊急事態であるにもかかわらず、社会全体の感覚が鈍くなってきていると思うのは私だけではあるまい。店舗入口における手指消毒のスルー、不織布ではなくウレタンマスクの使用、ちょっとした瞬間のマスク未装着などは、自分だけは大丈夫と思っての行動なのだろうか。我々はコロナだけではない感染症の危険性を今一度しっかりと認識し直すべきである。

                                                        2022,7,28

「聞く」と「聴く」の違い

 新規でお越しになられた方に、「歯医者さんにこんなに話をきいて頂いたことはありませんでした」と言われることが多々ある。ここに日本の歯科医療の従来からの問題点が浮き彫りにされていると言える。岸田総理が「聞く力」を大事にすると総理就任前から仰っておられたが、「聞く」なのか「聴く」によって意味合いは異なると新聞のコラムに掲載されていた。ー「聴という字は、耳に十四の心と書きます。他人の話を聴くには、多くの心で耳を傾けるような気持ちが大切です」。同じ「きく」でも、「聞く」には「自然に耳に入る」という意味があり、辞書の例文の中には「聞き流す」があった。人の話に気持ちを向けて耳を傾けるのは「聴く」となる。こちらは傾聴、静聴などが記されているー。歯科医院を受診される方は口腔内に問題、不安を抱えているから受診されるのであり、問診の在り方によっては患者の表面的な悩みしかキャッチできずに治療に入ってしまうことがあるのではないか。それは私からすると極めて危険なことであり、“木を見て森を見ず”診療になっている。医療を提供する側の技術云々は、実際に治療を受けてみなければ分からない不安が患者には付きまとう。その不安を払拭できるのはなにか。医療者と患者の人としての信頼関係を短時間で築けるかどうかに掛かっている。その基本は一期一会であり、「聞く」ではなく「聴く」であることは言うまでもない。

                                                        2022,7,27

去年の今頃は‥‥

 「昨年の今頃は東京オリンピックが開催されていたんですよね~」と本日お越しになられた方に言われて、7月の何日に開会式が行われたのか覚えていないことに気が付いた。新型コロナウイルス新規感染者が急増してきた中での開催であったが期間中は日本選手の活躍もあり、巷では話題になることが多かったと記憶している。昭和39年の東京オリンピックは開催日を記念して10月10日を“体育の日”と祝日にした経緯があるが、昨年のオリンピックに際してはそのような話題、機運が盛り上がることはなく、私のように開催日を忘れてしまった方も多くおられるのではないでしょうか。開催地選定の際、「TOKYO」と発表された瞬間の興奮がそのまま持続できなかった背景にはコロナ禍が輪をかけたのは無論だが、オリンピック開催年に限らず毎年のように各競技のスポーツの祭典、国際大会が行われ、半世紀前とはオリンピックの存在する意味合いが薄くなっていることに加えて商業主義的な組織委員会の在り方も、純粋にスポーツを愛する人たちの記憶への刻印を遠ざけている気がしてならない。

                                                        2022,7,26

トマト

 夏野菜の代表格と言えばトマト。この時期近所の農園では週3日で朝市を開催しており、昨日も早朝ランニングの帰りに立ち寄って新鮮なトマト2kg買い物をした。そのうち半分はジュースにして飲むのだが、これがまた格別に美味しい。スーパーで売られている野菜は形状の良いものが陳列されているが、地産地消ともいうべき地元の一品は多少不細工でも味に外れがない。当方が子供の頃は毎年家庭農園をお借りして、トマトの他にキュウリ、ナス、枝豆などを育てていた。実がどこまで大きくなるのか子供ながらに楽しみでもあり、自分が毎日水蒔きをして育てた野菜が食卓にのぼるのは、ちょこっと自慢でもあった。その頃の農園の独特の匂いが懐かしく、野菜には多少の土が付いているものと思って育った私には、ネギにしてもあまりに綺麗に売られていると美味しそうには映らない。ところで皆様はトマトをどのようにして頂いてますか。私は皮ごと丸かじりしたあの瞬間の甘いトマトが好きである。

                                                        2022,7,25

湘南の夏

 神奈川県藤沢市出身の方が、横浜新道を走行しているとあるところから空気感が少し変わってくると言い、また葉山からお越しになられる方もあるところから気温が変わるのが分かりますと仰られる。葉山・湘南地方に住まわれている方であれば頷くことなのだろうか。当方も鎌倉から藤沢方面は学生時代から好んで足を運んだエリアであり、時代を遡ること何十年前になるか、中村雅俊さんらが演じた「俺たちの旅」のロケ地を求めて江ノ電界隈をよく散策したりしたものだ。今でも暇を見つけて出掛けることはあり、浜風を感じながら富士山の雄大な姿を背景にしつつ湘南の海を眺めるのは最高の贅沢である。更に鎌倉高校前駅のベンチに座って見る海は水平線が遮るものなく広がっていて、木製のベンチにいつまでも居たくなる特別なスポットでもある。湘南しらすを生や釜揚げで美味しく頂けるこの時期は、こっそりイヤホンでサザンオールスターズでも聞きながら歩くのも粋かもしれない。

                                                          2022,7,24

冷房設備の有難さ

 消費電力の削減に協力するために待合室の冷房運転を中止している、というのは冗談で、先日もブログに載せましたが、嵌めこみ式の業務用エアコンが未だ故障中である。幸いにして個室診療室の冷房設備は稼働しているのでそこの冷気をサーキュレーターで待合室まで運んでいるのだが、ここ数日の猛暑には太刀打ちできなくなってきた。約10年前には屋上の室外機への落雷によって全冷房施設が使用不可能になり、それこそ2週間ほど扇風機で過ごしたことがあるが、今では冷房設備がなければ診療を停止せざるを得ないほどの息苦しさであり、診療室でサウナ風呂気分を味わえるぐらい発汗出来てしまう。通院中の皆様には大変ご迷惑をお掛けしていますが、ご安心ください、7/25の昼間には修理に伺えると業者から救いの連絡があり、サーキュレーター診療もあと1日半となりました。ちょっと笑い話にはなりますが、現在院内で使用中のサーキュレーターの性能の良さに来院中に方が関心を示され、その後量販店でお買い上げになられたということです。静音なのに遠くまで風圧が届く優れものです。

                                                          2022,7,23

国葬の是非

 民主国家の傍らに独裁国家があると何が起こるか。ロシアによるウクライナ侵攻が世界にその答えを示している。政治的なコメントをこのようなブログに載せるものではないと思いつつ、何でも反対、反対を繰り返す野党議員の体たらくには辟易する。「安倍元総理にはあって、野党議員には全くないもの。それは迫りつつある危機から国や国民を守ろうとする意識と覚悟です。」と故渡部昇一さんが述べられていたことを思い出す。日本周辺におけるロシアや中国による領空侵犯は常態化し、本日も沖縄諸島沖を中国海軍の潜水艦が測量目的で航行していたとのこと。日本の“今そこにある危機”を首脳外交努力を通じて必死に守ってきた政治家は誰ですかと問いたい。吉田茂元総理の国葬に際して無関心の人もいたと当時の新聞は載せている。多様性の時代、悼み方は人それぞれで構わないと思うが、7月8日の元総理死亡の知らせから今日までに感じた空虚感を思えば、国葬という形は私の中では自然である。思想信条の異なる人の意見、閣議決定に至る経過が不透明だというご意見も承知しているが、他国であるインドやブラジルが国を挙げて喪に服してくれたことを思えば、9月27日には多くの国民にそっと目を閉じて頂きたい。

                                                          2022,7,22

熱波

 ヨーロッパ各地が記録的な熱波に襲われている。ロンドンでは19日、過去最高の40,3度を記録し、フランスやイタリア、スペイン、ポルトガルでは山火事が猛威を振るい、熱中症で1000人以上が亡くなったと報道されている。私の学生時代、バックパッカーでヨーロッパ各地を旅した際には真夏でも比較的涼しく、二つ星ホテルなどでは冷房設備がないところが多く、ロンドン市内のB&Bも冷房がなくても寝苦しいことなどなかった。温室効果ガスの排出削減が進まなければ、毎年この様な事態が引き起こされることだろう。国連も「気候変動はフェイクニュースではない。現実だ」と声を上げた。世界中の一人ひとりの意識変化と、先進諸国、発展途上国、そして独裁国家の頂点に立つ人間の地球存亡への危機感の本気度が試されている。

                                                          2022,7,21

第七波

 新型コロナウイルス感染拡大の第七波の勢いが増し、知人からは感染とコロナ療養施設に入るとの連絡を受けた。普段から感染予防には気を付けて生活をしていたが、猛暑の中で5キロのマラソン大会に参加し、完走後に地面に倒れこむように横になった際に、マスクを装着しないまま他のランナーと暫く横たわっていたことが、振り返ると感染の原因かもしれないとのことだった。療養施設生活は独居房の狭い空間に隔離され、閉所恐怖症に気付いて苦しかったとのこと。プロ野球、大相撲においても感染が広がっており、対策の網を擦り抜ける変異株に有効な手だてがない中、社会経済活動を継続する難しさを実感する。国民の気の緩みがないとは言えないが、終わりの見えない戦いに勝つには辛抱強さも試されている。

                                                          2022,7,20

都会っ子

 現代の都会の子供達は塾通いで可哀そうでならない。低学年の頃から本人の意思で塾に行きたいと親に申し出たのだろうか。学童期から数字を意識させられ、親に勧められるままに中学受験を経験し、偏差値の呪縛を解くことがないまま大学受験を迎える。社会に出てからは業績を問われ、定年もしくは肩叩きされるまで数字に追われる人生を送る。あまりに悲観的な視点で捉えすぎているのだろうか。どんな時代になろうとも、子供には年齢に応じた学びと遊びがあり、本で得た知識も体験して初めて知恵になるというものだ。読書時間も学年が上がるにしたがって減少しているという。塾の宿題が忙しいことが背景にはあるのかも知れないが、心の成長には良書を読む習慣は不可欠であり、全ての価値をものや数値で捉えて心の価値を見失っては、とても志を持った人生を送ることなど不可能である。塾通いが良くないとは言わないが、自立心を養う環境を整えなければ、個人も日本も衰退するのみである。

                                                          2022,7,19

連休の過ごし方

 夏の3連休、各行楽地は感染予防を徹底しながらの観光客の受け入れとなり、久しぶりに活気が戻ったようである。新型コロナウイルス感染者の急増は気になるところではあるが、基本的な感染対策を守りながら社会生活を取り戻す時期に入ったともいえるのか。三連休最後の今日は各高速道路も大渋滞となり、コロナも大移動していなければ良いのだが‥‥。それにしても日本の連休は休暇というよりも疲れが溜まる日とも言えまいか。コロナ以前から大型連休、年末年始の休みには民族大移動がおき、宿泊施設に至っては3~4ヶ月、ところによっては半年以上前から予約を入れないと取れない状況である。働き方改革も数値ばかりの改革先行で、必要なのは働きがい改革であり、折角の休暇も行き帰りでくたくたになるようでは、休暇も働いている方が身体は楽であるなんて方もおられるのではないか。当方も、久しぶりの長距離ドライブで、腰が固まってしまったようだ。最も連休に出掛けなければ疲れないのかもしれないが。

                                                          2022,7,18

備えあれば憂いなし

 高速道路を走行中に突然の大雨に見舞われ、ワイパーも自動的に最高速に動き始めたものの、前方を走る車のテールランプの明かりさえ見えなくなる、まさに“バケツをひっくり返した”という表現が当て嵌まる状況で、衝突事故が頭を過った。低気圧や前線の影響で大気の不安定な状態が続き、各地で災害級の被害が発生している。線状降水帯が暴れ放題である。ネットによる雨雲レーダーの確認も欠かせないご時世になりつつあるが、線状降水帯に狙われたら逃げようがない。そうは言っても自分は大丈夫?という油断が最悪の事態を招く。予想もつかない自然の猛威を予測し、あらゆる情報を取り入れながら危険性を見極める能力がこれからの時代は求められる。備えあれば憂いなし。

                                                          2022,7,17

日本の行く末

 皆さん、参議院選挙の結果内容が気になりませんか?自民党の単独過半数云々ではなく、なんでこの人が当選してしまうの?この立候補者に投票をした人たちの選択基準は何?と私は過去の選挙結果も含めて危機感を強めている。新聞の報道では、ある候補者が参院選出馬の理由を「一つはお金」と明言し、更には過去の違法賭博や詐欺まがいの行為で背負った借金を議員歳費で弁済すると言っているとのこと。呆れてしまって言葉がない。注目されているから、有名人だという理由だけでこのような人に投票する人がいるということに、この国の行く末が心配である。小規模政党が生まれ、既成政党とは違う視点からの意見が反映されることになれば、それは本来の民主主義の形であろう。しかし、あまりにも偏った内容や分断を煽るような考え方、それから常識・良識を欠く品格の無い人間には直ちに退場願いたい。このように考えてしまう私は人間の幅が狭いのか、泉下の元総理に尋ねてみたい。

                                                          2022,7,16

鼻うがいの重要性

 今年の夏は各地で3年ぶりに夏祭りが開催される予定だが、ここにきて新型コロナウイルス新規感染者数が右肩上がりだ。BA.5株の感染力は今までの34倍というから、ちょっとした隙があれば普段から感染予防に気を付けている方でも感染の可能性は高いということか。幸いにして今のところ重症患者の急激な増加は見られないが油断は禁物であり、病院関係者は最高レベルで備えを進めている。一方観光地の京都では、祇園祭の宵々山が始まり週末と連休にかけて観光客が大勢詰めかけることになりそうで、すでに阪急電車では改札などからスピーカーを通じてお囃子の音が聞こえているとのこと。感染への不安を抱えながらも多くの人が「待ちに待っていた夏」の到来を喜んでいるようである。アフターコロナではなく未だ“ウィズコロナ”であり続ける世の中で、祭りでの感染を防ぐ一段上のレベルで感染予防を考えたい人には“鼻うがい”を勧めたい。日本病巣疾患研究会ではコロナ以前から上咽頭の洗浄を勧めており、是非HPで確認して頂きたい。

                   2022,7,15

新聞の良さ

 「国民一人ひとりが国家観を持つ必要があるのではないでしょうか」というような話をすると、何か右翼的のように捉える現代人が少なくないと思います。しかし国を構成している最小単位は国民であり、その我々はやはり常に国のことを考える姿勢がどの時代においても求めれているのであり、他人事であってはならないのです。先日の参議院選挙の投票率は前回よりは上昇したものの、国のために一票を投じるという観点では極めて物足りない結果と言わざるを得ない。日々の生活に追われ、先々のことまで考える余裕などないという声も耳にする。それでも視野を、考え方を広げ、アンテナを張り巡らして国のために何が出来るかを考える習慣を身に付けようではありませんか。スマートフォンやタブレット端末を使い、ネットを通じてニュース記事を読んでいる人が最近は増えていると思いますが、読む記事が自分の興味内にとどまったり、右から左に読み進めるだけで、中身は覚えていないということもあるのではないでしょうか。その点新聞は思考力や判断力、想像力を養う大切なツールであり、アナログ的ではあるが必要なところに線を引いて情報を頭に入れ、その背景には何があるのかなど、自分なりに深く物事を考え、深堀することができる優れ物である。朝の10分ぐらい、自分の時間を作ってみませんか。


                                                          2022,7,14

留学

 「ニュージーランドで観た南十字星、澄み渡った夜空に輝く星の多さに感動しかなかった」と高校時代に留学をされた方が以前語っていたことがある。どれほど凄いのか気になりネット検索で調べてみたが、観たことのない光景に圧倒された。その方にとってはいつまでも鮮明な記憶となって星空だけでなく、留学先での出来事全てが宝物となることでしょう。また今月、昨年夏にデンマークに留学された当医院の女子高生の方が帰国され、検診の予約が入った。どんな体験を積んでこられたのか土産話を聞くのもそうだが、目を輝かしてお越しになられるであろう姿を見るのが今から楽しみである。当方を振り返ってみても、若い頃の人との出逢い、心を揺さぶられるような体験は一生の財産となり、考え方の視野を広めてくれると同時に価値観の多様性をも身に付ける切っ掛けとなる。留学をさせて下さったご両親様への感謝を忘れることなく、世の中に貢献できる素敵な大人への階段をこれからも着実に登って頂きたい。

                                                          2022,7,13

エアコン故障

 今週は戻り梅雨らしい天候が続くとの予報であり、本日は日差しはそれほどきつくはなかったものの非常に蒸し暑い天気であった。供給電力が逼迫していることから当医院でもエアコンの設定温度を高めの28℃にているが、なぜか今日はいつも以上に待合室が暑く感じられた。‥‥??なんとエアコンのスイッチランプが赤く点滅しているではありませんか!緊急事態である。急いで業者に連絡を取り修理依頼をするも、修理の依頼が多く、直ぐには対応できないとのこと。当医院は個室診療室のため、幸いにして診療自体は冷房の効いた部屋で行えるので支障はないのだが、会計時の待合室は南国のようになってしまったのである。それでも「外よりは涼しいですから大丈夫ですよ!」と気遣ってくださる皆様には感謝しかない。明後日には修理にお越し頂けるとのだが、修理の範囲で事が済むのか冷や冷やしながら業者の作業を待つことになりそうだ。

                                                          2022,7,12

思春期不器用

 中学生になる子供が、「最近身体が硬くなったかな?柔軟体操が足りないのかな?」と風呂上りに言ってきた。経験上、ストレッチを継続することで脚の開脚幅が拡がったり、体幹の回旋運動がし易くなったことはあるので、ストレッチと柔軟体操を勧めることにした。皆さん、「思春期不器用」という現象をご存知でしょうか。発育発達学の分野では、身長が急速に伸びる「成長スパート期」に身体のバランスがとりにくくなったり、動きがぎこちなくなったりする現象のことを指すようで、原因としては 1)身体の急速な発達に感覚器の適応が追い付かない 2)骨が伸びることで柔軟性が低下するーといった指摘があるという。従って、この時期に負荷が強すぎるトレーニングをすると、まだ未熟な骨や関節を負傷する恐れが強まるので、運動量や時間を増やしたり、強度を高めたりするのは禁物である。思春期の子供達の運動中の怪我は、長期的に競技に支障をきたすだけではなく、将来的な日常生活まで影響を及ぼすことがあるだけに、部活動の顧問、親、場合によってはスポーツトレーナーによるサポートも取り入れる必要もありそうである。

                                                          2022,7,11

参議院選挙

 今日は参議院選挙の投票日。日本国内外の諸問題を抱え、今ほど日本国民一人ひとりの意識が試される時はない。各候補者の思想信条・訴えをネットを通じて知ることも可能になり、期日前投票場所も多く設置されたことから、投票率のアップが期待されるところだ。山積する課題を先延ばしするだけであれば、国会議員としての資質も問われ、長期的な国家ビジョンもなければ有権者からは見放され、常識・良識がなければ品格が疑われるのが当然かと思うのだが、昨今の選挙では知名度があればある程度の票を獲得できてしまうという、有権者の資質が問われる時代になってきた。日々私たちは様々な決断を行い過ごしているが、その日頃の判断基準の軸の有無が候補者選びに繋がることは言うまでもない。私の判断基準は何かと問われたら、迷わず「生き方が美しいか美しくないか」の一言に尽きる。

                                                          2022,7,10

トレッキング

 我が家で夏山のトレッキングが恒例行事になっていたが、コロナ禍を切っ掛けにここ2年はご無沙汰している。今年はどこかの山をと思案しているが、新型コロナウイルス新規感染者が再び急増してきているのが気掛かりである。日常を離れ、自然の美しい景色を観ながら新鮮な空気に包まれるのは最高の贅沢であり、ニッコウキスゲや高山植物を目にした時にはその場に座ってゆっくり観賞するのもよし、雲の流れを追うだけでも頭も心もリセット出来る時間となる。学生時代に富士山を登山したことがあるが、五合目から当時の富士山レーダー観測所まで4時間ぐらい掛っただろうか。台風の接近もあり、8合目付近から軽石が飛んでくる中を前進したが、それも自然の威力を感じるには十分な体験であった。但し高山植物を視界に入れ、緑のマイナスイオンを浴びながら景色を楽しめるトレッキングのほうが、私には合っているようだ。

                                                          2022,7,9

安倍元総理

 まさかこのようなことが起きるとは・・・。安倍元総理が、国を守るべき元海上自衛隊員によって銃で殺された。歴史を振り返れば政治家が襲われ死傷する事件は繰り返されてきた。原敬、高橋是清、犬養毅など私からすれば歴史上の出来事であるが、約100年近く経過した今でも起きてしまった。各方面から、このような蛮行は許されない。民主主義への挑戦であり、最大限の言葉で非難するとのコメントが出されている。まともな人間であればこのような犯行には及ばないのであり、犯人がどのような教育環境で育ち、思想、考え方を持つようになったか、その背景の解明が待たれよう。戦後教育のひずみ、とりわけ人格の形成を欠いた教育、徳を積むことを忘れた知識詰込み型教育の弊害が社会の様々な問題、荒廃を招いていると思えてならない。日本社会の立て直しに必要なことは、短期的には経済ということになるかも知れないが、中長期的には人心の立て直しを今すぐ始めなければ、取返しのつかないことになるのではないでしょうか。

                                                          2022,7,8

政治家に必要なのは‥‥

 ロシアのウクライナ侵攻によって世界への小麦の供給が滞り、各国で価格が急騰している。食料自給率の極めて低い我が国は、このような危機に際して国としてどのように対応、対策を練っていくのか、外交・安保と共に3日後に迫った参議院選挙の焦点の一つになると当方は考えていたが、それに関する論戦は特にないまま投票日を迎えようとしている。各党とも票取りに繋がる目先の政策をアピールするものの、世界のあらゆる分野で低迷の一途を辿る日本の再浮上への長期ビジョンについては多くを語らず仕舞である。お金やモノなど目に見える資産を求める欧米流の資本主義ではなく、目には見えない「志」を軸にした政治姿勢・政治信条を掲げた政治家の登場を私は待ちたい。

                                                          2022,7,7

時間

 「もう7月ですね、今年も半分が過ぎちゃいましたね!」と言われると、改めて月日が経つのが早いと感じてしまう。子供の頃、小学1年生の夏休みは振り返ってみても一番長かった記憶があり、日数的にはさほど変わらないにも拘らず、高校生の夏休みは短かったようにも思う。同じ一年でも10歳の子供にとっては人生の十分の一だが、五十歳は五十分の一に過ぎない。年齢が積み上がるのに伴い、体感時間は相対的に短くなっていくという。したがって年月を重ねるごとにの時の流れを早く感じるのは気のせいではないらしい。同じ時間でも、子供は子供の時間幅でゆっくりと大らかに育てば良し、年齢を重ねた大人は経験値から時間を年々要領よく有効に使えれば人生も豊かになるというものだ。50歳を超えると疲労回復には若い頃よりは時間を要するが、時間の遣り繰りに疲労は感じない。

                                                          2022,7,6

打ち水

 道路や庭先に水を撒く打ち水。私の生活圏では今では見ることはないが、水が蒸発する際に周りの熱を奪う「気化熱」が作用して気温が下がるというもの。子供の頃にはご近所さん同士で朝夕になると涼を求めて見られた光景でもあった。ここ数日のような40度に迫るような気温上昇では、撒いた水も一瞬にして蒸発してしまいそうだが、都市部ではヒートアイランド対策や節電といった視点で見直されているという。先人の知恵は健在だ。世界の異常気象が原因であることはほぼ間違いないのだろうが、線状降水帯、50年に一度、などの気象表現は以前は聞いたことがなかった。今日はイタリアの巨大氷河が崩落したとのニュース報道もある。打ち水で過ごせるような時代に時計の針を戻すことは望むべくもないことか。

                                                          2022,7,5

負の連鎖

 ロシアによるウクライナ侵攻によって自国の領土が奪われていく状況を我々は映像を通して毎日目にしているが、人々の悲嘆にくれる表情を見るたび、複雑な思いが胸をよぎる。ごく普通の暮らしをされていた人々が、偏った考えを持った独裁者によって虫けら同然に殺戮されていく。こんなことが今の世の中で現在進行形であることが未だに信じがたく、世界中で絶えることなく続いている紛争などから我々は目を背けて現実と向き合わなかっただけなのか。戦後70年が経過し、いつまでも戦後と言われる世の中であることを願うが、地政学的にも日本を取り巻く環境は厳しい。犬養道子さんが難民を救う活動の中で出会った難民女性が語った「私は相手を恨まない」の心を全世界の人々がもたなければ、負の連鎖は止められない。

                                                          2022,7,4

品格

 日頃から心掛けていることが人の姿勢や立ち居振る舞い、ふとした時に見せるちょっとしたしぐさに表れ、その方の品格や気品、品性といったものを感じることがある。武士道の中で「武士の教育で第一に重んじられたのは、品格の形成であった」新渡戸稲造は述べているが、この“品格の形成”こそ秩序の乱れた、常識や良識の欠けた今の社会を立て直す切り札ではないだろうか。躾の基本は家庭であり、学校ではない。昔ながらの日本家屋にお住まいの方は多くはないと思うが、「畳の縁を踏むな」との教えを守らせるだけでも振る舞いは美しく変わるものではないか。「常に善きことを考え、人のための善き行動を執ることで、物事は善き方向に向かう」とある経営者が語っていた。「そこはかとなく醸し出される雰囲気」の要素として言葉遣いも含まれよう。「ぜんぜんだいじょうぶ!」なんて言っているのは論外であり、何気ない毎日を美意識を持って身を律しながら過ごすように心掛けたいものである。

                                                          2022,7,3

勤勉さ

 ギャラップ社が2020年に実施した企業の意識調査では、日本企業は「熱意あふれる社員」の割合が僅か5%、米国34%、中国17%と比べても大幅に低く、世界で最下位レベルである。つまりやる気のない社員で会社・企業が構成されていれば、成長できないのも頷けるというもの。働き方改革とは名ばかりで、このままでは日本は衰退の一途を辿ってしまっても不思議ではない。吉田茂は「日本には資源はないが、勤勉さという財産がある」と言い、戦後の日本人はよく働き他国のお手本とされるまでになった。それが今では労働時間の短縮だけを目指した結果、愚直に働く、勤勉に働くことを蔑ろにされる風潮があるように思えてならない。「仕事というのは好きな仕事に就くのか、就いた仕事を好きになるのか、このどちらかでしかない!」ということが分かっていれば、楽なほうへ易きほうへと流れてしまうのではなく、志をもって仕事を成し遂げる姿勢が、日本復活への原動力となるように思えてならない。

                                                          2022,7,2

箸の使い方

 食事は朝、全員が揃ってするのが常であり、手を合わせて“いただきます!”というのは今は昔なのか。生活スタイルの多様化もあり、家族であっても起床時間は各自に合わせてというご家庭も多くなっているのかも知れないが、疫病、災害、戦争が次々と起きる世の中にいると、これまで当たり前と思っていたことの意味を改めて考えたくなる。起床したら「おはようございます!」と親に朝一番で挨拶するのが我が家では基本であるが、そうすることで普段と変わらないことを確認し合えているものである。躾の基本は親次第であり、「子は親の鏡、親は子の鑑」と言われる所以だろう。日本人であれば誰もが箸を使う機会はあると思うが、最近の内閣府の発表では、18歳以上で正しい箸の持ち方が出来る人は54%という。食事のルール、とりわけ箸の使い方を美しくすることが今では躾の基本となりそうである。

                                                          2022,7,1

心の余裕

 小学生が週5回の塾通いとなればいつ遊んでいるのかと心配になるが、この界隈のお子様は塾に行かないと遊べない?友達が出来ない?という裏事情があるらしい。子供達はどこで息抜きをしているのだろうか。ボーとする時間は大人も子供にも必要であり、ただ課題をこなすだけの教育は果たして教育と言えるのか疑問である。幅跳びを遠くに飛ぶには適度な助走距離が必要なように、物事を深く掘り下げて考える習慣を身に付けるには、自分と向き合う何もしない時間が必要ではないだろうか。少なくとも私は小学生の頃に塾に通うなどという経験はなく、学校から帰ればグローブとバットをもって公園に行く野球少年であり、今の時期であればゴミ処理場に併設されていた屋内プールで友達と泳ぎ、あれこれ皆と喋りながら帰ってくるのが楽しいひと時であり、会話を通じて物事を考えたりしたものだった。今とは時代が違うと言われるかもしれないが、いつの時代であっても人間の成長はアナログであり、心の成長には“待つ”という姿勢も求められよう。塾では受験問題の解き方などを指導するのだろうが、今の世の中は頭で考えることばかりが重視されて、いつの間にか形や数値に表れない「こころ」の在り方が評価され難くなっている。小学生が塾通い疲れで頭痛持ちと聞いたら“エッ?”と聞き返したくなるのはきっと私だけではないと思いたい。

                                                          2022,6,30

関心の幅

 ネットで本を購入すると、「あなたにお薦めの本は・・・」などとメールで知らせてくることがある。一見すると関心がないわけではないので、誘い水にのって購入したくなるが、これがネットの怖いところである。現代のようなデジタルメディア全盛の時代では、自分の興味分野ばかりに目が向かい、「視野を広げる」「視座を高める」といった学びがなかなか難しい環境にあるのではないでしょうか。似たように新聞の電子版は通勤途中でもスマホで読めるので重宝ですが、気が付くと捲る画面がほぼ毎日同じ面ということが少なくない。ところが紙面の新聞を読む場合には、一面が目に入ってくるので自然と自分の興味・関心の幅が広がる。ネット社会になるまではそのようなことを意識したことはなかったが、自分の関心を広げる環境は大事にしたい。

                                                          2022,6,29

更なる温暖化

「暑いですね~!異常ですよね、この気温と湿度😣」で始まるお越しになられた方との会話。陽射しが入り込む診療室の窓とブラインドの間は、まるでサウナのような温度上昇である。冷房能力を最大限にあげて室内を急冷したいところだが、電力逼迫の折、節電要請に応じた対応をせざるを得ない。全国各地での気温上昇を踏まえ「熱中症の懸念もある。無理な節電をせず、クーラーを上手に使って乗り越えてほしい」と政府も国民にむけて呼びかけている。地球温暖化対策に逆行する形で2つの火力発電所を再稼働して夏の供給力の確保に万全を期すと岸田総理は語ったが、数値目標をあげるのは簡単でも、実際に実行に移すことは簡単ではないことを露呈した形であり、世界規模の温暖化が一向に収まる傾向にないことは確かなようである。

                                                          2022,6,28

有権者として

 最寄りの駅にて参議院選挙の候補者が演説を始めるようになったが、通勤時間帯に足を止めて話を聞くひとなど一人もおらず、それでも顔と名前をアピールするには十分なのか。有権者は候補者の何をみて投票先を決めるのか。過去の世論調査では、政策、政党、人柄を中心に候補者を選ぶとのことだが、候補者の可能性、伸びしろの有無、そして何よりも品格を重視したいと私などは思ってしまう。その際に経歴や肩書は参考になることはあってもあくまで判断材料のごく一部分であり、その方に一貫したものがあるかどうかが決め手になる。目先のことばかりを訴える小粒な人間ではなく、常識、良識、見識、更には大局観のある人物が国政には必要であり、後になってなぜあの人を選んだのかを説明できる選択の仕方をしたいものである。

                                                          2022,6,27

品格

 故中曾根康弘総理は首相在任の忙しい中でも必ず30分は書物を読んで修養の時間を確保していたという。あのレーガン大統領とも対等に渡り合えた姿には、日本人としての品格、矜持が読み取れた。品格は決して一日してならずであり、内的世界をいかに豊かにして生きているかということが普段表れているのだと思います。その品格ですが‥‥、本日のある番組における各政党の論戦の参加者の中に、以前キャバクラ通いしていることをスクープされた政治家が堂々と出演していたことに、日本の政治レベルの劣化を見たような思いがした。「社会勉強の一環として行っただけで‥‥」と記者に問い詰められた末に苦し紛れに答えていたのは確かあの政治家だと思うのだが。そんな人が、今の国際社会の中で日本のすべき役割を果たせるのかと私は問うてみたい。人間の核心部分はそう簡単には変わらないのではないでしょうか。表層的な部分はメッキが剝がれるまでは体裁を保てるかもしれませんが、人の真価を決めるのは徳ではないでしょうか。堅苦しい難しいことを私は求めているのではありません。何気ない毎日を美意識を持って丁寧に過ごす、心の在り方を大事にしている人に、日本の未来を託したいと思いませんか。 

                                                          2022,6,26

改善改良

 足裏の種子骨炎の回復が思わしくない。若い頃であればそのうちに治っていただろうに、これが歳を取ったということか。専門医に“日常生活で特に気を付けることはない”と言われた以上、足の状態と相談しながらジョギング程度ではあるが、今朝から10月の横浜マラソンに向けて再始動した。それにしても今日は蒸し暑い。早朝すれ違うランナーも汗だくであり、例年であれば梅雨真っ只中のこの時期に走れるのはランナーとしてはありがたいことなのか。下ろしたてのマラソンシューズは今までのものとは履き心地が違うだけでなくソールの作りが自然と足が踏み出すような形状になっており、これで走れば私でもタイムを縮める気にさせる優れものである。どの業界も製品の改善改良は進んでいると実感させられる。当医院も来月にはマイクロスコープ(実態顕微鏡)を最新の機器に交換し、今まで以上の臨床結果を残せるものと確信している。但し、大事なのは医療機器ではなく、人間であることは重々承知の上である。   

                                                          2022,6,25

未来を担う子供達

 最近の子供は、ちょっとした困難や嫌なことがあると、それらを上手に乗り越えられずにやる気を失い、すぐに挫折してしまうことが多いと、教育関係者が述べているのを耳にしたことがある。最近の子供とはいつの時代と比較しているのか‥‥。私が子供の頃にも似たようなことを言われていたと思うが、今は一つのことにしっかりと時間をかけて継続して向き合うことがしにくい、出来ない環境になっているのか。また子供の意思が尊重されることなく、親が敷いたレールの上をお利口さんに歩んでいくことが良いことだと、親も子もどこかで認識している節があるのではないか。当医院にお越しになられているお子様たちから話を聞くと、兎に角習い事に割いている時間が多く、自分と向き合う時間はあるのだろうかと他人ながら心配してしまう。子育てで大事なことは、自立へ向けて自信を育て上げることであり、自分の意思に基ずく小さな成功体験の積み重ねが自分への信頼、自信を創り上げ、メンタルヘルスにおいても心の折れない強い人間になっていくのではないでしょうか。大人の縮小版のような子供ではなく、表情豊かな子供達に育つことを願うばかりである。

                                                          2022,6,24

選挙戦の主要テーマは?

 街が陥落し、犠牲者が増え続けるニュースに触れるにつけ、報道馴れしてきている自分が怖い。ロシアによるウクライナへの侵攻にもかかわらず、市民の命を守るために一刻も早く停戦に至る落としどころを探す必要があると、ある報道番組の解説者などは語っているが、何か引っかかりはしないか。双方が戦争をしているのであれば停戦ということになるが、ロシアが一方的に隣国へ侵攻しているわけで、ウクライナ側にしてみれば到底受け入れられるものではあるまい。自国の領土を力ずくで奪われて黙っていられるはずがない。このような状況下において、国防がこの度の参議院選挙の主要テーマになると思いきや、野党の皆さんからは物価高に焦点を当て、消費者目線で選挙戦を戦いたいなどということを声高々に言い出している政党もあり、相変わらず長期ビジョンのない、不戦を唱えている危機感のない人たちには国政は任せられない思いである。日本が侵攻されないようにするにはどうすべきなのかを党首討論すべきであり、今しないでいつするのでしょうか。侵攻されてからでは物価高どころか、議員バッジすら存在価値はなくなりますよ。

                                                          2022,6,23

桑田佳祐さんの平和への想い

 “この頃平和という文字が朧(おぼろ)げに霞んで見えるんだ、意味さえ虚ろに響く~”桑田佳祐さんが66歳の同級生、世良公則、野口五郎、Char、佐野元春らと共にチャリティソングを制作、今話題になりつつある。コロナ禍、ロシアによるウクライナ侵攻のなかで、我々には何が出来るのかと問い掛けている。“No More No War 悲しみの黒い雲が 地球を覆うけど”桑田さんたちが歌に込めたメッセージが熱い。「時代遅れのロックンロールバンド」の5人は、私が中学、高校生時代にデビューし、テレビやラジオ、そしてレコードを購入してよく聴いた面々である。皆さん歳を取ったが格好いいし、素敵だし、楽しそうだというのが、当時の彼らを知っている世代の感想だろう。日本国内だけではなく、世界中に安全保障に対する危機が漂っている空気感を歌を通してストレートに表現されている。それぞれがシンガーソングライターとして第一線で活躍してきた点の存在が、今回5人の線となって一人ではできないことをしようとしている。いつの時代になっても争いが絶えない世の中で、平和を願う歌は、世界の人々の心に響く名曲となろう。

                                                          2022,6,22

 東山魁夷画伯の「道」は平坦な道なのか、上り坂、下り坂のいずれかを描写しているのか。一枚の絵を眺めていると、自分の歩んでいる“道”はどんな風に描くことができるのだろうか、と考えたことがある。勿論、私などにプレゼンできるような絵を描くことは無理だが、たった一字の漢字「道」は、生きていく方向性や筋道、そして志を意味するなど広いイメージを共有できる素敵な漢字である。これから未来に向かっていく道でもあれば、歩んできた道でもある。迷うことがあっても自分の道、自分らしい生き方が出来ている人は、分岐点や迷い、困難に突き当たっても、大きくブレたり、惑わされることなく切り抜けることが出来る。ダイバーシティ、多様性が求められる社会の中で、自分らしさを見失うことのない「道」を歩むことは、仕事や人生において意外と簡単なことではない時代になりつつあるのかも知れない。

                                                          2022,6,21

包括的歯科臨床

 咬み合せが原因で歯の神経を抜く処置を受けたと思われる方がお越しになられた。その方曰く、「数年前からこの歯が痛くなると右の首筋から肩が凝っていたんです」。口腔内を診るまでもなく、咬合性外傷による胸鎖乳突筋の凝り及び奥歯の急性歯髄炎が疑われた。我慢できない痛みが発現しているのであれば、応急的に痛みを取り除くことは疼痛の程度によっては致し方ない。しかし、なぜ痛くなったのか、根本原因を正さなければ同じことが繰り返されることは、素人の方であっても少し考えて頂ければ分かることである。問題は、分かって頂くための環境を歯科医院側が提供できているかということであり、要は時間的余裕である。仮に歯科医師の診断が正しかったとしても、症状を抱えた患者が理解するには口頭だけでは伝わらないことがある。いや、歯科治療に関しては、もしかすると多くの方はご自身の状態を詳しく把握しないまま治療を受けているのではないか。その結果どうなるか。抜かなくてもいい歯を抜かれた、削る必要があったのか、気が付いたら神経を抜かれていた、などということが、今の歯科医療でも行われている現実がある。「対処療法的な治療の結果はどうなるのか」「最善な、理想的な治療とはどのようなものか」「数年後にはどのような状態が想定されるのか」など、全ては長い人生を通した時間軸の中で、変化するリスクの中で、包括的な治療をする視点が必要である。一期一会、二度とない時間をお互い大切にしたいものです。


                                                          2022,6,20

真っ当な政治家

 参議院選挙が行われるが、政治家を選ぶのが国民である以上、品位に欠ける政治家が当選したり、当選後に不祥事を起こす議員が後を絶たないのは、結局は選挙民である国民の民度が下がってきているということに尽きる。「天下の大患はその大患たる所以を知らざるにあり」と言ったのは吉田松陰であり、日本の大きな災難は、多くの人々が今我が国は大変な災難の中にあるということを知らないでいることだ、と憂いているのである。コロナ禍、円安、ロシアによるウクライナ侵攻にみる独裁国家による力による現状変更の試みなど、まさに内憂外患の時にある。内憂については、個人主義的な考え方が幅を利かせてきており、自分の権利を主張するあまり、一国民としてのあるべき行動という意識が希薄になってきているのではないか。「和を以て貴しとなす」と我々が学んだ教えを思い出し、一人ひとりが国のために何をなすことができるのかを考え、真っ当な政治家を選出しようではありませんか。


                                                          2022,6,19

マナーの悪さ

 マナーの良い日本人はどこに行った?と問い掛けたくなるほど迷惑な人間が多くなったと思いませんか。最寄りの駅から到着した電車に乗る際に、扉が開くとその中央にはホームに背を向けながらスマホをいじる若い男性が立っているではありませんか。乗降口である中央に立って車内の奥に移動するでもなく、ホームから通勤客が搭乗し始めているにも拘らず、一向に退こうとしない。誰もが「迷惑な奴だな!」と視線を送るが注意まではしない。私は一言云いたくなる質であるが、以前路上駐車を注意したところ絡まれて、警察の方に“いろんな方がいて、良識に欠けた輩が多くなっているので何かあったら警察に直ぐ連絡をください。危害を受けてからでは遅いですから。”と言われたことを思い出し、その場は前に倣えで電車に乗り込もうとしたが、私の前にいたガタイの良い男性はなんと体当たりして車内に乗り込んでいったではありませんか。「スマホに夢中になるのも結構だけどな、お前ひとりの電車じゃねんだよ!何か文句あるか!」。褒められる行動ではないかも知れないが、公衆の迷惑を何とも思わない人種に対して寛容な態度でいるにも限界がある。「少しどちらかに寄って頂けますでしょうか?」と声掛けをしてみますかね。


                                                          2022,6,18

創造的思考

 創造的思考、自分の力におごることのない謙虚さ、厳しさと寛容さのバランス、この3つがリーダーに必要な条件であると亀山郁夫先生が述べられている。ご本人は国立と私立の外語大の学長を15年務められたので、模範的なリーダー像なのかと思いきや、ご本人は文学者であるので、文学は人間精神の根本を見つめ混沌として迷いがある。常に迷いの中にあるような人間は、割り切って行動が出来ないので、人を率いるようなリーダーには向いていないと語られている。教養の塊のような方の言葉には重みがある。「ロシア文学、特にドストエフスキーが私に教えてくれた究極の精神は正直であれ、ということ。」とも述べている。そのロシアのリーダーは、自国の文学を学んだことはないのだろうか。欺瞞と嘘に塗り固められた人間に、どんな創造的な思考があるというのか。


                                                          2022,6,17

健康に生きる

 「どうして削ったかな・・・」と思わざるを得ない治療痕を診ると、患者への説明と同意を得て処置をしたとは到底思えないケースが残念だが多々ある。歯の表面の硬組織エナメル質を削った時点でエナメル質の組織としての連続性が遮断され、エナメル質の咬合力に対する抵抗力は低下する。勿論、大きな齲窩が存在し、歯質の感染拡大を防ぐ必要がある場合には止むを得ず歯を削ることになるのだが、むし歯でもないのに歯が痛いという症状だけで歯を削る処置をするのは如何なものか。むし歯でなくても歯が痛くなることはあるということをこのブログを見られた方には知って頂きたい。咬み合わせによる外傷といって、歯並び・咬み合わせの乱れ、不正咬合がある状態で夜間無意識時の強い歯ぎしりがあると、特定の歯に持続的な力の負担が掛かって歯が痛くなるというものだ。そのような場合は機能的な歯列矯正治療を行うことで、咬合力による痛み、歯冠及び歯根破折のリスクを軽減させることが優先されることが多い。但し、似たようなケースでも個々人の口腔内は一人として同じことはないので、先ずは口腔内を読み解くことが何よりも重要であり、受診された方も治療を考えるだけではなく、症状の発現した経緯をしっかり理解することが求められる。これは今の時代を健康に生きていくためには不可欠なことである。


                                                          2022,6,16

知行合一

 お隣さんの庭に毎年咲く色とりどりの紫陽花が美しい。近年は水色やピンク、白、更には表現できないような淡い色までまるで万華鏡のようでもある。通勤途中でもついつい足を止めてスマホで撮影をしたくなる。花の色が土壌によって変わることは知られているが酸性だと青っぽく、アルカリ性だと赤みを帯びるやすい。“朱に交われば赤くなる”の如く、人も育つ環境によって感受性や身体の感覚も異なるようである。単なる物知りでは困るが、頭の中だけにある知識というのは何の役にも立たない。知識というのは体験を通して初めて本物の知恵となってその人の人生・仕事を発展させていく本物の力になる。若い時から知行合一、言っていることと行っていることが合致する、そういう人物を目指さなければ、ただ年齢を重ねても薄っぺらい人間になるだけである。


                                                          2022,6,15

ストリートピアノ

 “街角ピアノ”、“空港ピアノ”などのストリートピアノを紹介するテレビ番組があるが、最近は駅、地下の大通りなどで自由に弾いている人を見かけることがある。当方は幼少の頃はピアノの鍵盤を叩くことが好きでピアノを習っていた時期もあったが、今では楽譜すら満足に読み込むことが出来ない。誤解のないことを願うが、決して視力が衰えたということではない。したがって、友人や親子で即興で連弾する人や、周りに人だかりが出来るくらい上手に弾いている人の姿は、なんとも羨ましい限りである。指先を使うピアノを継続して弾いていれば、頭の回転も今以上に早かったかもしれないと思うと、残念至極である。我が家には子供達が使う電子ピアノがあるのだが、夜間はご近所に配慮してヘッドフォンを使用している。ならば今度は家族の迷惑にならぬよう、私がヘッドフォンを掛けてこっそり練習を積み上げて、ある日サプライズさせるという企画はどうだろうか。但し、先ずは指が攣らないことを願うとしよう。


                                                          2022,6,14

旅の楽しみ方

 20代の頃、ヨーロッパを旅するバックパッカーにとって「地球の歩き方」と「トーマスクックの時刻表」は必携だった。旅先で昼食後に目的地のガイドを探していると、同じ地球の歩き方を持った若者に声をかけられたりもしたものだ。但し、同じ本のハングル版があるとは当時は知らず、「アニョハセヨ!」と声掛けされた際には「イルボンサム」と言い返したこともあった。旅の出会いは良いもので、そんな切っ掛けが数年後にソウルの自宅に呼ばれるようなことになろうとは露ほどにも思わなかった。コロナ禍で世界を旅することも出来なくなればガイドブックも売れずじまいかと思いきや、商魂たくましいというよりも素晴らしいアイデアというべきか、従来とは異なる「異世界の歩き方」を紹介している。読者の旅行をしたい思いが高まっている表れでもあり、今までとは視点の違った旅の楽しみを発見できるかもしれない。


                                                          2022,6,13

価格高騰

 衣料品、食品、ガソリン等ありとあらゆるものが値上がりしているが、価格優等生のバナナは20年以上横ばいで推移してきたそうだ。しかしそのバナナも今回は値上げを避けられないようである。スーパーの店頭には、エクアドルやメキシコ産バナナも見受けるが、フィリピン産バナナの占める割合は高い。新型コロナウィルスやロシアのウクライナ侵攻の影響を受け、肥料価格やコンテナ船による輸送費などが高騰し、生産者はほとんど利益を出せずにいるとのこと。コスト上昇に悩んでいるのは世界各国、どの業種も共通しているようで、歯科業界も例外ではない。価格据え置きでも内容量を減らして販売すれば実質的な値上げになるが、歯科で使用する金属の場合はそうはいかない。メタルフリーの処置が生体にとっては望ましいかもしれないが、適応箇所によってはメタルが好ましいケースもあり、頭の痛いところだ。


                                                          2022,6,12

レジャー復活を期して

 数年前の夏、沖縄・座間味諸島を訪れた際の海の美しさは格別で、短パンのまま海に潜って泳いだ目の前にの光景が忘れられない。手の届きそうなところにウミガメがいるではありませんか。海面まで上がって呼吸をするときの息遣いを聞いた時は、全てを忘れて童心に帰っていた。そんな海を思い出させるような美しい海が湘南・葉山にも存在した。湘南の海のイメージは砂浜で海水は濁っているが、先日訪れた海岸は砂利のため、遠浅で海水が透き通っていた。さすがにウミガメには遭遇することはないだろうが、魚を目視できるだけでも非日常を味わうには十分である。新型コロナ感染者数が減少に転じており、海水浴場が今夏、3年ぶりに再開するところも多いのではないでしょうか。報道では都民割り、県民割りなどレジャーを後押しする動きが盛んであり、観光復活を期する今年は、海水浴場だけではなく、観光各地で夏本番が待ち遠しいようだ。

                                                          2022,6,11

デンタルフロス

  15年ぐらい前になるだろうか、俳優のトムハンクスが、「生まれ変わったら先ず何がしたいですか?」という質問に対して、「歯を磨く際にフロスを使うようにする。」と言ったことがあった。周りの報道陣は・・・?彼が伝えたかったのは、当時口腔内に存在する細菌が全身疾患を引き起こしている可能性が高いことが分かってきた頃であり、口腔細菌バイオフィルムを除去する必要性をアピールしてくれたのだ。以前にこちらのブログでも取り上げたが、歯周病菌の関与が疑われる心筋梗塞、動脈瘤などでは、病巣から歯周病菌の中で最も一般的なポルフィロモナス・ジンジバリスが実際に検出されたという報告が当時からある。口腔ケアの重要性は単にむし歯や歯肉炎、歯周病の予防という意味だけではなく、全身の健康に繋がるという意識で捉えて頂きたい。定期検診におけるクリーニングでは細菌バイオフィルムの破壊、除去を行うが、日々のセルフケアが疎かでは、年に数回のプロフェッショナルケアを受けてもその効果は限定的である。歯磨きに自信のない方は、先ずは正しい磨き方の習得から始めてください。


                                                          2022,6,10

ジャパン

  バブル崩壊後の失われた30年はなぜ起きてしまったのか。果たして30年で済むのか。近年の日本の国際競争力の低下を見れば、40年、あるいは失われた50年を歩き始めているのかも知れない。当方は経済学に関しては素人ではあるが、政策や構造的な問題でなく、個々人の意欲低下が国を引っ張る原動力の低下に結びついていると考えてしまう。社会全体が成功体験に浸ってしまい、知らず知らずのうちに新しいことにチャレンジすることに積極的ではない。戦後のどん底から這い上がり、失うものは何もないとただ我武者羅に働いた先人たちの姿を見習う時である。松下幸之助、本田宗一郎、盛田昭夫など名経営者の考え方、哲学を心を無にして学んでみては如何か。親世代にチャレンジ精神が欠如していれば、そのような環境下で育てられる子供は、失敗しないように、兎に角安定志向にとなれば、行動に移す前に頭で考えて結論を出し、結局は一歩も踏み出さない“そんなことしたってしょうがない。”となり、失敗から学ぶという姿勢から遠ざかることになろう。変化を恐れ、現状維持を無意識に優先する雰囲気は、間違いなく社会と人の成長をマイナスに導く。各々が、今の置かれた立場で果敢にチャレンジし続ければ、数年後には再び“ジャパン アズ ナンバーワン”と言われる日が来ると信じたい。


                                                          2022,6,9

トップガン 

  映画館に足を運んだのは何年ぶりだろうか?韓国映画「シュリ」を観たのが23年前だからそれ以来になるのか。そしてあの「トップガン」のマーベェリックに35年ぶりに会ってきた。一作目は当時大学浪人中でメンタル的に押しつぶされそうな時でもあり、現実逃避したい自分と、そんな弱い己を奮い立たせるもう一人の自分を求めて何回も映画館に通った。さすがにワンシーンごとが脳裏に焼き付いており、受験には役立たない英語のセリフも記憶してしまったぐらいだった。今回のトップガンでは、35年前を回想しながら心を揺さぶられるシーンがあり、当時の自分の心理状態を思い出しながら現在に至った自分思い出し、歳をとるのも満更でもないと、気付くと感傷に浸っていた。またドルビーシネマの映像と音響のパワフルな技術による鮮やかでリアルな映像・サウンドには、これ以上ない臨場感を味わうこともでき、“今どきの‥‥”を知ることが出来たのは大きな収穫でもあった。


                                                          2022,6,8

役所仕事

  自動車納税証明書の発行手続のため役所に出向いたが、発行手続きは16:30までということで20分ほど時間を過ぎてしまっていた。こちらがHPなどで事前に確認を怠ったことに非があるので仕方がないのであるが、心情としては何とかお願いできないものかと思ってしまった。窓口の方から、「先程お電話でご連絡をくださった方ですね。申し訳ございませんでした。私が電話に出たのですが、手続きの受付時間をお伝えしませんでしたね。お客様に時間があるようでしたら、このままお待ちいただけますでしょうか?」とのこと。それから5分ぐらい経過したでしょうか。「発行手続きをさせて頂きますので、必要書類を預からせてください」。なんという神対応。見える範囲の他の職員の方々は、各自机に向かって黙々と業務をされていたので、おそらく担当してくださった方は、仕事を中断して私に応対してくださったのでしょう。証明書を窓口で受けとる際には、「せっかくお越し頂いてそのままお帰り頂くわけにはいきませんでしたので良かったです!」。私に割いた時間はそれほどではないかも知れないが、業務の流れを断ち切らせてしまったことに申し訳ない気持ちと、時間外での判断、対応にはその方の人柄が表れているように思えてならない。役所の手続きには何かと待たされるイメージがありましたが、今日の窓口対応には“あっぱれ”を差し上げたい。


                                                          2022,6,7

早めの準備と行動

  先月下旬頃から最高気温が25度以上の夏日が記録され、一気に夏へと向かうのかと思いきや、今日のように肌寒い天候になったりと、この時期の服選びと体調管理は気を遣う。特に身体が暑さに慣れていないので、急な気温上昇は熱中症に注意が必要である。また、この時期になると全国各地でゲリラ豪雨や雷雨に伴う雹(ひょう)、台風による自然災害が発生しており、今年も起きないかと危惧される。“備えあれば憂いなし”とは言うものの、自然が相手では敵わない。更に、新型コロナ感染者数が減少傾向にはあるものの依然として終息はしておらず、コロナ以前のような暮らしやすい生活とは言えない状況である。外交問題まで含めて様々なリスクを我々は抱えながらも、不安を抱えて暮らすのではなく、何事にも早めの準備と行動が求められている。


                                                          2022,6,6

スピード違反

  高速道路の追い越し車線を走行中に、前方を走る2台の車が左側の走行車線の車を抜くと同時に不自然な速度減速で左車線に進路変更をした。高速道路をよく運転される方であれば御察しがつくと思いますが、そうなんです。覆面パトカーがまるで獲物を待ち構えているかのように鳴りを潜めて走行していたのです。当方も右へ倣えで走行車線に戻り、あろうことか覆面の後方をしばらく追尾することにしたのです。制限速度を超えて走行することは違反になりますから許されることではありませんが、覆面パトカー🚔の存在を皆さんどう思いますか。スピードを違反を起こさないように注意を喚起することが主目的であるならば、常に赤色灯をまわして走行すべきであると私は考えるのでありますが、まるで誰かが早く速度違反をするのを待っているかのようなパトロールの仕方は言ってみればニヒルなやり方とでも言うのでしょうか、どうも賛成できません。走行車線を走ること数秒後には、追い越し車線を明らかに速度超過で過ぎ去るドイツ車に抜かれると同時に前方の車の上には赤く光るものが点灯され、猛スピードで追いかけていく決定的瞬間を目の当たりにしたのです。スピード違反常習者もいれば、うっかり少しアクセルを強く踏んでしまって速度超過してしまうケースもあることでしょう。違反ドライバーに対して、高速警察隊の人がどのような接し方、言い方で指導をされるのかによってドライバーの改心の仕方も変わることでしょう。注)スピード違反は厳禁です。


                                                          2022,6,5

体幹の歪み

  ランニングをされている方には足底腱膜炎や種子骨炎という病名は馴染みがあるかも知れない。いずれも治癒するまでに時間が掛かり、再び走り始めるまでどのくらい時間を要するのか分からないのが気持ちを焦らせる。“急がば回れ”でここはしっかりと治すつもりではいるのだが、足裏だけに普段使わないわけにはいかず、無意識のうちに足裏を庇い始めて他の筋肉に張りが出てきたようだ。「運動をよくする人はなり易いですよ。逆の言い方をすると、普段から運動を全くしない人には起こらない症状ですけどね。」と診査診断された専門医の所見である。まさか気休めで所見を述べることはないだろうが、結局のところ治療で治るというよりは、身体のバランスを整えることで、足裏への過重負担を軽減させるしかないようである。体幹の歪みは子供であれば改善も可能だが‥‥。起床時、就業時前後のストレッチに掛ける時間が長くなりそうである。


                                                          2022,6,4

品格と徳

  2年余りに及ぶ新型コロナウィルス感染拡大、そしてロシアによる理不尽極まりないウクライナ侵攻によっていとも簡単に人類が築き上げた物質社会が崩壊していくのを目の当たりにすると、我々人間が地球上に存在する価値は何なのかと考えさせられる。人間がいなければ自然環境破壊など起きず、今のような大気汚染に悩まされこともなく、動植物も食物連鎖による循環淘汰が行われるだけで、美しい地球が守られることだろう。まるで夢のようだ。せめて動物たちに笑われないような人間に戻れないものか。信仰する宗教の有無は関係ない。人の真価を決めるものは何か、一人ひとりしっかりと考えてみては如何でしょうか。品格を磨き、徳を高めること以上に、人間を正しい道に導くものはないと、世界の指導者に伝えたい。


                                                          2022,6,3

保冷剤

  生鮮食品や冷蔵物を購入すると、「お持ち歩きの時間はどのくらいですか?保冷剤をご用意いたしましょうか?」と聞かれませんか。鮮度を保つために出来れば一緒に詰めて頂きたいのだが、使用した保冷材の行き場に困ってしまう。いつか再利用できると思えば捨てるには勿体無い代物であり、かといってその都度冷凍庫に保管するのでは、冷凍庫の収納スペースが占領されてしまう。今のところある程度の量が溜まってしまうとゴミとして処分しているが、ごみの削減にも逆行していることになる。皆さんは何か有効活用していますか。これからの暑い季節のランには、持ち歩くと首元を冷やす際には重宝するが、やはり使用後はゴミになる。瓶の再利用やプリンターインクの回収が行われているように、スーパーマーケットなどによる回収、再利用は行われないのだろうか。先日の夏日には、散歩するワンちゃんの背中に馬の鞍のように保冷剤を乗せている飼い主がおられたが、それも有効活用のひとつか(笑)


                                                          2022,6,2

明確な意思

 東京都の新型コロナ感染者数が減少し続けており、今日は1週間前の水曜日より1500人少ない2415人で、前の週の同じ曜日を19日連続で下回りましたと報道されており、GWが明けて既に1ヶ月近く経過した今、陽性者数は減少傾向を辿り、どこか安堵感が出てきているのか、ニュースにおける扱いも以前ほど時間が割かれなくなってきている。かれこれ2年有余年も続いてきているコロナ禍ですが、ワークスタイルやライフスタイル、そしてコミュニケーションスタイルにも変化を感じる機会が多く存在します。当医院のような業種におきましては、テレワークは馴染まないと捉えておりましたが、集計業務や各種データ分析といった管理業務は一般企業と同じテレワークが可能であることに気付かされました。我々は常に変化する環境に適応しながら、起きつつある大きな価値変化を敏感に察知しながら仕事、生活をしていかなければなりません。周りがするから自分も同じようにするといった思考停止状態で行動するのではなく、合理的な考え方に基づいた明確な意思を持つ行動様式が人々には求められています。

                                                          2022,6,1

ランニングのメリット

 梅雨入りまでのこの季節は、例年であれば天候も安定して湿気もさほどなく、ランをする人にとっては一年を通しても軽快な走りができる時期である。10月末に行われる横浜マラソンへの参加が決まり、サブスリーを目指してランニング時間を増やそうとしていた矢先に不覚にも足裏を痛めてしまった。痛みが出るような動きをしないことが一番の治療法だと専門医には言われたが、痛めた場所が場所だけに、日頃使わないわけにもいかず、焦る気持ちを抑えながら代替トレーニングを行っている。以前から運動することで脳が活性化し、認知機能が向上すると世間では言われてきたが、筑波大の征矢英昭教授は「ややきついと感じる中強度(心拍数140程度、最高酸素摂取量50%)のランニングが快適な気分を誘発し、脳の前頭前野が広範囲で活性化することが確認された。」と述べている。前頭前野は思考や判断、作業記憶、行動の切り替え、感情のコントロールなど、人間たらしめる働きを担うところであり、機能が低下するとうつ病や認知症になるリスクがある。ランニングが習慣化されると蓄積効果によって脳が鍛えられ、認知機能が向上することにも繋がるそうである。ノーベル生理学賞を受賞された山中伸弥先生も日頃からランをされるランナーであることはよく知られている話であり、足の回復を待って走りだけでも山中先生に肖りたい。

                                                          2022,5,31

一体感

 もはや旧聞に属するかも知れませんが、“One Team!”となって日本中がラグビーに熱狂したあの時のことを思い出してください。決勝トーナメントまで勝ち進んだあのチームの一体感は皆さんも記憶に残っているのではないでしょうか。うまくいっている組織や会社、活気あるチームというのは共通して一体感があるものです。必ずまとめ役になるリーダーがいて、それをサポートするサブがいて、そしてスタッフがいて、全ての人が一体となって活躍し、働いています。当医院のような小さな組織でも、この一体感が維持され続けなければ、当医院にお越しになられる方々に、価値ある時間を提供することが出来ません。どのようにしたら、この一体感を作り出せるのでしょうか。私は意識したことはありませんが、気が付くと一人ひとりがどこかで自己犠牲、表現を変えれば自分自身の「欲」のようなものを消し去っているのではないでしょうか。我を通すのではなく、何が大切なことなのか、考えながら生きたいものです。

                                                          2022,5,30

日本の品格

 道を横一列になって歩く人たち、人を避けないで我が物顔で歩行するひと、車のクラクションを不必要に鳴らす人、電車内の座席を詰めないで座る人、日本社会はストレスが溜まりやすい環境になってきているのでしょうか。社会全体に人を思いやる、慮ることのできない輩が増殖しつつあり、その背景には家庭教育の崩壊、物質的満足を求めるあまり精神文化を軽視する社会の風潮があるように思えてなりません。精神性高き日本人の姿に世界の人々は共感を得ていたはずです。自分よりも周りのことを先に考えて行動する、お天道さまが見えてる、といった考え方は親の姿から子供は学び取るものである。学校の先生、塾の講師がどれだけ必死になって子供達を指導しようとも、手本となるべき親に気付き、品格がなければ、全ては徒労に帰すようなものだ。国を構成しているのは国民一人ひとりであり、各自が軸をもって生きていくようでなければやがて国は衰退するのではないでしょうか。30年前に比べ、日本のあらゆる分野における国際的な地位、競争力の低下は各方面で言われ始めており、戦後の成功体験から脱し、新生日本を構築するために、子供だけではなく、大人も含めた再教育が求められている。

                                                          2022,5,29

コミュニケーション能力

 エビングハウスの忘却曲線に従うと、人が記憶したことの忘れるスピードは、1時間後にはだいたい50%、24時間後には約70%、そして1ヶ月経つと、ほとんど記憶に残っていないという結果が出ている。ということは、治療に関する必要事項を懇切丁寧に説明させて頂いたとしても、時間の経過とともに覚えていないということでになる。当医院では、主訴に至った原因をお越しになられた方にも一緒に考えて頂くことを目的に、所見及び必要な資料を結構な枚数にはなるがファイルにして後日お渡しさせて頂いている。説明とは一方的に喋ることであり、コミュニケーションとは違うと私は認識している。所見ファイルをお読みいただき、コミュニケーションを図るようにする目的はただ一つ、相手に行動を起こさせることです。患者さんに「先生の説明は分かりやすかった」、「今までこんなに説明をして頂いたことはない」と仰って頂いても、それで終わってしまって、なんの行動も起きなかったとしたら、それは、コミュニケーションをとれたとは言えず、単なる情報伝達でしかありません。当医院のミッションは“価値あるものを提供する”ことであり、先方の心に届いて、心のスイッチが入って、そして行動に移して頂くことです。

                                                          2022,5,28

名医とは

 今でこそ「3時間待ちの3分診療」は、大学病院などでも解消されたと思われるが、先日お越しになられた患者さんから「どうして今の先生方は患者の顔をみて話をしないのですかね?」と尋ねられた。その方が仰るには、担当医はモニターとカルテばかりを見ながら会話をし、“検査数値に問題がないから身体の状態は良いですよ”と言ってはくれるが何か違うんじゃないか、と感じているとのこと。身体を患った人の心理は健康な人より繊細であり、言葉には表せない部分を先生には察して頂きたい、そんな心境ではないだろうか。検査数値が正常値の範囲にあろうがなかろうが、目の前の患者の表情から何かを読み取ることが出来なければ臨床医とは名ばかりではないか。人の心はデータには反映されないものであり、“病気を診るのではなく、人を診よ”とは新卒でお世話になった恩師の言葉である。

                                                          2022,5,27

夢の宇宙飛行士

 私が中学、高校生のころ、有人スペースシャトルが地球に帰還する映像をテレビの生中継で興奮してみていた記憶があり、宇宙飛行士という響きに将来の夢が膨らんだ。その後時が経ち、毛利衛さんがスペースシャトルから見た地球の姿をハイビジョンカメラで生中継した際には映像に釘づけになり、野口聡一さんなど多くの日本人宇宙飛行士が宇宙に飛び立つ度に、皆さんの記者会見及び後のコメントなどから、どうしたらあのような人間的に魅力のある人になれるのかと考えたものである。「宇宙では常に死と直面しています。しかし地球に戻ると、たとえ裸でも安心して生きられる。貴重な環境であることを、もう一度みんなに思い出してほしい。SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みもされていますが、ウクライナのように戦争になるとそれどころではなくなります」先日の毛利さんのコメントである。74歳になる今も変わらず挑戦し続ける姿勢は素晴らしく、どの世代の人々にも励みになる。


                  2022,5,26

インプラント治療の選択は・・・

 “インプラント年間〇〇本手術”などと宣伝されている歯科医院の広告を目にする度に、同業者として違和感を覚えてしまう。インプラント治療が必要にならないような環境を整えていくことが歯科医の使命ではないのかと。インプラント治療を否定するつもりはないが、“インプラント治療=歯と同じ”では決してない。先ずはなぜ歯を失うことになったのかをしっかりと考えて頂きたい。不正咬合が歯を失う主因であったならば、咬み合わせを改善させることが優先事項となる。歯を失ったからそこにインプラント補綴をすれば、全てが改善されることにはならない。天然歯の歯根には、異物を認識したり、食べ物の硬さ、大きさを感知する感覚受容器が備わっており、インプラントではその機能を補うことはできない。どのような治療法を選択するにしても、治療に伴うデメリットも把握、理解したうえで受けて頂きたい。

                  2022,5,25

国会議員の役目

 ロシアによるウクライナ侵攻は依然として進行しており、国際社会はロシアの蛮行を止めることが出来ていない。今回の戦いはロシアによる一方的な侵略であり、もしも我が国でも同様なことが起きたならば、我々はどのように対処するのだろうか。もしかりに永世中立国だったとしても、一方的な侵略であれば現状のウクライナのような混乱と殺戮が続くことになるのか。戦うことなく降伏ともなれば、領土は奪われ、日本人としての人権、権利、財産などすべて奪われ、強制収容所送りになるのが目に見えてくる。。今こそ国会議員は国を守るための議論を呼び起こし、仮定の話は出来ないではなく、今そこにある危機と認識した指揮を執って頂きたい。国会議員の役目は何か。国防を何よりも優先して考え、自ら行動することであろう。選挙前には「政治家として政治生命を賭してでも・・・」と威勢のいいことは聞くが、当選後はサラリー政治家になっている方々が多いように見受けられる。

                  2022,5,24

正しい食べ方

 子供の咬み合わせを改善させるためのトレーニングを行うにあたり術前診査を行うのだが、多くの子供達は正しい水の飲み込み方(嚥下の仕方)、正しい呼吸が身に付いていない。親御さんに普段の食事の様子を尋ねてみると、ご飯の一口量が非常に多かったり、前歯で咬み切ることがなく何でも直ぐに奥に食べ物を運んでしまうことがあるというケースが多い。正しい咀嚼の仕方、正しい呼吸の仕方を我々は誰からも教わることなく生活をしてきているが、正しい筋肉の動きがなければ骨は大きく成長することはなく、それが顎で起きれば顎骨が大きくならないので歯が収まり切れないということになる。子供達の健康維持・増進のためには食育も大事であるが、毎日の昼食時間に正しい食べ方をされているかどうかを観察してみたいものである。

                  2022,5,23

問いかけ

 「金属の詰め物が直ぐに取れてしまうので診て頂きたい。」という主訴でお越し頂いた方の口腔内は問題だらけであるが、当の本人は痛くないので困っていないとのことである。診査したところ、要抜歯になりそうな歯が数本あり、処置が必要なむし歯も複数認められたが、この方に必要なのは治療ではなく現状に至った原因の理解であり、口腔内への関心であろう。痛くないから問題がないのではなく、このまま放置すると予後において口腔内、および全身へどのような悪影響が考えられるのかをことらとしてはプレゼンをしなければならない。人は、何かを問われたら、つい反射的に答えようとする性質があります。つまり、問いを投げかけられることで、何となく心を開いてしまうのです。「どうして過去にこれだけ歯の治療を繰り返したのでしょうか?」。最初に何かを問いかけるようにすると、聞き手であるお越しになられた方は、その問いを頭に置きながらこちらの説明に耳を傾けるようになります。そうすることで説明への理解は深まり、コミュニケーションが取りやすくなります。しっかりとしたコミュニケーションが取れなければその先はありません。一緒に考えることで解を導き出しましょう。受け身の医療では、患者満足度は上がらないと確信しています。

                  2022,5,22

「ていうか」

 「ていうか」という言葉は、いつ頃から使われるようになってきたのでしょうか。会話の中で聞くことはありますが、書き言葉として目にすることはないと思います。「ていうか」を使う時は、相手の言っていることを否定する時に使うのか、自分の言葉に自信を持てないときに使い分けているのでしょうか。そもそも正しい日本語なのでしょうか。電車内で交わされていた「ていうか」の連発には、他人のことだから構わないことかもしれませんが、強い違和感を覚えた次第です。「全然大丈夫!」も違和感があるどころか、正しい日本語ではありませんよね。人と接するうえでは、正しい言葉遣い、教養ある身だしなみ、態度をとることのできる人間でありたいものです。

                  2022,5,21

経営理念

 当医院の予約枠に占める子供の割合が徐々に多くなり、日によって夕方は咬み合わせのトレーニングをする子供達で賑やかである。学童期といわれる小学校時代は、精神面も、口腔内も変化が大きく対応が難しい場面もあるが、人格ある子供としてきちんと向き合えばしっかりと成果が得られる時期でもある。特に7つ、8つ、9つと、「つ」の付く間は親や教師など大人の言うことを聴く年齢であり、この時期に「口腔習癖」や「異常な兆候」を見逃さずに指導することは、健全な口腔機能を将来に亘って維持するうえでは非常に重要である。高学年ともなると、身体の急激な変化とともに精神的にも大きく変化し、自我が芽生え、大人の話を素直に聞けなくなる子供もいる。従って我々歯科医療従事者が子供に接する際には、年齢、学年による子供達の心情の変化を把握しながら臨床に取り組むことは基本である。とても時間に追われるような診療体系では、子供の内面にまで入り込むことは出来ない。当医院のミッションは“価値ある時間を提供する”である。

                  2022,5,20

不易流行

 2003年の開業以来、日々の臨床で使用しているマイクロスコープ(実態顕微鏡)は、治療の精度を上げる上では欠かせないツールとなっているが、最新の機器はレンズから動作環境まで全てにおいて私の想像を上回る進化を遂げている。当医院では最新のマイクロスコープの導入を決めたものの、コロナ禍とロシアによるウクライナ侵攻の影響で、納期に最短でも約4ヶ月は掛かるとの連絡を受けた。歯科に於いては保険適応のパラジウム合金は、ロシアがパラジウムの4割を輸出している背景もあり価格が急騰している。一寸先は闇というが、2年前に世界が今のような状況になると誰が想像しただろうか。リーダー、経営者は常に時代の風を読み、その時代に合わせて物事を考えることが求められるが、どんな状況下においても守るべきところは守り、変えるべきところは変えていかなくてはならない。当医院においてもまさに「不易流行」こそ医院の発展、善き医療の提供に繋がるものと確信している。


                  2022,5,19

教育とリベラルアーツ

 神奈川県立湘南高校の初代校長である赤木愛太郎先生は「(生徒は)各人各様の美点を持っているとの信念からこの天分を啓発することが教育の根本である」と考え、「知・徳・体の調和的発達」に徹して以来、同校の教育活動はリベラルアーツに繋がっている。リベラルアーツについて、東京大学教養学部長を務められていた石井洋二氏は「不自由さから自らを解き放つために、私達は未知の外国語を学んだり、異なる分野のの学問を勉強したりしなければならない。このようにとらえたリベラルアーツは、ただ多くの知識を所有しているという静的な知性のありようではなく、様々な境界を横断して複数の領域や文化を行き来する思考や感性の運動そのものを指している。」と述べている。このような教育者のもとで学べる学生たちは幸せであり、学舎に於ける学び、部活動はリベラルアーツに直結し、その後の人生に「自由」を与えるのだろう。学生たちには世の中のことを深く考える習慣を身に付け、失敗を恐れることなくチャレンジ精神をもって飛躍することを期待したい。


                  2022,5,18

名言

 経営者は常に時代の先を読んだ経営を推進することが課せられた使命であろう。これは医療においても同様である。求められている医療の質、国民の健康を守るうえでどの様にしたら先手を打てるのか、そういった視点も必要ではないか。当然ではありますが、口腔は全身の一部分でありますから、全身の中の口腔という視点で診査診断をする必要があります。ところが歯科だけの極めて狭い領域で診査診断をしていると、“木を見て森を見ず”となって、将来的に慢性疾患や体幹の歪みを引き起こす要因となる因子を見過ごしてしまう、また治療することによって医原性の疾患を作りだしている可能性すらないわけではないことがありそうである。「鳥の目で先行きを俯瞰し、虫の目で細部に拘れ」とはある経営者の言葉であり、私の胸に深く刻みたい名言である。


                  2022,5,17

気付き

 「願望を成就に繋げるためには、並みに思ったのではダメだ。生半可なレベルではなく、強烈な願望として、寝ても覚めても四六時中そのことを思い続け、考え抜く。」京セラの稲盛和夫さんの著書からは多くの気付きを頂いている。当方は歯科医療に身を置いているので、日々来院される方の口腔機能の維持に努めているが、治療と歯の保存・延命の矛盾を感じながら仕事をさせて頂いている。多くの方はむし歯になると早く治療をしなければもっと悪くなると思われるので治療を希望して予約を入れてくださるのだが、治療よりも大事なことは、御自身の口腔内の状態をしっかりと把握しなさいということである。今まで放置したことが原因で口腔内環境が悪くなったのであればまだしも、人によっては治療に通っていたにもかかわらず口腔内が崩壊していっているという事実に早く気付かなければ、治療を繰り返すことで歯の寿命が短くなっている現実もある。先ずは“気付き”の環境をこちらとしては用意する必要があり、そのためにはどこまでも付き合う覚悟である。


                  2022,5,16

価値ある書物

 ロシアによるウクライナ侵攻が始まってからというもの、旧ソ連時代も含め他国を侵略する手口は今も昔も変わっていないと、浅田次郎氏の「終わらざる夏」を読んだ感想である。ご存知の方も多いと思われますが、玉音放送後に北の孤島・占守島(しゅむしゅとう)で始まった日本とソ連の知られざる戦いを描いた歴史小説です。本書を読むと、未だに解決されていない北方領土問題もロシアによるウクライナ侵攻と重なって見えてきます。国と国の問題は地政学的な問題も絡んできますから一筋縄では勿論解決するものではありませんが、このような小説を通じて間接的に目前で起きている問題について、自分で考え判断する切っ掛けにはなるのではないでしょうか。アルベールカミュの「ペスト」もコロナ禍になって感染症への関心が高まり書店で平積みされたように、今も昔も書物の価値は変わらない。


                  2022,5,15

忍耐力のなさ

 コロナ禍において、「我慢する」「耐える」という言葉が当て嵌まる状況下におられる方には申し訳ないが、世間一般ではこれらの言葉を耳にする機会が無くなったと思えるぐらい、日本人の忍耐力は低下しているのではないか。短期的、長期的な視点で物事を考える際にも、何事も右上がりで成長が続くものと計画を立てるのか、禍福は糾える縄の如しで、逆境と順境が交互にやってくるものと備えて構えるかによって、例え逆境の谷間にあったとしても試練を乗り越えることができるものである。過去には日本人の「耐え忍ぶ」姿を外国人はスピリチュアル、美しいと表現したぐらい日本人の美徳であったはずである。敢えて我慢するような環境を創り出す必要は毛頭ないが、ことが思うように運ばなくなった時に、全てに亘って自省するのではなく周りが悪いと他責する風潮が世の中に漂っていないか危惧するところである。一人ひとりが社会を構成する責任ある人間であることを、子供の頃から家庭で教育されていると信じたい。


                  2022,5,14

医原病

 コロナ禍で病院に掛かることによる感染リスクを心配して“受診控え”をする人が増え、その結果過剰な薬の服用や過剰医療、医療ミスなどによる体調不良や病気が引き起こされる医原病が減った可能性があるとネット情報ではあるが見かけた。当医院に通院中の方においても、長期間に亘って複数の薬を処方されている方がおられるが、薬によって身体の本来の機能が麻痺、低下したりしてくるのではないかと考えさせられることがある。歯科医療においても過剰治療ではないかと疑いたくなるケースは残念ではあるが見かける。医科のことは存じ上げないが、歯科においては治療することによって歯の延命が図られると判断された場合のみ患者と相談のうえ治療を進めることが基本であり、むし歯だから何かを詰める、被せることが治療の最終目的ではない。従って、むし歯を放置するのではなく、むし歯のリスクを調べた上でむし歯の経過観察という選択肢があり、できるだけ歯を削らないで延命させることが歯科治療の本来の姿である。デジタルレントゲン、デジタル画像を保存することで数ヶ月単位、数年単位で経過観察を続けることは意義のあることである。歯は削ったら最後、治療を繰り返す線路を走りだすことになる。これが臨床歯科医としての実感である。


                  2022,5,13

態度の悪さ

 証明書の発行が必要なため区役所を訪れたが、対応した職員のあまりの態度の悪さ、ぞんざいな口のきき方に辟易した。業務が忙しい、毎日同じような仕事に追われているなど言い分はあるのかもしれないが、今の時代にこのような接客態度では「だから公務員は駄目なんだ。」と言われても仕方がない。人が相手の仕事であれば、役所、医療、銀行、飲食業など業種は問わずサービスを提供するという概念は共通であるはずである。リッツカールトン日本支社開設に携わった高野登氏は、ホテルには2つのタイプのホテルマンがいたと明かしている。1つは作業をする人、もう1つは仕事をする人だという。自分の役割は会社が決めるが、その役割を自分がどう働くかは決めてくれない。それはホテルだろうが、医療機関だろうが、そして役所でも一緒である。大事なことは、どう感動を生み出すかということ。役所仕事に感動は必要ないと言われるかもしれないが、そんな意識では公共サービスの向上などというのは掛け声だけで終わるに違い。相手の歓心を買うために愛想をふりまくことや顧客におもねることがサービスではない。自分自身が教養ある身だしなみ、言葉遣い、態度をとることのできる人間でいることが、相手を思いやることになるのです。


                  2022,5,12

自分らしさ

 5歳の頃から当医院に定期的に掛かっているお子様が、歯科衛生士の国家資格取得を目指して歯科衛生士学校に通われている。その方から新人として来年から当医院に就職をしたいと連絡を頂いた。人柄もよく、受け答えもしっかりとされていて、以前から当医院で働いて頂けたら当医院の医院価値をさらに高めてくれる逸材になると考えていただけに、これほどの吉報はない。彼女にとっては社会人としての第一歩をこの医院で歩み始めることになるので、当方にとっても預かる責任は重い。私たち人間は、損か得かで物事を考えた時に、時として大切にしてきた「自分らしさ」を見失い品格にかける行動に出てしまいがちです。そんなときぶれない行動で「自分のあるべき姿」に気付くかどうか。これは長い人生では羅針盤に相当するものであり、自分自身の身の丈に応じた言動、態度を貫くスタイルを持つことが必要です。無限の可能性を秘めてチャレンジ精神をもって前進して頂きたい。


                  2022,5,11

後悔先に立たず

 ランニングシューズの底がそれなりに擦り減ってきた為、久しぶりにシューフィッターのいる専門店で新しいモデルのシューズを購入してみたところ、今まで履いていたシューズとのフィット感のあまりの違いに、足裏を悪くした原因が判明したような思いである。靴底のゴムの凹凸がフラットになり、かかと部分も外側が擦り減っていたのでそろそろ替え時ではあったのだが、走れないわけではないのでもう少しこのままで・・なんて感覚で無理をしてしまった。“後悔先に立たず”とは正にこのことで、種子骨部分の違和感,腫れ、脚の筋が凝り始めるなど、散々である。整形外科医の診断を仰いだが、特別することはないので足を痛めないように歩くことを心掛けるようにとのこと。日頃、通院中の子供達の姿勢を正す指導をしておきながら自らがこの有様では格好がつかない。年齢も若くはないのだから、これまで以上に身体のケアには注意が必要なようだ。


                  2022,5,10

祈りと「pray」

 日頃のランニングコースにある神社に寄って手を合わせて祈りごとをすることが日課となっている。身体の健康、家内安全、両親の長寿、自分を支えて下さっている多くの方々の幸福、世界の平和など様々なことが手を合わせている間に脳裏を過る。今であればウクライナの人々の安全、理不尽なロシアによる侵攻の停止を願わずにはいられない。英語で祈るは「pray」、日本の祈りはそれとは意味合いが違うと早稲田大学の池田雅之教授が述べられている。西洋の人の祈りは個人的な願望、自己実現の様子が強いが、日本人の祈りは自分のことだけではなく、人々との調和や平和への思いから生じていると。困った時の神頼みだけではなく、常日頃からごく普通に生活できていることへの感謝を忘れないようにしたい。


                  2022,5,9

小麦の高騰によって・・・

 食パンブームが去ったのだろうか。一時は職場界隈に食パンだけ販売しているパン屋が6店舗ほど見受けられたが、移転したのかもしれないが以前の店舗が空き状態になっている。新聞等にはロシアのウクライナ侵攻により小麦の価格が高騰し、さまざまな食品の値上げ圧力となっていると報じられている。小生は米を食べて育った人間なので殊更パンを食べなくとも問題はないが、最近のPastaやPizzaなどは格別美味しく食べることが出来るので、ウクライナから小麦の輸出が減少、途絶えるということにでもなれば、先行きが不安である。日本の食料自給率が極めて低いことは小学生の教科書にも載っているので誰もが知っているところだが、小麦の2020年の自給率は14.6%という数字が出ている。輸入小麦が手に入らなければ、食パンどころの話ではない。私が買いに行くパン屋の小麦は北海道産とカナダ産と表示されているが、全国各地で生産されている少量の小麦を使ったご当地パンも少し値段は高いが人気が出ているとのこと。耕作されないまま眠っている土地を活用し、地産地消を促進することは意義がある。


                  2022,5,8

春の陽気

 カーテンを開けた時の陽の眩しさがここ数日で増してきている。信州の山々では新緑が芽吹いていることだろうと想像してしまう。小学生時代にお世話になった国語の教科書に、白馬雪渓について書かれていたところがあり、毎年この季節になるとそのことを思い返す。時期的に白馬まで足を運ぶことが出来ないので実際に白馬(しろうま)の雪渓を見たことはないのだが、ネットなどで観るだけでも情景をいくらか楽しむことはできそうか。白馬は長野オリンピックのスキージャンプラージヒル団体のあの感動的な瞬間を直に見たところでもあり、山に囲まれた自然はそれだけでコンクリート村で仕事をしている人間にとっては癒しである。教科書では畦道につくしが出て、田畑の上ではひばりが舞い上がってホバリングしながら「フィチフフィチフ・ピージョルピー」とさえずり続けていると書かれていたが、今でもその鳴き声を聞くことは出来るのだろうか。

                    2022,5,7

分かりやすい文字

 「人と豊かにつながり合うために文字の質を取り戻す」、これは本屋で立ち読みをした書籍のはじめに書かれていた文言であり、日頃文字を書く機会が減ってきているだけに、いざペンを執った時に美文字を書けるのだろうかと考えてしまった。美しい文字に越したことはないが、相手が読みやすい字を丁寧に書く意識が求められる。右上がりに書いてしまうとか、自分のクセ字を何とか直せないものかと、自筆をみては何年も経ってしまった。幼少の頃から墨をすって筆を使うことには慣れていたので、どちらかというと小筆を使った書き物は嫌いではない。ペン文字では文字のバランスの悪さや、書いた文章が蛇行したりすると自分に腹が立ったりするもので、その時ばかりは何とかしようと決意するのだが‥‥。書店で見た本を購入はしなかったが、明日以降まだ売れ残っているようなら、やはり気になる一冊なので手元に置きたくなるかもしれない。

                   2022,5,6

大賑わい

 大型連休で各地が賑わっている。場所によってはコロナ前同様の混雑ぶりで、マスクの有無だけが以前と異なる風景である。当方は所用で鎌倉まで出向いたが、駅から小町通にかけて続く旅行客のあまりの多さに、遠回りをして目的地まで行った次第である。久しく店前の「最後尾はこちら」のプラカードを見ることはなかったが、マスク越しに声を張り上げて整列の協力を呼び掛ける店員さんの姿に、このままコロナが収束してくれることを改めて願う気持ちである。3回目ワクチン接種率は伸びていないようだが、東京都の新規感染者数は順調に減ってきている。新型コロナウィルスが弱体化してきたのか原因は分からないが、他国では増加傾向にあるところも未だにある。ウィルスのように姿の見えない敵も、世界中で知られている独裁者の侵略も、世の中から抹殺できない点では共通項である。世界が正常な状態を取り戻し、訪日客が増えるだけではなく、他国を3年前までのように誰もが自由に行き来できるようになり、国境を越えた交流を通しお互い異文化の刺激を享受したいものだ。

                   2022,5,5

Evidence

 いびきが酷いということでお越しになられた方に、咬み合わせを一時的に補正するプレートを下顎臼歯部に装着し、30分程待合室でお待ち頂いた。勿論、起きている状態なのでいびきをするわけではないが、プレートを装着することによって身体で何か変化を感じるかどうか、先ずはその感覚を確かめる必要がある。「先生、顎が楽な感じがします。気のせいかもしれませんが鼻が通るような感じもありますね。」これが患者さんの感じた生の声である。なぜ顎が楽な感じがするのか?ここから主訴に対する説明が始まる。臨床とは、Evidenceに基づいた医療を提供することに他ならないが、Evidenceを羅列したところで患者さんは納得するものではない。日本の医療はドクターからの説明が足りない、時間に追われた診療体系で患者側から質問をしにくいと言われている。それでも数十年前に比べれば改善してきたほうかもしれない。医療者側と受診者側の双方が納得いく形で治療を進めることが、当たり前であるが基本である。決して見切り発車で治療を進めるべきではない。


                   2022,5,4

学力低下と口呼吸

 教育で人を育て国を立てる。日本の近代化と経済成長を支えた「人材立国」のモデルが揺らいでいると日経新聞に掲載されている。私が学生の頃、大学教育が普及し教育水準が高いと世界から言われていた今の国の現状は、博士号取得者数で先進国の中では「低学歴国」となりつつある。ある意味で成熟社会である日本では、生活困窮者が出現することなどは考えられなかったはずである。それがバブル時代が終わってから約30年が経ち、成功体験に酔いしれている社会が改革を怠るうちにあらゆる分野で世界との差が開いたのが現実であり、その根本は家庭教育も含めた教育の機能不全にあると考えてしまうのだが、教育も与えるばかりが優先され、自ら考え学び続ける習慣という視点が欠落してきている。では子供達は学んでいないのかと言われれば、これほど塾通いしている国民もいないのではないかと思うぐらい時間を割いている。では何が問題なのか。私の歯科医療者として日々の臨床から子供達を診察をしていると、7割以上の子供達は口呼吸をしており、生理学的に日々集中力を維持できない身体になっていると危惧される。口呼吸の何が良くないのか。本来呼吸は鼻でするものだが、正しい呼吸の仕方は生まれて此の方誰も教わることはない。口呼吸が常態化すると血中二酸化炭素濃度が高まらず、生理学的な問題が引き起こされてくる。学力低下と口呼吸との関係に市民権を得るには時期尚早かも知れないが、今井一彰先生の“あいうべ体操”の拡がりなどをみていると、ほぼ間違いなく関係はあると思われる。


                   2022,5,3

警告音

 突然のピーピー音に嫌な予感がした。表示には見慣れない数字が。朝から回している洗濯機が動かなくなったのだ。説明書を捲りながら表示された数字と該当するところを探し当てると、どうやら電動モーターの故障らしい。10年は使用しているものではあるが、日本製品であればもっと長持ちしてくれないかと思ってしまう。しかし同じ10年でも、一日に複数回多くの洗濯物を回す洗濯機と、少量の物を扱うものとでは、累積疲労も異なるというものか。毎日長距離を移動する車と週末のみ使用する車とでは、車の買換え時期も異なるのと同じように。生体においても加齢とともに身体の各所に若い頃との違いを感じてくるものであり、体幹の歪みから来る身体の凝りや、歯で言えば生理的な擦り減りや破折、過去の修復物の脱離などは同様に考えられるのではないか。但し、身体の場合は警告音が鳴ることはなく、リミット越えで痛み違和感が生じてはじめて説明書ならぬ保険証のお世話になることが殆どである。洗濯機は部品の交換である程度元通りに戻るが、身体の場合はそれが出来ない。むし歯になると人工物が入るだけであり、決して元に戻るわけではないことをお忘れなく。


                   2022,5,2

働きがい改革

 日本企業の労働環境が改善する一方で、働き手の仕事への充実感や達成感といった「働きがい」が高まらない、と本日の日経新聞に載っている。仕事に熱意を持ち会社に貢献したいと考える社員の割合は6割弱と世界最下位にとどまるとも。働きがい・・・、そもそもなぜ仕事をするのか、働くとはどういうことなのか、なんのために働くのか。そんな根本的なことにきちんと向き合って仕事に就いているのか。高卒、大卒と働きがいは何の関係性もないであろう。なぜなら働きがいとは個人の潜在的な部分と深くかかわる部分であり、組織人であってもそのような企業、職場を選んだのは本人であり、思い描いたような職場環境ではなかったとしても、それらを自分の人生に活かすような思考回路を組み立てることをせずして周りの環境改善を訴えるのは如何なものか。時代にそぐわない上意下達の組織風土や年功序列によるポスト滞留などが、働きがい低迷に影響しているとの分析もあるようだが、自分の職場を自ら変えていく気概を持った人間が出てこなければ、それこそ旧来型の日本型経営がいつまでも続くことになろう。突拍子のない意見は論外であるが、頭の固い上司を唸らせるような戦略を練って組織を変革することほど遣り甲斐のある仕事はないと思うのだが‥‥。


                   2022,5,1

至誠

 約3年前から当医院に定期メンテナンスで通われている方がいる。初診時の診断では、過去に処置を受けている歯(処置歯)の二次齲蝕(むし歯)が数本あり、詰め物だけではなく歯根の再治療を要する歯も認められた。状況を全てお伝えし、歯に症状が無くとも歯の延命を第一に考えるのであれば、きちんとした再治療が必要であると、当医院のストックされた症例をお見せしながら説明をしたが、治療には積極的ではなかった。先日、詰め物が取れたとの連絡があり応急処置をさせて頂いたが、時すでに遅し、感染歯質の領域が広がっており、歯根までの治療が必要となった。その患者さん曰く、「こんなに悪くなってしまうのですね。先生、他の歯も心配なので優先順位をつけて計画的に治療をお願いしても宜しいでしょうか?」。初診時に説明をした“きちんとした再治療の勧め”のことを気に掛けていたとのこと。3年は経ったが、ここで気付いて頂けただけでも救いである。“至誠にして 動かざる者は 未だ之れ あらざるなり”


                   2022,4,30

無気力な社会

 矯正治療で当医院に通院されていた女性が、矯正治療終了と同時に転職をし、海外の大使館で働くことになった。通院中に交わされた会話の中で、海外での仕事を希望されていたので念願が叶ったということでもある。その方の印象としてはとにかくエネルギッシュであり、チャレンジ精神にも溢れている芯の強い方であるのだが、先月の日経新聞朝刊に、「日本企業の偽りの優しさ」と題した記事が掲載され、その女性とは真逆のような今の日本人の姿に愕然とした。ーアジア太平洋14ヵ国・地域を対象にしたパーソル総合研究所の調査では「現在の職場で継続して働きたい人」も「転職意向のある人」も日本が最低であった。つまり今の仕事にたいして愛着はないが、かといってそこを抜け出して新天地に飛び込むほどのエネルギーもない。そんな無気力さが浮かび上がる結果である。ーこれは自発的に仕事に向き合う積極性に欠けていることを示しており、以下同文的な人材が多いということである。生き甲斐、遣り甲斐のない人生でどうするのでしょうか。これでは日本の国力が低下しても不思議ではない。自分を掘り下げ、目の前の仕事に真摯に向き合うことで、新たな気付きはあるものである。当医院のスタッフは私も含めて常に“熱い”です。


                   2022,4,29

価値あるもの

 歯科医院における「価値あるものを提供する」とはどういうことか。来院される方に一方的に説明をするだけでは、言ってみれば一般の小売業でいうところの「こちらの一押し商品を強く勧める」ということになるのではないでしょうか。医療を一般ビジネスのように考えることには抵抗感がありますが、あくまで例えてみればということです。医療者側の説明に間違いがなかったとしても、患者サイドの心情、感情を無視した言葉では、良識ある方には受け入れられないでしょう。人としての信頼関係を醸成するには時間が掛かりますし、過去に歯科治療を受けてこられた方の中には歯科医療者に不信感を募らせていらっしゃる方も少なくありません。歯科医療は医療ですので、当たり前ではありますが物売りではありません。健康を司る入口でもある口腔をどのように守っていくのかを来院される方々に理解して頂く場を提供するところであります。歯科医院も一般のビジネスも、価値あるものを創り出し、あるいは探し出し、提供しようとすることに差異はありません。特にその人にとって有益であるものを勧めるという点では全く同じです。価値あるものが、歯科治療なのか、家電製品なのか、自動車なのか、洋服なのかの違いであって、それを求める人にその価値を正しく伝えることに関しては違いがないはずです。

                   2022,4,28

不要な独裁者

 当医院にお越しになられている国際線の客室乗務員の方から、「今は南回りになったので、ヨーロッパまで行きが約3時間半、帰りは2時間ぐらい長くなりました。」という話がありました。ロシアによるウクライナ侵攻で、日本とヨーロッパを結ぶ航空機のルートに影響が出ています。日本の航空機はロシア上空を飛ぶのを禁止はされていませんが、着陸は許可されていないので、万が一に備えて、ロシア上空を通らない選択をしているそうです。私が学生時代の頃は10万円前後の格安航空券を購入して、それこそアエロフロート航空を使ってモスクワトランジットでロンドンに入ったりしたものでした。ウクライナの国の存亡がかかっているような状況で旅行の話など不謹慎ではありますが、一国の偏った考えを持った一人のリーダーによって、世界が翻弄され続けている今の異常な状況を何とかしなければ、世界に明るい未来はない。第三次世界大戦を口にするような危険な独裁者は、一刻も早く排除するしかない。

                   2022,4,27

治療相談

 当医院にお越しになられる方の問診をしていると、如何に皆さんご自身の歯の状態を把握していないかと驚かされることが少なくない。それだけ過去に治療を受ける際に、治療内容について、更には現状に至ったと思われる原因に関して、担当医から説明を受けてこなかったのではないだろうか。日本の医療全体の問題なのか、歯科界における問題なのかは分かりませんが、説明そして患者側の理解がないままに治療が進められているケースが未だに多いように思われます。当医院は歯科医院でありますから、歯の治療を致しますが、歯科医療を通して全身の問題解決を図ろうと努めております。咬み合わせから体幹の歪みが生じているケースではスポーツトレーナーのサポートが必要ですし、口腔ケアの問題から全身疾患に影響を及ぼしている可能性が高い場合には、しかるべき医療機関のご協力を頂いております。口腔は全身の問題の入口ですから、歯だけを診ていればよいという時代ではないのです。本日も治療相談だけで1時間以上のカウンセリングが必要な方がお越しになりましたが、身体を治療を受けるわけですから、全て納得するまで医療者サイドはお付き合いする必要があるのでしょう。当医院は開業以来、その姿勢は変わりありません。

                   2022,4,26

歯医者冥利

 先日、機能歯列矯正治療を終えた成人男性から感謝のメールを頂いた。50代半ばで約2年の予定で治療を開始したものの、海外赴任が急遽決まったために予定していた最終ゴールまでは到達できなかったが、8割の完成度までは辿り着いた。治療前後の写真を比較すると、歯列のアーチが広くなったことでタングスペースが確保できたことによって舌の形態の変化が起き、ワイヤー装着時に筋機能トレーニングを並行して行ったことで正しい咀嚼の仕方も身に付いているので、成人矯正治療後に生じやすい後戻り度合いが少なくて済むと考えられる。「生物の寿命を左右する“歯”について、信頼できる主治医が居るということがとても心強く、私はとても恵まれていると常々思っております。」とのメール内容に、歯科医療に携わる仕事をしてきたものとしてこれ以上の褒め言葉はない。人の身体の機能回復の一翼を担えることに喜びを感じながら、益々精進しなければと気が引き締まる思いである。


                   2022,4,25

心の引き出し

 自分の心の引き出しを増やすものは何でしょうか。人によって音楽、読書その他趣味かも知れませんが、心の引き出しがあることで、人生は非常に豊かになるのではないでしょうか。常に順風満帆な人生を送っている方は少なくはないかもしれませんが、心の安定ほど日々の決断、物事への集中力を高める重要な要素はないと考えさせられます。当医院にお越しになられる方々はお話し好きの方が多く、世間話から人によってはプライベートの悩みまで打ち明けてくる方もいらっしゃいますが、以前よりも話をする時間が長くなっているように感じています。その背景には、もしかしたらコロナ禍によって人との触れ合う時間が減り、話を聞いてもらいたいという見えない欲求があるのではないでしょうか。話を聞いてもらうだけでなんだか安心する、言葉には出さないものの、診療室を退出されるときの皆さんは笑顔である。今の世の中、様々な情報に翻弄され、自分を見失う人間が現れているが、心を豊かに生きることを心掛けてさえいれば、人生に不安など感じないものだと気付いてもらいたい。


                   2022,4,24

謙虚さ

 今年のGWは、あわよくば最長10連休。まあ、そんなことが出来る人はごく一部の人の特権とやっかみたくもなろうが、出掛けるにしても財布の余裕がなければ連休は手持ち無沙汰で過ごすことにもなりかねない。当方は暦通りの仕事となり、GWの恩恵は特にはない。それどころか、溜まった資料整理や普段できない仕事の予定を入れたりと、仕事とプライベートを上手く切り替えることが出来ないGWになりそうである。自分のキャパが無さすぎるのか、能力がないだけの問題なのか、もう少し余裕のある時間を過ごしたいものである。コロナ禍であること、ロシアによるウクライナ侵略が継続中であることなど、常に気が晴れない日常ではあるが、今は当たり前の日常生活を送れることに感謝しながら日々を過ごす、謙虚な気持ちが求められている。


                   2022,4,23

テロ国家

 世界はロシアによる非道かつ残虐な行為をこのまま放置し続けるのか。平穏な生活を送っていたウクライナ国民の首都キーウへの衝撃的なミサイル攻撃の映像を見てから2ヶ月が過ぎた。独裁政権と民主主義の対峙というよりは、テロ国家と良識ある国家との生存の戦いの様相を呈してきている。オバマ元米大統領は「偽情報を通じて民族ナショナリズムを武器に使い、民主主義自体を非正当化した。ウクライナの戦争でもその試みを加速させた」と述べ、プーチンを批判している。「嘘は泥棒のはじまり!」という教えはロシアにはないのか。それとも「嘘も言い続ければ真実となる」とでも教わったか。あんな独裁者に、何の罪もない人間がゲーム感覚で殺されている現実から目を背けてはいけない。第三次世界大戦など誰も望んではいないが、テロ国家がこのままのさばるのであれば、世界平和の志を同じにはできない。頼朝の言葉を借りるなら、「ジラして己の値打ちを釣り上げようとしたか。笑わせるな。さっさと消え失せろ。一戦を所望なら、受けて立とう!」といったところか。


                   2022,4,22

マーケティング

 マーケティングとは「人をより良き方向に導くのがマーケティングという学問だ」とマーケティングの大家、フィリップ・コトラー氏は語っている。当方も開業を検討していた当時は、マーケティングとは何ぞや、程度の知識しか持ち合わせていなかったが、今に至っても関心はない。この度不適切な発言によって吉野家を解任された元役員は、マーケティングの言ってみればプロ中のプロである。徹底してデータ分析を行い、数値に裏打ちされた事実からモノの売り方を考え、シェアを伸ばし、投資効率を引き上げることは得意だったに違いない。しかし、そこには手掛けようとする商品やサービスに愛を感じない。目先の数字だけで評価される社会システムが歪な人間を作り出してしまうのか、何のために仕事をしているのかを考えずに日々過ごしてしまうことが、取り返しのつかない行動に繋がってしまうのか。人をより良き方向に導くためには、マーケティング以前に自分としっかり向き合う必要があるのではないだろうか。

                   2022,4,21

プラス1

 久しぶりに訪れたお店で自分のことを憶えていて下さる、名前を憶えてくださることほど嬉しいことはない。歯科医院は治療を施すところではありますがが、来院された人の口腔内の問題を解決するだけでいいのでしょうか。当医院のミッションは開業以来「価値あるものを提供する」ですが、歯科医院はレストランやテーマパークのように大勢の人が好んでやって来るところではありません。本人が思っていたイメージとは異なる歯科医療の本質・真価を伝えることで、明るい希望を届けることができたなら、レストランやテーマパークとは異なった幸福感を提供できると考えています。何かを伝える時に、事務的に、機械的に伝えるので良ければAIで済むわけで、そうではなく医療に限らず相手の方に受け入れやすくなるような配慮をする、「プラス1」を意識するだけで、人との心の距離感を縮めることは可能です。そのために必要なことはマニュアルではなく意識であり、感性ではないでしょうか。どの業種においても一流といわれる方の佇まいが美しいのと同じように、医療人として美しく接していきたいものである。

                   2022,4,20

前向きに生きる

 “つまずいたっていいじゃないにんげんだもの”は皆さんもご存知の相田みつをさんの言葉。逆境から立ち直った人であれば素直に受け止めることが出来る言葉かもしれませんが、今まさに躓いて、どうにもならない状況下にある人のとっては、何を言われても耳に届かない、そんな心境のはず。当医院を受診中の方と話をしていると、以前であれば仕事やプライベートの楽しい話題を提供して頂くことも多かったような気がしますが、「ここ最近はテレワークになったことで同僚と会うこともないので、ちょっとしたことがないんですよ~」なんてことを仰る方もいる。更に「会社がなくなってしまうので‥‥この先仕事が見つかるのか不安で‥」。閉塞感に覆われた社会を生き抜くには、先ずは孤独にならないことが大事なことであり、人との関わりを絶ってはいけない。初診の問診時や通院患者さんとの会話で世情が分かるような時代になってくるとは‥‥。

                   2022,4,19

 美しく生きる

 通勤時に通る同じ道でも日々感じる空気感は違う。季節による湿気の違い、天候による気圧や風向きの違い、道端に咲く花々の香りの違いと、感性を澄ませば365日全く同じなどないことに気が付く。我々の体調も同様であり、心の変化も人によっては様々であろう。新年度から新しい環境に移った人達は、そろそろ疲れが出てくる時期でもあり、自分をどうコントロールできるか試される時期でもある。ムラッ気がある人はどこの組織でも敬遠されるだろうし、好感のの持たれる方はいつも笑顔で身だしなみも整っていて、意識の中ではいつも相手の期待より少し上を目指す、そんな心持で過ごしているだろう。人生の目標をどこに定めるかによって日々の過ごし方は変わるものであり、同じ生きるのであれば、美しく生きた方がいい。

                   2022,4,18

 GWの過ごし方

 新型コロナ感染者数は高止まりで推移しているが、都道府県によっては数週間に亘って前の週よりも減少しているところもあり、全体の印象としては少し落ち着いてきているようにも見受けられる。国民にもマスク装着、手指の消毒などが日常生活の一部となりつつあり、節度ある行動様式であれば感染リスクは極めて低いのではないか。今月下旬から始まるGWの過ごし方について、ある調査機関では「国内旅行をする」と答えた人が昨年の3倍に増えているとのこと。最も「自宅で過ごす」という答えが6割を占めているが、昨年は緊急事態宣言が出ていただけに、今年は行楽地でも久々の賑わいとなりそうである。当方の予定は決まっておらず、仕事の延長となる公算が高い。

                   2022,4,17

 Face to face

 「どこの歯医者に掛かったらよいのか分かりません。ネットで探して口コミで評価が高かったので行ってみたのですが、先生はこちらの言いたいことは聞いてくれないし、スタッフの人も相談できるような雰囲気ではなく・・、私子供の頃からいろいろな歯医者に掛かっているのですが良くならなくて、歯医者難民なんです。」。これは初診でお越しになられた患者さんの言葉です。今の世の中、何が正しくて何を信じたらよいか分からない時代になってきましたね、問診でのやりとりで私もそのようなことを言わざるを得ない場面が多々あるのは残念なことである。以前ホームページを作成するにあたり数社に相談した経緯があるが、ある会社の営業の方が、「先生のHPは文字が多過ぎます。もっとインパクトを与えるようなHPを作成しないと閲覧数は増えませんよ。先生が食べログを見た時に、文字が沢山羅列していたら見たくないでしょ!」と言われたことがあった。所詮営業ですからその会社にとっては当医院のことよりも契約を優先したい事情があるのでしょうが、仕事をその程度、金稼ぎの手段としか考えない輩が多く存在する中では、余程自分軸をしっかり持って生きていかないと、まともな仕事も生き方も出来ないと思わされたものである。考え方も価値観も共有できることが信頼関係を築く基準であり、医者と患者の関係も然りである。先ずはFace to faceでお互いを知ることから始めませんか。

                   2022,4,16

 鼻詰まりと不正咬合

 歯並びが良くないお子様に共通しているのが鼻詰まりである。以前、耳鼻咽喉科のある研究会で不正咬合と鼻気道の閉塞についてプレゼンをさせて頂いたが、聴講して頂いた耳鼻咽喉科医の先生方にはその関係性を理解して頂けたかと思いきや、誰も首を縦に振ってくれなかった。歯並びが悪くなる、叢生状態になるのは歯の萌出するスペースがないからであり、スペース不足は顎骨の劣勢長が原因である。ではその顎骨の劣勢長はなぜ起きるのか。それは口呼吸、異常嚥下が原因であり、舌を含めた口腔周囲筋の習癖が改善されなければ顎骨は本来の大きさに成長しない。口蓋骨が大きくならなければ上顎骨は正常に成長しないことから上顎骨に付随する鼻骨は大きくならないのであり、鼻気道が狭くなり鼻の通りが悪くなると考えるのは自然ではないか。当医院において、口腔周囲筋のトレーニングを積むことによって鼻の通りがよくなるお子様がいらっしゃることが現に証明している。本日も2年間のトレーニングを終え、咬み合わせ矯正トレーニングを終了したお子様が満面の笑みで治療前後の写真を見ていた姿を多くの人に見て頂きたい心境である。

                   2022,4,15

紙新聞

 新聞は思考力や判断力、想像力を養う大切なツールであるにもかかわらず、新聞の購読数は電子版の普及もあって減ってきている。スマートフォンやタブレット端末を使ってニュース記事を読んでいる人は多いと思いますが、ネットでは読む記事が自分の興味範囲内にとどまったり、左から右に読み進めるだけで、中身は覚えていなかったりということがあるんじゃないでしょうか。知識を得ることと理解を深めることは別であり、自分なりに深堀することがなければ、思考力や判断力は育まれません。学校教育の現場でもタブレットが導入されていますので、子供たちがネットに触れる機会はさらに増えると思いますが、情報を入れるだけではなく、自分で考えることを意識した教育が今後は求められることでしょう。毎朝決まった時間に新聞を読むといった規律正しい生活習慣の習得にも新聞購読は貢献していると思います。世の中デジタル化が進んで行きますが、人間の成長はアナログです。大人も子供も紙新聞を読んで、知識の習得だけではなく思考力を鍛えましょう。

                   2022,4,14

朝の習慣化

 学校の勉強は学校で済ませるのが基本であり、家での復習は知識の定着を図るのが目的である。こんなことは当たり前のことと思っていたが、今の小学生はそうでもないらしい。当医院に咬み合わせのトレーニングで通う子供達の話を聞いていると、朝は起きてから朝食を済ませると直ぐに登校するというのだ。起床時間も早いわけではなく、あるお子様は、起床してから家を出るまでの時間は30分ぐらいとのこと。朝は起きれないから朝にトレーニングをするのは無理とのこと。では何時に寝るのか尋ねてみると、塾の宿題が終わってからねるので12時前後という返事が返ってきた。他人の家庭のことまで心配するなと言われるかもしれないが、何か違うような気がしませんか。学習机の勉強も大事だが、子供の生活リズムを整えること、生体内リズムを整えることがなによりも優先されるべきと私は考えます。その日のうちにやるべきことが終わっていないといって「やり終わるまで寝ない」のではなく、いったん寝て翌朝さっと終わらせたほうが効率的だと覚えておいてほしい。大事なのは、習慣化していくことで、朝勉や読書を「必ずやること」にしてしまえば、子供自身が習慣が崩れることを嫌がるようになり、続けられる。新学期の今こそ、習慣化するにはいいタイミングでしょう!


                   2022,4,13

さくら🌸

 例年八重桜は、ソメイヨシノが散る頃に咲く。私の地元横浜では、以前マンション建設予定地となったところを地域住民による「桜の森を守る会」が発足し、自然を守る活動が続けられたことで横浜市が土地を買い取り、公園として整備されたところがある。園内の約150本の八重桜は徐々に開花し始め、現在見頃を迎えている。毎年桜まつりも開催されるのだが、今年も昨年に続きコロナの影響で中止となった。ここ最近の晴天によってカメラマンも集まり始め、アングルを変えながらベストショットを狙っている。コロナ禍で気が晴れないのみならず、今のウクライナ情勢では毎日が気が滅入りそうになるところだが、桜に囲まれた空間だけは人の心に癒しを与えてくれる別世界である。壊滅的なウクライナの国土がロシアから解放され国の復興が始まる時には、桜の木を日本から届けて頂きたい。


                   2022,4,12

う蝕予防

 当医院では開業以来、お越し頂いた受診者の方に唾液検査を勧めています。口腔内細菌で満たされている口腔内の環境を知って頂く切っ掛けとして、更にはご自身のむし歯のリスクを把握することで、予後における予防に役立てて頂きたいからです。むし歯になることは防げるのか?歯科大学を卒業した歯科医師が、その後当たり前のようにむし歯をつくるでしょうか?中には数年おきにう蝕(むし歯)処置を受けられる先生もいらっしゃるかも知れませんが、そのような先生には診査診断、治療は受けたくないと思います。基本的にう蝕(むし歯)は防げるものであると当医院では指導させて頂いておりますが、そのためには知識の習得と理解がなければ防げるものも防げません。当方も歯科大学に進むまではむし歯の処置を何本か受けた経験はありますが、その後は現在に至るまで健康な状態を維持しています。要は皆さんも、う蝕(むし歯)のメカニズムをしっかりと理解し、日々の生活習慣において改善すべきことを行えば、あの歯を削られる嫌な経験をしなくても済むということです。食生活習慣、咬み合わせ、免疫力などすべてリンクして考える必要があるのです。


                   2022,4,11

佐々木投手の快挙

 佐々木朗希選手が連続13奪三振、そして完全試合達成とのネットニュースに目を疑った。これまでは江夏豊投手の9連続奪三振が記録であり、いとも簡単に抜いてしまった感がある。野球をされていた方であればピッチャーの投げる球がホームベース付近で伸びてホップするという意味がお分かりでしょう。今日の佐々木投手は160kmを超える超速球を投げた後に打者の手元でボールが視界から消えるスプリット、フォークボールを決め球に投げ込んでいたので、打者感覚では全く手が出ない状況である。佐々木投手の潜在能力はまだまだこんなものではないと解説者の方が語っていたが、どこまで凄い投手になるのか末恐ろしい。試合後のインタビューでは、野球少年が大きくなって楽しい野球を満喫できた表情をされているようにお見受けし,「これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」とはこういうことかと思い知らされた。

                   2022,4,10

習慣力

 習慣力をつける秘訣はあるのでしょうか。私は7,8年前からランニングをするようになりましたが、その動機はいたって単純、健康を維持したいからであり、人間ドックの検査結果に自分自身が納得できない、許せなくなったことです。比較的直ぐに、または将来、デメリットに勝るメリットが得られるような目標を設定することが出来ると、習慣力は付くのかも知れません。当方のような凡人でも、ランニングの継続は出来ているのですから、自分を自ら高めることの出来る人は、普段から自分としっかり向き合い、自分のことを冷静に分析されていて、やるべきことを直ぐに、必ず、そして出来るまで苦も無くやり遂げているのだろうと推察してしまいます。昨日のブログにも書きましたが、習慣化は子供達のトレーニングにも必要です。歯磨きも靴を揃えることも挨拶も、親が強制しない限り、自分からやり始めることはありません。ただ子供の場合は、大きくなるにしたがってそのメリットを感じることとなるはずです。習慣力の成果は日々の生活の中で少しづつ感じるものであります。自分を律するうえでも、習慣化というキーワードは大切にしたいものですね。

                   2022,4,9

子供に必要な治療とは

 咬み合わせのトレーニングを毎日きちんと継続している子供の口腔内の変化は目覚ましいものがある一方で、月一回の通院はするものの、言われないと課題のトレーニングをしない子供は成果が見られないだけではなく、笑顔もない。親御さんはお子様の咬み合わせが心配で治療、トレーニングを受けさせたくてお越しになられても、やはり本人がその気にならなければ通院そのものを再考して頂く必要がある。家庭でのトレーニングになるので親御さんの協力は必ず必要になるので、普段から親子の会話、コミュニケーションが取れているかどうかが治療成果の鍵になる。過去に途中でフェードアウトした数組の親に共通しているのは、子供任せにしていることである。「いくら言ってもやらないでしょ!」「後々困るのは自分んだからね!」これでは子供の意思が尊重されているとは言えず、子供なりに考えて取り組む姿勢も育たない。真面目にトレーニングに励む子供からは、1年程経過すると落ち着きも出てくるようになり、「運動中も息切れをあまりしなくなったように思う」といった声が聞かれるようになることが多くなってきた。これらのことは血中の二酸化炭素濃度が上がることによって生じることなので、生理学的にも身体の機能が改善してきていることを示している。当医院では診ることの出来る人数が限られてしまうが、将来的には診療室を改良してでも子供達のトレーニングを受け入れるキャパを用意する必要に迫られそうである。

                   2022,4,8

戦場と桜

 関東地方での入学式は満開の桜と一緒に記念写真というのが私が子供の頃にはよく見られた光景であったが、近年は温暖化の影響もあり、場所によっては散り始め、葉桜に姿を変えている。私の居住地域でも公立小中学校の入学式が本日行われ、背中がすっぽり隠れるぐらいのランドセルを背負った子供達で学校は賑わい、正門の前では葉桜も混ざった桜をバックに子供だけ、あるいは親子三人で記念撮影をする家族が列をなしていた。少し緊張気味の子供もいれば、子供の晴れ姿に笑顔が絶えない親御さんの温かい視線もあり、こんなご時世であるが故に無事に入学式を迎えることが出来た幸せを感じていることでしょう。未だコロナ禍であり誰もがマスクの装着をしていましたが、一人のご婦人が黄色と青のマスクを装着されていた。同じ地球上に、人生の節目を桜で祝える環境がある一方で、戦場と化した国、街があることは、霧が晴れない気分になる。

                   2022,4,7

患者の悩み

 「今まで子供の時から歯医者通いを続けている。歯医者に通わなかった年はない。それにも拘らず、口の中が良くなっている気がしません。大人になってからは結構歯に投資もしています。どうして良くならないのか理由を知りたいのです。」当医院を受診された方の悩みは深く、このような方の歯医者不信は相当なものである。世の中には、歯科医院に通院しているにも拘らず、この方のように歯が良くなっていないと感じている方は少なくないと思われる。一人ひとり口腔内の状態は異なるので一般論的なことしか紙面ではお伝え出来ないが、歯を削って歯が良くなることは決してないということを先ずは知って頂きたい。歯の治療を受けることで、その歯の寿命を延ばすことが出来る、要は延命できると診断されたのであればきちんとした治療を受けるべきであり、治療が必要な理由をドクターから説明を受けることもなく治療を受けてしまうのは、受診者側の間違いである。また説明を受けたとしても、納得が出来ないのであれば、その場で治療を受けるべきではない。本来であればあってはならないことであるが、白衣で身を包んだ人の言うことが、絶対に正しいなどと言うことは決してないということは、苦い治療経験をされている方であればお分かりのはずである。

                   2022,4,6

新聞は紙と電子版のどっち?

 インターネットが世の中に普及し、近年はスマホを当たり前のように手にしてどこでも情報を得ることが出来るようになってきましたが、一方で、紙媒体、とくに紙の新聞の購読をやめる方や、そもそも購読しない方が増えているのではないでしょうか。当方は紙の新聞を購読しつつ、移動時間にはスマホにて新聞電子版を活用しています。紙新聞は掲載順や見出しの大きさなどで、記事の重要性などを一目で把握することが出来ますが、ネット新聞では、気付かないうちに興味のある分野の情報ばかりを目にするようになり、それ以外の情報を見逃してしまうなんてこともあるのではないでしょうか。最近は通勤電車内で折り目正しく新聞を畳んで読む乗客は見かけなくなりましたが、ネットは不正確な情報が混在したり溢れる情報に流されてしまう危険もありますから、普段からしっかりした判断基準を持つことが今を生きる人には求められていると思います。

                   2022,4,5

人間の幅

 考え方が違う、価値観が違う、見方が違うと思ってしまえば常に相手を否定したくなり、結果的には相手を遠ざけることになる。人は難しいと思うのか、十人十色と思えるのか、人を受け入れられる範囲は人によって異なる。湯川秀樹博士は、人間の脳はよく使われたとしても3%しか使っていないと言われていたそうだ。脳と心は連動すると言われるが、許容範囲が狭い人と、自分の幅に入りきらない人は多くなる。ちょっと合わないと思ったときは頭を柔らかくし、自分の幅が拡がれば相手を受け入れられると考え、自分の成長に繋げたいものである。

                   2022,4,4

最後の授業

 プーチンによるウクライナ侵攻という蛮行を国際社会が止めさせることが出来ない現状において、善良なるウクライナ国民は他国へ避難するしか選択肢がない。しかし言葉の通じない異国の地での長期滞在は、避難した家族のストレスだけではなく支援先の負担も計り知れない。そんな中、日本に避難してきた子供達がウクライナの学校とオンライン授業をしている映像を目にし、ドーテの「最後の授業」が脳裏に浮かんだ。普仏戦争でドイツに占領されたアルザス地方の小さな小学校で、先生が話し始めた。「私がここで、フランス語の授業をするのは最後です。国は占領されても君たちがフランス語を忘れない限り国は滅びません。」といい、黒板に「フランス万歳」と大きく書いて最後の授業を終えるのである。一方的に他人の家に土足で入り込んできて好き放題に荒らし、平和に暮らしていた人々を殺戮する様はどんな理由があろうとも許されまい。祖国とは国語だとウクライナ国民は分かっている。

                   2022,4,3

成長の度合い

 自分の成長度合いは自分では分からないものである。なぜなら自分の弱点、克服できない部分を誰よりも知っているからであり、目標を定めて前進するも、思うようには捗らない歩みの遅さに嫌気がさしてしまうことさえある。そんな時でもこれが自分のスタイルと割り切れるようになると、思考停止状態から脳が活性化されてあることが閃くことがあったりするから不思議なものである。目の前の課題を処理すると新たな課題が雨が降る如くやってくる。歯科医療に携わる身としては、臨床的診断の目、技術力は常にアップデートすべきことであり、人とかかわる仕事である以上は人間力も更に養う必要がある。世の中には必ずしも答えが一つではない、また立場によって正解が違うということもあり、複眼思考を意識しながら日々過ごすことでミリ単位の成長に繋がるものと信じたい。

                   2022,4,2

充実した人生

 今日から新年度、カレンダーを捲ると「環境ではなく品性が人をつくる」とあったが、私が若い時出会った人からは、「環境が人をつくる」と言われたことがある。半世紀以上生きてくると、これらの言葉はどちらも的を得ていると思うが、自己の内面のブレない軸の有無がその人の幸福観を左右するものと考えられるようになった。ブレない軸とはどういうものか。決して難しいものではなく、その行動が人のためになる、世のため人のためになるかということだけであり、全てはお天道さまが見ていると思えれば間違った思考、行動には繋がらないという至ってシンプルなことだと考えている。そのような考え方の基本は幼少期の家庭環境、親の接し方が大きく影響していると思われるが、情緒豊かな幼少期に感銘を受ける書物に出会う機会があるかどうかもその後の人生に影響を与えるものになる。情報が溢れる時代ほど自分としっかり向き合う時間をとり、一歩一歩確実に階段を登っていく充実した人生にしたいものである。

                   2022,4,1

子供の読書

 通院中の小学生に春休みをどう過ごしているのか尋ねてみると、全員が毎日塾に通っているという返事である。それも4,5時間塾にいるという。皆そんなに勉強が好きなのか、何を勉強しているのか個人的には気になるところである。私が子供の頃の長期休みと言えば、家で本を読み、友達と野球をしたり外遊びをすると決まっていた。そもそも今のように多くの塾は存在しなかった。決して読書を好んでいたわけではないが、本屋の「早く読まないと大人になっちゃう」という張り紙が気になっていた。大人になった今、子供達に読書を勧めるとしたら、同じ本でも子供の頃の読書は感動、心への響きは大人になってからとは違うと伝えたい。塾での勉強も大事かもしれないが、塾のテキストよりも読むべき本を読むべき時に読むことが、情緒を養ううえで大切であることを親には知ってもらいたい。

                   2022,3,31

身体の正しい機能

 子供の歯並びが良くないので診て欲しいとの問い合わせが多くなってきていると日々感じるが、お越しになられるお子様を診ていると、歯並びだけではなく姿勢や歩行の仕方、そして正しい呼吸が出来ていない子供が殆どであり、そのような子供達に共通していることは落ち着きがない。公立小学校の先生がお越しになられた際に、授業中に席を立つ子供がいたり、黙って教師の話を聞いていられない子供が増えていると語っていたが、生理学的な面から推察すると、不正咬合に至った原因と集中力のなさは、正しい呼吸が出来ていないことによる血中二酸化炭素の低下によるものである。先日来院された小学生は常に口唇を開いた状態の習慣性口呼吸であり、トレーニングマットに寝かせて呼吸をしてもらうと肩を上下させて全くお腹が動かせていない。正しい呼吸が身に付いていなければ、正しい嚥下もできなくなり、不正な筋肉の動きが顎骨の成長を妨げることに繋がることは容易に想像できるではないでしょうか。身体の各機能が正しく使われなければ、何れ体調に変調をきたすことも不思議ではない。対処療法で医療機関に掛かり続けることよりも、自分の身体を根本から見直してみる必要があるのではないでしょうか。

                   2022,3,30

教育とは

 今の学校は、「教」ー知識を与えるだけで、「育」ー人を育てることをしていない。だから私は、人の気持ちが分かる、人間力に満ちた人財を育てたい。これは日本電産創業者の永守重信さんの言葉です。含蓄のある言葉です。学校などの教育現場で働く教員の方も、様々な課題が次から次と表れて大変なことでしょう。私が小中学生の頃は、先生から教えてもらって学ぶことが多かったですが、今は生徒自らが考えていくことが求められています。インターネットなどで情報が溢れていますから、子供でもちょっと調べれば沢山のことが分かったような気になります。しかしそのような習慣が身に付いてしまうと、自分で考えてやってみることが少なくなってしまうのではないでしょうか。最初から何でも分かっている人などいませんし、最初は何もできなくてもいいのです。自分で考えて成功した小さな経験を積み上げて、大人になればいいのです。失敗など恐れずに、気になったことに積極的に取り組むことが、人が育つ過程では重要であり、大人はそのような環境をサポートすることに徹すれば良いのです。

                   2022,3,29

美しく生きる

 「子供二人の予約を何とかお願いできないでしょうか?」ということで2時間枠を空けて待っていたにもかかわらず、こちらからの予約の確認を差し上げたところ「あっ、行けません、すみません。」との返事である。皆さん、2時間がポッカリ空いてしまうのですよ。新規の方は直ぐには診察できない状況なので、かなり先までお待ち頂いていることをお伝えしたにも拘らず、そこを何とかということで承ってしまったこちらが良くなかったということか。常識・良識のない人が多くなったと思わざるを得ない。それにしても腹立たしい。自己中とはこのような輩をいうのであり、関わりを持たないに越したことはない。ただ、そんな不快な気分も、帰り道で一気に咲いた満開のソメイヨシノには和ませてくれる不思議な魅力がある。

人生は人それぞれだが、同じく生きるのであれば、美しく生きた方がいい。

                   2022,3,28

定期検診・メンテナンスの意義

 我々が生活のうえで使用しているものは、どんなものでも時間とともに劣化、老朽化を生じ、やがて使用に耐えなくなる運命にある。我が家では数日前から洗濯機の異音が聞こえるようになり、メーカーへの連絡が必要となりそうなのだが、もしも定期的なメンテナンスを行っていたら問題となりうる箇所を早期に発見し、適切な処置を実施することで、製品の寿命を伸ばすことができたのだろうか。当医院の口腔メンテナンスの考え方に合わせて考えてみると、症状がある時点では問題が深刻化していることが多いので、症状の出る可能性を本人が理解、承知しつつも経過を診るということがある。洗濯機の場合には部品交換で対応できても、歯の場合には問題が多岐にわたる場合には、単なる詰め物のやり換えでは済まないケースがある。だからこそ、日頃から自分の口腔内の状態を把握し、予後においてどのようなことが想定されるかなどを定期検診、メンテナンス時に確認し、口腔内の状態を医療者と患者が共有していることが適切な対応をする上で重要なポイントになる。未だに歯科医院へ治療でしか受診されない方は、発想の転換を勧めます。

                   2022,3,27

臨床の難しさ

 自分と異なる考え方や生き方に触れる経験は、物事を一面的に捉えないようにする上で非常に役立つものだが、常に視野を広く持ちたいと思っていなければ、どんな有益な体験や経験であっても何の価値もない。「能力の差は5倍、意識の差は100倍」と、日本電産の永守重信さんが以前から社員の方に語っているが、幅広い視点を持つには、自分の意見にこだわらず、他人の意見に一旦は耳を傾け、相手の視点から考えるように努めてみると、自分にはなかった見方に触れることが出来る。ある程度社会経験を積まれた方であればお分かりであろう。当医院を受診される方の主訴をしっかりと受け止め、満足のいく状態に改善することが歯科医師としての役目ではあるが、医師として最善と思う治療方針が必ずしも患者サイドの望むことではないこともあり得る。臨床の難しいところはここである。経験値、知識、技術に基づきながらも、慣行や常識にとらわれず、受診者にとって最適な選択を模索していなかければならない。

                   2022,3,26

パラジウム

 ロシアの戦争の影響でパラジウム金属の値が上がっていることから受診者に質問を受けることがある。歯科保険治療における「銀歯」といわれるものはパラジウムが約20%含まれていて、その他の金属も含まれる合金です。但し、当医院でパラジウム入りの金属を勧めることはなく、どのような材質で修復及び補綴されるかは、受診された方々に考えて頂くようにしています。詳しいことはお越し頂いた際に説明をさせて頂いていますが、咬み合せ、歯の治療が必要になった原因、術者の技術的な問題など様々なことが複合的に関与して歯に問題が生じ、それらの原因をなくしたうえで、もしくは軽減させてから治療に使う材質を考えることになります。歯は年齢と共に生理的に咬耗してきますから、それに対応できるものが第一選択されるべきであり、長期的な視点でしっかりと考えて頂きたいものです。

                   2022,3,25

美しきウクライナ

 戦争となれば国際法や条約などは紙切れ同様と化し、まさに無法地帯となるのは過去の歴史が証明している。ロシアのウクライナ侵略に伴い、人的被害は言うまでもないが、世界的な文化遺産の破壊も懸念される。リビウの街には東西ヨーロッパの文化が混ざった建築様式や石畳があり、以前バックパッカーで旅をした時に訪れてみたいと思っていた街である。今回の戦争の背景に、歴史や宗教などを否定する要素を含んでいるかどうか私などが知る由もないが、形の有無に関係なく破棄されたものは元には戻らない事実を世界は協力して何とかして止めなければならない。もうこれ以上ウクライナの美しき国土が破壊され、国民が苦しめられる姿は目にしたくない。

                   2022,3,24

富士山のように

 富士山は独立峰であることから見る方向によって様々な見え方をする。高速道を走行中に曲がった先で突然姿を現すと思わず「お~」と声を出したくなるのは私だけではあるまい。山梨県側から富士五湖越しに見た姿と静岡県側の三保の松原から見た姿は全く異なり、どちらの眺望も素晴らしい。その富士山も、いつも全体が見渡せるわけではなく、静岡県富士市によると、ある年に全体が見えた日は153日しかなかった。ノーベル医学生理学賞を受賞された本庶佑さんが以前、富士山を人生の目標にたとえていた。大学の卒業式において、「富士山が雲に隠れるように人生の目標を見失うこともあるかも知れないが、自分なりの富士山を見出して挑戦を続け、頂上を目指して欲しい」と。基礎研究は失敗の繰り返しであり、短期間で成果、結果はでない。新たな年度を控え、富士山を見るように視点を変えてみると、ことが上手く運ぶこともあろう。

                   2022,3,23

引き続きの感染対策を

 この三連休は行楽地や観光スポットの人出が急増している。前週の同じ曜日よりも新型コロナ新規感染者数は減少効果にはあるものの、高止まり傾向であることから手放しでは喜べる状況ではない。店舗などの入口には手指消毒用アルコールが常備されるようにはなってきたが、全ての買い物客が使っているとは限らず、国民一人ひとりの感染防止への高い意識が引き続き求められる。2年前の未知の感染症への緊張感を忘れたわけではあるまいが、馴れが気の緩みを引き起こしているのは否めない。「まん延防止等重点措置」が解除されても、感染対策が解除されるわけではないことを肝に銘じる必要がある。

                   2022,3,22

美味しい料理とは

 「写真を撮っても宜しいか?」とはカウンターの隣席で、頼んだ日本酒の銘柄をスマホに収めようとされていた少しご年配のお客様である。大将の「インスタ映えするように上手く撮ってくださいよ」との声に「いやいや、何を飲んだか忘れないように撮っているんや(笑)」と何とも微笑ましい会話である。美味しい料理とは、素材の良さもさることながら料理人との軽妙な会話がより一層味を引き立たせてくれる。ひと昔前は、絶品料理を提供すればそれが客への最高のおもてなしとして評価されたのかもしれないが、舌の肥えた客が増えた今は、料理の質がコアサービスであるなあらば、それを引き立たせるサブサービスとしての大将の人柄、性格、そして品格が求められてはいないか。業種は違えど心の会話が出来る相手とは、時間が過ぎるのを早く感じるものである。

                   2022,3,21

通りうた

 まーるたけえびすにおしおいけ。あねさんろっかくたこにしき。京都に詳しい方はご存知でしょう。「丸竹夷二押御池」から、京都の通り唄は始まります。京都には年に数回足を運ぶ機会があるので、その都度時間の許す範囲で京都市内をランニングするのですが、碁盤の目のように造られた通りには老舗の店から気になるお店など関東育ちの私には興味が尽きません。ただ店の住所を記憶しようにも漢字が長々と続いたあとに番地があり、とても覚えられません。タクシーで住所を伝えても運転手さんの反応は?なんてこともあり、逆に「・・通りを上がって・・を東入るやね」と聞き返される次第。南北と東西の通りが縦横に整然と並び、縦と横の通り名を組み合わせれば、簡単に場所が特定できるというわけです。京都観光の際には「通りうた」を参考にして散策してみると、ガイドブックにはない京都が見えてきますよ。 

                   2022,3,20

集中力

 集中力の欠如ほど仕事・勉強・運動の能率を悪くするものはない。この集中力を皆さんはどのように高め、維持されていますか。体調が良くないときでも社会人であればそれなりに日々を過ごさなければならないが、精神的に辛い、自分ではどうにもコントロールできない心配事などを抱えていると、全てが上の空なんてことは誰もが経験されていることでしょう。スギ花粉の乱舞するこの時期、花粉症の皆さんは辛そうです。受診者の方から「この時期は仕事に集中できなくて困ったものです。」と言われ、普段気にすることもない“集中力”に集中した次第です。まあ、花粉症は外的な要因ですので内面的な問題ではありませんが、何かを達成するためには必ず「集中力」を身に付ける必要はあるでしょう。どんな状況下でも集中できる秘訣、秘策があれば知りたいものです。

                   2022,3,19

大学受験

 「雪深く 路見えず 今暫し待たれし」、これは私が高校三年生で受験した国立大学からの電報である。私立大学には合格したものの国立大に通う自分の姿しか描いていなかっただけに、流石に堪えた。親を説得し、一年間の浪人生活をさせて頂き、再度国立大を目指すも、脆くも跳ね返された2度目の大学受験。「長い人生の中では一年ぐらは大したことはない」と周囲の人は励ましてくれたが、社会経験も積んでいない若い当方にとっては、大きな躓きであった。目標に向かって余計なことは考えずに・・・と言うは易く行うは難しで、失敗を糧にとはなかなかいかない若輩者だった。思考も経験も負のスパイラスから抜けだすにはどうしたらよいのか自問自答の繰り返し。実体験から言えることは、失敗の記憶が、さらに次の失敗を招いてしまう。そこから抜け出す一番の方法は、確実に結果が出ることに取り組んで成功体験を積み重ねることしかない。この春、もう少しのところで願いが叶わなかった諸君、この一年徹底した準備をしてやり抜け!

                   2022,3,18

気持ちと価値観

 相手の声に耳を傾けるとは、相手の気持ちに寄り添うことなのか、価値観のことなのか、考えてみたことはありますでしょうか。たかが歯科医療を提供するだけなのに、そんなことは関係ないと思われる方には関心のない話になりますが、気持ちというのは瞬間的な出来事であり、問診で受診者の言わんとしていることをこちらがしっかりと理解、受け止めた時には、相手の気持ちは落ち着き安心するものである。ただ、受診者とこちらの価値観までは多くの場合その時点では共有できていない。治療回数を要する場合には、この価値観の部分である程度共有できないと、治療する側とされる側の温度差が拡がり、互いに満足に至らなくなり、受診者は来院しなくなる。価値観というのは人の奥深いところにあるもので、その方の人生観、在り方に繋がっている部分である。当医院の経営理念は開業以来“価値あるものを患者様に提供する”ことであり、治療をすることだけが歯科医院に足を運ぶ理由ではない。それは、こちらの医院にお越し頂いている方には理解して頂けていると自負している。受診される方の“気持ちと価値観”の両方を理解するところまで達して初めて信頼関係が築かれるというものであろう。『至誠にして 動かざる者は 未だ之れ あらざるなり』

                   2022,3,17

医療を受けるにあたって

 「最近引っ越しをして来て右も左も分からないのでネットで探して口コミで良いところに行ってみたのですが、ひどい歯医者でした。」とは先日こちらにお越しになられた患者さんのお言葉です。医院探しに限らずネットの口コミサイトを利用する機会はありますが、どこまで信憑性が高いのか分かりません。当医院の口コミにも多くの患者さんからの声が届いてますが、実際には医者と患者様の相性もありますから評価の仕方は難しいのかも知れません。最近、当医院の新規患者様の中にはセカンドオピニオンを求めてお越しになられる方が増えております。掛かっている歯科はあるにもかかわらず、何か不満や納得がいかないことがあるのでしょう。自分の身体に関わることですから当然のことではありますが、医療である以上は全て納得してから治療を受けるのは患者さんの権利です。疑問があれば遠慮しないで先生に質問をする。白衣を着ているからといって先生に遠慮してしまうようでは駄目です。先生から適切且つ納得のいく説明がなければ、治療を受けなければよいのです。難しいことではありません。


                   2022,3,16

決断の軸

 「毎日が決断の連続ですよ!」と若い勤務医の時に患者さんから言われた言葉である。細かなことまで含めて一日を決断の連続で我々は生活をしている。昼食に何を食べようか、頂いたメールをいつ返信しようか、第一志望大学をどこにしたらよいか、どこの歯科医院を受診しようか、などすべてが決断である。選択肢が多ければ人は迷うものですが、重要な決断をするときに必要になるのは、その人が普段からどのような“軸”をもって生活をしているか、決断の基準となるべき「軸」の存在が左右するのではないでしょうか。軸のない人生を送っているならば、つねにその場その場で考えて決めるという根無し草のような状態でしょう。学生の学び、仕事における学び、そして人生の学びは軸というある束縛があってこそ良き方向に機能するものではないでしょうか。


                   2022,3,15

松下幸之助さんと青春

 故松下幸之助さんがある成人式に講演出席して一堂に会した数千人の若い人たちの姿を見た時に、心の底から若さを羨ましいと感じたそうだ。そして、“もしできることならば、一切を投げうってでも諸君の年齢に返ってみたい”と率直にその時の感慨を述べたそうである。当方はその当時の幸之助さん程の年齢には達していないが、精神的には若い時よりも今がより充実しており、気持ちの面ではいつまでも若い気でいる。20代の頃の体力はないとしても、心は老化させないことが人には必要であり、日々の意識の在り方が年齢を感じさせないことに繋がるであろう。

現在のパナソニックの創業者が85歳の時に書いた額入りの銘がある。

“青春 

青春とは心の若さである

信念と希望にあふれ勇気に満ちて

日に新たな活動をつづけるかぎり

青春は永遠にその人のものである”


                   2022,3,14

20daino 待ったなし

 人類滅亡の日まであと何日?そんな映画のタイトルが以前あったと記憶しているが、常軌を逸したプーチンロシア軍の侵攻は、そんな不安を現実のものとしてしまうのか。ウクライナ侵攻の目的を演習と知らされ進軍を続ける兵士たちは、想定していたものとは異なる状況にパニック状態に陥り、動くものがあれば所構わず砲撃をしているという。あくまで西側の情報ではあるが、軍の指揮系統は統率が取れていないとのことで原発などへの攻撃は人類への許しがたい暴挙であり、血の凍る思いがする。これまでも平和を脅かす様々な紛争が世界中で起きてきましたし、その都度暗澹たる思いを抱いてはきましたが、今回の事変ほど毎日嫌悪と不安を掻き立てられ、気持ちを鬱にさせるものはありません。国連が機能不全にある中で、世界はどう動くべきか、待ったなしの試練である。


                   2022,3,13

時計を見るな!

 アメリカの大発明家エジソンの逸話はいくつもあるが、そのなかでも「決して時計を見るな。これが若い人たちの一番覚えておくべき私の忠告である」という件を私は気に入っている。休み時間や退社時間を気にしているようでは真剣に仕事に向き合えないということであり、今の若い人たちには考え方が古臭いと敬遠されかねない。締め切りがあるという時間の概念は重要だが、企画書、レポート、論文などを書くときは構想を練るまでに時間を要するものであり、エンジンがかかってしまうと途中で時間を切れなくなるものである。机上の仕事以外でも同じであり、やりかけの仕事を中断することほど消化不良なことはない。スポーツでも身体を動かしていると、疲れているのに勝手に身体が動いていい結果に繋がっている瞬間、つまり「ゾーンに入っている」という表現をすることがあるが、そんな時は時間の存在など忘れているものだ。仕事や勉強の出来る人というのは、この「ゾーン」を知らずに創り出しているに違いない。


                   2022,3,12

3・11

 今度の地震ばかりは過去の規模とは違うと察したあの瞬間から11年が経った。沿岸地区から非難を呼び掛ける報道に緊迫した状況が続き、リアルタイムで信じがたい映像が東北各地から次々と映し出されてきた。「津波の予測最高到達地点11メートル。大至急高台へ避難してください。繰り返します・・・」。想像できる範囲を超えており、映像に映し出される人々が無事に避難できることを祈るしかできなかった。当医院の患者様のなかには、「福島の実家付近が波にのまれる中継を見たのですみませんが治療の予約をキャンセルさせて頂き実家に向かいます」という方もおられた。幸いにしてその方のご家族は無事が確認されたが、交通手段も遮断されて現地には2日以上かけて入ったとのこで、経験したことのない未曾有の大災害となった。誰もあの日のことは忘れはしないが、11年という年月を経て風化が懸念されるところだ。各家庭における非常時への備えを改めて確かめる機会にしたい。


                   2022,3,11

その場しのぎの繰り返し

   「初めてそちらを受診したいのですが‥‥、今掛かっている歯科医院で歯を抜いてインプラントにするように勧められているのですが、一度そちらで診て頂けないでしょうか?少し痛みもあるので今日は如何でしょうか?」。このような問い合わせは近年多くなっており、本日も今日の今日、5分でも診て頂けないかということであった。皆さんにも考えて頂きたい。5分で何が出来るのか?歯の治療ってそんなに簡単、単純なものという認識なのでしょうか。問診に掛かる時間、レントゲン撮影、口腔内写真、歯及び歯肉の状態診査、咬み合せの診査などは初診時にすべき最低限の診査であり、今すぐ何か処置を希望する方は、その方が掛かってきた歯科医院では、痛みがあれば直ぐに処置対応をする、有難い医院なのであろう。はっきり言わせて頂く。それが主訴対応型の対処療法歯科医院であり、疾患の原因を探ることなくその場しのぎの処置に明け暮れているから、患者さんは同じ歯を何度も治療を繰り返すことになる。歯を抜いてインプラントにすれば、歯が悪くなった原因がなくなるのでしょうか?インプラントは本当に歯の代わりになるのでしょうか?誤解があると良くないのですが、インプラント治療を否定しているのではありませんよ。


                   2022,3,10

接続可能?

   インターネット接続、Wi-Fi接続が当たり前になっている日常において、突然接続が途切れてしまったなんて経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。時間に余裕がある場合にはあれこれ周辺機器を触ったり、コードを抜き差ししたりして、原因は分からないが接続が可能になったりすることがあるが、直ぐに返信をしなければならないような急を要するときには本当に参る。今はスマホを駆使して何とか復旧の手立てを講じることができる場合もあるので助かるが、気が付くと視界には入らないもののオフィスも家庭も配線だらけで、しかも誇りまみれの状態である。人間社会も様々な配線でつながっているが、一度断線すると復旧可能であっても復旧させたくない時もあるのではないでしょうか。診療前のちょっとした患者さんとの会話から、人間関係で悩んでいる方は少なくないと察する時がある。


                   2022,3,9

様々な支援の仕方

   ウクライナから隣国に避難する人が200万人を超え、第二次世界大戦後、最大の避難民となっているとの報道である。多くは女性と子供であり、60歳までの男性は出国を禁じられ、祖国防衛のため銃をもって謂われなき戦いに挑んでいる。あまりにも理不尽である。国境を超えたウクライナの人々をルーマニアやポーランドなどの人々は、自主的に各家庭に受け入れ空き部屋を提供しているという。福島原発事故が起きた当時、避難指示の範囲が次々と拡大し、大勢が避難を強いられた。風評被害で心ない言葉を浴びせられた人もいたようだが、多くの方は避難先の住民らのやさしい気持ちに触れ、一時ではあったかもしれないが心を癒されたという。我々日本人が今できることは何か。受け入れ先の経済的負担を我々の税金で支援することなどを考えてみてはどうか。

                   2022,3,8

無力感

   プーチンによる無差別攻撃によって善良なウクライナ国民が理由もなく殺戮されているという表現が的を得ている。軍事施設のみを攻撃するとはよく言ったものだ。プーチンの言う「ウクライナが核兵器を製造している」ならIAEAが査察に入っているはずであり、その疑いが仮にあったとするならば、まずはIAEAの調査を待つべきであり、それを待たずして無差別に攻撃を仕掛けるとは正気の沙汰ではない。戦争となればルールなどあるわけない。空気のように当たり前の平和がいかに尊いかということである。ダッハウ収容所に足を運んだ際には、ここまで人間は残忍、残酷になれるものかと、人間の愚かさを思い知らされたが、現在進行形でウクライナを侵略しているロシア軍がしていることは、とても心ある人間の仕業とは思えない。過去の戦争とは異なり、ほぼリアルタイムで現地の状況を世界が把握することが出来る。出来ない国があるとすれば、嘘で塗り固められた自分の鎧を守るために情報統制をしている国である。訳も分からず避難する途中で敵の攻撃に倒れる親子の映像に、矛盾だらけの不条理な世界を黙ってみることしかできない無力感が漂うばかりである。

                   2022,3,7

リーダーとは

   人は誰しも同じ環境では育っていないが故に考え方、価値観の相違が生じる。職場における適性や意欲は人それぞれ。第一印象は大事だが、自分の尺度で人を測ってもうまくいかないことを開業してからの18年で学んだ。名経営者である故松下幸之助さん、現在も現役であられる稲盛和夫さんからは、経営は人間力であること、個性に目を向け、潜在能力を引き出すことがリーダーの役割だと教わった。開業医という極めて小さな組織ではあるが、スタッフからの貴重な意見、患者さんからの気付きは、組織の長として成長させて頂く貴重な機会である。周りの意見に耳を傾けることなく、イエスマンだけを側近に揃えるようでは、人としての成長どころか修正が出来なくなる良い例が大国のリーダーでいることは残念でならない。

                   2022,3,6

不沈空母

   中曽根康弘元総理大臣がレーガン大統領との会談で、日本列島を不沈空母と発言したか否かと騒がれたことがあったが、通訳の誤訳ということでその話は収まったと記憶している。まあ、首脳会談の通訳をされるような方ですから、誤訳とは考えにくく、敢えて言うなら意訳だったのではなかったか。普段目にする世界地図を南半球を上にしてみると、ユーラシア大陸から太平洋に海路で出ようとすると、千島列島から日本列島、そして台湾にかけて波けしブロックがあるかのように航路を邪魔している。要するに、地政学的に中国とロシアにとって日本と台湾は障害物であり、物騒な物言いだが取り除くか自国にしてしまいたいというのが本音であろう。ウクライナの出来事が対岸の火事ではない所以である。日本の国会議員の皆さん、国のために何ができるか今こそ本領発揮するときですよ。綺麗ごとばかり述べないで、もっと緊張感を持って職務に励んで頂きたい。

                   2022,3,5

国を守るために!

   過去に起きた戦争ではなく、1週間前までごく普通に生活をしていたウクライナ国民の悲劇である。若いサッカー選手が戦闘に巻き込まれて死亡、先日のオリンピックに出場していたバイアスロンの選手は戦闘服を着た姿をFBにアップしている。日常の平和とはこんなにも脆いものなのか。対岸の火事ではない。自国の自由、独立、平和、幸福のために彼らは勇敢にも戦っている。彼らの気高い魂を、無駄にせず役立てないといけない。我々日本人の中には、平和、平和と唱えていれば平和でいられると思っている国会議員や評論家などが少なくない。ウクライナの現状を直視し、現在進行形で戦うウクライナ兵士がどういう思いで戦い、死んでいくのかをよく理解し、戦争など起こしてはならない覚悟が生まれなければ、我々日本人はいざとなった時には日本を守れないのではないか。国防について真剣な議論をすることは論を俟たない。

                   2022,3,4

ロシアの歴史

   大義なき戦争に退役軍人の有力者らがプーチン辞任を要求している。ロシア国内の戦争への、そして長期政権への不満が頂点に達している現われであり、ロシア国内で抗議する人々を取り締まる姿は、帝政ロシアが崩壊したきっかけと同じ、日露戦争反対や内部改革を主張するデモを弾圧した構図と同じである。ペレストロイカ、グラスノスチと約30年前にソビエト連邦が崩壊した切っ掛けも、体制への幻滅や自由への渇望が後押しした。西側諸国の制裁によってロシア国内の経済が立ち行かなくなれば、今以上に良識あるロシア国民は大人しくはしていまい。ロシアの民芸品「マトリョーシカ」は大家族、豊かさを象徴する縁起物とされている。その家族やロシア国民の心まで押さえつけ、ウクライナ国民の憎しみしか生まない戦争を主導するクレムリンを倒すには、勇気ある有志達の内部からであることを、ロシアの歴史が証明している。立ち上がれ良識あるロシア国民よ!

                   2022,3,3

テロリスト

   連日トップニュースはロシアのウクライナ侵略についての現状報告からであり、映像を見るたびにやり切れない気持ちが湧いてくる。嘘に嘘を重ねた国家指導者は、ウッォカを片手にゲームを楽しむかのように指令センターから自軍の戦闘状況を確認しているのだろうか。超大国のリーダーと思われていた人間が、世界に存在するどのテロリストよりも危険な存在になっている。「軍事施設のみを攻撃し、民間施設は狙っていない。市庁舎などの攻撃は、ウクライナ軍による自作自演だ」と駐日ロシア大使の発言も、裸の王様には歯向かえないのだろう。大使になるぐらいだから良識はあると思いたいところだが、反プーチンは死を意味するというから本心を言うわけにはいかないのだろう。安倍前首相が20数回プーチンと会い、親交を深めたうえで北方領土問題を必ず解決すると意気込んでいたが、相手の大将がテロリストではまともな交渉など出来るわけがない。世界は今、どうやってプーチンを駆除するのか早急に協議を進め、ウクライナの主権を取り戻さなくてはならない。

                   2022,3,2

プーチンの暴挙

  昨日までの平凡な日々がどれだけ幸せなことだったのか、ウクライナの人々は謂れのない戦争を仕掛けられて憤り、無力感で途方に暮れている。「私たちがロシアに何かしましたか?」。人が居住しているのを知りながら、殺戮兵器をまるでゲームでもするかのように打ち込んでいるロシア軍。ロシア兵士の中には、この戦争の意義を何も知らされずに演習と思いこまされてウクライナの地に送り込まれているとの報道もある。プーチンよ、何を血迷ったのだ。もう後には引けないだろう。戦争に勝者はないということを、お前は理解していないのか。ウクライナ国民の命はロシア人よりも尊いものではないとでも思っているのか。世界中見渡しても、誰一人として国籍を選んで生まれてくる人はいない。これから何年にも亘って国民感情も含めて負の連鎖が始まるに違いない。プーチンの暴挙は、ウクライナ国民と全世界だけではなく、ロシア国民をも苦しめることになっている。ドイツのショルツ首相の言葉をお借りする、「戦争を決めたのはロシア人ではなくプーチンで、全責任を負うのは彼一人だ」。

                   2022,3,1

オミクロン株の後遺症

  新型コロナオミクロン株への感染者の増減が日々報じられ、一部では重症化しないからデルタ株よりもリスクは低いようなことが言われているが、これは間違った情報であると伝えたい。病巣疾患研究会の会員であるヒラハタクリニックの平畑光一院長は、感染後は強い倦怠(けんたい)感に襲われるなど、短期間で症状が悪化したり、長引くこともあるため、後遺症を訴える人への理解を呼びかけている。さらに筋痛性脳脊髄炎や、慢性疲労症候群に非常に近い状態まで、一気に2週間でなってしまっているということが見られています。オミクロン株(の症状)が軽いというのは、最初だけの話であって、その後、どうなるかっていうのは、全然別の話になりますので、やはり感染予防をしっかりしていく必要があると思います」と述べられている。感染予防の解除はないということを是非とも肝に銘じて頂きたい。

                   2022,2,28

歯科衛生士の採用条件

  人の採用が難しいのはどこの業界も同じことか。当医院にも国家資格を持った歯科衛生士が面接にお越しになられるが、資格がなくても採用したいと思わせてくれる人は現れない。当医院の経営理念、仕事に対するご本人の考え方と共感共鳴できるものが多くなければ共に仕事をすることはできない。「仕事の完成ではなく、仕事をする人の完成」とスペインの諺にある。歯科衛生士学校での専門教育で学んできたことは、当然なことではありますが、ほとんどが技術でしょう。大きな信頼を得るためには技術の優秀さが欠かせませんので、技術教育は極めて重要ですが、別途、円満な人間関係を築ける能力の養成も不可欠ではないでしょうか。なにも歯科衛生士に限ったことではありませんが、正しい言葉遣いや礼儀作法の教育を学校では教えてもらわず、唯一家庭教育におけるしつけがこれをカバーしていた部分はありますが、今はその家庭教育もその場限りとでも言いましょうか近視眼的な部分でしか躾けられていないと思われる場面に遭遇します。社会生活では、対人関係能力の基本が身についていなければ、その先のことは単なる上辺だけのメッキにしかなりません。生涯かけて人間力を高める意識をもち、人のためになる素晴らしい崇高な仕事に誇りをもてる職業であることをしっかりと認識して歯科衛生士の仕事を全うして頂きたい。


                   2022,2,27

防衛力

  20代の頃、格安航空券を使って欧州に行く一番安いルートはアエロフロート航空を使ったモスクワ経由が定番だった。まるでロシア人形のような可愛らしい客室乗務員の方に、一緒に記念の写真撮影をお願いして撮った一枚は今も大切にアルバムにしまってある。シェレメチェボ国際空港 にトランジットで泊まった際には、不愛想ではあるが意外と親切な対応をロシアの人はしてくれた記憶があり、私の中ではロシア人は好印象しかなく,当医院にお越しになられているサンクトペテルブルク出身の方も優しい紳士である。そんな彼らが戦争を望むわけがない。戦争からは悲惨なものしか生まれないので絶対にしてはいけない。17世紀、オランダは平和主義を唱え軍事に力を入れず、商業に専心し大繁栄をしていた。他国の脅威となるような軍事力を持たなければ攻められることもない、と今の日本人のようなことを考えていた。ところがどうだったか。経済的な繁栄に嫉妬したイギリスから戦争を仕掛けられ敗戦した。自分より弱いと見たら戦争を仕掛けるというのが歴史である。ウクライナの無事を祈りつつ、日本の防衛力について真面目な議論を今しなくていつするのでしょうか。


                   2022,2,26

異常者と権力

  国連の常任理事国の一国のリーダーがテロリストだとは誰も見抜けなかったということか。国連の存在意義はどこにあるのか教えて頂きたい。爆撃に怯え、地下壕に避難した小さな子供が泣きながら「死にたくない」と身体を震わせながら呟いている動画がネット上に挙がっていた。子供にどんな罪があるというのか。さぞかし怖いだろう、不安で不安で涙も止まらないだろう。お父さんお母さんと一緒にさっきまで普通に暮らしていた家に戻りたいに違いない。とても正気の沙汰ではない。歴史的背景がどうであれ、ウクライナ国民の選択によって現政権が樹立されたことは紛れもない事実であり、民意が反映された政権を転覆させるとなれば、世の中から正義が無くなるようなものである。異常者に権力を握らせることほど危険なことはないと学んだが、この学びを生かせる時が世界にやってくることを祈るばかりである。

                   2022,2,25

独裁者相手に・・

  国内政治が上手くいかず国民からの支持を得たいがために領土侵攻をしたのか、地政学的な満足を目的に隣国に土足で入り込んだのか、何れにしても一国のリーダーとしての血迷った指示を出し、自らの首を絞める道を彼は選んだのだ。側近にはイエスマンを揃え、自分の権限を最大限に効かせることが出来るよう大統領令まで変えてしまう独裁者の末路は、過去の歴史が証明している。そんなリーダーを相手にまともな領土交渉が出来るはずがない。北方4島一括返還から56年の日ソ共同宣言に基ずく先ずは2島返還へと舵を切った日本政府の交渉は、振出どころか話が反故にされる可能性さえ出てきた。国政を預かる与野党の議員一人ひとりに国としてどう対応すべきかを問いてみたい。国会議員の仕事は国を守ることであり、それが全うできずに何を騒ぎ立てているのか。今はウクライナ国民の安全を祈りたい。

                   2022,2,24

名経営者とは

  京セラの稲盛和夫さんと日本電産の永守重信さんは私が私淑する経営者のお二人であり、人間的な魅力と独自の哲学があり、未来志向を持つという共通点は経営にも人生にも必要なことであると学ばされる。実際にお会いしたことはなく講演なども聴講したことはないのだが、私が歯科医院を立ち上げる際には、一経営者としての心構えを請う思いで名経営者の本を拝読した。業種は違えど場面に応じて自分だったらどうするか、対比して読むことでいろいろな気付きを得ることが出来たことは確かである。常に前進し続けている経営者は年齢を感じさせない熱心さと課題を考え抜く若さを兼ね備えていて、目の輝きが全く違う。逆に年齢を重ねても考え抜く経験値がなければ、年齢以上に老けて見えるに違いない。

                   2022,2,23

自負と誇り

  私が学生の頃はF1人気が頂点にあり、アイルトン・セナやアラン・プロストを擁するマクラーレンホンダの全盛期でもあった。その後ホンダは一旦F1から撤退したが数年前に復帰し、昨年は総合優勝を飾った。秒速を争う世界ではドライバーのドライビングテクニックは勿論、エンジンの燃費、パワーをどれだけ発揮できるかが勝負になる。エンジン開発に関わるエンジニアを追いかけた特番の中で、研究者たちの執念にも近い仕事に懸けるシーンが多く見られ、ホンダ創業者の本田宗一郎さんの哲学が脈々と受け継がれているのが見て取れた。「チャレンジして失敗するよりも、何もしないことを恐れろ」。実験では論文には出ていない反応が出たが、炎の拡がり方にエンジン効率を高める閃きを得たエンジニアが試行錯誤を繰り返した結果、40%のエネルギー効率を上げるエンジンを完成させ、1/1000秒を競う世界では画期的な成果となった。へこたれることなく研究に取り組んできた彼らの自負と誇りに満ちた顔が印象的であった。

                   2022,2,22

 天下草創の志を同じに出来ん

  「帰れ!遅い!わしは昼前からここでお主を待って居った。無礼にもほどがある。帰れ。遅参するものなぞ、戦場では役に立たん。礼儀を知らぬ者とは、天下草創の志を同じに出来ん。」これは昨晩のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」のなかで大泉洋演じる源頼朝が遅参した上総広常に対面した際のセリフである。ご覧になられた方はいらっしゃいますでしょうか。私はこのセリフに痺れました。“天下草創の志を同じに出来ん!”、これは志を同じにする人と一緒でなければいい仕事は出来ないということであり、スタッフ採用に於いて妥協は出来ない私としては背中を押された気分である。以前、セミナーでご一緒させて頂いた歯科医の方が、「スタッフが足りなくて困っていたので猫の手も借りたいぐらいだったから面接にお越しになられた方をとにかく採用した。でも結果的には猫のほうがよかった」と笑えないような笑える話をして下さった。いつの世も、思いが同じでなければやっていけんのじゃ!

                   2022,2,21

自由闊達

  小さい頃から塾通いをすることで、果たして子供達の何が成長発達しているのでしょうか。日本の国力の低下は対外的な問題ではなく、日本人一人ひとりの独創力、発想力の低下が根源にあるように思えてならない。ペーパー試験を無難にこなし、親に敷かれたレールの上を疑問も持たずに進むことで、高学歴という産物を手に入れる。そこに子供達の独立心が育まれているのか甚だ疑わしい。世間には、家庭の事情で高等教育を受けられない人がどの時代もいる。それでも松下幸之助さん、本田宗一郎さん、そして田中角栄元総理など学歴のない方は、考え方が自由闊達で常識にとらわれないエネルギーがあったのは周知の事実であり、そういった方々ほど勉強家で、努力家であったのも事実である。低迷する日本を再起動させるには、人間を箱の中で育てるのではなく、本来の人に育てることにある。

                   2022,2,20

時間厳守

  今は人との待ち合わせに昔ほど気を使わなくて済むようになったと考える人も多いのではないか。待ち合わせ場所の不安も地図アプリでほとんどなくなったとは言え、不安を感じればすぐに相手と連絡もつく。少し遅れそうになればその旨連絡をして了解を取ることもできる。これで事足れりと考えている人は、意外と多いようだ。「相手を煩わせることになるから時間厳守は絶対だ」と子供の頃に親からよく言われたものだったが、時間を守れない人間は何をやっても結局は駄目だというのが50年以上生きてくると分かる。当医院の予約時間に遅れる人は、決まって毎回遅れてくる。逆の立場になれば、何とか時間前に間に合わせよう必死になるものだが、現代社会の余裕のなさがそのような状況を創り出しているのだろうか。どんなに学歴があろうとも、それなりの肩書をお持ちであっても、ちょっとしたところに人間性が表れるものである。

                   2022,2,19

不正咬合と注意力の関係は?

  それにしても子供達の歯並びが悪い。先日初診でお越しになられた小学生男子は、問診中にも拘わらずこちらの質問を遮り喋りたいことを一方的に喋り捲り、落ち着きがない。学校の授業中も落ち着きがないと担任の先生からも言われているとのこと。「落ち着きがない」=「注意力が散漫」ではない部分もあるが、不正咬合の原因を理解して頂くと大方の親御さんには体幹の歪み、不正咬合、鼻詰まり、落ち着きのなさとの関係性を理解して頂けるようだ。歯並びが悪いと歯列矯正治療が必要と思いがちだが、不正咬合は頭蓋顔面骨格の成長発育不良の結果の一つであり、歯並びだけを揃えたとしても、それは表面的な部分を改善したに過ぎず、背景にある根本原因にアプローチする必要がある。但し、8歳までに顔貌の90%が完成されることから、適切な年齢の時に適切な治療を施すことが重要である。歯科医院で正しい呼吸の仕方を指導することになるとは、歯学部卒業時には露にも思わなかったことである。

                   2022,2,18

相互尊重

  日韓関係が相変わらずギクシャクしているが、故中曽根康弘総理は首相に任命されるとアメリカではなく韓国を最初の訪問国として選んだ。隣国との関係改善が地政学的にもなによりも最優先事項であることの現われだったに違いない。日本の首相として戦後初めて韓国を公式訪問した際には、今では考えられないが空港に日章旗が揚げられ、君が代が吹奏されたのである。当方は高校生になっていたので記憶している。中曽根さんは首相になる数年前から密かにハングルを勉強していて、当時の晩餐会では最初と最後の部分、全体の1/3ぐらいを韓国語でスピーチを行い、列席した韓国の要人の中には涙ぐむ人が多かったと、当時の新聞には掲載されていた。様々な国民感情が存在し、その時々によって国民感情も変化するものである。異なる文化、価値観を否定するのではなく、相互尊重を基本に疑念よりも信頼を軸に世界の首脳には外交関係を構築して頂きたい。

                   2022,2,17

何事も控えめに

  私が小学生の頃、今の東京ドームは後楽園球場と呼ばれていて、巨人戦では私設応援団が紙吹雪を撒きながら球場を盛り上げるという、今にしてみれば昭和の雰囲気が満載だった。当時王貞治選手が世界のホームラン記録を塗り替えるのはいつの日かということが話題になっており、755号を打った翌日に親に連れられて球場に行く機会があった。目の前で世界新記録を見れるという期待も最高潮になり、ワクワクしながら王選手の打席を待っていた野球少年だった。残念ながらその日の記録達成とはならなかったが、2日後には多くのファンの期待に応え、ゆっくりとダイアモンドを一周した姿を鮮明に記憶している。今であれば打った瞬間にガッツポーズなど派手なアクションをするのかもしれないが、当時の王選手は打たれた投手の心情を察して静かにベースを回ったという。この姿をビデオで見たコリン・パウエル元米国務長官は「スイングも見事だが、はしゃがず、おごらずベースを回る姿に気品がある」とおっしゃったそうだ。中国の田舎から出てきて、日本で定職にありついた王さんの父は「日本に生かされている」と言い、周囲と折り合い、何事も穏便に済ませ、波風を立てないようにして生きてきたという。父親の「万事控えめに」という教えが王さんの人柄に表れている。

                   2022,2,16

休刊日の気付き

  先日の新聞休刊日、いつものルーティンで新聞受けに手を入れ中を探ってないことに気付くと、何か物足りなさを感じながらリビングに戻り、新聞を読み始めることが私の中では一日のエンジンをかける行動になっていると感じさせられた。ネットでも最新のニュース・情報を得ることは出来るが、何か新聞とは違う物足りなさがある。朝刊夕刊電子版はスマホでも閲覧できるので、外出先や乗り物で移動中などには重宝するが、ネットではなぜか自分に必要なニュースを検索して読んでしまい、幅を広げて読むことをしていない。その点新聞では、広げた途端にまったく関心がなかった情報まで目に飛び込んできて、好奇心や知識を広げる上で役に立っている。日常の朝にゆっくりとした時間は取りずらいものかもしれないが、限られた時間を有効に使う良い習慣が身に付けば、人生の幅はまだまだ拡がりますよね。

                   2022,2,15

学問のすゝめ

  子供の頃から当医院に定期検診でお越しになっている患者さんが今春大学を卒業することになった。我が子の成長のように嬉しいものである。以前来院された時には福沢諭吉の「学問のすゝめ」の話になり、読んだことがないので読んでみますということで今日半年ぶりに来院されたので、その話題に触れてみたのだが、「あっ、読んでいません!」。歯科検診で堅苦しい話などする必要は全くないのだが、あの明治初頭に70万部を売り上げたベストセラーを是非若い時に読んで頂きたいという思いから遂語ってしまった。学問のすゝめが世に出たのは廃藩置県の翌年であり、それまでの武士も失業状態になった年でもある。要は世の中貧乏人ばかりの時代背景があり、きちんと生計を成り立たせたかったらこれからは学問を修め、学問で貧富貴賤が決まると諭吉は熱く語っているのです。時代によって学びも異なるのは当然であるが、これから日本を背負って立つ若い人には特に何のための学びなのかを掘り下げて日々を過ごしてもらいたい。

                   2022,2,14

ドカ雪と天気予報

  この時期になると“南岸低気圧”なる気象用語をよく耳にする。10年ぐらい前になるだろうか、家族で新潟県六日町のスキー場で午前中を過ごし、あまりの降雪量にスキーの続行は難しいと判断し、早めの帰り支度をしてから関越道を走行していた時である。高速道路の交通状況を表示する電光表示が至る所で×表示が出ていた。普段であれば事故現場を意味するのだが、数えきれないほどの×××の連続表示に何が起きているのか見当が付かぬまま車を走行していると、突然二車線が一車線に規制されており、その先は群馬県内のインター出口へと誘導され、渋滞で進まない国道に降ろされた。急な大雪にタイヤの装備も追いつかな車が多く、至る所でスタックや脱輪している車に遭遇し、事故現場に向かう途中と思われた警察車両も例外ではなく、コースアウトした状態で無線連絡を取っていた。そんな状況では当方がいくらスタッドレスタイヤを装備していても渋滞から抜け出すことは不可能で、午後1時過ぎに六日町を出てからなんと13時間かけて帰宅したのである。予報を上回る急な大雪とはいえ、普段から雪への備えが全く出来ていないドライバーが多いことに憤慨したものだが、本日のように降雪予報が外れてくれると大人は安堵し、雪遊びを期待していた子供達が落胆するのは今も昔も変わらない。

                   2022,2,13

世界平和とは

  歴史は教科書で学ぶ過去のものではなく、制御不能な生き物のように過去から現在、そして未来へと動いていると感じざるを得ない状況が丸い地球上で起きている。1989年11月、ベルリンの壁によじ登り、コンクリートの壁を壊し始めている若者たちの映像が生中継で全世界の放送された。2年後にベルリンを訪れテレビ塔から見たベルリン市内はまだ東西の景観の違いが見て取れ、街中を歩くと西ドイツの高級車とすれ違う東ドイツの象徴的な車トラバントを目にした。冷戦が終わり、世界は平和に向かって進むと誰もが思い、誰もが願ったはずではなかったのか。朝鮮半島情勢も緊張緩和に向けてトランプが動き始めたと思ったのもつかの間、その後も北朝鮮の挑発は続いている。ウクライナ情勢は予断を許さないところまで本当に来ているのか。双方の正しいと思われる情報筋を我々はどう判断し、信じればよいのか。地球儀を眺めてみれば、世界は運命共同体であることが分かるはずである。どの時代も自国の利益を露骨に主張することによって隣国や関係国との摩擦を引き起こしているのは歴史が証明するところである。“禍を転じて福となす”となることを願わずにはいられない日々である。

                   2022,2,12

偉人たちの伝記

  「言われたことしかしないという日本教育の象徴が暗記、記憶中心の『インプット教育』だ。社会で生きていくのに必要な能力やスキルは変わりつつある。」と下村博文元文部大臣が述べている。暗記が悪いわけではないが、自分の頭で考える習慣が減ってきている今の現状を下村さんは憂いていると私は理解した。私の長男が公立高校を受験する際にお世話人った個人塾の先生が当時、「公立の試験はある程度決まった傾向がある。」と何のためらいもなく語っていたことを思い出した。塾、予備校の存在を否定はしないが、高校受験も大学受験もその子の人生にとっては通過点であり成長途中である。教育的な観点にたてば、試験に受かるテクニックを教えるのではなく、子供達が志をもって成長する環境を整えることが最優先事項であり、そのためには今も昔も先ずは偉人の伝記を読むことではないだろうか。偉人たちの生き方が幼少の頃から刷り込まれていれば、世のため人のために生きるという利他の心が育まれ、自然と学ぶ姿勢が出来るというものではなかろうか。子供の感性を教育ビジネスによって萎ませるようなことだけは避けたいものだ。

                   2022,2,11

鎖国日本

  日本の新型コロナウィルス感染拡大の水際対策が厳しすぎると海外から声が上がっている。日本の在留資格を得ているにも拘らずコロナの影響で入国できない留学生、外国籍の人が大勢いることに、国会議員や官僚らは何ら問題と捉えていないのだろうか。日本の悪い慣習とでも言ったらよいのか、一度決めたことはなかなか変えようとしない。当医院の外国籍の患者様の中にも、昨年母国のお父様が亡くなったにもかかわらず、再入国できなくなるかもしれないという理由で帰国を取り止めた方がいらした。お役所仕事は昔から融通が利かないと言われているが、状況次第で個別対応するぐらいできないものか。変異型の「オミクロン型」への対応は各国で様々であり、デンマークでは患者増ではあるが重症化率が低いということで、マスク装着や続けてきた制限の解除に舵を切った。水際対策の重要性は誰もが認めるところではあるが、現状は国内で感染者が約2万人前後いるわけだから、水際だけを厳しく取り締まるのは合理性を欠くのではないか。日本が世界から見捨てられる前に、日本に留学したい、日本で働きたいと願う心ある外国人に一日でも早く門戸開放して頂きたい。

                   2022,2,10

リーダーの資質

  求められるリーダー像はいかなるものか。職種や立場によっても異なるであろうが、47人の家来に「この家老のためならいっしょに死んでもいい」と思わせた大石内蔵助は何が評価されていたのか。家老の中では昼行燈と言われ、暗に能無しと家老の中では思われていた。しかし彼の凄いところは、自分には力がないから周りの人間の力が必要だと自覚していたことだ。ではどうやって部下を統率できたのか。一言で言えば人間力。芳村思風先生は「人の心を感じ取る力」と「人に魅力を感じ取らせる力」という表現をされている。損得は考えず、敢えて言えば無の境地で目の前の課題を真摯に熟すことで属する組織は成長し、組織の成長と自分の成長を重ね合わせることが出来る、実感できる、そんな組織のリーダーが今は求められている。

                   2022,2,9

言葉遣い

  日常会話において、その言葉遣いは?という場面に遭遇することはありませんか。「ってゆーか‥‥」、「私的には~」など意味は伝わるのだが、何かスッキリとしない。元NHKアナの梅津正樹さんの言葉遣いについてのコメントが日経新聞に掲載されていた。例えば「とか」の多用。本当ははっきり言えるのにあえて曖昧にする方がよい場面があるのかも知れないが、文化庁は「傷つくことを恐れ相手と距離を置いて付き合いたいという若者の心理の表れではないか」と分析している。梅津さんは次のように語っている。「今の若者にはかつてより柔軟な思考力と豊かな感性があるが、せっかくの豊かな感情を表現する力=言葉を今の若者たちが持ち合わせていない」。15歳を対象にした国際的な学習到達度調査(PISA)でも、語彙力不足は明らかで、2018年の前回調査では、日本の読解力に課題があると指摘されている。語彙力が豊富であれば、人間性が豊かになる。自身の語彙力も振り返り、普段の会話を大切にしていきたい。


                   2022,2,8

納得するまでプレゼンを!

  「今掛かっている歯科医院で抜くしかないと言われたのですが、一度診て頂けませんか?」という問い合わせがここ数年なぜか多い。信頼する歯科医に診て頂いているのであれば、その先生の診断を受け入れるのが自然な流れだと思うのだが。通院はしているが、そこの先生を信頼はしていないということか。そのような主訴でお越しになられる方に共通していることは、「抜いてインプラントにしましょう」と前医に言われていることである。診査診断に基づく説明において、必ず患者様に理解していただかなければならないことは、歯科治療は決して元には戻らないということであり、全ての治療は延命のために行われているという当たり前のことである。治療を施しても予後不良の確立が極めて高い場合には、その旨説明させて頂き患者様の判断に任せることになる。患者様は素人であるから分からないと世間では言われるが、それを理解できるような環境を提供するのが歯科医療従事者の務めであると心得ている。インプラント補綴で咬めるようにはなるが、歯の代わりにはならないというのが私の持論である。勿論インプラントによって恩恵を受けている患者様がいることは承知しているが、安易に抜歯→インプラントという安易な方程式のようには考えないで頂きたい。一人ひとりの咬み合わせは異なり、歯の状態も様々であることを考えれば、全ての歯科治療はその方に合ったオーダーメイドであるべきである。お越し頂いた方には更に詳しくプレゼンをさせて頂いている。


                   2022,2,7

学力低下

  国際学力調査における日本の成績推移では、科学的応用能力、数学的応用能力、読解力の全てにおいて大きく順位を落としている。なかでも読解力の順位の低下は著しく、多くの教育関係者が以前から憂いていたことが数字となって現れた形だ。齋藤孝先生も、小学校の国語教科書の内容があまりにも優しくなりすぎであり、活字を増やすどころか減らしたのでは読解力は付くはずがないということから独自に分厚い「小学国語教科書」なるものを出版しているぐらいである。読解力が身に付かなければ数学にしても「読み解く」ことが出来ないわけであり、数学以前の段階で躓くということになろう。そういえば私が毎月購読している会員制のレポートがあるのだが、以前ある会員から編集長あてに、難しい語彙が使われ過ぎていて読み難いので、もう少し平易な文章にして貰えないかという問い合わせがあったそうだ。難しいから・・・。いい歳をして恥ずかしくないのかと思ったものだが、大人がこれでは子供に真面な教育など出来るわけがない。小さなお子様がいらっしゃるご家庭では、先ずは親が読書をする姿を見せては如何でしょうか。


                   2022,2,6

ピアノ

  子供の頃はピアノを習い、家でも弾くことが好きだったにもかかわらず、少年野球を始めた頃から鍵盤に向かう時間が徐々に減り、6年生のころにはピアノを練習する時間があれば素振りをするようになっていた。それ以来楽譜を読む機会もなく過ごしてきたが、最近になって電子ピアノではあるが夜にヘッドホンを掛けてそれとなく弾いてみた。何十年も遠ざかっていた割には指は動くものだと感心した反面、子供が使っている楽譜を開いてみたところ、全く読めないことに愕然とした。記憶をたどって身体で覚えている指先を動かしてみたもののスムーズに曲が弾けるはずもなく、何度も鍵盤を叩くうちに乱れた音感も少しは戻ってくるかと期待はしてみたが無性に時間が過ぎるばかりで、たらればにはなるがピアノを続けていたら単なる技術的に向上していただけではなく、ピアノの鍵盤の前で、姿勢を正して一つのことに集中して取り組む静かな時間を過ごせていただろうと、ピアノを弾き終わって感慨に耽ってしまった。これからは駅ピアノで弾くことを小さな目標にして、少しづつ練習を重ねてみるか。


                   2022,2,5

基本的な社会規範を

  子供の躾けを親がしないで誰がするのかと尋ねてみたくなる親ほどスマホから目が離れない。当医院の待合室では、お子様が親の治療中に厭きないようにLEGOなどを用意して時間を過ごしてもらうのだが、多くの親は会計後に子供に向かって「もう帰りますからお片づけを始めてね」と言うものだが、数日前にお越しになられた母親は子供に片づけをさせることもなく、自分が代わりに片づけるでもなく、スマホを片手に入口で靴を履き、子供に向かって「いつまで遊んでいるの!早く靴はいてよー!」と声を張り上げる有様である。まさかこの様な状況を多様性と容認する輩はそうはいないと思いたいが、子供が社会のなかで生きていく上での基本的な規範を先ずは家庭で強制的にでも身に付けさせることが必要であり、それがなければ子供は成長しても根本的な規範、判断基準が分からず、生きていく中でストレスを抱えるようになるのではないでしょうか。それにしても我が子の子育てよりもスマホを優先する母親の心境が私には分からない。


                   2022,2,4

気付きと本人次第

  先月も歯並びと姿勢が悪いことを主訴として来院される親子がお越しになられた。お子様の表情は明らかに乏しく、普段から口腔周囲を含めた顎顔面を構成する筋肉が使われていないことを物語っていた。当医院にお越しになられるお子様にはこの様な子が多く、その子供達に共通していることは口呼吸であり鼻が詰まりやすい。親御さんにしてみれば、毎日顔を合わせて一緒に食事をしていても、幼少期からの子供の習癖に気付いていなければ、何が異常であるのかを指摘しなければ分からないのである。歯並びは顎顔面を構成する一部分であり、歯並びが悪いということは顎顔面の発育が本来の成長軌道にのっていないことを意味する。歯科医師の仕事はなにかと問われれば、患者様の身体を健康な状態に戻すことであり、身体から成長を妨げる要因を取り除くことである。口腔内しか診ない診査では、まさに“木を見て森を見ず”である。患者様が子供でも大人であっても、先ずは本人に気付きを与えることが一番の役目となる。そこから先の治療をどうされるかは、本人次第である。

                             2022,2,3

シュッシュ族

  新型コロナウィルス感染拡大が爆発的に増加し、世間からは「これ以上どう感染対策をしたらいいのか」という声が聞こえてくる。12月中旬頃は新規感染者が全国で200人を下回っていたことが遠い昔のようであり、帰宅途中にあるイタリア料理店はいつ見ても閑古鳥である。3密を避ける、手指消毒の徹底など出来ることは誰もが行っているはずである。私は今のところ感染はせず、職場そして通勤途中においてもこれ以上はない感染対策はしているが、これでもしも感染するようであればお手上げ状態ということか。皆さんは携帯用の手指消毒用アルコールを持ち歩いていますでしょうか。私は念のため鞄には入れて持ち歩いていますが、今後は電車のつり革などを触った後には必ず使うような事態にまでなってしまうのか。スマホ歩き族ならぬシュッシュ歩き族が増えてくるなんて考えたくない。

                             2022,2,2

昭和のサムライ

  石原慎太郎さんが亡くなった。賛否はあるだろうが、この方ほど真剣に日本を、そして日本人としての矜持を国民に持たせようとした方はいないのではないか。マスコミが叩こうが批判はあろうが信念に基づいて筋を通す、有言実行する姿は昭和の侍(サムライ)に映った。隣国の顔色を窺いながらでなければ国の進むべき道筋も示すことが出来ない弱腰外交では、いつまでも「NOと言えない日本人」のままである。今の政治家に見習って頂きたい生き様である。時には「時代の常識」から一歩退き、常に歴史認識に軸をとりながら国の在り方を示してきた政治家であったと私は理解している。世間受けや流行、話題性といったことばかりを追い求め、本質を極める、本物を求めることを避ける傾向にある社会を憂いていたに違いない。東日本大震災における天罰発言などではひどく批判されたが、言葉の翻意を汲み取ることが出来ない民度の低い国民が多いことも本人は嘆いていたのではなかろうか。老若男女問わず、氾濫する情報に埋没するのではなく、情報を取捨選択したり物事に興味を持つ、強く惹かれるといった、自分の視点をもって生きていく姿勢が求められている。

                             2022,2,1

コンディションを整える

  皆さんはどのようにしてコンディションを整えていますか。社会人であれば仕事に穴をあけることは許されません。これは、どのような職種でも同じでしょう。私の場合は就業前の30分ストレッチを欠かさず行うことで、身体の柔軟性をある程度維持出来ているのではないかと勝手に思い込んでいます。勿論職場には早く出勤し、仕事には影響のないように気を付けたうえでの行動です。若い頃はトレーニングといえば、極限まで自分を追い込んでハードなトレーニングをしたことに満足感を得ていたところもありましたが、年齢的なことも考えながら、やり過ぎず、怠けず、バランスよくを意識しています。何か参考になる身体のコンディションの整え方を実行されている方がいらっしゃいましたら教えてください。

                             2022,1,31

呼吸は口でするもの

  「4月から小学生になるのですが、前歯が重なってきて歯並びが良くないと思います。あと、この子は普段からジッとしていないというのか落ち着きがないと言った方が正しいのか分かりませんが、夜寝ている時は口が開いているのです。歯並びと何か関係があるのでしょうか?むし歯も気になっています。」とは最近当医院を受診された親御さんの問診時の言葉である。結論は、すべて関係しています。呼吸は鼻でするものであり、口は全く使いません。従って、口呼吸をされている時点で正しく口腔機能が働いていないので、顎骨に対して筋肉からの正しい力の刺激を受けていません。歯並びが悪いのは結果であり、顎骨が本来の大きさに成長していないことが問題なのであり、生理的な筋機能を取り戻すことによって正しい成長方向に戻してあげることが子供の咬み合わせを改善させる上では必要であり、ひいては全身を健康に保つ第一歩となる。

                             2022,1,30

脳細胞の活性化

  早朝のランニングは寒さのため暫くご無沙汰をしていたが、久しぶりに出勤前の軽いジョグに出掛けてみると、近くの公園の池には薄っすらと氷が張っていて、体感以上に寒さを実感した。運動後の身体の爽快感はランニングに限ったことではないが、運動は身体を強く元気にするだけではなく、脳の様々なシステムが最もよく機能するように助けてくれると以前から言われている。スマホ脳の著者・アンデシュ・ハンセンさんは、一般の人に分かりやすいような解説をされている。ー脳は多数の脳細胞で出来ていて、様々な役割を担っている。何かを考えたり感じたりしている時には、脳の各部分にある脳細胞が連携して働いている。どうやって連携するかというと、化学物質を使って脳細胞が互いにシグナル(信号)を送り合う。運動は脳のそんな働きを助けてくれる。運動することでより多くのシグナルが送られ、正しい指令が正しい場所に届くことで、脳が効率よく機能するようになるー。運動を継続することで脳をもっとレベルアップさせられるということです。人間、頭で理解できてもなかなか行動に移せないことが凡人たる所以ですが、現状を何か変えたいと思っている方は、先ずは一歩を踏み出しましょう。

                             2022,1,29

木を見て森を見ず

  “木を見て森を見ず”とは、小さなことに捉われて、全体を見通さないことの例えとして使われるが、歯科医療の現場では、まさにこの“木を見て森を見ず”が行われ続けていないだろうか。「歯医者は歯だけ診ていれば良い」という時代はあったのかもしれないが、目の前の患者さんの咬み合わせの悪さ、体幹の歪み、頭痛なのどの諸症状を訴えているにも拘らず、個々の歯の問題しか把握しようとしないのであれば、それは歯医者以前の医療人として白衣を脱ぐべきではないかとさえ感じさせられる場面が来院患者様の口から聞くことが多い。健康の入口は口であり、鼻であり、呼吸が出来なければ動物は死に至る。また、正しい呼吸法が身に付いていなかったとしても、なんとか呼吸を維持しながら身体は成長を続ける。但し、身体には必ず代償という形でどこかに負担が掛かり、機能障害を起こすようになると考えることが自然である。歯科医療で何よりも時間を割かなければならないことは問診であり、治療履歴も含め今後再治療が必要かどうかはEvidenceと予後、平均寿命を照らし合わせた考え方が重要となる。

                             2022,1,28

鼻うがい

   オミクロン株の重症化率が低く感染者の急増があるからといって、コロナ対策が緩くなってきていませんか。ワクチン未接種の子供の感染が増える中、専門家会議ではリスクが低い若年層や濃厚接触者の場合、受診や検査せず自宅療養を可能にすることもありうるとの提言をしている。医療現場が逼迫している今、総合的に判断したうえでの提言なのだろうが、検査せずにというのは如何なものか。PCR検査、抗原検査キットも入手できない状況では、受診しても意味がないということなのだろうか。私からの提言としては、新型コロナウィルスは鼻の奥、上咽頭に4~5日間滞留することが分かっており、理論的には鼻うがいにて洗い流せば感染リスクは下がるのである。症状の有無に関係なく、一日の終わりに鼻うがいを励行することを勧めたい。

                             2022,1,27

税金の使われ方

  ペットボトル入りのトマトジュースが細身になって持ちやすくなったと思っていたが、先日新聞に「実質値上げ商品」として載っていた。バターも定番の大きさのものよりも薄くなっている。コンビニなどのお菓子類がコンパクトサイズで売られているのとは訳が違うらしい。世の中値上げラッシュか。普段食材を買いに出かけないので細かな値段の変動には疎いが、ガソリンの急騰には驚くばかりである。先週よりも10円近く高い表示がされている。国の借金が膨らむ中で元売り業者に補助金を支給するとのことだが、果たして消費者の負担を減らすことが出来るのか。一方で、日本大学の理事長による不祥事に絡んで、日大への私学助成金が今年は交付されないとの報道である。世間の感覚からしたら当然のことでしかないが、今まで毎年90億円近い助成金が大学側に支払われていたことに“なぜ”と思う国民は多いのではないか。私大の経営は助成金がなければ成り立たないということなのか。但し、少なくとも今年に限っては90億円の節約になったとの見方もできる。単に当方が世間知らずだけのことであればいい話だが。

                             2022,1,26

カズ・ヒロ

  特殊メイクで2度アカデミー賞のメーキャップ&ヘアスタイリング賞を受賞したカズ・ヒロさんの特集番組が放映されていた。名女優オードリーヘップバーンの美しい目元の写真がアップされ、そこからカメラが引いて彼女の顔貌全体を映し出すと、それは写真ではなく彼が創り上げた彫刻作品であり、皺ひとつ、皮膚の下に浮き出る血管までも再現された、観るものに何かを考えさせる作品となっていた。彫刻はオードリーヘップバーンの美しい若き顔と慈善事業に尽くした晩年の顔を再現しており、ヒロさんの言葉では、「顔にはその人の考え、意志、内面的な葛藤が浮き出てくる。その人になり切れないと観る人に語り掛けるような作品は出来ない」とのことである。私の中では非常に示唆に富む言葉であり、医療に携わる人間としては、症状を抱えてくる患者さんは勿論主訴の改善を目的として受診されるわけだが、薬の処方だけで構わないのであればAIドクターで構わないのである。人には相手の心理まで深く洞察する力が潜在的にあるはずで、それを発揮出来ないようでは温もりのある医療は提供できないばかりか、人間社会が荒んでいくようにするら思えてしまう。自分の生い立ちも含め、何事も深く掘り下げて人生を歩んでいくことが納得のいく人生になるのだろう。

                             2022,1,25

一触即発の危機

  株の乱高下に私は全く関心はないが、米ダウ工業株30種平均の下げ幅が800ドルを超えたと新聞に載っていた。何が原因?ガソリンスタンドの価格表示も毎週上がっているのは気になっていたが。第三次世界大戦が勃発する前兆のようなきな臭い地帯が危険水域に達しているようだ。ロシア軍のウクライナ国境への増派に対抗する形でNATOが艦船や航空機を増派し、米軍も数千規模の派遣を検討していると報じられている。大国の指導者は歴史から何を学んできたのか。戦争を知らない世代が政権を握ると、同じ間違いを犯してしまうのかと憂いてしまう。ノルマンディー・フォートマットを支持するとアメリカは言っているわけだから、軍事力行使だけは避けるように日本政府も強く働きかけるべきでしょう。「権力の座に長く居座っているとろくなことがない典型ですよ、プーチンさん」と問いかけたい。

                             2022,1,24

愚直に感染対策を

  一昨日金曜日の夜にも拘わらず飲食店の中をのぞくと人は疎らで、再び新型コロナウィルス感染拡大の影響を感じざるを得ない週末となった。オミクロン株の感染は重症化率が低いとはいえ、罹った後の後遺症は、人によっては長期に悩まされるというから、やはり感染はしたくない。東京の新規感染者数は1万人を突破し、全国でも連日の過去最多更新中である。まん延防止等重点措置の都道府県への適用も拡大され、どこまで増えるのか先行きが不安である。これで再び自粛生活の流れに戻るようなことになれば、ここ数日の厳しい寒さのように心まで冷え込んでしまう。新規感染者数の数に一喜一憂することなく、絶対に感染しないためには、3密を避ける、手指の消毒、マスクの装着といった基本的な感染対策を愚直に励行するしかない。

                             2022,1,23

硬券が懐かしい

  昔話になってしまうが、私が高校生ぐらいまでは駅の改札には駅員がいて切符を受け取っていた。それも手際よく。通勤ラッシュ時間帯には多くの乗客が改札を通るわけだが、切符の乗客には両手に持った切り込みを入れる専用のはさみでカチカチ音を鳴らしながら捌いていく。乗り越しの乗客がいようものなら通り過ぎようとする客に向かって「お客さ~ん、30円の追加料金ですよ!」と間違うことなく声を掛けていたものだ。その後自動改札機が導入され、磁気付きの定期と切符を通すだけで通過できるようになり、改札の渋滞なるものは無くなった。それが今ではICカードや人によっては腕時計を翳すだけで通ってしまうのが当たり前となり、あいにく残高がなくゲートが閉まったときには人流を止めたことに対して「すみません」と後続のひとに軽く会釈してチャージをする為に券売機まで行く羽目になる。ノスタルジアに浸りたくなるわけではないが、帰宅途中の改札口でわざわざ駅員を探して切符を渡すご年配の方を見て、硬券を受け取ってくれていた昔の駅員さんが懐かしく思い出された。

                             2022,1,22

継続は‥‥

  機能的歯列矯正治療を終える方は、舌を含めた口腔周囲筋のトレーニングを身に付けて頂き、予後を経過観察していくことになる。矯正治療の事前説明において、「歯並び、咬み合せが理想の状態から乱れる根本原因は、筋肉の使い方にあり、舌を含めた正しい呼吸、正しい嚥下様式まで獲得しなければ、数年後には後戻りと言って歯並びが矯正治療前の状態に戻ろうとする。」と伝えているが、1~2年近くの矯正治療を終えた患者さんの多くは、「やっと終わった。綺麗になった!」という見た目の状態に満足してしまい、正しい咬み方の習得を忘れてしまいがちである。同じように体幹のバランスを崩し、首、肩、腰などを患っている方は、何とか身体を楽な元の状態にしたいと願い、整体治療院やスポーツトレーナー、場合によってはリハビリテーションセンターに通って健康を取り戻そうと努力されている。指導してくださる先生の言うことは理解できるし、言われたことを行えば身体は楽になる。難しいのは、それらのトレーニングを継続させることである。良い状態を保つ秘訣は「継続は力なり」なのだが‥‥、頭では分かってもなかなか‥‥、人間は難しい。

                             2022,1,21

横浜の街

  横浜に住んで27年になるが、どんな街かと尋ねられたら何と答えるだろうかと考えてみた。生活圏の中は交通の便がよいので、どこへ行くにしても便利である。横浜に住み始める前は横浜=中華街のイメージがあったが、その中華街も華僑の人たちが経営する店だけではなく、外国船の船員さんたちが足げく通っていたと思われる店やBarも多く、ちょっとした路地に入ると異国情緒も味わえる。建造物も外観は明治様式のものがそのまま保存されて使われているものがある一方で、再開発も進んで主要駅からベイエリアの商業施設までゴンドラが整備されたりと、新旧が上手く調和されながら時代を過ごしているようである。新型コロナウィルスの感染者増が下火になっていた先月中旬頃の人出はコロナ以前と変わらないぐらいであったが、ここ数日は感染爆発が凄まじい勢いであり、もしかしたら閑散としているかもしれない。オミクロン株の増加速度は異常に早いが、諸外国の様子を見る限りではピークを過ぎると減少傾向も早いようである。寒い日の温かい肉まんは、両手で持っているだけで交感神経も落ち着きそうなものだが、冷気に触れる外での飲食は今の時期は避けるに越したことはないと若者たちには言っておきたい。

                             2022,1,20

パリオリンピック・パラリンピック

  東京オリンピックの閉会式において、次回開催都市フランス・パリを紹介した動画内容の素晴らしさにセンスの良さを感じましたが、2024年の開会式をセーヌ川を使って催すとの報道を目にし、スタジアムで行うという固定概念をがらりと変えた新進気鋭のフランス人スタッフには感動さえ覚えます。パリを散策したことのある方であれば分かると思いますが、セーヌ川の両岸やシテ島やサン・ルイ島の岸辺が観客席になるわけですよ。そこに各国の選手団が船に乗って登場する。ノートルダム寺院の焼失など残念な出来事はありましたが、日本人のおもてなしとはまた違う歓迎の仕方で世界の人々を感動させることでしょう。今から約2年先ではありますが、その頃にはコロナウィルスも終息し、閉塞感が漂う社会、日常生活も改善していることを願わずにはいられない。

                             2022,1,19

トンガ沖の爆発

  トンガ沖の海底火山で大規模な噴火が発生し、現地のみならず、数千キロ離れた地においても津波の被害が出ている。気象衛星による噴火直後の画像を見る限り、噴火のエネルギーは想像を絶する。被害状況は全く明らかになっていないようだが、我が国からも直ぐに救援に向かっているのだろうか。当初、日本への影響はない、津波はないと気象庁も発表していたが、後に一転して津波警報と注意報を出した。空振と呼ばれる現象によって地震とは異なるメカニズムで津波、潮位の変化が起きたとのことで、今まで経験したことがなかったために予測が難しかったそうである。日本列島もあちこちで地震が起き、それも震度レベルも高くなっている。富士山が大爆発でもしようものなら、日本は機能停止してしまうのか。自然はなお未知であり、畏怖すべき存在であることを忘れてはいけない。

                             2022,1,18

思いやり

  恥ずかしいことではあるが、語彙力のなさをブログを更新していると日々感じる。と同時に、語彙が豊かになれば、見える世界が変わってくるだろうなとも思う。子供の時から本を好んで読むタイプではなかったが、本を読むことが嫌になった瞬間があった。低学年の時だったか、授業中に先生から指名され、国語の教科書を音読させられた際に読めない漢字があり、「この漢字を読めないのか?」と言われた時だ。子供ながらに恥ずかしい思いをした。それ以来、「この続きを誰に読んでもらおうかな?今日は17日だから出席番号の17番、〇〇さん!」などの先生の指名を恐れていた。子供にもよるのだろうが、当医院に親御さんと一緒にお越しになる子供達への私たちの声掛け一つで、意気消沈もしたりやる気になったりするものである。咬み合わせのトレーニングそのものは難しいものではないが、毎日継続することが小さな子供には難関である。将来の日本を背負って立つ子供達だからこそ、我が子のように優しく接し、時には厳しくありたいものである。

                             2022,1,17

共通テスト

  共通テストが二日間に亘って行われ、今年の大学受験シーズンが始まった。私が受験したころは大学センター試験と言われ、その前の世代は共通一次だったと記憶している。当医院の患者さんにも受験生及び親御さんがお越しになられているが、年明けからは治療のたびに話題がそちらに振られてしまう。「もっと早くから勉強していればよかった。」、「あと3か月ぐらいあれば‥‥」、「部屋で勉強していると思ったら、ベッドで寝ているし‥‥」。いつの時代も同じような会話が繰り返されるものだ。当方の時はとても点数をとれるようなレベルに達しなかったので、現役生の時は「来年の模擬試験だと思って頑張る」と、今思えば親に対して大変申し訳ないことを言ってしまったと自責の念に苛まれる。それでも親は子供を信じて「全力を出し切れば何が起きるか分からない。諦めないで最後まで頑張れ!」と朝送り出してくれた。高得点をとることに越したことはないが、共通テストは今となっては過ぎたこと。受験生には結果を恐れず目標に向かって一心不乱に残りの日々を過ごしてもらいたい。

                             2022,1,16

スマホ

  スマホ歩きは危険だから止めなさいと言われているのに、スマホ歩きをする人を目にしない日がない。電車に乗ってもスマホ画面に見入っている人だらけである。自分だけの世界に浸りたいのだろうか。私にとっては異様な光景であり、どうも慣れない。まさに、“見ざる聞かざる言わざる🙈🙊🙉”であり、これでは周りのことが見えない。実際、歩行中に人様とぶつかりそうになったり、電車内で席を譲るべき人が乗車してきても全く気付いていない様子の乗客を目撃したことがあり、何れも不愉快である。他人に対する配慮や思いやりの心はどこに行ってしまったのか。日本に来日した外国人が素晴らしいと感心した我々の礼儀、礼節は時代と共に失われていくのだろうか。スマホは便利なツールであり私も重宝しているが、スマホに支配される生活は一人ひとりが考え直すべきである。

                             2022,1,15

知的好奇心

 「重要なのは、疑問を持ち続けること。知的好奇心は、それ自体に存在意義があるものだ。」とはアルベルト・アインシュタインの名言である。疑問は研究者のみならず誰もが抱くものではあるが、そこから一歩踏み出し自ら前進するかどうかで人生はいかようにも変わる。日常のちょこっと疑問から人生を考えるような時間軸を含めた疑問、仕事上の深い疑問など様々な疑問が身の回りを取り囲んでいる。視点を変えてみよう。もしこれらの疑問を何も考えることなく生きていくとしたら、それはストレスフリーといえるのか。人は考えることをしなくなったら人間ではなくなる。今は車で運転する時でさえカーナビゲーションシステムを頼りにしていれば、道を覚えることもなく目的地には到着する。カーナビが存在しない時には過去の記憶を頼りにし、時には地図と睨めっこしながら頭をフル稼働させていた記憶がある。更に、調べ物はスマホに検索ワードを入力すれば瞬時にほぼなんでも調べることが出来るが、それでは深く掘り下げて考えるという習慣が身に付かないのではないか。世の中がデジタル化、IT化となっても人の成長はアナログでしかない。知的好奇心を持ち続けてさえいれば、それは必ず創造力を伸ばし、知識を凌駕することになるはずである。

                             2022,1,14

豚の心臓移植から見えてくるもの

「アメリカで豚の心臓を人に移植」というニュースを目にした。今回は他に選択肢がないために行われたということですが、ゲノム編集技術によって免疫拒絶反応が起こらないように遺伝子を編集できるようになったということに私は驚いています。拒絶反応が起こらない・・、そんなことが可能なのか、免疫抑制剤を必要としないのか。移植医療に関する素人としては信じ難いですが、人工心臓よりも安全性が確保されているのかも知りたいところです。日本ではドナー不足が深刻という情報もありますから、今回の移植例が長期的に問題がなければ朗報となり得ますが、日本の医療技術者、優秀な研究者たちがアメリカに行かなくても日本で成果を出せるように、以前から言われている規制の厳しさを何とかできないものなのでしょうか。企業の成長と同じように、政府関係者、官僚たちの中からイノベーションを起こしていかなければ国を挙げての日本再生はいつまで経っても夢物語に終わってしまいますよ。

                             2022,1,13

知の深化と探索

  1/5付けのブログに「世界のSony復活!」を載せたが、長らく低迷していたSonyの復活劇はバブル崩壊後の失われた日本の再生への道標となるのではないか。日本社会の構造的な欠陥を修復するには強いリーダーシップを執れる人のもと、短期・中期・長期的な視点で改善を継続する必要があり、いわば政治主導で推し進めることになろう。一方で、各企業の成長発展に欠かせないものは、社会・顧客のニーズを今までとは全く違う視点で探る必要がある。革新的な技術・サービスを生み出し続ける組織は「知の深化」と「知の探索」の2つが重要だとするイノベーション理論が存在する。Sonyほどの独創性のある製品を生み出していた企業が言ってみれば後発のアップルにその立場を奪われたのは、技術の深化にこだわり、結果的に顧客のニーズを読めなくなっていたのではないか。昔は10年先を読んで、なんてことが言われていたが、今は半年先を見通すことすらできないぐらいの速さで世の中が動いている。企業文化・精神の軸をしっかりと維持させながら世の中の流れを敏感にキャッチしつつイノベーティブな商品・サービスを提供する、そのためには他領域との掛合わせによって出てきた芽を花が咲くところまで育てられるかが、企業の成長力を占うことになろう。私は歯科医療従事者であるので、同様の視点で歯科診療の在り方を常に模索している。


                             2022,1,12

フレイルになる前に

若い頃に体育会系の運動をしていた人でも運動を継続していなければ筋肉量は減っていき、気持ちは若いつもりでも身体は正直である。新型コロナウィルスの流行による自粛生活が長期化したこともあり、高齢者に限らず働く世代でも活動量の低下によって筋肉量が落ちていることが懸念される。40歳前後から筋肉量は落ちていくと言われ、当方も習慣的な運動を再起動させたのは45歳になってからだ。ランニングが中心ではあるが、スポーツトレーナーの指導も受け、過度な運動にはならないようにも注意している。将来フレイル(加齢に伴い心身の機能が落ちていく老いの過程で、要介護・寝たきりとなる手前の状態)にならぬよう各個人が身体のメンテナンスに時間を割くことが、国の医療費削減にも結果的には繋がる。日頃の運動不足を気にされている方は、感染対策を講じながら日々の軽い運動から先ずは始めてみてはどうか。

                             2022,1,11

情報社会?

「スマホ脳」を読んでからというもの、出来るだけスマホを遠ざけるようになったことで、メールなどの着信に気付くことが遅くなった。だからといって別段困ったことは今のところない。私が学生の頃とは違い、年配の方や一部の方が特権的な形で持っていた情報も、スマホやPCを通じあらゆる情報を瞬時に入手することが可能であり、情報社会と言いながら、実は情報が価値を失った社会ということもできるのではないか。皆が平等に情報を手にすることが出来たとしてもその情報をどのように処理するか、自分に必要な知識、そして知恵に変換していく力が問われている。目的もなく暇つぶしで眺め続けるスマホとのにらめっこは、考える脳はフリーズ状態であることをお忘れなく。

                             2022,1,10

人への投資

岸田総理は「人への投資」を唱えて、3年間で4千億円もの施策パッケージを用意、現在、制度設計へ向け広く提案を募っているという。お上が旗振り役になることも必要ではあるが、我々一人ひとりが何が自分には足りていないのか、自分の時間を何に投資したらよいのかを自己と向き合い常に考える必要があろう。生きていく、生活していく上で経済は切り離せないものではあるが、自分を自分に帰属させる、自分に戻すにはどうしたらよいか、つまりアイデンティティーのなさが世の中の多くの問題を引き起こしているという認識が必要ではないだろうか。今の世の中の様々な出来事を表面的な部分だけで評価をしてはいないか。時間に追われた日々を過ごしていると物事を掘り下げて考える余裕がなくなり、気が付くと帳尻合わせ的な生活を送ってストレスばかりが増えていくなんてことになれば、せっかくの人生が不幸でしかない。欲する学びが出来ている人には、学ぶ喜びが付いてくる。人生を豊かにするのは、考え方と自分の信じる感性である。

                             2022,1,9

急激な感染増

新型コロナウィルスのオミクロン株の感染拡大が収まらないどころか活性化している。報道では従来型よりもオミクロン株は重症化しない半面、感染力がいっそう強いとのことだ。そのせいもあってなのか新型コロナウィルス感染拡大初期の頃よりも、国民の受け止め方に危機感の温度差を感じる。ウィルスは単独では生存できないから宿主を探がすのであって、理屈では人間が触れ合わなければ、出会うことがなければウィルスは撲滅可能である。年末年始の人での多さ、経済活動の再起動によってどうなるか。何度も目の当たりにしてきた場面が、早回しの映画のごとく倍速であらわになっている。若者世代の感染者が増加していることもオミクロン株の特徴だ。これから受験シーズンに突入する。せっかく今まで積み上げてきた努力が無駄にならないよう、受験生の市中感染だけは起こらないで欲しい。

                             2022,1,8

理想郷

初対面でお会いする際にはそれなりに緊張は伴うものであり、服装や装いも、相手の方や企業文化によっては気配りも必要ではないでしょうか。なぜならその気配りそのものが相手からの評価にもつながり、先方の心理的バリアを取り除く最も有効な手段だからである。常に先方のことを優先して行動を執る、言わばホスピタリティの精神とは、何もサービス業に係わる人だけに必要なのではなく、人間社会で生きていく上では一人ひとりが社会の構成員であり、様々な人の価値観に寄り添う気持ちを持ち続けることに尽きるのである。誰もがそのような意識で生きていけるような社会であれば、細かい決め事など必要はなく、常識・良識が機能する理想的な環境が出来るのでしょう。ひと昔前の日本では、それが存在していたはずだが‥‥。

                             2022,1,7

雪かき

この時期の南岸低気圧の接近は大雪をもたらすことが多く、天気予報から目が離せない。10年ぐらいだったか新潟のスキー場からの帰り道、関越自動車道の「大雪 通行止め」の電光表示が見えないぐらいの大雪が降り続き、長距離を15時間かけてした道で帰ってきたことがあった。当方はスタッドレスタイヤを履いてはいるものの、他の車がノーマルタイヤにチェーンも装着せず走行していればどうなるかは言わずもがなである。案の定どの道も大渋滞となり、抜け道に至っては脱輪、スリップなどで車を動かすことも出来ないような状態となっていたことを思い出す。日頃の雪対策はこの時期であればすべきであり、それが出来ないのであれば車を運転するべきではない。仕事を終え車で帰宅する際に、コインパーキングの前で雪かきをされているご婦人に出会った。「こちらのお車でお帰りですか?あらっ、先生!」とは患者さんである。自宅前でもないのに人のために慣れない雪かきをするとは恐れ入る。こういう時に人柄が出るものである。「先生、安全運転でお帰り下さい。失礼いたします。」やはり人は人に癒されるものである。

                             2022,1,6

世界のSony

Sonyがやって来た。遂にというべきか、満を持してと言ったらよいのか、電気自動車(EV)事業を担当する会社「ソニーモビリティ」を設立すると発表があった。自動車は高い安全性が求められることなどを理由に事業化には慎重な姿勢を示していただけに、私の中ではその慎重さこそが日本企業の真髄であり、世界から信用を得てきた根幹であると理解している。画像処理技術、センサーテクノロジー他私などが知り得ない技術を総結集して誰もが想像しえない車を世に創り出すのではないだろうか。あのウォークマンが世界を驚かせたように、不可能を可能にしてしまった大谷翔平選手のように、何か可能性を感じさせてくれるそんなSonyが力強く復活してきたことが嬉しくてたまらない。気が付けば私も“Sonyの一眼レフ”を手にしている。

                             2022,1,5

ワクチン接種証明書

昨年の年始はコロナ禍による移動制限処置もあり県跨ぎの移動が出来なかったが、今年はいつもの新潟県・六日町の定宿に宿泊して2年ぶりのスキーを満喫した。宿の女将によるとスキー場は殆どが地元の客ということだが、高速のインターチェンジから近いことから我が家ではよく利用している。そして今年は年末からの大寒波もあり連日積雪が凄く、スキー場のコンディションもこの時期としては近年にないくらい良く、滑りが上手くなったようにさえ感じた。ただ一つ誤算だったのは、リフト券購入に40分も待たされたことだ。なぜならスキー客を呼び戻そうとスキー場関係者の頑張りもあってネット購入すると1日券が半額になるプランがあり、その場合はワクチン接種証明書を提示する必要があるのだが、それを持ち合わせていないスキー客がいた為に余計に待たされたというわけだ。全く迷惑な話だが、接種証明書を携帯しなければならないこのご時世にはうんざりである。

                             2022,1,4

原監督の指導法

箱根駅伝の青山学院大学は強かった。他大学の監督に「2位狙いで作戦を練り直すと」と言わしめる強さだ。昨年4位の悔しさを晴らす走りとメディアは報道しているが、原監督の人心掌握術が青学の強さの根底にあると言われている。陸上部に入部を希望する人のタイムは参考にするが絶対ではない。陸上部のどこに魅力、興味があって入部をしたいのか。つまり学生の意欲、情熱を原監督は重視している。返事のいい体育会系の学生は気持ちのいいものではあるが、監督の指示待ち、顔色を伺うようでは個人の創造性が発揮されない。今の社会は、人の指示を待たずに動ける、考えられる人材が伸びる時代であり、自分の意見を持っていることが大事である。もちろん監督の言葉にまったく耳を貸さず、好き勝手に振舞うということではなく、与えられた条件や状況を考えて、自分なりにアレンジできる柔軟な思考を持つということである。原監督の指導法は、いまや教育現場だけに止まらず、ビジネス現場における経営者も参考にすべきである。

                             2022,1,3

好奇心(Curiosity)

 仕事をしていく上での原動力は何かと問われたら、迷わず“好奇心”と答えるかもしれない。知らないことを知ることが自分を高めてくれるとでもいうのか、物事の本質を極めたくなるとでも言ったらよいのだろうか。不思議なもので、人生経験を重ねることで人間的な厚みが出来たかと尋ねられたらそれは分からない。なぜか?それは今現在の自分が発展途上であること、私淑する人生の先輩を超えられないことを認識しているからである。魅力ある、人を惹きつける人というのは常に五感を駆使して日常のことから多様な国や地域の価値観や文化、歴史を貪欲に吸収する姿が共通してあるように私には映る。普段の歯科臨床をより充実したものにするためにも人間の幅を広げ、“好奇心”が失せないうちは成長できると信じてこの一年も過ごしていきたい。

                             2022,1,2

壬虎(みずのえとら)

 新年おめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。

 今朝の冷え込みは一段と厳しくなりましたが、寒さにめげることもなく朝日が昇るのを見ながら早朝ランニングをした際には、近所の水面が凍った池で北国で見られるような鳥が歩く姿を目にしました。普段であれば走り過ぎてしまうところで足を止め、誰もいない静かな池を眺めていると、童心に戻ったような心境になっていたのはどこか懐かしさを覚えたのかも知れません。子供の頃は外で日が暮れるまで四季を問わず遊び、この時期には凍った池の氷上に石を投げて氷が割れるのを楽しんでいたものだ。当然マスクなどを装着することはなく、家に帰れば石鹸で手を洗い、“頂きまーす!”と言って美味しい夕食をお腹いっぱいに食べた。それが今では3密回避、学校では黙食、家以外ではマスクを装着と、このような環境で育つ子供達の心と身体の発達は大丈夫なのだろうか。新型コロナウィルスという猛威が世界を襲い始めてから3年目に突入したが、今年こそコロナ禍が収束し、壬虎(みずのえとら)の意味する新しい成長の礎となるような年になることを願うばかりだ。


                             2022,1,1

御礼

 “京の着倒れ、大阪の喰倒れ、江戸の呑倒れ”とはうまく言ったものだ。たぶん皆さんのお住いの所にも、〇〇倒れがあることでしょう。県民性って面白いですよね。ただ今年も新型コロナに振り回され、この県民性が十分に発揮されないまま一年が終わる都道府県が殆どだったと思います。そして今、再度行動制限が検討され始めており、コロナの収束が見通せなくなってきています。“人生至る所に山河あり”とは言うものの、自分が蒔いた種が原因でないにも拘らずここまで長期間苦しめられる世の中にでは、道標を見失って路頭に迷う方、連絡の取れない方も出てきている有様です。年齢によっては展望を開けないまま再起不能となってしまうコロナ倒れ。個々人がしっかり生計を成り立たせていくことは基本ではあるが、この異常事態を行政府だけに頼るのではなく、“向こう三軒両隣”の助け合いで皆で新年を迎えたいものです。本年は今日で終わりますが、当医院にお越しいただいた方々には様々な形でお世話になりました。新年もどうぞよろしくお願い致します。


                             2021,12,31

感染対策の徹底を

 昨年末のスーパーやデパ地下の食品街は入場制限されているところがあったが、先日買い出しに出掛けた限りでは、制限もなくコロナ前の人出で賑わっていた。メモを片手に和洋風、中華とあれこれ織り交ぜながら、大晦日から三が日までの献立を考えてきたと思われる年配の女性もいた。ワクチン接種が進み欧米諸国に比べ感染者の抑え込みが功を奏し、感染収束への光が差したかに思えた新型コロナウィルスだが、ここへきてオミクロン株の市中感染がじわじわと広がってきた。感染対策に解除はない。気も緩みがちになっている今こそ、マスクの着用、手洗い、うがいは忘れないようにして新年を迎えましょう。


                             2021,12,30

人という資源

 今の世の中を過ごしにくいと感じておられる方は、何に対して漫然と不満、不安を抱いているのか。人である以上コミュニケーションが上手く出来なければ社会生活を営むことは出来ないが、コンピューターとのコミュニケーション能力の有無もこれからの社会では求められることになるのか。全くそれらに関与しない人たちは社会の隅に追いやられてしまうのだろうか。例えば宅配便の再配達依頼では完全にコンピューターとの会話であるし、選挙期間中にはAIが喋る電話が掛かって来たりもする。要件を満たすことに支障を来すことはないが、顔の見えない相手とのやり取りは辟易する。養老孟司さんは「現代社会は生身の人間が要らない社会をつくり続けている」と警鐘を鳴らす。銀行に行けば、明らかに本人がいても本人確認が求められ、病院では医者が患者の顔より検査の結果を見て診療を行う、そんな社会が当たり前になっている。人間よりデータが重視され、生身の人間は置き去りになっている。そんな社会は危うく、いつまでも続くようでは駄目だ。日本のエネルギー資源は殆どないが、人という資源があることを忘れてはいけない。


                             2021,12,29

戦後という言葉の意味

 世界情勢が緊迫している。ミャンマーでは軍による住民への襲撃、一部報道では虐殺との記事も配信されているが、事の真相は分からない。ヤンゴンが首都であった頃にミャンマー国内を旅したことがあるが、外国人旅行者が治安の不安を感じることはなく、イギリス統治の名残もあり、異国情緒の溢れる国であった。ウクライナ国境ではロシア軍約10万の兵士が配置されているとのことである。背景にはNATOとロシアの軍事バランスの問題があるが、日本にいると西側からの情報にしか入ってこないが、物事は常に両方からの視点でとらえることが重要である。先日行われたプーチン大統領の記者会見には頷かされたことがあった。イギリス人記者の質問に対して「ソビエト連邦から独立した国々のNATOへの参加は認めないとした以前の西側の約束を破ってきたのはあなたたちの方だ。ウクライナがNATO入りをすれば、ロシアはさらにNATOと国境を接することになる」。香港では言論の自由がまたしても弾圧され、著名人の逮捕者が出ている。「言論の自由とは、何を言ってもいいわけではない。」とは長官のコメントである。国と国であっても人と人の相互不信が不幸な結果をもたらすことは歴史が証明している。いつまでも戦後何十年と言えるような国造りを世界の指導者には望みたい。


                             2021,12,28

シルブプレ!

  バックパッカーのヨーロッパ旅を約2ヶ月間した学生時代、イギリスからフランスのカレー港までドーバー海峡を船で渡った際にの船内の雰囲気をふと思い出した。いかにも学生と思われるイギリス人が難しい顔をしばがら分厚い本を読んでいた姿、英語とフランス語で会話をしていた恋人らしき男女、甲板上でオーシャンゼリゼを謳いながら踊っている老若男女、そしてその輪に入れてもらって一緒に歌ったこの私。若い時の記憶だから鮮明に残っているのか、すべてが映画のワンシーンのように思えたから記憶から消えないのか。フランスの港に到着直後のマクドナルド店での“〇〇シルブプレ!”。滑舌が悪かったのか、レジの若いお姉さんに発音を注意されたのも今となっては忘れられない良い思い出である。

                             2021,12,27

感染対策の徹底を!

  10月に緊急事態宣言が解除されてから3ヶ月が過ぎようとしているが、ジワリと新規感染者の増加が見られるようになってきた。オミクロン株の市中感染も認められるようになり、欧米諸国の感染状況を踏まえると予断を許さない状況であることに違いはない。年末年始に帰省や旅行を計画していた人々も再び移動自粛を検討することになるのか。良識あることによって何とか感染再拡大だけは避けたいものである。以前オーストリアのウィーン中心部にあるシュテファン大聖堂を見学した際のことであるが、地下のガラス越しに多くの遺骨が展示されていたが、それらは17世紀にペストの感染拡大によって亡くなった方々のものであったと記憶している。当時はウィーンだけでも10数万人が亡くなっており、感染症によっても人間は亡くなってしまうことを忘れてはならないという意味が込められている。ウィルスという見えない敵に負けないためには、一人ひとりの感染対策を徹底する以外には方法がないことは今も昔も変わらない。一度緩んだ感染対策をもう一度見直しましょう!

                             2021,12,26

感謝・感謝・感謝

  今年のプロ野球日本シリーズを制覇したヤクルトスワローズの高津監督が優勝インタビューで口にした言葉「感謝・感謝・感謝!」は、高津監督の野球の師でもある故野村克也監督も述べられていた。教え子が自分の考えを受け継いで結果を出したことに、泉下の名監督もさぞかし喜んでいることだろう。先日伺ったある料理屋さんのHPには“四季のおかげで恵まれた日本の食材に感謝。食材を提供してくださる生産者の方に感謝。その食材を使って、料理をさせていただけることに感謝。それを食べにきてくださるお客様に感謝。そんな沢山の方に支えられ、私ができる感謝のお返しは、お客様に笑顔になってもらう料理と空間を提供することです。”とあった。料理の味は言うまでもなく、客の盛り上がる会話に絶妙のタイミングで一言添える大将の目配りにもアッパレであり、なんといっても同じ食材でも料理人の研ぎ澄まされた感性で如何様にも表現されてしまう食の楽しみ方を教えられた。この大将がここに辿り着くまでの労苦を支えたものは、あらゆるものへの“感謝!”だったに違いない。

                             2021,12,25

しょっつる鍋

  寒くなると鍋物で身体を温めたくなるものだ。当方は親戚含め秋田に大変縁があり、子供の頃から冬のこの時期には秋田県の郷土料理であるきりたんぽ鍋、しょっつる鍋などを当たり前のように食べてきた。皆さんはしょっつる鍋をご存知でしょうか?ハタハタと麹や塩が原料で時間を掛けて発酵させて造られる魚醬のことです。10~20倍に薄めて旬野菜、豆腐、ハタハタを具材にして土鍋で温めて食べます。雪が深々と降るかまくらの中で食べると風情があるというものですが、それはできないまでも是非一度お試しあれ。身体が芯から温まりますよ。

                             2021,12,24

論理的思考

  日本人が論理的思考や表現を苦手とすることは今も昔も変わらないと何かの本に載っていた。なるほど、自分はどうかと自己分析をしてみると、好きなほうではないと言える。好きではないが、仕事を進めていく上ではでは避けては通れないことでもある。決して難しいことではないが、面倒に思えてしまうのだろうか。患者様へのプレゼンでは、如何に素人に分かりやすく、そして筋の通った説明ができるかを意識する。痛みの原因は、ここまで咬み合せが悪くなった原因は、子供の歯肉が腫れた原因はなど場面に応じた丁寧な説明が求められるのは言うまでもない。論理的思考などということを意識して日常生活を送っているわけではないが、相手に納得して頂くには自ずとそのような思考回路が出来上がっているものだ。日本には阿吽の呼吸や玉虫色なる表現が存在するが、ボーダーレス社会が進む中では通用しない。今後多様な価値観も存在する社会で生き抜くには、「論理」を育てる必要があろう。

                             2021,12,23

一箇半箇(いっこはんこ)

  当医院の新規患者様の受付を現在のところ実質停止させて頂いている。2年先のご予約までは取らせて頂いたが、それ以上先というのは如何なものかと。大変ありがたいことに当医院を受診したいとの問い合わせはその後も頂いている。勤務医の先生を採用しないのですかと通院中の患者様から聞かれることもある。勤務医を育てる必要性を感じていないわけではない。しかし、当医院にお越し頂いている患者様は、我々歯科医療従事者が、きちんと一人ひとりと向き合って治療の相談は勿論のこと治療以外のことも含めて共感共有させて頂いていることに、信頼を寄せてくださっていると理解している(治療内容的なことは常にベストを尽くしています)。言葉で表現するのは簡単でもあり難しくもあるが、この診療スタイルを築き認知して頂くまでには15年以上は掛かっている。禅の言葉に「一箇半箇」とある。「SNSで拡散」というようなフレーズを見聞きすることがありますが「一箇半箇」の意味は、この真逆です。数の問題ではなく、極めて少数希少で、誰かれ構わず多くの人に伝えるのではなく、たとえ一人でもいいから正しく伝える。多くの患者様を受け入れたとしたら、一人ひとりの患者さんの時間枠が十分に取れなくなるのは自明の理。キャパ以上の患者様を受け入れて、意図しない結果になるリスクを抱えることは医療人として到底できることではない。少なくても正しく伝え、患者様にも考えて頂くためには、時間の余裕が必要と考えている。

                             2021,12,22

使命感

  働く人にとってなくてはならないものは何かと言れたら、それは使命感であろう。経営の神様と言われた松下幸之助さんは、取引先の人に誘われ、天理教本部を訪問し、そこで働く人々が皆、奉仕でありながら生き生きと喜びに溢れており、自社の月給をもらって働く社員との差に愕然としたそうである。そしてその違いは何かと考え続けた末に、使命感の差であると悟ったのです。それ以降松下電器の社員には、「電機製品を大量に安く提供することで人々を貧困から救う」という崇高な使命があることを社員に伝え、それを機に全社員は信じられないほど意欲的に働き、会社も爆発的に成長したのです。当医院の患者様の中に、その使命感の大切さを仕事を通じて体得し、次なるステップへと繋げた女性がおられる。来春、本人が望まれていたDenmarkでの仕事に就くことになり、「望めば叶った」と連絡があった。まだまだ自分の幹を太くされていく成長途中ではあるが、彼女の無限の可能性にエールを送りたい。

                             2021,12,21

人望無き指導者

 夏の甲子園を〇〇制覇!全日本高校サッカー選手権大会〇〇目の優勝!など輝かしい実績を誇る高校には必ず名監督、名コーチがいる。ある年には才能ある選手が複数いたために優勝できたということもあるかも知れないが、毎年選手は入れ替わるわけで、それでも長期間にわたって強豪チームであり続けるのは、指導者が有能であるという証ではないか。一方で、名指導者といわれる人によるパワハラと思われるような事案も近年は見られることがあった。数年前にはある大学スポーツの試合現場で、選手が反則し相手選手にけがを負わせ問題になったことがあった。反則した選手は「反則の指示はあったが、従った自分が悪い」と言い、コーチは記者会見で言い訳に終始していたことが記憶に新しい。スポーツであろうが会社組織であろうが、トップに立つ人間の人柄、人望の有無が、組織そのものの在り方を決定してしまうということか。ある私大のトップが世間を賑わしているが、本来教育現場のトップであるならば、学生たちの模範たるべき姿であるはずだが、報道による情報で知る限りでは、信頼され人望ある姿からは程遠いとしか言えない。

                             2021,12,20

人生は「親ガチャ」??

「今の日本は、生まれた家庭次第で人生が左右されてしまう『親ガチャ社会』になっている。貧困を生んでいるのは政治や社会なのに、個人に責任を押し付けている」とある東京都議会議員が語っている。親ガチャという表現は、人生が思い通りにいかないとしたら、それはくじ運が悪いからだということらしい。本当にそうなのでしょうか。もしもこの議員の言う通りならば、例えば生活保護を受けている家庭で育った子供は社会人になっても貧困生活から抜け出せないということになる。どのような境遇にあろうとも、本人次第で自分の人生は切り開くことが出来ると伝える、考えることが私は制度云々をいうよりも大事なことであると感じている。努力しても報われないという方もいるかもしれない。努力が大切なことは誰でも分かっているし、努力は誰でもしたことがある。しかし、その努力も執念というレベルでし続けたことがあるかどうかで、その後の展望が開けるというものではないでしょうか。出来ない理由を挙げる前に、目の前の出来ることを愚直に行い継続することが教育でも生活をしていく上でも忘れてはならないことである。10年、20年先の幸せを掴むためには近道はないとその議員には申し上げたい。

                             2021,12,19

医者の不養生?

 今朝の冷え込みはおそらくこの冬一番であろう、と思えるぐらい早朝のランニングは寒かった。手袋、ヘアバンド、ネックウォーマーそしてマスクと、早朝のまだ暗い時の出で立ちとしては如何にも怪しい。数年前にはランニング途中にパトカーが横付けしてきたこともあったぐらいだ。健康のために走り始めてかれこれ10年近くが経過するが、最近は年間の走行距離が減ってきている。なぜなら身体の各所にガタが来ているからであり、月一のスポーツトレーナーの診察が欠かせなくなってきている。筋肉の張りであったり、股関節の違和感など、長年の体幹の歪みから症状が酷くなってきていると自己診断はしているが、その体幹の歪みの元は、もしかしたら咬み合わせかも知れない。医者の不養生とはこういうことか、などと思いつつ、機能的な歯列矯正治療をいよいよするときかもしれないと悩む今日この頃である。

                             2021,12,18

精神の軸

 明治大学の齋藤孝さんが、学生たちに自分の精神の軸になる言葉を増やしてほしいという思いから、一人20秒程度の持ち時間で次々と名言を披露してもらう試みをしているという。数十人の学生がまったく違う言葉を引用することから、気に入った名言には声を上げ、メモを取っているそうだ。寺子屋の学びがあった頃には論語を暗唱するなどして自分の生きていく指針、背骨を作っていただろうに、今の学生は良書を読む習慣が少ないか全くなく、スマホで仲間とやり取りすることに大事な時間を割いているように見えてしまう。但し学生だけではなく、もしかしたら全世代でその傾向が年々強くなっているようにも思う。要は、仲間との水平的なコミュニケーションが生活の中心であり、本を読んで深堀をするといった深さや高さがある考え方を知るといった垂直的な考え方が出来なくなっているのではないか。もしそうだとすると、精神的な軸を築いていくことは年齢に関係なく難しく、今の教育、社会問題とも無関係ではないと私は考えている。

                             2021,12,17

気持ちと価値観

 「患者様の立場で考える」とは、患者の気持ちを理解することなのか、価値観を理解することなのでしょうか。歯科医療は常に人を相手にする職業であり、歯科医療サービスという観点で考えてみると、この「気持ち」と「価値観」の違いを理解しておくことは大事である。勿論、そのようなことを意識しなくても患者応対が出来ていることが望まれるべき姿であることは言うまでもない。リッツカールトンの元日本支社長である高野登さんは、「気持ちというのは瞬間的なもの、それに対して価値観は不変的なもの」と述べている。相手の方の心の在り方、大切にしている感性は何か。それらを理解するためには、たとえ歯の治療でお越しになられた患者様であっても、歯だけではなく、本気でその方の心の声に耳を傾けるしかない。そして患者様の“気持ちと価値観”の両方を理解することで信頼が生まれ、人としての絆が深くなる。一期一会の思いで過ごしていると、必ず良い循環が生まれる。相手の心を慮り、価値観に寄り添うことが人間社会には必要である。

                             2021,12,16

食品添加物

 食品添加物の入っていない食品を選ぶことが難しい世の中になってしまった。スーパーなどに陳列されている加工品を手に取って原材料を目にしてみると、カタカナでいろいろな原材料が書かれている。慣れとは怖いもので、着色料には何が使われているのかと気にして見ているが、着色料そのものが本来は身体には不必要なものである。私が子供の頃には親が無添加ハムをわざわざ探して買い物をしていたのを記憶している。今は無添加物を探すこと自体が難しく、近くのデパ地下の食品売り場では無添加ハムは見かけない。インスタント食品を口にすることに抵抗があったにも拘わらず、昼のお弁当の際にはフリーズドライの味噌汁を飲用している。多く流通しているから安心なのではなく、長期的な身体への影響という点で日常の食品について考えてみる必要があるように思うのは私だけか。

                             2021,12,15

理想の学び

 “少年老い易く学成り難し 一寸の光陰軽んずべからず”。高校生の頃だったか、親父に言われた言葉である。当時は気に留めることもなく聞き流していたが、意味はともかくその言葉自体はいつまでも記憶から消えることはなかった。当時は親からしてみれば、若いのに何を時間を無駄に過ごしているのだ、とでも言いたかったのだろう。人生経験を積み重ねてきた人ならではの感慨のはずである。年をとるのは早いが、理想を成就するのは難しい。わずかな時も無駄にしてはならない。人の「学」を単なる勉学ではなく「理想」と捉えているところに、この有名な詩の魅力がある。緒方洪庵、勝海舟など他多くの歴史上の先達は若年期だけではなく、生涯学ばんとする姿勢を貫いた。現代を生きる我々が学ぶべきところは、まさにその修養の道程である。

                             2021,12,14

愚かなリーダーたちよ

 アメリカでは深夜に約500キロに及ぶ竜巻が発生し、ホリデーシーズンを前に凄惨な光景が映し出されている。距離で言うと東京から京都までに相当するから規模が違う。12月に竜巻が発生するのは異例のことというから、これも地球温暖化の影響としか考えられないであろう。竜巻の被害は我が国でも数年前に発生した記憶がある。地震、台風、豪雨、そして竜巻と、自然の驚異からは逃れられないのが地球で生きる動物の宿命か。今回の竜巻が核関連施設を巻き込んでいたとしたら、東日本大震災のような放射能漏れ以上の制御できない事態になった可能性もある。常任理事国の5ヵ国は、自国の核兵器を自然災害から守る保証、約束はできるのか。世の中には絶対なるものは存在しないのが真実である。大国の覇権争い、権益争いなど地球上に人が生存できなくなれば何の意味もない。そんなことも理解できない、理解しようともしない人のような顔をした動物が一国のリーダーであることに、無念さを禁じ得ない。

                             2021,12,13

備えあれば憂いなし

 青森沖で4キロに渡って魚が死んで浮遊しているとニュースで報じられていたが、原因は何か把握できていないそうだ。全国各地で地震が頻発しているだけに、大地震の予兆ではないのかと危惧の念を抱く方もいるのではないでしょうか。関連があったかどうかは不明ですが、東日本大震災の2週間ぐらい前に太平洋沿岸に数十頭のイルカが打ち上げられたことがあった。イルカには、人間にはない予知能力があったとしても不思議ではない。大震災の後、防災グッズの売れ行きが一時的に高まったが、まさかその時の非常食をまだ保存してはいないだろうか。缶詰だからといって半永久的に品質が保たれるわけではない。「備えあれば憂いなし」ですから、年末の大掃除に合わせて水や非常食を入れ替えてはどうでしょうか。非常食を用意しておいて役に立ったと言える日が来ないことを祈る思いだ。

                             2021,12,12

予知性のある歯科医療の提供

 以前、日本人は与えらた仕事を丁寧にコツコツやって精度を高めていくことは得意だが、イメージやビジョンを持つ力が弱いと言われていた。高度経済成長期も過ぎ、バブル崩壊後30年が経過した今の日本人を世界はどのように評価し、見ているのだろうか。かつては、SONYが世界の家電市場を席巻した時代がありましたが、そのSONYのWalkmanに触発されたあのスティーブ・ジョブズが新しい価値を創造する会社を立ち上げたのは有名な話で、自分のイメージに到達するまで妥協を許さなかったそうだ。イメージや創造力といっても、こればかりは考えて湧いてくるものではない。育った環境、後天的な経験によって培われたその人独自の判断力のような能力がなければ、未知の領域に踏み込んでいくことは出来ない。ルータイスの“望めば、叶う”には自分を高め人を導くことが書かれているのだが、若い頃に読んだ時には自分に自信が持てなかったものだ。長年歯科医療に携わってきたことで、患者さんの治療に際して、“もしかしたら・・かも”、“あの時こうしておけば間違いなかった。”、“現状は‥‥ですが、数年後あるいは50歳を過ぎた頃には‥‥のようなことが起きる可能性が高い”というアプローチが可能になってきた。臨床とエビデンスの間を埋めるのが実績のある経験値であり、それが今後の診査診断に役立ち、イメージ及び創造力とリンクすることで、より予知性の高い歯科医療を提供できると確信している。

                             2021,12,11

咬み合せと頸椎、脊椎狭窄症の関係

 脊椎狭窄症及び頸椎に症状を訴える患者さんの年齢層は50代以降が多いのだろうか。当医院に通院中の方で、今年だけで3人の方が専門病院で手術を受け、症状の改善をみている。手術の内容を伺うと、頸椎4,5,番目にボルトを入れて・・などと、痛々しい言葉を聞くことになるのだが、術後は以前の腕や脚の痺れもなくなり、通常の日常生活を取り戻せたとのことである。医療技術の進歩には舌を巻く次第だが、歯科の仕事に関わっていると、咬み合わせの乱れから脳頭蓋、顎顔面骨格の重量を支えている頸椎に負担がくるのは間違いと考えており、当医院の3人の骨格的な咬み合わせは同じカテゴリーの属した。歯科医療に携わる人間の端くれとしては、将来的に歯科的要因で脊椎狭窄症になるリスクが疑われる場合には、症状の有無にかかわらず歯列矯正治療の必要性、さらには咬み合わせが悪くなった根本原因である呼吸や口腔周囲筋の動きの改善を積極的に勧めるべきと考えている。但し、エビデンスとして臨床現場で示すところまでには至っていない現状では、20代、30代の症状のない患者さんにそのような話をさせて頂いても、自分事としては受け入れられないのが現状である。従って、せめてそのようなことが生じる可能性があるということを伝え、患者さんに理解して頂くことだけは、最低でもすべきことであると日々感じている。

                                2021,12,10

目標

 経営の神様、松下幸之助さんが松下政経塾を開講したのが86歳であり、日本航空の再建を託された稲盛和夫さんも隠居してもいいぐらいの高齢であった。80歳を過ぎてエベレスト登頂を目指した三浦雄一郎さんは、未だに現役の冒険家であり、年齢だけが人の可能性を制限するものではないと考えさせられる。そして83歳になる堀江謙一さんは来年、小型ヨットでサンフランシスコから兵庫県西宮市を目指すという。「人間は何か目標を持って進むことで充実した人生を送れる」とのことだ。目標は高すぎると挫折しやすく、低すぎても長続きしないなど、口で言うほど達成するのは簡単ではない。大事なことは常に、短期、中期そして長期的な視野に立って自分の人生を俯瞰することでろう。

                                2021,12,9

語学力

 「将来は語学力を生かした仕事に就きたい」とは矯正治療で通院中の高校三年生の言葉。今は来月のセンター試験に向けて残り一ヶ月のラストスパートのはずである。大学受験のこの時期になると、私の場合は嫌な浪人生活時代がフラッシュバックし、今思えば高校生活3年間は何の目標も持つこともなく、無駄に過ごしてしまったと後悔する。それがその後の糧になっているのかも知れないが、過ぎた時間は取り戻せないのが現実であり実感でもある。そんな私とは違い、この受験生は海外に目が向いているので、大学の合否に拘わらず夢をかなえるために英語を学び続けることであろう。「使える英語」を学ぶ環境は整ってきていると思うが、肝心なのは学ぶ目的であり、受験のためだけでなく、夢の実現のために英語を学ぶ子供が増えてくれればと願わずにはいられない。

                                2021,12,8

患者さんとのかかわり方

 75歳のご婦人が治療でお越しになられているが、先日は予約時間になってもお越しにならなかった。口腔内全体の治療のため、治療回数も多く、そして治療期間も1~1.5年の予定なので、忘れてしまうこともあるかもしれないとご本人が仰っていたこともあり、空いた時間を文献検索などをして時間を過ごしたのだが、次回の予約確認もあり、受付から電話を入れてみた。受付「〇〇様ですか?」、患者様「あら、12月7日ということは覚えていたのよ。でもね、今日が12月7日だとは思わなかったの。ごめんなさい!」。不思議なもので、人柄が分かっているためか全く憎めないのである。まさに明言である。この患者さんの明言は他にもあり、義歯を新しく作製して使って頂き状態確認でお越し頂いた時には、「〇〇さん、上の義歯の使い心地は如何でしょうか?どこか痛い箇所などはありませんか?」と尋ねたところ、「あらやだ、義歯を装着してくるのを忘れてしまったわ。先生どうしましょう?」とのご返答。他に治療する箇所もあるので、口腔内を確認させて頂くと、義歯が装着されているではありませんか。患者さん、アシスタントともに大笑い。義歯がそれだけ違和感なく使えて頂いていることに安堵したものである。因みにこの方は決して認知症ではありません。今の時代、75歳は老人ではない。早く全体の治療を終わらせ口腔内の悩みから解放させてあげ、歯科医院へは定期メンテナンス、クリーニングでお越し頂けるようにしたいものである。

                                2021,12,7

精神文化を育む必要性

 当医院にお越しになられている方の中に、「最近、論語を読み始めたんですよ」という方がいる。実は私も数年前から論語を手にしているので、なぜ論語を読むようになったのかなどの話題で話が盛り上がり、その日の治療時間が短縮されてしまった。その方はある方に論語を勧められたのが切っ掛けで読み始めたとのことで、その勧められた理由が、「二千数百年まえに書かれたものなのに、今読んでも新鮮で、心に深く響くことが多いのよ」と言われたそうだ。私も同感である。決して堅苦しい内容ではなく、子供でも読める書物であり、各家庭に一冊用意して家族で音読でもすれば、昔の寺子屋的な教育が簡単にできるのではないかと思うぐらいである。幼少、小学生低学年ぐらいの時から習慣化してしまえば、今の日本人に失われつつある精神文化を育むひとつになるのではとさえ思うほどである。毎日のように報道される信じられないような内容のニュースを見るに度に、すべては日本人が古来より育んできた精神文化を捨ててしまったことに起因すると私は考えてしまいます。

                                2021,12,6

真の国際人とは

 英語を話せることが国際人であるということではないと学生時代にバックパッカーでヨーロッパを旅した時に実感した。まあ、私の英会話力などはたかが知れているのだが、チューリッヒ市内のコインランドリーで待っている間に居合わせた地元の学生さんと話をした際に日本のことをいろいろと聴かれたのだが、相手を満足させられるような内容のある話が出来なかった苦い思い出がある。英語が出来なかったというよりも、自分が日本の文化や歴史、政治などを深く知らないばかりに、相手も知っているような表面的なことしか伝えられなかったのである。つまり、学んでいないこと、日本語で説明できないことは、英語で伝えられるわけがないと学んだのです。それから約30年過ぎましたが、世界から尊敬される、世界に通用する日本人というのは、自国の文化や伝統、歴史を理解し、深い教養を身につけ、人間力を兼ね備えた人であると言えると思います。学びに年齢制限はありません。貪欲に知性の翼、情熱の翼を広げましょう。

                                2021,12,5

企業文化の劣化

 先日、みずほフィナンシャルグループの社長、会長、銀行頭取の3人が2022年春に退任すると発表がありました。今年に入って複数回のシステム障害があったことから責任をとる形になったのでしょうが、トップの経営陣が辞めただけでグループ会社が果たして生まれ変われるのでしょうか。銀行を監督する金融庁が出した業務改善命令の文書には異例の表現を使っていました。「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」と。経済成長真っ只中であった1980年代の日本は、海外企業からもその経営システムは見習うべき点が多いと言われ、アメリカでは“KAIZEN”という言葉がお手本にされたことがあったぐらいで、しかも日本の改善は“改善し続ける”という優れた企業文化が育まれていると評価されていた。経営者には創業経営者か雇われ経営者しかなく、創業者の思い、意思を後継者がどれだけ引き継ぐことが出来るかが、事業を円滑に進め、発展させる鍵になることは論を俟たない。地道な取り組みで長年しみついた会社の文化、企業風土を変えられるか、みずほグループに限らず日本社会は正念場を迎えている。

                                2021,12,4

第一印象

 人とお逢いした時の第一印象が良いと、比較的間違いなくその方とは良好な関係を築けるものではないでしょうか。医者と患者の関係も然りであり、人としての信頼関係の第一歩である。しかし、本当にその人のことを知るためにはこれだけでは不十分で、孔子の言葉を借りれば「視・観・察という三つのアプローチで人を見分けなければならない」ということらしい。実際に長い付き合いをするようになると、初めは分からなかった意外な側面が見られたりすることはよくあることだ。「視」も「観」も「みる」と読むが、「視」は単に外面を肉眼で見るだけなのに対して、「観」は外面よりさらに奥に立ち入り、肉眼だけではなく「心眼」を開いて見るという違いがある。相手の方の心根まで理解できるような関係になると、初めは医者ー患者の関係であっても、いつの間にか人としての繋がりになってくるのは自然なことである。当医院にお越しになられる患者さんにはそのような方が多い。

                                2021,12,3

国語塾?

 当医院の近くに「国語塾」なる塾が出現した。いわゆる小中学生向けの塾である。国語塾?とは何ぞや。その塾の経営方針など詳しい内容は存じ上げないが、要は国語力を底上げするための塾ということであろう。いよいよ母国語を塾で習わなければならない時代になってきたのか。当方もブログをアップはさせて頂いているが決して文才があるわけでもなく、どちらかといえばボキャ貧を恥じている次第である。語彙力が必要なのは言うまでもない、人としての知的活動には欠かせないからであり、ものごとを考える時には頭の中で言語を用いて整理しているに他ならない。ではどうすれば語彙力をつけることが出来るのか。良書に触れ、心に響くような本にできるだけ多く出会うことであろう。私が小学生の頃、学校の図書室には少年少女世界文学全集などの読み応えのある蔵書が数多く揃えてあり、家に持ち帰って読んだものである。特に子供の頃には読むべき本を読むべき時に読むことが知識を蓄えるだけでなく、情緒を養ううえでは必要ではないでしょうか。さて国語塾では何を教えるのか。ちょっと覗いてみたいものである。

                                2021,12,2

オミクロン型への特効薬

 新型コロナウィルスの変異株オミクロン型が遂に日本でも確認されだが、海外からの入国禁止を例外なくいち早く決めた岸田総理の決断は評価したい。賛否はあるかも知れないが、後手後手にまわった対応に比べれば、何か行き過ぎがあれば後から修正すれば良いだけのことであり、国民の命を第一優先に考える総理としては素早い決断である。気になるのはオミクロン型の感染力だが、ヨーロッパではデルタ型よりも11倍強いとも言われ、更にワクチンもブレイクスルーするとの見方もあり、専門家の間では今まで以上の緊迫した日々となっている。以前ブログでも取り上げたが、ノーベル医学生理学賞を受賞した大村智・北里大学特別栄誉教授が静岡県のゴルフ場で見つけた土壌の細菌が作り出す物質をもとに、熱帯感染症の特効薬イベルメクチンを開発したが、この薬の新型コロナウィルスへの効果はその後どうなっているのだろうか。また、東奥日報のコラムには、白神山地の土壌に生息する細菌由来の酵素に、新型コロナ感染による肺炎の重症化を改善する効果があることを、秋田大学などの研究グループが発表したとある。オミクロン株にワクチン効果が望めないとなった場合の救世主となるのか、日本の研究者達の活躍が誇らしい。

                                2021,12,1

政治家の資質

 先の衆議院選挙では、世間で言われる大物議員なるものも落選した。年齢的にご苦労様でしたと思えてしまう議員、失言やコロナ自粛期間中の素行が問題視されたことが原因である思われるもの、そして今までの政治活動を選挙民が冷静に判断し審判を下した結果落選したものなど理由はさまざまである。本日野党の党首選挙が行われていたが、それについて民放テレビ局に出演していた先の落選議員さんは、「私だったら女性議員に投票します。あまり票が入らなかったらかわいそうじゃないですか。」と恥じることなく述べていたそうだ。国会議員たるもの、国の行く末を常に考えて行動するのが使命であり、好みや同情論などで政治家をされてはたまったものではない。今の日本の危機の一因は、選挙民たる国民、そしてとりわけ国のリーダーたちが大局観を失ったことであると思わせるに十分な場面だったのではないか。歴史、文学、芸術など実用に役立たぬ教養なくして、健全な大局観を持つのは至難であると数学者の藤原正彦先生は述べている。明治維新の志士たちのように命を賭して国を背負っていく気概のある政治家は何処に。

                                2021,11,30

黒電話

 鎌倉のとある老舗の焼き鳥屋で食事をした時のことである。“りりりり~ン!りりりり~ン!”どこか懐かしい電話の呼びベルが鳴った。「はい、・・・です。あ~、すみません。もう満席になりまして‥‥また宜しくお願い致します!」。店の大将が手を伸ばした先にあったのは、なんとあの黒電話ではありませんか。カウンターで舌鼓を打っている仲間全員「お~、昭和だね、いいね!」と、少年、青年時代を黒電話で過ごした面々である。あのダイヤル式の電話を平成生まれは知らない、見たことがないというから、当然使い方も知らないらしい。中高生の頃、好きだった女の子の家にダイヤルを回す時のあのドキドキ感が思い出された。電話番号の最後の数字に指を入れ、ダイヤルを回してそれが元に戻る瞬間に受話器を置いて深呼吸をして、もう一度掛け直したものだ。その時の電話番号を今も忘れていないのは記憶力なのか、それとも指でダイヤルしたあの間を身体が覚えているのか。今であれば先方の家族の誰が電話に出るかなど心配する必要もなくメールやLINEでことは済んでしまうのでしょう。敬語の使い方などは、ちょっとした電話の使い方で身につけていたのかも知れない。ノスタルジックに浸るのも、時にはいいものだ。

                                2021,11,29

国語教育の劣化

 毎月購読しているビジネスレポートがあるのだが、その会員から「使われている言葉の表現が難しい」との指摘を受けたことがあると社長が言われていたことがある。実際にそうなのだろうか?難しい表現をその読者の方が知らない、いわゆる“ボキャ貧”なだけであり、日本語の国語力の低下を感じさせる場面でもある。大人だけではなく、近年の日本の子供の国語力は国際的な学習到達度調査でも下降の一途を辿っている。我々が社会生活を円滑に営む上では読解力は欠かせないものであり、文字を読む力だけを読解力と言うのではない。齋藤孝先生の言葉をお借りすると“読解力とは、いま自分が直面している事態を的確に把握し、それが意味するものを汲み取る力”とのこと。従って、政治やビジネスの現場に読解力の乏しい人がいくら集まっても、お互いの意図を十分理解することが出来ないためコミュニケーションの質は高まらず、何ら発展的な成果を上げることもできなくなる。教育の現場では、社会に出てから即戦力を求められる時代の流れから、高校国語の教科書の内容が、文学よりも契約書や解説書などの実用文の重きを置いた内容へシフトしていくそうである。学校教育がそれで良いのかと私は憂いてしまう。先人の書き上げた名分に親しみ、作者の優れた精神に触れることで我々の心も豊かになっていく。心が豊かに育つことで人間的な余裕も生まれてくるというものではないでしょうか。維新の種を蒔いた吉田松陰の活躍した期間は20代後半と極めて短いが、その精神、行動規範だった「至誠」や「大和魂」は“留魂録”を遺して旅立ってから150年以上経った今も生き続けている。日本人の心棒を失わないような学校教育が求められている。

                                2021,11,28

オミクロン型

 世界が緊張している。WHOは26日、南アフリカで新たに見つかった新型コロナウイルスの変異型を最も警戒レベルが高い「懸念される変異型(VOC)」に分類し、「オミクロン型」と名付けると発表した。また、チェコやドイツなど欧州各地で見つかっており、日本国政府は早急な入国制限の強化、もしくは鎖国に近い対策を打ち出すべきである。日本人の行動規範を守る国民性によって今までの変異型ウィルスの感染を抑え込んできたわけだから、今までの国民の努力を無駄にするようなことはすべきではない。一日5,000人までの入国制限の緩和を行っているようだが、全く逆行している。オミクロン型を日本に持ち込まなければ感染しないわけですから、そこに経済だビジネスだ外交がなどともっともらしい理由を付けて例外を設けるべきではない。仮に期間限定の鎖国を行い諸外国から非難されたら岸田総理に言ってもらえばいい。「自国民の命を守るのが政治家であり総理大臣である」と。

                                2021,11,27

新たな変異型ウィルス

 日本では減少している新型コロナ感染者であるが、南アフリカの国立伝染病研究所などは25日、同国で新型コロナウイルスの新たな変異ウイルスを確認したと発表した。ウイルス表面の突起状のたんぱく質「スパイク」に多数の変異が生じており、感染力が強くワクチンが効きにくい可能性があるとのことだ。なんとも恐ろしき新型コロナウィルス。欧州各国では連日感染者の増加が報告されており、それに加えて新たな変異型の出現となると、“新型コロナウィルスvs人類”に於いて我々は勝ち残ることが出来るのかと、映画さながらの状況を呈してきていると言えないか。政府には海外からの入国制限を緩和ではなく即刻禁止などの強硬な対策を早急に実施して頂きたい。緊急事態宣言が解除されてから約2ヶ月が経過しようとしているが、感染防止対策は気を緩めることなく徹底しなければならない。なぜならウィルスは常に我々の身の回りにいるからである。

                                2021,11,26

ひねくれ者?

「えっ、お若いですね!」と言われて嬉しいと思うのか、いやいや若い人に向かっては若いですねとは言わないから、「若いですね!」と言われた時点で実は若くないと言われているようなものだとひねくれ者になるのか。同じように「君たちには無限の可能性がある」というフレーズを聴くことがあるが、私などは若い頃には素直に受け入れて励みにしたものだったが、捉えようによってはこの言葉は、長い人生の中で失敗した人に向かって無限の可能性があったのに「その分の努力が足りなかった」と言うのと同じではないかと仰る方がいた。言葉の遣い方が難しいのか、相手の人間が難しいのか分かりませんが、何事も前向きに捉えて素直な気持ちで受け止めることは、生きていくうえでは基本であろう。

                                2021,11,25

子供の教育とは‥‥

 小学生を塾に通わせる時間があるなら外で遊ばせたらどうなんですか?中学受験ってそんなに大事なんですか?私が以前から親御さんに尋ねてみたい疑問である。子供の時に遊ぶべき時間を過ごさないで大人になった結果、感性も育たず、失敗を恐れるあまり冒険することもなく以下同文のような人間にしか育たないような人が多くなっていませんか、と問いたい。日本ではいまだに一流大学、卒業した大学のブランドを求める傾向が社会にはあるが、社会に出てから問題になっている「指示待ち族」や、独自に状況を判断して動く自主性が弱い若者の中には、もしかしたら共通した生い立ちがあるのではないかと私は勝手に思っている。いくら知識を詰め込んでも、徳の部分が育たなければEQは上がらない。徳を育てる初期段階は家庭教育であり、学校でも塾でもない。公立学校にて様々な生徒と触れ合い学生生活を過ごすことによって人間形成がされていく。温室育ちばかりでは、温度管理がしっかりできなくなると成長は止まるのと同じで、周りのサポートが無くなれば余程志すものがなければ立ち往生してしまうことになりはしないか。

                                2021,11,24

デジタル・デトックスを

 電車内で不審な行動を執る人がいても、スマホに夢中になって危険を察知できないという事態が実際に起きている。「スマホを支配しているのはあの人なのか、それともスマホがあの人を支配しているのか?」これはスマホを世に送り出したシリコンバレーの巨人たちの後悔の念である。「スマホ脳」の著者アンデシュ・ハンセンによると、フェイスブックの元副社長は「SNSが人々に与えた影響を悔いている」と発言し、初代CEOのショーン・パーカーも、「同社が人間の心の脆弱性を利用した」と明言している。SNSの長時間の使用による脳への影響は、あらゆる方面で問題の声が上がり始めている。世の中のうつ病人口は増加傾向にあり、脳の最も発達した部分である前頭葉が成熟する幼児期や10代にスマホを触れさせることは、極めて危険であることを大人たちは認識するべきである。なぜなら「子供の脳への影響は神のみぞ知る」と初代CEOも語っている。

                                2021,11,23

国民性の違い

 新型コロナ感染者が連日減っており、都内の感染者も一桁が見えてきた。このまま収束に向かうのか。それとも第6波がそのうち襲ってくるのか。報道によると日本の2回目ワクチン接種率は約75%と先進諸国でトップであり、ワクチン効果があることは誰もが認めるところであろう。情報発信力のなさに私も批判的なことをブログでは書いてきたが、今となっては菅前政権の置き土産として評価されるべき実績である。一方欧州各国ではオーストリアの全土ロックダウンをはじめ、感染拡大に歯止めがかからない状況になっている。ドイツのメルケル首相は「わが国民は半年後にはワクチン接種か回復、もしくは死」とまで国民に最大級の危機意識を持つよう促している。日本人の感覚では、欧州の人たちがマスクをしないで買い物をしたり、トイレ使用後に未だに手洗いを徹底していない状況が信じ難い。国民性の違い、生活習慣の違いといってしまえばそれまでだが、自分のことよりも公共性を重んじるDNAが今の日本人にも引き継がれていることに少しは安堵してもよいのかも知れない。

                                2021,11,22

MVP

 「小さい時から野球が好きで、その好きな野球が上手くなりたくて練習をしてきた。今もその気持ちに変わりはなく、まだ上手くなれると思っている。」これがメジャーリーグのMVPに輝いた選手の言葉である。大谷選手の二刀流は日本のプロ野球時代から注目されていたが、野球の本場アメリカでは最初は成功するはずがないというのが大方の見方であった。ホームラン、投手としての勝利数、盗塁に於いて素晴らしい記録ではあるが、どれもタイトルには届いていない。それでも30名の記者たちによる満場一致のMVP選出の大きな理由は、試合を見続けた記者の目に映ったファンを魅了するワクワクさせるプレーを魅せたということだろう。漫画の世界を現実のものにしてしまう27歳の日本人メジャーリーガーは、今後5~7年がプレイヤーとしてのピークであり、どこまで理想に近づけるか自分に期待しているとのことである。自分の気持ち、感性を純粋に信じて前進する姿に、我々大人も学ぶべきことは多いのではなか。

                                2021,11,21

寺子屋

 8月中旬の日本経済新聞に、中国では「家庭の躾法制化」という記事がありました。教育、とりわけ大切な徳育は、幼いうちに家庭でしっかりなされてこそ、その人を生涯支える人間的基盤が養われるものでしょう。それを法制化とは、何とも徳のない指導者たちの中央集権国家なのでしょうか。孔子、孟子がどんな思いでいるのか。但し、家庭教育の問題は我が国でも深刻であり、徳のない人が親となることで、その子供達の徳性など養われるはずもありません。もしかしたら教育は、いつの時代も多くの人々を悩ませる問題、課題かもしれません。教育の基本は安岡正篤先生の、「いくら才があろうと徳がなければ活かすことは出来ない」との教えに尽きるのではないでしょうか。今なされている教育の姿勢は、家庭も学校も、「才が先で、徳が後」なのです。そもそも“徳”の重要性が認識されていないことに危機感を感じます。小学校の先生が、英数国理社の5教科を単に教えるだけの存在であれば、それはもはや生徒からして見れば、尊敬の的でも敬愛の的でもないでしょう。徳性を育み、おのずから志を抱く人物に成長することで、志を成すために必要な学問、技能を自ら習得するようになるのが子供としてのあるべき成長する姿ではないでしょうか。教育の立て直しの見本は、寺子屋にあり。

                                2021,11,20

時空を超えて

 近年は日本酒もワインも種類が豊富で愛好家には銘柄選びに時間を要する。店ではついつい飲み慣れたものを注文しがちだが、産地の違うところのものを頼む楽しみ方もある。以前ドイツを旅したこの時期には、新種のワインが飲める日にはワイナリーに黄色い旗を揚げる地域があり、地元の人に交じってワイングラスで乾杯したことがある。うんちくはともかく、気取らず五感でワインを楽しむうちに、醸造家が自然と一緒になって造り上げた逸品に、時空を超えて造りてと対話しているような気分になる。日本酒の海外輸出も盛んになり、あちらでの評価も右から上がりであり、また国産ワインも輸入ワインに引けを取らず、こちらの評価も高い。ネットではなく、お酒を通して異なる他者への共感も深まるというものか。年末にかけて、飲み過ぎには気を付けましょう。  



                                2021,11,19

収束傾向

 対面式のセミナーに参加するために2年ぶりに利用した新幹線の社内乗車率は、コロナ前と変わらないのでは、と思えるぐらい空席がほとんど見当たらなかった。以前と違うのは、乗客全員がマスクを装着していることであり、それを誰もが守っているところに日本人の行動規範の素晴らしさを改めて感じとることが出来た。仕事の資料作りで余裕がないのかPCを降車するまで操作している人、友人らしき人との旅行なのかテンションの高い若い女性、長い足を横に曲げて座っている欧米人らしき人など、社会活動が活発になってきたことを実感できる車内であった。全国的に新型コロナ感染者の収束傾向が顕著で、感染者ゼロの都道府県も増えてきている。そろそろ忘年会の話も例年であれば出てくる時期だが、「第6波は必ず来る」と断言している専門家もいて、まだ暫くは大勢での会食は控えた方が良さそうである。飲食店関係者にとっては補助金がなくなるタイミングで客足が戻らなければこれまで以上に厳しい状況が予想される。体力のない小規模経営者がなんとか遣り繰り出来るまで、この収束状況が1日でも長く続いてくれることを願うばかりだ。


                                 2021,11,18

美しく生きる

 ランニングコースに何年も庭の手入れがされていない一軒家がある。雑草が生い茂り、蔦が雨戸などに絡まり伸び放題である。そこを走り抜けるたびに、心を高めるように自分自身を手入れしないといけないと思う。美しい草花、つまり美しく正しい心の種をまかなかったならば、そこには雑草、いわば邪で卑しい“思い”が繁茂してしまう。だからこそ、心の手入れを怠ってはいけないと、ジェームズ・アレンは言っている。

人生は人それぞれだが、同じく生きるのであれば

美しく生きた方がいい

日常生活はもちろん、人間関係も、また服装までも含めた

自分自身のこととして

「美しくあるべし」と

           ―平山 郁夫 画伯



                                 2021,11,17

センスの有無

 一度確立された治療法を変えようとするには大変なエネルギーがいる。なぜなら医者も患者も疑うことをしないからであり、病名、診断名が付けば思考回路として既存の治療法を施すことになる。多くの患者さんはそのような手法で症状の緩解、改善が認められるわけだが、問題となるのは治癒傾向に向かわない場合である。医療者側の知識、経験値を結集し、更には洞察力も加えて目の前の患者さんの抱える不定愁訴に立ち向かう必要があると考えるが、この洞察力はただの勘とは異なる。センスというと生まれつき持っているもののように捉えることがありますが、そうではなく、後天的な経験によって培われたその人独自の判断力のような能力です。経験値がものを言うのはこのことであり、勝負は場数の質と量です。つまり無意識にただ経験したというだけではなく、明確な意図をもって経験し、その結果を分析し、成否を客観的に分類整理し頭の中にストックするという経験の数が大切です。その経験のストックが多いほど、サービス業であれば顧客に、医療者であれば患者さんに満足感を与えられる対応が可能となるのではないでしょうか。この意識的で、敢えて言えば上質な経験のストックの多さが豊かな独自のセンスを産み、医師であれば臨床医としての差になるのだと考えます。


                                 2021,11,16

仕事とは‥‥

 以前、22歳の美容師になりたての女性が「今の職場は仕事の割には給料が安いんですよ。他を探そうかと思っているんで・・・」と私に話しかけてきた。美容師を目指す切っ掛けが何だったのかは尋ねていないが、非常に違和感を感じた言葉だったことを記憶している。資格を取得したばかりで一人前の仕事などできるわけがなく、先ずは見様見真似で仕事のイロハを身につけ、お客様とのコミュニケーション能力を高めることが求められるのではないか。何かうわべだけを見て生きている、しっかりと自分と向き合っていない、そんな若者が増えてきてはいないか。漠然と私が感じているだけのことかもしれないが、今は方法論とか知識とか答えばかりを先に求めがちだが、結局は自分で経験していくしかなくて、その一歩をしっかりと踏み込んでやるかどうか。それが先の人生の分かれ道になるのではないでしょうか。仕事というのは“好きな仕事に就くのか、就いた仕事を好きになるのか。”この二つに一つしかない。これが私の持論である。

                                 2021,11,15

歯を維持するには‥

 治療対象歯が複数ある場合、患者心理としては一度に沢山治療を進めてもらいたいと思うのかも知れないが、それほど歯の予後を悪くするものはないと伝えたい。歯科治療は全てが外科処置であり、数をこなすような治療の仕方そのものが問題であることも理解して頂く必要があり、医療者側はその説明と質問を受け付ける時間を十分に用意する必要がある。未だに碌な説明もなく治療を行っている歯科医師がいることにも驚かされるが、そのまま治療を受けてしまっている患者さんの姿勢にも考えさせられる。納得のいく説明がなければ、それ以上の治療結果を望めないのは至極当然のことであろう。長期間に及ぶ治療であれば、医療者側と患者さんとの相性も大事な要素である。歯の治療を受けても歯が良くなることは決してない。ならば生涯に亘って歯を抜くことなく、28本の歯を維持するにはどうしたらよいのか、真剣にかかりつけの先生と向き合って話し合ってみませんか?

                                 2021,11,14

21年ぶりの新500円硬貨

 「500円札は見たことあるのかな?」「500円札ですか?エッお札だったんですか‥‥」先日昼休みに交わされた院内での会話である。調べてみると500円硬貨の登場は1982年で、自動販売機が急速に普及し、自動販売機で買える商品の値段も高くなってきたことから硬貨が造られたそうです。私は直には使ったことはありませんが、昭和40年代後半までは100円札も出回っていたそうです。再来年には更なる偽造防止のため、現在のお札も全て新しくなります。表のデザインも渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎に変わり、各分野の於いて国の発展に尽くした方が起用されます。キャッシュレス化が進む社会の中でお札の流通量そのものは減るのかも知れませんが、初任給を現金手渡しで頂き中身を数えて確認していたアナログ時代に郷愁を覚えるのは私だけでしょうか。

                                 2021,11,13

読書力

 「創造性の発現には相当大量の語彙の蓄積が必要だ」とは湯川秀樹博士の言葉である。東北大学加齢医学研究所所長の川島隆太先生の研究では、クリエイティビティ、何か新しいものを創り出す創造性は、脳の語彙を格納する部位と言葉を扱う部位が一番働いているとのことである。しかもそれは、言葉ではなくイメージを膨らませて何かを生み出す時もそうだということで、新しいものを創造する高次な活動も、すべてその人の語彙がもとになっていると川島先生は結論付けている。先生の様々な実験では、文章を読む時の脳の活発度や、読書習慣のある子供の脳の発達はとてもよく、大脳の言語半球の神経線維の発達が非常に良くなっていることも分かっている。現代人の読書量の減少傾向は誰もが認めるところではあろう。何度もブログには載せているが、子供達の読書量が20年後の日本の立ち位置を決めていることに疑いはない。親のあたりまえに読書している姿を子供に見せることが、塾通いよりも学力向上に結び付くと声を大にして言いたい。

                                 2021,11,12

再起動

 国内における新型コロナウィルス感染者数が遂に200人を割った。東京都も29人と,人口比率で比較するとほぼゼロに近い状態である。下げ止まりとの声も一部にはあるが、欧州の爆発的な新規感染者増をみれば、よくぞここまで減らしたものだと褒めてあげたくなる。さらにこの数字が低くなることに期待を寄せながら、国ではGo to Travel、イートも再開の気配である。大丈夫なのだろうか。通院患者さんの話では、AIが12月中旬から日本でも爆発的な感染が始まるとの予測を出しているとのこと。旅行に出掛けるのであればいつがよいのか。感染再拡大で大きく行動が制限されるリスクを考えればしばらくは自重すべきなのか、それとも小康状態の時に感染防止対策を講じて行動しないと経済は回らないと考えるのか。遠方からお越しの患者さん曰く、「新幹線の車内は8割ぐらいは埋まっていましたよ」。ビジネスマンと旅行者は、スリープから再起動し始めたようである。

                                 2021,11,11

人との出逢い

 少年野球から高校まで甲子園を目指して野球をやっていたものにとっては、甲子園出場経験のある方との出会いはそれだけで自慢したくなる。緊急事態宣言も解除され、時短解除となったことから久しぶりにあるご夫婦との会食に出掛けた。サプライズの始まりである。ご主人様には高校時代に野球をされていたと伺っていたので、話の流れで高校野球話になった時のこと。普段から謙虚な方なので自分のことを多くは語らないのだが、ほろ酔いを過ぎたぐらいから熱のこもった野球論にになり、「甲子園には出場しました。あの松井秀喜がいる星稜高校と対戦しました。負けましたが‥‥。松井は夏の甲子園で一本しかホームランを打っていないのですが、その一本はうちの高校から打ったんです。」、「これは自慢できる話じゃないですか!」。不思議なものだ。私は甲子園どころか夏の県予選も早々にコールド負けしたレベルの高校野球選手だったが、その方と語っていると、自分まで甲子園のベンチから松井の打席を見ているような気分になっていた。人との共通の話題、接点があると、他人であっても距離感はぐっと近くなるものだ。人の輪は、そのようにして広がっていくのだろう。普段から良い心掛け、立ち居振る舞いを意識して生活、仕事をしていると、出雲の神様も良い縁を結んでくれるようである。

                                 2021,11,10

人のあり方

 「マナーが悪っていう大人がいるけどマナーって何よね?多様性ってこれだけ言われているのにバカじゃない!」。帰宅電車の中で酔っていると思われる20代ぐらいの女性の会話には唖然とした。多様性の意味すら分かっていないのか!「人多き人の中にも人はなし、人になれ人、人になせ人」(上杉鷹山)。礼儀の第一歩は他人を尊重するということであり、その意識が国民に植え付けられていたからこそ日本の社会生活が円滑にまわり、住みやすい国であったはずである。全体主義から個人主義を主張する傾向が強くなるにつれ、社会生活から礼の徳が失われているように私には映る。社会人になり、場数を踏んで仕事をしていたら人格が出来上がっていくと考えることは大きな間違いであり、仕事を含めた日々の生活における、あらゆる言動、心の在り方、立ち居振る舞いがその人となりを作っていくのではないでしょうか。

                                 2021,11,9

高齢化に伴う免許返納

 年齢だけで人の評価はするべきではないが、一般論として85歳ともなれば体力的にも衰え、反射神経もそれなりに遅くなるものである。高齢化の進展に伴う運転免許証返納では、自主的に行動を執られる方にはその決断を称えたくもなるのだが、日頃から生活を共にする家族の勧めにも拘わらず頑として返納の意思を示さない昭和の人には辟易するひともいるのではないでしょうか。都市部と田舎の生活環境の違いもあり、一括りで話を進めることは出来ないが、自宅の車庫入れの際に車をこするようでは車での外出は避けるべきであり、人命にかかわることを本人には納得して頂かなければいけない。来院患者様と話をしていると、会話の内容そのものが同世代の当方にも当てはまるような気がして、とても他人事とは思えない時間となった。

                                 2021,11,8

試されるBig Boss!

 原油の高騰によってハイオクガソリンの値が急上昇している。今までなら何リッター給油されたか量のメーターを確認していたが、最近は支払額に目が行ってしまう。産油国による生産調整も続いていることから当面は高値の様相である。私が子供の頃には石油ショックといわれた時期があり、世間のスーパーからトイレットペーパーなどが在庫切れになるなどの社会現象が起きた。身近な食品、電気料金などの値上げの加速は遅かれ早かれ家計を圧迫し始める。生活の周りにインフレが押し寄せてくる気配を感じるのだが、政府の公式統計ではまだデフレから脱し切れていないとのことだ。未だに安倍政権時代に交わした2%の物価上昇目標を維持する日銀の方針に違和感を感じるのは、私に経済社会を俯瞰する目がないからなのか。何事も絶対がないだけに、批判を恐れず軌道修正する勇気もリーダーには必要である。それができる人間こそ“Big Boss!”.。

                                 2021,11,7

海の異変

 海底火山噴火にともなう軽石が、沖縄や奄美に漂着したとの報道が連日続いている。目の当たりにしていないと実感として湧いてこないのが正直なところだが、漁船や高速艇のエンジン冷却装置が軽石を吸い込んでオーバーヒートを起こし、航行できなくなっているとのことである。軽石は黒潮に乗って本州沿岸部にも及ぶ可能性が指摘されており、海水を冷却に使用している原子炉の取水施設への影響が懸念される。一方、北海道ではカムチャッカ半島沖からの赤潮によってウニ、秋鮭などの大量死が確認されており、地元漁業に壊滅的な被害が出ている。新型コロナ感染者が減り、経済の回復が待たれるこのタイミングでの予期せぬ足かせが、原油の高騰と共に我々の新たな行動制限につながらなければよいのだが。

                                 2021,11,6

形骸化するパリ協定

 COP26では気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」が掲げる「産業革命前からの気温上昇を1,5度に抑える」という目標実現に向けた「世界リーダーズサミット」が開催された。各国の首脳はご立派な数値目標を示すのだが、インドのモディ首相は、2070年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにすると期限を示した。ちょっと待って欲しい。約50年後にゼロといわれても、そこに辿り着くまでに地球は存在しているのだろうか。せめて20年後までに地球環境を守る対策を練らないと、人間は生存できなくなりますよ。国連のグテーレス事務総長も各国に警告を出している。日本に至っては不名誉な2年連続の化石賞の受賞である。受賞理由は、既存の火力発電の活用に固執しているということである。世界各地の異常気象、未知のウィルス感染などが起きている現状とリンクして真剣に考えれば、呑気に構えている場合ではないことは小学生でも分かっている。目標はもういいでしょ、行動ですよ!

                                 2021,11,5

読書習慣

 終戦まもない1947(昭和22)年、まだ戦火の傷痕が至るところに残っているなかで「読書の力によって、平和な文化国家を作ろう」という決意のもと設定されたという読書週間。日々の生活に追われて心静かに本を読む時間などないという方でも、せめてこの読書週間だけは普段気にかけながらも積読状態の本を手に取ってみては如何でしょうか。小学生であれば読書習慣を今のうちに身につけて、毎日本を読まなければ落ち着かない、というぐらいまでルーティンになればしめたものである。以前も触れたが、イギリスのブレア元首相は「7歳児の読書量が20年後のイギリスの立ち位置を決めている。」と語っていた。学校の図書室、地域の図書館などを大いに活用して、一冊の本との出会いが、人生に決定的な影響を与えるかもしれない。大人であっても書店で偶然手にした本が未知の世界への水先案内人だったりすることはよくあること。プロパーとして専門書に目を通すことも必要だが、その専門を高次元に引き上げるには、普段とは違う角度から俯瞰してみることも時には必要だ。

                                 2021,11,4

高揚感

 プロ野球のナイター観戦のために球場に足を運ぶと、眩しいほどの照明が照らされていて、早く球場内に入って選手たちの姿を見たくてワクワクした高揚感を子供の頃に感じたことをふと思い出した。さすがに大人になってからというもの、自分が何かにチャレンジすることでもなければそのような高揚感を覚えることはないのだが、仕事に於いてこの高揚感を維持できている時というのは思考力も閃きも研ぎ澄まされており、今まで培われてきたものが一気に結集されて目の前の難題を解決できたりすることがある。私の仕事は皆様の口腔内環境を守ることで全身の健康を維持することなのだが、来院中の子供達の口腔内の問題点を放置すると、数十年後には現在来院中の問題を抱えた大人の方のようになることが予想されるケースと結びつけて説明することが出来る。エビデンス(科学的根拠)として証明するに至らなくとも、可能性があるのであれば時間を割いて患者さんに説明する必要はある。現在当医院の初診受付は実質的に承ることが出来ない状態でご迷惑をお掛けしているのだが、それは患者さんの教育、歯科治療に関する理解を深めることに時間を割いているからに他ならない。むし歯一つとっても内容は似てはいても、決して同じではない。仕事への高揚感はスタッフも含めて日々高まっている今日この頃である。

                                 2021,11,3

行楽気分

 秋晴れの登山、トレッキングは解放感と爽快感を伴い最高の気分である。新型コロナウィルスの新規感染者も減り緊急事態宣言も解除されたことで、各地の行楽地は人出が多く見込まれている。以前白峰三山の北岳を登った際には、紅葉の時期でもあったので素晴らしい景色にも巡り合うことができた。ちょうど今頃は外出を控えていたハイカーたちで賑わっていることだろう。登山道ですれ違う人との挨拶、山小屋休憩所での何気ない会話のやり取りが、身体の疲れを癒してくれる。休日における地方の高速道路の割引が再開された。連休があればハンドルを握ってどこかの山に出掛けようとも思うが、帰りの渋滞のことを考えると行くのを躊躇するのは年齢のせいなのか。人流が増えても再び感染拡大にならないことを祈りたい。

                                 2021,11,2

歯の喪失と疾患の関係

 医療界においてもビッグデータを分析し、未来の予測や異変の察知、その他様々な活用のされ方が始まっている。歯科界では、日本歯科総合研究機構が中心となって分析した結果、男女ともに歯数が19歯以下のほうが20歯以上の者と比較して以下医療費が高いことが判明している。その後の歯数と疾患の関連性についてデータを活用した分析の中で、歯数とアルツハイマー型認知症との関連が示され、歯数が少ない人、欠損歯数が多い人ほどアルツハイマー型認知症のリスクが高いことも判明している。上下の歯が咬み合うのは食事で咀嚼するときだけではなく、1日約2,000回唾を飲み込む際にもコンタクトする。その際の顎骨への刺激が脳細胞及び神経伝達機構にも作用することからも、歯の喪失は避けなければならない。8020は80歳で20本の歯を維持するというスローガンだが、8028がベストであることはいうまでもない。

                                 2021,11,1

不正咬合と脊柱管狭窄症

 歯科医院を開業して20年近くが経過するが、私の中の臨床テーマである“咬み合わせと体幹”の関係がここ数年の来院患者さんを診察していると非常に深く関係していることを痛感させられることが多い。エビデンスとして示すには至っていないが、当医院の50代~60代の患者さんの複数の方で脊椎管狭窄症や頸椎、腰椎の痛みを訴えられる方のなかに、臨床的に咬み合わせに問題のない方がいないのである。問題がないというよりも、大いに問題を抱えている方が辛い症状を訴えるようになり、場合によっては手術を受けるまでになっている。先日お越し頂いた60代のご婦人も手術を受け、痛みは消失して以前のように歩けるようにはなっているのだが、整形外科的な問題はそれで解決なのかもしれない。現在不正咬合を抱えながら普段なんの問題もなく日常生活をされている方を今後10~20年に亘って全身状態を追うことができれば、不正咬合と脊椎、頸椎、腰椎などの変形、器質変化などの関係性をより確実性のあるデータとして提示することができるのではないかと一臨床医として思うのだが、それが出来ないのが臨床の難しさでもある。

                                 2021,10,31

3人の石工

 職場の大小にかかわらず、働く人の目的意識によってその人の働き方は大きく異なる。「3人の石工」という話をご存知であろうか。20年来お世話になっている方から聞いた話ではあるが、3人の石工(石切り職人)が同じ仕事をしているところに通りかかった旅人が「何をしているのか?」と尋ねると、Aの石工は「命じられるままに切れない石を朝から切っているだけさ」、Bの石工は「家族を養うために面白くないがこの切れない石を切っている」、Cの石工は「大聖堂を建てる夢のある仕事をしている。楽しいし誇らしい」と三者三葉の答えが返ってきたというものです。経営者であればどの石工を重用したくなるのか。働く側としても、Aの言われるがままの仕事をするLabor、Bの本来の目的とは異なるが自分なりの明確な目的をもって働くWorker、Cのミッションを果たすことに関われる誇りと喜びをもって働くPlarerといった違いがあり、その仕事の出来映えはおのずと違ってくるというものだ。能力の差は5倍、意識の差は100倍とある経営者が語っていたが、仕事の目的と労働の関係を実に分かりやすく伝えてくれるいいたとえ話である。

                                 2021,10,30

歯医者難民

 「今まで何件の歯科医院で治療を受けてきたか覚えていません。何処で治療してもまた他の歯が悪くなりましたし、同じところの歯が欠けたり、被せ物が取れたりするので、もう治療に行くのが嫌になって悪いまま放置していました。」とは初診でお越しになられた患者さんの言葉である。何度治療を繰り返しても、治療を受ける前よりも改善した実感がなければ、私でもその医療機関には通わなくなるでしょう。通常の診査を行い、口腔内写真も30枚近く撮影し、診療台からコンサルテーションの部屋に移動して頂き、状況説明及びそこまで口腔内が悪くなった原因と考えられる事柄について説明をさせて頂いた。患者さんご自身が抱いている長年の歯科治療に対する疑問、そして治療履歴を振り返って頂き、私の説明と符合する点が多ければ患者さんは納得するであろうし、こちらの医院で治療を検討するという階段を上ることになる。私が申し上げたいことは、患者さんがご自身で口腔内の状況を考えることが出来る環境を医院側がしっかりと整えておかなければ、患者は白衣を着た人の言うことを鵜吞みにするだけであり、その結果治療を受けてみたら「こんなはずではなかった!」の繰り返しとなり、他の医院を探すことになっている。悪くなる原因があるから結果があるのであり、原因を無くさなければ延々と不必要な治療を繰り返すこととなる。歯医者難民とはこのような患者さんたちのことを言うのであろう。

                                 2021,10,29

己の欲せざるところ・・・

 世界的の新型コロナ感染者数が2ヶ月ぶりに増加に転じたとのこと。日本における新規感染数が300人を割りそうなところまで減ってきている現状とは異なる。この差は何がそうさせているのか。ロシアでは、あるがままを受け入れるという国民性も影響してか毎日約45,000人の感染者が増え続けているが、日本と違いマスクを装着していない。日本人の感覚ではたとえコロナが終息したとしても、人込みではマスクを装着する習慣が暫くは続くのではないかとさえ思う。規律を守る、礼儀作法を大事にするといった文化がここにきて効果を発揮しているのかもしれない。“己の欲せざるところ人に施すことなかれ”。常に相手のことを思って行動することは何においても基本である。

                                 2021,10,28

人格

 人間が生まれながらにして持っている性格と、その後の歩んだ人生の中で身につけた哲学とが相まって人格というものは成り立っていると、稲盛和夫さんの書かれた本から学んだ。つまり、性格という先天性のものに哲学という後天的なものが付属されることによって私達の人格は陶冶されていくということだ。選挙戦真っ只中であるが、当選した途端に謙虚さが消え傲岸不遜に振る舞う政治家は、後天的な学びにかけた人なのであろう。踏ん反り返って人の話を起用ような態度をとる人間は、政治家以前の問題である。たとえ当選したとしても、政治家としての権限を得ただけであり、権威までいただいているわけではない。権威は自分で創り出すものであり、周りの人が支持してくれるかどうかは、その方の言葉遣い、行動、日頃の姿勢如何によることであることをお忘れなく。

                                 2021,10,27

令和維新

 中国、北朝鮮、ロシアが日本に攻め込まない保証などどこにも無いにも拘らず、国民及び政治家は暢気なものだ。今週末の衆議院選挙の有権者の関心事は一番が新型コロナ対策とある報道機関のアンケート調査結果が報じられた。列強諸国から日本を守るためには新しい体制を整えなければ太刀打ちできないと考えた明治維新の志士たち。遥か昔の話ではない、150余年余り前のことであり、今はそれに匹敵するような時代の変化の波にあるのではないか。足元ばかりを見ていては、国の舵取りは出来まい。国会議員、県議会議員、町会議員などすべき役割は異なる。国政を任せられる議員の資質を有権者は真贋で選ぶことが出来るかどうか、国の命運がかかった選挙戦である。

                                 2021,10,26

社会の活気

 旬の食材を大事にしつつ、美味しさを追求していく料理人の姿にはプロフェッショナルを感じる。評判のいい店に足を運んでみると、料理長の包丁さばきに魅せられ、こだわりのある器に盛られた品々を口にした瞬間、“なるほど”と唸るような食感、味わいが未知の世界へと導いてくれる。極上のひと時である。時短が解除され、好みの酒が更に食欲を増進させることは間違いあるまい。コロナ禍において飲食店だけが苦境に立たされているわけではないが、閑古鳥の店前を通るよりは賑やかなほうが街に活気が戻るというものだ。新規感染者の激減に半信半疑になりながらも、経済社会の歯車がゆっくりと安全に動き出したようだ。

                                 2021,10,25

衆議院選挙

 衆議院選挙の投票をするにあたり、候補者の何をもって国民は最終選択をするのか。国会議員の資質としてしっかりとした国家観があり、国防についての見識があることは言うまでもないが、最近の前国会議員や新たな候補者の訴えは、どうも国民受けするような言葉の羅列が多く、流暢だが実質的な意味を欠いた雄弁にしか過ぎない方が目に付く。さらに酷いのは思慮深さに欠けて感情だけで聴衆に訴えるようなパフォーマンスを繰り返しているように見える輩だ。有権者は候補者の人生哲学、今まで歩んできた経歴、実績、そして発言などを総括して貴重な一票を投じるべきだが、現状の選挙制度では候補者の人柄まで知ることは難しい。せめて投票日までの今後数日間だけは、政治に関心を寄せる日々にしてはどうでしょうか。

                                 2021,10,24

日本人の宗教観

 勤務医時代の患者さんで“日本人は無宗教であることが宗教である”と語っていた方がいらしたが、日本人にとって宗教とはどのような存在であるのか。例年ハロウィン、バレンタインデーと商業合戦がその時期になると繰り広げられるが、その盛り上がりには以前から違和感を感じている。あくまで商魂たくましい企業の戦略であることは承知の上ではあるが、あまりにも節操がない。明治維新から150年余り、戦後76年経過した過程に於いて、日本は新道、儒教、仏教という伝統的な宗教をかなぐり捨てて多くの人が無宗教となった。信仰するものがないことと道徳の乱れ、民度の低下は無関係ではないのではないか。結婚式は教会で挙げ、葬式は寺で行い、初詣は神社に行く光景は私には奇妙に映る。そんなことどうでもいいでしょ、と多くの方は思うのかも知れないが‥‥。

                                 2021,10,23

初対面の人との信頼関係

 初対面の人と話をするときは、相手の情報が全くないので適度に緊張するするものだが、会話を進めていく中でお互いの共通項が見つかると、急に距離感が狭まる経験は皆様にもあるのではないでしょうか。例えば、同郷であったり、出身校が一緒、好きな作家が同じというだけでも信頼関係を築く一歩になりやすい。逆に、職業を真っ先に尋ねたり、学歴、結婚の有無などを訊いた時には、相手を知ろうとしているのではなく、どこかで品定めしようとしているようで、間違いなく相手は反射的に身構え、表面的な話しかしないものだ。実際私が開業した時に、「先生はどこの大学出身なの?」と尋ねてきた飛び込みの患者がいたものだ。変わった失礼な患者だったことを記憶している。マニュアル社会において、まさか人との話し方まで教えてもらわなければ会話ができないなんてことはないと思うが、基本は常に礼儀正しく、相手に熱心に耳を傾けることで信頼関係は出来上がっているものである。

                                 2021,10,22

教育を国の最重要課題に!

 1200兆円を超える借金を抱えているにも拘らず、与野党議員は誰一人として返済の仕方を有権者に向けて説明をしていない。格差の拡大では富裕層を悪者のようなレッテルを張り、低所得者層を優遇することが法の下に平等であるかのような訴えは国民を馬鹿にしている。なかには親の収入次第で子供の教育に格差が生じるとまで言い切る前国会議員までいる有様だ。子供の教育とはお金をかけることなのか。二宮尊徳、田中角栄、松下幸之助など、一冊読めば人物を知る、人物から学ぶことは幾らでも可能である。どのような環境下であっても子供にとってはそれが学ぶ環境であり、たとえ母子家庭で育ったとしても公立高校、国立大学と進学し、銀行の常務執行役員として活躍されている私の幼馴染もいる。逆に周囲からは羨むような家庭で育ったにも拘わらず、世間に顔を出せないような大人になった人間も世の中にはいる。前国会議員の皆さん、相手の批判はやめて、実現可能な政策だけを訴えて頂けませんか。批判合戦は子供の教育上悪影響を及ぼしていることにお気付きですか。

                                 2021,10,21

国家的長期ビジョン

 以前、株の時間外取引をして世間を騒がせた実業家がいたが、当の本人は法には触れていないのだから何か問題があるのでしょうかとマスコミの前で会見を開いていたことを記憶している。法に触れなければ何をしても許されるのかと私は憤ったものだが、こういう輩を常識も良識もないと言うであり、正しい倫理的価値を持ち合わせていない典型的な経営者ではなかろうか。なぜこのような人種が増えてきているのか。昨日のブログにもアップさせて頂いたが、その人の幼少からの家庭での躾に始まり、小学校、中学校へと至る教育および様々な読書、そういうことの中で正しい倫理的価値観を醸成していく環境が無かったのではないか。徳育が全くといっていいほどされていない戦後の知識偏重教育で育った人間のなるべき姿なのか。教育は一朝一夕で結果が出るものではないがゆえに、国家的長期ビジョンをもって国の再興をはかるべきである。

                                 2021,10,20

躾の意味するところは・・・

 日本ではいつ頃から他人の子供を叱るとその親が起こるようになってきたのか。私が幼少の頃には、その子のことを思えばこそ注意をし、子供を社会全体でしつけ、育てていくというような風潮があったように思う。それが今では学校で先生が生徒を注意指導するだけで親が怒鳴り込んでくるような、躾けられないまま育った人が親になっているようなありさまである。先生が科目を教えるだけの存在でよいのであれば、生徒からの尊敬の的にはなるまい。今一度、しつけ(躾)について意味を考えてみては如何か。読んで字の如く、身体を美しく魅せることである。但し、それは外見的なことではなく、心とその心が表れた立ち居振る舞いを美しくすることを意味するのである。現代の家庭教育において不足しているのはこの躾の意味であり、塾や予備校でも教えてはくれない。

                                 2021,10,19

党首討論の内容は・・・

 与野党の党首討論が行われたが、現金給付を含む分配政策に多く議論が割かれ、国の短期、中期、そして長期ビジョンを明確に語る者はいなかった。以前からブログでは、国のあらゆる問題の根幹は教育であると申し上げているが、その教育についての課題は山積しているにも拘らず、どの党も教育を主要政策に盛り込んでいないことに大いに不満を感じる。国を構成しているのは国民一人ひとりであり、子供から大人まで国のこと、公のため、人のために正しい行動がとれる人間にならなければ社会は荒廃する。常軌を逸するような事件、社会ルールを守らないことから生じる事故、スマホ片手に周りの迷惑を顧みない態度、指導的立場にある者の品格のない発言、行動、更には本来子供の手本となるべき親の目を覆いたくなるような子育ての姿などは、愛情のある教えを受けてこなかった付けではないだろうか。もっとも、党首討論をされている方の中にも、品格のかけらもないようなお方がいるように私には見えるのだが、皆さんにはどのように映ったのでしょうか。まさか、いろいろな人がいて、これも多様性だなんて言わないですよね。

                                 2021,10,18

孤独と聴く力

 話を聞いてもらえないと、人は孤独になる。世の中には毎日多くの人に囲まれながら生活をしているにも拘らず、なぜか全く繋がりを感じられないという人が増えているそうだ。夫婦でも毎日顔を合わせているものの、会話をしても全く心に響くような会話ではなく、冷めているということらしい。当医院に定期メンテナンスでお越しになられる患者様の中にも、毎回のように配偶者の愚痴をこぼす方がいるのもそのようなことの現われか。日々の臨床では、治療内容の難しさ云々はあるとしても、患者さんの言うことを聴くということが、日本の歯科医療では疎かにされている部分であると、新規の患者さんがお越しになるたびに思うことである。この耳を傾けるという行為は話をすることよりもずっと大事なことであり、相手が患者、知人、スタッフ、配偶者、子供と誰であっても真剣にすべきであり、眉間に皺を寄せて聴いたようなふりをしているのは以ての外である。

                                 2021,10,17

断捨離

 パソコンのデスクトップのアイコン表示が多過ぎると、いざ使う時になるとそれを探すところから時間が掛かることがある。それ自体は大した時間を要することではないが、パソコン上の整理も出来ていないことに自分が嫌になることがある。以前、甲子園球児が「部屋の乱れは心の乱れ」と部屋の整理整頓が物事に集中する基本であると監督から教えられたと述べられていたことがあるが、私の机回りは一年を通して整理されていた試しがない。これほど普段の仕事の作業効率を悪くしているものはないと思いながら、日々の忙しさにかまけている。なぜ「断捨離」が出来ないのだろうか。パソコンの中のファイルも減らしてきちんと整理できていれば、それだけで仕事も早くなりそうなものだ。患者さんの説明用フォルダ内のファイルも沢山あり過ぎて、肝心な時に直ぐに表示できないことも多々ある。仕事の出来る人、仕事が早い人というのは、自分のオフィスもパソコン内も、そして脳内もスッキリしているのだろうと想像しながら診療後は整理して帰りたい。

                                 2021,10,16

大学受験

 大学受験を控えている高校生が診療中に弱音を吐いた。「全然模擬試験で点数が取れないんです。もう3ヶ月しかないのにまずいです。予備校にも通っているのに‥‥。」私の十数年前を見ているようだ。大学センター試験は特別難しい問題を設定しているわけではない。なすべき課題、勉強が出来ていないがゆえに問題が難しく見えるだけの話だ。自分の弱点を一番わかっているのは本人であるから、基礎に戻って足元を固める勉強をすることが大事である。しかし、簡単に思える基礎勉強に戻る勇気はなかなか湧いてこないものだ。受験生に伝えたいことは「なぞる」ということ。あれこれ手を出すのではなく、限られたテキストなり問題集を繰り返し徹底してなぞることをしなさいと。少なくとも大学受験の技術は真似て盗むのが一番の近道である。社会に出てから学ぶ、考えるという姿勢とは受験勉強は異なる。「しっている」と「できる」のあいだを埋めるものは反復練習であることを早く気付いてもらいたい。頑張れ受験生!

                                 2021,10,15

顎顔面骨格の成長発育

 子供達の2年間トレーニングプログラムが続々と終わろうとしている。思い通りの結果が口腔内に現れた子もいれば、7合目付近までしか到達できていない子供もいて、家庭におけるトレーニングへのアプローチの難しさ、子供本人のやる気度、そして子供達がトレーニングを継続する意味を把握する温度差のようなものを感じる。強制すれば課題をこなすのかも知れないが、それでは自主性が育たない。10歳未満の子供であれば親の言うことを聞く割合は多いと見受けられ、スタート時に2~3年生の場合は最初の状態にも拠るが、比較的順調に骨格が正しい成長方向に誘導されている。私は歯科医なので歯並び、咬み合わせを全身のバランスの中で診るようにしているが、あくまで顎顔面骨格の正しい成長のお手伝いをしているだけである。結局は親子の普段の生活習慣が子供の成長方向を決めていることになる。

                                 2021,10,14

患者さんの紹介

 「脊柱管狭窄症で手術を受けるので、この先2回の予約をキャンセルさせてください。その先はそのままでお願い致します。」と受付での患者さんの声。詳しく話を聞くと、左足が数か月前から痺れていたがその痺れが酷くなり、今は歩くと痛くて会談の昇り降りが辛いとのこと。都内の病院で診察を受け、診断結果としては内視鏡手術で回復するとのこと。数日後手術を終えて当医院の治療にお越しになられたが、表情も柔らかくなり、足の運びもスムーズになっていた。患者さんが言うには手術時間も特別長いわけでもなく、全く後遺症もないので、「どなたか同じようなお悩みを抱えている方が先生の患者さんでいらしたら紹介してあげて。」とのこと。早速明日、当医院の患者さんがそちらの病院を受診されることになっている。このようにして信頼は高まり、クチコミが拡がっていくようだ。

                                 2021,10,13

躾け

 子供は親の“言うとおり”にはしないが、“するとおり”にする。誰が言った言葉かは知らないが言い得て妙である。子供の躾けは七つ、八つ、九つと、“つ”が付くうちは親の言うことを聞くが、10歳を過ぎると自我が芽生えて言うことを聞かなくなると、私も子育ての最中に学んだ。子供というのは親の言葉遣い、振る舞いやあり方をよく見ているものだ。職場においても部下やスタッフの育成も同じではなかろうか。あれこれ言うよりも尊敬できる上司、親になるようにする。要は自分自身のありようが問われているのである。私も経営者であり親でもある。人間を高めることを忘れてはならない。

                                 2021,10,12

安寧秩序

 知力と信用で繁栄の礎を築いた日本。その日本の国際的地位が低下の一途を辿っている。様々な原因はあるが、約50~100年前と比較すると国民の民度、資質の低下は否定できまい。若年層の学力においても国際学力調査では上昇の気配はない。何も学力だけ低いのが問題ということではない。社会生活の中では眉を顰めるような場面に遭遇することも多々あり、人として何が大切なのかを教育されていない輩が増えてきていると感じる。要は学力と道徳力の両面において空気圧が抜けてきており、タイヤの空気圧を戻すようなことがされない限り、日本が再興することはないのではないかと危惧する。ではどこから手を付ければよいのか。難しいことではない。各家庭における躾そのものであり、大人も含めて何が正しく、何が大切かを学び、子供に教えていくことである。この家庭における躾力の低下が社会の荒廃を招き、延いては日本の地盤沈下を引き起こしている。先ずは家庭に於いてきちんとした生活習慣を守り、子供達に自律心を養わせてこそ、辛抱強くもなり、耐えることを身につけるものだ。それらを備えた子供達が社会人になれば、決め事など作らなくてもルールを守り、自分さえよければという身勝手な生き方もしなくなり、社会は安寧秩序となる。

                                 2021,10,11

呼び戻せ、防災意識!

 「7年間保存可能なビスケット」とは防災用に保管されていたものだろう。期限が迫っているということで子供が学校から持ち帰ってきた。先日も東日本大震災を思い起こさせるような大きな揺れの地震が関東地方を襲った。岸田総理の所信表明には「東日本大震災からの復興なくして日本の再生なし」との文言もあったが、復興五輪もコロナ禍ということもあり実感としては全くかけ離れていた。“天災は忘れた頃にやってくる”。家が軋むほどのあの大きな揺れは、薄れつつある私の防災意識を呼び起こし、改めて避難の仕方、非常食などの備蓄を考えるきっかけとなった。必ず来るといわれている大地震に対して、これで大丈夫ということはない。日頃から家族ともしものことについて話す機会を持ちたいものだ。

                                 2021,10,10

24時間戦えますか

 「24時間戦えますか」というCMを皆さんはご記憶でしょうか。ある栄養ドリンクメーカーのCMに有名な俳優さんが起用され、飲んだ直後に身体がシャキッとする宣伝をしていた。まあ、飲んだだけで実際に体力が回復するわけではなかろうが、気分的に多少前向きになれる人もいるのかも知れない。ここ数日の気温の変化で体調を崩し、予約をキャンセルする患者さんも数名おられるが、日頃の寝不足は健康を維持するうえでは避けなければならない。長年の睡眠負債は自律神経のバランスを崩したり、仕事においても効率を下げ、死亡リスクを上げることも分かっている。病院に足を運べばよくなるというものではない。特に中高年の方には、栄養ドリンクや処方薬を服用するよりも、睡眠時間をしっかりと確保して免疫力を高める意識を高めて欲しい。

                                 2021,10,9

日本人の英知

 環境を配慮した製品開発が各方面で進んでいるが、エネルギー分野における脱炭素化へ向けた業界の取り組みは、知恵を生かした発想力の豊かさに驚かされる。日経新聞には、太陽光パネルを路面に敷設し道路で発電出来れば将来は電気自動車や街灯などの電力を賄うことが出来るという計画が紹介されている。コストや耐久性などの課題も含めて計画実現のために乗り越えるべき障壁はかなり高いものがあるが、現在当たり前に使われているスマートフォンなども半世紀前にはテレビ番組のサンダーバードで似たような使われ方をされていたものが実現されている。夢の実現に向けて先ずは発想力を働かせ、目的に向けた環境整備を行い、他業種とのコラボによって更なる高嶺を目指して行動する、それが実現できるような法整備を国には柔軟に対応して頂きたい。日本人の英知をもってすれば、世界が驚くような新世界を創り出すことは可能であると信じる。

                                 2021,10,8

感染対策と行楽シーズン

 栗、梨、柿などがスーパーに並び始め、季節はすっかり秋である。緊急事態宣言も解除され、今秋の行楽シーズンには果物狩り、キノコ採りなどは以前のように活気がもどるだろうか。新型コロナウィルス感染者は前の週よりも減り続けており、このままウィルスは自然消滅するのかと期待さえしてしまう向きも一部にはあるが、今までとは違う変異株が出現すれば、これまで以上に我々は危険に晒されることになると警戒を緩めないよう注意喚起をする研究者は多い。あまりニュースでは取り上げられていないが、空港や港の検疫では毎日感染者は見つかっている。窓外の虫の声でも聞きながら本を開いてみるのもいいが、感染対策を万全にしながら久しぶりに行楽シーズンを楽しむことは、免疫力を高めるうえでは必要なことでもあろう。

                                 2021,10,7

セカンドオピニオン

 日頃からお世話になっている方から、その方の知人の歯の治療のことで相談を受けた。6歳臼歯を抜かざるを得ない状況になり、かかりつけ医からは抜歯後はインプラント治療かブリッジ補綴治療を検討しましょうと言われたものの、どちらにしたらよいのか決断できないとのことである。私のところにはセカンドオピニオンで受診したいとのことである。世間ではよくあるケースですが、まず考えるべきことは、抜歯するようになった根本原因は何であるかである。おそらくむし歯の治療を何度となく繰り返し、神経を抜く治療も受け、被せ物をしたにも拘わらず、歯根破折などを起こしたのではないかと推察した。歯の治療を受けても歯はよくならないということである。では根本原因は‥‥。その方がお越しになられたら精査させて頂くが、咬み合わせの因子が多くの割合で含んでいると推察する。年齢を考えた治療計画も必要であり、欠損箇所はインプラントか補綴治療という方程式では患者さんの同意は得られまい。抜いたままにしておいたらなぜ良くないのか。素人の方には懇切丁寧に説明を行ったうえで、その後のことは時間をかけて決めて頂ければ良いと常に考えている。

                                 2021,10,6

真鍋淑郎さんの言葉

 「日本では、いつもお互いのことを心配しています。とても調和のとれた関係性で、うまく付き合うことが最も重要なことの一つです。他人に迷惑をかけるようなことはしません。日本人がイエスと言っても、それは必ずしもイエスを意味しません。ノーを意味することもあります。私は調和の中で暮らすことができないものですから、それが私が日本に帰らない理由です。」ノーベル物理学賞を受賞された真鍋淑郎さんの言葉には、目立つことを嫌い、自分よりも周りに配慮する日本人がもっている特性が表現されている。90歳とは思えないほど若々しく力強くお話できるのも、常に好奇心を抱き、目の前の課題、研究に取り組んできた長年の生活習慣がそうさせていると信じて疑わない。研究を志す若者に向けて「今はコンピューターに使われている人が多い。若い人に言いたいことは、コンピューターに振り回されるな、と。ポピュラーな研究に走らずに、自分の好奇心ですね。」若者だけではなく、全世代の人々を勇気づける言葉である。

                                 2021,10,5

政治家の資質

 第百代首相に岸田さんが就いたが、初代首相の伊藤博文であったら今の日本の政治状況をどのように変えていくだろうか。「人の話をよく聞く政治」を強調するということは、今までの政治が民意を反映していなかったと捉えることができるのではないか。批判めいたことは良しとしないが、野党の皆さんの批判には飽き飽きしている方も多いのではないか。「表紙を変えただけでは中身は変わらない」と言っているが、野党は表紙すら変わっていない。ある党の委員長は20年居座っている。国民受けするような会見も、根拠のない出来そうもない政策提言も要らない。地に足を付けた地道な政治活動が10年先、20年先に花が咲く、そんな政治を国民に示してほしい。

                                 2021,10,4

岸田内閣

 岸田内閣の顔ぶれが決まりそうである。報道各社の論評はさておき、政治家としての使命を全うして頂きたいと願うが、昨今の政治家の中には政治屋と思しき輩もいる。次期衆議院選挙では立候補者の発言、経歴だけではなく、実績を評価したうえで国民には選択して頂きたい。大臣ともなれば、今までとは責任の重さも当然違う。しかし、大臣という肩書が付いたことで勘違いされてしまう方も過去にはいたような記憶がある。世間で言えば、店長でも社長でも何かポジションを与えられた時には、権限を得ただけで、権威までいただいているわけではない。権威は自分で創り出すものであり、周りの人が付いてきてくれるかどうかは、その人の言葉遣い、行動、姿勢の如何によるのである。一点の曇りもない、正々堂々とした国政を任せられる政治家であって欲しい。

                                 2021,10,3

望まない延長戦

 旬の味のサンマが店頭に並び始めた。ここ数年の不漁から、今年はようやく回復の兆しが見えてきたらしい。コロナの緊急事態宣言が解除され、飲食店でもやっと美味しいお酒と秋刀魚にありつけるのかと思うと店にも立ち寄りたくなる。ワクチン接種の効果なのか新規感染者数は激減し、コロナ前の日常が戻るかのような期待感すら出始めている。専門家によっては例年のインフルエンザ同等のレベルで推移すると楽観的な見通しをされている方もおられるが、引き続き手洗いマスク着用などの基本的な対策は個人レベルで継続は必要であろう。医療機関の厳しさは依然として残っており、COVID-19に打ち克つには一筋縄ではいかないことは証明済みだ。野球の延長戦ならワクワクドキドキするが、新型コロナでのこれ以上の長期戦は御免被りたい。

                                 2021,10,2

慢性感染

 「以前から右上の奥歯に何となく違和感があったのですが、数日前から激しい痛みを伴うようになってきました。」とは定期的なメンテナンスに通われている患者さんの言葉である。通常のレントゲン診査では病巣らしき影は認められず、念のため歯科用CT撮影を行ったところ、はっきりとした根尖病巣を確認することが出来た。但し、患者さんの訴える歯とは異なる箇所の病巣であり、診査診断には慎重を期した。結果的には無症状の歯に痛みが伝播したことが判明し、診断通りに病巣を確認できた歯の治療を行うことになった。数日後、2回目の感染根管治療でお越し頂いた際に、「先生、長年偏頭痛があったのですが、前回歯の治療をしてからその頭痛が嘘のように無くなりました。頭痛薬を全く服用していません。」と嬉しいお言葉を頂いた。慢性感染が常に抗原として免疫系を刺激し続ける要因となり、その結果として慢性免疫病の元凶となっている典型的な例である。不幸にして過去の歯科治療に於いて歯の歯髄組織(歯の血管と神経の組織)を抜く治療を受けたにもかかわらず、根管内の無菌化が行われなかった結果、根尖部に慢性炎症を引き起こしてしまうことが原因である。扁桃炎や口腔内の細菌感染、感染根管が引き起こす慢性根尖性歯周組織炎は頭痛のみならず、腎炎リウマチ、心臓弁膜症などを引き起こす可能性があるという病巣感染の概念は、20世紀気初頭にアメリカのビリングスという医師が唱えた理論として知られている。原因不明の偏頭痛に悩まされている方で、過去に歯の神経を取っている歯がある方は、きちんとした歯科の診査を受けられることも検討して頂きたい。

                                 2021,10,1

金髪と高校生

 金髪の高校生が目の前にいたら皆さんなら何を感じ、どう思いますか。なぜ髪の毛をそんな色に染める必要があるのか聞いてみたいものだ。染める理由は?目立ちたい?他人と違うことがしたい?ある高校では体育祭期間中のみ金髪にすることを許可しているとのことだが、教育、躾の観点からしたら如何なものかと私は思う。勿論、全校生徒が金髪にするわけではないようだから、私からすれば良識のある生徒もいて安堵する。良識ってなに、と金髪にしたがる若者に食って掛かられそうだが、相手に対して不快を与えないようにするのが礼儀作法であり、自分だけ良ければなんてことであれば大間違いである。世間の人に眉を顰めさせたり、子供たちが面白がって高校生になったら同じように染めたがるかもしれない。それは社会の空気を乱すことにもなり、結果的には自分一人だけの問題ではなくなる。金髪=社会悪などと言っているのではない。なぜ高校生たちがそんなことをする必要があるのかと、その理由を知りたい。理由はなく、単に勢いだけなのか。

                                 2021,9,30

時間は有限

 大人の方であれば、小学校の6年間はなぜあれほど長かったのだろうか、夏休みはなぜ長く感じられたのだろうか、と心で思ったことがあるのではないでしょうか。小学1年生の夏休みは振り返ってきても特別に長く感じた。“少年老い易く学成り難し。一寸の光陰軽んずべからず。”とは父に中高生の頃に言われた記憶がある。8~12,13歳頃までを運動神経の発達する時期をゴールデンエイジというが、スポーツに於いてこの時期に基本的な技術を身につけることは、その後の成長にとって大きく左右すると言われている。何もスポーツだけではない。この時期に身につけた学力、生活習慣は自己を作り上げる土台となり、人間形成の柱となる。勉強とは机に向かうだけのことではない。子供達には好奇心旺盛に、どんなことにも積極的に取り組む姿勢を培って欲しい。大人になれば、時間は無限ではなく限りがあることに気付く時が来る。“未だ覚めず池塘春草の夢。階前の梧葉すでに秋声。”時間を無駄にしてはいけない。

                                 2021,9,29

国を守るのは道徳

 事件、事故などにおける犯人の特定にはAIなどデジタル技術の汎用化はもはや世界の潮流のようだが、なんだか穏やかならぬ時代が到来したものだ。中国では街の至る所に監視カメラが設置され、犯罪摘発や抑止効果があるとのことだが、ちょっと待って考えて欲しい。犯罪を犯す人間は生まれながらにして悪人なのではない。犯罪人を捕まえることだけを行っていても、犯罪に走る人間の弱い心を修養することをしなければ、どこの国も根源からは良くならない。道徳心の高さが世界に自慢の出来る日本人だったはずである。せめて日本においては、今の子供達が大人になった時に、社会全体が監視カメラではなく人の心によって守られている理想的な国家になるよう、家庭を含めた教育の在り方を真剣に考えるべきではなかろうか。総裁選を控えた4候補からはそのような発言が全くないことに、この国の教育への関心の低さを垣間見る思いだ。

                                 2021,9,28

医療不信

 「先生、上の前歯の裏側に穴があるようなんですが、むし歯ですか?」とは通院中の患者さんの声である。実態顕微鏡をのぞきながら怪しい箇所を確認すると、歯の根元にひび割れの線と楔状の 硬組織欠損(外傷によって歯が抉れた状態のこと)が認められた。処置としては患歯の表層を削合して樹脂を充填することになるので説明をさせて頂いたのだが、「先生、歯を削りたがる先生と、そうでない先生がいますけど‥‥。なんで先生によって診断や処置が異なるのですか?」と追加の質問を受けた。患者さんの素朴な疑問である。この方は以前、どちらかの歯科医院にて小臼歯4本を抜歯されてから歯列矯正治療を受けられているのだが、様々な点に於いて今まで受けてきた歯科治療に疑問と不信感を募らせてきた方のようである。こちらとしては素人である患者さんが理解できるように懇切丁寧に説明し、患者さんご自身が考えて納得できるステージまで誘導しなければならない。予定していた治療を進めることよりも極めて重要な時間であり、日本の歯科医療に求められているシーンではないだろうか。患者さん本人が納得する前に治療を始めれば、結果がどうであろうと医療不信は間違いなく生じる。今日は質疑応答に終始して1時間の診療時間は終了したが、果たして患者さんは心底納得できたのだろうか。

                                2021,9,27

口呼吸の増加

 子供の口呼吸が増えているのは当医院だけの傾向ではない。電車内でスマホを操作している子供達を観察していると、下を向きながらほぼ全員の口唇が開いている。明らかな口呼吸である。口呼吸になる原因の一つは咬む力の低下であり、咀嚼筋の咬筋が弱ければ口を閉じにくくなり、そのまま成長が進めば下顎は前下方に成長するか、下顎は後方に下がった状態で顎顔面骨格が出来上がってしまう。身体には適応能力がありそれなりに成長発育はするであろうが、適応の裏には代償という形で成長のどこかのステージで、あるいは成人になってから身体の不定愁訴として症状が発現してくることが予想され、現に当医院に通院中の成人の方の中には、口呼吸、習慣性口唇閉鎖不全、異常嚥下による歯列不正および不正咬合を発症し、睡眠時無呼吸症候群の方が複数おられる。症状が出てから医療機関に掛るのではなく、悪くなる原因の芽を摘む医療に変えていかなくてはならない。

                                  2021,9,26

受験生

 受験生にとってはここから数ヶ月が勝負の期間であり、集中力、メンタルの強さが試される時期でもあろう。得意科目を勉強する時には時間が経つのも忘れてしまうものだが、いざ不得意科目で机に向かう時は、気の乗りもいまひとつで、この科目が出来るようになればなぁなんてことを思いながら勉強した頃の記憶がが、通院中の受験生と会話をしていたら蘇ってきた。受験勉強は学問とは言えないが、苦手を乗り越えていくことにチャレンジする面白さを見い出せば、勉強しなくてはという苦は自然と消滅する。学生には得意科目をのばすだけではく、苦手科目を克服する体験が、自己を高めることに繋がっていることを知って欲しい。

                                  2021,9,25

武蔵の言葉

 “千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を練とす。能々吟味有るべきもの也。” 宮本武蔵のこの言葉は、百回の練習では起こらない質的な変化が千回の練習によっては起こるのであるということを言っている。当方は高校時代まで野球を行ってきたが、試合でコールド負けした時などはそのまま高校に戻って1000回素振りをさせられたことがある。敢えて、“させたれた”という表現を使ったが、当時は1000回振る意味が全く分からなかった。早く練習を切り上げたいと思っていたぐらいだから、野球が上手くなりたいというのは仮の姿だったのかも知れない。しかし、翌日の練習試合で信じられないことが起きたのである。2打席連続ホームランである。手は素振りで剥けた皮が多数あり、バットもしっかりと握ることもできない状態であったが、そのことで無駄な力が抜けてバットがボールに対して最短距離で出たと理解してる。武蔵の言葉を借りれば“量質転化”が起きた瞬間だったのかも知れない(本来の意味するところとは若干違うが)。今の時代、根性論は通らないかも知れないが、質的変化が起こる前に運動、勉強において反復練習を途絶えさせてしまいがちな傾向にありはしないか。根性ではなくても鍛錬はどの時代にも人には必要である。

                                  2021,9,24

急がば回れ

 ランニングに加え体幹トレーニングを数ヶ月前から取り入れたことで、身体の疲労感が減ってきている。体幹トレでは呼吸法も大事な要素であり、正しく行うことで代謝もより良くなることが体感できている。ところが最近、足の張り(大腿四頭筋)を感じるようになったのでトレーナーの方にチェックをして頂いたところ、腰が傾いた状態で体幹トレを行っていることが判明した。間違った姿勢でトレーニングを行えば当然本来であれば使わない筋肉を動かすことになり、身体を傷めることにつながる。実はこのような患者さんが増えているとのこと。テレワークなどで自分の時間が取れるようになり、身体を動かす機会を増やし健康維持に努めることは良いのだが、本を読んで我流で進めるよりは、専門のトレーナーに診て頂きながら正しい動きを身につけることの方が、急がば回れで結果的には早く身体も快調になるというものだ。

                                  2021,9,23

出前?デリバリー?

 昭和の頃、出前といえば蕎麦屋、ラーメン屋、そして寿司屋ぐらいで、数多くの注文をしようものなら時間も掛かり、配達されてからいざ食べるとなるとラーメンなどは麺が伸びたりしたものだった。それでもそういうものだと思って美味しく頂いた子供の頃が懐かしい。令和の今、出前?という言葉は死語になりつつあるのか。我が家でもピザの宅配を頼んだことはあるが、子供達が使う言葉は“デリバリー”。まあ、意味が通じれば言い方などどうでもよいかもしれないが、注文できる“デリバリー”の多さには少しばかり驚いた。ファストフードから本格的なレストランまで幅広い。これもコロナが引き起こした社会現象なのか?いやいや時代の流れ、社会の要請?電話で注文などしているようでは過去の人?注文はスマホのアプリやネットで行うシステムだ。呼び方やシステムが変わろうと、配達された品々はどれも食欲をそそる香りが漂い、我々を幸せにする。それは昭和も令和も変わらない。

                                  2021,9,22

ワクチンによる重症化予防

 新型コロナウイルスの新規感染者数が予想を上回る速度で減じている。日々の感染者数が増加の一途を辿っていた時には気も滅入ってしまいそうだったが、やはり明るい知らせには交感神経よりも副交感神経が優位に働く。2回目のワクチン接種完了率も国民の50,4%の方が済ませており、やはりその効果が大きいのだろうか。「もうワクチン接種は済ませましたか?」と話題のなかで振ってみると、ほぼ皆さん接種済みである一方で、「その質問には答えないようにしています」というご婦人もおられ、コロナ問題はセンシティブである。体質的な問題や、自らの意思で接種しない選択をした人もいる。ワクチン接種の意味を間違えてはいけない。接種したからといって感染しないわけではない。マスクを装着したくないという声は以前から聞くが、ワクチンに期待できるのは重症化予防である。引き続き基本的な感染対策を継続しなければならない。

                                  2021,9,21

慢性上咽頭炎

 慢性上咽頭炎は、後鼻漏、咽頭頭違和感、慢性咳嗽(がいそう)、頭痛、肩こりなど様々な症状を呈するために、注意深い問診と、この疾患に着目しなければ見逃される可能性がある。歯科において治療を施すことは出来ないが、本疾患の疑いがあると思われる患者さんは少なくない。治療法としては上咽頭粘膜を塩化亜鉛溶液で擦過する上咽頭擦過療法(EAT)が有効とされている。アメリカでCOVID-19に感染した直後から1日2回、2週間継続治療したところ、死亡例はゼロ、重症者率は1/8に軽減したとの報告もある。コロナ後遺症の症状は、慢性上咽頭炎の症状と似ているところが多くあるとのことで、昨日の日本病巣研究会・学術集会でも取り上げられていた。有効な治療薬が認可されていない現在、感染後ただおとなしく待つだけよりはEAT治療を積極的に受けることを勧めたい。


                                  2021,9,20

COVID-19と鼻うがい予防

 コロナ禍のなか日本病巣研究会の学術集会が都内で開催され、臨床医、大学所属の研究者など興味深いプレゼンが行われた。COVID-19に関しては感染後の後遺症は論文によって様々であり、2~87,4%の開きがあるとのことである。WHOの資料では約10%、国内データも約10%とのことなので、昨日現在国内の感染者数は約166万人であるので約17万人の方が何らかの後遺症を患っている計算になる。メディアでは不安を煽るような症状を報道するが、後遺症のトップは倦怠感である。倦怠感も程度の差があり、問診票を読むことが面倒になったり、テレワークであればなんとかできるなど、症状に対応する医療従事者も対応に苦慮しているのが現状である。特効薬がない今、やはり感染を何としても防がなければならない。昨日のブログにも記したが、上咽頭の洗浄はコロナに限らず慢性炎症を防ぐうえでは有効な手段であり、皆様におかれましても今日からでも直ぐに試していただきたい。当医院に通院中の方であればサンプルも用意してあるので是非お声がけをして頂きたい。

                                  2021,9,19

鼻うがい

 旦那様が熱中症にでもなって調子が悪いのかと思い看病していたら、更に高熱と息苦しさの症状が出てきたのでかかりつけで診察を受けたところ新型コロナウィルスへの感染が判明し、翌日には急に体調が悪化して救急車で病院に運ばれたとのこと。奥様本人も濃厚接触者となり症状は軽度にもかかわらず2ヶ月経過した今も嗅覚がないとのことである。その後回復されたご主人様は今のところ何の後遺症もなく日常生活を送られているそうで、コロナに感染した場合の後遺症は感染程度とは関係がないようだ。嗅覚障害に関しても治療法はないとのことで、奥様のお言葉を借りると「身体の機能を一つ失った。悔しい。」。当方は明日、日本病巣研究会の学術大会に出席する予定であるが、当研究会ではコロナ以前から鼻の奥の慢性上位咽頭炎の炎症が身体の様々な疾患を引き起こしているとの提言をしている。上咽頭は鼻呼吸による吸気が横方向から縦方向に向かうところであり、細菌やウイルスが滞留しやすい箇所である。上流が濁れば下流は必ず濁るのと同様に、日頃から鼻うがいを励行することは、身体の入口を健康に保つことにつながり、未病を防ぐ第一歩である。

                                  2021,9,18

読解力

 “教科書が読めない子供達が増えているんですよ”と通院中のある区立小学校の教諭の話。漢字を読めないということかと話を伺っていると文意を掴めないということで、算数が解けないのではなく問題の意味が理解できないので数式を立てられないらしい。信じ難い本当の話だ。読解力とは文章力とも思われがちだが、日常生活において人間関係を含めた様々な現象を読み取る力のことであり、社会で生きていく上では欠かせないものである。各種の調査において日本の子供達の学力低下が明らかになっているが、根本的には家庭における活字に接する時間の減少に原因があることは誰もが認めることではなかろうか。デジタル化が進んでいるとはいえ新聞の発行部数の減少は、掲載記事やコラムを読む習慣の減少の一因でもあり、幼少の頃から本を読む習慣、体力を養う意識を家庭で高めていく必要性を求められる時代になっている。


                                  2021,9,17

歩きスマホ死亡事故

 踏切における歩きスマホ死亡事故が起きた。踏切待ちをしていた女性が遮断機が上がると同時に人の流れに沿って歩きスマホしながら渡っていたところ、踏切を渡り切る前に向こう側の遮断機が下りてしまい、線路内でスマホを見ながら立ち止まってしまったというものだ。状況をお判りいただけるだろうか?つまり、遮断機が下りたから立ち止まったのであるが、本人は踏切内にいることには気づいておらず、そなままスマホを見ながら電車にはねられたという痛ましい事故である。あれほど歩きスマホは駄目だと言われているにも拘らず、一向に“歩きスマホ族”は減らず、増加傾向にある。危険なのはコロナだけではない。60代ぐらいの女性が横断歩道の途中で立ち止まってスマホを操作している場面にも出くわしたことがあるが、現代人の脳は完全にスマホに支配されている。韓国では警告音の出る機器が開発されたと最近の紙面で読んだ。便利なスマホではあるが、スマホの進化は人間の脳を退化させ、感性を奪い取る機器のように思えてきた。

                                  2021,9,16

不定愁訴とドクターショッピング

 不定愁訴を抱えた方の悩みには程度の差はあるかも知れないが辛く深刻である。何しろ医療機関で検査を受けても異常がなければ原因不明扱いとなり、人によってはそこから他の医療機関を探し回るドクターショッピングが始まる。当医院においてもお財布に沢山の診察カードをお持ちになる患者様がお越しになる。他科の診査結果で異状がなければ不正咬合から始まる長年の身体の歪みが原因のケースは少なくない。但し、歪み=不定愁訴の原因、とは断定はできない。数十年かけて身体のバランスを狂わせてきたものを、数回の処置で改善させることが出来るとしたらノーベル賞候補に挙げられるかもしれない。説明と患者さんの理解には時間を要するが、不正咬合から始まる体幹の歪みと自覚症状が発症するまで経緯がある程度一致しているならば、先ずは口腔機能の改善を検討すべきである。

                                  2021,9,15

政治に求められるもの

 日本の食料自給率は37%にとどまるとのことだが、海外からの輸入がストップしたら我々の食生活はどうなるのなろうか。というのはコロナ禍の教訓として、日本の医療体制がこれほど機能しないとは誰も予想だにしなかったはずである。安泰だと思っていたことが、不意打ちの危機でほころびが生じてしまう。食料危機管理の観点から問題を捉えれば、まさかの事態に備えるべきであり、それをするのは政治家であり、役人でもあろう。自民党の総裁選がニュースが大きく取り上げられているが、パフォーマンスは要らない。野党も国民受けをするような政策ではなく、現実に即した実現可能なものを提示して頂きたい。国民の政治に対する不信は最高潮にある。“誰が総理になっても同じでしょ”と思われるようではいよいよ日本の危機でもある。人柄、政治信条がしっかりと伝わるような発信力も兼ね備えて頂きたい。

                                  2021,9,14

釣果

 先日、相模湾にてイナダ釣りにトライしたのだが、釣果はゼロ。他の客もほとんど釣れてなかったところをみると、うまく魚群を見つけることが出来なかったのかも知れない。イサキ、サバはそれなりに釣れたので晩御飯のおかずには困らなかったが、この時期はイナダが釣れるだけにリベンジに出掛けたいと小6の次男がやる気である。船宿で釣り具一式をレンタルできるので、初心者の方でも気軽に挑戦できるところが最近は人気があるらしい。また走水の黄金鰺は有名で、行くと40cm前後の鰺が半日で20~30匹は釣れるので以前はよく出掛けたものだ。釣りをされた経験のある方であれば分かると思うが、竿がしなるあの瞬間の引きの強さはたまらない。ちょっと気になったのが、他船でキハダマグロを釣ったお客さんがいたのだが、30キロ近くあるマグロをその後どうされたのだろうか?まさか自宅で捌いて料理をされたのか。海釣りは非日常を体感するにはもってこいである。イナダタックルについてはまた後日報告ということで。

                                  2021,9,13

中庸

 運動時するときには身体のバランスを保つことが大事だという言い方をするが、人のあり方としても、バランスは重要であり、中庸ほど難しいことはないのかも知れない。偏った思考を持たないように心掛けているつもりでも、気付くと自分にとって都合の良い考え方や、好き嫌いによって選んだほうへと傾いているのが現実ではないでしょうか。また、自分中心の考え方しかできないようでは懐が狭いし、井の中の蛙になって成長がない。アリストテレスは「虚栄」と「卑屈」の間に「自尊心」という中庸があり、「大胆」と「恐怖」の間に「勇気」があると、中庸の大切さを説いています。自分と向き合う習慣、修養に努めながら、常に別の視点を加えてバランスをとる心掛けが、現代のストレスマネージメントをしていく上では鍵になる。

                                  2021,9,12

一期一会

 自宅近くの整形外科の建物の取り壊しが始まり、長年目にしていた当たり前の風景が変わった。地域医療に親子二代で貢献されきた医院であっただけに、突然の閉院の知らせと親しみやすい院長先生のフリーランスへの転身には驚かされた。医院継承の難しさがあったのか、目指すべき医療人としての新たな道を進むのかまでは知る由もないが、頼りにしていた患者さんにとっては寝耳に水だったはずである。当方もお世話にはなった患者の一人ではあるが、時代に合わせて変えていくべきものと、変えてはならないものが医院経営においてもある。医療に携わる者としては経営論には足を踏み入れたくないのが正直なところではあるが、医療内容の細分化、国民の価値観の変化、考え方の多様性、そして患者満足などに対応していく中での経営は決して簡単なものではない。但し探し求めるものは秘策ではなく、基本は誰とも一期一会で向き合う姿勢であり、それに徹するに限ると確信する。

                                  2021,9,11

心の様相

 若さを感じない若者がいるかと思えば一方では年齢を感じさせない年配の方がいるものだ。米国の詩人サミュエル・ウルマンの「青春」は多くの人々をひきつけてきた。「青春とは人生のある期間ではなく、心の持ちかたを言う……年を重ねただけで人は老いない……」。若い時には心に響かなかった言葉でも、ある年齢を超えると頷きたくなる。人生は心の持ちようによってポジティブ、ネガティブ思考のどちらにでもなる。自己のためだけを考えるから内向き志向になるのであり、世の中のために自分は何ができるのかを問いてみては如何か?無限にすべきことはあるでしょう。Can notではなくDo notである自分に気付かなければ、駄目と決めつけている自己を変えることはできないですよ。来院のたびにため息をつき、日頃の愚痴をこぼす患者さんには先ずは自分と向き合ってと伝えたい。

                                  2021,9,10

ネット依存

 小学生の子供が学校からiPadを貸与されて持ち帰ってきた。コロナ禍のオンライン授業を可能にするものではあるが、個人的には小学生に必要なのかと考えさせられる。コロナ前後で子供達の生活は大きく変わり、家でも学校でもインターネット漬けの子供は多くなっている。ある調査では、男子は小学生の1割が「ネット依存」の疑いがあり、女子は高校生の3割が「病的利用」とされた。ネットの低年齢化による脳の発育への影響はまだ長期データがない。当方も日常生活において分からなければ「検索」のお世話になることがあり重宝ではあるが、深く思索に耽るという時間が減ってきているとしたら人類にとっては弊害である。あのスティーブ・ジョブズ氏が自分の子供にiPadを使わせなかったのは有名な話だ。

                                  2021,9,9

開戦前?

 先月ドイツ海軍のフリゲート艦バイエルンがインド洋に入り海上自衛隊と共同訓練し、在日ドイツ大使館が「対日連携を強化」とアナウンス。英空母「クイーン・エリザベス」は米軍横須賀基地に初の寄港となんだが同盟国の開戦前の様相ではないか。東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の閣僚級会合が6日、日米欧中など27カ国・機関が参加するASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議を経て閉幕したが、中国は今回の会議で南シナ海での紛争防止を目的としたASEANとの「行動規範(COC)」の策定交渉を進める姿勢を打ち出したおやおやなんだか可笑しくないか?南シナ海、東シナ海を好き勝手に搔きまわしているのはどこの国ですかと王毅国務委員兼外相にお聞きしたい。在駐日大使でおられた頃の王毅さんは表情が今よりももっと柔和だった記憶がある。欲しいものを駄々をこねる子供のように何でも力ずくで手に入れる姿勢は相手の反感を買うだけですよ。多くの隣国と上手くやっていきましょうよ!

                                  2021,9,8

読書の効用

  読書習慣のある子供は学校の成績もそこそこに良いと以前から言われているが、東北大学の川島隆太先生の研究からもそれが言えるようだ。脳は新しいことをしたり、難しいことをしたりすると良く働くというのがこれまでの通念でしたが、川島先生によると、実験を通じて脳は文章を読む時に見たこともないくらいに活発に働いていることが分かったとのこと。そこで認知症の高齢者の方に文章を読んで頂く実験をしてみたら、薬を飲んでもよくならなかった方がよくなるという奇跡のようなことが起き、脳科学の観点から読書の効用が明らかになったのです。川島先生は現在も仙台市内の7万人強のの子供達の学力データを10年近くにわたって追跡調査をしていて、そこからも読書習慣を持っている子の学力が明らかに高いというデータを得ています。スマホによる脳への弊害が懸念される中、読書の大切さを今一度家族で話し合う時間が必要ではないでしょうか。

                                 2021,9,7

感染ゼロリスク?

  子供達の学校行事が再び中止に追いやられるのだろうか。学校現場の混乱を当医院に通院中の親御さんから伺い知ることが出来る。国内でのCOVID-19の感染が明らかになってから1,5年以上経過した現時点でも、何も分からなかった時期と同様の対応をしているようでは、コロナとの戦いに勝つ見込みなど見えてこないのではないか。どんなに感染対策を施そうが感染ゼロリスクなどは存在しない。コロナと共存しろと言っているのではない。未知なるものへ不安を抱くのは大人でも子供でも自然なことだが、過剰な恐怖心から日常生活に支障が出てしまうのは問題である。報道、ネットを含めた恐怖心を煽るような社会全体の雰囲気は、今だけではなく将来のある子供達の心の発達にとってマイナスなだけである。子供への感染拡大は懸念材料ではあるが、しかるべき対策をとって通常授業、行事を行うことも積極的に検討して頂きたい。

                                 2021,9,6

リモートワークの影響

  コロナ禍でリモートワークが広がり始めた頃、通院中の患者さんからは、「通勤しない分朝の時間に余裕がある」、「リモートでもそれなりに仕事が出来てしまうので、今までオフィスに通っていたのは何だったのか?」など、出勤しないことによるメリットを口にする方が多かったように思う。しかし最近では、「画面越しの会話ではFace to faceではないのでその場の雰囲気というものがなく、周りの人の顔色が分からないのがストレスになる」と言われる方もおられる。私の職場ではコロナ以前と何も働き方は変わらないのでコロナによる影響はあまり感じたことはないが、人間というのは常に人と拘わって生きていなとメンタル的なバランスを崩す動物なのだとパンデミックになって分かったことかもしれない。このまま新型コロナウィルスの感染の収束が長引けば、人との煩わしさの中で人格を磨いていく、人間力を身につけていくという大切な部分が失われていくことにもなり、人間社会が成り立たなくなりはしないか、そんな危惧の念を抱くのは考え過ぎだろうか。

                                  2021,9,5

子供の健康

  “継続は力なり”を子供達が如何に実践できるか?咬み合わせの筋機能トレーニングの成果はこれに尽きる。当医院に通っている子供を診ていると、低学年以下では治療を兼ねたトレーニングの意味を理解できていないので親が付き添わないと治療効果は上がってこない。一方で、高学年ぐらいになると子供の性格にもよるが、こちらの真剣度が何らかの形で伝わると、1ヶ月単位で口腔内及び表情筋、体幹の変化も現れてくる。さすが子供である、変化の度合いが大きいと気付かく瞬間であり、子供達の頑張りを褒めてあげたくもなる。歯科医療従事者としては、治療技術の向上に努めることは言うまでもないが、疾患を診るのではなく人を診ることの大切さ、奥深さを患者さんからは教えられる。親御さんの子供の健やかな成長を願う思いに常に寄り添い、期待に応えられるよう研鑽に励みたい。

                                2021,9,4

理想的な咬み合わせ

  お子様の咬み合わせが気になる親御さんからの相談が続いている。待合室から診療室に入ってくるときの子供の歩き方や顔貌を注視していると、共通して前のめりで歩く姿や唇が開いた状態で入ってくることが多い。明らかに体幹の歪みと口呼吸をしていることが分かる。中顔面の成長度合いが弱ければ多くは前歯部の叢生を抱え、歯列弓もトライアングル型かスクウェア型傾向を示している。ここまでは診療台で口腔内を診察しなくても大体は見当がつく。さらに下顎前歯部が上顎前歯部よりもある程度後退して叢生であれば、下唇の巻き込みが日常的に習癖として存在していることも物語っている。歯並び、咬み合わせの乱れは舌と口腔周囲筋を含めた軟組織・筋機能の問題であり、ワイヤーで歯並びを揃えたところで機能の改善を合わせて行わなければ必ずと言っていいほど歯列、顎位は後戻りを呈する。筋機能の改善は本人の理解と強い意志がなければ結果がついてこない。マニュアル的に手順を踏んでトレーニングを行えば口呼吸と筋機能の改善を得られると考えるのは大きな誤りであり、子供の理解度に合わせて寄り添うような気持ちがなければ子供からの信頼は得られまい。それにしても理想的な咬み合わせをしている子供達はどこにいるのだろうか?

                                2021,9,3

鼻うがい

  皆さんは鼻うがいをご存知でしょうか?鼻腔全体を洗浄することで、粉塵やアレルゲン物質を洗い流します。水道水では鼻がツーンと痛くなるので、サイナス・リンス(NeilMed社)など各社から販売されていますので是非試していただきたい(耳鼻科領域の疾患のある方は主治医に相談をして下さい)。鼻腔内にはコロナに感染している場合は高濃度に存在しているという報告はあるので、症状はなくても日頃から習慣にするメリットはあります。鼻うがいのやり方は各メーカーの説明書に従って頂ければと思いますが、片方の鼻から洗浄水を入れ、もう片方の鼻から出すという方法です。当医院で扱っており、使ってみると鼻がすっきりして気持ちいいという感想を頂いています。手指消毒に加えて一日の終わりに試してみるのは如何でしょうか?

                                2021,9,2

健康の入口

  こちらのブログでも正しい呼吸は鼻呼吸であり、口呼吸は万病のもとになると何度か綴っていますが、自分が口呼吸になっているかどうかわからない方は、朝目覚めた時や無意識時に舌の先がどこに触れているかを確認してみてください。舌の先端が下の歯の後ろについていれば、習慣的に口呼吸をしています。鼻呼吸であれば鼻軌道に存在する鼻毛、繊毛、粘液やリンパ組織が空気を加湿、加温して洗浄してくれますが、口呼吸では浄化されない空気が直接咽頭と肺に送り込まれるので、免疫機能の観点からも決して良くはありません。口腔、鼻腔の炎症は全身に波及します。IgA腎症の原因は鼻の奥の上咽頭の炎症が引き起こしていることも分かっており、上流が濁れば下流も濁るように先ずは人体の入口の健康を取り戻すことが必要です。

                                2021,9,1

『Shut Your Mouth and Save Your Life』

  19世紀の作家George Catlin著『Shut Your Mouth and Save Your Life』には、すでに健康と顔の発達には鼻呼吸が重要であると書かれている。当医院では子供達の不正咬合、体幹の歪み、明らかに口呼吸をしている場合には、数年前から舌の動きと鼻呼吸の関係を親御さんにも説明し、鼻呼吸と口呼吸が単なる換気ルートの違いではないことを理解して頂くように努めている。そもそも正しい呼吸の仕方は生まれてこの方誰にも教わらないで我々は成人になっているが、正しい呼吸とは横隔膜を使った鼻呼吸であり、呼吸機能異常を改善することなく長年生活を送ることにより不定愁訴を抱えることになる人は潜在的に多いものと推測する。成長発育途中の子供のうちに正しい呼吸を身につけることが本来の顎顔面骨格の成長を促し、免疫力を高め、体幹を整える基本軸となる。

                                2021,8,31

不定愁訴を防ぐために

  歯科的に問題のある咬み合わせでも、身体が適応できていれば本人としては何の苦もなく日常生活を送ることができる。それは自律神経が身体のバランスを整えるように働くからであり、そのコントロールが効かなくなった時に身体は悲鳴を上げ、医者の世話になるのが大方の人である。しかしその時点では本来の正常な状態からはかけ離れており、治療やトレーニング、リハビリを行ってどの程度回復できるのかは、それまでに至った年数も関係していよう。幼少の頃もしくは10代の頃から咬み合せを含めた口腔機能の改善が必要だと診断しても、子供に症状や自覚がなければ治療への誘導は試みるも親の同意まで得るのは難しいのが現在の臨床の現場である。また、治療をしなくてもそれなりに過ごせてしまうことが、将来予測される様々な不定愁訴の予防への取り組みを妨げる要素でもある。理想とされる咬み合せはどういう状態なのかを先ずは理解して頂くことが歯科治療の入り口である。

                                2021,8,30

ネガティブ思考

  新型コロナの感染拡大が収まらないどころか子供への感染が拡がる中で、新学期の開始を遅らせたり、時差登校など教育現場では急な対応に苦慮している。定期試験の日程にも影響が出始めているようで、子供達の心身への影響も懸念される。当医院においても子供からの感染が疑われる親御さんの治療のキャンセルが入り始めている。あるご夫婦は2人で感染し、発熱と息苦しさは死の恐怖を覚えたと連絡を下さった。総理は「やっとトンネルの出口が見えてきた」と仰っていたが、その根拠は何なのか私は知りたい。コロナストレスは無意識のうちに蓄積され、日常生活および仕事においてもネガティブ思考になってきている。自助努力が必要なのは言うまでもないが、早く霧が晴れることを願うばかりだ。

                                2021,8,29

自主外交

  アフガニスタン情勢では、国の崩壊はこんなにも簡単に起きてしまうのかと考えさせられると同時に、対岸の火事ではない、同じような構図は日本でもありうると私の中では緊張が走った。米軍が日本を引き払ったら、今でさえ挑発を繰り返している日本周辺国の出方次第では今そこにある危機である。戦後76年、何とか平和に暮らすことが出来ているのは、戦争体験者による不戦の誓いと共に対戦国であったアメリカによる抑止力が働いていることは誰もが理解しているところである。いつまでも戦後と言い続けられるようにするには、そして世界の中で生き延びるために日本が今からすべきことは何か、他国に占領されてからでは議論どころか自由はない。イデオロギー対立が紛争の元凶であることは世界の歴史を振り返れば明白である。他国に左右されない自主独立した外交を進むことは、この国は永遠にできないのだろうか。

                            2021,8,28

歯科治療は痛くない

  「私、痛みに本当に弱いので、今日は治療前に痛み止めを飲んで来ました!」とは、当医院で初めて治療を受ける患者さんの言葉です。今まで多くの歯の治療を数十年かけて受けてきた時のトラウマがあるのだろう、相当の治療嫌いである。必要があれば麻酔をするので痛みを伴いながら治療を受けることなどない。但し、それは治療する側の医療体制によっては少し事情は異なるのかも知れない。アポイント枠に患者さんを詰め込むような状態では、目の前の患者さんの処置中にも拘わらず、後の患者さんを意識しながらの治療となり、時間を気にするあまり麻酔はしたもののしっかりと効く前に処置に移行することになれば、当然痛みを伴う治療になろう。昭和30~40年代頃の治療であれば、そのようなこともあったと聞く。1時間の根管治療後に出てきた患者さんの言葉は「全然痛くなかったですね!」。そうなんです、歯科治療は痛くないですよ!この患者さんの治療はまだ一回表の途中であり、先は長い。甲子園球児のように、患者さんも私も全力プレーで行きましょう!

                            2021,8,27

調律

  美しい音色を出す楽器には調律が必要だ。久しぶりの実家で子供の頃弾いていたピアノの鍵盤を叩いてみたところ、まるでオルガンのような音しかでなかった。何十年も放置されたも同然の状態であれば音が出るだけでも奇跡か?なんでも手入れが大事であり、主のいない邸宅の庭などには雑草が生い茂っている。コロナ禍での生活が一年半を過ぎ、大人も子供もかなりのストレスを抱え、メンタルヘルスを危険度で表せばレベルいくつなのだろうか。トンネルの出口さえ見えれば誰もがそこを目指して頑張れるだろうに、先の見通せない漠然とした不安感が社会全体を覆っている。“人類にとって”という表現を使わざるを得ない状況になってきているのか、それほど悲観的にならずとも楽観的に平静を保つことが必要なのか、何れにしても楽器のような調律師は見当たらない。

                            2021,8,26

優先席

  電車内の優先席が設けられるようになったのはいつ頃からでしょうか?私が子供の頃には優先席などはなく、お年寄りの方や身体の不自由な方が乗車してくると気付いた人が席を譲っていたものである。それは誰かに強制されるわけでもなく自然と心がそのよな行動をとるように働いたからでしょう。しかし今は優先席以外は席を譲らなくてもいいと勘違いしている輩がいるではありませんか。なんて恥ずかしい、嘆かわしい国民になってしまったのでしょうか。東京2020オリパラで選手の活躍を美辞麗句を並べて称賛する報道には辟易しますが、身近な日常生活の中で周囲にもっと目を配れば社会的弱者の方にとっても住みやすい国になるような気がしてなりません。それが国民一人ひとりが助け合う本当の絆というものでしょう。自発的に正しい行為へと促す内面の成長がこの国人には求められている。

                            2021,8,25

スマホ社会

  現代の多くの人はスマホを始め我々は一日中電子機器に囲まれて生活をしている。通勤時間帯のホームや電車内を見渡すと、9割以上の人はスマホをのぞき込んでいると言ってもいい。当方も朝刊の電子版を読むことが習慣になっているので便利で助かっている。そのスマホの調子が悪くなり修理に2週間ほど要することになったのだが、代替機はあるものの使わないで一日を過ごしてみると、LINEやメールのチェックをしない時間があるだけでも自分の時間が確保されたように感じると同時に、普段から無意識に脳がスマホなどの電子機器に支配されている“スマホ脳”の危険さに改めて気付かされた思いだ。インフラは整い、食べるものにも不自由はしない世の中にあって、もしかしたら脳は便利さに慣れてしまって退化してしまわないのか。平澤興先生は“140億ある脳細胞を使っている人などいない”と仰っていたが、人の感性の鈍化や想像力の欠如は、スマホでは代替できない。

                            2021,8,24

感性と無頓着

  むし歯のリスク検査として“唾液検査”を行う際に、3日間の食事アンケートを記入して頂く項目がある。本人にとっては普段からの食生活になるので特別食事内容に違和感はないのかもしれないが、食生活習慣の乱れ、食事内容の偏りなどが明らかになってくる。極端な例では昼食をお菓子で済ませている20代の女性や、ミネラルを摂りたいので水代わりにポカリスエットのようなスポーツドリンクを常用している方などがいる。歯にとってだけではなく、身体の健康を守る観点からも改善が必要であろう。一方で、食事内容を細かく記入してくださった方の中には、季節感を感じるおかずが並んでいることもある。私が子供の頃には筍ご飯を食べながら「このタケノコはどこで採れたのかなぁ」などと家族で会話しながら食べた記憶もある。今は夫婦共働きや子供の塾通いなどで家族みんなで食事をしないご家庭も多いようだが、食卓を囲んでいろいろな会話をすることで、子供達の感性が育まれていく時間でもあるはずです。成長盛りの子供達にとって偏りある食生活は良くないことだが、そのことに無頓着でいる親はそれ以上に困ったものだ。


                            2021,8,23

when in Rome, do as the Romans do

  帰宅途中、電車内で大声で会話をしている外国人のグループに遭遇した。2ドア離れているにも拘わらず、はっきりと言葉の内容が聞き取れるぐらいの会話である。まあ、他の乗客は誰も会話をしていないこともあり車内は彼らの声が響き渡る環境ではあった。それにしても煩くて誰かが怒鳴るのではないかと思っていたところ、“何デカい声を出して話しているんだよーお前らは!少しは周りの迷惑を考えたらどうなんだ!なんだ、日本語が分からんのか?少しは喋れるようになってから来るんだな。”と少し品のない言葉ではあったが怒り心頭の御仁が切れた。私が思うに、車内の乗客は皆“よくぞ言ってくれた!”との思いではなかっただろうか。コロナ禍にあって人前での会話を避けるようにしているご時世に、何の悪びれた感もなく電車内にそのまま乗り続けた彼らにとって我々日本人はどのように映ったのだろうか?日本には日本のマナーがあるというものだ。when in Rome, do as the Romans do

                            2021,8,22

気になる子供の姿勢

  「子供の歯並びが気になるので診て欲しい」という問い合わせが多い。初診時に入室してくる姿から診ていると、前のめりになって歩いている子供もいれば、明らかに片方の肩が下がった状態のお子様もいる。親御さんは歯並びは気になっても姿勢は普段から気になっていないのだろうか。口腔内診査と同時に全身写真を撮影し、親御さんに診断結果をお伝えすると、「咬み合わせと姿勢は関係があるのですか?」と驚いた表情で聞いてくる方もいらっしゃる。それにはこちらが驚かされる。口呼吸が身に付いてしまったり、飲み込みの仕方が逆嚥下になっていれば舌を含めた口腔周囲筋の正常な動きは期待できず、首を傾げたりしながら体幹のバランスをとるようになる。また、歯並びや咬み合わせの良くないお子様の診査をしながら気づくのだが、1)椅子に黙って座っていられない、2)背筋を伸ばして座ることが出来ない、3)体を常にくねらせたりする、ことが共通して見られる。子供達のトレーニングによる治療もそれなりに大変ではあるが、歯並びを揃えるための治療ではなく、顎顔面骨格の成長発育を本来の成長方向に戻す治療であることを親御さんに理解してもらうことに骨が折れる。

                            2021,8,21

日本社会の体質?

  ベトナムでは新型コロナによる感染が起きていないというのは本当なのか?以前から駆虫薬を飲んでいるからというのがその背景にはあるらしいが、実際に私が確かめたわけではないので真意の程は定かではないことをご承知いただきたい。しかし、入院が必要な状態でも自宅待機をせざるを得ない状況が続く日本においては、ただ容体が悪くなるのを手をこまねいて死を待つよりは、最後の手段としてその駆虫薬を用意すべき時に来ているのではないか。それにしても今回の新型コロナウィルスの感染拡大によってこの国の危機管理体制の無さ、指揮系統が全くできていないことに加え、どんな問題でも先送りにする、だれも責任を取らないという体質が日本社会に蔓延っていることがはっきりした。これは76年前の敗戦の時と何ら変わっていない物事を決められない政治の在り方、日本の議会制民主主義の形骸化がコロナによって浮き彫りにされただけのことではないでしょうか。戦後復興の姿が世界から称えられた時代はとうに過ぎているのに、いつまでも余韻に浸っている古狸たちにはシフトチェンジが出来なければ退場願いたい。

                            2021,8,20

選手村を新型コロナ病村に!

  新型コロナウィルスの感染拡大が続くなか、パラリンピックまでもなぜ強行して行うのか?オリンピック、パラリンピックともにこれに懸けてきた選手のことを思えば、中止にはしたくない思いは国民誰もが持っている。しかしである。東京都の感染者数は連日の5,000人前後、全国では20,000前後である。報道によれば、千葉では妊婦さんが救急搬送されることなく自宅で出産したものの、お子さんが死亡されたとのこと。都内では親子3人が感染し、40代の母親が死亡である。まるで戦時下なのか。そんな状況下においても学校生徒のパラリンピック観戦をなぜか執拗に実施しようとする都知事の感覚も全く理解できない。国民の政治家発言への疑心暗鬼は強まる一方であろう。現代の日本で起きているとは信じがたい出来事がこれからも続くのかと思えば、選手の皆さんには申し訳ないが、パラリンピックの中止もやむを得ないのではないか。総理の記者会見では是非ともIOCと国民の命のどちらを優先して行政を行っているのかと、記者の方には質問して頂きたい。今後も全国で毎日20,000人の感染が続けば50日で100万人ですよ、総理!取り巻きの意見はさて置き、パラリンピック中止、そして選手村をコロナの集中治療村にする勇気ある英断を!支持率が急上昇しますよ!

                            2021,8,19

求められる呼吸パターンの改善

今では日常生活においてマスクは必需品となり、家以外ではほぼマスクを装着して過ごすことになっているが、マスクに慣れていないと人によってはマスク内で口唇が開いて口呼吸になる傾向がある。本来呼吸は鼻でするものであり、鼻呼吸をすることで外気はフィルターを通って肺に送られる。成長発育の観点からは、舌が口蓋に持ち上がることと同時に鼻腔を通る空気圧が口蓋を下方に押し下げることで口蓋骨が側方に拡大され、舌の収まる口腔スペースが出来上がっていく。Patrik McKeownによると、成人の場合は健常者と言われている人でも10~20%は呼吸不全があり、小児に至っては25~50%が習慣性の口呼吸になっているという。口呼吸は万病のもとであると言っても過言ではない。成長期の子供達に口呼吸の習癖が身に付くことによって顎顔面骨格の本来の成長が妨げられ間違った嚥下様式が定着することは、解剖学的な成長発育の妨げとなり、体幹の歪みへとつながる。近年の子供達の体力の低下の原因とも無関係ではあるまい。間違った呼吸パターンを改善し、迷走神経を刺激することで身体とマインドのリラックス状態を取り戻すことは、子供だけではなく大人にも必要な時代である。

                            2021,8,18

さらば古き政治体制

政府は新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言に7府県を新たに追加すると決めた。期間は9月12日までで、1日約2万人が感染している状況で、対策を強化する政府の実行力が問われよう。海の向こうでは、ニュージーランドで1名の感染者がでたことで、即座に3日間のロックダウンを決めた。「感染者の抑え込みが出来ていない各国をみての対応」とは国民から絶大なる支持を得ている女性首相の言葉である。新型コロナウィルスの感染が認められた当初、日本の感染封じ込め対策は世界の中で2番目の評価を得ていたが、最近の調査では26番目とほぼ最下位に近い。今も毎日約3,500人の外国人の受け入れを認めている。私は歯医者であるので例えをむし歯に置き換えてみたい。むし歯を繰り返す人が、歯科医院で治療をうけてもそれはむし歯になった原因を無くしたことにはならない。むし歯になる根本原因を理解し、むし歯になる蛇口の栓を締めなければいつまで経っても歯の治療を繰り返すだけである。ウィルスは人との接触がなければやがて死滅することが分かっているのだから、人との接触が無くなればウィルスは消滅することが分かっている。国民全員が苦痛を伴うことは承知の上で、1週間のロックダウンを超法規的な処置として行ったらどうか。今見習うべき国は、経済優先を謳う政治指導者ではなく、小さな政府ながらも新しい道を切り開き、国民に寄り添う真のリーダーであるアーダン首相の政治姿勢であろう。

                            2021,8,17

Noと言える日本へ!

日本発のブランド品の農産物が中国、韓国で我が物顔で生産販売、そして輸出されているというから呆れてしまう。お国柄両国がそのような違法なことをすることには驚かないが、日本政府の技術流出を防ぐ対策のなさ、危機感のなさに日本の農家、他の産業を他国から守る使命感を感じない。因みにシャインマスカットや紅ほっぺ、高級かんきつ「紅まどんな」など30以上の品種の海外流通が確認されているそうだ。品種の海外持ち出しを禁じる改正種苗法を4月に施行したとのことだが、法律を作ったとしてもそれで守られますかと政治家、高級官僚さんに問いかけたい。性善説で良識のない国に対処してきた結果、我が国はどうなってきましたか。戦後76年が経過しても、いつまでも敗戦国の負い目があるからなのでしょうか。物言わない日本ではなく、あらゆる分野において「Noと言える日本!」であるべきです。

                            2021,8,16

終戦記念日

戦後76回目の終戦記念日を迎えた。世界中がコロナ禍にあり紛争の報道がどこかに追いやられているが、世界中が平和であるときは果たして存在したのだろうか。私も戦争の恐ろしさを肌で知る人間ではないが、争いごとによる悲惨さを知る人が年々減ることによって、平和を保ってきた貯金が尽きてしまうのではないか。現に日本に原爆が投下されたことを知らない若者が10~30代の2割近くはいるとのことだ。誰も戦争など望んではいないはずなのに、なぜ起きるのか。相互不信による対立、領土拡大の野心、間違った宗教観、等すべては人間の歪んだ心が発生源である。戦争を望んでこの世に生まれてくる赤子などどこにもいない。池上彰さんは“君たちが世界中にたくさんの友達を作っていく。それが国と国の仲が悪くなった時、戦争を止めることになるんじゃないかと思います”と子供達に発信している。世界の指導者たちよ、虚心坦懐に話し合ってみてはどうかね。

                            2021,8,15

制御不能

以前行われた横浜マラソンの10キロ部門に参加し、念願の大会デビューを果たした際は特に緊張することもなく無事完走し、44分台でゴール出来た。その後フルマラソンにエントリーするも抽選に外れ、更にコロナ禍ということもあり、昨年は実施されなかった。早朝ランニングを始めたのが7年前であり、当初は休むことなく365日、寒い冬でも走り続けたこともあり、身体は驚くほど引き締まった。高校時代の野球部の練習におけるランニングほど嫌なものはなかったのに、今では走らない日があると身体が鈍ったように感じるのだから不思議なものである。年齢を考慮すれば過度のトレーニングは避けるべきであり、何事もほどほどには心得ているつもりである。しかし、ここ数日は降雨によって思うようには走れていない。九州地方から西日本にかけての降雨量が今まででは考えられないほどの量になっており、一級河川及び支流の氾濫が起き、すでに救助要請が多数来ているとのことだ。新型コロナウィルスの感染だけではなく、雨による災害もすでに制御不能になっている。我々は自然災害には無力であるが、ウィルスには人流を避けることができれば減らすことが出来る。それともすでに人間が制御不能になってしまっているのだろうか。

                            2021,8,14

自己修養

五輪金メダルの嚙みつき事件とでも言ったらいいのだろうか。今更ここで詳細を記す必要もないが、品性に欠ける人間が取った行動により、金メダリストは元よりニュース映像をみた多くの国民が違和感や不快な思いをした。なぜあの方があのような役職に就いておられるのか私には理解できない。周りに促されたのだろうか、報道陣を前に謝罪をされていたが、用意した書面を感情を込めることもなくただ棒読みをしているだけである。さほど長いコメントでもないのだから何も見ないでいえないのだろうか。数日前にはどなたかが、平和祈念式典にて読み飛ばしをして叩かれていた。政治家のあるべき姿とは何か。アメリカでは未来の大統領候補と言われていた州知事がセクシャルハラスメントの告発を受け、辞任を表明した。どの時代も、どこの国でも、指導者たるものは人の気持ちに敏感であるべきであろう。人として自己修養が足りなすぎる。

                            2021,8,13

制御不能?

緊急事態宣言の発出により、飲食店は酒類を終日提供しなよう要請が出ている。行き付けのお店も例外ではなく、期間中はアルコールの入荷を止めているので店自体に在庫がないとのことだ。店で飲めないことが影響しているのだろうか、当医院近くの憩いの通りでは、ベンチに人が集って「乾杯~!」と楽しそうにノーマスクで盛り上がっているではないか。店での酒の提供を停止している意味合いをこのような輩は全く理解していないに等しく腹立たしい。「酒が入ると気が緩む」ことでマスクも装着していなければ飛沫を拡散することになるからとあれだけ何度も言われているにも拘わらず協力できないのであれば、これは個人の自由ではなく我が儘であり、昔であれば“非国民”と言われても仕方ない。しかし、言うことを聞かない国民が悪いのか、自粛疲れの心に火がともるような言葉を述べることが出来ないリーダーが凡庸なのか、どちらにしても感染爆発は制御不能になりつつある。

                            2021,8,12

粗忽になってきている‥‥

新型コロナウィルスへの感染者数の増加に歯止めがかからない。陽性となった方の中にはどこで感染したのか心当たりのない方も多いのではないだろうか。感染が広がる最大の原因が人と人との接触であることは尾身会長や医療関係者の発言からも明らかである。横浜港に停泊中の客船で感染が広がった頃、国民の多くはどこか他人ごとのように思っていたはずである。その後緊急事態宣言の発出に伴い学校の休校、テレワークなどによって社会生活は一変し、誰がどこで感染しても不思議ではない状況となってきた。そして現在第5波である。体調が悪くなって救急要請をしても血中酸素飽和度が90以下でないと救急車での搬送はできないと断られる異常事態にまでなっている。しかし、街角を眺めてもそれほどの切迫感は感じられない。コロナ禍が長くなり、粗忽になってきているマスクの着用やこまめな手洗い、消毒などは基本に立ち返ってやるべきである。WHOはやっと日本の開発したリュウマチ薬がコロナの重症化を抑える薬として認可したが、できればそのお世話にはなりたくないものである。

                            2021,8,11

地球温暖化問題は待ったなし

一昨年のオーストラリアにおける大規模な森林火災、今年に入ってからはカナダにおける深刻な相次ぐ山火事、そして今度はギリシャにおいて史上最大規模の火事が全土で起きているという。オリンピックの開催都市東京の異常な酷暑は、競技をリタイアする選手の多さ、選手からの競技時間の変更を要望する声が上がったことなどを通して世界にも伝わったはずである。地球温暖化問題は待ったなしである。温暖化の根本原因は人間の活動であることは疑う余地がない。自国の経済活動を優先にしてあらゆる分野において世界の頂点を目指そうとしている大国は、その取り組みこそが自国の首を絞めることに繋がっていることを認識すべきである。先進国、途上国なのどの区分けは関係ない。このまま掛け声だけ、目標値のみを掲げるようなパフォーマンスを各国の指導者が繰り返すようであれば、今まで築き上げた富も文明も失う日が来るのはそう遠くない。人間が作り出した問題は、人間が解決しなければならない。先ずはすべての柵を取り除け。


                            2021,8,10

日本人

日本人の振る舞いは美しい。昨日閉幕した東京オリンピックの閉会式において、バッハ会長らのスピーチを聞く各国の選手たちの姿は、お国柄なのか様々であったことに視聴者の方はお気付きでしょう。フィールド内に完全に横になっている集団、嬉しい気持ちを抑えられないのか踊り始める選手達。我々日本人は、子供の頃から人の話を聞くときは相手の目を見て聞くものだと教わってきた。橋本聖子会長やバッハさんのお話は開会式でも決して短くはなく、またあの長い話が始まるのかとチャンネルを変えたくなった方もいたかもしれない。まあそれはそれとして、日本選手の鮮やかなユニフォームは色が目立っただけではなく、立ち姿が素敵に私の目には映った。畏まる必要もないが、リラックスムードの中にも規律を重んじる国民性が見て取れたのではないか。無作法を気にするのは、目上の方に間違っても失礼にあたるようなことをしないようにと思うからであり、周りとのトラブルを避けるためでもあり、そういう感覚を共有できることが日本人であるということなのでしょう。


                            2021,8,9

オリンピックが残したもの

オリンピックが閉幕した。新型コロナウイルス感染拡大の中開催の有無が問われたオリンピックであったが、国民一人ひとりによって開催の意義と評価は異なるであろう。競技が始まった以上は選手を応援し、日本の良さを世界の人々に知って頂きたいと願った人は多かったのではないか。競技を終えた外国選手からは、日本に感謝するコメントも多く頂いてる。「このコロナ禍でオリンピックが開催できるとしたら、規律を重んじる日本以外は考えられなかった。開催に反対の声が多くあるのは承知していたが、日本に来れて本当に幸せな気持ちです。ARIGATO!」。日本人選手の活躍もあり、国民の中には感染症対策への気の緩みが生じた部分もあるのかも知れないが、毎日の新規感染者数の発表を見るたび現実に引き戻されたのは私だけではないでしょう。医療現場の逼迫、限界、医療崩壊はすでに始まっているのも現実であり、他人ごとではない。新型コロナウイルスを駆逐するまで忍耐強く、緊張の糸を切らすことなく、オリンピック選手たちのように日々努力してウィルスに打ち克ちましょう!


                            2021,8,8

何が良くないの?

「4歳の娘の噛み癖なのか、咬み合わせが良くないのか分からないので診て頂きたい」と歯列矯正治療で来院中の患者様がお子様を連れてお越しになられた。緊張すると口を開けてしまうことも気になっているらしい。上下の歯並びは綺麗に生えそろっているが、下顎を前に出す癖は見受けられる。色々とお話を伺っていると、食事の際に座っている椅子では、足裏(かかと)は床に付いていない状態であること。テレビを観たり本を読むときにはソファーに座っていることが多く、その時の姿勢が悪いのも気になっているとのことだ。女の子を診療台から降ろして立った状態の姿勢を診させていただくと、頭頚部を傾げる癖、体幹の歪みを見て取れる。ヨガマットに寝かせて身体を全身を揺さぶりながら全身の緊張を取り除いていくと、姿勢は本来の姿を取り戻どし、母親もその違いに驚いた表情である。当医院にお越しになる小さな子供には良くみられる現象である。私が子供の頃であれば、学校から帰宅後に友達と集まって缶蹴りや石蹴りをして片足ケンケンもすれば、男女が一緒におしくらまんじゅう、公園の鉄棒で逆上がりやぶら下がったりと、日頃から全身を使った動きをしていたものだ。少しぐらい家で悪い姿勢をとる時間があったとしても、それを相殺するような意味合いが子供の外遊びにはあったのではなだろうか。今のお子様は兎に角外遊びをしていない。不正咬合、体幹の歪みと外遊びが関係しているかどうかは明言はできないが、世の中の社会環境の急激な変化、子供達の自然な遊びが失われている状況は、私たちが気付いていない大事なものを失わせているように私には映る。少なくとも歯科医師が歯だけを診ている時代ではないことは明言出来る。


                            2021,8,7

イベルメクチン

先進国の中でワクチン接種が最も遅い国は日本なのだろうか。なぜ遅いのか?ワクチンだけではなく、政府の行き当たりばったり感の強い対策に国民は苛立っているようにも見える。ノーベル賞の大村智先生が開発したイベルメクチンは、新型コロナウイルスの感染が広がり始めた頃にイタリアなどで服用され、重症化を抑える結果を残しているにも拘らず、なぜ国内でその名が挙がってこないのか不思議である。既に使われている薬なので、新薬のようなメリットが製薬メーカーにはないことが理由の一つであるならば、全く話にならない。これだけ新規感染者が急増している現状を踏まえれば、感染したと同時に処方される薬の開発、認可こそが重要なことの一つであろう。他の先進諸国が認めるまで手をこまねき、後追いで認めるような愚策だけは避けて頂きたい。


                            2021,8,6

体幹の歪みと凝り

体幹の歪みからくる身体の凝りは辛い。自己の身体の特徴をしっかりと把握し、無意識時における身体の動きの習癖があれば改善させることで肩甲骨、股関節、背骨への負担が軽減すると次第に身体は快方に向かう。長い人生を掛けて悪くしてきた身体を、少しのトレーニングやマッサージで良くなると考えるのはやめたほうが良い。巷には健康を取り戻すための書籍や情報も多くみられるが、人の身体は似たようであっても同じではない。我流でストレッチなどをして間違って筋を痛めようものなら本末転倒というものだ。昨日は当医院の患者さんの治療でもお世話になっているacu placeの大饗先生の整体治療を受けたが、長年診て頂くことで身体の特徴、習癖なども踏まえたうえで現状を診て頂ける安心感が違う。むし歯の治療同様に、なぜむし歯になったのか?どうしてここまで身体が悪くなったのか?のwhyを理解し、これ以上状態を悪くしないように今後の日常生活においてどのようなことを意識して過ごせばよいのかを理解することが大事である。今朝も気温が異常に高く早朝ランニングも6時過ぎではすでに暑いが、走り方を意識しながら動いてみると無駄な力が掛からなくなったのだろうか、身体が疲れていない。凝りは体幹の歪みと連動していることを改めて知った思いだ。


                            2021,8,5

為政者とは

世界の新型コロナウイルス感染者が2億人を超え、未だに終息への兆しが見えてこない。ワクチン接種も進まず、そうこうしているうちに新たな変異株も現れてきた。神奈川県内の感染者は8日間連続で1,000人を超え、いつどこで感染しても不思議ではない状況にある。コロナ感染第5波が到来してから緊急事態宣言下の6都道府県は自宅療養者が3万人に上り、一刻の猶予も許されない深刻な事態である。病院も逼迫し、医療崩壊が始まっている。一方で、世界中からトップアスリートが集結し、連日熱戦を繰り広げているオリンピックが開催中である。これが紛れもない現実であり、フィクションではない。やはり何かが間違っていないか。オリンピック開催と感染者の増加とは直接の関係はないと政府関係者は述べているが、政府の仕事は国をそして国民の命を守ることが第一である。19世紀のフランスの思想家トクビルが、こんな言葉を残している。社会に優れた人はいくらでもいるのに、「為政者の側にはそれがどれほど少ないかに驚いた」。感染者の多くは20~30代を占めるようになってきている。感染対策で今必要なのは、若い世代の共感を得ることである。そのために先ず必要なのは、政府の行動変容だろう。


                            2021,8,4

銀行窓口

銀行窓口での手続きは、ネットで予約をしない場合は今までのように何かのついでに立ち寄って手続きをするということが出来なくなった。非常に不便である。「もっとも1時間近くお待ち頂ければ今からお受けいたします」とのアナウンスはあるが、こちらも暇ではない。銀行側にも言い分はあるだろうが、今日に至ってはネットで予約確認をしているにも拘わらず、銀行側では予約の確認が出来ていないと言われる始末。ならばシステムのトラブルなのか、何か人的なミスが起きているのか分らんが、案内係の対応にも誠意が感じられなかったのは残念である。また予約が必要であることを知らずに銀行にお越しになられて困り果てているご年配の方もいらっしゃった。毎回事前のネット予約が必要となると、急な用事で銀行に出向く時には気が重たくなりそうである。

                        2021,8,3

ワクチンへの疑念

当医院に通院中の患者様からも新型コロナウィルスへの感染による予約のキャンセルが入るようになってきた。えっ、あの方が感染?日頃から感染対策には人一倍注意を払っていた方でも感染してしまうとは・・。もはや人とすれ違うだけでも感染してしまうような空気感染が起きているのだろうか。ワクチン接種に及び腰のかたが国民の4割近くいるとの報道もある。もちろん接種の有無は個人の選択であり強制ではないが、ネットのデマ情報に振り回されて接種を拒んでいるとしたら論外であろう。幕末、天然痘の牛痘のウイルスを人に接種した時には「打つとウシになる」との根強い迷信があったそうだ。デジタル、IT社会になって情報は溢れているにも拘らず、人の心理的な距離を埋めるのは容易なことではないらしい。

                         2021,8,2

小学生の夏休み

数年前の夏、沖縄の慶良間諸島に初めて行き、こんな透き通った海が日本にもあるかと感激したものだ。何せビーチサンダルを脱いで泳ぎ始めたその先にウミガメが優雅に泳いでいるではないか。どちらかと言えばレジャーは完全に山派、森林浴に出掛けることが殆どであった私にとっては新世界を観ているようで、数日間はアドレナリンが多く放出されていた。先週から新型コロナウイルスの感染が爆発的に増加しているが、せっかくの夏休みを子供達には普段経験の出来ないことを体験させたいものだ。人流を抑え込む必要性は理解できるが、子供達の夏休みは大人たちの休暇とは意味合いが異なる。家族旅行、友達家族との交流などいい思い出作りを全てシャットアウトしてしまって本当に良いのか。飲食店におけるアルコール類の禁止、時短要請などではなく、せめて小学生のいる家庭の旅行だけは認めるなど、各自治体においてはスピード感のある臨機応変な思い切った施策を実行できれば、子供達の見えない心のストレスも少しは減らすことに繋がらないだろうか。

                         2021,8,1

診断の違い?

5歳の男の子の親御さんが、掛かっている小児歯科で子供の乳歯にむし歯があるので治療が必要と言われたが、むし歯があるようには思えないので診てもらえないかとお越しになられた。診察の結果、処置が必要と思われる“むし歯”は全く見当たらなかったので、画像もお見せして親御さんにはご理解して頂いた。どうして診断がドクターによってこれほどまでに違うのですか?とは患者さんの思う素朴な疑問であろう。正直なところ私も不思議である。仮にむし歯だったとした場合に、先ずすべきことは歯を削る治療ではなく、そのような状況に至った経緯、環境を改善させることであり、多くは食生活習慣に原因がある。『歯の治療を受けても決して歯は良くなりません。形態の修復を行っているだけであり、半永久的には治した状態を維持できない』。従って、患者さんには何が原因でむし歯になるのかをきちんと理解して頂かなければ、セルフケアも含めた本当の予防には繋がらないでしょう。治療で歯科医院に通うのは卒業しませんか?

                         2021,7,31

マーケット・クリエーション

Sonyの復活劇は見事だ。JALが京セラの稲盛和夫さんによって本来のサービス業の根底にある考え方、お客様のことを第一に考えるとはどういうことかを社員に徹底的にレクチャーし、意識改革を進めたことで奇跡の復活劇をとげたのとはまた違う形でも復活のようだ。Sonyの起業精神でもあるような「マーケット・クリエーション」は文字通り自ら市場を創り出すことを意味する。企業であれば市場調査は必須のものであるはずだが、井深大さんは、ユーザーの期待値を圧倒的に超えるものを創り出すことによって「やっぱりSonyは違うな」というものを世の中に提供してきた。その精神が蘇ってきたようである。私が子供の頃には「世界のSony!」が当たり前であったが、日本経済の地盤沈下と同じように長らく低迷の時期が続いた。しかし、埋み火のごとく創業者の精神は社員の中に宿っていたようだ。現在シニアアドバイザーとしての平井一夫さんの著書には「経営者はEQ(心の知能指数)が高い人間であれ」とある。世の優れた実績を残されている経営者の共通項はこの“EQの高さ”であり、そんな経営者がいる企業・組織はどのような社会状況にあっても揺るがない。

                         2021,7,30

上杉鷹山

ジョン・F・ケネディがアメリカ大統領就任時の記者会見で、尊敬する政治家を問われた時に、日本の上杉鷹山と答えたことをご存知の方はそう多くはいないのではないでしょうか。東洋思想の美点のひとつに、経済と道徳を関連づけて論じることがある。ケネディが鷹山のどのような政治姿勢を評価していたのかは私は存じ得ないが、鷹山の言う「富とは常に、徳の結果もたらされるものであり、人々に徳を身につけさせることが国を繫栄させる」という政治信念にあったのかもしれない。もとは儒教の教えを敬愛する細井平洲から教え込まれていたそうだが、享楽的な幸せという考えは、鷹山の理念とは相いれないものだったに違いない。渋沢栄一翁も道徳と経済論は切り離せないと説いている。さて、現状の日本を俯瞰してみようではないか?道徳論を論じる資質のある政治家がどれだけいようか。口先だけの公約や理念に国民は飽き飽きしている。以下同文の政治家ばかりではこの国の先行きが思いやられる。

                         2021,7,29

原稿読みでは‥‥

東京オリンピック2020における日本選手の活躍が挨拶代わりとなってきた。今晩の男子体操個人の橋本大輝選手の逆転劇も誰かに伝えたくなるぐらいの興奮を覚えた。選手達の活躍もさることながら、競技後のコメントには感心されられる。「涙を流してしまうと、今の状態に満足していることになる。変わらない努力で頑張っていきたい」。さらなる高みを目指す覚悟を口にしていた。末恐ろしい19歳である。男子柔道73キロ級金メダルの大野選手は、「(五輪開催への)賛否両論があることは理解しています。ですが、われわれアスリートの姿を見て、何か心が動く瞬間があれば本当に光栄に思います」。素晴らしいコメントだと思いませんか、菅総理!心が動かなければ人間は行動に移れないのです。高藤選手へのお祝いの電話の場面が放送されていましたが、祝福の言葉も手元に目線を落としながらしゃべる姿には全く心情がこもっていなように映りました。コロナ感染者数は増加の一途を辿っています。人流を抑えるには原稿棒読みでは国民は耳を傾けないのではないでしょうか。総理、自分の言葉で発信を!

                         2021,7,28

世界への“おもてなし!”

“Japan as No1!”と言われた1980年代の日本企業が隆盛を極めた頃を知る者にとって、今の日本の国際的な地位の低下や競争力の弱さの原因はどこにあると分析するだろうか。全くビジネスの素人である一歯科医には勿論現場を知る由もないが、国力の低下に無関心ではいられない。この20~30年のあいだに日本人の価値観への変化が先ずはあるのではないか。多様化する世の中にあって、国があっての社会であるという意識が薄らぎ、個人の満足度が第一とされる傾向が強くなってきているのは否めないのではないか。社会のデジタル化に伴い、物事を長期的な視点で考えることの大切さは認識しつつも気が付くと短期的な結果を求めるような傾向に政治、企業業績、そして教育現場でさえあるように思える。他国の文化をよく理解しているわけではないが、日本においては「向こう三軒両隣」と言われていたぐらい兎に角人としての信頼関係が第一にあり、そのうえで社会が成り立って来たことは間違いない。そのような文化で育った人間が社会人となり、企業戦士として海外の人間と渡り合っていくには、先ずは個人的な信頼関係、付き合いが長いとかいった情緒的な発想があるはずである。しかし、それは日本で通じる話であり、国際ビジネスにおいては全てがビジネスライクであり、日本企業の意思決定の遅さはそのような土壌、文化にあるのかも知れない。グローバル化する世界経済の中で、世界に歩調を合わせる必要もある一方で、時間をかけて日本的なビジネスの良さを浸透させていくことも必要ではないだろうか。商社マンの患者さんからは、相互信頼を重んじる点では東南アジアの文化は日本に近いと感じるとのことだった。日本人の相手を思いやる心、“OMOTENASHI!”はどこにおいても基本である。

                         2021,7,27

社会貢献への入り口

咬み合わせの治療で2年間のトレーニングを終了した9歳の女の子がいる。治療開始当時は7歳であるから本人がというよりも親御さんが子供の歯並びを気にされて来院された。上下前歯部の叢生(歯の重なり)を認め、奥歯も内側に傾いていたことから、口呼吸と咬唇癖、異常嚥下があることは診査前から予想されたことである。不正咬合の原因は1)口呼吸、2)異常嚥下、による舌を含めた口腔周囲筋の筋肉パターンの習癖にあることを親御さんにはしっかりと理解して頂き、2年間のトレーニングを継続して頂いた。上唇の形も富士山型から理想的な形態に改善され、水を飲む際の舌突出癖もなくなった。そして何よりも上下の歯列弓形態がそれなりに揃い、上下的な咬むポジションも理想とされる位置に誘導され、顎顔面骨格の正しい成長が獲得できていると判断し、一連の治療トレーニングは終了となった。人間の持っている生体治癒力の活性化、正しい環境を整えることさえできれば、成長途中にある子供の歯並び、咬み合わせは改善できる。歯科における「予防」とは、う蝕(むし歯)予防だけではない。長い一生のスパンで捉えると、小児の不正咬合の改善は子供達の将来の健康体を創り出すための“大予防処置”であり、成人になった時の笑顔の復活や対人関係の好転を促し、ひいては仕事の成功を通じた社会貢献へと発展していく可能性を産み出します。精神的にも社会的にも満たされる幸せな人生が歩めるように、当医院は子供達に寄り添い、トレーニングの指導をこれからもさせて頂きます。

                         2021,7,26

アスリートファースト

この猛暑の中でオリンピック開催はやはり選手にとっては命の危険が伴うような状況になってきた。テニスのトッププレイヤーが試合時間の夕方以降への変更を要望していると報じられている。賛成である。地面の体感温度は50度を超えていると言われ、立っているだけでも息苦しいのではないか。水分や塩分補給を十分に摂ったとしても次元の違う危険な暑さである。大会関係者の柔軟な対応が求められるのではないだろうか。今回のオリンピックでは関係者の辞任が相次いでいるが、ここは組織委員会の名誉挽回を期してアスリートファーストの運営を心掛けていただきたい。

                         2021,7,25

夏休み

私が小学生の頃の夏休みといえば読書感想文と自由研究が必ず課題として出された。今はどうなのだろうか?休みに入ると同時に早々と感想文を書きあげる生徒いれば、2学期の始業式まじかになって書き終える子供もいよう。当方は決まって後者であった。では夏休みに何を毎日していたのかと思い出すと、地元の少年野球チームの練習で3時間ぐらいは汗をかき、練習後には友達とプールに出掛けたり、カブトムシやクワガタを捕まえに自転車で遠くまで出掛けたものだ。毎年それらを探しに行っていると、何となく隠れているところも見当がつくようになり、蜘蛛の巣を払いながら木の枝をシャベル代わりに使って探し出した。今では郊外や野山に出掛けなければ、虫に会えないのは仕方がないことではあるが、子供達に人と自然をつなぐ存在である虫と触れ合う楽しさを知って欲しい。塾での勉強やスマホいじりでは、人間の感性は育たない。

                         2021,7,24

キシリトール

本州の避暑地にも白樺は数多く見られるが、北海道の白樺の幹の太さは格が違う。モスクワ近郊を歩いた時に見た白樺の巨木が思い起こされる。職業病なのか白樺を見ると白樺=キシリトールと連想してしまう。キシリトールは、白樺や樫の木等の原料から作られる天然素材の甘味料であり、う蝕(むし歯)原性菌や歯周病原菌の口腔内への定着とともにプラーク(歯垢)形成を抑制する。さらにリン酸一水素カルシウムを含有したガムやタブレットが市販されているが、それらは口腔内の試験で再石灰化の効果が認められているので、口さびしい時に食べるにはお勧めである。決して歯磨きの代わりになるものではないが、食後すぐに歯を磨けないようなときには上記のガムを咀嚼すると歯面がツルツルした舌感になることがお分かりになると思う。旅の移動中などには欠かせない一品である。

                         2021,7,23

北海道

北海道も夏は暑くなったとは言うものの、富良野、美瑛まで来ると朝晩は過ごしやすい気温まで下がってくる。森の木々、何処までも伸びる一直線の道路、見渡す限りのトウモロコシ畑、牧草ロールが転がる大地は、日頃コンクリートに囲まれた土地で過ごす人にとってそれだけで交感神経の興奮を休める貴重な場所となる。現地で生活する人たちにとってはそれなりのご苦労もあるだろうが、大自然の恵みを時には体感したいものだ。ヨーロッパには約40種類の樹木しかないが、道内には約1,500種類存在するそうだ。それらからなる木の実は約15,000頭いる熊の食料にもなっている。道路脇にはクマ出没の日時が今日も表示されているが、今まで同様地元の人たちとの共存が上手く継続されることを願いつつ、癒しの旅をもう少し続けよう。

                         2021,7,22

アイスクリーム

子供の頃、夏休みになるとアイスクリームを作るのが楽しみの一つであった。自分で作る楽しみ、親にも美味しいと言ってもらいたいワクワク感が何をするよりも好きだったのかもしれない。もっとも今ほど市場に種類豊富なアイスクリームが出回っていなかったことも背景にはあるのかも知れない。そのアイスクリームの世帯当たりの消費支出が昨年、初めて1万円を超えたという。そんなに皆さんアイスクリームをご家庭で食べているの?って思う方も多いのではないでしょうか?おそらくよく食べるご家庭では冷凍庫に常備されていて、外出先から戻ったら手に取る、お風呂上りにパクリと食べる習慣があるのではないでしょうか。冷たいものを食べたい気持ちは分らんでもないが、糖分摂取量や食生活習慣の観点からも勧められるものではない。コロナ禍の「巣ごもり需要」と連日の猛暑で冷たいものを欲しくなりがちだが、何事もバランスよくが基本である。

                         2021,7,21

「おもてなし」とは?

「お・も・て・な・し」とは程遠い東京五輪・パラリンピックが開催される。選手村に入村した外国人選手のSNSでは部屋の狭さが問題視され、21世紀の日本とは信じがたいとコメントがされている。大会の組織委員会長であった方の女性蔑視発言にはじまり大会関係者の辞任が今この時点においても続いている。「多様性と調和」の精神からは相容れない人材登用であったと言わざるを得ない。日本、そして日本人の素晴らしい考え方を世界に発信できる良い機会であったにもかかわらず残念である。日頃からヒューマンスキルを鍛えることをしてこなかった面々なのだろうか。そもそも「おもてなし」の本来の意味合いは、私の中では顧客の歓心を買うために愛想をふりまくことや、顧客におもねることではない。相手に対する敬意の最高表現は、自分自身が教養ある身だしなみ、言葉遣い、態度をとることの出来る人間でいることに尽きると考えている。それすら分かっていない関係者や政治家にはやはり問題があるのではないか。五輪・パラリンピックだけが特別なのではない。

                         2021,7,20

高校3年生

夏の高校野球の各都道府県の予選が行われているが、愚息の高校は昨日惜しくも敗れた。3年生にとっては負けイコール引退であり、負けた悔しさ以上に部員皆で必死に練習に取り組んできた日々のことが脳裏に浮かび、自然と涙が溢れ出すのだろう。負けずに引退できる3年生は全国で1校だけである。結果も大事だが、各自が目標に向かって努力してきたことが後々生きてくるのが人生というものだ。打席で緊張したことも経験であり、公式戦初ヒットを打ったことが何よりも自信になって、その時のボールを芯で捉えた感触は永遠と忘れることはないだろう。さあ、高校卒業までの残り数か月は次の目標に向かってスタートだ。努力は嘘をつかない。イチロー選手が言っていたことを思い出そう。「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行く唯一の道だ」。


                         2021,7,19

ゆでガエル

 今朝の蒸し暑さはこの夏一番か?と思うぐらいに暑かった。走り始める前の柔軟体操ですでにTシャツは汗びっしょりだ。毎朝携帯のアプリで天気と気温の確認をするのが習慣となっているが、各地域のポイント予報まで正確に知ることができ、普段出かける際には非常に役に立つ。お陰で出掛ける前に空の様子を見ることが無くなった。私が子供の頃はテレビの天気予報は都道府県における午前午後の予報を知らせる程度だったと記憶しているので、予報一つとっても科学技術の進歩は凄い。しかしその科学技術をもってしてもこの暑さはどうにかならないものだろうか?今年の夏はまだ始まったばかりである。自然界に生きる動物としてみた場合に、冷房がなければ生活が出来ない状況というのは異常である。我々はすでにゆでガエルになっているのだろうか。


                         2021,7,18

オンオフの切り替え

 昨年からのテレワークで曜日感覚がないと患者さんから言われることがあり、毎朝NHKのラジオ講座でも受講してみたらどうですか?と冗談で勧めたことがある。朝も定時に起床することで体内リズムも整うというものか。曜日といえば、今年はオリンピック開催による祝日の変更がある。来週の19日(月曜日)はカレンダーは祝日扱いになっているがこれは間違いであり、連休ではない。皆さん、お間違いのないように!それにしても今年に限らず以前の体育の日、成人の日などはなぜ日にちを変更したのでしょうか?体育の日は東京オリンピック開催を記念して10月10日ではなかったのか、成人の日は1月15日だったはずである。土曜日を休みにすることによって3連休を意図的に多く取らせようとしたのか。民主党政権の時にその法案が可決したような記憶があるが、間違っていたらご容赦頂きたい。在宅はオンオフの切り替えをしにくいようだが、オリンピックのリモート観戦でさらに境目がなくなるようでは、こちらも何かしらの独自宣言が必要になるかも知れない。

                                 2021.7,17

暑さとコロナ対策

 連日の暑さに命の危険を感じるのは都内のヒートアイランド現象によるものか。緑豊かな地方においても同様な暑さが続いているのだろうか。犬の散歩も早朝でなければマスクの密閉さからこちらも息苦しくなるぐらいだ。今年の夏は例年以上に厳しい暑さになることが長期予報で言われている。涼を求めてどこかに行きたいところだが、コロナ禍においてはそれもままならない。子供たちにとって楽しい夏休みを皆さんどう過ごされるのだろうか。自宅近くの市民プールは先週から2年ぶりに開園されたが予約制となっている。子供の遊びまで制約があるとはなんとも窮屈だ。のびのびとマスクを外して思う存分遊べる環境をなんとか提供できないものか。神奈川県も独自の緊急事態宣言を発出したが、コロナへの免疫どころか緊急事態宣言への免疫が国民にできてしまったようだ。熱中症とコロナ感染へのダブル対策に根負けしないようにしたい。

                                 2021.7,16

ジャパニーズピープル

 オリンピックの開催決定権はIOCにあるのか、日本国政府、東京都にあるのか。コロナ感染者の急激な増加にもかかわらず、安全安心のもとオリンピックを開催する自信があるとバッハ会長の言葉である。各競技の無観客も決まり、地の利を生かした日本選手の活躍はどうなるのか。無観客では試合の盛り上がりにも欠けるとして、世界のトップレベルのテニス選手も参加を見合わせている。私が高校生の頃にロスアンゼルスオリンピックが開催され、宇宙服を着た人が空を飛んで登場したのを記憶しているが、そのときからオリンピックは商業化へと舵を切りはじめた。無観客ではオリンピック委員会の収入源にも大打撃と思いきや、テレビの放映権料が入るからIOCの腹は痛まないと聞く。オリンピックは本来アマチュアスポーツの祭典ではなかったか。オリンピック開催ありきの運営方針では、筋が通らないことにもっともらしい言い訳をする弁の立つ人が重宝されるのか。経済よりも人間性を重視するのが本来のジャパニーズピープルであると、バッハ会長には伝えたい。

                                 2021.7,15

知は力なり

 西村大臣の発言を野党がここぞとばかりにやじり始めている。このような国会議員の不毛なやり取りほど税金の無駄はあるまい。中曽根康弘元総理や石原慎太郎さんの国会や予算委員会などにおける発言を思い起こすと、議員としての器の大きさの違いを感じる。揚げ足を取るような発言に終始する議員には議員バッジを早々に外して頂き、国家観をしっかりともった、日本人としての矜持と誇りを持って弁じる議論をして頂きたい。ここ数年の国会議員にはとにかく緊張感がないように思えてならない。「知は力なり」を中曽根さんや石原さんからは教えられる。衆参両議院の皆様は、国民から選ばれ国に奉仕する仕事を司っていることをどれだけ認識されているのか。敢えて名前は出さないが、現職議員のなかでも北方領土問題の解決に向けて命がけで議員をされている方の姿をみると、なぜもっとそのような活動や姿勢が評価、指示されないのか不思議でならない。私利私欲、我欲に走っている人が多くなってきたことは、職種に拘わらず国家的な危機であろう。


                                 2021.7,14

リニューアル

 「高速リニューアル」とは今放映中のNEXCO中日本のCMである。日本の高速道路は昭和30年代後半から着工が始まり、多くは補修工事などが毎年どこかで行われている。風雨に晒され、乗用車から数トンのトラックの過重にも耐えながら酷使され続けている。物体である以上は必ず経年劣化は生じるものであり、一軒家、鉄筋コンクリートの建物、航空機なども同様である。本日治療をさせて頂いた患者様の口腔内の修復物は、以前治療してから20年以上は経っているとのことだったので、金属の下がどのような状況になっているかはある程度察してはいたが、想定以上に歯質の感染が広がっており、他の修復物が装着されている歯の状態も危惧されるところである。考え方は「高速道路リニューアル」と同じであり、20年も経過していれば金属などの修復物が治療当時と全く同じ状態で接着されているはずはなく、脱離などしなくても数ミクロンの隙間から細菌感染が進行すれば、二次齲蝕(むし歯)となり治療が必要となる。ブログをご覧いただいている方のなかで過去に処置を受けられた箇所がある方は、マイクロスコープを使った精密な診査を受けられることをお勧めいたします。


                                 2021.7,13

徳のある人間に

 数年前から日本の水資源を狙ったと思われるような外国籍の土地所有が問題になっていたにもかかわらず、政府は全く土地規制法案などに本腰を入れて取り組んでいない。外国籍と遠回しな言い方はやめよう、人口14億の共産国である。ドイツでは外国人が土地を所有することは禁じられている。世界がどんなにグローバル化しようが自国の土地を外国人に買い取られて呑気でいられる日本人は平和主義者とでもいうのか。昨日の日経新聞には、中国企業がアジアやアフリカの土地を囲い込んでいると掲載されていた。その取得している面積が尋常ではない。世界は一国の野放図なふるまいを見て見ぬふりをしているのか。経済よりも大事なものを忘れていませんか?瀬戸謙介さんの書かれた本には、日本人の求めた第一の徳は“誠実な心”とある。一方で中国では“誠実な人間は命をなくす”と言われていて、子供に「人を疑う」ことを教えるそうだ。そんな環境で人が育てば、相手を威嚇するような発言を繰り返す報道官の姿にも納得できる気がする。


                                 2021.7,12

受験生

 高校三年生の受験生が悩んでいる。治療前のちょっとした会話で勉強の不安をのぞかせていた。誰にも時間は平等に与えられている。その時間をどのように過ごすのかによって先の人生は変わってくる。“青年老い易く、学成り難し”。若者であれば無限に時間があると思いがちだが、そのようなことを考えもしないで日常を過ごしている学生がいるとしたら由々しき事である。夢や目標に向かって邁進するには、現実とのギャップに負けない志が試されるときでもある。経験も実績もなければ自信も湧いてこない、それが若さというものだ。しかし、若いがゆえに失敗が許されるときでもある。失敗のない人生なんてない。もしもあるとしたら、その人は何も一歩を踏み出さなかっただけだ。受験生よ、結果を恐れず、日々100%の力を出し切って前進あるのみだ。1回で分からなければもう一度、それでもできなければさらにもう一度。難問も出来るようになれば心身ともにスカッとするものだ。


                                 2021.7,11

歯科受診

 「昨日歯が痛くて歯医者に行ったら歯を抜かれちゃって、しかもその歯医者下手で~、抜くのに30分以上も時間が掛かってさぁ、もう行きたくないよ!」。通勤電車内で聞こえてきた若い女性の会話である。さすがに歯の話となると手元の本を読んでいても気が散るものだ。歯を抜かれちゃって~、という言葉からは本人は納得していないのだろうか、先生はきちんと患者さんが理解できるような説明をしないまま処置をされてしまったのだろうか、などとその時の状況を想像してしまう。今でも多くの方は歯が痛くなるなど口腔内に何か問題が生じない限りは歯科医院には脚を運ばないのだろうか。身体のメインテナンスはある年齢になってくると必要だと感じるが、口腔の問題は内科的なことだけではなく体幹とも関係してくるので、症状の有無で受診を検討するのではなく、普段から自分の口腔内の状態を確認、経過を追うということで歯科医院を活用することを心掛けて頂きたい。歯科的な急性症状が無い限りはきちんとした口腔ケアを確立し、記録写真を継続して保存し、経過を診ることが歯の予後をよくする一番の方法である。昨日歯を抜かれた女性にも、定期的な歯科へのかかりかたをお伝えしたい。


                                 2021.7,10

本気度!

 東海大相模と聞けば私にとっては原貢監督、原辰徳選手の親子鷹を直ぐに思い出す。勿論甲子園での活躍は記憶の奥にしまわれている。2年前の夏の県予選を久しぶりに応援、観戦に行ったが、慶應高校をコールドで倒すなど、スコア以上に中身の濃い、レベルの高い完成された野球に、とても高校生とは思えない驚きを覚えたものだ。その野球部を率いておられる門馬監督が今年で勇退されると先日報道されていた。そんな門馬監督は29歳から相模の野球を指導しておられ、「目標は日本一、目的は人間完成」を明確に掲げられている。長年の指導経験から、「願望の強さと素直さを兼ね備えた子供達は伸びていく。」とのこと。つまりそのような子供は用意した梯子を喜んで使おうとし、そうなると生活習慣も日本一を意識したものに変わっているとのことだ。逆に願望が弱かったり、このくらいでいいだろうと余力を残している子、勘違いをしている子は伸び悩むケースが多いようだとも述べている。願望‥‥、本気で物事に取り組んでいる人間は果たして今の世の中どれくらいの割合でいるのだろうか。本気になった瞬間、どんな局面でも乗り越えられるとは門馬監督の持論だ。どこかうまくやろうとしてなかなか本気さを出さない、そんな大人が多いようでは国は衰退する。日常生活の一つひとつが損・得ではなく、善・悪の判断でできるような習慣化が荒廃した社会を立ち直らせる基礎であることは疑う余地はない。


                                 2021.7,9

呆れる輩

 朝の通勤時に電車内にて“ハクション!”と大きなくしゃみ🤧をする男がいたのだが、隣の女性が「なんでマスクを外してくしゃみするのよ!何を考えているの、唾が飛んできたわよ!次の駅で降りて、もう信じられない!!」と叫んだ。ご尤もである。このご時世に、何のためにマスクをしているのか本当に腹正しい。当の中年男性はなんでそこまでヒステリックになるのかと言わんばかりに注意した女性を凝視していた。思うのだが、こういった常識も良識もない人に対しては何を言っても無駄であろう。以前私も路上駐車している運転手に、「ここに車を止めているからこの角を曲がれないで待っている車がありますよ!少し前に動かしてくれませんか?」と話しかけたところ運転手に逆切れされたことがある。仕舞には警察のご厄介になったのだが、その時の警官の言葉が「いろんな人がいるので注意するのも気をつけてくださいね。注意するまえに私どもに一報下されば直ぐに参りますので!」であった。常識も良識もないうえに馬鹿としか言えない輩には辟易する。家庭教育の荒廃がこのような状況を作り出しているというのは間違いか?人として恥ずかしくない生活を心掛けたいものである。


                                 2021.7,8

五感

 形も大きさも不揃いなトマトだが、朝採りのみずみずしさは格別に美味い。早朝ランニングの帰りに立ち寄る近くの農家での早朝販売所では、土の付いた状態で夏野菜が並んでいる。私が子供の頃は農家の一角を家庭農園としてお借りしてナス、キュウリ、トマトなどを栽培したことがあり、畑に散水しに行き日々実が大きくなるのを見るのが楽しみだった。たわわに実ったトマトをもぎ取るあの瞬間、子供の手には大きなトマトは重く感じたものだ。最近の子供達は土いじりをする機会もほとんどないようで、小学校の芋ほり体験では手が汚れるのでゴム手袋を使用するお子様もいるとのこと。何のための体験なのか。まさかとは思うが、トマトやキュウリがどのように実ってくるかを知らない子供や大人はいるのだろうか?ネットで調べれば回答は得られるが、それでは五感は育たないよね。学校の成績よりも大事なものは沢山ありますよ!

                                 2021.7,7

勤王の志士

 案の定と言っても良いのか、新型コロナウィルス感染者の増加が続いている。この感染症に打ち克った暁にオリンピックを開催するということではなかったのか。嘘はいけないでしょう菅さん、政治がこれでは子供達への教育にも悪影響を及ぼすだけですよ。オリンピックは開催するが、子供達の運動会、体育祭そして学園祭などは中止の要請では、誰も政治に期待はしないでしょう。大人の都合、政治家の都合もいろいろあるでしょうが、カンペを見なくても記者会見が出来る内容のある発言を為政者には求めたい。国民をまとめるべき立場にあるお歴々がこれでは与党も野党も関係なく、国民からは支持されないことでしょう。記者の方にも子供達でも分かる質問をして頂きたい。“運動会はオリンピックよりも感染リスクが高いのでしょうか?”と。現状の政治に失望し、今の子供達から勤王の志士たちのように20年後ぐらいに志ある政治家が誕生することを願う。

                                 2021.7,6

土石流

 今年の夏も線状降水帯によって甚大な被害が出た。熱海で起きた土石流によって死者、行方不明者が多数いる模様だ。熱海と言えば昭和の頃は会社などの慰安旅行、忘年会などでホテル、旅館は常に賑わっていたと聞く。その後は時代の変化に追いつけず観光客は激減したが、ここ10年ぐらいは顧客目線の戦略を立て、若者が足を運ぶまでになっていた。一度でも足を運んだことのある人であれば、熱海の地形に平坦なところがないことがお分かりだろう。想定外と言えばそれまでだが、想像をはるかに超える雨量が短時間に急斜面に吸い込まれ、自然の保水力では持ちこたえられなかったということだ。50年に一度、100年に一度などの表現も当たり前に耳にするようになっている。避難している人からは「こんなことになるとは思わなかった」との悲痛な声が上がっている。災害から身を守るためには平時の準備が欠かせないのは分かっているが、いざ自分の身に同じような状況が迫ったら事前に避難できるのか、ハザードマップを確認するしかない。

                                 2021.7,5

 渋沢栄一に見習うべきところは大きな志を実現するためには、その道のりの途中で小さな志を捨てても構わないということ。彼が10代で立てた大きな志は「武士、つまりは為政者になって良い国を作りたい」というもの。しかしその後為政者を辞め、「欧米列強からの植民地支配を受けないような国にする」というところに辿り着き、「良い国をつくる」という志を持ち続けた。尊王攘夷運動に始まり、官僚から実業界への転身、自分のことなど考えることなく沈みかけていく日本を救うために奔走した。人の批判は誰でもできる。激務が長期化して過労から入院された小池東京都知事が退院し、記者会見に応じていたが、どうみても体調は悪そうである。「このコロナ禍の大変な時に現場を離れたことをお詫びしたい。都政に全力を注いで倒れたら本望である。」とはあっぱれである。しかし倒れてもらっては困る。都知事にも負けないぐらい我々も余力を残すことなく日々過ごしているか内省すべきところはないか。自己の能力、体力を上回る力が発揮できるのは、その先に“志”がある者だけに違いない。

                                 2021.7,4

アナログ

 一日のなかで、スマホを手にする時間は何時間ありますか?一日スマホに触れなかったらどうなりますか?日常生活の中でネット環境から離れることがない現代人ですが、心や脳内環境に影響はないのでしょうか?“スマホ脳”を読まれた方も多くいらっしゃると思いますが、アップル社の創業者スティーブ・ジョブズのエピソードは有名である。彼の子供が10代の頃にはiPadを使わせる時間を厳しく制限していたという話は新聞のコラムなどでも紹介されている。彼はテクノロジーだけではなく、それが私たちに与える影響においても先を行っていたのだ。我々の脳の発達は決してデジタルにはなれない。心の成長も含めて昔と変わらないアナログなのである。湯川秀樹氏は「我々は脳細胞の3%程度しか使っていない」と述べられていた。現代人は脳の使うべき環境を今一度整理してみる必要があるのではないか。効率性、使い勝手ばかりを追い求める社会構造についても、立ち止まって考える時が来ている気がする。

                                 2021.7,3

甘えの構造

 小学生低学年のお子様の口腔周囲筋トレーニングには親御さんが付き添いでお越しになられるが、待合室における親子の会話やカウンセリング時の親御さんのお子様への声掛けを見ていると、“随分と甘やかしているな~”と感じる場面に遭遇することがある。お子様が何かを発言しようとしているにも拘らず、子供を遮って"‥‥だからだよね?”、"‥‥だったらできるよね!"のように子供が意思表示をする前に察して手助けをするとでも言うのでしょうか、子供が困らないように先回りするような行動が私は気になる。必ず誰かが先回りをし、助けてくれるものだといった甘えの構造が出来る初歩段階がこのような場面ではないか。まあ、考えすぎかもしれない。しかし、子供達と会話をしていると、高学年になってもあまりにもひ弱な会話しかできないお子様が多い気がするのである。塾通いをしなければ勉強ができないのも如何なものかと思わされる。困ったことがあれば子供なりに考えて次の行動に移るものではないか。受験の時は誰も手助けはしてくれないし、将来もずっと誰かが助けてくれるわけではない。大人になった時のメンタルの弱さは、子供の時のこのような環境がある気がしてならない。

                                 2021.7,2

悲惨な事故を防ぐには

 クルマを運転する者にとって安全運転は課せられた義務である。恥ずかしながら当方は一時停止を怠り警察のお世話になったことがある。自分としては停止線に止まった確信があったので、警察官には“止まりましたよ!”と口答えをしてみたものの、“運転手さんのは停止ではなく徐行ですよ。”と言われ万事休す。言われてみればブレーキは踏んでいたが完全には止まっていなかったのが事実である。違反である以上程度の差はあれ許されることではない。その教訓は私の運転に活かされている。千葉・八街で起きた飲酒運転による児童の死亡事故では、ありふれた日常が一瞬にして暗転した。亡くなった命は戻らない。日頃から事故を起こした運転手は飲酒運転を繰り返していたのだろうか?このような事故は後を絶たない。罰則を強化したところで何も変わるまい。日頃からの心がけ、日々何を想い、何のために生きているのか、自分の生き方と真剣に向き合って生きていればこのような出来事は防げるのではないでしょうか。教育を何とかしなければ、何年たっても同じことは繰り返される。

                                 2021.7,1

オオタニさん!

 私が社会人として働き始めた年に野茂英雄投手がドジャースに入団し、当時のJapan times誌に“Challenge yourself,otherwise you cannot accomplish anything!”とコメントを寄せていた。その後の日本人選手の活躍は目覚ましいものがあるが、今年のエンゼルスの大谷選手の二刀流の活躍には私たちだけではなく、野球の本場のファンたちにも驚きを与えている。昨日は二刀流の元祖ベーブルースが在籍したヤンキースを相手に挨拶代わりの第一打席でホームラン。そして今日は2本打つ活躍とは勢いが止まりそうにない。現時点では本塁打数では2本差のトップだ。松井秀喜選手を数字の上で上回ることも素晴らしいが、明日は先発投手として投げる予定というからその体力にも驚きである。リーグのホームラン王が先発投手を務めるということは、ひと昔前で言えば王貞治選手が先発投手をするということであり、怪物ぶりが分かるというものか。野茂英雄選手の二度のノーヒットノーラン、イチロー選手のMLB最多安打数、新人王、松井秀喜選手のワールドシリーズMVPなど日本人選手の輝かしい功績は誇らしいが、さらに大谷選手の大リーグの歴史に残る快進撃は不可能を可能にするお手本のようで、ますます目が離せない。

                                 2021.6,30

令和維新

 約150年前の日本が列強から植民地支配を受けそうなときに、天皇を中心に日本を守ろうとした吉田松陰、坂本龍馬、西郷隆盛、橋本佐内の“勤皇の志士”達が今を生きていたら、日本をどのように改革をしていこうとしただろうか。彼らは本気で国を憂い、自分の身を犠牲にしてでもこの国を守ろうとした。北はロシア、西は北朝鮮、東シナ海における中国の脅威はなんら昔と変わっていない。変わったのは、“志士”がいなくなった日本の国内事情だ。現実と志の狭間で苦しく辛い思いをすることが多い、それが志士の意味合いだ。目先の政策ではない。長期的な視野に立ってこの国をどのような方向に導いていくのかを国民は知りたがっている。マスコミ受けするような言動は要らない。政治家として、一人の人間としてどう生きるかを示し、正しい志をしっかりと持ってそれを貫こうとする姿勢を常日頃から国民に伝えていかなければ一票は頂けない。長い歴史を遡れば明治維新は少し前の出来事である。今そこにある危機に対して我々はどのように対処し、どのような指導者を選ぶかは、我々が日頃から国のことを考えなければ決められない。

                                  2021.6,29

恵まれた環境?

 “人としての学びの場は家庭にあり!“。経済産業省の若いキャリア職員が給付金の詐欺容疑で捕まった。周到な計画を練った上での犯行のようだ。名の知れた一流大学を卒業し、周囲からは前途有望と思われていたに違いない。どこで歯車が狂ったのか?近年はこのような高学歴な人間の不祥事が後を絶たない。頭でっかちで育った典型例なのか、幼少の頃から周りの期待に応えることが子供としてすべきことと教育されてきたのか、育った環境を遡って知ることが出来れば、共通した事件の目に見えない背景が浮かび上がってくるかもしれない。世間で言う恵まれた環境の定義は人によって異なる。欲を言えばキリがないが、どんな状況であろうと、与えられた場をありがたいと思えるかどうかが人生の分かれ目、一歩目になるのかもしれない。

                                  2021.6,28

内省

 “失敗は成功のもと”と言われるが、無難なことしか行ってこなかった者をリーダー的な地位につけるとどのような組織になるか、昨今の組織の長の弁明などを聞いていると見えてくる。言葉の言い回しや中身のない政治家の答弁などを聞いていても、職業がどうあれ人としてどうかと思わされることが多いような気がする。失敗や挫折は、個々の能力を高め、器を磨き、人物を高める良い機会と謙虚になれば、労苦を耐えた先には痛みの分かるリーダーになれるはずである。しかし、仕事上の知識やスキルばかりを高めても、そのような考えには辿り着くことはできない。何が欠けているのか?自己の内面と向き合えば自ずと答えは出てくる。人としての在り方であろう。難しいことではない。一日の終わりに、今日一日の自分と向き合って内省する。それが継続できれば常識、良識のない人間には到底ならないのではないか。

                                  2021.6,27

ノスタルジア

 携帯電話の普及に伴い公衆電話を見かけなくなりましたが、私が子供の頃は10円玉を何枚も投入して掛けていましたし、学生の頃はテレフォンカードを挿入してコイン投入の煩わしさから解放され、社会人の頃にやっと携帯電話が世の中に御目見えしました。昔の公衆電話ボックスはまだどこかにあるのでしょうか?そんな公衆電話もイギリスでは第二の人生を歩んでいるとのこと。あの赤くてちょっとレトロな雰囲気のある電話ボックス。それをうまく生かして、ミニ図書館やコーヒー店などに改造して使用する。赤い電話ボックスはイギリスの文化として根付いているので、それを活用しようという取り組みのようです。ノスタルジアをおぼえる、そんな心にゆとりを持つ街の再開発を日本でもみたいですね。

                                  2021.6,26

腰掛け議員

 日本の人口は5年で86万に減り1億2611万人との国勢調査の人口速報値が公表された。前回の国勢調査の減少率0,8%よりは0,7%に減ったが、人口減の鈍化は外国人の流入があるとのこと。自国の人口減を結果的に外国人で補う形に成っていることに国や我々日本人は危機感を持たなくて良いのか?目先の政策や票取り目的と聞こえるようなキャッチフレーズを連呼する時代遅れの選挙もいい加減にしてほしいが、我々が物事を真贋で捉える目を養わなければ国力低下、国の衰退につながる。東京都議選が告示されたが、候補者の訴え、掲げる政策に耳を傾ける前に、その方々の今までの足跡において言行一致したものがあるかどうか、じっくりと見極める必要があろう。政治を腰掛でされてはたまらない。短期、中期、そして長期的な視野に立って責任ある舵取りをして頂きたい。そういえば、国会議員の野党の中で最近「一生かけてやる仕事ではないと思った。」と言って次回の選挙には出馬しない女性議員がいましたが、国政を担ってきた方の姿勢としては如何なものでしょうか?

                                  2021.6,25

思考する習慣

 “失敗を恐れるな!”と言われたことがあるでしょうか?失敗するとは一歩踏み出した結果でもあり、何の行動もとらない人は失敗すらしない。子供であれば経験値がないが故に全てが新鮮でもあり、未知との遭遇でもある。“失敗できる環境を提供することこそが、選手にとっての学びのチャンスとなる”とはビジャレアルでコーチをされている佐伯夕里利子の辿り着いた指導者としての考え方である。自ら考えて動ごく、これは日本人にとって苦手な文化のように思います。決められたことを行うことは比較的早くできるものの、幼少期のスポーツにおいても自ら考えて動くというよりは指導者の一方的な教え込みやティーチングによってプレーをしている。そのような習慣が身に付いてしまうと、大人になった時にも自分で思考する習慣が育たず、今の時代であればスマホに手を伸ばす方も多いのではないでしょうか。

                                  2021.6,24

考える葦part2

 この時期のランニングでは走る前のストレッチで汗をかき、芝生の上で気持ちよく筋を伸ばしていると、あの夏の使者“蚊”が寄ってくる。何とも不快な輩だ。近くの神社の境内にはまだ紫陽花が咲いていて、綺麗な色どりにストップウォッチを止めてスマホでカシャ!季節や天候によって同じランニングコースでも視界に入ってくる風景は異なるが、昨年との大きな違いは「テナント募集」の店舗が増えたことか。何をしていても新型コロナの影響を感じせざるを得ない今の世の中。ランニング中には脳内細胞の活性化が進むためか妙案が浮かぶことが多々ある。昨日のブログにも書いたが、問題意識をもっていろいろと考えることは人間の宿命のようなものだ。考えても問題解決の糸口が見つからないこともあるが、そんな時にこそ気分を変えてウオーキングやジョギングを始めてみては如何でしょうか!

                                  2021.6,23

考える葦

 仕事を通じて人間関係が深くなることはよくある話?なのかどうかはその人次第だと思うが、私にとってはお越しになられる患者さん一人ひとりがまさに一期一会であり、こちらが勉強させて頂く時間でもある。診療時間は治療内容にもよるが60~90分の枠で取らせて頂くが、世間話から始まって会話が盛り上がり、話が切れないときなどは予定していた治療を次回送りにすることがある。そのようなお話をできる方との会話で思うことは、「皆さんしょっちゅう何かを考えている」。しかも「深く深く考えている」ということである。企業にお勤めの方から学校の先生、自営業の方など様々ですが、問題意識をもって毎日を過ごされていることを感じさせられます。そういえば“人間は考える葦”でしたね!

                                  2021.6,22

価値観の違い

 この地にカニの専門店が登場した。私としてはこんな住宅地に?との思いがあり、余計なお世話かもしれないが勝算はあるのだろうかと心配してしまう。なにせカニの需要が世界で上がり、とくにズワイガニの国際価格はこの10年で2,5倍に高騰したそうだ。まあ、普段の食卓に挙がるものではないから当方には関係ない話題ではある。とはいえ価格が気になり調べてみると100gで¥2,000前後もしているではないか!それでも買う人はいるのだろう。ホテルにおいても価格の両極端化が進んでいる。一泊10万円前後する部屋から埋まっていくホテルもあれば、ほぼ同じ立地でも¥5,000前後で泊まれるところもある。価値観の違いといってしまえばそれまでだが、普段の生活で身の丈に合った生活をすることが一番の幸せである。

                                  2021.6,21

身体とCO₂の関係

 我々の身体にはO₂が6%、CO₂が6.5%必要なのを皆さんはご存知でしょうか?CO₂は不必要なもの?というイメージがありませんか?酸素は大気中に21%存在するので身体にため込む必要はないのですが、二酸化炭素は大気中にはほとんど存在しない(約0,02%)ので体内に貯蔵する必要があります。それは肺と血液中です。また二酸化炭素はどのように身体で作られるのでしょうか?多くは運動、つまり身体を動かすこと、そして食事をして消化することで二酸化炭素が産生されます。子供であれば日中に外遊びをして二酸化炭素が沢山作られるはずですが、今の子供達は塾には行っても外遊びをしない子が多くなっており、そのことと睡眠障害や集中力の欠如がどのように関係しているのかを当医院にお越し頂いた親御さんには説明をさせて頂いています。血中の二酸化炭素濃度の低下は身体に生理学的な問題を引き起こしていますので、年齢に拘わらず不定愁訴を抱えている方は呼吸とCO₂の関係を理解することが処方された薬を服用するよりも優先されるべきと考えます。


                                  2021.6,20

頭蓋顔面成功発育の誘導

 “子供の歯並びが良くないので治療をしたい”という主訴で親子で来院された。女の子に“舌を上に持ち上げられますか?舌を上に貼り付けることは出来ますか?”とこちらの真似をしてみるように話しかけるが、舌が上に伸びない。このようなお子様の歯列の形状はほぼ間違いなく四角型をしている。親御さんは何かワイヤーなどの固定式矯正装置を使って歯並びを改善させたいとお子様を連れてお越しになられたのだろうが、歯並びが悪くなった根本原因を考えて頂く必要がある。不正咬合は乳児、幼少期に始まった発育上の問題(正常な呼吸と口腔機能のパターンからの逸脱)であって、歯科医師が診査で診ているのは原因ではなく問題の結果(歯の叢生、歯列の発育不全など)なのである。Thomas Graberは「筋肉と骨が戦えば必ず筋肉が勝つ」と述べています。咀嚼筋と顔面筋の活動を変え、そのバランスをはかることにより頭蓋顔面の成長発育を誘導することが出来るのです。治療も必要ですが、それ以前に現状に至った原因を理解することがより重要なのではないでしょうか。

                                  2021.6,19

組織行動

 歯科医院のような小さな組織であっても決め事、ルールは必要なのかもしれないが、良識のある人間の集まる組織であれば、敢えて細かな規則を作る必要はないと私は考える。育った環境は人それぞれ異なるので、個人によって評価基準や価値観が異なるは当然である。トップの価値観を押し付けるなんてことはあってはならないことである。挨拶をきちんとする、患者さんがお帰りになったら手の空いているスタッフがスリッパの消毒を当然のように率先して行う。院内ミィーティングで全員が積極的に発言する。分からないことがあればためらわずに質問する。このような組織行動が定着している組織では、組織の一員としてごく自然に、無意識におこなっているもので、こういう無意識行動をリードしているものが組織文化だと思います。そしてそのような行動の基礎を形成しているのは、そこに流れる共通の美意識や価値観ですので、教えて出来るものではないでしょう。日常のプライベートの時間の過ごし方、習慣が仕事の在り方を決めるのは言うまでもない。

                                  2021.6,18

歯の強い干渉と痛み

 一般の方には分かりにくいところではありますが、歯科治療において咬み合わせを考える際に、最も強力な咬む力を発揮する場面を咀嚼する時と考えるのか、そうではなく夜間睡眠時の無意識下における歯ぎしりなどの不正な顎の動きと捉えるのかによって、治療のゴール設定は変わってきます。歯はご存知の通り非常に硬い組織ですが、それらが強く理想的でない慢性的な干渉を繰り返すことによってエナメル質表面や象牙質にはマイクロクラックが入りやすくなります。唾液中のミネラルイオンが再石灰化といって歯の修復作業を行いますが、その修復作業が追い付かないぐらい強い干渉(咬合性外傷)が生じると歯は痛くなることがあります。しかし痛くなったからといって歯を削って詰めたりするのは如何なものでしょうか?むし歯でないのに歯を削る理由はありませんよね?根本原因をなくすにはどうしたらよいか?その理解がなければ歯の予後を守れないのではないでしょうか。

                                  2021.6,17

口腔機能の改善を!

 異常な咀嚼運動に気付かないで生活をされている方が実は多くいるのかも知れない。なぜなら徐々に起こった変化のため、患者さん自身がそのことをあまり気にしていないからである。例えば大臼歯を1本抜いたまま過ごされている場合は咀嚼能力は半減しますが、それで何も食べられなくなるわけではありません。なぜなら現代人は本来備わっている咀嚼能力からすると非常に柔らかい食物を咀嚼しており、負荷をあまり感じないからです。しかし、歯の欠損したところを避けるように顎は動くようになるために、正常な咀嚼パターンからは逸脱します。つまり咀嚼筋の間違った筋肉パターンが身に付き、舌骨に付着している筋肉の動きにも影響を与えることになり、首や肩凝り、頸椎そして体幹の歪みへと繋がるのです。歯並び、咬み合わせは口腔だけの問題では済ませれません。全身へ症状が発現する前に口腔機能の改善に努めてください。

                                  2021.6,16

渋沢栄一

 “人は往々にして利己主義ー自分だけが良ければよいという考えに走り、利益のためにはどんなことにも耐え忍んでいくといった傾向を持ち始めている。昨今では、国を豊かにしようとするよりも自分を豊かにする方に重きを置こうとするくらいだ。もちろん、自分が豊かになることが大切なのは言うまでもない。”これは明治時代初期の社会風潮について、『論語と算盤』にある一節です。まるで現代にも通ずる“自己中”の風潮を嘆いた文章は、国民一人ひとりが胸に手を当てて自問自答してみてはどうかとすら思ってしまいます。渋沢栄一の功績は私が述べるまでもありませんが、学ぶべき姿勢の一つが、“自分の考えとは異なる意見であっても、それが有益であると判断した場合には拘りを捨てて受け入れた”ことです。なかなか異論に耳を傾けるなんてことは出来ることではありません。やはり人としての器の大きさなのでしょうかね。

                                  2021.6,15

治療説明

 “他院で同じ歯の根管治療を半年かけて行っているが終わらない。ほぼ毎週のように通っているが、治療時間は長くて30分。多くは15~20分ぐらいかな?このまま通い続けていいものか不安になったので診て頂きたい。”とは患者さんの主訴である。私はごく普通の言ってみれば町医者である。当たり前のことを日々行っている臨床医である。従って、口腔内診査の後は現状を説明し、治療が必要であればどのような治療が望ましいのかを提案させて頂き、質問があれば受け答えをしているだけである。但し、説明や受け答えの内容には最大限の注意と集中力をもって対応はする。なぜなら患者さんは素人であるからただの説明では分からないのである。日本の医療現場においては患者さんが分かるような説明と質疑応答に要する時間が極めて短すぎる。医院や病院の都合で患者さんを捌くような進め方は決してあってはならない。この患者さんにおいては、根管治療の内容すらよく理解できていない状態で今まで治療を繰り返しており、根管内の無菌化をはかることが治療の目的であることを用意したスライドを使って解説をすると、受けてきた治療がどのようなものであったかをよく理解されたようだ。それにしても同じ歯を半年も治療を繰り返すとは‥‥。私の知り得ない難治療なのかもしれない。

                                  2021.6,14

歯科医院経由‥‥行

 スポーツトレーナーのお世話になって身体のメンテナンスを受けているが、とにかく身体の様々なところが凝る。毎回指摘されることはほぼ同じなのだが、普段から正しいストレッチや指導された動きをするのが難しい。難しいが提案されたメニューをこなすと身体は蘇る。長年の体幹の歪み、筋肉の習癖を改善するのは簡単ではないが、気長に辛抱強くトレーニングを積むしかない。今回は腸腰筋と大腿直筋に働きかけるプログラムである。お陰様で口腔周囲周りの解剖学的な名称だけではなく、全身運動にかかわる筋肉の動きを理解することで、子供達の咬み合わせのトレーニングに役立てることが出来ている。それにしても口呼吸の子供達がなんて多いことかと驚かされる。口呼吸は不健康への入口と言っても過言ではない。野外での全身を使った遊びをされていない子供たちほど正しい呼吸が出来ていないように感じるのは偶然ではない。塾通いしても集中力がなければ成績も上がらないのでは?外遊びを思う存分することで身体に必要な二酸化炭素を溜め、酸化ヘモグロビンの細胞への酸素供給が高まれば、集中力も高まるというものではないでしょうか。“歯科医院経由スポーツトレーナー行”の子供達は今後も増えそうである。

                                  2021.6,13

自ら箸を取れ

 脳内の有害なタンパク物質がアルツハイマー型認知症の原因とされていたが、その物質を除去し、認知症の悪化を遅らせることが期待できる新薬が米国で承認された。世界中の多くの研究者が治療薬の開発にどれだけ時間を費やしてきたのだろう。臨床医学の発展には基礎医学の充実は欠かせない。結果の出ない研究を継続するのに求められるのは研究費もさることながら彼らの崇高な精神でもあろう。渋沢栄一は「論語と算盤」のなかで、“志を実現するには、自分で切り開いていくやる気と気概がなければ始まらない。いくら優秀な人間でも、やる気をもって自ら動き出さなければ何も成し遂げられない。自ら箸を取れ!”と述べている。優秀な人材とはどういう人のことを言うのか?仕事であろうと勉学であろうと、何から何までお膳立てしてあげるほど優しくはない。現代人よ、もっと自分に厳しくいきませんか!

                                  2021.6,12

基本はキャッチボール

 幼少の頃、少年野球チームの練習はランニングから始まり、ひと汗かいたら相手を見つけてキャッチボールを長い時間行った記憶がある。「相手が取りやすいところ、相手が右投げなら次の動作に入りやすいように右胸に投げなさい。」と指導を受けた。「そうか、相手が受け取りやすいところ・・」子供の頃のそんな教えが実は人間形成の礎になっていたのかもしれない。自分のことより相手のことを考えて。今の日本にはそのような風潮は影をひそめてはいないか。人は一人では生きていけない。心のキャッチボールが出来ている関係は親子を、組織を、社会を、そして国を安寧にする。国会議員の皆さん、与党も野党ももっと話がかみ合う実のある議論をして頂けませんか?全員で一度キャッチボールをしてみては如何ですか?


                                  2021.6,11

知識・見識・胆識

 この言葉に出会ったのは15年ほど前だろうか、安岡正篤先生の難しい著書を通じて初めて胆識という言葉を目にした。「識にもいろいろある。単なる大脳皮質の作用に過ぎぬ薄っぺらな識は、“知識”と言って、これは本を読むだけでも出来る。しかし、この人生、人間生活とはどういうものであるか、或いはどういう風に生くべきであるか、というような思慮、分別、判断は、単なる知識では出来ない。そういう識を“見識”という。けれども如何に見識があっても、実行力、判断力がなければ何にもならない。その見識を具体化させる識のことを“胆識”という。」浅学非才な自分にとっては、その後生きてい行く上での背骨となった言葉である。もっともらしいことを言う人は多くいるが、実行まで到達できている人はそれほどではない。目指す高みに到達するには見栄や体裁、建前など余分なものを如何に剥ぎ棄てることが出来るかであり、紙一重の“意識”の差でしかない。

                                  2021.6,10

英知の結集

 ここにきてワクチン接種が多方面で行われ始め、大企業のオフィス、総合スポーツセンター、そして大学などでの接種も検討に入ったようだ。接種すべきかどうか迷う気持ちもわかるが、ネットやテレビで目にするあの球面体のとげとげウィルスに屈するわけにはいかない。日本人は諸外国の人に比べれば“石橋を叩いて渡る”割合の多い民族かも知れない。そんな背景がもしかしたらワクチンの安全を確かめる手続きなどに時間を要した部分もあるのではないか。副作用はゼロではないが今までのインフルエンザワクチンでも同様である。異物が体内に入ってくるのを気分よく迎い入れることはできないが、集団免疫の獲得の観点からみれば自分だけの問題ではない。ワクチン接種数時間後に亡くなる不幸な事例も報じられているが、人類の英知を結集したワクチンを信じようではないか!

                                  2021.6,9

日本新記録

 2,3年前だったか、陸上短距離のスペシャリスト山県亮太選手を近くの商店街の魚屋さんで見かけたことがある。相次ぐケガで思うような結果を出せていない時だったと思うが、魚屋のご主人とさりげない会話のやり取りをしていたその時の姿から勝手に親しみを感じている。遂に日本新記録の9秒55!。ニュース速報に思わず“おっ、山県がやった!”。どれだけ早いのだろうか?彼のコメントもいいではないか。“足が回転に追いつかない感覚があった。最後の方はふわふわしていた。”ひと昔前の日本の陸上界を思えば9秒台の選手が4人もいるとは夢のようである。山県選手にとってはあくまで通過点でしかない。結果が大事なのは言うまでもないが、悔いのない残り50日間を過ごしてもらいたい。

                                    2021.6,8

歯医者冥利

 3年近く通われたご婦人の治療がすべて終わった。「もういつものようにお会いしてお話が出来ないのかと思うと本当に残念ですわ。先生はじめ皆様には本当にいつも素敵な時間を作ってくださりありがとうございました。お世話になりました」。歯医者冥利に尽きるとはこのことか。こちらこそ毎回いろいろな話題を提供してくださり楽しい診療時間をありがとうございましたという気持ちである。一期一会、全てはそういうことである。患者さんを“患者”として診ているようでは本物ではない。一生のお付き合いをさせて頂くつもりでこちらが本気にならなければ、誠心誠意、繊細な、そして精密な治療などできやしない。これ以上信頼関係の上に成り立っている職業はないのではないかとの思いである。但し私も完璧な人間ではない。昨日よりは今日、今日よりは明日を良く過ごすために常に内省に務め、信頼を寄せてくださる方々のお役に立ちたい。私も3年間、勉強をさせて頂いた。ありがとうございました。

                                    2021.6,7

短絡的な成果

 国造りの骨格が見えてこない、行き当たりばったりの政策を打ち出すだけで、20年、30年先を見据えた国家戦略が全くないと感じているのは私の勉強不足のためか?民主党政権の頃は、当時の文部大臣が「公立学校の図書費を2割削減する」など論ずるに値しない妄言を発していたが、国造りの根幹は未来を担う子供達の成長、教育をどのようにしていくかということである。あらゆる物事があっという間に変化してしまう時代、社会全体が人として為すべき大きな目標を持つことよりも、短絡的な成果を追い求めることを優先してはいないでしょうか。昨今、渋沢栄一にスポットがあたっていますが、“人は、どこに到達したかで測られるべきではなく、到達すべき目標にどう近付いていったのか、その歩みで測られるべきである。”と渋沢は述べています。成功や失敗といった価値観から抜け出して、正しい行為の道筋に沿って生きていくことが真っ当に生きる姿ではないでしょうか?

                                    2021.6,6

ペット効果

 カニンヘン・ダックスフンドを飼い始めてからというもの、我が家の朝は彼への“~~~ヾ(^∇^)おはよー♪”から始まる。いつも変わらぬ愛くるしい表情でじゃれてくるのがたまらなく可愛い。出勤時も家族の誰よりも先に玄関までお見送りに来てくれる、子供の躾よりもよく出来たワン公である。そんな犬を飼い始めた人が、このコロナ禍で増えているそうだ。ペット保険大手の保険会社によると、犬を飼うメリットとしていくつか挙げている。

1)身体的効果として散歩で運動量が増え、血圧やコレステロールが下がりやすい。

2)心理的な効果として、犬と触れ合うと人間の脳内では幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンが分泌され、精神を安定させ、身体の痛みを和らげる働きがある。

3)社会的な効果として友好的、社交的になる。

などである。確かに彼を連れて散歩に出かけると、犬連れの人から声を掛けられることはある。私は日常仕事の中で患者さんと沢山会話をしているのでさほど感じたことはないが、テレワークで人と面と向かって話す機会が減っているだけに、散歩中のちょっとした対面での会話でも癒しの時間となる方は多いのではないでしょうか。閉じこもりは良くないですね。

                                    2021.6,5

運動不足

 運動不足傾向にあるかたと、テレワークになったことで通勤時間だった時間をランニングに充てたりしている方など、当医院の患者様と話をしていると二極化しているようだ。以前はマラソン大会に出ることが目標で、毎日走るモチベーションアップに繋がっていたが、その大会も実施されないので最近は全く走っていませんという方もいる。自己申告で8キロ目方が増えたとか!これからの季節は梅雨で蒸し暑い季節となるが、早朝に小鳥のさえずりを聞きながら走るのも悪くない。何事も継続することは簡単ではないかもしれなが、健康を維持するうえでは運動は欠かせない。運動が苦手な人であれば、自宅での運動をネット検索で探してみるのもいいのでは?運動を続けるコツは、生活の一部にしてしまうことに尽きる。行動あるのみ!

                                    2021.6,4

国の行く末を決めるのは‥

 4年に一度の祭典であるオリンピックがいよいよ開催されようとしている。通常であれば開催都市である東京は五輪一色で盛り上がり、外国からの旅行者も街で多く見かけ、国際色に包まれているはずである。コロナ禍前に行われたラグビーW杯でさえ母国の応援に駆け付けた応援団との交流は、異文化を直に感じとれる貴重な時間であった。国柄や国民性を決めているのは、その国で暮らす人々であり、私たち一人ひとりが国を担う立場である。しかし、五輪やW杯では国のことを思うことはあっても、常日頃から国の在り方を意識して生活されている方は国民の何%ぐらいいるのだろうか。何事も国という視点で考えることが出来ていれば、自分だけ良ければいいという発想はなくなるはずである。例え国が良くなっても、個人が幸せになれないのなら受け入れられないと考える方もいるかもしれない。しかしそれが真の幸せかどうかは、美しい生き方かどうかと照らし合わせてみればわかるはずである。国を構成している我々一人ひとりの心の在り方が、国の行く末を決めることになる。

                                    2021.6,3

ストレス

 天災は忘れた頃にやってくる。近年の自然災害の多さから、私が子供の頃よりは災害への備えは出来ているのかも知れないが、“自分はまさか、大丈夫!”と心のどこかで正常バイアスに陥って油断してしまうのが人である。火山列島に暮らす我々の宿命かも知れないが、“震度‥”“マグニチュード‥”などは子供の頃から数えきれないほど耳にしている。しかし30年前の“火砕流”は聞きなれない言葉だったことを記憶している。数年前に天然イルカの生息する天草を旅行した際には雲仙普賢岳から噴煙が上がっているのがはっきりと見えた。日本人の生活は天然の脅威と常に共存していかなければならないことを認識させられたが、今はそれに加えて人類を脅かすウィルスとも共存しなければならない。皆がどうすることもできないストレスを発散できない状況に、我々はいつまで耐えられるのだろうか。

                                    2021.6,2

産業革命後の環境変化が‥

 子供が幼稚園通いしていた頃、自転車の後ろに子供を乗せて通園していたお母さんがいたことを思い出した。その時には何も思わなかったが、今日の職場近くの幼稚園には歩道が自転車で通れなくなるほど多くの親が我が子を自転車に乗せて登園させていた。皆さんそんなに遠くから通わせているのだろうか?通勤、通学時間帯の駅前では当たり前のように車から降りてくる子供が何と多いことか。これでは子供の身体が鍛えられるどころか体力そのものが衰える一方ではないか?当医院で咬み合わせの治療を行っている子供の中には上手く全身運動のできないお子様がいる。“はい!”という返事すらお腹に力を入れて発することが出来ない、いや普段からしたことがないとしか思えない子供もいる。産業革命以前には不正咬合は見られなかったと先日行われた海外のオンラインセミナーの講師がある資料をもとにプレゼンをされていたが、あらゆる環境の変化が我々の心と身体に異変をもたらしていることは疑う余地はなさそうだ。

                                    2021.6,1

収束そして根絶へ!

 新型コロナウイルスのワクチン接種が進む欧米で人の移動が広がってきている。ヨーロッパ各国ではワクチン接種を条件に、自己隔離などを免除して移動の自由を認める証明書を発行し始めたそうだ。確かにワクチン接種によって感染者数は減少に転じているが、新型コロナウィルスは今までのコロナウィルスとは異なり、変異を繰り返している。致死率の高いエボラウイルスに感染した場合は感染者が不幸にして亡くなった場合にはエボラウイルスの死も意味するが、新型コロナウィルスの場合は“無症状の人から感染”という事情に厄介な存在となっている。最近では2つの変異株の混合型まで現われ、空気感染力が強いと言われている。一次的にワクチン接種によって現時点における新型コロナウィルスには有効であっても、変異の早さ、多様化によって必ずしもワクチン接種によって安全安心が保証されたわけではないと考えるべきである。世界の研究者の総力を結集して何とかこのウィルスの収束、そして根絶まで辿り着きたい。

                                    2021.5.31

不正咬合と脊椎管狭窄症の関係は?

 脊柱管狭窄症と不正咬合は関係があるか?この答えは脊柱管狭窄症と診断され患者さんを幼少の頃から記録を取り続けていたらもしかしたら因果関係を証明できるのかも知れない。それも乳幼児の哺乳をするところからの観察記録もあればなおさらだ。咬み合わせが極度に良くない50代後半と60代の女性がともに脊柱管狭窄症との診断を受け、それぞれ入院ブロック治療と手術を受けることになった。歯並び、咬み合わせが理想の状態から遠ざかるに従い、頭蓋骨を支える頸椎、特に第二頚椎に掛かる重心軸のずれが生じると、全身のバランスを保つために体幹を歪めて身体は適応するようになる。例えで言えば、靴底に小さな石が入っていたとしても歩行することは出来るが、その状態を何年も続けたとしたら足の踏み出し方も歩き方も変わり、関節周りの筋肉が凝ってくることを想像できるだろうか。それが身体の適応であるが、代償として関節周りを痛めたり、筋肉の凝り、更には神経が圧迫されて足腰の痺れを引き起こすことに繋がる。脊椎が急に悪くなることはあるまい。ただ、急に症状が発現してきたために痛みを鎮めるための処置を受けるわけで、痛みを引き起こした根本原因から改善できるわけではない。咬み合わせのずれ、歯並びの乱れが口腔周囲筋の習癖によって引き起こされ、それが体幹の歪みを引き起こし、人によっては脊柱管狭窄症にまでなってしまうことを歯科医として証明してみたい。

                                    2021.5.30

ワクチン接種

 以前ブログでも取り上げた小松左京さん原作の“復活の日”であるが、インド型変異株の猛威を目の前にすると、ウィルスで人類が滅亡するのはフィクションではなく実はノンフィクション、予言だったのではないかとさえ思えてきた。この状況を脱するには復活の日であれば極地の南極に退避することになるのかも知れないが、現実は南極大陸でも新型コロナウィルスの感染は起きている。人やモノが激しく行き来する時代である以上逃げ場はもはやない。その感染拡大を抑え込む最後の切り札となるワクチン接種が加速し始めた。接種の予約方法にも問題はあるが、今はとにかく少しでも早く国民一人ひとりに行き渡るよう全国民が助け合うしかない。当方にも打ち手の協力要請がメールで届いた。昨年の横浜に入港した豪華客船からの感染の影響が、一歯科医に援軍を求めるような状況になるとは誰が思ったであろうか。

                                    2021,5,29

正しい呼吸

 歯科医療に従事して25年以上経つが、理想とする歯科医療を提供するにあたり呼吸がテーマになってくるとは予想だにしなかったことである。生まれてこの方正しい呼吸法など教わったこともない。しかし、機能的な咬み合せを構築していくには正しい口腔周囲筋の筋機能を働かせることが重要であり、横隔膜を使った正しい呼吸が出来ていなければ嚥下様式すら乱れてくる。身体の適応能力は大したもので、正しい嚥下が出来なくても表情筋などを使って物を飲み込むようになる。適応の裏には代償があり、筋肉パターンが正しく働かないことで顎顔面の正しい成長発育が阻害され、上顎骨が大きくならなければ鼻骨も大きく成長はせず、解剖学的に鼻気道が狭くなって鼻が詰まりやすくなるのは構造的にやむを得ないことである。口呼吸がもたらす健康への弊害は様々あり、最近は睡眠時無呼吸症候群に世間ではフォーカスが当てられている。成長期の子供であれば、正しい鼻呼吸を身につけ口蓋に舌を貼り付けることが常に出来ていれば口蓋骨、上顎骨も広がり、自然と顎骨内に歯が萌出してくるものだ。大人であっても呼吸、筋機能の改善をすることは必要であり、その役目は歯科が担うべきものと認識しているところである。睡眠時間をとっても体調のすぐれない方は、口呼吸になっていませんか?要注意ですよ!



                                    2021,5,28

頼りない人間力

 平均値的な人間は大きな間違いはないのかもしれないが、代わりは幾らでもいるような存在である。どうも世の中、そんな人間が多くなってはいないか?私の職業であっても同じである。一度出来上がった治療法を全く疑うことなく目の前の患者さんに当て嵌めることが治療だと思い込んでいるような、そんな話をセカンドオピニオンを求めてお越しになる患者さんから伺うことがある。勿論患者さんは素人であるから、前医の説明を正しく理解できていないままこちらで熱弁されていることもあるかも知れない。医療であろうとなかろうと、ゴール設定をどこに置くかによってアプローチの仕方は変わる。ものの考え方として、1)目先に捉われず長い目で見る、2)一面的に見ないで多面的全面的に観る、そして3)枝葉末節にこだわることなく根本的に考察する、を常に意識して問題に取り組めば、軸がぶれることなく最終的には報われる結果となるものだ。地道に人間力を養うには、自分の内面と真摯に向き合うことだと確信する。


                                    2021,5,27

肩書

 日本人は肩書で仕事をすると言われることがある。平社員だった若者がそれなりの肩書が名刺に印字されるようになると、人によっては言動が大柄になったりすることは世間でも耳にする。内閣官房参与がある発言によって辞任した。私の感想としては“育ちの悪い人”であろうか。一流と言われる大学、企業にお勤めであっても、それが人の内面を保証するものではない。義務教育しか受けていない人でも総理大臣になって国をしっかりと牽引した方もいる。人は常に謙虚さをもち、自分の内面と向き合いながら世のため人のために尽くすことが天命である。肩書が無くなればただの人、ではあまりにも寂しい。人望のある人の周りには、常に志を共にできる人が集まるというものだ。教育は子供だけに行われるものではなく、一生かけて行われるのもである。


                                    2021,5,26

美しさ!

 西脇市立西脇小学校が国の重要文化財に指定されることになった。関西に縁のない方にはピンとこないかも知れないが、当方の義理の父が西脇小学校の卒業生であることから、その名は以前から承知していた。ネットで検索して頂ければ写真を閲覧できるので見て頂きたいが、洒落た洋風の意匠が凝らされた校舎である。神戸新聞のコラムでは、「余分なものをそぎ落した建物は見た目が美しいし、美しい建物もまた長く愛されるがゆえ使い慣れていく」と紹介されている。老朽化のため取り壊しを検討されたことがあったそうだが、“美しきもの”を次世代に残したいという後押しによって保存が決まった。ものの見方、考え方、生き方、すべての基準を美しいかどうかで判断すれば、世の中が美しくなるということだ。当院のトップページをご覧あれ!

人生は人それぞれだが、同じく生きるのであれば

美しく生きた方がいい

日常生活はもちろん、人間関係も、また服装までも含めた

自分自身のこととして

「美しくあるべし」と


                                    2021,5,25

日々決断!

 東京五輪を開催する状況にないことは現況を把握すれば誰もが納得できるのではないか。立場を入れ替えて考えてみてはどうか?東京はじめ日本各地で変異株の感染拡大が拡がっている同じ状況が他国で起きているとする。そこに選手団を派遣するのか。国民は応援に駆け付けるのか。遂にアメリカCDCは日本への渡航を中止するよう勧告を出した。東京五輪が国家プロジェクトであることは理解するが、人命よりも大事なものがあるのか。東京五輪委員会、政府首脳はじめ国会議員の皆さん、お話をされてみては如何でしょうか?勇気ある撤退は何も恥ずかしくはない。周りのご意見に耳を傾ける姿勢は必要だが、最終的な英断を下すのがトップの役目である。人生は日々選択、決断の連続ですよ、菅さん!

                                    2021,5,24

画伯とは

 先日のブログでも紹介させて頂いた当医院の患者様の個展に出向いてきた。今となっては恥ずかしい話だが、20代の頃、美術館で印象派を代表するクロード・モネの作品を見ていたつもりがマネの作品だったとあとで気付いたような私である。絵画の何が分かるかといったレベルであるが、向学のために画廊に一歩踏み入れてみた。‥‥?私とは感性が全く違う!画伯の作品に対する私の感想である。画伯の心に浮かんだ情景なのか、心が満たされる何かを表現されているのか、抽象画であるがゆえにインパクトが強い。診療室で接する患者さんからは想像できない隠れた才能にアッパレだ!世の中絵の上手な人は沢山おられると思うが、「これはM.Yだ」とすぐに見分けられるような、他に置き換えのきかない、独特の印象、雰囲気を持った絵を描く人は、そんなには多くないのではないか。作品の中に個性の輝きを観たような思いである。

                                    2021,5,23

国があっての‥‥

 “ガザ地区で衝突”、“テルアビブにロケット弾”このような報道を私たち日本人は自分事のように受け止めることは出来ない。なぜなら普段から国の在り方について意識しながら生活をすることがなく、悩み事と言えば個人的なことや仕事のことに終始しているからである。ボキャ貧なところがあることはお許し頂きたいが、国の行く末を真剣に考えなければ国が亡びるということは現実的な問題であり、ミャンマーで起きている軍政によるいわば弾圧、台湾海峡の緊張、朝鮮半島が統一されれば38度線は対馬海峡まで南下、北方四島へのロシア軍の配備など、日本が平和でいられることが奇跡であるのかも知れない。国の借金についても然りである。会社組織、地方自治、そして国を組織しているのは国民一人ひとりである。政治家に何かを期待するのではなく、一人ひとりが日々精一杯できること、考えられることに真剣に向き合う姿勢が欠けてはいないか。“一日自分の勉強、仕事を怠れば、国家の進歩が遅れる”泉下の秋山真之は如何に思っているだろうか。


                                    2021,5,22

歯並び、咬み合わせ相談

 咬み合わせに関する問い合わせが近年多くなってきているが、当医院の矯正治療患者様からのご紹介が今年になってから特に目立つ。私は矯正専門医ではないにもかかわらずだ。個人的にはありがたいことではあるが、それだけ患者さんが納得して治療を受けたいと思う歯科医が見つからないということの裏返しでもあり、悩ましいことである。歯並び、咬み合わせを治療したい目的は人によって異なる。見た目が気になる、咬みにくい、首が凝る、歯ぎしりが酷い‥など様々であるが、そもそもなぜ歯並びや咬み合わせが良くないのか、その原因を納得できるような説明を治療する側が提供できていないのではないか?原因があるから結果があり、結果があるということは必ず原因がある。例えば、むし歯の治療を繰り返したにも拘わらず抜歯に至ってインプラント治療を受けたとする。インプラント補綴されたことで歯があった時と同じように一時的には咬めるのは間違いない。しかい、歯を抜くに至った原因はそれで無くなったのでしょうか?不正咬合も考え方は同じであり、仮にワイヤー矯正治療を受けて歯並びが改善されたとして、歯並びが悪くなった原因はなくなったのでしょうか?患者さんも我々と一緒に考えて頂きたいですね。


                                    2021,5,21

リーダーの器

 新型コロナウィルス変異株の感染拡大が若い世代にも広がってきている。緊急事態宣言の範囲も拡大され、北海道、沖縄においてはかなり厳しい状況になってきているではないか。変異株と当たり前のように報道もされているが、本をただせば新型コロナウィルスの発生源はどこの国から発生しましたかと問いたい。イギリス型変異株に始まりブラジル型、インド型変異株と言われてきた。それについてそれぞれの国からはいちゃもんを付けられることはないようだが、発生源のお国はどうでしたか?トランプ前アメリカ大統領は世界の指導者の中で唯一“チャイナウィルス!”と発言!ものの言い方で品位にかけるところはあったかもしれないが、言うべきことははっきりしていた。その後“チャイナウィルス”と耳にしないのは、良識を脇において経済を優先させる各国の思惑があるからか。情けない、断交をするぐらいの気概を持った外交をしてみたらどうか?筋の通らない外交は今も昔もすべきではない。骨太のリーダーが求められている。


                                    2021,5,20

生き方アプリ

 最近の学生は勉強記録などをアプリで管理するのか?一日何時間勉強したとか何をどこまで学習したかなどをアプリで管理し、時には友達と情報を交換すると通院中の学生から伺った。勉強って時間が重要なの?友達と競う合うものなの?とついつい聞き返そうかと思ったが、余計なお世話か。興味のある科目であれば自然と脳内細胞も活性化するが、何かアレルギー反応のあるものがあると、勉強時間は稼げるが中身が伴わない効率の悪い時間となるのは経験者としての感想である。雑念を振り払い、怠けたい誘惑に克つには、常に自分への問いかけが必要である。自分としっかり向き合う毎日を過ごしていれば、一日の反省を翌日に活かすことで人はいつの間にか生きていく軸が出来上がって来る。但しそれはデジタルではない、アナログでしか根のある縦軸は形成されない。人生を周りを気にして過ごす横軸で生きるのか、自分の進むべき道を探し台風が来てもぶれないぐらいの縦軸で生きるのか。生き方アプリはまだ無いらしい。

                                    2021,5,19

個展

 芸術とは全く縁がなく育った私だが、中学生時代の美術の時間にゴッホの“包帯をしてパイプを咥えた自画像”を模写する機会があった。まあ、模写であるから特別な発想も必要なく、私としてはただの真似をしていたに過ぎないのだが、教師からは驚くほど評価され、クラスメートの前に立たされどのように描いたのかを説明させられた記憶がある。当医院に通院されている方から神保町で個展を開くとのお知らせを頂いた。是非足を運びたいと思うのだが、何をどのように見ればよいのか正直なところ分からない。何せ学生時代にオルセー美術館、ルーブル美術館、大英博物館など有名どころを訪れたにも拘らず、心が揺さぶられることがなかった男である。美術好きで知られるノーベル賞受賞者の大村智先生は、「芸術と自然は人間をまともなものにする。美術館に来ると人間まともになるはずなんですがね。」と語っている。週末、久しぶりに画伯の絵画を観に行ってみるか。

                                    2021,5,18

正しい呼吸を妨げるものとは‥‥

9歳の男の子が咬み合せの相談で親御さんとお越しになった。口腔内を診査すると歯並びよりも、喉を塞ぐように盛り上がっている扁桃の大きさに驚かされた。矯正診査のためセファロ撮影(レントゲンCT撮影)を行うと、アデノイドの肥大もはっきりと確認でき、これではまともな正しい鼻呼吸をすることは不可能であり、口による呼吸様式が定着してしまう。日常的に口呼吸となれば正しい嚥下(飲み込み)は出来なくなり、飲み込むためには口腔内を陰圧にするために本来使わない表情筋などを駆使してしまうことになる。当然舌が普段から口蓋に持ち上がっていることはなく、舌による口蓋骨、上顎骨の拡大はなく、上顎の劣成長を引き起こし、上顎骨に歯が入りきらなくなり歯並びが乱れることになる。従って歯並び咬み合わせを改善させるための第1段階は正しい呼吸を身につけることであり、そのためにはアデノイドや口蓋扁桃の摘出もためらうべきではないと考える。明日はある耳鼻咽喉科に紹介したお子様のオペに立ち会うことになっている。一人でも多くの子供達の健康を取り戻すために微力ではあるが無力ではないと信じたい。

                                    2021,5,17

早急なワクチン接種体制を!

全国に医師は31万人、歯科医師が約10万人いる。ワクチン接種で注射を打てる職種の拡大を検討しているとのことだが、いつまで検討しているのだ。このスピード感のなさが日本社会組織の弱点であり、責任回避の社会体質がいつまでも物事を決められない根源ではないか。検討している間に、さっさと歯科医師や臨床医学生にワクチン接種の筋肉注射の訓練なりをしてはどうなのか。私などは口腔内注射は日常臨床で行っているが、もしワクチンの接種を打つ側になった場合の不安要素は、接種による副作用への対処の仕方である。当然日常の歯科臨床の領域とは異なるので、すぐに対応できるバックアップ体制が必要であり、それさえクリアできれば昼休みの時間などを利用して医院内でワクチン接種も可能と考える一人である。日頃、歯科医院があり過ぎると批判的なご意見を頂くことがあるが、患者様の満足いく歯医者及び歯科医院はまだまだ少ないと感じている。但し今回は緊急事態である。ワクチン接種だけを何とか全国の診療所や医院で出来るような体制を早急に整えることが、ワクチンを無駄にしない、国民の命を救うことになると思うのだが、皆さんのご意見は如何でしょうか?

                                    2021,5,16

治療の緊急事態宣言!

『前歯の出っ歯が気になるので歯列矯正治療を考えている。』とは当医院の患者さんの主訴である。素人の見た目では出っ歯に見えるのかも知れない。正確には骨格的に上顎に対して下顎が下がった位置で適応・機能しているので、相対的に上の前歯が出ているように感じるのである。私なりの診断結果をスライド等も使いながら説明をさせて頂いた。患者さんからは、「こちらに来る前に3件ほど矯正専門医に相談に行ったが、どこでも小臼歯を抜いて矯正治療が必要だと言われた。」とのことだった。私とは全く考え方が異なるので、小臼歯抜歯矯正などすべきではないし、その理由も説明させて頂いた。治療方法だけではなく、なぜ現状の咬み合わせ、歯並びになったのかの原因を説明解説させて頂いた。物事にはすべて原因があり、結果があるのである。患者さんが「前歯の出っ歯を治したい」と言ったから、その出っ歯感だけを治療すればよいのでしょうか?どのような治療にも長所と短所があるはずで、それら考えられることを患者さんと共に考え、指導していくことが治療以上に大切なことである。歯並びは綺麗になったが、その後首や肩凝りの症状が出るようになった、猫背になった、喋りずらい、では歯列矯正治療の意味が全くないのではないでしょうか。世の中には歯列矯正治療といっても考え方は様々であり、歯科医師によっても考え方は異なる。今日の患者さんの治療は根管治療の予定でしたが、急遽45分間の質疑応答となりました。当医院のミッションは“患者様に価値ある時間を提供する”であり、特別なことではない。        

                                    2021,5,15

中国が途上国??

国際条約の枠組みで中国が「途上国」扱いを受けて優遇されている現状の是正を目指すとは、世界の指導者たちは今頃何を寝ぼけたことを言っているのか。途上国が宇宙ステーションを作り、火星探査などしますか。我が物顔で国際ルールを捻じ曲げ、公海をいつのまにか自国の領域だと豪語する報道官のしたり顔には辟易する。温暖化対策においても、中国は日米欧より遅れて経済発展が始まったので、先進国と同レベルの温暖化対策を課せられると発展の足かせになり、不公平だとの言い分らしい。天安門事件を無かったとする指導者たちをなぜ世界はまともに相手にしているのか。骨のある政治家よ、日本にはいないのか!常識ではない、良識のある指導者が世界を通じて求められている。                    

                                    2021,5,14

支配されつつある人間社会

朝一の仕事は職場の窓開けと複数のパソコンの立ち上げだ。おっ、画面がいつまでも暗いぞ・・なんて経験の方もおられよう。今朝は私がフリーズしてしまった。こんな時はパソコンごときに腹を立ててもしょうがないのは分かっているが、出だしから躓くと自律神経が乱れ気分も悪くなりそうなものだが、冷静に対処するしかない。考えられる手段を使ってスタートアップにトライするもうんともすんとも言わない。遂には最後の手段。電源コードを抜き差しするか?お~、オッケー、いつもの画面がお目見えだ。交感神経の興奮も治まりいつもの自分を取り戻したものの、パソコンはじめ機器に依存するあまり、心理的に支配されている環境が好きにはなれない。世の中のデジタル化、人工知能の世話になることは避けられないのかもしれないが、電車内の9割以上の人間がスマホを操作している光景が異様に見えるのは私が異様なのだろうか?                                    

                                    2021,5,13

オンラインツールとストレス

ソーシャルディスタンス時代に欠かせないビデオオンラインツールだが、Zoom疲れに悩まされる人が増えているそうだ。当医院の患者さんからも、画面に映る自分の姿や複数の同僚たちの顔が並ぶ画面も初めのうちは物珍しさもあってそれなりに仕事もできるものだと感じていたものが、常にカメラの枠内に収まるようにいなければならないことや、全体の空気感が読めないこと、無意識に行っていたボディランゲージも使えないことなどがストレスと感じるようになってきたと仰る方もいる。そもそも何時間?もパソコンの前に座って資料作りをしているだけで、私などは目が疲れ集中力も低下し、自分のパフォーマンスが上がっていないことを実感している。日常生活の中で適度なストレスは精神を研ぎ澄ましてくれるが、このような長期的な日々のストレスは我々の思考能力にも影響を与えてくるに違いない。精神的な不調を来す前に日頃からの適度な運動、十分な睡眠、そしてたまにはボディランゲージを交えたマスクFace to Faceの会話をすべきだろう。                                                   

                                    2021,5,12

インプラント治療

歯科治療では何らかの理由によって抜歯を余儀なくされた欠損箇所にインプラント(人工歯根)を埋入し、その上に被せ物をする治療法がある。私の認識ではインプラント治療は高度先進医療との位置づけがあり、インプラント治療を希望される患者様にはしかるべき専門医を紹介している。抜歯=インプラント治療という方程式のような説明を一般開業医が安易に行い、あたかもインプラントが抜歯された歯と全く同じように機能をするかのように伝えるのは如何なものかと日常臨床で常に感じている。むし歯の治療においても歯を削って被せ物をする際にはどのような被せ物があり、種類によってどのような長所、短所があるのかをきちんと理解してから治療を受けるべきであり、それとて元の歯と同じ状態になるわけではない。世の中にはインプラント治療によって恩恵を受けている患者さんがいることは承知しているが、インプラント治療によるデメリットも把握したうえで治療を受けることが重要であり、さらにはなぜ歯を抜歯せざるを得ないような状態になったのかまで掘り下げて考えることが予後を考える上では避けて通れないと考えている。咬み合わせが原因で歯にクラックが入り、治療を繰り返した挙句抜歯に至ったのであれば、根本的には咬み合わせを改善させることを優先すべきであり、根本原因を残したまま欠損箇所にインプラント処置を行っても歯を失った原因を取り除いたことにはならない。私が強く伝えたいことは、歯を失うことは本来身体に備わっている機能が失われるということであり、28本中の1本が失われただけの問題では済まされないということである。

                                                                      2021,5,11

忙中閑あり・・・

当医院の近くにある神社の境内は木々が生い茂り、一歩足を踏み入れると都会の喧騒を忘れさせてくれる空間である。久しぶりに参拝してみると、歴代総理の指南役でもあった東洋哲学者・安岡正篤の言葉が紹介されていた。「忙中閑あり苦中楽あり死中活あり壺中天あり意中人あり腹中書あり」。ご存知の方もおられるとは思うがどういう意味か。“忙しい時にも心は忙殺されず、苦しい中に本当の楽しみを見出し、身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ、いかなる境遇にも独自の内面世界を確立し、心には常に尊敬する人物を持ち、腹の中におさめる学問がある”。このコロナ禍で仕事において苦境に立たされている方もいると思う。自分を見つめ直す余裕などない心境かも知れないが、心に留めたい言葉として記憶して頂きたい。

                                                                      2021,5,10

独立心

『実語教』の中に、「人は学ばなければ、智はない。智のないものは愚かな人である。」と書かれている。つまり、賢い人と愚かな人との違いは、学ぶか学ばないかによってできるものなのだということだ。難しい話ではない。学びは一生のことであり、これで良いということはあるまい。明治維新の頃、国民がそれぞれ賢くなって自立すれば、国も立派に独立できる。西洋の国々を恐れることもなくなると福澤諭吉は言っている。今の日本に必要なのは国も個人も“独立心”であり、明治の頃のような気概を持った人が求められていないか。数の多い組織に身を置いている場合と少数組織にいる場合とでは、チームの一翼を担っているという気概にも差が出るようなものだ。国会議員の定数を一気に各都道府県から一人選出とでも大改革をしたら、今の議員さんたちの体たらくもなくなるようなものか。真面目に公務に徹している議員さんには申し訳ないので一括りにはできないが、国会議員の第一の責務は国防である。与党も野党の皆さんも、そのことをお判りでしょうかと問いたい。独立心のある政治家ではなく政治屋の方には国のために早く退出願いたい。

                                                                      2021,5,9

不定愁訴と歯科の関わり

口呼吸になることによって血中二酸化炭素濃度が低下すると、酸化ヘモグロビンの身体の各組織の細胞との酸素交換率が下がり、身体が疲れやすくなったり集中力が低下することは、ボーア効果をご存知の方であれば理解できる話である。先ごろ受けた海外のオンラインセミナーにおいて、産業革命以前には不正咬合は存在しなかったとの演者からの話には衝撃を受けると同時に学びの不足を思い知らされた。産業革命以降我々の口腔内の環境は咬み合わせを含めてなぜ変わってきたのか。大変興味深い話であり、現代人の不定愁訴を抱えている問題を解決するキーになると私の普段使われていない脳内細胞の部分が騒ぎ始めた。一度確立された治療法を変えることは難しいが、既成の考えを疑う、捨てる勇気も根拠があれば必要であろう。人々の健康に貢献する歯科の関わる役割は気付いていないだけで実は計り知れない。

                                                                      2021,5,8

睡眠障害

咬み合わせが気になるという患者さんが来院された。問診では、「若い頃から咬み合わせが気になっていたのでいろいろと歯科医院には通ったが、特に咬み合わせを指摘されることはなかった」とのこと。診察する歯科医によって診断は異なるかも知れない。診断以上に診察をどのような目線で行っているかということが私から言わせてもらえば歯科医によって大きな違いがある。どういうことか。医療機関にお越しになるわけだから何かしらの主訴を抱えている方が殆どであるが、なかには自覚症状はないけれども問題がないか診査を希望して来院される方もいらっしゃる。主訴だけ改善すれば本当にそれでいいのだろうか?口にはしないだけで、現状の問題の有無、なぜそのようになったのか、予後における考えられることなども患者さんは知りたいはずである。歯科医は“口腔内を通して患者様の全身の健康に貢献する”ことが使命と考える。世の中に大人も子供も含めてこれだけ口呼吸の人が増えているのにそれすら指摘しないのは如何なものか?口呼吸と歯科医は関係がないのでしょうか?睡眠障害の始まりは口呼吸であり、重度になると閉塞性睡眠時無呼吸症候群になることはまだあまり知られていないようだ。

                                                                      2021,5,7

異常嚥下と閉塞性睡眠時無呼吸症候群

「今まで何の問題もなく過ごしてきているのに、なんでそんな手術が必要なのか分からない。」とは、以前お子様の咬み合わせが気になり当医院を受診された親御さんのコメントである。口腔内の診査をすると喉の奥に大きな口蓋扁桃があり、明らかに呼吸抑制を引き起こしているであろうということが分かる状態である。唾の飲み込みも不自然であるが本人はそうでもないらしい。私から言わせてもらうとそこが問題なのである。幼少の時から、場合によってはもっと小さな時、赤ん坊の時から正しい呼吸が出来ていなかったとしても、本人にとってはそれが当たり前であればその状態に身体が適応し過ごせてしまうからだ。但し適応の裏には代償ということが必ずあり、身体のある部分の機能が正常でなければ他の器官でそれを補うように自律神経は働く。例えて言うならば、靴の中に小石や砂利が入っても歩きにくいが歩けないわけではない。しかしそのまま毎日歩き続けたらどうなるか?歩く姿勢は歪んできて体幹の歪みにも発展することが想像できる。これが適応である。話は戻るが、正しい呼吸ができることで舌を含めた口腔周囲の筋機能が発達し、顎顔面骨格が正しい成長方向に成長するのである。正しい呼吸が身に付いていなければ将来的には閉塞性睡眠時無呼吸症候群を引き起こすことも容易に想像できるのであり、症状が無いから大丈夫ということではなく、20年、30年以上先まで見据えた健康を維持、取り戻すために、歯科医は口腔機能と全身との関係について情報発信をすべきと痛切に感じる日々である。


                                                                      2021,5,6

適度な運動

強風の吹く子供の日となったが、県外移動自粛ということもあり、近隣の広い公園や運動場は家族連れで賑わっていた。やはり外の解放感を肌で感じることは日頃から必要であり、自律神経を整える上でも適度な運動はすべきである。よく運動した日はぐっすり眠れたという経験をされた方も多いと思うが、生理学的にも適度な運動をすることでセロトニンというホルモンがつくられ、寝る時に必要なメラトニンの働きをよくすることが知られている。従って軽いジョギングや犬を連れての散歩、ウォーキングが習慣となっている方は体調も良いはずである。当方もこの時期は朝のジョグが日課となっているが、例年よりも早朝から身体を動かす人が増えたことは、唯一コロナ禍において幸いなことかもしれない。

                                                                      2021,5,5

聞こえない声を聞く

昨年秋から我が家の一員に加わった“ハッチ”ことカニンヘン・ダックスフンド。犬を飼ったことのある方であれば、犬の目が何と愛くるしいことかお分かりだろう。すっかり家族の中心の地位を築いてしまった。一時として不愉快そうな表情はなく、赤ちゃんと同じように“和ませる力”をお持ちだ。朝起きればお腹を上にして喜び、家族が帰宅すれば誰よりも先に玄関までお出迎えをきちんとする本を当に可愛いヤツだ。言葉を発することが出来ないだけに、こちらがわが「見えないものを見る、聞こえない声を聞く」ような心をもたなければ彼の気持ちを分かってあげられない。まあそうは言っても大概はこちらの都合のいいように解釈してしまうのだが‥‥。

                                                                      2021,5,4

気分爽快!

仕事のオンライン化、外出自粛、部活動の制限などが影響しているのだろう。来院患者さんのちょっとした体形の変化に気付く機会が増えてきた。ある女子高生は「久しぶりに部活動をしたら筋肉痛が酷くて‥」、週一でしか出社しない男性は「明らかに歩かなくなりましたね、体重測定なんてしなくても身体が重くなっているのが分かりますから(笑)」など、皆さん気にはなっているようです。スポーツ庁の体力・運動能力調査の結果でも、中高生から高齢者までの幅広い世代で、体力の低下が明らかになっているとのこと。是非ここは皆さん、日の出も日一日と早くなっていますから朝の軽いジョギングから身体を動かしてみませんか?気分爽快ですよ!

                                                                      2021,5,3

デッドライン

「先生は朝早くから診療をされていますが、朝と夕方で治療時の集中力や疲れは違いますか?」と患者さんから聞かれ、ふと考えて「治療時の集中力は変わらないが、身体の疲れというよりは目の疲れは多少はあるのかも知れない」と答えた。但し、日々の診療ではマイクロスコープを使うので、自分では感じない目の疲労度は蓄積されていると思われる。一般的に集中力というのは一日を通してどこの時間帯が最も集中できるのかは分からないが、時間帯よりは終わりを決めない仕事や勉強の仕方が集中力を低下させるようには経験的に感じている。皆さんはどうでしょうか?作家が「締め切りのない原稿は完成しない」ということからも後ろを決めることが必要なのでしょう。日々の目標に向かってデッドラインを決めて過ごしますか!

                                                                      2021,5,2

我慢の毎日を!

昨年に続きゴールデンウイークはステイホームで過ごすご家庭が殆どかと思われるが、スポット的に人出の増加は見られるとネットニュースなどで報じられている。コロナ疲れは間違いなく国民全体に及んでいるが、“人流”を止めるにはここは一人ひとりの辛抱が試されていると心したい。変異株の感染力は想像を超えていると医療関係者が声を揃えて言っている。大阪では医療崩壊が起きており、救急指定病院の医師が「救急の患者を救うのが我々の仕事なのに、それを断らざるを得ないとはどういうことなのか分かって欲しい!」と患者の救急処置をしながら訴えていた。変異株の新型コロナウィルスを正常な細胞に混ぜた際に起きる様子を映像で確認したが、もの凄い速さで細胞が壊死している。変異株の新型コロナウィルスは甘くみてはいけない。感染の拡大を本気で抑え込まなければ、来年の今頃は“全人口の〇〇%が死亡”という現実味を帯びる話になるのも否定できまい。絶対にちょっとした油断も許されない。生きてさえいれば、来年もその先も行きたいところには行けるから、今は我慢、我慢!

                                                                      2021,5,1

失われた口腔機能の働き

子供達の口腔機能の習癖には日々驚かされる。唾を嚥下することや水を続けて飲むこともできるのだが、正しい飲み込みが全く出来ていない。飲めればそれでいいのでは?とお考えの方は要注意である。身体には適応能力があり、口腔機能に限らずバランスが悪くてもそれなりに適応しながら生活をすることはできる。しかし適応の裏には代償という反作用があり、それはどういう形でいつ発現するかは分からない。例えて言うなら、靴底に小石が入った状態でも歩くことも走ることもできるが、本来のあるべき正しい姿勢を保つことは出来ない。その姿勢を毎日続けたとしたらどういうことが体幹に生じるか想像して頂きたい。足回りの筋肉に張り、凝りが発現し、股関節を含めた関節にも不自然な動きが生じてくるに違いない。口腔機能も同じであり、舌を含めた間違った筋肉の使い方を改善させなければ顎骨が正しい方向に成長せず、顎骨に埋まっている歯並びは歪み、上下的な顎骨の位置関係も理想的ではなくなる。顎顔面の歪みを頸椎を含めた身体全体でバランスを保とうとすることで長期的には全身が歪み、筋肉の凝りが神経を圧迫することで手足の痺れ、脊椎への負担により脊柱管狭窄症を引き起こす遠因になっていることも否定できなくもない。大人になってからの不定愁訴に悩まされることがないよう、子供及び若年からの正しい口腔機能の獲得を急ぐ必要性を感じている。

                                                                       2021,4,30

日本酒がコロナウィルスの増殖を阻害?

日本酒がコロナウィルスを100%阻害!なんて記事を読んだら信じますか?先般、10年来行き付けの日本酒Barに足を運んだところ、女将からある印刷物を頂いた。日本酒に含まれるアミノ酸(5-ALA)が、新型コロナウィルスの増殖を100%阻害するとの研究結果を長崎大学が発表したとのこと。研究チームが試験管内で一定量以上の「5-アミノレブリン酸」を投与すると、ウィルスの増殖が抑制されることを確認し、ある一定の濃度以上だと100%増殖を阻害したようだ。このアミノ酸は通称「5-ALA」と呼ばれている天然のアミノ酸で、日本酒や納豆などの発酵食品に多く含まれているものです。今晩も日本酒で晩酌ですかね🍶。詳しくは是非皆さん、調べてみてください。

                                                                       2021,4,29


ワクチン接種の在り方

歯科医療従事者へのワクチン接種が始まった。当方はまだ接種を受けていないが、勇気のいる選択でもある。欧米諸国にくらべワクチン承認や接種に時間が掛かりすぎとの批判があるが、1980年代以後、はしか・風疹・おたふく風邪の3種混合ワクチンによる健康被害が起きたことや、子宮頸がんワクチンによる副作用による損害賠償請求訴訟で国側が敗訴したことも背景にはあると言われている。用心深さは日本人の特性なのか、お国柄なのか。安全第一は言うまでもないが、長期データのない身体への接種には抵抗のある方も多く、私もその一人だ。世の中、絶対ということがないだけに、国民の覚悟も求められよう。政府内には緊急使用で生じた健康被害への賠償制度もあわせて検討すべきだとの意見が出ているようだが、これは国の責任なのか私としては疑問である。何でも補償しろという風潮は如何なものだろうか。

                                                                       2021,4,28


企業魂

流石日本企業!と言いたくなる話題だ。日本製紙がレアメタルを使わず木質材料を使った高性能電池の開発に乗り出した。容量は現在主流のリチウムイオン電池の約2,5倍というから将来的には電気自動車(EV)のメインバッテリーになるのではないか。日本はエネルギー資源も原子力以外は化石燃料を他国に依存し、食料自給率も極めて低い。海洋に囲まれている国だけに、海水を真水にできる日本の技術力をもってすれば、海水をエネルギーに変換することも出来ればエネルギー不足の解消及び世界の環境問題においても貢献できると思うのだが簡単ではないのだろう。木質材料の電池であれば、人体に有害な鉛やカドミウム、水銀、硫黄を使わず、廃棄処分も容易になる。レアメタルの供給は人権問題をないものとしている某国に頼っているだけに、他国に頼らない国造りのためにも新エネルギー開発から目が離せない。

                                                                       2021,4,27


救急車

夜中に自宅近くでサイレンが止まり赤色灯が点灯している。サイレンの音からすると救急車であろう。救急要請をされた方の容体は大丈夫なのか気になるところだが、今はもう一つ、直ぐに病院に搬送されるのだろうかという不安が付きまとう。新型コロナウィルスのまん延によって市内でも受け入れられる病院が限られてきているという。他府県では救急車の車内で半日以上も待機する例も出てきているようだ。誰が悪いわけでもない。そのような中での4都府県では緊急事態宣言の発出である。聞きなれない「人流を止める」という表現を総理や都知事が言い始めている。人と人が接しなければ感染はしない。ステイホームを出来れば私も悩まないのだが、職業柄こればっかりはどうにもならない。一日で全国の感染者は5,600人を超えた現状を鑑みれば、「コロナ慣れ」「自粛疲れ」などと言っている場合ではない。明日、我が身が救急車のお世話にならぬよう、感染は勿論、日頃から健康管理には留意するしかない。

                                                                       2021,4,26


8合目の治療結果

2年間の呼吸と筋機能トレーニングが終わり、お子様の状態評価報告を親御さんにさせて頂いた。素人目には歯並びが綺麗になったことに満足されているのだろうが、このトレーニングの目的は“顎顔面の正しい成長発育に導くこと”であり、その結果歯並び、咬み合わせが改善することにある。見た目ではない、機能的な改善がされているかどうかである。2年前の口腔内の状態を見れば、トレーニングを行わないよりは目を見張る改善ではあるが、治療する側からすればまだ8合目である。“ちょっと歯並びが乱れているのもこの子の個性かと思って、もう十分かなと思っています。”と言われると、こちらとしては何も言えなくなる。今後はこのお子様が成人になって、咬み合わせが原因の不定愁訴を訴えないことを祈るしかない。

                                                                       2021,4,25


教育

やはりこの話題に触れないわけにはいかない。25日から3回目の緊急事態宣言が発出されるが、今まで映画館におけるクラスターの発生はないにも拘らず休業要請をするとのこと。飲食店、各商業施設などはあらゆる感染防止対策をとりなんとか営業を続け、ぎりぎりの経営そして生活を余儀なくされてきた側にとっては限界だ。どのような方策を執ったにせよ批判を受けるのが首長の定なのかもしれないが、今回の休業要請の対象には行き過ぎ感が否めない。ウィルスは人に感染しなければ生き続けられないわけだから蜜をさけることが必要なのは理解できる。皆さんも不思議に思われていると思うが、通勤時間帯の満員電車の映画館とは比較にならない密状態がやり玉に挙がることはほとんどない。以前に比べればテレワークなどで通勤人が減ったにせよ、相変わらずの密電車である。対策よりも各自の自覚が求められており、それが出来ないのであれば戦後の家庭における躾、教育の問題に根源は辿り着くのではないだろうか。一朝一夕では国も人も変わらんでしょう。すべては教育ですよ。

                                                                       2021,4,24


論文検索

臨床のフィードバック、そして疑問を解決するために以前は大学の図書館まで出向き論文検索などをしたものだが、今はネット社会の恩恵でアメリカ国立医学図書館提供の無料データベースにアクセスして欲しい論文を手に入れることが出来る。これほど時間を節約ができるのはありがたいのだが、数年前までは使い方のHow toに時間が取られて効率が悪かったのだが、やはり“継続は力なり”なのだろうか、論文検索が苦にならなくなっている自分がいる。学ぶことの奥深さはどの分野においても共通事項であるが、秀吉の“日本語を世界の共用語にする”という夢が実現されていたら、もっと早く楽に論文を読み込めているだろうに。

                                                                       2021,4,23


感謝

「探しに探して学びに学びを重ねてやっとここだ!と思う歯科医に出会えた。」とは1年以上矯正治療で通院されている患者さんからの手紙である。思いがけない礼状に驚きとともに感謝する次第である。当方は20数年、勤務医時代から臨床に真摯に取り組んできたつもりではあるが、こちらの思いとは裏腹に望むような結果に至らなかった患者さんもいたかも知れない。今でも私の中では完成形ではなく発展途上であることは、日々発見があることから承知している。にも拘らず、患者さんから感謝して頂けるとはなんて素晴らしい職業であるかを再認識させられた。歯科医療従事者であるので歯科医療を提供すること自体がコアな部分であるのは言うまでもないが、コアな部分を評価して頂くにはサブ的なものも含めた総合評価が良くなければ顧客でもあり患者さんでもある方からの評価は頂けない。歯が痛くて来院された患者さんであっても、歯だけではなく悩みを抱えた一人の方がお越しになられていると我々スタッフが常に意識し、患者さんに寄り添う姿勢がお手紙を下さった方には伝わっているのかもしれない。

                                                                       2021,4,22


隣国

お互いを尊敬しあうことが出来ない国民は罵り合うことしかできないそうだ。そんな国民でも共通の敵には一致団結するらしい。どこの国のことかはご想像に任せるとして、福島原発処理水の海洋放出について咬みついてきた。原発を保有している国であれば、処理水を国際放出基準を守って海洋放出しているにも拘わらずだ。我が国においても海洋放出には否定的な意見が多かったが、科学的根拠に基づいた対応をとっていることが周知されてくると、世論調査においても海洋放出も止む無しの意見が半数を超えてきた。学生時代ヨーロッパを周遊したときに宿を共にしたそこの国の友人は、今も変わらず心優しい友人である。良識ある国民は国は違えど思いは通じるものだ。隣国のリーダーに問いかけたい。困った時には遠くの親戚より近くの他人なのではないかと思うのだが‥‥。

                                                                       2021,4,21


人類への警告

変異株の新型コロナウィルスの感染拡大が収まらない。ウィルスは人間に寄生できなければ死滅するということは、1週間全国民が外出を控えれば完全なロックダウンとなり、理論上日本から新型コロナウィルスはなくなるのか?なんて全くの素人発想とでもいうのか、通院中の患者さんに質問を受けた。そもそもこのウィルスは人工的に創られたものなのか、自然界に存在したものなのかですらはっきりしていない。もしも自然界に存在するものだとしたら、生態系のバランスを保つために自然界から送り込まれた天敵だと考えられないか。関東大震災が起きた時に当時の知識人らが大正デモクラシーで浮かれていた国民への天罰だと発言したことが問題視されたことがあったと聞くが、新型コロナウィルスは人類への何らかの警告と捉え、国籍を問わず誰もが謙虚になることにそろそろ気付いたらどうなのかと世界の指導者に問いかけたい。

                                                                       2021,4,20


地球存亡の危機

季節外れの巨大勢力の台風がフィリピン沖で発生し沖縄方面に向かっている。豪雨、台風などの自然災害がここ数年毎年のように繰り返され、50年に一度などと形容されることも珍しくない。地球温暖化が原因であることは今更述べる必要もないが、二酸化炭素の排出量削減目標をどこの国もあげてはいるが実効性に欠け、目標が次々先延ばしされている感は否めない。国連のグテレス事務総長は気候変動リスクを抑えるため、「2040年までの石炭火力発電の全廃」が必要だと主張している。やはり化石燃料そのものに頼るエネルギー開発を世界各国が足並みを揃えて実質ゼロにすることが喫緊の課題である。バイデン政権がパリ協定に復帰し、日本においては2030年にはガソリン車の販売を中止するとの発表もあった。子供や孫の世代以降も地球が存続できるように、迷っている時間はない。実行あるのみ、もう待ったなしである。


                                                                       2021,4,19


節度ある行動を!

日曜日にも拘わらず、新型コロナウィルス感染者は増えるばかりだ。リスクが高いとされる飲食店だけではなく、学校や職場、施設など様々な場所で感染が広がっている。ここまで来たらどこで感染してもおかしくない。スーパーの出入り口にある消毒用アルコールの手指への噴霧量が心なしか以前より多くなっているのは危機意識が高まっている証か。イスラエルにおいては国民の53%がワクチン接種を終え、屋外におけるマスク装着義務を1年ぶりに解除するに至った。国によるワクチン接種に大きな差が出ているが、我が国においてはワクチン注射する人手不足の問題が浮き彫りになっている。歯科医師によるワクチン注射も検討されているようだが、もし日常診療のなかで場所も設けてワクチン接種に協力をと要請が来たとしても、果たしてどれだけの歯科医師が協力できるのかと疑問符がつく。コロナ慣れも囁かれているなかで、全国民に節度ある行動を心掛けることが先ずは優先されるべきである。


                                                                       2021,4,18


日米首脳会談

日米首脳会談がワシントンで行われているが、最近の首脳会談というのは政治ショー的な部分が演出され、30年ぐらい前のトップ会談と比べると会談の価値そのものが下がってきているように思えてならない。G7やG20なども同様である。形式的なことであればオンラインで済むことは、このコロナ禍によって分かってきたことである。「ヨシ」「ジョー」と呼びながら日米連携を強調したが、先ずは人としてお互いが信頼し合える関係になれるかどうかを肌で確認したことだろう。私の記憶する中で強固な日米関係を築いていたのは「ロン」「ヤス」の頃であり、他国と上手くやっていくには何よりもトップの信頼関係を醸成しなければなるまい。そのうえで自国を守っていくために必要な連携はとるべきであり、いつまでも「Noと言えない日本!」であってはいけない。菅さん、外交は素人、とのあしき評を払しょくできましたか?

                                                                       2021,4,17


寛容さ

東芝の経営が揺れている。1980年代の「世界経済の最大のリスクは日本企業が強すぎること」とまで言われた頃を知る人にとって、凋落の一途を辿る日本企業の衰退は寂しい限りである。業績不振が明らかになってくる前後して、以前の日本企業では考えられなかった不祥事も起きた。数年前には食品の産地偽装、自動車のリコール隠し、そして不正会計処理。何も企業だけではない。国民に選ばれて国に奉仕すべき議員の質の低下も根は同じではないか。グローバルスタンダードなどと言われ、日本の文化に根差した経営の仕方を否定するような風潮がはやり、成果主義や短期的な利益を求める四半期決算など、利益の追求を前面に出す、働く人々の献身的な努力を評価しない経営方針が現況を招いたのではないか。元イギリス首相のブレアーさんが、「現在の7歳児の読書量が20年後のイギリスの立ち位置を決めている」と言ったように、人を育てるには長い期間と、成長を待つ心の余裕が必要であろう。教育も政治も経済も、成果の追求が第一では全てにおいて汲々となり、社会全体も寛容さが無くなり、生き難い世の中になる気がする。

                                                          

                                                                       2021,4,16


マスターズの栄冠

先日の松山英樹選手のマスターズ制覇をライブで中継を観ることは出来なかったが、解説の中島常幸プロやアナウンサーが声を震わせていたことを知り、日本人悲願のグリーンジャケットに涙腺が緩みそうになった。松山選手がマスターズ初出場にてアマチュアトップの成績を収めた時には、そう遠くない時期に快挙を達成するだろうと多くのゴルフファンは確信し願ったに違いない。その後の活躍は私が述べるまでもないが、4年前の全米プロで優勝目前に後半3連続ボギーで崩れ、人目もはばからず大泣きしていたのを思い出すが、その後のインタビューで松山選手の強さを感じさせることを言っていた。「勝てる人と勝てない人の差はここからの差だ」。その後しばらくツアー優勝から遠ざかるが、心技体全てを充実させての今回の栄冠だったのではないか。29歳の若者とは思えない強い精神力をもった生き方は、コロナ禍の苦境で苦しむ国民の支えになると信じたい。

                                                                                                               2021,4,15

残り約100日

長野冬季オリンピックのスキージャンプラージヒル団体の金メダルを白馬の会場で目にした感動は20年以上経過しても薄れない。原田選手の1本目のまさかの失速79,5mでメダルが遠のいたと誰もが思ったその1時間後の原田選手の140m越えのビックジャンプで奇跡の金メダルを手に入れたあの感動だ。白馬駅からジャンプ競技場まで他国の応援団と一緒に歩き、ノルウェーから遥々やってきた方々とは腕を組んで歌を歌いながら会場に向かったこともいい思い出である。スポーツの祭典が呼び起こす感動は競技だけではない。新型コロナウィルスの感染拡大で1年延期となった東京五輪・パラリンピック。感染症との先が見えない攻防が続く中で、従来とは異なるスタイルの大会となろう。新規感染者の増加で開催よりは中止や再延期を望む声が出始めている。開催まで約100日。オリンピックの気運は高まっていくのだろうか。

                                                                                                               2021,4,14

良識のない面々

新規予約患者さんの診察日が近づいてきたので予約日時の確認をこちらから連絡させていただくと、「あっ、もう他で治療しました。」と全く悪びれた様子もなく電話の向こうで語る女性。これが今の日本人の姿なのか?とは大袈裟な表現かも知れないが、あまりにも常識も良識もないことにただ呆れるばかりである。他の医院で治療をされたのであれば、こちらの予約をキャンセルすると申し出るのが礼儀ではないか。当医院の予約時間を本人で1時間、お子様も一緒に診て頂きたいということでさらに1時間、合計2時間枠を確保していたものが空き時間となった。カナダの歯科医院では予約を取る際にクレカの番号も控えさせていただき、キャンセルの場合はキャンセル料を頂くそうだ。何もキャンセル料を頂きたいということではないが、不愉快な気分にさせられることにスタッフ共々腹が立つと同時に、そのような非常識な方と関わらないで済んだことに安堵を覚えた日でもあった。

                                                                                                               2021,4,13

身体の手入れ

ランニングシューズの足底ラバーのすり減り方が左右均等ではない。ということは、走る姿勢のバランスに偏りがあると考えるのが自然で、一言で言えば体幹が良くないのだろう。身体の凝りが生じるときはいつも同じところでもある。体幹のずれ?だとしたらどこまで補正できるのか?体幹の崩れる根本原因はどこに。もしかして私も咬み合せの狂いが原因か。咬み合わせと体幹を合わせて診る歯科医の診断力が今後は求められよう。巷の本屋をのぞけば、筋力トレーニングメソッド、体幹トレーニングなどの本が多数陳列しているではないか。運動やスポーツを行うだけではなく、筋肉や骨格のメンテナンスをいろいろと学びながら取り入れ、慢性的な心身の不調につながる要因をなくしていきたいものだ。

                                                                                                               2021,4,12

慣れ

昨日の毎日新聞の余禄に「馴化(じゅんか)」という心理学用語が紹介されていた。平たく言えば「慣れ」である。新型コロナウイルスの変異株の感染が拡大し感染力も強いことから今まで以上に警戒が必要であるが、政府や各自治体の呼びかけにも拘わらず、宴会における感染拡大が各地で散見されている。“自分だけは大丈夫?”と思って行動してしまうのだろうが、人は弱いものである。要請だけでは人は動かないということか。コラムでは、毎朝同じ目覚まし時計の音を聞いていて、気付かずに寝坊するのも「馴化」のためだという。コロナ禍において国民が緊張感を持続させるにも限界はあるが、約一年前の未知のウイルスへの恐れを忘れずに3密を避ける、手洗いの励行、マスクの着用などは今後も日常の習慣として定着させるしかないだろう。

                                                                                                               2021,4,11

一朶の雲‥

本日も新規の患者様からの問い合わせを頂いたが、直ぐに予約を承ることが出来ず申し訳ない気持ちである。なぜ予約を断るのか?となかには疑問を抱かれる方もいらっしゃるかも知れないが、もしすべての問い合わせを受けたとしたらどうなるか想像して頂きたい。こちらのキャパは決まっており、そこを無理にでもお受けした場合には予約患者様の時間を割くことになり、予定の治療まで進めることが当然できなくなる。ではドクターを採用したらどうかと患者様から質問を受けることもあるが、私が治療を受ける立場であれば経験豊かで納得のいく説明をして下さるドクターの治療を望むので、勤務医を採用する考えは今のところない。あくまで今のところはであるが‥‥。歯科診療の基本は先ずはトラブルを抱えた口腔内の問題を解決する道筋を説明することにあり、一人の悩みを抱えた方が治療にお越しになられているという、口腔内には表れていない患者様の思い、心理をどこまで汲み取ることができるかということである。「子供の頃から歯医者に通っているが一向に歯が良くならない」、「お金を掛けて治療をしたのにまた悪くなった。」など患者様の悩みは様々である。私とて完璧な人間ではないので、開業間もない頃に当医院で治療を受けられた方の中には満足のいく結果を得られなかった方のもおられるかもしれないが、自分なりに真摯に臨床に向き合ってきた結果が今の診療スタイルにあることは間違いなく、満足以上の価値あるものを提供させて頂きたいとスタッフ共々日々精進している。まさに「のぼってゆく坂の上の青い天にもし一朶の白い雲が輝いているとすれば、それのみをみつめて坂を上っていくであろう」の心境である。

                                                                                                               2021,4,10

スマホは危険?

スマホに関するコメントを書くことが多くなったが、IT先進国のスウェーデンの精神科医の著書「スマホ脳」は、デジタル化が脳に及ぼす影響について警笛を鳴らしている。記憶力の低下や睡眠障害などは子供において顕著だという。東北大学の川島先生の研究においても同様のことが言われており、身近な存在どころか必需品になりつつあるスマホの扱いについて、国レベルで真剣に取り組むべき課題ではなかろうか。受験生においては、LINEの存在が集中力を損なう原因の一つにもなっていると言われているが、我々は日常生活の中で何度スマホに手を伸ばしているのだろうか。デジタル化は時代の要請ではあるが、それに伴う負の側面についても分かっていることは広く啓蒙していくべきであろう。

                                                                                                               2021,4,9

美しい心

電車から降車駅にて降りる際に、扉の横に貼り付くように立っている輩が邪魔で文句の一つでも言いたくなるのは私が人として未熟だからか?それだけではない。昨今はホームのアナウンスでも「スマホ歩きは危険ですのでおやめください!」と耳にたこができるぐらい聞いている。にも拘らずスマホ歩きの人間は減るどころか増加傾向にある。マナーの悪さには本当に辟易する。こちらの欄でも何度か述べさせていただいたが、自分よりも周りのことを常に考えて行動できるように考え方も習慣化されていれば、ここまで世の中は殺伐とはならなかったのではないか。優先席以外では席を譲らなくてもいいと考えている若者が本当にいると聞くと、世も末の感がある。どうした日本!美しい心を取り戻そうではありませんか!

                                                                                                               2021,4,8

顎顔面の正しい成長発育

12~13歳までに顎を含めた頭蓋顔面骨の95%が出来上がる。子供の歯並びが良くないのは遺伝ですか?答えはNoである。2%ぐらいは遺伝も関係しているといわれていますが、歯並びや咬み合わせが悪くなる不正咬合の原因は口呼吸と間違った嚥下様式である。つまり間違った筋機能、筋肉パターンを改善させなければ顎顔面骨格の正しい成長が阻まれ、顎骨が本来の大きさに成長しないので歯が歯槽骨上に入りきらなくなるのである。口蓋骨、上顎骨が大きく成長しなければその上に存在する鼻骨も大きくならないと考えるのは自然ではないか。鼻骨が拡がらなければ鼻気道が狭くなり、鼻の通りが悪くなって鼻が詰まりやすくなるのは解剖学的なことからも分かりやすい。先ずは舌を口蓋に貼り付けることを意識して頂きたいのだが、舌がしっかりと持ち上げられない子供がなんと多いことか。親御さんも含めた教育には説明と時間が必要なのは言うまでもない。

                                                                                                               2021,4,7

善きことを‥‥

私淑する稲盛和夫さんの著書には心の在り方の大切さが説かれている。あれだけ成功を収められている方であっても自身のことを妄念だらけの人間と表現されている。それを自分で「それはいかん、それはいかん」と戒めながら、正しい方向へ、正しい方向へと自分を向けていく毎日を送っているという。常にそういう修正をしていくと、自然とそれが魂を磨く、心を磨くという行為になって、その結果として、性格、人格が変わっていくと。あらゆる指導者には難しいことは求めない。善きことを思い、善きことをすれば、よい結果が生まれるということを無の境地になって悟って欲しい。お天道様が見ているよ!

                                                                                                               2021,4,6

十年一昔

「SNS疲れ」という言葉さえ生まれている昨今、音声のみでコミュニケーションするSNSがあるとは知らなかった。ツイッターも試験的に導入しているそうだが、普段からお世話にはなっていないので、少々時代の波に乗り遅れた感がある。新型コロナウイルス感染拡大によって人との直接対面する機会が減ったことで、会話に飢えていた人が多かったという特殊要因が背景にあるにせよ、一気に人気がでているらしい。固定電話の契約件数は携帯電話の普及で減少し、その携帯電話の電話機能も無料通信アプリで済ませてしまう割合が6割強あるとのことだ。昔は十年一昔と言われていたが、今では一年前のことですら遠い過去の話になることに事欠かない。環境の変化に対応しつつも人としてなくしてはいけないものを忘れないようにしたいものだ。

                                                                                                               2021,4,5

さくら🌸

犬の散歩コースでもある近くの公園では毎年この時期に八重桜の会が開かれるが、今年は新型コロナウイルス感染拡大によって去年に続き見送られた。それでも八重桜は例年通り見事な咲きっぷりで、あちこちでスマホのシャッター音が聞こえてきた。ソメイヨシノの桜は私が子供の頃は入学式に合わせて咲き誇っていたものだが、ここ数年は開花時期も早まり、温暖化の影響を嫌でも感じざるを得ない。それにしても桜は人を優しい幸せな気分にさせてくれる。京都疏水の枝垂れ桜、秋田角館の桜並木、青森弘前城のソメイヨシノ桜、長野高遠の山桜、他日本では本当に素晴らしい桜を各地で目にすることが出来る。来年こそは心置きなくお花見ができることを願いながら、各地の桜だよりを愉しみにするか。

                                                                                                               2021,4,4

探求型学習

 2022年度の高校教科書の内容に、自ら課題を見つけて解決策を探る「探求型学習」が多く盛り込まれたと日経新聞に載っている。今まで言われてきた知識を教え込むだけの一方通行型の教育から脱却できるか、大きな教育の転換期になるかも知れない。「歴史総合」の科目では、もし自分が1930年代に生きていたドイツ人だったとしたら、ナチスを支持したかどうかを考えさせる教科書もあるとのことだ。キーボード入力をしながら私自身が考えさせられている。様々な分野に関心をもちながら深く掘り下げて考える習慣を身につけることは生涯に亘って自分を高める要素でもある。ネットで情報がすぐに手に入る時代において、自己と向き合って考える「探求型学習」は全世代において必要であろう。                    

                                                                                                               2021,4,3

人vs新型コロナウイルス

 新型コロナの感染拡大が勢いを増してきた。しかも今までとは異なる変異型ウイルスの占める割合が高くなっている。ウイルスも生存し続けるためには必死ということか。ワクチン接種も思うように進んでいないようで、新型コロナウイルス感染拡大2年目となって国民の“コロナ慣れ”も囁か始めている。今一度ここは初心に立ち返って感染防止を徹底させようではないか!コロナを抑え込むか、コロナに抑え込まれるか?悠長なことは言ってられないのが現実である。                     

                                                                                                               2021,4,2

家庭教育の立て直し

  「子供の咬み合わせが気になるので診察をお願いしたい」ということであったので、当然親御さんもご一緒かと思いきや、なんと祖母の方が付き添いでお越しになられた。親御さんに急用が出来たのかも知れないのでそれほど気にしないでお子様の診察を行い、状況説明を祖母にさせて頂いた。そこまでは何ら問題はなかったのだが‥‥、待合室に戻った途端に小2になる女の子が祖母に対してまるで召使に使うような言葉を使い始めたのだ。それも命令口調で。とんでもないことである。とは言っても他人様のことですから、いちいち私が関わる必要はないのだが、後日母親がお越しになられた時には余計なお世話かも知れないが、有りの儘をお伝えさせて頂いた。塾通いも結構だが、家庭教育の立て直しが今の日本では急務であると感じた時間である。

                                             2021,4,1

新聞の良さ

  私が学生の頃は、通勤電車内におけるサラリーマンの新聞購読率は高かった。器用に新聞を折り畳んで、それこそ一種の神業?と思えるぐらい綺麗に折り目を合わせて読まれている紳士がいたものだ。今ではスマホで電子新聞を読んでいるのか分からないが、新聞紙そのものを見る機会も減り、ホームの売店でも新聞の販売在庫は少ない。ちょっとしたニュースであればネットで知り得ることは可能だが、新聞の良さは何かといえば、読むことで政治や経済、科学や地域のことを含めたいろいろ世界の動きが分かることだろう。今日で弥生も終わり明日からは卯月。活字離れが社会現象化している中で、是非とも新年度からは新聞を読み続ける習慣を復活させて頂きたい。

                                             2021,3,31

官僚の不祥事

  自由が丘の桜並木も満開となり、ベンチに座って控えめにお花見をされている方も見受けられる。全国各地の桜の名所においても密を避けるような対策がとられており、新型コロナ感染防止を考慮した行動が優先されている。にも拘らず、第4波と疑わざるを得ない感染者の増加が全国的に拡大し始めている。そのおりもおり、厚生労働省の職員23人が深夜まで送別会をしていたことが明らかになった。感染防止の陣頭指揮を執るべき本丸がこれでは開いた口が塞がらない。昨今の官僚や政治家の不祥事には事欠かない。以前は国会議員や官僚というのは、その人の身分が尊いのではなく、その人がその才能や人間性でその役割を務め、国民のために尊い国の法律を扱っているからこそ敬意が払われていた。今の役人を見ている限りでは、なりたくない職業の上位にランクされても仕方がない。福沢諭吉が説いている、「個人が尊いのではなく、国の法律が尊いのである」。官僚たちよ、君たちは人として何を学んできたのか。塾では教えてくれませんでしたか!

                                             2021,3,30

ミャンマーを救え!

  ミャンマー国軍の市民への弾圧がエスカレートしている。報道によればスナイパーが同胞に向けて狙いを定め殺害しているとのことだ。ニュース映像でも常軌を逸した兵士たちの振る舞いを目にすることが出来る。一連の行為は治安維持ではなく虐殺ではないか。日本政府はどうした、何をしているのだ。ミャンマー国民は助けを求めている。大国の顔を伺っている場合ではない。国連も常任理事国の拒否権が存在するかぎり全くの無能機関であり、70年前の戦勝国の決め事は未来永劫変わることはないのか。戦争を知る世代は少ない。その悲惨さを誰もが実感できなくなったころに再び戦禍を被ることになりはしないか。ミャンマー国内の問題は国内だけの問題では済まされない。我が事として関心を寄せてほしい。

                                             2021,3,29

徳を育む

  先日53歳の若さで亡くなった古賀稔彦さんは目配り、気配りの達人だったと新聞各社のコラムなどで紹介されている。その記事の一つでは、後輩には「人の心を理解しなければ真の勝負師にはなれない」と説いたと書かれている。何も武道だけではない。どのような環境、立場であっても相手のことを想い、相手の立場に立って行動がとれるようになることが人として基本であろう。困った時に助け合うのはお互い様ですから・・・、教えられなくても我々日本人のDNAには組み込まれているはずだ。昨今は自分のことしか考えられない、言わば自己中心的な輩が多くなっていると感じているのは私だけではあるまい。徳を積む必要性を意識しなければ、益々由々しき社会になっていくのは時間の問題である。

                                             2021,3,28

子供の歯列矯正治療

  「子供の(7歳)咬み合わせが悪いので矯正治療をお願いしたい」と相談を受けた。この親御さん自身子供の時から歯並びが悪く、中学生の時に歯を抜いて矯正治療をされた経験があり、我が子には同じ経験をさせたくないとの思いだ。先ずはなぜ歯並びや咬み合わせが悪くなるのか?を理解して頂く必要がある。簡単に言えば“不正咬合の原因は口呼吸と異常嚥下”であるということだ。ということは、仮にワイヤー矯正に直ぐ取り掛かかり、歯並びが改善されてワイヤー矯正治療が終わったとしても、口呼吸や異常嚥下の習癖が改善されていなければ、歯並びは後戻りすると考えるのが自然であり、実際に後戻りのケースを目にする機会は少なくない。子供の矯正治療の目的は“歯を綺麗に並べる”ことではなく、“子供達の顎顔面の発育に対する悪い影響を取り除き、より良い筋機能を獲得した結果として好ましい顎顔面の成長を達成する”ことであり、そのことが口腔や口腔周囲筋だけでなく、顎関節、姿勢、免疫力など、全身的に健康な状態へと導くことになる。


                                             2021,3,27

Always do what you are afraid to do!

  “Always do what you are afraid to do”「最も困難な道に挑戦せよ」とは神奈川県のある県立高校の合言葉だ。大人になり、社会人として世の中を生きてくると、振り返ると中高生の頃の生活習慣、物の考え方の習慣が大人の自分の基礎を作り上げたことに気が付くことがある。勿論その後の社会経験の中で人間の幹は太くなっていくのだが、経験も自信もない頃はついつい安易な方向に流されていきがちだ。それが若さかも知れないが、若い人には内面の弱さを進んで困難な道を選んで挑戦することで克服して欲しい。何事も我武者羅に取り組むことで見えないものが見えてくる。そんな経験が次のステージへと自分を引き上げてくれる。何事も挑戦だ!


                                             2021,3,26

平成の三四郎

  平成の三四郎が逝った。あまりに突然すぎる。日本人男児としてあの相手を鮮やかに投げ飛ばす背負い投げに憧れた人も少なくないのではないか。柔道着を身につけたことのない当方には武道の神髄まで分かったことは言えないが、“礼に始まり礼に終わる”を日常生活の行動規範として生きてこられたような柔道家ではないか。今の時代にもっと多くの子供や大人の指導にあたって欲しい人がなぜこんなにも早く逝ってしまうのか、残念という思いしかない。数年前にはラグビーの平尾誠二さん、やはり柔道の斎藤仁さんも若くして病に倒れた。人にどう見られたいかという生き方ではなく、自分はどうありたいかが大切であるように、たとえ短い人生であってもどう生きたかが人には大事なのかもしれない。古賀、君には日の丸が似合った。忘れないぞ!


                                             2021,3,25

オンライン旅行

  オンラインによる情報交換が盛んになる中、「オンライン飲み会」だけではなく「オンライン旅行」なるものが盛況らしい。Go to Travelが中止になって以来、都道府県を越境する移動は悪いことのように言われがちだが、Google mapなどでは越境どころか世界各国までワンクリックで到達できてしまう。物珍しさで初めはちょっとした旅気分を味わえるのかもしれないが、現実の旅とは違い街角のカフェから香る匂いなど五感で感じるものはない。旅に求めるものは非日常であり、日常生活でささくれ立った心を癒し、心に新しい何かを吹き込んでくれる、それが旅の魅力である。コロナが終息した際にパスポートをもって出掛けられることを願いながら、週末には世界の観光地でも覗いてみるか。


                                             2021,3,24

論理も大事だが‥‥

  新型コロナウイルス感染拡大の影響で会場を使ってのセミナーはこの一年はなくなり、多くはオンラインによるセミナー開催に切り替わった。現地まで出向く必要はなく楽でもあり、画面との睨めっこは多少目が疲れるが、予想に反して私の中では満更でもない。ただそれはセミナー内容によるのであって、会場を使った以前のセミナーにおいても講師によっては何を強調したいのかよく分からない眠くなるようなものも存在した。セミナーであるから内容の充実度はもちろん重要であるが、理路整然と述べれば受講側に伝わるかと言えばそうではない。演者の話し方、アクション、声の抑揚など人を惹きつけるものが必要である。一言で言えば“熱い情熱、パッション!”だ。コロナ禍において、リーダーたちの発信力が問われている気がする。皆さん言っていることは間違っていないが心に響かない。原稿を棒読みするのであればAIでもよかろう。人間は論理では動かない、感情で動くことを知って欲しい。


                                             2021,3,23

人としての根幹

  「割が合わないから辞めました」とは以前通院していた20代前半の女性の言葉。美容師の資格を取り、最初に勤めたところで仕事を覚えることが先ずは何よりも優先されるべきであり、規定の給与を頂きながら仕事をさせて頂けるだけでも感謝すべきではないのか。割が合わないのは経営者側の言い分だろう。世の中このような言ってみれば自己中的な人間が多くなってきていないか?何も進んで苦労しろというのではない。しかし、自分の極めたいものがあるのであれば、それに向かって努力することは必要であり、それは苦労でも何でもないはずだ。朝が早いから嫌だとか、夜が遅いから嫌だとか、そういう人たちが多くなった。こういうのは仕事以前の問題であり、人としての根幹が出来ていないとしか思えない。日頃からの考え方の習慣が日々の行動を決定するのは間違いない。

                                             2021,3,22

巣ごもり需要で‥‥?

  我が家では昨秋からカニンヘン・ダックスフンドを飼っているが、子供達の世話好きは予想外だったが実に愛らしい。ご縁があって八戸のブリーダーまで足を運んだが、ペットショップで購入するのとは違い育ての親が分かるので何かと安心であり、犬の両親にも会えたので思い入れもペットショップで購入するのとは違う。ただそのペットショップの最近のショーウインドーの値札が示す値段が高騰していて驚きだ。ニュースでも取り上げられていて、巣ごもり需要で取引価格が高騰しているとのこと。巣ごもり需要で‥‥何か引っかかりませんか?まだ暫くはコロナ禍の終息は望めないだろうが、終息後もペットの世話をきちんとするのか?飼い主の勝手な都合で飼育を放棄することになったらペットは‥心を癒し、情操教育にも一役買うペットではあるが、ペットは飼い主を選べない。ペットであっても相手の身になって考えることは教える以前のことである。


                                             2021,3,21

バカ、アホ、たわけ?

  結婚当初、妻から「バカバカって言わないでよ!」って本気で怒られた記憶がある。馬鹿だと本気で思っているわけではなく、ちょっとした掛け合いで言っているだけだったが、当の本人にしてみたら“馬鹿!”という響きが本当に腹が立つ響きだったそうだ。なぜなら彼女は京都出身であり、いわば関西文化圏育ちなので、関東育ちの私とは言葉の持つ意味合いが違ったのだ。皆さんはふざけたりしたときには「バカ」「アホ」のどちらを使いますか。それともそんな品のない言葉を口にすることはないか。ちなみに静岡出身の患者さんはアホよりバカのほうかな?と仰っていましたが、名古屋出身の知人はバカ、アホそして“たわけ”ってつかいませんか?と逆に質問を受けた。私自身「たわけ」は使わないが、もし自分に向かって使われたら、聞きなれないせいか良い気分はしない。言葉、方言は使い方によっては相手との関係が微妙になるかも知れないので要注意ですかね!


                                             2021,3,20

恩送り

  よく“恩返し”と耳にしますが、“恩送り”という言葉を先日知りました。相手に恩返しをするということは、それでおあいこになってしまい、お互いの関係が終わってしまうということにもなる。だから恩は返さずに他に送るほうが良いということ。その恩を受けた人がまた同じように他に恩を送ることで、恩が世の中をぐるぐる廻って永遠になくならない。世の中が良い方向に向かう、そんな明るい気持ちにさせてくれる考え方ですね。家庭の団欒の時にこんな会話を是非お子様方にしてあげて欲しいです。そんな心を育んだ子供達が大人になった時には、今のようなぎすぎすした住みにくい日本ではなくなり、物質的な豊かさではなく文化的な豊かさをもった国として世界をリードする国になっているのではないでしょうか。


                                             2021,3,19

卒業生

  教育現場では卒業式も終わり、新たな旅立ちを控えて喜びと悲しみが交錯する時期である。“雪深く道見えず、今暫し待たれし”とは、私が18の春に受験した国立大学からの電報である。何度も短い文面を読み返したものだ。記憶するつもりはなかったが、長い年月を経ても脳裏に焼き付いている。それから大学入学までは親に迷惑を掛けた。人生は目標を成し遂げるための登山だと例えるなら、卒業は新たな舞台への登り口であり最初の上り坂だろう。頂上に辿り着くのはずっと先のこと。もしかしたら“まさか”という険しい坂に迷い込むこともあるかも知れない。心配するな。富士山頂へのルートは一つだけではない。回り道して別のルートに変えても構わない。大事なのは頂上を目指す思いを忘れないことだ。


                                             2021,3,18

変異型コロナウイルス

 東京都では新型コロナウィルス新規感染者の下げ止まりから微増に転じているが、21日に緊急事態宣言を解除するのか気掛かりだ。もしも解除すれば感染者は増加するに違いない。コロナ禍の閉塞感が続く状況を何とか打破したいものだが、仮に解除に至っても心底安心できる状況ではなく、今まで以上の感染対策を講じて過ごすことには変わりない。気になるのは変異型ウイルス。WHOはブラジル型は感染力が高く、ワクチン効果を弱める恐れがあると警戒を発している。“コロナ慣れ”という言葉が聞かれるようになってきたが、命に係わる感染症であることを今一度肝に銘じるべきである。“自分は大丈夫!”なんて根拠のない過信はもってのほかであり、一日も早い新型コロナウィルス感染の終息を願うばかりである。


                                             2021,3,17

10割よりも3割プレーヤーで

 当てずっぽうに事を進めるのとは違い、綿密に計画を練った上で新たな一歩を踏み出すことは、例え望むべき結果が得られなかったとしても評価すべきことであろう。53歳の若さで亡くなった天才ラガーマン平尾誠二が残した名言で「成功の確率が高いタックルを3回試みて3回成功させる10割プレーヤーよりも、同じ3回の成功でも、7回の失敗にもめげず10回挑む3割プレーヤーであれ!」とある。成果主義を求められる今の世の中において、行動に移す前に頭で考えて結論を出してしまって果敢にチャレンジすることを忘れてしまっている傾向に社会はありはしないか。独創性豊かな起業家が日本では育ちにくいと言われるが、日本人の勤勉さ、他人を思いやる精神をもって何事にも取り組めば、不可能と思われるようなことでも実現できる力を我々日本人持っている。多少の失敗には寛容さをもって見守ればいいのであり、果敢な挑戦ができるような土壌があれば、もっと活力のある社会になる。子供の教育においても塾通いが良くないとは言わないが、親主導の学習塾ではマニュアル型の10割プレーヤーしか育たないような気がする。“Boys,be ambitious!(少年よ大志を抱け!”

                                             2021,3,16

口呼吸の改善を!

 皆さんは正しい呼吸の仕方を誰かに教わりましたか?教わらなくても呼吸はしているので意識したことは先ずないと思います。当医院にお越しになるお子様の多くは口呼吸であり、酷い場合には肩で呼吸をしていることもある。幼少のころから目にしていることであれば親御さんも特別異常なことだとは気が付かないことが多く、正しい呼吸の仕方と何が違うかを指摘すると初めて異常に気付くケースが多い。正しい呼吸は当然であるが鼻呼吸であり、その際口唇は閉じ、舌は口蓋に貼り付いているものである。口呼吸の場合は唾を飲み込む(嚥下)際に表情筋なども使って飲み込む異常嚥下状態となり、一日中それが繰り返されれば筋肉の異常な動きによって顎骨の成長は正しい方向に向かわず、顎が小さくなるから歯が顎に入りきらず歯並びが悪くなる。従って不正咬合の原因は口呼吸に起因することが多く、幼児の場合には口腔周囲筋の習癖を取り除くことが何よりも優先されるべきである。大人の場合には顎骨の成長は終わっているのでワイヤーによって歯列の形態を改善し、トレーニングによって筋肉の習癖を取り除く必要がある。さもなければワイヤー除去後に後戻りが生じると考えるのは極めて自然なことである。

                                             2021,3,15

人生噺

 「先生はどうして歯医者さんになられたのですか?お父様が歯科医?お医者様なのでしょうか?」と聞かれたことは過去に何度かある。私の答えは決まっている。「正直なところ歯医者になるつもりは全くなかったですよ。でも今の仕事は天職だと思っています。仕事というのは好きな仕事に就くのか、就いた仕事を好きになるのか、この二つに一つでしょ!」。最近は心底そのように思う。たとえ優秀ではなくても、一つのことに真摯に向き合っていると見えないものが見えてくるというのか、スポーツでいうとゾーンに入る瞬間に似たような感覚を得ることがある。人生は計算するものではないし、計算通りにはいかない。1+1=2のような人生では面白くない。脇道に逸れたとしても、長い人生ではそれが成長への道標となることもある。来院される患者さんとの会話からその方の人生の一端が見えてくる瞬間は私にとっては学びの時間である。話題が盛り上がって治療時間が足りない・・・、長いお付き合いの中ではそれもまた良し!当医院にはそんな患者さんがなぜか多い。

                                             2021,3,14

子供の健康な身体

 春の嵐には参ってしまうが、乾燥していた冬が終わって少し空気を重たく感じる春の訪れを知らせる使者でもある。ランニングコースの草木も早春の準備を始め、何か生命の勢いを肌で感じる季節でもある。花粉さえなければ‥‥。当方も数年前からスギ花粉に悩まされているが、程度は酷くないので日常生活には支障ない。今年は職場の空気換気を優先させなければならず、窓を開閉した状態での診療が余儀なくされるが、花粉さへ入ってこなければこの時期は院内も天然空気清浄機が働いて快適である。2年前から咬み合わせのトレーニングを始めた子供達がそろそろ治療の卒業の時期を迎えている。年中鼻づまりのあったお子様がいつの間にか鼻が通るようになり正しい鼻呼吸ができるようになった子もいれば、日々のトレーニングをうまく継続できずに何となく2年間が過ぎてしまった子は治療の効果も乏しい結果で終わりそうだ。春の卒業シーズンは毎年やって来るが、決して同じ春ではない。子供の成長は日々早い。体調、体幹の不調不具合を身体の成長が芽吹く前に整えることで、健康な大人の身体へ導くことは間違いない。

                                             2021,3,13

国会議員の資質

 参院予算委員会において東北新社関連の問題を相変わらず議論しているが、本来の予算委員会の在り方とは違うのではないでしょうか?おそらく野党側は東北新社の社長の参考人招致をしなければ気が済まないでしょうし、質問に立つ議員の顔はまるで粗探しを得意げにしているかのようにも見えてきた。勿論衛星放送事業者としての申請問題があれば許されることではないが、その問題をどこまでも国会議員が追求すべき問題なのでしょうか?疑義が生じたのであれば、しかるべき機関が調査をすべき問題であり、国会議員はあくまで国を守るべき議論をすべきである。そのようなくだらない話に時間を割いている間にも某国はワクチン外交を展開し、世界をまるで植民地化するような動きである。ミャンマーにおいてもその影響力は及んでおり、地政学的な優位からミャンマー軍部とのパイプを太く構築している。このような問題に対して野党のお歴々はどのような対応策をお考えなのだろうか?批判しているだけなら私にでもできる。国を背負って国を守るという姿勢を少しは見てみたいものだ。

                                             2021,3,12

3・11

 午後の診療の準備に取り掛かっていると、聞いたことのない地鳴りがした途端に診療室全体が激しく揺れた。“建物が崩れる!”と直感的に身体が構えた。立っていられないとはこういう揺れのことか。ラジオのボリュウームを挙げるとアナウンサーの声が緊急事態を連呼している。沿岸部では10メートルを超える津波が‥‥できる限り高台に避難を!揺れは一向に収まらず、午後の診療は様子を見ながら始めたものの診療台も揺れている有様では危険で治療どころではない。全ての予約をキャンセルし、スタッフ共々早々に帰宅を考えたが時すでに遅し。全ての交通機関は止まっている。ネットで中継される東北地方沿岸部は、目を疑うような映像が流されている。誰もがまさかここまでの被害になるとは思っていない、そんな現実とは受け入れがたいことが10年前に発生した。地震列島に住む日本人にとっては宿命なのかもしれないが、どんな備えをしても自然には抗えないということか。教訓とするにはあまりにも被害が甚大すぎる。我々一人ひとりは何を感じ、この10年を過ごしてきたのだろうか。今は黙とうすると同時に生かされていることに感謝し、日々精一杯生きていくことが亡くなられた方々への供養となると信じたい。


                                             2021,3,11

経営者の信念!

 多くの事業経営者にとってこのコロナ禍は、危機管理の面においても想定外の出来事であり、事業規模を縮小するなりありとあらゆる方策をとって対処していることだろう。なかにはいつまで持ち堪えられるのか、いい加減限界にきているという経営者もいるに違いない。私が医院を立ち上げた時には今も一流の成長企業である経営者が、起業して成長、発展、衰退は30年周期でやって来ると言っていたことを思い出す。要は事業が発展し経営が軌道に乗ってから、更なる成長を続けるには小さな成功体験に浸っているようでは駄目だという戒めの言葉として受け止めた。大きな困難は必ずやってくるわけで、コロナ禍だけではない。またこれとは別に小さな困難は毎日のようにやって来る。その時にできない理由を見付けてその状況から逃げ出すのか、糸口を見つけて困難にぶつかっていくのか。背中を押してくれるのは、事業に対する思いが信念になっているかどうかではないか。日本には学ぶべき立派な経営者が多いことが幸いだ。


                                             2021,3,10

国益を損なう国会議員

 国会議員の職責は何か?相変わらずつまらん問題を野党の国会対策委員長は与党に質問をしている。つまらんという表現を野党の方々が耳にすると目くじらを立てそうだが、国会議員というのは国を守る“国防”という意識が常にあるべきではないのか?森友問題、桜の会などを調査、追及するのであればそれは別機関のすべきことであり、昨今の野党議員の姿勢はメディアを意識し過ぎたパフォーマンスに徹していて、印象操作によって世論を動かそうとしているようにも見える。なぜなら昨今の民意は論理より感情で動くからだ。今月末は小中高の年間の成績表が渡される時期である。同じように国会議員一人ひとりの成績表を付けてみてはどうか。国益に沿うような政策提言をどれだけ行っているのだろうか?有事に備えて法整備を主導しようとの政治の意思がみられない。そもそも政治家がリーダーシップを執る「政治主導」ではなかったのか。リスクを恐れて既存の枠、前例の枠内でしか動けないのであれば、国は前に進まない。仮定の質問には答えられないなどと言うのではなく、想定外への対処に率先して身を投じなければならないのは誰なのか、今の与野党議員たちには国を背負う危機感が伝わってこない。国が侵略されたら証人喚問もできませんよ。

                                             2021,3,9

詭弁のプロ集団?

 コミュニケーションが上手く取れない患者さんの治療はすべきではないし、そのような患者さんは実際のところ次回以降お越しにならなくなる。お互い相性が合わないということもあるのだろう。また治療を要する場合には複数回の予約が必要になるので尚更である。逆に話の弾む方であると話題が尽きず、治療時間が短くなるもしくは無くなってしまうことすらあるぐらいである。歯科医師と患者ではあるが同じ人間であり、コミュニケーションが深まると親しみも湧き、情も入るというものだろう。しかし、いくら親しくなったからと言って自分の立場を忘れて多額の接待を受けるようでは国家公務員としては務まらないのではないか。いつまで経っても同じことが繰り返されている。「過ちて改めざる、是を過ちと謂う」。詭弁が得意なのは、さすが第一種国家公務員試験をパスするような優秀なお歴々がなせる業か!

                                             2021,3,8

デジタル・デトックス

 以前スマホの利用と学力低下の恐ろしい関係について、東北大学の川島隆太先生が述べられていたことをこちらのブログでも挙げさせていただきましたが、スマホ脳の著者であるスウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセン医師もスマホと精神状態の関係について述べられている。フェイスブック、インスタグラムなどを1日最大30分、1サービスにつき10分までの使用制限を3週間続けたグループとそうでないグループに分けた調査では、調査開始時にうつ状態にあった人たちは、以前ほどの気分の落ち込みや孤独を感じなくなっていたとのこと。つまり、SNSがうつを引き起こしている可能性を示したわけである。悪影響を受けないようにするためには時間をどのくらい制限すればいいのかは正確には分かっていないが、脳に影響を及ぼしていることを知るには十分な研究結果ではないだろうか。それでも朝起きてすぐにスマホを手に取りますか?

                                             2021,3,7

生きていく上での基本とは

 易しいことが出来ないと難しいことが出来ない。言われれば当たり前のことだが、以前プロ野球巨人軍の監督を務められた川上哲治さんがある記者の質問に対して「野球で最も大事なことと言えば、捕る、投げる、打つの3つだ」と答え、更に「巨人軍に入団してくる選手でも、この三拍子が揃っている選手は珍しく、一つはちゃんとしていないものがあるものだ」と語っていたそうだ。従って二軍で基礎、基本をみっちりと教え込み、技術を習得させることを徹底していたそうだ。この考え方は何も野球に限ったことではなかろう。職業は何であれ、仕事の基本を身につけなければいつまでたっても成長は望めない。学生の勉強においても基本が出来なければ応用問題など解けるわけもなく、全ては基本の徹底が大事だということになる。基本の徹底とは‥‥。生きていく上での基本は何かと問われれば先ずは他人に迷惑を掛けないことである。そのことが分かっていない老若男女が多過ぎはしませんかね?他人の自己中には気が付いてもいざ自分のこととなった時には意外と気が付いていないもの?就寝前には一日を振り返り、明日への準備に充てましょう。

                                             2021,3,6

理想的な医療体制とは

 首都圏に発令中の緊急事態宣言の再延長が決まった。感染者数の減少数が横ばい状態であることから想定された結果と受けとめた方も多いのではないか。医療の逼迫という言葉を多く耳にするが、病院で働く医療関係者には申し訳ないが人口当たりの病床数は欧米よりも上回るにもかかわらず、なぜ欧米よりも少ない感染者数で逼迫状態になってしまうのか。世界に誇れる国民皆保険制度ではあるが、時代に即した抜本的な改革をする時期に来ていることを示しているように思えてならない。保険点数の配分、部分的な混合診療の解禁、医師や看護師の過重労働の軽減などは以前からの課題である。現状の日本の医療は医師を含めた医療従事者の“医療への義務感”で成り立っていると言っても過言ではあるまい。高水準の医療提供をできるような体制を、党派を超えて国会議員は早急に議論をして頂きたい。


                                             2021,3,5

小さな歪みが‥‥

 診療室に入室してきた4年生の男の子に「こんにちは!」と声をかけると、この子はいつも「あ~ん!」と返事をしてくる。また質問をしてもなぜか「はい!」とは返ってこない。咬み合わせのトレーニング治療で毎月お越しになるのだが、正しい横隔膜を使った呼吸が出来ていない?出来ないために「はい!」と力強い言葉を発することが出来ないことが判明した。正しい呼吸が出来なければ、正しい舌の使い方は出来ず、普段から舌のポジショニングも間違ったままである。床にマットを敷き、その上に寝転んでお腹を膨らます感覚を先ずは掴んでもらうことがこの子には必要であり、身体で“感じる”ことが何よりも優先される。咬み合わせの治療だからといって口腔内だけのアプローチで終わってしまったら、“木を見て森を見ず”になってしまわないか?初めから大きく歪むなんてことはありえない。小さな偏位、習癖、歪みなど、そのまま放置すれば傷口は大きくなるばかりである。注意深く子供達を観察する目を歯科医師は求められている。

                                             2021,3,4

躾けと親の非常識

 子供の教育に「費用対効果」という言葉で私立高校の先生を悩ませる親がいるようだ。父親は企業に勤める肩書のある方らしいが、とにかく子供の成績が上がらないのは学校側の問題ではないか?〇〇大学等に入らなければ意味がないと平気で面と向かって言ってくると、通院中の先生が嘆いていた。常識も良識もない親を相手にするわけだから、常識や良識のある先生であれば眠れない日があることだろう。そんな先生に言わせて頂いた。「先生や学校の問題ではないです。家庭教育の問題、躾が出来ていないことが根本的な問題であり、親の問題ですよ!昔は特性を高める教育が藩校で行われていましたよね。しかし藩校で学ぶには、それに相応しいレベルの人間性と能力が必要だったわけですよ。先ず第一に家庭教育でがあり、その次に集団教育があり、そこで徳性と極めて基本的な技能を身につけたうえで、ようやく藩校に入れたわけですから。」厳しい躾けが幼少の頃に行われていない結果が今の世の中に現象として表出しているのは、誰もが認めることではないでしょうか。

                                        2021,3,3

マスクの正しい使い方

 出勤する際にマスクの装着を忘れていることに途中で気付いた、なんてことはありませんか?今朝は駅の改札口の手前で気付き、鞄の中に入れてある予備マスクを付けて事なきを得ました。通勤でマスク装着を始めて早一年が過ぎますが、昨年の今頃は医療用マスクにも事を欠き、高額なマスクの購入を検討せざるを得ない状況だったことを思い出します。そのマスクも今は巷にファッション性のあるマスクも出回るようになり、マスクを付けていない人が不自然に見えるぐらいの感覚になっていますね。ところでマスクを正しく装着できていますか?世間では二重マスクをされている方もお見受けしますが、模擬実験によると、不織布マスクの金具を折り曲げて鼻の形状に沿って装着した場合、飛沫を81%防ぎ、折り曲げずに装着した場合には69%を防ぐとの結果が出ています。従って、不織布マスクの顔との間にある隙間をできるだけなくすように装着すれば、二重マスクをしなくても十分な効果が得られるということです。表裏も含めて正しいマスクの装着をしましょう!

                                        2021,3,2

進化論

 今日から弥生。カレンダーをめくると「常に未来を視野に入れた行動を」との教訓がある。この一年、新型コロナウイルス感染拡大によって社会は右往左往させられ、未だトンネルの出口は見えてこない。危機に際して柔軟かつスピーディーに変化する種こそ生き延びるというのは、ダーウィンの進化論を引用するまでもなく真実だ。飲食店でうまくテイクアウトに対応したところは売り上げが以前とそれほど変わらなかったところもあり、企業や学校においても早くからリモートの準備をしていたところはそれなりに柔軟に対応ができたと聞く。出来ないことをいつまでも嘆いていても前進はしない。どのような組織であっても変化を促す強いリーダーシップをトップが指揮し、そのリーダーを信頼するスタッフがいる組織は揺るぎない。コロナ禍においても業績を伸ばす企業、組織があるのはそういうことだろう。しかし、ちょっと気になるのはコロナウイルスの変異種だ。我々人間以上に危機に際して柔軟かつスピーディーに変化しているとしたら・・

                                        2021,3,1

スマホ脳

 以前ブログの中で、素読と脳のメカニズムについて東北大学の川島隆太先生と明治大学の齋藤孝先生が対談した内容について簡単に記載させて頂きましたが、スマホと脳について研究しているスウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセンはご自身の本の中で「人間の脳は狩猟採集時代から変わらず、デジタル社会に適応できていない」と述べている。そして脳はもともと新しい知識や情報を要求するメカニズムが存在するとのことだ。新しい知識‥‥だから皆さんはスマホを常に身の回り近くに置き、新しい情報を収集しようとしてスマホが気になるのですか?スマホから距離を置き、着信音などで集中力が削がれない環境を作てみてはどうでしょうか?

                                        2021,2,28

成長を待つ

 コロナ禍において、企業経営のみならず全ての経営者は何らかの形で苦境に立たされている。しかし日本ではコロナ以前から80年代のバブル以降、企業経営は勢いがなくなり、他国からの企業買収の標的とさえなっている。いち歯医者が考えるようなことではないかも知れないが、企業の目的は何かと聞かれたら、多くの方は「利益を上げること」と答えるだろう。しかし、そこがそもそもの間違いなのではないか。経営の神様と言われた松下幸之助さんは「産業を通じた社会への貢献」を、京セラの稲盛和夫さんは「全従業員の物心両面の幸福を追求すること」といった、利益よりもより大きな社会的使命、人間的使命を経営理念としている。瀬島龍三さんも、「君の契約したプロジェクトがわが社の利益になったとしても、国の利益にならないのであれば契約するものではない。」と社員に語っている。学ぶべきはこのような考え方であり、利益の追求を前面に出すと、間違いなく目先の利益に汲々とし、社員の働き甲斐、意欲は低下することが予想される。要は長期的な視点で物事を捉えることが出来なくなり、短期的な結果を求めるあまり、時間をかけて人を育てることが出来なくなり、結果的に企業の体力が弱体化するという悪循環から抜け出せなくなった。それは企業だけではなく、政治も教育もしかりである。今世の中に必要な概念は“成長を待つ”ということではないか。

                                        2021,2,27

親としての自覚

 「こんにちは!」と声掛けをしても子供は「‥‥‥」全く返事をしない。先日も来院された親子について感想を述べたが、挨拶もできない子が塾に行って何を学んでいるのか?と親に尋ねてみたいものだ。私もまだ子育ての最中なので分かったようなことは言えないことは重々承知の上だが、あまりにも躾が出来ていない子供達が多いように思われる。“人の善悪や、誠実か不誠実かということは、生まれつきによるものではない。ひとえに父兄の教訓・育て方によるものだ”とは林子平の語ったことだったか?返事が出来ないのは子供の咎ではない。むしろ親自身が道徳を学ぶ術を知らず、放任主義と言って子供を野放しのように育てた結果ではないか。子育ては、親としての未熟さの発見と人としての道を学ぶ良い機会を与えられている。

                                        2021,2,26

真摯な態度

 開業して18年が経過するが、日本製の診療機器の寿命の長さには驚かされる。勿論日頃の手入れ、メンテナンスの成果もあるだろうが、とにかく故障もなく、消耗品のパーツの交換などで未だに全く問題はない。しかし形あるものは固定資産としての価値は年が経てば下がり、中古品としての価値は全くないのかも知れない。私の場合はどうか。同じ18年でも、真摯に誠意をもって仕事に取り組んできたのであれば、臨床経験値、知的資産は上がっていると信じたい。歯科治療はケースによっては複数回の通院回数を要することが多い。患者さんとの出会いは一期一会である。見方を変えれば毎回我々医療従事者が患者さんから評価を受けていることになる。私の歯の削り方が上手い?なんてことは患者さんは分からない。素人評価としては「あの先生は治療が上手そうだ」ぐらいでしかないはずだ。ではどこで我々は評価され、認められるのか。それは普段からの生活態度であり、自分自身がきちんとした身だしなみ、言葉遣い、態度をとることのできる人間でいることに尽きると考えます。日頃からの人間力アップは特別なことをする必要はない。自分の人生と真摯に向き合うことでしかない。

                                        2021,2,25

親の問題が‥‥

 子供の咬み合せが気になるということで来院された親子ですが、待合室で待っている間子供は音を出した状態でゲームに夢中になる一方で、母親は携帯電話で話をしているという、私から見れば常識も良識もないどうしようもない親子に映ってしまった。患者さんとはいえ正直なところ気が滅入る。診察は通常通り済ませ説明に入るのだが、私からの状況説明を行っているにもかかわらず子供は再びゲームを取り出しスイッチオン。呆れたことに母親が注意することもなく、耳障りなゲーム音を聞きながら説明を続けはしたが、次回以降の来院はお断りせざるを得ない。なぜなら他の患者様の迷惑になるだけではなく、親子で治療に取り組む姿勢が伝わってこないからだ。何のために来たのか?子供に罪はない。親自身が良識のある考え、行動をとらなければ、その子はどうなるのか?推して知るべしではないか。

                                        2021,2,24

外食の愉しみ

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、客席のないレストランが増えてきているとメディアが伝えている。つまり宅配に特化したデリバリーサービスの飲食店形態である。それも比較的有名と言われているシェフが作る高級デリバリーの需要があるとのこと。作る側も「これだけの値段でこの程度の料理か‥‥とは思われたくないので、調理そのものは以前と何ら変わりません。」とのことだ。SNS時代だからこそなせる業であろう。ポストコロナでもこのようなゴーストキッチンは需要が高まるのだろうか。外食の楽しみは、美味しい料理を家族や気の合う仲間と雰囲気も愉しみながら食べ、非日常を味わうことにある。コロナの早期の収束を願いつつ、デリバリーでも素敵なお店でも美味しい料理を食せることを望むのは欲張りだろうか。

                                        2021,2,23

温故知新

 「温故知新」‥‥古の教えを学び、そこから新しい知識や考え方を知る。今更であるが、自分にとっての温故知新の書物は何かあるかと問われたら、先ず真っ先に挙げるのは何か?何度も繰り返し読んでいる本が数冊あるが、あえて言えばそれらの本がそうなのかも知れない。専門書を読むのとは違い良書、名作などを年齢を重ねてから熟読すると、若い時とは違うところに共感したりしていることに気付くことがある。人間が自分自身を知るのは何か優れたものに出合った時だといわれるが、名著はまさにそういう役割を果たしてくれる。時代を超えて、人の心に響く名著、名作をもっと知りたい衝動に駆られる時が最近は多くなったような気がする。なぜだろうか?

                                        2021,2,22

花粉症

 今日は“三寒四温”とはこのことか、と思わされるような春らしい陽気である。気温上昇とともに注意すべきがスギ花粉の飛散によるくしゃみであり、今年は新型コロナウイルス感染症の煽りもあってマスク装着とはいえ人込みでは気が引ける。緊急事態宣言が功を奏したのか、新規感染者数は減少傾向にはあるが、ここ数日はその数も鈍化傾向とのことだ。戦う相手が目に見えないウィルスではあるが、何かに寄生しなければ生きていけないのがウィルスである。人との接触が無くなれば感染は理論上無くなる。不運にも新型コロナウイルスに感染された方々には早期に回復されることを切に願うが、程度の比較対象ではないかも知れないが毎年の花粉アレルギーに悩まされる方々もこの時期は本当に辛そうである。世に免疫療法が存在するように、花粉が身体に近づかない妙法は作り出せないものか。ドラえもんに相談してみるか!


                                        2021,2,21

国民性の違い?

 状況を大きく変える人や出来事のことを「ゲームチェンジャー」と表現するようだが、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種も同じで、出来る限り多くの人が接種することで感染拡大終息への足掛かりになる。頭では理解できるのだが、他のワクチンとは異なり治験に要した時間が短いがために、ワクチンの有効性と安全性に不安を覚える国民が多いようである。このような場合、国民性の違いも関係しているのだろうか。沈没船のジョーク話をご存じだろうか。豪華客船が沈没しかかっているときに、脱出ボートの数が足りなく、船長が乗客を海に飛び込ませようとする話である。アメリカ人に対しては「ここで飛び込めばヒーローになりますよ」、イタリア人に対して「海で美女が泳いでいますよ」、ドイツ人に対しては「海に飛び込む規則になっています」。では日本人には何と言うか?「皆さん飛び込んでいますよ!」。ワクチン接種も「諸外国では接種し始めましたよ」ということになるのか‥‥。


                                         2021,2,20

修養とは縁遠い

 「記憶にございません。」の答弁を繰り返したことで、当時子供であった私でさえ参考人招致された小佐野賢治さんのことは覚えている。最近も似たような答弁をする政治家、官僚が後を絶たない。まるでマニュアルでもあるかのようだ。しかし録音という証拠を出されては流石に弁解もできないようで、一転して指摘された点を認めて更迭という形で追及の場から姿を消してしまう。これでは国民からの厳しい目は避けられないだろう。しかしちょっと待って欲しい。何で録音されていたの?していたの?しかもいつもの例の出版社ではないか。シナリオでもあるわけではなかろうが、世間では“嵌められた?”的な声も聞こえている。少なくとも患者さんとの会話では、「もっと高尚な話題で盛り上がって欲しいわよね。」となるのだが、修養がないとこういう人間になると国民に知らしめてくれているようだ。


                                         2021,2,19

危機感のないお歴々

 春江一也さんのプラハの春については以前もブログに挙げたが、久しぶりに本棚から取り出して上下巻を熟読した。著者がプラハの春を体験しているだけに、読み進めていくと自分が1968年にタイムスリップして、あのバーツラフ通りにワルシャワ条約軍が侵攻してきたところを通りに面するホテルの窓から眺めているような心境になる。実際に私もプラハには2回行っているが、ホテルの外壁には当時の銃痕もそのままになっていた。今は観光地として特に4月から5月にかけての新緑の時期は美しい街並みでもあり音楽祭なども行われるが、時代に翻弄された歴史を振り返ると複雑な気持ちになる。「静かな美しいプラハの市街は、一夜にして硝煙と戦車の走る轟音と学生のシュプレヒコールに包まれていた。‥‥変わらないのは、ブルダバの静かな流れのみである」と時の外交官は東京に報告をしている。我々も歴史から学ぶべき時が来ているのではないか。尖閣諸島周辺海域に他国の海上警備艇が我が物顔で領海侵入を繰り返し、竹島においては隣国に実効支配され続け、北方領土問題に関してはロシアの憲法に反することは一切行わないとして事実上の領土割譲、返還は遠のいた。にも拘らず、危機感の全くない国会議員の先生と呼ばれるお歴々はつまらん議論に終始し、とても国政を預かる立場には相応しくない。朝起きてみたら北から南から我が国が侵攻されている、なんてことはありえない話なのだろうか。忖度話の追及は、他でやったらどうなのか。


                                         2021,2,18

人生教育

 人生には不変の原理があるとどなたかが述べていた。人生は投じたものしか返ってこない、ということである。人生に何を投じたか。その質と量が人生を決定する。実に含蓄のある言葉であるが、若い時分に耳に入れても心には響かなかったかもしれない。同じ話を聞いても、聞き手の経験値、人生観によってキャッチするものは人によって千差万別ということか。完璧な人間などいないであろう。自らが自らを高める意識を持ち続けることが、生涯を通じての教育になる。小生はまだまだ未熟である


                                         2021,2,17

ワクチン接種

 新型コロナウイルスワクチン接種に係る医療従事者向けの登録のお知らせが届いた。遂に始まるのか、やっと接種ができるのか。大きな転換点にあるのは間違いない。先ずは明日17日から医師、看護師の先行接種が始まるが、例年のインフルエンザワクチンとは異なり、有効性や安全性における長期データがないだけに不安な要素を残しているが、幸いにしてアメリカではワクチン接種が始まって以降の新規感染者数は大幅に減っているとのことだ。戦後間もない頃の米の配給のような全国民向けの事業となるだけに、滞りなく早く行き渡ることを祈るばかりだ。


                                         2021,2,16

口腔機能の改善

 来院された8歳の親御さんは「この子の咬み合せが気になる。いつも口が開いているのですが‥‥」という主訴である。「〇〇ちゃん、口に唾を溜めて飲んでください!」。ゴックンと飲みはするものの、頬筋には力が入り、顎も下に大きく引かないと飲み込めない、まさに異常嚥下である。骨の成長方向は筋肉が支配するのであって、顎骨が正常に発育しなければ当然であるが顎骨上に歯は並ばず、叢生状態になる。口唇も開いており、上唇は口呼吸の特徴である富士山型をしている。いつから口呼吸なのか?赤ちゃんがお母さんの乳首を吸い始めた時から口蓋骨の正常な発育が始まる。成長過程のどこかのステージにて成長プログラムに狂いが生じたのかもしれない。間違った機能を早く改善しなければ、体幹の歪みへと繋がっていく。すでにある問題を症状のあるなしで判断すべきではない。


                                         2021,2,15

激しい揺れ

 地震だ!木造家屋がゆっさゆっさと大きく激しく揺れ始めた。これ以上大きな揺れが来たら家が傾くのか?夜中の大きな揺れに10年前の大津波、そして原発事故の記憶が胸を波立たせた。10年経過してもあの大震災の余震だという。復興もまだ道半ば。これでもかというくらい東北の人々は打ちのめされそうになる。ニュース解説でよく目にする太平洋プレートが沈み込む云々は何となくは理解できるが、だからと言って防ぎようがない。「震災は忘れたころにやってくる」。決して忘れたわけではないが、出来る限りの備えは改めてしておくべきと再認識させられた。口で言うのは簡単だが、負けないで行くしかない。


                                         2021,2,14

デジタル化と脳への影響

 世界的な雑誌の編集長が来院され、コロナ禍において仕事はどうなっているのか尋ねてみると、欧米、アジアそして日本の時差を考慮してオンラインで情報のやり取り、会議をされているとのこと。オンラインでは仕事ができないわけではないが、微妙なニュアンスが伝わらなかったり画面での表情しか分からないので、相手が何を考えているかを推し量ることが今までのようには出来ないと仰っていた。人間は五感を働かせないと何かしらストレスを抱えるのでしょう。デジタル化によって便利な世の中になったことは疑う余地がない。世界最高レベルの脳科学者たちが集まる学会では、“双極性障害”という単語が飛び交っていたそうだ。どういうことか?この10年の人類の行動変容、つまりコミュニケーションや互いを比べ合う手段が変わったのはあまりに大きな変化で、想像以上に深刻な影響をもたらすかもしれないということで、心の不調を訴えて心療内科を受診する人がここ10年、特に若い人の間で著しく増加しているとのことだ。以前、東北大学の川島隆太先生が明治大学の齋藤隆先生との対談の中で、「スマホを手にしていると勉強したり本を読んだりする時間が中断される。従って、精神的に深く潜っていくという作業が出来ずに、浅瀬でずっと生きている魚のような感覚の人が増えている」と語っていたのを思い出す。すぐにキレル人が世に増えてきたことも無関係ではなかろう。スポーツではメンタルの強化が重要視されているが、何も特別なことをする必要はない。我々はこれまで人類が体験したことのない種類のストレスに知らずしらずに支配されようとしている。心当たりのある方は、日々深く考える時間を数分間でも取ってみることから始めてみませんか?


                                         2021,2,13

花粉症の時期

 スギ花粉の飛散が始まり花粉症の時期がやってきた。既に兆候を感じて歯の治療予約の変更を願い出る患者さんもいる。コロナ禍でもあり新型コロナに感染していた場合、くしゃみなどでウイルスが拡散する恐れもある。抗アレルギー薬を服用しても、くしゃみをしてしまう場面もあろう。電車内でマスクを装着しているにも拘わらず大きなくしゃみで視線を感じたことのある方もいるのではないか。当たり前のことだが、そうした人をあしざまに忌避したり避難したりすることは控えたい。人間社会はお互い様である。困った人がいたら周りの人が手を差し伸べることが出来るようになる、それが一番の社会福祉政策である。

                                         2021,2,12

人生の目標とは‥‥

 「君の契約が当社にとって大きな利益を上げることになっても、国のためにならないのであれば契約を結んではならない」。故瀬島龍三氏が部下に語った言葉だ。常に国のこと、天下国家をいかに良くしていくか、ということが念頭にある人物は幾つになっても志が崇高である。リンカーンの言葉にも“Where there is a will,there is a way.”とある。人たるものチコちゃんが言うように、ボケっとしていてはいけない。どの様な道を歩もうが、社会貢献するという大きな志を抱き続けることが軸を太くしていく要諦であろう。受験シーズン真っ只中であるが、人生の目標を見失ってはいけない。志望校に合格することは目標ではなく手段である。吉報を待とうではないか!

                                         2021,2,11

修養

 スマホ歩きは駄目だと言っているにも拘らず、皆さんの周りにも場所を問わず平気でスマホ歩きをしている人が増えていませんか?それから歩道の中央で立ち止まって文字を打ち込んでいる人など、全くもって迷惑千万。自己中な人は、自己中心的な自分のことは分からないですよね。日頃から目配り、気配り、心配りの出来る人であればこのような恥ずかしい行動には繋がらないのでしょうが、最近は“恥ずかしい”という言葉の意味すら気にしない輩が増えてきているように思えてならない。幼少の頃からの家庭教育、躾の問題が根本にはあるのでしょうね。こんなことを言ったら相手の人はどう思うのか、世間の人はどう思うのか。子供たちが憧れるようなお手本となって頂きたい方からの失言が世間を騒がしている。世代を問わず、修養という言葉を頭に叩き込んで頂きたい。

                                         2021,2,10

国会議員の資質

 日本の財政の借金は1,200兆円。来年度の一般会計歳出は106兆円超と過去最大。日々の生活の遣り繰りで忙しい人にとっては額の規模が大きすぎてピンとこないのが正直なところではないか。コロナ禍の社会情勢も先行きが読めない中で、国家の在り方もそうだが国民一人ひとりの生活様式も考えさせられる時代になってきた。21年度の国の税収は当初予定よりも低く57兆円、その他の収入も含めても63兆円の見通しである。63-106=-63であれば小学生でも分かる計算だ。国会議員の皆さんは与党も野党も真剣に国の未来像を考えて頂きたい。先進国ドイツは返済計画通りに借金を返したわけですから、日本にできないその原因はどこにあるのか?もしかしたら議員さん一人ひとりの資質の問題だったりしませんよね?その議員を選ぶ我々は、前回選んだ議員が任期の間に残した実績をしっかりと評価しなければならない。政治をもっと身近なものにするのは難しいことではない。

                                         2021,2,9

基本を守ることの重要性

 子供のテニススクールを見学してきたのだが、“見学禁止”の表示が張られているではないか。新型コロナウィルス感染拡大防止のためか?どこもかしこも“感染拡大にご協力ください”である。2~3年もすればソーシャルディスタンス(私的にはフィジカルディスタンスではないかと思うのだが)が当たり前となり、今のような表示や呼びかけもなくなるのだろうか。手洗い、手指の消毒は今や日常生活の基本であり、常識となりつつある。テニスにおいても基本が出来ていなければ、その先の上達はないと痛感させられた。親バカを差し引いてもバックハンドの使い方は上手いと素人目には見えていたのだが、打球の軌道が安定していない原因が分からないままできた。コーチが愚息のプレーを止めて「グリップを見せてごらん?‥‥」。私はテニスの経験がないから細かなことは分からないが、野球もゴルフもグリップの握りが間違っていれば良い打球は望めないのと同じで、握りが違えばフェースが正しくはヒットしないはずである。基本中の基本が出来ていない状態で今まで何年経過したのか?過ぎたことは仕方がない。日常生活、普段の勉強も含めて基本を大事にすることの重要性を子供が認識できれば、ここまでの数年は決して無駄ではない。


                                        2021,2,8

歴史から学ぶとは

 歴史から何を学ぶか。NHK大河ドラマ「麒麟がくる」が年をまたいで最終回が放映された。小生は渡辺謙さん演じる「独眼竜政宗」を子供の頃に夢中になって観たことがきっかけで日本史に興味をもつようになり、歴史小説を読むようになった経緯がある。今回の大河ドラマは一度も観てはいないのだが、最終回のクライマックスは見ごたえがあったようだとネットにはコメントが寄せられている。歴史の真相は定かではない部分があるとしても、一般的には怪物になってしまった信長を誰も止めることが出来なかったことが原因で、明智光秀が手を下したということである。トップの人間に物申すことが出来る環境が存在し、トップも意見を聞く耳をもたなければ、いつの時代も国を治めることができない証ではないか。優れたリーダーには必ず名脇役の参謀がいるものである。梵天丸には景綱や成実がいたように。さて菅さんの参謀役なる方は何処に?


                                        2021,2,7

今が行動に移す時

 ワクチン接種が日本でも始まると言われているが、なぜ外国製なのか。国産のワクチンは何故できないのか不思議であったが、1970年代はワクチン開発において我が国は世界をリードしていたというではないか。その後ワクチンによる副作用が問題になり国が承認に及び腰になったことと、製薬会社も目先の利益が優先されて、将来的にどうなるか分からないものに対する研究開発には投資しなくなったという背景があるらしい。目先の利益‥‥、何も製薬会社に限ったことではなかろう。教育、政治、どの分野においても長期的な視野に立った“育てる”という観点が失われていないか。コロナ禍において日本の制度、産業、教育など様々な問題点が浮き彫りになってきた。マイナスをプラスに転じる好機にするしかない。人生にも仕事にも締め切りがある。今すぐ取り掛からないでいつするのだ。“今でしょ!”


                                        2021,2,6

習癖の改善と治癒力

 先月16歳の女子高校生が咬み合わせが気になるという主訴で来院された。本人は下顎が出ているのが出ているのが気になり、母親もこのまま下顎がもっと前に出てきてしまうのではないかと心配とのこと。問診時の話し方、表情、そして頬の大きさなどからこの方の問題点は下顎ではなく、上顎の劣勢長であることが予想された。「鼻は詰まりませんか?」と尋ねると、「子供の頃から年中詰まっています。耳鼻科にも通っていましたが良くはならないのでそのうちに行かなくなりました。」という。診療台で口腔内、口の開閉状態を診査したうえで改めて所見を伝えたのだが、今まで聞いたことがないというような驚いた表情を二人ともされていた。半信半疑?とでもいうのか。顔面骨格を司るのは筋肉の働きである旨を説明させて頂き、開口時の顎の偏位を改善させるために先ずは舌、表情筋、呼吸のトレーニングを2週間継続するように伝え、本日お越し頂いた。初診時同様に開口してもらうと真っすぐに開口できているだけではなく、瞼の開き、口角の上がり具合が別人のように改善されている。ある装置(着脱式)を装着して頂いたこともあり、咬み合わせの改善傾向も認められた。身体の成長曲線では女子の16歳は骨格的な成長はほぼ終盤に差し掛かっているが、筋肉の習癖を取り除き、正しい動きをすることで身体の治癒力が本来の成長方向に誘導しているのは間違いない。本人の改善意識が高く、しっかりと課題を継続できる人であれば、自ずと結果がついてくる良い例である。時期をみてHPにアップさせて頂くことにする。

                                        2021,2,5

コミュニケーション能力

 我が家では昨年秋にカニンヘン・ダックスフンドが家族に加わり、特に朝晩はそのパピーが中心で動いている。というのは、子供達の“おはよう!”の挨拶は親より先にパピーにされているからだ。犬を飼ったことがある方にはよくお分かりだと思うが、あの上目遣いは何とも可愛らしい。話は出来なくても、「君の思っていることは分かっているよ!」とは飼い主の勝手か?「言葉がなくてもペットとは通じ合えますが、言葉が加わることで豊かなコミュニケーションができます」とは歌人の俵万智さんの言葉。最近はその言葉の足りない電話やメールのやりとりで意味不明の問い合わせが増えてきている。俵さんは小学生向けにメッセージを書いている。「本を読む時間をつくってください。豊かな言葉、言葉の力は一生の財産にもなります。本を読むことで、外国にも昔にも行けて、いろいろな人にも出会えます」。単に活字が読めないだけではなく、読解力の無さがコミュニケーション力の低下をまねいているように思えてならない。

                                        2021,2,4

自己犠牲

 友人を見舞うために都内の病院を訪れたが、訪問者の入口と出口は完全に一方通行になっており、入り口では職員と守衛も見守る中、手指の消毒から検温まで徹底していた。昨年病棟を新しくしたこともあり病室の管理も最先端のシステムが導入されているようで、ひと昔前の古臭い雰囲気もなく、看護師はじめ医療スタッフも忙しい中でも笑顔を絶やさず患者応対をされていた。働く身になって考えてみたら、設備が整い最新の機器が導入されていることは必要なことかもしれないが、必要十分条件ではない。ハード面がどれだけ充実していてもそれを使いこなすのは人であり、患者に安心と癒しを提供できるのは心ある医療従事者である。北の大地のある病院の人事問題が報道されていたが、病院で働く以上は患者が第一に優先されるべきである。自己犠牲を払いながら働く病院関係者には頭の下がる思いである。コロナの終息を願うばかりである。

                                        2021,2,3

クーデター

 学生時代にミャンマーのパガン遺跡を訪れたことがある。首都ヤンゴン(当時)から車でインレー湖などに立ち寄り、舗装もされていない畦道を車で長時間移動してやっとの思いで到着した。夏の暑い、灼熱の太陽が燦燦と照り付ける、忘れもしないバックパッカーの旅だ。旅先で出会う人は地元の人は日本人に対して好意的であり、田舎では言葉は通じなくてもジェスチャーで何とかなったものだ。そのミャンマーで再び国軍によるクーデターが起きた。多くの尊い犠牲と引き換えにした民主化はいとも簡単に覆された。国際社会はなぜすぐに動かないのか?日本政府の反応もどこか他人事だ。思い起こせばパガン遺跡からヤンゴンへ戻る飛行機に搭乗する際に、チケットを持ったイタリア人のテレビ局スタッフが両手を挙げて激怒していた。多くの軍人が我が物顔で小さな旅客機に乗り込んだために、定員オーバーで搭乗できなくなったのだ。30年程前の道理が通らない国が、相変わらず存在しているとはにわかに信じ難い。当時はヤンゴンの国際空港の入国審査でボールペンを1ダース渡したら、passportもチェックすることなく入国できたのは嘘のような本当の話である。善良なミャンマーの人々が不憫である。

                                        2021,2,2

生活習慣病とコロナ

 新型コロナの感染者数が少しではあるが減少傾向にある。人との接触をなくせばウィルスがうつることがないわけだから、飲食店の時短営業の効果が出てきたのだろう。一方で福祉施設における感染、クラスターが増加傾向との報道もある。介護施設などでは身体の不自由な方を抱えたり、付き添いでの介護となれば人との接触は避けられまい。身近でコロナに感染した人にはまだお目にかかっていないが、心配なのは感染したとしても症状によっては自宅療養を余儀なくされてしまうことだ。このウイルスの特徴はインフルエンザのように咽頭粘膜で感染するだけでなく、感染したウイルスが身体のどこの臓器に悪さをするか予想できないことだ。基礎疾患のあるかたは重症化することが分かっている。長年の生活習慣は中高年に至って、健康度に大きな差をもたらす。コロナ禍におけるコロナ太りもさることながら、日頃の食生活習慣を今一度見直す必要がある人もいるのではないか。先ずは腹八分目から。

                                        2021,2,1

フィロソフィー

 北大では7年前から新渡戸カレッジという新渡戸稲造先生の精神に学びつつ、グローバル社会で活躍できる学生を育てる特別教育プログラムがあるとのこと。専門の授業とは別に志望する学生に対してリーダーシップ論や人としての生き方を学んでもらうことが目的であるという。時代の要請なのだろうか。発信力のない指導者はいつの時代も支持を得られないが、発信力以前にその方の信念、人生哲学なるものがなければ、外面ばかりよくても時間とともにメッキが剥がれてくる。「人間はいかに生きるべきか」という話も新渡戸カレッジでは行われているそうだ。10年後、20年後の日本を背負って立つ若者たちには、目先の結果に捉われない長期的な視野で社会貢献できる考え方を身につけて頂きたい。

                                        2021,1,31

治療の不確実性

 本日の初診患者さんも他院で抜歯を勧められ、その後インプラントを埋入するか義歯を装着するしかないと言われてセカンドオピニオンを求めて来院された。患者さんの思いは十分に伝わってくる。歯を磨いていたのに何でむし歯になるのですか?定期的に歯科医院に掛かっていたのに何でここまで悪くなるまで分からなかったのでしょうか?何のための定期的なメンテナンスだったのか‥‥、良い先生だったのに‥‥。こちらのブログでも以前載せさせて頂いたが、歯科医師として来院された患者さんに『現状を把握してもらう』『むし歯、歯周病など他も含めて疾患をどのようにとらえるか』というプレゼンがしっかりと出来なければ信頼を得ることは出来ない。むし歯の治療をすることで歯が良くなることはないという事実を伝えているのか?簡単に言えば、むし歯を放置するより適切な処置を施した方が歯の延命に繋がるのであれば処置を検討するというステップに移るのであり、むし歯=すぐに治療、ではない。さらに根管治療においては治療結果の不確実さも患者不信を招く要因になっている。私が長年臨床に携わって思うことは、患者さんも歯科医師と同じように根管治療の本質、症例の特徴を理解できるような時間を歯科医院側が用意する必要がある。片手間にチェアサイドで説明して伝わるような内容ではない。患者さんが疾患の特徴を理解し、自分の現状を把握できれば、患者さんご自身で歯の保存の可否、難易度について判断できるようになっていることが多い。最善の治療を行っても、“いつまでもちますか?”の質問への答えは出来ない。但し、当医院では、歯を残すことには全力を尽くします。

                                        2021,1,30

教養とは

 「すぐに役立つことは、世の中に出て、すぐに役立たなくなる。すぐには役立たないことが、実は長い目で見ると、役に立つ。」これは慶應義塾大学の塾長だった小泉信三さんの言葉なのでご存知の方もおられよう。ある程度齢を重ねた方はこの言葉を実感できるのではないか。物事順調に運んでいる時には意識することはないことかもしれないが、逆境に立った時に自分を支える基盤になるものが教養であろう。人間とは考える生き物である。海の浅瀬を泳ぐだけではなく、時には深く潜って精神集中する時間も必要だ。スマホから離れて、日頃から自分の頭で物事を深く考えることが出来るような習慣を、これから国造りを担う若い人達には身につけて頂きたい。

                                        2021,1,29

歯を残す治療が優先されるべきで‥‥

 アメリカにおける歯科治療は高額になることは世間的にも認知されているようだが、歯を残すことよりもインプラントにする方が良いと考える教育者が多くなってきているので、歯を残せる技術を学生が学ぶ機会が少なくなってきているという由々しきことを歯科の月刊誌で目にした。背景にあるのはあちらの国では勤務先が提供する保険や民間保険に加入するものの、保険の限度額を超えた部分は自己負担になるため、治療した歯が悪くなり再治療が必要になるたびに高額費用が掛かるのであれば、早い時期にインプラントにした方がよいと考える傾向が強いとのことだ。決して全ての歯科医が同様の考えを共有しているとは思わないが、アメリカ医学、歯学を取り入れてきた日本において、何の疑問も抱かずにインプラントありきの診療が行われていないか、歯科医師としての姿勢が問われている。尚、誤解があるといけないので付け加えると、インプラント治療を否定しているのではないが、それ以前に行うべきことがあるのではないか?その部分が希薄になっているとしたら危険であるということである。


                                        2021,1,28

ワクチン接種

 初診でお越しになられた方に「歯科治療を行うことで悪化の一途をたどる状況を改善はできるかも知れないが元の健康な状態に戻るわけではない」と必ずお伝えをする。なぜならそれが真実であるから。削った組織は戻って来ない。どんな医療行為であっても“ゼロリスクはない”ということだ。新型コロナ感染症のワクチンが国によっては接種が始まっている。イスラエルにおいては2回目の接種後の陽性率が0,01%(18万6000人中20人)と速報値が公表された。安全性や副反応に過剰なまでに慎重なのも問題なのかも知れないが、日本では新型コロナワクチンを「受けたくない」とする答えが結構多い。新型コロナ感染症にかかって死亡するリスクとワクチン接種によるアレルギー反応による死亡率は比較にならないかもしれないが、長期的なデータがない中でインフルエンザワクチンを接種するような感覚にはなかなかなれないのが正直なところである。

                                        2021,1,27

世界のSony!

 CMで猿が耳にヘッドホンを掛けてウォークマンを聞いていた頃は“世界のSony”と言われていたが、数年前までは米アップルなどに市場を奪われ低迷していた。しかしここにきてSonyに復活の兆しが‥‥。「技術者が物に触らないで、デスクの上で商売をしているなんてのは、技術者としての人生の楽しみが分かっていない。」とは井深大さんの言葉だ。日本企業の世界市場への復活は誇らしい。グループ内の異なる分野における培ってきた技術が新たなコンセプトを作りだし、良い化学反応が生まれ続けているようだ。自社で持つ技術はなるべく連携させ、不足するものは外部に委ねる。以前のような開発から生産、販売まで手がける手法にこだわらないところなどは、異業種でも参考になる。

                                        2021,1,26

ウイルス感染予防と正しい歯磨き

 口腔内には700~800種類の様々な細菌が存在し、多くの細菌は唾液や歯肉溝滲出液に含まれるタンパク質を栄養源にしている。細菌の産生する酵素が咽頭をはじめとする上気道粘膜を保護しているタンパク質を露出させることが分かっており、インフルエンザウイルスはその露出した箇所から細胞内に侵入する。普段から正しい歯磨きの仕方を習得できている方はプラーク(歯垢)の付着は少ないもしくは無いに等しい状態をキープできていれば、ウイルス感染のリスクを下げることになる。新型コロナウイルスに感染し、重篤な肺炎を引き起こし亡くなられた芸能人は記憶に新しい。ウィルス感染した臓器では、感染細胞を死滅させてウィルス増殖を抑えようと免疫細胞がさまざまなサイトカインを大量に放出するサイトカインストームが起き、その際健康な組織細胞まで攻撃されてしまうので多臓器不全になってしまう。無症状でも新型コロナウイルス陽性になってしまった方の口腔内の状態はどうだったのだろうか?ウィルスが変異しながら生き延びようと、こちら側の免疫力を低下させないことが、ウイルスに好き勝手をさせないことになる。日頃から正しい歯磨きを心掛けてください。但し、磨いているのと磨けているのは大きな違いであることを忘れずに!

                                        2021,1,25

子供たちが憧れるようなリーダー

 ”But while I may be the first woman in this office,I will not be the last,because every little girl watching tonight sees that this is a country of possibilities.”

カマラ・ハリス米国副大統領の演説である。我が国の国会議員が国民受けするような言葉を使って国会で質問したり、キャッチフレーズを述べたりするのとはわけが違い言葉の重みがある。ジョー・バイデン大統領を紹介する彼女の演説はさらに続く。

“私たちは、私たちの最良の部分を象徴する大統領を選びました。世界が尊敬し、私たちの子供たちが憧れるようなリーダーです。我が国の軍隊に敬意を払い、国の安全を守る最高司令官です。そしてすべてのアメリカ人のための大統領です”

子供たちが憧れるようなリーダー‥‥。あえて名前は出しませんが、日本の国会議員にもどん底から這い上がってきて、人一倍国民のために働いている先生もいます。一方で法務大臣経験者でありながら司法の手に掛かっている情けない政治屋もいる。ジョン・F・ケネディ元大統領が尊敬していたという上杉鷹山のことを今一度思い出してみてはどうだろうか。



                                        2021,1,24

様々なマスク

 仕事がら以前から一日の大半をマスク装着して過ごしている私にとっては、このコロナ禍においても不織布マスクは苦にならないが、来院される方の中には肌荒れを起こしたり耳が痛くなったりする悩みを抱えている人もいるようだ。勿論感染はしたくないのでそれでもマスクは装着しているとのことだが、摩擦による色素沈着も起きるとかで皮膚科に相談に行かれる方もいる。マスクも最近は市場に様々なものが流通しているが、個人的にはノーズワイヤーにはアルミが使われて不織布の厚みもあるものが密着して安心感はある。診療においてはLevel3マスクを使用しているが、最近は購入ができない状態が続いており、海外生産の物も含めて品選びには慎重を期したい。

                                        2021,1,23

英断

 化石エネルギーへの依存が相変わらず高い我が国への外国からの風当たりは強い。この国は決断も実行に移すことにも本当に時間の掛かる旧態依然の組織体質が津々浦々まで染みわたっている。「出る杭は打たれる」的なものが日本人にある資質なのだろうか?住友商事は石油資源の開発を新たに手掛けない方針を固めたとのこと。商社といえば石油などの資源事業への依存度が高いはずだ。これこそ会社の命運をかけたトップの英断であろう。今後は洋上風力発電など再生可能エネルギーを拡大し、環境規制強化で需要増が見込まれる電気自動車用の蓄電池資源に事業を集中させるとのこと。企業が目指すべきものは自社の利益が一番ではなく、世の中に貢献することが使命であると認識しているからできることであろう。

                                        2021,1,22

トップ次第

 民主国家のお手本として復活はあるのか?アメリカのバイデン新政権が発足した。分断と対立を煽る先導役の大統領から融和を掲げる民主的な大統領のようにみえるが、節度あるそして良識のある指導者としての立ち居振る舞いを先ずは期待したい。地球温暖化削減に向けて早速パリ協定への復帰を表明している。アメリカだけではなく全世界で環境問題、温暖化対策を急がなければ我々人類が生き延びていくことが難しくなる問題である。国を構成しているのは一人ひとりの国民であるが、強いリーダーシップを執れる人がいなければまとまらない。国においても地域社会、会社組織、学校組織などにおいても同様である。良識、見識、そして胆識のあるトップが今の時代は特に求められている。

                                        2021,1,21

コミュニケーション能力

 少し前のことになるが、初診希望の患者さんから問い合わせを頂いたのだが、生憎すぐには診察をお受けできない旨を伝えると、「明日時間があるので診て頂きたい」と重ねて言われた。‥‥?日本語が通じていないのか?明日は休診日であること、半年以上お待ちいただく旨を改めて伝えると今度は「どうして?」と強い口調で言ってきた。お会いしたこともない人に、しかも電話で「どうして??」。当医院はメールでの問い合わせは受け付けていないにも拘わらず、「歯が痛いです。いつ診てもらえる」という文言で問い合わせも以前あった。何がおかしいのか?物事を読み取り理解する能力がないと言っているようなものだ。人間社会で生きていけるのだろうか?ブログに載せるようなことではないが、世間ではこのような場面が多くあるように思えてならない。ネット社会の弊害とは関係ないのか個人的には気になるところだ。

                                        2021,1,20

コーヒーの幸せな時間を‥

 今週は予報でも寒さが厳しいとのことだが、今朝も真冬の寒さである。早朝の起掛けのランニングは抹消血管への酸素供給が良くなく心臓への負担が掛かるので無理はしないほうが良いそうだ。以前は真冬でも日が昇る前からジョギングをしていたが、最近は温かいコーヒーをゆっくりと淹れる時間が寝起きにはちょうどよいと感じるようになってきた。このコロナ禍において、ごく普通の今までの生活を送ることができる人は幸せな種族であるが、一寸先は闇である。再度の緊急事態宣言で、外出自粛や飲食店の時短営業に逆戻り。出口の見えない政府のコロナ対策を批判したくはなるが、誰もがもがいているのである。陽の昇らない朝はない。感染者数は高止まりだが、今週末からは減少に転じる予測である。コーヒーを片手にマスクを外して語り合えるような日が一日でも早く来るように、一人ひとりの一層の注意喚起を期待したい。

                                        2021,1,19

熱意と心情

 中曽根康弘元総理と言えば「不沈空母、政界の風見鶏」、小泉純一郎元総理と言えば「郵政民営化」などインパクトのある政治家は善し悪しはあるかも知れないが国民を引き付けたものだ。リーダーというのは大胆な決断・行動の裏には繊細さを持ち合わせているものであり、それは決して表には出さない。適材適所とはよく言ったもので、トップになるべき人は誰が見てもそれなりの器であるべきであろう。同様にナンバーツーが適任という方も存在し、トップを補佐する重要な役目でもある。政治家の評価は後世に任せるとしても、トップの語る言葉に熱意や心情が乗ってこなければ人々の胸には響きはしない。内に秘めているものは決して分からないが、読むだけの施政方針演説であれば私でもできると思った御仁は少なくなかったのでは。

                                        2021,1,18

防災意識

 阪神淡路大震災から26年。早朝のニュース番組はどこも速報で阪神高速道路やビル、駅、そして家屋など倒壊しているあらゆるものを映し出し信じられない光景だった。本日の北國新聞のコラムには、「四半世紀を過ぎて街は復興した。震災直後に生まれた子供達も20代半ばである。終戦から戦後の復興期に例えれば今年は『昭和46年』に相当する。」とある。昭和40年代生まれの私にとっては、終戦は私が生まれるそれぐらい前でしかなかったのか、と思わされた。史実を教科書などを通して知ることと、体験を通じて記憶される史実とは、当然ではあるかも知れないが中身の濃さが全く違う。日本列島はその後も容赦なく揺れ続けている。“天災は忘れた頃にやって来る”。地震だけでなく台風、洪水、雷などの自然現象に備えるのは容易なことではないが、日頃の防災意識レベルを高く維持する必要がある。

                                        2021,1,17

頑張れ受験生!

 今日はこの話題に触れないわけにはいかない。私が受験したころは大学入試センター試験と称されていたが、今年からは大学入学共通テストと呼び名が変わる。自慢ではないが私は複数回この試験を受けた経緯がある。結果ばかりに気を取られてしまうと目の前の課題に集中できなくなるなど苦い経験をしたことはその後の人生に役に立ったと言えなくはないが、出来ることなら遠回りすることのない道を歩むことに越したことはない。しかし今年の受験生は気の毒である。英語の民間試験導入の有無に左右され、記述式の問題をどうするかなどの議論も起き、さらには新型コロナウイルス感染拡大の真っ只中での受験本番である。受験前から不可抗力のような試練に立たされている。愚痴を言ってもしょうがない、人生は自己との闘いだ。今ある環境に感謝し、志ある道を歩んで頂きたい。吉報を待つ!


                                        2021,1,16

ワクチンと安全性

 東京オリンピックは開催されるのか?国民の多くは今はそれどころではないという思いではないか。五輪に向けて全集中で競技の練習に励んできている選手には申し訳ないが、コロナの変異種も確認されている状況下では悲観的にならざるを得ない。患者さんとの会話においても「オリンピックはね~?」、「盛り上がる気配はないですよね~!」といった具合だ。「人類がコロナに打ち勝った証」としての開催に意欲を見せている総理の言葉も虚しさを禁じ得ない。数カ国でワクチンの接種が始まっているが、気になるのは安全性だろう。接種後のアレルギー反応、接種との関係性は不明だが死亡例も報告されている。“急いては事を仕損じる”なんてことにはならないのか。イタリアで新型コロナウイルス感染者の8割近くの重症化を抑えているという大村先生が開発したイベルメクチンが表立って報道されないのはなぜなのか?正しい情報を待ちたい。


                                        2021,1,15

信じる力

 ウィルス感染を抑えるためには、その発生源を突き止めることが最優先されるべきであることに反論はあるまい。感染症の歴史を遡ればペスト撲滅に至ってもしかりだ。とんでもないことが起きている。世界保健機関(WHO)の調査団が新型コロナウイルス感染拡大の発生源と言われている武漢に入れないでいる。理由は分からんが中国当局が拒んでいる。隠し事がなければ全てをオープンにしたらどうかと思うのが庶民感覚。地球生命体と捉えれば国境などは人が線引きしたものでしかなく、陸、空、海で全ての国が繋がっている。地球温暖化、核の問題、食料問題などすべてはあらゆる国が共存共栄するために解決させなければならない事案だ。今のままでは国ではなく地球が滅びるのをカウントダウンしている状況だ。難しいことではない、お互いを信じようではないか!


                                        2021,1,14

高校生とスマホ

 来院中の高校生の表情がいつもと違い、何かに悩んでいる様子が窺えた。10代後半とは悩み深いお年頃か?子供から大人への階段を登る途中には初めて遭遇する出来事も日々あるものだ。“どうした、何だか元気ないじゃないか?”と声を掛けると“エッ、あっそうですね~”と気のない返事。勉強は嫌いではないが成績が伸びないのでどうしてかと壁にぶつかっているとのこと。“スマホを机に置きながら勉強していないか?”と聞けば、“LINEが来るのでスマホは手放せない”のでと言う。これでは勉強に集中できませんよね。世の中便利な社会にはなってきているが、24時間のなかで自分と向き合う自分だけの時間をどれだけの人が取っているのだろうか。他人の目を気にするあまり、自分を見失ってしまうことに気が付いていない大人も子供も多くなってきてはいないか?じっくりと腰を据えて物事を考える時間がなければ、気付くべき大切なものが見えてこない。一日ネットから離れると、いつもと違う心持の自分に気付くかもしれない。


                                        2021,1,13

オンラインの副産物

 緊急事態宣言が発出されたことで学校の対面授業が再びオンライン授業になるのではないかと危惧していたが、生徒の中にはオンライン授業のほうが積極的に発言するようになったと来院された小学校の先生からお話があった。どういうことか?私などは授業というのは対面式が当たり前だと考えるひと昔前の人間だが、オンライン形式の場合は周りに生徒がいないことで先生とマンツーマン形式に近いので、同級生の目を気にしないで発言が出来ているのかもしれないとのこと。子供によっては何かを切っ掛けにして勉強に取り組む姿勢が良くなったり、気持ちが積極的になったりするかもしれない。コロナ禍における苦肉の策で講じるようになったオンライン授業だが、思いがけない良い副産物でもある。


                                        2021,1,12

再挑戦

 NHKBSテレビで放映される「駅ピアノ」や「空港ピアノ」をご存じだろうか?旅行者や家族、元ジャズバンドを組んでいたという人など行き交う人が足を止めて好きな曲や想い出の曲を弾くのを固定カメラで撮影した番組だ。私が見た限りでは欧米の駅、空港が舞台だが、先日地元横浜のみなとみらい線の駅にもグランドピアノが設置されていた。番組を目にする度に、あんなふうに弾けたらたのしいだろうなと思う。小生も子供の頃はピアノを弾くのが好きで結構難しい楽譜に挑戦していたが、今ではその楽譜があっても指が動かない。所用を済ませて駅に戻るとピアノの音色が聞こえてきた。あんなふうに弾けるように楽譜を購入するところから始めてみるか?



                                        2021,1,11

情けない日本人

 朝から厳しい寒さである。日本海側の降雪量は記録的であり、北陸道、国道において車の立ち往生が発生し、今だ解消されていないという心配なニュースも流れている。特に高速道路では物資の輸送途中であろうと思われる大型トラックが何台も雪に閉じこめられている。仕事の使命感がそうさせているのかもしれないが、救助が来るまで何とか頑張って頂きたいと願う。一方で、どちらかのスキー場からの帰り客約500人が立ち往生との報道もあった。緊急事態宣言、人との接触を避けるようにこの3連休は出来るだけステイホームをとの政府、首長の呼びかけがあったにもかかわらずこのありさまだ。この自分勝手な人たちを救助するために向かう救助隊の方々のことを思うと、やりきれない気持ちである。各地の行楽地ではそれなりの人出があるようだ。大丈夫なのか日本?どこまで他人事でいるのか?戦後の教育の在り方が今を映し出しているように思えてならない。


                                        2021,1,10

常識・良識・胆識

 「ロンドンは制御不能状態にある。一日の救急車の出動要請は9000件を超えた!」目を疑う記事だ。遂にこの日が来たか。目に見えない敵だけに、不安と恐怖が付きまとう。一方、民主主義大国における連邦議会議事堂の乱入占拠。しかもそれを煽ったと疑われている現職の大統領。あきれるばかりだ。報道を見る限りでは、常識、良識を失うと人はここまで愚かな行動をとってしまうのかと、ウィルス同様に不安と恐怖でもある。そんな国に自国の防衛をお願いせざるを得ない我が国の在り方はこのままでいいのだろうか?不安定な国際情勢が続くなかで発生した人のあらゆる営みを飲み込むコロナ禍は、世界の行方をさらに不透明にしている。国、社会を構成しているには国民一人ひとりである。決め事や法律があったところで抜け道は必ずある。そんなものに左右されるのではなく良識、見識、胆識をもった行動を執る切っ掛けにしようではありませんか!


                                        2021,1,9

未踏峰

 腕や首の痺れの原因がまさか歯並びや咬み合わせにあるとは多くの方は思わないだろう。もちろん、全ての原因がそこにあると言っているのではない。そのような身体の不調を訴えて当医院にお越しになられる方がここ数年増えてきた感がある。来院された主訴が口腔内の問題であっても、治療を進めていく中で患者さんからの“ここ数年、肩が凝るのですが咬み合わせともしかしたら関係などありますか?整体治療院に行くと楽にはなるのですが、2~3日すると元の状態になってしまうので‥‥”という会話から私のプレゼンが始まるケースも多くなった。以前もブログに記載したが、人の身体は一続きである。歯科は歯だけ診ていれば良いという狭い視野で患者さんと接していると、“木を見て森を見ず”の典型例になろう。子供から大人、高齢者の方まで診させて頂いていることで、他人ではあるけれども目の前の咬み合わせの良くない子供を放置していたら50年後にはこの子はあの方のような咬み合わせ、そして体幹の歪みから多くの不定愁訴を抱える大人になる可能性が高いだろうな‥?という関連性を強く感じさせられるようになってきた。またその逆もありである。

2018年3月21日朝日新聞朝刊『折々の言葉』に「自分を疑う」という見出しで次のようなことが掲載されていた。

“放っておけば人はすぐに「自分の思想の限られたレパートリーの中」に安住してしまう。自分を超えるもの、自分の外にあるものへの感覚をなくしてしまう。それを鈍らせないためには、絶えず「自分を疑う」ことが必要だ”

歯科医療においてはまだまだ未踏の領域があり、今まで以上の研鑽が求められる思いだ。

                                        2021,1,8

あの言葉を‥‥

 緊急事態宣言が発出された。遅きに失した、なぜ1都3県だけなの、など様々な意見はあるかも知れないが、先ずは皆さん、ケネディ元大統領の言葉を思い出しませんか。“があなたのために何をしてくれるのかを問うのではなく、あなたがのために何を成すことができるのかを問うて欲しい。”。自助、公助、自制など言葉を並べることはいくらでもできる。今求められているのは一人ひとりの速やかな行動である。世界に示しましょう、日本人の底力を!

                                        2021,1,7

人類の存亡

 全世界的に新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない。ヨーロッパでは医療崩壊を防ぎ比較的コロナの封じ込めに成果を上げていたドイツでさえ一日で約1000人の死亡者数との報道である。年末のメルケル首相の心に響く国民への訴え、願いを嘲笑うかのようにコロナウィルスは好き勝手に暴れまわっている。イギリスに続き都市封鎖に踏み切る決断を迫られた。最悪の事態を前提に対策をとってきた台湾、ニュージーランドそしてベトナムでは今現在もコロナ封じに成功している。我が国はどうか?遅きに失した感があるが、まだ残された手段はある。実行産生指数を0,72まで下げることが出来れば3月下旬にはほぼコロナを抑え込めるとの試算も出ているようだ。今我々は正に戦場の最前線で見えない敵と戦っているのであり、絶対に負けるわけにはいかない。間違っても白旗を挙げてはいけない。人類の存亡がかかっているとは言い過ぎか?

                                        2021,1,6

自分事として‥

 一段と寒さが厳しくなってきた。朝6時前の早朝ランニングは久しぶりで、近くの公園の池は薄らと氷が張り、子供の頃はその氷面に小石を投げて石が跳ねるのを楽しんだことが懐かしい。ここ数年は冬でも池が凍ることはなかったことを思えば今年は例年よりも厳しい冷え込みなのかもしれない。日本海側の昔は豪雪地域と呼ばれたところでも、年末からの積雪量は記録的だ。今週末にかけて更なる寒波の襲来が予想されている。日本列島が新型コロナ感染症で疲弊しているところでの寒波は、身も心も縮みこむ。一人ひとりが自分事として行動をとって頂きたいという言葉を全国民で真摯に受け止めることが今の日本を救う最終手段かも知れない。しっかりと感染を抑え込み、春には満開の桜を心にも咲かせよう。

                                        2021,1,5

絆の強さを!

 遂に1都3県に緊急事態宣言発出の検討に入ったとのニュースが流れた。遅すぎるとの声もあるが、誰がどのような対策を講じたとしても未知のウィルスに対する万人を満足させる策はないのが現実である。今年は丑年。干支にちなんだ記事を目にする機会が多い時期だが、どちらかの新聞紙面では“牛歩でも少しずつ前へ進むしかない。やがて、牛が草をはむがごとき平穏な日々を取り戻すまで”とあった。数日前にもブログに載せたが、誰が悪いわけでもない。普段通りの生活を取り戻すためには、国民一人ひとりの地道な努力で感染者を減らしていく以外方法はない。マスクの装着、手指の消毒などは1年前では疎らだったが、危機感とともに意識が変われば世の中を変えることができることを我々は証明している。自分一人ぐらいは‥‥というちょっとした気の緩みは今は許されない。国民が一丸となってこの局面を克服しましょう!見せましょう、日本人の絆の強さを!

                                        2021,1,4

健康に感謝

 朝から雲一つない最高の天気だ。箱根駅伝の選手ほどの走りはできないが、マイペースで10キロほど横浜みなとみらい地区まで爽快に走り抜けた。昨年は新型コロナウイルス感染拡大によって各地でマラソン大会が中止に追い込まれ、目標を失ったランナーもいたに違いない。もっぱらランニングに励む私の目的は健康維持のためであり、サブスリーではないが、京大の山中教授の走り続ける体力にはいつも感嘆させられる。教授の走り続ける目的は健康のほかに閃きを求めてなどもあるのだろうか?こんな私でさえ、ランニング中の信号待ちなどで日頃の疑問が解けることがある。昨年は身体の筋を痛めたこともあり走行距離がめっきり減ったが、今年は三が日とも好調な走りが出来ている。健全な精神は健康な身体に宿るとはよく言ったものだ。今年一年を自分に期待させる三が日を無事に過ごせたことに感謝しよう!



                                        2021,1,3

修養

 「年輪を刻むように年齢を重ねる人が減った」とは小林秀雄さんの言葉。「あの人がいる。それだけで人が自ずと寄り、ことが収束される。以前はそういう人が必ずいたものだ。」とはある財界人の言。新年から愚痴はこぼすものではないが、骨のある政治家は何処にいるのだろうか?とくに国会議員の皆さん、与野党の御歴々。清水の次郎長は「私のために死ぬ子分など一人もおりませんが、子分のためなら私は死ねます」と言ったそうではありませんか。国民の命のために、本気で議員資格の重みを分かっている先生方は挙手を願います!と問いかけたい。弁が立つことも政治家には必要な資質の一つかもしれないが、優先順位では一番ではない。少しばかり知名度があるからと言って議員に立候補する人や、そういう方々を推薦する政治家、政党の在り方も国民は日頃から吟味すべきであろう。人間的にどっしりと落ち着いているかどうか、修養を重んじているかどうかなどを見極めるためには、こちら側も日頃から“年輪を刻むような日々を過ごす”ことが求められる。



                                        2021,1,2

学ぶべき渋沢栄一の生き方

 コロナ対応に追われている病院関係者には新年を祝うどころではない過酷な日々が続いていることに、改めて感謝申し上げたい。その一方で、人込みは出来るだけ避けるようにとの呼びかけにも拘わらず、初日の出を見に行く輩がいることには憤り感じる。自分だけは感染しない、大丈夫だとどこかで高を括っているのか。市中感染が広がり、保健所の対応も限界にきており感染経路がもはや追えなくなっているという。自分勝手、我が儘、自己中という表現が当てはまるのか?なぜこのような国民が多くなったのか。家庭教育の問題、親の躾が出来ていないことに根源はあると考えるのは私だけか?今年のNHK大河ドラマは「日本資本主義の父」と言われた渋沢栄一である。“皆が幸せと感じる世の中を創る”という思いで会社を作ったり、教育や福祉事業を応援したりしたその背景には、利益だけでなく道徳を大事にする部分や、相手の身分よりも人間性を見る目など、その姿勢は大人も子供も人として学ぶべき手本である。年始めに書店に出向いて、もしくはネットで渋沢栄一に関する一冊を購入してみては如何か?


                                        2021,1,1

心の平穏

 とんでもない大晦日だ。都内の感染者数が1000人を超え、一気に1300人との報道である。今年初めに横浜に停泊中の客船が大変なことになっていると世間話をする程度で、どこか他人事のように構えていたが、目に見えない敵は直ぐ近くまで忍び寄ってきている。何処で、誰が感染しても不思議ではない状況だ。混雑を避けようと早めの買い出しに出掛けたが、食品売り場ではすでに入場制限が始まっている異様な光景を目にした。このまま感染が抑えられなければ、医療機関のみならず社会全体がパニックに陥る可能性すら出てきた。ウィルスは身体だけではなく人心まで蝕み始めている。未知のウィルスに対して確実なEvidence(科学的根拠)を求めることは無理な話だ。誰が悪いわけでもなく、明日は我が身である。新型コロナによって人間関係まで壊されることがないよう、心の平穏を願うばかりである。


                                        2020,12,31

緊急事態

 例年、年越しをしている新潟県六日町の常宿は今年も満室のようだ。コロナ禍でもあり今回は予約を見送ったが、クラスターなどが発生しないことを祈りたい。不要不急の外出は控えるべきだが、宿泊客のそれぞれの考えもあることだろう。2週間続けて感染者数が増加している。東京都知事の緊急記者会見も行われ、医療提供体制の限界がもうそこまで来ているとのこと。まさに経験したことがないような緊急事態が起きており、状況はさらに深刻度を増してきている。もう待ったなしだ。この年末年始は命を守るために人との接触は避け、家にいよう。


                                        2020,12,30

無能な指導者

 私が中学時代、カンボジア難民問題が紙面に載ることがあり、学校側に募金を呼び掛けたことがある。約40年前のことだが、今は世界中で難民が増加している。国連の報告書では戦争、自然災害などにより、世界で飢えに苦しむ人の数は約6億9000万人の上るとのこと。理由はどうあれ40年間世界の指導者は何を導いてきたのか?世界が2030年までに達成を目指す持続可能な開発目標「SDGs」の一つが「飢餓ゼロ」だ。計画するだけなら誰でもできる。自国のことを優先したいなら、先ずは自国の存在する地球を守らなければ自分たちは生き残れないことに、いい加減本気になったらどうかと思う。口先だけの人間はもういらない。そう言えば、地球温暖化ガス25%削減を世界に約束したあの宇宙人元総理は今頃何をしているのだろうか?まだ「友愛」などと寝ぼけたことを言っておられるのだろうか?選んではいけない典型的な指導者である。


                                         2020,12,29

ほっこりマスク

 先日のブログで、使用するマスクは出来れば不織布が良いと載せたが、旭川市のある工場では、地元「旭山動物園」にいる全ての動物の口をデザインした布マスクを作製している。狙いは“見た人の心を慰めよう!”ということらしい。写真で診ると、デザインも上手く“ほっこり”する。アイデアの目の付け所が良いと思う。寒さも一段と厳しくなってきた。飛沫量のシャットアウトは望むべきところだが、遊び心をもつ気持ちの余裕も欲しいところだ。いっその事どこかのメーカーで、デザインと機能を強化した不織布マスクを開発してみてはどうか。


                                         2020,12,28

106兆円超

 先日、政府の来年度予算案が決まりましたが、一般会計歳出は106兆円超と過去最大である。今年度は新型コロナウイルス感染拡大に伴う支援金などもあり、借金の総額は膨らむ一方である。庶民からは天文学的な数字であるため実感が湧かないが、このままでは借金の返済は結果的には次世代への付けとなってしまう。新型コロナによって財政が苦しいのは日本だけではないが、借金をするのであれば返済計画をしっかりと国民に提示することが国会議員の先生方の責務ではないか。難しい話ではない。一般人が金融機関から借入する場合には返済計画書を作成するのと同じである。国権の最高機関である国会において、国が倒産することがないよう年明けには予算案についての議論をしっかりとして頂きたい。



                                         2020,12,27

国境を越えた協力

 昨年の暮れに新型の肺炎が中国の武漢で発生してから約一年が経つ。まさか一年で世界中がこのような状況になるとは多くの人々は予想もしていなかったであろう。ウィルスがいとも簡単に国境を越えてしまう現実を見れば、それだけ世界中の人が行き来をしているということでもある。感染症もグローバル化ということだ。同じ地球上に住んでいるのだから、どこの国とも共存共栄の関係が築かれなければならないにも拘らず、世界の大国は自国ファーストを優先している。機密情報を盗むのではなく、真の情報を共有し、世界が協力できるような2021年にできないものか!

                                         2020,12,26

バージョンアップ

 今年一年も残り僅か。コロナ禍にも拘らず、当医院にお越しになられた方は非常にい多かった。緊急事態宣言が発出された頃は一時的に新規患者様の足も遠のいたが、当院の定期メンテナンス患者様は通常通りほぼ来院された。平成15年6月に開業以来、医院のミッションである“価値あるものを患者様に提供する”は不変であり、院内設備は新しい機器への買い替えこそあったが,マイクロスコープを用いた診療内容も不変である。このソフト、ハード両面を愚直に信念をもって継続してきたことが、もしかしたら当医院を評価して頂けたのではないか。18年間、幼児から成人、そして後期高齢者まで幅広く診療させて頂くと、見えなかったものが診えてきた部分がある。今年はそれを実感、確信した年でもあった。勿論私一人では叶えられなかったことではあるが、考えを同じくする良きスタッフと共に、来年以降さらに医院のバージョンアップを図る所存だ。皆様の健康の一助になることを信じて!

                                         2020,12,25

様々なマスク

 街中ではデザインや生地も様々なマスクが使われている。お洒落に装着されている方もいれば、医療現場で二重に重ねて使用している姿をニュースで確認することもある。飛沫量を抑制する効果は素材で異なることを皆さんはご存知でしょうか?不織布マスクであれば吐く飛沫量の8割を抑制できるものが、ウレタンマスクでは5割、マウスシールドに至っては1割しか抑制できないそうだ。吸う飛沫量では不織布マスクは1/3抑制できるが、ウレタンでは2/3、マウスシールドでは効果なしとの評価である。当医院でもマスクはそれなりのものを購入しているが、Level3のものは随分と前から手に入れることは出来ていない。在庫があるとは言っても数には限りがあるというものだ。1年前、まさかマスク購入でネット探しをすることになるとは露にも思わなかった。

                                         2020,12,24

無宗教

 「日本人は無宗教であることが宗教である」と語っていた学者が以前いたのを記憶している。私自身、祖母が亡くなった時にお世話になった坊さんは浄土真宗であり、私が結婚式を挙げた際には教会形式だったことを思えば、自慢することではないが私こそ無宗教信者である。毎年この時期になると町並みからテレビCMまでクリスマス色に染まるのだが、どうも違和感があってしょうがない。完全に商業ベースで人が動されているとしか思えないのである。「そんな堅苦しいこと言わなくたっていいじゃん!」と言われそうだが、そんなものなのか?信仰する宗教がなくても、何のために生きているのかを常に問いながら毎日を過ごすことが必要だろう。


                                         2020,12,23

心の密

 今年は新型コロナウイルス感染拡大によって世の中の行動様式が変わってしまった。対面の機会があるところではアクリル板やビニールシートが必ずあるが、対面接触を避けられない病院や学校関係では対応にも限界がある。大学においてはリモート授業で友達もできないという異常な状態。社会人のリモートワークによってほとんど家から出なくなったという方も多い。学生に限らず人はどこかで人との関わりを求めている。仕事を進める上でのディスカッションはリモートでも可能かもしれないが、子供たちが仲間と一つのことを成し遂げる達成感などは心の成長にも繋がる。これ以上人との関わりが薄くならないよう、心だけは密であってほしい。


                                         2020,12,22

年賀状

 今年も残りわずか。忙しい年の瀬に年賀状を書くのがついつい後回しになってしまうのが毎年恒例になっている。来年は丑年。年賀状の図案をどうするか?子供の頃は手書きで絵も描いていたが、今はパソコンでデザインを凝らしたものが多く見られる。年々年賀状の発行枚数が減っていると報道されるが、相手の顔を思い浮かべながら気持ちを込めてペンを執りたい。

                                         2020,12,21

緊急事態

 新型コロナウィルス感染拡大が収まらないどころか感染者数が増加している。遂に一日約3,200に達した。そんな中イギリスでは、新型コロナウィルスの変異種がさらに猛威を振るい始めている。誰もが予想していたことが想定よりも早く起きたに過ぎない。小松左京の「復活の日」はフィクションであって欲しいが現実味を帯びてきたのか?手指消毒剤でもあるアルコールにもしも新型コロナウィルスに耐性ができたらどうなるのか。目に言えない敵は身の回りに潜んでいる。コロナ慣れ等とは言っていられない緊急事態である。Go Toだけではなく、外国からの渡航者もシャットアウトすべきではないか。菅さん、迷うことなくリーダーシップを執ってくれ!



                                         2020,12,20

小さな機器

 今の時代、手元に収まる小さな機器は一瞬で膨大な情報を得ることができる。私が中高生の頃、国語辞典、漢和辞典、英和辞典などにお世話になったが、正直なところ面倒であった記憶がある。当時使っていた英和辞典を手に取ってみたが、赤ペンのアンダーラインが沢山ひかれていた。それなりに勉強をしていたのか、いやいやもっと勉強すべきだったのかは置いといて、使い方次第でスマホや電子辞書の類は効率的である。デメリットは‥‥。世の中の人々の傾向として、物事を深く掘り下げて考える習慣が無くなってきているように思えるのは私だけか?デジタル、ITは決して良いことだけではないと思うのだが‥‥。



                                         2020,12,19

組織の強化

 理想的な組織とは、指示された通りに動くだけでなく、各々がそれぞれの状況に応じて何をすればよいのかを考えだすチームである。そのために必要なのはルールではなく、人間力であり、一人ひとりの培ってきた経験であり、良識であろう。決め事の多い職場は窮屈であり、独創性も育ちにくい。ラグビーで活躍された故平尾誠二さんが以前、「公私混同は大いにしなさい」と言っていたそうだ。これは、一般的な公私混同ではなく、公のことを自分のことのように真剣に考えるという意味だ。個人がチームのことを自分のことのように考えなければ、チームは良くならない。国や社会、会社を構成しているのは国民一人ひとりである。利他のために自分は何ができるかを常に真剣に考えることが肝要であろう。


                                         2020,12,18

治療と正しい理解

 むし歯でなくても歯が痛くなる?知覚過敏?歯ぎしり?ご自身の口腔内の状態、特徴をしっかりと把握することで、これから生じるかもしれない問題を予測し、そのために定期的に写真を含めた記録を撮り続けることで、自分に合った行動を執ることができる。15年以上写真で経過を追いかけてみると、歯の生理的な擦り減り、金属の浮き上がり、歯肉退縮など様々な変化を患者さんと観察,共有できる。う蝕(むし歯)を認めたところで進行性のう蝕でなければ直ぐに削る必要はなく、写真やレントゲンで状態変化を丁寧に経過観察することが、歯の予後を良くする一番の選択肢であると確信する。デジタル化の恩恵によって患者さんの現状を直ぐに見せることが可能だ。しかし患者さんは素人であるので、たとえ画像を見せても詳しい丁寧な説明がなければ理解するところまでは到達しない。自分の身体のことだ。歯医者任せはやめて、納得するまで先生に質問しましょう!



                                         2020,12,17

正しい呼吸

 「正しい呼吸の仕方をご存知ですか?」と初診患者さんに尋ねると、誰一人として「知りません。呼吸ですか?」と聞き返される。我々生まれて此の方呼吸法について教わっていないのである。それは教わらなくとも呼吸をしてるからなのかも知れない。しかし、当医院にお越しになられる方だけを見ていても、明らかに正しい呼吸が出来ずに姿勢を崩している方が多い。今年亡くなられた外山滋比古先生の言葉をお借りすると、“声の出し方を知らずに一生を過ごす人がほとんどである。喋るのが商売の学校の教師も、コトバは勉強していても、話し方はご存じない。”といったところか。顎顔面骨格の正しい成長発育のためには、舌を含めた口腔周囲筋の正しい使い方が必要であり、それには正しい鼻呼吸をすることが第一に優先される。幼少期、小児期の正しい機能獲得が生涯を通じての健康体になると確信している。



                                         2020,12,16

荒れた庭

 自宅から通勤に使う最寄り駅までの途中に、庭の手入れがされていない家がある。甲子園に出場したあるチームの主将が「部屋の乱れは心の乱れ」と監督に指導されたと語っていた。庭を手入れできない何か理由があるのかもしれないが、あまりにも荒れ果てた姿は一種悲しい思いだ。コロナ禍であり、予期せぬことが起きているのかもしれない。人の心は時に弱くもなるのかも知れない。しかし、心の花を咲かせるような環境を作らなければ、心が雑草に支配されてしまう。二宮尊徳の言葉を思い出そう。“あらゆる荒廃は人間の心の荒蕪から始まる”と。そこのご家庭に何もないことを祈りながら、毎朝庭を気にしながら通勤することになる。



                                         2020,12,15

咬み合わせと不定愁訴

 歯科医師の仕事は歯を削ることではなく、そのような環境にならないように皆様を啓蒙することである。究極的には世の中から歯科医師が存在しなくても困らない社会なのかもしれないが、それは歯を削るという極めて狭いところにフォーカスを当てた場合のことであり、歯科医の世の中で果たすべき役割は無限にあると確信している。以前のブログにも載せたことではあるが、“医科“と“歯科“と科は区切っているが、人の身体は一続きであり、区別できるものではない。咬み合わせと体幹の関係については世間的にはまだ広く知られていない分野であり、不定愁訴を抱えた患者さんたちの希望の光になるのではないかと期待している。現に先日も、原因不明の頭痛と言われていた方も口腔周囲筋のトレーニングを半年ぐらい継続したことで、頭痛が消失している。他の疾患が原因でなければ、不定愁訴の原因の一つを咬み合せと考えてみる選択肢が広がって欲しい。



                                         2020,12,14

アイデア

 夕方に近くの公園まで子供とのキャッチボールに出掛けると、公園の隅に石焼き芋を売っている軽自動車が止まっていた。“いーしやーきいも、やきたて!オイシイヨ!“久しぶりにお目にかかったあの車!皆さんも一度は目にしたことがあるでしょう。甘ーいあの匂いに誘われて、お腹が空いているとコインを渡して食べたくなる。しかし、今はワンコインでは買えないらしい。正直なところ値段を見て“高い!“。商売も大変だ!このコロナ禍の影響もあるのか、私と子供が公園にいる間は一つも売れていなかった。サツマイモと言っても今は種類も豊富だ。素人ながら思うのは、紅あずま以外のサツマイモでは美味しい焼きいもはできないのでしょうか?焼きいも🍠一つ売るにしても、余計なお世話かも知れないがアイデアは必要な気がする。



                                         2020,12,13

気忙しい師走のはずが・・・

 暦を見て何かと気忙しくなる師走。当医院の診療室はいつもと変わらないが、例年との違いはやはり新型コロナの話題が多いことか。昨日は何人の感染者が出た、病院関係者の方々の苦労を思うと‥‥、なんでいまGo to トラベル?のような会話が毎日のように繰り返される。師走も今日で2週間が過ぎるが、感染症のことが常に頭の隅にあるせいか年の瀬の雰囲気は街中にもあまり感じられない。政府もそうだが、全ての企業、医療関係、教育現場などありとあらゆるところが機能不全に陥る手前にある。身近で新型コロナの感染者が出ていないので実感としては湧かないのだが、間違いなくいつ感染しても不思議ではない状況にはなっている。月日が経つのはあっという間だが、この先何年も同じような状況が続かないことを、少し気は早いが新年の願いごとにしたい。



                                         2020,12,12

日本語の素晴らしさ

 「日本語を学ぶと性格が穏やかになる」「人との接し方が柔らかくなる」と言われていると、言語学者の金谷武洋さんが述べている。モントリオール大学で25年間仕事をされ、その間日本に多くの学生を日本への留学導いてきた中で、帰国した彼らの変化に驚かされたという。金谷先生によると、日本に留学した学生たちが口を揃えるのが、日本人の共感力の高さだという。ホームステイ先のお母さんが「そう、困ったわね」と、同じ目線で相談に乗ってくれて感動したと多くの学生が語ったそうだ。我々日本人にとっては特別意識することなく行っている行動が、まさに世界に誇るべき素晴らしい特質であると金谷先生は言う。同じ目線で・・・。その日本人が共感し合えなくなってきている場面が世間では多くなってきてはいませんでしょうか?その根本的な問題は幼少期の教育、母語をどのように覚えてきたか。言語学者のなかでも「子供の時に覚えた言葉で世界の見方が決まる」と明記されている方もいます。家庭教育の在り方を、全世代で真剣に考える時が来ているのではないでしょうか!



                                         2020,12,11

情緒

 “もののあわれ”、“わびさび”などは日本人にしかないような美的感受性ではなかろうか?今時分になれば街路樹の紅葉の美しさに見とれ、春になれば萌ゆる草木に息吹を感じる。子供のころからそのような環境に置かれると、それが当たり前となるものだ。昨今の子供たちは情緒豊かに育っているのだろうか?外で遊ぶ環境もなければ塾通いで遊ぶ時間もない様子。小学校に至っては諸外国を見習ってか英語学習やプログラミングを学ばせ始めている。それらを取り入れることに問題があるとは勿論思わないが、情緒教育の基本は家庭であり、日本語に込められた情緒は幼少の頃から“名著を読む”ことで育まれることに違いはないと私は思う。朝起きたらスマホ、電車でスマホ、休憩時間にスマホ、手が空いたらスマホ、歩行中もスマホ。せめて就寝前ぐらいは一日を振り返えり、自分を掘り下げて見つめ直す時間を取りたいものだ。


                                         2020,12,10

温暖化の影響

 温暖化の影響が果樹園経営にも影響を及ぼしている。梅干しの南高梅といえば和歌山が産地であるが、数年前から長野県でも生産を試験的に始めている。サクランボといえば私の中では山形産と決めつけていたが、こちらも北海道での生産を始めているとのこと。どちらの生産農家も更なる温暖化の影響による生産量の減少を避けるために先手を打ってのこと。地球温暖化は一向に改善の兆しが見られない。お互いの利害関係云々などと言ってられない事態が起きているにもかかわらず、大国と呼ばれている国の指導者は自国ファーストから抜け出せない者ばかりではないか。もう政治家に何かを変えてもらおうなどとは思わないほうがいい。一人ひとりの意識が正しい方向に向かえば社会も住みやすくなり、良識のある人が増えれば良識のある政治家が選出され、国が、そして世界各国が協調しあえる同盟国になると信じたい。

                                         2020,12,9

お褒めの言葉

 現在通院中の方から、“先生の麻酔は痛くないですね!”と言われると正直“ホッ!”とする。誰しも分かってはいても痛いのは嫌なものだ。以前に比べると麻酔針も細くもなっており、それだけでも刺入点の痛みは軽減されているのだが、けっしてゼロではない。歯科医にとって麻酔を使わない日はないと言っても過言ではない。今更ではあるが、麻酔について再度勉強し直してみたのだが、「なるほど、そうだったのか!」という発見があり、それをここ数日診療に取り入れている。一度確立された治療法は問題がなければなかなか変えにくいものだが、常にそれでいいのだろうか?もっと良いアプローチの仕方が存在するのではないか?といった探求心は欠いてはならない。歯科医師も決して全てに完璧な人間ではないが完璧に近づきたいものだ。

                                        2020,12,8

はやぶさ2帰還

「はやぶさ2」がほぼ原形を留めた状態で地球に戻ってきた。大気圏に秒速12キロで突入するとのこと。当たり前のことだが“いち!”と言ったと思ったら12キロ先まで進んでいる速さとはどんな速さだ?想像もつかない。円形のカプセルがそれこそ想像もできない高温に曝されても溶けたりすることもなく地上に無事に帰還するのだから、そのようなカプセルを造る人間も凄いが、それを操作する技術者たちの研究と創造力は人間の無限の可能性を示してくれている。この約一年間、新型コロナウィルス感染症に世界は振り回され続けているが、年の瀬に久々の明るいニュースだ。


                                       2020,12,7

お人柄

 小泉純一郎元総理の魅力は人を惹きつける発言力と自分の言葉で語りかえるパフォーマンスだったかもしれない。政策の良し悪しはともかくとして、国民にインパクト、政治に関心を持たせることにおいては及第点を与えられる業績をのこした。歯科のセミナーに参加すると、やはりプレゼンの上手い演者は語りがうまい。何がどう上手いのか?聴講するもの一人ひとりに語りかえるようなスタイルだ。実直なお人柄かも知れないが、菅総理の原稿読みには人間味の温かさが伝わってこない。立場上、ご自身の発言には気を付けておられるのだろうが、もう少しお人柄が伝わるような記者会見をされたらどうかと思う。私の中では東北秋田県出身の方で印象の悪い方は、まんずまんずいませんよ。

                                                         2020,12,5

         

視点を変える立体交差

 都内はじめ関東近辺を運転していると、10年、20年前に比べると渋滞が随分と減ったと感じる。道路の拡幅や新しい道路が出来たことによる交通集中が緩和されたことによるものではあろう。先日も幹線道路を走行していたら混雑の原因になっていた交差点がいつの間にか立体交差に替わっていて、流れがスムーズになっていた。この立体交差を始めて考案したのは誰なのか?きわめて画期的な発案だと思うのは私だけか?仕事や日常生活において考えが煮詰まったりすると息抜きをしたくなるものだが、視点を変えて考えると解を見いだせることがあるという点においては立体交差と同じだ。円錐も上から覗けば円に見え、横から見れば三角形となる。凝り固まった頭を柔軟にしていつまでも若い脳を維持しましょう!

                                                         2020,12,4

         

国の衰退

 日本の国際競争力が低下しているという結果が各方面で言われている。ノーベル賞は過去の実績が評価されたのものであり、今後も同じような研究者が出てくるような土壌は今の日本にはないと言われている。優秀な研究者や技術者は、あえて言えば敵国に働く場を求めていく有様だ。国力衰退という危機に直面しているにも拘わらず、国会では相変わらずつまらない議論に終始している。普段我々は社会や国という存在をどのくらい意識して生活をしているだろうか。政治家が何かしてくれるのを待つのでは遅い。国を構成しているのは都道府県であり各自治体でもあるが、その最小単位は我々個々人である。一人ひとりが自主独立し、自助努力の精神を持たなければこの国が衰退するのは目に見えている。今の自分を深く掘り下げて見つめ直す機会をもちませんか!

                                                         2020,12,3

         

医学部の歯学科?

 患者さんから「先生、歯医者さんは医学部とは関係はないのですか?」と素朴な質問を受けた。医学部と関係ない?要は歯医者さんはなぜ医学部の出身ではないのかと聞きたかったようだ。歴史を遡って調べみないと分からないが、日本の歯科医療のモデルになっているアメリカにおいては医学部と歯学部に分かれている。実にタイムリーなことではあるが、今月の歯科の月刊誌に、作家の遠藤周作さんが以前「なぜ歯学だけ別扱いなの?」というタイトルで新聞のコラムにコメントを寄せていた記事が紹介されている。その中で“人体とはそんなに各パーツに国境があり、独立しているものだろうか?人体はアメリカ合衆国のようなもので、州があってもそれぞれの州はアメリカという国の一部でしかないと私は思う”と述べている。歯医者が歯しか見ていないようでは話にならない。なぜ歯並びが悪いのか?なぜ咬み合わせが悪くなるのか?顔面骨格から何が読み取れるか?口呼吸の人に共通している症状は?姿勢は?専門的な知識を生かすには多角的な視点を持つことが必要である。

                                                         2020,12,2

         

セルフケアを高める意識

 早いもので師走を迎えた。忙しくなると免疫力も下がり歯も痛くなるのか、当日診てほしいという問い合わせが偶然相次いだ。新規の患者さんは予約の関係もあり直ぐに承ることはできないのだが、普段から歯科医院での定期ケアを心掛けて頂きたい。口腔内に問題が生じてから歯科医院に駆け込むようでは生涯にわたって健康な状態は確保できないでしょう。例えばむし歯の治療を受ける際にいろいろと先生から説明を受けることは当然ですが、歯を守る、口腔内を健康な状態で維持する情報を求めていますか?これから生じるかもしれない問題を予測して、自分に合った行動を起こす。そのためには自分の現状をしっかりと把握することが必要であり、口腔内写真を撮り続ける意味がそこにあります。むし歯があっても直ぐに歯を削るのではなく、むし歯になるリスクが存在すればそれを取り除き、むし歯の程度によっては何年にも亘って経過観察を続けることが歯の予後を良くする最善策だと確信する。


                                                         2020,12,1

         

杉原千畝とある外務政務次官

 約6000人ものユダヤ人を救うためにビザを書き続けた杉原千畝さん。あの戦時中にも拘わらず、日本の外務省の意向に反して目の前の人々を救うために尽力した外交官は、戦後日本に帰国した際、国の方針に逆らって勝手な行動をしたとして外交官の職を解かれた。その後民間で働き86歳で人生を全うされたが、1991年当時の外務政務次官であったある国会議員がその話を知り、“なんでそのような人の名誉を外務省は回復してあげないのだ!”と立ち上がったことを皆さんはご存じだろうか。リトアニアからウラジオストック経由で日本に渡り、その後アメリカで生活をすることになるユダヤ人の人々にとって“SUGIHARA”は恩人である。その国会議員は今も現役であるが、その本人にも自分の意思に反して数年の政治空白があった。“人一倍汗をかき、手柄は人にあげよ!”がその方の政治理念だと知った。今の日本に必要な政治家はこのような軸を持った方ではなかろうか。安っぽい政治パフォーマンスを繰り返す与野党の議員さん達との器の違いがあり過ぎる。


                                                         2020,11,30

         

行き付けの店

 行き付けの中華料理の店が、入居しているビルの建て替えのため昨日閉店した。シェフは新型コロナの影響もあって移転開業する気力はないとのこと。どこの中華料理よりも美味しく、スタッフ共々よく通わせて頂いた。気心の知れた女将や厨房のシェフなどと会えなくなる、あの美味しい山椒の効いた四川麻婆豆腐がもう食べられないかと思うと残念でしかない。今の時代、通販であの腕前料理を世間に提供することも出来なくはないのかもしれないが、出来立ての料理とは似て非なるものでしかないか。さて明日からのスタッフとの息抜きの夕食をどこでするか、開拓することにしよう!


                                                         2020,11,29

         

リーダーシップとは

 以前から購読している月刊誌に数年前であるがリーダーシップの神髄というタイトルが書かれていたのを思い出した。「多くの集団からなる組織は、それがどのような組織であれ、そこにどういう人がいるかで決まる」。リーダーシップの在り方、その神髄が問われる所以である。国を治める政治家、役人、会社の社長、スポーツチームの監督、そして私のような小さな歯科医院の経営者であっても同じこと。目指すものを持たない組織に発展はあるまい。新型コロナウイルス感染拡大によって組織のトップの見識、先見性、マネジメント力がこれほど試されていることはない。人は追い詰められた時に、その人の本当の値打ちが分かるという。今こそ人間力が試されている。人生至る所に山河あり。

                                                         2020,11,28

         

不定愁訴の改善

 「数か月前から左足首、左股関節、そして2週間ぐらい前からは左肩から左腕まで筋肉が凝ってきて、最近は少し痺れるようなこともある」。これは新規の患者さんの主訴である。当医院は歯科医院であるので本来ならば整形外科を受診すべき主訴でもある。患者さん曰く、「何年も整形外科や鍼灸院などにも通ったが良くならない。本当に辛いんです」。40歳以降になると多く診られる不定愁訴の一つである。口腔内診査では明らかに咬み合わせのバランスが良くない状態であり、舌の傾きも顕著に現れている。口腔内写真を使って現症が出るまでの経緯を幼少期の頃を推測し遡って問題点を紐解いていくと、患者さんの納得いく説明ができる。治療の前に先ずは現状に至った原因を探ることが何よりも大切なことである。患者さんの表情が和らいだところで、口腔内に取り外しの簡単な装置を作製し、2,3日装着して過ごして頂くことにした。後日、経過を診るためにお越し頂くと診療室に入る前に「先生、腕の痺れが無くなった。姿勢が良くなった気がする。」とのこと。なぜ症状が無くなったのかを詳しく説明することにする。

                                                         2020,11,27

         

説明力

 説明することは難しいことではないが、相手の理解度に合わせて分かるような説明となると意外と難しい。研究者や専門家、医者のなかには、専門用語など難しい言葉でしか話せない人がいるが、これでは相手が患者さんであれば腑に落ちる説明にはならない。医療の現場では、医者の何気ない一言が患者さんの心を左右する。子供が相手でも分かるような説明を場合によっては練習することが、本質を理解することに役立つこともある。

                                                         2020,11,26

         

指導力

 国の新型コロナウイルス感染拡大防止対策への迷走ぶりが露わになってきている。過去最多という枕詞付きの危機が連日、報道される。感染症との闘いに負けるわけにはいかないと言いながら、指揮官がリーダーシップが取れていないのでは?と多くの国民は感じている。物騒な言い方かもしれないが、新型コロナウィルスとの戦争であるならば、指揮官が迷った時点で結果は見えている。確かに外野は責任がないから何とでも言える。菅総理が必死に指揮を執っているのは承知の上ではあるが、故田中角栄元総理、故中曽根康弘総理がご存命であったら、どのような指導力を発揮されるだろうか。菅さん、頑張ってくれ!

                                                         2020,11,25

         

洞察力

 月に一度の割合で下顎付近が痛くなり、その都度痛み止めを服用している。開業医ではどうにもならないとその方は思ったのか、都内の2つの歯科大学病院、更には総合病院にて診察も受けたそうだが痛みの原因は分からず、今日まで過ごしてきたとのこと。当医院にて通常の初診時における診査を行い、痛みの原因についてプレゼンをさせて頂いた。勿論、人の身体のことであり、痛みの原因を確定することなどできないかも知れないが、口腔内の治療履歴、現症、そして咬み合せとの関係を紐解いていくと、何も治療はしていないにも拘らず患者さんの表情は和らいでくる。なぜか?痛みの原因と思われる説明が、過去に受けた治療履歴、歯を失った経緯と照らし合わせた時に合点がいくからである。原因が分からないことほど不安になるものはない。診断に必要なのは最先端の医療機器もその一つではあるかも知れないが、先ずは観察力と洞察する“目”であろう。

                                                         2020,11,24

         

パスワード

 ネット社会ではログインパスワードを使う機会が頻繁にあるが、入力してみると間違っていたり、忘れたり、大文字と小文字を打ち間違えたりを繰り返すこともある。その度に指先が一旦止まるのであるが、再びキーボードを打ち直してEnter Keyを押して再びログインできなかった時には、物忘れが・・と心配することはないのだが、急ぎの時などはすこし自分に腹が立つことがある。セキュリティ上パスワードを全て同じにするわけもにもいかず、使う頻度が少ないものでは頭も指もフリーズしてしまうことがある。最近ではwi-fiのセキュリティ対策も考えなければならないようで、悪事を働く輩が世の中からDeleteされることを望みたい。

                                                         2020,11,22

         

感染症との戦い

 Go toの見直しを政府が検討したはじめた。誰が悪いわけでもないが、とにかく感染拡大を抑えなければ何もかもが先には進まないのが現実である。世の中全てにおいて原因があるから結果があり、結果があるということはその原因があるのである。しかし新型コロナウイルスに関しては発生源とされている武漢の研究所の調査が出来なかったことで、原因を究明することはほぼ無理な状況にある。原因が判明すればこそワクチン開発が出来るのであり、今は世界の研究者、製薬メーカーなどが英知を結集して人類を救うワクチンを開発している。なんとか年明け以降には有効なワクチンを接種できるような報道がされているが、世界では感染症は新型コロナウイルスだけではないことを忘れてはいけない。この瞬間にも地球上のどこかでは、次のパンデミックが人知れず潜んでいることだろう。歴史を遡れば人類は感染症との戦いが続いていることになる。コロナ疲れとは言っていられない!



                                                         2020,11,21

         

克己心

 電車内の座席に座っている3人の高校生が会話することもなくスマホに夢中になっている。後ろの窓ガラスに反射するので何となくゲームをしていることが分かるのだが、どうも違和感を感じてしまう。所詮他人のことだから関係ないし、放っておけばよいことかもしれないが、内心「10代の若者が時間を大事に過ごさなくて良いのか?」と注意したくなる。我々が10代の頃とは取り巻く環境も大きく異なるので比較はできないが、10代は特に学び鍛えることが本文だということをしっかりと大人が教えるべきではないか。自分の好きなことばかりに傾向していたいというのは、欲望に引きずられていることにほかならず、克己心が育たないことに繋がる。小さなことで自分に打ち克つことができないまま大人になると、社会に出てからどのような人間になるのかは、現代社会の問題を見つめると答えが出ているような気がする。


                                                         2020,11,20

         

必要とされているものとは‥

 レジ袋の有料化によってマイバックを持参している買い物客が多く見られる。コンビニでも“レジ袋はどうされますか?”“あっ、結構です!”という会話も日常になりつつある。やればできるものだと感心しつつも、袋に詰めるプラスティック容器の弁当が今度は気になるところだ。便利さと引き換えに何かを失っている現代社会とは言い過ぎか?今更ではあるが、それにしてもプラスティック製品のなんて多いことか!プラスティック製品をなくすことは現実的な話ではないが、日本の技術力をもって完全に無害化にすることはできないものだろうか。日本の国際競争力はあらゆる分野で低下している。世界シェアを競うのではなく、世の中に本当に必要とされているものを追い求めていこうではないか!


                                                         2020,11,19

         

ワクチン

 本日も新型コロナウイルス感染拡大がトップニュースである。ここ数日の感染者数の増加は速度を増している。週末には3連休も控えている。気を緩めず、基本的な感染対策を講じるしか我々にはできないが、それでも感染が拡がるのであればいったいどうすればよいのか?という話になるだろう。米国の製薬会社のワクチンが94%ぐらいの効果があり、年明けにも認可される見通しとのことだ。確か通常であればワクチン開発には3年前後の期間を要するとのことではなかったか?緊急事態であるので認可を急ぐということだろう。皆さんは今そのワクチンを接種できるとしたらどうされますか?小松左京さん原作、オリビア・ハッセーと草刈正雄が主演した映画“復活の日”が、まさか現実味を帯びてくる日が来るとは誰も思いもしなかったはずである。


                                                         2020,11,18

         

他に手立てがない‥‥

 スマホでネットを開くと連日の「過去最高の感染者数」の見出しが飛び込んでくる。時間の問題で全国の感染者数も1日2000人を超えてしまいそうな勢いだ。分科会の尾身会長の「このままいくと国民の努力だけではコントロールするのが難しく、さらに強い対応をしないといけない事態になる可能性がある」との発言は、もうそこまで危機が迫っているということだ。イギリスのジョンソン首相がロックダウンを指示した際に、「他に手立てがない」と嘆いたような状況だけにはさせたくない。3密を避けることは国民の高い意識で実行継続しなければならないが、今日の帰りに乗った電車の窓は手動で開閉できる窓であるにも拘らず、なぜか締め切った状態だった。周囲の人は空気の換気よりもスマホいじりに夢中で自分の世界へ。溜息をついてもしょうがない、気が付いた人が窓を開ければ良いだけのことか!外の空気は気持ちいい!


                                                         2020,11,17

         

ブレーキをかける勇気

 「Go to Travel!」「Go to Eat!」はこのまま継続して良いのでしょうか?旅行・飲食業界を助けるためにキャンペーンを始めるという発想は良いが、大変なのはどの業種も同じ。皆ギリギリのところで何とか仕事を持ち堪えているというのが大方ではないだろうか。そもそも新型コロナの感染拡大の終息の目途がついたら行うというものではなかったのか?いつの間にかハードルを下げて、キャンペーン実施ありきの動きになり、後に引けなくなった感があるのでは。こういう姿は昔の日本と何ら変わっていない。アメリカと戦争をすれば日本は負けると当時の軍直属の機関が結論付けていたにもかかわらず、一度走り出したら止められない空気に流されている。大事なのは何か、人命である。


                                                         2020,11,16

         

思いでのブックカバー

 書店で本を購入する際に、「カバーはどうされますか?」と聞かれると、私はいつもお願いすることにしている。通勤鞄の出し入れのなどで本に折れ目が付いたり汚れが付かないようにするためのものだが、書店によってはサービス向上の一環なのか色や柄を選ぶことができる。以前は親がそうであったように、頂き物を梱包していた包装紙を書籍カバーに使っていたこともあるが、書棚の奥から懐かしい包装紙カバーの本を取り出し洋菓子屋さんのものだったりすると、久しぶりにその店に行ってみたくなったりもする。宣伝、広告も兼ねての包装紙ではあるが、再利用まで見込んでデザインされていたとしたら、無駄に捨てることは出来なくなる。店主の思いは如何に。本を持って店を訪ねてみるか!


                                                         2020,11,15

         

未踏の領域

 本日も初診の問い合わせが相次いだが、生憎すぐには承ることができない。一人ひとりの患者さんとしっかりと向き合うことが医療の本質であれば、キャパ以上の受け入れは決してできない。お断りすることなく患者さんを受け入れ続けたらどうなるか?患者さんの増加に伴い反比例する形で一人当たりに割く診療時間は当然短くなり、患者さんとのコミュニケーションは双方において満足のいくものではなくなる。軸を曲げることは出来ない。先の予約を取って頂く患者さんの主訴の傾向として、咬み合わせが気になる、何度も同じ歯を治療するのは何故なのか知りたい、といった類が多い。人の健康を守る上で歯科が関わる領域は、分かっていることよりまだまだ不明なことが多い、未踏の領域があると常に意識しながら目の前の患者さん診ていると細かな発見がある。明治時代は平均寿命が50歳前後だったものが今では80歳以上である。30年も平均寿命が延びれば、身体にも想定外のことが起きても不思議ではない。その多くが咬み合わせと体幹の歪みから関係していたとしたら・・・、身体の歪みが慢性的に筋肉を緊張させ神経を圧迫すれば、その神経支配する器官組織は違和感や障害を伴うようになっても不思議ではない。

                                                         2020,11,14

         

元気出せ!

 情報過多の現代において人々は知らず知らずのうちにストレスを抱え、情報に振り回されるあまり一日を振り返る時間さえもないまま就寝し、翌朝起床と同時にネットから最新ニュースを得ている、という生活をされている方は多いのではないでしょうか?自分と向き合う時間はいつですか?仕事に追われる日々を過ごすことで、勿論成長している自分に気付くこともあるでしょう。しかしである。軸をもって生きているといなとでは、人生後半の過ごし方の充実度は雲泥の差が表れるのではないでしょうか?気付いた時にはもう遅い、なんてことはない。患者さんを前向きな姿勢にさせることも私の大事な仕事である。



                                                         2020,11,13

         

レジリエンス

 高校生時代、野球部の厳しい練習を終えグラウンドで横になって夜空を見上げていると、夜空に一筋の線が描かれていたのを記憶している。スペースシャトルだ。三度、野口聡一さんが宇宙へ旅立つ。同世代の活躍は非常に励みにもなり、夢を追い続ける少年のような軽快な語り口も魅力的だ。地球が青く、美しい星だということを知識としては知っていたけど、実際に見たら地球が「いきもの」であると痛感したという。いまその地球では新型コロナの感染拡大が止まない。コロナ以前の元の状態へ早期の回復を願ってか、今回の宇宙船は「レジリエンス」と名付けられた。年齢を重ねるなかでどのような新しい発見をするのか、全集中でミッションに取り組んで頂きたい。



                                                         2020,11,12

         

Floss or Die(フロス・オア・ダイ)

 本日付けの日経新聞夕刊に、歯周病でがんリスクがたかまるという記事が載っている。歯科医療従事者にとっては10数年前から「フロス・オア・ダイ」ということで、歯周病に関与する細菌が全身疾患を引き起こす一因となっていることは知られている。しかし、日本の一般の方への認知度は低いと言わざるを得ない。以前、米国俳優トムハンクスがインタビューのなかで、“生まれ変わったらもっと早く毎日フロスを使うだろう”と語っていたが、是非皆様にも「歯周病と全身疾患」と検索をして頂き、豆知識を取り入れて頂きたい。当医院における定期メンテナンスにお越しになられる患者様は年々増加しているが、普段のセルフケアを確立したうえで3~4ヵ月のメンテナンス時に細菌バイオフィルムを破壊するプロフェッショナルケアを継続することが、いつまでも歯及び歯周組織を健康に保つ秘訣であることは間違いない。

                                                         2020,11,11

         

往年のストッパー!

 久しぶりの外食を行き付けの寿司店にて知人2人と共にした。少人数しかカウンターに座れない店なので、絶対ではないがこのコロナ禍においては比較的安心して食することができると判断した店だ。客側としては幸いなことに他の客は暫くおらず、大将とも近況を語り合いながらゆっくりと時間を過ごさせて頂いた。この店は開業されてから3年は経つが、全く開業時と変わらないぐらい店内が綺麗、清潔である。職業上当然のことではあるかも知れないが、客側だけではなく店側の感染対策も徹底されている。酔いもいい感じになってきたころに、一組のお客様が来店された。どこかで見た顔である。もしかしたら・・・私が子供の頃、巨人軍で活躍されていた投手?遠慮なくお声がけをさせて頂いたがそうであった。「ここのお寿司屋さんは安心なんだよね!」と炎の左ストッパー。往年のスター選手は時が経ってもオーラがあるものだ。このコロナの火消しもお願いしたい!

                                                         2020,11,10

         

感染拡大・第3波?

 新型コロナウイルスの感染拡大が拡がってきた。ついに第3波か?換気が必要だと言われても、外気が冷たくなってくると、換気量も換気する時間も今までのようにはしにくい。世界の研究者が新型コロナウイルスのワクチン開発に力を注いでいるが、新型コロナウイルスの原因が掴めない現状では、当面はとにかく最低限の感染対策を我々が執るしか方法はなかろう。スペイン風邪、新型インフルエンザ、SARSなど過去にはいろいろな感染症が流行り、多くの死者も出ている。これから北半球では冬を控え、油断をすると想像もつかないほどの感染拡大、死者数になるかも知れない。そこまでしなくてもいいではなく、そこまでしなければ感染するという意識が求められている。

                                                         2020,11,9

         

修養とは

 吉田松陰の言葉に「徳を成し、材を達するには、師恩友益多きの居り」とある。自らの徳を大成させ、才能を上達させる上で、良き人と交わることがいかに大切かを説いている。自分はいかに世の中のことを知らないのか。何のために勉強をしているのかと誰もが一度は自問自答することでしょう。自分一人ではできることは高が知れている。安岡正憲先生曰く「良き人生を創造するには、良き師、良き友と交わり、良き書に学んで自分を修めること。そういう人生を歩むべく心がけてゆきたいものです」。人生は心がけと努力次第ということか。


                                                         2020,11,8

         

自分探しより・・・

 エネルギーの漲る若者はいるのだろうか?と思いたくなるぐらい通勤電車に乗り合わせていた子供達のあまりの覇気のなさ、さえない表情に、愕然とすることがある。日々の塾通いが大変なのか、部活動で身体が付かれているのか、口を開けて寝ている学生を見かける。周囲のことも気にせずスマホでゲームに夢中になっている学生もいるが、学生であれば他にすることがあるのではないか?と思ってしまうのは世代の違いだろうか。人間は問題意識がなければ向上できない動物のように私は思う。飽食の時代だから仕方がないと言ってしまえばそれまでかも知れないが、偉人伝の中には生き方のお手本になるものが多い。いい年をして“自分探しの旅に出る”などと言っている人を聞いたことがあるが、自分探しの前にお手本を探すことをしてみたらどうかと思ってしまう。読書習慣は一生続くものだ。



                                                         2020,11,7

         

変化の中で・・・

 咬み合わせが原因で歯の治療を繰り返し、治療の度に歯質が削られ歯が薄くなり、仕舞には神経までとって歯の痛みはなくなったものの咬み合わせは以前のまま変わらないので歯に掛かる不正な力は掛かり続け、数年後に歯根破折を起こし抜歯に至るということが、実に多く起きているのではないか?開業して18年、お陰様で多くの患者さんに私も育てられてきたが、同じ患者さんの記録を長期間取り続けてみて見えてくるものがある。Evidence(科学的根拠)は臨床に携わる者としては常に求め続け、診査診断に役立てるものではあるが、臨床ではEvidenceがない場面に遭遇することの方が実は多い。その一つが、10年、20年、30年後の身体の変化、生理的な変化を追いかける研究であろう。50代の患者さんですでに数本歯を失っていて不正咬合もあるケースでは、この方の10代前後の歯並び、咬み合わせを知りたいところである。一方で、10歳未満で顎も小さく歯の萌出スペースも十分ではないお子様がお越しになられた際には、この子の10年後、20年後、30年後の予想される状態をある程度の根拠をもって説明をさせて頂くことになるが、そこでお伝えしたいのは文献的な話も重要ではあるが、18年間経過を追い続けた生の患者さんの記録である。世の中に絶対ということはない。しかし、“点”ではなく“線”で診ていくことが診察だけではなく、長い人生を見据えても必要である。


                                                         2020,11,6

         

大国の凋落

 私が大学4年生の時、バックパックを背負ってヨーロッパ一人旅に出掛け、2ヶ月にわたって11ヵ国を巡ったことがある。その際モスクワでトランジット泊をしたのだが、当時アメリカと2大国として世界を牽引していた国とは思えないインフラ整備の遅れを目の当たりにした。社会主義国であることを差し引いてでもある。そして今のアメリカはどうか?物質的な繁栄に於いては世界をリードしているのかもしれないが、経済優先主義で国が成り立ってきている結果、人々の心は荒廃しきっているのではないか?報道される情報だけでは事の真意は分からないが、大統領選を通して選ばれるべき側も、選ぶ側も、良識も理性もない輩が多すぎるようだ。道徳と経済を両立させ、多くの民間企業の礎を築いた渋沢栄一翁であれば、今のアメリカをどのように解説するのか聞いてみたい。



                                                         2020,11,5

         

子供達の読書量

 朝読書を実施している学校では、生徒たちの成績が向上したと数年前の新聞に載っていたのを思い出した。記憶している範囲では、朝の読書を取り入れた後では遅刻する子供が減り、授業中の生徒たちの集中力が付き、生徒間や教師と生徒の会話も増えたとのこと。本を読む習慣のない子供には、読み始めに少し骨が折れるかもしれないが、入り込めば知らない世界が拡がり、夢中になること間違いない。自らの心を耕し、豊かさをもたらしてくれる読書に、この読書週間でどのくらいの子供たちが気付いただろうか。ある国の大統領選挙の報道を見ている限りでは、日本の今の子供達の読書量が、今後の日本の立ち位置を決めるといっても過言ではないと思わされる。


                                                         2020,11,4

         

世代に関係なく努力あるのみ

 朝は涼しいというよりは肌寒い季節となったが、早朝のランニングをするには丁度良い。世間のテレワーク仕事が多くなってから平日のランナーが増えたが、最近は同じ時間帯に見かけるいつものランナー達が減ってきたようだ。気候のせいか、走り始めた目的が達成されたことによるものなのか?これから冬場にかけての早朝ランニングは、目標がなければ妥協したくなるものだ。私が走り始めた最初の年は、ほぼ毎日朝5:30から走り続けたが、12月の朝はまだ暗く、早朝パトロールの警察官に職務質問を受けたこともあった。ヘアバンドにマスク、黒のランニングウエアを着ていれば、怪しく思われても可笑しくないか。内臓脂肪、BMI値、体重すべてにおいて理想値まで戻すことができたのも、若い頃の運動経験が活かされてのこと。毎朝寄る神社の境内には“絶対合格”、“志望校に受かりますように!”の絵札が目立ち始めてきた。一心不乱に目標に向かって努力する経験は、合否以上の価値がある。限界なんてないと信じて、どの世代も前進あるのみ!


                                                         2020,11,3

         

伝える難しさ

 臨床的にはレントゲン診査、視診においても歯を保存することができないと判断しても、患者さんの理解が得られなければ歯を抜くことはできない。極めて当たり前のことである。しかしである。実際の臨床の現場では、状況の説明は行うものの、患者さんの理解・納得までの時間をしっかりと待っているのだろうか?と思われるようなことを耳にすることがある。ドクターからすれば抜歯するしかないとしても、時間に追われているような診療であれば、乱暴な言い方ではあるが、患者さんの考える時間を与える余裕はないのではないか?患者さんの決断が付かなければ本人の納得がいくまで処置を先延ばしにすればよい。とにかく患者さんは歯に関しては素人であり、現状の把握には時間を要する。以前のブログにも書き記したかもしれないが、治療に入るまでは時間を掛けるべきであり、一人のドクターが1日に診察・治療できる人数は5~7人が限度ではなかろうか?


                                                         2020,11,2

         

子供達の読書習慣

 読書週間の今、良書を読まれている方はどのくらいおられるのだろうか?以前、全国大学生活協同組合連合会の調査において、一日の読書時間がゼロと答えた大学生が48%との報告がされていた。大学生がである。何のために大学に進学したのかと問いただしたくなる。「日本の成長基盤をなすものは、その高い学習意欲と読書週間である」と述べた外国の学者がいた。歴史を遡れば、先人の多様な生き方、事例を学んでいるかどうかが、危機を乗り越える上では差が出ることを示している。代表的日本人の一人、上杉鷹山がどうやって藩の財政を立て直したのかなどはそのいい例ではなかろうか?学びに遅いということはない。但し、10代までの学び、読書習慣が思索や精神修養を深める上で重要な役割を果たしていることは間違いない。まとまった時間が取れなくても毎日少しずつ親自身が読書を楽しむ姿を背中で示すことが、読書習慣のない子供達の読書への誘いの第一歩になると信じたい。


                                                         2020,11,1

         

不正咬合は不定愁訴の根本原因!

 神無月の最終日も、子供の姿勢が気になるという親子が来院された。何もこのような書き出しをする必要はないのだが、姿勢の悪さと咬み合わせが関係しているのではないかと考える親御さんが増えてきたということを伝えたいからに他ならない。お子様の診査をすると、正しい嚥下(唾の飲み込み)が出来ず、姿勢は反り腰、呼吸は肩で行う、そして顎に歯が並びきらない叢生状態、頬の張り出しも弱い、まさに顎顔面発育障害の典型例である。当然ではあるが、鼻も慢性的に詰まっている鼻炎状態とのこと。舌を含めた口腔周囲筋の筋肉パターンを正常にし、中顔面の骨格を本来の正しい成長発育できる状態に誘導することで、骨格が大きくなり、歯が顎に収まるようになる。小さな顎に大きな歯が入りきらないのではない。なぜ顎が大きくならないのか?成人において咬み合わせが良くない方も考え方は同じである。なぜ歯並び、咬み合わせが良くないのか?原因があるから結果があるのではないでしょうか?



                                                         2020,10,31

         

精神の拠り所

 コロナ禍の中、不幸なニュースを耳にすることが多くなった。先行きの見えない不安に駆られる、事業の継続が困難、資金繰りがどうにもならない、など理由は様々であろう。以前は10年先を予測して事業計画を立てるなどと言われたものだが、今は1年先すらどうなるか分からない時代になった。鋼のような強靭な精神力があったとしても、どうにもならないこともあろう。しかし今の日本人には、精神の拠り所が無くなってしまっていることが一番の問題ではなかろうか?挨拶をする、社会規範を守るなど人として極めて基本的なことが身に付いていない子供、社会人が多くみられるが、自分を律することのできない人間が多く多くなる原因の一つには、精神の拠り所となる良書を読まなくなっていることが背景にはあるような気がしてならない。多くの良書を読み、時代を超えた価値観に触れ、読書と実践を繰り返すことで、自分の中に自立自助の精神を形成していくことが、生きていく上では必要と考える。


                                                         2020,10,30

         

今こそ“自助論”を!

 読書週間ということで、イギリスの著述家サミュエル・スマイルズの『自助論』をお読みになられたことはありますでしょうか?“天は自ら助る者をく”という有名な言葉がありますが、菅総理は所信表明で「自助・共助・公助」を挙げています。コロナ禍における誰もが大変な状況にありますが、先ずは自助努力の自助が何よりも優先して意識されるべきことでしょう。この“自助論”が書かれた頃、日本では明治維新の頃になりますでしょうか。その頃に読んだ人たちの気持ちになって読んでみると、これから国づくりをしていくんだという気概のようなものも感じとれるのではないでしょうか。本と対話する感覚、良書と言われている本からは多くの学びがありますね。


                                                         2020,10,29

         

お薦めの本?

 今は、読書週間と秋の交通安全週間の真っただ中である。今年の標語は“ラストページまで駆け抜けて”。アクセルを踏み過ぎると場合によっては後悔することになるが、一冊を一気に読み終えた時の達成感は、自分を知らない世界へ誘ってくれる。最近も、気になる本を購入しては読むのであるが、最後まで読んでいない、まさに“積ん読”である。何でも“旬”がある。読みたいと思ったときに一気に読めないのであれば、本を買うのは控えるべきか?本屋の“この秋お薦めの一冊!”とか、ネットで購入したサイトから送られてくる“あなたへお薦めの本”なる誘いにいつもグラッとする今日この頃である。



                                                         2020,10,28

         

水の惑星

 JAXAが13年ぶりに日本人宇宙飛行士を募るという。地球を宇宙から眺めてみたいと最初に思ったのは、私が中学生の時にスペースシャトルが無事大気圏から戻ってくる様子を生中継していた時だ。地球を外から見れる。これは夢ではない!シャトルから降りてくる飛行士をテレビ越しにカメラで写真に収めたりした少年だった。その後、毛利衛さんがNHKのハイビジョンカメラを搭載したスペースシャトルに搭乗し、水の惑星を綺麗な映像で届けてくれたあの時も興奮したものだ。今でも思いは変わらない。まるで永遠の恋人に逢うかのように!



                                                         2020,10,27

         

コンフォートゾーンを抜け出せ!

 プロ野球の新人ドラフト会議が行われ、相思相愛で当たりくじを引いた球団もあれば何年も続けて外れている球団もあったようだ。毎年新人が入団するということは、去る選手もいるわけで、こちらは殆どニュースにはならない。有望選手が必ずしも数年後に球団を代表するような選手になるとは限らず、二軍暮らしで引退するケースは多いと聞く。以前ヤクルトで活躍した宮本慎也選手が自著のなかで、二軍暮らしが長い選手と話をしていたときに、「戦力外を免れることができても“来年こそ頑張ろう”と本気で前を向ける選手は少ない。ほとんどの選手は“助かった。あと1年やれる”と胸をなで下ろすだけだった」と述べていた。何も野球選手に限った話ではない。自分の仕事、勉強を極めようすれば、早くコンフォートゾーンを抜け出し、実現したい自分の姿に向けて、必死になる必要があろう。時間は無限ではない。



                                                         2020,10,26

         

人の付き合い方

 昭和の時代は“向こう三軒両隣”という言葉があるぐらい、ご近所さんともそれなりのお付き合いがあったものだ。宅配便なども留守にしていれば隣家の人に預かって頂くことが当たり前でもあった。いつ頃からだろうか。人との付き合い方が淡泊に感じられるようになってきたのは。衣食住に加えて、医療、交通、情報網なども昭和の頃とは比較にならないほどの世界になっているにも拘らず、人間臭い付き合いが失われてきてはいないか。インターネット、スマホ、IT、そしてマスク社会。人が人としての感性を失ってしまう日が来てしまうのではないか?当医院で診療を受けられる方々との会話はなぜかいつも盛り上がる。人はZoomやオンラインなどではなく、本当はFace to Faceの密な関係を欲しているのであろう。

                                                                 2020,10,25

         

求められる正しい口腔機能の獲得(2)

 以前民放のニュース番組で、病名の付けられない疾患が約15,000種類はあると報道されていた。私自身、整形外科を受診した際に、同じように担当医が病名を“症状に合うものがないので‥‥ということにしておきますね。”と言われた経験がある。それはそうだろう。似たような症状であっても、一人として全く同じ病態なんてことはありえないわけであり、似たようなカテゴリーに含まれれば診断名を付ける、もしくは“‥‥の疑い”ということになろう。怪我が治っても、あるいは怪我がなくても痛みが続く慢性疼痛に悩まされる人が全国で約2,300万人と推計されると21日の日経新聞に掲載されていた。多くの慢性疼痛は治療に終わりが見えず、不安が高まると痛みに敏感になる。動くのを躊躇って身体が固くなり、更に活動が減るなど、悪循環に陥りやすいそうだ。現在いくつかの病院、医療機関では、慢性疼痛の運動療法や認知行動療法を実施しているとのこと。詳しくは新聞をお読みいただきたいが、先日のブログにも記載しましたが、これらの原因不明の痛みの根本原因が、幼少期からの口呼吸や異常嚥下に始まる舌を含めた口腔周囲筋の間違った発育による体幹のねじれにあるとすれば、歯科医は子供達の体幹まで注意深く診査する必要がある。当医院にお越しになられるお子様において、むし歯が主訴の方はほとんどいない。



                                                                 2020,10,24

         

求められる正しい口腔機能の獲得(1)

 正しい呼吸の仕方は?正しい嚥下の仕方は?これらも含めて正しい口腔機能を獲得できている人は全人口の何パーセントいるのだろうか?歯科の対象となる疾病は、う蝕(むし歯)、歯周病、不正咬合etcであるが、舌を含めた口腔周囲筋機能の異常を見過ごしているがために、その結果成人になってから、いや子供においても体幹の歪み、歪みから来る神経圧迫による腕や足腰の痺れ、慢性の凝り、痛みなどで悩まされている方が多いのではないか?原因が分からない病名を不定愁訴と言っているが、実は原因が幼少期の口腔機能の異常だとしたら、それは成人になってからでは原因を突き止めることは出来ないであろう。本日も9歳の男の子が、姿勢が悪いとの主訴でお越しになられた。問診時の顔つきで口腔内の歯列、咬み合わせの状態が想像できてしまう。なぜなら頬の部分、いわゆる中顔面の発達が抑制されているからである。診察において唾液を飲み込んでもらうと、正しい嚥下が出来ていない。不自然な下唇の巻き込みがある。食事の時にはクチャクチャ音がするのではないか?と親御さんに尋ねると、“いつもです!”と驚いた様子。何も驚くことではなく、正しく口腔機能が働いていないからであり、2年間かけて毎日トレーニングを積めさえすれば、呼吸も嚥下も姿勢も良くなり、当然だが体幹も良くなり、立派な大人になるであろう。



                                                                 2020,10,23

         

察する心

 リッツ・カールトンには「お客様のニーズを先読みし、応える」「お客様の問題を自分のものとして受け止め、解決する」などのサービス理念を書いた「ゴールド・スタンダード」がある。サービス業、接客業のお手本とされているが、この一流ホテルのサービス理念や哲学を学ぶユニークな授業を大阪のある小学校で行われている。すると、子供達の心や行動に小さな変化が起きてきたとのこと。相手の気持ちを考えて行動できるようになり、家でも洗い物などを率先して手伝うなどの行動変化がみられたそうだ。相手を思いやる気持ち、察するというのは人間社会で生きていく上では欠かせない要素であり、昨今は特に求められているのではないでしょうか?チームワーク、昨年の今頃聞かれた“One team!”などは、それらの結晶であり、おもてなしの国、日本ならではの美しさを感じる。



                                                                 2020,10,22

         

備えあれば憂いなし

 ニトリルグローブの価格が高騰している。普段はラテックスグローブを惜しみなく使っているのだが、私が使用するサイズの欠品が続き、ニトリルグローブを代用しなければならなくなりそうな状況になっている。当面はストックがあるものの、まさか仕事の必需品であるグローブの購入に不安を覚える日がくるとは想定していなかった。マスクは市場に溢れ出しているが、質の良い医療用のマスクはグローブ同様に購入が難しく、値も張る。消毒用アルコールも然り。これからの季節、インフルエンザも流行り始めるので、事前の備えは十分にしておく必要があろう。但し、購入したくても対象物がなければどうすればよいのか?尚、当医院の備えは万全であるのでご安心あれ!




                                                                 2020,10,21

         

平常心

 平常心を保つ秘訣はなにか?と言われたら皆さんはどのようにお答えになりますか?普段意識しているわけではないが、心が穏やかでないと勉強も仕事も捗らないことは経験上分かっている。重要な決断や判断を下す時などは特に心のバランスが必要だろう。渋沢栄一によれば、自然発生的な逆境はその人にとって試金石になるのであって、「どんなに心を苛立たせても、これは天命なのだからどうしようもない」とあきらめることで平常心を保てるとのこと。人為的な逆境に陥った場合には、多くの場合、自分が引き起こしたことだから、とにかく自分を省みて、悪い点を改める以外に手はないと述べている。どちらにしても、平常心を保つ秘訣は最終的には修身、身を修めるということに尽きるのではないか。


                                                                 2020,10,20

         

原因があるから結果がある

 むし歯でなくても歯が痛くなる?本日お越しになられた患者さんは咬み合せが良くなく、今までに治療をした歯も非常に多い。なぜそこまで歯の治療を繰り返していたのか?それも同じ歯を何度も治療を繰り返してきた上で、箇所によっては抜歯に至っている。歯が悪くなる根本原因が改善されていないからいつまでたっても歯が悪くなる流れを止めることができない。今回もその延長上で歯が痛くなってきている。患者さんには画像を使って状況を伝え、私の臨床経験から得られた資料とスライドを使って説明をさせて頂いた。患者さんの今までの治療履歴と私の診断ストーリーが一致すれば、当医院での根本治療を検討することになるであろう。歯を治療することで良くなることはない。すべての治療は歯の機能を延命をするための処置である。幸いにして一生処置歯が問題なく経過をたどれば喜ばしいが、人工物である以上はそれを望まれては困る。予後に想定される状況まで理解されたうえで治療は受けて頂きたい。



                                                                 2020,10,19

         

マニュアル化

 当医院では歯科衛生士を募集していますが、先日お問い合わせを頂いた歯科衛生士の方から「働かせて頂くうえでマニュアルはあるのでしょうか?」と尋ねられた。マニュアル?マニュアルがなければ行動できないのか!と心の中で叫んでしまったが、自分で考えて、先を見通して仕事をするということができないのかと考えさせられてしまう。一般社会の傾向なのでしょうか?臨機応変に動く、融通を利かすなどというのはあらゆる場面で遭遇するわけであり、マニュアルにはないでしょう。育った環境と言ってしまえばそれまでだが、想像力を働かし、周りの人達とのコミュニケーションを密にして、信頼されながら仕事をしていくことが大切なのではないでしょうか!

                                                                 2020,10,18

         

子供の筋機能トレーニング

 小さなお子様のいる親御様からの問い合わせが多くなっている。主訴は「子供の咬み合わせがきになる」「口が開いている」などである。直ぐに診察できない状況で申し訳ないのだが、当医院を受診されるお子様のこのような主訴が非常に多い。お子様に共通していることは、口呼吸であり、口唇を閉じる力が弱いということ。さらには正しい唾の飲み込みが出来ていない、つまり正しい嚥下が出来ないという機能の問題を抱えているということである。歯列矯正治療が実践された100年以上前から不正咬合の筋機能的な原因は理解されていました。考えるべきアプローチの仕方は“機能”を始めに、“歯”は最後にです。“上顎の拡大は歯ではなく舌のために”一旦上顎が十分に拡大されれば、舌を訓練することで上顎アーチをサポートでき、中顔面の骨格が本来の成長方向に発育します。子供の歯列、咬み合わせを改善するには正しい筋機能のトレーニングです。当医院では、子供達の成長、発達を改善するための習癖の改善を子供自身に自覚させ良い結果を得るための実践的な方法を指導しています。


                                                                 2020,10,17

         

“玉、磨かざれば器を成さず。人、学ばざれば道を知らず。”

 ほば毎月、職場近くの美容院にて髪をカットして頂いているので今月も予約を入れたところ、店のオーナーであるご主人様が事故で骨折をしたため1ヶ月は仕事に戻れないと説明を受けた。詳しい事故の状況は伺っていないが、1ヶ月とは結構なケガであることは間違いない。当方は生まれてこのかた骨折を経験したことがないので、骨折された方の痛みの度合いを想像できないのだが、美容師さんにとって利き腕の骨折だとしたら‥‥。行き付けの美容院があると毎回細かいオーダーを出す必要もなく、非常に楽であると同時に安心感、安定感がある。歯科治療も同様のことが言えて、1,2回の通院で完了する方は稀である。複数回顔を合わせるということは、当医院側に安心感がなければ皆様は足を運んでくれまい。臨床技術、診断力の向上は当たり前のことであるが、人としての磨きを忘れてはいけない。

“玉、磨かざれば器を成さず。人、学ばざれば道を知らず。”


                                                                 2020,10,16

         

緊張感ある感染対策を!

 東京都の新たな新型コロナウィルス感染者数が2日続けて200人台を記録した。一時は二桁台まで減少していただけに、ちょっと気がかりである。ヨーロッパでは第3波の様相を呈しており、アメリカでは大統領が感染する事態になり、世界的な流行が収まる気配はない。感染対策を疎かにするのは論外だが、どれだけ対策をしても起こりうるウィルスの脅威を改めて実感する。朝晩は少し冷え込みもあるので寒暖差でのど、鼻なども何かしら症状も出やすい時期でもあり、今まで以上に体調管理には十分に注意が必要だ。誰も油断はしていないと願いたいが、怖いのは“慣れ”であり、緊張感のある自己管理、日々の生活を心掛けたい。


                                                                 2020,10,15

         

根を養う

 世間には本当に悪事を働く輩がいるもので、日々のニュースでも報道されている。日本の警察の犯人検挙率は以前は世界でもトップだったことを記憶しているが、今はどうなのだろうか?大事なのは検挙率ではなく、なぜ悪事を働く連中が増えているのかということであり、社会が荒廃する根源を正す必要があろう。最近ではコロナ対策の持続化給付金の不正受給が相次いでいるとの報道が目に付く。犯罪グループの中には学生もいて、友人、知人から誘われ不正申請を行い給付金を頂く手口だ。犯罪になると分かっていたのかどうかも含めて、人としての躾け、教育が出来ていないとこうなるという典型的な例ではないでしょうか?不平不満を述べる前に、子供から大人まで、一人ひとりが人としての根を養う意識が求められている。


                                                                 2020,10,14

         

差別

 人種差別だけではない差別が日本にも存在していることが、先の見えない感染症の蔓延によって浮き彫りになってきている。当医院にお越しになられている患者さんとの会話からも、「本当ですか?」と聞き返してしまうような話があった。実家が地方にあるので年末には帰省しようかどうか親と電話で話していたところ、「東京から帰省すると、近隣の人たちが好ましく思わないので、今はまだ帰ってこないほうがいい。実際にコロナに感染していないにも拘らず、東京から息子が帰省してから住みにくくなり転居してしまった家庭があった」とのこと。同様の話は他の患者さんからも聞く。新型コロナウイルスには誰も感染はしたくない。しかし十分に注意したところで感染が起きてしまう可能性はあるのであり、ましてや感染もしていない人を忌み嫌うような言動、行動をとることは、その人の心根が表面化されたに過ぎない。人は自分一人では生きていけないのであり、同じ土地に住まわせていただいていることを心に留め、感謝をもって日々過ごしていくべきであろう。


                                                                 2020,10,13

         

日々の積み重ね

 所用で八戸まで車で出掛けることになり、1泊2日の小旅行をしてきた。久しぶりの青森遠征となったが、いつ行っても東京からは遠い。私が子供頃は東北自動車道も盛岡までしか開通しておらず、その先は国道を通って両親の故郷である秋田・鹿角八幡平まで行ったものだ。今は常磐道の先、三陸沖に沿って高速道路が延伸され、青森、秋田に行く方にとっては選択肢が増え、旅行及び帰省の楽しみが増えたようなものか。浪江、大熊などのインター出口表示とともに高速道路脇にはリアルタイムで計測された放射線量が映し出されている。決して原発事故は過去のものではないと再認識させられる。東日本大震災、台風災害、新型コロナウイルス感染拡大など我々が生きていく環境は厳しさを増してきている。「人は限られた時間しか生きることはできない。限られた命の中で残せるものと言ったら、お金や名声ではなく、日々の積み重ね、生きてきた歴史だと思います。」とはエベレスト女性初頭頂者、田部井淳子さんの言葉だ。素晴らしい!


                                                                 2020,10,12

         

神頼み

 今日は“体育の日”と思った方は昭和生まれか?以前は昭和39年に開催された東京オリンピックを記念して祝日にした日が10月10日である。本来であれば2回目の東京オリンピックが開催され、今頃日本の活躍ぶりに酔いしれていたころか。昨年の今頃は“ One Team!”で日本国中が一つになっていた。来年の今頃はいったいどんな状況を迎えているのだろうか。先のことは誰もわからないし何もわからない。予期せぬことが起こるものだと、新型コロナに教わった。もう十分だ。少しは計画通りに物事を運ばせてくれよと神頼み。


                                                                 2020,10,10

         

名店

 行き付けの中華料理屋が築60年のビル建て替えに伴う退去を要請され、来月一杯で店を閉じることになった。本場の山椒を使った四川麻婆豆腐は絶品であり、美味しいと言われる他の中華料理店の味とは一線を越える。借金をしてまで移転開業する気力はないらしく、惜しい限りである。企業秘密とは知りながらレシピを知りたいものだ。世間には広くは知れ渡っていなくてもこのような名店なるお店が存在し、FBに隠れ家的なお店が紹介されるとスタッフを連れて行きたくなるものだが、美味しい料理には終わりがない。「Go To 」があってもなくても、気の合う仲間、家族と安心して食べに行けるようになることを願うばかりだ。


                                                                 2020,10,9

         

筋肉パターン

 20代後半のお嬢様と、50代後半のお父様が日を前後してお越しになられた。うーん、やっぱりそうか。口腔内写真を比較してみると、お二人とも下の前歯の叢生(歯の重なり)具合が同じなのである。歯並び、咬み合せは遺伝ではなく、筋肉パターンが遺伝するのであって、よくよくお二人を観察してみると、口唇の巻き込み方などは似ている。お父様は長年の肩凝りに悩まされているとのことで、咬み合わせと頸椎との関係を説明させて頂いたが、大分納得されていた様子だ。歯科においては歯を削る、抜歯する、欠損したところを義歯やブリッジで補綴するなどの治療が今まで多く行われてきたが、それは形態の修復を行っているに過ぎない。形態が崩れる原因は機能にあるのであれば、年齢に関係なく機能改善を図ることが優先されるべきである。但し、どこまでの治療を患者さんが望むかは、現状の説明とそこまでに至った原因を説明させて頂いたうえで本人が決めることであり、決して医療者側が決めることではない。治療に入るまでどんなに時間を掛けてもかけ過ぎることはない。



                                                                 2020,10,8

         

自然の恵みと感性

 早朝のランニングには少し肌寒く感じられるようになったが、自宅近くの神社周辺を走っていると、そこはかとなく緩やかに香り始めたキンモクセイが季節の変化に気付かせてくれる。車で通り過ぎるだけでは気付かないちょっとした自然を身近に感じる瞬間である。コロナ禍において地方に移住する人たちが増えているとのこと。コンクリートに囲まれた都会よりも自然豊かな四季を感じるところに行くのだろうか?以前学校の先生が、「雪が解けたらどうなりますか?」という質問を子供たちにしたら、ある生徒が「川の水が増えます!」と答えたところ、立ってなさいと言われたという新聞の記事が載っていたことを記憶している。先生としては水になるという答えを望んでいたらしいが、皆さんはこのやり取りをどう思われますでしょうか?感性豊かに育っているのは先生?生徒?のどちらなのか。都会でも四季を感じないことはないのだが、自然の恵みを身近に感じながら育つ環境は、有形無形に必要なことだろう!



                                                                 2020,10,7

         

小さな幸せ気分

 自宅近くの交差点で右折信号待ちで待機していると、対向車が途切れることなく走ってくるといつまでも曲がることができないので渋滞を引き起こすことがある。ところが今日は違った。対向車線の渋滞が始まりそうだったこともあり、右折ウィンカーを点滅させると対向車が軽くパッシングをして下さり先に行くように譲ってくれた。ハンドルを切りながら軽く会釈と左手でサインを送りいつもと同じ道を走行すると、何となく心地よいドライバーになっていた。その先の横断歩道待ちの人がいたので当たり前ではあるが停車して今度は先を譲る。ちょっとした幸せな気分。人の幸せなんてものは何か遠くにあるものを掴むのではなく、このようなちょっとした良いことの集まりが幸せを形成していくのだろう。どんな時でも心に余裕を持たなければ目の前の幸せを逃してしまう。こんな時だからこそ、一呼吸おいて前に進んで行こうよ!



                                                                 2020,10,6

         

自分勝手

 自分勝手な行動をとっていることに本人は当然気づくことはない。気付くような人であれば、自分勝手な行動はとるまい。人が難しいのは感情があるから?理屈があるから?相手の表情が見えなければ尚更である。“人間は考える葦である”、自然界ではか弱い生き物であるが、思考のできる偉大な生き物である。自分のことが分かっているようで分かっていないこともある。上手くいかないのは周りに原因があるからではない。常に謙虚に自分を見つめながら進むことが必要であろう。なぜなら人生は進歩か退歩しかないから。臨床において難しいのは治療ではなく人間であると思う今日この頃である。



                                                                 2020,10,5

         

向こう三軒両隣

朝の5:30に“ピンポーン”とチャイムが鳴った。“誰?”と思いながらインターホンに出ると“〇〇です。とても大きな虹が出来てますよ!”とのこと。余程知らせたいぐらい立派な虹だったのだろう。勿論当方が早朝出勤することをご存じなので知らせてくれたのであるが、それぐらいの近所付き合いの出来る家庭は私が子供の頃に較べるとすごく減ったのではないか。田舎の親戚から沢山リンゴが届けばお裾分けをしたり、旅行に出かけている間の宅配物を判を押して預かって頂いたりした記憶がある。人との信頼関係は理屈ではない、人間性である。“向こう三軒両隣”なんて言葉はもう死語なのか?個人情報保護なる文言を昨今はよく目にするが、常識良識があれば決めごとなど必要ない。人間性の欠如、人間力の低下に反比例して社会の決めごとが増えていく。“俺ら、そんな村嫌だ~、”なんて歌がありましたよね!

                                                                 2020,10,4

         

子供の成長と正しい呼吸

 当医院に来院されるお子様の主訴で多いのは“むし歯”ではなく“姿勢が悪い”“口呼吸をしている”“落ち着きがない”などである。また、むし歯の治療が必要でお越しになられたお子様であっても、親御さんの話では“姿勢が悪い”“普段から口が開いている”などの相談を受けることが少なくない。数日前にお越しになられた小学生も、とにかく診療台そしてカウンセリングルームにおいても姿勢が悪く、じっとしていることがなかった。本人と親御さんを前にして「〇〇くん、姿勢が悪いね?」と注意すると、親御さんからは「先生、この子はいつも姿勢が悪いんです。〇〇!姿勢を良くしなさい!」と叱りつける有様だ。姿勢が悪いのは、姿勢を悪くしないと辛いから自然と身体がそうなるのであって、叱ったところで治るものではない。当医院のお子様を診ている限りにおいては、ほぼ皆さん口呼吸であり横隔膜を使った正しい鼻呼吸が出来ていない。となれば背筋にも力が入らなくなり猫背になるのは自然なことである。振り返ってみれば、生まれてこのかた正しい呼吸を教わる機会は誰にもなかったのではないか。世の中の疾患の原因の始まりは呼吸にある?




                                                                 2020,10,3

         

不易流行

 「先生、走っていますか?」と全国の主なマラソン大会に参加されていた患者さんに挨拶代わりに聞かれた。新型コロナウイルの感染拡大によって各地のマラソン大会が中止になっているが、私などはマラソン大会参加のために走っているのではないので普段通りである。お酒を飲んだ翌日は二日酔いにならずとも身体は何となくだるい。そんな時こそ普段より距離を走ると、心も身体も爽快になる。ランニング途中すれ違うランナーのウェアーも最近は機能性もデザインも良いものが多い。コロナ太り解消のためか、以前よりランナーが多いのは気のせいではないだろう。自宅周辺をランニングする機会が多いのであるが、何年も走っているとコースにも飽きがくる。最近はスマホを使って参加するオンライン大会なるものがあるそうだ。アプリを使って地図上に自分が走ったコースで絵を描いたりして楽しむランナーもいるとか。マンネリ化は全てにおいて生産性が劣る原因になる。「不易流行」、不易は変わらないこと、流行とは変わること。新しい味わいを求め、取り入れていく流行性こそが、不易の本質であり、芭蕉の境地か。




                                                                 2020,10,2

         

歯医者難民

 “歯医者難民なんです!”とは本日お越しになられた新規患者さんの言葉だ。子供の頃から歯医者通いを続けており、一向に口の中が良くならない。歯を磨いているのに歯医者には“磨けていないね~?”と言われ、毎回歯を削られてきたそうだ。今からでも遅くない。先ずは現状をしっかりと把握して頂くことが治療よりも大事なことであり、歯科医院の役割はそこにあると伝える。歯医者の究極の目標は世の中から歯科医師をなくすことであり、そんな状況を作り出すことが出来たら万人に感謝されることだろう。実際にはむし歯だけでなく、歯が破折したり、咬み合わせや歯並びを改善させたりと、歯医者がすべき仕事は永遠に失われることはないと思うが、口腔は全身への入り口であり、全身疾患とのかかわりが非常に高い領域であることを考えると、歯科の果たすべき役割は今まで以上に残されており、更なる歯科医師の研鑽が求められている。歯医者難民などという言葉は聞きたくない。




                                                                 2020,10,1

         

愚直に

 朝晩は少し肌寒い季節になり、夕方の診療においてもいつの間にか外は暗くなり、空の主役が太陽から月に代わってきたと実感する秋である。今年も残り約3ヶ月となり、新型コロナウイルス感染拡大に翻弄され続けている人間社会であるが、ひと頃に較べると冷静さを取り戻しつつあるように思える。例年に比べるとインフルエンザへの罹患率は1/1000との報道があった。定期メインテナンスでお越しになられている小児科医が仰っていたが、「マスクの装着と手洗いの徹底によって患者さんが激減しました。医院の経営が心配です。」とのこと。世の中から感染症のリスクが減ることは喜ばしいことであるが、まさかそのことによって医院経営に影響が出るとは想定外?のことだったか。ある病院においては看護師の大量離職が問題になり、私立の医学部では年間の授業料が200万値上げされるとのこと。社会の閉塞感を破るにはwithコロナではなく、各々が使命感をもって仕事、学業に取り組むことであろう。直ぐに結果はにはでない。愚直にできることを継続することしか道はあるまい。




                                                                 2020,9,30

         

パラダイムシフト

 公的書類の作成には印鑑の押印箇所がなんと多いことか、改めて思い知った。提出期限が迫る中で印鑑登録書を取りに役所に出掛け、それも個人と法人とそれぞれ異なる役所に出向かなければならない煩わしさ。今まではそうするしかない、そういうものだと思いこみ、時間が掛かってもお上の言う通りに動いてきた。時代は変わりつつある。無駄を省く、手続きの簡略化。大いに賛成である。特に押印が必要となると、場合によっては複数用意し、長期にわたり保管しなければならない。引っ越しの際の手続きの多さにも、経験された方にはお分かりだろう。世の中には悪事を働く輩もいる。手続きの簡略化に伴い、不正の増加も懸念される。罪の程度に拘わらず、道義に反した行いには罰則を適応すべきであり、そのような輩が生まれないような土壌づくりを30年ぐらいの長期展望をもって教育から行う時期に来ている。世界に国造りの見本を示そうではないか!



                                                                 2020,9,28

         

無能な世界の指導者たち

 昨年から今年にかけてオーストラリアで約半年間森林火災が続き、多くの野生動物の命が失われた。背中の毛が焦げたコアラの映像が今も鮮明に残っている。その後も世界各地で森林火災が発生し、米国西部では記録的規模に、ブラジルでは熱帯雨林やパンタナール湿原が今も延焼中とニュースでも報道されている。シベリアの湿原では謎のクレーターが現れ、地下のメタンガスが発生しているとのこと。クジラが数百頭規模で浅瀬に打ち上げられた、数百頭の像が謎の大量死などの報道もある。50年前を遡ってみよう。このような現象は存在したのだろうか?原因は地球温暖化と言ってしまえばそれまでだが、その根源は地球を壊し続けている人間であることは明白な事実であり、それを否定するような政治家いるのであれば、先ずは地球温暖化を食い止めるために即刻辞職、退陣して頂きたい。世界の指導者の皆さん、自分が指導者にふさわしいかどうか、自問自答して頂きたい。



                                                                 2020,9,26

         

秋山真之

 「当医院の予約は電話でのみ受け付けており、メールでの対応は承っておりません」とトップページに載せているのだが、メールでの予約の問い合わせが後を絶たない。極めて小規模な歯科医院でもあり、多数の問い合わせに直ぐには対応こともあるが、直接声を聴いて話をしなければ伝わってこないものがあると考えるからだ。それにしても、メールでの問い合わせの内容文言があまりに酷い。質問なのか、予約を取りたいのか、意味不明の日本語を見る度に、ごく一部の人かもしれないが、日本語力の低下を憂いてしまう。これでは“1日自分の仕事、勉強を怠れば、1日国家の進歩が遅れる”と謳った秋山真之に申し訳ない。今の日本人に足りないのは、全てにおいて緊張感ではあるまいか。



                                                                 2020,9,25

         

肥満と新型コロナ

 ノースカロライナ大学などの研究チームが発表した論文では、肥満傾向にある人は新型コロナウイルスに感染しやすいとのことだ。40万人の患者を調べた結果、肥満でない人に比べて感染するリスクは1.46倍、重症化リスクは1,74倍と高い。肥満は新型コロナウイルスへの感染だけではなく、他の疾患、疾病へのリスクも高くなることから、日頃からの食生活習慣の改善や適度な運動、特に有酸素運動などは積極的に行う必要があろう。コロナ自粛で大人も子供も運動不足傾向にあり、当医院に来院される患者さんの中には?キロも太ったと自己申告されるかたもいらっしゃる。私は早朝のランニングを欠かさず行ってきたが、股関節や足首周りなどの炎症からここ最近は月間のランニング総距離が減っている。年齢に合わせた体力づくりを維持し、将来的には70歳でもボストンマラソン完走を達成できるように準備しておきたい。


                                                                 2020,9,24

         

連休でも感染者数は減った?

 秋の4連休が終わった。幸いにして都の感染者数は減少しているが、休日は検査数が少ないのか?このまま感染者数を低く抑え込むことが継続できれば、経済活動も活気付くというものだろう。新聞でも報道されていたが、一般の方に比べて医療や介護に携わる方の中には、新型コロナウイルス感染拡大阻止という観点から帰省を躊躇った方が多かったようだ。当方もその一人であり、院内スタッフにおいても同様だ。“故郷は遠きにありて思ふもの”とは大袈裟かもしれないが、いつになったら皆が安心して帰省できるのか?マスクの着用、ありとあらゆるところで手指の消毒、手洗いを励行していれば、感染リスクは少ない。気を緩めることなく、最大の注意を払いながら日常を取り戻そう!


                                                                 2020,9,23

         

不愉快な報道

 どうでもいい話題ですが、水泳の日本代表選手が浮気?不倫?とネットで報じられている。国民はそんなことに関心はあるのでしょうか?その現場を捉えようとする輩をパパラッチと称するのでしょうか、そんなことを生業としていることに誇りはあるのかと聞いてみたい。イギリスのダイアナ妃が亡くなられた時は、そのニュース速報に言葉を失ったが、自動車事故の原因が執拗なパパラッチからの追跡を逃れるためにスピードを出したことが原因と報じられたことを記憶されている方も少なくないと思う。なんとも嫌な世の中ではないか。勿論人の道、道徳に反するような行為、行動が褒められるわけではないが、所詮人様のことであり、自分自身が人として恥ずかしくない生き方を顧みることが優先されるべきであろう。最近の報道の在り方には疑問を抱くことが多いと感じるのは私だけか?


                                                                 2020,9,22

         

全ては基本に忠実であれ

 私は幼少の頃から野球を地元の少年野球チームに入って行ってきた。土曜日の午後、日曜日は半日グラウンドで練習を行い、練習の最後のメニューはベースランニングを行うことがルーティンとなっていた。走るのが好きではなかった自分にとってはとにかくベースランニングは嫌であり、しかも疲れた身体でなんで最後に行うのかと、子供ながらに監督のことが嫌になるぐらいだった。しかし走ることは足腰を鍛える基本でもあり、基本を徹底的に教え込む監督の教えは当時はともかく今の私には感謝しかない。キャッチボールにおいても相手の胸に続けて10球投げるまで必ず行い、バント練習においても決まった数を決めるまではバッターボックスから出ることは許されなかった。とにかく“基本に忠実であれ”という教えだ。大人になってからはどうか。日常生活を通して“自分で自分をしつける”という意識があるのは、当時の監督のお陰かも知れない。勿論両親に躾けられたことは言うまでもない。日々をいかに過ごすか?どんな意識で何に配慮し、如何に行うか?それは人生の基本であり根本である。




                                                                 2020,9,21

         

イベントの入場制限緩和

 本日の横浜スタジアムの横浜ー巨人戦では多くの観客がスタンドを埋めていて、発表によれば約13,000が両チームの応援に駆け付けたとのこと。各種イベントの入場制限緩和が4連休とも重なり、行楽地においても観光客が増加し、北海道への航空券は全て完売とニュースでも報道されている。賑わうのは喜ばしいが、やはり新型コロナウイルス感染拡大の不安が付きまとう。当方も年末年始以来、実家には顔を出せていない。高齢の親がいればそうでなくとも体調が気がかりではあるが、万が一自分から感染でもさせたらと思うとまだ出向くわけにはいかない。スマホの画面を通して表情を知ることは出来るが、なんとも切ないものだ。暫くは終息はしないまでも、日々の感染者数は何とか抑え込みたい。第三波に備えて万全の備えを、そして感染予防への更なる意識の向上を図りましょう!



                                                                 2020,9,20

         

体幹の重要性

 体幹トレーニングの甲斐もあり、長年の身体の部分的な凝りも徐々に取れてきたようだ、と少し調子に乗ってリハビリを張り切っていたところ、あばら付近を痛めた。深呼吸をすると筋肉なのか筋膜なのかわからないが痛む。年齢を重ねると、身体のバランスを正常に保つことは容易ではないと実感する。患者様の中には慢性的な肩凝りや片頭痛を抱えている方もお越しになる。「20代の頃から整体治療院に掛かっているが、2,3日するとまた元の状態に戻ってしまう。」という方が本日来院された。当医院は歯科医院であるので口腔内診査は勿論行うのであるが、全身の中の口腔という視点で診察をしなければ、その方の全体像は見えてこない。肩が痛くて雨戸の開閉を出来なかった方が、それを主訴で歯科医院を受診されることは20,30年前では考えられなかった。幼少の頃はちょっとした気にも留めないような姿勢の悪さ、間違った咀嚼の習癖、唇が開いている口呼吸などは、成長発達の早い時点で改善できなければ、当然体幹の歪みに繋がり、身体のフレキシブルさがなくなってくる40代以降に症状を訴えるケースが少なくない。働き盛りにおける体調不良は精神にも影響を及ぼす。見た目の咬み合わせではなく、機能的な咬み合わせの構築が人によっては必要になろう。先ずは自分の状態を知ることが一丁目一番地である。




                                                                 2020,9,19

         

目先に捉われず長い目で見る

 「国民や社会から見て価値を創造する規制改革をやらないといけない」とは河野太郎行革担当大臣の弁。“価値を創造する”という表現を使ったところを評価をしたいが、民間企業においては常に追い求めている理念ではないだろうか。そうでなければ成長・発展は望むべくもなく、目先の利益を求めるようであれば自然に淘汰されるだろうし、現に淘汰されている。仮に政府が多くの規制改革を行ったとしても、その結果が評価されるまでには時間も必要だ。国民が1年や2年で目に見える結果を望むのであれば、それは愚の骨頂であろう。物事には“待つ”ということも同時に必要だ。国が国民に何をしてくれるのかを待つのではなく、国民一人ひとりが国のために国民のために何ができるのかを自分と向き合って考えてみる必要があろう。


                                                                 2020,9,18

         

フラッグストップ

 手を振って電車を停車させるフラッグストップ。日本では考えられない光景がアラスカでは今でも行われている。ツンドラ地帯を通りながらゆっくりとレールを走り、自宅近くに電車が通りかかったら手を大きく振る。気付いた運転手が汽笛を鳴らして合図を送る。ひと昔前の西部劇で見られるようなシーンだ。街中を歩けばコンビニエンスストアを目にする光景が当たり前になった世の中とは隔世の感とでも言うのか。いつの時代においても進化、変革は必要ではあるが、変えてはならない大事なものが人にはある。経済が豊かになっても人々の心が満たされていない今の時代、物質的な満足よりも文化を育てる、感性を働かせる環境が求められてはいないだろうか?


                                                                 2020,9,17

         

日本人の危機管理能力

 新型コロナウイルス感染拡大は終息することなく世界各国で感染者が増え続けている。特にインド、ブラジルでは一日で10万人前後というから制御不能状態と言えよう。日本では一日の感染者数は500人前後に抑えられているという表現が正しいかどうかは別として、自主的な国民のマスク着用や手洗いの徹底がこうした数字になっていることは間違いない。多くの国民は、欧米諸国のような強制的なロックダウンなど行わなくても、日本人が歴史の中で育み、磨いてきた倫理観や道徳、規律を守ろうとする国民性が他国との違いと感じているはずだ。しかし今後は感染の第三波の発生に備え、今までに得た経験値をさらに生かす必要がある。新政権が発足し、スピード感のある行革をすると早速河野大臣は記者会見で述べていたが、いまは国家危機対応が求められている。どこかの国のような町中に監視カメラが設置され、監視社会でないと国の統制が取れないようでは困る。日本人一人ひとりの危機管理能力も試されている。


                                                                 2020,9,16

         

コミュニケーションとデジタル化

 マスク姿にスマホ操作。人間社会はこれからどうなっていくのか?携帯、スマホをはじめとする通信機器は本来コミュニケーションを円滑にするためのものであるが、それらに夢中になるあまり周囲への関心は薄くなり、時には犯罪に利用されたりと、便利さと引き換えに人間社会を蝕む機器になってはいないか?以前のブログに載せたが、人間の心は決してデジタル化にはならない。もし心がデジタルになるのであれば、感性もない、感情もないロボットと何ら変わらない存在にしかならないだろう。社会のデジタル化は必要なことではあるが、人間のコミュニケーションを通信機器に取り替えるべきだという考えは、マルクス・ガブリエルさんが語るように人類にとって悲惨なことになるのではないか。




                                                                 2020,9,15

         

道徳教育

 介護事業サービス会社の社長から、プラスチックグローブのストックが無くなり購入したいのだが、今まで1箱200円だった価格が1,000円になってしまい、どこかで安く購入できないかと相談を受けた。マスクが品薄のときも転売価格が跳ね上がり、世間では困っている人が溢れているのになんてさもしい行為なんだと、日本人として恥ずかしく思ったものだが、そんな人間を作り出している家庭及び学校の道徳教育の在り方を真剣に国民は考えるべきではないか?有史以来、日本人の優れた特性は世界が真似をすることが出来ない“徳”をもった人種だったのではないか?一朝一夕ではどうこうなるものではない。何れは今の子供たちが国を背負う時がやってくる。その時に、日々の生活の中の決断すべき拠り所となるのは“徳”でなければならない。昨年のラグビーワールドカップにおいて世界から称賛されたのは選手だけではなく我々日本人の振る舞いであり、おもてなしの心だった。菅新総理には目先の経済政策だけではなく、中長期にわたる教育改革の骨子をまとめて頂きたい。




                                                                 2020,9,14

         

空港ピアノ

 BS放送の番組“空港ピアノ”をご存知でしょうか?世界各国にある空港のロビーやショップ近くに置いてあるグランドピアノを旅行客や空港で働く関係者が徐にピアノを弾き始めるの様子を固定カメラで撮影している番組です。若い頃はロックバンドの演奏をされていた61歳の男性がショパンの曲を弾いたり、姉妹で旅行にきて帰国便を待っている間に思い出の曲を弾いてみたりと、ちょっとしたエピソードを語って立ち去る実にシンプルな番組だが、見ているこちら側もその場に居るような気にさせてくれる魅力がある。私も子供の頃はピアノを弾いていたのだが、結局あまり好きではなかったのか途中で習うことを辞めてしまった。今では楽譜すらまともに読めない有様だが、子供たちが使っているピアノを先日こっそりと弾いてみたところ、何となく指は鍵盤をそれらしく叩くことが出来た。今は海外旅行もできない情勢だが、次にどこかの国へ行く機会があった時には空港ピアノを弾けるように、今から数十年ぶりに練習をリスタートしようかと真剣に考えている。



                                                                 2020,9,13

         

人は考えたとおりの人間になる

   ある年齢を過ぎて「えっ、お若いですね!」と言われた経験のある御仁は少なくないのではないか。一瞬、若いと言われて嬉しく思う反面、若い人には「若いですね!」とは声を掛けないので、「若いですね!」と言われることは、若くないと言われているようなものだ(笑)。決して捻くれているわけではない。ジェームズ・アレンの著作“人は考えたとおりの人間になる”には私の好きな素敵な文章がある。

 ー清潔な心や考え方は、清潔な習慣を生む。人に聖人と言われている者でも、からだを洗わない者は聖人とはいえない。強く清らかな心を育んだ人間は、病原菌に侵される心配はない。からだを鍛えたいのなら、心を守ることだ。からだを若がえらせたいのなら、心を美しくすることだ。悪意に満ちた考え、羨望、落胆、失望などの心は、すべてからだから健康と美しさを奪うものである。気むずかしい顔は、偶然そういう表情になったのではなく、気むずかしいものの考え方をし続けたからである。顔に刻まれたシワは、心の中のおろかな考え、不要な激情や自負が作り上げたものである。-

 そういえば、同窓会で会った仲間には当時と変わらない表情で話しかけてきた級友がいた。そんな友は20数年前も輝いてたのを思い出す。彼女に私はどのように映ったのか聞いてみたいものだ。



                                                                 2020,9,12

         

チェックアップと行動変容

   「10年ぐらい歯科には掛かっていないので心配です。妻に勧められて来ました。」今日の新患の第一声である。年齢は30代後半。当医院における通常の基本検査を行い、現状について、ここまでに至った推測される原因、及び今後必要と思われる治療についてプレゼンをさせて頂いた。「ここまで詳しく自分の口の中を知ることは今までなかったです。ショックではありますが、妻に言われて受診して良かったです!」。当医院としてはなにも治療は行っていないにも拘わらずある程度満足して頂けたのではなかと安堵の気持ちと、今後の患者さんの意識改革、行動変容に期待したい。歯科医院は患者さんの口腔ケア、口腔への意識を高める場であることは言ううまでもない。暫く歯科のチェックアップから遠ざかっちる方は、そろそろご自身の口腔内の現状を見てみてはどうでしょうか?



                                                                 2020,9,11

         

機能的歯列矯正治療

   我々は日々同じような仕事をしているが、決して同じではない。歯科医院を訪れる患者さんの多くは口腔内にトラブルが生じて来院されるが、むし歯一つとっても決して同じではない。原因も様々である。今日の患者さんの一言は非常に印象深い。「先生、今治療中の左下の奥歯ですけど、数日前に顎を動かして咬んだ時に歯が欠けた感じがしたのですが大丈夫でしょうか?」というもの。臨床医としての“勘”を働かす場面だ。歯をよくよく観察することで、歯が悪くなる原因を推測することは出来るが、チェアサイドで顎の様々な動きを再現させて頂いても、睡眠時の歯ぎしりを100%再現することは出来ない。しかし、歯が欠けるような上下の歯を咬み合わせる箇所が必ずあるはずであり、それが不正咬合による歯列の乱れ、咬み合わせの不均衡であるならば、根本的には咬み合わせの治療(矯正治療を含む)が必要となろう。歯列矯正治療は機能改善のために行うものであり、決して見栄えをよくするための治療ではありません。機能が改善すれば、当たり前ですが口元はより美しくなり、姿勢も含めた体幹にも影響は及びます。



                                                                 2020,9,10

         

原辰徳監督

   小学生4年生から少年野球チームに参加し、日曜日になると地区の26チームとの試合に全力投球をしていた少年小僧にとって、当時はプロ野球選手になるのが夢だった。巨人ファンの私にとって王貞治選手は勿論、史上最強の5番打者と言われた柳田選手は憧れの選手で、背番号「36」を自分の背番号に選んだものだ。中学校は新設で先輩もいない野球部ではあったがメンバーに恵まれ3年生を相手に負けることもない強いチームで、このまま全員が同じ高校に進学したら甲子園も夢ではないと夢見たものだ。当時新人選手として巨人軍に入団した原辰徳選手が、今日の試合に勝って監督として球団最高勝利数に並んだとのこと。私もそれだけ歳を重ねたということになるのだが、硬式野球ボールを握ると幾つになってもユニフォーム姿で仲間と練習をしたことを思い出す。原監督の東海大相模時代からを知る者にとって、指揮官となって益々人間の器を大きくしていく姿は単なる憧れではなく手本である。



                                                                 2020,9,9

         

自分の歯で一生過ごすためには

   初診でお越しになられた患者さんの主訴は「一生自分の歯で過ごしたいので、これ以上むし歯で治療を繰り返したくない」とのこと。さらに、「今まで数か所むし歯の治療を受けて銀歯を入れているのだが、本当に歯を削る必要があったのか?」と歯科治療そのものに不信感が募っているように見受けられた。このような場合、先ずはなぜむし歯になるのか?どのようなむし歯ならば削る必要があるのか?といった基本的なことを理解して頂くことが必要である。そのためにはチェサイド(診療台)における説明だけでは素人である患者さんはしっかりと理解できないのではないか?ならば場所を変えて納得いくまでプレゼンをさせて頂き、理解を深めることが治療よりも優先されるべきである。特別なことではなく、極めて当たり前のことである。但し、患者さんの中には、「そのような詳しい説明は要らないから早く治療をして欲しい」という方も以前はいらっしゃった。そのような方は、歯が悪くなったら治療を受けに歯科医院にいくタイプであり、それでは一向に口腔内は良くならない。歯医者の役目は歯を削ることではなく、削らない環境を整えることであり、患者さんの理解という協力がなければ良好な結果は得られない。


                                                                 2020,9,8

         

気概のある政治家

   自民党総裁選が3人の候補者で競われているが、どの候補者も日本の教育の在り方については全く語ることもなく、マスコミも候補者の失言を取るような質問に終始しているように思えてしまうのは私だけか?自民党の総裁=総理大臣になるわけだから、国の長期的目標、あるべき姿を語り、更には短期、中期の国家目標を語るぐらいのことがなぜできないのか?新型コロナウイルス感染拡大に関する対応は、どの候補者も似たり寄ったりで、いままで同様取り組むべきことであるから今更聞くまでもあるまい。道徳、倫理観を持ち、国を本当に良くするという気概を持った政治家がなぜ出てこない。日本は決して安全・安泰の国ではない。ただ、多くの国民は日本は安全だと思い込んでいるに過ぎない。



                                                                 2020,9,7

         

日本の危機が今そこに!

   マスクの転売が解禁になったと以前報道されたが、皆さんはどう思われますか?聞こえは悪いが、転売=金稼ぎ?のように思えてしまうのだが、転売解禁による世間へのメリットがあるのでしょうか。新型コロナウイルス感染拡大初期の頃、当医院でも普段使用しているLevel3マスクの購入が出来なくなり、ネット販売で高値の商品を仕入れたことがあった。人が困っているときに小金を稼ごうとしている輩の精神性がここまで貧しいかと憤慨したものだ。台風10号の接近によって養生テープが品薄になっている折、ネット上では値が釣り上げられているとの報道もある。浅ましい大人を今更教育もできまい。10年、20年、30年かけて国の根幹を担う人材を今の子供達の教育から見直し、精神性の高い道徳教育を徹底するより方法はないのではないか。人の成長はデジタルではない。いつの時代も身体と精神の発達はアナログでしかない。それを分かっていない大人たちが今の日本を背負っているところに日本の危機があるように思う。



                                                                 2020,9,6

         

健康維持のために!

   新型コロナウイルス感染拡大によって仕事がテレワークになった患者さんは多い。そんな中、身体つきが一回り大きくなった?と思われる方もちらほら見受けられる。「8キロも増えちゃいました~!」という方もいらっしゃれば、「腹が出てきたよ先生!ヤバいよ!」なんて方も。治療に入る前の会話が盛り上がるのは当医院では当たり前の光景なのだが、「先生はいつも身体が引き締まっていますね。何かされているのですか?」と聞かれることは少なくない。適度なランニングを継続していることで、ベスト体重と体脂肪率はそれなりにキープはしている。健康にかかわる仕事に携わっている以上、不健康な身体では示しがつくまい。目方が増えた皆様方、先ずはランニングシューズを購入するところから始めてみませんか!継続は健康なり!

                                                                 2020,9,5

         

子育て

   子育てにおいて正解はないのかも知れないが、子供のご機嫌ばかりとる親御さんの態度には辟易してしまう。案の定子供の態度を見ていると、待合室の親子の会話でも我が儘であり、診療室でも挨拶一つまともにでいない。私もまだ子育ての最中であるので偉そうなことは言えないのだが、親の生き方の姿勢が子供に反映されていると言うのは言い過ぎだろうか?子供には罪はないのだが、このまま成人を迎えた時にはどのような人になっているのかと心配というよりも不安が募ってしまう。子供の躾けは親が行うものであり、学校や塾が代われるものではない。親が子供にもっと向き合う時間と姿勢が必要なのではないか。当医院では挨拶もできない子供は、注意したうえで帰らせることもある。なぜなら、挨拶は人としての基本であり、基本が出来ていなければ、その先に積み重ねるものがないからだ。そういえば以前、ガムを噛みながら診療室に入ってきた高校生がいた。咬み合わせの相談をしたいということであったが、呆れたことに問診の最中にもクチャクチャガムを噛んでいたので、伝えるべきことをお話しして帰って頂いたことがある。子供がそんな態度をとって診療室に入ってきたことを母親は知らないのかもしれないが、支払った初診料を返して欲しいと電話が鳴った。呆れた親子には手を付けられない。

                                                                 2020,9,4

         

歯科治療における後悔

   当医院にお越しになられる患者さんには必ずお伝えすることですが、歯を治療することで歯が良くなることはありません。先ずは、歯が良くなるという定義は何か?歯が元の状態になるという意味では治療を行っても元には戻らない。であれば、治療として考えるべきことは、治療をすることで歯の延命を図ることができるかどうか?ではないか。極めて当たり前のことなのだが、どうもその点を歯科医療従事者も患者サイドも理解できていないのではないかと思われることがある。むし歯だから直ぐに削って治療をする、なんてことは今の時代どこの歯科医院でもしていないことを祈りたい。治療が必要であれば現状を知り、なぜそのような状況になったかも理解できるように歯科医もしくは歯科衛生士から説明を受け、疑問があれば納得できるまで質問を行い、治療の内容についてしっかりと理解をしたうえで、しかるべき治療を受けることが後悔しない近道ではないか。

                                                                 2020,9,3

         

無限の可能性

   15年使い続けている電子レンジが壊れたので買い替えのため量販店に足を運んだ。値段もさることながら付属機能もピンからキリまである。日頃使用する機会が多いのは家内であるから、何を優先して購入するかは彼女に任せるにしても、各メーカーの特徴の違いは売り場のパンフレットに目を通してみても正直よく分からない。候補を二つに絞り込んだところで店員に説明を請うたところ、S社は揚げ物に、P社は解凍の仕方にそれぞれフォーカスを当てて製品化されているとのこと。多機能であっても普段使うモードはある程度決まっているのだから、使いやすければ当方としてはどちらでもよい。多機能・・・?ノーベル賞を受賞した湯川秀樹博士は“人間は脳の3%の細胞しか使っていない”と仰っていたそうだ。平凡な日常を過ごしていくには特別な機能は必要ではないが、たまには脳を活性化させて、眠っている自分の気付いていない潜在能力を引き出してみようではないか!幾つになっても無限の可能性があると信じたい。


                                                                 2020,9,2

         

睡眠不足

   異常な暑さが続いていただけに、朝の気温が30℃でも幾分涼しく感じる。今朝は天気予報のキャスターも23,8度で幾分秋めいた朝を迎えていますとのご挨拶。今日から長月。今年は新型コロナウイルス感染症によって社会が混乱し、今までの当たり前の日常生活を送れなくなっているうえに異常気象による各地の被害も重なり、例年とは違う一年となってしまっている。大人でも精神的、体力的に疲労が蓄積されてきているというのに、子供達の健康は果たしてどうなのか?当医院の子供達の中には、新型コロナウイルスへの感染が怖くて学校に行きたくない、一日中手洗いをしているという子もいる。不安は尽きないが、子供達の睡眠障害が問題になりつつある。慢性的な睡眠不足は免疫力の低下にもつながり生活習慣病の罹患リスクを高める。質の良い睡眠をとり、心身の健康を取り戻す秋の夜長にして頂きたい。

  


                                                                 2020,9,1

         

一期一会

   半年前までは「オンライン会議」を行っている職場は極めて限定的であったと思われるが、今ではオンライン会議どころか「オンライン飲み会」「テレワーク」「リモート」なる言葉が定着してしまった感がある。IT技術革新の賜といえるのだろうが、Face to Faceのコミュニケーションを完全に凌駕するものにはならないのではないか。なぜならその場の雰囲気を察したり、微妙なニュアンスの違いなどを正確に把握する場面などでは不慣れなせいかしっくりとしない。都市部への一極集中を避けるため、また地方創生の旗印のもと企業の首都圏からの転出も一部では始まっているようではあるが、“With コロナ”や“新しい生活様式”などと称しているところに何となくしっくりとこない違和感を覚えている国民は多いのではないでしょうか。「目は口ほどにものを言う」という諺は、出会いの中でのみ通用する表現です。こういう時期だからこそ、人との出会いの尊さを改めて考える機会にしたい。

  


                                                                 2020,8,31

         

医者の不養生

   仕事柄なのか、最近は背中の張りを感じることが多くなった。歯医者だからと言って決して理想的な歯並び、咬み合わせをしているとは限らないが、私もその一人である。卒後最初に勤務した職場の院長先生が、咬み合わせと全身との関係について長年研究されている第一人者であったこともあり、初診の問診時には患者さんの姿勢から中顔面の張り出し、口唇の癖などを診る習慣が身についている。先日も明らかに首や肩が凝っていことを疑わせる咬み合わせの方が来院された。咬み合わせと姿勢のバランスが乱れたとしても若い頃には身体の柔軟性もあり、それほど不調を訴えることも多くはないかもしれない。問題は、症状が出る前にできる予防的なトレーニングを取り入れる必要性を症状もない目の前の患者さんに理解して頂くことだ。世の中には絶対というものはないが、仮説も含めたストーリーが立てられるかどうかではないか?咬み合わせの治療を行っている張本人が、ちょっとした咬み合わせの狂いで身体の張りを覚えているようでは、医者の不養生と言われても仕方がないか?


  


                                                                 2020,8,30

         

働き方改革

   優れた企業経営とはどういう形態を言うのか?と問われたら、世の経営者の方々は何とお答えになるのだろうか?歯科医院を経営する私ならば、「スタッフと契約や金銭面だけで繋がっている関係ではなく、心と心が繋がる関係を大切にすることによって、職場が活気で満ち溢れている、その結果業績が伸び続けること」と迷わず言わせていただく。働く職場の規模に関わらず、多くの組織はまず仕組みを作り、ルールを作って人を動かそうとしているように思える。人に何か指示されて動くのは気分としてはいいものではない。本来人は働かされたくはなく、むしろ働きたいと考えているのであって、決められたことだけをすることに働き甲斐は感じない。当医院にも歯科衛生士の見学者はお越しになるが、何のために働いているのかご自身で分かっていない方が多いように見受けられる。経営者の共通の悩みなのか?どのような職場であっても、働く人の役割は組織のトップが決めるが、その役割をその人がどう働くかは決めない。なぜなら、個々人のもつ特性は違うのであり、優れた潜在能力を思う存分発揮して頂きたいからだ。

  


                                                                 2020,8,29

         

子供の褒め方

   当医院に咬み合わせのトレーニングでお越しになる親子と接していると、診療室での親子の会話で普段どのような親子関係なのかを垣間見ることがある。ちょっとしたことで子供を怒り始める親がいる一方で、地道にトレーニングをこなしていること褒める親もいる。どちらが子供の笑顔を引き出すかは言うまでもない。育児の悩みを長年研究しているスタンフォード大学の心理学の教授Carol  S. Dweckの書籍には、子供の褒め方のコツが紹介されている。詳しくお知りになりたい方は原著Mindsetをお読みいただきたいが、一例を紹介させていただくと、ある難しい課題を2つのグループに分けた子供たちにやらせたところ、ほとんどの生徒がまずまずの成績を修めた。終わった後で、ほめ言葉をかけたということだが、一つのグループにはその子達の能力をほめた。「まあ、8問正解よ。よく出来たわ。頭がいいのね。」といった具合。もう一方のグループでは、その子達の努力をほめた。「まあ、8問正解よ。よく出来たわ。頑張ったのね」といった具合。実験はさらに続くのだが、頭の良さを褒めるのではなく、子供が努力したことを褒めると、子供は努力することに喜びを感じるようになるとのことだ。子育てをしているようで、実は親が人として育てられているようだ。

  


                                                                 2020,8,28

         

人生のマネジメント

   1日24時間は誰もが平等に与えられているにもかかわらず、その時間の過ごし方によって人生は様々な結果を辿る。ある程度の年齢に達した方であれば、人によっては後悔する部分もあるかも知れないし、そうではなく信念をもって生きてきて良かったと更にエンジン全開で突き進んでいく現在進行形の人生を送られている方もいらっしゃることでしょう。臨床医と同時に歯科医院の経営者でもある私は、勤務医時代からあるべき歯科医療を追求してきたつもりだ。そこに歯科保険医療制度が良い悪いは存在せず、あくまで口腔の健康維持、歯の予後をよくするためには何がベストな方法なのかを考えてきた。考えというものは、何かしらの目的と結びつかない限り、時間はかかるかも知れないが実のある成果をあげられないものだ。人生において目的がないことは、目的地もなく大海を彷徨う船のようなものだ。遅すぎるということはない。目的や目標を心の中に描き、その成就、達成に向けて愚直に努力すべきである。

  


                                                                 2020,8,27

         

秋刀魚を食して・・てん

   秋の味覚“秋刀魚”の水揚げ量が激減していると数年前から報道されているが、今年は更に獲れないとのこと。毎年気仙沼から運ばれてくる“目黒のサンマ祭り”はこのコロナ禍でもあり開催はされないのだろうか。子供が小さい頃には「目黒のサンマ」を読んでは秋刀魚を美味しく食べていたのを思い出す。スーパーで2匹300円とお手頃価格で売っていたので、去年の冷凍物とは分かっていたが買ってみた。やはり美味い!酢橘と大根おろしで頂く秋刀魚は格別だ。秋田名物ハタハタも数年前には記録的な不漁となり、その後の漁業組合の禁漁期間の取り決めなどで昨今では徐々に回復してきているとのこと。地球温暖化の影響なのか、資源の乱獲なのか?何れにしても人間として節度ある行動が求められる。



                                                                 2020,8,26

         

様々な人生との出逢い

   「本を読む人は1000人の生き方を知ることができるが、そうでない人は1人の生き方しかできない」とは誰の言葉だったか?読書の素晴らしさは気が付くと別の時代を生きた人や他の国を生きた人の人生も追体験できることだと、読書家の諸氏にはお分かりだろう。患者さんとは診療中にいろいろな話題で話がよく盛り上がり、治療時間に余裕がなくなるなんてことも当医院ではよくあることだが、殊更最近読んだお勧めの本などの話になると、当方もそうなのだが患者さんは診療台で横になった姿勢で延々と語り続ける方も中にはいらっしゃる。勿論お互い波長が合わなければそのような機会にも恵まれないのだが、幸い当医院に通院されている皆様は個性的でもあり人生経験豊富な方、外国生活が長い方、夢に向かった邁進されている方など、様々な生き方をされている一端を覗かせて頂いている。お陰様で日々の診療は緊張感の中にも充実感に満たされている。それぞれが自分が正しいと信じた道を進んでいる姿は美しい。



                                                                 2020,8,25

         

若い後期高齢者

   年齢より若く見える?老けて見える?は容姿で判断しているのか、それともその人のバイタリティーの度合いで測っているのか?元気溌剌としているのは何も若者だけではない。若くても覇気のない人間は世の中に多く見られる一方で、60歳の還暦や70歳の古希、そして77歳の喜寿を過ぎても若々しい方も最近は多い。今日も84歳の紳士というのが相応しい方が定期検診にお越しになられた。“いやー、コロナには参っちゃうよな!だって年寄りは感染すると重症化するから遠出はするなって周りが煩いんだよ~!” とても80歳を超えた後期高齢者とは思えないが、後期高齢者のイメージを勝手に創っていたこちらの姿勢を唯々反省するばかりだ。電車を乗り継いで1時間ぐらいは掛かるにも拘わらず、またこの猛暑をまったく苦にすることもなく診療室への階段を上ってくる姿は、勤務医時代に初めてお会いした22年前と何ら変わらない。



                                                                 2020,8,24

         

非常用セットの用意

   携帯の気象警報に雷雨警報レベル3との表示。10分後ぐらいから雷音と稲妻が走った。いつ以来だろうか、空を割くような雷音が凄い。間違いなく近くに雷が落ちたであろう地響きまで伝わってきた。強烈なシャワーで家屋や車の汚れが洗い流されそうだと言っている場合はまだいいかもしれないが、この天候が何時間も続けば線状降水帯が停滞して被害がでるのと同様な状況になりかねない。災害への日頃からの備えと口で言うのは簡単だが、突如として牙をむく自然の力には無力を感じる。東日本大震災の後に用意した避難セットを久しぶりに確認したが、賞味期限切れの缶詰め、飲用水がそのままになっていた。意識と行動を共に難なく出来るような人にいつになったらできるようになるのだろうか.



                                                                 2020,8,23

         

小さな思いやり

  人に道を譲って嫌な思いをされた経験のある方はまずいらっしゃらないのではないか。誰に教わったわけでもなく、自然と先方のことを考える習慣が身に付いていれば身体が反応するだけのことである。そのちょっとしたことで、一日が幸せな気分で過ごせたりすることもあろう。電車の優先席はいつ頃設けられたのか忘れてしまったが、どうも優先席の存在を勘違いしている輩に遭遇した。松葉杖を突いた男性が乗車してきたところ、シートに座っている学生らしき若者たちから聞こえてきた会話は“ここは優先席ではないからどかなくても大丈夫だよ”。幸いにしてその仲間の一人が席を譲っていたが、どうしたらそこまで非常識な人間になれるのか理解できない。お互いの小さな思いやりの積み重ねが温かいコミュニティを作っていく。家庭教育、学校教育、社会教育、教育とは思いやりを育むこと以外にない。         


                                                                 2020,8,22

         

歯科治療は“密”

   猛暑が続く中、今日も予約患者の皆様はキャンセルなくお越しになられた。隣の駅からとはいえ83歳のご婦人には“無理をなさらないでくださいね”とお会いした途端に言葉がでた。患者さん曰く、“だってキャンセルした次の予約が取りにくいでしょ!”。申し訳ない限りである。こちらもドクター一人で診療しているので、一日及び一ヶ月で診察、治療できる枠には限界があるのが正直なところである。若い先生を採用して育てることも考えてはいるが、ある患者さんからは“先生が増えても私は金澤先生が診てよ!”と言われる。歯科治療は極めて細かい処置の連続であり、こちらのちょっとした指の動きすら患者さんは敏感に感じとる繊細さを求められる。言ってみれば極めて“密”な医療である。ただより大事なのは、歯医者は歯を診ているのではなく、人を診ているという基本姿勢だろう!

                                     2020,8,21

         

酷暑とコロナ禍

   診療室の窓を喚起のために一斉に開けると熱風が入り込んでくる。異常な暑さなんてものではない。予想最高気温よりも間違いなく体感温度は高く、体温より高い気温は命の危険を感じる。私が幼少の頃は窓を開けて風鈴の音を聞きながら昼寝をして過ごした記憶もあるが、今では風鈴そのものを目にすることもなく、冷房がなければ息苦しさを感じる日々である。熱中症という言葉も昔は聞かなかったと思うのは私の思い違いか?夏の注意報では日射病や光化学スモッグ注意報を耳にした記憶があるが、何れにしても年々酷くなる異常気象に社会も人間も追いついていけなくなるぐらいだ。これから毎年この様な異常な夏が続くのかと思うと、どこまで暑さ対策をすればよいのか?ゴールが見通せないのは新型コロナウイルスと同じか。

                                     2020,8,20

         

車検とメンテナンス

  車を車検整備に預けたが、状態を良く維持管理するには結構費用は掛かるものだと車検時にはいつも思う。車の場合は部品交換をすれば新しくなるが、我々の身体は同じようにはいかない。肩が痛いから交換するか?とはいかないのである。健康維持のために体幹トレーニングを日常生活に取り入れている方も最近は多いかもしれないが、正しいトレーニングは意外と難しい。書店のトレーニング本を扱っている書棚には選択に迷うほどの数の本が並んでいる。これだけ実践できれば医者要らずかと思わされた御仁もおられるのではないか?そして歯の場合はであるが‥‥。とことん悪くなってからでは歯を抜くことしかできない。抜歯後は治療としては義歯を含めた選択をすることになるのだが、決して元の良い状態と同じになるわけではない。先ずはご自身の口腔内の状態確認を車検同様に行ってみては如何でしょうか!

                                     2020,8,19

         

世界は運命共同体

  日本船籍の大型貨物船がインド洋の島国モーリシャス沖で座礁して船体から1000トン以上の原油が流出し、半分は回収できたとの報道はあるが、果たして本当なのか?サンゴ礁も広がる海域で発生した人為的事故の責任を誰がとろうと元の状態には戻るまい。あくまで報道ネタではあるが、本来の航路からは大きく旋回して陸に近づいているとのこと。その理由がWi-Fiを繋げたかったから。これが本当であるならば、ネット社会の功罪なのか?世界はもはや運命共同体である。遠い国の出来事ではなく、家の庭で起きた出来事と捉え関心を持ち続けなければならない。地球が破滅の方向へ向かわないように!

                                     2020,8,18

         

天然の幸せ

  信州まで足を運ぶことはできないので、比較的近場の大山に出掛けてみた。この猛暑の中、涼を求めて多くの観光客と登山客がケーブルカーの駅に集まっていたが、意を決して歩いて登ることにした。さすがに湿気と暑さに身体は辛く、段差違いの自然の階段に脚は棒のようになった。その分湧き出ている大山の天然水が美味しく感じられ、下界とは違う世界にリモートでは味わえない一時の幸福感を覚えた。人間はやはり五感を働かさなければ・・・。下山はケーブルカーを使用したが、周囲のマスク姿にリュックからマスクを取り出す自分がいた。


                                     2020,8,17

         

国の再生

  この時期のトレッキングは山の緑と青空に恵まれると最高の爽快感に包まれる。白馬の稜線を家族で何度も歩いたが、今年はコロナの影響であの別天地には行けない。ヤマリンドウやニッコウキスゲ(この時期は遅いかもしれないが)も途中で迎えてくれる。小学校の国語の教科書に載っていた白馬の雪渓も年々縮小しているように見えるのは気のせいか?本場スイスアルプスのアレッチ氷河も学生の頃に見た迫力は幾分なくなっている。今年の夏はいつも以上に猛暑、酷暑だ!地球温暖化、新型コロナウイルス感染拡大、無能な世界のリーダー。平穏な日々を取り戻すには時間が掛かる。5年、10年先を見据えた教育、個々人の人間力のアップを愚直に行うしか国の再生はないだろう!


                                     2020,8,16

         

命に勝るものはない

   “ガラスのうさぎ”“黒い雨”などは小学生の夏休みの推薦図書でもあったので読んだ記憶がある。学生時代にバックパッカーでヨーロッパを旅した際に、ミュンヘン郊外にあるDachau収容所を訪れたことがあるが、そこに立つだけで戦争の悲惨さ、無慈悲さを感じたものだ。博物館内に展示されている当時の写真などは目を背けたくなるものもあり、同じ人間がそこまで残忍になれるものかと来館者は皆思っていたことだろう。「戦争は二度としてはいけない」と子供のころから当たり前に耳にしてきたが、昨今の世界情勢及び我が国を取り巻く環境は緊迫の度を増してきている。田中芳樹さんの「銀河英雄伝説」には、“人間の社会には思想の潮流が二つある。命以上の価値が存在する、という説と、命に勝るものはない、という説と。人は戦いを始めるときには前者を口実にし、戦いをやめるときには後者を理由にする。それを何百年、何千年も続けてきた・・・この先、何千年もそうなんだろうか”とある。世界各国の首脳たちにこの件を読ませたい。


                                     2020,8,15

         

地球人の良識

   九州各地で豪雨被害に見舞われたが、最近ではその後について報道されることもなくなり、被害地区外の国民の関心は薄れつつあるのではないか?家屋のなかまで泥水が流れ込んだ家では盆休みも返上で復旧作業が行われているだろうし、家屋を失った被災者の苦悩を思うと、安息が罪悪にすら感じてしまう。被害は九州エリアだけではなく全国規模で起きているのがここ数年の傾向であり、“数十年に一度の豪雨”という表現も毎年耳にしている。異常気象にこのコロナ禍では、いつになったら今までの平穏な日常が戻ってくるのだろうか?また、国境を越えて協力し合うべき緊急事態にも拘わらず、大国の覇権争いをしているようでは、この地球そのものが消滅してしまうことも現実味を帯びてくる。今この危機を乗り越えるためには国内外を問わず、地球人の良識ある考え方、行動が求められている。

                                     2020,8,14

         

盆の入り

   今日は盆の入り。慰霊行事などを通して、先祖から子や孫までの時間軸を辿りながら家族のつながりを確かめ合う時だ。子供の頃実家では玄関先で火を焚いてご先祖様を迎えることが私の役目だった。しかし今年はコロナ禍で実家に帰省することもままならない。オンライン帰省を行ってみたところ、祖父母にとっては物珍しさも手伝って孫との対面に笑顔で会話も弾んだ。これが新しい生活様式なのか?オンラインではお線香はあげられない。お線香に火をつけると立ち上る煙があの世とこの世をつなぐ橋渡しになるともいわれている。お盆の過ごし方も様々であろうが、年に一度ぐらいは身内が集ってご先祖様に手を合わせたい。

                                     2020,8,13

         

思考の整理学

   外山滋比古さんが亡くなられた。学生の頃本屋で立ち読みをして無性に一気読みをしたくなり、神田の喫茶店“さぼーる”で「思考の整理学」を読んだことが懐かしい。久しぶりに再読してみた。大学入学で躓き親に迷惑を掛けながら浪人生活を送っていた頃、自分の考え方と違う人の意見を聞くと、自信を失っていた自分に更に自信を持てなくなり、精神的にタフになれなかった。“先生と教科書に引っ張られて勉強する。自主学習という言葉こそあるけれども、独力で知識を得るのではない。いわばグライダーのようなものだ。自力では飛び上がることができない。“。外山さんのこの文面に心が揺さぶられた。96歳になっても知的好奇心を失わなかった生き方は素敵である。ご冥福をお祈りいたします。


                                     2020,8,12

         

求められるリーダーシップ

   今日も異常に蒸し暑い一日だった。東京では体感温度が43度を超えていたとの報道もあるぐらい危険な暑さである。天気予報によると明日はさらに暑くなるとのこと。新型コロナウイルス感染拡大、線状降水帯による川の決壊、そして猛暑ときたら、本当に逃げ場がない。20~30年前では考えられなかった異常気象が年々度を増してきている。そしてこの夏は、冬の季語にも使われる“マスク”の着用が欠かせない緊急事態である。航海では船長の判断、家庭では一家の主が方向性を決めなければ一家はまとまらない。同様に国家の緊急事態に対しては、トップの説得力のあるリーダーシップが求められる。平時であれば適切な表現ではないかも知れないが、どなたが総理大臣であってもことは済む。東日本大震災による原発の放射能漏れ、現況の新型コロナウイルス感染拡大の緊急事態に対応するには、もはや言葉遊びをしているような政治家では国を正しい方向に導くことはできまい。「幅広く募ったが、募集はしていない」と平然と言ってのけるような総理では、誰からも信を得ることは難しいだろう。

                                     2020,8,10

         

戦後75年

   戦後75年も経つと、戦争の記憶というよりも歴史上の出来事として記憶している感覚の方がほとんどである。今更言うまでもないが8月9日は長崎に原爆が投下された日である。毎年夏の甲子園で行われている全国高校野球大会において正午のサイレンに合わせて黙とうが行われるのが例年の行事であり、日本が敗戦国だったことを認識させられる瞬間でもある。昨今の日本を取り巻く環境は平和なのだろうか?北方領土問題、尖閣諸島問題、北朝鮮拉致問題などどれを取り上げても未解決であり、結果的には先送りが政治の常套手段となっている。自国のことは自国民で解決するという当たり前のことがなぜできないのか?国会議員の存在意義は国益を守ることであり、それ以外にない。ある記者が河野防衛大臣に「中国や韓国の了解は得ているのですか?」という質問に対して「自国を守ることに関してなぜ他国の、韓国の了解を得る必要があるのですか!」と気色ばんで答えていた姿には国会議員としてのあるべき姿を久しぶりに見た思いだ。記者の質問にも呆れるが、そんな記者の質問に違和感を覚えた日本人は果たしてどれくらい存在したのか?他国に攻め入られてから気付いたのではもう遅い。人の祈りに背き、不条理を生み出すのも人である。日本という平和な国を守っていくために一番必要なことは何か?老若男女問わず真剣に国のことを考える時間が必要だ。

                                     2020,8,9

         

一生のうち逢うべき人

   「人間は一生のうち逢うべき人には必ず逢う。しかも一瞬早過ぎず、一瞬遅すぎないときに!」これは教育者・森信三先生の言葉であり、私は10年ほど前に初めて耳にした。人は何かを求めて生きている、何かに向かって生きているのであって、常に考えている動物である。しかし、考え過ぎてしまうと動物として感じる“感性”が鈍ってしまい、うまく事が運ばなくなると失敗のスパイラルに入ってしまい、更に過去を引きずったり一歩先に踏み出せなくなり、失敗してしまうのではないか。“Don't think. So feel!”私にも臨床家としてのメンター・師匠が存在し、素敵な生き方をされている尊敬できる人生の先輩方がいる。諸先輩方はこのコロナ禍をどう過ごされているのだろうか?おそらく将来の不安と向き合うのではなく、「今できることに集中する」という発想の切り替えをされているのだろう。私が逢うべき人は師匠だけではなく、目の前の患者さんでもある。

                                     2020,8,7

         

生活習慣病と気付き

   生活習慣病と診断を受けた方がその後どのようにして身体の健康を取り戻すのか。処方された薬の服用によって検査項目で指摘された異常値を正常範囲まで戻すのか、それこそ生活習慣を改善させて時間が掛かっても元の身体を取り戻す努力をするのか。何れにしても本人の自覚と改善への本気度がカギとなろう。歯科疾患の多くは生活習慣が原因であり、咬み合わせにおいても舌を含めた口腔周囲筋の習癖によって顎顔面骨格が本来の成長方向に発育しなかったために顎に歯列が並ばない状況を作り出している。身体の成長発育途上である子供であれば、口呼吸を鼻呼吸に改善させ、正しい嚥下様式を身につけることで顔面骨格の正しい発育が期待できる。辛い症状が出てから医療機関で治療を受けるのは下流医療うである。上流が濁れば下流は濁るのと同様に、不健康になる要素があるのであれば生活習慣から見直す勇気が必要であり、それを気付かせることが医療機関の一つの役目であろう。

                                     2020,8,6

         

“Japan style 日本の流儀”

   明日で広島に原爆が投下されてから75年が経つ。核廃絶と訴え続けて75年が経つことも意味する。75年掛けて変わらないものが今後劇的に世界が核廃絶に向かうのだろうか?もちろん世の中から核兵器が無くなることを望み、祈っている。新型コロナウイルス感染拡大だけではなく、世界情勢は不穏な状況になってはいないか?他国との連携を保ちながら・・・。他国との関係を重要視するあまり、日本の国の在り方の根本、軸がなくなってはいませんか?と問いかけたい。日本には素晴らしい日本の風土・文化があり、優劣をつける必要はないがどこの国にも勝ることはあっても劣らない自分のことよりも周りのことを優先する考え方がDNAとして刻み込まれているはずだ。“和を以て貴しとなす”。軍事力・経済力で覇権を争うようなレールには乗らず、日本独自の世界貢献を“Japan style 日本の流儀”で世界に示していけないものか!安倍さん、頼みますよ!

                                     2020,8,5

         

“成功とは目的に向かい努力すること”

   本来であれば今頃東京オリンピックが開催され、主催国である日本のメダルラッシュに沸いていたのかもしれない。しかし新型コロナウイルス感染拡大によって日常生活は一変し、オリンピックの話題をすることすら憚られる雰囲気さえ漂う。世論調査でも来年の東京オリンピック開催は無理ではないかと否定的な意見の割合が増えてきている。代表に選ばれた選手も競技力、モチベーションのピークを今後一年持続させるのは容易ではない。人生において目標は必要であろう。何事においても地道な努力がなければ結果はついてこない。どなたかの格言だったと記憶しているが、“成功とは目的に向かい努力すること”。開催すら不透明な目標に向かって努力を続けているアスリート同様に、出口の見えない新型コロナウイルス感染拡大による社会生活・日常生活の逆境を何とか弱音を吐かずに乗り切るしかない。

                                     2020,8,4

         

運動の習慣化

   当医院にトレーニングで通う多くの友達にとって短い夏休みが始まった。期間が2週間~3週間程度と学校によって若干の違いはあるが、このご時世柄、夏休みといってもプールも休園、行楽地も人の移動自粛で遠出もままならない。“畳上水練”では泳げるようにはならない。何事も頭で考えるだけではなく、身体を使って身に付けるのが本来の姿であろう。しかし今の子供たちはとにかく外遊びをしない。当医院の子供たちは習い事に忙しいようで、週6で塾などに通っている子も少なくない。体力は何処で向上させているのか?まさか学校の体育の時間以外身体を動かさない?なんてことはないだろうか?集中力アップの意味でも常日頃から体力向上に努め、血中の二酸化炭素濃度を高めることで酸化ヘモゴロビンの身体の各組織・細胞への酸素供給を高めるようにして頂きたい。短い夏休みだからこそ、ちょっとした運動の習慣化への取り組みにチャレンジしてみたらどうだろうか!

                                     2020,8,3

         

マッサージ・不定愁訴

   スポーツトレーナー・鍼灸師の治療によって身体の張り、凝りがなくなり、健康体を取り戻せたと実感するが、数日経つと調子が悪くなることを経験されている方は多いのではないでしょうか?私も同様の経験はあるのだが、現代医学ではなかなか治癒しない慢性病(病名は付かない不定愁訴)は今も昔も多くあるのではないか?歯科の仕事に25年以上携わってくると、咬み合わせと全身症状との間には、何らかの有機的な因果関係が潜んでいることを認識する。人は身体の成長発育において、産まれて直ぐに母親の乳首を舌で口蓋(上顎)に押さえつけることで母乳を飲み始めるのだが、それによって口蓋の骨及び舌を含めた口腔周囲筋の発育のスイッチが入り成長していく。しかし、そのスタートから成長プログラムが狂い始めると、人によってはある成長のステージにおいて不定愁訴を抱えるようになるのだろう。明治時代の平均寿命は約50年であったが、約80歳を超える現代においては50歳以降に不定愁訴を訴える人が増えているのは不思議ではない。当医院では、咬み合わせのバランスを崩した方に多く認められる不定愁訴を丁寧に聞き取り、咬み合わせ由来と疑われる主訴に対しては、機能的歯列矯正治療も含め、acu placeの大饗先生のご協力も得て少しでも身体の症状の軽減につながる取り組みを続けて参ります。

                                     2020,8,2

         

マスク頭痛の原因

   今朝、気になるニュースが‥‥。“マスク頭痛”の症状を訴えている人が増えていると。ニュースキャスターの言葉では、「マスク内で吐いた二酸化炭素を再度吸うことで酸素を吸う量が減って頭が痛くなる」とのこと。簡単に表現したつもりなのかもしれないが、皆さんはボーア効果をご存知でしょうか?血中の二酸化炭素濃度が下がってしまうと、全身の酸素飽和度が高くても身体の各組織の細胞に酸化ヘモグロビンが酸素を手放すことができなくなり、結果的に組織の酸化欠乏が生じ、その組織の働きが悪くなるということです。マスクを装着していると普段は鼻呼吸をしている人でも口呼吸になりやすくなり、口から多くの二酸化炭素が排出されてしまいます。結果的に肺及び血中の二酸化炭素濃度が下がるために各細胞の酸素の取り込みが少なくなり、頭痛や身体が疲れやすくなります。これは普段から口呼吸になっている方には起きていることで、鼻呼吸を正しくすることが健康を守るうえでは何よりも重要になります。

                                     2020,8,1

         

リモート社会

   新しい社会生活の始まりなのか?別荘地として知られている軽井沢、那須、富士五湖周辺などで永住希望者の問い合わせが増えているとのこと。当医院にお越し頂いている方にも軽井沢の物件を購入された方がいらっしゃる。仕事がリモートで済むようになり、都内のマンション生活をする必要性がなく、子供の教育環境を優先させたらそのような選択になったそうだ。生活様式は人様々であるが、その方の性格、価値観によって今までにない選択ができることは間違いない。今後リモートによる仕事の割合は増え続けるのだろうか?世間ではリモート飲み会も行われて物珍しさで新鮮さはあるかも知れないが、人のぬくもりや五感で感じる人のありがたさまではリモートを通じた画面では伝わらない。

                                     2020,7,31

         

感染症

   中国・武漢から始まった新型コロナウイルス感染拡大であるが、感染症は常に地球のどこかで広がっているものであり、限定された地域だけの感染拡大であれば今のようなパンデミックにはなっていないのであり、どこかで“対岸の火事”として知っているという話で済んでいたのかもしれない。ペストは過去の3度のパンデミックを引き起こしており、記録では1922年が最後か?私は50歳を超えているのでペストは歴史上の出来事である。エボラ出血熱やHIV感染症が記憶の中ではっきりと残るものであり、それらに関しても自分の身の回りに影響が及ぶという不安はまったくなかった。そのように過去のパンデミックは収束に成功したと言えるのかもしれないが、今回の新型コロナウイルス感染拡大は過去のパンデミックで得た教訓を生かせるのだろうか?

                                     2020,7,30

         

ご結婚!

   もう10年以上当医院にお越しになられている女性の患者様が治療でお越しになり、保険証をお預かりする際に“結婚したので名字が・・”嬉しい報告だ。診療室で改めて“おめでとうございます!”と話を振ると、“結婚に至った切っ掛けは先生のお陰です!”とのこと。よくスキーをなさる方なので、以前知人のスキーショップを紹介し、格安で購入できたブーツがこの縁を取り持つことになったそうで、3ヶ月で入籍したとのこと。本人は一生独身でも良いかな~なんて思い始めていた頃だったそうで、やはり人生は分からないものだ。タイミングだけではないだろう。私は医院で接する患者様しか知らないが、来院時の会話がいつも楽しみな患者さんでもある。世間は新型コロナウイルス感染拡大でストレスが溜まる一方だが、早く何も気にせず白銀の世界を滑りたいものである。


                                     2020,7,29

         

助け合い・感謝

   ブログ記事でも新型コロナウイルス感染拡大に関する事柄が多くなってきた。未曾有の感染症に対して政府の対策は後手になっていると批判の声も多くあるが、ポストコロナになり政府の行動が検証されるまでは、ここはひとつよくやってくださっていると感謝の念をもつことが必要ではないだろうか?批判は誰でもできる。アベノマスクにおいても“こんなマスクは使わない”、支援金に対しても“これではとてもじゃないけどやっていけない”などと言うのではなく、“政府も百点満点ではないけれども、出来ることを精一杯してくれているのだから、我々も辛抱してここは頑張るしかない”と思うべきである。少なくとも日本人にはそのようなDNAがあるはずである。隣人同士助け合う、それが日本の風土・文化ではなかったか?感染症や豪雨災害などに対する特別税を被災していない国民から善意徴取することなど助け合いの精神から検討しては如何なものか?


                                     2020,7,25

         

マスクごみ

   不織布?数か月前までは殆ど耳にすることもなかったが、新型コロナウイルス感染拡大に伴いマスク需要が増えたことでドラックストアやネットでも頻繁に目にすることになった。お恥ずかしながら“不織布”ということから布繊維でできているものだと思っていたが、極めて細かなプラスチック繊維とのこと。ニュースでは世界的にマスクごみが増えてきており、海岸などでも漂着したり海底に沈んでいるとの報道がされている。コンビニなどのプラスチック袋が有料化されたことでマイバックを持ち歩く人も増えたが、袋の使用が減ってもマスクがきちんと処分されない環境では、他のプラスチック製品が海水によってマイクロプラスティックとなるのと同様に、食物連鎖の結果、最後は人間の身体に蓄積されてしまう。諸外国ほど道端に捨てられたマスクを目にすることはないが、全くないわけではない。ゴミとなったものを所定の場所に捨てることは勿論だが、日々の生活の中で一人ひとりのモラルが問われている。


                                     2020,7,24

         

変化の先にある進化

   勉強とは何?この問いに対して明解な解答は何と答えるか?自慢ではないが子供の頃に机に向かって勉強することは苦痛ではなかったが進んでする対象ではなかったことは確かである。中学生ぐらいになると数学もそれなりに難しくなってきて、公式を覚え、それを使って回答することが求められた。皆さんも記憶にあることでしょう!しかし、どうしても解けない問題はあるもので、15分、30分と考えているうちに集中力が切れてきて、台所の冷蔵庫を開けて冷たい麦茶を飲んでは嫌々ながら答え合わせをしたものだ。今だから思うのであるが、よくも30分も一つの問題に取り組んでいたものだ。勉強というのはその時点で持っている知識を全て使って全力投球することであり、何とか壁を乗り越えようとすることで忍耐力も付いたのではないか?今の子供たちはどうなのだろうか?不器用でもいい、愚直に目の前の問題に取り組み、夢中になることで見えてくる変化の先の進化に辿り着いて欲しい。


                                     2020,7,23

         

Not Go To トラベル

   新型コロナウイルス感染者数のは増加の一途である。こんな状況での「Go To トラベル」は愚策以外の何物でもないと私は思う。感染拡大が終息したら行う目玉政策だったのではないか?4月、5月の自粛要請に応じた国民の努力が台無しになりつつあるのではないか?経済活動優先ありきの基準値の変更が行われてはいないか?病院関係者の声に政府はもっと真摯に向き合うべきだろう!現場では本当に命がけで仕事をしていることを分かっているのだろうか?当医院に通院されている看護師さんからも“正直怖いです!”との声を聞く。感染者数の数字に慣れてきている感覚が極めて危険である。“急いては事を仕損じる”、世論の時期尚早との声に政府はもっと早く答えるべきだった。


                                     2020,7,22

         

顔面成長および歯列への筋機能の影響

   昨日もお子様の咬み合わせの相談で新規の患者様がお越しになられた。見た目は比較的綺麗な歯並びをされているが、歯間空隙と言って隣り合う乳歯の隙間がない。これは後続する永久歯のスペース確保のために必要な空隙であり、歯並びの問題ではなく、顎顔面骨格が本来の成長発育をしていないことを示している。なぜ頭蓋顔面骨格が本来の成長方向に発育しないのか?舌を含めた筋機能の正しい機能が獲得できていないからであり、呼吸を含めた正しい筋機能を身につけることが中顔面を含めた顎顔面骨格を正しい成長方向に誘導し、結果として歯並び、咬み合わせが改善することに繋がる。筋機能矯正治療の鍵は、両親とお子様の協力を得ることです。とにかく、歯並びが悪くなる原因をしっかりと理解して頂きたい。


                                                                                                                  2020,7,21

                                     

         

何気ない日常

   昨日は久しぶりの夏の太陽の陽ざしを浴びながらランニングで汗を流したが、途中にある比較的広い公園では家族連れが多く訪れ、子供たちが緑の芝生の上を走り回っていた。小さな子を連れたお父さんはセミを見付けて虫網で捕獲を試みていたが、子供の期待も空しく見事に逃げられていた。私が子供の頃にはセミが煩いぐらい鳴いていたが、環境の変化なのか、最近ではセミだけではなく、カブトムシやクワガタも家の近くで見かけることがない。ホームセンターに行けばカブトムシやクワガタは高値で売られているが、お金で買う対象物?なのと考えさせられてしまう。我が家では一昨年山林で子供が捕まえてきたカブトムシの番が生んだ卵を子供が世話をして蛹から幼虫、そして6月ぐらいには60匹ぐらいの成虫に育てたが、小学生にとっては何よりも生きた教材になったようだ。友達と外遊びに行くことも少なくなった今の子供たちは、将来家庭を持つようになったらどのような遊びを自分の子供にさせるのだろうか?


                                                                                                                  2020,7,20

                                     

         

以前の日常

   大相撲の夏場所が今日から始まる。私が子供の頃は蔵前国技館で輪島ー貴ノ花の吊り相撲の応援に力が入り、水入りと同時に家族で手を叩いて応援したものだ。千代の富士が北の海を始めて破って勝ち越しを決めた相撲は、初めて国技館の升席で観戦した。顔をクシャクシャにして花道を引き揚げてきた千代の富士の身体を叩いて誘導員に注意されたのも今となっては懐かしい。今場所は4人が座る升席も1人だけにするとのこと。勿論力士に触れることは感染対策の上では許されないだろう。画面では伝わらない力士の大きさに少年の頃は驚き、武蔵丸関の巨漢ぶりは超規格外だったことは忘れない。新しい社会生活という言葉を耳にするようにはなったが、リモート生活では五感が働かない。一日も早やく新型コロナウイルス感染拡大を終息させ、以前の日常生活を取り戻したい。


                                                                                                                  2020,7,19

                                     

         

自制力と誠実さ

   7月も半ばだというのに、朝晩が涼しい。今朝も肌寒く、診療室のエアコン設置温度の調節も必要なくらいだ。体調管理には新型コロナウイルス感染拡大もあって今まで以上に気を付けて過ごされている方が多いと思われるが、それでも日々の寒暖の差が大きければ風邪のような症状も出てくるというものか?子供の通う小学校の担任が体調不調で休んだと聞けば、“まさか?”とついつい心配してしまうあたり、意識の中では新型コロナウイルスが心に感染しているようなものだ。当医院のスタッフも年末年始以降、実家のある地方には帰省していない。来週の連休に実家に帰ろうかと母親に連絡をしたら、「帰ってくるんじゃない!」と言われたそうだ。万が一、自分の娘の帰省をきっかけに地元で感染が拡大したらと心配する親の胸の内もよく分かる。経済と感染拡大防止の両立の難しさは誰もが理解するところだが、感染者が増えるなかでの“Go To トラベルキャンペーン”は時期尚早だろう!大人の自制ある行動と他人を思いやる誠実な行動でしかこの感染拡大は防ぐことができない。


                                                                                                                  2020,7,18

                                     

         

キャッチボール

   幼少の頃から野球で育った私としては、息子とのキャッチボールは格別な時間である。投げ方一つ注意したくなるのを我慢して、本人がどうしてうまく投げられないのかを気が付くまで待つことにした。“いつもはもっとコントロールが良いのに今日は駄目だ~”。準備体操もしないでボールを投げれば身体も解れていないから投球フォームも崩れるのは当たり前。ではどうするか?公園を一周走ってくることを子供に提案し、それからボールを投げてみたらどうなるか試してみた。本人曰く「身体が軽くなった。きちんと狙ったところにボールが行くようになったね!」。目が輝いている。そうやって身体で覚えていくことが何よりも大切なこと。本を読んで頭で理解する習慣も必要ではあるが、頭では体得できないものを体感することが子供を内面から成長させる駆動力になるのではないか!


                                                                                                                  2020,7,17

                                     

         

身体のメンテナンスは必要!

  「テレワークになってから体重が増えちゃいました!」「家から本当に出なくなって身体が鈍っています」「久しぶりに学校に行ったら足が筋肉痛になった!」これらはこの1~2ヶ月の間に当医院にお越し頂いている患者さんの声である。目の前に何かしら食べ物があるとついつい手が伸びてしまうのだろうか?食べ過ぎることはないにしても、好きなものがあれば食べたくなるのは本能か?そういう私も月間のランニング走行距離がめっきり減り、間食はしないもののヘルスメーターの体脂肪率が気になる今日この頃である。70歳でボストンマラソン“サブフォー”を50歳になった時の目標として掲げたが、早くも雲行きが怪しくなってきた(笑)。スポーツトレーナーの「先生の仕事量は以前よりも増してきているように思いますよ!でも確実に体力は若い時とは違いますから、そのうちに身体は悲鳴を上げますよ!」の説明には最近妙に合点がいくのは何故だろうか??明日にはまた年輪を重ねてしまう。


                                                                                                                  2020,7,16

                                     

         

勇気ある朝令暮改も・・

  政府の旅行促進キャンペーン「Go to トラベル」にはどうも賛成しかねる。新型コロナウイルス感染拡大が完全に終息し特効薬やワクチンも開発されたというのであれば、観光業振興を図るうえで理解もできる。しかし現況はどうみても第二波?感染拡大に転じているのは報道がフェイクでない限り間違いないであろう。新型コロナウイルス感染拡大の政府の対応はこれまでも後手に回ったとの批判があるが、政権基盤がどうこうと言っている場合ではない。朝令暮改と言われようが、国民の命を危険に晒すよりは勇気ある方針転換を今からでもすべきではないか?医師会では「Not Go toトラベル」と呼びかけ始めた。すでに旅行の予約を取った方もおられるとは思うが、ここはキャンセル料が発生したとしてもリスクを考え賢明な判断を促したい。政府・各自治体だけではなく国民一人ひとりが今はアクセルとブレーキを交互に踏むことが求められているのであり、アクセルの踏み込むタイミングを間違ってはならない。


                                                                                                                  2020,7,15

                                     

         

身体の不調と咬み合わせ

  初診でお越しいただく方の主訴は様々だが、ここ数ヶ月は歯ではなく身体の不調が咬み合わせからきているのではないか?咬み合わせが全身とどのように関係しているのかを知りたい、という方が多くなってきた。簡単に説明をできる内容ではないが、本人の30枚の口腔内写真と開業以来撮り溜めてきた他の来院患者さんの写真やパワーポイントを使ったプレゼンによって患者さんの悩み・疑問を初診時に解くことが極めて重要である。それにしても皆さん咬み合わせが良くない。それは見た目ではなく上下顎の機能的な動きが失われているという意味において!本日の初診患者さんの主訴も首から肩への凝りが辛く、最近では腕が痺れたりすることが時々あるということ。治療も大事かもしれないが、先ずは何故そのような状態になったのかをよく知ることが何よりも優先されるべき事項と考えます。


                                                                                                                  2020,7,14

                                     

         

リーダーの不在

  一体この国の指揮官は誰なんだ?新型コロナウイルスとの戦争において国民が危険に晒されているのに、強いリーダーシップを執っている人が存在しないではないか?戦場では指揮官の判断に従い部隊が編成され、戦略に沿った戦いをしなければ勝ち目はない。まさに生きるか死ぬかである。今の日本を見渡すと、いざという時に責任を全うする覚悟をもった政治家がいないではないか。それは与党、野党も含めてだ。彼らは歴史から何かを学んできているのだろうか?生活のために選挙に於いて美辞麗句を連ね、政治屋になったに過ぎないとは言い過ぎだろうか?国会議員諸氏には猛省を促したい。

                                                                                                                                                      2020,7,13

                                     

         

スパイス

  京都に行った際には必ず寄りたくなるパキスタンカレーのお店があった。30種類のスパイスが使われていて、季節によってスパイスの配合具合も微妙に変わり、この時期には暑気払いのスパイスを使っていますと店主が言っていたのを思い出す。コリン、コリアンダー、ターメリックぐらいしか私の頭には直ぐには浮かんでこないが、今ならネット検索でそれなりの“暑気払いスパイスカレー”を作れるかもしれない。辛いスパイスを摂取すると、生理学的には交感神経の興奮が起き、体表面の温度が上がって血流が増え、皮膚から熱が逃げやすくなって涼しく感じる。今日もかなり蒸し暑い。スパイスの消費量が増えそうだ!

                                                                                                                                                      2020,7,12

                                     

         

プロセスを軽視

 面白い記事を見付けた。もし宇宙人が地球に飛来してきて、イモムシとアゲハチョウを同時に見たとしたら、きっと宇宙人はこれが同じ生物とはにわかには信じないことだろう。なぜなら、あまりにも形態が違い過ぎるから。では、この宇宙人に事実を信じさせるにはあなたならどうしますか?但し、宇宙人は1週間しか地球に滞在できず、イモムシが蛹から蝶になるまで(約3週間)は見届けることができない。今ならネットで幼虫→蛹→蝶の一連の過程を調べて見せるのだろうか?あるいはDNA鑑定を行い同一のゲノムであることを証明するのか?いずれの方法も結果を知らせることは出来ても味気ない。変化のプロセスを時間が掛かっても生で体験したものは、理屈では得られない大切なものが頭ではなく心に残る。しかし、世の中は結果至上主義のあまり、プロセスを軽視し過ぎていないか?それは子供の教育においても。それでは“味気ない人間のような生き物”にしか育たない。

                                                                                                                                                      2020,7,11

                                     

         

仕事への情熱!

 「能力の差は5倍、意識の差は100倍」とは京都の有名な企業経営者の方の言葉ですが、その通りなのだろう!とびきりの秀才たちが鎬を削る棋界では、優れた頭脳を才覚と捉えがちだが、羽生善治さんによるとそうではないという。

“物事を続けていさえすれば、誰でも、10年、20年と歳月を重ねることはできます。しかし、その長年月、同じ姿勢、同じ情熱を傾けることができるかどうか。その持続する力こそが真の才能である”との言葉には重みを感じる。

歯科医療に於いては分かっていることよりも解明されていないことが多いとの立場に立って真摯に患者さんの口腔内に向き合っていると、もしかしたら?似た咬み合わせの方に共通する問題は?などなど見えないものが診えてくる瞬間があるのは、今までの臨床経験が生かされていると思わされる。だからこの仕事は奥が深い!

                                                                                                                                                      2020,7,10

                                     

         

Face to Face の診療

 「今掛かっている歯医者で説明もなく歯を抜かれた。レントゲンは撮ったけど、それについて説明がなく抜かれた。今も痛い。」 本日の初診の予約で電話を下さった方の訴えである。本当なのか?説明もなく抜く?患者さんは嘘はつかないであろうから、これが本当ならば医療に携わる者として看過できない事案である。例えを変えてみれば、お腹が痛くて病院に行ったら、レントゲンは撮影したが説明もなく気が付いたらお腹にメスを入れられていた?ということになるのだろうか。仮に、歯科医師の診断としては抜歯しかない状況であっても、患者さんが抜歯を望まなければ当たり前であるが抜くことはできない。抜歯の必要性を患者さんが分かるように懇切丁寧に説明を行ったうえで、それでも患者さんが抜きたくないのであれば当日は抜かずにお帰り頂くしかないのではないか?その当時の状況を診ている訳ではないので全ては憶測でしか語れないが、どうも歯科医療に対する不信感を募らせるようなことが歯科医療現場で多いように感じる。私は歯科医師であるので勿論口腔内を診査診断させていただくが、それ以前に患者さん一人ひとりの人を診ているのであり、そのためにはwith コロナであってもFace to Faceのコミュニケーションは欠かせない。

                                                                                                                                                      2020,7,9

                                     

         

継続は力なり

 最近は仕事の形態が変わってきたことで、出勤時に早朝ランニングをされている方がめっきり増えたようだ。私も以前は朝5時過ぎから30~40分は有酸素運動を意識しながら走っていたが、ここ一年ぐらいは足首、股関節など身体の各所に違和感を覚え、月間の走行距離が目標の150kmまで届かない月が続いている。スポーツトレーナー鍼灸師の指導を受け、身体のメンテナンスに割く時間も多くなってきたが、毎日継続して同じトレーニングを実施することが簡単なようでなかなか難しい。内容が難しいのではなく継続することが難しいのである。世の大人たちであれば多くの方?は首を縦に頷くのではないか。しかし、この自分の身体に合ったストレッチ、トレーニングを継続していると、どこかで変曲点というのか、今までの身体とは何かが変わってくるのを実感する時がある。やはり大事なのは“継続は力なり”ということか!


                                                                                                                                                      2020,7,8

                                     

         

自反尽己(じはんじんこ)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で銀行の窓口も入場制限があり、時間の余裕があるときでないと行き難くなった。そんな銀行での待ち時間に読んでいた本に、自反尽己という四文字を目にした。解説によると、自反とは指を相手に向けるのではなく自分に向けること。ことの全てを自分の責任と捉え、自分の全力を尽くすこととあった。医療に携わる者としても、経営者としても胸に響く四文字である。またそこには幸田露伴の言葉も紹介されていた。「大きな成功を遂げた人は、失敗を人のせいにするのではなく、自分のせいにするという傾向が強い」と。人の上に立つ人は共通して謙虚であり、常に自分の内面と向き合っている。私もまだまだ未熟なものだ!

                                                                                                                                                      2020,7,7

                                     

         

見聞を広げる“旅”

 患者さんが「スイスに行ってみたい!」と仰っていたので、私が若い頃バックパッカーでヨーロッパを旅した頃の話をさせて頂いた。思い出すだけで懐かしいし、あれから20数年が経ったのかと思うと人生はあっという間だ。当時はユーレイルパスを使って何ヵ国にも移動し、宿泊代を浮かすためにコンパートメントの3人掛けに横になって夜は寝て、国境を超える時には国境警備隊が車内に入ってきて起こされてパスポートを提示したこともあった。トーマスクックの時刻表を持参し、明日はどこの国に行こうかと異国の車窓を眺めながら計画を練っていた頃のことが旅情をそそるではないか。スイスでは山の美しさに魅せられて同じ宿に3泊もした。安宿では韓国からのバックパッカーと意気投合し、彼らが持参した眞露で悪酔いしたのも今となっては忘れられない思い出だ。その後韓国にも呼ばれ、彼らのご自宅にも足を運んだ。旅行も楽しいが“旅”はまた格別だ。新型コロナウイルス感染拡大で今は思うように旅行もできないが、感性豊かな若い頃の見聞を広げる“旅”は、きっと人生を豊かにしてくれるのは間違いない。令和の岩倉具視は何処に!


                                                                                                                                                      2020,7,6

                                     

         

SDGs(持続可能な開発目標)

 SDGs(Sustainable Development Goals)は国連に加盟する193か国が2015年に賛成し、17の目標を定め、2030年までの達成を目指すものです。ところで、17の目標を皆さんはご存知でしょうか?恥ずかしながら私は一つしか挙げることができませんでした。“貧困をなくす”。先日のブログにアップしたエコバックの普及などは正にSDGsの効果が出ていると言えるでしょう。スーパーやコンビニのレジ袋や石油を原料とするプラスティックは、微生物によって分解されることなく残り続け、川を通って海に流れ着くと太陽の紫外線や波でもろくなり、マイクロプラスティックとして海を漂い、それを体内に取り入れた魚をを我々が取り入れることによって、今までにはない人の健康や生態系に悪い影響があるのではないかと危惧されている。先ずは皆さん一人ひとりのできるSDGsを意識して日々過ごしていきましょう!

                                                                                                                                                      2020,7,5

                                     

         

アードベック ブラック

 ウイスキー好きの方であればアイラ島をご存知かと思いますが、毎年5月末から6月上旬にアイラウイスキーフィスティバルが開催されます。今回リリースされた真っ黒なボトルの「アードベック ブラック」は、ニュージーランド産ピノ・ノワール赤ワイン樽を使用、ベリー系の果実味がアードベック特有のスモーキー風味と共に、今までにない深い味わいを織り成しています。まるでウイスキーの宣伝のようですが、とにかく格別な香りがします。人口よりも羊の飼育数が何倍も多いなど共通点の多いアイラ島とニュージーランドの大自然に思いを馳せながら、日常を離れる時間を取って英気を養ってみては如何でしょうか?

                                                                                                                                                      2020,7,4

                                     

         

躾けと学び

 以前にもブログに記載したことではあるが、礼儀を知らない、マナーの悪い輩が多くなったことか。帰宅時電車に乗ろうにも、乗降口の両サイドにスマホをいじりながら寄りかかってる人がいて、乗車する人はその邪魔な物体を避けるようにして乗り込まなければならない。他人に迷惑を掛けないように!なんてことは親から躾けられなかったのだろうか?スマホを操作することに夢中で周りの視界が全く目に入ってこないのだろうか?武士道の考えで言えば、「そんなことで人として恥ずかしくないのか」と言われることは、武士にとっては最も辛いことで、なぜなら遠からず「卑怯者」を意味するからだと石川真理子さんは述べている。ただし今は「恥ずかしい」という観点すらずれてきているような時代だ。注意すれば逆切れする人間がいるような世の中を正していくには、一人ひとりに修身という学びが必要であろう。

                                                                                                                                                      2020,7,3

                                     

         

エコバッグ

 スーパーやコンビニエンスストアなどで、昨日からプラスチック製のレジ袋が原則有料となった。スーパーの買い物の際に、「袋いりますか?」と聞かれるたびに、「あっ、また忘れた!」ということが何度あったことか。これからの外出時にはマスクとエコバッグはセットで玄関に用意することになりそうだ。最近では洒落たマスクで歩いている方も見かけるようになったが、世の中必要に迫られると変わるものだと皆さんもお感じではないですか?


                                                                                                                                                      2020,7,2

                                     

         

想像力を育む「本の森」

 建築家の安藤忠雄さんが設計した児童図書施設「子供の本の森 中之島」がオープンする。安藤さんは幼少の頃に読んだ本を通して作家とイメージを共にし想像力を膨らましたと回想して、以前「どんなに世の中のデジタル化が進んでも、人間の成長はアナログでしかない。子供はその年齢に合った遊びを通して物事を学ぶものだ。」とも語っている。名誉館長についた山中伸弥教授も「本の中には面白い世界がある。スマートフォンで簡単に情報が手に入る時代だからこそ、読書の楽しさを知ってもらいたい」と感想を述べている。人の成長において読書の大切さは万国共通である。以前、公立学校の図書費を削減することを提案した女性文部大臣がいたが、そのような方が今も国会議員でいること自体が国益を害している。本を通して子供達の豊かな感性や想像力を育み、沈みかけている日本の文化力、国力を10年後、20年後に再興させていこうではないか!


                                                                                                                                                      2020,7,1

                                     

         

紫陽花

 日中は蒸し暑くなってきたが、朝方はまだ幾分過ごしやすい。出勤前のランニングは今時分がちょうどいいと毎年体感している。新型コロナウイルス感染拡大にともなうテレワーク仕事の人が増えたことで、朝のランニング時間帯に走る人の数も増えたようだ。いつものランニングコースには淡いブルー、薄紅、藍などの色をした紫陽花が綺麗に咲く篠原神社がある。思わず足を止めて一枚スマホで“カシャ📷”。この花には雨模様が似合うが、天気予報では明日から再び大雨の模様。九州、西日本ではここ数日豪雨に見舞われている。昨年の被害からの復旧もまだ道半ばのところで「数十年に一度」と形容される雨予報は聞きたくない。避難指示が出るような豪雨にだけはならないことを祈りたい!


                            2020,6.28

新型コロナウイルス感染拡大の第二波

 新型コロナウイルスの感染拡大が再び増加傾向にある。アメリカなどの諸外国の感染者の増加数はけた違いであるが、経済活動を再開してからの感染者数の増加傾向のグラフは形が同じである。事故を引き起こしたい人など誰もいないのと同様に、新型コロナウイルスに感染しなように最大限これからも国民一人ひとりの行動様式がこの国の感染拡大を防ぐ一番の決め手となろう。都内の通勤電車の風景も以前のようになりつつある。マスク未装着の人も車内で見かけるようになってきたが、たまたま忘れてしまっただけだと思いたい。備えあれば憂いなし。このままでは第二波は来てしまうだろうし、もう始まったかもしれない。


                                                                                                                                                      2020,6,26

                                     

         

消毒用アルコール

 医療機関においても消毒用アルコールを以前のように購入できないのは困ったものだ。当医院も例外ではないが、ストックは十分にあるので心配はない。他の医療機関ではどうされているのか?総合病院には優先的に納入されているということであればまだ構わないが、依然として供給体制が整わないのはなぜなのか?一部の報道ではアルコールはあるが専用のプラスティック容器が不足しているとのこと。ならば褐色瓶では?となると輸送費が高くなるらしい。専用の容器はほとんどが輸入ものとのことだが、国産メーカーはどうなっているのだろうか?日頃お世話になっている材料屋さんもお困りのようだ。まさか医療機関で代替品として高アルコールの酒を使うわけにもいくまい。

                                                                                                                                                      2020,6,25

                                     

         

フェンシング🤺

 皆さん、フェンシングを観たことはありますでしょうか?日本では太田雄貴さんが以前活躍されていて、今では次の世代の選手が世界選手権で優勝するなど世界で活躍しているのですが、日本ではマイナースポーツ的な存在ですよね。当医院の高校生の患者さんが部活でフェンシングを行っており、私にとっても馴染みのなかったフェンシングでしたが、彼からいろいろな話を伺っていると単に昔のヨーロッパの貴族のスポーツという枠を超えた奥深いハードなスポーツであることが分かってきました。そんな彼は神奈川の公立湘南高校で活躍されているのですが、先般の新型コロナウイルスの感染拡大によって部活動も制限され、国体も中止となり、残り限られた高校生活のなかでどこまでフェンシングを磨き上げることができるのかと悩んでいるようでした。そんな彼からインターハイの代替大会を“歴代の日本代表選手の手で開催させたい!”というプロジェクトを立ち上げたので支援して頂きたいと依頼されました。彼のような好青年の健全な育成の役に立つのであればと当医院も一肌脱ぐことにしました!そこで、本日のブログをご覧の皆様に是非ともご支援を賜りたく、以下にアクセスをお願いしたい所存であります。宜しくお願い致します!

https://camp-fire.jp/projects/view/287421

https://youtu.be/leOP7rWwBpw

                                                                                                                                                      2020,6,24

                                     

         

都知事選挙

 都知事選の立候補者の主義主張はどのようなものなのか?新型コロナウイルスの感染拡大により、感染症対策が一つの争点にもなるのかもしれないが、大事なのは都知事としてどうかという以前に良識・常識のある人であるかどうかを都民は真剣に見定めることが大事であろう。勿論演説などだけでは人柄を全て知ることはできないが、短期・中期・長期的視野に立った実現可能な政策を挙げているのか?こういう非常時には特に、先人の多様な事例を学んでいるかどうかが、学歴などよりも重要な判断材料としたいものだ。各候補者に“座右の銘”“師事・私淑する人物”などを尋ねてみたい。過去の言動と照らし合わせてみる一つの材料にはなろう!

                                                                                                                                                      2020,6,23

                                     

         

首の凝りと咬み合せ

 初診の患者様で首の凝りに悩まされているという主訴でお越しになられた方がいる。歯科に首の凝りで?実は最近、このような主訴でお越しになられる患者様が増えてきている。一見すると歯並びは良いが、咬み合せという視点では正常咬合とは違い、何らかの問題を抱えている。頸椎は、咀嚼筋やその関連筋などの異常収縮により偏位されやすい部位であると同時に、咬み合せに関与しながら頭蓋骨を支え、更に重要な神経・血管を通している器官である。咬み合せの平面を横軸、頸椎を縦軸とすると、咬み合せの高さ、前後的位置関係と頸椎には密接な関連性があることは予想される。40,50歳になると誰もが首や肩が凝るわけではない。腕や指先が急に痺れたりする原因が、まさか長年の咬み合せのバランスのずれから来るとは誰も想像はできまい。科学的根拠(エビデンス)は今のところ明らかにされていないが、経験的には咬み合わせの乱れを矯正治療などにて補正することで、雨戸を開けることができなかった腕、肩の症状が消失したケースはよくある。科学的根拠の重要性を否定はしないが、それに縛られていては目の前の症状のある患者さんに何も手を施すことができなくなる。エビデンスと同時に臨床の経験値をフルに発揮させる感性も臨床医には必要であろう!

                                                                                                                                                      2020,6,22

                                     

         

読書週間

 先日も新聞報道で、新型コロナウィルス感染拡大によって休校が続いた子供達の家庭での過ごし方についての記事が載っていたが、テレビ、ビデオの視聴の次にネットの動画視聴とあったが、読書に時間を割いている項目は無かった。私が子供の頃にはテレビを見ない時間は友達と外で遊ぶ、少年野球チームに所属していたので野球の練習をする、そして身体を動かすこと以外と言えば読書をするか寝ることしかなかった。勿論家事の手伝いなどはしたものだが‥‥。今の子供達の読書量はやはり問題になるくらい減っているのではないか?読書も読まないよりは読んだ方が良いのかもしれないが、どのような本を読むのかが、心の成長には重要であろう。先ずは各家庭において、子供に読書週間を身につけさせ、精神修養を深める礎を築くべきである。


                                                                                                                                                      2020,6,21

                                     

         

人の資質とは?

 人としてこの世に生まれた以上は各々が何かしらの使命を負っている。どんな職業に就いているかが問題なのではなく、その人の生きる姿勢が問われている。国会議員、地方議員に限らず選挙で当選すればその人の資質の如何を問わず先生と周りから言われる。そのような方がなぜ逮捕されるのか?なぜそのような人を選挙人は選ぶのか?人は何かポジションを与えられた時には、権限を得ただけで、権威まで頂いているわけではない。権威は自分で創り出すものであり、周りの人がついてきてくれるかどうかは、その人の言葉遣い、行動、ものの考え方の姿勢の如何による。自分から議員になりたい、自分から社長になりたいという人間で、本当に魅力的な、尊敬されるような人になった方は果たしているのだろうか?


                                                                                                                                                      2020,6,20

                                     

         

歯科の係わる領域

 40歳の初診の方がお越しになられた。定期的に歯科医院に掛かっていたが、最近こちらに引っ越されてきたので今後のケアも含めて診てほしいとのこと。新たな歯科医院に掛かるのは勇気が必要だったのではないか?今はネットでHPを検索すれば、全てとはいかないまでも医院の雰囲気を掴むことはできるかもしれない。実際に受診をして想像していた通りの歯科医院であれば可もなく不可もなくといったところだろうか?思いも寄らない発見があれば、患者さんとしては満足かも知れないが、こちらとしては患者さんが気付いていないことを気付かせる義務があり、使命であると心得ている。そのためには時間が必要であり、それよりも何よりもこちらの本気度を伝えなければ人の心は動かない。歯医者の仕事は歯を削ることではない。そのような環境を提供することであり、究極はこの世の中から歯医者が不要となることかもしれない。実際には歯科の全身との関わりはまだまだ不明なところが多いので、歯科が活躍しなければならない土壌は無限にある。もしかしたら、歯科医がそこに気付いていないだけかもしれない。


                                                                                                                                                      2020,6,19

                                     

         

ネットの良し悪し

 皆さんは、内科、外科もしくは総合病院を受診する際にメールで問い合わせをするのでしょうか?間違いなく今はSNSが私たちの生活の一部になりつつありますが、相手の顔が見えない分、礼儀をわきまえない問い合わせが寄せられることがあります。当医院へのメールでの問い合わせは受付ていないにも拘らず、質問とも相談とも分からない文言で送られてくることがある。せめて誰が読んでも分かるよう内容であれば、取り合えず返信はする気にもなるのだが、こちらも暇ではないので困ったものだ。世間ではSNSのトラブル報道が後を絶たない。HPで全ての情報を伝えることはできない。直接会えば伝わる状況や雰囲気といったものも、ネットでは文字数の限りや時間で切り落とされてしまう。このようなネット社会の問題を目の当たりにすると、物事の善悪を判断できるようになるまでは、子供のSNS利用は慎重に考えるべきであり、大人の責任は重い。



                                                                                                                                                      2020,6,18

                                     

         

オンライン授業

 午前中に親子の治療を行う予定があり、先ずは小学生のお子様から治療を始め、子供の治療が終わり次第母親の根管治療を50分ほど行った。先に治療を終えたお子様は何とオンライン授業が10:30から始まるとのことで、当医院のコンサルテーションルームにて授業を受けさせることにした。初めて見る生のオンライン授業!母親の治療をしていると、担任の先生の生徒への声掛けが聞こえてくる。先生も生徒一人ひとりの名前を呼びながら確認して授業を先に進めていて、慣れないコミュニケーションの取り方と洩れてくる生徒たちの声に耳が反応してしまった。仕舞いにはパソコン画面を子供の後ろから覗いて観察をさせて頂いた。当然担任の先生には子供の後ろに映る白衣姿の私が妙に思えたのではないだろうか?〇〇君のお父さんはお医者さん?新しい生活様式とはこのようなことなのかと実感させられた。



                                                                                                                                                      2020,6,17

                                     

         

顔の歪み

 中学生の女の子が顔の歪みが気になって当医院を受診された。「顔が左側に曲がってきていませんか?」。今まで2時間近くかけて通院していた歯科医院があったそうだが、毎回あまり説明もなく終わってしまうとのことで、このままで良いのかと不安を感じ始めていたとのこと。診査の結果下顎の左偏位を認めたが、問題はなぜそのようになったのか?原因があるから結果があるのであり、あくまで原因を患者さんがしっかりと理解できるところまで医療従事者は説明し、患者さんの質問にも明快に答えられなければ最初の関所越えはできないと心得る。母親への説明、ディスカッションは昼休みの90分を要した。理解したうえで初めて治療への扉が開かれる。現状に至った原因を知らずして治療を繰り返し受けることほど無益なことはない。


                                                                                                                                                      2020,6,15

                                     

         

徳を高める!

 小学五年生にもなって挨拶もできないのか?治療の前に挨拶ぐらいするのは礼儀というものだろう。挨拶もできない子供であれば、治療中の態度も推して知るべしである。このような子供が増えてきた。子供が悪いのか?親の問題、家庭教育の問題でしかあるまい。石川真理子さんの「武士の子育て」には、“江戸時代は徳を高める教育、人間力を磨く教育に力が注がれた。才が先で徳が後という現代とは大違いだ。”とある。挨拶一つできない子供が塾通いして何を学んでいるのか?親も何を子供に教育をされているのか?特別な教育は必要ない。何気ない日常生活の中で人として大切なことを教えるだけでよいのではないか!親として、威厳と大らかさをもって子供に接したいものだ。



                                                                                                                                                      2020,6,14

                                     

         

今求められているもの

「俳優は人間に対する深い洞察力がなければ、さまざまな役を演じることはできないのですが、そもそも自分の心と身体のバランスをコントロールできなければ、他人の心など洞察することなどできません」とブロードウェイで活躍する日本人女優が以前語っていた。示唆に富む言葉であり、私の胸にストンと落ちた。人生経験を積んでくると心の様相の在り方の大切さがわかるというものか。仕事の課題は次から次と雨のように降ってくる。“今求められているものは何か”を的確に判断できる能力を高め、自分のリミットを取り払い、可能性を伸ばしたい。


                                                                                                                                                      2020,6,13

                                     

         

セカンドオピニオン

 当医院にお越しいただく新規の患者様の傾向としてセカンドオピニオンを求めて来院される方が増えてきている。主訴の内容は様々だが、共通しているのは主治医から納得のいく説明を受けていないことが挙げられる。説明は受けていたとしても質問を聞いてもらえないという方が本日も来院された。私も“神”ではないので全ての方に満足のいく説明が出来ているとは限らないが、その後も継続してお越し頂いている様子からは概ね理解して頂けているのではないかと推察する。問診、診査、説明では患者さんの疑問、悩みは解決できない。そこに欠けているのは会話、ディスカッションである。積み重ねた資料からプレゼンをすれば患者さんの目にも分かりやすいであろう。問題解決にすべて科学的根拠(エビデンス)が求められるのであれば、私は治療は行わない。臨床とエビデンスを繋ぐのが経験値である。経験値は単なる“勘”とは違う。

                                                                                                                                                      2020,6,12

                                              

仲間の存在

 3か月ぶりに気の合う仲間と美味しい食事をともにしながら世間話に花が咲いた。「仕事はどう?大変?みんな大変だよな‥」と、新型コロナウイルスの話題からになったが、LINEでもリモートでもない“Face to Face”は全てが自然体だ。ネット画面でも表情は見えるのだが、人は表情だけではなく身振り手振りも交えてコミュニケーションをとっているのであり、言ってみれば身体言語がリモートでは伝わりにくい。昨晩の仲間は元はと言えば当医院の患者様である。歯科医師仲間には「患者と食べに行くの?」とよく怪訝な顔をされるのだが、そんなに不思議なことなのか?切っ掛けがたまたま医者と患者という立場だっただけのことであり、コミュニケーションがしっかりとれているからこそ楽しい有意義な時間を共有できるのではないか。白衣を着ているときは先生と呼ばれても、白衣を脱げば私はただの人です。価値観を共有できる仲間の存在は、こんな時だからこそより栄養価が高い。

                                                                                                                                                      2020,6,11

                                              

真摯

「政治家って真摯という言葉をよく使うよね?」とは小学生の息子が発した言葉。真摯‥、普段から真摯な態度をとっている方ならば改めて言う必要もなだろうに!親になれば、子供の心配は尽きないものだ。親は子供の意見に耳を傾け真摯に教え導く。それに子供は付いていく努力をする。子育て、家庭教育の基本であろう。ある一部の政治家の皆さんには健全な国家観・歴史観・倫理観が欠如しているとしか思えない。尊敬の的となるような人格者たる政治家に真摯に向き合っていただきたい。


                                                                                                                                                      2020,6,10

                                              

身体の歪み

 初診の問診時に患者さんの口の動き、口唇の癖などを観察していると、口腔内を診査する前にその方の歯並び、咬み合わせがどのようになっているか、最近は見当がつくようになってきた。顔貌所見も予想される咬み合わせを診断する重要な要因ではあるが、歩き方や姿勢も重要な診査項目である。病院には様々な科が存在するけれども、人の身体は分かれていない。どこかにバランスの歪み、偏りが生じれば、自律神経系がバランスをとるように働き、身体の調節機能を果たす。歯科医は口腔内を診ることだけではなく、全身の中の口腔機能という視点で幼児から成人まで診査診断を行い、毎年資料を積み重ねていく中から将来予想される問題点を指摘することは重要なことである。咬み合わせや歯並びの乱れが全身と関係があるとの認識は世間的には乏しが、身体の不定愁訴を抱えた方にこのような話をすると何度も頷いて質問を受けることが多い。



                                                                                                                                                      2020,6,9

                                              

 咬み合せの治療トレーニングでお越しになった8歳の女の子の歯列の改善状況が早い。トレーニングを初めて約2ヶ月が経過したところだが、母親の治療に対する協力度も高く、親子のコミュニケーションも非常に良いのが良い結果を生み出す一番の要因だろう。一方で、子供だけ通院させて一切付き添わない親、そして来院されても待合室でいつも子供を叱りつけているような親の場合は、お子様のトレーニングも日々行われていないことが多い。ご家庭の事情はあるのかもしれないが、月一回、ただ歯科医院に通院していても毎日の積み重ねがなければ結果は付いてこない。10歳になれば自我も芽生える年齢だ。7つ、8つ、9つと“つ”の付く年齢のうちに、親の躾が特に求められている

                                                                                                                                                      2020,6,8

                                              

体幹トレーニング

 今朝は気候も爽やかだったので、水着マスクを装着しながら気持ちよく早朝ランを済ませた。acu placeの大饗先生から普段の身体の姿勢の崩れを指摘され、日々のトレーニングの仕方を詳しくご指導を頂いているので、ランニング前には下半身の入念な体操、ストレッチ、そして普段使っていない筋肉にスイッチを入れる動きの確認は欠かせない。この筋肉の正しい動きを意識する走り方にしてからは、身体の凝りが軽減したのは言うまでもないが、若い頃とは違って正しい身体の動きを意識する必要性を認識させられた。先日、3年生の女の子が月一の咬み合わせのトレーニングで来院されたが、無意識に下顎が左側に誘導されてしまう癖がなかなか改善されてこない。担当の歯科衛生士が床マットを敷き、足から身体全体を揉みほぐし、改めて女の子に口を閉じてもらったところ、完全ではないが正中に近づいてきた。母親からも姿勢が悪いのが気になっていたと言われたが、体幹の歪み、身体の緊張が顎ずれを引き起こしている例である。引き続き身体全身のなかの口腔という当たり前の視点に立って診断、治療を進めていく。

                                                                                                                                                      2020,6,7

                                              

誇るべき国民性

 10年ぐらい前の世論調査だと記憶しているのだが、社会をいくつかの層に分けた時に、自分がどこの階級に属すると思うかを尋ねたところ、多くの人は中産階級との答えだった(曖昧な記憶ではあるが‥)。すべてに満足しているわけではないが、衣食住は確保できていること、自分の目指す人生をなんとか過ごせていることなどがそのような意識に繋がったと思うのだが、コロナ禍の今も同じなのだろうか?先日、麻生副総理が「民度の違い」と発言されていたが、それは日本人は集団の秩序を重んじることで国の発展に貢献してきたことや、秩序を守りながらも多様性を認め主体的に行動をとることができる国民であることが今回の新型コロナウイルスの感染拡大をある程度強制力をもたなくても封じ込めている、と言いたかったのではないかと推察するが、衣食住もままならない人々が国籍を問わず世界中に増えてきている。数か月前の当たり前の社会を取り戻すためには政治家のリーダーシップも問われるが、その政治家を選ぶ国民一人ひとりの自覚も高めていかなければなるまい。


                                                                                                                                                      2020,6,6

                                              

むし歯の予防!

 昨日は語呂合わせで“むし歯予防の日”。皆さんは定期的に掛かりつけの歯科医院にてチェックアップを受けていますでしょうか?過去にむし歯の処置を受けた歯がある方は、必ず再治療の時期が来ますので、定期的に細かいところまで診査をすることが必要です。ここで一言!「むし歯の治療を行っても歯は良くなりませんよ!」。この意味が解りますでしょうか?歯を削ったその時からその歯は生涯を通して治療を繰り返す線路を走ることになります。歯を守るうえで必要な考え方は、「むし歯になる蛇口の栓を締めること!」です。むし歯の治療を否定しているのではありません。むし歯になった原因を理解する、むし歯に罹るリスクを調べる、ことなくしてどのように歯を守っていくのですか?症状が無いから歯は悪くない?ですか?


                                                                                                                                                      2020,6,5

                                              

コロナ鬱

 仕事でお世話になっている方の奥様が潔癖症であることは以前伺っていたが、この新型コロナウイルス感染が終息しないことで遂にコロナ鬱になってしまったと先日連絡を頂いた。夜も眠れず気持ちも不安定な状況が続き、精神科に掛かることになったとのこと。感染症のウィルスは身体の細胞に忍び込むが、同時にいつの間にか我々の心に忍び込んでくる。世間には“免疫力を高める‥本”なるものが沢山出版されているがのでこの際参考にしてみてはどうだろうか?但し、身体の免疫力を高めるには先ずは心の免疫力を高める必要があろう。俯くのは止めて、こんな時こそとにかく“上を向~いて、歩~るこう!”

                                                                                                                                                      2020,6,4

                                              

一億総白痴化

 通勤電車内のスマホ閲覧率はもしかしたら80%以上?と思うほど皆さんスマホと睨めっこ。電車を降車してもスマホ歩きの方も少なくない。そんなにスマホを見なければならないほどの緊急性があるのか?と当方は思ってしまうのだが、皆さんはどうお感じだろうか?先日そんな話を患者さんとしていたら、患者さんは会社の会議中にスマホを見るなと注意を受けたそうで、「メモを取っているのですが‥‥」と釈明したとのこと。世の中にテレビが普及し始めた頃に、低俗な番組がお茶の間に流れることで日本人の知的レベルが低下するのを危惧して“一億総白痴化”という言葉が生まれた。スマホを見ているだけで云々は言えないかも知れないが、とくに目的もないままネットサーフィンを続けていたり、ゲーム、SNSに時間を費やして大事な時間を無駄に過ごさないように、大人も子供も真剣に考える時が来ていませんか?

                                                                                                                                                      2020,6,3

                                              

一流

 歯科医院選びの基準は人様々かもしれないが、今であればネット検索を必ず行うのではないか?ホームページを閲覧し、口コミ評価があればそのコメントも参考にしたうえで受診を検討する。言わば“食べログ”感覚の方もおられるかもしれないが、食べログのようにワクワクしながらの評価探しではなかろう。本日は山梨県北杜市から遠路お越しになられた初診の方と、1年間根の治療を受けているが良くならないので歯科医院を探してきたという初めての方がお越しになられた。お二人の当医院に初めてかかる際の不安な気持ちをHPは取り除くことができたのだろうか?お二人の当医院への期待を越える満足を提供できたのだろうか?人のすることに絶対などはない。しかしプロである以上は全てにおいて完璧を目指したい。恩師の言葉を思い出す。「二流を目指すなら、一流を目指さないと二流にはなれない。」

                                                                                                                                                      2020,6,2

                                              

良識ある行動を!

 衣替えの季節になったものの、温暖化の影響もあり季節感が薄れてきた感じがある。以前であれば5月に30℃を超えるようなところは日本の各地ではなかった。“50年に一度の大雨”など天気・気象を報じる表現もいつしか変わってきた。近年の気象災害の規模は予想できなくなってきており、毎年どこかで甚大な被害を被っている。決して当たり前にはなっていないが、そのようなニュース報道にも驚かなくなってきた。新型コロナウイルスの感染報道もマスク装着の外出姿も当たり前になってしまうのか?緊急事態宣言は解除されたものの、我々の安心、社会の閉塞感はなくならない。3密を避け、マスク着用は我々の義務と心得、新型コロナウイルス撲滅まで個々の良識ある行動をとろう。

                                                                                                                                                      2020,6,1

                                              

人間学

 歯科医師は基礎医学、臨床医学を日々学んでいれば患者さんに満足される医療を提供できるのでしょうか?答えはNOである。経営の神様と言われた松下幸之助さん、現在で言えば宗教家でもあり経営者でもある稲盛和夫さんの著書を約20年ぐらい前から繰り返し読み返しているが、お二人の共通した考え方は(私が勝手にそう思うだけだが)およそ会社経営というのは顧客にサービスを提供する事業を展開することであり、人間の組織をマネージメントすることになるので、人間のことが分かっていなければ経営は成り立ちませんよ、ということである。私にとってそれ以来“人間学”が永遠のテーマになっており、今の職業を極める上でも重要な要素である。なぜなら、私の言ってみれば培った文化が当医院の診療・経営方針に色濃く現れてくるからだ。“歯医者は歯だけを診ていればいい“のであればAIに任せよう。医療従事者としての感性はますます重要になるだろう。幅広い分野に親しんで教養を深め、各人の感覚や感情を見つめて感性を磨いていくことが求められている。

                                                                                                                                                      2020,5,31

                                              

大事なのは教養ではなく修養!

 「今の7歳児の読書量が20年後のイギリスの立ち位置を決定する」とはブレア元首相の当時の言葉だ。政治家のみならず、どのような国、社会を創っていくのかを意識し続けることを国民は忘れてはならない。そのために今すべきこと、必要なことは何か?国、社会、会社などは兎角自分の外にあるもの、あまり関係ないと思っているようでは“人”が成長しない。国を構成しているのは様々な組織の一人ひとりの集合体だ。各人が与えられた役目を果たすことが社会のためになり、国が一つになることに繋がる。新型コロナウイルスの感染者数が再び増加傾向にある。国民に引き続き求められるのは高い意識と大人から子供まで修養という姿勢ではなかろうか。

                                                                                                                                                      2020,5,30

                                              

きっと世の中に必要とされる‥‥

 月一回のトレーニングで通院中の女の子の表情が明らかに明るくなった。状況説明を終えて診療室を後にする母親の肩をそっと叩いて“表情が変わりましたね!よかったね!”。歯科医師としてではなく、同じ子を持つ親として本当に嬉しい。子供の笑顔は何物にも代えがたい宝物だ。当医院に咬み合わせのトレーニングで通院されるお子さんが昨年から増えおり、本日も6歳のお子様の咬み合わせ相談の初診の親子がお越しになられた。きれいな上下乳歯列が並んでいるが、歯間に全く隙間がなく、これでは永久歯が生えそろわない。「小さな顎に大きな歯が並ばない」のではなく、なぜ顎が成長しないのか?を親御さんには考えていただきたい。これは歯だけではなく、子供が大人になった時の身体の不定愁訴を引き起こす要因を取り除くために行っている、10年、20年先を見据えた健全な身体の成長発育を促すために必要なトレーニングである。呼吸は鼻呼吸でするものであり、口呼吸であるならば子供に限らず改善が必要です。悪くなってから治療を行うのではなく、悪くならないような環境作りをするのが医療人としての務めである。

                                                                                                                                                      2020,5,29

                                              

当たり前の自由が‥‥

 今のご時世、アルベール・カミュのペストを読まれた方も多いのではないかと存じますが、NHKの100分de名著のテキストの中で学習院大学の中条先生が次のようなことを記載されていた。「新聞を開けばまず経済のことが目に入るし、お金をどう儲けるか、どう裕福になるかということばかりに言及する世界になってしまっている。娯楽はあるけれど、文化よりも物質的な繁栄にしか関心が向いていない。では、そういう世界は何が脆いかというと、お金という目的がなくなってしまったときに、どう生きるべきかが分からなくなるということです。」今の皆さんは如何ですか?緊急事態宣言によって仕事もできず、収入も途絶え、今までの日常の当たり前が一変し経済だけではなく精神的な余裕もないこの状況は、人によっては少し先のことすら考えることを消し去ってしまうのではないか。中条先生の言葉を引用させて頂くと“天災が存在するかぎり、誰も自由になれないのだ。”ということが腑に落ちた。

                                                                                                                                                      2020,5,28

                                              

日本人の底力を!

 再び北九州で新型コロナウイルスの新規感染者が増加し始めている。第2波か?収束させなければならないが、国民一人ひとりができる限りのことをしたうえで感染が拡がっているのであれば、ワクチンと新薬が開発されない限り、やはり新型コロナウイルスを封じ込めることは不可能なのだろうか?総理大臣も役人も様々な職場の人達も子供達も精一杯辛抱努力している。精神論だけでは乗り切ることはできないことは承知しているが、ここは忍耐力も試されている。“もう限界だ!”誰もが叫びたい。新型コロナウイルスとの戦争に降伏するわけにはいかない。日本人の底力を見せようではないか。


                                                                                                                                                      2020,5,27

                                              

タイムスリップ

 ふとした時に、過去に旅したところの情景を思い出すことがある。私が20代の頃にスイスの山々をトレッキングしたあの場所はそろそろ高山植物も咲き始めるころだろうか?などと一瞬頭に浮かべ日常の忙しない時間から離れることができると、その時間に暫く浸っていたくなる。山で感じた澄んだ空気、遠くから聞こえてくる放牧された牛のカウベルの音、すれ違いざまに交わす異国の人たちとの挨拶。アルバイトで貯めた小遣いを、2ヶ月のバックパッカーに注ぎ込んで回ったヨーロッパの旅が懐かしい。


                                                                                                                                                      2020,5,26

                                              

抜歯してインプラント治療??

 他院で右下の大臼歯の根管治療を受けていたが、症状が無くならないうえに歯根にヒビが入っているので抜歯してインプラント治療を検討してくださいと数回通院したところで主治医に言われ、納得が行かなくて歯科医院探しをしていた方が3ヶ月前にお越しになった。診査したところ根管にはクラック線を認め、歯肉も腫れている。抜歯という手段はあくまで最後の最後であり、あらゆる手を尽くしたがどうにも良くならないのであれば仕方がないが、当医院での通常の根管治療と根管内の補強処置などを行い、治療用の仮歯で暫く生活をして頂き、歯に負荷をかけても問題がないことを患者さんにも確認して頂いてから最終的な被せ物を装着する時期を決め、先日クラウン(最終的な被せ物)を装着した。患者さんとしてはこれで治療が完了したとの思いだろうが、治療をさせて頂いた側としてはこれからの予後が評価の分かれ目になるだけに、気が抜けない。“木を見て森を見ず”なる言葉があるが、この患者さんの口腔内をのぞくと他の大臼歯にもクラック線を認め、一本は抜歯されてインプラント治療がされている。ということは、当医院で治療をした歯のみならず、他の歯の悪くなった根本的な原因は共通していることがあり、それを理解することなく治療だけを繰り返し受けることは、長期的には自分の歯を失うことに繋がると信じて疑わない。そのことを患者さんが理解するためには、医療提供者側の根気ある説明が必要であり、それに対する質問があって初めて治療についてディスカッションができるのであり、納得した治療を受けるうえでは当然のことである。


                                                                                                                                                      2020,5,25

                                              

子供の歯列矯正治療

 小学低学年の男の子が毎月千葉から親御さんと一緒に治療でお越しになり、昨日もこの1ヶ月間のトレーニングの成果を確認した。結果は課題の殆んどをクリアできていなかった。歯列矯正治療というと歯にワイヤーを装着したり、今ではマウスピースを歯に装着して歯並びを改善させることを思い浮かべるかもしれないが、それらはメカニカル的な手段を使って歯並びを揃えるのであって、歯並び、咬み合わせが悪くなった原因にアプローチした治療ではない。歯並びが悪くなる原因は軟組織の問題であり、口呼吸と異常嚥下による舌を含めた口腔周囲筋の習癖を改善する必要がある。身体の成長過程にある子供たちは、間違った機能を獲得してしまうとそれらが歯だけではなく顎顔面骨格の正しい成長を抑制し、身体の歪みまでも引き起こし、成人になってからは原因不明の不定愁訴を抱えることにも繋がりかねない。10年、20年先を見据えたトレーニングを子供達には頑張って欲しい。


                                                                                                                                                      2020,5,24

                                              

日本独自の文化

 ゴールデンウイーク明けから2週間経過後の新型コロナウイルス新規感染者数の増加が心配されていたが、緊急事態宣言が解除されるなど劇的にと言ってもよいのではないかと思うほど感染者数が減ってきている。欧米やその他の国々のように法律で強制させられるのではなく、自粛要請でこの状況をもたらすことができたのは、多くの日本人にある自制心の賜であろう。歴史を遡れば、明治維新によって近代化をしていくなかで、どういう方向に変わっていけばいいのか、当時の人にはなかなか見えにくかったなかで、岩倉具視らの欧州視察や、中村正直の「西国立志論」によって時代の空気ともマッチして、西洋に追いき、追い越せという社会的な風潮とともに西洋文化が我が国にも広がり始めた。今のコロナ禍において、日本が欧米諸国よりも感染率が低く抑えられているのは、西洋文化を取り入れながらも日本独自の文化をしっかりと守ってきているからではないか?“欧米気触れ”なる言葉は今の時代耳にしなくなったが、キスやハグが当たり前にならない日本だからこそ、感染拡大を抑え込めるのではないでしょうか?マレーシアのマハティール元首相がよく日本人記者に語っていた「日本人はもっと自分たちに自信を持つべきですよ。アジアの国の中には日本の政治を悪く言う政治家もいますが、それはアジアのごくごく一部の国であって、多くの国は日本、日本人を尊敬し、お手本にしています。」という話が思い出される。


                                                                                                                                                      2020,5,23

                                              

冷感マスク

 先日もマスクのことに触れましたが、これからの季節「冷感マスク」なるものが市場に出てくるであろうことは多くの方も予想されているでしょう。スーパーで使われる保冷材をマスクに挟んで使えたら長時間は無理かもしれないが、需要はあるのではないか?なんてことを考えていたら早くも商品化したメーカーがあるではありませんか!山形県山辺町の自動販売機にお目見えした、保冷剤を詰められる「冷やしマスク」なるものがニュースになっていた。新型コロナウイルスの終息を祈りながら今年の夏は“クールビズ”に加えて“マスククール”で予想される猛暑を乗り切るか!

                                                                                                                                                      2020,5,22

                                              

筋膜リリース

 皆さん、「筋膜リリース」なる言葉をご存知でしょうか。日頃から運動をされている方であれば身体の張りや凝りが生じたときの解消法を探す中で辿り着いた方もおられるかも知れないが、日常生活やエクササイズを楽に行うためには、顔からつま先まで全身に広がっている筋膜を効率的に動かすことが必要であり、筋膜リリースをすることで、筋肉のこわばりや張りを解消し、質のいい筋肉を維持することが可能になるそうだ。実際に行ってみると身体の凝りが解消され、日頃の偏った姿勢を正すいい切っ掛けになった。ネットで何でも調べることは可能であるが、正しいやり方はやはりプロのトレーナーに教わるべきであり、我流で取り組むのは身体を痛めることにも繋がるのでご注意を!

                                                                                                                                                      2020,5,21

                                              

医療コミュニケーション

 私が20代の頃、新聞の紙面でいろいろな調査にある「あなたにとってよい医師とはどんな人ですか」という問いに共通する答えは「話すことをきちんと聞いてくれる人」「コミュニケーションが取れる医師」ということが載っていた。当時私は臨床医として駆け出しであり、すべてのことを吸収する思いで日々を過ごしていたので、この記事を読んだ時のことを今でも鮮明に記憶している。これらは医師である前に人として社会生活を営んでいくうえで当たり前のことではあるのだが、この基本的なことが身に付いていない医師、社会人が世の中に産出され始めた頃だったのだろうか?先日、メーカーからのDMに「患者さんへのコンサルテーションの極意!」なるものが送られてきた。不要なので開封もしなかったが、マニュアル人間ではいつまで経っても「患者の気持ちがわかる医療人」にはなれない。聞く、書く、話すというコンサルテーションのさまざまな局面で、常に他者を意識する習慣を身につけることが重要なのではないか。今日も治療の相談と説明で1時間近く時間を要したご夫婦がお越しになられたが、必要なのはセルフモニタリングができる能力。常に自分を客観視できる人でありたい。

                                                                                                                                                      2020,5,20

                                              

洒落たマスク!

 先日、定期メンテナンスでお越し頂いている患者様から手作りマスクをプレゼントされた。街中を行き交う人々のマスク姿の中にもお洒落なお手製マスクを見かけるようになったが、頂いたマスクも大変素晴らしく、使用するのが勿体ないぐらいである。我々医療従事者が手に入れたいLEVEL3のマスクは生憎手に入らないが、マスクで個性を発信する時代になるかも?これからの蒸し暑くなる季節、ネット上では“冷感マスク”なるものが登場してきたが、アイデア次第で思いがけないヒット商品が皆さんの中から生まれるかも知れませんね!

                                                                                                                                                      2020,5,19

                                              

鼻うがい

 ウイルスが最初に感染を起こす部位は鼻咽腔です。発症するまで平均5日の潜伏期間がある新型コロナの場合、たとえウイルスを吸い込んでも毎日「鼻うがい」をすればウイルスが細胞に取り込まれる前に洗い流すことができる可能性があります。痛くない鼻うがいの仕方については当医院HPのリンク先“日本病巣疾患研究会”にアクセスしてください。

 今日の通勤時にマスクを掛けていない人とすれ違いました。うっかりマスクを忘れたのか、気が緩んで大丈夫だと思い込んでいるのか?何れにしても新型コロナウイルスが消滅したわけではないですから、暗黙のルールは守りましょう!

                                                                                                                                                      2020,5,18

                                              

生き方

 開業前のこの時期にオーストリアのハイリゲンシュタットを訪れ、緑あふれる小川沿いの道を散策したことがある。ベートーベンが「田園」の想を得たところで、ワインも美味しい地方である。先日指揮者の小林研一郎さんの記事を目にして、以前小林さんの指揮する「田園」を聴いたことを思い出した。情熱的な小林さんのタクトはオーケストラだけではなく聴衆までもベートーベンの世界へ導く。小林さんは雑誌の対談の中で、「太平洋に小さな小舟を漕ぎ出して、どこまで行っても水平線しかない。近づこうとすればするほど、さらに水平線が遠のいてしまうという、いまもそんな感覚で生きているんです。この地球はベートーベンという素晴らしい人物を250年前にこの地球に誕生させてくれた。そのために僕たちはその後を追うことができるという喜びが、常に心にありますね。」と語っていた。常に新しい感動を得て自分をクリエイトしている方の生き方は美しい。

                                                                                                                                                      2020,5,17

                                              

歯の治療経験

 初診でお越しになられる方の共通項として、ご自身の歯の治療歴をほとんど正確に覚えていないことが挙げられる。大事な身体の治療を受けたにも拘わらずである。当の私はどうかと言えば、大学入学以前は何箇所か治療を受けたことはあるが、当時の治療内容までは覚えていない。覚えているのは、歯科医院の独特の匂いと、痛みを我慢しながら治療を受けたということぐらいか?歯科大学入学以降は治療もなく、当たり前かもしれないが口腔内の状態は健康を維持している。ではなぜ歯科に関しては治療歴があるにもかかわらず、正確に記憶していないのか?一言でいえば“意識の低さ”であろうが、歯科医療者側の診療体制にも改善すべき点が多々あろう。当医院に来院される皆様には、私の治療履歴や経験が役に立っていると信じたい。

                                                                                                                                                      2020,5,16

                                              

歯並び・咬み合わせの治療

 歯並びの乱れ、上下の咬み合わせのずれを抱えたまま成人を迎えると、口腔内以外にどのような影響を及ぼすと考えられるのか?咬み合わせの平面をX軸、脳頭蓋を支えている頸椎をY軸とすると、X-Y軸の交点に相当する第二頸椎に掛かる重心の偏位から首回り、肩の凝りが生じやすくなる。誰もが症状が出るわけではないが、自律神経が身体のバランスを整えようとして姿勢のバランスとり、呼吸がし易いよう気道を確保広げるために顎を前方に位置させたりする。しかし、適応の裏には代償という生体反応があると考えるべきで、人によっては40、50歳代になってそのしわ寄せが身体の各所に症状を引き起こす。当医院の患者さんの例では、「ある時から腕がしびれてきて雨戸が開けられなくなった」、「腰痛を繰り返している!」など。そのような方は機能的矯正治療や咬み合わせの高さを調整(歯を削るのではない)をすることで、抱えている不定愁訴が改善する方がいる。但し、このような症状が出てから行う治療は下流医療であって、すべきは上流医療、言ってみれば症状が出ないように、子供の時に歯並びを乱す原因の軟組織の口腔周囲の筋機能癖を是正するトレーニングを行うことが求められる。当医院の子供たちの治療は矯正治療ではなく、不正咬合や顔面成長に影響を与える軟組織に対する処置です。子供のやる気が治療結果に大きく作用します。

                                                                                                                                                      2020,5,15

                                              

スマホ漬け!

 道を歩いているとスマホ人間とすれ違い、駅においては電車待ちの9割以上の人がスマホと睨めっこ。そして電車に乗ればスマホ画面を開きながら夢見る人も。世の中新型コロナウイルスだけでなく、スマホ感染症になっていませんか?スマホが無くなったら現代人は生きていけない?至極便利な代物ではあるが、その使い方を考え直してみては?瞬時に知りたい情報を得ることはできるが、いくら情報を搔き集めても身になる知識まで高めることは出来ていないのでは?もっと自分の潜在能力を生かして、スマホでは得られない充実した日々を過ごそうではありませんか!我々の脳は全体の3%しか使われていないとはあの湯川秀樹博士の言葉だったか?

                                                                                                                                                      2020,5,14

                                              

私の恩師

 開業するまでお世話になった恩師が都内で開業されているが、今日はその恩師の治療で久しぶりに診療室を訪ねた。私が勤務している時から師匠は治療技術の向上に余念がない方ではあったが、現在もバージョンアップされており、今日も後輩である私にいろいろとご指導を賜った。歯科治療においては治療器具も日進月歩しており、ハード面においての環境を整えていくことは欠かせないことではあるが、それ以上に現状に満足しない飽くなき向上心の衰えのないところに敬服する。高校時代はラガーマンとして国体代表チームの主将も務めたスポーツマンであり、常に周囲に目配り気配り心配りを忘れない方である。患者さんはそのような先生の人柄に信頼を寄せ、安心して治療を受けられているのであろう。歯科医師としては勿論ではあるが、一人の人格者としての姿に背筋が伸びる思いがした。

                                                                                                                                                      2020,5,13

                                              

私の隠れた名トレーナー

 私は毎月身体のメンテナンスを兼ねてトレーナーの先生のところに通っている。当ホームページにもリンクさせて頂いているacu placeの大饗(おおあい)先生のお世話になっているのですが、毎回施術前後では全く違う身体になる。当たり前?と思う方もおられるかもしれないが、先生の診断力と身体の不調和の原因説明の的確さには毎回恐れ入る。長年の習癖、体幹の歪みを数回の治療で完全に良くなる(元の状態に戻るという意味で)ことを期待するのは無理があるかも知れないが、なぜその様な状態になったのかを知ること、理解させて頂けることは、これから先の自分の身体をケアしていく上ではこの上ない喜びであり安心である。新型コロナウイルス感染拡大によって室内トレーニングをされている方も多くおられるかもしれないが、間違った身体の動かし方は危険である。先ずは自分の身体を知ることから始め、状態にあったトレーニングを継続することが、心身ともに健康を維持する秘訣であろう!歯のチェックアップだけではなく全身のボディコントロールも忘れずに!

                                                                                                                                                      2020,5,12

                                              

学び

 「もし20歳の頃に戻ることができるなら、先生は何をしたいですか?」と唐突に患者さんに聞かれた。「ハーバード大学に留学してみたいですね!入れないでしょうけど(笑)!」。なぜハーバード大学なのか。理由の一つは自分の接したことのない価値観の違う人たちとの交流だろうか。ハーバード大学でなくても構わないかも知れないが、以前当医院の患者様の身内の方がハーバード大学に留学していてその方の話の内容に興味があったということが大きな理由である。「一つのクラスに様々な人種、多様性が体現されていて、一つのテーマに各々が意見を出し合うだけで、ものすごく刺激を受けて、自分の視野の狭さに驚愕した、固定概念が崩れていくようだった」とその方の義理の弟さんが仰っていたと語ってくださった。今までの人生経験から来る反省もあるので私は今、より貪欲に学びたい。何も留学だけが学びではないが!

Your hard study will build a rainbow bridge to your brilliant future!

                                                                                                                                                      2020,5,11

                                              

朝鍛夕錬

 当医院では歯科衛生士の1名の募集を年明けから行っており、数名の方が面接と診療の見学にお越しになられたが、当方としては何か物足りなさを感じて採用をお断りさせて頂いている。勿論今すぐにでも人員は欲しいことに変わりはない。社会人は学生とは違いお金をもらう立場になる。どんな職業に就こうとプロフェッショナルである。その自覚が足りていないのでは?経験の浅い頃は自信を持てないものだ。初めから何でもできる人間なんていない。それでも自分なかにテーマをもって日々精進していれば、見えないものが見えてくる。よき先輩の真似をするときには、その形ではなく、その心を真似することが肝要だ。志のある歯科衛生士よ来たれ!

                                                                                                                                                      2020,5,10

                                              

むし歯の治療?

 先日、むし歯が出来たみたいなので治療をお願いしたいという小学生と親御さんが来院された。診査したところ複数個所むし歯の箇所を認めた。先ずは状況を説明するためにレントゲン画像と口腔内写真を使って説明を行い、続けて歯を削るということで歯は良くはならないということを、開業以来蓄積した患者さんの画像などを使って約30分近くプレゼンをさせて頂いた。この子の歯を生涯にわたって守るためには口腔内のむし歯のリスクを減らしてコントロールすることであり、そのためにはむし歯のリスク検査が必要だということを理解して頂き、親御さんの同意もあり、本日そのリスク検査を行う準備をしていたのだが、診療室で確認をしたところ「検査はしません」とのこと。子供には罪はないが、親の姿勢には呆れてしまう。当の本人は歯の治療を繰り返して何本も失っているのに、同じ経験を子供にもさせたいのか?このブログをお読みの方に誤解のないように説明を加えますが、初期のむし歯であれば、口腔内のむし歯のリスクを減らしコントロールさえ継続できればむし歯の進行を抑えることができます。歯を削った時点で延々と生涯にわたって治療を繰り返す線路を走り出すことになります。歯医者の仕事は歯を削ることではなく、歯を削らないような環境を整備すること、情報を提供することです。究極は、世の中から歯医者がいなくなることかもしれません。

                                                                                                                                                      2020,5,9

                                              

知識・見識・胆識(2)

 通院でお越しいただいている方から「先生のブログのなかで知識・見識‥‥?」ってありましたけど最後の「‥‥」?はどういう意味ですかと質問を受けた。僭越ながら解説をさせて頂いたのだが、知識・見識・胆識の3密ならぬ3識には数年前にある書物で出会った。知識というのは初歩的なものであり、知識がなければ物事の判断ができず判断力が欠如する。この判断力のことを見識といい、見識の次に実行という段になると肝っ玉というものが必要になる。これは実行力であり、このことを胆識のある人という言い方をします。従って知識だけ詰め込んで頭でっかちであってもその知識が結びついて役に立つ見識にまで高められないと良識のある人とは言われないだろうし、見識の上に立って実行を伴うことでまともな社会生活を営むことができることに結び付くということだと思います。

                                                                                                                                                      2020,5,8

                                              

院内感染予防対策

 当方は明日から診療を開始するが、緊急事態宣言は5/31まで延長された。当医院の定期メンテナンスでお越しいただいている方々には症状が無ければ予約を先に変更させて頂いているが、その変更もどれくらい先にすれば良いのか見通せない状況だ。現在治療中の患者さんは区切りの良いところまでは進めるしかない。都内の感染者数は38人と4日間連続で二桁との報道であるが、果たして38人の分母は何人なのだろうか?歯科医院での感染リスクについて民放TVで報道されていたと先週患者さんから伺ったが、その方からは“先生のところ全ては個室になっているし、こう言っちゃ何だけど、患者さんは多くないから安心でしょ()”と言われた。新型コロナウイルス感染拡大の前後において当医院の感染予防対策は何ら変わっていません。

                                                                                                                                                      2020,5,7

                                              

心の乱れ

 ゴールデンウイーク中に部屋の整理整頓や断捨離を行っている方も多いのではないでしょうか?私もその一人であり、半日かけて机、本棚回りの景観を良くした。机に至っては半分近く積読状態の本で面積を奪われ、机のCPUが低下していた。スッキリした机を前にして、以前あるテレビ局が甲子園球児を取材した番組の中で球児達の寮の部屋が映し出されていたが、あまりにも室内が綺麗になっているので取材のために掃除されたのかとの質問に主将が「いえ違います!部屋の乱れは心の乱れに繋がるので普段から整理整頓には気を付けています。」と答えていたのを思い出した。昔の同じ高校球児としてお恥ずかしい限りである。

                                                                                                                                                      2020,5,6

                                              

知識・見識・胆識

 今日も新型コロナウイルス関連のブログになってしまう。新聞の一面、ネット、TVとあらゆる情報の媒体の挨拶代わりが新型コロナウィルス感染症だ。故郷や行楽地の人出の昨年比は80~95%減、新幹線に至っては一車両に一人の乗車との報道も。強制力も罰則もない自粛要請でこの数字を残せるのは世界を見渡しても日本しかできないのではないか?我々はもっと日本人としての誇りを持とうではありませんか?しかしである。この誇り高き日本人とは異なる自己中日本人が多くいることも現実である。日頃から、知識、見識、胆識のある行動生活が求められる所以である。

                                                                                                                                                      2020,5,5

                                              

マスクラン!

 気候的には過ごしやすい季節になってきた。皆さんお住いのエリアでも同じ光景が見られるのではないかと思いますが、マスクを付けたランナーが増えましたよね!私は毎年冬の季節は喉を冷気から守る意味でマスクを装着して走っていましたが、気温も20℃を超えた状態でのマスクは正直呼吸が苦しく感じる。そうでなくとも息苦しい日常生活なのに、爽やかな外気を吸いながらランニングはしたいものだ!ただ、この“マスク装着ラン”は悪いことばかりではない。呼吸の観点から一言申し上げると、高地トレーニングに相当する効果も期待できるのだ。但し、口唇を閉じて鼻で呼吸が基本である。ランのペースを落としてでも構わないので、チャレンジしてみては!(結構くるしいですよ!)

                                                                                                                                                      2020,5,4

                                              

子供の成長

 大型連休も後半の方もいれば折り返しの日に当たる方もいよう。当方は今日から連休のはずだったが、昨晩矯正治療中の患者様から装置が取れてワイヤーが歯肉に当たっているとの連絡を受け、今朝方診療室に出向いた。例年なら旅行か少し遠出をして直ぐには治療もできないが、今年は怪我の功名とでもいうのか事なきを得た。成人矯正は治療はともかく、子供の矯正治療は身体の成長、顎顔面骨格の正しい成長を促すことによって歯が顎骨に収まるように誘導することが当医院の治療方針なので、1ヶ月という期間は子供たちにとっては精神的な面だけではなく身体の成長にとっても後戻りのできない貴重な時間である。いつも以上に家族で起床時間に気を付け、メリハリのある一日を過ごして久しぶりの登校の際には担任の先生に元気な姿を見せましょう!

                                                                                                                                                      2020,5,3

                                              

良識

 世界の新型コロナウイルス感染者数は増加の一途をたどっているが、日本の新規感染者数は幾分下降線を描くようになってきたのか?公表される感染者数は果たしてどこまで実数に近いのか?疑ってしまえば切りがない。東京都の感染者数も二桁と三桁を行き来している有様だ。「自粛って何ですか?」と河川敷でバーベキューをしている輩を見たら皆さんならどのような感情が湧きますか?日頃から相手のことを念頭に置きながら仕事や生活をしているのであれば、おそらく「皆が我慢しているのに自分勝手な‥‥」と思う方が多いのではないか。自粛要請は法律で強制されるものではないが、仮に法律で規制をしたとしても必ず法の抜け道はある。今我々には良識の有無が問われている。何も難しいことではない。常に相手のことを思って行動するだけのことだ!

                                                                                                                                                      2020,5,2

                                              

総合歯科!

 5月最初の初診患者さんが来院された。他院で抜歯しかないと言われどうしても抜きたくないとの思いからお越しになられた。今まで歯科治療のために何十年も歯科医院通いをされていたにも拘わらず、口腔内の状態は改善されていないどころか悪くなっているようにも診受けられた。根本的な原因を取り除くことが医療のはずだが‥‥。「歯を抜いたらインプラントでしょうか?」と質問を受けるが、インプラントは決して歯の代わりにはならないというのが私の一貫した考えだ。誤解して欲しくないのだが、咬めるようにはなるかも知れないが歯の代わりではない。長所があればデメリットもある。ここまでに至った原因を知ること、これから先どのような治療をすることがベストではないかも知れないがベターなのかを患者さんの頭でしっかりと理解するまで待つことも治療には必要だ。咬み合せ、歯周病、むし歯にはそれぞれ原因があり、お互いがリンクして口腔内の環境が悪化します。ドクターに言いなりの治療を受けることが決してベストだとは限らない。先生と納得できるまで話をしてから治療を受けるのが基本ですよ!

                                                                                                                                                      2020,5,1

                                              

COVID-19

 新型コロナウイルスの感染拡大は一進一退である。ニュースやネットで公表される感染者数にいつの間にか慣れてしまった感があるが、緊急事態宣言の意味をしっかりと理解する必要がある。どれだけ病原体が伝播しやすいかを表す数値として基本再生産数があるが、1人の感染者から10回伝播した場合の患者数を示している。この数値を小さくすることが今求められている。もっと詳しく知りたい方はネットで検索して調べて頂きたい。4/7に発令された緊急事態宣言の目的は、この数値を下げて感染拡大を阻止し、欧米のような医療崩壊を防ぎ、感染の爆発(オーバーシュート)を予防することであり、感染の収束ではない。有効な治療薬ができてワクチンができない限りはウィルスの根絶にはならない。天然痘を克服できたのは、世界中からウィルスを根絶できたからだ。新型コロナウイルスとの闘いはまだ始まったばかりだと認識しなければならない。

                                                                                                                                                      2020,4,30

                                              

 今日の予算委員会における野党の元文部大臣(女性)の質問には呆れてしまう。なぜあの方が国会議員をされているのか?批判をすることが野党の仕事だとお考えなのだろうか?政治であろうと会社であろうと組織の中での議論は建設的なものでなければならない。“人との接触を少なくとも7割、できれば8割下げていただく”の政府要請は、どうみても達成されていない。それは安倍総理の問題なのか?

「命も要らず名も要らず、位も金も要らない人は、始末に困るものである。しかしそういう始末に困る人でなければ艱難を共にして国に大きな貢献をすることはできない。つまり、無私無欲で己を捨てて他人や大義のために尽くすことのできる人物であり、その背景には、志の高さ、強い信念、勇気、誠実、慈愛の心など、いつの世でも何処の国でも求められる普遍的な美質がある。」

今、求められている政治家はこのような人物像ではないか?と泉下の西郷どんに尋ねてみたい。  

                                                                                                                                                      2020,4,29

                                              

ゴールデンウイーク

 朝の陽ざしが随分と眩しくなってきた。例年ならゴールデンウイークを前にして連休の予定を考えるだけで非日常を味わえて気分も高揚してくるようなものだったが、今年は社会情勢が一変し、朝から晩まで新型コロナウィルスが頭から離れない。カレンダーの朱色の日付が四日連続で並んでいるのを見ても、“あっ、ゴールデンウイークか!”ぐらいの感覚だ。行楽地でも“お願いですから来ないでください!”の声。ため息をつくと幸せが逃げていく、笑顔は幸せを引き寄せる。こんなときこそ普段より笑顔を心掛け、笑顔の多いゴールデンウイークを過ごしましょう!     

                                                                                                                                                      2020,4,28

                                              

オンライン生活

 世間ではテレワークが当たり前になった感があるが、仕事の成果や効率はどうなのだろうか?当医院においても先週末参加予定のセミナーがPCを使って行われたが、会場におけるセミナーとの違いはないかと言えば、参加者全員の表情が見えることか?小中高においても学校によってはすでにオンライン授業が行われている。教室では黒板を診ながら授業を受けることから授業中に友達の顔、表情を見ることはないが、オンライン授業ではクラスメイトの表情を見ながらの授業になっているとしたら、普段とは違った新鮮味もあるのか?毎日決まった時間に通学、出勤することで生活のリズムをとっていたものが、在宅ではメリハリが無くなって集中力が低下してしまわないのか?早くコロナ騒ぎを早く終息させて、五感を働かした生活環境を取り戻したい。                   

                                                                                                                                                      2020,4,27

                                              

アベノマスク

 布マスクの配布が始まったが、衛生管理が行き届いていないような工場で生産されたようなマスクが出回っているのはどういうことなのか?かび、髪の毛の混入など以前の日本のモノづくりの現場では到底考えられない恥ずかしい事態だ。但し、報道によれば生産している工場は日本の委託している中国の工場とのこと。スペインでは大量に中国から購入した人工呼吸器があまりにも粗悪品が多いので送り返したとの報道もあった。いつまで中国と付き合うのか?全世界の指導者は、良識ある人、良識ある国家との外交関係の樹立を再構築すべきことに舵をきるべきではないか?経済中心の考え方が、人間の判断基準を歪めていることに気付いているはずだが‥‥                           

                                                                                                                                                      2020,4,26

                                              

当たり前の日常

 新型コロナウィルスの感染拡大が一向に終息する気配がない。それどころか岡江久美子さんの命もあっという間に奪ってしまった。いったいこのウィルスは何様のつもりだ!日常のすべてが変わってしまった。我々の心の様相も変わってきてしまうのか?いや既に変わっているのにそれに自分が気付いていないだけなのか?ごく当たり前の日常がどれほど幸せだったのかを思い知らされるコロナ禍である。ニュースでは新幹線の乗車率がゼロ%との報道も。政府の一層厳しい外出自粛要請が出ているが、今年の大型連休は“Stay home”しながら、今までの日常が果たして正しかったのかを見つめ直す機会にしてみたい。                               

                                                                                                                                                      2020,4,25

                                              

役に立つ学問とは

 東奥日報のコラムに「官僚とだけ話をしているいと、理屈でしか考えなくなるから世の中の空気が分からなくなる」と安倍総理が周囲に吐露したと掲載されていた。そう言うことなんですよ、安倍さん!と多くの国民は同感するのではないか?官僚の方々も国のため使命感を背負って仕事をされているとは思うが、どこかで自己保身的な仕事をされている方もいるのではないか?官僚になるぐらいだから頭もそれなりに良いのだろう。しかし、身につけた知識や学問が実社会で役に立たなければ何の意味もない。感性も大事でしょ!諭吉先生は言ってましたよ、「一生懸命にやるべきは、普通の生活に役立つ実学である」と。

                                               

                                                                                                                                                      2020,4,24

                                              

PLAYBACK!

 “If I wasn't hard,I wouldn't be alive.If I couldn't ever be gentle,I wouldn't deserve to be alive.”

どんな時代であろうと生き抜くためには覚悟が必要である。すべての答えは自分の心にある。若者諸君!自分が良いと信じる方向へ向かって前進せよ!

                                               

                                                                                                                                                      2020,4,23

                                              

ランナー

 5年ぐらい前から健康維持のためにランニングを継続しているが、最近はめっきり月間の総距離が減ってきた。当医院の患者さんにも結構ランナーがいるのだが、皆さん全国のフルマラソンに参加してそれなりの成績を収めている。皆さん身体が引き締まっていかにも運動してますと言わんばかりの体型だ。新型コロナウィルスの感染拡大と私のランの減りとは直接は関係はないのだが、気が滅入っているわけではないのにどうもテンションが上がらないのは潜在意識に感染拡大と仕事のことが頭から離れないからだろうか?予約患者さんのキャンセルの電話が入った。“熱は全くないのですが、のどがちょっと痛いような気がするので念のためキャンセルさせてください。私のことで先生や医院に御迷惑をお掛けしては申し訳ないので!”。こちらへのお気遣いには感謝申し上げる。お互い何とか感染を防ぎたいものだ。免疫力向上を図って今日は久しぶりに爽快なランを楽しんだ。とは言っても“マスクラン”だったが‥‥

                                               

                                                                                                                                                      2020,4,22

                                              

遅刻、無断キャンセル

 遅刻をする方は必ずと言ってもいいほど5~10分遅れて来院される。こちら側も“あっ、また遅れてくるかな?”と思うわけではあるが、良い気分ではない。予約時間を20分も過ぎたら“今日は無断キャンセルか‥‥”と次の患者さんの準備に取り掛かった頃に“遅れてすみません!”なんて言って待合室に入ってくる。皆さんはどうお感じになられますか?私の感想は‥‥緊張感が全くない。遅刻をしてしまうのは、どこかで仕事や相手への敬意を欠いているからではないか。歯科医院への通院は人によっては複数回になるので、たまには遅れることもあるかも知れない。しかし、無断キャンセルはどうだ?今日も一件無駄な1時間を過ごさせて頂いた。無論、無駄な時間などこちらには存在はしないのだが!

                                               

                                                                                                                                                      2020,4,21

                                              

自立自助

 最初にこの言葉を目にしたのは私が浪人生活の頃だった。大学受験の失敗を繰り返し、自信を失いかけ、親にも申し訳ない気持ちが募り、自分の視野が狭くなっていく。メンタル的な弱さが物事をマイナス思考にし、何をやっても上手く結果に結びつかない負の連鎖に陥っていた。“天は自ら助くる者を助く”。サミュエル・スマイルズの自助論に出てくる有名な言葉だ。明治維新の頃西国立志編と改題され、国を良くしたいと志を持った国民に多く読まれ、国作りの精神的支柱になったとも言われている。国難にある今、休校にて家にいる子供達にはYou Tubeもいいが、良書を読んで偉人達との対話もこの機会にしてみてはどうか?

                                               

                                                                                                                                                      2020,4,20

                                              

アベノマスクと危機管理能力

 総理大臣の使命は何か?日本国民の生命を守ることである。それならばなぜ早い段階で外国からの入国制限ではなく入国禁止措置をとらなかったのか?と多くの国民は思っているのではないだろうか?経済活動への影響を考慮して?他国への忖度?など理由を挙げればきりがないだろう。リーダーに必要なことは“決断力と行動力”。全国民が新型コロナウィルスに感染でもしたら経済どうのこうの言ってられないことがなぜ安倍さんは分からんのか?一世帯に30万支給?一人ひとりに10万円支給?リーダーが縦軸をもって生きていないから、哲学がないから原稿を読まないと会見ができないのではないか?原稿を読むだけなら私にでもできる。自分の言葉で、信念をもって国民に訴えたら、国民の心に言葉が響くのではないか?アベノマスクのサイズが合っていないのは、国民の感覚とのズレのように思えるのは私だけか?

                                               

                                                                                                                                                      2020,4,19

                                              

己を知る

 松下幸之助さんの“道をひらく”のなかに「己を知る」というページがある。戦いはまず敵を知ることから始めよと。しかし、敵を知る前に、本当はもっと大事なことがあるのではなかろうか。それはつまり“己を知る”ということである。己を顧みるということである。己を知らなかったら、戦いには必ず敗れる。連戦連敗。その敗因は我が身にあり。新型コロナウィルスとの戦いに負けは許されない。今までの日々の己の行動、習慣をこの週末に振り返ってみませんか?

                                               

                                                                                                                                                      2020,4,18

                                              

社会的距離(ソーシャル・ディスタンス)

 報道ではソーシャル・ディスタンスと言われているが、ここでもなぜ“社会的距離”と先に日本語で表現しないのか?豊臣秀吉が日本語を世界の共通語にすると夢見ていたそうだがそれは夢のまた夢!まぁ、そんなことを愚痴っても仕方がない。通勤電車の車内風景が変わった。7人掛けの椅子に4人ぐらいが間を開けて座っていると今までなら“宜しいですか?”と遠慮がちに声をかけて座らせてもらったものだが、皆さん視線は空いた座席に目はいくが、その前に立ったままスマホを眺めている。今まで通り詰めて座ったからといって感染するわけではないだろうに、周りの人の目線が気になるのか、それとも間を開けて座っている人への気配りなのか?私の場合は身体が大きいので、横にこんな大きな人が来たら嫌かな?と思われたくなにのでついつい立ったままでいる(笑)

                                               

                                                                                                                                                      2020,4,17

                                              

今こそ“オールジャパン!!”

 連日医療現場の過酷な状況がネットや新聞、テレビなどで報道されているが、大変なのはどこも同じ。当医院の患者さんから“こじんまりした小さなイタリア料理店だけど凄く良いシェフで、料理も美味しいので先生機会があったら行ってみて!今はテークアウトを始めたから先生本当にお願い!”と紹介された。それならばと、昨日は妻の誕生日でもあるので早速テークアウトの予約をさせて頂き取りに伺った。誠実さが人柄に表れている素敵なシェフだ。オードブル、ピザ、パスタを茹でる際に使う岩塩も付けて頂いたポローネゼ等すべてが格別だ!近隣の方は是非ご賞味あれ!飲食店のテークアウトを普及させ、感染拡大のピークアウトをオールジャパンで早く迎えようではないか!

Trattoria GHI-HEI

https://tabelog.com/kanagawa/A1405/A140504/14013379/



                                               

                                                                                                                                                      2020,4,16

                                              

クラスター感染

 一日の終わりに5分でも“自分の今日一日”を振り返る時間を設けてみてはどうか?仕事の明日への課題が見つかるかもしれない。予定通り事が運ばなかったことの反省にもなるか?反省・・何事も完璧な人はいない。だからこそ日々自分を律する生活が求められる。何も誰かに強制されるような話ではない。法律には触れていないから、罰則はないから、で許されるのか?弘前大学医学部の卒業生の感染拡大時期のヨーロッパ旅行が明るみになった。人として正しい行動規範が求められるのは言うまでもない。                                                  

                                                                                                                                                      2020,4,15

                                              

コロナ疲れ

 武漢での新型コロナウイルス感染が3~4か月で全世界にこのような状況を作り出すとは誰が予想したであろうか?専門家は想定していたのだろうか?いずれにしても見えない敵との闘いは、特効薬がない現時点では不安が募るばかりである。新型コロナの話題が挨拶代わりでは、1日のモチベーションが上がらない御仁もいるのでは?WHO(世界保健機関)や政府の対応に物申したい方も多いとは思うが、今我々に求められていることは、密接場面の3密を避けることである。誰が悪いと犯人捜しをしたところでこの感染拡大は抑えられない。国民に“徳”があるかないかによって終息時期が決まるのではないか?

                                                    2020,4,13

                                              

学び

 ほとんどの学校は5/6まで休校となり、子供達の元気な登校風景が無くなった。小中高生はそれぞれどのようにこの一か月を過ごすのか?“少年老い易く学成り難し 一寸の光陰軽んずべからず”とは子供の頃によく父に言われた。当時は意味すらよく知ろうとしなかったが、脳裏には焼き付いている。子供だけではない。“最近は年輪を刻むように年を取る人が少なくなった”とは小林秀雄氏の言葉だが、歴史を辿って一寸の光陰を惜しんで学んだ先達から我々は学び直す必要があるのでは。人はいくつになっても学び続けるしかない。人生は生涯をかけて自分を完成させていく修養の過程。

                                                    2020,4,12

                                              

バックパッカー

 学生時代には家庭教師などのアルバイトで夏休みの一人旅資金を貯めた。トランジットで宿泊したモスクワでは限られた時間の市内観光で、当時超大国アメリカと覇権を争う国としてはあまりにも荒廃した街並みに唖然とした記憶が残っている。ロンドン上空から眼下に見えた市内のカラフルな街並みは、ヨーロッパへ到着した実感と興奮が抑えられなかった。イギリスからフランスへは英仏海峡を船で渡り、カレイ港が見えてきた時には甲板の上で見知らぬ旅人と“オーシャンゼリーゼ~!”を腕を組んで歌っていた。懐かしい!そんな国々も今は国難に立ち向かっている。先の見えない新型コロナウィルスとの戦いを世界が協力し合って一日も早い終息宣言を出したい。異邦人を実感できるバックパッカーの旅を若い人たちができるように!

                                                    2020,4,11

                                              

梅・桃・桜

 私が20代の頃、蕎麦屋のテーブルに今にも淡いピンクの花が咲きそうな蕾を付けた枝が飾られていた。“これは梅ですか?桜ですか?”と尋ねたら“桃です!”と店員のお姉さんに笑われた。それ以来桃の花は勿論だが、梅・桃・桜を間違えることはない!今年は花見どころではない4月上旬となったが、例年通り満開になった自由が丘の桜並木も、気が付けばゆっくりと眺めることもなく、新型コロナウイルスを避けながら歩いていた。来年は、希望に満ちた春、のどかな心を取り戻せていることを願いながら、今日のブログを閉じるか!

                                                    2020,4,10

                                              

人は勝手な生き物か?

 3ヶ月ぐらい前に表面化した武漢での新型コロナウイルスの感染拡がりが、春節の休みを利用して来日する多くの中国人から本邦にも拡がるのではないかと危惧する声が多くあったのは記憶に新しい。お人好し政府の無策ぶりにも落胆したが、当時北海道で感染が拡がり複数の日本人の感染が出たことで、北海道から東京への移動を控えるべきではないかという意見もあったと記憶しているのは私だけだろうか?今はどうかと言えば、長野県の軽井沢のスーパーの駐車場には品川ナンバーなどの別荘族と思われる車が溢れているとのこと。身を守るための避難?症状のないままウィルスを軽井沢に運んでしまう?なんてことは当の本人たちは考えもしないのだろうか?感染したくて感染するものなど誰もいない!日々感染者の数字だけが増加していくが、その原因の一端はもしかしたら自分かも知れないという戒めが必要であろう!

                                                    2020,4,9

                                              

緊急事態宣言の翌日

 いつも通勤で使う今朝の6:20頃の電車はさすがに空いていた。日経新聞の朝刊には“日本の民主主義社会の強さが試されている”と載っている。何のための緊急事態宣言か?一人ひとりがしっかりと意味を理解しなければ、何の効力も発揮されないであろう。東京都医師会の重要なメッセージを心に留めてください。「皆さん想像してみてください。新型コロナウィルス感染症に、もしも今この瞬間から、東京で誰一人も新しく感染しなかったら、2週間後には、ほとんど新しい患者さんは増えなくなり、その2週間後には、ほとんどの患者さんが治っていて、その2週間後には、街にウィルスを持った患者さんがいなくなります。だから今から6週間、皆さんが誰からもうつされないように頑張れば、東京は大きく変わります」。

                                                    2020,4,8

                                              

緊急事態宣言

 安倍総理の記者会見を皆さんはどのように受け止めたでしょうか?1億2千万の日本人の生命を守るための英断を下した?もっと早く決断すべきだった?強制力はないので実効性がない?など様々な意見があるかも知れないが、苦渋の決断であったことは間違いない。日本は欧米のように罰則や強制力を行使しなければ行動に移せない国民ではないと信じたい。こういう時こそ日常の生活習慣、ものの考え方の習慣が現れてくる。良識のある行動、国民性を世界に示そうではないか!

                                                    2020,4,7

                                              

研修医の集団感染

 未曾有の感染症に対して身の危険を冒しながらも患者の対応に当たっている医療関係者には頭の下がる思いである。当医院にお越しになられた看護師さんからも“正直なところ怖いです!”とのお言葉。一方で、報道内容が正しければと断りを入れさせて頂くが、研修医の集団感染の経緯を知ると腹立たしくなる。医療者としての資質に欠ける、医師としての自覚が欠如していたのは言うまでもないが、修養ということを知らずして大人になるとこういう輩になるという典型ではないか。医者だけではない。国会議員でさえも、法務大臣に任命された人でさえ、公職選挙法に違反するのではないかと世間を騒がせている。故渡部昇一先生が以前仰っていた。“教養は試験で計れるけど修養は計れない。修養は学んだことを心で受け止めて、自分をより高めようと思い続ける努力が求められます”と。

                                                    2020,4,5

                                              

医療崩壊

 当医院は通常の診療体制を今のところ維持できているが、新型コロナウイルスの感染者の通院が確認されたりスタッフの感染が起きれば休診せざるを得なくなる。本日来院された病院勤務の看護師さんの話をでは、この1週間で職場の空気が変わってきたとのこと。医療従事者を守るマスク、グローブ、消毒液、感染防護服などが入手できなくなってきており、その看護師さんは同じマスクを1週間使い続けるように言われていると嘆いていた。この迫る危機的状況は連日ネットニュースやテレビ等でも報道されているが、いくら訴えても当事者意識を持たない輩は巷に溢れており、このままではより事態が深刻化してパニック映画のようになってしまうのではないか?今は序章にすぎないのか?

                                                    2020,4,4

                                              

テレワーク

 4~5ヵ月の定期検診でお越しになられる方の中に、新型コロナの感染が怖くて2ヶ月ほど先延ばしにしたいという連絡が入った。2ヶ月後に終息しているのだろうか?大方は懐疑的な意見であろう。キャンセルの電話がある一方で、家での仕事になったので歯の治療に通いたいとの問い合わせも増えている。当医院は診療室、カウンセリング室ともに個室になっているので、会話が他の患者さんに聞かれることもなく、他の患者さんの治療によるエアゾルを吸うリスクもほとんどないという点では安心して頂けるのではないか?ただ、歯の治療と言ってもそう簡単に治療が進むわけではないことを先ずはご理解して頂きたい。当医院での診察を希望される方はHPの「初めて来院される方へ」をご覧いただき電話にて予約をお願い致します。

                                                     2020,4,3

ペスト

 アルベール・カミュのペストの一部が現実の世界になってきている。感染の拡大そのものは勿論命に係わる大問題であるが、国民ひとり一人が協力し合ってこの国難を乗り越える努力、連帯感が必要とされているにも拘わらず、相変わらず個人的な関心ごとを優先させて行動している。不要不急に何かと理由をつけて出歩く人、スーパーで余分と思われるほど買い占める人々。社会生活の閉塞感が長引くにしたがって理性よりも感情が先に働く人間の行動が、徐々に社会をパニックに陥れていく。大切な人を失わないために、心に想う人に逢うために、将来のある子供達のために、利他の心を育む意識を!

                                                    2020,4,2

                                              

今こそ“学問のすすめ”を読んで!

 「天は人の上に人を造らず‥‥」を聞いたことがあっても、“学問のすすめ”を読んだことがある人はほとんどいない。

明日はどうなるか分からない今だからこそ、自分はどのように振る舞い、行動すべきなのかを考える指南役としてこの一冊を今すぐ読んで頂きたい。今、人々に求められているものは“良識ある行動”である。老若男女問わず、今一度自由と我が儘の違い、境目を考えて頂きたい。諭吉は述べています。“自由と我が儘の境目というのは、他人の害となることをするかしないかにある。ある人がやりたい放題やるのは、他の人の悪い手本になって、やがては世の中の空気を乱してしまう。人の教育にも害になる。” 身の回りのちょっとしたことでも構わないと思います。周りの人へ迷惑の掛からない行動を意識しましょう!誰かに言われたからするのではなく、自分の良心に従って行動をとるべきです。人として、そして日本人として試されています。

                                                    2020,4,1

                                              

京産大生は何を大学で学んだのか?

 卒業旅行でヨーロッパ旅行に行き、帰国後にゼミの祝賀会でクラスターが発生したとのニュースが流れた。明日から社会人として責任を背負って社会に貢献する20歳を過ぎた大人の行動としては情けない。なぜこのご時世にヨーロッパ旅行を?政府をはじめ各自治体の首長が多くの人の集まる機会を極力避けるようにと呼び掛けているにも拘わらずだ。何もこちらの学生だけではなく、都内においても身勝手な振る舞い、行動をとる大人を見かける。なぜこのような人種が増えてきたのか?一言でいえば“教育”ではないか?それも家庭における“躾”が全く出来ていない。当医院に来院する小学生の中には簡単な挨拶もできない子供がいる。塾で何を学んでいるのか知らないが、人として学ぶべきは礼儀が優先されるべきではないか?学力優先、経済優先では大人にはなっても“人”にはならず、歳を重ねても“成人”にはなれない。

                                                    2020,3,31

                                              

不要不急の外出自粛

 志村けんさんが亡くなった‥‥。ウィルスによる人類死滅の危機をテーマにした映画、草刈正雄とオリビア・ハッセー主演の「復活の日」を思い出さずにはいられない。来年の今頃、世界の人口が半減しているなんてことは誰も予想していないだろう。でも、特効薬もなければワクチンもないとなればどうすれば生き残れるのか?今、我々一人ひとりができることをしなければならない理由はそこにある。“不要不急の外出を控えてください”と誰かに言われたからではなく、良識ある行動を普段から心掛けている日本人であれば自ずから当たり前にできるはずだ!「人を思いやり、慈しむ心である『仁』があれば、おのずと道徳は保たれ、社会が安定する」という孔子の教えを胸に刻もう。

                                                    2020,3,30

                                              

試練の時

 安倍総理大臣の記者会見を皆さんはどのように受け止めたであろうか?日本の外交においては総理として立派な仕事をされていると私は評価しているが、経済と教育に関しては及第点には届かない?のではないか。そんな中での新型コロナウイルス感染の国難である。国が、国民が、世界の人々が協力するしかない。総理も聖人君子ではない。批判も受けるであろう。しかし、今のこの人類に対する危機が差し迫っている状況下では、一国のリーダーを信じて従うことがひとり一人の国民に求められている姿勢ではないだろうか?明治維新前夜、吉田松陰は、「天下の大患はその大患たる所以を知らざるにあり」といっている。危機にあることを知らないことが最大の危機だ。ちょっとした油断が命取りになる。

                                                    2020,3,29

                                              

規律を守る国民

 東京における新型コロナウィルスの感染者が3日連続で40人を超えた。イギリスではジョンソン首相の感染も明らかになり、気が付けばウィルスの脅威、恐怖に人々が身をすくめている。まさに明日は我が身とはこのこと。昨年までJリーグで活躍していた元ドイツ代表の選手が、「日本の感染者数がこの程度で済んでいるのは、国民性が大いに関係している。何よりほとんど全ての人が当たり前に規律を守ることができる国民だ。欧州が学ぶべきことはこれだ。」とコメントを寄せていた。この週末も我慢、辛抱の時!「罹るときは罹るからしょうがない!」なんて言う無責任な考え行動を恥ずかしいと思わない一部の日本人には警鐘を促したい。

                                                    2020,3,28

                                              

なぜオーバーシュート、ロックダウン

 マスコミ、政治家の発言で意味不明?耳障りな言葉を耳にする。なぜ日本語を使わないのか。オーバーシュート?サッカーボールがゴールポストを外したのか?とは文脈からは思わないが、もっと日本語を大事にしませんかと言いたい。志賀直哉が母語を響きの良いフランス語にしてはどうかと提言したことがあるとか。外出を控えるこのご時世に普段読めない気になる本を読み漁って素敵な日本語に出会おうではありませんか!

                                                    2020,3,27

                                              

数値化できない価値ある美質

 職場において従業員の労働は適正に評価されているのか?学校教育における子供達の成績評価は総合的に評価されているのか?私が歯科医師になったころは仕事を覚える意味も兼ねて勤務先とは別にアルバイト先を探した経験があるが、その際気に掛ったのが“歩合制”という文字だ。歩合ということは、如何にそこの会社・医院の売り上げに貢献したかということであり、数字での評価でしかない。勿論その様な考えの歯科医院で働くことはなかったのだが‥‥。

イギリスのブレア元首相が当時“7歳児の読書量が20年後にイギリスの立ち位置を決めるだろう!”という発言をされていた。当時我が国の文部大臣は何と言ったか?“全国の公立小中高の図書費を2割削減します”、“スーパーコンピューターは世界で2番では駄目なんですか?”国会議員の資質の違いと言ってしまえば身も蓋もないが、そのような議員を選んでしまう国民の民度も下がっていることの表れだろう。ちょっと話の内容がブレたが、先日の毎日小学生新聞に、「世の中では“思いやり”や“思慮深さ”“謙虚さ”などの数値化できない価値ある美質が存在する」とあった。目に見えないものを評価することができるのが日本人ではなかったか?職業人を育てる教育ではなく、人を育てる教育に国が舵を取らないと、この国は取り返しがつかなくなると思うのは私だけか?



                                                    2020,3,22

                                              

望めば叶う

 “幼いころは誰でも夢をみていた。だが成長するにつれて夢はだんだん色あせ、気がつけばおとなになり、毎日の暮らしに追われて日々が過ぎていく”。‥‥20数年前に本屋で手にしたある本の裏表紙に書いてあった言葉だ。一ヶ月前に本棚の奥にしまってあったその本を探し、改めて読み返した。著者のルー・タイスは「それが本当のあなたですか」と問いかけてくる。約2ヶ月に当医院で歯列矯正治療を始めた30代の女性患者さんと会話をする中で、福澤諭吉の“学問のススメ”の話を切っ掛けに私が彼女に是非読んでいただきたい本として頭に浮かんできたのがこの“望めば叶う”だ。今日もこの患者さんは来院され、“綺麗な本をネットで購入しました!”とのこと。彼女にはしっかりとした人生プランがありそうだが、この先迷うことがあった時には背中を押してくれる一冊になることは間違いない。


                                                    2020,3,21

                                              

習慣化の重要性

 子供達の口呼吸と間違った嚥下様式を改善させる筋機能トレーニングによって本来の顔面骨格を取り戻し、その結果歯並び、咬み合わせも改善してきたケースが当医院でも多く見られるようになってきたが、反面結果が伴ってこないケースやフェードアウトしたお子さんもいた。この治療の考え方を親御さんがしっかりと理解できていることが治療を受ける上では大前提であるが、それ以上にトレーニングを習慣化できる家庭環境が整っているかどうかが大きな鍵を握っていると実感する。歯科医院に毎月一回通っていれば咬み合わせが良くなるというものではない。“習慣”は自然には身につかない。努力が必要。だから“習慣力”。歯を磨くのも、お風呂に入るのも、最初は親が躾けたからです。小さなお子様にマズローの欲求五段解説を理解させる必要はないが、このトレーニングを“習慣化”することが何事も成就させる上では大切だと身をもって教育できると確信する。


                                                    2020,3,19

                                              

大局観

 リーダーに必要な資質は何かと問われればそれは“大局観を持った決断力”であろう。その大局観を養うには日ごろからの修養が必要であり、教養を身につける以外にない。このことは現役の全国会議員に強く申し上げたい。大局観がないから対処療法の政策しかできない。なんで現金給付をするのか?現金と商品券をセットで考えたら?なんてことを平気で提案する野党議員までいる始末。日本で、世界で新型コロナウイルスによる混乱が生じているが、収入が減るから保証してくれ、生活ができないから国が何とかしてくれなどというのは如何なものか。誰も予期せぬ事態に対処する解決策は持ち合わせていない。“国があなた方に何をするかではなく、あなた方が国に何ができるかを考えてほしい”とは某国の大統領の名演説だ。今は国も国民も試練の時であり、それぞれの問題解決能力が問われているのではないか?謙虚に、耐えるときは耐えることを学ぶ時であり、危機を脱した時に、人として恥ずかしくない行動をとれたと思えるようにあるべきだ。

                                                    2020,3,18

                                              

先の見えない不安

 最近の患者さんとの会話は先ず“新型コロナウイルスはどうなりますかね?”で始まる。日を追って感染への緊迫感が周りでも高まってきているのは皆様のまわりでも同様かと思います。通勤電車内ではくしゃみ一つし難い雰囲気があるだけではなく、マスクをしないで会話をしていると注意する乗客が出てくる始末。“最後は自分の身は自分で守る”しかないのかも知れないが、なんとも窮屈だ。しかし恐怖から他人との接触を避けようとするのは道理かもしれない。学校の一斉休校、イベントの中止。今日の夕方にはアビガンが新型コロナウイルスに効力があると中国が発表したとのこと。副作用は大丈夫なのか?早くこの目に見えない、先の見えない不安を払拭できるような日が来ないだろうか。「ノーレイン・ノーレインボー」、ある中学校卒業式の祝辞だ。

                                                    2020,3,16

                                              

治療で歯は良くなるの?

 今日の初診患者さんの主訴は、“これ以上歯を失いたくない”。口腔内を診査すると多数の処置済みの歯を認め、3本はすでに抜歯されいる。詳しく話を伺うと、何度も同じ歯を治療しているにもかかわらず良くなっていないのはなぜか?と疑問になっていたとのこと。このような同じ疑問を抱えている方に先ず理解して頂きたいのは、歯は治療をしても良くならないということ。良くならない??歯が良くなる=歯が元に戻る、であれば治療をすることで歯が良くなるという表現は正しいかもしれないが、実際には治療をすることでその歯の予後がどうなるかということ。むし歯になるリスク検査をしたことはありますか?治療をすることで治療を行わない場合よりは歯を延命できるのであれば治療を選択するという考え方を患者さんには持ってほしい。そのためには医院側がきちんと患者さんと向き合う時間が必要である。次から次と患者さんを捌くような診療体系では、いつまでも患者側は考える時間も質問する時間もない。

                                                    2020,3,12

                                              

血液の在庫不足

 皆さん、献血をされたことはありますか?身内の方も含めて手術などで輸血が必要になった経験をお持ちの方もおられることでしょう。茨城新聞のコラムに掲載されていた記事によると、新型コロナウィルス感染拡大で献血関連行事が中止になるなどして、血液の在庫不足が深刻化しているそうです。日本赤十字社によると、輸血を受ける人は1日約3千人おり、約1万3千人からの輸血が日々求められているという。同社は「あなたの40分間が誰かの一生になります」と、協力を呼び掛けている。皆さん、いつどこであなた自身も輸血の必要に迫られるかもしれません。時間があればではなく、時間を割いてでも人の命を救うお手伝いを!医者でも血液は作れない。

                                                    2020,3,11

                                              

新型コロナウイルス

 未曾有の被害をもたらした東日本大震災では多くの方が犠牲になった。目に映る映像を現実のものとして受け止められなかった9年前を皆さんも忘れることはないでしょう。今は見ることのできない恐怖との戦いが全世界で起きている。目に見えないウィルスの拡散がデータによって可視化され、今そこにある危機として日々の生活を震撼させている。マスクの高額転売、トイレットペーパーの買い占めなど、“自分さえよければ”の社会現象も起きている。日本人であれば“お互い様”という言葉を使ったことがない人はいないと信じたい。お互いに分け合いながら助け合う相手を思いやる自然な気持ちは何処へ行ってしまったのか?新型コロナウイルスの終息も見通せない不安は尽きないが、日本人の遺伝子が組み替えられたのではないかと思われる新種の日本人の暗躍する社会は収拾がつかなくなる不安が尽きない。

                                                    2020,3,10

                                              

患者の悩み

 先週来院された患者様の悩みは、「子供の頃からずっと歯医者さんに通っているのに良くならないのはなぜなのか知りたい?」。御もっともな質問である。口腔内画像をお見せすると患者さん曰く「なんだか悲しくなる😢」。歯を失ったところにインプラント補綴(被せ物)が処置されていたが、そこと咬み合う相手方の歯が今は痛くなってきたとのこと。むし歯のリスク、上下の歯並び、三次元的な咬み合わせの歪み、治療した側の診断力、治療技術の拙さなど様々な要因が関与しているが、もっとも欠けていることは、治療する側のドクターと治療を受ける側の患者との人としての信頼関係ではないか?信頼関係の構築には何が必要か?歯科医療にかかわらず何事においてもどの業種においても“Face to Face“によるコミュニケーション以外にない。患者さんの悩みをこちら側が温度差なく受け止めることができているのか?

                                                    2020,3,4

                                              

これからの人たちへ

 卒業シーズンを迎えたにも拘らずこの新型コロナウイルスの市中感染拡大によって人生の節目となる記念すべき式典が行われないのは非常に残念であり気の毒である。学生生活の思い出、充実度は人それぞれかも知れないが、若い人たちには以前東大の入学式祝辞で述べられていた言葉を胸に刻んでほしいと願う。引用します。

“あなたたちの頑張りを、自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と能力とを、恵まれない人々を貶めるためにではなく、そういう人々を助けるために使ってください”

                                                    2020,3,3

                                              

真のおもてなしとは‥‥

 歯科医院を受診される方の多くは何か主訴を抱えて来院される。しかし、来院されない一般の方は皆さん口腔内に問題はないのだろうか?表現を変えれば、そもそも病気と診断された患者以外は全員が健康と言えるのだろうか?

当医院の経営理念は“価値ある時間を患者様に提供する”である。

星野佳路氏の言葉によると“おもてなしとは顧客の期待に応えることではなく、顧客に気付いてもらうこと、伝えたいメッセージをしっかりと伝えることが本当の意味でのおもてなしである”とある。

当医院は治療だけを提供しているのではない。先ずは皆さんの口腔内の現状をしっかりとご自身で把握してください。

あの時、あ~すれば良かった!はできるだけない方がいい!

                                                    2020,2.29

                                              

当医院の歯科治療・メインテナンスの考え方

 むし歯の治療を繰り返し、あるいは多く受けている原因は、

1.     咬み合わせを考慮しないまま表面的な処置に終始している可能性があるのではないか?(咬み合せと歯軋りの関係を理解していただく必要があります)

2.     カリエスリスク(むし歯になるリスク)を減じることなく対処療法的な処置を繰り返している為

3.     痛みなど症状のあるときのみ治療を受ける対処療法型の歯科医院通いをしていないか?

4.     長期的な歯の保存・維持を目的とした治療ではなく、その場凌ぎの必要最低限の処置に終始している可能性は?

5.     治療時の精密度の問題

6.     修復物、補綴物の材質の特徴によりもの

7.     不正咬合(かみ合わせの不正)がある場合の夜間の睡眠時歯ぎしりによる個々の歯に掛かる力の負担による修復物の歯面からの剥がれ、歯質の亀裂、破折が生じ易い

8.     食生活習慣の改善を含めたセルフケアーが不十分

9.     定期的なメインテナンスを全く受けない

  などが考えられます。

 歯周病の進行は歯周病細菌の関与がありますが、生体(宿主側)の免疫応答が深く関与しており、原因は決して一つではなく、多因子性疾患として考えられています。

 歯周病に関しては治療終了後も口腔内細菌の働きをコントロール必要性から定期的なメインテナンスにて歯周ポケット内のバイオフィルム(細菌の塊)の破壊、歯石除去を行う必要があります。

治療の進め方・内容

1.     唾液検査の実施、リスクの把握とご理解、セルフケアーの改善、確立

2.     不良補綴物(被せ物)・修復物などがあれば精密な再処置を検討する

※歯を治療することで歯が治ることはありません。歯の機能を長く持たせるための処置がむし歯の治療であることをご理解ください。

3.     身体の適応と代償という観点で口腔内を診たときに、歯列の乱れ、かみ合わせのずれがある場合には、代償の全身症状として首肩の凝り、腕のしびれ、偏頭痛等(他にもあり)が現れやすく、口腔内では歯の根元の楔上欠損、歯の咬耗、歯肉退縮、顎関節では開口時の顎関節の音、痛みなどが生じてきます。12週~16週の間隔でメインテナンスを継続させる。但し、むし歯、歯周病のリスクが高い場合にはメインテナンス期間を短くする。

治療の予後予測

 生体で今後起こりうることを予測することは不可能ですが、処置済みの修復物、補綴物を長期的に保つことができても処置完了時と同じ状態を半永久的に維持させることは難しいと思われます。早期に修復物(金属)などの浮き上がり、不適合箇所を発見し、必要最小限の再処置に済ませることが、御自身の歯を長く持たせる最良の方法です。

定期メインテナンスと歯科医療について

現在治療が必要なところは適切な処置を受けることが必要ですが、その後新たな疾患をつくらない為には正しい食生活習慣、と口腔内セルフケアーの確立が皆様には必要です。

当医院としては

l  口腔内の悪玉菌を減らして善玉菌を増やすこと

l  細菌バイオフィルムを破壊して生体の抵抗力を優位な状態にする

l  科学的根拠に基づいた予防と適切な時期に必要な治療介入

l  継続的な患者資料(レントゲン写真、口腔内写真)の採得

l  時間軸の観念をもったメインテナンスシステム

を意識して一人ひとりの口腔内の管理をしております。

※必ず理解してください!

皆様の中には「症状がない=健康」、「何か症状が出たら、痛くなったら歯科医院を受診する」という考えがあるかもしれません。

一方で、定期的なメインテナンスは、自覚症状のないもしくは、ほとんどない状態で来院してもらうために皆様の従来の考え方とは相反することになります。

皆さん、歯科治療・口腔ケアの“意識改革”をしてください。

口腔内には700種類以上の細菌が検出されており、むし歯や歯周病は細菌の塊・バイオフィルムが主要因である多因子性疾患です。

つまり、歯面で細菌バイオフィルムが形成され、成熟していく過程が歯や歯周組織にとって最も為害性がある時期です。バイオフィルムが石灰化して歯石になった時に除去するのでは遅いことを理解していただきたいのです。

従って、口腔内細菌の働きをコントロールする必要性から定期的なメインテナンスにて歯周ポケット内のバイオフィルム(細菌の塊)の破壊を行う必要があります。

                                                    2020,2.24

                                              

学問のすゝめ

 福澤諭吉先生の“学問のすすめ”は聞いたことがあっても本を手に取って読んだことのある人はどれくらいいますでしょうか?皆さん、是非ともお読みいただきたい。混迷する日本社会、素晴らしい日本の文化が崩壊しないように、いま私たちが気付く必要があることを150年前に福沢諭吉は述べています。


“人にはそれぞれの社会的役割や才能というものがある。才能や人間性を身につけるには、物事の筋道を知る必要がある。それを知るためには、文字を学ばなければならない。だから、現在学問が緊急に必要とされているのだ。”

“自由とわがままの境目というのは、他人の害となることをするかしないかにある。たとえば、自分のお金を使ってすることなら、酒や女遊びにおぼれてやりたい放題やっても、自由であるからかまわない、というように思えるかもしれないけれども、決してそうではない。ある人がやりたい放題やるのは、他の人の悪い手本になって、やがては世の中の空気を乱してしまう。人の教育にも害になるものであるから、浪費したお金はその人のものであっても、その罪は許されないのだ。”


今の日本人、日本社会、何かが欠けてはいませんか?社会の荒廃は心の乱れから始まる。先ずは一人ひとり、今日一日の自分を振り返ってみませんか?

                                                    2020,2.20

                                              

 昨今の国会議員の発言、態度からは国を守る、良くするといった使命感をもっている人が極めて少ないのではないかと思わざるを得ない。骨太の政治家がいない。いや、いないわけではないが、そのような方はマスコミ受けをしないからか、メディアが先だって取り上げることもない。

 私が20歳の頃、日本の舵取りをされていたのは先日お亡くなりになられた中曽根康弘さんだった。どんなに公務に忙しくても、レーガン大統領と会談をする前日であっても、首相官邸の執務室で必ず30分は自分の時間を取って修養の時間を取っていたそうだ。

“政治家の仕事は先見性と大局観をもって未来をつくること。そのために過去を知らなければならない。歴史を勉強しなさい”と孫の新人議員にはなむけの言葉。

私が尊敬する政治家、経営者、一流と一目置かれる各界の人々は共通して軸がある。

「人間軸がないとぶれる。軸があるから方向を変えてもぶれない。その哲学は中曽根外交でも生かされた」(日経新聞より)

建物も軸がなければ崩壊する。人間も“軸づくり”が一生のテーマのようだ!

                                                     2020,2,19

                                              

新型コロナウィルス

 正常性バイアスをご存知でしょうか?人は自分にとって都合の悪い情報を無視したり過小評価したりする習性があり、自分は大丈夫、大したことはない、と思うことが正常性バイアスが働いている状態だそうだ。ある記事によると、物事を深刻に考えすぎないなどプラスに作用することもあるが、災害や事故の際に避難や初動の遅れにつながるとのこと。

 新型コロナウィルスの感染が世界規模で広がっているが、我々の身の回りにもいつの間にかやってきた感がある。総理大臣の使命は国民の命を守ること。他国から攻められない国造りをしているのは評価できるが、ウィルス感染に関しては初動の遅れが否めない。桜の会の問題などどうでもよい。与党も野党もない、周辺国からどう思われようが構わないではないか。思い切った策を講じてほしいものだ。

 ところでなぜ新型コロナウィルスと呼ぶのか皆さんご存知でしょうか?私も先程知ったのですが、ウィルスを電子顕微鏡で見るとウィルスの表面から突起が出ていて、その外観が太陽のコロナににていることから名付けられたそうです。

                                                     2020,2,3

                                              

論語

 子日わく、「これを知る者はこれを好むものに如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。」

学びを「知る」、「好む」、「楽しむ」の三段階に分けて比較していますね。

この言葉の意味するところは、学問でもスポーツでも仕事でも、ただこなすのではなく楽しみの境地まで高めてしまうとどんな小さなことでも思わぬ醍醐味が待ち受けていて、より高い世界へ誘ってくれるということ。

テニスの全豪オープンで8度目の優勝を達成したノバク・ジョコビッチは正にそれを体現しているように思えてならない。

                                                     2020,2,2

                                              

他科の医療機関との違い

 内科、眼科、整形外科など歯科以外の医療機関は治療のために受診するところであり、予防のために医療機関を受診される方はいません。なぜなら日本の保険制度は疾病保険なので、悪くなってからでないと医療を受けれないからです。では、医療機関で病気と診断された患者以外は健康なのでしょうか?不定愁訴を抱えた人は病名は付かなくても身体に不調を来しているのです。症状が発症する前に存在する『見えないリスク』を発見することが医療のあるべき姿ではないでしょうか?

 歯周病が全身疾患と関係があることは10数年前から言われ続けていることです。幼少期からの咬み合わせの不調和がある時身体のある個所に症状を発症させているのではないかと疑わせる患者がどんなに多いことか。

 当医院における定期メインテナンスにお越しいただいている患者さんの口腔内の変化も毎年資料を採り続けることでよく分かっていただけるようになってきた。口腔内にとどまらず全身に視野を広げ、リスク発見の精度を高めていく必要があるだろう!

                                                     2020,1,22

                                              

「自分を疑う」

先日、「歯が揺れていて硬いものを咬むと痛くて食事ができない」という主訴の方が来院さた。

歯周治療で保存できる状態ではないので後日抜歯せざるを得ない。歯を抜くのが歯医者の仕事??ではない。

“人に苦痛や喪失感をもたらすような医療はしたくない。子供の時からの治療ではなく教育が必要ではないか?”

大人の必要な治療は勿論責任をもって行わせていただくが、今後の当医院の患者層は子供が多くなっていくのは間違いない。

星野リゾートの星野佳路氏の言葉に

“おもてなしとは顧客の期待に応えることではなく、顧客に気付いてもらうこと、伝えたいメッセージをしっかりと伝えることが本当の意味でのおもてなしである”とある。

当医院のミッションである“価値ある時間を皆様に提供する”とはまさにそのことであり、歯科医院に足を運ぶのは治療のためではない。



                                    2020,1,13


「ツァラトゥストラ」

ニーチェの「ツァラトゥストラ」の中に、素敵な一節がある。

 “君は君の友のために、自分をどんなに美しく装っても、装いすぎるということはない。

 なぜなら、君は友にとって、超人を目指して飛ぶ一本の矢、憧れの熱意であるべきだから。”


 かなざわ歯科医院の診療体系、診療内容は昨年から大きく変わりつつある。

 歯科医療に携わってこのような表現をするのは如何なものかと思うが、歯医者が存在しなくてもだれも困らない世の中になることが、究極の歯科医療の目指すところではないか?実際にはう蝕が存在しなくなっても新たに口腔疾患、咬み合わせと全身疾患の関係が明らかになってきている現在、歯科医療従事者の役割は従来とは違う形で求められるであろう。

 10年後、20年後を見据え、先ずは子供達の正しい成長発育を促す環境作りが必要であり、頭蓋顔面発育障害の一つの表れが不正咬合(歯並び・咬み合わせが良くないこと)という形で表れていることを今年も情報発信していきます!

 成人の方で歯科治療を受けたにも拘らず満足のいく結果を得られていない方は、先ずはなぜ歯医者に通ったのに良くなっていないのか?本当に良くなっていないのか?ご自身の口腔内の現状はどうなっているのか?を知るところから考えてみる必要があるかも知れませんね。


                                    2020,1,1