当医院にお越しになられて10数年になる方から、医科で睡眠時無呼吸症候群と診断を受け、CPAP(持続陽圧呼吸療法)をされているとの報告があった。当医院が初診時以降にお渡ししたその方の所見ファイルには、骨格的なかみ合わせを診ると将来的に閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の可能性があると記載していたが、当の本人は歯科でそのようなことを指摘されても心には響いていなかったようである。
このような予想は的中して欲しくはないのだが、不正咬合、それも骨格的な不正咬合に至った原因に睡眠障害を引き起こす要因が含まれていることを医療界全体が国民に向けて啓蒙すべきである。
あの睡眠学の権威であるChristian Guilleminault先生(2019年没)の研究テーマは「顎と睡眠障害の関係」でした。今でこそ小児閉塞性睡眠時無呼吸(Pediatric Obstructive Sleep Apnea)の病名を歯科でも耳にするようになりましたが、当時先生の発表には、「睡眠障害や無呼吸症は幼児期に形成されるため、早期発見と早期の治療介入が必要である。」ということがありました。
従って当医院では不正咬合の改善は勿論ですが、そこに至った原因を親御さん、患者さん本人にしっかりと理解して頂くことから始めております。舌を含めた口腔筋機能の改善には、小さな習慣の積み重ねが必要であり、今だけではなく将来の健康を見据えた取り組みが必要なのです。
そこで見逃すことが出来ないのが、生まれてから人生を全うするまで継続される運動、咀嚼機能の正しい動きなのです。顎を含めた顔面骨格の成長には、バランスの取れた筋肉の動きが欠かせません。
実際にものを食べたり飲んだりする際には口だけではなく、さまざまな機能・器官が密接に連携して行われています。
ご飯を箸の先で掴んで口に運ぶと、先ずどこに触れますか?上唇ですか、下唇ですか?それとも奥歯ですか?
子供たちのかみ合わせを改善するためのトレーニングを行っていても、効果の出方に差が見られます。参考までに朝晩の食事の様子を撮影して見せて頂くと、診えないことが診えてくるのです。
食べる時の姿勢が悪いと言ってもどのように悪いのか?
安全な食べ物を選択する、エネルギーとなる食物を摂取することで、初めて生命が維持できるという観点から考えれば当然のこととも言えますが、脳が食べるために割く時間は想像以上に多く占めるのです。当医院の患者さんを診る限り、正しい咀嚼機能が身に付いている方は、極めて少なく、その結果が不正咬合、誤嚥に繋がる嚥下異常となっているのです。
従って、脳と筋肉で獲得し無意識に行っている、食べる、飲むメカニズムを理解する必要が欠かせないのです。
当医院では、実際に実習形式でご飯を持参して頂き、摂食の仕方・メカニズムを皆様に体験して理解して頂くセミナーを実施しております。
次回開催予定日は11/26(木)12:00~13:15、5組まで先着順となります。



正しい咀嚼機能の獲得は、早ければ早いほど適正化が可能です。右の写真は当医院の歯科衛生士の指導による変化です。